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インターネットの記事一つで人生が激変した「15歳のコーヒー焙煎士」の現在

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2017年4月1日、小さなコーヒーショップが群馬県桐生市にオープンしました。 店主は当時まだ15歳の少年、岩野響さん。

 

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響さんは中学1年生のとき、学校へ行けなくなってしまいました。「できないこと」に直面し悩む響さんに、ご両親は「できること」を探してみよう、と言います。そして、彼が見つけたのが「コーヒーの焙煎」でした。

 

高校へ行かず、焙煎を生業に生きていくことを決意した彼の人生は、「HORIZON LABO」と名付けた店とともに一変することとなります。

 

その一つのきっかけとなったのが、ジモコロの記事。オープンから1ヶ月後に記事が公開されるやいなや大きな反響を呼び、さらに続いた地元新聞の記事により、響さんは広く知られる存在となります。

 

その結果、響さんのコーヒーを求めて日本全国から人々が殺到。店には長蛇の列が生まれました。さらに、5月以降は雑誌やテレビの取材も相次ぎます。 

 

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そして2018年1月には、響さんの持つ発達障がいという特性に家族と共に向き合い、歩み始めるまでの道のりを綴った2冊の著書も出版されました。

 

1年もしないうちに、一躍有名人となった響さんとその家族。 ジモコロで彼の記事を書いた僕は、ずっと響さんのことが気になっていました。

驚くようなスピードで成長していった彼の目には今、どんな風景が写っているのだろう? そのことを確かめるため、僕は久しぶりに桐生のお店へと向かいました。 

 

 

お客さんが来すぎて、店頭販売を休止

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「こんにちは!」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「お久しぶりです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「9ヶ月ぶりですよね。響さん、なんだか雰囲気が変わりました?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「そうですか? まあ、前にお会いしたときから色々あったので(笑)。まずはコーヒーを淹れますね」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「あ、前からネルドリップでしたっけ?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「ここ最近はずっとネルです。僕の焙煎は深煎りなので、ネルでじっくり淹れるとさらに濃く出ます。さあ、どうぞ」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「ありがとうございます!…うん、本当に美味しいです。深煎りの苦味が最初にくるんですけど、そのあとに酸味がスッと浮かんでくるような。今は店頭販売を休止して、月替わりのテーマで焼いた豆を通信販売しているんですよね」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「はい。3月のテーマは『はじまり』です」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「『フルーティな味』とかじゃないんですね。詩的です…では、『はじまり』まで遡りましょうか。前回のジモコロの記事が出た後、大変なことになったんですよね」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plainお客さんが来すぎちゃったんです。店の前の道路もお客さんの車で大渋滞になって、桐生市から苦情が来るくらいで。豆を焼いても焼いても追いつかないし、スタッフといっても僕と両親、手伝ってくださる地元の方くらいなのでてんてこまいで…。」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「当時、桐生の知り合いから『岩野さんのところが大変なことになってる!!』って連絡が来たんです。ご両親のinstagramを見たら『2日で用意していた500パックが完売した』と書いてあって…」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「そうですね、それで慌てて僕は次の日の分を焙煎して。予想していた規模をはるかに超えていたので……」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「僕はそこで『メディアの責任』って言葉が頭に浮かんで青ざめました。その節はすみませんでした!!!」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「いえ、結果として感謝してますよ(笑)! 対面での販売は夏までどうにか頑張ったんですが、限界が来て9月で休止したんです。今は月に400kgくらい焼いていますね」 

 

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右にあるのが新しく入れた焙煎機。オープン当時は店舗だった部屋を、現在は焙煎室として使っている

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「あ、そうだ。両親もだんごさんに会いたがったので呼んで来ていいですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「もちろん!!ぜひお会いしたいです」

 

 

大きすぎる反響が生んだもの

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左から、お父さんの開人さん、響さん、お母さんの久美子さん。開人さんと久美子さんは手作りの洋服の店『リップル洋品店』を営む

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「改めて、岩野家にとって2017年は激動の一年だったと思うのですが」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「夏頃は大変すぎて記憶がないですね(笑)。でも、嬉しいこともたくさんあったんですよ」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「記事が出た直後は電話やメールが殺到しまして。問い合わせだけじゃなく、響への応援のメッセージも多かったんです。それに、北海道や四国、九州のように遠方からはるばる来てくださるお客さんも多くて

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「SNSの反応を見ていても、響さんのコーヒーを飲みたいだけでなく、会ってみたい、という人が多かったように思います」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain不登校の娘さんと一緒に来てくださったご家族もいて。娘さんが記事を見て『この店へ行きたい』と言ったそうなんですが、彼女がそんな風に出かけたいって言ったのは半年ぶりなんですって」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「そんな風に人が動くきっかけになったのは嬉しかったね。そうそう、響の同級生たちも店に来てくれたんですよ。小学校からの同級生も多いので、中学校のときに突然来なくなった響を心配してくれてたみたいで」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain『学校へ来てない間も響は一生懸命やってたんだな!俺も頑張るよ』って言ってくれたんです」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「ね、あれは私も嬉しかったなあ」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「素敵なエピソード……。ご両親は以前『お店が響さんと社会をつなぐ窓のようになってほしい』とおっしゃっていましたが、それがまさに実現したんですね」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「色んな人が会いに来たり、応援してくれたりしたことはすごく自信になりました。それに、コーヒーの感想をたくさんもらえたのも大きくて。人によって味の感じ方がさまざまで、コーヒーの奥深さを確認できたんです」

 

 

実はお店は3日で作った

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain『15歳のコーヒー屋さん』『コーヒーはぼくの杖』の2冊も拝見しました。岩野家のこれまでのお話は、ウェブの記事では掘り下げきれない、紙の本だからこその内容だなと」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「発達障がいをお持ちの方だけじゃなくて、いろんな人に読んでほしいです。こういう生き方もあるんだな、と思ってもらえたら嬉しいですね」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「本の中で気になったエピソードがあるんですが……『お店を3日で作った』のに特に驚いたんです。そんな風にはとても見えない!」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「私が勝手にオープン日を決めちゃったんですよね(笑)」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「その話、詳しく聞きたいです」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「最初は、いきなりお店にするつもりはなかったんです。リップル洋品店の方にちょこっと響のコーヒーを並べるイメージで。だけど、常連さんや地元の皆さんが響のコーヒーをすごく楽しみにしてくださったので、これだけ盛り上がってるならお店にした方がいいんじゃないかと思ったんです」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「それで、いきなり妻がお店のinstagramに『3日後にお店をオープンします!』と書いちゃって

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「開人さんと響さんに相談は?」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234927p:plainf:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「なかったです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「おおお…では、そこから開店準備を? そもそもこの部屋はどんな状態だったんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「元々は畳敷きの部屋で、洋服用の布を置く倉庫にしてたんです。まずは布をどかして、畳を剥がして、カウンターを作って壁と床を塗って……」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「それ、3日間でよくできましたね」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain徹夜で作業したので3kgくらい痩せたんじゃないかな。響は響で焙煎があったので、改装作業はほぼ僕一人でした」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「僕は3日間ぶっ続けで豆を焼き続けてました」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「文化祭の準備みたいだ」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain 「その通りです」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「それなのに妻と響は『このままだと間に合わないんじゃない?大体でいいよ』なんて言い始めるし……」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「そ、そこで妥協しなかったからこその今なわけですから!」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「二人には無理をさせちゃいましたけど、リップル洋品店にちょこっと豆が置いてあるだけだったら、記事にもなってなかったと思うんです」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「そうかもね。春は洋服屋の方も忙しいんです。それもあっててんてこ舞いだったんですが、店の常連さんが手伝ってくれたので何とかなりました」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain響のコーヒーが話題になって大行列ができたとき、販売を手伝ってくれたのも常連さんたちなんですよ。自営業の方達が自分の仕事をやりくりして駆けつけてくれて。限界になると手を差し伸べてくれる人がいるんだなと……」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「前回の記事でも『桐生の人は面倒みがいい』とおっしゃってましたね。地元の人たちあってこそのHORIZON LABOだったんだ」

 

 

「伝えること」の難しさ

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「店頭販売でピークの時はどのくらい売れてたんですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「1日に約1000袋分くらいですね。そこで難しいのが、お客さんからすると『1日で1000袋作れる』と思っちゃうわけです。明日来れば買えるのね、と。でも、あくまで月に7日間の営業日に向けて作りためていた量なので…」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「響さんが一人で、手作業で焼いた豆ですもんね。そんなにすぐに焼けるわけではない」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plainテレビに出てからは『売り切れるわけがない』という感覚で来るお客さんも増えたかもしれません。それこそコーヒーチェーンと同じというか。響がひとりで丁寧に焙煎してるというところまで、うまく紹介しきれなかったなと。もちろんわかってくれてるお客さんが大半でしたけどね」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「遠方からの方も多かったので、売り切れですっていうのがとにかく申し訳なくて……」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「それと、情報がうまく伝わらない難しさがありました」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「伝わらない、とは?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「ホームページやSNSでは、最新の販売情報を随時載せてたんです。でも、来てくれるお客さん全員がそれを見てくれてるわけではなくて」 

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「例えばまとめサイトみたいなものを見て来る方もいて、その場合は古い情報で止まってしまってるんですよね。それに、SNS上でもあまり込み入った文章は読まれないんですよ」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「例えば『売り切れ』なら、理由も含めて丁寧に説明しますよね」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「『それで、要点は? 売れないってこと?』となってしまう場合もあって」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「instagramの写真に『いいね!』を押してくれた人でも、写真に添えた文章の方は見ていないとか。フォロワーさんだから全部伝わるってわけじゃないんだと気がつきました」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「なるほど、情報をコントロールする難しさ、『伝わらなさ』の壁があったんですね

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「そこは僕たちの力不足です。家族でやっていたので、すべてに対応しきれなかった。でも、逆に言えばこんな状況になったのは、インターネットの『伝える力』のおかげでもあるんです。そこには感謝しています」

 

 

「こんな店潰してやる!!」

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f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「響さん、忙しかった頃って正直なところどんな気持ちでした?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「なんのためにコーヒーをやってるのかわからなくなってましたね。とにかく量を作らなきゃいけなくて…」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「そもそも、自分ができる範囲でやってみようって始めたからね。量を作る体制もなかったですし。いっぱいいっぱいになって、響は『こんな店潰してやるー!!』って叫んでたよね

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「ジモコロの取材受けなきゃよかった!とか思いませんでしたか?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「それは全然!むしろジモコロさんの記事が一番しっくりくる内容でした」

 

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f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain『ジモコロさんに店閉めるって書いてもらってよ、影響力あるんでしょ!ライターさんに電話してよ!』ってね……」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「お母さん、響さんが恥ずかしそうなのでそのへんにしておきましょう。では今はだいぶ落ち着きました?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「そうですね、時間にも心にも余裕ができました。焙煎に集中して打ち込めてるので、ちゃんと丁寧に美味しいものを作れてると思います」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「休みの日は何をしてるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「最近は美術館に絵を見に行くのが好きです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「美術館!東京ですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「はい、一人で電車に乗って行きますよ。絵画は色んな見方ができるから素敵だと思います。そんな風に絵画を見たり、日々のインプットの中からコーヒーの出したい味のインスピレーションを得るんです

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「アーティストですね。ご両親も洋服作家さんですし、家では3人でどんな会話をするんですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234912p:plain「ものづくりについてずっと話してます。『表現は自由でいいよね』とか…今まで主人と二人でしてた話を、今は響も一緒にできるようになったのでとても楽しいんです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「(すごい家庭だなあ…)」

 

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すべてが手作業で作られた洋服が並ぶ「リップル洋品店」。毎月1〜7日が営業日

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「いま、響さんのコーヒーをネット以外で買える場所はあるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「渋谷のD&DEPARTMENTのほかに、群馬の高崎にも何軒かあります。あと最近、モナコのレストランで僕のコーヒーを使ってくれることになったんです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「モナコって海外のあのモナコですよね。すごいな!」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「シェフの奥さんが日本人で、ご縁をいただいて。あとは豆を送るだけなんですけど、送り方がよくわからなくて…(笑)。今度、ご挨拶も兼ねて直接届けに行く予定です」

f:id:tmmt1989:20180308234927p:plain「レストランのコーヒーになると、また目指す味も変わってくると思うんですよね。それも楽しみなんです」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「響さんの目指す理想のコーヒーってあるんでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180308234740p:plain「そうですね…ミルで豆を挽いたり、ゆっくりコーヒーを淹れたりする時間が好きなんです。そんな風に暮らしの中にあるコーヒーが理想ですし、そういうコーヒーの文化を伝えていけたら、と思ってます」

f:id:tmmt1989:20180308234724p:plain「なんだかたくましくなった響さんに会えて今日は楽しかったです。ありがとうございました!」

 

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おわりに

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響さんと久しぶりに会い、「こんなに笑顔で、こんなにまっすぐと言葉を発する少年だったっけ?」と驚きました。

お店を通じて生まれたたくさんの出会いと、嵐のような日々をくぐり抜けた自信が、彼を強くしたのでしょう。

 

響さんは今日も、桐生の小さな焙煎室でコーヒーを焼いています。16歳の彼が「今」を詰め込んだコーヒーを、ぜひ味わってみてください。

  

 

  

☆響さんの豆の購入はこちらから! 

  

 

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。インタビューと犬とビールが好きです。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp

 

写真:藤原 慶

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21歳からカメラとバックパックを持って日本放浪の旅に出る。
全国各地を周りながら撮った写真を路上で販売し生き延びる生活を続け、沢山の出逢いと経験を積む。
現在は東京に落ち着きカメラマンとして活動中。

Instagram : @fujiwara_kei


【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (24) - 夜のおとも/固定怨念

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

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デザイナー志望者は必見! 採用されるポートフォリオを作る「た行」の法則

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こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグでデザインのアルバイトをしている、お高菜と申します。普段は美術系の大学でデザインを学んでいます。

 

来年には大学を卒業するので、そろそろ就活の準備をしようかなと思っているのですが……皆さん、こういったものをご存知でしょうか?

 

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こちらは「ポートフォリオ」と呼ばれる作品集。

デザイナーが自分の作品をファイルし、就職先に「私はこういう作品を作っていました」「こんなこともできます」とアピールするための作品集です。

 

デザイン系の職種の場合、企業はこのポートフォリオを見て学生の力量を判断します。つまり、ポートフォリオの出来が一生を左右すると言っても過言ではありません。

でも……

 

・ページ数は多い方がいいの?

・作品はどのくらい説明すればいいの?

・そもそも企業は何を知りたくてポートフォリオを見ているの?

 

など、あまりにも疑問点が多すぎて困っています。

 

というわけで今回は、就職活動が有利になる「ポートフォリオの作り方」について教えてもらうため、この人に話を聞きに行ってきました。

 

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望月重太朗

博報堂アイ・スタジオのクリエイティブディレクター。実際に書類審査や面接で、数多くのポートフォリオを見てきたという。武蔵野美術大学で非常勤講師としても活動中。

 

博報堂アイ・スタジオ

博報堂DYグループで、デジタル領域を担うクリエイティブカンパニー。データを起点としたオウンドメディアの企画から制作・運用まで、顧客接点でコミュニケーションを構築するソリューションを提供。クライアント企業のブランド創造と顧客創造の支援をしている。

www.i-studio.co.jp

 

※今回のポートフォリオの作り方は、あくまで「一般的なアドバイス」であり、博報堂アイ・スタジオの選考基準ではありません

 

 

模擬面接してもらおう

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f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「よろしくお願いします。今日はポートフォリオについて教えてもらいに来ました!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「はい、よろしくお願いします! ではさっそく面接していきましょうか」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「へ? 面接っ……?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「ポートフォリオの作り方を知りたいというのは、就職のためにってことですよね? なら、弊社にご応募してくれたという体(てい)で、面接形式でお話ししたほうが良いと思います」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「それはそうですけど。じゃあ……お願いします!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「それではまず、自己紹介と、志望動機を聞かせてもらっていいでしょうか」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「は、はい。私は武蔵野美術大学のデザイン情報科に通うお高菜という者です。おんっ、御社を志望したのは……えーっと、あのその~」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「落ち着いて! 大丈夫です、あくまで模擬面接なんで!」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「はい! 学校ではデザイン、プログラミング、イラストと多岐にわたって勉強をしているので、幅広く~、え~、色々なことがやらせてもらえそうな御社を志望しました」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「なるほど。デザインだけではなく、プログラムやイラストもできると。素晴らしいですね! ではさっそく、ポートフォリオで見せてもらっても良いでしょうか」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「はっ、こちらです」

 

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最初のプロフィールページには、掴みで目立つために自分の顔を大きく入れてみました 

 

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f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「(巨大顔面、メチャメチャにスベってるな……)」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「はい、ざっと目を通しました。では質問ですが、お高菜さんが弊社で働くとした場合、どのように力を発揮して頂けるんでしょうか。作品の中から2個くらい選んで説明してください」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「はい。一つ目はこれです。私がアルバイトをしている会社が運営するWEBメディアの記事で、デザインとイラストを担当しました」

 

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WEBメディア『オモコロ』の記事で使用したイラスト

 

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「当初はイラストを使う予定はなかったのですが、私から是非描かせてほしいと提案しました。結果的にこの記事はSNS上で大きな反響があり、イラストも一役買ったと思っています」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「うんうん、良いですね。イラストもうまい! じゃ次は、他の作品も解説してください」

 

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f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「こちらの2DCGですが、全てprocessingというプログラミング言語を使い、手続き的に描画しています。私はデザイン、プログラミングの双方に理解がありますので、デザイナーとエンジニア間の橋渡しができる人材として、お役に立てるのではないかと思います」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「なるほど、ありがとうございます。大体わかりました!」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「あの、私のポートフォリオ、どうだったでしょう……?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「色々お話を聞かせてもらって、思ったのは―」

 

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f:id:jimocoro:20180319172528p:plainむちゃくちゃ勿体無い!ということです! 良い部分がいっぱいあるのに、それを殺してる

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「えっ、じゃあさっきの僕は死んでたんですか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「はい。完全に死体でした。もったいないなぁ、と思いながら話を聞いていました」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「一体どこが...」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「僕は、良いポートフォリオというのは“たちつてと”……『た行』で説明できると考えています」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「『た行』? 料理の“さしすせそ”みたいな?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「その通り! 具体的にはこんな感じですね」

 

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f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「短時間で読めて、他人との違いが明確に伝わり、将来像が見え、手に取りやすく、整っていること。この5つのポイントを抑えれば、必ず良いポートフォリオを作ることができるんです

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「おぉ! 全デザイナー志望の学生のために、詳しく教えてください!」

 

 

ダメ出しをしてもらおう 

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f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「望月さんのおっしゃる『た行のポートフォリオ』、それと照らし合わせて、私のは何がいけなかったんでしょうか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「全部がダメというわけではないんです。まず『た行の“た”=短時間で読めるか?』で言うと、分量は丁度よかったですね」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「ありがとうございます! このポートフォリオは10作品・22ページにしたんですが……ページが少ないと見劣りしてしまうんじゃないかと心配してました。100ページくらいあった方がいいのかなと」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「いやいや、100ページも見てくれる採用担当者はいないと思いますよ! 分量を見せたいなら別途冊子にするとか、webページを作ってリンクを貼るとかすればいいですね」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「ではポートフォリオ自体の分量は、どれくらいがベストなんでしょう?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「そうですね……デザインの採用担当者って基本的に忙しいから、おそらく一人あたりにかける時間は5分くらいじゃないかな? とすると、15ページ前後でも良いくらいです」

 

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約15ページといっても、どの要素にどれくらいのボリュームを割くかは熟考しよう!

 

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こういうバランスとか……

 

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こういうバランスもありです

 

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「15ページ……そんなに少なくていいんですか!? ていうか、ポートフォリオが見られる時間って、たった5分なんですね」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「それくらいが一般的じゃないかなぁ。本当はもっと時間をかけたいんですけどね。でも、デザインって『短時間でズバッと伝える』能力が必要な仕事でもありますから」

 

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f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「『た行』で言うと他の……“ちつてと”はどうだったでしょうか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「『て=手に取りやすい』と、『と=整っている』に関しては、うまく作られていると思いますね。シンプルに必要なものを並べてあるし、見やすく配置されてもいる」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「ありがとうございます!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「ただし! 『ち=違いがわかる』と『つ=作りたい未来が見える(将来像)』に関しては、あまりよろしくないかもしれません。そこがさっき言った『もったいない』部分です」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「うっ! 一体どこが?」

 

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f:id:jimocoro:20180319172528p:plainこのポートフォリオからは、あなたという人間が見えてきません。作品がたくさん載ってはいますが、やってきたことの単純な要約でしかない」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「それではダメなんですか?」 

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「例えば、魔法少女の企画の時に、自分からイラストの提案をしたって言ってましたよね? つまり、企画力があり、さらにイラストが描ける人ってこと……それってすごいアピールポイントじゃないですか。でもポートフォリオだけをパッと見ると、ただイラストを描ける人でしかない」

 

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概要はあるが、どのように作られたかの説明が不十分

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain 「確かに。大まかな概要以外は、ほとんど何も説明していません」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plainその作品はどのようにして生まれたか? あなたはどう考え、どう関わったのか? というプロセスがあるだけで、デザイナーとしての人物像がとても想像しやすくなります。失敗談でもいいんです。試行錯誤の過程を見せてください」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「詳しいことは聞かれた時に話せばいいや、という生半可な気持ちでいました」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plainこの2DCGも、全部プログラム的に……演算で描いてるんですよね? でもそこがうまく売り込まれていない。ちゃんと説明しないと、ただの松のイラストですよ

 

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演算により描画した2DCGの紹介ページ。一体どういう仕組みの作品なのか全く分からないような構成となっています。

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain面接ってだいたい30分くらいなんですけど、こちらとしては、短い時間でなるべくあなたの情報を知りたいんです。入社してから何がしたいかとか。ポートフォリオに書けることはそこで説明しておけば、時間の有効活用にもなります

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「100%完全におっしゃる通りです」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「ちなみにお高菜さんは、人前で喋ることが得意な方ですか?」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「この世で一番苦手です」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「クリエイター志望の学生さんは、喋るのが苦手という人も多いんです。そういう人こそ、ポートフォリオ内でしっかり説明することを徹底した方がいいですね。ポートフォリオが台本代わりになりますから。ただし、要点を絞って簡潔にね」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain 「なるほど……! 僕は喋っている最中に頭が真っ白になるタイプなので、しっかり書こうと思います」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「あと、面接時には必ず将来のことについて聞かれます。『た行』の『つ=作りたい未来』ですね。学生さんの“やりたいこと”が見えれば、こちらとしてもどこで活かすか考えられるわけです」

 

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f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「うっ……確かに私のポートフォリオは、イラストレーターになりたいのか、プログラマーになりたいのかが見えてこないですね……」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「将来こういうことがやりたい!というビジョンを持ってる人のほうが、働く人間としては断然強いんです。他の人からするとバカげてると思われるようなビジョンでもいい。『これをやりたいんだ!』というのを見せてほしいですね」

  

 

ポートフォリオは企業ごとに作り分ける?

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f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「もう一つ気になったのは……お高菜さん、実はうちの会社のこと、よく知らないでしょってこと」 

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain……! 確かに勉強不足だったかもしれません、すみません。どこからバレたんですか?」

 

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面接時に知っておくべきこと

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「いや、面接官も何十人・何百人と面接してきたわけですから、表情や喋り方で大体わかりますよ。今回の場合、ポートフォリオからもそれが伝わってきます

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「ポートフォリオから? どういうことですか!?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「例えば、博報堂アイ・スタジオが、『広告も手がけるデジタルプロダクション』ということは、ご存知だと思いますが……」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「も、も、も、もちろんです」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「そういった会社にポートフォリオを見せるなら、企画とデザインが噛み合ったものを冒頭に持ってきて、次にそれを支える技術力をプログラミング課題で示し、最後に自分の好きなイラストの仕事を見せる、といった構成が良いはずです」

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「なのに、お高菜さんのポートフォリオは、1ページ目にプログラミング、次にイラスト、という構成になってる。エントリーした会社のことをよく知っていたら、売りをアピールできる順番に入れ替えたほうがいいですね」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「というか、ポートフォリオって会社ごとにカスタマイズするものなんですか? 実は、どの会社にも同じポートフォリオを出そうと思っていました...」

 

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私のポートフォリオの構成です。あまり深く考えず、プログラミング、web、グラフィックデザイン、イラストと順番に並べてしまっています。

 

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「作り分けは大変だから気持ちはわかるんですけどね。面接する会社としては1 to 1で来てるっていう姿勢を見せて欲しいじゃないですか。作品の順番を入れ替えるとかは比較的簡単にできるわけだし」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plainweb制作会社だったらweb系の作品を最初に持ってくるとか、そういうことでしょうか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「そうそう。女の子を口説く時も、まず相手の好きなものの話から入っていくべきじゃないですか。自分の個性を出していくのはその後」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「なぜ急に女の子を口説く話になったの……」

 

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企業によって優先して表現すべき能力は違ってくる

 

f:id:jimocoro:20180309165312p:plain「相手の企業にぴったりな、推しの作品を最初に持ってきたら、面接官にモテる、ということですね」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「そういうこと。面接の最初に『2~3作品くらい説明して』って言いましたよね? その時に、企業側が求めている方向性の作品を挙げると良いですね」

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また致命的なミスが... 

f:id:jimocoro:20180312151715p:plain「あの~、横から突然すいません。カメラで撮っててすごく気になってたことがあるんですが」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「はい。何でしょう」 

f:id:jimocoro:20180312151715p:plain「最後のページにあった、これはセーフなんですか?」

 

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ここに……

 

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世界堂(文房具店)1200円の値札

 

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「うわっ! 完全に見逃してた!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「これはない(笑)! 本番でやったらあまり良い印象は持たれないでしょうね。詰めが甘いとか、ズボラと思われるかも」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「値段までバレてしまった。ちなみに、1200円って、どうなんでしょう? ちょっと安いのかな……」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「値段はこれくらいでいいと思いますよ。あまり高くてもね……何冊も作るんだから大変でしょう?」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「例えばですけど、ポートフォリオの表紙が革張りだったり、金箔が施されてたりしたら、評価は上がりますか? 高級和紙にプリントされてるとか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「エディトリアル系の会社なら上がるかもしれないですけど……一般的なデザイン部署では上がらないでしょうね。やっぱり中身が大事です」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「じゃこの値札が10万だったとしても、『おっ!』とはならないってことですか」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain10万円のファイル持ってこられたら、ちょっと怖いです

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「カネで何とかするのは難しいんですね……」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「装丁については、そこでポイントを稼ごうとするより、見る人を不快にさせない、という視点が大事だと思います。手に取りやすく、見やすいものを作るよう心がけましょう」

 

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f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「多くの人の手に渡るだろうから指紋がつきやすい……だったら指紋の目立たない白い装丁にしようとか。女性にプレゼントを贈るときのように、相手のことを想像する力が大切です」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「なんで全部のアドバイスが、女性を口説くことに紐付いてるんですか」

 

 

ポートフォリオ作りで一番大切なこととは?

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f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「僕のポートフォリオがいかに駄目だったか、よくわかりました。ポートフォリオを良いものにするためには、こうして人に見てもらうことが一番の近道ですね」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「ポートフォリオは『自分の良さと強みを、あなたのことを知らない複数の人に伝える』ためにあります。最適な形になっているかを確認するには、やはり他人に見てもらうことが近道になるでしょう」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「はい。できるだけ自分のことを伝えられるように頑張ります」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「僕たちも、できるだけ学生さんのことを知りたいんです。採用っていうのは人生に少なからず影響を及ぼすものであって、生半可な判断はできませんから。お互い本気でやりましょう!」

 

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ちなみに、巨大顔面については「目立つのは悪いことではないけど、最初に目立つものを持ってくるなら、次ページからも同じ温度感のデザインで作るべき」とのこと。その通り過ぎてお恥ずかしい……

 

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「それと、これも大事なことなんですが、学生さんにも企業を値踏みしてほしいです。大事にしてくれそうにないとか、相性が悪いとか、そう感じたらすぐに引いた方がいいです」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「企業側からそんな言葉が出てくるなんて、親切すぎますね...! 自分の人生を大きく決める選択ですし、そういう気持ちで臨んでみようと思います」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「結局一番大切なことは自分が将来何がやりたいのか?です。例え面接に落ちてしまったとしても、ポートフォリオを作ることは、将来を見つめ直すいいキッカケになると思います」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「ありがとうございます。一流企業のデザイナーになって、ガバガバ稼げるようになるために、がんばります!」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「正直すぎるのはダメです」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「今回は簡単な面接と、ポートフォリオを見てもらったわけですが……最後にこれだけお聞きしていいでしょうか。多くの採用に関わってきた望月さんから見て、私の総合評価は……いかがでしたか!?」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「う~ん。ポテンシャルは感じるし、悪くはないんですけど。そうですね、えーっと……どう言えばいいかな……」

 

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f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「………」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「…………」

f:id:kakasagi:20180304115752p:plain「今日は取材させて頂いてありがとうございました」

f:id:jimocoro:20180319172528p:plain「あ、はい。悪くはなかったです。これはマジで」

 

 

まとめ

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というわけで今回は、就職活動のためにポートフォリオの作り方を教えてもらいました。

良いポートフォリオは、ただ作品を並べただけではなく、相手の視点に立って、何を求めているのか判断する必要があるんですね。というか、それこそ「デザイナーがもっとも重視すべき能力」。

今回教えてもらった『ポートフォリオ作りのための“たちつてと”』を参考にして、最高のポートフォリオを作ってみたいと思います。

 

では今回のまとめをどうぞ!

 

▼ページ数は15P前後でOK

└ただしどのようなバランスで要素を振り分けるかは吟味する

▼企業によって作品を入れ替える

└推し作品とそうでないものは明確に分ける

▼時間短縮のため、ポートフォリオ内で説明をちゃんとしよう

└喋るのが苦手な人は、台本代わりにもなる

▼面接を受ける企業のことはよく調べて、何を求めているか考えよう

└知ってるフリしても大体バレてる!!!

▼高価な装丁にする必要はない

└1200円とかで十分。装丁はあまりポイントにならない

▼将来何をしたいのか語れるようになろう!

└でないと、企業側も使い道がわからない

 

なお、今回 話に出た「『た行』で作る良いポートフォリオ」は、望月さんが詳細を自身のnoteにまとめてくれています。

 

note.mu

メチャメチャわかりやすくて勉強になるので、参考にして、みなさんも就職活動がんばってくださいね!

 

 

 

 

(おわり)

 

書いた人:お高菜

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属のアルバイト。1つのことに集中力が30分と続かないため、デザイン、イラスト、プログラミング、記事書きと様々な分野に手を出している。
Twitter:ohtakana

 

ヨガきこりの弟子は元海外サッカー選手。なぜアスリートが木こりになったのか?

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こんにちは、ライターのナカノです。

あ、すみません。天地が逆でした。180度転換しますね。

 

グイーーン

 

 

 

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はいっ!

というわけで…私の両端で自主的にぶら下がっているのは、長野で活動するヨガきこり一派です。

 

「一体どういうこと? なんでぶら下がってるの?」

 

大半の読者がコウモリ人間だと勘違いしてるかもしれませんが、右側のツルツル頭が実父のヨガきこりことヒロシ。左側の若い青年は、ヨガきこりの弟子である小林くんです。

 

一年前に取材した『わたしのパパはヨガきこり』。高所作業の特殊伐採を行う木こりにとって平常心は必須で、深い呼吸によってメンタルコントロールを求められるヨガとの意外な相性の良さを伝えさせていただきました。

 

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60歳のお父さんがなぜダルシムみたいにムキムキで身体を鍛え続けるのか? 取材を通して長年の疑問が春の雪解けのようにサラサラと解決したんですが……

 

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その後、元海外サッカー選手のキャリアを持つ弟子と木こりの意外な相性の良さが新たにわかったんです!

 

ヨガに続いて、元海外サッカー選手の経験も役立つ!?

日本の林業を支える木こりって実は可能性すごいんじゃないの!?

っていうか、お父さんってやっぱりすごすぎじゃない!? 

 

今回の記事では
アスリートのセカンドキャリアにとって実は「木こり」もアリなのでは?
という仮説をお伝えします。


現状、林業含め一次産業の担い手が高齢化している問題もあります。お父さんの後を追うような若手カリスマ木こりが、地域にもっと増えた方がいいのでは? 

この記事でアスリートと木こりの相性の良さを知っていただいて、一次産業の担い手が増えたらいいな。

 

ヨガきこりの弟子:小林 啓太(26)

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長野県出身の26歳。元サッカー選手。高校卒業後『アルビレックス新潟』の養成所を経て約3年弱、シンガポール、ドイツのクラブチームで活躍した。2016年10月にヨガきこりに弟子入りし、翌年6月にフリーの木こりとして独立

ヨガきこりマスター:中野 宏(60)

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ナカノの父。40代で家業の建設業を継いだが、不況により倒産。その後、身一つで仕事を作り出そうと、林業の中でも高度な技術が必要とされる特殊伐採の世界へ。ヨガインストラクター、炭焼き職人としての側面も持ち合わせた超人

 

 

5歳から始めたサッカー

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「小林くんとはよく会うけど、ちゃんと話したことがないから謎がいっぱいだったんだよね!」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「確かにそうですね。今日はよろしくお願いします!」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「まずは、サッカー選手時代のことを教えてほしいな」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「サッカーは5歳から始めて、中学高校も続けてきました。高校卒業後に『アルビレックス新潟』の養成所に入って1年間鍛えて、シンガポールのチームに入部しました」

 

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『アルビレックス新潟シンガポール』は、日本人若手選手で構成される選抜チーム。小林くんは19歳から21歳までの2年弱、ミッドフィルダーとして活躍していました。

 

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「しばらくはシンガポールで選手生活を送ろうと思っていたのですが、2年目の途中で試合中に右脚の前十字靭帯を損傷してしまったんです」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「大怪我……」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「膝からゴリゴリッ!と大きな音がして『これは選手生命終わったな』と思いました……」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「うわー!痛い!!」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「即帰国して手術をし、そのまま1ヶ月の入院、7ヶ月のリハビリ生活に励みました」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「大怪我をすると、引退が脳裏によぎりそう……」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain引退は考えなかったです。自分は競技に戻る気満々でしたから!もちろんサッカーができないもどかしさはありましたけどね」

 

 

100万円貯めてドイツに渡るも……

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リハビリ生活中は、軽井沢のアウトレットのバイトをしていた小林くん。半年で100万円貯め、海外に渡るときに備えていたんだとか。

 

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「リハビリ後は、確かドイツに行ったんだっけ?」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「そうっす!小さい頃からヨーロッパでサッカーをしたいという夢があったので、単身でヨーロッパに行こうと決めていたんです」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「単身で!それは何かアテやコネがあって?」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「いやいや、まったくなかったです(笑)!バルト三国のラトビアという国で選抜チームをつくるという噂を聞いて、乗り込んでみようと思いました」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「ええっ、すごい行動力だなぁ」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「結局ラトビアの選抜には入れず、流れでドイツに行くことになりました。色々なチームに乗り込んで自分から声をかけ、運良くドイツ5部リーグの『habenhausen』に所属することが決まりました」

 

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念願のヨーロッパチームに所属することになった小林くん。しかし、チームに所属して半年が過ぎた頃、生活が苦しくなっていきました。

サッカーだけで生活できる、充分な収入が約束される訳ではないセミプロの世界。

金銭面で苦労したことに加え、シンガポールで負ったケガは身体にムチを打つことなると判断。一度サッカーをスパッと辞め、帰国する選択をしました。

 

 

たまたま興味を持った林業

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帰国後、小林くんは飲食店で働いたり、自分で会社を立ち上げてみようとしたりするも、なかなか思い通りの生活が送れませんでした。

 

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「小林くんが悩んでいた頃かなぁ。たまたまこのカフェで出会って、伐採に興味を持ってくれたんだよな」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「この場所で出会ったんだ!」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「はい!すぐに師匠がやってたゴルフ場の伐採を見学させていただいて」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「そうそう。それからすぐにバイトとして週3日働くようになったんだ」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「一緒に働いている時は、どういう働き方をしていたの?」

 

f:id:hitomonji:20180310214435j:plain

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「特殊伐採には役割分担があってね。俺が、木に登ってなたやチェンソーで枝を落とすクライマー。小林くんは、俺が落とした枝を片付けたり、準備をするグランドワーカーの役割を担っていたよ」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「なるほど、連携プレーが大切なんだ」

 

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クライマーが木の上で伐採した枝は、ロープにくくり丁寧に下ろしてグランドワーカーへ。

 

 

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「ちなみにヨガきこりのお父さんから見て、小林くんってどんな弟子なの?」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「ん? そりゃあ、おまえ……」

 

f:id:hitomonji:20180310214648j:plain

「小林くんはね、勘がとにかくいいんだよ」

 

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「べた褒めだ」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「嬉しいっす!ありがとうございます!」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plainアイコンタクトで大体なんでも通じちゃうの。ほら、10m以上の高さの木に登っていたら、下の声なんて全然聞こえないから」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「アイコンタクト!」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「伐採はパターン化した作業だから。先を読んでパパっと動かないと、怪我にも繋がりかねないからね」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain今自分が何をすべきかっていう状況把握は、確実にサッカーで養われたと思います」 

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「サッカーのおかげで! アスリートとしての経験が木こりに活きるなんて意外だな〜」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「競技の中だけでなく、仕事でも状況把握の力は応用できると思ったんです。サッカーは全体の動きを見て、予測を立てながら判断していくので。だから師匠と働く時には、常に次の動きを考えていましたね」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「伐採した枝が当って、俺が気を失った時も小林くんが助けてくれたんだよ」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「いやぁ、あの時は本当にびっくりしましたよ〜(笑)!今こんな元気だから笑って話せるんですけどね!」

 f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「救急車の手配はもちろん、周りの住民に迷惑かけないように救急車のサイレンを消してもらうよう配慮をしてくれて、とても助かったんだ」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「最高のパートナー!」

 

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地元のおばあちゃんにも「あんた孫に似てるね!(腹筋を殴りながら)」と人気の小林くん

 

 

ヨガきこりからの独立

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「でも、どうして小林くんは独立しようと思ったの?」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「自分で仕事を作り出したいと思ったからですね!俺、バカだから思い立ったらすぐ行動したくなっちゃって!まだ半人前なのに独立することにしたんです(笑)」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「ほんと、突っ走るタイプだよな!働き出して、繁忙期を迎える前に辞めちゃったからびっくりしたよ(笑)」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「独立した今は、どんな仕事をしているの?」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain軽井沢エリアを中心に、特殊伐採をしたり、別荘地で草を刈ったりしています。草刈りは軽井沢で結構需要のある仕事なので、積極的に受けるようにしているんです」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「へー、草刈りを!」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「俺が思っているよりもでかい仕事もやってるんだよな!」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「でかい仕事……?」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「最近、山の伐採を丸々1つ分頼まれる仕事がありました(笑)」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「山を丸々伐採?!」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「ひとつの山を年単位で契約を結び、徐々に伐採していくんです。単発の仕事ではないので、継続的に収入があるんですよ」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「なるほど、固定収入があると安心するね」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「独立は自分で決めた道でしたが、最初は全く仕事がなくて大変でした!名刺をつくってみたり、知り合いに仕事がないか聞いてみたりしたけど、依頼はまったくないと言ってもいいほどで……」

f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「あぁ、私もフリーランスだからその感覚はわかるなぁ」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「『特殊伐採』というくくりでの営業をやめて、なんでもやるスタンスに変えてみたんです。草刈りをやったり造園屋さんのところでお手伝いしたり。徐々に顔を広めていくことで、依頼が増えていきました」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「なんでもやるスタンスは大事だなぁ」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「とにかく自分で色々経験して、まず動いてみることは大切だと思いましたね。もうすぐ、なんとか独立一年目を終えそうです!」 

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「今キャンプもやろうとしているもんな」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「はい!林業に関わるようになって、この土地が自然に恵まれていることに気付いたんですよね。キャンプ場をつくって運営できたら良いなと思っていて」

 

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f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「お父さんも交えて『ヨガきこりキャンプ』って名前にしてやってみたら楽しそう!」

f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「おお、いいっすね!」

f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「張り切ってテント買っちゃいそうだなぁ(笑)」

 

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一見、大胆に感じる元サッカー選手→「木こり」へのジョブチェンジ。

 

長年ピッチの上で培った状況把握力は、高所作業の多い特殊伐採での大きな強みになっていました。

危険が伴い、常に張り詰めた空気の中でも安定したチームワークと勘どころの良さは、アスリートならでは価値なのです!

 

今回この記事を読んだセカンドキャリアを検討中のアスリートのみなさん、ヨガきこりは新たな弟子の受け入れ大歓迎ですよ!!

 

・・・

 

ちなみに小林くん、3月26日(月)夜19時〜放送の『SASUKE 2018』に出演します! 

ヨガきこりの弟子、SASUKEへ…!

 

書いた人:ナカノ ヒトミ

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1990年長野県佐久市生まれ。
長野↔東京で二拠点生活の実験中。
twitter: @jimonakano / 個人ブログ: ナガノのナカノ

 

マイナス20℃の職場!?『冷凍倉庫』の仕事を一日体験したい!

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こんにちは! ライターのみくのしんと申します。

以前、未知の職業を一日体験するという記事で「解体作業」の事を書きました。

 

www.e-aidem.com

 

めっっっっっちゃめちゃに疲弊したんですが、一生味わうことはなかったであろう業務や、一生話すことはなかったであろう人々との出会いがあって、すごく良い経験でした。

 

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というわけで今回は、職業体験第二弾として、静岡県・浜松市の『株式会社コーゲツ』さんにお邪魔しています。

 

株式会社コーゲツ

浜松支店|〒431-1102 静岡県浜松市西区大山町4155-1

公式HP| http://www.kk-kougetsu.co.jp/

 

今回こちらで体験する仕事内容は………

 

 

 

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冷凍食品など、常温では保存できない商品を巨大な冷凍庫で保管し管理する仕事です。

 

冷凍倉庫といえば、なぜかマンガや映画の登場人物がよく働いてるイメージ。

昔ジャンプで連載してた『BØY』とか、登山マンガ『孤高の人』とか。あと『SAW』という映画では、裸の女性を冷凍庫で吊し、水をかけてじわじわ凍らせる拷問がありました。あ、それは仕事じゃないか。

 

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こちらの冷凍倉庫では美女を吊るしてるのかな!? 株式会社コーゲツ浜松支店の販売管理課長、鈴木さんに聞いてみましょう!!

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plainそんなワケないでしょ

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「ほっ…安堵しました。では早速、仕事のお手伝いをさせて頂きます!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「あ、早速はダメです。ちゃんと凍っちゃいます

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「え? ちゃんと凍っちゃうの…?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「これから-20℃の世界に行くので、そんなペラペラの服だとマジで凍ります。防寒着を貸しますから着替えて下さい。ニット帽と手袋も必須です」

 

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f:id:jimocoro:20180315173130p:plain軍手がなぜか2セット??? あのー、僕スター・ウォーズのグリーヴァス将軍みたいに腕4本じゃないんで(笑)1セットで十分です!」

 

 

 

 

 

コトブキヤ スター・ウォーズ ARTFX+ グリーヴァス将軍 1/10スケール PVC塗装済み簡易組立てキット

 

 

 

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「グリーヴァス将軍…? よくわからないけど、軍手一枚だと寒すぎるので、二重にした方がいいんですよ」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「そんなに寒いの……?」

 

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着替えました。防寒着といえばこのオレンジ色ですよね。

 

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胸には「極寒用」のマークが!

 

この時点で「1)下着」「2)あったかインナー」「3)私服」「4)防寒着」とかなりモコモコなんですけど。ここまでする必要ある?

 

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「準備できました! では今日一日よろしくお願いします!!!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「はい、がんばってくださいね」

 

 

始業開始~午前休憩まで

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午前8時、いよいよ冷凍倉庫でのお仕事が始まります!

説明された業務内容を大まかに言うと……

 

1:様々な会社から商品の注文が入る

2:注文に合わせて倉庫の商品を仕分けする

3:注文してくれた各会社や施設へ配達する

 

と言った感じ。「1」は事務とかの仕事だし、「3」はドライバーの仕事なので、僕が手伝うのは実質「2:注文に合わせて倉庫の商品を仕分けする」だけです。

 

……正直、余裕じゃないですか?

スマホでゲームしながらできるのでは…?

 

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「注意事項として、スマホとかの電子機器を持ち込むのは、やめたほうが良いです」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「えー? どうしてですか?」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「充電が秒でなくなるから」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「どぅえ!? 何故!? 精密機器が熱に弱いってのは聞いたことあるけど、寒さにはむしろ強いんじゃ?」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「寒すぎると、機械が『使える状態を維持するため』にバッテリーをムチャクチャ消費するんです。5分で使えなくなったりしますよ。内部で結露することもあるから、カメラも危ないかも…

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「いやいやいや、いくらなんでも、そこまでじゃないでしょう(笑)とりあえず早く冷凍倉庫に入れてくださいよ!」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「大丈夫かなぁ……」

 

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必要な商品を仕分けするための台車(真っ直ぐ操作するのが難しい!)を持って、さっそく冷凍庫へ向かいましょう。

楽しみだなぁ。北極みたいに、一面真っ白の銀世界なんだろうな~~!

 

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「お邪魔しまーす!」

 

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あれ?

 

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あんれれれれ~~~~!?!?

 

 

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「見た目は普通の地味な倉庫なんですね……霜がおりてツララが発生してるような世界じゃないの?」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「そんなのは漫画や映画の中だけです! というか、寒くないんですか……?

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「え……? あ、」

 

 

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f:id:jimocoro:20180315173438p:plainさぶぶぶぶぶ~~~~~~~…!!!!」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「ですよね」

f:id:jimocoro:20180315173438p:plain「なんだこれなんだこれ! ムチャクチャ寒い! 防寒着で覆われた部分はまだしも、末端の手足とか顔が凍りそう! だめだこれさむさむさむさむ……」

 

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ちなみにカメラも凍りついて一瞬でバッテリー残量がゼロになったため、急遽カメラマンがカイロを買ってきて、貼り付けたまま撮影することになりました。

 

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「あの~、そろそろ仕事の説明してもいいですか?」

f:id:jimocoro:20180315173438p:plain「完全に甘く見てました。すいません」

 

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f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「とりあえず作業の流れを一回説明しますね! 指示書に、必要な商品と個数が書いてあるから、倉庫内で探して台車に入れてください

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「この広い冷凍倉庫で、ピンポイントに必要な商品を探せるものですか?」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「壁や棚に『A-12』とか番号ふってあるから、簡単だと思いますよ。終わったらまた違う指示書を取って、商品を入れて……の繰り返しです」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「なるほど。メモしとかなくちゃ……」

 

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f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「……あれ? 字が書けない」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「あ、寒さでインクが出てこなくなるから、ボールペンは使えないよ」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「えー! なんて世界だマイナス20度! じゃあマジックで書くか……」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「マジックも、ガラスに水性ペンで書いたみたいにすぐ消えちゃうから、実質ムリ

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「そんなんばっかじゃん」

 

f:id:jimocoro:20180320153633j:plain

ゴォォオオーーー…

 

とりあえず、やるべきことはわかったから、やってみるか。

えーっと、この商品を20個ね。どこだ? こっちか?

 

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ゴォォオオーーー…

 

これか! あ、違うわ。 普通の唐揚げじゃなくて、南蛮味のやつか。あれ? どこに戻すんだっけ? えーっと……

 

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ゴォォオオーーー…

 

うん、一回外に出て……っと

 

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ウウゥゥゥ~~(泣)…………

 

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f:id:jimocoro:20180315173438p:plain「寒すぎるだろ……!」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「大丈夫ですか!? この寒さに簡単に順応できる人は、人類の歴史上いないんで、自分のペースでやってくださいね。ちょうど休憩の時間なんで、一回休みましょうか」

f:id:jimocoro:20180315173438p:plain「ガチガチガチ……(無言で頷く)」

 

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コーゲツさんではお昼休憩の他に、10時と15時に小休憩が入ります。

外の日差しがあったけぇ……(注:取材したのは真冬の2月ですが、寒さの感覚が麻痺しています)

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「どう? 慣れた?」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「正直、 めっちゃ寒いです…… 夏に来たら涼しくて最高なんだろうな~」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「実は夏が一番キツイんですよ」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「はいダウト!  嘘ついた!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「本当です。 冷凍庫の中が-20℃で外が40℃とかだったりすると、中と外で温度差が60℃近くある計算だから、体調管理が難しいんだよね」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain60℃の寒暖差!! そうか、夏は汗もかくし……」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「そうそう! 一時期 会社でサッカーが流行ったんだけど、休憩時間にサッカーすると、冷凍庫では汗だくの体が急速に冷却されて、結構な人が大風邪引いてたな(笑)

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「笑ってる場合か」

 

 

午前の作業再開~昼休みまで

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小休憩で心をリフレッシュしたので、お昼まで頑張るぞー!!!

 

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「台車って、白いのとオレンジのがあるじゃないですか。僕、みかん好きなんでオレンジ使っていいですか?」 

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「何だよその理由。 答えはNOです」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「え? 服と合わせてお洒落かなーと思ったんですけど」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「白色の台車は寒冷仕様なんですよ。普通のパーツだと寒さでダメになっちゃうものもあるんでね。それに耐えられる台車が寒冷仕様なんです。普通のに比べて、それなりに高価です

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「へー!!」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「他にも、冷凍庫内の時計も寒さに強いやつです。それでも壊れやすいですけどね」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「いちいちお金がかかって大変だ……」

 

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よっしゃ!指示書にある商品全部集めたぞ!

ていうかマジで即戦力クラスの敏腕っぷり。仕事出来すぎて逆に嫌われちゃうかもな~!

 

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f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「お!  だいぶ作業が早くなりましたね! 僕も指示書一枚終わりました!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「全然量が違うじゃん。自惚れてたの恥ずかしっ」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「寒さには慣れてきました? 寒くなったら休んでくださいよ?」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「大丈夫です! 最初はつらかったけど、今は何とか……。じゃあ仕事に戻りますね!」

 

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うん、どこに何があるのか、なんとなく憶えてきたぞ

 

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うん……うんうん………

 

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 だああぁぁぁあぁぁぁんんんん!!!!

 

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ホッ……

 

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「何? どうしたの!?」

f:id:jimocoro:20180315173438p:plain「うぅぅ……」

 

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f:id:jimocoro:20180315173438p:plain急に足の指が凍りそうになりました。ターミネーターのT-1000みたいに、足の先が砕けてるかもしれません。液体窒素流しました?」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「流してません。あんなに『休みながらやってね』って言ったのに。今、時間は……12時か。そろそろ昼休憩なんで、ご飯にしましょう」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「やったー!! 朝にコンビニで弁当買ってきたんで、みんなで一緒に食べましょう」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「弁当? そんなの持ってたっけ?」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「冷凍倉庫に置かせてもらってます。ちょっと取りに行ってきますね」

 

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お昼お昼~~♪

 

……ん?

 

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ああああ!?!?

凍っちゃってんじゃんかあああ!?!?

 

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いやいや、落ち着け。まだ中を見てみないことにはわからん。希望はある。希望は……

 

 

 

 

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 f:id:micu0904:20180306203142j:plain

 カッッチィーーーン

 

 

 

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くぅうぅぅうう~~ん……(泣)

 

 

 

お昼休み

f:id:micu0904:20180306213133j:plainお弁当が原因不明の凍結にあったため、コーゲツさんのご厚意で、仕出しのお弁当を頂きました。わお! 美味しそう! いただきま~す!!

  

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「これで業務が半分終わったわけだけど、感想はどう?」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain仕事自体は楽な軽作業って感じなんですけど、寒さに疲れてます」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「ああ、あるある。 雪山じゃないけど作業してると眠くなるし。機械のバッテリーが無くなりやすいように、人間も生命維持に体力使ってるんだろうね」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「寒いからといって暖房入れちゃうと、倉庫内の食品が溶けちゃうし……耐えるしかないですね」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「あと冷凍倉庫は極端に寒いから、体が混乱して、家に帰ってお風呂に入っても、なんか違和感があるんだよね」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「違和感?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain暖かいか寒いか、自分でわからなくなったりするんですよ! 今だって、2月だから寒いはずなのに、寒くないでしょ?」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「言われてみれば確かに! 今までの人生で培ってきた『これくらいの気温の時、“寒い”と感じる』っていう概念が、突然メーター振り切って数値を見失った感じ」

 

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f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「気になってたんですけど、冷凍倉庫のドアが壊れて閉じ込められたら……“終わり”じゃないですか? マンガでは主人公とヒロインが抱き合って温め合う展開になるのが定番ですけど」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「マンガはわからないけど、閉じ込められたら“終わり”ですね。でも何重にもセキュリティが入ってるし、非常ドアもあるから大丈夫!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「あの展開はマンガだけだったのか……」

 

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午前の小休憩でも感じましたが、この会社、社員の仲が本当に良い!!

新しく社員が増えた時も、できるだけ声をかけるなど、コミュニケーションをすごく大事にしているんだって。僕にもめっちゃ話しかけてくれて、すごく居心地が良かった。

 

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社内の掲示板にも、こんなものが……

「ついつい買っちゃう甘いものは?」というお題で、みんなが自分の意見を書くようになってるみたい

 

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お題を変えて毎月やってるそう。知ってるようで知らない従業員の一面が見れるということで、好評なんだとか。

それにしても「きんつば」とか「みたらしだんご」とか、和菓子が人気だな……

 

 

午後の作業開始~午後休憩まで

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午後からは冷凍倉庫以外の仕事もやらせてもらいました。

 

今からやるのはリパックという作業。お惣菜なんかを小分けに梱包する作業ですね。寒さがないだけで、超快適な仕事に思えてしまう……。

 

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リパック作業は、こういったトレーに食品(今回は餃子を6個ずつ)を詰めていきます。

完成したトレーをコンベアに乗せると、機械が自動的にパック詰めしてくれる仕組み。 

 

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サッ、サッ、サッ

 

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ザザーッ

 

作業自体は単純な繰り返しなので、地道な作業が好きだったり、一人で黙々と作業するのが好きな人は向いていると思います。

うん、この作業は簡単だ! いける! こんな僕が初めて役に立つ時が来…………

 

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あっ

 

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「oh…」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「すいません! 完全に油断しました!」

f:id:jimocoro:20180315173330p:plain「まあ、そういうこともあるわ! こういう作業は、いかに集中力を長く保てるかが勝負なんよ。がんばってね!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「はい!」

 

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その後は失敗することなく、完全に無の境地で餃子を詰め続けました。それにしても僕、パートの方と見分けがつかないくらい馴染んでません?

 

やっと慣れてきた……と思ったあたりで、別の作業に呼び出されました。

 

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今度は常温倉庫での仕分け作業を手伝います。基本的に冷凍倉庫での作業と同じだけど、寒くないだけでスイスイ進む!!

えーっと次はL-8の棚から調味料を3個……っと。

 

うんうん、慣れてきた! 要領もつかめて余裕が出てくると、なんだか楽しいぞー!

 

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最初は寒すぎてどうなる事かと思いましたが、様々な作業をしている内に作業時間も残す所、あと二時間となりました。

 

おっしゃ~! ラストスパートだ!!

 

 

午後の作業再開~終了まで

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「それじゃあ、最後にもう一回冷凍庫に行こうか!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「嘘? 一時間前倒しして、もうお疲れ様しませんか?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「何しに来たんだよ」

 

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という訳で再び冷凍庫へ…… やっぱ寒すぎでしょ……

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「まあ、もうひと踏ん張りだから!! 頑張って!!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「鈴木さん、実はこんな事もあろうかと秘密兵器を持ってきてるんですよ!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain秘密兵器!? 何?」

 

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スチャ… 

 

f:id:jimocoro:20180315173130p:plainマスクです。マスクがあれば口の周りだけは自分の呼吸でメチャ暖かいはず! これで勝つる!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「あ~……マスクしてもいいけど、暖かいのは最初だけだよ? 口の周りについた水滴が冷やされて、超寒くなるから。だからといって外すとまた寒いし」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「はいはい!! ね! 素人の僕が良いアイデアを思いついたもんだから、ちょっと嫉妬してるんじゃないですかぁ~?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「やめたほうがいいと思うけどなぁ…」

 

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f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「ほら、やっぱり快適ですよ鈴木さん! 口の中があったけぇ~!! 作業効率も上がるってもんですよ」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「そんなことよりチャックが100%開いてますよ」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「キャッ!  鈴木さんのエッチ!」 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「この仕事、防寒着の下にズボン穿いてるから、用を足した後にチャックを閉め忘れがちなんです。冷凍倉庫あるあるですね」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「へぇ~、他にもあるあるがあれば教えてくださいよ」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「そうですね、トイレから出て手を洗ったあと、ちゃんと拭かないまま、冷凍庫内でうっかり壁に手をついてしまうとね……」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「いや、いいです! その話聞きたくないです! まったく、もう終わるのにそんな話聞きたく……聞き…………う、うぅ」

 

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パスッ…

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「突然倒れた!?」

f:id:micu0904:20180315224804g:plain「マスクさっむ~~~!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「だから言ったでしょ! 早く外したほうがいいですよ」

 

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f:id:micu0904:20180315224804g:plain「ひえええーーー!!! 外したら外したで寒ぶぶぶーーー!!」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「何もかも全部、言いましたよね?」

 

と、ここで遂に…………

 

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作業終了! 終わったー!!

 

作業を終えて

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f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「おつかれさん! ずいぶん頑張ってくれてたねー!」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「“寒さ”というのを完全に侮ってました。ムチャクチャ寒かった」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「では、今日の給料をお支払いしますね! こちらです」

 

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f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「待ってました! これこれーー! ちなみにおいくらでしょうか!?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain1万1千円です!!!

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「ありがてぇ。あまり役に立てなかったのに。ちなみに僕の働きっぷりって、100点満点でいうと、何点でした?」

 

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f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「90点かな」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain高得点! マジですか!? 僕でも就職できちゃうって事!?」

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「もちろん! コーゲツは経験よりも学歴よりも、人間関係を重視してるから。みくのしんさんは楽しげに働いてたし、色んな人と気軽に喋ってて、かなり高評価でした」

f:id:jimocoro:20180315173130p:plain「みなさん気さくすぎて、仕事だというのを忘れてました。ただ、僕のTwitterを見られて『みくのしんさん、鍋作りすぎたんですか~?』って言われた時はマジで恥ずかしかったです。ブロックしようかな」

 

 

 

f:id:jimocoro:20180315173114p:plain「そこは仲良くしてあげてよ!」

 

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ということで、寒すぎましたが人に恵まれた職業体験が終わりました。

最後に一日体験して気づいたことを書いておきます!!

 

・笑うくらいハチャメチャに寒い

休憩を挟みながらだと、何とか乗り越えられました。初心者の人に無理させるような職場じゃないので、ヤバくなったら外に出よう

 

・ただし作業自体はめちゃ簡単

“寒い”を考慮に入れなければ、結構すぐに憶えられるし、簡単な作業です。“寒さ”を考慮に入れなければ、ね……

 

・体調管理をしっかりと

寒さの体力消費もヤバイけど、外気温との寒暖差には本当に気をつけましょう。暑くなったら脱ぐ、寒くなったら着る!

 

・未経験でも本当に大丈夫

人柄さえ良ければ資格なしでも大丈夫! 入社後、必要な資格取得についてはサポートしてくれるそう

  

・電子機器に気をつけよう

寒すぎるとスマホのバッテリーが減りまくったり、そもそも機械に悪いので更衣室に置いておこう。サボってゲームは出来ません!

 

・弁当は凍る

-20℃なのでそりゃ凍る。気をつけろ!

 

コーゲツさんでは、冷凍倉庫の作業の他、事務系の仕事もありますので、気になった方は連絡をしてみてくださいね!

 

www.e-aidem.com

 

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帰る前に、せっかくだから『月一アンケート/ついつい買っちゃう甘いものは?』を、僕も書かせてもらいました。

 

ウルトラ大喜利最強男の実力、見せたるで!

 

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「普通かよ」

 

 

現場からは以上になります! ありがとうございました! 

 

入出庫・商品管理のバイト・アルバイト求人はコチラから!

 

退社後ー

 

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凍った弁当を解凍して食べました。ウマママ!!!!

 

 

(おしまい)

※今回のレポートは、あくまでライターが体験させてもらった現場に限定したものです

 

ライター:みくのしん

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本名、高杉 未来之進(たかすぎ みくのしん)と申します。それ以外の特徴は1mmもありません。1990年生まれ東京育ち、将来は牛タンをお腹いっぱい食べるのが夢です。ご検討の程お願いします。Twitter:@no_inngurissyu 

「心の復興は続いている」18歳の語り部が伝えたい3.11の記憶

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2011年3月11日に発生した東日本大震災。被災地には、当たり前ですがたくさんの子どもたちがいました。彼らは彼らなりの感覚で、「あの日」を記憶しています。

 

そして震災から数年後、「あの日」の記憶を語り始めた3人の子どもがいました。

 

当時、津波で大きな被害を受けた宮城県東松島市の小学5年生だった雁部那由多(がんべ・なゆた)さん、津田穂乃果(つだ・ほのか)さん、相澤朱音(あいざわ・あかね)さん。

彼らは中学3年生の時から「語り部」の活動を始めたのです。

 

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そして2016年。3人の話は『16歳の語り部』という1冊の本になります。

大人でさえまともに受け止めることの難しかった「あの日」のこと。例えば雁部さんは、こんな風に綴っています。

 

息も切れぎれに図書室に戻ると、同じクラスの友だちと合流できました。ふと奥のほうに目をやると、体育館から移動してきた人たちが窓のところに集まって、口々に何かを言いながら外を見ています。津波が押し寄せる中、逃げ惑う人、車に乗ったまま動けなくなってしまった人に向かって「校舎に上がれ!」「逃げろ!」「早く!早く!」と、みんな大声で叫んでいました。

僕は呆然として窓に歩み寄りました。国道に面する窓から、車に乗ったまま津波に流されていく男の人が見えました。黒い津波が、がれきとともに、家や車、人を流していきました。大人も子どもも、日が暮れるまで、壊れていく町の様子を窓からずっと眺めていました。

(『16歳の語り部』より・以下引用部は同様)

 

僕はこの文章を読んで、衝撃を受けました。それまでにも震災の体験談は目にしていました。いくつもの息を呑むような話がありました。

でも、16歳の彼らがありのままに語る言葉は、なぜかとりわけ僕の胸に深く突き刺さったのです。

 

いつか、彼らに会ってみたい。直接、話を聞いてみたい。そんな思いは、出版から2年が経った今年、叶うこととなりました。

 

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話を聞かせてくれたのは、「16歳の語り部」の一人である相澤朱音さん。

彼女は津波で家を流され、大好きだった子犬と親友を失いました。一時は 「私なんか生きてる価値ない」とまで思いつめるも、友人の存在や「語ること」を通じて、前を向くことができたといいます。

 

18歳になった彼女は今、どんな言葉で「あの日」のことを語るのだろう? そしてどんな風に日々を過ごしているのだろう?

それを確かめるべく、僕は宮城へと向かいました。

 

 

みんな、言えずに苦しかったものを抱えている

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「相澤さん、こんにちは。本を出されたのが2年前なので、今は18歳に?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね。昨日が高校の卒業式でした」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「なんと、卒業おめでとうございます! 高校生活は楽しかったですか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「はい。私は放送部だったんですけど、放送室って防音なんですよ。だから友達同士で気兼ねなくおしゃべりしたり、大音量で音楽をかけたり。楽しかったですね」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「いいですね、青春だ。話がいきなり逸れて恐縮ですけど、今の高校生って何を使って音楽を聴くんですか? CDとか買います?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「Youtubeとかも使いますけど、CD買いますよ!私、デジタルは苦手なので…(笑)。電子書籍も目が疲れますよね。紙の本が好きです」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「僕も本好きなので、すごく親近感がわきました」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「さて、まずは震災直後のことについて伺ってもいいでしょうか」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね……家族は無事だったんですが、家が津波にのまれて全部ダメになりました。私の大事にしていたものも、ほとんど流されてなくなりました」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「それは大変でしたね……。相澤さんの住んでいた宮城県東松島市は津波の被害が大きかったんですよね。市内の97%の住宅が被害を受け、市の面積の65%が浸水したとか(※データは『16歳の語り部』より)

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「ただ、はじめは家がなくなった実感はなくて。それより、飼い始めたばかりの子犬のナイトが行方不明になってしまったことで、頭がいっぱいだったんです。それにその後、もっとショックな出来事があって」

 

 学校がはじまる少し前、3月の終わりのことでした。

 親友が亡くなったことを、父に聞かされました。

 私の心の中には ずっと引っかかっていることがあります。そして、それは今も引っかかったままなくなりません。

 震災の前日、3月10日の帰り道、実は、その子とケンカ別れをしていたんです。たぶん、本当にちょっとしたきっかけだったと思います。今となっては、どうしてケンカをしてしまったのか思い出せません。理由は思い出せないけど、ケンカをしてしまったことだけはずっと覚えています。

「あのときのこと、私、謝れていない」

 かわいがっていたナイトは、今も行方不明のまま。家も流された。

 そして、大切な親友も亡くなった。

 津波が、私の大切にしていたものを全部、持っていったのです。

 

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「親友との最後の思い出が、ケンカ別れしたことに…」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「はい」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「本を読んでいて、そこから相澤さんが『自分の生きている価値が見出せない』とまで塞ぎ込んで行く様子がすごく苦しくて。死にたいから具体的に行動に移そうとかではなく、ただ漠然とネガティヴな想いに捉われ続けていたというのに、より切実なものを感じたんです」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「そして、そのネガティヴな想いをなかなか吐き出せなかった」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね。心配をかけるのがいやで、大人には話せなくて。亡くなった親友とも仲の良かった穂乃果にだけは、唯一話せました」

 

 実際、穂乃果に話すことで、気持ちの整理がついてラクになりました。でも、ラクになるのは少しの間だけ。しばらくすると、自分の中のどろどろした気持ちが、またぐるぐると回りはじめます。そのたびに、私は布団の中で毎晩泣きました。

 そして、それを自分の中で溜め込んでいると一気にあふれ出てしまいそうになるから、また少しずつ吐き出さないといけない。

 苦しくて、いっぱいいっぱいだったんだと思います。

 

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「日常が一変して、それだけでもショックじゃないですか。その上、お友達のことがあり……震災の『目に見えない影響』も大きかったんだと感じます。皆さん、心の中にさまざまな想いを抱えていて、なかなか言えなくてという」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「小学校の時の友達が本を読んで『そんな風に思ってたんだ』と泣いてくれたんです。その時、やっぱりみんな、言えなくて苦しかった思い出があるんだな、と思いました」

 

 

「語ること」が、前を向かせてくれた

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「その後、相澤さんが語り部としての活動を始めたのは、中3の春休みからでしたよね。石巻西高校でのシンポジウムが初めてだったとか」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね。『16歳の語り部』を一緒に出した雁部と穂乃果と一緒に参加しました」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「二人とは小学校からの同級生で、中学校では同じ生徒会執行部のメンバーでもあったんですよね」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「はい。だから小学5年生のときの震災も、すごく近い場所で経験しました。だけど、シンポジウムで二人が話した被災のときの話は、初めて聞くことばかりだったんです。そこで震災の経験は人それぞれ違った体験や感じ方があるんだな、と驚きました」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「もう一つ、そのシンポジウムの前に、被災の経験を話すことの意味に気づく出来事がありました。中3の夏休みに、2泊3日で三重県の中学生と交流したんです。当時は南海トラフ地震について発表された時期で、海の近くに住んでいた現地の子はとても不安そうでした」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「南海トラフ地震が起きれば、三重をはじめ広い地域で津波の影響が報道されていましたね」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「それで『あんなことがあったのに、海が怖くないの?』と、その子に聞かれたんです。私は『別に、怖くないよ』と答えました」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「怖くはなかったんですか…?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「昔から海が好きでしたし、震災でショックだったのは親友が亡くなってしまったことと、子犬のナイトがいなくなってしまったことだったので。すると、その子は少しだけ安心してくれたようでした」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「これから来る災害を心配している人に、私の経験を話すことで少しでも不安を減らせるかもしれない。親友が亡くなったことをただ悪かったことにするのではなく、震災を前向きに考えることができるかもしれない。そのとき、そう思ったんです」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「うまく言えないんですが、そんな風に外向きに変われたのはすごく強いことだと思います」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「ただ、心は目に見えないので、『心の復興』がどこまで進んでるかはわからないです。暮らしの復興以上に、ずっと時間がかかると思います」

 

 

「誰でも語り部になれる」

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「その後、東京をはじめ各地の講演などでお話されるようになり、『16歳の語り部』が出版されます。本についてはどのように思っていますか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「本だったら、声が届かないところや行けないところまで私たちの経験を伝えてくれるんじゃないかな、と」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「そんな風に、できるだけ広く伝えたい、と思うようになったきっかけはあったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「高校1年生の1月に、東京の防災サミットに参加したんです。そのときの、二つ上の先輩の言葉ですね」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「先輩は『今日聞いたことを、帰った時に家族や友達に話して、話を広げてください。語り部になれるのは私たち経験した人だけじゃないんです』と言っていたんです。その言葉にすごく感動して、私が語り部の活動をするとき、いつもその話をさせてもらっています」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「それはつまり、僕でも語り部に……?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「例えば『16歳の語り部』を読んで、本のことを誰かに話してもらえたら、それは語り部だと思います」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「自分が感じたことを、自分の言葉で語る。そして震災の話を広めるということですね。 『語り部』という存在を、どこか特別視してしまっていたことに気づきました」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plainその先輩の言葉を聞いて以来、輪を広げることを意識するようになりました。たくさんの人に私たちの経験を知ってもらって、少しでも次の災害が起きた時に被害を受ける人が少なくなればいいなと思うんです」

 

 

災害への意識の違い

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「僕は今回、初めて宮城へ来たんです。そこで町の風景を見ると、まだあちこちで工事をしていることに驚きました」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね。仮設住宅に住む人も徐々に減っていますし、復興は進んでいますが、まだ終わりには遠くて」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「恥ずかしい話、普段東京にいる僕は、現地に来てみて初めてそのことを実感しました」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「高2の夏に、震災について学ぶスタディツアーを自分たちで開催したんです。その時、資金を集めるために東京の百貨店で地元のものを販売したんですね。そこで売り子をしていて、すごく心に残っているのが『えっ、熊本じゃないの?』と言われたことなんです。熊本の震災の少し後だったんですけど……」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「おそらく素直に発した言葉なんでしょうけど、だからこそ相澤さんたちにとっては辛辣に響きますよね……東京の人には上書きされてしまっているというか」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そこで『すみません、東北なんです』と答えたのを覚えています。やっぱり、東北は復興しきってるんだと思われてるんだな、と……

 

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f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「ふだん、震災のイベントに来てくださる方は、東北の被災地の状況も知っている方が多いです。でも、普通に暮らしている方は、そうじゃないんですよね」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「そこの意識の差は大きいかもしれません。先ほど地元新聞の『河北新報』で、もっと全国メディアで震災のことを取り上げて欲しいという記事を見たんです。時間とともにメディアでの報道量が減るなかで、『どう知るか』はどんどん難しくなっているなと」

 


f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「私の通っていた高校は、防災教育に力を入れているんです。年に2回、丸一日かけて防災について学ぶ日があったり、海外の高校生を呼んで防災について話し合うフォーラムを開いたり。だから普通に日常会話のなかで、防災に関する話がでてきます」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「例えばどんな会話を?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「例えば、同級生が通っていた小学校が震災遺構になる際、『半分は壊して、半分だけ残す』ってなったことがあって。それに対して、放送部で討論が始まったんですね。わたしはそれが普通だと思ったんですが、別の高校の子にそのことを話すと、とても驚かれて

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「同じ宮城の中でも、意識の違いはあるんですね」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「その子は年下なので、学年の差なのかなとか、うちみたいに防災教育に力を入れていないからかなとか考えました」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「それは、震災について話しづらい感じなんでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「というより、話すことじゃない…普段はあまり気にしてない感じがあると思います。私の周りが変わってるのかもしれません。『生きてるってなんだろう』『世界ってなんであるんだろう』って突然話し始める人たちなので(笑)」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「哲学的ですね!(笑)」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「哲学好きなんですよね、みんな。本とか映画とかも好きです」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「最近、相澤さん的に面白かった作品ってありますか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「ディズニーの『ディセンダント』です。ディズニーに登場する悪役の子どもたちの話で、差別ってよくないなと考えさせられました」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「面白そうですね。ディズニー好きなんですか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「いえ、どちらかというとサンリオの方が。卒業旅行でサンリオピューロランドに行きたいんです」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「制服で行っちゃうやつですね。ぜひ全力で楽しんできてほしい!」

 

 

将来、地元に貢献したい

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「語り部を始めて3年以上が経ちますが、震災の捉え方は変化しましたか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「本を出してからでいうと、あまり変わってないと思います。『16歳の語り部』を書いた時が、語り部への思いが一番強かったと思います

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「語り部への思い……それは『伝えたい』という気持ちでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうなのかな、たぶんですけど。書いた頃と今だと、話すことが違うと思うところがあります。うまく言えないですけど……」

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「本の中で、将来は地元の市役所で働きたいと書いてましたね。それは今も変わらず?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「はい。一般の企業だと、利益を求めなきゃいけないと思うんです。でも、利益を求めずに、純粋に地元の人に貢献できる仕事がやりたくて

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「地域のために貢献したい、という思いが強いんですね」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「そうですね。やっぱり震災以降、地元愛は強くなってるんじゃないかと思います。春からは地元の短大へ進みます」

 

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f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「我々『ジモコロ』は若者が多く読んでいるメディアなんです。被災地以外の人も多いと思うのですが、彼らに特に伝えたいことはありますか」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「まず、『語り部にみんななれる』というのは知っておいてほしいです。それと、日々を大切に生きて欲しいなって思います。生きることって大事。今あるものが次の日にはなくなるかもしれないんです。私自身、いま死んでも大丈夫って言えるように生きてます

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「……自分がそうできているか、考えてしまいました。普段、当たり前すぎて忘れてしまいがちなんですが、本当にいつ何があるかわからないんですよね」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「震災の話を聞いて、対策をとっておくことももちろん大事です。だけど、自分の住んでいる場所でもし同じことが起きたらどうしたらいいだろう、と想像しておくだけでも違うと思うんです

f:id:tmmt1989:20180325091614p:plain「はい。僕自身、お話を聞いて改めてちゃんと災害について知らなくてはと思いました。大学へ進んでも、語り部の活動は続けられるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180325091639p:plain「はい。これからも伝えていきたいです。『誰でも語り部になれる』と言った先輩のことは、今も私の心に残っています。そんな風に私もなれたらいいなと思うんです」

 

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おわりに

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『16歳の語り部』の中に「私たちは災間を生きている」という言葉が出てきます。もしかすると明日、災害が「自分ごと」になってしまうかもしれないのです。


だからまず、誰かの体験を聞き、想像してみること。自分だったらどうしようと考えることが大事なのだと思います。

 

そして、この記事を見て気になった方は、ぜひ『16歳の語り部』を読んでみてください。3人の言葉が少しでも広がることで、この記事もまた、小さな語り部としての役割を果たせたらと願っています。

 

 


 

 

 

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。インタビューと犬とビールが好きです。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp

 

写真:藤原 慶

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21歳からカメラとバックパックを持って日本放浪の旅に出る。
全国各地を周りながら撮った写真を路上で販売し生き延びる生活を続け、沢山の出逢いと経験を積む。
現在は東京に落ち着きカメラマンとして活動中。

Instagram : @fujiwara_kei

わたし、スゴ腕の猟師に密着して「とれたてジビエ」にかぶりつきたい!

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みなさんこんにちは。ライターのモンゴルナイフです。

突然現れて何をしているんだと思われるかもしれませんが、 熊本県の多良木町という町へ向かうため、山中で車を押しています。

 

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地元の人に聞いた「雪が積もってないはずの道」が、完全に真っ白になっているのを発見し、慌てて別ルートに向かっているのです。

※前日に「異常気象」と騒ぎになるほど雪が降ったそう

 

さて、なぜそうまでして多良木町に向かっているかと言えば……

 

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なんでも、多良木町には凄腕の猟師がいるらしく、その方が獲ってくる猪肉は、他と比べられないほど美味しいんだそう!

 

 

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というわけで「おいしいジビエにかぶりつきたあ~い♡」という気持ちだけで、飛行機に乗ってやってきました。

 

 

なお、この記事は『熊本県・多良木町』の提供でお送りします。

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くまもと・たらぎの情報サイト『たらぎたらりら』公式HP

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こちらが多良木町の役場。このあたりはおしゃれなカフェレストランなんかもあって、わりと普通の「郊外」って感じですが……

 

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ちょっと車を走らせれば、たちまち山あいの美しい風景が広がります。空気がおいしい!

 

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郵便局はこんな感じ。ご挨拶に伺うと、なぜか飴ちゃんをくれました。

 

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これは中学校……なんですが、現在は通う生徒がいなくて休校中。……なんだか胸の奥に眠っているニッポンの原風景って感じの町ですね。

 

 

凄腕猟師、落合さん登場

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本日会いに伺ったのはこちらの方! 年間120頭も鹿とイノシシを獲るという、落合さんです。

にこやかな顔からは想像もつきませんが、数多の修羅場をくぐり抜けてきた凄腕なのです!

例えば……

 

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イノシシって見た目はかわいらしいですけど、メチャ危険な動物なんだそう。

今日はそんな落合さんの猟に同行させてもらって、猟や罠について教えてもらいます!

 

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「今日はよろしくお願いします! めちゃくちゃ美味しい野生のお肉、食べに来ました!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「ははは!よろしくね!」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「役場で聞いたんですけど、落合さんってめちゃ凄腕の猟師さんなんですよね……? 素手で鹿を獲れるって本当なんですか??

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain小さめの鹿とかならね。後ろ足を掴んで……野球のバットを振る要領で、木にコーンと当てて獲ったりするよ。まあ、そんなにやるわけじゃないけどね」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「卵を割る話みたいにライトな語り口調ですね。小さいとはいえ、野生動物は危険なので、これを読んでるみなさんは絶対に真似しないでくださいね

 

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f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「さっそくですが、猟ってどんな風にするんですか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「僕は銃もやるけど、基本的に罠にかかった動物を獲る『罠猟』っちゅう手法だね」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「罠? 落とし穴とかトラバサミとか?」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「いやいや、土に蓋をした筒を埋めておいて、動物が蓋を踏み抜いたときにワイヤーが締まって足を捕まえる……ちゅう仕組みの罠やね。ちなみにトラバサミは禁止されとるよ」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「筒からワイヤー……? いまいち想像がつかない」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「実際にやってみようか。この木の棒を動物の足として……踏み抜くと、ほら! バネの力でワイヤーが締まるようになっとるんよ」

 

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f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「ひえええ~!こんな一瞬でワイヤーが締まるんですね!逃げられない! これはどこかで売ってるんでしょうか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain完全に自作やね。罠猟をやる人は、みんな創意工夫をこらしながら自分で作っとる人が多いかな」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「東急ハンズに行っても罠は買えないってことか……。落合さんは罠のここにこだわっている!というところはありますか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「Simple is best!」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「ひゅ~!横文字! しかしこの広い山の中、ピンポイントで罠に足を入れてくれるものなんですか!?」

 f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「そこを工夫するんが腕の見せどころたい」

 

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 f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「こういう、獣が通る道にまず罠をしかける」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「待って待って! めちゃくちゃ急斜面~~~~~~~っ」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「で、こういう感じに罠をしかけるんよ」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「罠はどこです…? これでどうやって動物がピンポイントで罠を踏み抜いてくれるんですか??」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「罠の周りに木の枝を置いて、歩きにくくして、罠がある場所しか踏めないようにするんよ。あからさまに配置すると警戒されるから、自然に置いてそれとなく誘導するのが肝だね」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「自然すぎて分からなかった……東京のちょっとした段差にもつまづいてしまう私なんかは、この罠に一瞬でかかっちゃうだろうな……」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「うまく罠にかかってくれたらこんな感じになるよ」

 

 

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f:id:jimocoro:20180301143321p:plain「ヒエエ~~! 迫力あるぅ~!」

 f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「この山には既にいくつか罠を仕掛けてあるんよ。今日は掛かってくれてるかな? ちょっと見に行ってみようか」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「ぜひ!」

 

 

罠猟と銃を使った猟

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「う~ん雪が降って罠が凍ってしまって、動かなくなっとるね

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「昨日、このへんには珍しいくらい大雪が降ったらしいですね。我々も車が通れなくなって大変でした」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「じゃあ、ここからは、見つけた動物を銃で獲って行くか!」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain狩りの始まりだ……!

 

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f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「あ……落合さん、動物よけのフェンスをうまく潜れなくて感電しました!! ビリビリします助けて下さい!!!!!!!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「そのワイヤーは夜しか通電しとらんよ」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「たはは……」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「(小声)ここから先は、イノシシとか鹿が結構いて、人間の気配がしたら逃げてしまうから静かにね」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「はい!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「ちょっと僕が先に行って見てくるね」

 

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ザッザッザッ…………

 

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何かを見つけたのか、斜面を登り始める落合さん

 

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f:id:hirakocha:20180223105339g:plain「緊張してきた」

 

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シーン…………

 

 

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パーーーーーン

 

f:id:hirakocha:20180223105339g:plainうわぁ!! 銃声どデカい……!!!! どうなったんだろう!?」

 

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 f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「いやあ、焦ってしまってだめだったね~。50kgくらいのイノシシがおったけど、完全に逃げられてしまったわ」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「はぁ、はぁ、緊張に耐えきれなかったので、ちょうど良かったです!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「まあ、こういう日もあるわ!」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「いや、すごく貴重な経験になりました。撃つ方はもっと緊張したんだろうなぁ」

 

 

猟をやる理由と、鹿の害

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f:id:jimocoro:20180301163547p:plain「落合さんの場合、メインは罠を使った猟なんですよね??」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「そうだね。罠猟は30年前からずっとやってる。免許を取って銃を使い始めたのは、ここ5年くらいかな」

 f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「銃の免許って、取得するのはやっぱり大変なんですか!?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「免許は頑張ればなんとかなるけど、それよりもお金がかかるほうが大変だね。罠の免許が2~3万円で取得できるのに対して、銃の免許は所得にもよるけど毎年5~6万円くらいお金がかかってしまうから」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「毎年お金がかかるんですね!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「それと3年毎に免許更新があって、そのときに警察が家に来て身辺調査をされるね。まあ、酔ったらすぐブチ切れるような人とかが銃を持ってたら怖いからね。鉄砲の取扱は責任のあることだから」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「罠にかかった動物へのとどめって、どうしてるんでしょう?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「銃の免許を取る前は、棒で頭をボンと叩とったね。その感触が手に残ってしまうのが辛かったばってんね」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「それはいい気持ちはしないですね」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「だから最近は、鉄砲を使って一発で撃つわけよ。生き物を殺すというのは、本当に心にズシーンとくるものがあるよ」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「そんな優しい落合さんが、なぜ猟師になろうと思ったんですか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「う~ん、僕は正確には猟師じゃないんよ。本業はしいたけ農家ったい」

 

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f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「へ? なぜ しいたけ農家が狩猟を??」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「僕が狩猟をしているのは、美味しいお肉を食べたいというのもあるけど、一番は駆除が目的だね」

 f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「駆除……?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「山に鹿が増えすぎて、農地を荒らしてしまったり、山に生えている草や木の皮を食べてしまう“獣害”っちゅうのがあるんよ」

 

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鹿が皮を食べてしまった木。こうなると、もう再生することはないそう

 

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「畑を荒らされるのはわかりますけど、山の動物が山にあるものを食べて、人間にどう影響があるんですか……?

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「例えばだけど、この斜面を見てみてよ」

 

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f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「普通に土の斜面ですよ?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「それが問題なんよ。ここも昔は草が生い茂ってたんだけどね。増えすぎた鹿が、斜面の草を食べつくしてしまって、もう何にも生えなくなってしまった。これは人間にとっても自然にとっても良くないことなんよ」

 f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「草がなくなると何が起こるんですか……?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain大雨が降った後に地すべりが起きてしまうね……。しかもこの斜面の真下には、小学校があるんよ」

f:id:jimocoro:20180301143321p:plain「ぎょえ! でもそれは、人間が彼らの暮らす平和な自然を奪ったから仕方なく……とかではないんですか?」

 

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自然を守るために人間が植林をしても、すぐに鹿にやられてしまい、イタチごっこなんだとか

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「昔、鹿を保護していた時期があったんやけど、その時に爆発的に鹿が増えてしまったんよね。結果、鹿が溢れてエサが足りなくなって、自然を破壊したり人里に下りてきて田畑を荒らすようになってしまった」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「都会に暮らしているとわからない情報ですね」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「あと駆除ができる人が全然いないし、いても高齢化してるっていうのも動物がどんどん増えてしまう一因だね。僕が一人で100頭以上も駆除しているってのはそういう理由。このへんで猟ができる人の中では、僕が一番若い」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「ええ!(あと10年くらいしたら鹿の王国になっちゃうんじゃ……)」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「さて暗くなってきたからそろそろ山を下りようかね」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「お肉はおあずけですが、運がなかったと諦めます!

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「うちの冷蔵庫に、最近捕れたイノシシの肉がいくらかあるけど、食べにこんね?」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「ぜひに!!!」 

 

 

※後日、冒頭で仕掛けた罠に15キロくらいのイノシシが掛かっていたそうです!

 

 

多良木のジビエを食べよう!

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落合さんの自宅に招いてもらいました。雰囲気あって良い家だなぁ。手前の柱がかっこいい。

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「さあさあ、イノシシ肉を食べる前に、この焼酎で乾杯するばい」

f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「やはり九州は焼酎なんですね!いただきます!」

 

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f:id:hirakocha:20180215152901p:plain「んあ”ぁ”~~~~お湯割り、温まります! この焼酎なんだか味が濃い…? 多良木町の焼酎ですか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「これは多良木町の蔵元が作っとる球磨(くま)焼酎『蔵八』ちゅう焼酎ったい」

 

球磨焼酎

熊本県球磨郡または人吉市の地下水で造られた、米一〇〇%原料の本格焼酎。

 

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「完全に米だけを原料にしてる焼酎初めて飲みました。飲みやすくてどんどんイケちゃいますね……香りが良すぎ!(ぐびぐび)」

 f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「じゃあ、そろそろ多良木のうまいイノシシを食うてもらおうかね」

 

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イノシシのバラ肉。皮をあえて残して、食感を楽しめるようにしてある

 

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おいしそ~! いただきま~す!

 

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f:id:jimocoro:20180301143321p:plain「うんめ~~~~!!!! コリコリした皮の食感と、脂の甘さがたまんない! 通販してくれ~~~~!!!!」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「次はこれいってみようか」

 

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f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「うああああああ! なんですかこのすごい丼は!? 上に乗ってるプルプルしたのは……角煮!? イノシシの角煮なの!?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain落合SPECIAL(スペシャル)丼ったい

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「横文字……! ではさっそくいただきます!」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「どうったい?」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plainめちゃめちゃ美味しいです! 角煮がトロットロ! でも、以前 都会で食べたジビエ料理と違って、全然ケモノの香りがしないのはなぜ……?

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「多良木のイノシシは臭くなかよ」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「え! 地域によってイノシシの肉のお味って変わるものなんですか?」

f:id:hirakocha:20180215152849p:plain食べてるもので肉の味に違いがでるんじゃないかな。この辺のイノシシは、渋い木の実とか、アクの強い山芋とか……美味しくなさそうなものを食べとるんよ。逆に、みかんとか美味しいものを食べていると、何故か肉が臭いって聞くね」

f:id:hirakocha:20180215152852p:plain「イベリコ豚もどんぐり食べさせられてますもんね」

 

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f:id:hirakocha:20180215152849p:plain「多良木のイノシシを食べたら、豚肉は味が薄いように感じるわ」

f:id:hirakocha:20180215152858p:plain「確かに味が濃い! 食感も強いし、噛むと旨味が口の中いっぱいに広がりますね! しかも、脂がくどくない」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「そうやね。豚肉でこんな量を食べたら胸焼けするかもしれんが、イノシシの肉は脂が良いから、なんぼでも食べれるでしょ」

f:id:jimocoro:20180301163547p:plain「やばい、インタビューしようと思ってたのに、美味しすぎるし、楽しすぎる! なんかこのまま『おいしかったです』で終わっちゃいそう」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「今日は、慣れん山の中歩いて、疲れたやろ? 狩りの最中に話も聞いてもろたし、それで十分たい。ほらほら、もっと食べて飲んで」

 

 

 f:id:jimocoro:20180301173501j:plain

「おいしーい! 何もかもおいし~~~!!!」

 

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「だーっはっはっは! 気持ち良い飲みっぷりたいね~!」

 

f:id:jimocoro:20180301163547p:plain「え~~~~っと、今日はぁ……ありがとうございましたーーーっ! では最後に、今回の取材をまとめさせてもらっていいですか?」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「おっ! 待ってました~!」

f:id:jimocoro:20180301163547p:plain「多良木のイノシシは、おいしかったです!!おわり~~!」

f:id:jimocoro:20180301143134p:plain「わはは、おつかれさん!」

 

 

翌日

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落合さんのお陰で多良木町の美味しいジビエ料理にありつけました。

 

一夜明けた本日は、役場で聞いた多良木町の観光スポットを、ドライブがてら巡ってみますね!

まずは、丘の上から眼下一面に広がる雲海を見られる場所があるらしいので、それを見に行きます! 楽しみだなー!

 

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ブロロロ………

 

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ブロロ……ブロ……?

 

 

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雲海が見れる場所への道……

 

 

 

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今回は何もかもを雪に阻まれたロケになってしまいましたが……多良木町は景色も良いし、ジビエはおいしいし、最高の町でしたよ~!

 

では、私は二日酔いがひどいので東京に帰ります。さようなら。

 

 

(おわり)

 

多良木町おすすめスポット

▼雲海(妙見野自然の森展望公園)

 

 

今回の記事では行けませんでしたが、天気が良ければ、このように美しい雲海を一望することが出来ます。※正確には雲ではなく霧ですね

 

雲海が観られる時間帯:朝6時~11時(日によって異なります) 

〒868-0504 熊本県球磨郡多良木町奥野妙見野

 

▼栖山観音

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堂内の中央には像高283cmの巨大な千手観音立像が安置されています。なぜか中央部分だけ肌色に塗られた、美肌の観音様です。

 

〒868-0502 熊本県球磨郡 多良木町黒肥地

 

▼悠久石

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「千年の目覚め」と称される巨岩、悠久石。

平成18年の豪雨により、山腹の斜面が崩壊し、土砂の中から突如出現した岩。直径140cm、重さ約4トン。GANTZみたいに丸い形をしているけど、人工物ではなく、自然のもの。

 

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このように、石を抱きしめると運が上がると言われている……らしいです。

岩石自体は数千万年前に形成されたもの……なのに、「千年の目覚め」という意味がわかりませんが、とりあえずあやかっておきましょう!

 

〒868-0505 熊本県球磨郡多良木町槻木580

 

多くの史跡が残っていながら、面積の約80%が山林という文化と自然の調和する町・多良木町。見どころいっぱいのこの町に、ぜひみなさんも行ってみてくださいね!

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くまもと・たらぎの情報サイト『たらぎたらりら』公式HP

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今回伺った多良木町の酒屋さんで、球磨焼酎「蔵八」を買ってきました!

焼酎初心者でも楽しめる焼酎です。

1名様にプレゼントするので、成人してる人はドシドシご応募ください! 

 

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★応募方法はこちら!

 

ジモコロのTwitterアカウント「@jimocoro」をフォローして、この記事のツイートをRT→当選はDMでお知らせします!

 

 

▼モンゴルナイフの他の記事を読む

 

書いた人:モンゴルナイフ

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北海道は道東出身の元気で明るいOLです。仕事のストレスをインターネット(オモコロ)で日々発散しながら暮らしています。好きな食べ物はカレー。
twitter : @amanattif

「江頭名言」はなぜ作られた?ネットでウケるためには『お重人格』を手に入れろ

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この連載は、ダ・ヴィンチ・恐山が、インターネットにまつわるあれこれについてモニョモニョと歯切れの悪い見解を述べるコラムです。

バーチャルユーチューバーはギャップ萌えか?


 バーチャルユーチューバーが話題だ。

 

 バーチャルユーチューバーというのは、二次元キャラのモデルを使ったバーチャルなユーチューバーである。なんか頭の悪い説明だがそういうものなのだ。今後はVチューバーと呼ぼう。

 

 ようは架空の人格を演じて動画を投稿する文化だ。ネットには昔からバーチャルアイドルという存在がいたが、Vチューバーはその延長にありつつも人気の加熱ぶりでは史上初ではないかと思う。もう1000人くらいいるらしい。

 

 Vチューバーの動画を見ていると、キャラクター設定に似つかわしくない暴言を吐いたり、アニメ声ではない人間くさい喋りを垣間見せたりした瞬間が非常によくウケている。これは何もVチューバーに限った話ではなく、人間はそういうのが大好きだ。私も好きだ。

 

 ギャップ萌え、という、「不良なのに実は優しい」みたいなアレを好む心理を表す言葉があるが、この場合はギャップ萌えとも少し違う。ある一面だけでコンテンツとして成立させつつ、さらに別のコンテンツをその奥に見出す複雑さがある。それがネットでは特に求められている。

 

「江頭名言」とお重人格理論

 

 私はこれを「お重人格理論」と呼びたい。お弁当箱ひとつでは物足りない消費者のことを考えるべきなのだ。一段目の人格を楽しんで満足する人はそれでいい。それでも食い足りぬという需要のため、二段目に味の違う人格を詰め込んでおく必要があるのだ。重箱に入った弁当のように。

 

 ツイッターのRTなどで「江頭2:50の名言」を見たことはないだろうか。「生まれた時から目の見えない人に空の青さを伝える時何て言えばいいんだ? こんな簡単なことさえ言葉にできない俺は芸人失格だよ(江頭、談)」みたいなのがネットには大量に流通している。その大半は嘘八百なのだが、これはネットの「お重人格」需要が江頭に二段目の人格を作らせたと考えられる。

 

「脱いで暴れる型破りな芸人」という人格だけでも、テレビではコンテンツとして成り立つ。しかし、ネットでは誰もが発信者になり得るので、一面的なコンテンツだけでは受動的にしか楽しめない。

 

 そこで誰かが「型破りな芸人を演じる、真のプロ意識を持った芸人」という二段目の人格を考案した。これによって「江頭2:50」というコンテンツは深みを増し、視聴者として情報を受け取るしかなかった人々も能動的に一段目と二段目を行き来する運動を楽しめるようになったのだ。

 

ネットでウケるにはどうすべきか

 

 Vチューバーは、構造からして「中の人(声優)がキャラクターになりきってアドリブを演じる」という「お重人格」を構成している。一段目にあたる「真面目な委員長キャラ」を演じながら口が滑ってしまっても、それは二段目にあたる「中の人」のコンテンツに吸収され、そちらを豊かにする。失言によってキャラが壊れるということは原理的にないのだ。本当によくできていると思う。

 

 本当にネットでウケたいなら、最低でも二段のお重人格を作るべきなのかもしれない。はじめから二段目を作っておく必要はなくとも、「江頭名言」のような誤解を生む空間を残しておくのは、商売の戦略上わりと重要じゃないだろうか。

 

 たとえばあなたがネットでウケるマンガ家になりたいとする。まずはツイッターに毎日、可愛い猫のショートコミックを載せ、徐々にフォロワーを増やしていく。

 

 数ヶ月も続ければ、あなたは「猫マンガの人」として認知され始めるだろう。だが、これだけでは一面的なコンテンツにすぎない。猫マンガも掃いて捨てるほどある。よほど実力か運がなければ大人気作家にはなれない。

 

 しかし、もしもあなたが毎日激しく筋トレをしていて、全盛期のシュワルツェネッガーのような肉体の持ち主だったらどうだろうか。

 

 そして、いつもの猫マンガではなく、筋肉隆々の自撮りを唐突にアップしたら?

 

 この瞬間、あなたはお重人格を手に入れた。猫マンガというありがちなコンテンツの底に「筋肉」という二重底が出現して、「あの筋肉の人がこの可愛いマンガを描いているのか……」という能動的な楽しみ方をするように仕向けることができるようになったのだ。

 

 そう、ネットでウケるためには、あえて「掘りおこされる余地」を残しておくべきなのである。

 

 

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疑問呈し蟹「それって、別にネットに限った話じゃなくない?」

 

 うわっ、疑問呈し蟹だ。

 

 

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「おじさんがさあ、『壇蜜って、けっこう頭いいんだよ』みたいなこと得意げに言ったりするじゃん。あれと同じなんじゃないの?」

 

 あー。いるよねそういう人。同じことだと思う。

 

「じゃあなんでネットにこだわるの?」

 

 ネットにはそういう「○○って本当は✕✕なんだ」みたいなのを好む土壌が、テレビよりもあるからだね。

  

「ふーん。あとさ、『お重人格』って言葉、わざわざ作る必要あった? 正直、別に目新しい概念じゃないと思うんだけど。二重人格みたいで面白いから語感を優先して名付けてない?」

 

 それは、はい。

  

「でも、そもそもさ。お重人格とか言ったって、人間はいろんな性格の側面をもともと持ってるんだから、コンテンツが評価されれば勝手に二段目三段目の掘り下げはされてくもんじゃないの? 江頭さんだって狙ってるわけじゃないでしょ?

 

 …… そうね。

 

「それをさ、『筋肉をつけてマンガを描こう』みたいな方向でそそのかしても、失敗するような気がするんだけど。狙ってやったことってだいたいバレるし」

 

 うーん、でも、誰もがすごい才能を持ってるわけじゃないからね……。

 

「でも、マンガを描いて筋肉をつけてなんて、それこそ才能がないとムリじゃない? 本当に才能がある人にとっても、あんまりない人にとっても『お重人格理論』ってあんまり役に立たない気がするんだけど……どう?」

 

 ………。

 

 

・ ・ ・

 

 

 言い返す言葉がなくなってしまったので、今回は、このへんで投げることにする。さようなら。

 

 

 

 

 

ライター:ダ・ヴィンチ・恐山

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。作家名義は品田遊。
豚の角煮づくりやSuicaのチャージなど、多方面で活躍中。

ブログ→品田遊ブログ
Twitterアカウント→@d_v_osorezan

 

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じいちゃんとわたし「ケアプランを作る」第7話

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

ジモコロをご覧の皆さん、こんにちは。食いしん坊イラストレーターの杏耶です。

私は母子家庭で育ったため、保育園の送り迎えやゲームの相手になってくれたのはじいちゃんでした。だけど、ある時から祖父の言動におかしなところが増え……

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アルツハイマー型認知症と診断された祖父。まるで別人になってしまったかのような祖父の介護に、母と私は次第に「限界かもしれない」と感じ始めます。

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じいちゃんとわたし「大好きなじいちゃん」 第1話

じいちゃんとわたし「負の連鎖」第2話

じいちゃんとわたし「介護を受け止めること」第3話

じいちゃんとわたし「話を聞いてもらう」第4話

じいちゃんとわたし「ケアマネージャーの存在」第5話

じいちゃんとわたし「仕方ない」第6話

 

この物語は、大好きなじいちゃんを蝕んだ認知症と、家族の絆を描いた漫画です。

 

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介護疲れで心身ともに参っている家族の方の気持ちが軽くなるような、介護にも色んな道があるんだと思ってもらえるよう漫画で伝えたい。

というわけで第7話、気軽に読んでみてください!

  

 

7話「ケアプランを作る」

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

書いた人:杏耶

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食いしん坊イラストレーター、食べることと料理をすることが大好きで、趣味の一環で手軽に作れる様々なレシピを独自に考案、それをイラスト化した「あやぶた食堂」を2015年に発売。その他に丼物オンリー漫画「ド丼パ!」、東北のお酒と郷土料理を紹介したコミックエッセイ「のんで東北たべて東北」も発売中。Twitter ID→ @ayatanponpon / WEBサイト→ http://ayabubububububu.jimdo.com/

 

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深すぎる苔の世界~テラリウムの作り方から珍しい種類まで~

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こんにちは。ライターの菊地です。

先日、ふと立ち寄った雑貨屋さんで見かけたんですが、みなさんこういったものをご存知でしょうか。

 

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これです。「苔(こけ)テラリウム」と言うんだそう。

 

苔と石と砂を使って、ガラス容器の中に風景を閉じ込める、アートな園芸スタイルとのことなんですが……え? これ苔なの!? 本当に? 道路の端っことか、歩道橋の階段の裏に生えてる、アレ?

 

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そう言われてじっくり見てみれば、確かにそこら中に生えてる『苔』。一体どういう植物なの? いや、そもそもあれは植物なのか?

テラリウムには、いろんな種類の苔が使われてるけど、他にはどんな種類があるの?

 

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気になったので茨城県にあるミュージアムパーク 茨城県自然博物館にやってきました。

なんでもここに、めちゃくちゃ苔に詳しい学芸員がいるらしいんです。

 

さあ、さっそく奥深い苔の世界をのぞいてみましょう!

 

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ミュージアムパーク 茨城県自然博物館

住所|茨城県坂東市大崎700

入館料|大人 430円〜、高校・大学生 210円〜、子ども 50円〜

営業時間|9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日|要確認

公式 HP

 

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※ちなみのこの博物館、恐竜のロボットや動物の剥製など色んなものが展示されていて超クオリティ高かったです。

 

 世界最強の植物「苔」って一体ナニモノ?

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右にいるのが、めちゃくちゃ苔に詳しい学芸員、鵜沢 美穂子(うざわ・みほこ)さん。

苔の本に寄稿したり、苔の企画展を行ったりと多岐にわたり活動する、苔のスペシャリストです。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「今日はよろしくお願いします。『苔テラリウム』を見て以来、歩いてる時でもつい苔を探してしまいます。苔ってそこら中に生えてません?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔は、海と砂漠以外なら、どんな環境にも存在すると言われてますね。もちろん、たくさんの種類がありますから限られた場所でしか生きていけない苔もいますけど」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「海と砂漠以外どこでも……じゃあ南極でも?なんつって」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「南極に生息してる種類もいますね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いるんかい!冗談で言ったのに。えーっと、じゃあ火星には?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「漫画『テラフォーマーズ』でそんな話がありましたね。作品内では火星をテラフォーミングするときに苔(とゴキブリ)が使われていました」

 

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「テラフォーマーズ好きなんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔が出てくる漫画はチェックしてます」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「(どんな理由だよ)でもテラフォーマーズは、あくまで漫画の話では?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「いえ、様々な条件をクリアすることが前提ですが、火星でも繁殖できる可能性はあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「どんだけ強い生き物なんだ……。繁殖って、苔は花が咲いたり種を残したりするんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔は胞子で増えるので、花を咲かせることはありませんね。ちなみにオスとメスで増える有性生殖と、自分のクローンを作って増える無性生殖どちらでも繁殖できる種類がいます」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「……はい?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「つまりオスとメスが出会わなくても、子孫を残すことが可能なんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「え、なぜ……?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「理由を聞かれると難しいのですが、動物のように自由に移動できない上に、とても小さな苔が、過酷な環境下で異性と出会うのは至難の技ですよね?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「まあ、たしかに」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そのため、運良くメスに巡り合ったら有性生殖を、出会えなければ無性生殖でクローンを増やしていく、という選択にたどり着いたんでしょうね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「性別の壁って、そんな簡単に乗り越えていいの?」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「他に苔の特徴ってあります?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうですね、乾燥した場合は休眠して耐えられることとか、傷ついても再生するとか、土が要らない種類が多いとか……」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「ちょ、ちょっと待ってください。驚きの生態をサラッと流さないで……! まず、傷ついても再生するというのは?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「驚異的な再生力をもっているので、傷ついても自力で再生して復活するんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「体を再生できるなんて、ドラゴンボールのセルじゃん。いやむしろ、セルは核が傷ついたら再生できないから、苔の方が強い」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「あと、土を必要としない種類が多いって言ってましたよね? そういえば、天空の城ラピュタに登場するロボット兵にも、苔が生えてました。金属の上でも生きられるんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ラピュタのロボットにどんな金属が使われているのかはわかりませんが、条件さえ整えば繁殖は可能です」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いつか人類が滅んだら、地上は苔だらけになっちゃうかも……」

 

 

美しいものから変わり種まで!苔の種類

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博物館の敷地内に苔庭(苔を育てている場所)があるそうなので、ここからは歩きながら話を聞いていきます。

 

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f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ここに生えているのは、ヒナノハイゴケです。鮮やかなオレンジ色を纏うことから、別名クチベニゴケとも呼ばれています。ちょっとルーペで拡大してみましょう」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「本当だ! 先の方のオレンジ色が、口紅を塗っているみたいですね。こうして見ると苔って可愛いかも」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうでしょう? しかもこの苔……」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「何かすごい能力が?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「私の“推し苔”なんです!」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「知らんがな」

 

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f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「自然博物館の敷地内だけでも、100種類を超える苔が確認されています」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「そんなに!? パッと見だと違いが全然わからない。じゃあ通勤中だけでも、何百種類の苔とすれ違っている可能性があるのか……」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうなんですよ。街中ですれ違った苔が記録されるアプリがあったら最高なんですけどね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「鵜沢さんが出会いたい苔ってあるんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ここには生えてませんが、ヒカリゴケなんかは美しくて好きですね」

 

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提供してもらった黄色く光るヒカリゴケの写真。近年は環境の変化により、準絶滅危惧種に指定されている。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「ヒカリゴケ? え、光るの!? 苔が???」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「光るといっても、自ら発光している訳ではないんです。夜にヘッドライトを当てると光ってるように見える道路標識みたいな感じ。反射してるんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「色んな種類がいるんだなー。苔の世界、奥が深い!」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「興味を持ってくれたようで嬉しいです。ではここでちょっとしたクイズをお出ししましょう。苔ってどうして小さいんだと思います?

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いきなりクイズ出してきた。うーん……可愛いから?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「残念! 答えは『湿度の高い場所が好きだから』でした。地面からは、土に含まれた水分が少しずつ蒸発しています。つまり低い場所のほうがが湿度が高いわけです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「なるほど。体が小さい方が地面に近くなるから、効率よく湿度を確保できると」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「その通りです。ではさらにもう一問。地面から離れても湿度が高いような場所では、苔はどうなるでしょう?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「え、さっきの理屈でいうと……大きくなる?

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「正解です! 」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「まじか!」 

 

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鵜沢さんが実際にマレーシアで撮影したドウソニア

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「これは、湿度の高い地域にのみ生息しているドウソニアという苔です。世界で最も背が高い苔で、60cmを超えることもあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「でかっ! それもう木じゃん! そんなにでかい苔がいるんだ」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「面白い苔はまだまだありますよ。例えば、動物の糞や死骸の上にのみ生育するマルダイゴケという苔もいます」

 

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どことなく、禍々しさを感じるマルダイゴケ。海外の寒い地域や高山にしか生息していないため、苔研究家でもあまり見ることができない。

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「胞子が成熟すると糞(ふん)のような匂いを出して、ハエをおびき寄せるんですよ。寄ってきたハエに胞子を付着させて、糞や死骸の間を運ばせます。その性質から、『糞ゴケ』と呼ばれることもあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「すごい不名誉なアダ名だなぁ……」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「みんな一生懸命、生き方を工夫して生存競争を生き延びようとしてるんですよね。どうですか? 苔、めちゃめちゃおもしろくないですか?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「めっちゃめちゃ興味深いです。僕はテラリウムで苔に興味を持ったんですが、今日一日ですごく好きになってしまいました。自分でもテラリウムを作ってみようかなぁ」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「良いですね。じゃあ、せっかくなので、この苔庭でテラリウムに適した苔を採集してみましょう!」

※博物館内では普段、動植物の採集は禁止されています。この日は特別に許可をもらって採集しました

 

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これはヒメタチゴケという種類の苔。細長く伸びている先っちょに、胞子の入った袋がついています。

 

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同じように見えますが、こちらはコツボゴケという種類。

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plainこういった種類の苔をテラリウムに入れると、立体感が出るので、良いアクセントになると思いますよ! さあ、この道具で採ってください」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「これは、もんじゃ焼きのヘラ……?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「もんじゃのヘラ、すごく使いやすいんですよ!」

 

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というわけで、僕も採集にチャレンジ。苔テラリウムでも人気だというハイゴケの採集に成功!

 

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続いて、葉が毛のようにフサフサしているナガヒツジゴケもGET!! 自分で採ると、愛おしく思えてくるから不思議。

 

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ちなみに、苔の上を踏んで歩いていいのか聞いてみたところ、『同じところばかり踏まなければ大丈夫』とのこと。

 

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それよりも、こんな感じで土から剥がれて裏返ってしまうと、光合成ができないし乾燥して枯れてしまうのでよくないんだそう。

見つけたら、元通りにひっくり返して軽く踏みつけると、地面にそのまま定着しやすいらしいです。

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「よーし、これでテラリウムが作れるぞー! 作り方は知らないけど!」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「それでしたら、鎌倉に苔テラリウムを作っている苔専門店があるので、ご紹介しますよ」

 

※苔を採集する時は、そこが採集可能な場所かどうかを確認しましょう。特に自然度の高い山などでは避けたほうがいいです。採りすぎてしまうと生態系に影響が出るからです

 

 

苔の専門店「苔むすび」でテラリウムを教わってみた

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こちらが、鵜沢さんにご紹介いただいた苔専門店、その名も『苔むすび』。

 

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オーナーの園田純寛(そのだ・すみひろ)さんに、苔テラリウムの作り方を教えてもらいましょう。

 

苔むすび

生きた苔を使ったインテリアや苔テラリウムの製作や販売、ワークショップなどを行う苔の専門店。

住所|神奈川県鎌倉市由比ヶ浜2丁目4番地22

営業時間|11:00 - 16:30

定休日|要確認

公式HP

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園田さんの作った苔テラリウム。

 

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こういう作品もあります。すごい!

 

苔テラリウムに必要な材料一覧

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 用意するものはこんな感じ。

・苔

・土(園芸用の土でも可)

・お好みで石

・ハサミ

・ピンセット

・霧吹き

※瓶やピンセット、ハサミ、霧吹きは100円ショップのものでもOK(ピンセットは先が曲がってるタイプのものが使いやすいです)

 

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苔テラリウムに適している品種ということで、園田さんが選んでくれたのがこの3種類。左からタマゴケ、ヒノキゴケ、ホソバオキナゴケ。

湿度の高い場所を好む苔の方が、瓶のような密封された環境には向いているそう。

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「では僕が実際にお手本を作りながら教えていきますね。まずは瓶の3分の1くらいまで土を入れます。土の表面は平らにするんじゃなくて、勾配をつけてあげると立体感が生まれてオシャレに見えます」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「わ、本当だ! 勾配をつけた途端、断然それっぽくなった!」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「次に、石を配置していきます。大きいものから順に位置を決めると収まりが良くなりますよ」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「どんな石でも良いんですか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「基本的にはお好みで大丈夫ですが、海が近い場所で採ってきた素材は、アルカリ性に寄っていることが多いので避けた方がいいかもしれません。あと、人の敷地からは採集しないでくださいね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「材料に関しては、専門店で買っちゃうのが早いかもしれませんね」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「続いてピンセットで苔を植えていくわけですが……この時、ピンセットの先端が苔より前に出ているようにしてください。苔のほうが先に出ていると、土に負けて曲がってしまい上手く刺さりません」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「それさえわかれば、あとは自分の好きな場所に苔を配置して大丈夫です」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「何を意識して配置すればオシャレに見えますか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「うーん。人それぞれのセンスとしか言いようがないんですけど……強いて言うなら、背の高い苔は後ろの方に配置した方が収まりが良いかな」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「皆さんこんな感じで、好きな動物のフィギュアを入れたりもしますね。苔テラリウムには正解があるわけじゃないんで、楽しんでやることが一番です」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「できました」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「早っ! 20分もかかってないですね」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「僕は慣れているので、このくらいの時間で作れますが、初心者の方は1時間くらいかかるかもしれません」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「完成した苔テラリウムは、どういうところに置いたらいいんですか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain直射日光には当てないほうがいいですね。かといって暗い場所もよくないので、“なるべく明るい室内”に置いてください。置き場所と管理がよければ2年程度はキレイな状態を保つことができます」

 

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※この時作って頂いた作品は、後日 苔むすびさんにて『ジモコロ』という名前で販売されました。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「よ~し! 苔テラリウムの作り方、大体コツが掴めました! 僕もオフィスに帰ったら、早速作ってみようと思います!」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「はい、頑張ってくださいね!」

  

 

~その日の夕方、オフィスにて~

 

 

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というわけで、博物館の苔庭で採取した苔を使って、園田さんに教わったとおりに土の

勾配や配置を工夫して、自分でも苔テラリウムを作ってみました。

 

所要時間は1時間くらい。やってみるとわかりますけど、ほんのちょっとしたバランスにもこだわってしまうので、まったく退屈しません。

めちゃくちゃ楽しい。

 

そして完成したのがこちら!

 

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バァーーン!

 

動物のフィギュアを入れようかなとも思ったんですが、せっかくだから自分が好きなアニメのフィギュアを封入してみました。

僕の好きなレイジュたんが、森の中で天使のように遊んでいるみたい!素敵!

 

……と自分では思ってたのに、会社の同僚にはすこぶる評判が悪かったです。

園田さんに「苔テラリウムに正解はない」って言われたハズなんですけど、これ……ありですよね?

自分では超気に入ってるんで、大事にしたいと思います!

 

 

まとめ

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いかがでしたか?普段は何気なく道端で見かける程度の苔。しかし調べてみると、そこにはめちゃくちゃ奥深い世界が広がっていました。

 

さらに苔テラリウムは、作っていて楽しいし眺めていれば癒される、ストレス社会に生きる僕たちにピッタリの趣味! みなさんもこれを機に、苔の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

 

それでは今日はこの辺で! 失礼いたしますー!

 

 

(おわり)

 

書いた人:菊地誠

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自社メディア事業を手がける西新宿のデジタルマーケティング企業、株式会社キュービックのPR担当。Webディレクター兼ライター。タイ人と2人で暮らしています。動物とぬか漬けが好き。Facebook:菊地 誠 / Twitter:@yutorizuke / 所属:株式会社キュービック

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 26話「ネズミの恩返し」

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<柳田さんと民話・一覧>

26

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

1話~10話までをまとめ読み

11話~20話までをまとめ読み

 

 

「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

「ゴールデンカムイ」で興味を持った人へ |アイヌってこんな人たちでした

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こんにちは! ライターのギャラクシーです。北海道に来ています。

後ろは「天に続く道」と呼ばれる知床の観光スポット。インスタ映えしそうでしょ?

※ちなみに道の両脇にはめちゃめちゃ牛フンが積まれていました。

 

さて、なぜ北海道まで来たのかというと、あるマンガを読んだからです。

それは……

 

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ヤングジャンプで連載中のマンガ、今春からアニメ化もされる作品『ゴールデンカムイ』!

 

www.kamuy-anime.com

 

「アイヌの隠し財宝」を巡って、主人公・杉本や、土方歳三、陸軍など、様々な目論見を持つ集団が入り乱れての争奪戦!

……というのが大体のあらすじなんですが、舞台が北海道であり、そして何より、すごく詳細にアイヌ文化に触れているのです。

 

「アイヌ文化めっちゃカッコエエ~!」

 

このマンガを読んだ誰もがそう思うはず。

知りたい! アイヌの人々ってどんな文化を持って、どんな生活してたの?

 

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バッサバッサバッサ……

 

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詳しく知りたかったので、釧路にある『阿寒湖アイヌコタン』にやって来ました。

ここはアイヌの民芸品店や、アイヌ料理のお店などが数十店も立ち並ぶ観光スポット。

 

さっそく詳しい人にお話を聞いてみましょう!

 

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阿寒湖アイヌコタン

北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4−7−84

公式HP

 

 

アイヌとはどういう民族なのか

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話を聞いたのはこの方。

阿寒アイヌ工芸協同組合理事であり、阿寒アイヌ協会副会長の床 州生(とこ しゅうせい)さん。

 

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ちなみにインタビューした場所は、床さんが店長を務める民芸品店『ユーカラ堂』の、店内です。

 

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「今日はよろしくお願いします。『ゴールデンカムイ』という漫画を読んでアイヌ文化に興味を持ちました」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「最近はあのマンガの影響で、アイヌに興味を持ってくれる人が本当に増えました。作者の野田サトル先生は、ここ(阿寒湖アイヌコタン)にも取材に来てくれたんですよ」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「おぉ。実はここへ向かう道すがら、色んな場所で土地の人に話を聞いたら、『ゴールデンカムイの取材が来た』とおっしゃる人が多かったんです。各所でものすごく綿密な取材を行って描かれてるみたいですね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「素晴らしい作品ですよ。アイヌの僕ですら知らない狩りのやり方が描かれてたりして勉強になっちゃう。『へ~、そうなんだ』って驚いたりするよ」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「本物のアイヌの人から見てもすごい作品だと」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「春からはアニメ化されるんでしょ? アイヌの文化が横方向に広がっていくのは素晴らしいよね。僕の知人が作ったマキリ(小刀)がマンガの中に出て、クレジットされてるのを見た時には、誇らしい気持ちになったし」

 

マキリ(小刀)

動物を解体する、魚をさばくなど多目的に使用する。男女ともに、いつも腰から緒でさげていた。鞘や柄は、木や骨で作り、文様を彫った

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「ではさっそくアイヌの文化についてお話を聞かせてください。アイヌといえば文字を持たず、口伝のみの民族ですよね。アイヌ語の発音も日本語っぽくなくて、不思議な印象を受けます」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「日本語っぽくないかな? 誰もが普通に使ってるシシャモとか、ラッコトナカイなんかはアイヌ語ですよ」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「えっ、トナカイってフィンランドの言葉じゃなかったんだ!」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「あと、ファッション誌の『non-no(ノンノ)』も、アイヌ語で花って意味だけど……これは、どうだろう。確認してないからちょっと断定はできないかな」

※後で確認しましたが、アイヌ語からでした!

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「我々は知らずにアイヌ語を使っていたのか……。ちなみにアイヌ語で『こんにちは』は何と言うんですか?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain『イランカラプテ』かな。アイヌには“おはよう”とか“こんばんは”みたいに、時間で挨拶を変える習慣はないんで、どんな時間帯でもイランカラプテだけで大丈夫です」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「昼夜逆転したフリーライターなんかには最適な挨拶ですね。他にも日常会話に使えるアイヌ語があれば、教えてください!」

 

というわけでいくつか教えてもらいました!

 

イランカラプテ|こんにちは

イヤイライケレ|ありがとう

ヒオーイオイ|(カジュアルな)ありがとう

ピリカ|良い・美しい(英語のgoodみたいな意味)

ヒンナ|おいしい(いただきます・ごちそうさまという意味でも)

イクアン・ロー|乾杯(アイヌの人はお酒好きが多いらしい)

スイ・ウヌカラン・ロー|さようなら

オソマ|うんこ

シ・タクタク|うんこの塊

 

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「みなさんも、日常会話にさり気なく使用してみてください」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「『うんこの塊』を日常会話で使う機会って、ある?」

 

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「アイヌの人々の日常生活ってどういうものだったんでしょう。なんとなくストイックな人々というイメージがあるんですが、例えば恋愛観とかは? 結婚は自由恋愛だったんでしょうか」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「親が決める場合もあるけど、それがイヤなら拒否する自由はありました。婚約すると、男性は小刀の鞘や柄に装飾を施して、女性への贈り物にします

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「プレゼントにしては、えらく物騒な物を……」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「細かくて美しい装飾を彫れるということは、道具の扱いに長けているということ。生活する能力に優れているアピールでもあったんです」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「あぁ、なるほど! 女性側からはプレゼントしないんですか?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain女性は、男性の身の丈に合った衣装を作って送ります。手甲や足甲などの場合もありました。アイヌの間では、良い道具や、かっこいい衣装を着ている人ほど、優れた人と言われるんです。生きていくのに、そういった腕が必要だったから」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「質実剛健なのにおしゃれさんだったんですね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「全体的に、排他的ではなくおおらかな恋愛観だったみたいで、ロシア人との交わりもありました。そのあたりは、ゴールデンカムイでも核心になってくると思……」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plainストーップ! まだ読んでない人がいるかもしれないので、この話ストップ!」

 

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「小刀や服を送り合って、お互い気に入ったら結婚という流れなんですよね? 結婚生活はどういうものだったんでしょうか」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「アイヌは男性と女性の役割がハッキリ分かれてたんです。男は狩りと、儀式に使う道具の作成が役目でした」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「『ゴールデンカムイ』のアシリパさんみたいに、女性で狩りをやる人は異質だったんですね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「異質どころか、狩りの時は、絶対に女性を連れて行ってはいけなかったですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「銃のない昔は、どういう武器を使って狩りをしたんでしょう?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「武器は毒矢がメインですね。トリカブトの毒を使いました。道東(北海道東部)のトリカブトは特に強力らしくてね、人間に当たるとイチコロですよ(笑)」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「そんな怖いことを笑顔で言わないでください。とにかく男性は狩りをしていたと。では、女性は何をしてたんですか?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain女性は家事と、酒を作る役目ですね。酒を作れるのは、生理の終わったお婆さん……しかもフチ(尊敬されている年長者)しか作れませんでした」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「な、なぜわざわざ生理の終わったお婆さんを? フランスみたいに、処女がブドウを踏んでワインを作るほうが、イメージ的にうれしいというか……そんな気、しません?」

 

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「…………」

 

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「まぁね……」

 

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「いや(笑)、アイヌではフチ(尊敬されている年長者)が大事にされてたってことでは? “狩りに女性は連れていかない”という話をしましたが、逆に、酒を作っている樽の近くには、男は近寄れなかったそうです。女だけの神聖な行為だったんですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「生理=性欲=穢れ、みたいな考え方だったのかな。老婆はそれを超越した存在だから、神聖な酒造りを任されていた……?」

 

 

アイヌのグルメ・ファッション

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「アイヌというと狩猟民族のイメージでしたが、お酒を作るってことは、農耕もやってたってことですか?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「ヒエ、アワ、キビの農耕をやってたそうです。そういった穀物でだんごなども作られるようになって、それがごちそうだったんです」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「他にはどんなものを食べていたんでしょう」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plainクマやシカの肉、山菜などですね。『ゴールデンカムイ』でもよく登場しますが、それらを鍋にしたりして食べていました」

 

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文字だけだと想像しにくいので、取材が終わった後、実際にアイヌ料理を食べてみました。

こちらは阿寒湖アイヌコタンにある『民芸喫茶ポロンノ』

 

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▼ユック(鹿肉)のオハウ(汁物)とご飯

ごはんには雑穀が入ってます。奥にある赤黒いかたまりはメフンといって、鮭の腎臓だそう。塩辛をさらにエグくしたようなクセのある味ですが、僕はめちゃ好きでした

 

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鹿肉トロットロでおいし~い!! あっさりした塩味の汁、いわゆるすまし汁ですね。あったまるわぁ~……

 

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▼ラタスケップ

かぼちゃを豆やとうもろこしなどと一緒に煮込んで混ぜ合わせたもの。アイヌ料理の香辛料としてよく使われる「シケレベ(木の実の一種)」が入ってて、甘さの中にしびれるスパイシーさがあります。独特の味ですね。

 

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▼ポッチェイモ

発酵させたジャガイモをザルでこして乾燥させ、水で戻して焼いたもの。
もちもちモコモコした食感。素朴な味ですが、バターの塩気が効いてます!

 

www.poronno.com

 

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「『ゴールデンカムイ』に限らず、アイヌが登場するマンガって結構ありますよね。『無限の住人』とか。それらに共通するのって、“服装がカッコイイ!”ってことだと思うんです」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「文様が入ってたり、樹皮で作られてるやつね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「それそれ! かっこいいですよね~! 着心地はどうだったんですか? 樹皮の服ってゴワゴワしそうなんですけど」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「いやいや、すごく柔らかいんですよ。樹の皮を春に採って、温泉につけたりして繊維をほぐし、糸にして織ったものを服にしたわけです。皮のまま着てたわけじゃないです」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「あぁ! 皮のままだと思ってた! 竹かごみたいな着心地なのかと」

 

竹バスケット 丸型23cm 04-69

竹バスケット 丸型23cm 04-69

 

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「そんなの着てたら、全身擦り傷だらけになるでしょ!」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「北海道は、他の地域と違って“寒さ”というネックがありますよね? 特に昔はダウンジャケットなんか無かったわけで。寒くはなかったんですか?

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「もちろん寒かったでしょうね。なので、鹿や熊など、動物の皮で作った服を防寒着として着ていました。サハリンや千島など、特に寒い地方に住んでいたアイヌは、鳥の羽毛で服を作ったらしいですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「ドンキホーテ・ドフラミンゴじゃん」

 

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain魚の皮で作った服もあると聞きました。狩猟をやってた民族なので、動物の皮は手に入りやすかったはずなのに、なぜわざわざ魚の皮を使ったんでしょう」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「魚の皮(鮭など)で服や靴を作ったりしていた理由は、風や水を通さないからですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「そうか! 昔はビニールやナイロンがなかったから、防水の素材というのが魚の皮だったんだ!」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「『ゴールデンカムイ』ではイトウの皮で作ってましたね。ちなみに阿寒湖ではイトウを養殖してたんですが、またたく間に食物連鎖の頂点に立ってしまって……一時期『イトウしか釣れない!』という緊急事態になりました」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「幻の魚じゃなかったのかよ……。それにしてもアイヌの衣装って、同時代の日本の服に比べても、レベルが高いように感じます」

 

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f:id:jimocoro:20180328154829p:plain服に関しては文化レベルが高かったと思います。ひとつは、さっきも言ったけど、アイヌは服装や装備がその人の能力を表すとして、とても大事にしていたから」 

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「ひとつは……ということは、他にも?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「もうひとつ、アイヌは古くから交易を盛んに行っていたというのがあります。ロシアや、ロシアを通して中国から絹織物なども入ってきた」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「本州では、江戸時代から幕末くらいまでは鎖国でしたね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「その間もアイヌは普通に中国から輸入した絹とかを扱っていた。蝦夷錦(えぞにしき)といって、本州の侍なんかが欲しがったそうですよ」

 

▼蝦夷錦

江戸時代、中国からサハリンを経由し、北海道に至る交易路があった。アイヌたちは「蝦夷錦(えぞにしき)」と呼ばれた中国の織物などを手に入れ、それを松前藩が将軍に献上したことで江戸にも広がった 

 

 

アイヌの民話・伝承

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「『ジモコロ』では、地方の民話を聞くことをライフワークにしている男のマンガ『柳田さんと民話』が連載されています。アイヌにも特有の民話はありますか?

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「たくさんあるんだけど、すべて“口伝”だから、正確じゃなかったり、地域によってかなり違いがあったりするんだよね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「床さんが聞いたバージョンで構いません。一番有名なものは何でしょう? 『桃太郎』みたいな」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「では、『アイヌラックル』の話をお教えしましょうか」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「わ、楽しみ!」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「その昔、多くの山菜がとれる山がありました。アイヌたちは、普段はその時食べる分だけを採っていたんですが、ある時、大量に採ったら来年は採集に出かけなくてもいいんじゃないか?と考えたんですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「なんと愚かな……」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「村人たちはみんなで山にでかけ、山菜を根こそぎ採ったんです。当然、山に住む動物は食べるものもなくなって、死んでしまいました。その土地の地下からは、黒い霧が出てきて、何年も作物が育たなくなったそうです」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「黒い霧!?」

 

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f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「困った人々は、神さまに相談しました。神さまによると、その土地の地下に悪い神……魔王と魔女がやってきているというのです。彼らを退治しなければ、人の国に実りはやってこない」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「人と悪神との戦争……この物語には英雄とか出てくるんですか?」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「出てきますよ~! それがアイヌラックルです。アイヌラックルは神の子ですが、地上で人間とともに育ちました。だからアイヌ語で『人間くさい神』という意味のアイヌラックルと呼ばれていました」

 

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「アイヌラックルという言葉の印象で、なんとなくアライグマみたいな絵を思い浮かべてましたが、カッコイイ青年にイメージを変更しました」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「彼は人々といっしょに魔王征伐に向かい、縦横無尽に空を飛んで戦いました。しかし、魔王と魔女も悪神とはいえ神。やがて、アイヌラックルは追い詰められていきます。いよいよアイヌラックルの最期という、その時……!」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「ど、どうなるの……」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「婚約者である白鳥姫が現れ、宝刀を授けました。その宝刀を抜いただけで魔王の手下はすべて死に、空から一振りすると魔女が倒れました。残る魔王は倒しても倒しても復活してくるんですが、最後には天から雷が宝刀に落ち、カムイ・イメル(稲妻を宿した一撃)で鎮めることができたのです」

 

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「『ダイの大冒険』のギガストラッシュ……!」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「神さまは人々を集め、こう言いました。『魔王は、あなたたちが山の恵みを独り占めしたからやってきたのだ』と。まぁつまり、人間だけではなく、動物たちにも分け与えなさい、というお話ですね」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「なるほど。おもしろかった~! 普通にアニメで見たいですね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「こういう話を聞いた人は、他の誰かに話す時、もっとおもしろくして話さなければならなかったそうです。だから、地域によって家族によって、色んなバージョンが生まれてしまうんです」

 

 

今後のアイヌ

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f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「今日はおもしろい話がたくさん聞けて、すごく楽しい取材でした」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「僕も楽しかったですよ。色んなテレビや新聞、雑誌なんかの取材を受けてきたんだけど、聞かれるのはアイヌの暗い過去や、重々しい民族的主張なんかが多いんです。楽しい話も聞いてほしいなぁ~と思ってたから」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「そう言っていただけるとありがたいです」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「『ジモコロ』のHPを見て、やっと若い人が入り口にしやすいメディアが取材に来てくれるようになったかと、ホッとしています。阿寒湖アイヌコタンでは、アイヌの文化を明るく楽しく伝えていきたいと考えてるんです」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「まず『入り口を作る』ってすごく大事な考えですよね」

f:id:jimocoro:20180328154829p:plain「僕らはこれからも、アイヌ文化は楽しいよ、かっこいいんだよ、っていうのを伝えて、お客さんにアイヌのことを知ってほしいと思ってます。アイヌのことをもっと知りたくなったら、またいつでも遊びにきてください」

f:id:jimocoro:20180328154817p:plain「ありがとうございます! 是非プライベートで伺います!」

 

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というわけで、今回は『ゴールデンカムイ』を読んだ勢いで、北海道の阿寒湖アイヌコタンまで行ってみました。

謎に包まれたアイヌ民族のこと、少しわかって頂けたのではないでしょうか。これで、春から始まるアニメが100倍楽しくなるかも?

 

ここを入り口に、もっと文化を知りたい、歴史を知りたいという人が増えたら幸いです。では、スイ・ウヌカラン・ロー(さようなら)!

 

 

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阿寒湖アイヌコタン

住所|北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4−7−84

公式HP

 

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阿寒湖アイヌコタンでは、併設された『阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉』にて、アイヌの民話や踊り、人形劇などを上演しています。

 

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舞台を見せてもらいましたが、川が流れてたり、炎が噴き出したりと、すごい演出!そして衣装が豪華絢爛!

1回30分で料金1080円(小学生は540円)、サクッと見れるので、ぜひお楽しみください

 

 

 (おわり)

 

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

東大院卒・TOEIC満点ー中学3年の夏、僕は中卒で大工になるはずだった...

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「5G(第5世代移動通信システム)」「ブロックチェーン」「量子コンピューター」——。

 

日々そんなテクノロジーのトレンドを追いかけながら、ビジネス領域で編集者・ライターとして活動している長谷川リョーと申します。

 

「東京大学大学院にて学際情報学の修士課程を修了し、新卒でリクルートホールディングスに入社。現在は独立し、編集チームを主宰する」

経歴だけをみると、「エリートだ」なんて言われることも少なくありません。

 

それでも、もうひとつの人生があったとしたら、パラレルワールドで生きる僕は中卒で大工として働いていたんです。確実に。むしろその世界線で人生を歩んでいる確率の方が、断然高かった。

 

中学3年生の夏前、ある主婦の女性に出会うまでは..….。

 

 

“do”と”does”の違いも分からなかった中学3年の夏

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中学校の卒業アルバム。勉強はまったくせず、毎日サッカー部で精を出してました

国語3、数学3、社会3、理科3、英語1。

 

学校の成績はだいたい平均、むしろ少し苦手。小学校時代は野球部、中学に上がるとサッカー部に所属し、ただただスポーツだけを楽しみに毎日過ごしていたように思います。

 

それもそのはずで、両親をはじめ、親戚のなかで大学まで進学している人がほとんどいません。父方の家系はお爺ちゃん、お父さん、お兄ちゃんがパティシエ。母方は大工と、みんな手に職のある生き方をしています。

 

両親は活字をまったく読まない人で、本なんか家には一冊もない。その意味で、決して文化資本には恵まれていませんでした。

 

 

学年ビリから1位へ。同じ人間のスペックに大差はないと悟る

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これは27歳になった今だからこそ言えることですが、大学から大学院へ進学する過程で気づいたことがありました。

 

「“人間のスペック”に大差はない」。

 

そもそも生物種として異なるチーターと比べれば走力の差はあるけど、同じ人間同士では、基本の走力に大きな差はない。それでも違いが生じるのは、環境が異なるから。この一点に尽きると思います。

 

家庭や学校という、幼少期から青年期までに身を置く小宇宙において、思考や価値観、自己肯定感は徐々に根を張り形成される。当然、小中学生当時の自分がこのような客観視、相対化をできていたはずもなく……。

 

「俺は勉強ができない。親だって、叔父さんだって、兄弟だってそうなんだから」

 

そんなふうに自分で決めつけた箱の中に収まることで、自己暗示をかけていました。

 

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高層ビルとタワーマンションに囲まれた地元

とりわけ苦手な科目だったのが「英語」。

中学3年生の夏頃まで、”do”と”does”の違いも分かりませんでした。

 

英語(というか言語一般)は基礎の基礎の文法をおざなりにすると、そこから続いていく発展的な文法や構文など、1mmも頭に入らないし、入りようもありません。

 

中学1年生から初めて習う英語に対し、初回から数回の授業をまったく聞いておらず、その後の3年間で苦しむことになったと記憶しています。

 

聞けば、受験において英語は最重要科目。頭を抱えながら、当時の僕が思った進路が二つ。

 

①名前を書ければ入れる商業高校に進学する

②お爺さんと叔父さんと同じように中卒で大工になる

 

結果として、どちらの道も進みませんでした。

 

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ここで今回の主題に戻ります。

 

前述したように中学校の英語の期末試験はいつもビリから数えた方が早い順位でした。しかし、恩師の主婦の方に英語を教えてもらい始めてから、卒業前の最後の期末試験では学年1位に躍り出ることになりました。

 

勢いそのままに、なんと僕は順天高校の「英語科」に進学することになります。

 

その1年後にはアメリカに留学し、フロリダ大学に入ると英検1級、TOEIC990満点を取得。

完全に英語の呪縛から解き放たれたのです。

 

どうやって僕の人生は急旋回し、今の僕が在るのでしょうか?

 

 

主婦だった恩師との出会いから人生が急展開

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いまでも工事現場を通り過ぎるたび、そこで働いていたかもしれない、もう一人の自分の姿を見ることがあります。

 

人生はひょんなことから、たった一人の恩師との出会いから、いかようにも針路を変えていく。

 

僕の人生を変えてくれた戸塚はるみ先生は、母親の友人の犬の散歩仲間だった主婦の方です。

 

英語が最大のネックとなり、進学を諦めかけていた当時。母親が戸塚先生に頼み込み、受験まで残り1年を切って絶体絶命だった僕に英語を教えてくれることに。

 

出会いから約10年が経つ今から振り返ると、僕は戸塚先生の英語塾の1期生であり、この出会いをきっかけに生まれた戸塚先生の塾は、地元でも評判の英語塾になっていきます。

 

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サッカー部が終わると毎日のように自転車を漕ぎ、先生のお宅へ。

 

塾とはいってもそれらしい教室があるわけではなく、戸塚先生のご自宅の机で教えてもらうだけ。

 

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僕の人生の分岐点を辿るべく、今回約10年ぶりに先生の元を訪れることに。今年のはじめに塾の最後の生徒を送り出したばかりだという、あの頃となにも変わらない戸塚先生が温かく迎えてくれました。

 

 

帰国子女に敵わないと悟り、すぐさまアメリカへ留学

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f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「リョーくん、おひさしぶり! こうやって再会できてうれしいわ」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「ご無沙汰してます。10年ぶりですかね。先生が僕に英語を教えてくれたことによって人生が大きく変わったので、当時の話を聞きたくなったんです」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「あーそうなの(笑)。英語を教える話をもらったころは受験までの時間も少なかったし、はじめは『無理』ってお断りしたのよね。それでもお母さんがみえて、『なんでも言うことを聞きます』って強くお願いされて」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「そうでしたっけ...。先生に教えてもらえることになったはいいものの、本当に中学1年生で習う初歩の初歩もはじめは分からなかったんです...」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「でも根性はあったわよね。『とりあえずここまで覚えてらっしゃい』というと、次の授業までには必ず覚えてきてた」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「最初はそれこそ本当に気合だけで活用や単語を覚えていったんですが、一通り覚えた頃から、英語そのものが楽しくなっていったんです」

 

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f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「私、いつも生徒にこう言うの。『英語を勉強だと思ったらつまらないわよ』って。英語ができると、世界がものすごく広がるから。私自身が経験してきたことを生徒に話しながらそう言い続けてきた」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「覚えてます。『英語ができるようになった!』といい気になってた矢先、英語科に入学した僕は、英語がペラペラの帰国子女たちに圧倒されたんです。『このまま勉強だけしてても、絶対にコイツらには敵わない』。そこですぐに先生の言葉を思い出して、留学することにしました」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「それで私がある留学団体を紹介したのよね」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「はい。紹介していただいた団体を通して留学準備を進めつつ、地元のもんじゃ焼き屋でひたすらバイトに明け暮れました。平日は学校終わりの5時間、週末は11時間くらい。わずかな休憩時間で英単語を覚えたりもして。それで無事にアメリカのオハイオ州へ1年間留学することができました」

 

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アメリカの片田舎にある高校へ一年間の交換留学に。アジア人は自分だけで、完全に日本語がシャットダウンされた環境。ホストファミリーにも恵まれ充実した日々を過ごしました

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「それはやっぱり、根性があったから。その先の活躍をみても、私にとってリョーくんは自慢の人なんですよね」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「ありがとうございます。アメリカから帰ってきたらすぐ受験だったので、あまり勉強してなかったんですよ。英語で一点突破できるところしか受けれなくて…それで青山学院大学(青学)の国際政治経済学部に進むことになりました。その報告をしたら、実は先生も青学で」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「そうそう。文学部仏文科」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「そこで、また縁を感じました」

 

英語学習のコツは一つ。「やるだけ」

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f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「あれだけ英語が苦手だった僕が、1年弱で学年ビリからトップまで一気に登りつめられたのが今でも不思議なんです。もちろん先生の教え方があってこそなんですけど」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「あの頃は私もまだ若かったから、宿題はたくさん出すし、とにかく厳しかった。あと、新しく来た生徒に対しては、親ではなく本人に必ず意志を確認するんです。『私と約束できないならお断り。よーく自分で考えてから決めてちょうだい』って生徒にいうのよね」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「今から振り返ると僕が1期生になりますが、やっぱりその後の生徒も英語はかなり得意になったんでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「1クラス4人以上は採らないようにしているから、塾の生徒数は多くありません。けど、その数人のなかから、地域にある3つの中学のトップが出ていたんです。高校受験の全国模試も、英語だけなら1位の子が何人かいました」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「全国模試の1位はすごいなあ....」

 

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f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「とにかく基礎から厳しく教え込みましたから。覚えるだけの不規則動詞なんてタコができるくらいに」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「覚えてます! 部活終わりのフラフラなときでも、いただいた活用の表を何度も繰り返し、頭に叩き込んでた記憶があります。とにかくもうがむしゃらに。どんどん英語が分かるようになるにつれ、僕は初めてあることを悟ったんです。自分は頭が悪いのではなく、ただやってこなかっただけなのだと」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「勉強自体をやったことがなかったのね」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「はい。親戚をはじめ周りに大学まで行った人がいなかったこともあると思いますが、自分は馬鹿で勉強ができないと思い込んでいた。だから英語という一つの教科を集中的に学習することで、『やればできる』という当たり前のことに気づいたんです」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「私が発掘してあげたみたいね…(笑)」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「世の中の仕組みというと大袈裟なのですが、人間にはそれほど個体差がないことを悟ったといいますか。能力に有意な優劣はそれほどなく、単に『やるかやらないか』が道を分けることに気がついたんです」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「私の第一目標はとにかく、生徒に英語を好きになってもらうことだけなの」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「本当に先生のおかげですね。だからうちの母親はいつも僕にこう言うんです。『お前はたまたま戸塚先生に出会えたから今の自分がいるだけ。決して他の人を見下したり、天狗になってはいけない』と」

 

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東大入学時、なんでもできると天狗になっていた頃です…恥ずかしい…

 

 

英語科目を学校からなくせば、みんな喋れるようになる

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f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「そもそも、私はずっと文部科学省に言いたいことがあるんです」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「と、いいますと?」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain英語を学校の教科から外せば、みんな話せるようになるんです。読み書きばかりだから、英語ができるようになっても、話せるようにならない。座学に固執するんじゃなくて、もっと楽しめばいい」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「たしかに、難しい日本語の文法用語を持ち込む必要なんてないですよね」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「そもそもが言葉なので、本来はコミュニケーションをするための道具でしかない。英文学が読みたい人は大学で学べばいい。私は英語学習にそういった考えを持っているんです」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「先生がこれまで生徒に英語を教えてきたなかで、伸びる子の特徴はなにかありますか?」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plainそれは…ないんですよ。どうやったら身に着くかといえば、語学の場合、繰り返しやるしかない。英語は中学1年生からスタートじゃないですか。これが数学だったら、足し算引き算ができない子に、その先は教えられないんですよ」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「はい、はい」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「英語はひらがなを覚えるのと同じで、中1は初歩の初歩から始まるので、やればできるようになる。他の教科の先生だったら、そうはいかないと思います」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「英語だからこそ、だったと」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「ええ。リョーくんと同じように勉強全般が苦手だったある女の子も、英語だけは学年で1番になったことがあったんです。その子が通ってた学校の先生から電話がかかってきて、『私の子供を教えて下さい』ってその先生に頼まれたこともあります(笑)」

 

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f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「僕も学校の先生が授業の度に、僕が英語ができるようになっている様子に驚嘆してるのが一つのモチベーションでした」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「うちに来た当初はどうしたものかと思ってましたが、本当によく頑張ってくれた成果ですね。私は宿題に関しては必ず『誰にも聞かないでやって』とお願いしていました。その上でできない部分を理解させるために、うちで教えていましたから」

 

 

教科書は丸暗記せよ。口に出し、手を動かせば覚える

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f:id:tmmt1989:20180409130411p:plainTOEICで満点をとった』と話すと必ず勉強法を尋ねられるのですが、答えはシンプルで。これと決めた参考書一冊がボロボロになるまで、隅から隅まで憶える。そして他の参考書に逃げないことですね。先生に教わっていた当時も『英文法解説』(江川泰一郎著、金子書房)をバイブル的に読み込んでいた記憶があります」 

英文法解説

英文法解説

 

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「そうそう、そうね。私も試験のときは、教科書を全部覚えさせるの。それこそが勉強の仕方。全部覚えてるから、試験はとても楽なんです。理科でも社会でも同じ。だって、教科書に1番大事なことが書いてあることがわけですから」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「とても共感します。英検1級も一発で受かったのですが、そのときも単語帳一冊丸暗記しただけです」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「でもそれはリョーくんの記憶力が良いってことですよね」

 

f:id:yowami:20180406235619j:plain

「いや、あるとき掴んだんですよ」

 

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain読みながら、書きながら、声を出しながら、その瞬間に使えるすべての感覚器官を総動員すると効率よく記憶が定着するコツというか」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「あー、そうですね! それは私もいつも言います。声を出しながら書く」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「その上で、数日後に同じところをまた暗記。3〜4回繰り返すと脳みそに定着してくるので、そのペースを掴めるようになると楽です。なので、英語を身につけるのってとてもシンプルなはずなんですが、意外とみんなやらないですよね」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「『やれること』、それが才能ですね。昔うちにこんな生徒がいました。お父さんが病弱気味で、塾にも行けない。うちだけに通っていて、私の一言一言を全部メモするような子だったんです。NHKのラジオ講座のテキストをとにかく聴き込んで、模擬試験でも満点を取って、日比谷高校(※都立の最難関高校)に入りました」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「厳しい環境でも、ハングリーさでやりきったと。たとえば、この記事を読んだ人はどうやったら“やり始める”ことができますかね?

 

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f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「オリンピックなんかを観ていても、はじめに挫折があって、それがバネになってることが多いですよね。リョーくんにしても、勉強ができないコンプレックスみたいなものがあったと思う」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「縁の巡り合わせで戸塚先生に出会うことができた僕はラッキーだったと思いますが…」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「でも今は情報網が溢れているし、勉強したければいくらでもできる環境があると思いますよ。Skype英会話なんてものもあるじゃないですか。『あそこに行ってみたい』、『音楽が好き』とか『映画が好き』とか。きっかけはなんでも興味を持てばやり始められますよ」

 

 

他人ではなく、自分と競争する

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f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「さきほど英語ができるためには、『やるだけ』という話をしました。今やってる編集の仕事でも、下のメンバーに『やればできるから』と仕事を振ったり、接したりしがちなのですが、反省するところもあって……」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「だからね、努力できることはあなたの一つの才能なの。でも世の中はそういう人ばかりでは成り立っていないから、それを理解して人を扱わないとダメ」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「本当にそうですね……」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「どんな人にも絶対にいいところがあるはず。そこを伸ばしてあげないと、人はついてこない。『自分と同じようにできるだろう』とすると、絶対に失敗しちゃうわよ

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「ただ、いいところを見つけるのって難しいですよね」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「子育ても同じなのよ。私が娘にずっと言っていたのは、『他人と競争するのではなく、自分自身と競争しなさい』。他人と競争していると敵ばかりできちゃうけど、自分自身と競争していれば、他人を褒めてあげることができる。これから仕事はどうするつもりなの?」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「メンバーも増えてきたので、まずは組織としての下地を育てていきたいですね。個人としてはブレることなく馬主を目指しています(笑)」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「『馬主になりたい』とはずっと言い続けていますね(笑)。私が英語を教えるのは今年で最後になりましたが、リョーくんはどう?」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「英語塾ですか? 僕がやるとスパルタになるからな〜(笑)」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「すごく需要はあると思いますよ」

f:id:tmmt1989:20180409130411p:plain「ちょっと考えておきます…(笑)」

f:id:tmmt1989:20180409130422p:plain「まずは馬主になれるように頑張ってくださいね。楽しみにしています」

 

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おわりに

「見えるものしか見えないし、聞こえるものしか聞こえない」ーー。

そんな当たり前のことに想いを巡らせる。

 

すると、自分が身を置く環境、出会う人や読む本というレンズを通してしか世界を見られないことに「窮屈さ」と同時に、「尊さ」を感じる。

 

「英語ができない」たったそれだけの理由で、鳶職になりかけていた16歳。

 

戸塚先生に教えを請い、毎日必死で食らいついていた。

サッカー部の練習が終わる。自転車を漕いで先生の家へ。授業の後は、寝落ちするまで単語と活用を覚える。

 

そんな毎日を過ごすなか、焦燥が希望に変わっていく感触をたしかに覚えた。英語の勉強を通じて、「やればできること」の意味も知った。

 

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先月は『ジモコロ』編集長の柿次郎さんご一行で、取材も兼ねてポートランドへ。そこでも通訳として、英語のサポートしたり

 

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編集者の職業柄、仕事はどこでもできる。去年なんかは3回くらい集中執筆をするためにシンガポールに飛びました

 

 

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あれから10年の時が経つ。

大学院まで進学できたのも、世界中を旅行できたのも、そして今この仕事をできているのも、すべては先生との出会いに帰着すると確信している。

 

「俺にはできない」そんな思い込みを打破し、あの一年を走り抜けたからこそ、今日のこの文章を書いている自分がいる。

 

出会いを機会に変えること、今日の自分が明日の自分をつくること。

 

それを意識して挑み続けることが、「できる」の意味ではないだろうか。

 

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書いた人:長谷川リョー

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『SENSORS』編集長。修士(東京大学大学院学際情報学府)。新卒でリクルートホールディングス入社後、2016年12月にフリーランスのライターとして独立。ビジネス・テクノロジー領域を中心に多くのベンチャー経営者や最先端で活躍する研究者やクリエイターへ取材・執筆を重ねる。『AMP』『FastGrow』『ONE MEDIA』などでパートナーを務める。構成担当『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一共著 SBクリエイティブ) Twitter ID:@ryh 

写真:小林 直博

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長野県奥信濃発のフリーペーパー『鶴と亀』で編集者兼フォトグラファーをやっている。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。

女子高生と一緒に『焼き菓子屋さん』の仕事を一日体験したい!

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うふふふ…………

 

アハハハ…………

 

こんにちは。僕は今、女子高生とお菓子作りを楽しんでおります。忙しい為、今回はこの辺で失礼します。また次回お会いましょう!!

 

現場からは以上です!

 

 

(おわり)

 

 

 

すみません。今回の体験が楽しすぎて勝手に終わらせてしまいました。ライターのみくのしんです。

ジモコロではいつも『一日職業体験レポート』を書いてきました。

解体作業とか、冷凍倉庫とか……

 

www.e-aidem.com

 

www.e-aidem.com

 

そんな僕がなぜ女子高生と楽しくお菓子作りをしているのかと言うと、今回の職業体験が……

 

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そう! 今回は焼き菓子屋さんを一日体験します!

 

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と言う訳で、宮城県は名取市にあるココフラン・イオンモール名取店さんにお邪魔しています。お菓子作るぞ~!

 

ココフラン・イオンモール名取店

住所|宮城県名取市杜せきのした5丁目3番地の1 イオンモール名取1F

営業時間|9時~21時

ココフラン公式HP

 

 

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今回お世話になる、店長の柴田さんです

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「本日はよろしくおねがいします! 今までゴリゴリの肉体労働ばかり体験してきたんで、ファンシーな焼き菓子屋さんの仕事に期待値が高まってます」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「ココフランでの仕事は、力は使わないし、高度な技術も必要ありませんから、誰でも出来ると思います」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「完成形のお菓子を見ると、とても素人が作れそうには見えないんですが……?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「大丈夫 大丈夫! とりあえず、作業着を支給しますので着替えてください」

 

 

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支給された制服を着て、前掛けをしてコック帽を被れば……

 

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どじゃぁ~~ん!

見た目だけは完全に焼き菓子の鉄人。このパティシエみたいな格好、一回着てみたかったから嬉しい。

よ~し! やるぞー!

 

 

就業開始~お昼休みまで

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厨房でパートさんたちに挨拶して、いよいよお仕事スタート!

 

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「では、まず人気商品・コロネブーケを作ってもらいましょうか」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「いきなし!?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「いきなしです! アルバイトの方にも初日で覚えてもらいます」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain就業5分でこれ、絶対無理だろ……」

 

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これが今回作るコロネブーケの生地です。右に見える銀色のトゲみたいな金型に、巻きつけるようにして形を作っていきます

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plainすでにできあがってるものを焼くんじゃなくて、この段階から作っていくんですね」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「はい。全商品店内で作っています

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「本格的だ! 生地を触ってみてもいいですか? うんうん、もっちりしててかなり冷えてますね。気持ち良い~! 一回デコに乗っけてもいいですか?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain冷えピタじゃないです。あたたかくすると柔らかくなってしまうので、成形しやすいように冷やしてます」

 

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この1枚の生地から10セットのコロネブーケが作れるそう。定規で目印を付けて等分します

 

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次に生地を優しく持ち上げ、金型の先端からくるくると生地を巻き付けます

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「それではお手本として一つ作っていきますね」 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「はい! 工程が見えるようにゆっくりお願いs……」

 

f:id:micu0904:20180320004116g:plain

ほいっ! ほいっ! ほいっ! ほいっ!

 

f:id:micu0904:20180320013509j:plain

ほいっ!!

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「一瞬! え? マジで何をやってるのか見えなかったんですけど」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「なんかこう……うん! とにかく一回やってみてください」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「そんなレクチャーある?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「コツとしては、急がずリズムを考えて巻くことかな」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「お菓子を作ったこともない僕には、絶対無理だと思う」

 

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くるくる…

 

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くるくる…

 

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シュルル…

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「普通にできちゃった」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「あら上手!」

 

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 一発目で上々な出来栄えにご満悦の僕。

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「柴田さんの言う通り、リズムを考えながらだと意外に簡単に出来ますね!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「みくのしんさん、器用なんですね! ただ、一発目から成功するって、記事としては面白さに欠けますが大丈夫ですか?」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「そんなことまで心配しなくていいです」

 

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トレーに生地を並べてオーブンへ。一回軽く焼き色をつけます

 

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ブウゥーン…

オーブンの中で、みるみるうちに焼き色が付いていくのを見るのは、子供の成長を見守る親の気分。おいしくな~れ♪

 

~4分後~

 

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じゃ、そろそろオーブンから取り出………ぶわぁっ!!

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「熱ッッッッ風!!!!!!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「火傷だけは気をつけてくださいよ!!」

 

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一回目の焼きが入ったコロネブーケの生地

 

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金型を外した生地にグレースという砂糖水を塗ります。テリッテリになっておいしそう!

 

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2度焼きが終われば、遂に仕上げのクリームを入れます!

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「内容量が均一になるようにクリームをいれます。ベテランの人でもちょっと難しい作業なので、ゆっくり集中してやってくださいね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「出来るかなぁ~」

 

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グミュミュミュ~~~

 

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スッ…

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「今度もめっちゃ成功した」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「上手! 重さも均一だし、初回でこんなにできる人は珍しいですよ。前職でなにかやってました?

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「いや、しばらく無職です」 

 

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「ポテンシャルは高いのにね。社会って難しいよね……でも頑張っていればいつか……」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「気を遣われたら余計に悲しくなるから! 次は何をしたらいいんですか?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「仕上げにココアパウダーやシュガーを軽く振って、完成です」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「おぉ、その作業は今までの中でも一番簡単そうですね。お任せください」

 

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ドササッ…

 

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あれ?

 

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「…………」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「わわわわわ、もうその顔しないで! ごめんなさい!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「冗談です(笑)これくらいならやり直しが効くので大丈夫ですよ」

 

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と、言うわけで包装紙に包んで完成!! 美味しそ~~~!

 

他にもいくつか焼き菓子を作りましたが、基本的にどれも作り方がちゃんと決まっているので、難しい作業ではありません。

しかも集中して作っていたから時間の経過が早い!

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「それじゃあちょうど12時ですし、お昼休憩にしましょうか!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「え!?もうそんな時間?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「昼休憩は1時間あります。せっかくのショッピングモールなので、昼食のあとは色々見て回ってください」

 

 

お昼休み

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ランチはショッピングモールのフードコートが充実していて、何を食べていいか迷ってしまうくらい。注文するまでに15分が経過してしまいました

 

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食べ終わったらゲーセンや……

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お店を回ることが出来るのも、ショッピングモールの良い所ですね!

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「あ、ここに居た。そろそろ休憩終わりなんで行きましょう! 午後から高校生の女子男子がバイトで来ますよ!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plainJKDK!??」

 

 

午後の作業開始~午後休憩まで

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午後からは隣にある同系列店のビアードパパさんでシュークリームを作る作業を体験させてもらえる事に

 

www.beardpapa.jp

 

こちらでバイトしているのが、噂の女子高生、この人です!

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笑顔がステキな佐藤さん、18歳!

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「よよよよろしくお願いします!」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「そんな緊張しないで下さい(笑)」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain27歳のオッサンが女子高生と喋ることなんて普通ないし、犯罪だから」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「喋るだけなら犯罪じゃないでしょ! 佐藤さんもまだ新人なので、今回は3人で一緒にやっていきましょう」

 

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「この機械にクリームが入っているので、ノズルをシューに差し込んで、偏りが無いようにクリームを注入します。最初は難しいけど頑張って下さいね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「わかりました! でもこれ、どれくらいクリームが入ってるのか外からは見えないんで難しそう」

 

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ヌモモモ……

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「わ、入ってる入ってる! どれくらい入れたらいいのコレ!!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「落ち着いて! ゆっくりやれば大丈夫だから!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「え、これくらいでいいの? まだ? え、どうなの? どうなのー!?」

 

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スッ…

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「お見事! 一発で合格しましたね!」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「わー、上手! 私は最初なかなか出来ませんでしたよ!!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「僕、焼菓子を作るためにこの世に産まれてきたのかな……」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plainライターなら、1回2回くらいは失敗したほうが絶対良いと思いますけどね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「ライターやめて焼き菓子職人になります」

 

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クリームを詰めたら、砂糖を振りかけて完成! 注文してからクリームを詰めるので、結構速さが求められます

 

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佐藤さんも未だに失敗してしまうことがあるそう

 

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と、ここで突然シュークリーム30個の注文があり、突発的に忙しくなる厨房内。本来は15時~17時のおやつ時間帯が一番忙しくなるみたいです

 

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「はぁ~、ちょっと忙しかったですね。ココフランでは一日通しの場合、合計70分休憩できます。15時からのピーク前に、軽く休憩を取っていいですよ」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「それではいただきます!」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「じゃあ私も。みくのしんさん、一緒に休憩します?

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「この歳になって、女子高生から休憩に誘われることあるかね……」

 

 

小休憩

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f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「佐藤さんは、どうしてこちら(ビアードパパ)でバイトしようと思ったんですか?」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「私って少しトロい性格で……去年買い物に来た時、店員さんが笑顔で仕事もテキパキやっているのを見て、私もこうなりたい! と思って入りました」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「ちなみにビアードパパ以外でバイトしたことある?」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「ありませんね。ここが初めてです。従業員の方もみんないい人なので、多分辞めないと思います」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「あれ? 店長から台本か何かもらってます? こんなに純粋な女子高生、今どきいるの?」

 

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f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「将来はお菓子作りの仕事に就きたいとか?」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「どうでしょう。将来のことはまだあまり考えてないんですけど……今は体育の先生になりたいかな」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「へー、どうして!?」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「今通ってる学校の体育の先生がすごく良い人で、あの人みたいになって私も母校に恩返しができたらって思ってます」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「いやこんな純粋な女子高生いないだろって! そういう夢とかを、同年代のバイト仲間と語り合ったりするんだろうなぁ。いいなぁ」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain仲の良い友だちもできたので、喋ったりしますね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「バイト代はどういうことに使うの?」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「普通に服とかですね。初給料では……」

 

[ザ・ノース・フェイス]クライムライトジャケット Climb Light Jacket レディース ブラック 日本 M (日本サイズM相当)

※参考(たぶんこういうの) 

 

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「ノース・フェイスのマウンテンパーカーを買いました!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「うんうん、そっかそっか。プラダとかディオールとかじゃなく、ノース・フェイスね。お小遣いじゃ手が届かないから、初めてバイトしてね……何だこの温かい気持ち

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「なんか見たことない顔になってますけど、大丈夫ですか?」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「いやホンマ、言うてくれたら、オッチャンがナンボでも買うたるがな、しかし」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「でも、みくのしんさんって無職なんですよね?」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「じゃあ僕に買ってください」

f:id:jimocoro:20180411121739p:plain「なんで!?」

 

f:id:jimocoro:20180411153617j:plain

純粋さにあてられて、もはや親の気持ちに……

 

 

午後の作業再開

休憩後からは男子高校生、高橋くんと一緒に作業していきます。

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いや、ブラザーズ??

下手な兄弟より僕に似ている彼が、高橋くん18歳

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「今回は高橋くんがいてくれてホッとした。女性ばっかりっていう環境に緊張しちゃって」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「確かに、男の人が少なくて緊張するっていうのはあるかもしれません」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「さっきも、ロッカー室で女性二人が、雑談しながらヘアゴム外してる所に遭遇して……『ぁひゃっ!』って言いながら扉閉めちゃったもん。肉体労働ばっかりレポートしてきたから、女性の空気に慣れてないのよ」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「精神年齢低すぎません?」

 

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人気メニューのアップルリングを、高橋くんに教わりながら作っていきます

 

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リンゴを生地で巻き、形が崩れないように円の形を作っていきます。難しい……

 

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形を整えたらオーブンに入れて焼きを入れましょう

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「焼いてる間に色々聞いてもいいですか? 高橋くんはここで働いて長そうだけど、一番嬉しい時とか楽しい時とかってある?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plainお客さんが笑顔でお菓子を選んでる時とかですかね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「解答が優等生過ぎる……マジで台本もらってない?

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「台本なんか渡してないですよ!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「どうしてココフランでバイトしようと思ったんですか? モテたいからですよね? そりゃそうだよなー。ありがとう!」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「いや、勝手に決めないでくださいよ! 僕は元から料理を作るのが好きなんです。一度家でパウンドケーキを作った時に、焼菓子を作るのも楽しいなと思って、ここに入りました」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「女子力高っ」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「こないだはマカロンを作って持ってきてくれましたね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「女子力高すぎるって!」

 

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と言ってる間にアップルリングが焼き上がりました。美しいぜ…!!

 

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さらにもう一度焼きを入れた完成品がこちら。指で差しているものが少し焦げているのがおわかりでしょうか。そうです、僕が作ったやつです

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「アップルリングは包むのも少し難しいですし、中々大変ですね」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「でもこれが一番難しいので、これが出来たら他は全部できます!

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「僕、もうここで働けるじゃん」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「じゃあ高橋くんも小休憩取ってきていいよ!」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「ありがとうございます! みくのしんさんはもう休憩取りました?」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「あ、まだです! 一緒に取りましょう!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「すげーさり気なく嘘つきますね。まぁ、今は落ち着いているので10分位なら良いですよ!」

 

 

小休憩

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f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「この仕事のこと、本当に好きなの?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「本当に好きですし楽しいですよ! 趣味がバイトに活かされてるんで、ピッタリの職場です」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「趣味って料理だよね? 将来はやっぱりパティシエとかになりたいの?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「いえ、料理はあくまで趣味ですね。将来は理学療法士を目指してます」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「え、なんて? りがくりょうほう……? ちょっとスマホで調べるね………えーっと、何なに? うんうん、なるほど……凄っ!」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「それくらい知ってて下さい」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「なんかみんな純粋で良い子ばっかりだなぁ。ちなみに、さっき話を聞いた佐藤さんは、初任給で服を買ったらしいけど、高橋くんは何を買ったの?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「なんだっけなー……あ!」

 

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「良い砥石です」

 

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「ん……?」

 

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「良い、砥石です」

 

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「バイト代で“良い砥石”を買う18歳、初めて見ました。料理以外に趣味とか無いの?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「釣りとギターですかね」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「渋っ!定年後のおじさん?」

f:id:jimocoro:20180411122443p:plain「こないだ釣ったアジでなめろう作りました」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「やっぱり定年後のおじさんじゃん」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「ハイハイハイ! 二人共、もう休憩終わりですよ! お仕事もそろそろ終わりだから、最後に片付けしましょう!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「うわ、もうラスト30分だった!」

 

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終業が迫ってきたので、最後はゴミをまとめて、ショッピングモール内のゴミ捨て場に持ってい行きます。結構な量だなー。

分別して、店舗が判別できるシールを貼って……

 

と、ここで遂に…………

 

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 作業終了ーー!!!終わったー!!!!

 

 

作業を終えて

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「お仕事お疲れ様です!本当に上手でしたね!!

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「自他ともに認めるくらい上手かったです。点数を付けるとしたら何点ですか?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「90点です!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「高得点!!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「100点じゃない理由は、女子高生の佐藤さんを見る目に、邪悪なものを感じたからです。他は本当に完璧でした!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「しこりが残る……」

 

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f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「それでは今日の給料を支払いますね。お疲れ様です!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「ウワー!!やったやった!!ちなみにおいくらでしょうか?」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「8800円です!」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「最高だ~~! 職場内も仲良くて、ストレスフリーの職場でした。辞めてく人、少なさそう!」

f:id:jimocoro:20180411120529p:plain「そうですね。辞める人はかなり少ないです。実は私も高校の頃に初バイトで入ってから、ずっと働き続けて社員になったんです」

f:id:jimocoro:20180411120517p:plain「それって凄すぎない?」

 

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と、言うわけで女性ばかりの楽しい職業体験が終わりました。

最後に一日体験して気づいたことを書いておきます!!

 

・あっという間に時間がすぎる

集中してお菓子を作るのでいつの間にかにお昼休憩になって気付いたら日が暮れてます

 

・ショッピングモール最高

お昼にも困らないし、仕事終わりに買い物も出来るから最高! 全国チェーンのお店なので、周辺環境で職場を選んでもいいかもしれません

  

・職場は女性が9割

もちろん男性も全然オーケー! ただ男が少ないので少しさみしい気持ちになるかも?

 

・バイト代の使い方は自由

マウンテンパーカーを買おうが、良い砥石を買おうがその人の勝手。いや良い砥石買う?

 

ココフランさんは全国にチェーン展開しています。同系列のビアードパパ等のお店もあるので、気になった方が居たら是非連絡してみてくださいね!!

 

ココフラン・イオンモール名取店

住所|宮城県名取市杜せきのした5丁目3番地の1 イオンモール名取1F

営業時間|9時~21時

ココフラン公式HP

 

www.beardpapa.jp

 

▼今回職業体験したお店の求人を見る

www.e-aidem.com

 

飲食・フードのバイト・アルバイト求人はコチラから! 

 

 

ーー就業後

 

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帰りに自分が作ったアップルリングを購入しました!

 

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いびつだけど、それが逆に愛おしい……。そして、おいしそう~!

 

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僕はこれから自分で作ったお菓子を食べるのでこの辺で失礼します!!また次の職業体験でお会いしましょう!!

 

ばいばい!!

 

 

(おしまい)

※今回のレポートは、あくまでライターが体験させてもらった現場に限定したものです

 

▼一日職業体験レポート一覧

 

ライター:みくのしん

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本名、高杉 未来之進(たかすぎ みくのしん)と申します。それ以外の特徴は1mmもありません。1990年生まれ東京育ち、将来は自分の写真集を作ってそれだけで飯食っていきたいです。ご検討の程お願いします。Twitter:@no_inngurissyu

10年毎日カレーを食べ続けている男の「スパイスまみれな人生観」

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あなたは「カレー」と聞いて、どんな料理を思い浮かべますか? 

 

たぶん多くの人が一般的な、ご飯にカレーの添えられた「カレーライス」を思い浮かべるのではないかと思います。

 

しかし、実際のところカレーは、世界全体から俯瞰すれば欧風カレーとインドカレーのように地域によって大きな違いがあり、カレーうどんにカレーパンをはじめとした日本独自のカルチャーとしても発展しています。

 

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さらに、都内や大阪を中心に多くのオリジナリティ溢れるカレー専門店が増加し、特にスパイスカレーの発展は近年すさまじい勢いを持っています。

 

もはや「カレー」という言葉が持っているのは、いわゆる家庭にある欧風カレーをベースとした「家カレー」だけでは説明できないものになっているんです。

 

これほどまでに日本のカレーカルチャーが深まっている理由は何か?

 

筆者のくいしんは、音楽フェスや野外の食イベントが増えたことをきっかけとした、カレーのストリートカルチャーとしての深化があるのではないかと仮説を立てました。

 

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そこで今回は、10年半3,900日以上も毎日カレーを食べている「毎日カレー生活男」こと南場さんにお話をうかがいました。

 

なぜ、毎日カレーを食べ始めたのか…。

なぜ、カレーを10年半以上も食べ続けるのか…。

 

まずは南場さんご自身の10年半の道のりを聞きながら、「カレーは21世紀のストリートカルチャーなのか?」という疑問をぶつけてみます。

 

話を聞いた人:南場四呂右(なんば・しろう)

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毎日カレーを食べる生活を綴ったブログ『365カレー(∞)』は10年以上継続中。カレー業界では知られた存在となり、カレーに関するイベントも多数開催。有名カレー店やシェフとの親交も深い。

 

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カレーを食べ始めた当初は食に興味がなかった

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f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「南場さんは10年半以上、毎日カレーを食べているんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうなんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「なぜカレーを毎日食べるのか想像してみたんですけど。嗜好品であるお酒やタバコと同じように、いいスパイスを身体に入れるとキマっちゃって、めちゃくちゃ気持ちいいじゃないですか。そういう快楽性を求めてカレーに手を伸ばすんじゃないか、と思ったんですけど」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「むしろ逆かもしれないですね」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「逆、ですか」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「観念的な話になってしまうのですが、人間の欲望は果てしないです。つまり、スパイスの強さや、一口食べたときの驚きばかりを追い求めていくと、最終的に苦しみが生まれる気がするんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「食べたらアガるぜ!がスパイスの本質ではない、ということですね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「それはそれで楽しいのかもしれないけど、僕自身は違うなって思います。スパイスでハイになる瞬間じゃなくて、その後の薬効を重視すべきなんじゃないか、って考えてます」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「スパイスって、漢方生薬ですもんね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そう。だから、カレーって根本的に身体にいいはずなんですよ。胃腸にいいとされているスパイスもあるんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「なるほど…。では、なぜ毎日カレーを食べようって思ったんでしょう?

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「あぁ。それはですね…」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「(ゴクリ…)」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain毎日食べるものを選ぶのがめんどくさいじゃないですか。それで」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「えっ」

 

f:id:tmmt1989:20180331143213j:plain

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f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ええええっ!!!! 最初のきっかけってそれだけなんですか!?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「最初に始めたのは2004年なんですけど、当時は食に興味がなくて。何も食べずにいたら夏バテしてしまいました。で、40日連続でカレーを食べて、夏バテを治したんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「えっ…。でも、カレーは好きだったんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「好きというか…。毎日食べられるかなぁ、って思って」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「好きというわけでもなかった」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「なんなら、スパゲッティのほうが好きでした。上京して、スパゲッティ屋さんで働いていたくらいです」

 

 

毎日カレーを食べようと思ったきっかけ

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f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「2004年の夏に40日間毎日カレーを食べて、次に、2005年の一年間毎日食べたってお聞きしました」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうですね。そのあと一年半お休みして、2007年7月1日から再開して、そこから10年半を超えました」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「2005年のときは、なんでまた毎日食べようと思ったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「元日にデニーズでたまたまカレーを頼んで、なんとなくですけど、今日から毎日カレー食べてそれをブログにアップしようって思い浮かんじゃって(笑)

 

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f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「このときもまだ、そんなにカレー好きには火がついてませんでした」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「カレー大好きというわけでもないのに、一年間毎日カレーを食べていたんですか…」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「これは真剣な気持ちなんですけど、献立を毎日考えていろいろ違うものを食べてるみなさんのほうがすごいと思います」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「(南場さん…それはふつうだと思うのですが…)」

 

 

スパイスの香りをきっかけにカレーにハマる

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f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「いつだったかな。数年間、毎日カレーを食べてたら、だんだんカレーに興味が湧いてきて。スパイスの香りのよさに気づいた瞬間に、『カレーっておもしろい!』ってなったんです。ふつうの料理ってこんなに香りがいいんだっけって思って」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「今はカレーが大好きなんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうですね。そこからはどっぷりハマっていって、いろんなお店に行ったり、カレーのイベントに行くようになりました」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「なるほど…。『今日はカレー食べるの無理だー!』という日ってなかったんですか」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「昼ごはん食べる時間をつくれなくて、夜に飲み会があった日ですね…。23時50分にふと思い出して、立ち食いそば屋さんに駆け込んで食べたことがありました」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ギリギリですね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「もうひとつ、2泊3日で韓国に行って、1日目の夜に食べ過ぎてお腹を壊して、2日目は何も食べられない状態だったことがあって」

 

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f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「ピンチだったんですけど、実はそのとき保険として、ヤマザキのカレーパンを持っていってたんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「カレーパンは、セーフなんですね(笑)」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「一応自分の中でのルールは、ペーストになっていたらセーフっていうゆるい決まりでやってます」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「体調を崩したときに『カレー食べるのしんどいな』って思うことはないんですか」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「自作カレーでもオッケーなので、刺激の少ないスパイスで、スパイスおかゆをつくることがありますね」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「あっ、なるほど。カレーおかゆ」

 

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f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「カレーおかゆだってカレーです。カレーって、多様性の文化なんですよ。『カリー(curry)』には学術的な決まりはなくって、定義できないものなんです。つまり、カレーって、自由。南インドと北インドでも違うし、ネパールカレーもあるし」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「たとえばインドの南と北では何が違うんですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「よく言われるのは、北は、クリームやナッツが使われていて、リッチなカレーが多いんです。小麦粉の文化なので、ナンで食べる。南インドは海が多くて熱いのでシャバシャバなんですよ。稲作文化なので、ライスで食べるっていう」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「へえ!」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plainカレーを通して、歴史や風土を学べるんです。カレーには明確な定義がないからこそ、いろんなカルチャーの境界をまたいで発展できる

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「なるほど。カレーにもいろいろ種類があるし、ビリヤニとかもカレーの一種ですもんね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「食材はもちろん、歴史や風土を含めた土地の文化を、どうやって料理するかなんですよ」

 

 

表現としてのカレー

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f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「カレーは多様性の文化ということで言うと…Facebookを見させてもらったんですけど、南場さんはフジロックに行かれてるんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「行ってますね」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ああいうフェスみたいな場所や野外の食イベントでカレーを食べられる機会が増えたことで、カレーはストリートカルチャーになってるんじゃないかと思ったんです」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「ああ、なるほど」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「単にお店で食べるだけのものじゃなくなったというか。ストリートカルチャーって、マイノリティとかそれこそストリートチルドレンによって形づくられた価値観じゃないですか。そういった多様性を許容するカルチャーが、カレーにはあるからなんじゃないかって」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「いわゆる家庭のジャパニーズカレーライスはどうかわからないけど、スパイスカレーは21世紀のストリートカルチャーと言ってもいいかもしれないですね。少なくとも、そうなりつつある」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ジャパニーズカレーライスというのは、いわゆる欧風カレーをベースにした、じゃがいも、にんじん、玉ねぎが入っているカレーのことですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうですね。それは、一種の日本の伝統文化だと思うんですよ。でもそうではない、自己表現としてのカレー、特にスパイスカレーと呼ばれるカレーがここ数年流行していますよね」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「自己表現としてのカレー?」

 

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「カレーって、自己表現になるんですよね」

 

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「といいますと?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「コーヒーやラーメンもそれに近いけれど、やっぱりカレーのほうが、表現の幅をつくりやすい」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「カレーうどんとかカレーパン、カレーまんとかですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そういうものも含めて、掛け算のしやすい料理なんでしょうね。カレーカツ丼なんてもう本当に…イノベーションですよ。カレーの多様性は、あらゆる食材をくるむんです」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「なんでも肯定してくれますね、カレーは(笑)。表現としておもしろいカレーというと、やはりスパイスカレーですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「作品性の高いスパイスカレーが増えてるんです。小麦粉を使っていない薬膳カレーの『旧ヤム邸』が下北沢にできて、いよいよスパイスカレーが東京に上陸した、というふうにも言われています。旧ヤム邸もそうなのですが、スパイスカレーってもともと大阪で盛り上がっていたんです」

 

 

【毎日カレー生活3886日】① ぜんがけ(玄米ご飯)@旧ヤム邸シモキタ荘 午後に下北沢で楽しみなトークイベントがあったのでその前に行ってみました旧ヤム邸シモキタ荘 たぶん大阪スパイスカレー初めて食べました 大阪スパイスカレーの写真をインスタか何かで初めて見たときはスゲーなぁと思ってましたが 写真ばかりで見飽きてしまい だんだん 最初っから混ざってしまいそうな盛り付けとかどうなの!?と疑念みたいな先入観があって 食べてもいないのに遠ざけてしまっていました 盛り付け丁寧にキレイで混ざってないし 味もおいしいし 店構えも店内の雰囲気も接客もとってもいい感じだったので我ながらクソみたいな先入観を恥ずかしく思いました すいませんでした #旧ヤム邸シモキタ荘 #大阪スパイスカレー #下北沢 #東京 #tokyo #日本 #japan #カレー #カリー #毎日カレー #365カレー #365curry #everydaycurry #curry #365カレー2018旧ヤム邸 #365カレー2018

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ジモコロ編集長・柿次郎が大阪心斎橋アメ村で食べた「CIMBA」のカレー

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「大阪なんですね」

 

f:id:tmmt1989:20180331144606j:plain

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうそう。大阪にある『カシミール』というお店の店主は『EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)』の元メンバーだったりして」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「エゴラッピンの!?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「大阪のスパイスカレーのお店は、ミュージシャンとかクリエイターが関わっていることが多いんです。そういう部分もストリートカルチャー的と言えるかもしれない。カレーや料理の専門家ではなかった人たちがカレー専門店をやっていることでカルチャーになっていったんでしょうね」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「スパイスカレーの流れで、次にこれが来るんじゃないか、みたいなものってあるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「今だったら、中華とカレーの融合。麻婆豆腐とカレーの中間みたいなものも出始めてます。僕自身も自分でカレーをつくってますけど、カレー粉を小さじ2~3杯入れたくらいじゃ、ジャンに負けてカレーが消えちゃうんですよ。ジャンはスパイスより強い」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ジャンはスパイスより強い(笑)」

 

 

【毎日カレー生活3790日目】 麻婆豆腐カレーとヒジキーマカレー Nさんにもらった器がホントかっこいい 先日 麻婆豆腐にカレー粉入れたくらいじゃ麻婆豆腐カレーにはならない とか 醤はスパイスの存在感を消してしまいかねない とか話してたら 興味深くって おもしろくって 極辛なやつ作ってみました ダジャレが先に思いついたというのは内緒だけど ひじき と チキンベジキーマ を合わせてみたら ビックリおいしかったから 略して ヒジキーマカレー #自作カレー #家カレー #自家製カレー #東京 #tokyo #日本 #japan #カレー #カリー #毎日カレー #365カレー #365curry #everydaycurry #curry #カレーダンニャバード #365カレー2017自作カレー #365カレー2017

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f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「『うまいバランスはどこにあるのかな』って考えていたら、実際にそういうものが出てきたので、必然的な流れなんでしょうね。カレーを深掘りしていくと、みんな同じような思考回路になるんだなって感じました」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「そういうカルチャーはやはり南場さんが言ってくれたように、カレーが自由だからこそ成り立っているっていうことなんですね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「それはあるんでしょうね。インドカレーやジャパニーズカレーライスがハイカルチャーだとしたときに、もっと自由な発想で『カレーってこういうもの』という枠組みを取っ払って、自己表現できる。カレーだからこそ、既存のシステムから逸脱した存在をつくれる」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「おおお。まさにそれってストリートカルチャーですね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「そうかもしれません(笑)」

 

 

死ぬまで毎日カレーを食う

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f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「南場さんは、いつまで毎日カレー生活をやるかって、考えることあるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「なんだろう。もちろん死んだら終わりだし、あとは入院しちゃうとか」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「入院して食事制限があったら終わる可能性ありますね」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「あとは、誘拐とか

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「誘拐!? この時代、なかなかされないですよ」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「ははは(笑)。止める理由が、ホントそれくらいしか見つからないんですよ」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「ぜひ死ぬまで続けて欲しいです」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「でも僕はカレーに関するうんちくや知識を語りたいわけではなくて。何より、毎日食べていなくたって、いろんな考え方やカルチャーを抜きにしても、カレーってめちゃくちゃ美味しいじゃないですか」

f:id:tmmt1989:20180331170010p:plain「美味しいです」

f:id:tmmt1989:20180331170033p:plain「お母さんのつくったカレーも美味しいし、富士そばのカレーも美味しいし、カレーパンも美味しい。だからこそ、その中からどんな多様性を見出すか、自分好みのカルチャーを見つけるか、どうやっておもしろがるかなのかなって考えてます」

 

 

おわりに

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最後に少し触れましたが、南場さんが取材中に繰り返し言っていたのは「カレーに関する知識の自慢をしたいわけではない。語ることを目的にしたくはない」ということ。

 

10年半も毎日カレーを食べていれば、「俺はめちゃくちゃカレーに詳しくて、誰よりもカレーのことを知ってるんだ」と自慢しても、全然おかしくないと思います。

 

しかし、南場さんはそういった態度を一切見せず、淡々と穏やかにカレーの魅力をたくさん語ってくれました。そういった精神こそ、カレーの持つ自由で多様性を認めるカルチャーそのものなんじゃないかと感じます。

 

今回はストリートカルチャーという価値観にフィーチャーして取り上げましたが、あるひとつの価値観や考え方にとらわれず、食べる人を驚かせるようなカレーを、今後より深く掘り下げていきたいと感じさせられた時間でした。

  

 

 

書いた人:くいしん

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1985年、神奈川県小田原市生まれ。NSC東京、レコードショップ店員、音楽雑誌編集、ウェブディレクターを経て、フリーの編集・ライター。主にインタビュー記事を執筆。灯台もと暮らし編集部。グビ会主宰。Twitter:@Quishin Facebook:takuya.ohkawa.9 個人ブログ:天井裏書房

写真:小林 直博

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長野県奥信濃発のフリーペーパー『鶴と亀』で編集者兼フォトグラファーをやっている。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。


読むと後戻りできない「タネ」の話。手塚治虫『火の鳥』初代編集者が語る

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こんにちは、ライターの根岸達朗です。

 

僕がいま手にもっているコレ、なんだかわかります? 

はい。タマネギですね。

 

実はこのタマネギ、スーパーなどでは買うことができない固定種のタネから育てたものなんです。え……スーパーでは買えない? どゆこと? という人も多いと思うので、簡単にご説明しますね。

 

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固定種というのは、目的の品種(ここではタマネギ)をつくるために、代々同じような形質を示す植物の集団をタネ屋さんが何世代にもわたって掛け合わせたもの。いわゆる伝統野菜と呼ばれるものは、この固定種であることが多いです。

 

これに似ている言葉として、在来種があります。これはある地域の気候風土や栽培環境に順応した品種のこと。タネ屋さんが固定種をつくる際の掛け合わせのもとになっています。

 

これらのタネを使うと、育つスピードやサイズはバラバラですが、味が濃くてとても個性的な野菜ができます。さらに、タネを採って毎年再生産することもできます。

 

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固定種の新三浦大根

 

一方、スーパーなどに出回っている野菜の多くはF1種(Filial 1 hybrid)といいます。

 

同系品種の掛け合わせである固定種とは異なり、それぞれ違う品種の親同士を掛け合わせてつくる雑種の一代目なので、そのまんま一代雑種とも呼ばれます。

 

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特徴は、かたちや大きさが揃っていること、育ちが早いこと、たくさんの量を収穫できることなどが挙げられます。味は固定種よりも薄く、食べ応えが柔らかです。

 

では、どうして違う品種を掛け合わせて、そういう野菜ができるのか。それは、遺伝子の形質が出やすい方を「顕性」、出にくい方を「潜性」とするメンデルの法則」によって、雑種の一代目だけ両親の顕性形質(昔は優勢形質と呼ばれてた)が引き継がれるから。逆に二代目以降は潜性形質が現れます(見た目も味もめちゃくちゃな野菜ができちゃう)。


つまり、F1はもう一度育てるためによいものを選抜してタネを採っていくという、昔ながらの育種ができないのです。そこが今回の記事の大きなポイントのひとつです。

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どちらも自然界に存在するタネであることには違いないですし、どちらもあっていいものです。

 

でも、今世界の農業のスタンダードはF1であり、このままいくとそれだけが世界を完全に掌握して、昔ながらのタネがなくなってしまうのでは? と危惧している人も近頃は増えているんですよね。

 

たとえば、ジモコロで以前記事になっていた、山形県鶴岡市の「マッドサイエンティスト農家」こと山澤清さん。山澤さんは、日本中から固定種のタネを集めてシードバンク(種の保存)をしていましたし……

 

 

世界に目を向ければ、マイクロソフトの創業者であるビルゲイツも、多額の資金を投入して、北極に「世界の終末」に備えた種子貯蔵庫をつくっています。

 

 

……なんかみんな危機感抱きまくってるように見えるんですけど、タネを守らないと、僕たちの未来はどういうことになっちゃうんだろう……。

 

うーん。気になる……気になりすぎる……。

誰か、タネのことを教えてくれ〜〜〜!!!!

 

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はい。というわけで、やってきたのがこちらのお店。

 

埼玉県飯能市にある種苗(しゅびょう)店「野口のタネ」。家庭菜園向けの在来種・固定種を専門に扱うタネ屋さんです。

 

こちらの店主・野口勲さんは、伝統野菜消滅の危機を感じ、固定種のインターネット通販や店舗での販売を行いながら、全国各地で講演も行っているタネ業界の有名人。

 

そんな野口さん、実は異色の経歴の持ち主それは、よーくお店を見てもらうとわかるんですが………

 

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ほらこの絵。

 

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どこかで見たことありません!?

 

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そう、あの火の鳥です!

 

野口さんはなんと、日本を代表する漫画家・手塚治虫の名作『火の鳥』の初代編集者だったのです。

 

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野口さんの膨大な手塚治虫コレクション。全著作が揃っているとか

 

『火の鳥』といえば、生命とは何かを問う超本質的漫画。その編集者が今はタネ屋さんをやっている。そして『タネが危ない』(日本経済新聞出版社)という本まで書いて、タネのピンチを世に訴え続けている……。

 

これはもう、相当すごいおじさんに違いありません。

 

タネが危ない

タネが危ない

 

生命の歴史を通じて、動物と植物は手を携えて進化してきた。

動物は植物を食べ、植物は動物の助けを借りてタネを生み、移動を委ねて、生存圏を拡大してきた。そして私たち人類の文明も、植物栽培によって生まれた。人類の歴史は植物栽培の歴史であると言っても過言ではない。しかし今、人間と植物の長い協調の歴史が、崩れさろうとしている。人々が何も知らない間に、タネが地球生命の環の中から抜け落ちようとしている。(『タネが危ない』より)

 

みなさん、準備はいいですか?

タネのヤバすぎる話、始まりますよ。

 

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話を聞いた人:野口勲(のぐち・いさお)

野口のタネ・野口種苗研究所代表。1944年生まれ。全国の在来種・固定種の野菜のタネを取り扱う種苗店を親子3代にわたり、埼玉県飯能市にて経営。伝統野菜消滅の危機を感じ、固定種のインターネット通販を行うとともに、全国各地で講演を行う。著書に『いのちの種を未来に』『タネが危ない』、共著に『固定種野菜の種と育て方』等。家業を継ぐ前には、漫画家・手塚治虫氏の『火の鳥』初代担当編集者をつとめた経歴を持つ。

 

 

自然なものを食えばいい

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根岸「野口さん、今日はよろしくお願いします。最近、タネのことが気になるようになりまして、今日はあれこれと野口さんにお話を聞かせていただきたく……」

野口「立ち向かいようがないよ」

根岸「え……?」

野口「立ち向かいようがないの。あなたひとりがタネのことを気にするようになっても、世界の流れは変えられません。これは工業社会すべてに関わる大きな問題ですからね。それに抗ったところで潰されるだけですよ

根岸「潰されるって……ええと、何の話でしょうか?」

野口「ああ、ごめんなさいね。うちは普通のタネ屋さんじゃないんですよ。いきなりこんなことを言って驚いたでしょう」

根岸「いえ……(驚いたけど)」

野口「これからタネの話をゆっくりと始めていくけれど、まず、前提の話をするとだね、今世界の人口が70億人でしょう。これが100億になるためには、タネを品種改良して、もっともっとたくさん収穫できる野菜や穀物をつくる必要があるわけです」

根岸「ふむふむ」

野口「で、みなさんが普段食べているF1の野菜というのは、そういう流れのど真ん中にあるものなの。それがなければ世界の人口はまかなえないし、経済も成り立たなくなっている、というところまではいいかな?」

根岸「あ、はい。世界の人口をまかなうためにはF1が必要と……」

野口「そう。でも、僕がこの店で売っている固定種のタネというのは、そういう世界のスピード感に合わせたタネではありません。たくさん収穫できるようなものではないし、育ちも遅い。かたちもバラバラ。だけど、味はいいし、なにより多様な個性がある。そういう自然のタネなんです」

根岸「自然のタネ」

野口「うん。そういうタネで家庭菜園をやって、自分で食べるための野菜を育てて、それでタネを採って、そのタネを次の世代に引き継ぐということを僕はやってほしいわけです。それをしていかないと僕たちはどうなるか」

根岸「どうなるんですか……」

 

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「滅亡するでしょうね。あと50年で」

 

根岸「ええええ!? あと50年で……!?」

野口「うん。それがはっきりするのが、そうだな、2世代……ちょうど今生まれたばかりの子どもたちが大人になる頃かもしれないなあ」

根岸「うーん。でも、世界の人口ってまだ増え続けてますよね。滅亡といってもそうすぐには……」

野口「あのね。今人口が増えてるのって、アフリカ大陸だけなんですよ。もちろんひとことにアフリカといっても、地域によって違うんですが、概ねそうだと思ってくださいね。で、その一方、僕らが暮らしている北半球の文明圏というのは、軒並み人口が減っています」

根岸「そうなんだ……」

野口なんで減っているのか。それは食いもんがよくないからだと僕は思っているんですよ。自然なものを食えば、ちゃんと人口は増えるはずなんです

根岸「自然なものを食べる……」

野口「そう。そうすれば、ちゃんと子どもができますからね。でも、今は子どもが生まれない。それはなぜかといえば、ひとつに男性の精子の数が減っているからというのがある」

根岸「ああ。それはなんか聞いたことがあります……実際どのくらい減ってるんですか?」

野口「1940年代には男性の精液1mlのなかに精子が1億5千万いました。それが平均値ですね。でも、現代人の平均値は4000万以下。40%以下になっています。これはアフリカを除く、世界中がそうなっているといわれています」

根岸「えええ。40%以下……! 人類の歴史を考えても、直近80年だけでそこまで減っちゃってるのは……」

野口「まあ、その原因が食べ物であると証明されているわけではないんです。ただ、僕はタネ屋なので、その食べ物のもとになっているタネが気になる。F1ではなくて、固定種・在来種の昔ながらの自然のタネで育てた食べ物を食べていれば、そんなことにはならないんじゃないか、と思うからです

 

 

F1がなければ成り立たない世界

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根岸「うーん。だからといってF1を食べないというわけにもいかないですよね。農家さんもそれを消費者が求めるからつくるんでしょうし、みんながF1を中心に生活しているという現実があるわけで」

野口「そうですね。いくら味がよくても、かたちが悪かったり、育ちがバラバラの野菜だとお金にならないのが今の時代です。決められた箱のサイズに揃えて入れないと市場だって受け付けてくれませんからね。だからみんなF1で規格どおりの野菜を大量につくり、それを大量に売りさばいて何とか生活を維持している」

根岸「大変な時代ですね……」

野口「そう。金にならないことなんて誰もやらない時代なんですよ。そうやって農業も効率化を突き詰めていった。その結果、誰もタネを採らなくなったんですね」

 

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野口さんが見せてくれた『野菜出荷規格ハンドブック』。トマトやキュウリなど、あらゆる野菜の出荷規格が書かれている

野口「でも、本当にそれでいいのかと思うのはね、以前うちのタネで人参を育ててみたいという農家さんがいてね、その人にタネを譲ったんだけど、あんたのところのタネで育てた人参は野ねずみが食うから困るって。F1の人参は同じ畑でつくってもねずみが絶対食わないから助かるって言うんだよね」

根岸「その農家さんにとっては、商品にならないのは前提としてダメであると……」

野口「そういうことだね。つまり、今みなさんが食べている人参というのは、自然の生き物であるねずみが食わない人参ということなんですよ。でもそういう人参が市場には求められているから、農家はそれをつくらざるを得ない」

根岸「うーん……」

野口「で、その市場の客というのは8割が外食産業です。外食産業はとにかく自分たちの仕事に都合がいい野菜を仕入れないといけない。だからそれを市場に要求する。市場はそれを生産している産地に要求する。産地はそれをタネ屋に要求する。その第一の要望が、味のない野菜をつくってくれ、ということです」

根岸「ええ!? 味がなくていいんですか?」

野口「味付けは化学調味料を使って、我々がやるからいいと。なまじ野菜に味があるとレシピが狂うからっていうんだね。で、第二の要求が、雑菌のつかない野菜にしてほしいということ。それでいうと、昔はきゅうりにもイボがたくさんあったけど、今のきゅうりにはないでしょ?」

根岸「ああ、そうですね。ツルツルしてるのが多いかも」

野口「イボがあると突起に雑菌がつくし、除菌にも手間がかかる。だから、いっそ無くしてくれということなんですよ。そうやって野菜のかっこうというのが、企業の理屈によってどんどん変わっていくんです

根岸「なるほど……。企業は宿命として金を稼がないといけないし、たくさん稼ぐためにはたくさんつくってたくさん売りさばかないといけない。効率化も進めないといけない。そうした要請を満たすためにも今のF1があって、それなしではもう成り立たない世界になっていると……すごい話だ」

 

 

タネは買わずに採ればいい

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野口「と、まあ、まだまだ話したいことはあるんだけど……ひとまずお茶でも入れましょうかね。君はたばこは吸うかい?」

根岸「あ、はい。一応喫煙者です」

野口「そう。僕もたばこを吸うから、喫煙者がくるとホッとするんだよね。自然のものを食べなさいなんて言ってるけど、僕は体に悪いことは何でもやってきてますからね

根岸「ははは……(どう返せばいいのかな……)」

野口「僕のたばこを一本あげよう」

 

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根岸野口「(ぷかぷか……)」

根岸「(たばこ吸いながらインタビューするの初めて……)。ところで野口さん。今年4月に種子法が廃止されるという話がありますね」

野口「うん」

根岸「この法律って、戦後の食料自給を支えるために、国が主要農作物であるコメ、麦、大豆の種子生産や普及を管理してきたものですよね。それが廃止されることは、タネ屋としてはどうなんですか?」

野口「そりゃ、タネ屋としては賛成ですよ。だって、これまでコメ、麦、大豆に関しては全部国がやるからお前たちは手を出しちゃいかんと言われてきたんですから。70年もですよ」

根岸「そうか。タネ屋としては、これまでダメだと言われてきたタネも売れるようになる……でも、それが廃止されるということは、外国からもタネが入ってくるということじゃないですか?」

 

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野口「ああ、そりゃあもうたくさん入ってくるでしょう。たとえばアメリカのバイオ企業『モンサント』のタネとかね。モンサント知ってる?」

根岸「以前、WIREDで完全なオーガニック野菜というのをモンサントがつくろうとしているという記事を読みました。すごいこと考えるなあと思いましたけど……」

 

 

野口「いろんな意見があることを承知の上で言いますけれど、彼らはミトコンドリア異常で子孫をつくれない雄性不稔のF1を世界に広げようとしているわけです子孫がつくれないということはつまり、タネを採取できないということ。彼らはそうしてタネの技術を独占して大儲けすることを考えているかもしれません」

根岸「独占して大儲けか……」

野口昔は世界中の農家が自分でタネを採取していました。だから、いち企業がタネを支配するなんてことはできなかったのです。でも、今の農家はF1で効率的に稼がないとやっていけない。タネだって採らずに買った方がいいわけです。だから、モンサントのような企業がどんどん大きくなっていく」

根岸「野口さん的にはあまりそれはよろしくないと考えているわけですね。でも、現実にモンサントのような外国企業のタネはこれからどんどん入ってきます」

野口「はい。だからそんなタネは買わないでほしいと思っています。現代のテクノロジーで生み出されたタネではなくて、昔ながらの方法で引き継がれた固定種・在来種のタネを守ることが、人類にとっては大切なことだと僕は思うからです」

 

 

健やかさを取り戻すために

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根岸「でも、モンサントのタネはさておき、F1そのものに関しては、高度経済成長を支えてきて、それなりの役目を担ってきたものだと思います」

野口「もちろん。だから僕はF1は否定しないですよ。否定はしないんだけれど、みんなが食べ物は買うもので、タネも買うものだと思っているような状況についてはちゃんと考えないといけないと思っています。それにこれからは今以上に、雄性不稔のF1が増えていくでしょう。それが人体に及ぼす影響も心配していますしね」

根岸「雄性不稔……そのあたり、もう少し詳しく教えてもらえますか?」

野口「わかりました。ここから僕の講演資料をお見せしながら説明をしましょう」

 

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野口「いいですか? これはそもそもの話なのですが、F1というのは雑種で、つまり別々の親の掛け合わせでできているのです。植物というのは雌雄同体だから、放っておくと自家受粉してしまうんですが、それをさせずにF1の交配種をつくるには、除雄(じょゆう)といって雄しべを摘み取る作業が必要なんですね」

根岸「除雄、なるほど」

野口「ただ、この作業がとても手間がかかる。だから、その手間を省くためにも、もともと雄しべがなくて花粉がつくれない雄性不稔の植物を利用できないか、ということが世界では研究されてきました。で、1940年代にアメリカでこの雄性不稔を利用したトウモコロシやタマネギ、ニンジンが開発されました」

根岸「はい」

野口「ただ、この雄性不稔というのは、先ほども言いましたがミトコンドリア異常なんです。ミトコンドリアというのは生命エネルギーの源で、その遺伝子は母親から子どもにだけ伝わります。雄性不稔は男性機能がない、人間でいうところの無精子症のような植物なので、その子どももまた無精子症になるのです」

根岸「ふうむ……野口さんはそのミトコンドリアが異常をきたしている野菜を食べることが、人体に影響を与えていると考えるんですね」

野口「そうです。ここからは私の仮説ですが、ミツバチがそれを教えてくれているような気がしています。というのも、1960年代から20年ごとに大量のミツバチが忽然と姿を消す現象がアメリカで発生しているんですね。死骸が巣のまわりにあるわけでもなく、忽然と、消えるんです」

根岸「20年ごと、ですか。何だか不気味な現象ですね」

野口「そう。この減少が最初に起こった1960年代というのは、雄性不稔のF1タマネギ種子が販売開始された1940年代から約20年後にあたります。そこからなぜか20年おきにこの現象が起きている」

根岸「へええ……」

野口「ミツバチというのは、全米で雄性不稔株の受粉に使われていたと考えられるんですが、私はこれ、雄性不稔の蜜や花粉を餌にして育ったミツバチが無精子症になったんじゃないかと考えています。それによって、巣の未来に絶望したハチたちがアイデンティティを失い、集団で巣を見捨てて飛び去った」

 

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根岸「ほおお……」

野口「これについては、ホームページにも詳しく書いてあるので、よかったら読んでみてください。僕はミツバチに起こったことは、同じ動物である人間にもきっと起こると思っています。そのときに世界中の食料作物がみんな雄性不稔になっていたら、取り返しがつかないことになると思いませんか?」

根岸「……でも、野口さん。今、世界は雄性不稔の研究をさらに進めて、より効率的に作物を生産していこうという流れではないのですか?」

野口「そう。日本も世界もあらゆる育種学の現場は、どうやって雄性不稔を見つけるか、それをどうやって別の植物に取り込むかを一生懸命研究しています。だからこんなことを言っているのは僕だけなんですよ

根岸「世界で野口さん、ただ一人……!」

野口「でも、もしこれから人口がどんどん減って、子どもが生まれなくなって、それはそういうものを食べているからだと誰かが証明したときに、どこかに自然のタネが残っていないと、もう僕たちは復活することができないでしょう

根岸「じゃあ、北極にある種子保管庫はひとつの希望に……」

 

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「あれは壮大な無駄に終わると思うなあ」

 

根岸「ええー!? ビルゲイツがんばってそうでしたよ!?(会ったことないけど)」

野口「一度、代謝を止められた命というのはそう長くは生きられないんですよ。だから僕は今からでも、自分で食べるものは自分でつくるようにして、少しでもタネを採りながら、それを次の世代につなげていこうと言っているんです」

根岸「そうか……」

野口「昔のタネっていうのは、一粒万倍(いちりゅうまんばい)といって、すごい力があったんです。一粒のタネがあれば、1年後には一万粒に増えるし、2年目には一億粒になる。3年目には一兆粒になって、4年目には一京粒になる」

根岸「おお」

野口そういう無限の命を持っていたのが昔のタネなんです。だから、それがどこかに残っていれば、もう一度文明を元に戻すことができる。人間だってかつての健やかさを取り戻すことができると、僕は信じているんです」

 

 

まとめ

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 人間が命をつないでいくためには、タネを未来に向かって採り続けなければならないという野口さんの哲学。そして、人間の精子が減少している原因は、雄性不稔のF1野菜にあるという衝撃的な仮説……。みなさんはどのように捉えましたか?

 

世界の大きな潮流とは異なる野口さんの言葉をにわかには受け入れがたいと感じた人もいるかもしれません。僕も正直、戸惑いを覚えました。

でも、僕がそうして戸惑いを覚えたのは、自分にタネの知識がないからということだけではなくて、タネに関わる多くの人たちが自分なりの「正しさ」なかで、最善を尽くして生きているんだろうなあと感じたことの方にあったかもしれません。

 

世界の育種学の現場では、それが人類のために有益だと考える、ある種の「正しさ」のなかで日夜研究が進められています。

その一方で、野口さんのように昔ながらのタネを残し、引き継いでいくことに未来があると考える「正しさ」もあるのです。

 

僕にはどの「正しさ」が真実なのかを問うことはできません。でも、この世界にもし真実といえることがあるのだとしたら、それは自分のなかにしかないということも、みなさんに考えてもらえたらうれしいと思うのです。

 

野口さんは現在、固定種・在来種のタネの重要性を訴える講演会を全国各地で開いています。タネ屋としての矜持がほとばしる野口さんの話は刺激的で、多くの示唆に富んでいます。みなさんも興味があれば、ぜひ自分なりの「正しさ」を探しに足を運んでみてください。 

 

ではまた!

 

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書いた人:根岸達朗

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1981年生まれのライター。文章を書いて生きています。東京・多摩地域在住/Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗/note:愛する自由について

 

写真:小林 直博

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長野県奥信濃発のフリーペーパー『鶴と亀』で編集者兼フォトグラファーをやっている。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (25) - 熱狂に包まれて/旅のお供

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

聖子・明菜・キョンキョン……ここだけ80年代の異世界『昭和歌謡バー』

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聖子~!!!!

 

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明菜~!!!!

 

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たのきん~!!!!!!!!わたしはマッチ派~!!

 

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どうも、80年代大好きライター、みらいです。

私は今、昭和歌謡曲バーというオアシスに来ています。

 

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町田ヒットパレード

住所:町田市原町田6-18-2 アークビルB1F

電話番号:042-785-5202

営業時間:19:00~翌日4:00

公式HP

 

 

昭和80年代のカルチャーって本当に素敵ですよね!

といっても、私は1993年生まれ。リアル世代ではありません。そんな私がなぜ80年代大好きなのかと言えば―

 

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ハイこれ!

 

どうですか?

 

どうなんですか???

 

私、気合いを入れておしゃれしても、周囲からは「古い」と言われてしまうんです。

でもこれ、古いんですか?

私が「おしゃれだな」「素敵だな」と思うものって、80年代のアイドルみたいに、女の子らしくて、かわいくて、守ってあげたくなる……そういうものなんです。文句あります!?

 

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そんな私にとって、80年代はまさに憧れ!

あぁ、松田聖子さんと同じ時代を生きて、その魅力について同級生と語り合いたかった!

 

リアルでその時代を生きた人は、どんな青春を送ってたんだろう?

もっと80年代のことを知りたい!

 

 

まずは80年代アイドルについて話を聞く

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というわけで、昭和歌謡曲バー『町田ヒットパレード』で営業企画部長を務める小原直子さんに話を聞いてみます。

小原さんにとって80年代はまさに青春真っ只中! 憧れのアイドルは松田聖子さんと堀ちえみさんだったそうです。

 

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なお、ジモコロ副編集長のギャラクシーも、80年代ドストライク世代ということで、話に参加してもらいました。中森明菜のファンだったそうです。

 

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「今日はよろしくお願いします! 80年代と言えばアイドル全盛期ですよね。当時のアイドルは今と比べてどう違ったんでしょうか」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「今はアイドルというと、AKBみたいに団体が多いですが、当時はピンの人が多かったですね。一人ひとりが個性的で、歌が上手かったイメージです」

f:id:miraitokako:20180411141501p:plain「だってあの頃、よく『松田聖子は歌がヘタ』って言われてたからね」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「えーっ!!あんなに上手いのに!」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「今聴くと僕も上手いと思いますが、あのレベルでヘタって言われる時代だったということなんですかね」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「聖子ちゃんは『ちょっとオンチな方がアイドルとして可愛い』から、あえて下手に歌ってた……という説もありますね」 

 

SEIKO STORY?80's HITS COLLECTION?

SEIKO STORY?80's HITS COLLECTION?

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「小原さんは聖子ちゃんが一番好きなアイドルだったんですか?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「根っからの聖子ちゃんファンです。今も毎年欠かさず武道館のライブに行ってます。ちなみに、よく娘を連れて行ったせいか、今では親子二人でファンになりました(笑)」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「わー、羨ましい! 私も聖子ちゃんが憧れの女性(ひと)です! ルックスも最高なんですが、なんと言ってもまず、歌が良いですよね! 松本隆、細野晴臣、松任谷正隆といった豪華な作詞家・作曲家がついていたというのも、もちろんあるんですけど、あの甘い声と魅力的な歌い方あってこそではないでしょうか。そして、いつだって“皆のアイドル聖子”を演じるプロフェッショナルな生きざまがかっこよくて、私の永遠の憧…………

※注:読まなくても大丈夫です

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「うるせぇ!」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「まあ、語りたい気持ちはわかります(笑)」

 

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f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「申し訳ありません、我を忘れてしまいました。というわけで小原さんは聖子ちゃんファンだったそうですが、ギャラクシーさんは誰のファンだったんですか?」

f:id:miraitokako:20180411141501p:plain「あえて一人挙げるなら、中森明菜ですね。背伸びしたい年頃だったんで、ああいう、ちょっと不良っぽくて色っぽいお姉さんに憧れてました。歌詞も大人びてて、衣装も歌い方もエロかったなぁ……」

 

オールタイム・ベスト ‐オリジナル‐

オールタイム・ベスト ‐オリジナル‐

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「アイドルを邪(よこしま)な気持ちで見るのはやめてください」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain他には、杉浦幸が好きでした」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「あぁ!『ヤヌスの鏡』とか『このこ誰の子?』(どちらも当時流行ったドラマ)とかに出てた人! 彼女が出るドラマは全部ヒットしてましたね」

 

杉浦幸 30TH ANNIVERSARY コンプリートCD+DVD BOX

杉浦幸 30TH ANNIVERSARY コンプリートCD+DVD BOX

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「あと、流行に敏感な子はキョンキョン(小泉今日子)が好きでしたよね。店に来るお客さんの中でも一番人気だと思います」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「今でこそショートカットのアイドルは珍しくないですけど、当時はすごく衝撃的だったのでは?」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「クラスですごく話題になりました。あれ、事務所に黙っていきなり髪を切っちゃったらしいですね。そういう、奔放で自分を持ってるところが、女子にもウケてたんです」

 

コイズミクロニクル?コンプリートシングルベスト1982-2017?

コイズミクロニクル?コンプリートシングルベスト1982-2017?

 

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「やばい、永遠に喋っていられる……」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「そういうバーです」

 

 

当時のアイドルとの関わり方とは?

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f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「当時は今と違ってネットなんてなかったわけですよね? 好きなアイドルの情報はどうやって集めてたんですか?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「明星(現:Myojo)とかの雑誌を買ったり、番組表を調べて出演番組をチェックしたり、ファンクラブに入ったり……」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「ファン側から、かなり能動的に動かないと、情報は入ってこなかったわけですね」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「今って、歌番組のトーク部分も長いし、本人のブログ、SNSなんかで、アイドルの日常生活すら簡単に知ることができますよね。それは、彼女たちを身近に感じることができるという良さもありますけど……」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「うんうん、あの頃はそうじゃなかった。アイドルって別世界の住人でしたよね」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「そう、身近に感じるなんて恐れ多いカリスマだった。だからこそ、想いが強く募ったのかもしれません」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「ブラウン管の中にしか存在しない、生きる伝説だったんですね。私も、80年代アイドルたちの“天上人”感に、惹かれる部分はすごくあります」

 

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 f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「昭和の歌謡曲は、今の若者が聴いても心に響くと思います。あの頃の曲の良さって、言葉にするとどういう部分なんでしょうか」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plainメロディや歌詞がシンプルで、覚えやすいっていうのが、まずあると思います。あと、単純に聞き取りやすいですよね」

 f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「確かに! 歌詞カードがなくてもすぐ覚えられる!

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「詞もストレートだから、共感しやすいんですよね。今のアーティストが、昭和の曲をカバーすることもあるじゃないですか。シンプルだからこそ、どの世代にも受け入れやすいのかなって」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「エグザイルの『銀河鉄道999』とかですね。良い曲は世代を超えるんですね……!」

 

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f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「80年代には憧れを感じているんですが、当時を生きたリアル世代としては、80年代ならではのマイナスの部分があったのではないでしょうか?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「ありましたよ~! やはり何かにつけ、情報が少なかったというのが大変でした。例えば曲の視聴もできなかったから、レコード屋でジャケットだけを見て買ったりしてね」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plainジャケ買いってやつですね。そう考えると、ネットで当たり前に視聴ができる今の時代は、ジャケ買いとう概念がほとんどないですね」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「あとは、本人の顔がわからないというのもあった。レコード屋の店頭で『杉山清貴&オメガトライブ』の歌を聴いた瞬間、声に一目惚れ(?)しちゃったことがあって―」

 

杉山清貴&オメガトライブ 35TH ANNIVERSARY オール・シングルス+カマサミ・コング DJスペシャル&モア

杉山清貴&オメガトライブ 35TH ANNIVERSARY オール・シングルス+カマサミ・コング DJスペシャル&モア

 

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「『どんな人が歌ってるんだろう』ってジャケットを見ても、海の写真がプリントされているだけ……歌っている人の顔が写ってなかったんですよ。今ならネットで検索すれば一発ですけど」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「神秘のヴェールに包まれていたわけですね」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「結局、声の魅力に抗えずレコードを買って、『きっとこういう人が歌ってるんだろうな』って想像しながら過ごしてました。実際にテレビで本人を見て、印象と違ったのでびっくりしましたが」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「それは、良い意味で?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「…………何がですか?」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「わかりました。ありがとうございます」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「いや、コンサートにも行くくらいファンになっちゃたんですけどね。今でも大好きなミュージシャンです」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「ネットがないと、アイドルや歌手との出会い方もドラマチックですね! 今は情報が多すぎて、偶然の出会いから遠ざかってる気もしますね。情報が少ないって、ひょっとして良いことなのかも?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「情報量が少ないと、クラス全員が同じ話題を共有できるので、それは良い面だったかもしれません。『昨日のベストテンで聖子ちゃんが1位だったね』とか、『明菜の衣装が可愛かった』とか、誰とでも話せた

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain知らない人とでも共通の話題があるって、すごく羨ましい!」
f:id:miraitokako:20180411141501p:plain「確かにね。当時は透明な下敷きの中に、好きなアイドルの写真を挟むのが流行ったから、下敷きを見ればそいつの好きなものは大体わかるんです。気軽に『お前も明菜が好きなん?』って話しかけられたな」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「ありましたね! 私も『明星』とか『平凡』(どちらもアイドル雑誌)から、自分の好きなアイドルを切り取って、下敷きに入れてました」

 

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今は一人ひとりの趣味が細分化されて、話題を共有することって、あまりないですよね。

知らない人同士でも、同じ話題で盛り上がれる……そういう、“世代全体の一体感”って本当に羨ましい……

 

 

本当に知らない人同士でも共通の話題で盛り上がれるの?

と、ここで常連さんが来店されたので、お話を聞いてみました!

80年代世代は、本当に共通の話題で盛り上がれるのでしょうか?

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左が、『町田ヒットパレード』がオープンした直後から通っているという常連さん

 

f:id:miraitokako:20180411141515p:plain「80年代はちょうど高校生だったな。僕はキョンキョンが好きだった」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「やっぱりキョンキョンは大人気なんですね!」

f:id:miraitokako:20180411141515p:plain「高校時代、まだ素人の女子高生だった小泉今日子を、駅で見かけたことがあってね。素人なのに、当時すでに、可愛い子がいる!って有名だったんだよ。その後スター誕生でアイドルとしてデビューして、『やっぱり』って思ったな」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「普通の高校生だった頃のキョンキョン、私も見たかった……!」

 f:id:miraitokako:20180411141515p:plain「男性アイドルだと、吉川晃司が好きで、髪型を真似してましたよ。肩パット入れて」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「吉川晃司は僕も憧れてました。背が高くてカッコよかったなぁ。当時流行ってた『TO-Y』っていうマンガにも、吉川晃司をモデルしたキャラクターが出てた」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain「哀川陽司ね(笑)」

 

TO?Y(1) (少年サンデーコミックス)

TO?Y(1) (少年サンデーコミックス)

 

 

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「吉川晃司は、センスも個性的でオリジナリティがありましたね」

 f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「(マジで知らない同士で話が合ってる……)」

f:id:miraitokako:20180411141515p:plain「この店に来ると、あの頃の青春時代を思い出すんだよなぁ。この曲を聞きながら、好きな子にラブレターを書いたなーとかさ」

f:id:miraitokako:20180411141501p:plain「手紙をハート型とかに折って、『to~さん』とか『Dear~さん』とか書いてね」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「あ、書いてた書いてた! 当時付き合ってたヤンキーの人に書いてた」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「どこの『ホットロード』だよ」

 

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『町田ヒットパレード』のカウンターには、昭和のお菓子がズラリ。これだけでもすでに懐かしさ爆発です

 

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「当時の若者には、どういうファッションが流行っていたんですか?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plainクラス全員が聖子ちゃんカットでした」

 f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「いや、真面目に訊いてるんです」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「嘘みたいだけど本当です。私の卒業アルバム見ます?」

 

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ドサッ

 

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ドーーーン!!

 

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「うわぁっ! ページが聖子で溢れてる! 本当に、全員聖子ちゃんカットだ~!」

f:id:jimocoro:20180413145643p:plain「だから言ったじゃないですか。当時は、石を投げれば聖子に当たるって言われてました」

 

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ちなみにこれが当時の小原さん。可愛い!!

 

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「今も昔も、学生は制服を改造するものですが、今みたいにスカートを“短くする”子はほとんどいなかったです。むしろ、長くするのが流行ってた」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain“スケ番”と、“ぶりっ子”っていう、正反対のものが同時に流行ってたんだよなぁ」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「ぶりっ子志向の女子は、パステル調のトレーナーをよく着てましたよね。それで、袖をこうしてた」

 

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こう

 

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「してたしてた!」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain「してた! アニメの女性キャラクターも全員それしてた!」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「全然分かんない。リアル世代の人には『あるある』なのかな。『町田ヒットパレード』に来ると、こういう話が無限にできるんですね。客層としてはやっぱり40~50代の方が多いんですか?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「そうですね、世代ど真ん中の方が、懐かしさから店を訪れて、当時の話題で盛り上がったりしてます」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain「知らない人同士でも、『俺もこの歌好きだったよー』とか『私もこのレコード持ってたな』とか言ってね」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「私のような小娘が入っていっても怒られません?」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「私も店を始めてから驚いたんですが、若いお客さんもよく来てくださるんです。昭和の曲が好きで歌いに来たり、当時の話を聞きに来たり。みらいさんみたいに、ここに来て『懐かしい』て言ってくれるんです」

f:id:jimocoro:20180413142646p:plain「へー! リアル世代じゃないのに『懐かしい』って感じるのは、なんだか不思議ですね」

 f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「私にはその気持ちが分かります。世の中が複雑になりすぎてて、疲れてる若者が多いんですよ! だから、昭和のシンプルで温かい曲を聴くと、安心するんですよね」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「若い人から見ても、今の時代って複雑なんだ? みんなが便利さを使いこなしてるのかと思ってた」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「だって、みなさんは、今の時代の複雑さとかスピードに、何十年もかけて慣れてきたんですよね? でも、今の子は生まれた時からいきなりこの複雑さだったわけで。ついていけない子は、最初からずっとついていけないって状態ですよ」

f:id:miraitokako:20180411141501p:plain「めっちゃ理解した」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain「今の子も大変なんだ……」

f:id:miraitokako:20180411141506p:plain「では、疲れた時にはいつでも居らしてくださいね。会社の先輩や上司を連れてくるのもおすすめですよ!」

f:id:miraitokako:20180411141504p:plain「なるほど! 昭和世代の上司を連れてきたら盛り上がるし、気に入られそう! そんな賢い使い方があったなんて!」

f:id:jimocoro:20180413224142p:plain「次は客同士として盛り上がりましょう」

f:id:jimocoro:20180413145255p:plain「ありがとうございます! まだまだ語り足りないので、絶対また来ます!」

 

 

まとめ

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というわけで、今回は大好きな80年代の魅力を探るべく、昭和歌謡バーに来てみましたが、いかがだったでしょうか?

 

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話を伺っているうちに、改めて感じました。あの時代のシンプルさやストレートさ、そして温かさを!

だから私は80年代のことが好きなんだって!

これからも、落ち込んだり悩んだりした時は、80年代歌謡曲を聞いて日々を生きていきます。

 

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この記事を読んで、昭和歌謡曲の魅力が、私と同世代の人にも伝わったら幸いです。その暁には、一緒に昭和歌謡曲バーで歌い明かしましょう!

きっとマブい時間を過ごせるはず! 

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以上です。ありがとうござました。

 

 

(おわり)

 

町田ヒットパレード

住所:町田市原町田6-18-2 アークビルB1F

電話番号:042-785-5202

営業時間:19:00~翌日4:00

料金:

男性1時間2000円・その後延長1時間1500円|3時間セット4300円

女性1時間1500円・その後延長1時間1000円|3時間セット3300円

公式HP

 

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『町田ヒットパレード』は、時間内飲み放題で、懐かしの駄菓子も食べ放題。金・土・日は混み合うが、平日ならゆっくり静かに飲めるかもしれないとのこと。

懐かしの昭和歌謡を聞いてカラオケを歌って、みんなで盛り上がりましょう!

 

 

書いた人:みらい

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1993年東京は八王子生まれ。春霞のように生きることが目標のかけだしフリーライター。ゆるい記事書きます。お笑いとコーラが好き。
HP:http://miraisigoto.hatenadiary.jp/

承認欲求は『師匠』で満たせ!元エリートサラリーマンの落語家に教わる『自分を壊す勇気』

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こんにちは! ライターのよわ美です。

皆さんはこれまでに「師匠」を持ったことはありますか?

 

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学校の先輩や会社の上司はいても、「師匠」がいたという人は少ないと思います。

「働き方改革」「副業推進」が謳われるこの2018年に、師弟関係なんて古臭い……と感じる方も多いはず。

 

でも最近、あえて「古典的な師弟関係」を求める若者がいるのです。

 

かくいうわたしがその一人。ライターになりたくてもスキルがなく、書く技術を教えてくれる師匠のような存在が欲しいとずっと思ってきました。

会社員として働きながら、尊敬できる大人になかなか出会えず「成長するために本気で怒ってくれる存在がほしい」と話す同世代の友人もいます。

 

そんななか、私は幸運にも今年からプロの編集者の下で学ぶことになりました。そう、初めての師匠ができたのです。ですが……

 

「師匠と弟子って何? どんな関係?」「上司や先輩とはなにが違うの?」

と、わからないことだらけ。

 

そんな時に出会ったのが『自分を壊す勇気』という一冊の本でした。

 

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こちらの本を書いたのは、落語家の立川志の春(たてかわ・しのはる)さん。

大手商社に勤めるエリートサラリーマンから落語家へ転身された、異色の経歴の持ち主です。

 

ちなみに志の春さんの師匠は、NHK『ガッテン!』の司会者としても有名な立川志の輔(たてかわ・しのすけ)さん。

落語においては、師匠に弟子入りするしかプロになる方法がありません。そこで志の春さんは安定した会社員という立場を捨て、志の輔さんの元に26歳で弟子入りしたのです!

 

『自分を壊す勇気』には、落語の師弟関係が次のように描かれています。

 

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  “俺を快適にしろ。俺を快適にできなくて、お客さんを快適にできるか” 

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 “徹底的に師匠の身になって考える

  

ちょっと待って、師匠と弟子の関係、濃すぎじゃない? 

 

わたし、もしかして大変なことになるのでは…?

本のタイトルの『自分を壊す勇気』も不穏に聞こえてきました……弟子になると壊されちゃうの……?

 

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ということで、いてもたってもいられず「弟子の大先輩」である立川志の春さんに会ってきました。

 

師弟関係の意味から「自分を壊す」とは何か、そして現代の若者が本当にやりたいことへと踏み出す方法まで、色々お伺いします!

 

 

話を聞いた人:立川志の春

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1976年、大阪府豊中市生まれ。幼少時代と大学時代の計7年ほどをアメリカで過ごす。アメリカのイェール大学を卒業後、三井物産に3年半勤務。偶然見た立川志の輔の落語に衝撃を受け、弟子入りを決意。2002年、三井物産を退社し、立川志の輔に入門。古典落語と新作落語の両方を演じる他、カルチャーとしてではく、純粋なエンターテインメントの1ジャンルとして「英語落語」の活動も行う。

 

 

ズバリ!師弟関係とは? 

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「さっそくですが、師弟関係について教えてください。師匠と弟子という関係があまり理解できていないので……」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうですね。僕が実際に経験した落語界での話になりますが……一言でいうと、弟子にとっての師匠は唯一無二の絶対的な存在です」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「会社でいう上司と部下の関係ではなく?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「うーん、僕にもサラリーマンの経験がありますが、少し違うかもしれません」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「と、いいますと?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「プロの落語家になるための唯一の方法は、プロの真打(※)の師匠に弟子入りをすることだけなんです。上司は部署異動で変わることもありますが、師弟関係の場合には、指導いただく相手はずっと同じひとり。師匠が社長であり人事責任者でもあります」

真打……落語界の身分のひとつであり、前座→二ツ目→真打の順に昇進する。落語の高座で主任(トリ)を勤めることができる、実力のある噺家のことを指し、落語家の敬称である「師匠」と呼ばれるようになる。

 

f:id:yowami:20180409183343p:plain「じゃあ、もしその一人の師匠にクビになったら……?」

 

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f:id:yowami:20180409183458p:plain「もうプロの落語家になることはできません

f:id:yowami:20180409183343p:plain「ええ!? 全ての判断権が師匠の手にあるんですか! 常に失敗できない緊迫感がありますね……」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「僕は、弟子入りしてしばらくは失敗して『向いてないからやめちまえ!』と怒られてばかりでしたけどね(笑)。『自分が本当にやりたいことかどうか慎重に見極める』ことと、『誰を師匠とする』のかがものすごく重要になります」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「この人を師匠にと決めたら、どんな風にして弟子入りをするのでしょうか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain弟子入りの方法に、特にマニュアルやルールはないです。ちょっと前だと直に行ってお願いしたり手紙を書くのが主流でしたけど、今だったらSNSやメールなど連絡するツールも増えていますね。それで相性が合えば『弟子入り』できます」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「大事なのは、自らしっかり想いを伝えるということなんですね」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「弟子入り前~その後の修行期間で、師弟関係において何より大切なのは、弟子が常に『能動的な姿勢』でいることです。弟子志願の瞬間から、マニュアルがない実践型の学びがスタートしますので」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「……でも師匠ってお忙しいですよね。弟子を取ることで師匠にも少しくらいメリットがあったりするのでしょうか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「いえ、弟子を取っても師匠は一文の得にもなりません赤の他人を育てて、結果的に商売敵を1人増やすことになります。だから師匠は弟子を取らなくてもいいんです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「割に合わないのに、なぜ弟子をとるのでしょうか……?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain師匠たちも、誰かの弟子として修行をして今があるからだと思います。前の世代から受けた恩を返すためや業界の未来のことを考えて、次の世代の育成を引き受けてくれているんです」

 

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師弟関係とは…

・弟子にとっての師匠は唯一無二の絶対的な存在

・弟子入りする前に「自分が本当にやりたいことかどうか慎重に見極める」ことと、「誰を師匠とする」かが重要!

・師弟関係の学びに「マニュアル」は存在しない。だから弟子は能動的に学ぶことが大切!

 

会社とは違い、自分に関する全ての判断権を師匠ひとりが持っていることにはなんともいえない緊張感を感じます。

ただ、その緊張感こそが、自ら学び続ける弟子の姿勢をつくりだすのかもしれません。

 

それにしても、そんな厳しい世界に飛び込んで得られる学びやメリットってなんなのでしょうか?

 

 

現代の若者が師匠を求める理由

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「落語家になりたくて師匠に弟子入りする方は、以前より減ってるんでしょうか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「おそらく増えてます。今って、落語家の総数としては過去最大っていわれてるんですよ」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「過去最大! なんだか意外です」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「考え方によると思いますが、この『師弟関係』って古いように見えて、実は新しい関係性と言えると思うんですよね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「??? どういうことでしょうか?」

 

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f:id:yowami:20180409183458p:plain「学校や会社では、教えてくれる人がはじめからいますよね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「そうですね……学校には先生がいて、会社には上司や先輩がいました

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そんなふうにはじめから整えられた受け身の環境とは異なり、自分から『弟子になりたい』と伝えて、はじめてスタートできるのが師弟関係なんです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「!」

f:id:yowami:20180409183458p:plain師弟関係では、自分が選んでついていきたい人と結ぶ濃い関係から学びを得ことで、やりたいことを叶えていけます。そういう意味では、関係づくりの過程を含め、現代においては新しい関係なのかなと

f:id:yowami:20180409183343p:plain「確かに今は、ネットを通じて色々な情報やノウハウを知る機会は圧倒的に増えているはず。一定レベルの技術なら、それらしく学ぶことも可能ですよね。そこをあえて弟子入りするというのは師匠との関係性を求めるからなのか」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「実際、落語業界でもネットで師匠の動画を見てそのまま弟子を志願する方がいます

f:id:yowami:20180409183343p:plain「動画から弟子入りですか!? なんだかすごく今っぽい……」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「生でしか得られない感動や学びはもちろんあるんですけどね。でもそれだけ、弟子入りの方法も多様化しているのかなと思います」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「師弟関係=古典的な関係と決め付けていました。実際は次世代へ文化を伝えていくため、時代に適応していく柔軟性があるんですね……」

 

 

「名前をいただく」ということ

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「話が変わりますが、志の春さんって素敵な名前ですよね。春って、四季の中でも、明るくて何かがはじまる予感のする季節なのかなと思います。名付け親は志の輔さんですか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうです。弟子入りして1年3ヶ月が経ったころ、27歳の大晦日にいただきました」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「由来もその時に聞かれましたか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「いや、実は師匠から直接聞いたことはなくて。でもテレビでアナウンサーの方に聞かれて答えてらっしゃるのは見たことがあります」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「うわー! それはドキドキしますねで、どんな由来だったんですか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「えーその時は……」

 

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「忘れたって…言ってましたね……」 

 

f:id:yowami:20180409183343p:plain「つらい。ワクワクしてたのに」

f:id:yowami:20180409183458p:plain僕もテレビの前でガクーンでしたよ。まあ、でも名前の由来はなんとなくが多いみたいですよ。師匠は『どんどん志の春になっていくから不思議だよな』と言っていましたね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「そもそも師弟関係を築くにあたり、名前をいただくことには何か意味合いがあるのでしょうか?」

 

f:id:yowami:20180409183458p:plain名前をいただくということは『今までの自分をすべて捨てる』ということ。僕がアメリカ育ちで商社勤務だとか、過去の小さな成功体験全てが、名前をいただいた日から何の価値も持たなくなりました。『そんなもん捨てちまえ』と」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「ひええ……過去を全て捨てる……!」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「みんな、自分のことを好きですから。できることならば否定したくありませんよね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「できることなら……」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「僕も元々『自分はこのままでいいんだ、他人に言われて何かを変える必要なんてないんだ』っていう根拠のない自己評価の高さがあって。自力で自分を変えることは不可能に近かったので、それをドリルのように壊してくれる存在が必要だったと思います」

 

 

「自分を壊す」とは何か?

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「ひとつ、そもそもなことをお聞きしたいのですが」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「どうぞ」

f:id:yowami:20180409183343p:plain 「自分を壊すってどういうことなんでしょうか? 『壊す』って正直怖く思いますし、自分の過去や特性を肯定して活かすことは前向きで良いことのような気もするのですが」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうですね、例えば弟子入りする理由ってどんなものがあると思います?」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「弟子入りする理由は……プロとしての技術を身につけたいから」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「うんうん。プロとして必要な技術って、例えば?」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「ええと例えばライターだったら、より物事を他者へわかりやすく伝える力。落語家さんだったら、お客さんの頭の中に、ストーリーを描かせる力とか……?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「それに必要なものは何なんでしょうねぇ」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「どちらも他人へなにかしらを伝えることが必要だから……あ、もしかして……」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「はい」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「プロとして必要なのは、客観性?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうです。自分の今までのアイデンティティ全てを壊すかわりに、他人の価値観をトレースする。究極的な言い方をすれば『自分の中に師匠を入れる』ことで、プロとして必要な客観性が身につくそうやって、『客観性を養うこと』が『自分を壊すこと』だと思います

 

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「なるほど……! 修行中に自分以外のもうひとつの価値観の軸を身につけて、新しい自分になっていくと」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「本にも書きましたが、どれだけ壊しても自分というものは絶対になくなりません

f:id:yowami:20180409183343p:plain「そうなんですか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「それくらい自分は強いんです。最初は自分を否定するのは怖いことかもしれませんが、」

 

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「とりあえず1回くらいは壊しても大丈夫です

f:id:yowami:20180409183343p:plain「なるほど……! 経験されてる方の言葉は心強いです……!」

 

 

師匠とは唯一にして絶対の評価基準である

f:id:yowami:20180409183458p:plain「それから現代の若者が技術を学ぶ際に、弟子入りする大きなメリットはもうひとつあると思っています」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「聞きたいです!」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「SNSで『バズる』という言葉がありますよね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「はい! 『いいね』の数が多い記事は、それだけよく読まれた人気記事だと感じますね」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そこなんです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「???」

 

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f:id:yowami:20180409183458p:plainよく読まれる記事と良い記事は、常にイコールではないですよね?」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「!」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「僕の時代にはSNSもそんなに流行していませんでしたが、今の若者は知らない他者からの評価を受けやすい社会に生きています

f:id:yowami:20180409183343p:plain「確かに『いいね』やリツイートなんて昔はなかったですもんね」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そんな時代に、弟子になる大きなメリットのひとつは評価を受ける対象が師匠ひとりに定まること。それによって、マスの評価に踊らされず、本質的な技術や基礎力を身につけることに集中できると思うんです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「マスの評価ですか」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「はい。技術がないにも関わらず大きな評価を受けたりすると、そこから曖昧な基準に振り回されてしまうかもしれません」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「マス=不特定多数なので、何がウケるかわからないですもんね……目に見えない『バズ』に振り回されることに」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「それに対して、どれだけお客さんに褒められたって、SNSで拡散されたって、師匠に駄目だって言われたらそっちの方が大きいのが師弟制度なんですよ。師匠は『絶対的な存在』なんです」

 

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「なるほど。確かに何が正解かよく分からない時代だからこそ、絶対的な基準がひとつあることは大きな武器になるんですね

 

 

自分を壊す勇気~本当にやりたいことは何か~ 

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「そう考えると、若者みんながそれぞれに師匠を持った方がいいんでしょうか……?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「正直、タイプによると思います。師匠という存在に縛られるのがデメリットだと感じる人もいると思いますし。結局、大切なのは自分がどうなりたいか、そのために何が必要かを考えて行動することです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「落語の場合は師匠に弟子入りするのが絶対にして唯一の道ですが、他の職業を目指す場合、師匠を持つのはあくまで『選択肢の中のひとつ』ですもんね」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうですね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「でも、やっぱり絶対的な判断基準が欲しい! と師匠を求める場合……身近な環境で師匠を見つけることって難しいんでしょうか。会社で運よく師匠みたいな人に出会えたら幸せだと思うのですが」

 

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f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうですね、僕はだれでも師匠になりうるとも思うんですよ」 

f:id:yowami:20180409183343p:plain「と、言いますと……?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「例えば僕は大学時代にラグビーをやっていたんですが、後輩にものすごくタックルがうまいやつがいたんです。パスは普通だし走るのも速くないけど、タックルに関してはもう圧倒的に抜きん出ていて……」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「おお」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「その後輩に『タックルを俺に教えてくれ』って弟子入りできてたら、もっといい選手になれただろうに、当時の僕にはその頭が全くなかったんです」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「なるほど、師匠を見つけられるかどうかは不要なプライドを捨てて、とにかく教わろうとする姿勢にかかっていると」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「はい。あとは日々の中でそういう存在に出会っていきたいなら、やっぱり行動力ですかね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「日々の行動!」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「落語家やライターを目指して弟子入りする以外でも、人生の師のような尊敬できる大人に出会いたい若者は多いのかなと。であればとにかく外へ出かけて、“きっかけ”に出会っていくようにすればいいんだと思います」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「大切なのは、たくさんの機会に触れたり経験を積もうと動くことなんですね」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「はい。それは何かを頑張りたくてモヤモヤしているけれど、そもそも『本当にやりたいことが何か分からない』人が、答えに出会う突破口にもなると思います」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「やりたいことに出会う時も、それを叶える時にも、必要なのは直感と情報収集、そして行動の繰り返しなんですね。……あと最後にひとつだけ、お伺いしてもいいですか?

f:id:yowami:20180409183458p:plain「どうぞ!」 

f:id:yowami:20180409183343p:plain「志の春さんにとって、師匠ってどんな存在ですか?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「難しい質問ですね。一言でいうと……一番近くにいるのに、ある意味一番遠い存在です」

 

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f:id:yowami:20180409183343p:plain「!? 近いのに遠い……?」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「例えばファンの方や他の師匠についているお弟子さんには、師匠はすごくお話してますし、にこやかに接するんですよね」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「はい。いつもTVでもにこにこと優しそうです」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「対して僕は、日々同じ空気を吸ってはいるけれど、客席から師匠を見ることもないし、自分の落語の感想を師匠に聞くなんてことも絶対ない

f:id:yowami:20180409183343p:plain「そうなんですか!? せっかく近くにいるのに直すべき点について、詳しく教えてもらえないのでしょうか……?」 

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そうですね。合理的に考えたら遠回りで非効率なように思うかもしれませんが、師匠はそうやって姿勢や背中で弟子に考えさせてるんです。マニュアルは思考停止になりかねません

f:id:yowami:20180409183343p:plain「そういえば弟子入りする方法にも、マニュアルやルールはないということでした」

f:id:yowami:20180409183458p:plain「そのような教育法が、技術だけでない『魂』のようなものの継承にまで繋がるのかなと……濃い師弟関係で学ぶ日々は、AIやロボットには決して踏み込むことのできない、生身の人間にしか味わえない世界なのではないかと僕は感じています」

f:id:yowami:20180409183343p:plain「弟子の後輩として、とても勉強になりました! 弟子修行、頑張りたいと思います。本日はありがとうございましたー!」

 

 

おわりに

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現状から一歩踏み出したいとモヤモヤしている若者の背中を押してくれる『自分を壊す勇気』。読みすすめていくごとに「自分が本当にやりたいことはなにか」と、自分の本心にとことん向き合わされます。

 

幸いなことに今は、行動さえすれば、選択肢がたくさんある時代。

だからこそ、自分の本当にやりたいことを見つけたら、マスの評価に踊らされず、他人の顔色や雑音に振り回されることなく、後悔しない行動をしたい。

 

そんなことを、「自分を壊す勇気」と今回のインタビューを通して改めて考えました。

 

ということで、『自分を壊す勇気』は「本当にやりたいこと」への葛藤を抱えながらもがいている若者全員におすすめしたい1冊です。 

 

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興味が湧いた方は、ぜひ読んでみてくださいね。以上、よわ美がお届けしました~!

 

 

書いた人:浅田よわ美

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1990年奈良生まれ。どこに住むのか、どう働くのか、人それぞれの個性にあった「らしい暮らし」を探ることに興味があります。海とハイボールが好き。Facebook:浅田 よわ美 / Twitter:@asadayowami / 個人ブログ:浅田 よわ美|note / Mail: asadatakako1122@gmail.com

 

写真:藤原 慶

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21歳からカメラとバックパックを持って日本放浪の旅に出る。
全国各地を周りながら撮った写真を路上で販売し生き延びる生活を続け、沢山の出逢いと経験を積む。
現在は東京に落ち着きカメラマンとして活動中。

Instagram : @fujiwara_kei

深すぎる苔の世界~テラリウムの作り方から珍しい種類まで~

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深すぎる苔の世界~テラリウムの作り方から珍しい種類まで~

こんにちは。ライターの菊地です。

先日、ふと立ち寄った雑貨屋さんで見かけたんですが、みなさんこういったものをご存知でしょうか。

 

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これです。「苔(こけ)テラリウム」と言うんだそう。

 

苔と石と砂を使って、ガラス容器の中に風景を閉じ込める、アートな園芸スタイルとのことなんですが……え? これ苔なの!? 本当に? 道路の端っことか、歩道橋の階段の裏に生えてる、アレ?

 

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そう言われてじっくり見てみれば、確かにそこら中に生えてる『苔』。一体どういう植物なの? いや、そもそもあれは植物なのか?

テラリウムには、いろんな種類の苔が使われてるけど、他にはどんな種類があるの?

 

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気になったので茨城県にあるミュージアムパーク 茨城県自然博物館にやってきました。

なんでもここに、めちゃくちゃ苔に詳しい学芸員がいるらしいんです。

 

さあ、さっそく奥深い苔の世界をのぞいてみましょう!

 

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ミュージアムパーク 茨城県自然博物館

住所|茨城県坂東市大崎700

入館料|大人 430円〜、高校・大学生 210円〜、子ども 50円〜

営業時間|9:30~17:00(入館は16:30まで)

休館日|要確認

公式 HP

 

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※ちなみのこの博物館、恐竜のロボットや動物の剥製など色んなものが展示されていて超クオリティ高かったです。

 

 世界最強の植物「苔」って一体ナニモノ?

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右にいるのが、めちゃくちゃ苔に詳しい学芸員、鵜沢 美穂子(うざわ・みほこ)さん。

苔の本に寄稿したり、苔の企画展を行ったりと多岐にわたり活動する、苔のスペシャリストです。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「今日はよろしくお願いします。『苔テラリウム』を見て以来、歩いてる時でもつい苔を探してしまいます。苔ってそこら中に生えてません?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔は、海と砂漠以外なら、どんな環境にも存在すると言われてますね。もちろん、たくさんの種類がありますから限られた場所でしか生きていけない苔もいますけど」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「海と砂漠以外どこでも……じゃあ南極でも?なんつって」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「南極に生息してる種類もいますね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いるんかい!冗談で言ったのに。えーっと、じゃあ火星には?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「漫画『テラフォーマーズ』でそんな話がありましたね。作品内では火星をテラフォーミングするときに苔(とゴキブリ)が使われていました」

 

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「テラフォーマーズ好きなんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔が出てくる漫画はチェックしてます」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「(どんな理由だよ)でもテラフォーマーズは、あくまで漫画の話では?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「いえ、様々な条件をクリアすることが前提ですが、火星でも繁殖できる可能性はあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「どんだけ強い生き物なんだ……。繁殖って、苔は花が咲いたり種を残したりするんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「苔は胞子で増えるので、花を咲かせることはありませんね。ちなみにオスとメスで増える有性生殖と、自分のクローンを作って増える無性生殖どちらでも繁殖できる種類がいます」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「……はい?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「つまりオスとメスが出会わなくても、子孫を残すことが可能なんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「え、なぜ……?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「理由を聞かれると難しいのですが、動物のように自由に移動できない上に、とても小さな苔が、過酷な環境下で異性と出会うのは至難の技ですよね?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「まあ、たしかに」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そのため、運良くメスに巡り合ったら有性生殖を、出会えなければ無性生殖でクローンを増やしていく、という選択にたどり着いたんでしょうね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「性別の壁って、そんな簡単に乗り越えていいの?」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「他に苔の特徴ってあります?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうですね、乾燥した場合は休眠して耐えられることとか、傷ついても再生するとか、土が要らない種類が多いとか……」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「ちょ、ちょっと待ってください。驚きの生態をサラッと流さないで……! まず、傷ついても再生するというのは?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「驚異的な再生力をもっているので、傷ついても自力で再生して復活するんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「体を再生できるなんて、ドラゴンボールのセルじゃん。いやむしろ、セルは核が傷ついたら再生できないから、苔の方が強い」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「あと、土を必要としない種類が多いって言ってましたよね? そういえば、天空の城ラピュタに登場するロボット兵にも、苔が生えてました。金属の上でも生きられるんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ラピュタのロボットにどんな金属が使われているのかはわかりませんが、条件さえ整えば繁殖は可能です」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いつか人類が滅んだら、地上は苔だらけになっちゃうかも……」

 

 

美しいものから変わり種まで!苔の種類

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博物館の敷地内に苔庭(苔を育てている場所)があるそうなので、ここからは歩きながら話を聞いていきます。

 

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f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ここに生えているのは、ヒナノハイゴケです。鮮やかなオレンジ色を纏うことから、別名クチベニゴケとも呼ばれています。ちょっとルーペで拡大してみましょう」

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「本当だ! 先の方のオレンジ色が、口紅を塗っているみたいですね。こうして見ると苔って可愛いかも」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうでしょう? しかもこの苔……」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「何かすごい能力が?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「私の“推し苔”なんです!」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「知らんがな」

 

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f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「自然博物館の敷地内だけでも、100種類を超える苔が確認されています」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「そんなに!? パッと見だと違いが全然わからない。じゃあ通勤中だけでも、何百種類の苔とすれ違っている可能性があるのか……」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「そうなんですよ。街中ですれ違った苔が記録されるアプリがあったら最高なんですけどね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「鵜沢さんが出会いたい苔ってあるんですか?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「ここには生えてませんが、ヒカリゴケなんかは美しくて好きですね」

 

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提供してもらった黄色く光るヒカリゴケの写真。近年は環境の変化により、準絶滅危惧種に指定されている。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「ヒカリゴケ? え、光るの!? 苔が???」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「光るといっても、自ら発光している訳ではないんです。夜にヘッドライトを当てると光ってるように見える道路標識みたいな感じ。反射してるんです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「色んな種類がいるんだなー。苔の世界、奥が深い!」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「興味を持ってくれたようで嬉しいです。ではここでちょっとしたクイズをお出ししましょう。苔ってどうして小さいんだと思います?

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「いきなりクイズ出してきた。うーん……可愛いから?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「残念! 答えは『湿度の高い場所が好きだから』でした。地面からは、土に含まれた水分が少しずつ蒸発しています。つまり低い場所のほうがが湿度が高いわけです」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「なるほど。体が小さい方が地面に近くなるから、効率よく湿度を確保できると」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「その通りです。ではさらにもう一問。地面から離れても湿度が高いような場所では、苔はどうなるでしょう?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「え、さっきの理屈でいうと……大きくなる?

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「正解です! 」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「まじか!」 

 

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鵜沢さんが実際にマレーシアで撮影したドウソニア

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「これは、湿度の高い地域にのみ生息しているドウソニアという苔です。世界で最も背が高い苔で、60cmを超えることもあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「でかっ! それもう木じゃん! そんなにでかい苔がいるんだ」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「面白い苔はまだまだありますよ。例えば、動物の糞や死骸の上にのみ生育するマルダイゴケという苔もいます」

 

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どことなく、禍々しさを感じるマルダイゴケ。海外の寒い地域や高山にしか生息していないため、苔研究家でもあまり見ることができない。

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「胞子が成熟すると糞(ふん)のような匂いを出して、ハエをおびき寄せるんですよ。寄ってきたハエに胞子を付着させて、糞や死骸の間を運ばせます。その性質から、『糞ゴケ』と呼ばれることもあります」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「すごい不名誉なアダ名だなぁ……」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「みんな一生懸命、生き方を工夫して生存競争を生き延びようとしてるんですよね。どうですか? 苔、めちゃめちゃおもしろくないですか?」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「めっちゃめちゃ興味深いです。僕はテラリウムで苔に興味を持ったんですが、今日一日ですごく好きになってしまいました。自分でもテラリウムを作ってみようかなぁ」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「良いですね。じゃあ、せっかくなので、この苔庭でテラリウムに適した苔を採集してみましょう!」

※博物館内では普段、動植物の採集は禁止されています。この日は特別に許可をもらって採集しました

 

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これはヒメタチゴケという種類の苔。細長く伸びている先っちょに、胞子の入った袋がついています。

 

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同じように見えますが、こちらはコツボゴケという種類。

 

f:id:jimocoro:20180401101005p:plainこういった種類の苔をテラリウムに入れると、立体感が出るので、良いアクセントになると思いますよ! さあ、この道具で採ってください」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「これは、もんじゃ焼きのヘラ……?」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「もんじゃのヘラ、すごく使いやすいんですよ!」

 

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というわけで、僕も採集にチャレンジ。苔テラリウムでも人気だというハイゴケの採集に成功!

 

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続いて、葉が毛のようにフサフサしているナガヒツジゴケもGET!! 自分で採ると、愛おしく思えてくるから不思議。

 

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ちなみに、苔の上を踏んで歩いていいのか聞いてみたところ、『同じところばかり踏まなければ大丈夫』とのこと。

 

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それよりも、こんな感じで土から剥がれて裏返ってしまうと、光合成ができないし乾燥して枯れてしまうのでよくないんだそう。

見つけたら、元通りにひっくり返して軽く踏みつけると、地面にそのまま定着しやすいらしいです。

 

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f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「よーし、これでテラリウムが作れるぞー! 作り方は知らないけど!」

f:id:jimocoro:20180401101005p:plain「それでしたら、鎌倉に苔テラリウムを作っている苔専門店があるので、ご紹介しますよ」

 

※苔を採集する時は、そこが採集可能な場所かどうかを確認しましょう。特に自然度の高い山などでは避けたほうがいいです。採りすぎてしまうと生態系に影響が出るからです

 

 

苔の専門店「苔むすび」でテラリウムを教わってみた

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こちらが、鵜沢さんにご紹介いただいた苔専門店、その名も『苔むすび』。

 

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オーナーの園田純寛(そのだ・すみひろ)さんに、苔テラリウムの作り方を教えてもらいましょう。

 

苔むすび

生きた苔を使ったインテリアや苔テラリウムの製作や販売、ワークショップなどを行う苔の専門店。

住所|神奈川県鎌倉市由比ヶ浜2丁目4番地22

営業時間|11:00 – 16:30

定休日|要確認

公式HP

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園田さんの作った苔テラリウム。

 

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こういう作品もあります。すごい!

 

苔テラリウムに必要な材料一覧

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 用意するものはこんな感じ。

・苔

・土(園芸用の土でも可)

・お好みで石

・ハサミ

・ピンセット

・霧吹き

※瓶やピンセット、ハサミ、霧吹きは100円ショップのものでもOK(ピンセットは先が曲がってるタイプのものが使いやすいです)

 

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苔テラリウムに適している品種ということで、園田さんが選んでくれたのがこの3種類。左からタマゴケ、ヒノキゴケ、ホソバオキナゴケ。

湿度の高い場所を好む苔の方が、瓶のような密封された環境には向いているそう。

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「では僕が実際にお手本を作りながら教えていきますね。まずは瓶の3分の1くらいまで土を入れます。土の表面は平らにするんじゃなくて、勾配をつけてあげると立体感が生まれてオシャレに見えます」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「わ、本当だ! 勾配をつけた途端、断然それっぽくなった!」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「次に、石を配置していきます。大きいものから順に位置を決めると収まりが良くなりますよ」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「どんな石でも良いんですか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「基本的にはお好みで大丈夫ですが、海が近い場所で採ってきた素材は、アルカリ性に寄っていることが多いので避けた方がいいかもしれません。あと、人の敷地からは採集しないでくださいね」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「材料に関しては、専門店で買っちゃうのが早いかもしれませんね」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「続いてピンセットで苔を植えていくわけですが……この時、ピンセットの先端が苔より前に出ているようにしてください。苔のほうが先に出ていると、土に負けて曲がってしまい上手く刺さりません」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「それさえわかれば、あとは自分の好きな場所に苔を配置して大丈夫です」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「何を意識して配置すればオシャレに見えますか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「うーん。人それぞれのセンスとしか言いようがないんですけど……強いて言うなら、背の高い苔は後ろの方に配置した方が収まりが良いかな」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「皆さんこんな感じで、好きな動物のフィギュアを入れたりもしますね。苔テラリウムには正解があるわけじゃないんで、楽しんでやることが一番です」

 

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f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「できました」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「早っ! 20分もかかってないですね」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「僕は慣れているので、このくらいの時間で作れますが、初心者の方は1時間くらいかかるかもしれません」

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「完成した苔テラリウムは、どういうところに置いたらいいんですか?」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain直射日光には当てないほうがいいですね。かといって暗い場所もよくないので、“なるべく明るい室内”に置いてください。置き場所と管理がよければ2年程度はキレイな状態を保つことができます」

 

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※この時作って頂いた作品は、後日 苔むすびさんにて『ジモコロ』という名前で販売されました。

 

f:id:jimocoro:20180322180252p:plain「よ~し! 苔テラリウムの作り方、大体コツが掴めました! 僕もオフィスに帰ったら、早速作ってみようと思います!」

f:id:jimocoro:20180322181221p:plain「はい、頑張ってくださいね!」

 

 

~その日の夕方、オフィスにて~

 

 

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というわけで、博物館の苔庭で採取した苔を使って、園田さんに教わったとおりに土の

勾配や配置を工夫して、自分でも苔テラリウムを作ってみました。

 

所要時間は1時間くらい。やってみるとわかりますけど、ほんのちょっとしたバランスにもこだわってしまうので、まったく退屈しません。

めちゃくちゃ楽しい。

 

そして完成したのがこちら!

 

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バァーーン!

 

動物のフィギュアを入れようかなとも思ったんですが、せっかくだから自分が好きなアニメのフィギュアを封入してみました。

僕の好きなレイジュたんが、森の中で天使のように遊んでいるみたい!素敵!

 

……と自分では思ってたのに、会社の同僚にはすこぶる評判が悪かったです。

園田さんに「苔テラリウムに正解はない」って言われたハズなんですけど、これ……ありですよね?

自分では超気に入ってるんで、大事にしたいと思います!

 

 

まとめ

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いかがでしたか?普段は何気なく道端で見かける程度の苔。しかし調べてみると、そこにはめちゃくちゃ奥深い世界が広がっていました。

 

さらに苔テラリウムは、作っていて楽しいし眺めていれば癒される、ストレス社会に生きる僕たちにピッタリの趣味! みなさんもこれを機に、苔の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

 

それでは今日はこの辺で! 失礼いたしますー!

 

 

(おわり)

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