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ジモコロ月刊まとめ「記事では言えないウラ話SP」2018年1月

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こんにちは、ジモコロ編集部です(上の写真は福井県鯖江の眼鏡製作現場であり編集部ではありません)。

 

毎月いろんな場所に取材に出かけ、人に会い、記事を書いている我々ですが……実は、取材したすべての内容が記事に書かれているわけではないのです。

 

例えば11月の記事―

 

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ヒグマの怖ろしさと対策を、北海道の知床まで聞きに行った時のこと。

ライター(モンゴルナイフ)と、カメラマンが、夕闇迫る北海道の大地を車で駆けていると……シカが飛び出してきて危うく事故になりかけたことがありました。

 

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 ※ドライブレコーダーの画面では伝わりにくいですが、後部座席に置いてた荷物が助手席に飛んでくるくらいの急ブレーキをかけています

 

ライターのモンゴルナイフも「ヒグマよりシカのほうが怖い」と真っ青な顔で言っていたのですが、「ヒグマの怖ろしさを伝える記事」でシカの怖ろしさを書いてしまうと、なんか、ややこしくないですか?

 

というわけでこの事件は記事に入れなかったんですが、このように、取材をしていると色んなこぼれ話があるのです。

そんな話を交えながら、ジモコロ編集長・柿次郎と、副編集長のギャラクシーが、2018年1月の記事を振り返ってみます。

 

 

 

1月10日 ライター:根岸達朗

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「北海道の旭川空港から車で2時間。自然豊かすぎる下川町に行って来たんですけど、林業の未来都市として今後話題になっていく土地だと思います」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「林業の未来都市と聞いて、チューブ状の道路とかホバーカーを木製で作るのかと思ったら、ちゃんとした話だった」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain孫の世代まで考えて事業に取り組むって無理ゲーですよね。その難しさのせいで日本の林業は衰退し、山は弱まる一方みたいです。過去に何度か林業取材してるのでなんとか記事にできましたが…」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plainテレビゲーム好きは林業用ハイテクマシンの扱いに向いてるって良い話ですよね。今後、土地を見極めて林業に入り込んでいけば稼げるようになるかもしれない」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「必要に駆られたら人材需要は高まるので、今のうちに一次産業の担い手になるのはめっちゃアリだと思います」 

「未来の林業は稼げる」北海道・下川町の60年構想が芽吹いた話

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1月12日 ライター:菊地誠

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain天才陰陽師である安倍晴明といえば、エクソシストとして、鬼や妖魔を封印しまくっていたのだろう、と考えてたんですが……」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain安倍晴明の子孫に『そんバカな(笑)』って一蹴されてましたね。本来はカレンダーを作る国家公務員だったとか」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「完全に夢こわれた。しかも50歳で学生だってさ……」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「まあまあ、完全に占いやまじないの要素がなかったわけでもないんですよね? 当時の科学水準で『統計的にこうじゃね?』っていう吉凶を暦に活かしてたんだから」

 

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「取材させてもらった安倍晴明の子孫・藤田さん。小学校6年生の時にはすでに、親と一緒に図書館へ行って古文書の写し書きをさせられていたらしいですよ」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「陰陽師のサラブレッドだ!」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「エリートなのかと思ったけど、バンドをやったりキャバレーで働いたり、人生経験も色々豊富な方で。社会の裏も表も知ってるおもしろい人でした」

「安倍晴明は国家公務員だった」子孫が教えてくれた陰陽師の真実

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1月16日 ライター:友光だんご

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「ライターの友光だんごと一緒に長野県の辰野町に行ってきたときの記事ですね。1泊でマジで危険な蜂を追いかけるお仕事です」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「絶対やりたくない。なぜなら僕は子供の頃にハチに刺されたことがあって、次に刺されるとアナフィラキシーなんちゃらで死ぬかもしれないからです」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「その場面撮りたかったです」

 

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「記事では割愛してますが、体幹どうなってんだよ!っていうめちゃめちゃ豪快なおじさんもいたりとか」

 

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「名人はこっそり蜂に刺されていて、そういう時は重曹を皮膚に塗り込んだら治るって言ってました」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「すべてがおおざっぱで最高」

 

「俺のダチは二人死んでる」危険なハチを追い続ける信州の男

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1月17日 ライター:ジモコロ編集部

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「この記事を書くために、小学校で先生やってる人にインタビューしたんですけど、言えないような話がてんこ盛りでした。特にモンスターペアレントの話は『マジで!?』っていうエピソードばっかりで驚いた」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「記事の中だと『運動会の写真、ウチの子の顔が切れてて縁起悪いだろ!』っていうのがありましたね。アルバムの後ろの方にある“行事の写真コーナー”みたいなところですよね?」

 

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「そう。『うちの娘が写ってない!』っていうのも多いらしくて。運動会とか遠足とかのスナップ写真に、全員写るわけないやん……と思うんですけど」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「こわ~……」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「個人的には『Yahoo!きっず』っていう、子ども向け検索サイトが存在してることを初めて知って、へぇ~!って思いました。確かに、セックスとか、お○○○とか、ア○○○○○○とか検索してみたんですが、検索結果が0件だった」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「検索すな」

【教育現場】小学校の教師あるある50選【モンスターペアレント】

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1月22日 ライター:別視点ガイド

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「別視点の松澤さんは全国の珍スポットに詳しい人なんですよね。会社を始めてからは、一ヶ月間ずっと同じ土地に泊まり続けて、10本以上取材するという生活をしていて。土地に入り込むパワーが異常なんです」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「僕はできるだけ家にいたいので絶対マネできないですね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「もうちょっと外出ましょうよ。松澤さん、記事を作りすぎたせいなのか、見た目もどんどんおもしろくなっています」

 

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「なんかもうふざけてますね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「実際会っていても独特過ぎるキャラをしていて最高です。根はめっちゃ真面目だと思うんですけどね」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「ところで記事については?」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「これは取材お任せしているので特に言うことないです

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「ないんかい」

 

ウガンダ人「ゲートボールはCOOL!」 老人の娯楽から世界のスポーツへ

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1月24日 ライター:もりれい

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain本物のプロ棋士は『ヒカルの碁』をどう思っているのか聞いてきました。話を聞いた関山九段は、かなりファンらしく、アツく語ってくれました」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「『ヒカルの碁』がきっかけで、囲碁人口は爆発的に増えたらしいから。やっぱり好意的になるよね」

 

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「上の写真は、『初心者でもわかる囲碁のやり方』を教えてもらった時に、試しに一局やってみましょうと言われ、僕が! 関山九段に! 勝った時の写真です!」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「嘘をつくな」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「本当です。ただし、『あ、そこじゃなくて、ここに打ったほうが有利ですよ~?』といった感じで、言われるがまま打った結果です。でも勝ちは勝ちだから」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「それを勝ちと言える民度すごいな」

 

囲碁棋士から見た「ヒカルの碁」ってどうなの? 初代本因坊の孫に聞いてきた

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1月25日 ライター:まきのゆうき

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain日本のメガネフレームは福井県の鯖江が96%作っている。この話は3年ぐらい前から聞いてたので一度行きたかったんですよね。ライターのまきのは、元々『メガネバリヤー』というテキストサイトをやってた男です」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「たしかに彼は365日メガネかけてますね。メガネ外した状態で出勤したこともない」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「結局記事には入れてないんですが、彼がメガネを取材する必然的な理由があるんです」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「ほう?」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「5年ぐらい前かな。男だけで沖縄の海に行ったんですが、ゴルゴツの岩場に水たまりがあったんですね。すると、何を思ったのか、まきのがSASUKEの1stステージみたいに水たまりを超え始めたんですよ」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「ええ!危ない!」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「案の定、ズボーン!と水たまりに落ちて。一瞬で180cmの成人男性が目の前から消えました。ええーー!大丈夫ー!?って近づいたら、ごめーん!って言いながら水たまりから立ち上がったんですけど、メガネが消えてるんですよ」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「あーあ」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「しかも目尻を大きく切って血が出ている。水たまりの中を探してメガネは見つかったんですが、レンズごとバキバキに壊れていました」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plainもしもメガネをかけてなかったら大事故じゃないですか」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「そうなんです。メガネのおかげで目尻の傷だけで済みましたが、裸眼だったら失明していたかもしれません」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「つまり…?」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「彼はメガネバリヤーに助けられたんです。ちなみに怪我直後の写真がこちら」

 

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「笑えないレベルのケガすんな」

 

国内シェア96%!福井県鯖江はなぜ「メガネの聖地」なのか

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当時のまきのゆうきの心境をFacebook投稿で読む

 

 

 

1月29日 ライター:社領エミ

www.e-aidem.comf:id:jimocoro:20180123190055p:plain「焼き芋屋に、夏場は何してるの~?って気軽に聞いたら、意外過ぎるというか破天荒すぎる事実が判明したって記事」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「これはこの人が特殊なのであって、普通はかき氷とかが多いんですよね?」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「焼き芋屋がこんな人ばっかりだったら怖いわ」

 

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「蜜がたれてる! 焼き芋うまそ~!」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「実際めちゃめちゃ美味しいらしいです。ただし、記事には書きませんでしたが、この焼き芋屋さん……芋たべると胸焼けするので苦手だそうです」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「それで美味しい焼き芋作れるって、逆にすごくない?」

焼き芋屋に夏は何してるのか聞いたら「ベガスでポーカーしてる」ことが判明

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1月29日 ライター:菊地誠

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「アイキャッチ画像のママ綺麗すぎません?」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「マジで福井駅近くの名店なんですけど、カウンターで座ってたら地元の社長連中がわいわい集まってくる場所でした」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plainこんなママがいたら絶対通うもんな…」

 

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「お酒も料理もめちゃめちゃ美味いんですが、ママの気遣いが素晴らしいですね。気づいたら初対面の隣同士で盛り上がってる空間というか。正直、近所にあったら週4で通ってます。島耕作の気持ちがわかってきた」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plainジモコロの地方取材の醍醐味!

 

焼き芋屋に夏は何してるのか聞いたら「ベガスでポーカーしてる」ことが判明

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まとめ

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というわけで、今回のまとめはここまで! 来月のジモコロをお楽しみに!

 

なお、ジモコロでは、皆さまからのネタ提供や、調べてほしいことなどを常に募集しています。

 

2018年5月11日に丸3周年を迎えるジモコロですが、47都道府県制覇は残すところ「奈良県」「愛媛県」「広島県」「鹿児島県」の4つ。3月、4月に編集部がガガっと取材ツアーを観光するので、ぜひジモコロで取り上げて欲しいネタをお送りください!

 

 

(おわり)

 

書いた人:ジモコロ編集部

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どこの地元にもコロがっているような魅力ある「場所」や「仕事」「小ネタ」など、地元愛を感じてしまう話の数々を集めて発信していくメディアの編集部です。TwitterFacebook


【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 24話「らっきょうの耳栓」

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<柳田さんと民話・一覧>

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<柳田さんと民話・一覧>

 

1話~10話までをまとめ読み

11話~20話までをまとめ読み

 

 

「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

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「現代人には許しの心が足りない」犬養毅の子孫が語る教育論

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こんにちは、ライターの友光だんごです。本日は岡山県倉敷市の「美観地区」に来ています。昔風の街並みが残り、岡山で一、二を争う人気の観光地です。

 

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本日の宿は美観地区の中にあるゲストハウス「有鄰庵」。カフェも併設されており、休日となれば行列ができるほど人気のスポットなんです。

 

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岡山名産のぶどうジュースや名物「しあわせプリン」をお供にチェックインまでの時間を過ごしていたら、ある物を見つけました。

 

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なんだか教科書で見た覚えのある老人の写真です。

 

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f:id:tmmt1989:20180130140655p:plain「犬養毅さんですよ」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「イヌカイツヨシ…あ、昔の政治家ですね。しかしなぜここに写真が?」

f:id:tmmt1989:20180130140655p:plain「うちの代表が犬養毅さんのひ孫なんです」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「なんと!」

 

皆さんも歴史の教科書で見た記憶があるでしょうか?

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日本で初めて「憲法」や「議会」ができる過程で大きな役割を果たし、「憲政の神様」とも称される政治家です。

 

五・一五事件で政治的に対立していた軍部から襲撃された際に発したとされる

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という言葉も有名ですよね。

そのひ孫がここ有庵にいらっしゃるとは、気になります。大政治家の血を引く方は一体どんな風なんでしょう…?

 

f:id:tmmt1989:20180130140655p:plain「あ、今ちょうど奥にいるので呼びますよ。ワンさーん

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ありがとうございます(ワンさん?)」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140717p:plain「どうもー。犬養です」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「予想の10倍くらいフランクな感じの方が!」

 

こちらは犬養拓(いぬかい・たく)さん。

ゲストハウス&カフェ「有鄰庵」をはじめ、ショップ「美観堂」やスイーツ店「はれもけも」を運営する「株式会社有鄰」の代表を務めています。

 

彼のルーツについて、今の活動について、詳しくお聞きしてみましょう!

 

 

父方だけなく母方も凄かった

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「先ほどワンさんと呼ばれていたのは?」

f:id:tmmt1989:20180130140717p:plain「うちのスタッフからそう呼ばれていて。他にワンコさんと呼ぶ人もいますね」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ずいぶん仲の良さそうな職場ですね! 犬養さん、ひいおじいさんが犬養毅……あの、今回『犬養さん』がいっぱい出てきてややこしいので、僕もワンコさんと呼んでいいですか?」

f:id:tmmt1989:20180130140717p:plain「どうぞ」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「優しい。では改めて、ワンコさんのひいおじいさんが犬養毅さんなんですね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「はい。もちろん会ったことはないんですが、小さい頃に『どうやらうちのひいじいさんは殺されてるらしい』と知り、衝撃を受けました

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「先祖が暗殺されてる人、なかなかいませんよね…」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「とはいえ、あたしの父も母も、自分の家について話す人ではなかったんです。だから母方の大原家のことも、ちゃんと知ったのは最近で」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「大原家とは、もしかしてあの大原美術館の…?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「はい」

 

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ここで岡山県外の方はピンと来ないと思うので説明を。

 

「大原美術館」といえば、美観地区に来た観光客が9割がた立ち寄る岡山では超メジャーな観光スポット。なにしろ収蔵されているのはロダン、モネ、ルノワール、ゴーギャン、ピカソなど、巨匠たちの作品が集まっているんです。

 

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「あの美術館、1930年にあたしの母方のひいじいさんが作ったんですよ。地域の女性や子どもがより良く生きるためには、教養を身につけなければいけないと考えたそうで、当時生きてたモネやルノアールの絵を海外から買い付けてきて

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「なんと」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「母方のひいじいさんは大原孫三郎というんですが、クラボウやクラレ(※1)、中国合同銀行(※2)の社長で、病院なんかも倉敷に作りました」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「かなりすごい人では……ちょっと一回家系図で整理させてください」

 

※1 旧社名はクラボウ=倉敷紡績、クラレ=倉敷絹織。いずれも繊維・化学分野の一大企業

※2 現在の中国銀行。岡山を拠点に広島、香川にも展開する地方銀行

 

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「すごい政治家とすごい実業家の血筋のサラブレッドということですね…!」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ただ、自分のルーツをちゃんと意識したのはわりと最近だったんです」

 

 

自分のルーツを知るということ

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「先ほども言ったように、両親は自分の家のことを話さない人たちでした。だから、あたしもいい意味で家のことにはあまり興味がなくて。ただ、30歳をすぎた頃から自分のルーツについて知るのが楽しくなって勉強するようになりました」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「そこで何か、犬養毅さんの印象的な言葉ってありましたか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「そうですね…」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain『恕(じょ)ですかね」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「じょ」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「他人の立場や心情を察して『人を許す』という意味です」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「人を許す。どんな時に犬養毅さんが言った言葉なんですか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ひいじいさんが孫の犬養道子さん(評論家。ワンコさんにとっての伯母)に送った書(しょ)なんです。この道子さんは11歳で五・一五事件の現場に居合わせて、目の前でおじいさんを殺されたんです

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「まだ子どもの頃にそんな…」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「道子さんはおじいさんのことが大好きだったので、大変ショックを受けたようですね。彼女のエッセイに、当時を振り返っての想いが綴られています」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ちょっと想像がつかないくらいの経験ですよね。その『恕』と犬養毅さんの有名な言葉『話せばわかる』は、どこか似ているように感じます」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「犬養道子さんのエッセイには次のようなエピソードがありますね」

私が知っていたお祖父ちゃまは、理解の人、であった。恕の人、であった。あるとき宮中参入の自動車の戸を思い切り閉めた巡査が、まだそこにかけられていた彼の右手を骨ごと砕いてつぶした。しかしお祖父ちゃまは、何ごともない顔で宮中に入り、何ごともない顔で帰宅した。なに、ちと不注意をしてなと言っただけで、巡査のことはついぞ誰にも言わなかった。

『ある歴史の娘』犬養道子・著(中公文庫)より 

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「まさに『人を許す』人だ」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「こういうエピソードがたくさんあるんです。自分で言うのもなんですが、あたしも人を見て、相手の立場を考えることが苦ではなくて。だから似てるのかもしれない、と思ったんです」

 

 

日本には成熟した大人が少ない

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ワンコさん自身のことをもっと知りたいんですが、元々は岡山にいらしたんですか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「あたしは生まれも育ちも東京で、大学を出て広告代理店へ就職したんです。入る前から会社員は合わない気がしてたんですが、12年間勤めて結局、退職しました」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「どんな点が合わなかったんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「会社員には自分の行動や発言に責任をとるという意識が乏しい人が多いなと感じていたんです。その理由として、仕事で成果を残しても失敗しても、その後の会社員人生にあまり関係がないことがあります」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「給与がすごく上がったり、首になったりすることもない…」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「はい。本来の仕事とは違う部分でのおかしな評価のされ方もあって、会社員は仕事の本質と無関係な部分が大事にされがちだなと」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「組織というものが強くて、それが個人としての意識や責任感を弱めているというか。ある種の日本人らしさかもしれませんね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain日本には成熟した人が少ないのかな、と思います」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「犬養毅さんのように『人を許す』ことも、成熟ゆえの余裕がなければ難しいかもしれませんね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「そうですね。その点、あたしの周りには小さい頃から成熟した大人が多かったような気がします」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「例えばご両親とか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「はい。両親は子どもを子ども扱いしない大人でした。子ども連れで食事をするような時も、普通は多少、子どもに寄せた会話になりますよね。でも、両親もその友人たちも、おかまいなしに大人の会話をしていました」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ワンコさんはそんな時、どうしていたんでしょうか」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「まだちゃんと喋れない頃だったので、大人たちの会話をひたすら聞いていましたね。人の話を聞いて分析する癖は、この頃についたのかもしれません。それと、両親の話でいうともう一つ…」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain小さい頃から両親二人に『私たちはもうすぐ死ぬからね』と言われて育ちました

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ええええ。子どもにとって『親が死ぬ』のはとてつもない恐怖じゃないですか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「小さい頃って親が全てですから、とても怖くて。薄暗い竹やぶで身内が殺される夢を見てうなされたり、夜中に起きて母親に泣きついたりはしょっちゅうでした。その上、『ひいじいさんは殺されたらしい』と知るわけです」 

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「うわあ」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「大変でしたが、結果的に死をずいぶん早く理解することができたと思います。親の死を受け入れると、ほかで辛いことがあまりなくなるというか」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「受け入れる心が早くに育った分、精神的な成熟も人より早かったでしょうね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「僕、小中高と男子校で。小学校1年生のときに粗野な男子の同級生たちを見たときは『なんでこいつらこんなに思いやりがないんだ!同じ生き物になりたくない!』と思いました」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「それで一人称も『あたし』になったんですか?」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「いえ、『オラ』『わい』の時期もありました。大学の4年間はずっとメンタル的に重い病気だった彼女の看病をして過ごしたんですが、社会人2年目でその子と別れてから第二次自我の芽生えがありまして。そこから『あたし』になったような気がします」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「(不思議な人だなあ)」

 

 

「恕」の精神でできた職場

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「話を戻しますね。会社を辞めた後はどうされたんですか?」 

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「東京で自分の会社を立ち上げました。それと同じ頃に、有鄰庵の創業者から『手伝って欲しい』と声をかけられまして。最初は外部の相談役のような立場でしたが、2016年の夏から僕が株式会社有鄰の代表を勤めています」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「ゲストハウスって社員やアルバイトの人以外に、短期間在籍する『ヘルパー』さんもいますよね。マネジメントの観点でいうと普通の会社より難しそうな気もしますが、心がけていることはありますか?」

※ヘルパー……ゲストハウスの仕事を手伝う代わりに、滞在費が無料になる制度。在籍期間は数週間から、1ヶ月を超える場合も。

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「僕の中での優先順位を正直に言うと、社員、アルバイト、ヘルパーの順になります。気づいたことがあれば僕から言うこともありますが、ヘルパーの人に対しては、一番は社員の立場の人が何を与えられるかだと思っています」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「代表である僕は、まず社員に全てを伝える。僕の社員に対する行動が、社員からアルバイト、そしてヘルパーの人への行動となって返っていくと思うんです

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「トップからいきなり全体へ伝えようとするのではなく、順に下ろしていくと」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ヘルパー制度は気軽に有鄰庵やゲストハウスの仕事を体験してもらうための側面もあって。短期間で深いコミットをヘルパーの人に求めるのは難しいですからね」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「なるほど」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「僕が社員に対して代表としてどんな声をかけるか、人事評価をしっかりできているか……そういうことが、結果として会社全体を作ると思っています。これは有鄰庵に限らず、株式会社有鄰全体で考えていることです」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「そこではやはり、『人を見る』というのがとても大事になってきますね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ええ、他の会社を見渡してみても、人をちゃんと見られていないところは多い気がします。うちは『人ありき』ですから、新規事業のアイデアも色々とありますが『その事業に合った人が来たらやる』方式です」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「それだとリクルーティングがとても重要になると思いますが、採用したいと思う人材の見極め方はありますか?」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「あたしの持論ですが、その人がどんな人か、男性は20代後半から『顔に出る』と思います。女性は男性ほど顔には出にくいですが、どちらにしても面接の最初の数十秒で大体わかりますよ」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「それはどんなところを見て…」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「喋り方に加えて顔つき、立ち居振る舞い全てですね。面接であれば、その前のお店に来てスタッフに声をかけて……という一連の流れにすごい情報量が詰まっていますから。その様子で、ある程度カテゴリー分けできるはずです」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「僕のこともこの数十分でめちゃくちゃ分析されてるんでしょうね」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「人の観察はもはや趣味みたいなものですね(笑)。組織のことを考えるのもそうです。だから今は楽しいですね」

 

 

今の日本に足りないもの

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「死生観と組織の話を繋げると、今の日本ってどんどん寿命が延びてるじゃないですか。だから昔に比べて、知識や財産を下の世代に渡すことが減っているように思うんです。自分を先に考える利己的なおじさんが増えているというか」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「それでいうと、これまで日本の会社員は成長しないことが許されてたと思います。だから『インターネットはわからなくて怖い』なんて言うおじさんがいる」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「極端な例だとエクセルの作業すら若手に頼む、みたいな話も聞きますね…」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「日本のGDPはさらに減っていくでしょうし、老後は不安。そうすると目の前の自分のことに精一杯で、新しいこと、下の世代に目を向けにくくなるのかなと思います」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「おじさんが近所の子どもに竹トンボの作り方を教えて尊敬される、みたいな、若者に何かを教える機会すら減ってるじゃないですか。今はYoutubeを見れば何でもわかっちゃうから。それで異世代間の交流が減っていくのもよくないなと…」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「その流れでいうと、あたしは将来『教育』に取り組みたいと思ってるんです」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「教育ですか?」 

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「株式会社有鄰の企業理念は『心の豊かな暮らしを作る』です。これからの日本は人も物もお金も、これまでのように多くはない国になっていきます。それでも幸せに生きる道はたくさんある。その一つが『心を豊かにする』だと思っていまして」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「物質ではなく精神的な豊かさを感じる、みたいなことでしょうか」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ええ、そのためには、幼少期の経験は大切だと思うんです。勉強だけじゃなく、自然の中で体を使って目一杯遊ぶような。3〜12歳くらいまでにいろんなことに興味を持ったり自立する備えができたりしてれば、どんな時代になっても大丈夫なんじゃないかと」

 

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「そんな風に教育に関心を持つようになったきっかけがあったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plainサラリーマンを12年間やってみて『いきいき働いている人が少なくないか?』と感じたんですよね。日本の村社会的な空気が原因で、決められたレールを踏み外せずに自分の大事なものを自分で決められていない人が多いんじゃないかなと」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「それって先ほどの『成熟』とも繋がりますね。転職がだいぶ一般的になったり働き方が多様化したりしてますけど、みんなが自分でちゃんと考えて行動できてるかというと、まだまだなような」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「なぜ大事なものを自分で決められないかというと、つまるところ根っこは教育だと思うんです。日本を変えようみたいに大それた話じゃないですけどね。『自立』というのもあたしの人生のテーマなので」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「いつか実現するのが楽しみです。最後に一ついいですか。ずっと気になってたんですが、ワンコさんの話すイントネーションって独特ですよね。岡山弁でもないし…。(※『うちのひいおじい⤴︎ちゃん⤵︎』みたいな感じです)

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「これはですね、いろんな方言を喋っていたら混ざってしまって

 

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f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「そんなことってあります?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「なんというか、みんなが同じイントネーションで話すと思うなよ、と」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「相手の反応を見るためにわざと色んな方言を喋っていたらそれで混ざってしまった…?」

f:id:tmmt1989:20180130140855p:plain「ええ」

f:id:tmmt1989:20180130140358p:plain「(不思議の底が知れない)」

 

 

まとめ

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ワンコさんの話を聞けば聞くほど、今の日本にこそ『恕』の考えは必要なのではないか、と感じられてきました。

他人に対する寛容さを持てているか、成熟した大人になれているか……そんなことを考えながら、倉敷を後にしました。

 

ルーツを辿ることは、答え合わせのようだと思います。見た目ではなく言葉や、思想や、もっと深いところで受け継がれているものがある。そこで見つけたもののなかに、今を生きるヒントが眠っているのかもしれません。

 

 

「有鄰庵」はとても居心地のよいゲストハウスなので、岡山へ旅行された際にはぜひ利用してみてください。併設のカフェもおすすめですよ!

ワンコさんの元でいきいきと働くスタッフの皆さんが迎えてくれるはずです。

 

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ゲストハウス&カフェ 有鄰庵
住所:岡山県倉敷市本町2-15
営業時間:【ゲストハウス】チェックイン=18:30~20:00/チェックアウト=10:00まで 【カフェ】11:00~その日の商品がなくなるまで。※およそ16:00〜17:00に営業終了
電話番号:086-426-1180
定休日:不定休

https://yuurin-an.jp/

 

  

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。インタビューと犬とビールが好きです。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp

 

写真:藤原 慶

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21歳からカメラとバックパックを持って日本放浪の旅に出る。
全国各地を周りながら撮った写真を路上で販売し生き延びる生活を続け、沢山の出逢いと経験を積む。
現在は東京に落ち着きカメラマンとして活動中。

Instagram : @fujiwara_kei

『キャンプは道連れ世はお酒』第3話「ショップで学ぶ!テント&寝袋選び」

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7年間で1000泊以上キャンプをしたキャンプコーディネイター&イラストレーターのこいしゆうかさん。「キャンプ×お酒」をテーマに、日本のいろんな地元を旅しながら地元のお酒と食材を紹介していく連載です。今回は真冬でも楽しめるアウトドアショップ&カフェ巡り。今年こそキャンプに挑戦したい!という人向けに、道具の選び方も紹介します!

 

【登場人物】 

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今回紹介したお店

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WILD-1 デックス東京ビーチ店

住所:東京都港区台場1−6−1 デックス東京ビーチ アイランドモール5F

営業時間:11:00~21:00

https://www.odaiba-decks.com/shop/tenant/wild-1.html

 ※WILD-1のその他の店舗一覧はこちら

 

☆こいしさんがプロデュースしたテント「テンマクデザイン / PANDA」が絶賛発売中!

 

  

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nap produce by NANGA

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町3-2-3 ラ・カシータ1B

営業時間:11:00~20:00

https://twitter.com/nap_nebukuro

 

 

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BASE CAMP

住所:東京都千代田区神田三崎町2-22-8梨本ビル1F

営業時間:11:30~24:00(L.O)

https://www.cafe-basecamp.com/

 

☆店主の岡野永佑さんによる燻製レシピ本『THE男前 燻製レシピ77』(山と渓谷社)もオススメです!

 

撮影協力:猪俣慎吾

 

 

『キャンプは道連れ世はお酒』|一覧

 

書いた人:こいしゆうか

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キャンプコーディネイター、イラストレーター。引きこもり系キャンパー。ソロキャンプスタイルでクルマでも飛行機でも船でもキャンプに行きます。酒と焚き火が好き。苦手は料理。作るものが8割くらい沼のようになります。最新刊「カメラはじめます!」(サンクチュアリ出版)のほか、「キャンプ、できちゃいました」(アスペクト)、「日本酒語辞典」(誠文堂新光社)が発売中。 ツイッター:@koipanda

街で噂の海賊シェフ「鳥羽周作」は、料理業界に革命を起こす

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「え、元サッカー選手で。32歳でイチから料理人を目指すべく、一流レストランに単身乗り込んで断られたものの『大丈夫っす!』という気合だけで弟子入りしたんですか!?」

 

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「ただ、毎日2時間睡眠で眠すぎるから、眠気覚ましに自分の腕をオーブンで焼いてたと……。はははっ!もうめちゃくちゃじゃないですか!(笑)」

 

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「なるほどなるほど…。そして自慢の一皿がこちらですね。『越田さんのもの凄い鯖 ビーツ 梅』という料理名からは全然、味が想像できませんが…」

 

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「うわー、もうめっちゃ美味いじゃないですか」

 

 

  

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「そして見た目はムキムキの海賊シェフ!!」

 

・・・

・・・

 

改めて、株式会社ツドイの今井と申します。冒頭から驚きの連続で自己紹介が後になってしまいました。

僕が訪れているのは代々木上原に店を構えるモダンフレンチレストラン「Gris(グリ)」。食べログで4.08(2018年2月7日時点)の数字を叩き出しているだけでなく、同業者の料理人や有名人がこぞって通いつめている人気店です。

 

今回ジモコロで伝えたいのは、ただ料理が美味しいことだけではありません。海賊シェフと勝手に名付けた「Gris」のシェフ・鳥羽周作さんの料理業界に対する考え方を伝えたいんです。

 

話を聞いた人:鳥羽周作(とば・しゅうさく)

1978年生まれ、埼玉県出身。料理人としての父親の背を見て育ち、物心ついたころには自らも“モノづくり”が好きだった。仕事として一度は別の職種に従事するも、自分の好きなことを生業にしたいと料理の道へ転向。東京・幡ヶ谷(現在は神楽坂へ移転)の「DIRITTO」で3年、同じく東京・青山の「Florilege」で2年の修業を積み、2016年3月より「Gris」のシェフに就任。

 

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それでは鳥羽さんの熱気にのまれ続けたインタビューをお楽しみください。

 

 

届かなかったJリーグの舞台

東京一にぎやかな街・新宿から急行で5分の距離にも関わらず、閑静でちょっとハイソな雰囲気を持つ町、代々木上原。駅から徒歩3分ほど歩いたところ、なだらかで広い坂の中腹にあるのが、レストラン「Gris(グリ)」です。

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「どうもどうも。ようこそグリへ!」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「今日はよろしくお願いします」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「お願いします!」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「聞きたいことがたくさんあるのですが……元々サッカー選手だったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうですね。Jリーグの練習生やってたんですけど、プロ契約までいかなくて。27歳でやめて、小学校の先生になりました。でも、未練タラタラだったんですよ。テレビのサッカー中継観て、『オレのがうめえじゃねえか』って思ったりして。それって超ダサいでしょ?」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「まあ、正直ダサいかもしれません」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「これじゃダメだと思って。まず、人生を『観る側』のままでいくか、『やる側』に回るか決めようと思ったんですね。で、やっぱやる側だなと思って。じゃあ何やるかって時に最初はカフェやりたいなと思ったんですよ。家具とか好きだったんで、北欧家具そろえてカフェをやろうと」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「いいじゃないですか。流行りそう」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「でしょ? それで、小学校やめた次の日から代官山のディエゴっていう、マラドーナの下の名前みたいなおしゃれなカフェで働くんですよ。キッチンで料理もやったりしてね。そしたら立地が立地だから、たまに本物の料理人来ちゃうんですよ。間違って」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「間違ってはないでしょ(笑)」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そういう人に、覚えたての、ちゃっちゃと作った料理を出すと、『ふ〜ん』て感じで食べててね。こりゃ舐められてんなと。やっぱトップレベルを知らないとと思って、ハンバーガー屋に移って自分なりに凝った料理とかやってたんですけど、まだ足りないんすよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「その時はまだ、『シェフ』ではないんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ないですないです。ただのバイトくんです。そしたらあるとき、パスタでコース料理出してるっつー、超イケてる店があるって聞いたんですよ。クレイジーだなと思ってすぐ行きました。ドレスコードとか知らないから、Tシャツに短パンはいてリュックしょって、スケーターみたいな恰好で」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「そういうのって、行ったことなかったらわかんないですもんね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「『ディリット』って店なんですけど、そこではじめてフォアグラ食って超感動して、『白飯欲しいっす!』って頼んだりしてね。あるわけないんだけど。あまりにうまかったんで、次の日菓子折持って『ここで働かせてください!』ですよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「『千と千尋』!」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「オレその時、料理未経験の32歳で、『おいしいカプチーノも淹れられないような奴は雇えない』って門前払いをくらいました。だから次の日から牛乳持って通ったんです。『カプチーノの練習するんで入れてください』って言って」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「(こわっ)」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「イタい奴ですよね(笑)。結局向こうが根負けして入れてくれました。そこのシェフは、シンプルで合理的に料理させたら天下一品って人だったんで、料理人としてのベースとイタリアンは、そこで教えてもらいましたね」

 

 

働きたい職場の門は、何としてもこじ開ける

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「2年ぐらい経ったとき、たまたまオレの作った料理が雑誌に載ることになってね。そのとき、一緒に載った料理がめちゃくちゃカッコ良かったんですよ。後に世界のトップシェフになる川手さんっていう人の料理だったんですけど。しかもオレと同い年。行くしかないじゃないですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「ちょっとわからないですけど」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「行くでしょう! でも、案の定断られるんですよ。単純に人は足りてるしいっぱいだって言って。君のイメージに近い別のシェフを紹介するとも言ってくれたんですけど、それじゃ意味ないんで『いえ、ここで大丈夫です』と」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「んー、それは鳥羽さんが決めることじゃないですね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「『いや、無理です』『いえ、大丈夫です』『無理です』『大丈夫ですよ!』と押し問答になって、『そこまで言うなら、研修生でいいならどうぞ』と。それで、翌日からまずは研修生として働きはじめました。『フロレリージュ』というフレンチのお店です」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「ええー! ご家族とか、大丈夫だったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「問題なかったですね。奥さんが小学校の先生やってたんで」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「そういうことじゃない気がするけど……」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ちなみに奥さん、今は先生やめてパン屋になっちゃいました」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「完全に鳥羽さんの影響じゃないですか」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「やばいですよね」

 

 

眠気覚ましは「オーブンの腕焼き」

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f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「なんか、『オーブンでわざと手を焼いてた』と聞いたんですけど、ウソですよね?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ほんとですほんとです。『フロレリージュ』は本当にウソみたいに忙しいんですよ。昼も夜もずっと満席なうえ、同じメニューは出さない。なんならテーブルごとに違うんです。プレッシャーで、毎日吐いてました」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「テレビで見たことありますけど、繁盛店の厨房ってほんとすごいですもんね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうなんですよ。でもここで食らいつかないと先はないと思って、どうやったらクビにならないかを考えたんすよ。そうだ、スペシャリテだと思って」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「スペシャリテって、その店の『名物』みたいなものですよね?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「です。フォアグラにメレンゲを合わせたスペシャリテがあって、これはどのテーブルにも毎日出すわけです。これを完璧に作れるようになったら簡単には切られないだろうと思って、練習をはじめました」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「店内での自分の価値を上げようと考えたんですね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「休日も店に出て、ずっと2時間睡眠で練習してました。そうすると、営業中に眠くなるじゃないですか。本当に眠いと、どんなに忙しくても寝ちゃうんですよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「鳥羽さんも人の子だった」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「見つかったらやばいから、眠気覚ましに300度のオーブンに手を突っ込んでました。眠い、オーブン、ジュッ、眠い、オーブン、ジュッって感じですね。やけどってめっちゃ目が覚めるんですよ? 知ってます?」

 

f:id:yuqi_026:20171207143752j:plain

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「知らないです」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「疑ってるでしょ!? (スタッフに向けて)ちょっと本持ってきて〜!」

 

f:id:yuqi_026:20171207141843j:plain

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「これ、オレがいたときに出た『フロレリージュ』のレシピブックなんですけど」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ほらこれ、オレの手です」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「発疹が出てたとかじゃなくて?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そう見えます?」

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f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「ホントにやけどしまくってる……」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ね? ウソじゃないでしょ? その頃は毎日包帯巻いてましたから」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「(ぶっ飛んでるな〜)」

 

 

すべてを必然だと思いこみ、相手にも思いこませる

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f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「何にせよ、根性がやばいですね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうですか? でも、熱意だけじゃだめですよ。したたかさもないと。いい師匠のところにいけば一流の技が盗めるに決まってるし、人の5倍働いたら早く成長するのも当たり前じゃないですか。あとはやるかどうかですよね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「そりゃそうですけど、なかなか出来ないじゃないですか」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「エネルギーがあるかどうかですよね。あとはスピードも大事です。食べに来てくれたメディア関係の人が、『今度取材したい』って言ってくれたとして、間髪入れず『いつにします?』と返せるかどうか」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「大事なことだと思います」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「あとは、なんでよくそんなチャンスが来るんですかって言われるんですけど、違うんですよ。チャンスはみんなに平等にあるんですよ。出会いに必然性を感じて、熱く語って、相手にも感じてもらえるかどうかなんです。オレはとにかく1回食いに来てもらいます。食わせればもう、おとせるんで」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「たしかに僕がこうして取材に来ているのも、ジモコロ編集長が鳥羽さんに出会って一度食べに来たからですもんね」

 

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前菜「フォアグラ 柿 コリアンダー」(※料理名)

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「でしょう? たとえば、うちで出してる『もの凄い鯖』っていう名前の鯖の干物があるんですけど、これを扱ってる堀田さんのインスタ見てたらけっこう食べ歩いてる人で、いつ来るかなと思ってたけど全然来ないから、連絡したんですよ。DMで『グリの鳥羽と言います。なんで来てくんないんですか?』って

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「ええー! 知らない人ですよね?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「その時点ではそうですね。そしたら来てくれて、感動して、自分の鯖の干物を置いていってくれたんですよ。それがいま、うちの看板メニューですからね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「ストーリーがありすぎる……今、来店を待ってる人とかいますか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「藤原ヒロシさんですね。ずっと服が好きで、裏原系が流行ってるときから追いかけてたっていうのもあるんですけど、あの人、今でもカッコイイじゃないですか? こないだ出した音源もめっちゃよかったし。ああいう人に来てもらって、『グリかっこいい』って言われたいですね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「この記事を読んでくれる可能性もゼロじゃないんで、呼びかけましょう!」

 

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「ヒロシさん、お待ちしてます。食ってくれりゃわかるから!」

 

 

「『メンノン』でずっと追いかけてたから! ずっと憧れてた人に、うちの価値観を良いって言ってもらいたいんですよ〜! お願いします!

 

 

「世界での評価」は通過点

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f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「鳥羽さんの話を聞いていると、『何をやっても成功しそうな人だな』と思うのですが、自分ではどう思われますか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「いや、そんなことないですよ。実際サッカーはダメだったわけですし。多分、料理がうまくいってるのは、『もう人生これで行く』って覚悟が決まっているからだと思いますね。『ONE PIECE』のルフィじゃないですけど、オレの中で、料理でひと旗あげるのは決定事項なんで」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「まさに海賊ですね。シェフとして、世界に打って出たいというお気持ちもあるんでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「あるけど、それは通過点ですね。いずれは、イケてるシェフ達と『シェフバンク』っていうネットワークを作りたいんですよ。シェフ同士で技術や知識、情報を共有して全体の底上げをしたり、地方の人達と繋がって食材をシェアしたり。今まで個人個人『点』でやっていたことを一つの『線』にしてより多くのことが出来るようにしたい」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「たとえばどんなことをやるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「たとえば、地方でたくさん採れすぎて余ってる食材があるとするじゃないですか。そういうとき『シェフバンク』に連絡をもらえば、その食材を各店に分配してうまく調理して出すことができるかもしれないし、逆に、現地にシェフを派遣して食のイベントをやることができるかもしれない」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「すごい……! めちゃくちゃたのしそうじゃないですか!」

  

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ちいさな生き物が雨宿りしているかのような「牡蠣 菊芋 カラマンシー」。

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「でしょ? これは、うちだけでやっても意味ないんですよ。みんなでやりたいんです

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「どういうことですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「僕のお店は今満席になりつつあるかもしれない。でも仲のいい友人のなかには、本当にいい料理を作るのに満席になってない人もいる。どの店も満席ならいいですよ。でも、そうじゃない。料理業界でうちだけ潤ってっても、業界の給料は上がらないですよ!

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「はい」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「みんながハッピーにならなかったら、結局自分もハッピーにならないんですよ。食べログ4.5で毎日満席、予約は半年取れませんみたいな状態を作るのも素晴らしいですが、それだけじゃダメだと思うんです

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「料理人さんの給料って、びっくりするほど安かったりしますもんね。失礼ですが、鳥羽さんの月給は……」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「◯円ぐらいですね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「うーん。高いとは言えませんね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ウチのオーナーは最高ですし、業界基準でいったら真っ当な額なんです。要はここで『しゃあない』と思うかどうかなんですよ。どうにか改善できないか、どうしたらこのシステムに風穴を空けられるのかを、考え続けなきゃいけないと思ってます」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「実際に、何かはじめていらっしゃることはありますか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plainおれの給料をゼロにできないか考えてますね

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「え? さらに減らすんですか?」

 

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キャベツの甘みと食感がいい仕事しすぎの「本日のお肉料理」。

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「店からもらわないっていう意味で。たとえばレシピ開発して音楽みたいに印税もらって、レシピが売れればお金が入って来るとか。めっちゃうまいジャム作って、それが世界中で売れて、マージンが入ってくるとか、まあ、テレビ出るとかもそうですね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「鳥羽さん、テレビで喋るのも余裕でしょうね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうやって減らしたぼくの給料分をうちのメンバーに還元する。そしたら、オーナーに負担をかけることなく、飲食の夢である『年齢給』をもらうことが可能になるかもしれないんです。35歳なら35万円ていう、年齢と同じ給料がもらえるかもしれない」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「たしかに」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「みたいなことを提案していくなら、『代々木上原のグリの鳥羽』より、『世界の鳥羽』の方がいいじゃないですか。影響力を高めるための手段として、評価は得たいと思ってますね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「なるほど」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「お金も稼げるしおしゃれだし、そのうえお客さんまで喜ばせてて超カッコいいみたいな、そういうモデルケースにしたいんですよ。グリを。だから服はおしゃれじゃなきゃダメだし、音楽もイケてなきゃだめだし。もちろんとびきりおいしくないとダメなんです」

 

 

服がダサいやつは採用しない

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「オレは外出てアピールするとかできるし、もちろん料理も得意ですけど、一人じゃなにもできないんで。だから、人材は慎重に選んでるし、超大事にしてますね。服がダサかったり、カルチャーに興味がないやつとかは採らないです

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「そこを見るんだ!」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「料理の腕とか、お客さんと話すときの振る舞いとかはこっちでなんとかできますけど、センスとか価値観は無理じゃないですか。やっぱり長く働いて欲しいんで、そっちの相性はめっちゃ見ますね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「おもしろいなぁ」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「うちのメンバーはほんと最高なんで、たとえばこないだも、休みの日にぼく抜きで、千葉の取引先の生け簀を見に行ったりしてるんですよ。そうすると向こうは『グリさんは熱心だからいいの送るよ』って言ってくれるんですよね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「それもさっき仰っていた『必然をつくる』ですね」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうです。それで言うと……(スタッフの方を向いて)おにぎり侍、ちょっと来て〜!」

 

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f:id:tmmt1989:20180202200014p:plain「はい……」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「お前緊張してんじゃねえよ。こいつ、いま21歳なんですけど、あるとき『研修させてください』って来て、いいよって言ったら休みのたびに来るんですよ。自分が働いてる店もあるのに。気合い入ってんじゃんと思って」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「『研修』ってなんですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「なんでしょう。料理人版のインターンって言うとわかりやすいのかな。気になる店に行って厨房入って教えてもらう文化があるんですよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「なるほど。鳥羽さんのどういうところに惹かれたんですか?」

f:id:tmmt1989:20180202200014p:plain「やっぱり、エネルギーですね。気持ちのかけ方が普通じゃないというか。お客さんに喜んで帰ってもらうのが当然だと思っているし、その自信も、その影にあるこだわりもすごいです。あと、研修でどんどん任せてくれるのにも驚きました。『皿洗いしながら見てて』みたいなところも多いので」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plainうち、研修生は洗い物禁止なんで

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「へー!」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「だって普通に考えて、わざわざ休みの日に勉強したいですって来てるやつに、洗い物させるってクソじゃないですか。洗い物は俺やってますもん。だよね?」

f:id:tmmt1989:20180202200014p:plain「研修生に洗い物やってもらうことは、絶対にないですね」

 

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お肉と口の中で化学反応を起こすワイン。コースとのペアリングがおすすめ。 

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「やらせないですよそんなの。わざわざ勉強したいって言ってるやつには、全部差し出しますよ、俺は。技術も食材もをシェアして、できる人の数が増えた方がいいってのは、当たり前の話だから。独占してたら業界よくならないですよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「すばらしい」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「それは雇ったスタッフも一緒で、うちのスペシャリテはこいつともう1人で作ってます。それがお客さんの口に入って喜ばれて、雑誌に写真と名前が載って新しいお客さん呼んでっていうのがいいじゃないですか。選手層めっちゃ厚いみたいな」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「それは、若い人にとっても、モチベーションになりますよね」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうです。そして任せている以上、おれがかっこよく無かったらダメですよね。見た目じゃなしにね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「料理人像とか生き方とか」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「ええ。変な話、地べた張ってでもやる覚悟はありますもん。何があってもあいつらが信じてくれる。朝から晩まで働いてるメンバーに、うちのシェフはマジカッコいいんですよ。シェフについていけば世界行けちゃいますよって思わせ続けないといけないんです」

 

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〆は箸を使っていただくさわやかな「鶏 ふさおとめ レモンバーム」のどんぶり。

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「だから俺はあいつらよりも何倍も走るし、きついけど俺についてこいよっていうでかい背中見せ続けるんです。それができなかったらシェフじゃない。そのためならオレは、寝ないででもなんでも絶対やろうって決めてるんで」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「なぜそこまで…」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「そうじゃなかったらこいつらが報われないですもん。うちに来てがんばる意味がないじゃないですか。だからもうぜったい、そこだけはオレ、折れないですよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「完全にルフィですね。ちなみになんで、おにぎり侍なんですか?」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「こいつの髪型がおにぎりっぽいなと思ってたときに、宮崎の『そば侍』って人に会って、じゃあうちは『おにぎり侍』だってことで付けました。オレのインスタのストーリーに頻繁に出てるんで、チェックしてください!」

 

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f:id:tmmt1989:20180202200014p:plain「チェック、してくだ……さい」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「お前やらされてる感出してんじゃねえよ!」

※おにぎり侍さんの本名は金垣友也さんとおっしゃいます。

 

 

そして冒頭へ戻る。「もの凄い鯖」を実食!

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「今井さん、一皿だけですけど、食ってってくださいよ」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「いいんですか? ぜひ!」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「こちらが、『越田さんのもの凄い鯖 ビーツ 梅』です」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「赤い! さっそくいただきます」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「うますぎる……。うますぎてコメントが出て来ない。なんだろう、すべてが必然ですねこれ。全員がいい仕事してるバンドみたいな。捨て曲なしのアルバムみたいな」

 

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f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「へへへ。彩りのために入れているものとかは一切ないですからね」

f:id:tmmt1989:20180128170235p:plain「このクオリティでコースはやばすぎるでしょ……」

f:id:tmmt1989:20180128170248p:plain「マジでうちのメシは美味いので来てください。昨日より今日。毎日進化してるんでヤバいですよ!!」

 

 

取材を終えて

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後日、フルコース料理を食べに行きました。一皿一皿に凝縮されたエネルギーがすさまじく、食後は長風呂の湯上がりのような、強めのマッサージを受けた直後のような、そんなぼーっとした気分になりました。

 

鳥羽さんが取材で語ってくれた「技術を独占しない」「センスが合う人間だけを採用する」「名声は目的達成のために得る」といった考え方は、お店の雰囲気となって、代々木上原の地に、たしかに現出しています。

 

ぜひみなさんも、鳥羽さん自身と、鳥羽さんたちが作る料理を体感しに行ってください! この記事を読んだことを必然にするかどうかは、あなた次第です。

 

Gris(グリ)
住所:東京都渋谷区上原1-35-3
営業時間:ランチ=12:00〜13:30(L.O.) ※土、日、祝日のみ
ディナー=18:00〜21:00(L.O.) ※完全予約制
電話番号:03-6804-7607
定休日:水曜定休+月2日火曜定休
http://gris-yoyogiuehara.com/

 

 

書いた人:今井雄紀

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1986年生まれ。滋賀県出身。新宿在住。新卒でリクルートメディアコミュニケーションズに入社し、Webディレクターとして勤務。2012年より、フリー編集者として星海社に合流し新書を中心に編集業務を遂行。2017年6月、編集とイベントの会社ツドイを設立。社長1年生です。
Twitter:@imai_tsudoi / Webサイト:株式会社ツドイ

 

写真:藤原 慶

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21歳からカメラとバックパックを持って日本放浪の旅に出る。
全国各地を周りながら撮った写真を路上で販売し生き延びる生活を続け、沢山の出逢いと経験を積む。
現在は東京に落ち着きカメラマンとして活動中。

Instagram : @fujiwara_kei

この時代にあえて『女性らしさ』を学ぶため、芸者さんに話を聞く

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はじめまして、ライターのみらいです。毎日ジャージを着て、Youtubeばかり見ています。

 

友人からはいつも「女らしさと気品が足りてない」と、ため息混じりで言われ続けています。

このままでは女性としてまずい。確実にまずい。お嫁にいけない。

 

でも

 

女性らしさって一体何なんでしょう!?

 

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クッションに毛玉がついてないこと?

 

今の世の中、価値観や働き方が多様化して、男や女といった区別は、昔のようにハッキリとした形ではなくなってきました。

でも、人それぞれ方向性は違っても、女性なら誰だって「自分が考えている女性らしさ」の概念を持っているはず!

 

私が考える「女性らしさ」……

 

 

それは……

 

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芸者!

 

そう、私が考える「女性らしさ」は、芸者さん。

立ち振る舞いも美しく気品があって、もてなしの心を持っていて、男性を立て、聞き上手。まさに女性らしさの象徴って感じ!

 

なぜ私が芸者に特別な憧憬を感じるかと言えば、生まれ育った地元・八王子には、昔から根強い芸者文化があるからです。

 

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というわけで、さっそく八王子にある置屋(芸者さんの事務所のようなもの)「置屋ゆき乃恵」さんを訪ねてみました。ジャージは着替えました。

 

よーし、ここで女性らしさを学んで、黒木瞳ばりの気品を手にいれるぞー!

 

「置屋ゆき乃恵」

住所:東京都八王子市中町9-9

公式HP

 

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上品な門構え! 芸者という存在は知っていても、実際にこういう場所に足を踏み入れた人は少ないのでは? 地元民の私にとっても未知の世界です。

 

 

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独特の空気感だなぁ。めちゃめちゃ緊張してきた……

 

 

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あ、あの~……すいませ~ん。取材の約束をしている者ですが。どなたか……どなっ……

 

 

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「ようこそお越しくださいました」

 

 

芸者さんから学ぶ、真の女性らしさ

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美しく可憐な芸者さんたちがお出迎えしてくれました。左からひさ丸さん・成華さん・くるみさん。

気品の塊。気品モンスターという言葉が浮かびましたが黙っておくことにしました。

 

そして、そんな芸者衆を束ねるのは、こちらの方―

 

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『置屋ゆき乃恵』の主人・めぐみさん

八王子の高級料亭で仲居をしていた際、芸者にスカウトされ、現在の八王子花柳界を支える中心的存在。

 

今回の記事では、めぐみさんを中心に話を聞いていきます。

 

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plainよろしくお願いいたします! 今日は『女性らしさ』とは何なのか、お話を聞かせてください」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「はい、よろしくお願いします。『女性らしさ』とは、また難しいお話ですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「それで、あの~早速で申し訳ないのですが……」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain何でしょう?」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain足をくずしてもいいですか……?」

 

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開始10分で無残にもしびれる己の足

 

 

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ウケました

 

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain(笑)どうぞ楽にして下さい」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「すいません。では失礼して……。私が目指す『女性らしさ』の中には、“ピンと背筋を伸ばして美しく正座できること”も含まれているんですが、どうしても無理でした」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「こればっかりは慣れがありますから。最初の頃は誰でも足が痺れて……中には、立ち上がった瞬間に、障子ごと廊下に転げ出てしまった人もいるんですよ」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「うわああぁぁ! すごいエピソード! 」

 

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この美しい正座をご覧ください。

ちなみに左のお三方がまさにそうなんですが、芸者を目指す人は舞踊を習っていることが多いらしく、幼い頃から(稽古などで)正座に慣れているそうです

 

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「『女性らしさ』って何だろう?ということで最初に考えたのは、言葉遣いなんです。私は男性のように『まじ?』とか『じゃねーの?』とか、普通に言ってしまうので」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「確かに最近は、男性のような言葉を使う女性も多いですね。それは個人の自由だとは思いますが」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「皆さんはやはり気をつけているんですか?」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「私たちはお客様の相手をするわけですから、美しい言葉遣いができるというのは必須だと思います」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「私は油断をし過ぎているんでしょうか。電車に乗り遅れた時とか、『チクショー』って言いながら舌打ちとかしちゃうんですよね」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「それはいけませんね。どんなに取り繕っても、言葉遣いは日頃使っている言葉が出るものです。特に咄嗟の時には、そうやってついポロッと出てしまう。私は普段から、どんな状況でも綺麗な言葉を使うように意識しています」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「え~本当ですか? じゃあコンビニで『お弁当温めますか?』って聞かれた時、なんて返すんですか? 私は『ッス』とか言っちゃいますけど」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「う~ん、そうですね。私なら……」

 

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「(ニコッ)結構です……」

 

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「……とか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「『結構です』!! なんて上品な言葉でしょう! 今日の夜、カルビ弁当買う時に使います!」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「『女性らしさ』と『カルビ弁当』に多少の違和感を覚えましたが、お好きでらっしゃるんですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「はい、たまらなく好きなんです! ちなみに今の話だと、めぐみさんはコンビニではお弁当を温めないんですか?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「食べる直前に、家でレンジを使ったほうが温かいので……」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「勉強になります。みなさんにも、言葉遣いに関してお聞きしていいですか? 男性のような言葉を使う女性のことを、どう感じます?」

f:id:jimocoro:20180131190134p:plain「お客様相手の会話ではないなら、使いやすい言葉で良いと思います。私たちは職業柄、普段から気をつけなくてはいけませんけれど」

f:id:jimocoro:20180131190224p:plain私は私の思う理想のためにきれいな言葉を使っているだけなので、あまり他の方の言葉遣いについて考えたことはないですね。別の方には別の理想があるのではないでしょうか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「心の余裕ありすぎ」

f:id:miraitokako:20180126213857p:plain「言葉遣いに関しては、小さい頃からお稽古の師匠や、母に厳しく言われていました。ですから、友人と話す時でも気をつけるようにしています」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「なるほど、小さい頃から綺麗な言葉遣いが染みついていると。内から溢れ出る気品って、結局その人が積み重ねてきたものなんですね」

 

 

芸者さんに聞く会話術

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「芸者さんといえば、言葉遣いがきれいなだけではなく、そういった言葉を駆使して、実際に会話をしなくてはいけませんよね。プロとしてうまい会話のアドバイスを頂けないでしょうか

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「まずは、常に聞き上手でいることが大切だと思います。自分のことばかり喋るより、相手の言葉を聞いてちゃんと頷いてくれる人のほうが、会話の相手として嬉しいものではないでしょうか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plainうわあ、そのへんも女性らしいなぁ。私、いつも人の話を聞かずに、昨日見た夢の話ばっかりしてますよ」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「あら、それも楽しそうですね(笑)。どういった夢をご覧になるんですか?」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plainえ~っと、例えば昨日はですね、壺の中に毒虫を入れて戦わせる夢を……はっ! これが聞き上手ってことですか!」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plainそうですね。ただ、会話が苦手な方は無理に話を引き出そう!と力まず、お話に対して、相手にわかるように大きく相槌を入れるだけでも印象が変わってきます。無反応ではいけません」

 

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「私、顔がずっと同じとか、リアクションが悪いってよく言われるんですが、『相手にわかりやすいように』大きく相槌を打つ、なんて考えたこともなかったです」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain礼儀やマナーというのは、あくまで相手のためのものですから。相手から見てどうなのか、というのは意識したほうが良いですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain自分にはわからない話題が出たらどうするんですか? 私は曖昧に微笑んでごまかすようにしてるんですけど」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「このお仕事をしていますと、嫌でも様々な話題に慣れていくものですが、それでも全くわからない話題というのもあります。そんな時は素直に『難しくて分かりません』と言うことにしています」

f:id:miraitokako:20180201171312p:plainえー、でも気まずくないですか? 例えばカバディっていうスポーツの話題を振られて、知りませんって言っちゃうと会話が途切れちゃうし」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「カバディ? 聞いたこともないですね。どういった競技なんですか? 日本のスポーツなんでしょうか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「いえ、カバディというのはインドの国技で、『カバディカバディカバディ……』と連呼しながらですね、敵の陣地で……あ! なるほど、こうやって会話を続ければいいってこと?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「知ってるふりをするより、知らないと伝えて、素直に教えてもらうのが一番良いんです。人にものを教えるのって楽しいし、こちらも知らないことを学べて楽しいですから」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「そう言われれば、『女性らしい』人のイメージって、“素直”な人物像になりますね。素直さって『知らないことを知らないと言える勇気』でもあるから、身につけるのは意外に難しい……」

 

 

芸者遊びのマナーが知りたい! 

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plainお話を聞いていたら、俄然 芸者さんの世界に興味が湧いてきました!」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plainそれはありがたいことですね。最近は女子会などで、女性のお客様も多いんですよ」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain芸者さんが老若男女に受け入れられてきているんですね。芸者遊び、私もしてみたい! でも未知の世界すぎて怖いんですよ。例えばお値段とか想像がまったくつかない

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「うちでは芸者一人につき、2時間で1万4千円ですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「!? 想定してるよりだいぶ安かった! 1万4千円なら、付き合わせる友だちの分も私が払うとして……3万以内で呼べる!」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「おそらく勘違いなさっていると思いますが、お客様がどんな人数でも、芸者を一人呼ぶ金額は変わりません。タクシーのように、全員で割ってお支払い頂けます

f:id:miraitokako:20180201171312p:plain「ええっ! 極端な話、10人の団体で芸者さんを一人呼んだら、1400円で済むってこと?」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「基本的には料亭などに呼ぶことになると思いますので、料理代もご用意が必要ですけどね」

f:id:miraitokako:20180201171312p:plain「いやそれでも、芸者遊びって娯楽の中でも最上級にリッチなイメージがあったんですけど……」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「実はそんなこともないんですよ。ぜひ、若い方も気軽に呼んでいただけたらと思いますね。ただ、私は八王子のことしか存じておりませんから、他の地域だとまた違うのかもしれません」

 

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「芸者遊びといえばマナーが厳しく上品なイメージです。例えばドレスコードなんかはあるんですか?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「私たちの方から『ジャケット着用が必須です』というようなことはありませんね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「じゃあ貝殻の水着で来店しても大丈夫?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「水着は素足なのが良くないですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「そっち!?」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain足の裏の皮脂が畳につくと、料理屋さんのご迷惑になるので……。昔の粋な方は、靴下の替えを持ってきたりしていましたよ

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「靴下の替え……?! お客さんのほうでも思いやりの心がハンパない!」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain女性でも男性でも、清潔感は大切だと思います。替えの靴下を履いている人がいたら『さすがだな』となりますね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「これ、男性にはお得情報になりましたね。芸者遊びをする際、靴下の替えを持ってきたらモテる! 他にモテそうなポイントってあります?」

 

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f:id:jimocoro:20180201120000p:plainやはり、さりげない気づかいができる方は素敵だなと思います」

f:id:jimocoro:20180131190134p:plain「そうですね。大げさなことではなく、ただ『ありがとう』と言ってくださるとか。そういう一言だけでも印象はガラリと変わります」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain感謝の気持ちをさらっと表現できる人って素敵ですよね。それをプレゼントとして伝えるというのはどうでしょう? 芸者さんの世界ではご祝儀の文化ってあるんですか?」

f:id:miraitokako:20180126213847p:plain感謝の気持ちとしてお客さまからいただくことはあります」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「やっぱりあるんですね! いくらくらいが相場なんですか?」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「あくまで一般的な相場ですけど、例えば今日だと4人なので……1万円くらいでしょうか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain4人で1万円ですね。うん、全然用意できる!」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain渡す場合はさりげなく、お膳の下からスッと差し出してもらうと、素敵だと思います。気づかいができる人というのは、さりげないんですよね」

 

 

立派な女主人も昔は失敗ばかりしていた?

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f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「今日、みなさんにお話を聞いて、私なんかには永久に『女性らしさ』は身につけられないんじゃないかと不安になりました」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain女性らしさや美しい所作というのは、一朝一夕で身につくものではないのは確かです。でも誰だって初めてがあります。失敗を積み重ねて恥をかかなければ、身につく可能性はゼロのままです」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「ということは、めぐみさんも初めの頃は失敗をしていた?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「もちろんですよ! 私などはよく失敗していて、今思い出すと恥ずかしいことばかりです」

f:id:jimocoro:20180131171954p:plain「今の姿からは想像もつかない……。例えばどんな失敗をしたことがあるんですか?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「お客様としゃぶしゃぶを食べた時には……ほら、しゃぶしゃぶって、真ん中に穴が開いている鍋で食べるでしょう? 私、当時そんな鍋があることを知らなくて、どう扱って良いのか分からなかったんです」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「ああ、こういうやつですね」

 

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f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「困っている私に、お客さんが冗談で『真ん中の部分にお肉をはりつけて焼くんだよ』と言ったんです。真に受けて、その通りにしたら、お肉が引っ付いてしまうし、周囲は大笑いで、私は一段とパニックに……。本当に恥ずかしかった」

 

 

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普段のピシッとしためぐみさんをよく知るお三方はメチャ爆笑してました

 

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「それ、怒られなかったんですか?」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「怒られませんでした。本心からお客様のためを思ってがむしゃらに奮闘していたら、その気持は必ず伝わるし、失敗しても、意外と許してくれるものです」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「なるほど~!」

f:id:miraitokako:20180126213909p:plain「芸者にとって大切なのはおもてなしの心ですが、それは本心でなければいけません。仕事の間だけ……テクニックだけではなく、本心を磨くことが大事なんです。それは、『女性らしさ』についても同じではないでしょうか」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「モテたいとか、良く見られたいとかではなく、本心を『女性らしい形』に磨きあげていく……う~ん、難しそう」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ。あなたにも好きな人いますでしょう?」

 f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「えっ!そ、そうですね、まあ……はい(照)」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain好きな人に笑顔になってもらいたいという気持ちを磨けば、それが自然と、その人なりの『女性らしさ』になると思いますよ。」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「なるほど、そういうことかああ!!思ってるよりもずっとシンプルだったんですね。好きな人に笑顔になってもらうことだったら、私にもできるかもしれないです……!」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「ふふ、初々しくて良いですね」

f:id:miraitokako:20180201171314p:plain「今日は、芸者の皆さまにお会いできて本当によかったです。美しく気高く、そして強くて優しい。まさに理想とする『女性らしさ』を発見した気分です。帰ったらさっそく自分を磨き上げます。ありがとうございました!」

f:id:jimocoro:20180131172147p:plain「こちらこそ、楽しいお時間でした。頑張ってくださいね」

 

 

まとめ

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というわけで、良い女への道も一歩から! 普段の生活の中で、言葉遣いに気をつけたり、身だしなみに気を付けたりしながら日々精進していきたいと思います。

 

毎日の地道な積み重ねが大事!よーし、さっそく今日から始めよう。 まずは連日のYoutube鑑賞から断つぞー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間後~

 

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結論:~習慣は簡単には変えられない~

本心を磨きましょう、本心を。

 

 

 

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書いた人:みらい

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1993年東京は八王子生まれ。春霞のように生きることが目標のかけだしフリーライター。ゆるい記事書きます。お笑いとコーラが好き。
HP:http://miraisigoto.hatenadiary.jp/

 

マリ共和国のウスビ・サコさんは、なぜ京都精華大学の新学長になったのか?

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厳寒の京都からこんにちは、おかんです。あ、いえ、お洒落な柄シャツを着こなすこの方ではありません。

 

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右側が私です。お話をうかがっている相手は、京都精華大学の新学長、ウスビ・サコさん

 

マンガ学部を日本ではじめて設置したり、妖怪に詳しい教授がいたり、なにかとユニークな京都精華大学。私の母校でもあり、ジモコロでも過去に取材をおこなっています。

 

 

 そんな京都精華大学ですが、新学長の就任決定が世間を賑わせました。

 

新学長のウスビ・サコさんはなんとマリ共和国出身。人文学部の先生です。「どうしてマリから京都に?」「なにを研究してる先生なんだ」とTwitterなどで話題になっていたのですが、卒業生ながら私も抱えている疑問は同じ。

私は芸術学部に所属していたので、学部の異なるサコさんとは挨拶を交わすくらいの距離感でして……。

 

「世間の注目めっちゃ浴びてはるけど、私もサコさんがどんな人なのか、知りたい!」とサコさんに直接お話をうかがってきました。

「外国人が日本の学長に」くらいの気持ちでいたのですが、マリの壮絶な英才教育システムから日本の住環境がはらむ問題点まで、めちゃくちゃ濃い話の連続だったんです。 

 

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お話を聞くために訪れたのは「本町エスコーラ」という場所。京都駅の西側、三十三間堂の近くの街ナカにあるコミュニティスペースです。

 

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路地裏の長屋8軒と庭を、住居やアトリエに改修し、「ともにつくる」ことを通してコミュニティを育むことを目指している場所。サコさんはここのメンバーのおひとりなんです。

 

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ここで改めて、ウスビ・サコさんの紹介を。

 

ウスビ・サコ

京都精華大学人文学部教授。マリ共和国の首都バマコ生まれ。高校卒業後、中国・北京語言学院(現・北京語言大学) に留学。南京東南大学で建築学、大学院で建築デザインを専攻。その後、京都大学に進学し京都大学大学院建築学専攻博士課程修了。マリ語、英語、フランス語、中国語、関西弁を操るマルチリンガルで、研究対象は住宅計画・住まい・住み方の研究。住宅デザインと生活様式の関連を様々な国で調査している。

 

おかん「今日はよろしくお願いします。サコさんは人文学部の教授で、春から学長に就任されるんですよね。ところで、サコさんってなんの先生なんですか?」

サコさん「人の動きやコミュニティのあり方から空間を考察する『空間人類学』を研究しています」

おかん「空間人類学?(日本語ペラペラや……)」

サコさん「そうですね。たとえばおかんさんは、隣に誰が住んでいるか把握していますか?また、把握していたとして、その隣人との関係は良好ですか?」

 

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おかん「歳の近い男性が住んでいますね。関係はかなり良い方だと思います。挨拶もしますし、お土産をおすそ分けしたり、旅行に行くときに植木の水やりを頼んだりしてます」

サコさん「素晴らしい、それはかなり良好な関係ですね!でも、みんながみんなそうではなくて、現代の日本は、豊かな生活を望んだ結果、コミュニケーションが断絶される空間が増えすぎて孤立している人が多いのをご存知ですか

おかん「核家族化による孤独死や育児ノイローゼ……とかですか」

 

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サコさん「そうですね。たとえば孤独死や育児ノイローゼといった社会問題から、都会の中で人々が抱える孤独感、『なにかあった時に遠方の親しか頼れない』といった悩みまで、これらの問題は人がどう動くかを把握した空間づくりで大きく改善できると考えています。その方法を見つけて、世の中の仕組みを変えていくための研究が空間人類学なんです!」

おかん「な、なるほど!?詳しく教えてください!」

サコさん「たとえば……」

 

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サコさんの資料より抜粋

サコさん「大学院で所属した研究室での研究を紹介します。これは祇園の街で各家庭の打ち水の範囲を計測した図です。京都では、玄関掃除の最後、家の前の道に水を撒く『打ち水』をしますよね。この打ち水をする範囲が、隣家の前の道まで重なるところと、重ならないところがある。調査をすると、打ち水の重なる範囲が多いほうが、地域の人間関係が良好であると判明したんですよ

おかん「へー!!(なんなら関西弁もペラペラや……)」

サコさん「良好な人間関係やコミュニティを生むには、単純な人の繋がりだけではなく、空間をどう配置して使うのか、どのように他者と空間を共有しているかが重要なんじゃないかと考えています。打ち水の範囲を調べたのは、それを裏づけるためですね。このような内容の学問を研究しています」

おかん「それってサコさんたちが各家で撒かれた水たまりをメジャーか何かで計って計測したんですか?」

サコさん「そうですね」

 

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おかん日本語ペラペラなうえに関西弁の身体がデカいマリ共和国のおじさんが京都の打ち水の範囲を測ってるの、めちゃくちゃ面白いな……」

 

しかもそんな人が日本の大学の学長に就任したの、めちゃくちゃ面白いな!!

 

 

「外国人」の型から抜け出したからこそ得られた学長という立場

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おかん「研究内容のことは後ほど詳しくうかがうとして、先日のニュースについて聞かせてください。サコさんの学長就任の報、SNSやWebニュースでも盛り上がってましたね。アフリカ出身の人が日本の学長になるって前例はあるんですか?」

サコさん「副学長までは聞いた事があるんですけど、学長ははじめてだと思います。日本以上に海外の反応もすごかったですね」

おかん「海外でも!」

サコさん「『日本の社会はクローズド』っていう先入観が強いだけに、アフリカの方では大きく取り上げられましたね。多様な民族がいるヨーロッパでも、『アフリカ出身で学長ポストの人がどれだけいるんだ?』と議論を呼んだみたいです」

サコさん「海外からの取材もたくさんあったんですけど、ただ、なかには依頼を断ったものもあるんですよ。いわゆる『ブラックサクセスストーリー』を期待しているケース」

おかん「『黒人が差別されている中で……!』みたいな」

サコさん「そうです。学内ではそういうの意識した事ないんですけどね」

おかん「京都精華大学は個性派な先生や学生が集まるぶん、日本人だろうが外国人だろうが平等に接する雰囲気がありますもんね。そういうフラットな気風がサコさんの就任に繋がったんだと思うんですけど、海外は私たちが思ってる以上に差別があるってことなんですか?」

サコさん「差別ではないんですが、良くも悪くも『外国人』という枠組みのなかに収まってしまうというのはありますね。どこの国でもそうだと思うんですけど。たとえば日本人が海外で仕事をしていても『日本人だから』という枠組みで評価されたほうが安心じゃないですか」

おかん「それ、よくある『海外で頑張る日本人!』みたいなやつですね」

サコさん「それが悪いことだとはまったく思いません。ただ、『外国人』というポジションの中にいたほうが心情的にも楽。でも、枠を壊して社会の中、私の場合は日本社会ですね、それに入っていく精神力やエネルギーは相当なもの。だからみんな途中で諦めてしまう。日本人と同じ土台で活躍したり、上に立とうとしたりする機会を自ら諦めた方は多いと思うんですよね」

おかん「なるほど」

サコさん「京都精華大学は国籍やルーツがどこでも同じ土台で計るんで、同じチャンスを与えてくれた。その分『自分が外国人である』という型を破って、周りと同じ水準で勝負しないといけなかったので苦労はありました。ただ、学長として指名をいただいたのはその苦労があったからなのかなと」

 

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「まあ予想以上に学長就任の報が広がって『えらいこっちゃな〜』とは思いましたけどね」笑うサコさん。関西弁ネイティブ!

 

 

実家から隔離!ベルトでお仕置き!超ハードモードな英才教育時代

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インタビュー場所の庭は冬ながら緑が生い茂っていた。マリ共和国は国土の1/3が砂漠の国。マリの冬はどんな感じなんだろうなぁ

おかん「サコさんはどんないきさつで京都にやってきたんですか?」

サコさん「今は変わったかもしれませんが、当時は高校で成績の良い生徒がリストアップされ、さらに一定の試験に合格した人が奨学生として外国に送り込まれるんですね。留学先は色々あって、ロシア、ドイツ、キューバなど。留学先は生徒が選ぶことはできなくて、私は中国の大学に割り振られました」

おかん「じゃあ、めちゃくちゃ優等生だったんですね」

サコさん「マリは大学までの学費が無料なんですが、その代わり超セレクティブなんです。勉強できる人だけ残して、できない人を落としていく。留年制度が小学校1年生からあるんですよ。私が日本にきて驚いたのは『同級生=同い年』っていうところですね」

おかん「小学校1年から!?」

 

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子ども時代のサコさんや実家の写真。目がくりんくりんでかわいい……

サコさん「さすがに3回ほど再試験のチャンスは与えられます。でも落ちたらそこで学歴が終了しちゃう。今年でいうと、高校進学率は40%未満ですね」

おかんユニセフのデータによれば、マリの識字率は2008〜2012年の統計で約33%しかなかったんですよね。そんななか大学まで進学して海外で学長になるって、マリ界の賢人of賢人じゃん……」

サコさん「私の家はたまたま、父親が教育にうるさかったんですね。小学校4年から中学3年まで学校の先生の家に預けられて勉強漬けの日々を送っていました。実家から何百キロも離れた田舎で、6時から23時までずっと勉強。居眠りなんてしたら、車のベルト部品をムチにして叩かれるんですよ。もう血だらけになっちゃって

 

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おかん巨人の星かなにか?

サコさん「1度耐えきれなくなって逃げ出したこともあります。乗り合いバスに乗って、ズタボロになりながらもようやく実家についた翌日、父親に車で先生の所に強制送還させられた」

おかん「よくグレずに育ちましたね」

 

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マリ共和国の首都、バマコにあるサコさんが通っていた進学校

サコさん「なんとか無事に奨学生に選ばれました。留学先も国が決めるんですよ。役所みたいなところに集まって、そこで『●●高校の▼▼さんは中国に決まったから手続きをしなさい』ってアナウンスがあるんです。それに、合格した人はみんなテレビの国営放送で名前を読み上げられます」

おかん「国家の大事業じゃないですか」

サコさん「私は中国に派遣されることが決まったのですが、当時の中国はまだまだ発展途上の段にあったので、諸外国の中でも人気がなかった。最初は不満でしたね。超進学校で常に成績5位以内なのに『なんで俺が中国なんだ!』と教育省に文句を言いにいったり

おかん「めんどくさい優等生が来た感ある……実際、中国はどうでしたか?」

サコさん「衝撃的でしたね。みんな背が低いし、服はマリと比べて地味だし、みんな自転車だし、石炭の臭いもすごかったし」

おかん「自転車関係ないやろ!」

サコさん「お恥ずかしい話ですが、自分たちの世界以外のものを見るのがはじめてで拒否反応を示してしまったんですね。当時はインターネットも普及していないので。ただ、親元から離れて外国で生活するというのは楽しかったな〜!」

 

 

実際の人の暮らしを知らずに居住間を考察するのは「嘘くさい」

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中国留学時代のサコさん。在学中はよく留学生仲間とパーティーしていたとか

おかん「中国からすでにいまの研究分野、空間人類学を学んでいたんですか?」

サコさん「いや、最初は建築・設計でしたね。私達は奨学生に選ばれた時点で、ゆくゆくはマリの国家公務員になることも約束されるため、国の発展により役立つ分野を学ぶわけです。中国の大学を卒業したらすぐにマリに戻る予定だったんですが、マリの経済状況の影響で、卒業しても1、2年は公務員の就職待ちという状況に陥ってしまって」

おかん「大変でしたね」

サコさん「それではじめて大学院への進学が認められたんですよ。旅行をきっかけに知った京都に決めて、京都大学の大学院に進学しました」

 

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京大時代、先斗町の川床での1枚。オープンな雰囲気が伝わってくる

おかん「中国と日本との研究土壌の違いはありましたか」

サコさん「当時の中国の人たちは生活の実態を把握させてくれなかったんですよね。将来的にニューヨークみたいに発達した中国をつくらなきゃいけないから、現実的な街のマイナス部分は不可侵だった。しかし、日本の人は、ありのままの現実を見せてくれました。なので自由に研究ができましたね」

おかん「なにがきっかけで現在に繋がる研究をはじめたんですか?」

 

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サコさん「最初は自然環境を大事にする空間デザインや、人がどのように建築空間の中に生活しながら自然環境を守るのかを研究していたんですよ。でも、研究を進めるうち『嘘くさいな』って思うようになって……

おかん:「嘘くさい?」

サコさん「修士学生の当時、大阪府の環境共生のあり方についての論文を執筆したところ、府の参考書として使われることになりました」

おかん「すごいですね」

サコさん「ただ、職員さんたちに話を聞くと、行政として環境保全を訴えつつも、個人のレベルになると大して環境を大事にしたいという意思を持っていなかったんですよ。そういう制度があるからなんとなくやっている、という印象で」

おかん「環境に悪いと知りつつ、エレベーターを使っちゃうみたいな?」

 

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サコさん「そうそう。かくいう私も、個人レベルでの環境の向き合い方まで深く考えず、当時流行していたエコロジーデザインとかビオトープに手を出してたんです。でも、研究で色々な場所を訪ね、たくさんの人と話しているうちに、哲学のレベルも含めて不平等だなと思ったんですよね」

おかん「不平等、ですか」

サコさん「公明正大な政策やスローガンを打ち出す人たちは影で『汚してもいいや』と、言っていることとやっていることが違うのに、それを告知される人は『汚さないで』って指摘される。その差ってなんなんだろうな……と」

おかん「なるほど」

サコさん「それを大きいレベルでいうと先進国と途上国の環境に対する価値観の違いになります。マリで『環境のことを大事にしろ』『エネルギーを使いすぎるな』なんて講演会で言うと『は?』みたいな感じで

 

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サコさん「『電気も通ってないのに何を言ってるんだ。お前はマリを忘れたのか!?』って」

おかん「不謹慎だけどめちゃくちゃ笑える」

サコさん「途上国は『エネルギーの使い過ぎはやめましょう』と言われるけど、実際にエネルギーを使い過ぎているのは先進国。なのに途上国にその基準を押し付けようとするんですね。そういう事実の元で、環境問題ってなんだかエゴだなと思って。それでもっと現実的に世界を見なくてはと、研究テーマを現在の『空間人類学』に変更しました」

 

 

マリの住宅研究から見えた「土地にあった住まいのつくり方」

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サコさん「コミュニティと空間のリアルな関係に目を向けよう。そう思って空間の中で皆さんがどういう行動パターンをしているのか、まずはマリの居住調査をはじめました」

 

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サコさん「たとえばマリの家は、土地の真ん中に中庭を置いて、それを囲むように寝室などの個別の部屋が置かれています。昔は人口が多かったのでこれでひと家族が住んでいましたが、いまは複数の家族が住む小さな共同住宅になっていて中庭が共用部分になっています。暑い国なのでみんな1日の大半を中庭で生活します」

 

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マリの家の間取り図。外周沿いに部屋が並び、中央に庭がある。サコさんいわく、ここで煮炊きをしたり洗濯をしたりするのだそう

サコさん「どの家の人がどんな行動をしているのか、日本人の学生をつれて1日ずっと張り付いていました。朝7時から夜7時までずっと観察するんですけど、夕方になると暗くなっちゃって、日本人にはどのマリ人か見分けがつかず、記入ができなかったのが面白かったですね」

おかん「お、欧米の人から見たら、日中韓の人の見分けがつきにくいっていうし……」

サコさん「興味深いことに、中庭の広さを共同住宅に住む人数で割ると全然広さが足りないんですよね。足りないんだけど、なんとなく彼らはうまいこと領域を重ねながら生活ができているんです」

 

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各家庭の行動範囲を色分けした図。家ごとに共用庭をうまくシェアしている

サコさん「西洋では1空間につき1機能ですが、マリでは調理をすればそこが台所であり、そこでご飯を食べるとダイニング。こうした人の行動を把握した上で空間づくりをしないと、いくら『西洋ではこれが最先端だ』って言っても、住む人からすれば「嘘くさい」産物にしかならないですよね」

おかん「なるほど〜。サコさんが考えるのは、土地ごとの個性に合わせた空間づくりで、人の生き方をより心地よくするための研究なんですね」

 

 

曖昧な領域を容認すれば、人々はもっと心豊かに生きることができる

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今回お話をうかがった場所「本町エスコーラ」も、プライベートとパブリックの境目が曖昧な路地や共有スペースを持っている。雑然としているのは、プロジェクトチームでスペースそのものをDIYしている最中だから

おかん「冒頭の『人がどう動くかを把握した空間づくりで大きく改善できる』という話ですが、いまの日本が抱える住宅の問題点を詳しく教えてください」

サコさん「やはりコミュニケーションの縮小化ですね。寝室や風呂場などプライベートな空間は大切です。しかし戦後以降『いかに個人のプライバシーを守るか』と重要視しすぎて何もかもを壁で仕切ってしまった結果、個人が孤立してしまったんですね」

おかん「ただ、それが豊かさの象徴でもあったわけですよね。自分だけの家、自分だけの部屋、占有できる空間を持つことこそが発展だと」

サコさん「ですが、いまは家の中ですらプライバシーにとらわれています。子どもは部屋から出てこないし、SNSなどで家族より遠い場所の人とのコミュニケーションを優先させてしまっていますし。

日本人は家の中でも外でも、もっと曖昧な領域をつくった方が心豊かに生きられるんですよ

 

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サコさん「いま話しているこの空間は、非常に境目が曖昧なんです。お茶をすればカフェスペースになるし、PCを開けばオフィスになる。洗濯物を干してもいいし、庭にハーブを植えてもいい。曖昧な空間があったほうが、人との交わりが生まれるし、使用方法に余白があるぶん単純に面白いでしょう?」

おかん「そうですね。私が隣人との関係が良好なのは住民共用の広いテラスがあるからなんですよね。そこで鉢合わせて知り合ったので」

 

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8軒の長屋はアーティストのアトリエや倉庫、住人以外も利用可能なレンタルスペースが入っている

おかん「曖昧な領域に寛容かつニーズがあるのは、若い世代かもしれませんね。最初から窮屈だったからこそ、ローカルコミュニティの繋がりを大事にしたり、シェアハウスが人気だったり。幅広い世代、たとえば主婦層やさらに上の世代で曖昧な領域への理解を広げるにはどうしたらいいんでしょう?」

サコさん「課題としては、曖昧なスペースを自分たちで管理する自主性を育てることですね。共有スペースがあっても、結局のところ管理はマンションの管理人や業者じゃないですか」

おかん「確かに……」

サコさん「他者や企業に丸投げするのではなく、住人たちで共同管理をするのが重要ですね。多少それぞれが我慢しても共同で使える場所をつくって、みんなで一緒に管理していくとコミュニティへの帰属意識も変わると思うんですよ」 

 

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いずれは土壌も耕して、コミュニティと建築、インフラを使用者たちの手で循環させていきたいと語るサコさん。「本町エスコーラ」の成功が曖昧な領域の必要性を裏づけてくれそう

おかん「ただ、最近は各部屋の移動に必ずリビングを経由するつくりの家があったり、子ども部屋は寝室だけにして、勉強や遊びはリビングでさせる家庭も増えてきていますよね。少しずつ社会全体が変わってきているのかもしれません」

サコさん「それだけではなく、最近は団地などの市営住宅が見直されてきていますね。子どもが遊ぶスペースがあったり、夏祭りをする場があったり。空間を他者と共有することで『我慢』を覚えられるわけですよね。それはストレスだけではなく、他者が近くにいることの安心感や多様性を容認できるようになると思います

おかん「プライベートでも仕事でも、生まれてから死ぬまで、人間どこかで必ず他者と関わりながら生きていくことになりますもんね」

 

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いかがでしたか?

まさかマリ出身の人から日本の住宅事情の問題点を聞けるなんて思ってもみなかったんですが、「曖昧な領域を容認しよう」という言葉は、マリからフランス、中国、日本とさまざまな国で住環境を学び歩いてきたサコさんだからこそ話せるのかもしれません。

 

これは余談ですが、Webのいたる場所で「こうでないと許せない」という論争が増えているように感じます。

論じることは決して悪いことではないのですが、かつて日本が経済発展するにつれて曖昧な領域を許容できなくなったように、Web上の空間でも、発展するにつれリアルな住環境の問題と類似したことが起こってきているのかも。

 

 「曖昧な領域を容認する」。
それは決して住宅だけの課題ではなく、人々を取り巻くオフライン/オンラインの暮らし全てに当てはまるのではないでしょうか。

線引きをすべき部分はしっかり見落とさず、それでも不確定な曖昧さを愛しながら大らかに生きていきたい。

 

畑になるのかもしれない、オフィスになるかもしれない、「本町エスコーラ」の何にもカテゴライズされない曖昧な庭を眺めながら、そんなことを思ったのでした。

 

 

書いた人・平山(通称:おかん)

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京都の編プロ、合同会社バンクトゥの編集/ライター。兵庫県出身。大学のあだ名「おかん」がそのまま通称に。酒場と酒を愛し、将来の夢はスナックのママ。
個人ブログ:おかんの人生飲んだくれ日記/Twitter:@hirayama_okan/所属:合同会社バンクトゥ

「俺たち人間は退化しとる」飛騨のウシ飼いが語る”土と内臓”の話

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牛に舐められながらこんにちは。ライターの友光だんごです。今日は岐阜県下呂市に来ています。

 

日本三名泉のひとつ「下呂温泉」で有名な下呂市ですが、なかでもこの萩原というエリアは「飛騨牛」の産地。

 

飛騨牛は神戸牛や松阪牛などと並ぶ「ブランド牛」……つまりめちゃくちゃ美味しくて高級な牛肉です。

下呂市に着くなり「飛騨牛食べたい!」とレストランに入ったのですがその値段に目玉が飛び出てしまい、ひとまず生きた牛を見に来ました。

 

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牛舎では数十頭の牛たちがモリモリ元気に草を食べ、

 

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モリモリ元気にうんこをしています。

 

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「うんこからホカホカの湯気が。生命力を感じる」

f:id:tmmt1989:20180215211524p:plain「そのうんこが大事なのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「!!」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211602p:plain「牛って口があればケツもあるやん。食ったものがうんこになって出てくるやろ」

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f:id:tmmt1989:20180215211602p:plain「うちの牛はちゃんとした餌を食ってるからいいうんこをする。そのうんこがいい肥料になって、いい野菜や牧草を作ってくれるのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「あなたは…?」

f:id:tmmt1989:20180215211602p:plain「おお、熊崎光夫って言ってな、ここの牧場のもんよ。俺はここで牛飼いとして『循環する農業』をやってるのよ。農家ってのは自給自足が基本。そして牛がいるからこその循環があった」

 

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でも近代的な農業がその循環を壊した。だから俺たちは退化してしまってるのよ

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「退化、ですか…?」

 

いぶし銀の俳優のような雰囲気で現れ、自らを「牛飼い」と呼ぶ光夫さん。

光夫さんの目指す『循環する農業』とは、 そして『俺たちは退化している』と言う言葉の意味とは? そこには光夫さんの「牛飼い」としての美学と哲学がありました。

 

キーワードは「土と内臓」。さあ、牛から始まるディープ・ワールドへいざご案内します。

 

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「繁殖」が一番面白い

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事務所に移動して、光夫さんにお話を伺います。

 

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「まず光夫さんの仕事について聞きたいのですが、飛騨牛を育てられているんですよね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そうやね。俺は飛騨牛の『育種』、つまり繁殖の仕事をしてる。子牛を生産して、子牛市場に出すところまでが仕事やね。そこから子牛を育てて大きくするのは『肥育』って呼ばれとる」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「牛の繁殖と肥育てる仕事が分かれてるんですね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「もちろん一貫して全部やる人もおるけど、地域によって色々でな。例えば、最初から『松阪牛』って牛はいないのよ

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「え、どういうことですか?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain兵庫や飛騨で産まれた牛を三重県のあるエリアで育てたら、松阪牛になる。松阪に繁殖農家はほとんどおらんから、他の土地から子牛を連れてくるんやね。でも、神戸牛の場合は兵庫で産まれた牛じゃないと駄目。そんな風に、地域によってブランド牛の定義はさまざまなわけ」

 

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食肉になった後を「ひだぎゅう」、食肉になる前の牛の状態を「ひだうし」と呼ぶ。

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「ちなみに『飛騨牛』ってのは新しいブランドでな。30年ほど前に兵庫県から連れてこられてた『安福』って雄牛から、飛騨牛が作られていった。安福は『飛騨牛の神様』と呼ばれとるね」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「『神様』ですか。 安福の何がすごかったんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「肉質が飛び抜けて良かった。『サシ』と呼ばれる脂身がたくさん入った、当時はまだ珍しい『霜降り』だったそうや

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「その安福を父親に肉質の良い牛を増やして、それが飛騨牛になっていったと」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そう。それまで小さな品種がいくつもあった岐阜県産の牛を『飛騨牛』って名前で統一して、ブランド化していった」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「県をあげて作られた特産品なんですね。じゃあ安福はハンマー投げの室伏みたいな感じですかね。超強いハイスペックな肉体の持ち主というか」

 

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「(フーーーーッ)」

 

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「あれ、室伏の例えがうまく伝わってない。続けましょう」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「おお、体のサイズでいうと安福は小さかったらしい。兵庫県の牛って基本的に体が大きくない種類やから。でも、一頭から沢山肉量をとるには、大きい牛の方がええよね。ならどうすると思う?」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「体の大きな牛と掛け合わせる…?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そう。別の地方の体の大きい牛と肉質の良い安福をかけ合わせて、肉質と大きさをあわせ持つ牛になるようどんどん改良してきたっちゅうわけ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「そんな風に色んな特徴を持つ牛を掛け合わせていい牛を作るのが『育種』の仕事なわけですね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「うん。何でもさ、子どもが生まれる、増えてくって一番面白いでしょう。繁殖は一番難しいけど、一番面白いんやって」

 

 

そもそも牛は「役用」だった

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f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「品種改良を掘り下げるとさ、そもそも肉牛の『和牛』と日本に昔からいた牛っていうのは別なわけよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「『和』牛なのに?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「日本の在来種の牛っていうのは、体がもっと小さかったわけ。で、そこに体の大きな外国種をかけ合わせて、今の『和牛』、つまり食肉用の品種群が生まれとるのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「ということは『松阪牛』や『神戸牛』みたいなブランド牛も全部…」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「品種改良の結果やね。そうやって体を大きく、肉量を多くっていうのは肉牛として儲かるからでしょう。でも、元々は日本の牛ってみんな『役用』だったのよ

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「えきよう、ですか?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「いわゆる仕事に使う牛のこと。昔の日本では、農業で畑を耕すのに使ったり、炭鉱や金鉱でも牛を使ってた

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「そうか、昔は車やトラクターなんて無かったわけですもんね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そう。で、狭い金鉱の中で物を運ばせたり、小さな田んぼを耕すには体が小さい方がええよね。だから役用の牛は大きくなくてよかったわけ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「その役用の牛って、トラクターやコンバインのような機械が普及するとどうなったんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「もういらなくなるよね。そこで、肉を売るための『肉牛』として牛が飼われるようになった。だから農業に比べて、肉牛を育てる畜産は産業としての歴史は浅いのよ」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「昔の農家では、どこでも役用の牛を飼ってた。でも農業が機械化されて牛が農家からいなくなるよな。その時、農業から失われたものって何かわかるかい?」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「ええっと…」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「さっき兄ちゃんが見てたやつよ、ホカホカの」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「……牛のうんこですか?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そうやな。ここで『循環』の話が出てくるんやな。牛のうんこは堆肥になる。その堆肥で野菜や米を育てる。米を収穫した後の藁や野菜の屑を牛が食う…って循環が、昔の農業にはあったわけよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「そこで牛がいなくなると、牛のうんこや藁はどうなるんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「ゴミになるな」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「じゃあ堆肥はどこから…?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain自分で作らず、よそから買った化学肥料を使う。今じゃ牛の餌も買うのが当たり前やからね。自分とこで作らずよそから持って来てたら、それは循環じゃないやろ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「そうですね、自給自足でもない」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「もしもしって電話すりゃあよう、50kgずつ梱包されたアメリカ産のピカピカの牧草が届くんだから」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「Amazonみたいだ。それって、外にある白いやつですか?」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「あれは俺が作った。俺は牧草もなるべく自分で作っとるのよ。収穫して梱包して…って手間はかかるけどな」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「保管場所も必要ですし」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そりゃあ牧草も肥料も買った方が効率はいい。でもさ、俺は失われてしまった循環の農業がしたい。だから自分で牧草を作るし、化学肥料も使わんのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「そんな風に光夫さんが『循環の農業』をやりたい理由って何なんでしょう?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「ああ、その話にちょうどいい本があるわ」

 

 

化学肥料を使った農業で、土そのものが死んでいる

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f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「この『土と内臓』って本なんやけどさ、俺のバイブルみたいなもんで」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「すごいタイトルですね。粘土で内臓を作り上げる職人の物語ですか?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「その物語に需要ある? 『土と内臓』っていうのは、土も内臓も微生物の働きによって守られているって話でさ。キーワードは『微生物』なのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「はあ」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「土の話でいうと、化学肥料を使うと確かに作物はよく育つ。でも、化学肥料を何十年と使い続けた土と有機肥料を使い続けた土を比べると、化学肥料を使い続けた土では年々収穫量が落ちてきたって調査結果が出たらしい」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「ええ! 化学肥料を使い続けると何がよくないんでしょう」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「うん、作物がよく育つ『いい土』っていうのは、実はいろんな種類の微生物がたくさんいる土なわけ。でも、化学肥料を使い続けると微生物が死んでしまうのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「作物がよく育つなら、悪いものは入ってないような気もしますが…」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「簡単にいうと、微生物にとっての化学肥料って、人間にとってのブドウ糖みたいなもんで。体を動かすエネルギーにはなるけど、人間でもブドウ糖だけ注射されてたら死んじまうだろ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「他にもビタミンとかミネラルとか、色んな栄養が必要ですよね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そう、その栄養っていうのが『有機質』なわけ。だから有機肥料で有機物を与えてやった土の方が微生物が元気で、長期的に作物がよく育つ豊かな土になる

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「なるほど、『化学肥料=ウィダーインゼリー』で『有機肥料=一汁三菜の定食』みたいな感じですかね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「まあ、イメージとしてはな。俺は自分で堆肥をつくっとるけど、感動するで。有機はあったかいから

 

f:id:tmmt1989:20180216220115j:plain

発酵の熱で、肥料から湯気が立ち上っている。有機肥料は植物性と動物性の有機物からできる。光夫さんの牧場では『おがくず』と『牛の糞』を混ぜて手作りしている

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「それでな、この本に書いてあるんやけど化学肥料って戦争と関係があるんよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「ええっ」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「世界大戦の頃に使われてた爆弾には窒素が欠かせない成分やったんやて。で、化学肥料の一つも『窒素肥料』。つまり、爆弾を作る工場のラインを、そのまま窒素肥料の製造に転用できた。だから窒素肥料を農家に強制的に配って、国の政策として化学肥料を使わせたらしい」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「へえー!!では世界大戦の前後で、一気に化学肥料を使った農業に切り替わったんでしょうか」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そう、そこで何十世紀と続いてきた循環型の農業が失われた。ただ、この『土と内臓』って本が出版されたのがまさに象徴してるように、最近になって近代農業のまんまで大丈夫か?って気づく人が徐々に増えてきたんよ」

 

 

俺たち人間は退化している

f:id:tmmt1989:20180216220131j:plain

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「ほとんどの生き物がさ、感染症で死んでいく。でも今、感染症で死なん生き物が3種類だけおる。それが人間と家畜とペットなんやな。俺に言わせたらさ、この3種類は退化しとるよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「病気に強いなら進化しているような」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「あのな、感染症で死なんのは除菌や殺菌をしとるからやろ。本来の生き物としての生命力はむしろ弱まっとるよ。生物っていうのはそもそも菌と共存しとるもんやから

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「ああ、だから退化だと」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「近代農業でもさ、殺虫剤や除草剤を使うわけ。でも、それって菌を殺してしまうから、土の力は弱くなるっちゅうわけ」

 

f:id:tmmt1989:20180216220148j:plain

「だから便利は不幸やって思うよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「顔、かっこよすぎ…」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そっちかい。まぁ、農業って、何千年とその土地に合わせて人間が続けてきたもんでしょう。その土地のものを食べるのが一番理にかなってるし、体にいいはずよ。でも今、ホームセンターで売ってる種見ると全部アメリカ産。大丈夫か!って思うけどな」

 

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光夫さんが育てている牧草

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain人間もそうやけど、やっぱりいろんな種類を食べる方が健康になる。牧草も本当は雑草でええんやって。うちの牧草地は雑草もいっぱい生えとるけど、それを一緒くたに食ってる俺んとこの牛はどえらい健康やから」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「いろんな野菜を食べてる状態みたいな」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「うん。霜降りの脂って白いでしょう。あれは牧草を食べさせないから。牧草にはビタミンAの元になるカロテンが含まれてて、脂が黄色くなっちゃうんだってよ。だからカロテンのない藁を牛に食わせるのよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「商品として脂の色も重要なんですか?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「白い脂の方がいいランクの肉になる。商売だから、みんな高く売れる方をやるよね。俺は脂が黄色い肉でも美味しいと思うけどね」

 

f:id:tmmt1989:20180216220252j:plain

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「牛乳も一緒。都会の人は黄色い牛乳を見たら腐ってる!って思うかもしれんけど、カロテンを牛が摂取したら牛乳も黄色くなるから」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「カロテンが含まれてるから、むしろ栄養は多いわけですよね……。それって、何を食べるか選ぶ時に、実際の味ではなくイメージに左右されちゃってるわけですよね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そうそう。日本ってどうしてもスタンダードなものを好む人が多い。だけど、もっと自分が実際に見たり感じたりしたもので価値判断をした方がええと俺は思うな。人間がどんどん土から離れていってしまっとるよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「笑い飯の『ええ土ーー!!』が脳内再生されました」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plainええ土は命をつなぐんよ

 

 

画一的でなく、その土地にあった農業を目指せばいい

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f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「お話を聞いていて…近代農業や今の消費における『全国同じように、同じものを食べる』思想と、光夫さんの目指す『自給自足の、循環する農業』は真逆のように感じるのですが」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そうね。これからは画一的ではなくて、その土地に合った農業を目指せばいいと思う。それって、その土地でしか食べれんものを作るってことなんよな。例えばさ、俺んちで毎年、つぶした親牛の肉を売るのよ。他所には卸さず、ここだけでな」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「絶対美味しい」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「おお、地域のみんなが買いに来て、すぐ売り切れる。10万円分くらい買ってくやつもおる(笑)。うめえからな、うちの肉は」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「それってまさに、ここでしか食べれないものですね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「そうやな。都会にはないものを田舎の人間が食うってことは絶対必要なんやって。そしたら『この肉は熊崎光夫って人間がこんな風に作って〜』っていうストーリーがそこに生まれるやろ。うちの娘も美味いチーズ作っとるで」

 

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光夫さんの娘・穂波さん。長野県や福井県で畜産の勉強をした後、熊崎牧場で乳牛を育て、そのミルクを使った乳製品を販売している

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「父娘ですばらしい。スーパーとかコンビニで売ってるものよりずっと濃いストーリーですよね。世の中的にも、だんだんそういうストーリーのあるものの良さに消費者が気付き始めてる気はします」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「一昨年からこの地域で、集落営農ってのが立ち上がってな。農家が高齢化して米作りが大変になっとる。そこで地元の有志が農地を預かって、共同で100%有機米を作っとるのよ。その米で地元の酒蔵に日本酒を作らせてさ。うめえんだからこれが」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「確かにストーリーがある…! そんな風に、地域で農業を守っていく形も増えていくんでしょうか」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「ああ、高齢化で人口も減って、自分の土地を自分だけで守るのは限界が来とるからな。農家一軒単位の循環だけじゃなく、地域での循環が生まれるとええと思うな」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「東京は地域の農業に甘えてるところありますもんね。みんなで考えないといけない問題だ……」

 

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f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「いきなりやけど、『食』っていう字はさ、『人』に『良い』という字を書くだろ

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「3年B組、光夫先生…?」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「字の通りやけど、人間は絶対に体にいいものを作って、食わないかんの。日本人の食文化で、春にアクの強い山菜を食べるでしょう。食べ過ぎると下痢しちゃうんだけど、それは解毒効果なわけ。冬の間、漬物とか保存食を食べて来た分をリフレッシュするんよ」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「へえー!なるほど」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「で、夏に向かうと。本来の人間の、俺達の生き方はそう。でも、今の食はなんでもありになってしまっとるよ。旬をみんな忘れとる」

f:id:tmmt1989:20180215211029p:plain「体で季節を感じることって少ないですね」

f:id:tmmt1989:20180215211704p:plain「メディアから入ってくる情報で、頭で季節を感じとるかもしれんけど、それだけなのが良くないのかもしれん。やっぱり土が大事やと思うよ」 

 

 

取材を終えて

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「俺たちは地球を借りとる。そのことを覚えとかんと」と光夫さんは言います。

 

土から離れ、肌で季節を感じることも減り、少しずつ我々は生き物としての本来の感覚が薄れていっているのかもしれません。一方で止められない世界があるのも事実。本能的な「美味い!」 を信じつつ、この記事で「土の重要性」を感じ取ってもらえたら嬉しいです。

 

それでは、また!

 

 

※光夫さんの牧場では、家畜伝染病予防のため牧場内への無断立ち入りを禁止しています。

 

 

【お知らせ】

2月24日(土)、光夫さんが生まれ育った岐阜県の「わからなさ」を伝えるイベントを開催! 編集で本記事に取材同行したジモコロ編集長・柿次郎も登壇します。岐阜県出身の方、岐阜県に興味のある方、そして「リニアが通ったらどうなるのかわからない」方もぜひ遊びに来てください。

 

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。インタビューと犬とビールが好きです。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp

写真:小林 直博

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長野県奥信濃発のフリーペーパー『鶴と亀』で編集者兼フォトグラファーをやっている。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。


【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (23) - 捜索困難/ずっと愛してる

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

ゴミ屋敷の掃除動画でファン3万人! 壮絶すぎる部屋をピカピカにしてみた

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足の踏み場すらない玄関

 

 

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水アカと詰め替え容器だらけのお風呂!!

 

 

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人の身長くらいまでゴミが積まれているリビング!!!

 

 

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そして明らかな不審者!!!

 

スイマセン! ゴミと同じノリで自分の画像を出してしまいました。ライターのおおきちと申します。

 

さて、クイズです!

 

なぜ僕はこの様な格好になっているのでしょうか?

 

とりあえず続きをご覧ください!

 

はじめに 

 

ゴミ屋敷を片付ける番組ってなんか観ちゃいませんか? 明らかに不要なモノをバンバン捨てる感じが気持ちいい!

 

先日もYoutubeで「ゴミ屋敷 掃除」と検索して出てきた動画を観てエキサイトしていた所『片付けトントン』というチャンネルを見つけました。

 

www.youtube.com

 

www.youtube.com

5年分の生活ゴミ!ゴミ屋敷を大掃除【片付け編】

 

ん? ゴミ屋敷清掃業者が自分達でカメラを回して動画を配信してるチャンネル?? 新手のYoutuber?

 

しかもチャンネル登録者数は2月中旬現在で3万人!? やっぱゴミ屋敷清掃動画ってみんな好きなのでは!?

 

 

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社員さんが自分でナレーションもしてんのかい! 企画・撮影・編集まで全部この企業がやってるの? しかもめちゃくちゃTV番組っぽい作りでかなり見やすい…

 

気がつけば何本も動画を観てしまいました……

 

 

 

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▲動画の最後に「愛知県で片付けなら片付けトントン」と表示された

これ愛知県の企業がやっているのか……

 

清掃業者が自身の業務を動画配信してこれだけの人の心を掴んでいるって……すごく面白い現象じゃないですか!?

 

 

なぜゴミ屋敷清掃を動画にしようと思ったの?

0.7秒でアポを取り、新幹線に飛び乗り愛知県にやって参りました!

 

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こちらが愛知県豊明市にあります片付けトントンのサービス運営元株式会社中西さんです。

 

 

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▲ご対応を頂いた株式会社中西の高橋さん(左)と森さん(右)

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「よろしくお願いします! ゴミ屋敷の片付けっぷりに気持ち良くされちゃったのですが。何故この様な動画配信をはじめたのでしょうか?」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「弊社は昔からWEBサイトを開設していたんですが、あまり集客に結びついていなくて……。で、当時中小企業向けのセミナーで『Youtubeを活用しよう!』との提案を受け、初めたのがキッカケですね」

f:id:jimocoro:20180221194748p:plain「せっかくだからゴミ屋敷の清掃を動画にしようと?」

f:id:jimocoro:20180221195213p:plain「いえ、当初は片付けに関係あるコントみたいなのを作って配信していたんですけど……」

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「アチャ~……Youtuberに憧れた学生がやっちゃうヤツ〜、そしてほとんどがあんまり…なヤツー!」
f:id:ookichi:20180221004654p:plain「タハハ……(笑) 確かに動画の方針を現在の清掃現場の実況に変えてからは多くの反応を頂ける様になりました。この活動でのおかげで新規の依頼も頂く様になりました」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「ありがたいことに、地元のスーパーとかでも『観てます!』ってお声がけ頂く事もあります。観て頂けるファンの方にもそれぞれ推しメンがいるらしくて高橋は一番人気なんです!」 

f:id:jimocoro:20180221195213p:plain「お恥ずかしい」

f:id:ookichi:20180221004625p:plain動画が営業活動になっているんですね!しかも、企業で個人にファンがつくとは……」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「あとは次入社してくる人はYoutubeを観て『私もゴミ屋敷掃除やってみたいんですッ!働かせて下さい!!』って東京から面接に来たんです」
f:id:ookichi:20180221004625p:plain採用もかい!」 

 

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業務の動画を配信する事がファンを産み、かつそれが営業広報採用にもなっているという。コレって中小企業がインターネット上手く活用した成功プランそのものなのでは?

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「動画で観る分にはめちゃくちゃ面白いんですけど、実際ゴミ屋敷の清掃ってどうですか?キツいですか?」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「そうですね、現場にもよるんですけど……」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「あ!……ちょうど今日現場が一件入っているんですけど……」
 
 

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「実際に体験してみます?」

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「へ?」

 

 

 

 

 

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先ほどのクイズの答え!

 

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ゴミ屋敷に潜入!

ということで取材も兼ねて清掃も同行する事になったのです。向かったのは愛知県内のとあるアパート。外からだとゴミ屋敷だとは到底思えないのですが……

 

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魔の扉が開かれました……

 

 

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f:id:ookichi:20180221004627p:plain「おいー!!玄関からグチャグチャじゃないですか!!」

 

 

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お風呂は浴槽にもゴミが……

 

 

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新しいものもある……この状態で最近まで使われてた?

 

 

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トイレに関しては使用しているかも分からないくらい汚れています

あまりにも汚な過ぎるのでイラストで隠しています

 

 

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カップ麺の中でもデカめのどん兵衛の空き容器を灰皿にするという漢(おとこ)らしさ ……

 

 

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廊下もキッチンもお風呂もトイレもリビングもゴミ!ゴミ!ゴミ!人って大量のゴミを前にするとアレですね。テンションアガります

 

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「のわ〜〜〜!!ダーティーー!!!ゴミ〜〜!!」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「今回はコンビニ袋とペットボトルが主なんで初心者向けの現場ですね!チャッチャっと片付けましょう!」

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「これが初心者向けなの!?」

 

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スタッフさんからゴミ屋敷清掃のレクチャーを受けました。まずはその場に90Lのゴミ袋を大量に開いて可燃ゴミ資源ごみ(ペットボトル)に分別しながら捨てて行きます!

 

 

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*地区によって分別の方法は異なります

 

 

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もちろんこちらの現場も動画を撮るとのことでカメラをセッティングして撮影を行っていました

 

 

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▲浜崎あゆみのポスター

 

 

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▲ギャル系のファッション誌

 

どうやらここギャルの棲家だな…… 

 

 

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レクチャー通りゴミを袋に入れていくのですが、足元が安定せず上手く動けません。何度も足を取られます。

 

 

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なんとか一袋パンパンになりましたが、この時点でもう腰が痛くて痛くて…足場が安定しないとこんなにも腰に負担が掛かるんですね

 

 

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スタッフさんはさすがプロ。僕の2060倍くらいのスピードは出ていますね。速っ!

 

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「基本的にその場から動かないでひたすら拾えるゴミを入れる様にしてください!『これはどの種類のゴミかな?』と悩んじゃうのは時間のムダです! 分別に悩むゴミは保留にして、まず はっきりわかるゴミをとにかく減らすことを最優先にして下さい!」

 

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ちなみにこの時点では「床」というのものは一切見えていません。視界のすべてがゴミです

 

 

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ゴミ袋がある程度溜まったら廊下側のスタッフに渡し、外のトラックにゴミを積んでいく。バケツリレー方式。

 

 

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「とにかく最初にゴミ袋の動線を確保することが重要です!」

 

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そういえばこれだけのゴミがあるのにニオイはほとんどありません。ゴミ屋敷=悪臭というイメージがあったのですが……

 

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「若い一人暮らしの方だと自炊しないので生ゴミが出ないんですよね。だからゴミがクサくないんですよ。むしろ高齢者の方のゴミ屋敷の方が、腐った食材がたくさん出てくるのでニオイはキツいですね」

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「へー!ちなみに依頼受けた中で一番キツかったゴミ屋敷ってどんな所だったんですか?」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「あー、おしっこハウスですかね」

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「おしっこ……ハウス?」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「いや〜、部屋に入ったら大量のペットボトルがズラーッと高く積まれていまして。最初そういうジュースなのかな?って思っていたんですが……」

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「なんとなくは予想がつきました!!!!!終わり終わり!!!!この話はやめましょう!!!」

 

 

次々現れる珍ゴミ

人が生活している空間なので様々なアイテムが発掘されていきます。

 

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▲BUMP OF CHICKENのアルバム

 

 

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▲アクセサリー

この様な価値のあるものや、重要そうな書類に関しては、捨てずに本人に確認してもらうとのこと

 

 

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▲依頼者と友人との思い出の写真

 

 

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▲テディベア

 

 

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▲現金入りの財布

 

 

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「結構中身もカードも入ってるのに……見つけられなかったんですかね?」

f:id:jimocoro:20180221194836p:plain「別の現場ですが現金が100万円分くらいが落ちていた事もありましたよ。一番凄いモノだと日本刀が見つかったりもありますね」

 

 

お金ですらほっといてしまうのか……と関心していると、急に他のスタッフの叫び声が聞こえてきたのです。

 

 

「ウオオオオ!!!」

  

 

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「なになになに!?どうしました?埋蔵金!?」

 

f:id:ookichi:20180221040846j:plain

f:id:ookichi:20180221041400p:plain「キャー!コレは女性用のえっちぃヤツ!載せられないヤツ!!」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「こういうお宝……結構出てきますね」

 

今回の取材で一番盛り上がったのがこの瞬間であった。

 

正直に言おう。めちゃくちゃ面白〜〜〜〜い!アトラクションに近い楽しさがあります、お金払ってでも体験したいというのはちょっと失礼でしょうか?でも、予想外のものたくさん出てきて興奮するんですよ!!そりゃあ動画観ちゃいますね!!

 

 

ゴミ屋敷あるあるを聞いてみた

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こちらはお昼の休憩中の様子。動画を観れば分かるのですがスタッフさんは仲が良く清掃中でも笑いが絶えません。

 

清掃業ってちょっとネガティブなイメージあるじゃないですか? そんなのを吹き飛ばす様な部活みたいな雰囲気が印象的でした。

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「ゴミ屋敷の住人ってTVのイメージだと『ヤバいおっちゃん』って感じでコミュニケーションが難しい人が多い気がするんですけど」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「いやいや! 確かにそういうイメージ強いんですけど、そもそも『ヤバいおっちゃん』って片付けさせてくれないからTVに出てるんですよ。こちらに依頼してくれる時点でちゃんとした方なので依頼者とのトラブルはかなり少ないですね」

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「ハッ!確かに!TVに出るようなゴミ屋敷の住人って片付ける意思がないですもんね!なるほど!」

f:id:jimocoro:20180221195213p:plain「依頼の理由も、引っ越しすることになったけどこのまま出ていくわけにはいかないから、とかまともなものがほとんどです」

f:id:jimocoro:20180221194748p:plain「今回のゴミ屋敷は女性の部屋でしたが、男性と女性ってどちらが多いんですか?」

f:id:jimocoro:20180221194836p:plain「同じくらいかなぁ。傾向としては、女性は自発的に依頼する方が多くて、男性はご家族が依頼してくることが多い気がします」

f:id:jimocoro:20180221194748p:plain「なるほど、ひきこもりの人とかってことかな? どういう性格の人がゴミを溜めてしまうんですか?」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「ゴミ屋敷の住人の方って実は極めて几帳面な性格の方が多いんですよね」

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「いやいや、だらしない人だからゴミ屋敷になるんじゃないんですか?」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「だらしない人はゴミの分別もテキトーに済ませてゴミを出せちゃうんです。逆に几帳面な人ほど『このゴミは後でしっかり分別して捨てなくちゃ……だから今は一旦ココに置いておこう……』って考えてしまって、それが溜まっていって結果ゴミ屋敷にってパターンが多いんですね」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「几帳面も過ぎるとゴミ屋敷になってしまいますので、性格的はある程度だらしない方がいいのかもしれませんね!」 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「ひえー…意外な事実ばっかり!」

 

ちなみに他のゴミ屋敷あるあるとしては

 

マンション一棟あれば、一軒はゴミ屋敷(あなたの隣の部屋も……?)

・職業で言うと介護士や看護師など人と触れ合う仕事の割合が高い

・上記職業のように、部屋に居る時間が短い人が多い

 

との事でした!

 

 

床が見えてきた

さあ、清掃開始から約3時間!大きな動きが出て参りました。

 

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クローゼットのてっぺんまでゴミがあったこの一帯ですが……

 

 

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大量に廃棄したので埋もれていたものが出て来ました。こんな所にソファーがあったんかい!全然気付かなかった!!ギャルそのものって感じですね。

 

 

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あっ!! 床だ! 床が見えたゾっ!!!

 

 

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初めてこの部屋の床に足を着けました! 着地記念日確定!!

 

 

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f:id:ookichi:20180221004630p:plain「いや、サムズアップじゃないですよ!掃除して下さい」

 

 

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ゴミのせいで開かなかった冷蔵庫もやっと開けられる様になりました。さて、中身はどうなっているのでしょうか?

 

 

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すぐ閉じました。

 

f:id:ookichi:20180221004627p:plain「見なかったことにしよう」

 

 

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あんなに汚かった玄関も……

 

 

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床が見えてきましたね!!

  

 

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部屋の中から見つかった貴重品と思われるもの。

 

なんとガラケーが6台も発見されました。おそらくゴミの中に埋没して、無くしては買い、というのを繰り返したのでしょうね。

機種の移り変わりを見ると「いつからこの人はゴミを溜めていたのだろうか」と考えさせられますね。

 

 

ハウスクリーニング

片付けトントンの業務はゴミを捨てるだけでなく、床・水回り・ベランダなど出来る限り綺麗にする、いわゆるハウスクリーニングも行います。

 

まずは水回りから掃除していきます!

 

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Jブラシと呼ばれる細いブラシとスポンジを活用して水アカを落としていきます。Jブラシは片付けトントンの7つ道具の内の1つとのこと!

 

H&H メンテナンスブラシ J型 ナイロン 79K

H&H メンテナンスブラシ J型 ナイロン 79K

 

 

 

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f:id:ookichi:20180221004654p:plain「サイレントヒル?」

 

 

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ツルッツルや!!

 

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頑固な水アカもずっとスポンジで擦っていると突如スルッと落ちます!根気が大事ですね!

 

 

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こちらはベランダ!広い範囲のホコリを払うには洗車用ブラシが便利!

 

 

 

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サッシなどの細かい所はハケで払いましょう!

 

 

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ガラスの水拭き仕上げにはマイクロファイバークロスを!

 

 

 

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サムズアップを頂きました!

 

 

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ベランダもこの通り!

 

 

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ああ!!そうそう、トイレは綺麗じゃないとね!!

 

 

f:id:ookichi:20180220041748j:plainあの床すら見えなかったこのリビングにホウキがかけられる喜び……そして床に足が着くってなんて腰に負担がかからず素晴らしいのでしょう。

 

 

f:id:ookichi:20180220042343j:plainしつこい汚れはプラスチックヘラで剥がします!

 

 

f:id:ookichi:20180221172753j:plainアレだけゴミとホコリばかりだったリビング、こんなに綺麗だったんですね!

 

 

 

f:id:ookichi:20180220042721j:plain丸一日かけてゴミ屋敷の掃除は完了!!!

 

 

 

f:id:ookichi:20180221093814j:plain汚くないので地べたに仰向けも出来ちゃいます!

 

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ダイジェスト版

 

 

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あの1Kの部屋から、最終的にトラック2台のゴミが出ました

 

 

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終わったら皆でご歓談タイム。おつかれさまでした!

 

 

最後に

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f:id:ookichi:20180221004625p:plain「今日は取材&現場に同行させて頂きありがとうございました!」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「いえいえ!いかがでしたか?」

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「いやめちゃくちゃ面白かったですね!もちろん簡単な所だけお手伝いさせて頂いたのは分かるんですけど!」

f:id:ookichi:20180221004630p:plain「よかったです!」

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「あ!最後にコレを聞きたかったんですけど……」

 

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「清掃業の方はご自身のお部屋も綺麗なんですか?」

 

 

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「……………………」

 

 

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「クーッ…………」

 

f:id:ookichi:20180221004625p:plain「なになに?どうしたんですか!?」

f:id:ookichi:20180221004654p:plain「いや、確かに私達は部屋を綺麗にするスキルはあるんですけど……」

 

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部屋を綺麗にするスキル部屋を綺麗に"維持しておく"スキルって別なんですよね!!!」

 

 

 

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 (おわり)


片付けトントンのYoutubeチャンネルはこちら

www.youtube.com 

 

ライター:おおきち

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1988年生まれ。ゴッサムシティ(荒川区)で深夜ラジオとインターネットに影響を受け続けている。尊敬する人はふかわりょう。ハイエナズクラブなどにも書いてます。 blog「おおきちナイトニッポン」 twitter:@ookichiinmyhead

住居解体×コンサート!? 文化住宅でパフォーマンスする「前田文化」の試み

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ジモコロをご覧のみなさま初めまして、ライターの吉川ばんびと申します。

 

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みなさんは、「文化住宅」というアパートの存在を知っていますか?

 

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文化住宅とは?

日本の高度経済成長期(1960年代頃)に近畿地方で多く建てられた、風呂なし木造アパートのこと。建物の老朽化や耐震問題などを理由に、現在多くの文化住宅が取り壊され、マンションや駐車場に姿を変えつつある。関東圏では、「木賃アパート」と呼ばれる。

 

  今まで目の前を通りかかることがあっても「なかなか年季の入ったアパートだなぁ」くらいの意識しかなかったのですが、老朽化や空室化の問題から、いま文化住宅はどんどん失われているようなのです。

 

そんな文化住宅の取り壊しが相次ぐ関西で、「いずれは失われる運命にある文化住宅の終焉『解体』に最後のスポットを当てる」ことをコンセプトに、様々なパフォーマンスを続ける集団がいます。

 

彼らの名前は「前田文化」。

彼らがどんなことをしているかというと、

 

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「お相撲さん、壁を壊してください」

お相撲さんに、ツッパリで解体作業を手伝ってもらったり……

 

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「前田文化×劇団子供鉅人『文化住宅解体公演』」撮影:木原千裕

劇団の方にお芝居をしてもらいながら解体作業を進めたり……

 

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前田文化のリーダー、前田さんの髪型をコンペで募集し、公開カットを行ったり……

 


最後のやつ、文化住宅関係なくない? 

とにかく! 彼らは数々の変な……ユニークなパフォーマンスを、文化住宅を舞台に行ってきたのであります!


 そんな前田文化が今回、「工事の騒音は何をどうしたら近所迷惑ではなくなるのか?」という問いに答えるべく、解体工事をしながらプロの音楽家による楽器演奏を同時に進めて音楽として鑑賞するという「騒音コンサート」なるイベントを行うというのです。

 

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めっちゃ面白そう〜〜〜! これはチェックするしかない!

ということで、早速現場に駆けつけてきました!!

 

騒音と音楽の掛け合わせって本当に成立するんでしょうか?

ご近所迷惑は大丈夫!?

色々思うことはありますが、とにかく突撃だー!!!

 

 

衝撃の騒音コンサート

 

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というわけで、大阪府茨木市にある「前田文化」という文化住宅にやってきました。

外観はかなり年季が入っています。

 

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この日はかなり雨が降っていたにもかかわらず、東は東京、西は鳥取からと遠方からもたくさんの人が集まり、観客はなんと総勢110人以上!

 

用意されていたイスだけでは足りず、立ち見になってしまう人が大勢いました。「前田文化」の取り組みに注目している人たちが全国にこんなにいるなんて……!

 

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こちらが前田文化の内部。

 

「……なんかもうすでに取り壊してない?」

 

という読者の方の声が聞こえてきそうなので説明させていただいます。

前田文化は、冒頭で紹介した「お相撲さん、壁を壊してください」や「文化住宅解体公演」のような解体イベントを全てこの建物の中で行い、解体して、また修復して、解体して……を繰り返しているそうなのです。

 

……なんのために?

 

謎だらけではありますが、ともかく解体コンサートが始まるので、レポートしていきたいと思います!

 

今回の解体コンサートのゲスト演奏者はこの方々。

 

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作曲家・ピアニストの野村誠さん。

 

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バイオリニストの小川和代さん(日本センチュリー交響楽団)。

 

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打楽器奏者の安永 早絵子さん

 

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そして、解体工事を担当するのはTEAMクラプトンいとうともひさパーリー建築microcosmosといった、主に関西で活動し設計施工を行う大工チーム。

 

メンバーが揃ったところで、いよいよ解体コンサートが開演です!

 

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軽快なメロディーを奏でる楽器演奏が始まると……

 

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同時に、素早く床材が剥がされていきます。

 

「よーいドン!」でスタートしたかのような、息がぴったりの素早い動き……!

ヴァイオリンの深い音色に、ノコギリの「ギコギコ……」という異音が重なり、今までに聞いたことのない音色を奏でています。

 

何なのこれ……!

 

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ドドドドドド……

 

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ドカッ…ドカッ…

 

リズムに合わせ、目を疑うような早さで前田文化の解体が進んでいきます。

床や壁をダイナミックにぶっ壊しつつも、観客席に瓦礫が飛んだりしないよう慎重な配慮を持って行われています!  

 

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な、なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜!! 

壁を突き破って飛び出してくるアグレッシブな演出も!

 

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バリバリバリ!

 

公演が進むにつれ演奏が激しくなり、解体による騒音も合わせて大きくなっていきます。

 

ヴァイオリンやピアノの美しい音色の傍でかなり大きな騒音が鳴り続けていたのですが、不思議と「うるさい」という感情は全くなく、迫り来るような「音」に胸がひたすらドキドキしました。

 

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壁や床、扉の解体が終わりに近づくと、奏でられる曲調もだんだんと切ないものに変わっていき、私たち観客が圧倒されている間にコンサートが終了。

 

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最後は、出演者の方たちに向けた大きな拍手で締めくくられました。

 

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1時間も経たないうちに建物がこんな感じに……!

 

さっきまで床があったのに、あっという間に広い空間ができてしまいました。

解体ってこんなにスムーズにできるものなんだ〜!

 

活動を始めたきっかけは?

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さて、ただただ圧倒されている間に終了してしまった騒音コンサートでしたが、そもそもなぜ彼らはこのようなパフォーマンスをしているのでしょうか?

 

解体コンサートを終えた前田文化の方たちにお話をお伺いしました。

 

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右にいるのが、「前田文化」の前田裕紀さん

おじいさんが管理人を務めていた文化住宅「前田文化」を継ぎ、若くして管理人に。パフォーマンス集団としての「前田文化」の発起人でもあります。

 

左にいるのが、前田文化メンバーであり施工集団「TEAMクラプトン」にも所属する野崎将太さん

今回の前田文化の解体工事を担当していました。

 

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「前田さん、野崎さん、本日はよろしくお願いします!」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plainよろしくお願いします!」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「よろしくお願いします」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「突然申し訳ないんですが、前田文化って何者なんですか!? どうして『建物の取壊し』と『パフォーマンス』を融合させるというような、変な……面白いことを考えついたんでしょう?

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain……うーん、なんだろう」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「あれ……? 何か理由があって活動してたわけではないんですか?」 

  f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain活動を始めた2013年頃はね、前田さんが自分で『ただやりたいことをやってる』だけだったんです」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「うん、そうそう」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「え! 何か大きな目標があったわけじゃないんですね」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「特にそういうわけじゃなかったんです。寝たきりになったおじいちゃんから『前田文化』の管理人を継ぐことになったのはいいけど、建物はすごくボロボロだし、どうしたらいいかわからなくて……」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「突然管理人になったら確かにそうなりますよね……」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「当時、ほかの文化住宅はどんどん取り壊されて駐車場になったり、新しい建物が建ったりしてたんです。その頃は前田文化にもほとんど誰も住んでいなかったので、『ここも近々取り壊さないといけないなぁ』と思って」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「建物を置いておくだけでも固定資産税がかかるからね。今は文化住宅に住まなくてもあったかい家が他にもあるし、文化住宅自体の需要もあまりないし」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「でも、うまく言えないけど、僕はそれが『寂しいな』と思ったんですよ。僕はこのアパートの隣が実家なんですけど、子供の頃からここで育ってきて、建物を使って鬼ごっこをしたりもしてたし、『前田文化』に住んできた人たちのことを今でも覚えていて」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「うぅ……たしかに、そんな思い出がある場所を一瞬にして取り壊すのって、かなりしんどいかもしれない……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「だから、最初は『取り壊す前に、ここでなんかできないかな?』って思いついたのがきっかけだったかもしれません。目的は定まっていなかったけれど、大工の友達に協力してもらって、とりあえず2人で空室の天井や床材を剥がすところからスタートしたんです」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ほ〜! 天井や床材を剥がし終わったあとは、どんなことをしてきたんですか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「思いつきで外壁を破壊して、穴を開けました」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「外壁って思いつきで破壊できるの?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「できました。一番道路側に近い101号室でも、玄関から道路にアクセスしようとしたら30秒はかかっちゃうんですけど、外壁を壊せば5秒で道路に出られるんですよ!!

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「だから何だって言うんだ……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「このとき、『すげー、道路まで行く速さが6倍になったやん! 新幹線レベルやん!』って盛り上がって。新幹線のオブジェを作って、外壁から突き出た状態で3日間設置したんですよね」

 

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 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「ただ、このおかげで近所の方たちに『ここは何なの? 何になるの?』って、めっちゃ心配そうな顔で聞かれましたね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「何をやってるのかがわからないから不安だったのかな……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「そうですね……僕らが色々やってるうちに、近所の子供達が面白がって建物の中に入って遊んだりするようになったんですけど、大人たちはそれが心配だったんだと思います」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「でも、活動を続けていくうちに僕らも近所の人たちとコミュニケーションを取れるようになって、徐々に受け容れられるようになっていったのが嬉しかったですよね!」

 

作ったり壊したり

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「他にはどんな変なことをしてきたんですか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain外壁を取り壊したあと、101号室と102号室の間の壁を解体することになったんですけど、 普通に自分たちで取り壊すのもなんだから、『お相撲さんの張り手』で解体してもらったんですよ」

 

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 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plainお相撲さんが解体を!?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain正確にいうと、元力士の『めっちゃ細田』さんっていう芸人さんなんですけど。これがなかなか評判が良くて、通りすがりの人たちが見にきてくれたり、いろんなところで話題にしてもらったんですよ」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「なるほど、確かにユニークな取り組みですよね」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「次第にそれが『前田文化』の代表企画みたいになって。今思えば、これが解体作業とパフォーマンスを融合させた初めての解体公演になったかもしれません」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain 「よくそんな面白いこと思いつくなぁ〜……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「あと、これも思いつきなんですけど、大きなお風呂を作ったこともありましたね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「お風呂?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「文化住宅ってお風呂が付いてないんですよ。だからお風呂を作ってみようと思って。部屋を解体した跡地にモルタルで成形して、実際にお湯を流し込んで入ったりしました」

 

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 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「へえー!そのお風呂は今どこに?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「使い勝手が悪かったので、1回使っただけで終わっちゃったんですよね。今はそこの床の下に埋まってます」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「……。(この人たち、一体何がしたいんだろう)」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「それから、『劇団子供鉅人(げきだんこどもきょじん)』という劇団の方たちに来てもらって、演劇と取り壊し作業を同時にやったこともあります」

 

f:id:bambi_yoshikawa:20180209203010j:plain 

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ちなみにその演劇は、ストーリーの展開に沿って実際に解体が進むんですか?」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「そうそう! ただ準備もすごく大変で、劇団の方たちと何度もリハーサルをやったり、かなり綿密な打ち合わせをしたりしました」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「万が一ケガでもあったらいけないから、あらかじめ計算をして、解体する部分に切れ込みを入れておいたりとかね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ただ適当に解体しているわけじゃなくて、構成や安全面までしっかり考えられているんですね……!」 

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「もちろんですよ!」

 

騒音コンサートを思いついたきっかけって?

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 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ちなみに今日の解体コンサートについて伺わせてください! 企画はどのように思いつかれたんですか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain本来『うるさい』ものでしかない解体工事の騒音と、『美しい』とされる楽器演奏が融合するとどうなるのか……という、思いつきというか、好奇心からですね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「たしかに今まで建物の取り壊しを目にすることはあっても、『騒音がすごい』としか思ったことがなかったかもしれません」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「ですよね。そしたらそれがなんと、大阪府と大阪市が主催する『芸術文化魅力育成事業』に採用されて。しかも、『日本センチュリー交響楽団』が企画に協力してくれるってことになって」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ええーめちゃくちゃすごいじゃないですか!」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「いや本当に……僕の思いつきがいつの間にか、すごく大きな話になって実現したので自分でも驚いてます」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「でもそれだけ大きな企画になってしまったら、そうそう失敗できないというプレッシャーもあったんじゃ……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「もちろんそれはありました。僕らも実際やったことがなかったから、すごく不安で。でも、音楽があって、たくさんの人に見守られながら解体作業が行われるのは、『建物の終焉の迎え方』としては良かったんじゃないかって思います」

 

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「解体コンサートは、始まってしばらくはほとんどの人が笑顔で見守っていたんですけど、どんどん剥がされていく土壁や、傍に積み上げられて大きくなっていく瓦礫の山を見て、みんなの表情が大きく変わって行ったのが印象的だったんですよね……」

 

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「半世紀もの歴史を持つアパートの解体作業だからね。僕もめちゃくちゃ胸にくるものがあった」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「そうですよね……! ここに住んでいた家族の方たちの姿を想像すると、かなり切なくなってしまいました」

 

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「柱が切り取られたときなんか、樹齢何百年の大木が切り倒される! ってくらい胸がギュッとなって、涙ぐんじゃいました」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「そんな風に思ってくれたんだったら、イベントをやった甲斐があるなぁ……さっきの打ち上げのときにも、来てくれた人たちが次々に声をかけてくれました」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「本当に。前田文化の活動を始めた当初は誰からも共感を得られなかったんですけど、それでもずっと続けてきたおかげで、今では本当にたくさんの人たちと繋がることができましたね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182210j:plain

 

解体コンサートが終わったあとは、前田文化の建物内で暖かい食べ物やドリンクが振舞われ、コンサートの出演者と観客のみなさんとで打ち上げが行われました。

 

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ついさっき取り壊された前田文化の建物の中を見回しながら、いろんなところから「すごいね」「原型がなくなっちゃったね」、「寂しいね」という声が。

 

前田さんの文化住宅への「思いつき」が今では、こんな風にたくさんの人を惹きつけている。

 

打ち上げは終始和やかな雰囲気に包まれ、前田文化という建物に対してのみなさんの愛情を感じることができました。

 

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いい顔〜〜!

 

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最後は集合写真を撮影しました。人が多すぎて写りきらないほど! みんなめっちゃいい笑顔!

 

解体コンサートの舞台裏

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「今回、解体コンサートをやってみてどうでしたか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「多分、成功だったと思います。怪我人もいなかったし、騒音と演奏がお互い喧嘩するでもなく、うまく融合していたんじゃないかと。そして何よりも、みんなが楽しんでくれていたようなので」

  f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「僕も前田さんも、開演前はどうなるか心配してたんですよね。今だから言うと、演奏者さんとの段取りの打ち合わせはそこまでできていなくて……」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「えっ! でも解体と演奏が同時に終わっていましたし、めちゃくちゃ息ぴったりでしたよ!」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「実はあれ、ほぼアドリブです! さっきも言った通り、本来僕らが解体作業をする時はかなり綿密な打ち合わせをするんですけど、演奏者の方々が『打ち合わせでガチガチに決めてしまうよりも、その場の空気感を大切にしよう』っておっしゃって」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ええー! あれ、アドリブだったんだ……!」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「でも、そのおかげでそれぞれが臨機応変に動けたし、僕らと演奏者の息がぴったり合ったのかもしれませんし、公演中もすごく楽しかったです」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「はあ〜、そんな背景があったんですね……! ちなみにこの建物って、2階部分はどうなってるんですか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「2階にはまだ人が住んでるので、残してあるんですよね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「え!? 結構派手に解体してたけど、人住んでるの!?!?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「アル中のおじさんが住んでます」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「パンチがすごい。今日の解体コンサートについては、アル中のおじさんは何て言ってるんですか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「いつも僕らが下で何かやってると、『何や〜〜〜何やってるんや〜〜〜!』って言いながらバタバタ降りてくるんですけど、今日は知り合いの女性に頼んで、2階で『おじさんの映像』を撮ってもらっています」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「また何のために?」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「今回、『1階で行なわれている騒音コンサートが、2階ではどのように聞こえていたか?』という検証のための映像作品も制作してまして。そのコメンタリーの収録です」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「しかもその女性、東京から解体コンサートを見るためだけに大阪まで来てくれているのに、突然協力をお願いしたらあっさり引き受けてくれたんですよね……本当に感謝です」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「はるばる東京から来て、まさかアル中のおじさんの映像を撮ることになるとは思わなかったでしょうね……」

 

  前田文化の今後

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f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「色々伺ってきましたが、最後に、前田文化が今後やっていきたいことって何なんでしょうか?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「そうですねぇ 。まだ現存する他の文化住宅の管理人さんたちに、文化住宅の『再活用』の選択肢を広げる提案をしていきたいなと思っています」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「……と言いますと?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「いま、文化住宅の管理人業は若い人にどんどん受け継がれているんですが、だいたいが『取り壊してビルか駐車場にする』か『きれいな内装にリノベーションする』の二択なんですよ。逆に言うと、それくらいしか選択肢がないからみんな揃ってそうしてるんだと思うんです」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「前田さんはそうしようと思わなかったんですか?」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「僕も突然文化住宅の管理人になったので、最初は右も左もわかりませんでした……。だけど、半世紀以上も歴史がある建物を一瞬で取り壊すのってもったいないと思っていて」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「たしかに、長年日本人の文化として寄り添ってきたものを一瞬で壊してしまうのは、寂しいですよね……」

f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「だから、僕たちもまだ方法を探っている途中ではありますが、選択肢は、すぐに取り壊してマンション建てるだけじゃないんだよ!』ということを提案できるようになれたらな、と」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182503p:plain「いま、人口は減っていってるのに、東京オリンピックに向けて新しいマンションがどんどん作られていってる状態だもんね。もともと近畿地方に文化住宅が大量にあるのも、『大阪万博のときに急ピッチでアパートが建てられたから』という背景があるからなんですよ」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「ということは、今私たちが住んでいるマンションや、オリンピックに向かってどんどん建てられている建物なんかも、50年建てばどんどん取り壊されていくってことですよね……?」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「絶対そうなるでしょうね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203182342p:plain「うわぁ……そう考えると、ものすごく悲しくなってきた。私たちの思い出が詰まった家が、色んな事情によっていつかどんどん取り壊されてしまうんですね」

 f:id:bambi_yoshikawa:20180203183452p:plain「耐震化問題や老朽化で仕方がないことがほとんどなんだけどね、やっぱり、思い出がたくさんある建物が一瞬で取り壊されてしまうのは辛いですよ」

 

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文化住宅が取り壊されるのは仕方がないことだし、いつかはそうしなければいけない。

前田さんと野崎さんはそう言っていました。

 

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「文化住宅が時代の流れで形を変えていく過程」に価値を見出していく前田文化。

彼らは文化住宅に敬意を持って、その場所の再活用の方法を探る活動を続けています。

 

私が家族と過ごした家も、今住んでいる家も、いつかはきっと取り壊されてしまう。

でも、数年後、数十年後にその気持ちを救うヒントが、彼らの活動から見えてきた気がしました。

 

この記事を読んでくださった方にとっても、前田文化の試みが「建物の終焉」について考えてみるきっかけとなれば……と思います。

 

 

騒音コンサート写真撮影:木原千裕

書いた人:吉川ばんび

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フリーライター。兵庫県生まれ。音楽、映画を愛する動物好きの人です。Twitter:@bambi_yoshikawa/ 個人ブログ:妄想と現実のあいだにはさまりがち/ Mail:m.gct.lv@gmail.com

 

 

規格外品を有効活用すると規格品まで安くなる!? まったく新しい八百屋『旬八』

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こんにちは、ライターの松岡です! 

まだまだ寒いこの時期、夕飯に鍋なんか食べたくなりますよね。

しかし、今年はスーパーの野菜が高い!

白菜一玉が900円というニュースもありましたが、特に葉物野菜がものすごく高いんです。

 

そんなご時世にも関わらず、都内の一等地で、低価格なのにおいしい野菜や果物を販売している八百屋さんがあります。それが―

 

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『旬八青果店』というお店!

 

旬八青果店(五反田店)

住所|東京都品川区西五反田2丁目31-6 1F

営業時間|平日・土祝:10時30分~21時 / 日:10時30分~19時

※他に目黒警察署前店、三田店、大崎店、東急百貨店本店(渋谷)、赤坂店、白金台店、など

公式HP

 

こちらのお店、オープンから4年で都内に11店舗を展開するという、異例の人気店。もちろん普通に新鮮でおいしい青果も人気なんですが、その他にも

 

・規格外の野菜を安く販売

・自家製のスムージーやサラダなどを販売

・野菜をふんだんに使ったお弁当を販売

 

といった特徴を持つ、かなり変わった八百屋さんなのです。一体何なんだこの八百屋は……。

そもそも野菜が高騰してるこの時期に、どうしてこんなに安く販売できるの?

 

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『旬八青果店』を運営する株式会社アグリゲートの代表取締役、左今克憲(さこん よしのり)さんに秘密を伺ってきました!

 

 

規格外品を有効活用することで規格品も安くなる?

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f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「今日はよろしくお願いします! さっそくですが、今ってかなり野菜が高騰してるハズですよね? 『旬八青果店』は何故あんなに安く販売できるんでしょうか

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「あ、やっぱり値段のことが気になります? 秘密は、普通のスーパーでは販売していない野菜を売っているところにあるんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「普通のスーパーで売ってない野菜!? 引き抜くと悲鳴を上げて、聞いた人間は発狂してしまうというマンドラゴラとか……」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「違います。いわゆる規格外とされる野菜を販売してるんですね。味はおいしいのに形が歪んでいたりといった……スーパーで販売する際にはハジかれてしまうような野菜のことです」

 

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曲がったキュウリ

 

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二股や三股になった大根

 

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain形が少々歪んでいても、おいしさに変わりはありません。むしろ旬八では、『“おいしいのに”規格外になってしまったもの』という基準を守ってセレクトしているので、そこらへんの形が整ってるだけの野菜より、味には自信があります」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「なるほど。でもそれはあくまで、規格外の野菜が安いという話ですよね? 旬八さんには、もちろん規格外ではない普通の野菜も置いているし、それらが安い理由にはなっていないような?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「それが実は関係あるんです。農家の方から野菜を仕入れる時、『規格外の野菜も一緒に買い取るから、普通の(規格品)野菜を安く仕入れさせてください』って交渉をしてまして」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「え、え? どういうこと? なんでそれで普通の野菜が安く仕入れられるの!?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「日本では野菜の年間収穫量が約1300万トンくらいあるんですけど、そのうち200万トンは規格外の野菜として捨てられている。つまり規格外の野菜はただのゴミとして捨てるしかなかったわけです」

※収穫量と出荷量の差(農林水産省統計データ)

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plainあ、ああぁぁ~! 今まで捨ててた規格外品に値段がついて、お金になるとしたら……!」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「そう、農家にとっては、普通の(規格品)野菜を僕らに安く売っても、トータルで考えれば今までより儲かる、というわけです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「農家の方も得だし、僕らもおいしい野菜を安く買える……最高じゃないですか」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「過去に1つの農家さんから規格外の野菜を60万円くらい買ったことがあって。今まで0円だったところに60万円ドンと入ってくるみたいな感じで、そうなるとある程度価格交渉にものってくれるんですよね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「それは農家の方にも嬉しい話ですね!」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「最終的にお支払いする額が今よりも増える状態に、今畑のインプットとアウトプットを考えた時、アウトプットに全部価値つけましょうという話をまずしてます」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「それは規格外品を有効活用した新ビジネスですね!」
f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「例えば、とある有名なお漬物屋さんに毎日何トンも大根を卸してる農家の方がいるんですが、折れたものなどの規格外品を、毎日500kg捨ててるって言うんですよ」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「500kg!? それはもったいない」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「有名なお漬物屋さんが贔屓にするほどの農家さんなんで、めっちゃ甘くておいしい大根なんです。だから、折れてるやつもください!と。これがまた好評で」

 

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本来は規格外として捨てられてしまう大根

 

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人も大根も見た目じゃない!! そう、その通り!

 

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「他には、通常捨ててしまうブロッコリーの葉とかも仕入れてますね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「確かに、そんなものをスーパーで見かけたことはないです。おいしいんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「甘みがあって味が濃い! お浸しとして食べるとおいしいですね。あとは豚バラ・キノコと一緒に炒めたり、単純にゴマ油で炒めたり。ちなみに、炒める前に下処理として茹でておくと、舌触りがよくなって甘みも出やすいです」

 

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店頭で販売されている「ブロッコリーの葉」。食べ方などもPOPに書かれています(※入荷や価格は季節によって異なります)

 

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「それはおいしそうですね!ちなみに最近、野菜がものすごく高いですけ旬八青果店にダメージはないんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「そこまでないんですよ。さっきの決め方をしてるので。僕らの仕入れ方だと、別に規格外でもどんどん仕入れられるので
f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「ただ、そんなに仕入れてたら、売れ残った場合に大きなマイナスになるんじゃないでしょうか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「普通はそうですね。でも旬八では、廃棄ロスを少なくするため、野菜がおいしいうちに、お弁当やスムージーという形で販売しちゃうんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「あぁ! あのお弁当やスムージーって、そうやって作られてたんだ! 僕は特にお弁当が好きで、毎週必ず買ってるんです」

 

nuwton.com

 

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八百屋の平弁シリーズ(税込:550円)

肉系と魚系のおかずが数種類選べるため、毎日食べても飽きないおいしさ! そして何と言っても野菜がゴロゴロ入っててヘルシー! 女子ウケ良さそう。

 

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1番人気のお弁当は「鶏の塩麹漬け弁当」だそう

 

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旬ムージー(税込:200円)

こちらはこだわりの野菜と果物で作るスムージー。濃厚な野菜の味わいと果物の甘さが口の中で広がります!

 

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「何重にも考えられた『おいしい青果を安く売るシステム』が、めちゃめちゃうまく機能してますね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「ありがとうございます。そういうシステムを、ちょっとおしゃれなロゴであったり、女性にもウケるヘルシーさであったりといったブランディングで統一してるんです。見た目の部分は、さらにテコ入れしようと思ってます」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「有能すぎてなんかもう怖い」

 

 

【保存版】プロが教える野菜や果物の旬リスト

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f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「旬八さんが取り組む新しい仕組みに驚かされっぱなしなんですが、なぜスーパーではそういったことができないんでしょうか。八百屋さんとスーパーの違いって何なんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「一番の違いは、八百屋には目利きの人(青果の良し悪しを見極めて仕入れる役割の人)がいるってことじゃないでしょうか。スーパーは売り場面積も広いですし、基本的に送り込まれてきたものを並べるだけになってしまうことが多いので」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「八百屋は青果のプロが良いものを目利きして売ってるってことか……」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「僕らは農家に足を運んで、実際に食べさせてもらうことにしています。さらに、店舗で売ってる人にも商品を食べてもらって、それでおいしいと判断されたら売る、という感じですね。仕入れも販売もプロフェッショナルでありたい

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「うんうん、旬八に行くと、販売員さんがPOPで味の感想やおすすめの調理法などを書いてて、『信用できるわ~』と思っちゃいますね」

 

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販売員がおいしさや調理法をちゃんと書いてくれてるPOP

 

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それはいいけど寒いからという理由での30円値下げは何なんだ(嬉しいけど)

 

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「そんな青果のプロにお聞きしたいんですが……実は僕、野菜や果物の“旬”って全然わからないんです」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「ああ、でも最近はハウス栽培なんかもあるし、それに産地によって旬は変わってくるんです。暖かい土地では早く旬がきますから」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「あくまで一般的なもので結構です。昔から『初物七十五日』と言って、旬のものを食べると寿命が75日延びると言われていますよね。ぜひ教えてください!」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「そうですね、思いつく限りで言うと……」

 

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野菜=たけのこ、キャベツ、ピーマン、そら豆、玉ねぎ

果物=甘夏、パイナップル、キウイ、びわ、マンゴー

旬八オススメ!=高知県トマトの村さん 「大玉トマト」

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野菜=レタス、きゅうり、とうもろこし、オクラ、枝豆

果物=スイカ、メロン、すもも、桃、さくらんぼ

旬八オススメ!=茨城県旬八農場 「ゼブラ茄子・白茄子」

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野菜=しいたけ、舞茸、さつまいも、銀杏、ジャガイモ

果物=洋梨、ぶどう、いちじく、くり、かき

旬八オススメ!=鹿児島県 種子島産 「安納芋」、山形県 「舟形マッシュルーム」

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野菜=白菜、ほうれん草、長ネギ、レンコン、春菊、

果物=りんご、いちご、みかん、ラ・フランス、ゆず

旬八オススメ!=京都府京丹後市 まつみやファーム 「ほうれん草」

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f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「こんな感じかな。年中 青果が食べられるようになって曖昧になりがちですけど、やっぱり旬のものって良いですよね

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「役立つデータをありがとうございます! 『好きなフルーツがもう少ししたら店頭に並ぶぞ……』っていうのを知ってたら、頑張って生きていけるような気がします!」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「八百屋の僕が言うことではないですが、人生もっと良いことありますよ

 

 

古着屋めぐりが好きで中目黒に出店

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f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「左今さんが都内で青果店を運営しようと思ったきっかけはどこにあるんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「もともと人材業界で働いてたんですが、あまりにも多忙で食事がほとんどコンビニ食だったんですよね。だから、働いている場所とか生活動線の中で、気軽に野菜を提供できるお店を作りたいなと思ったんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「思うのは簡単だけど、実行するのは大変なのでは……? 起業したのはいつ頃なんですか?

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「2009年ですね。ただしその頃は、スーパーや通販などで野菜を販売する営業代行をしていました。2013年の10月に、やっと中目黒に旬八の一号店を出したんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「なんでまた中目黒を選んだんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「僕は福岡県出身で、こっち(東京)に住み始めたのは大学からなんです。その頃よく遊びに行ってたのが中目黒で。趣味が古着屋巡りだったんですが、当時の中目黒には古着屋が多く立ち並んでたんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「古着屋と八百屋にどんな関係が……」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「いや、関係はあまりないんですけど(笑)。センスの良い人が多いだろうから、旬八みたいな八百屋も受け入れられるんじゃないかって」

 

f:id:jimocoro:20180225022100j:plain

 

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「これが当時の写真ですね。中目黒の駅を出てすぐのところです」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「……ん? これってどこからどこまでがお店なんですか?」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plainこのショーケースみたいなやつが店舗です。タンスを改造して作った1坪のお店ですね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「タンス一個がお店のすべて!?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「あ、でもこのタンス、アンティークのやつですよ」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「そこはこだわるんかい」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「古着屋の横に出店できるお店をイメージしていたので。このお店が結構 成功したんですよね。家賃が1ヶ月5万円だったんですけど、1日で5万円近く売れました」

 

f:id:jimocoro:20180225042853j:plain

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「めちゃめちゃ儲かってる! 都会の人間、野菜足りなすぎ!

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「これはイケるわと思って、2ヶ月後に目黒に店舗を出しました。その後、五反田と赤坂、さらに東急百貨店にも出店して」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「ひょっとして、まあまあ調子に乗っちゃった感じですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「いえ、物流上の戦略があったんです。店舗には2トン車で青果を運んでたんですけど、荷台に空きスペースがあったら無駄じゃないですか。近くにいくつも店舗があれば、満タンで運べるから効率的なんです」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「調子の乗り方まで戦略的……。急激に店舗数が増えて、何か問題は起きなかったんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「その時期に手が足りなくなって人材を募集したら、応募が来すぎちゃって、どうしようみたいになったことはありました。たぶん採用基準がゆるかったせいだと思うんですが」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「どんな採用基準だったんですか?」

 

f:id:jimocoro:20180225024406j:plain

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「『笑顔で話せる』です」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「誰でも受かるわ」

 

 

株式会社アグリゲート、福利厚生をハイパー魅力的にしていきます。

□青果報酬
【  全商品30%オフ 】
※青果報酬なのに加工品含む

□まかない制度
【お弁当と旬ムージー1つ無料】
※1日6時間以上勤務https://t.co/LauiIy7HJ7

— 左今克憲 (@sako_2) 2018年2月1日

 

 

ちなみに現在、旬八を運営するアグリゲートの社員は、『青果報酬』といって、旬八の商品が30%オフで購入できます。福利厚生まで新しい……!

 

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「他にも、5店舗以降はいろんな所に出店して失敗したりとか。お店を出せば出すほど赤字になるみたいな構造に、一瞬なりましたね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「その時の赤字はいくら出たんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain1年で6000万円とか。ただ、直接 産地まで行って関係を作り、価値化されていない規格外品を価値化して、物流まで自分で構築すると、手間とお金は絶対かかるんですよね。6000万はその投資として必要な金額だったと思ってます」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「戦略上の赤字だったんですね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「おかげで今の旬八青果店の経営スタイルができたんで、今の成功は、あの頃の失敗のおかげだったなと」

 

 

今後の旬八について

f:id:fccmatsuoka:20180220170647j:plain

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「昨年の12月にオープンした『旬八キッチン』では、長崎県の雲仙市とコラボをしてお店を運営していますよね。きっかけはどこにあったんですか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「きっかけというか、雲仙市の市長がいきなり店に来たんですよ。『雲仙のモノ取り扱ってくれんかね?』って」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「え、市長ってそんな急に、飛び込み営業みたいなことをするものなの」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「全国の市区町村って1700くらいあるんですけど、農業産出データ(農業生産活動による最終生産物の総産出額)によると、雲仙って35位なんですよ」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plainめっちゃ上位じゃないですか」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「でも、全然知られてない。実際に雲仙に行ってみたら、野菜が溢れてるんですよ。東京ではすごく野菜が高騰してるのに。じゃあ取り扱おうってことになって、しばらくは既存店でフェアをやってたんですね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「最初は既存の店でのフェアという形だったんですね。『旬八キッチン』をコラボして運営することになったのは、どういう経緯で?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「フェアをやると売れて、取扱量がバッと増えるんですよね。じゃあ運送するための物流を作らなきゃなぁと。最終的に『お店があれば物流が作れるよね』って話になって、一緒に店を作って……」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「市長も社長もフットワーク軽すぎません?」

 

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f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「今後の目標みたいなものはありますか?」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「現在では物流手段が10トントラックとかなんですけど、効率的に満タンにできてるかと言えば、できていないんですよ」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「物流の問題があるんですね」

f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain「市場にたまたま商品があれば、最適な品揃えにできますけど、無い場合は? そういった問題を解決できる物流を作りたいですね。組織として、その整備に取り組みたいと思ってます」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「期待してます! 今日はおもしろい話がたくさん聞けましたが、そのすべてに野菜への愛があって感動しました」

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「カッコつけるわけじゃないですけど、八百屋ですから、野菜への愛があるのは当たり前ですよ」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「素晴らしいですね。では左今さんは、肉より野菜が好き?

f:id:jimocoro:20180224210830p:plain「え?」

f:id:jimocoro:20180224212032p:plain「…………」

 

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f:id:fccmatsuoka:20180219130519p:plain肉のほうが好き……かな」

f:id:fccmatsuoka:20180219130509p:plain「正直かよ」

 

 

まとめ

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というわけで今回は、旬八青果店を運営している株式会社アグリゲートの社長に、経営の秘密を伺ってきました。

 

・安さの理由は規格外の野菜を仕入れることによる新しいシステム

・ロスをなくすために作ったお弁当やスムージーがこれまた人気

・古着屋めぐりが好きで中目黒に出店

・自社で生産・流通・製造・販売を構築している

 

古くからある八百屋さんを、新しいセンスで再構築して、経営手腕で人気店に仕上げた社長の話は、本当におもしろくてためになりました。

 

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ちなみに僕も規格外の、ちょっとエッチな形の大根を購入してみました。お値段は150円

 

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 おでんの素で煮詰めます

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シュールな芸術作品みたいな大根のおでんが完成

 

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会社で振る舞ったところ、甘くておいしいと大好評! 150円の大根1本で10人近くおでんが食べられました。規格外の大根、マジでおいしくてお得ですよ!

 

 

(おわり)

 

取材協力「株式会社アグリゲート

 

 

書いた人・松岡クジャク

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1990年生まれ。千葉県八街市出身。
元テレビ番組の制作スタッフ(AD)で、現在は株式会社バーグハンバーグバーグ所属のアルバイト。好きな野菜は「長ネギ」。Twitter:@matsuokujyaku

ジモコロ月刊まとめ「記事では言えないウラ話SP」2018年2月

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こんにちは、ジモコロ編集部です。

毎月いろんな場所に取材に出かけ、人に会い、記事を書いている我々ですが……実は、取材したすべての内容が記事に書かれているわけではないのです。

 

インタビューでおもしろい話を聞けたけど、記事の本題から逸れているため泣く泣くカットするというのはよくあること。これってもったいなくないですか? 

 

というわけで、そんなこぼれ話を交えながら、今回もジモコロ編集長・柿次郎と、副編集長のギャラクシーが、2018年2月の記事を振り返ってみます。

 

 

2月5日 ライター:友光だんご

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「事前に犬養毅のひ孫がゲストハウスをやっているらしい…と内心ビクビクしながら取材に臨んだんですけど…」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「そりゃ、怖いですよね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plainいざ対面したら…めっちゃ目がキラキラしていて、一人称が『わたし』の男性が出てきたので面食らいました。思ってたのと違う!と

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「家族との関係性とか、『恕(じょ)』っていう言葉に対しての価値観とか、さすが犬養家でしたけどね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「取材後も何度も会って付き合いを続けているんですが、いつもキラキラした目の奥に吸い込まれそうになる不思議な人です」 

「現代人には許しの心が足りない」犬養毅の子孫が語る教育論

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2月13日 ライター:今井雄紀

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain海賊シェフーーー!

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain出会った当初から『これはジモコロ案件だ…』と思って超気合を入れて作ったんですが、話題になって本当に良かったです。ジモコロきっかけで多くの人が海賊シェフのメシを食べに行ってるみたいで

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「見た目からして美味いメシを作る風貌ですもんね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「記事では触れてないんですが、両親が食にこだわりを持っていたらしく、元々舌が良かったみたいです。現代の料理ってある意味、科学的な感性で試行錯誤を繰り返すことが多いそうで」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「大量の肉と酒さえあれば大喜びな海賊とは違うんですね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「マインドと見た目は海賊そのものなんですけど、料理に向き合う姿はアスリート的ともいえそうです」

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/y/yuqi_026/20171207/20171207161135.jpg

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「性欲はめっちゃ強そうですね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「それはマジ」

街で噂の海賊シェフ「鳥羽周作」は、料理業界に革命を起こす

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2月14日 ライター:みらい

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f:id:jimocoro:20180123190055p:plain女性らしさって何なの?という疑問を、八王子の芸者さんに聞いてきました。置屋(芸者さんの事務所みたいなもの)に初めて行ったんですけど、独特の雰囲気がありましたね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「芸者遊びって、高そうだからしたことないなぁ。でも芸者さんを一人呼ぶのが、2時間で1万4千円(を、人数で割る)なのか。想像してたよりかなり安いのね」

 

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f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「この写真の左にいる女性・めぐみさんという方に話を聞いたんですが、凛としてる……というか、凛の権化といった佇まいの方で」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「右にいるライターの女性が緊張してるの、めっちゃ伝わってくる」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「そう。すごく緊張してて、正座で足がビリビリに痺れてるのに、言えずに泣きそうになってた」

f:id:jimocoro:20180226185811p:plain「慣れてないと一瞬で痺れますよね。特に『足を崩せない状況』だと、プレッシャーで痺れが加速する」

f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「めぐみさんによると、足が痺れすぎて、襖ごとバターンと廊下に転げ出ちゃった新人芸者さんもいたらしいです。気をつけたいものですね」

 

 

この時代にあえて『女性らしさ』を学ぶため、芸者さんに話を聞く

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2月16日 ライター:おかん

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「これは京都精華大学出身のライター・おかんちゃんだったからこそ、取材できた記事ですね」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「マリ共和国のウスビ・サコさんが京都精華大学出身のニュースを見かけた瞬間に『取材してくれー!』って言ってましたもんね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「いざ初稿を読んでみたら、空間人類学を軸にしためちゃめちゃ深い話で驚きました。良い意味でイメージが全然違った。いつもは顔アイコンで記事を展開するんですけど、ここまで地の文で内容が面白かったら、いっそ名前表記だけで構成した方が読みやすいだろうなと思って変えました」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「約8000文字ありますもんね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「ページ滞在時間 7分10秒!」

マリ共和国のウスビ・サコさんは、なぜ京都精華大学の新学長になったのか?

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2月19日 ライター:友光だんご

www.e-aidem.com

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「ジモコロではタバコを吸ってる写真もOKなので、JTとかフィリップ・モリスからお金もらえるかもしれません」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「広告として地味すぎるでしょ」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「牛飼いの光夫さん、普段からめちゃめちゃ美味いもん食ってるんですけど…」

 

f:id:kakijiro:20180227223653j:plain

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「なんですかこれ」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「焼きスズメです」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「えー!スズメー!よく見たら頭とかそのまま残ってますね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「岐阜では昔からスズメを比較的食べるみたいなんですけど、頭からかぶりついて食べると超美味いんですよ。脳みそもトロトロで…。食った直後に生命力がみなぎるような…マジでビビりました。骨もバリバリいけます。焼きスズメ最高。ギャラクシーさんも今度どうですか?」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「絶対食べたくない」

 

「俺たち人間は退化しとる」飛騨のウシ飼いが語る”土と内臓”の話

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2月23日 ライター:おおきち

www.e-aidem.com

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「カメラマンとして取材に同行したんですが、衝撃だった。僕、軽い潔癖症なんで、ドアを開けた瞬間に『あ、絶対無理!』って思いました

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「写真でもすごさが伝わったわ……」

 

f:id:jimocoro:20180226192725j:plain

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain身長より高くゴミが積まれてる。歩く時は一歩一歩ズブブブ……ってゴミに沈んでいくんです」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「現場はニオイがすごかったんじゃない?」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「部屋はそうでもなかったですね。業者の人が『ちゃんと弁当を残さず食べる性格の住人ですね』って言ってたのが印象的だった。弁当を残す人は腐ってニオイが出るそう」

 

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f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「あと、慣れてない僕らのために、わざわざ悪臭用のマスクを用意してくれてて、そのおかげもあったかもしれません」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「そんなマスクが存在してることに驚いたわ」

 

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f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「このかわいらしいヌイグルミの目は、一体どんな光景を見てきたのだろう」

f:id:jimocoro:20180226185811p:plain「大ざっぱな性格の人は、大ざっぱにゴミ出しできるからゴミ屋敷になりにくくて、逆に神経質な人がゴミを溜めちゃうっていうのが『なるほど』って思った」

f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「神経質な人の気持ちが理解できて怖かった。僕も、自分が完璧にコントロールできないものは、いっそ『見なかったこと』にして放置しがちなんですよね。もっとユルく生きよう!」

 

ゴミ屋敷の掃除動画でファン3万人! 壮絶すぎる部屋をピカピカにしてみた

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2月26日 ライター:吉川ばんび

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「僕もギャラクシーさんも大阪出身なので、文化住宅は馴染みがありますよね」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「高度経済成長の時代に、人口がブワーっと増えていったから必要だったのかなぁ。友だちも結構住んでいました」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「あと大阪の賃貸物件って、敷金・礼金だけじゃなくて『保証金』っていう謎の制度がありますよね。保証金3カ月分とか。なんなんすかあれ」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「家賃3ヶ月分を先に支払うとか無理ゲーすぎる」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「貧乏人に優しくも厳しい街。それが大阪…」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「今後も高度経済成長期の建物が老朽化して、どんどん立て壊しが増えていくはずなので、解体自体をエンターテイメントに昇華する前田文化の活動を応援したいなぁ」

住居解体×コンサート!? 文化住宅でパフォーマンスする「前田文化」の試み

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2月27日 ライター:松岡クジャク

https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/matsuoka03

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「『旬八青果店』という躍進してる八百屋さんの記事ですね。社長にインタビューしたんですけど、“仕組みを考える力”というのがすごくて圧倒されました」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain規格外品を仕入れることで、規格品まで安くなるって聞いて、最初は『どういうこと?』って思ったけど」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「農家の人にしたら、『今まで捨てていた規格外品に値段をつけてくれるなら、規格品も安くしとくよ』ってことですね」

 

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f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「味はおいしいの?」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「規格外の大根食べてみたんですけど、おいしかったですよ。規格外品って、曲がったり歪んだりしてなきゃもっと高い値段で売られてたはずの野菜だから。見た目気にしないなら超お得です」

 

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f:id:jimocoro:20180226180935p:plain「大根農家が、規格外品を毎日500kg捨ててるって衝撃的だった。でも、農家の人にしたら捨てるしかないんでしょうね」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「それはもったいないから売ったほうがいいよね。で、売れ残る前に弁当にしちゃうと」

f:id:jimocoro:20180123190055p:plain「旬八の弁当、マジでおいしいのでおすすめです。野菜がおいしい弁当ってなかなか無いし。気取ってないけど、なんかおしゃれっていうのも最高。女子には嬉しい弁当です」

f:id:jimocoro:20180123190043p:plain「あなたは女子じゃなくてオッサンですけどね」

 

 

規格外品を有効活用すると規格品まで安くなる!? まったく新しい八百屋『旬八青果店』

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連載マンガ・コラムなど

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まとめ

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というわけで、今回のまとめはここまで! 来月のジモコロをお楽しみに!

 

なお、ジモコロでは、皆さまからのネタ提供や、調べてほしいことなどを常に募集しています。

 

2018年5月11日に丸3周年を迎えるジモコロですが、47都道府県制覇は残すところ「奈良県」「愛媛県」「広島県」「鹿児島県」の4つ。3月、4月に編集部がガガっと取材ツアーを敢行するので、ぜひジモコロで取り上げて欲しいネタをお送りください!

 

 

(おわり)

 

書いた人:ジモコロ編集部

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どこの地元にもコロがっているような魅力ある「場所」や「仕事」「小ネタ」など、地元愛を感じてしまう話の数々を集めて発信していくメディアの編集部です。TwitterFacebook

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 25話「母の本音」

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<柳田さんと民話・一覧>

25

 

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

1話~10話までをまとめ読み

11話~20話までをまとめ読み

 

 

「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

「気づいたらみんな巻き込まれている」動員3万人のフェス『森、道、市場』を創る狂気のカリスマ

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学生時代、クラスにひとりは「人気者」っていませんでしたか?

 

別に“完璧な人間”ってわけではなくて、もちろん不器用な面があったり、連絡無精だったり、どこか欠落している部分もある。それなのに、なぜか誰からも好かれている……そんな人物です。

 

不思議なカリスマ性を持った人間は、僕も30年近く生きてきた中で何度も目にしてきましたが、先日久しぶりに「この人はすっごいな!!!?」と思う人にお会いする機会がありました。 

それが……

 

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3万人の動員を誇る人気フェス「森、道、市場」の主催者・岩瀬貴己さんです!

 

岩瀬貴己さん

愛知県岡崎市在住。イベント「森、道、市場」の主催者。本業は建築関係。

 

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「森、道、市場2017」の会場風景。同イベントは2011年の初回以来、今年で9回目の開催となる

イベントを毎年続けるだけで死ぬほど大変なのに、規模を毎回拡大しながらもほぼワンマンに近い体制で運営の中心にいる岩瀬さん。

 

・出店する300店舗と直接、一人で連絡をとっている
・運営側が利益をとらず、チケットは破格の値段
・駐車場確保のため、遊園地を大人借り

 

など、「森、道、市場」の運営において常人離れしたエピソードには事欠きません。

 

ジモコロでも過去にその多忙っぷりを取材しましたが、きっとそのエネルギーや求心力には、何か裏側があるはず。

 

そこで今回は「岩瀬貴己」というカリスマについて、岩瀬さんの周りの人たちの協力を仰ぎながら徹底解剖してみました!

大型フェスのイベント運営者や“なんとなく人気な人”の特徴に興味がある方は、是非ご一読ください!

 

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降り立ったのは、愛知県岡崎市

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岩瀬さんが何故多くの人を巻き込むことに成功しているのか? その理由を探るため、僕は岩瀬さんの地元でもある愛知県岡崎市に向かっていました。

なんでもこの岡崎市で、岩瀬さんも企画に携わっている「食」と「音楽」のエンタテインメント・イベント「EATBEAT!」が開かれるらしいのです。

 

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料理の調理音をその場で録音・編集し、楽曲にするライブパフォーマンスが繰り広げられる「EATBEAT!」。もちろん調理した料理はその場で食べられる。五感すべてで楽しむことのできるイベント

2017年の森、道、市場内コンテンツとしても開催され、大盛り上がりだった「EATBEAT!」。今回は森、道、市場ゆかりの方たちを中心に完全招待制での開催です。

穏やかな気候の中、岡崎城やゆるキャラ・おかざえもんで有名な岡崎市東岡崎駅に降り立ちました。

 

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岩瀬さんたちとの待ち合わせ場所は、岡崎城も目の前の乙川(おとがわ)河川敷。

着いたらおっしゃれな人たちがテントを囲んでいて、ここから始まる「EATBEAT!」および前夜祭のための食材の仕込みや設営準備が行われていました。

 

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完全招待制だけあって、主催者と参加者の距離がとにかく近い。みんなで作るイベントといった空気がやわらかく広がっていて、大人の文化祭感がありました。

 

手が空いた人は自家製のジュース(写真左上。レモンとジンジャーがトロトロなのにスッキリしてて最高に美味)を飲みつつ、乙川クルーズを楽しむ。ゆっくりと自己紹介するような間もなくコンテンツが押し寄せます。

 

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夜は会場を移して、「EATBEAT!」前夜祭。

 

全員、「食」へのこだわりが強い料理人ばかりなので、「食べる側」と「作る側」が瞬く間に入れ替わって、とても賑やか。

盛り付けもオシャレながら、食材も岡崎市で採れたもので作られた前菜や、生地をこねるところから見せたり、体験させたりしながら作るピザや蕎麦。「食」ってこんなにエンタメ性があるものかと、ビビりました。

 

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そしてこちらのお二方が、「EATBEAT!」主催のヘンリーワークさん(左・音楽担当)と堀田裕介さん(右・食担当)。

「今日はあくまでも前夜祭ですよ」と改めてアナウンスされるほどの盛り上がり。一体なんなんだ、「EATBEAT!」!

 

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ちょうどいい加減にお酒も入ったところで、数名の方に「皆さんから見た岩瀬さんって、どんな人?」という質問を投げかけてみました。

 

 

森道1年目から出店している長尾さんから見た「岩瀬さん」

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まずお話を伺うのは、石窯を積んだ車で移動販売を行う「石窯 in car pachipachi」の長尾晃久さん。長尾さんが石窯で焼いたピザは絶品です。

 

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「長尾さんは『森、道、市場』(以下、『森道』)の第1回から出店されているんですよね?」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「そうですね。しかも、僕が個人でお店を出したのも、森道が初めてだったんですよ」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「じゃあ、お互いに実績がないところからだったんですね。声をかけたのはどちらから?」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「一応むこうから誘ってくれたのかな。でも、間に合うか最後まで怪しかったのを覚えています。保健所から営業許可が下りたのも、森道本番の二日前。寝ずに本番を迎えました(笑)」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「すごいスピード感!」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「初回からずっと出ているとなると、変化していった森道についての思いなどもありますか? 」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「いや、それはないかも(笑)」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「ないんですか(笑)⁈」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「僕みたくワンオペ気味の店はとくにそうだと思うんですけど、出店者ってほかのお店やステージを見る余裕がほとんどないんですよ。第1回から全部出ていますけど、会場を回れたのは第2回だけだった気がするなぁ」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「厳しい!」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「あとはずーーーーっと店のブースにいて、抜けるときはトイレに行くときくらいですもん。他の時間は仕込みとかがあるから」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「想像以上にシビアな世界であることがわかりました」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「長尾さんから見て、岩瀬さんってどんな印象がありますか?」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「第1回から感じているのは、“やさしい”。それは話している雰囲気もそうだし、出店者への気遣いとかでたびたび感じます。出店料とかも、この規模のフェスにしたらめちゃくちゃ安いんですよ。そういう利他的な配慮を利かせられるところかなあ。まあ、話は通じないんですけど

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「え! 通じないんですか(笑)!」

f:id:tmmt1989:20180211162129p:plain「うん(笑)。なんか『お互い言ってることわかってねえな』って思うときとか、結構ありますよ。でも、なぜか仲はいい。冷静に考えると不思議でしょ? そこが岩瀬さんの魅力だし、やっぱり人にやさしいんだろうなあって思います

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「なるほど、確かに不思議な関係性ですね……。ありがとうございました!」

 

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3年前から交流がある堀田さんから見た「岩瀬さん」

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続いて、2年前から森道に参加し、激ウマな文化干しの鯖「もの凄い鯖」を販売している堀田幸作さんにも話を伺ってみました。

 

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「堀田さんは、いつから岩瀬さんとつながりがあるんですか?」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「2015年にミコト屋っていう“旅する八百屋さん”のお手伝いで初めて森道に参加させてもらって、そこで岩瀬さんを紹介されました。翌年からは、僕がやっている『もの凄い鯖』の名前で出店させてもらっています」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「堀田さんから見て、森道を支える岩瀬さんって、どんな人だと思います?」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「んんーー、岩瀬さんっていうか……」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain『モリミチ』を語るなら、岩瀬さんと山田さんのふたりセットじゃなきゃ、って感じっすよね

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「山田さん……?」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「そう。岩瀬さんと山田さん、ふたりでやっているイメージが強いんですよ、森道は」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「ナルホド……?」

 

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こちらが山田さん。たしかに岩瀬さんとよくコミュニケーションを取っていた気がする……。

 

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「ふたりがいつからタッグ組んでるのかわからないですけど、『すげえ!』って思うことがあって。森道も今日の『EATBEAT!』も参加人数が多いし、準備しなきゃいけないこともめちゃくちゃあるじゃないですか。それなのに、このふたりは当日になっても、あんまりピリピリしていないんですよね

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「たしかに、今日も50人近く参加してるのに、余裕そうですよね?」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「僕だったら、森道みたいに規模の大きいイベントの運営をやると、ナイーブになりそう。でも岩瀬さんたちは、そういうのを一切感じさせないんですよ。そういった余裕を見せるオーラを持っていると思います」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「あと、『コミュニティづくり』とか『プラットフォームづくり』って言う人結構いるけど、僕はそういう言葉、しっくりこないんですよね。それって作るものか? って思っちゃう。でも、岩瀬さんは『おもしろいこと、やろう』って感覚で動いて、『そのときにこの人いたら、楽しそうだよね』って基準で声をかけて集めているんじゃないかな~。たぶんあれ、責任取ろうとしてないんですよ(笑)」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「そうなんですか??」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plainノリで動いて、なんならその後、言ったこと自体忘れてるときもあると思うんです。でも、その軽さに多くの人が巻き込まれちゃうんだと思うし、距離感もちょうどいいんだと思います」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「なるほど」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「今日の『EATBEAT!』もこれだけのメンバーが集まったけど、『今回の趣旨ってなんだっけ?』とか『なんのためにやってんだっけ?』とか、実はみんなわかってないんだよね(笑)。で、それぞれが勝手に料理したり行動したりしているのに、なぜか一体感が出て盛り上がっている。これが自然にできてるのが、すげえんだよな~」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「自然体で熱狂を生んでいるんですもんねえ」

f:id:tmmt1989:20180211162418p:plain「そうそう。誰にも強制しないし、『こうじゃなきゃいけない』みたいなものがない。そのうえ、『おれたちカッコいいよね~』って見栄もないんですよ。それがかっこいいよね」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「たしかに、自然体で、“カッコつけないのにカッコいい”のが、一番カッコいいですもんね。ありがとうございました!」

 

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お二人に話を聞いて浮かび上がってきたのは、岩瀬さんの“距離感”が絶妙であること。

一体感をあえて散らして、全員を主役にさせる。そんな仕組みが自然とできているのが、岩瀬さんをカリスマ的な運営者にしている理由な気がしてきました。

 

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そんなインタビュー含め、豪華な食材と料理人によるぜいたくすぎる前夜祭は深夜2時近くまで続きました。(酔っていて記憶が曖昧)

 

そしてとうとう、EATBEAT! 当日へ!!

 

 

そして始まる、最高すぎる2日目

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2日目は乙川で豪華なバーベキューからスタート。天候は微妙だけれど、ずっといい匂いがしています。

 

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出てくる食材もすごい。豚とイノシシの合いの子を、下北沢の有名店サーモンアンドトラウトの森枝シェフが調理してました。どんだけ豪華やねん。

 

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「EATBEAT!」主催のヘンリーさんはチョーク・アーティストでもあり、彼のライブペインティングも。おしゃれな看板がたちまちできあがる快感。

 

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そして徐々に日は沈み、EATBEAT!本番がスタート!

 

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会場は本当に岡崎城の真下。どんな交渉をしたら、お城の敷地内でミラーボールやDJを回して、石窯まで置く許可を取れるのだろう?

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ちなみに岡崎城の天守閣に登ったら、きちんとおかざえもんもいました。その人件費はどこから出ているんだ~~!!!!

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改めて、EATBEAT!主催の堀田さんとヘンリーさんによるイベント説明。

EATBEAT!は、野菜を切る音、煮る音、炙る音、いろんな調理音と食べる音をサンプリングして、それをもとにBGMを作っていく“食べるエレクトロニカ”。

 

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たとえばニンジンをみんながかじる音をサンプリングしたり、

 

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調理する音をそれに重ねたりしていくわけです。
音楽と食が相互に高めあっていく感じ、めちゃグルーヴ感あってノれる。

 

 

 

「モリミチ」を初期から支えてきた“もう一人の主催者”山田さんから見た岩瀬さん

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そんな盛り上がりを見せるイベント中、しれっと話を聞いてみたのは、岩瀬さんとこれまで二人三脚で森道を作ってきた山田さん。インカムで常に色んな人ととやりとりしてとても忙しそうでしたが、話しかけたら時間を割いてくださいました。

 

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「いろんな方に話を聞いていたら、山田さんと岩瀬さんってコンビが超大事だってことになったんですけど」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「ああ、人材がいないって課題でもあるんですけどね(笑)」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「どういったところからおふたりの関係が始まったんですか?」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain僕、一回目の森道にはお客さんとして行ったんですよ。行ったというか、辿り着けなかった」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「辿り着けなかった? 森道の会場に??」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「そう。想像以上の来場者数で、大渋滞が起きたんです。その中に、僕がいたんですよ。大多数のクレームが来ているのを、めっちゃ見ていました」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「じゃあ最初は、お客さんと運営者の関係だったんですね。何がきっかけで一緒にやるようになったんですか? 」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「森道とは違う集まりで偶然一緒になったんです。僕は東京から帰って来たばかりで、東京ではバンドをやっていたから音楽関係の知り合いが多かった。そのツテで、第2回の森道からアーティストブッキングをやるようになったんです」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「じゃあ、山田さんがいなかったらアーティストはここまで豪華じゃない?」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「うーん。人生に『たら・れば』はないと思うんですけど、岩瀬さんが当初、そこまで音楽に精通してるわけではなかったかもしれない。今はブッキングに他の人も絡んでるから、住み分けは曖昧になってきてますね。いい意味でのねずみ講みたいに、関わる人それぞれの繋がりで、自然に広がっている感じです」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「なるほど、そこをお二人が『二人三脚』で支えていると」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「岩瀬さんとの関係でいうと、住む場所がすぐ近くになったのも大きいかもしれません。僕が引っ越した場所の目の前に、いい感じの物件が空いていたんですね。その時ちょうど岩瀬さんも独立して事務所を探していたので、そこを紹介したんです。そこからは、会えば森道の話をするようになりましたね

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「じゃあ、『一緒にやろうよ』とか言ったわけではなく、自然とふたりでやるように……?」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「うん。気付けば一緒にやってたから。たぶんそれは皆同じで、やらされ感もないし、かといって『俺すげーやってるぜ!』って感じもないんです。たぶんそれが、あの人の魅力なんすよ。出店者もそうだけど、『森道最高!』って人も、『森道ってなんだろ?』くらいの人も、よくわからないうちにすっごい仲良くなってんの

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「ああ、それは、今日の岩瀬さんを見ていてもイメージがわきます」

 

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f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「森道のサイトとかコンセプトの文章は僕の方でなんとなく文章化したんですけど、あれも、場の雰囲気とか距離感という視点を大事に作っています。じゃあ僕と岩瀬さんの距離感ってどんなものかって言うと、それもすごい独特で」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「いつもべったり一緒ってわけじゃないんですか?」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plainこれだけ近い距離にいるのに、連絡を取らないときはまーったく取らないし、会わない。でも、いざ連絡を取り始めると一日何十通のメッセや電話でのやりとりをしたり、晩ご飯を一緒に食べたり。その変な間合いこそ、森道の距離感なのかも。どちらも気負わず、ラクなところにあるんですよ、きっと」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「ああーーー! それ、めちゃくちゃわかります! 2017年の森道に参加しましたけど、客の目線からでも押し付けてくるものがなかった気がします」

f:id:tmmt1989:20180211162804p:plain「そうそう。岩瀬さんも同じで、あの人は、『働く』とか『遊ぶ』とか『人と時間を過ごす』ってことに対して、全部子供みたいに正直な感覚でいるんですよ。自分が好きな方向に走るんだと思います。それが、岩瀬さんの独特な空気と距離感を生んでるんじゃないかな」

f:id:tmmt1989:20180211162117p:plain「なーるーほーどー! ありがとうございます! なんだかいろいろ見えた気がしました。勉強になりました!!」

 

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おわりに

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こうして、EATBEAT!と岩瀬さんについての取材を終えました。

 

3万人の熱狂を生んだフェス「森、道、市場」。その運営者である岩瀬さんを紐解いていってわかったことは、岩瀬さんのカリスマ性の要因は、“自然体で生まれる距離感”と“押し付け・やらされ感のなさ”にあるのだと思えました。

 

暑苦しくもなければ、そっけなさもない。
とはいえ、期待していることは伝え、それでも、強要はしない。

 

言葉にするとカンタンなようにも聞こえますが、生き方・人との関わり方としてこれを続けるのはかなり難しい。それを本能的にやってのけているからこそ、岩瀬さんが多くの人を惹きつけ、巻き込めているのではないかと思いました。

 

最後に、岩瀬さんご本人からちらっと伺った、もっとも『岩瀬さんと森道』らしすぎるエピソードをお伝えして、本記事を終わりにしたいと思います。

 

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f:id:tmmt1989:20180211163128p:plain「森道では、出店者が搬入する駐車場の入口の誘導係を、僕と山田のふたりでやっているんですよ(笑)。これ、ほかのフェスではありえないと思うんですけど、僕らはそのタイミングでないと、全出店者と会える機会を作れないから。

一年に一回、「森道」でしか会えない人たちもたくさんいるから、そのために開いているくらいの気持ちもあります。そこで『あー車変えたんや』とかちょっと話すだけでも、なんかつながりって続くし、その環境って、めちゃくちゃいいと思うんですよね」

 

 

最高すぎる主催者の、最高すぎるイベント、「森、道、市場」。
2018年は5月11〜13日に開催です! 今年も、楽しみだー!!!!

  

森、道、市場

開催日:5月11日(金)〜13日(日)

会場:大塚海浜緑地(ラグーナビーチ)&遊園地ラグナシア&? @愛知県蒲郡市

●出演アーティスト
OGRE YOU ASSHOLE / okadada / ORIGINAL LOVE / GRAPEVINE / KEITA SANO / 国府達矢 / 小西康陽 / 坂本美雨+haruka nakamura / John John Festival / 砂原良徳 / SPECIAL OTHERS ACOUSTIC / DAVE CROWE / トクマルシューゴ / tricot / 七尾旅人 / BAD HOP / 般若 / fhána / フレデリック / PES / Polaris / mabanua / yonige / Ryu matsuyama / ASIAN KUNG-FU GENERATION / 大沢伸一 / 大橋トリオ / Otto & Orabu / odd eyes / odol / 漢 & D.O×DJ BAKU / キュウソネコカミ / 小嶋ケイタニーラヴ / Salyu / 水中、それは苦しい / 水曜日のカンパネラ / tofubeats / 蓮沼執太フィル / 石野卓球 / UA / 掟ポルシェ / くるり / Base Ball Bear / BOREDOMS / 吉澤嘉代子 / Licaxxx and more…

http://mori-michi-ichiba.info/

  

☆そして、今年の森道にジモコロが出店します!

その名も「ジモコロの家飲み」(5月12日の昼ごろ〜13日の夕方までを予定)。

編集部おすすめのお酒とおつまみをテントで一緒に楽しみましょう! ジモコロの女子ライターたちや編集長の柿次郎がおもてなしします。会場でお待ちしています!

 

書いた人:カツセマサヒコ

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1986年東京生まれ。下北沢の編集プロダクション・プレスラボでライター・編集者経験を経て、2017年4月より独立。 広告記事、取材記事、コラム、エッセイ、Web小説等の執筆および、 メディア運営・企画・取材・編集・拡散等の領域で活動中。趣味はtwitterとスマホの充電。Twitter→@katsuse_m


【まとめ】知って備えよう!ジモコロの「災害」記事12選

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こんにちは、ライターの友光だんごです。

ジモコロはもうすぐ丸3年を迎え、総記事数は500本近くに到達しようとしています。すべて読んだよ!という人は筋金入りのジモコロファンですね。

 

どれも精魂こめて作った記事ばかりなので、見逃した過去の記事もぜひ読んでいただきたい……ということで、これからカテゴリ別に記事をまとめ、改めて紹介していきます。

(編集部も「そんな記事あったっけ?」と検索せずに済むという裏事情があるのは内緒です)

 

第1弾のテーマはこちら!

 

 

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もうすぐ3月11日。あの東日本大震災から丸7年の時を迎えます。

震災の被災地を応援したい、「もしも」の時のための知識を紹介したい…そんな想いでジモコロで発信してきた、災害にまつわる12本の記事を紹介します。

 

改めて東北や九州のことを考えたり、自宅の備えを見直したりするきっかけにどうぞ!

 

 

現地に行ったからこそ、自分の目と耳で感じられること

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ライターのヨッピーさんが取材したのは福島県南相馬市で開催されるお祭り「相馬野馬追」

地元の人が一年間ず〜っと準備し続け、開催期間中になると完全に浮かれ始めるというこのお祭り、どんな内容かというと……

 

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武士の格好をした人たちが馬に乗って爆走!

その数、なんと500騎。

 

1000年続くというこのお祭りですが、震災のあった年には馬が半分の数しか集まらず、存続の危機に直面していました。

しかしその後、震災前の水準にまで復活。地元の人たちにとってはまさに復興のシンボルなのです。

 

それにしても、この記事の「日本の田舎の夏」感はたまりません。

 

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青々とした田んぼと白い雲!

 

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みずみずしい桃をガブリと丸かじり!

ヨッピーさん、なんて美味しそうな顔でしょう。

 

「福島の自然、最高だな…遊びに行きたい…」とシンプルに思うこと間違いなしの内容です。

 

 

次は、震災の爪痕の大きさを感じさせられる2本を。

 

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バーグハンバーグバーグのかんちさんの実家は、福島第一原発の事故により避難指示区域となった福島県南相馬市の「小高地区」。

 

住民が全て去らざるを得ない状況となり、一度は「人口ゼロ」になった町でしたが、5年4ヶ月を経て避難指示が解除されることになりました。

そんな地元を、かんちさんが尋ねます。

 

実際にかんちさんが撮影した当時の小高地区の映像がこちら。学校やスーパーなどの商店がまだ再開されておらず、住民の姿もまばらです。

 

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しかし、そんな町に活気を取り戻すべく活動する人も。コワーキングスペースや仮設スーパーを作る取組みを紹介しています。人が戻ってきて、生活するための拠点整備に尽力する和田智行さんに、記事の中で話をうかがっています。

 

突然の災害で変わってしまった地元。でも、絶望的な状況にも負けることなく「この町はリアルシムシティなんです」と話す和田さんの笑顔に、人間の力強さを感じました。

 

 

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そして、ジモコロ編集長の柿次郎がいつになくシリアスな表情で訪れたのは、岩手県宮古市の田老地区。東日本大震災の「津波」で甚大な被害を受けた土地です。

 

 

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取材をしたのは、  現地で語り部として活動している小幡実さん。

自身も家族を津波で失った当事者だからこその重い言葉で、当時の心境、そして津波の恐ろしさについて語ってくれました。

 

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震災の被害は途方もなさすぎて、我々は「何ができるのだろう?」とただ途方に暮れてしまいがちです。

ですが、少なくとも現地へ行って自分の目と耳で感じ、考えることはできる。まずはそこから始めてみるのがいいのではないか。そんな風に記事を読んで感じました。

 

 

大変な状況でも腹は減る。

ちょっとここで一息、おいしそうな料理の写真でも見ませんか。

 

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こちらの料理、被災した時でもおいしいご飯を食べるためのコツが詰まった一皿なんです。

 

例えば、

・餅は保存がきき腹持ちもいいので備蓄におすすめ

・被災時の調理にはカセットコンロが便利。操作が簡単だし燃料も手に入りやすい

・洗剤なしで洗える鉄のフライパンが◎

・洗い物を減らす(断水の場合)のため、さらにラップを敷く

などなど…。

 

こうしたコツを教えてくれたのは、熊本地震で被災しながらも「被災飯テロ」なるTwitterのハッシュタグで話題となった悪魔ことDark=Kochangさん

 

「しんどい状況だからこそ、美味しいものを食べよう」というポジティブな姿勢がすごい。 

 

 

実際に体験したからこその知見が詰まった内容はめちゃくちゃ勉強になります。僕は記事を読んだ後、カセットコンロと備蓄用の餅を買いにスーパーへ走りました。

 

 

熊本を支援するため100人が自腹で乗り込んだ!

ジモコロ2年目の2016年4月に発生した「熊本地震」。

「自分に何かできることはないか?」という想いを抱え、漫画家のカメントツさんと柿次郎編集長は、地震発生から数週間後に現地へと飛び込みました。

 

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漫画で描かれるのは、熊本で目にした光景へのカメントツさんの正直な想い。だからこそ、読者である我々の胸に強く突き刺さってくるものがあります。

 

そして、取材の中で聞いた「熊本県にある黒川温泉では震災から約1ヶ月で10億円もの損失が出た」という話をきっかけに、一大プロジェクトが立ち上がります!

それは…

 

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熊本の現状を知り、現地の観光に貢献すべくみんな黒川温泉に行こう!という「ジモコロ熊本復興ツアー」。

現地にお金を落とすべく、参加者は全員自腹です。ライター・編集者・クリエイターなど総勢117人が集まり、2016年7月3〜4日の二日間にわたって黒川温泉へと集合。現地のリアルな姿をSNSなどを通じて発信しました。 

 

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参加者一同が声を上げて感動した、阿蘇山が生み出すカルデラの絶景。

 

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そして、地元の方々の手厚いおもてなし!

 

参加者が思う存分楽しんだ上で、きちんと地元にお金が落ちる。そして現地の正しい姿を全国に伝えるというこのツアーは、誰にとっても気持ちいい、最高のプロジェクトだと思います。

 

ツアーに参加したライターの和久井香菜子さん、バーグハンバーグバーグの山口むつおさんによる体験レポート記事も。

 

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楽しさしか伝わってこない、なんて最高な笑顔!今年の夏は黒川温泉へ行ってみようかな。 

 

 

被災地の旅館の見えない戦い

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先ほどのツアーでもそうですが、ジモコロでは「被災地の声を伝える」ことを心がけていました。

ライターの長谷川リョーさんは、柿次郎編集長とともに熊本県・阿蘇にある老舗旅館「蘇山峡」館主・永田祐介さんを取材。

 

平成24年の九州北部豪雨、2016年の熊本震災、そして阿蘇山の噴火…と度重なる自然災害にみまわれた「蘇山峡」。

しかし、そこからの復活を実現した「元通りの100%に向けた”復旧”ではなく、120%をの”復興”を目指す」という永田さんの攻めの経営論は必見です。

 

 

さて、災害に備えるには「防災」の知識も必要ですよね。ということで、最後に平時から覚えておきたい防災ネタの2本を紹介します。

 

 

日頃の備えが肝心です!

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 「防災ガール」として、カジュアルな視点で防災意識の向上に取り組む田中美咲さんに取材したこちらの記事。

「地名には昔の人の『ここは災害が起きやすい土地だよ!』という想いが込められている」という話は驚きでした。

 

僕の住んでいる町には「丘」がつくのでひとまず安心しましたが、油断は禁物。押入れに放り込んだっきりになっている防災袋の中身を確認しました。

 

 

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熊本地震の後で話題になったのが「車中泊」。避難時にプライバシーを保てる空間として活躍する車ですが、その中で寝るとなると足は伸ばせずシートは凸凹ばかり……上手に寝るにはちゃんとしたコツが必要です。

そこで、車中泊専門誌『カーネル』編集部をライターの根岸さんが取材。

 

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1番のコツは「水平」です。狭い車の中でいかに水平を作るかを覚えておけば、もしもの時にきっと役立つに違いありません。

 

ちなみにこの記事、取材を受けているのはこの僕です。それがなぜか今こうしてジモコロの記事を書いているわけなので、人生何が起きるかわかりません。

 

低レベルな例えをしましたが、同じように災害もいつ起きてもおかしくないのです。

平時から災害について知ろうとし、備えておくこと。それこそ、私たちができることなのだと思います。

 

それでは、次のまとめ記事でお会いしましょう!

 

 

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。インタビューと犬とビールが好きです。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp

風評被害3億円!? 草津温泉に100人集めて、自腹で情報発信しよう!

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。

皆さん、2018年1月23日に発生した群馬県にある草津白根山・本白根山の噴火を覚えていますか?

 

事前の火山活動の動きを観測できなかった「予想外」の噴火。火口近くのスキー場で犠牲者を出してしまいました。

 

草津白根山から約5キロメートル離れた草津温泉では、噴火による直接の被害はなかったものの、直後に宿泊予約のキャンセルが増加。

風評被害による被害額は推定で3億円とも言われています。

 

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草津温泉といえば、日本を代表する温泉地の一つ。そのピンチにライバルである大分・別府温泉が出した粋な広告も話題になりました。

 

 

噴火から1ヶ月以上経ち、マスメディアによる報道も随分と落ち着いてきました。しかし、関心が薄れてしまいそうな今こそ、メディアとして何かできることがあるはず!

 

そこで今回「ジモコロ草津応援ツアー」と題したプロジェクトを行います!

 

  

 みんなで草津温泉に行って楽しみ、現地の情報を発信しよう

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日時:2018年4月1日(日)〜2日(月)

場所:群馬県草津町 草津温泉

https://www.kusatsu-onsen.ne.jp/

参加費:自腹

必要なもの:気持ち、お金、SNSアカウント

 

参加者全員で一つの宿に泊まり、4月1日の夜に大宴会を開催します。その他は各自で温泉に入ったり観光を楽しんだりと自由!

 

・草津温泉を全力で楽しみ、地元にお金を落とす

・現地の実際の姿をSNSで発信する(ハッシュタグは #ジモコロ草津応援ツアー)

 

目的はこの2つだけのシンプルなツアーです。

 

 

なぜジモコロが応援するの?

さて、とはいえ「なぜジモコロが草津を応援?」と思う方もいると思うので、ここで簡単に経緯を説明させていただきます。

 

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ジモコロでは、熊本震災後の2016年7月3日〜4日に

「熊本の正しい現状を伝え、現地の観光に貢献すべく皆で黒川温泉に行こう!」

というコンセプトの元「ジモコロ熊本復興ツアー」を開催しました。

 

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参加したのはライター・編集者・クリエイターなど総勢117人。全員自腹です。

 

現地ではそれぞれがSNSでツアーの模様を発信し、Twitterで「#ジモコロ熊本復興ツアー」がトレンドワード入り。現地の方達の協力もあって、大きな反響を呼びました。

 

そして、あれから約1年半。白根山の噴火からしばらくして、僕の元にあるメッセージが届いたのです。

 

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そして追いかけるようにもう一言。

 

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このメッセージの送り主は、群馬県桐生市でアウトドアショップ「Purveyors」を経営する小林宏明さん(通称コバさん)。僕にとっては頭の上がらない先輩です。

 

そんなコバさんが地元の役所や市議会議員の方達と「草津のために何かしようぜ!」と立ち上がり、僕の元にも協力要請が届いたのです。

 

たしかに熊本でやって、草津でやらない理由はありません。しかも熊本に比べて東京からのアクセスもよく、前回以上に人を集めやすいはず。これはやるしかない。

 

そしてもう一つ、今回のプロジェクトにおける僕なりの考えがありました。

 

 

今後、日本で起きるであろう災害時に動けるチームを作りたい

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「ジモコロ熊本復興ツアー」で感じたのは、何か起きた時に現地に乗り込み、情報発信することの大切さです。

マスメディアだけでは拾いきれない現地の声がある。また、センセーショナルな災害イメージだけが先行し、その後の適切な報道がされない課題にも気づきました。小さなメディアでも情報発信の火付け役にはなれるはずです。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kakijiro/20160721/20160721002915.jpg

そして、より迅速で、よりわかりやすい情報発信のためには仲間が必要です。

 

自然現象である災害は、この先も日本のどこかで必ず発生するでしょう。

そんな時にすぐさま動ける情報発信のための「チーム」を作れば、今後のために役立つのではないか? そんな風に考えています。

 

編集者・ライターだけでなく、映像やデザイン、イラスト、音楽など、幅広い職種の人が集まれば集まるほど、より強いチームができるはず! 

 

 

ツアーの決め事は最小限!

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群馬県のプレイヤー、高崎市&前橋市の市議会議員、草津観光協会の方々と話し合った結果、ジモコロ草津応援ツアーの決め事は最小限にさせていただきました。

 

・4月1日(日)に現地集合

→魅力は東京からのアクセスの良さ。東京駅からは北陸新幹線で軽井沢まで行き、そこからバスを利用して約2時間半〜3時間で到着です。レンタカーのあいのりでも約3時間ぐらい。

お昼に東京を出ても夜の宴会には余裕で間に合います。なんなら日帰りだってOKです。なぜなら翌日は月曜日だから…。こちらの都合ですみません。

 

・スタート地点で手ぬぐいをゲットし、湯巡り体験

→草津温泉に到着したら、湯巡り手形用の手ぬぐいをゲット。無料の公衆浴場を自由に回って心ゆくまで温泉を満喫してください!

 

・夜は宿で大宴会!

→100人以上が集まれる会場を手配中です。現地の人も一緒に、美味しいご飯とお酒を楽しみましょう!

 

・SNSやブログで情報発信

→これが一番大事!

 

・純粋に楽しみましょう! 

→自分たちが全力で楽しんで、その結果として現地にお金が落ちることが目標です! 

 

ツアー詳細についてはFacebookのイベントページ(非公開)で随時連絡していきます。

 

基本的には知り合いがメインになりますが、「このイベントに参加したい!」というライター、編集者、ブロガー、クリエイター、メディア関係者、アーティスト、ローカルの活動をしている方々などなど…「参加したい!」という方は申し込みフォームからご応募ください。

 

知り合いの方はSNSアカウント経由でお気軽にどうぞ!

 

 

最後にコメントを紹介します 

●Purveyors 小林宏明

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群馬に来てたかだか1年の僕ですが、群馬の素敵な人たちに出会えたことで生まれた群馬愛をこの草津応援ツアーに表現できればと思ってます。わいわい楽しみ!

ーーーーーーーー  

 

●桐生市役所 小林正人

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草津良いと〜こ 一度は〜おいで〜♪

お湯の中だけでなく、街にも花を咲かせましょう! 温泉のように熱いハートの群馬県民が当日皆様にお会い出来る事を心待ちしております。

ーーーーーーーー 

 

●高崎市議会議員 清水明夫

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仲間が困っているときに、自分ごととして自然と立ち上がろうとするのが、義理人情を大事にしてきた我々群馬県民のDNAです。と、立ち上がろうとしてみたは良いものの、草津の実態は、今日も穏やかだそうです。ただただ、楽しく、草津を満喫し、草津のありのままを発信できれば、何よりです。

 ーーーーーーーー 

 

●前橋市議会議員 岡 正己

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いろんなランキングで常に最下位付近の群馬。そんな群馬の中でひときわ輝くトップランナー草津。世界に誇れる草津。このツアーはきっかけだと思います。群馬のことを思って集まる人たちと、群馬を感じ交流することで、群馬への熱い想いが集まることで新しい何かが生まれるはずです。そんな期待を込めて気軽に楽しく草津に集まりたいです。みんなで群馬の明るい未来を創造していきましょう。

ーーーーーーーー 

  

●草津温泉観光協会 福田俊介

今回、非常にありがたいお話をいただいたと思っています。現在はスキー場も草津の温泉街も、今まで通りに何も変わらず営業しています。日本でも有数の大きさの露天風呂「西の河原」や湯畑のライトアップ、湯もみと踊りショーなど、見所も満載です。ぜひ思いっきり草津温泉を満喫して、リアルな姿を発信していただけたら嬉しいです!

ーーーーーーーー  

 

この記事を見て共感いただいた方は、ぜひSNSでのシェアにご協力いただけると嬉しいです。

それでは皆さん、4月1日に草津温泉でお会いしましょうー!!!

 

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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株式会社Huuuu代表取締役。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材したり、ローカル領域で編集してます。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学など Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916 Mail: kakijiro(a)gmail.com 

「ひよこ鑑定士が儲かる」というのは嘘!? ベテラン鑑定士に真実を聞いた

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こんにちは! ライターの社領エミです。

 

みなさん、ひよこ鑑定士という職業をご存知ですか?

 

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私もよくは知らないのですが、ひよこ鑑定士とはひよこのオスとメスを鑑別するお仕事だそう。

家畜である鶏は、オスとメスで違った育て方をするため、生まれたてのうちに雌雄を鑑別してよりわける必要があります。ですが、ひよこの見分け方って超難しい……!

その見分け方を熟知し、オスとメスを的確に鑑定してより分けるお仕事がひよこ鑑定士と呼ばれるらしいのです。

 

世の中にそんな仕事があったとは! と驚きなのですが、驚くべきはその収入!

 

一説では、弁護士より稼げるんだとか……!?

 

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ま、マ〜〜〜ジで〜〜〜!?!?

ひよこのオスとメスを分けるだけで、弁護士より稼げる!? そんな素敵なコトってあるの……!?

誰か! この仕事の詳細を、詳しく教えてくれ〜!

 

 

というわけで一路、愛知県の高浜市へ!

 

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今回お話をお伺いするのは、ひよこ鑑定士の神谷佳臣さん。ひよこを鑑別して25年のベテラン鑑定士さんです。

 

ひよこ鑑定士ってどんなお仕事なの?

本当に稼げるの……!?

 

『知られざるひよこ鑑定士の秘密』について、ジャンジャンお聞きしたいと思います!

 

「ひよこ鑑定士」って、どんなお仕事なんですか?

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「神谷さん、今日はよろしくお願いします! ひよこ鑑定士ってどんなお仕事なんですか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「よろしくお願いします! そうですね、まず『ひよこ鑑定士』っていうのは間違った名称で、正しくは『初生ひな鑑別師』です。仕事の内容は、ひよこのオスとメスを分ける、ほとんどそれだけ

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「えー! ほんとにそれだけなんだ!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「はい。卵をふ化させる『ふ化場』でオスとメスを鑑別します。ケースに入ったひよこさんが山盛りいるので、それをひたすら鑑別するという感じですね」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「結構シンプルな仕事ですね……! ひよこのオスとメスはどうやって見分けるんですか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「ああ。それはね、実物をお見せしますよ」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「え!? ひよこ、今日いるんですか!?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「いますよ、ほら。名古屋コーチンの雛です」

 

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▲ひよこさんだ〜〜〜!!

 

f:id:emicha4649:20180302164901p:plainうおお、ひよこだ〜〜〜!!!生のひよこなんて初めて見ました! めちゃめちゃ動く!! ピヨピヨ鳴いてる!!」

 

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▲寄り添ってうとうとしてるヒヨコちゃんもいます……。可愛すぎるやろ!!

 

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▲ひよこが入っているケース、よく見たら「ヒヨコ」と書いてあります。ふ化場にはひよこが沢山詰まったこのケースが山積みだそう。

 

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「鑑別方法は鶏の種類によっても変わってくるんですが、僕たちは主に肛門鑑別という手法を使っています」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「こ、肛門……!? ひよこさんの!?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「そうです。ひよこさんのお尻の穴を見て、その形でオスかメスかを判断するんです」

 

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▲えんぴつで指した先、赤い粒がひよこの肛門です。直径2〜3ミリくらいで、めちゃめちゃ小さい!


f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「こいつはオスですね」

 

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f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「わー、突起があるんですね!なるほど、オスの肛門はこんな感じなのか」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「はい。で、メスはこんな感じ」


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f:id:emicha4649:20180302164901p:plain……一緒ちゃいます!?

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「いやいや、結構違いますよ! オスの突起はほら、光沢があって、芯が中に一本入ってる感じがするでしょう。メスの突起は細長くて、赤みがぼやける感じというか……」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「さっぱりわからない……! 鑑別、めちゃめちゃ難しいじゃないですか!!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「これを実際に鑑別していくと、こんな感じですね」

 

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f:id:emicha4649:20180302164901p:plain早すぎるでしょ〜〜〜!!

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「一般的なひよこの鑑別なら、1時間に1000羽以上、だいたい3.5秒に1羽以上のペースで鑑別しています」

 

どうやって、ひな鑑別師になるの?

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「ひな鑑別師って、どうやったらなれるんですか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「まず、『初生ひな鑑別師養成所』という学校に入って5ヶ月間勉強をします。それからふ化場で実践を積んで、試験を受けて、受かって初めて資格が取れる感じですね。全部で1〜2年くらいかな」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「鑑別師を育てる学校があるんだ!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「はい、小さな学校ですけどね。助成金の問題で、年間数人しか受からないんです」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「狭き門なんですねぇ」

 

ひな鑑別師が儲かるって本当!?

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「さて神谷さん、今回一番聞きたい質問なんですが……。

ひな鑑別師って、めちゃめちゃ儲かるんですよね〜!?一説によると弁護士より儲かるとのことですが、実際どうなんでしょう!?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「……それよく言われるけど、嘘なんだよなぁ……

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「嘘!?」

 

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▲嘘なの〜!?


f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「いや、昔はわりと本当だったんですよ! 実際、僕の親の代とかは半年で家が一軒建つくらい儲けてましたし」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「いや、大富豪じゃないですか!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「そうなんです、でも僕らは全然。今は月に平均7日間働いて、収入は平均20万円くらいです」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「なるほど……って、月に7日? それって、単純にもっと働けばいいって話じゃなくて?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「いやそれが、中部地方のひよこ鑑別師の仕事がどんどん減ってきてるんですよ。 そもそも鑑別師って『ふ化場の都合に合わせて仕事が来る』っていう他力本願な職業なので、自分から仕事を増やすこともできなくて。僕は別で本業があるので、そこまで困ってはないですが……。

ただこの仕事、働く場所によっては全然稼げると思います。 国内だと岡山なんかは養鶏が盛んですし、ニュージーランドは世界で一番鑑別師が儲かりますよ!」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「え!? 海外でも働けるんですか!?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「もちろんですよ。ひな鑑別師の需要は、基本的に海外にあるんです。僕は20代の頃、イタリアで4年、ドイツで3年働いてました」

 

海外でのひよこ鑑別師のお仕事

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「ナポリで働いてた時は楽しかったですよ! よく晴れてるし、食べ物も美味しいし!」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「へ〜……! 神谷さんが、ナポリ……!」

 

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▲そう言われれば、ピッツェリアのシェフっぽさも感じるぞ!


f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「特にヨーロッパなんかは、農業先進国が多いからね。日本人のひよこ鑑別師が重宝されるんですよ」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「知らなかった……。しかし、どうしてわざわざ日本人の鑑別師が必要なんでしょうか? 海外に鑑別師っていないんですか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「というよりも、アジア人が必要とされてるかな。単純に欧米人は手が大きいからひよこ鑑別師になれないんですよ。手とひよこのサイズが合わない

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「そうなの!?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「実は、ひよこ鑑別師にとって『手が大きい』っていうのはかなりのデメリットなんです。大きいだけで作業のしやすさが全然変わってくるので。日本人でも、手が大きい方には不向きな職業ですね」

 

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▲神谷さんの鑑別の様子。確かに、神谷さんの手は小さくてひよこの収まりがいい!

 

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「ちなみに、海外ではお幾らくらい儲かったんでしょうか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「当時は遊ぶのに忙しくて、考えたこともないんですよね……。生活するのに困らないくらいは十分もらっていましたけど」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「そんなもんなんですねぇ。親世代とのギャップがすごい……!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「というか、うちらの親の世代は強烈に円安だったから儲かったんですよ。僕の代はちょうど、バブルが弾けてドカンと円高になった時期だから……」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「そうか。海外だから、経済の状況によって儲かるかどうかが変わるんだ」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「ただ、それとは関係なしに、海外での暮らしはすごく楽しかったですよ。シーズン中は物凄く忙しくて、ふ化場に20時間こもって2万羽のひよこを鑑別し続ける……みたいなヤバイ仕事もあったんですけど」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「に、2万羽!? え〜!? 想像がつかん!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「今はそんな仕事ないと思いますけど(笑)、 当時のイタリアは失業率が高かったから、雇い手が強くて。

でもイタリアって、夏と冬に1ヶ月半ずつバカンスを取るんです。そのために一生懸命頑張ってましたね。バカンスになったら、イタリア人たちのツアーに混じって旅行したりして……楽しかったですよ。一生に残る思い出です!」

 

高齢化が進むひよこ鑑別師

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f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「ただ、今は鑑別師のなり手が少ないのが現状で……。高齢化が進んでて、養成所もどんどん縮小してくから、面白い職業なのにもったいないなぁと思いますね」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「そうなんだ……。私自身、この職業があること自体全然知らなかったので、みんなに知られてないのかもしれないですね。ひよこ鑑別師に向いてる人って、どんな人なんでしょうか?」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「そうですねぇ。その場で何を求められているか、ある程度感じ取って仕事ができる人かな。ひよこってピンキリで、1羽100円のもいれば、ブランド鶏だと1羽数万円するものもあるんですよ。時間とノルマと求められてるクオリティを、きちんと見極められる人が向いてると思いますよ」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「うわー! 数万のひよこを見分けるの、プレッシャーすごそうですね……!」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「いやほんと、いまだに鑑別って難しいですからね! 同じひよこは二羽いないし、見分け方もどんどん変わってきたりもするので、とにかく必死。還暦を超えたような熟練のお師匠方でも、まだまだ『難しい、わからん』と言いながら鑑別されてます。

ただ、難しいから面白いんですよ。簡単なことは飽きるけど、難しいことって飽きない。僕はそういう意味で、この仕事が大好きです」

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「なるほどなぁ。それだけ長いことやってもまだまだ極められる職業って、貴重かもしれないですね。神谷さんは、今後も鑑別のお仕事を続けられるんでしょうか」

f:id:emicha4649:20180302164902p:plain「はい、今後も続けていきますよ。

また、鑑別師は海外でかなり人手不足で、特に日本人が必要とされてるんですよ。日本は鑑別師協会がしっかりしてて、一定のクオリティを保てる腕がいい人しか海外に送り出さないから。なので、もっと国内でひよこ鑑別師というお仕事をアピールしていきたいですね。

あと、海外で働くのって観光とは全く違って、面白いんですよ! その場に根付いて仕事をするので、その国ってのがわかってくる。汚い部分も見えてきたりして、島国にはない面白さがありますよ。海外で働いてみたいって人も、ぜひ鑑別師という仕事を視野に入れてもらえると嬉しいです!

f:id:emicha4649:20180302164901p:plain「いやぁ、ひよこ鑑別師のお仕事について色々知れてとても面白かったです……! 神谷さん、本日はありがとうございました!」

 

 

というわけで、ひよこ鑑別師さんへのインタビューでした!

 

みなさん、いかがでしたか? いや〜、世の中には知らない仕事がたくさんありますね……まさか、ひよこ鑑別師の需要が海外にあったなんて!

 

私たちが普段食べている鶏肉も、もとをたどれば鑑別師さんの鑑別を受けていると思うと感慨深いです。

いや、もしかすると、スーパーに並んでいる外国産の鶏肉も、日本人鑑別師さんの手にとられたひよこかもしれません。そう思うとすごい……!

 

ちょっとスーパー行ってきま〜す!

社領エミでした。


書いた人:社領エミ

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アホなフリーライターの社領エミです!!取っつきにくいことをわかりやすく噛み砕いたり、みんなが気になることをインタビューしたり、ジモコロ、マイネ王等で書いてます。本名です。
Twitter:emicha4649 

 

写真撮影:まーさんぽちゃん

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写真界のニュースター、まーさんぽちゃんです★
人の笑顔を最も美しく撮る事が人生の至高。
WEBや企業写真のフォトグラファーとしても活動中です。
Twitter:maasanpochan

鳥取県民の愛する「白バラ牛乳」は、なぜあんなに美味しいの?

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「ングッ……ングッ……ングッ……」

 

 

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「プハーッ!! これこれ~~~!!!」

 

 

突然の「ングッ……ングッ……ングッ……」からの「プハーッ!! これこれ~~~!!!」で失礼します。

ジモコロをご覧のみなさんはじめまして、ライターのニシキドアヤト(@art_0214)です。

 

最近の悩みは、大阪と東京の2拠点生活を送っているんですが、そのどちらの飲み会にも誘ってもらえないことです。誘ってください。よろしくお願いします。

 

それはそうと......

 

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みなさんが冒頭の写真を見て、「この人、何を飲んでそんな美味しそうに『ングッ……ングッ……ングッ……』からの『プハーッ!! これこれ~~~!!!』してるの!? 自分もこんな最高な『ングッ……ングッ……ングッ……』からの『プハーッ!! これこれ~~~!!!』したーい!! ねぇ~! したいの~! 教えて~!」

 

という声が聞こえるので、教えます。

僕が飲んでいるのはコレ!

 

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「白バラ牛乳」です!!

 

白バラ牛乳は、鳥取にある大山乳業農業協同組合が製造・販売をしている牛乳で、その味はほんのり甘く、後味はスッキリ! ゴクゴクいけちゃう鳥取県民のソウルドリンクなのです!

 

この白バラ牛乳、そのあまりの美味しさに鳥取を越え、全国にも熱狂的なファンが多くいることをご存知でしょうか?

 

その人気は、白バラ牛乳のパッケージデザインのTシャツや、スマホケースまで販売され、瞬く間に完売してしまうほどなのだとか! 

牛乳パックデザインのグッズがバカ売れって、どういうこと???

僕、気になります!!!

 

 

鳥取にやってきた

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どうしても気になるので、白バラ牛乳を製造している大山乳業さんが本所を置く、鳥取県にやってきました!

 

 

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鳥取県では、普通のスーパーにも白バラブランドの商品がズラリ。なんだここは......ここが天国(ヘブン)......?

ちなみにこの白バラコーヒーもマジで美味いので、飲んだことがない人は絶対に飲んでください。

 

 

大山乳業の本所工場へ

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そしてやってきたのがコチラ! 大山乳業農業協同組合の本所工場です!

すごい。ここであの美味しい白バラ牛乳が作られているのか......!

  

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商品のラインナップがズラリと並ぶ。

知らない商品もある! 飲んでみたい......。

 

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そしてこちらが今回、我々に白バラ牛乳のアレコレを教えてくださる、大山乳業農業協同組合・企画室の福井さんです。

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「本日はお忙しいところ、ありがとうございます」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「こちらこそ、遠路はるばるありがとうございます。今日は楽しんでいって下さい」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「はい!早速なんですが......」

 

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「サインください」

 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「?」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「サインください」

  

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「?」

 

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「?」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「ありがとうございます! 白バラ牛乳の大ファンなので、めちゃくちゃ嬉しいです」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「私のサインなんかで良いんですかね?」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「こちらに務めている方のサインであれば、誰でもいいんです」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「シンプルに失礼では? ......あの、でははじめに私たち大山乳業の活動をまとめたビデオをご覧いただきますね」

 

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ビデオでは、主に生乳を生産する酪農家さんたちの一日や、生乳が工場でどのような処理をされるのか、といった映像が約15分に渡って流れます。

 

ビデオによると、鳥取県内の全ての小中学校で、白バラ牛乳が給食に出てくるらしいです。なんだそれ羨ましすぎる......。

鳥取県で生まれ育ちたかった......。

 

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出される牛乳やおやつが嬉しい......!

 

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白バラ牛乳が作られている工場で、白バラ牛乳が作られている過程を見ながら飲む白バラ牛乳は最高です。

 

 

大人気の白バラグッズはいかにして生まれたのか

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「お疲れ様でした。いかがでしたか?」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「知らないことだらけですごく楽しめました! 福井さんは、企画室では広報なども担当しているとのことでしたが、どんなことをされているんですか?」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plainHPFacebookInstagramの管理などもしています。最近話題になった白バラTシャツやスマホケースも手掛けていますね」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「え!福井さんがあの白バラTシャツやスマホケースの生みの親だったんですか!?」

 

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こちらが一時期ネットを賑わした白バラTシャツ。
白バラコーヒーTシャツも最近、お笑いタレントのイモトアヤコさんが着用している写真をInstagramにアップし、話題になりました。

 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そうなりますね!」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「おぉ......! まさか生みの親にお会いできるとは......! サインをもらっておいて良かった......。白バラグッズはいまや大人気となっていますが、こういった商品が生まれたきっかけなんかはあったんですか?」

 

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f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「最初、こういったグッズ展開は全然考えていなかったんですよ。一昨年に大山乳業の創立70周年記念式典がありまして、企画室もその時の事務局として立ち上げたんですよね」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「なるほど、じゃあ企画室自体も最近できたものなんですね」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そうなんです。で、せっかくなので来てくれた人に面白いものを渡せたらいいな。という思いがありまして、記念式典が11月だったのもあり、お年玉を入れるポチ袋を作って配ったんですよ。そしたら......」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「そしたら......?」

 

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「もう、大好評で(笑)」

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「これだけ(笑)が似合う人もそういないな」

 

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こちらがそのポチ袋。めちゃくちゃ可愛い......!

これは欲しくなぁ。

 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そして式典の後も『あれはどこで買えるの?』『売ってないの?』といった問い合わせが多く、『じゃあ......一回売っちゃう?』という感じでHPで告知を出したんですね。そしたら......」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「そしたら......?」

 

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「即・完・売!」

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「悪・即・斬 みたいに言う」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「それで、『なんでこんなに売れるんだろう?』と考えた結果、おそらくパッケージじゃないかと、『もしかして、パッケージを使えば食べ物じゃなくても売れるのでは?』と思ったんです」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「なるほど......!」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そこで最初のグッズとして、マスキングテープを作ったらこれも大反響で(笑)。そこからTシャツ、スマホケースとグッズ展開してきました」

 

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マスキングテープとスマホケース。

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「素晴らしい商才ですね......! スマホケースなんかは、僕の周りでも愛用している人が結構いますよ」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「本当ですか! 嬉しいです!」

 

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「私もなんですよ」とスマホを見せてくれる福井さん。

 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「このケースはまだiPhone用しか製造されていないんですよね。もともと私もアンドロイドユーザーだったんですが、どうしてもこのケースにしたくてiPhoneに機種変更してしまいました」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「自社愛がすんごい」

 

自社のスマホケースを使用したいが為に機種変更する人、普通いる?

 

 

白バラグッズの生みの親は、熱狂的な白バラファンだった。

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「お話を聞いていると、福井さんの凄まじい自社愛が溢れて止まらないように見えます」

 

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f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そうですね、私は鳥取出身でまさにこの白バラ牛乳で育ったんです。本当にこの牛乳が大好きで、『水の代わりに白バラ牛乳を飲んできた』と、親に言われるほどなんですよ。身長が180cm以上あるのも、白バラ牛乳のおかげかもしれません」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「水の代わりに......! こちらに就職する前から、熱狂的な白バラファンだったんですね」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「はい、なので今こうして、組合を通してより多くの人に白バラ牛乳を知っていただく為の活動が出来ていることが本当に嬉しいんです。ネット上の『白バラは神の飲み物だ』『幻の飲み物』なんていう評判を目にすると最高にやりがいを感じますね」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「素敵だ......」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「企画室も私を含めまだ二人しかいないんですが、組合はある程度自由にやらせてくれています」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「これだけ自社愛に溢れている人が広報を務めていれば、企業としても安心だろうなぁ」

 

 

どうしてこんなに美味しい?白バラ牛乳のこだわり 

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白バラコーヒーで乾杯!

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「あ~、やっぱりコーヒーもめちゃくちゃ美味い! 個人的に、白バラ製品ってスッキリとした甘さが特徴的だなぁ、と思っているんですが、その辺はこだわりのポイントなんかはあるんでしょうか?」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「なるほど」

 

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「これはですね、ちょっとマニアックな話になるんですが......」と、福井さん。ヤバい、マニアック地雷を踏んでしまった?

 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「大山乳業の工場内には、検査室という場所があるですが、あそこで何を検査しているかというと乳脂肪分だったり、固形分だったりを調べているんですね」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「はい」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そしてこれが大事なんですが、『体細胞数』というのも検査しているんです」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「たいさいぼうすう」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「はい。で、『体細胞数』というのはなんなんのかというと、母牛の白血球や体内から剥がれ落ちた細胞なんです。これらが多いと、渋みや塩味といった味覚に対するマイナスな成分が入ってしまうんですよ」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「はい」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「大山乳業では、この『体細胞数』などの一定の数値があって、『この数値以下のものでないとペナルティを与えますよ』という独自の基準を設けているんです」

 

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急に押し寄せてくる情報の波に、「はいbot」と化す僕。

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「な、なるほど......! 逆にその『体細胞数』なんかの数値が低ければ低いほど、雑味のない、コクと甘みのある美味しい牛乳になるわけですね! では、その数値を抑えるための努力は酪農家さん達がされているんですか?」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「大山乳業には、酪農指導部という部門がありまして、獣医も含めた牛の専門家集団なんです。その酪農指導部では120数戸の酪農家の餌の供給・乳質管理・酪農経営といった多岐に渡ったサポートをしています」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「乳業メーカーに獣医がいるってなんかすごいですね」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「鳥取県は、『牛群検定』の実施率も日本一なんですよ」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「ぎゅうぐんけんてい」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「『牛群検定』とは、牛の健康診断のようなものです。その診断で生乳の状態や、乳牛の問題点などが分かるんですね。そしてその対処法はうちの酪農指導部が常にアドバイスすることによって牛の健康を保ち続け、おいしい生乳を出せる牛を守り続けているんです」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「すごい......。まさに県一丸となって白バラブランドを守り続けているんですね......!」

 

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ちなみに大山乳業の本所工場では見学用通路があり、順路に沿って説明を受けながら製造ラインを見ることが出来ます。(※工場見学についてはコチラから)

 

乳飲料だけでなく、ヨーグルトなんかも作られており、製品が出来上がっていく過程を眺めているだけでも面白くて楽しめます。

 

こちらの工場では多い日で牛乳パック約20万本牛乳ビンは約10万本が製造されており、一日に酪農家さん達から集まる生乳は、なんと約160トンもあるのだとか!

一生をかけてもそんなに飲めない~!!

 

 

白バラという名前の由来は? デザインは誰がしたの?

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f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「いやぁ、本当にお話を聞けば聞くほど面白いです。ちなみに、白バラ牛乳の『白バラ』という名前ですが、なにか由来はあるんですか?」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「『白バラ』というのは、その名の通り植物の『白バラ』です。白バラの花言葉は『正直』、純粋』、そして『私はあなたにふさわしい』です。消費者のみなさんにふさわしい商品であるために、我々は頑張りますよ。というメッセージなんかが込められているんですよ」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「うわぁ、めちゃくちゃ素敵だ」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そうですよねぇ。私もそう思います」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「白バラといえばもうひとつ、やっぱりこのパッケージですよね。これを見て『白バラ牛乳だ!』とすぐに分かってしまうほどの馴染みのあるデザインですが、いったい誰が手掛けたんですか?」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「それがですね......」

 

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「分かっていないんです......。」

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「えぇ~~~!?分かってないの~!? そして今日一番の悲しい顔~~!!!

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「私も記念式典をする際に知っておこうと、めちゃくちゃ資料を漁って歴史を紐解いてみたんですが、どこにも記載されておらず......」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「ほう.....」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「一番古い記録としては、昭和39年に初めて紙パックの機械が導入されているので、恐らくその当時からこのデザインだったであろうとはされているんですが......。肝心の誰がデザインしたのか、という部分には触れられておらず......」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「えぇ~......、なんですかその気になる謎は......」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「私もすごく気になってるので、パッケージデザインした人を探してます」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「この記事を見られた方で、『うちの親戚がデザインした』とか『知り合いがデザインした』という情報があればジモコロまでご連絡くださーーーい!!!」

 

 

これからの白バラ牛乳

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伺う話しが面白すぎて、時間を忘れて語り合ってしまう。

 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「なんだか、今日一日だけで白バラ牛乳にすごく詳しくなれた気がします。最後に、今後の白バラブランドや、広報としての目標なんかがあれば伺いたいです」

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「そうですね、これからはさらにネット上での広報を強化していきたいと思っています。やはり今のSNSなどの影響力は無視できないので。今後も新たな展開を予定しています」 

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「それは楽しみですね!」 

f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「こういった活動で白バラの名前を色んな人に知っていただき、興味をもってもらえれば、これほど嬉しいことはないですね。今はオンラインショップで全国に白バラ牛乳をお届けできるので、是非一度飲んでいただきたいな、と思います」

 

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f:id:tmmt1989:20180306170852p:plain「話題になり有名になったところで、やはり商品自体がおいしくないと真の評価には繋がらない。これからも酪農家さんたちと二人三脚で良いものを作っていきたいですね」

f:id:tmmt1989:20180306170818p:plain「今回、福井さんにお話しを伺うことが出来て本当に良かったです......! これからも白バラ牛乳を飲み続けます! 本日はありがとうございました!」

 

 

最後に

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今回は、白バラ牛乳について大山乳業さんにアレコレ聞いてみたお話しでした。

 

Tシャツやスマホケースなどがネットで大反響を呼んだ白バラ牛乳ですが、「このパッケージは白バラ牛乳だ!」と思ってもらえるのも、長年酪農家さん達とこのブランドを守り続け、消費者の方々に寄り添ってきた結果なんだな。と、取材を通じて学ぶことが出来ました。

 

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そしてなにより! 白バラグッズ大成功の裏側には、この福井さんナシにはありえなかったでしょう! それは間違いありません!

熱狂的なまでの自社愛に溢れる広報担当が生んだ、この白バラ現象。まだまだ僕たちを楽しませてくれそうです。

 

みなさんも是非! 是非一度、白バラ牛乳を試されてみてはいかがでしょうか!

 

それでは今回はこの辺で。

 

ニシキドアヤトでした。

 

 

 

写真:奥平 大

 

書いた人:ニシキドアヤト

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フリーのWEBライター。お風呂に入ると手がシワシワになる不思議な現象に対して、「不思議だなぁ」と思っている。
Twitter:@art_0214 

偉人占い『幕末編』|龍馬や西郷はどんな性格で、どう生きるべきだった?

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こんにちは、ライターのギャラクシーです。

僕の同僚に、長島という男がいまして、昨年、占い教室でレッスンを受け、みごと占い師になりました。

 

www.e-aidem.com

 

僕は占いに関して常々考えていたことがあります。それは……

身近な人間ではなく、「歴史上の偉人」を占ってもらうと、どうなるのか?

 

占いによって「この人物はこういう性格です」と分かったり、「こういう人はこう生きると良いでしょう」なんてアドバイスがもらえたら、過去を学び未来に活かすべき僕らにとって、非常に有意義なのではないでしょうか。

 

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というわけで長島を会議室に呼び出し、6人の偉人を占ってもらいます。ただし彼は……

 

自分が占っている人物が誰なのか、一切知りません

 

情報を与えてしまうと「それっぽく嘘をつく」ことが可能だからです。長島に与えた情報は、彼の行う占い『四柱推命』に必要な、「生年月日と性別」のみ。

※本来はさらに「生まれた時間」が必要なんですが、わからなかったので、正確には『三柱推命』となりました。もし占いが外れたとしても、それは『三柱』のせい……かもしれません

 

さあ、さっそく占ってもらいましょう!

今回占ってもらったのは、『幕末の偉人』です!

 

占った人物

・坂本龍馬

・西郷隆盛

・高杉晋作

・土方歳三

・岩崎弥太郎

・????

 

 

偉人占い『幕末編』|坂本龍馬

幕末といえば、一発目はやはりこの人ですよね! さて占いの結果は?

※長島は自分が誰を占っているのか知りません

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坂本龍馬

1836年1月3日~1867年12月10日

江戸時代末期の土佐藩郷士。裕福な商家に生まれ、脱藩した後は志士として活動。貿易会社と政治組織を兼ねた亀山社中(後の海援隊)を結成した。薩長同盟や大政奉還の成立に尽力し、倒幕および明治維新に影響を与えたが、1867年12月10日に暗殺された。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「この人物は、義理人情に厚く勇敢な性格ですね。生まれつきの運勢は平均的と言えるでしょう。思い切ったことをするには、もう少しパワーが欲しいかな? 現状、ちょっとパワー不足かもしれません」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「あれほどのことをやってのけて、パワー足りなかったの!?」

注:僕のリアクションを見て軌道修正されるのを防ぐため、ほぼ無反応で話を聞いています。そのため、基本的に僕のセリフは心の声だと思ってください

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「ポテンシャルはとても優れているので、自らの才能や頭脳を発揮できれば、大きく発展するでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「うんうん、まさに才能や頭脳を発揮して活躍した人物です!」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「ただ、独創性や自主性が不足しがちなので、一人で積極的にやってみる心を持ちましょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain龍馬ってニートみたいな性格だったのかよ」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「良い人生を送るためには、実行力や行動力が大事ですよ! 頑張りましょう!」

 

▼1855年に大きなターニングポイントがあるでしょう

※調べましたが龍馬に関わりがありそうなことは「海軍伝習所が長崎にできた」くらいでした(歴史に詳しい人がいたら教えてください)

▼1865年に小さなターニングポイント

※長崎に「亀山社中」を設立した年です!

▼1875年~1884年まではチャンスを掴む飛躍の時期です!

※もう暗殺されてます……が、今回は死期は占っていないので「生きてたら」ということでお許しください。生きてたら、世界の海援隊として飛躍してたんですかね……

 

 

偉人占い『幕末編』|西郷隆盛

続いて、NHKのドラマで人気沸騰中のこの人! 『西郷どん』です!

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西郷 隆盛

1828年1月23日~1877年9月24日

薩摩藩の下級武士。二度の流罪に遭うが、薩長同盟の成立や王政復古に成功し、戊辰戦争(薩摩・長州・土佐を中核とした新政府軍と、旧幕府勢力との戦争)を主導した。また、江戸無血開城の立役者でもある。1877年に西南戦争の指導者となるが、敗れて城山で切腹した。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「この方は、テンポが遅くどこかのんびりした人ですね。真面目で几帳面、情にもろい面があります。ただし内面では強引なところがあって、開拓魂がある人物と言えるでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「うんうん。西郷隆盛に会ったことはないけど、伝記なんかを読んでるとそんな感じですね」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plainこの方の人生に大きな波乱はありそうもないですね。残念ながら、迫力に欠ける人生となるでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「二度の流罪や、数々の戦争を経験した人なんだけど……」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「奥さんとの関係は良い方で、家族も大切にするでしょう。配偶者が色々と力になってくれると思います」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「西郷隆盛は生涯に三度結婚していますが、三番目の妻とは、仲睦まじく過ごしたらしいですね」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「財産の管理や、お金を使う仕事の適性があります。ただしお金に対して執着する気持ちが強すぎる傾向があります」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「調べたら、財政を立て直すため、西郷札と呼ばれる大量の軍票(戦争時、軍隊が現地からの物資調達などの支払いのために発行される擬似紙幣)を作ったとあるので、お金を使う仕事の適性はあったようです」

 

▼1854年に大きなターニングポイント

薩摩藩の殿様、島津斉彬に仕えた年です。西郷は島津斉彬をとても尊敬していたらしく、ここから幕末の英雄、西郷隆盛の運命が回りだしたと言ってもいいのではないでしょうか

▼1856年~1858年がめっちゃ良い年です

※当時仕えていた殿様(島津斉彬)が死んで、後追い自殺しようとした……くらいしか見当たりませんでした

▼1864年に小さなターニングポイントがあった

『禁門の変』という武力衝突がありました。西郷は薩摩藩の軍隊を率い、長州藩に勝利。この武功により西郷の名は広く知れ渡ることになります。

 

 

偉人占い『幕末編』|高杉晋作

次は長州から。「おもしろきこともなき世をおもしろく」のこの人です!

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高杉 晋作

1839年9月27日~1867年5月17日

江戸時代後期の長州藩士。幕末に長州藩の尊王攘夷の志士として活躍した。驚異的な行動力と、独創的な発想で時代を駆け抜け、奇兵隊などを創設。長州藩を倒幕に方向付けた。しかし、いよいよ幕府打倒が実現するという直前、肺結核に倒れてしまう。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain頭の回転が早く、柔軟性があって要領がいい人物ですね。また、とても独立心が旺盛です」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「そんな感じしますね。ベンチャー系の起業家が、プロフィールにこぞって『おもしろきこともなき世をおもしろく』って書いてるのも、そこに憧れてのことなんでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain自分一人で走りすぎるとかえって他人の迷惑となり、立場を悪くしてしまうことがあるので気をつけてください。しかし自らのパワーで大概のことを乗り切ることができるでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「これもなんとなくわかりますね。独自の発想を持った才人だけど、英国公使館焼き討ちとか、一文も持ってないのに無断で軍艦を購入したりとか、先走りするタイプのイメージ」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「天性の才能を持った人のようですが、その能力を十分に出しきれない場合があります」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「まさに、大願が成就する直前に、病気で世を去ったんですよね……」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「特殊な星を持っている方です。刑事事件に縁がある人ですね。災難に遭ったり濡れ衣を着せられて隠れて暮らすことになるかもしれません。注意してください」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「高杉は軍事行動の方針で藩士と対立して脱藩、その罪によって牢に入れられたことがありますね。また長州征伐のために幕府軍が進軍してきた際には、藩内の保守派が争いを避けようとして高杉の命を狙ったため、潜伏したこともあったようです」

 

▼1855年に大きなターニングポイントがあったはず

※特に関わりのある大事件はありませんでした

▼1863年~1865年がめっちゃ良い年

1863年に奇兵隊を設立、1864年には攻めてきた幕府軍に降参しようとする藩を良しとせず挙兵。挙兵が成功し、1865年には長州と幕府軍は戦争になる

▼1875年に小さなターニングポイント、1885年に大きなターニングポイントがあった

※結核で亡くなるのが早すぎますよね……

 

 

偉人占い『幕末編』|土方歳三

京の町をストイックに守った剣士たちの中から、鬼の副長を占ってみました!

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土方 歳三

1835年5月31日~1869年6月20日

新選組副長。局長・近藤勇の右腕として「池田屋事件」など数々の事件で武名を上げる。隊内に厳格な規律を実施して鬼の副長と称され、隊士を次々と粛清した。戊辰戦争など数々の戦場で指揮官や責任者として軍才を揮った。戊辰戦争中、狙撃を受け戦死。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「何事にもそつがなく、気質にムラがない真面目な性格ですね。おとなしくて消極的な一面をもっている、陰気な方だと思います」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「伝え聞くのは、厳格なカミナリ上司といった逸話ばかりなんですが、“おとなしくて消極的な一面をもっている陰気な人”というのも、なぜかしっくりきますね」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「人間関係に何かと障害があり苦労しやすいですね。特に身近な環境、家族関係にトラブルが起こる傾向があります」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「それ、身内を粛清しまくるからや!」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「これといった特別な適性は見当たらないのですが、努力次第であらゆる面で能力は発揮できるので頑張ってください」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「天然理心流の剣士としても相当な腕前だったようだし、軍才もあったようですが……器用貧乏って感じだったんでしょうか」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「環境や時期によって、運勢が大きく影響されやすい方なので、結婚や就職などは慎重に選ぶようにしたほうがいいでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「倒幕が盛り上がる時期に、就職先が新撰組だからなぁ。良かったのか悪かったのか……」

 

▼1843年~1852年まで願い事運が高まってる

※1849年頃から天然理心流の道場に出入りするようになり、近藤勇、沖田総司らと出会っています

▼1863年に小さなターニングポイントが

会津藩の行った浪士隊の募集に応募。後に新撰組と名を改める。また、局長の芹沢鴨を殺害した

▼1863年~1865年は良い年

田舎者だった土方が、将軍を警護するなど、まさに飛躍の年でした。池田屋事件で名を上げるのもこの頃。禁門の変でも御所の警備を担当。

 

偉人占い『幕末編』|岩崎弥太郎

続いては、ちょっと趣向を変えてこんな人物を占ってみました

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岩崎 弥太郎

1835年1月9日~1885年2月7日

三菱財閥の創業者で初代総帥。吉田東洋が開いていた少林塾に入塾、土佐藩上士・後藤象二郎と知り合い、欧米などとの商売を任される。維新政府が樹立されて紙幣貨幣が全国統一化される際、各藩が発行していた藩札を大量に買占め、それを新政府に買い取らせて莫大な利益を得た。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain実力で権力を得ようとする野心家です。心の内面は常にやる気があり活発でしょう。前向きに物事を捉えることができる性格です」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「貧しい出から巨大な財を築くほどに登りつめようと思ったら、やはり野心に溢れ、活発じゃないと無理なんでしょうね。見習いたいです」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「ただし仕事運が弱いので、変動が少ない安定した職業を選ぶようにしたほうがいいでしょう。良い仕事に巡り合っても、自分の能力を発揮しにくい一面を持っています。そのため転職が多い人生を送るかもしれません」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「三菱財閥の創業者が、仕事運弱いの!!???」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「人格が円満で、人に好かれるハッピーな星のもとに生まれています。やや消極的な性格なので、人の上に立つには力不足かな?」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「そんなワケあるか」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「なお、この方は地位や名誉を得やすいという運勢を持っています。良かったですね!」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「まさに!ですね。ちなみにこの人の家系から、後に総理大臣が二人出てます」

 

▼1844年~1863年まで願い事運が高まってる

※弥太郎は江戸遊学への思いを募らせていたが、その夢が、土佐藩の学者の従者という形で実現

▼1864年に小さなターニングポイントがあった

※歴史的には、西郷隆盛が勝海舟に会い、長州藩への融和路線に転換するなどがありました

▼1864年~1883年まで独立運が高まり、自分中心になりやすい時期

※後藤象二郎に開成館長崎商会の主任を命ぜられる。また、海援隊の活動を支え、1873年にはいよいよ三菱商会を設立します

 

 

偉人占い『幕末編』|緋村剣心

最後に、実在していないこの人物を占ってみましょう!

※幕末の剣客・河上彦斎がモチーフだそうです

フィギュアーツZERO 緋村剣心

 

緋村剣心

1849年6月20日~???

漫画『るろうに剣心』の主人公。長州派維新志士で、幕末最強と謳われた伝説の人斬り。古流剣術「飛天御剣流」の使い手で、『緋村抜刀斎』とも呼ばれる。数多くの要人を殺害してきたが、明治維新後は不殺を誓い、弱き人たちのために剣を振るう。出身は関西。

 

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「真面目で几帳面、そして心の底から不正を嫌う人物です。性質の強弱がはっきりしていて、極端な性格になりやすいでしょう」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「おおぉぉ! そうそう、まさにそんな人物です!! バリバリの人斬りになったり、流浪人になったり……!」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「才能ある人ですが、おっちょこちょいな一面がありますね」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「おろ?」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain仕事運が比較的弱いので、変動が少なくて安定した職業を選ぶようにしたほうがいい、とアドバイスしておきます」

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「流浪人って安定した職業なの?」

f:id:jimocoro:20180302190257p:plain「あとこの人は、驚くほどたくさんの良い星を持ってますね。『出世、望みが思うように運ぶ』、『芸術、技芸の方面で才能を発揮』、『大望を達成し、必ず財に恵まれる』『一切の凶暗示を退ける』、『金運上々、幸運に恵まれる』……いや、ほんとにすごい! こんな人間いるんだ!?

f:id:jimocoro:20180302190327p:plain「実在してないけどな」

 

▼1864年に大きな変化があります

※雪代巴と出会い結婚。同年末、不可抗力で巴を斬殺してしまいます

▼1870年~1872年はとても良い年です

※人斬りをやめて流浪してる頃。なんか良いことあったんですかね(神谷薫に出会うのは1878年)

▼1881年~1883も良い年

※1882年には明神弥彦に「逆刃刀」を託してます(薫との間に子供が生まれるのは1880年)

 

 

まとめ

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というわけで、今回は占いによって偉人の性格や人生に迫ってみました。

立場は様々だけど、日本のことを思い、命をかけて戦った幕末の偉人たち。彼らから学び、未来に活かすのが我々の務めではないでしょうか。

 

 

 

(おわり)

 

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ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

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