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「ソーセージ」で世界を変える筋肉マンたち

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「ソーセージ」で世界を変える筋肉マンたち

 

人間の身体は、食べたものでつくられている。

当たり前のことではありますが、それがどういう意味を持ったことなのかって、よくわからない…。

 

ぷはー、ビールうめー! 改めまして、編集者のくいしんです。

 

……身体にいいもの、食べてますか?

 

と、聞かれても「身体にいいもの」ってなんだかよくわからないですよね。

 

昔は当たり前に食べていたものが、今は身体に悪いとされていたり、無農薬の野菜がいいって言ったって、値段が高くてそればかり食べるのは難しい…。

 

「身体にいいもの」を求め始めると、ゴールがなくて、何を食べたらよいのかわからない罠に陥ります…。

 

(ですが…)

 

(今回取り上げるのは…)

 

ソーセージです。どうですか、この肉汁がパンッパンな見た目。うまそうすぎる。

 

何を食べたらいいのかよくわからないなりに、今回、ソーセージクリエイターユニット「.comm(ドットコミュ)」に話を聞いて、自分の中に軸が出来ました。

 

「.comm」の野村俊介さん(写真左)、鹿さん(写真右)

 

ふたりがつくっているのは無添加のジビエソーセージ

だけど、ふたりは「ジビエ」とか「無添加」をウリにしたいわけじゃない。

 

彼らが売っているのは、姿勢。

生き方そのもの。

 

バッキバキの身体から溢れる野性味と、うますぎるソーセージにまつわる話、ぜひお楽しみください。

 

200歳まで生きるつもりの元格闘家

インパクト大な、お店のポストカード

 

「なんか…ふたりともカラダがバッキバキじゃないですか?」

「格闘技をやってたんですよ」

「格闘技!」

「いわゆる総合格闘技でプロデビューしてました。食べるもので身体がつくられるのが、基本ですよね。僕らは格闘技をやっていた中で、食べるものにこだわっていて、その先にあったのがソーセージだったんです」

「ソーセージってそんなに身体にいいんですか? むしろ加工された肉はあんまり身体によくないイメージがありました…」

「僕らがつくっている無添加のジビエソーセージは身体にいいですよ。鹿さんなんか、毎日ソーセージばっかり食べてます」

 

「(めっちゃソーセージつくってる。っていうかソーセージってこうやってつくるんだ)」

「ほぼ毎日食べてますね。ソーセージの栄養がどうこうというより、僕は、魂のこもったものを食べたいんです。食べたものでいかに自分の身体を調整するのか考えてます」

「キャッチコピーは…」

 

素材にこだわって丁寧につくったジャンクフード

「めちゃくちゃカッコいいし、ジャンクフードが入り口になってるのいいですね」

「早速、ソーセージ食べてみてください」

 

「(ははは…すでにめちゃくちゃうまそう…)」

 

ソーセージの美味しそうすぎる見た目に、取材同行した編集長の柿次郎(写真右)も、このえびす顔

 

「いただきまーす!」

 

うわ〜、何これ。うんま〜

 

「こっちの黒いやつも…」

 

「えっ…」

 

「これさあ」

 

「うまあああ〜」

 

「めっちゃうまい(笑)。うますぎて完全に語彙が消失しました。これはビールが欲しくなりますね」

「いや、顔しつこいな。これを食べると市販のソーセージが貧弱に感じるでしょ」

「命を食べている感覚…。めちゃくちゃ身体が喜んじゃってます。この黒いソーセージ、なんの香りですか?」

「イカスミですね」

 

「ここに来る間、車で寝てて首がバキバキだったんですけど、早くも効いてます。エネルギーがみなぎってきました」

「そんな速効性はないよ。いやでも、僕はこれ食って、200歳まで生きたいと思っているんですよ」

「ウソでしょ。率直に言って、無理じゃないですか? 絶対無理」

「それぐらいの気合いってことです。僕は毎日、ジビエと牡蠣を食べてます。それによって、身体の中の栄養レベルを上げていくっていう考えですね」

「栄養は大事だと思いますけど、それで200年生きられますか……?」

「あとは、ストレスをかけないことも大事だと思います。僕、ストレスないんですよ」

 

「ストレスがない」

好きなことしかしないし、いやな人とは付き合わない。実際、ジビエと牡蠣から栄養を摂取するようになって一年半くらい経つんですけど、まったく風邪を引かなくなりました」

「それは野村さんの体がめちゃくちゃ丈夫なだけでは?」

「僕も栄養学の本を読んで学んだくらいですけど、現代人はカロリーは足りてるけど、身体に必要な栄養素が全然足りてないって説もあるんです。そこで僕は、ジビエと牡蠣で意識的にタンパク質とビタミンをとるようにしていて」

「では僕も栄養が足りてないですかね」

「成人男性もふつうにご飯を食べているだけでは、不足してしまうかもしれません。ソーセージを日々食べて、身体を鍛えている鹿さんでやっとタンパク質が足りてるくらい。僕は足りない栄養はサプリで補っているので、足りていると思います」

「野村さんも鹿さんもめちゃくちゃ肌がツヤツヤなので説得力はありますね…」

 

(※わかりやすいように脱いでもらいました)

 

「そうでしょ。僕らはよく『若いね』って言われます。僕は1979年生まれなので、今年で40歳です」

「えっ。ハタチくらいかと思ってました」

「それは言いすぎ」

 

「日々気をつけているので肌がきれいとかエネルギッシュとかよく言われます。理由はそれしかないというか。必要な栄養素を摂取しているからです」

「鹿さんも200歳まで生きるつもりなんですか?」

「僕は70年でいいです」

「そこはふつう」

ただ生きて、死んでいこうと思ってるんで。僕は今の現代社会でナチュラルに生きられればそれでいい」

 

ソーセージを選んだ理由

「おふたりがソーセージを選んだ理由ってあるんですか?」

「僕はもともとソーセージって別に好きな食べ物でもなかったんですけど。生きていることのひとつの表現としてソーセージやってるんですよ」

「なるほど。表現」

「僕の生き方の表現のひとつがたまたまソーセージだっただけで。画家に『これ、他の絵と何が違うんですか?』って聞かないじゃないですか。『タッチが違います』『絵の具が違います』っていう話じゃない」

「画家という、個の表現でしかないですね」

僕にとってはそれがソーセージだった

「鹿さんは、ソーセージをつくることにハマッたんだよね」

「そう。『無添加のジビエソーセージ』と言っておきながら、うまくないものって世の中にいくらでもあって。つくるだけつくって満足しちゃうんですよ」

「ああ、なるほど。『無添加のジビエソーセージ』ってだけで、特別ですもんね」

「そうそう。それで満足しちゃって、味を追求しない。僕らのソーセージは全部、生ソーセージです。急速冷凍にかけちゃうので、添加物を使わずに済む」

「徹底的にこだわってると」

 

味も、一本1グラム単位で、猪肉ともち豚の脂の量や、砂糖と塩、海藻粉末を調整して、探求してるんです」

「すごっ」

「僕らはとにかく、美味しいものを質のいい状態で届けたい。添加物を使ってないともあんまり言いたくないくらいですね」

『無添加ソーセージ』って別に語感として、おいしそうに感じられないですよね。だから僕らは、そこ以外のところで価値をつくりたい」

「それを伝えたいけど、何で伝えるか僕ら自身まだわかってないというのはありますね(笑)。僕らの理想は、ソーセージ食べてもらって『うまい!』→『しかも、ジビエ使ってんだ!』→『添加物入ってないんだ!』という順番が理想なんですよ」

 

後日送られてきた「月刊ソーセージ」の見本デザイン。伝え方に試行錯誤しているそうです

 

ソーセージカルチャーをつくりたい

「そもそも、なぜふたりでドットコミュをやろうってなったんですか?」

「僕らが出会ったのは15年前、格闘技をやっていた頃なんですけど。6年くらい前に和食屋の大将に『ジビエやってみない?』って言われて、僕が狩猟に行っておもしろかったから鹿さんを誘って一緒にやるようになって」

「狩猟を?」

「そう。純粋に狩りが楽しかったですね。人間の原点というか、これってエンタメだなと思って。鹿とか見つけるのも難しいし、見つけて、仕留めて、バラして、食べるまでがエンタメなんですよ」

「それからソーセージをつくるようになったのはなぜでしょう」

「それから、ジビエとワインの会を開催するようになりました。そうしたら、すぐに200人くらい集まるようになったんです。これはもうビジネスにできるんじゃないかなって思い立ったのが2015年ですね」

「うんうん」

 

「最初は生肉を売り始めたんだけど、売れないんですよ。だからジビエ業界も変わらないといけないと思って、僕らはソーセージに特化したんです。肉を売っても背ロースとかいい部位しか売れなくて。ジビエブームの裏側にはまだまだ問題があるんです」

「そうそう。『余った肉の部位どうする?』みたいな感じで、辿り着いたのがソーセージなんですよ」

「余った部位だから、値段じゃ勝負できない。だったら、新しい価値観、カルチャーをつくろうと思ってソーセージを選んだんです」

「ソーセージカルチャーですね」

「差がつけれるなと思ったのは、世の中のソーセージが添加物まみれだから、俺らはナシでやろうと言って始めましたね。僕らはソーセージカルチャーを世界中に広めたいんです」

「野村さんの思うソーセージカルチャーってどんなのですか?」

『お前、自分のソーセージ持ってないの?』っていうのがスタンダードの世界」

「マイソーセージだ」

「もっとみんなが気軽にソーセージで遊ぶ世界をつくりたいですね」

「パッとイメージ湧きませんけど、楽しそうなのは確かです」

 

でも、ソーセージを売るのは難しい!

「でも、これだけうまいものを鹿さんがつくってるのに、世の中に広まらないのはおかしいんですよ!

「おかしいですよ。ホント、めちゃくちゃうまかったです。爆発的に売れてもいいのに」

「割と勢いでこれまで走ってきて、今は正直、売り方や広め方をちゃんと考えなきゃいけない時期に来ている実感はありますね」

「どう広めていくか、という課題ですね」

「ですね。料理雑誌や食への感度の高い人たちにはめちゃくちゃ刺さってるんですけど、それとマスに広まることは違うんだなって最近悩んでますね…」

 

「今の時代、感度高い人に刺さればそれで広まる、ってわけでもないですもんね」

「そこでいろいろ考えて、ホットドッグを始めたのは次の一歩なんです。実験的な意味でも新しいことをやりたくて」

 

猪&イカスミ&マカ入りのソーセージを用いた「黒ドッグ」

 

「ジビエである、ってことをウリにするのは違うんですもんね」

「ジビエのソーセージやってるところはどこも『高タンパク』『野生の力』『タンパク質が豚の3倍!』って謳うんですよ」

「伝えたいところはそこじゃない、と」

「『よくあるソーセージと何が違うんですか?』って聞かれたときに、ジビエ使って、添加物使ってない、こだわりのスパイスで~って説明するのは違うんじゃないかなと最近は思っているんです」

「2018年の2月末に新宿伊勢丹のイベントで出店したんですけど。めちゃくちゃ売れたんです。だから、買う人は買うし、伝わる人には伝わってる。ただ、どうやったら広まるかというと、解決策は見えてない」

「2018年にホームページをつくったんですけど、アバウトページってふつうは何者なのか経歴書いたりするけど」

「僕らはそれは違うんじゃないかって話になりました」

「それで『ドットコミュ憲章』っていう、僕らの生き方の6つのルールだけを書いたんです」

 

「あれ、めちゃくちゃインパクトありますよね」

「だから『こういう思いで生きてるふたりなんですよ』っていうことだけなんですよ、言いたいことは。ソーセージは、そのふたりの表現」

「ああ、そうか。ドットコミュは姿勢というか、生き方を売ってるわけですよね」

「そう!」

「オールブラックスとかわかりやすいですよね、真っ黒で。一番思想が強く出てる」

 

黒ドックに使われている真っ黒なソーセージ「オールブラックス」

 

「オールブラックスは、もともとふたりが切ってもらってる散髪屋で生まれたんですよ」

「へえ! 散髪屋で」

「『男の嗜み』っていうテーマで散髪屋をやっている友人がいて。だから『男なら黒だろ』となって、すべて黒にしました」

「だからね、売り方と広め方は今の課題で。ジモコロでドットコミュを世に広めるきっかけをつくってくれたら超うれしいんだけど…

「なるほど! 今回の記事で、コラボ相手を募集しちゃってもいいくらいですよね。同じ思想・姿勢を持った人たちとコラボしてつながっていくみたいな」

「飲食とか同じ業界じゃなくていいし、全然違う業界の商品とコラボしてもいいしね」

「ちなみに、どういう人とやりたいとかありますか?」

「人間としておもしろい人」

「会って、本能で決めるしかないやつっすね」

「そうそう、話すノリとかもあるし…」

 

そこで!!!!

今回は、ジモコロにてドットコミュのコラボ相手を募集!

この記事を読んでピンッときたら、ドットコミュ公式サイトのお問い合わせフォームから、ふたりにメッセージを送ろう!

▼ドットコミュのお問い合わせページ
https://dot-comm.info/contact

 

おわりに

冒頭に書いた「身体にいいものって、何を食べればいいの?」という疑問。

 

野村さんは200年生きることが目標。

鹿さんは「ただ生きて、死んでいこうと思ってるんで」と言います。

 

何を食べたら身体にいいのか…はたまた、長生きできるのか…。そうやって考えるのもいいですが、人は、死ぬときは死ぬ。

 

だからこそ、今この瞬間を楽しんで日々生きていくことが何より大切。

だからこそ、ふたりは正直に今の悩みを吐き出して、ジモコロに相談してくれました。

 

ふたりから学んだことを胸に、うまいソーセージを食べつつ、生きていこうと思います。

 

あなたの心の中にマイソーセージはありますか?

 

 

取材協力=ドットコミュ

オフィシャルHP:https://dot-comm.info/

店舗住所:〒733-0031 広島市西区観音町16-33-102

 

※衛生面を十分に配慮した上で撮影しています

写真=小林直博


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