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オタフクソースに聞いた『最高においしい広島風お好み焼きの作り方』

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オタフクソースに聞いた『最高においしい広島風お好み焼きの作り方』

ジュ~~~ッ

 

お好み焼きが食べたい!

 

こんにちは、ライターのコエヌマカズユキです。

今すぐ、どうしても、おなかいっぱいお好み焼きを食べたい。年に数回、そんな瞬間が訪れませんか?

 

それも、今食べたいのは……薄い生地に野菜とそばを重ねた「広島風お好み焼き」。甘辛いソースをドバドバかけた、焼き立てのアツアツ……青のりの香り……

 

お店に行けばすぐ食べられるけど、せっかくだから自分で焼いてみたい。最高のお好み焼きを!

 

広島風お好み焼きの聖地へ

というわけで、「広島風お好み焼き」の本場・広島にやってきました。

※広島の方々は「広島風」という言葉を使うと怒る、とは聞いていますが、全都道府県においしさを伝えたいので、本記事ではわかりやすさを優先し、あえて使わせてください。

 

家庭でお好み焼きを作る時、決め手になるのは「お好みソース」ですよね? その代名詞ともいえるのが……

 

「オタフクお好みソース」ではないでしょうか? ということでオタフクソースの本社を訪ねてみました。

 

オタフクソースと聞くと庶民的なイメージが浮かびますが、実は「オタフクホールディング株式会社」という一大グループ。

グループ全体の2018年度の売上高は240億円。巨大企業だ!

 

そんなオタフクソースさんでは、「お好み焼き教室」を行っているのだそう。早速、お邪魔させていただきました!

 

意外と簡単!広島風お好み焼きの作り方

教えてもらったのは「お好み焼課」の瀧野さん

 

「広島風お好み焼きを作ったことはありますか?」

「作ったことはあるのですが、どうも上手くいかず……生地は薄いしそばも入れなきゃだし、明らかに敷居が高くないですか?

コツをつかめば実は簡単ですよ! さっそく生地を焼いていきましょう。鉄板にラードを塗り、生地を流し込みます。お玉の底をつかって、クレープのようにできるだけ薄く広げるのがコツです」

 

「おぉ、さすがにうまい!」 

 

生地が焼けたら刻んだキャベツを150グラム乗せます。押さえつけないよう、ふんわり乗せるのがコツ。

 

ところで、キャベツが長めなのに気づきましたか?

関西風お好み焼きでは細かく刻みますが、広島風は長さを残します。広島風お好み焼きは”蒸らす”のが大事であり、この長いキャベツが、蒸気を逃さないのだそうです。

 

キャベツの上に天かす、ネギ、もやしを乗せます。もやしは黒豆が原料のもの。水分量がお好み焼きに最適なのだとか。

 

ちなみにキャベツは、収穫時期によって甘みが変わります。甘みが少ない時は、天かすを増やしたり、玉ねぎスライスを足したりして、味を調整するそうです。何とも奥が深い!

 

その後、昆布と魚を混ぜた削り粉をかけて、主役の豚肉を乗せます。いよいよこの後は返しです!

 

生地の端が浮いて、キャベツから湯気が出始めたらOK。ヘラ(コテ)で両側から挟み、持ち上げてひっくり返してください」

「はい!できるかな(ドキドキ)」

 

両側からヘラをゆっくり入れて……ゆっくり、ゆっくり……ゆっく……ジュンッ!

 

「熱ッッ!???」

 

左手人差し指にご注目ください

 

ヘラを両側から入れる際、指が鉄板に接触してしまい、何とも無残な姿に……。

 

「大丈夫、ここからでもやり直せます!」と瀧野先生の優しい言葉に励まされ、再度チャレンジ。

 

今度は成功!

 

キレイに……とは言えませんが、何とか形になりました! どん底に落ちてからでも、人生ってやり直せるんですね。

 

しばらく待って、周りのキャベツが焦げてきたら、お肉が焼けてきた証拠です。

と、ここで先生がヘラを使って、お好み焼きを軽く持ち上げ始めました。

こうすることで、空気の通り道ができ、キャベツがうまく蒸れるのだそうです。さらに上からヘラで押してあげると、より蒸気がいきわたるんですって。

 

続いては麺を鉄板へ。麺をしばらく焼いた後、だし(万能だし、料理酒、水)で味をつけ、ほぐしていきます。

 

麺に火が通ったらお好み焼きを乗せます。ここまでくれば完成は目前!

 

卵を鉄板に割り入れ、この上にお好み焼きを乗せます。

最後にたっぷりのお好みソースと青のりをかければ…

 

できあがりです!!!

これもう食べる前から美味しいやつ~~!!!! ソースと青のりの匂いが食欲をそそりますね。

 

早速いただきましょう。地元の方は、小ベラで鉄板からそのままお好み焼きを食べるそうなので、ここは倣ってみます。

うンめぇ~~~!!!!

 

「これは美味しい! 生地と麺に甘辛いソースがたっぷり絡んで……最高ですね!」

「広島風お好み焼きは、使う食材も調味料もシンプル。初心者でも簡単にできるんですよ。それに、お好み焼きは栄養バランスが良く、野菜もたくさん取れるヘルシーメニューなんです」

「身近にある材料で簡単に作れて、美味しくて栄養バランスもいい。完璧じゃないですか、お好み焼きって!」

 

オタフクソースの工場に潜入

せっかくオタフクソースさんに来たので、もっと製品や会社のことを知りたい! お願いすると快くOKをいただけました。

 

こちらは「ご案内課」の福崎さん。オタフクソースさんは、お好み焼きをはじめとする食文化の普及活動にも熱心で、このような課を設けているそうです。

 

「よろしくお願いします! オタフクソースさんや、広島風お好み焼きについて教えてもらいたいのですけど」

「じゃあ、まずは工場見学をして、その後にお好み焼きの歴史や文化について学ぶためのミュージアムに行きましょうか」

「お好み焼きの歴史を学べるとは興味深い……ぜひお願いします!」

 

工場の中へ入ると、いきなり圧巻の光景が。ショールームにずらりと並ぶソース、ソースソース……。

 

「すごいですね! 商品は何種類くらいあるんですか?」

「約2000種類です」

「2000!?」

「はい。家庭用のお好みソースは11種類ですが、業務用商品や特定のお客様向けに作っているオリジナル製品も含めると、2000種類になりますね」

「僕の舌だと、3種類くらいしか違いがわからないかも」

 

オタフクソースはデーツ(干し柿のような果実)やトマトやお酢、約20種類の香辛料など、合計50種類もの原材料からできています。これらの配合を変えたりして、カスタマイズしているんです。

 

窓の外には巨大なタンクがいくつも並んでいます

 

「あれが原料タンクです。ボタンを押すと、中の材料がパイプを通って、自動的に調合タンクへ移動するんですよ」

「へえ!」

一度に作るのは5万リットル。調合ボタンを押してから、4~6時間でソースが出来上がります」

「5万リットルも! 平均的な銭湯の浴槽が1000リットルくらいだから……とにかくすごい量!」

 

オタフクの心臓部とも言える工場内の機械。

 

充填包装ライン室では、調合された原料が容器に詰められ、封をされて、梱包・箱詰めされます。何と1時間に9000本も製造されているのだとか! 

 

それだけの需要があることもビックリですが、さらに驚きなのは、この現場を社員3名で回しているということ。

実はオタフクソースでは、生産工程の大半をオートメーション(自動)化しているのです。

 

「製造工程の大半は機械が行っています。人間の仕事は、機械トラブルがあったり、包装用パッケージのロールが無くなったりしたときに対応するくらいですね」

「工場というと、作業員の方がたくさんいて、手作業で箱詰めなどを行っているイメージでしたが、全然違うのですね」

 

完成したソースを運ぶのも、無人の搬送車です。

2台が走っているのですが、センサーでお互いの位置関係を把握し、衝突しないようになっています。しかも、バッテリーが切れそうになると、自動で充電器に戻るんですよ。かしこい!

そのため、ここも社員1名で管理しているそうです。

 

「自動化によって生産性を上げ、毎日たくさんのソースを作っているのですね」

「はい。けれど、最終的に頼るのは人間です。出来上がったソースは必ず社員が味見し、いつものオタフクソースの味であることを確認して、初めて製品化しています」

「そこは機械には代えられない大事な役割なのですね。品質についてのこだわりも教えてください」

オタフクソースは、防腐剤を一切使っていません。それでも長期保存できるよう、加熱殺菌したソースを容器に充填し、すぐに密封することで、賞味期限2年間を保証しています」

「防腐剤ゼロなのに賞味期限2年…安全さと美味しさ、そして便利さを追求した結果なのですね」

 

ところで工場の窓、かなり面積が広いと感じませんか?

実はこちらには、年間約7000人もの小学生が社会見学に来るそう(一般も含めると2万人)。背の低い子供でも、工場の中が良く見えるように設計されているそうです

 

戦後、未亡人たちがお好み焼き屋を始めた

続いてお好み焼きの歴史が学べるミュージアム「Wood Egg お好み焼館」へ。

 

中に入ると、あれ? 施設の中にお好み焼き屋が?

 

これは……かなりレトロなお好み焼き屋が再現されているようです

 

「昭和34年、住宅地でおばちゃんが営んでいるお好み焼き屋、という設定で、当時の店構えを再現しています」

「なんで昭和34年という設定にしたんですか?」

「広島では昭和30~40年代にかけて、お好み焼き屋が増えていきました。なぜかというと、戦争で主人を亡くした未亡人が、生活のために自宅でお好み焼き屋を始めたからですね」

「戦争が関係していたのですね。それにしても、なぜお好み焼きだったのでしょう? 他にもトンカツとか天丼とか、メニューは色々あると思うのですが」

「終戦後ですから、そんな豪華なメニューはとても無理ですよ……。なので、アメリカから配給された小麦粉を使って、一銭洋食を作っていたんです」

「一銭洋食! 聞いたことがあります。だし汁で溶いた小麦粉にネギなんかを乗せて焼いたものに、ソースをかけた庶民の食べ物ですよね

「よくご存知で。でも、それではおなか一杯にならないので、手に入りやすい野菜を入れてボリュームを出して……という感じでお好み焼きとなって広まっていったのです」

 

当時の野菜だけのお好み焼きは10円(現在に換算すると約300~350円)。子どもたちがお小遣いで食べたり、飲んだ帰りの大人が締めに寄ったりするような存在だったそうです。

 

「オタフクソースさんは、なぜお好みソースを作るようになったのでしょうか」

オタフクソースの創業は1922年。お酒やしょうゆの卸売を行う『佐々木商店』として、その歴史をスタートさせました」

「最初はお酒やしょうゆを売ってたんだ。なぜそのまま作り続けず、ソースの製造に着手したんでしょうか」

「お店が原爆で全焼したからですね。移転して再建はしたものの、これからは洋食の時代が来る! と見越し、ソースの製造・販売を始めたんです」

「歴史あるなぁ……。その頃から、今と同じようなお好みソースを作ってたんですか?

「いえ、初めはウスターソースを作ってました。でも後発メーカーだったため卸問屋さんに扱っていただけず、その頃増えていたお好み焼店へ直接販売に伺っていました」

「なるほど」

「当時、お好み焼にはウスターソースをかけていましたが、ウスターソースってサラサラですから、かけると流れ落ちてしまう。『お好み焼きに合うソースが欲しい』という声に応え、とろみをつけたお好みソースの製造・販売を始めたんです」

「まさに、お好み焼き屋さんの困りごとを解決するために誕生したのですね」

 

「今後、オタフクソースさんが目指していることは何でしょう?」

世界中にお好み焼き文化を広めていきたいです。ロサンゼルスにも弊社の工場があるのですが、現地のアメリカ人にもお好み焼きは人気なんです。『寿司、ラーメンの次はお好み焼きが来る!』とメディアで紹介されたこともあるんです」

「お好み焼きがOKONOMIYAKIとして、世界のスタンダードになる日も遠くないですね。今日は本当にありがとうございました!」

 

取材を終えて

これまでお店やお祭りで、何気なく食べていた広島風お好み焼き。どのような歴史の中で誕生し、普及して現在に繋がっているのか、とても勉強になりました。

 

なお、今回ご紹介した施設は誰でも利用できるので(要予約)、みなさんもぜひ行ってみてくださいね!

 

施設内には、定番商品はもちろん、ここでしか買えない限定品やグッズも販売している「ショールーム」があります。おみやげにぜひどうぞ!

 

で、こちらでは自分の名前を入れたオリジナルのヘラも作れるということで……

「オタフクソース×ジモコロ」Wネーム“ヘラ”を作ってみました!

2本作ったので、記事をご覧の二名様にプレゼントしますよ!

 

 

たくさんのご応募お待ちしてます!

 

 

(おわり)

 

オタフクソースは2018年10月から、便利でアクセスしやすい広島駅のすぐそばに、お好み焼き体験ができる施設「OKOSTA」をオープンしたばかり。こちらもぜひ利用してみてくださいね。

 

OKOSTA

住所|広島市南区松原町1-2 ekie内(JR広島駅から徒歩2分)

営業時間|10時~22時(21時ラストオーダー)※詳細はWEBサイトをご確認ください


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