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あえて高校に行かず15歳で「コーヒーショップ」を構えた少年

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こんにちは、ライターの友光だんごです。先日、群馬県桐生市を訪れていた時のことです。

地元の人におすすめの店を尋ねると、気になる言葉が返ってきました。

「山の上に洋服屋さんがあって、その隣で息子さんがコーヒー店を始めたんです。まだ15歳だけど」

 

15歳でコーヒーショップ!? どういうこと!?

好奇心がムクムクと湧き上がりました。これは行ってみなければ!!

 

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変わった外観だな…住所はここで合ってるはず…

 

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いた!彼が噂の少年だ!

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「ちょっとお話いいですか⁉︎

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「はい、なんでしょう」

 

彼の名は岩野響(いわの・ひびき)さん。いきなり訪れた僕にもまったく動じることなく出迎えてくれました。

 

響さんはこの春、中学校を卒業したばかりの15歳。自らが焙煎したコーヒー豆を売る「HORIZON LABO(ホライゾンラボ)」を今年の4月1日にオープンしたばかりです。

 

HORIZON LABO

住所:群馬県桐生市小曾根町4-45

営業時間:11:00〜19:00

オープン日:毎月1〜7日のみ営業

https://www.horizon-labo.com/

 

お店のある桐生は古くから織物業で栄え、文化度の高い土地柄。「2017年版 住みたい田舎ベストランキング」(宝島社『田舎暮らしの本』2017年2月号)の総合部門で第8位にランクインするなど、移住先としても注目されているんです。

 

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僕なんて15歳のころは上の写真みたいな顔してなんにも考えてなかったのですが、響さんには大人顔負けの「奥行き」のようなものを感じて気になってしまいます。

 

響さんへの興味のきわめつけは、店のチラシに書いてあったキャッチコピーでした。

 

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「ぼくができることから/ぼくにしかできないことへ」

なんですか、その気になる響き……!

もうこの時点で響さんに夢中になってしまいました。なんで15歳で焙煎士を? どうやってお店を開いたの? もっとお話聞かせてください!!

 

 

どうして焙煎士になったんですか? 

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左が響さん、右はお父さんの開人(はるひと)さん。響さんの両親は「リップル洋品店」という染織・テキスタイルデザインから自ら手がける洋服の店を営んでいます。

響さんは 中学1年生の夏ごろから勉強と部活の目まぐるしいサイクルについていけなくなり、学校へ行けなくなってしまったそうです。

「授業についていけない」「宿題ができない」「学校へ行けない」……たくさんの「できないこと」に直面してしまったとき、両親のすすめで「できること」を探してみることにしました。

 

元々、興味をもったことには脇目もふらずに熱中する性格。はじめは料理、続いてスパイス、そしてコーヒーへと、取り組むテーマは変わって行きました。

 

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「ぜひ試飲してみてください」と、響さんがコーヒーを淹れてくれます。どれどれ…

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「わ、とても美味しいです!これ、響さんが焙煎したんですよね。コーヒーに興味を持ってから、焙煎を始めたきっかけって何だったんですか?」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「小学6年生のとき、両親の洋服を扱うショップのオーナーさんが『コーヒーに興味があるなら』と小さな手回し焙煎器をくれたんです」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「焙煎機のプレゼント!素敵な方ですね」 

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「すぐに親に頼んで生豆をとりよせてもらって、家で焙煎をしてみました。コーヒー豆の焙煎って、時間や温度で味がまったく変わるのが面白くて。そのあと、学校へ行けなくなった時に、本気で取り組んでみたいと思ったのが焙煎でした」 

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「それが響さんの『できること』だったんだ!」

 

  

焙煎ごとに違う2人の師匠

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扱う豆はタイや東ティモール、グァマテラ産のシングルオリジンと、オリジナルブレンド。「リップル洋品店」の靴下も並んでいます

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「響さんってとっても落ち着いて見えるんですが、どんなことして遊ぶんですか? パズドラとかします?」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「ゲームはしないんですけど、盆栽が好きですね」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「渋い」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「いまも二鉢育ててるんです。あとはやっぱり、コーヒーの研究をしてます」

 

はじめは独学で、焙煎の勉強を続けた響さん。そんななか、二つの出会いが訪れます。

 

まずは、地元・桐生のスペシャルティコーヒー専門店伊東屋珈琲。「浅煎り」の焙煎は、伊東屋さんに教わっているそうです。

そして、先生がもう一人。東京・南青山で2013年まで営業していた大坊珈琲店大坊勝次さんに、「深煎り」の焙煎を見てもらっているそう。

 

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「大坊珈琲店って南青山にあった超有名店じゃないですか!」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「時どき大坊さんがご自宅で講習会を開かれていて、通わせていただいてます。大坊さんとは手紙でやり取りしてるんです」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「大坊さんと手紙!羨ましい!」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「母も、大坊さんの手紙の字がブルーのインクで格好いいって興奮してました」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「お母さん、僕も同感です。そうだ、店を開くとき、ご両親はどんな風に手伝ってくれたんですか?」

f:id:tmmt1989:20170405144849p:plain「『そんなに焙煎が好きなら、お店をやってみる?』って提案してくれたんです。父が元々建築関係の仕事をしてたので、店舗のデザインもしてくれて。内装はほぼ手作りなんですが、父とペンキ塗りをしたりして、一緒に作りました」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「DIYなんですね!お父さんとお母さんにも話を聞いてみなくちゃ」

 

 

「僕にもできる」という自信を持ってほしかった 

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響さんの両親である、開人さん(左)と久美子さん(右)。お二人とも桐生生まれ・桐生育ちです。

  

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「リップル洋品店」の洋服。生地はすべて自然素材で染めているそうです。シーズンごとに新しい色で染めており、その数は今までの通算でなんと5000色以上! 

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「僕なんか子供のころボンヤリしてて転びまくってたんですけど、響さんはそういうのありますか?」

f:id:tmmt1989:20170405145018p:plain「あ、彼もよく転んでますよ。家の中で家具にぶつかったり」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「共通点が見つかって安心しました。響さんが学校へ行けなくなったとき、ご両親はどんな気持ちだったのかお伺いしてもいいですか」

f:id:tmmt1989:20170405145018p:plain「それは心配しましたよ。彼は感情が表に出にくいので、親としてどう接したらいいか悩むこともありました。だけど、できないことを無理してやらせるより、本人がやれることを見つけて『僕にもできる』って自信をもってもらうほうが大切だと思ったんです」

f:id:tmmt1989:20170405145042p:plain「親だからサポートするというより、彼のやる気や熱意に触発されて、私たちも動かされてる感覚なんです」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「ご両親の響さんへの距離のとり方が絶妙ですね。ちゃんと尊重しつつ、しっかり見守る。将来子供ができたら見習いたいです」

f:id:tmmt1989:20170405145018p:plain「店を作ることをすすめたのは、高校へ進学しなかったこともあり、彼が直接、社会につながる場所があったほうがいいなという理由もあって。彼自身のコミュニティみたいなものが、店を通じて生まれたら嬉しいです」

 

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 取材中には、「HORIZON LABO」で豆を買い求めるお客さんが何人も。よくみると、「リップル洋品店」とはしごしている方が多いようです。 

f:id:tmmt1989:20170405145042p:plain「『リップル洋品店』の常連さんは、息子がランドセルの頃から知ってくれているんです。カフェがオープンしたら『あの響くんが!』ってお母さんみたいに喜んで来てくれました」

f:id:tmmt1989:20170405145018p:plain「桐生という土地の気風として、面倒みがいいっていうのはあるかもしれません。私たちは独学で服作りを始めたんですが、最初の頃、近所のお母さんが『あの人が縫製詳しいから』と紹介してくれたこともありました」

f:id:tmmt1989:20170405144647p:plain「町の寛容さみたいなものは、お二人からも感じます。いい町ですね、桐生。また遊びに来ます!」

  

おわりに 

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「HORIZON LABO」は「リップル洋品店」と同じく、月に一週間、毎月1〜7日のみの営業。残りの日は、ご両親の染織を手伝ったり、盆栽や読書などの趣味に時間を使っているそうです。

そしてもちろん、コーヒーの研究も、まだまだ長い道のりの途中。目下の研究テーマはコーヒーと紅茶やハーブティーの組み合わせだそう。

 

若くして自分の「やりたいこと」を見つけて打ち込む響さんと、その姿を見守りながら、時にそっと背中を押してくれるご両親。素敵な親子が待つ桐生の町に、ぜひ遊びに行ってみてください。

 

 

ご両親のお店

リップル洋品店

住所:群馬県桐生市小曾根町4-45

営業時間:11:00〜19:00

オープン日:毎月1〜7日のみ営業

https://www.ripple-garden.com/

 

 

書いた人:友光だんご

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編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。犬とビールを見ると駆けだす。Facebook:友光 哲 / Twitter:@inutekina / 個人ブログ:友光だんご日記 / Mail: dango(a)huuuu.jp


83歳の祖母・アキコが選んだ「GWの暇つぶし記事」8選

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こんにちは。

庭から失礼します、ライターのナカノです。
ジモコロをご覧の皆さん、GWはどのようにお過ごしでしょうか?
どこに行っても混んでいるので、私は極力外には出たくないと思っています。

ところで、なぜこんなに笑顔なのかと言うと、

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この記事用に祖母・アキコに写真を撮影してもらっているからです。
初めて一眼レフを持った割にノリノリの83歳。かわいくないですか?
そりゃ笑顔になっちゃうでしょうよ〜!

   

さて本記事では、私のように自宅ゴロゴロ派の皆さんに向けて、ジモコロオススメの記事をご紹介していきたいと思います!

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今回はアキコに読んでもらって反応が大きかった記事をご紹介したいと思います。

一眼レフに続いてパソコンをいじるのも生まれて初めてなアキコ。

 

記事の選出者

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アキコ、元気でおちゃめな83歳。

年数回行われる同級会に全力を注いでいる。

昨年の忘年会ではうなぎすくいにチャレンジしたらしい。

 

それでは、アキコの反応が大きかった記事を率直な感想と共に紹介していきます!!

 

1.奇抜な髪色、セーラー服。

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www.e-aidem.com

まずは、静岡・伊豆半島の珍スポットを複数経営する謎の人物「セーラちゃん」へのインタビュー記事。


ライターは、WEBサイト「東京別視点ガイド」の運営や、各地のディープスポットを現地のスペシャリストを招いて行われる「別視点ツアー」を企画する松澤さんです。

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こちらが謎の人物「セーラちゃん」。

f:id:hitomonji:20170427174444j:plainセーラー服を着たゴリラや 

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歩いていると突如出現する恐竜など、

次から次へと繰り出される展示物のビビッドな色合いと先の読めないドキドキ感はくせになってしまいそう・・・。

 

アキコの感想

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あらま、セーラー服。ねえ、ほら。セーラー服どこかにあったっけか?かつては私もセーラー服を着て踊って世間を騒がせたからさ」

 

セーラー服に思いを馳せていました。

伊豆半島の珍スポットをもっと知りたい方は、こちらの記事も合わせてどうぞ。
めちゃくちゃ濃いです伊豆半島。

www.e-aidem.com 

 

2.たこ焼きそっちのけで顔面チェック

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東京・下北沢で30年続き、多くのファンに惜しまれつつも2016年12月に閉店したタコ焼き屋「大阪屋」。

しかしお店は閉店から10ヶ月後、復活することに!

 

www.e-aidem.com

 

そんな地域から愛されるタコ焼き屋「大阪屋」を営むご夫婦にインタビューした記事です。ご夫婦の下北沢への愛が深いなぁ。

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タコ焼きをつくっている様子は写真を見るだけでお腹が空いてくる・・・。 

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こちらの記事を担当したのは、twitterのフォロワー数8万人以上を誇る、あざとさ満点男子のカツセマサヒコさん。

うーんあざとい。

たこ焼きを食べて「ハフッ」な表情だけで39430通りの妄想ができそうです。

 

さて、10〜20代のキラキラ女子に大人気のカツセさんですが、おばば人気はいかがなものか。

 

アキコの感想

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「ああ〜これはおっさんだねぇ。顔は、まぁまぁ整っている方かな?」

 

ちなみにアキコの好きなタイプはラグビー日本代表選手の五郎丸 歩さんです。

 

3. 柴犬の前では世界遺産は無力なのかもしれない。

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今まで「発酵」「たたら製鉄」など、一見取っ付きにくい話題をわかりやすく記事化してきたライターの根岸さん。(写真右)

根岸さんの好奇心むき出し「知りたいおじさん」度が色濃くでている記事です。

 

www.e-aidem.com

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世界遺産「石見銀山」によって栄えた島根県太田市大森町。

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銀山で働いていた人々とその暮らしを紐解いていく内容。

この記事を印刷してそのまま歴史の教科書にしてもいいのでは・・・?
子どもが生まれたら読ませたい!教養レベルの高い記事です。

 

 アキコの感想

f:id:hitomonji:20170427174448p:plainめっちゃ笑顔

 

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あらあら、いい顔だねぇ。ポチ・・・」 

 

なんとも愛らしい柴犬の写真に一瞬で心を奪われたアキコ。

アキコの中では、基本的に犬は「ポチ」、猫は「タマ」です。

 

 

4.孫の顔がネットに載ってるぞ!

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嬉しいことに、私ナカノが書いた記事への反応も大きかったです。

www.e-aidem.com

 

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身一つで木に登り、チェーンソーを使って伐採を行う「特殊伐採」を仕事とする私の父へのインタビューです。
伐採に伴う危険性を軽減するため、精神力を鍛えるヨガを行う側面も。

 

f:id:hitomonji:20170427174433j:plain絵力すごすぎません??

 

f:id:hitomonji:20170329224632j:plainさらにインタビューの後半では、私が父親に仕事の悩みを相談するシーンも。  

 

アキコの感想

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あらららら!!なァにこれ、ヒトミじゃないの。ありゃりゃりゃ、なになに?!あらまー。こっちは誰よ、おじいさん??!」

 

小さい画面に突然映し出された孫に動揺していました。

 

5.服装チェックが辛口すぎる 

f:id:hitomonji:20170501232433j:plainwww.e-aidem.com

続いても「娘が父を取材した」記事。
シリーズ化が期待されますね・・・!
 

手がけたのは、ビジュアル系バンドを愛するバンギャであるライターひにしあいさん。

ひにしさんのお父さんは四カ国語を話せるみたいなのですが、

f:id:hitomonji:20170501231747j:plain とにかくすごすぎることがよくわかります。

記事内では、このすごすぎる謎ポイントが徐々に解明されていく・・・!

 

アキコの感想

 

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「なにぃ、この女の子はぐるぐる赤い布巻いてぇ。こういうボロ巻く格好がはやってるの?」

 
布をボロっていうのやめて〜!!!
これっておばあちゃんあるあるだと思うのですが、いかがでしょう。

 

6.赤べこに寄り添うアキコ

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一人用回転寿司マシン・手に取ると画面に蓋をするスマホケースなど、数々のおもしろメカを生み出すライター・マンスーンさんによる記事です。 

 

www.e-aidem.com

 

f:id:hitomonji:20170501233154j:plain福島県の郷土玩具「赤べこ」をヘビメタ仕様に改造します。

 

アキコの感想

f:id:hitomonji:20170501233913g:plainヘビメタ化した「赤べこ」の高速ヘドバン

 

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「ありゃー、こりゃ不憫だにー」

 

赤べこに寄り添った気持ちになっていた。

 

7.そこ突っ込んじゃダメ〜!

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関西在住の方には馴染みのある「飛び出し坊や」。

滋賀県東近江市の看板屋『久田工芸』で作り出される、こどもの飛び出し注意を喚起する看板です。

www.e-aidem.com

看板屋さんに取材をしつつ、オリジナルの「飛び出し坊や」をつくってみよう!という内容。
マンガと写真を交え、サクサク読みやすいです。

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この記事は育児やアイドルなど多岐のジャンルで活躍するイラストレーター、吉本ユータヌキさんが手がけました。

 

アキコの感想

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あーこれこれ、ポンちゃんね。ポンちゃん」

 

 ポンちゃん。 

 

8.ダイナミックな動きに笑いが止まらない

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いきなり静止画から伝わるダイナミックさ。

 

www.e-aidem.com

こちらの記事は、
カメラを向けられると、日本人がついついやってしまう「ピースサイン」に代わる決めポーズをプロダンサーに習う

という内容。

ライターのARuFaくん、こんな企画どうやって思いつくの??? 

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ひえええ〜!プロダンサーすごすぎ〜!


次から次へと繰り出されるプロダンサー大宮さんとARuFaくんのポージング。
GIF動画の価値を最大限引き出した記事ではないでしょうか・・・!

アキコの感想

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あらあら痙攣している。この人は目を隠して・・・悪いことをしたの??」

 

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「あららら、ケツ!!!!」

 
 

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ページをスクロールしながら、終始笑っていました。

 

以上、アキコの反応が大きかった記事8選でした。
 
ジモコロには全国各地の取材記事が盛りだくさん。
部屋でゴロゴロしながら読むのもいいけれど、実家に帰省して家族と一緒に読むのも楽しめるかもしれませんよ! 

 

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f:id:hitomonji:20170501220017p:plain「ほれ、お茶に呼ばれたから行かないとな・・・」

 

記事を読み終わると、アキコは颯爽と出かけていきました。
GWはご近所さんから引っ張りだこみたいです。

 

おわり

 

書いた人:ナカノ ヒトミ

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1990年長野県佐久市生まれ。最近、意識的に散歩をはじめた。
twitter: @jimonakano/個人ブログ: ナガノのナカノ

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 15話「聞きあきた昔ばなし」

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<柳田さんと民話・一覧>
15

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

・1話~10話までをまとめ読みする!

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

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日本最強の肩パッドは青森県? 県肩パット王国

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ここは 県肩パット王国 肩パットが県の国

 

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※肩パットとしてのフォルムの美しさです。県そのものの形のことではありません。

 

 

 

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そこへいくと私の香川県肩パットのシンプルなフォルムはまさに王道といえよう。
この国で7つめの地位を授かりし気品を感じるといえるな。

 

 

 

 

 

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香川がナンバー7なんですね。

 

 

 

 

 

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さらに!!
香川県名物・讃岐うどんをあしらうと…

 

見よ!!!!

 

 

フハハハハハハハ!!!!

 

 

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クックックック
相変わらず滑稽でなによりだよカーガワ君。
万年7番手というのがよく出ているね。

 

 

 

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誰だ!あ!!

 

 

 

 

 

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なんかまた出てきた…
見た目似た感じだけど地位が違うんだね。

 

 

 

 

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そうだ!なぜ私が貴様の下なのかわからん!
特になんの変哲もない埼玉県肩パットより、この洗練された香川県肩パットの方が…

 

 

 

 

 

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洗練か…
ではそのポケットの中のものはなんだ?

 

 

 

 

 

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そ、それは…

 

 

 

 

 

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国王はそういうのが一番嫌いなんだよ

 

 

 

 

 

 

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グググ…

 

 

 

 

 

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何を騒いでいるの…?

 

 

 

 

 

 

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あなたは…!

 

 

 

 

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ミーエヌ様!!!

 

 

 

 

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またきたよ…
もうさっさとここを出よう。

 

 

 

 

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あのう、ミーエヌさん

 

 

 

 

 

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なんだ?
見ない顔だな。

 

 

 

 

 

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実はこの国に迷い込んでしまいまして…
どうやったら帰れるでしょうか?

 

 

 

 

 

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なるほどよそ者か。
この国から出る方法はひとつ。
国王様の許可をもらうことだ。

 

 

 

 

 

 

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国王様はどこに?

 

 

 

 

 

 

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馬鹿者め。
そうやすやすお会いできる方ではないわ!

 

 

 

 

 

 

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呼んだか?

 

 

 

 

 

 

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間違いない…!!

 

 

 

 

 

 

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国王は青森なのか。
確かに青森肩パットはなんかいかついな…

 

 

 

 

 

 

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ああ…なんて凛々しい…

 

 

 

 

 

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国王はマグロだ!
国王はマグロなんだ!

 

 

 

 

 

 

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そうじゃ!
しかもとびきりの本マグロじゃ!!!

 

 

 

 

 

 

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なんなんだよこいつら…

 

 

 

 

 

 

 

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プクー!
これでもか!

 

 

 

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え?ここを触ったら
国王びくんって…

 

 

 

 

 

 

 

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そうかここは…

 

 

 

 

 

 

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お役に立ちましたでしょうか?

 

 

 

 

「都道府県マスター潤」一覧はこちら

 

 

ライター:室木おすし

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イラストレーター。イラスト・マンガ・GIFアニメ等を使用して活動中。オモコロライターとしても活動。特技「たべっ子どうぶつ盲牌」がフジテレビの番組「ジマング」で取り上げられて、そのことをたまに思い出してはニヤけている。お仕事常に募集中!お気軽に! 公式サイト:スシックスタジオ(http://www.susics.com)/ TwitterID:@susics2011

漫画でわかる『子どもの貧困』- ポイントは「3つの孤立」と「溜め」だった

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この記事はSmartNews ATLAS Program 2との連動企画です

 

最近「子どもの貧困」というキーワードを目にする機会が増えていませんか?

日本では、「6人に1人の子どもが貧困 ※1」と言われていて、一人親に絞ると半分以上が貧困だというデータも出ています。実は子どもの貧困先進国である日本…。しかも、どんどん見えづらくなっていて、社会が把握するのも困難な事態に陥りつつあります。

※1 出典:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査

そこで今回、貧困問題の巨人と言われている法政大学教授・社会活動家の湯浅誠さん、さらに孤立した子どもたちへの支援に取り組むNPO団体「PIECES」の小澤いぶきさんに話を聞いてきました。

難しい問題であるが故に「なかなか文字では伝わらない」ため、ジモコロは社会問題の実態を伝えるマンガを制作! "子どもが平等に夢見れる社会を残す"ことを目指してPIECESに1000万円分の広告枠を提供している「SmartNews ATLAS Program 2」と連携して、より多くの人に正しい知識が届くと嬉しいです。

 

atlas.smartnews.com

 

※登場人物紹介

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そもそも「子どもの貧困」ってなんなの?

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出典:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査

 

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現場に取り組むNPO団体の話を聞こう

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最後に -この企画に込めた想い-

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取材時の写真 左=望月優大、真ん中=徳谷柿次郎、右=小澤いぶき

スマートニュースの望月です。

「子どもの貧困」についてのニュースを見ることがとても増えてきました。ただ、「日本の子どもの6人に1人が貧困」と言われても、一人一人の子どもたちがどのような状況にいて、どんな気持ちで暮らしているかを具体的に想像するのは難しいかもしれません。

でも「家庭での孤立」「学校での孤立」「地域での孤立」そうした視点に立ってみれば、誰しもが子ども時代に味わったあの苦い感覚を思い出すことができるのではないでしょうか。

いじめや虐待という確固たる状態に発展していなくても、その一歩手前で孤立している子どもたちがたくさんいます。自分自身が直接体験していなくても、自分のすぐそばにきっといたはずです。

そうした子どもたちが「孤立」に閉じ込められた状態から抜け出すために、少しでも多くの「溜め」を回複していくために、小澤いぶきさんやPIECESは日々の活動を展開しています。

 

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湯浅誠さんによるPIECESコミュニティユースワーカー二期生たちへの研修会にも参加させていただきました

今回、スマートニュースが支援しているPIECESのことをより多くの人に伝えるために、ジモコロの柿次郎さんが共感して力になってくれました。マキゾウさんが素敵なマンガを書いてくれました。湯浅誠さんが知恵を授けてくれました。

最前線のNPOだけでなく、メディアや企業が力を合わせて後方支援をすることで、子どもたちのための支援が少しずつ増えていったらいいなと思っています。

PIECESのことをもっと知りたい人は、同じくSmartNews ATLAS Programに参画してくれたgreenz.jpによるこちらの記事も合わせてどうぞ!

 


また、PIECESの活動に興味を持った日本中のローカルの方々、ぜひこちらからご連絡をお待ちしています。PIECESが東京を中心に行っている活動をぜひ全国に広めましょう。

 

徳谷 柿次郎

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株式会社Huuuu代表取締役。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材したり、ローカル領域で編集してます。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学など Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916 Mail: kakijiro(a)gmail.com

望月 優大

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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム「SmartNews ATLAS Program」などを担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味はカレー、ヒップホップ、山登り。1985年埼玉県生まれ。Twitter @hirokim21 Facebook hiroki.mochizuki

マキゾウ

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鼻ミゾにちょっとしたこだわりをもって、イラストやマンガを描いています。絵を描く以外はたいていご飯とお金のことを考えています。早起きと脂身と臭い肉が苦手です。Twitter:@makizou_11

 

【ジモコロ2周年】金時山に「60kgの斧」と「目標」を立ててきた

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こんにちは! ジモコロ副編集長のギャラクシーです。

 

今日は編集長の柿次郎と共に、『金時山』に登るため、神奈川県箱根町に来ております。

 

なぜなら―

 

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この記事が公開される5月11日は、ジモコロがこの世に産声を上げてちょうど2年の記念日なのです。

というわけで今回は2年間のことを振り返り、そして3年目のジモコロを考えるために、山行で身を引き締めてみます!

 

それがなぜ金時山なのか……というのは、ちょっと特殊な事情があるので次項で説明しましょう。

 

金時山とマサカリ型の標柱

 

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f:id:eaidem:20170511113855p:plain「今回僕らが登る金時山って、どういう山なんですか?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「金時山は、箱根山の北西部に位置する標高1,212mの山……と言うより、昔話の金太郎が熊と相撲をした『足柄山』と言えばわかりやすいですね」

※ちなみに『足柄山』という山は存在していません。金時山から足柄山地にかけての山域の総称を『足柄山』と呼びます。

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「へぇ、金太郎の……。ここを登りながらジモコロの2年間を振り返ろうってことですね。関東近郊に山は色々ありますけど、金時山を選んだ理由は……?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「金時山って、神奈川県と静岡県の境にあるから、長い間、頂上がどっちの県にあるのか、フワっとしてたんですよ。実際は、神奈川県の箱根町に山頂が位置してるんですけど、わかりにくかったという

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「まあ、地面に矢印があって『ここです!』って書いてるわけじゃないですもんね」

 

 

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f:id:eaidem:20170511113916p:plain「そこで、『ここが山頂です!』というのがわかりやすいように、本日、箱根町をあげて、マサカリ型の山頂標柱を立てるそうなんです。そんな瞬間、見たことあります?

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「登山は好きなので山頂に『○○山 山頂』っていう柱はたくさん見てきましたけど、マサカリ型なんて見たことないですね。しかも立てる瞬間!」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「ちなみにこの標柱、制作費に数十万円かかってるんだって! 特注品ですよ!」

 

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出発前に、標柱プロジェクトに関わったみなさんが集合して、写真を一枚。

発起人の『金時山を愛する会』のメンバーや、町長さん、議員さんなど。すごい大人数が関わってました!

 

そんな標柱をたった今から頂上に運ぶと聞けば、なるほど、それはぜひ見学してみたい! でも重さが60kgもあるそうだから、頂上まで持っていく人は大変なんだろうなぁ。

ご苦労様でーす!

 

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ってワシらが担ぐんか~~い!

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「なんでこんな重いモン背負わなきゃいけないんですかー!」

f:id:eaidem:20170511113916p:plainメディア運営って、楽しいことはもちろん、苦しいことだって多いでしょ? 三年目を前に、重い荷物を背負いながら、一歩一歩登っていきましょうってことですよ!」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「今の状況に『楽しいこと』は無いですけどね」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「僕だって苦しいんだから我慢してよ!」

 

ジモコロ黎明期

 

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60kgの角ばった塊は、山道で揺れるたびに肩にグリグリ当たってめちゃめちゃ痛い!

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「ジモコロが誕生した時、僕はまだ関わってないどころか警備員のバイトをやってたんですが、そもそもどういう経緯で始まったメディアなんですか?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「運営会社であるイーアイデムさんが『メディアをやりたい』って声をかけてくれたのがきっかけですね。担当の人が、当時僕が所属してた会社(バーグハンバーグバーグ)のファンだったらしくて」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「へ~、柿次郎さんは、どこに魅力を感じて引き受けることにしたんでしょう? お金ですか?

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「お金もあるけど! メディアを運営するってそれだけじゃないでしょ?」

 

 

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f:id:eaidem:20170511113855p:plain「??? 他に何が……?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「あなた本当にライターですか? “想い”とか“社会的な意義”とかあるでしょ」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「あったんですか?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「いや、最初は『経費で好きなだけ旅行できる!』としか思ってなかったけど」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「余計悪いわ」

 

一年目のジモコロ 

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話してる間も着々と山を登っている我々。北斗の拳で聖帝十字陵に石を運んでる人のよう。

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「最初のほうは記事を作るのも手探りだったと思いますが、イーアイデム側の反応はどうでした?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「初期はオモコロ(バーグハンバーグバーグが運営する笑いに特化したWEBメディア)っぽい企画案を持っていったんだけど……反応はいまいちでしたね。僕自身もオモコロと同じことやってたら意味ないなと思って」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「なるほど。ターニングポイントになったような記事ってありますか?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「あります。風岡さんの記事ですね」

 

www.e-aidem.com

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「あぁ、クワガタとタケノコでフェラーリを買った男性の記事ですね。あとからテレビで話題にもなりましたよね」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「あの記事は、別の取材で通りがかった場所に、気になる看板を見つけて寄ってみたっていう、偶然が生んだ奇跡ですね。自分の足で探してちゃんと取材する……という一次情報ってスゲー大切だなと思いました」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「すでにネットにある情報を繋いで、記事っぽい体裁にまとめただけっていうメディアにはなりたくないと」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「そういうトゲトゲした言い方はやめてください。他には、自分の名前『徳谷』姓のルーツを探すっていう記事も、メディアとして大事な発見がありました」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「あぁ~! あの記事は民俗学っぽいけど身近に感じられるというか、ご近所感があるというか、確かにジモコロというメディアのカラーが出た記事ですね」

 

www.e-aidem.com

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「あと、こちらも別の取材の“ついで”で行った場所だったんですが、沖縄の座間味島の記事も、足で一次情報を探した結果ですね」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「その記事、未だに毎月検索が1万ページビューくらいあるんです。実は僕、読んだ時に『オッサンが夏を満喫してるだけやんけ』と思ったんですが、誰かの役に立ってる記事なんですよね」

 

www.e-aidem.com

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「意外とウェブって細かい情報が省かれてるんですよね。あとジモコロは一次情報を大事にしたいんで、地方取材に行くときは準備しすぎないっていうのを心がけてます。現地で飛び込んでいくのが一番良い!」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「……当日いきなり60kgの柱を担ぐことになった立場として言いますけど、僕には準備が必要なのでちゃんと教えてください

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「まあまあ、ほら! ここから先は車で標柱を運べるみたいなんで、ね? しんどいのはもう終わり!」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「とはいえ僕らが同乗するスペースはこの車になさそうですね。こんなにヘトヘトのカラダで今から標高1200mまで登るのかよ……」

 

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車にマサカリ型標柱を積み込んだところ。情けないことにもうヘトヘトです。

 

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休む間もなく頂上へ登り始めます。

早く登らなきゃ標柱を立てるのに間に合わない! 急げ~!

 

 

2年目は実験の年

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f:id:eaidem:20170511113855p:plain「はぁ、はぁ、つっれぇ~……。で、なんでしたっけ? もう2年目にいっちゃっていいですか? 2年目ってどうでした?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain雑かよ! 1年目がメディアを運営するための、いわば勉強の年だったから、2年目は実験の年にしたかったんですよ」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「実験? 具体的にはどういう記事がそれに当てはまるんでしょう」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「御柱などのお祭り取材とか、ですかね」

f:id:eaidem:20170511113855p:plainお祭りって、本当にその地方に深く根ざしたものだから取材するの難しいですよね。僕も岸和田のだんじり祭りを取材したことがありますけど、難しかったナー」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「そう、何百年も続いた祭りを1日とか2日で取材するのって無理がありますよね。でも興味が湧くと取材せずにはいられない……まさに実験のつもりで体当たりしました」

 

www.e-aidem.com

 

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「あと、奥出雲のたたら製鉄みたいな、渋い記事も積極的に作ってました。WEBにまだ汚染されてない情報を、ネット上に正しくアーカイブしていくという役割もジモコロでやりたいなと思って」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「正直、内容が難しいから敬遠されるかなと思ってたんですけど、意外と興味を持ってくれる人が多かったんですよね。難しすぎて僕は4割くらいしか理解できなかったのに」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「それでよく編集者やっとるな……」

 

www.e-aidem.com

 

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「NHKスペシャルのイゾラド(未開の森に住む部族)の記事なんかも良かったですね」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「これは、事前にめちゃめちゃ資料とか読み込んでから取材しました。動画とかもほぼすべて見たと思います」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「さっき“事前に準備しすぎない”のが大事って語った僕の立場は?」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain人それぞれやり方がある、ということです」

 

www.e-aidem.com

 

 

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苦労話も、山の空気を吸いながらだと楽しい思い出として語れますよね。

写真は、汗をかいてきたので上着を脱いだけど、関係者の人にもらった“前かけ”を律儀に着け直してるところ(前かけは山頂で買うことができます)

 

 

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金時山は、開けた場所が多くて登山するにはほんと気持ち良い山でした。山頂まで70分くらいでいけるので、初心者でも登りやすいですよ!

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「記事として印象深いのは、山本さほさんの、『さわやか』っていうハンバーグ屋さんへの愛を描いたマンガとか。愛って、すべてを突破できるんだなって思った」

 

www.e-aidem.com

 

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「僕はARuFaくんの、インテリアコーディネーターに自分の部屋へのアドバイスをもらう記事が好きでした。爆発的に伸びましたね

 

www.e-aidem.com

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「インターンの子に書いてもらった旅荘秋元の記事も良かったですね。実際に1週間くらい泊まってもらったから、すごくリアルな記事になった」

 

www.e-aidem.com

  

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「記事以外の、ジモコロ全体の活動として『こんなことあったなー』っていうの、あります?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain熊本地震の復興のために何かやりたいと思って、ライターを100人集めるイベントをやりました。色んな人が来てくれて、嬉しかったなぁ」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「支援というのは色んなやり方がありますけど、すごく新しい形でしたよね。素晴らしい試みだったのではないでしょうか」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「うん、まあ、ギャラクシーさんは来ませんでしたけどね」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「忙しかったから……」

 

 

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グッズを作ったのも思い出深いですね。こちらはジモコロの手拭い。

 

 

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あ、これは関係ないです。たまたま持ってた「宇宙戦隊キュウレンジャー」のタオルです。

 

3年目のジモコロはどうなる?

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もうすぐ頂上。ヒョエ~! すごい絶景!

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「ここ最近の出来事で言うと、柿次郎さんが独立したっていうのが大きいですかね」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「そうですね。今は外部編集長という立場になりました」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「興味なかったんで今まで聞きませんでしたが、なんでバーグハンバーグバーグを辞めたんですか?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plainもうちょっと興味持ってよ! 当時は、取材や打ち合わせで地方に行き過ぎて、会社にいる時間がほとんどなかったんです」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「柿次郎さんがバーグにいた頃、僕は隣の席だったんですが、確かに全然デスクに座ってなかったですね」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「一方で、他のローカルメディアとかにも認知されて繋がりができた。一気に幅が広がったというのがあって。それならいっそ独立して、ジモコロで気づいたローカルの世界に専念したくなったんですよね」

 

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繰り返しますが初心者でも余裕で登れる山です。僕らが登ったルートは人もたくさんいたし、道しるべも多かったので、張り切って購入した地図を一回も開きませんでした

 

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「立場も変わって、ジモコロもかなり認知されてきて……さて、3年目ですけども。何かやりたいことはあります?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「人を育てたいという思いはずっとありますね。新人ライターに力をつけてもらって、新しい風を起こしてほしい。ただしジモコロの核になる部分はずっと変わんないです」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「それは一体……?」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain仕事と地元という大きなくくりと、それを伝える温度感が大事だって思ってます。人肌の温度感がある記事、人間が見える記事

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「なるほど、それは僕も忘れず、心掛けたいと思います!」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「(この人、かなり忘れてる気が……)あっそうだ! 去年、紙版のジモコロ(フリーペーパー)を出したんですよね。メチャクチャ好評だったんで、今後は半年に一回くらい作ろうかなって思ってます」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「最新のフリーペーパーは現在鋭意製作中です。お楽しみに!」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「おや、そんなことを言ってる間に……」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「あっ、もう頂上?」

 

 

f:id:eaidem:20170510224228j:plain

 

 

f:id:eaidem:20170510215944j:plain

 

 

f:id:eaidem:20170510225800j:plain

 

 

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ついに山頂に到着! 富士山まる見え~~!!! 疲れが吹き飛ぶ光景ですねこれは。

 

 

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そして、車とリフトで運んできたマサカリ型の標柱も到着!

 

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神秘のベールが今……

 

f:id:eaidem:20170510225548j:plain

御開帳じゃ~!

 

 

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さっそく登山客が次から次へと記念撮影してました。いやぁ、最初の方だけとは言え、担いで登った身としては感無量です。

みなさんも金時山に登った際は、ぜひ山頂のマサカリと一緒に、金太郎気分で写真を撮ってくださいね!

 

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「ふう、今日はジモコロのことを振り返れたし、金時山の歴史的な瞬間にも立ち会えたし……良い登山でしたね」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「これからも頑張ろうって、決意を新たにしましたよ僕は!」

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「ですね。富士山を前に、今こそ誓いましょう。ジモコロを日本一素敵なメディアにしてやるって!」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「はい! それはもう、金太郎のごとく!

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「よくぞ言った~!!!!」

 

f:id:eaidem:20170510224252j:plain

 

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「……………」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「……………」

 

 

f:id:eaidem:20170510230111j:plain

f:id:eaidem:20170511113916p:plain「(金太郎ってそんな話だっけ……?)」

f:id:eaidem:20170511113855p:plain「(金太郎って熊と相撲する以外に何した人だっけ……?)」

 

 

(3年目に)つづく

 

 

ざっくりわかる:金太郎ってどんな話?

金太郎は平安時代に実在した人物・坂田金時をモデルにした昔話です。

足柄山で熊と相撲をとるなど、元気でたくましく育った金太郎は、武将・源頼光と出会い、その力量を認められて家来となります。そして丹波の国の大江山(京都府福知山市)に住む酒呑童子を退治するなどして活躍したそうです。

きんたろう (日本昔ばなし アニメ絵本 (14))

きんたろう (日本昔ばなし アニメ絵本 (14))

 

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

「所有者不明の橋」の犯人を追ったら…収拾がつかなくなった話

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こんにちは。散歩おじさんのヤスノリです。

 

今日は、確固たる決意で、神奈川県川崎市高津区にある「噂の現場」に来ております。これ、何だかお分かりになりますでしょうか。 

 

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簡単ですか、そうですよね。

じゃあせーのでいきましょう、せーの! 「移動動物園!」「ルンバ実演ゾーン!」「ベイブレード世界大会会場!」

全然揃いませんでした。間違えた皆さん、魂の没シュートです。

 

www.asahi.com

これは、多摩川沿いに流れる人工用水路・二ヶ領用水にかかる「所有者不明の橋」です。2017年3月14日の朝日新聞デジタルで取り上げられていたので、見た方も多いんじゃないでしょうか。

記事によれば、橋が危険な状態になっているのですが、市で作ったものではないので修理できず、さらに所有者が不明ということで、困っているそうです。取材時は、歩行者のみ通行できるようになっていました。

所有者不明の橋だって。わくわくするよね。そもそも橋を所有って何よ。あなた、人生において橋を所有したことあって?

 

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確かに、穴が空いて鉄筋が見えてます。イナバ物置の社員が100人乗ったら落ちそう。イナバ物置の社員がここに来てイナバポーズ決めませんように!!

ところで、この勝手橋が掛けられている二ヶ領用水というのは、神奈川県内では最古の用水路です。作られたのは江戸時代初期。

昔は農業用水としてこのあたりの農村を潤していました。その後工業用水に転用され、今では、環境用水として市民の憩いの場になっています。

 

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さて、一体誰がこんな勝手な橋を作ったのか?

僕は決めたんです。この謎を解くまで帰りません。

神奈川住みのお散歩おじさんにとって、二ヶ領用水は庭のようなものなのです。庭じゃないか。水路だもんな。じゃあなんだろ。おふろ? おふろのようなものです。 

 

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捜査の友であるところのあんぱんもいっぱい買ってきました。

がんばるぞ!!!


さて、捜査といえば、まずは聞き込みですよね!!! 近くの人に聞いてみましょうか。

 

f:id:tmmt1989:20170509020534p:plain「すいません、この橋いつからあるんですか?」

f:id:tmmt1989:20170509020543p:plain「ん、あー、確かねえ、昭和50年くらいですよ」

f:id:tmmt1989:20170509020534p:plain「意外と最近! じゃあ、出来た瞬間を知ってるんですね」

f:id:tmmt1989:20170509020543p:plain「知ってますよー。見てたもん」

f:id:tmmt1989:20170509020534p:plain「ヒャー。じゃあ誰が作ったかも知ってる……」

f:id:tmmt1989:20170509020543p:plain「そりゃあ、だって見てたから」

f:id:tmmt1989:20170509020534p:plain「宅地開発とかの業者の方ですか? 」

f:id:tmmt1989:20170509020543p:plain「いや住人住人」

f:id:tmmt1989:20170509020534p:plain「ちなみに、誰……」

f:id:tmmt1989:20170509020543p:plain「こんな騒ぎになっちゃったらモゴモゴ、みんなで住んでるからモゴモゴモゴーン……」

 

わー! ノンフィクションでよくある、地元住民は犯人知ってるパターン!
いきなり解決したズコー!

 

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終わりです。

 

 

f:id:yasunori:20170414142829j:plain

残ったあんぱんです。

 

ほかの私設橋も見てみよう

さて、ここで終わりでも良いんですけど、実は、この近くには、住民が作った私設橋がほかにもいくつかあるんです。見たい? 見ましょう!


ああ、その前にまず、公式な橋から見てみましょうか。

 

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これは、市が作った二子塚橋。

 

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こんな感じでね、竣工年が書いてあったり、間違いなく公式です。
では、これはどうでしょう。

 

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これ怪しいですよね。まず、鉄板置いただけっていうね。あと、橋の名前が無い。
多分これは私設橋じゃないかな。欄干は鉄管でしょうか。

 

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ガシっとしたやつで、ガシってなってるから大丈夫だと思います!

 

次これ。

 

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何かを転用して作った、DIY感あふれる橋です。

欄干、フェンスに立てかけてあるだけじゃない? 大丈夫? って思ったのですが、

 

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ご安心ください。フェンスに溶接してあります。

次、これはどうでしょう。

 

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もう書いてますからね。私設橋って。自己申告型の私設橋です。

 

ところで、この橋は川沿いの工場の私設橋なんですけど、許可を取ったことをものすごくアピールしてます。そうなんです。私設橋を作っても即死刑で首を橋の下に晒されるってわけじゃないんですよ。その青龍刀をしまってください。区の河川課に許可を取れば、自分で橋を作ることができるんです。

しかもここ「一般通行可」って書いてます。優しい〜。一休さんはこれ見たらどんなとんちで切り抜けるだろう。あっ切り抜ける必要ないわ。普通に通るわ。

 

ところで、なぜこんなにマイ橋作るのが流行ってんの? 付近の住民向けに毎月ディアゴスティーニから橋パーツでも送られてくんの? って話なんですけど、あのねえ、公式橋が少なすぎるんですよ。

 

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こことか、見て。長いこと橋無いですからね。

向こう岸に5兆円落ちてたとして、取りにいくのめんどくさくて諦めるレベル。これは不便ですわ〜。お話を聞いた住民の方も、私設橋はなくなると困る、と仰っていました。

 

残る疑問、そして真犯人は!?

さて、いろいろな私設橋を見て参りましたが、例の問題の橋、改めて見ると、よく出来てるんですよ。

 

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建築レベルが高いってのもそうなんですけど、あのですねえ、この立地がとても秀逸なんです。


先に見てきた私設橋は、橋が少ない箇所に無理やり掛けた感じが否めないのですが、この橋は、両岸の道を自然にうまく繋いでいて、(今は車両通行止めですが)車が往来していたんですから。

ちなみに直進すると府中街道へ出られます。こんな便利な道に、橋が掛かったのが昭和50年なんて、信じられる?


お散歩おじさんの直感ですが、この道は、古い気がするんです。もっと前から橋があって、この道は人の往来があったんじゃないかなあ。

 

ということで、冒頭の住民の話は一旦忘れて、古い地図で、この橋の起源を調べることにしました。さて、歴史を紐解く前に、ひとつだけ頭に入れておいていただきたいことがございまして…。


実はですね、その昔、二ヶ領用水の場所は、ここじゃなかったんです。

 

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f:id:yasunori:20170329130218j:plain

これは、現・二ヶ領用水のちょっと南にあるのですが、見る人が見ればピンときますよね。お察しの通り、この道は”もと”川で、「旧二ヶ領用水」です。かなり蛇行して流れていたんですね。

付近が住宅街になって農業用水が不要になったこと、川下の川崎方面で工業地帯が生まれたことなどの影響で、二ヶ領用水を工業用水に転用することになったんですって。そのとき、流れをまっすぐにつけかえたんですね。二ヶ領用水が今の場所になったのは、昭和16年だそうです。

そして、今のまっすぐの二ヶ領用水は、もともとは、二ヶ領用水から引いた水を田んぼに流す細い用水路だったようです。

 

さて、それを踏まえて本題です。橋と道は、いつからあったのか
明治・大正の地図では、残念ながらその存在を確認できませんでした。でも、旧日本軍の陸地測量部が作成した昭和初期の地図を見ると……

 

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(昭和3-11年 陸地測量部 1万分の1地形図)

 

下のほうで蛇行している太い水色が旧・二ヶ領用水です。現・二ヶ領用水はまだチョロチョロした波線として描かれています。

そして、見えますかね。チョロチョロ破線にかかる橋。赤線は小径で、府中街道に抜けられそうなところも今と同じ。やっぱり、この橋と道、昔からあったんですよ

ですので、犯人は誰? と聞かれたら、うーん、昭和初期にチョロチョロ川に橋かけた人、なのかなあ。でも当時はおそらく私有地でしたし、まったくもって合法なんですけども……。

 

ついでに橋のその後を追ったら……

さて、調査ついでに、その後を追ってみました。

先に申し上げておきますと、収拾つかなくなりました

このあと、昭和16年に、このチョロチョロ波線のほうが二ヶ領用水の本流になります。
昭和20年以降の航空写真はわりと鮮明なので、写真で橋のその後を追ってみましょう。

 

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(米軍撮影の空中写真 昭和22年撮影 赤丸は筆者)

んんー。ちょっと見づらいけど、橋は未だに健在のようです。

そして、これ見てくださいよ。問題は38年ですよ。この頃は二ヶ領用水の整備が進んで川幅が広がっているのですが……

 

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(国土地理院撮影の空中写真 昭和38年撮影 赤丸は筆者)

 

増えてね?

お〜い、便利そうですな〜。橋が複数ある安心感よ。改心前の刀狩り弁慶がひとつの橋で待ち構えても別の橋を渡って難を逃れることができます。橋はそれぞれ、あぜ道に掛かっているように見えます。 

 

さて、冒頭の住民の証言が正しければ、このあと橋は一旦無くなります。ただ非常に残念なお知らせなのですが、昭和40年代の空中写真が見つからず、ここは確証がありません。

 

なぜ橋が無くなったのか? ちょうど田んぼが住宅街に変わる時期と重なるのが気になります。あぜ道が不要になったので、田んぼの持ち主が壊したのかもしれませんね。

そして、昭和50年ころ、今の橋が出来た、ということになりますが、昭和54年の写真、これ見て。

 

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(国土地理院撮影の空中写真 昭和54年撮影)

怖い怖い!

橋がさらに増殖しているんですよ。5本? 6本? 橋のカンブリア紀です。世間的に橋をかけることがカジュアルになったんですかね。そんな文化ありましたっけ。月9で橋かけるドラマみたいのありましたっけ。

 

しかし平成になると、問題の橋は突然1本に落ち着きます。

 

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(国土地理院撮影の空中写真 平成21年撮影) 

逆に怖いわ。その、消えたやつに何があったんだよ。急に増えたのも怖かったけども、急に減るのも怖い。あと残った一本が太くなってるのも怖い。キングスライム方式?

そして、お気づきでしょうか。なんだかんだで昭和初期の姿に回帰しているんですね。周囲の風景が変わっても、多分この土地には、ここに橋をかけざるを得ない圧力みたいなのがあるんですよ。

最初にチョロチョロ川に橋かけた人もさあ、自分の橋がこんな風に脈々と受け継がれて新聞に載るなんて想像してなかったよね、きっと。

まさに、時代の架け橋。増えたり減ったり無くなったりしながらも時を超えて何度も蘇る、不死の私設橋なのでした。

 

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それよりも、あんぱん旨いですよ。
現場からは以上です。

 

書いた人:ヤスノリ

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こんにちは、ヤスノリです。街をうろうろして何か書いたりしています。 Twitter:@yasunori

姫を続けて30年!?『心斎橋のシンデレラ』に聞いた衝撃のHAPPYマインド

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こんにちは。株式会社人間の社領です。

 

突然ですが私、自分の個性のなさに悩んでいます。
特別ハマッているものもなし、特徴的なファッションでもなし。かわいすぎずブスすぎない顔に、太りすぎず痩せすぎもしない身体。最近の趣味は「スマホにズームレンズをつけて毛穴を見ること」といったドクソしょうもないものしかありません……

 

あ〜〜! 個性が欲しい〜〜〜!!

 

そう嘆いていたところ、ジモコロ編集部より「そんな社領にピッタリな人が大阪にいるから、是非取材してきてほしい!」とある方をご紹介いただきました!

 

というわけで今回の取材相手は……この人!

 

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f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「どうも〜!"今"世界でイチバン盛れている進化型てんこ盛りの大爆発!! 美意識炸裂・極上HAPPYスマイルの『心斎橋のシンデレラ姫』です〜!社領さん、姫と会ったからには魔法にかかってハッピーになること間違いなしね!!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plainいや〜〜! 個性スゴいな〜〜〜!!

 

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あふれんばかりのドレス!


この女性は、ブライダルサロン・ルアージュの松本明子さん! 年齢不詳、その名も『心斎橋のシンデレラ姫』です。

この風貌から大阪ではかなりの有名人でして、テレビ・メディアでも活躍されている方なのでご存知の読者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

松本さんはホームページもお持ちなのですが、それがまた死ぬほど個性的でして……

 

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こちらが姫のホームページです!

 

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ビデオクリップ、CDの販売……?

 

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松本明子写真集……?

 

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『松本明子写真集』のページです!


自己顕示欲がヤバい!!!なんなの!? どうやったらこんなに個性を爆発させられるの〜!?

というわけで今回は、知られざるキャラクター「心斎橋のシンデレラ姫」の個性の秘密を暴いちゃおうと思います!

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「どうぞよろしくお願いします!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「はい、よろしくね。」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「……。」

 

 

f:id:eaidem:20170518171514j:plain

 

なんだこの眉毛…………?

 

シンデレラにツッコミ5連発! 姫ってどんな人?

もうとにかく突っ込みどころが多すぎるので、片っ端から聞いていくことに。

 

Q1:その眉毛、何ですか!?

 

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「これはハッピーまゆまゆです」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「ハッピーまゆまゆ」

 

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眉が2つあるので「まゆまゆ」らしい。吸い込まれそうな目である

 

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「この目と眉の間の空間で、姫はハッピーオーラを取り込んでいるの」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「ハッピーオーラ?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「このハッピーまゆまゆのおかげで、ハッピーを取り込んだ姫は常にハッピー。すなわちこのサロンもハッピー。
そしてハッピーでキラキラなオーラは下から上へと上がっていくから、実はこのビル全体は極上ハッピーで最高なのよ!」

 

f:id:emicha4649:20170516015253p:plain

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain

 

Q2:何のお仕事してるの?

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「ブライダルサロン・ルアージュのお姫様オーナーをしております!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「えっ!! 社長なんですか!?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「そうよ! 会社を立ち上げてもう30年になります。ここ、姫のお店よ」

 

f:id:emicha4649:20170517223804j:plain

このすごいスペースの奥に事務所があるらしい!

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「へえ〜〜! 姫、書類仕事とかするんですか?(なんか、ついつい姫と呼んでしまう!なんだこれ!)」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「見積書も請求書もバンバン書いちゃうわよ!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「社員もいるんですか!?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「いるわよ!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「マ、マジで社長なんだ……!」

 

Q3:CD&ビデオクリップって何なの?

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「姫のファンの皆さんが熱望するから『心斎橋のシンデレラ姫』『超熟美魔女』っていうお歌を作っちゃったのよ! 姫、お歌大好きだし」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「姫、ファンいるんですね!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「めっちゃいるわよ〜! そこの郵便局の局長さんなんかも姫のファンで、局で姫のチラシを配ってくれてるのよ!」

 

f:id:emicha4649:20170515111322j:plain

f:id:emicha4649:20170515111546p:plainこれ郵便局で配っていいやつ!?

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「好評らしいわよ〜」

 

Q4:毎日何食べてるの?

f:id:emicha4649:20170518101811p:plainスイカとサラダが大好き! サラダ最高よ! 簡単だし、何を入れても美味しいじゃない。フルーツとか綺麗なものや、プリンを入れるのも好きよ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「へぇ〜。プリン?ていうか自炊するんですね!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「するわよ! 基本的に台所が汚れない物しか作らないけど。でも煮物も大好き!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「日本食も食べるんですね! コンビニ弁当とかは……?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「コンビニよりも手作りがいいわ。愛があるから」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「ハッピーだな……」

 

Q5:毎日そのメイクとドレスなの?

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「そう! この30年間、欠かさずこのメイクとドレスを続けてきました!寝巻きもドレスよ!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「欠かさず〜〜!? す、すごい! その化粧とヘアメイクって、どのくらいの時間がかかるんですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「だいたい4時間……

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain4時間

 

f:id:emicha4649:20170518105258j:plain

4時間の結晶

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「スッピンで外になんて絶対出ないわ。美しくないもの」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「じゃあ、もし寝てる間に隕石降ってくるとか、緊急事態になったらどうします!? やっぱりスッピン?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plainそんなハッピーじゃないこと考えたことないわ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「Tシャツとか着たくなっちゃわないんですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain姫の魂がドレス着ろって叫んでるのよね……

 

f:id:emicha4649:20170515111233j:plain
いかん、面白すぎる。お腹いっぱいだ!

 

姫はどうして『姫』になったの?

心斎橋のシンデレラ姫の正体は、やりすぎなくらいハッピーな女社長だったのでした。

しかし、一体どうしてこんな強烈なキャラクターが産まれたのでしょうか? いつからこんな格好なの? 気になることは山ほどあるので、姫の生い立ちから紐解いてみることに!

 

聞いてみると、なんと姫は熊本生まれ! 4人兄弟の末っ子で、一番上の兄とは12も年が離れてるとか。

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「く、熊本っぽくないなー!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「なかなか立派な庭付き日本家屋に住んでたわよ。小さい頃はよく、朝目覚めたら枕元にドレスが置いてあって嬉しかったわね」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「姫らしいエピソードだなぁ…。失礼ですが、もちろん義務教育受けてたんですよね? すみません、全然想像がつかなくて」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「もちろんよ! 大学までしっかり卒業しました! でも姫、高校まで学校が大嫌いだったの。同じ服を着て同じ授業を受けて、面白くないんだもの。制服を改造しては姫の母親が呼び出されてたわ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「問題児じゃないですか!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「でもあんまりキツく言われなかったわよ、素行だけは良かったから。ダンス部にもきっちり通ってたし。母もずっと『好きにやりなさい』って言ってくれてたわ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「『普通であること』が嫌いで、それをお母さんは受け入れてくれてたんだ。今の姫の個性にめちゃめちゃ通じるなぁ」

 

その後、山口の短期大学でファッションを学んだ姫は、就職のために大阪へ。

世はバブル時代。ファッション関係の会社に入った姫は、一人だけほぼ独立状態で働いてたそう。

あらゆる服飾関係の企業とライセンス契約を組み、今年のトレンドを教えたり、ブランドのコンサルティングをしながら回っていたそうな。バリバリの働きマンじゃん!

 

こちらが当時の姫の写真。

 

f:id:emicha4649:20170515111234j:plain
かわいすぎるのでたくさん載せます!

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plainえええええ!?!? これが姫!? めちゃめちゃお洒落でかわいい!!……ていうか姫、お子さんいらっしゃるんですか〜!?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain子供が3人と、孫もいるわよ!みんな結婚して家を出ちゃったわ。ちなみに、家族からも姫、姫って呼ばれてます」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「マジか〜…! あの、ちなみにお子さんたちって……どんなメイクやファッションをされるんですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「……ジーパンとか?

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain普通

 

そんなこんなで今から30年前! "誰もがお姫様になれる"ブライダルの良さに目覚めた姫は独立。

ルアージュを立ち上げ、当時40万円ほどでレンタルされていたドレスを5万や10万の破格で提供するサービスをはじめました。

 

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「ドレスの神様が姫の魂に火をつけたのよ〜!」

 

そして、独立と同時に"誰もがお姫様になれる"ということを自ら体現すると決心した姫は、奇抜なドレス・メイクで毎日生活することに。

ついに歩く広告塔、心斎橋のシンデレラ姫の誕生です!

 

f:id:emicha4649:20170515111235j:plain

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「うわ〜! あどけない、かわいい〜! まだまだこの頃、眉毛の角度も普通ですね!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「そしてこれがその後の写真」

 

f:id:emicha4649:20170515111236j:plain

 

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そのさらに10年後

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain年々HAPPYオーラが増し増しに……

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「でも、破格のレンタルドレスかぁ。安い価格で取引するって大変じゃなかったですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「そりゃもう大変よ〜! ものは売れるけど、とにかく大変なの! 安くドレスを仕入れるために挨拶に回ったり、展示会の準備をしたり、自分でデザインしたりで大忙し。姫の極上ハッピーマインドで乗り切ったけど」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「へえ! 姫、デザインされるんですね」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「独学だけどね。雰囲気でパッパッとチャッチャッと、なんでもやれば出来るものね。その頃は既に旦那と離婚してて自分だけが頼りだったから、子供のためにお金をかき集めたわ〜」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「姫、離婚してたの!?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「そうよ〜! 一人で子供を育て上げたのよ! その上キャリアウーマンよ!」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「めちゃめちゃ苦労人だった!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「もう今は再婚してるけどね。ほんと大変だったけど、大変なことしないと伸びないし。姫は根性だけはあるから、バブル崩壊とか色々あったけど、まぁなんとかやってきたわね」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「今、お孫さんもいてお子さんとの関係も良好なんですよね。お母さんが奇抜なうえ超忙しいって、よくグレませんでしたね」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「苦労してたの見てくれたのかな……。姫が子供たちに大人気だったのも良かったのかも。姫って人気者だから、授業参観に行ったら大変なのよ〜! 子供達がワッと寄ってきて質問攻め・サイン攻めにあったわ〜」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「小学生、姫にめっちゃ興味もちそ〜! その時、子供たちの親御さんたちはどんな感じだったんですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「『姫〜! 私もサインちょうだ〜い!』って感じ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「大阪らしすぎるエピソードだなぁ……」

 

これまでもこれからも、いつまでも『極上HAPPYスマイル』な姫

現在のRouageは、姫も合わせて全員で5名。男性スタッフもいるんだとか。

 

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店内にあった姫の祭壇。姫はお掃除が苦手なので、大抵の汚れは吐息で飛ばすだけらしい。

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「最近のブライダル事情はどうですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「ここ10年前ですっかり価値観が変わったわよねぇ。結婚にお金を使わなくなってきてるし、そもそも結婚しないし……。でも結婚って立場も変わるし、考えることも増えるから人として沢山成長することだと姫は思うのよ。家族ができるって素晴らしいことだしね」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「まだまだ地道な活動が必要っぽいですね」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「でもたまに、『姫にプロデュースしてほしい』ってお客様が急に増えることがあったりするのよ。ビックリよね。景気ってわかんないわね」

 

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色んなことを経験してきた姫。派手なメイクの下でどんなことを思うのだろう

 

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「しかし毎日楽しいわ〜。必死でいることって楽しいわよね」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「でも、年月って確実に過ぎるし、みんな絶対老いていくじゃないですか。それでも姫をやる理由って何なんですか? 率直に聞くけど、姫は老いって怖くないの?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「ぜーんぜん! 全部、やりたいからやってるの。姫は今が理想の自分。年々きれいに、年々極上HAPPYになるんだもの!

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「す、清々しいくらいのハッピー論!」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「だから大丈夫! 社領さんも、とっても素敵にしてあげるわよ!

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「あぁ、それはどうも……え?

 

 

〜2時間後〜

 

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改めましてこんにちは!! 株式会社人間の社領エミです!!

 

「とっても素敵にしてあげる!」と言われた私、姫に素敵にメイクを仕上げてもらっちゃいました。

どうでしょうか。素敵になりましたでしょうか。

 

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頭とまぶたが重い。重すぎる


なんとこのメイク、ファンデーション4種類に仕上げのルースパウダーを5種類。アイライナーはボタボタのリキッドで濃くガッツリ! 付けまつ毛は上2枚・下1枚の極厚盛!

姫自ら、3時間かけてじっくり仕上げていただきました! やった〜!

 

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ちなみに私は鏡を見た時ぶったまげました!


というわけで、「絶対楽しいわよ!見られるのって最高よ!」との姫の意見のもと、この格好で姫と一緒に街へ出てみることに!
お店からすぐ近くの心斎橋筋商店街にやって参りました。

 

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付近で一番明るかったブックオフの前で記念撮影

 


果たしてみんなはどんな反応を…? と思うやいなや、

 

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うわー!! めちゃ人気者だー!!!

姫、思っていたより有名人みたいです! ひっきりなしにファンの方に写真を求められております。すれ違う人たちから「あ! 女社長だ!」「姫だ!」「あの人テレビで見た」「綺麗……」なんて声も聞こえたり……。

 

f:id:emicha4649:20170515111544p:plain「あの、姫にメイクしてもらったんですか?」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「あ、そうなんです! 可愛いでしょ〜!?」

 

あ〜、注目されてる、恥ずかしい〜! でも不思議と明るく受け答えをしてしまう!

そう、このメイクをしてると暗い態度を取る方が逆に恥ずかしいんですよね……。外見に引き摺られてしまう!

 

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「もしかしたら姫自身も、こうしてどんどんハッピーになったのかもしれないな」と思いました。

「誰もがお姫様になれる」という強い思いを身体で表現すること。最高のハッピーを追い求めた結果、たどり着いた場所がここなのか……。

 

通りすがりの人々に囲まれながら、輝く笑顔を見せる姫。

姫の人生を聞き、こうして周りの人々も笑顔にしている状況を目にすると、姫のことを最初とは全く違った目線で見ている自分がいました。

 

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「姫は将来何になりたいんですか?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「姫はずーっと姫のままよ。将来はねぇ……フランスの山のあるところに、極上HAPPYなお城を建てたいわ」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「フランスに城!? すっごいお金かかりますよ!? あります!?」

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「ん〜、ない! めっちゃ大変だと思うけど、でも極上キラキラHAPPYで頑張っちゃうし大丈夫よ!」

 

姫はきっと、本当に死ぬまでお姫様であり続けるのでしょう。

いつまでも理想と共に走る姫。未来がつい不安になってしまう昨今ですが、姫のように自由に生きられる人が少しでも増えたなら、世の中はもっと面白くなるのかもしれません。

 

はたまた、自分がそうなったら……?

 

f:id:emicha4649:20170518101811p:plain「いつでもキラキラメイクしてあげるわよ?」

f:id:emicha4649:20170515111546p:plain「いえ、全力で遠慮しときます!!」

 

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(おわり)

 

<お店の情報>


ブライダルサロン ルアージュ
〒542-0081
大阪市中央区南船場3-1-10 日宝南船場ビル1F

 

ライター:社領エミ(株式会社 人間)

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"面白くて 変なことを 考えている"会社、株式会社人間の書けるムードメーカー。一番好きなコスプレは駅員さんのコスプレ。
Twitterアカウント→@emicha4649

 

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大阪府の求人、アルバイトはこちら!


ロシアの夫とハラショー日本「外国人には敷居が高い? 茶道を体験!」

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東京で生活するマンガ家・シベリカ子が、夫のロシア人男性・P氏と共に、日本をレポートします。料理や文化など、ロシア人から見た日本や東京を、優しい絵柄でのんびり切り取りますよ!

きっとハラショー(素敵)なニッポンが待っている……?

 

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ロシアの夫とハラショー日本|一覧

 

 

●シベリカ子の単行本情報

おいしいロシア (コミックエッセイの森)

おいしいロシア (コミックエッセイの森)

 

 

書いた人:シベリカ子

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埼玉県出身、東京都在住。漫画家、イラストレーター。ロシア人の夫と1年間ロシアに滞在した時のことを描いたコミックエッセイ「おいしいロシア」で単行本デビュー。
ツイッター:@ShibeRikako
ブログ:シベリカ通信

コスプレ歓迎!? 創業400周年を迎える「菱野温泉」の経営に新しい旅館の姿を見た

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こんにちは、このたびTwitter界からライター界にやってきた、「おいでよ長野」と申します。本日はヒトフォルムで長野県小諸市へとやってきました!

 

普段はTwitterにて長野県の豆知識を呟いたり、

 

勝手に替え歌を作ったりして信州をPRしているんですが… 

 

今回は、娯楽を楽しむことに特化したヒトフォルムで、「ただの温泉旅館ではない」とウワサの「菱野温泉」さんに行ってきました!!

 

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ゲストとして、信州おいでよ仲間の「おいでよ南信」さん(左)、「おいでよ松本」さん(右)にも来て頂きました。

f:id:tmmt1989:20170517210857p:plain「長野さん、菱野温泉はどんな風に『ただの温泉旅館ではない』んでしょう?」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「それはですね……」

  

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f:id:tmmt1989:20170517210849p:plain「浴衣姿でと触れ合えたり」

 

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f:id:tmmt1989:20170517210849p:plain「敷地内に登山列車で行く絶景露天風呂があったり」

 

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f:id:tmmt1989:20170517210849p:plain「館内のコタツで漫画が読み放題だったり、ほかにも池の上に浮くお風呂があったりコスプレ歓迎の上にアニメ関連のイベントを開催してたりするんですよ」

f:id:tmmt1989:20170517210838p:plain「なにやら色々ヤバそうではないですか…!!」

 

という訳で、菱野温泉の取締役の方へのインタビューを交えつつ、旅館としても400年以上の歴史をもつ菱野温泉の魅力を存分に味わってきました!

 

菱野温泉に到着

菱野温泉には「薬師館」と「常盤館」の二つの旅館があるのですが、今回宿泊させて頂く薬師館に到着!それでは早速中へ…

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainうおおおお~っ!」

 

大正モダンを感じさせる温かな雰囲気のロビーが目の前に現れ、思わず「うおおおお~っ」という言葉がこぼれました。新鮮な体験!

 

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見てください、この浴衣の数。この中から好きな柄、サイズを選んで着ることができます。ついでに無料でもらえる靴下も自由にコーディネート可能!しかも全部無料

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain「いや~素晴らしいホスピタリティですね。菱野温泉さん。着いてからまだ20分くらいしか経ってないですけど、この時点で永住したいです」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「いやいや、まだまだ序の口ですよ…。今回は、菱野温泉さんの魅力という魅力を巡りまくりますから…!」

f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「おっ、パンフレットを見たら、近くの池にがいるらしいですよ! あとポニーも! 見に行きませんか、みなさん」

 

 

菱野温泉の楽しいフレンズたち 

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薬師館の外にある池にやってくると鴨の姿が!……あ~、ですよね。怖がって近づいてくれませんね。

 

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でも大丈夫! 今回は温泉のロビーで販売している秘密兵器、「やき麩」を用意しました! これを使って…

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainわ~い!た〜のし~!!どんな恐怖も、食欲には負けるよね~!!野生~!!」

f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「面白いように鴨が集まってきてる」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「お次はポニー!餌やり楽しみ~!」

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainうおおおおおお!すごい食いっぷり!!」

f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain「浴衣姿でポニーに餌やりする絵、シュールすぎる」

 

 

登山列車で行く絶景露天風呂へ

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 さて、楽しい菱野温泉フレンズたちと戯れたところで、菱野温泉にあるもう一つの旅館「常盤館」にやってきました。

薬師館でもらった湯めぐり手形を使って登山列車に乗り込み、さらに山の上の露天風呂を目指します。

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainおおおおお!すごい、温泉旅館の中で登山列車に乗ってる‼︎ 登山列車特有のゆったり&ガタガタ感、楽しい~!」

 

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登山列車で1分半! 標高1050mの「雲の助湯」に到着! 

 

雲の助湯では、雄大な八ヶ岳、富士、佐久平を望む大パノラマが満喫できます!

おいでよ三人衆で積もり積もった信州トークを交わしたのですが、盛り上がりすぎてお風呂の写真を撮り忘れてしまいました。気になる方は宿のHPをチェック!

 

常盤館ではお土産売り場も充実。  

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f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「 栗かのこ、雷鳥の里、みすず飴、信州のお土産がそろいにそろってますね…!」

f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain「陶器までお土産用に販売してましたね。バラエティとクオリティがすごい…」

 

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三人とも大満足の常盤館を後にして、薬師館に帰還っ!!!

 

 

取締役の花岡さんにインタビュー

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f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「古今東西!長野県の市区町村ラリー!松本市!」

f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain「阿智村!」

f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「塩尻市!」

f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain「喬木村!」

f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain「(さすが南信さんだ…)」

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「ジャンプおもしれ~」

 

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f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「みなさん、菱野温泉を十分満喫していらっしゃるようですね」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「あ、菱野温泉取締役の花岡隆太さん! いや~最高です、菱野温泉!」

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「今回はインタビューにお答え頂けるとのことで、菱野温泉の歴史や経営について伺っていきたいと思っています!よろしくお願いします!!」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「はい。では、おいでよ長野さんが先ほどまでジャンプを読んでいたコタツでゆっくり話しましょうか。」

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「コタツのインタビュー、なんだかすごく落ち着きますね。それでは早速。まず、歴史なんですが、ここ菱野温泉は創業400周年ということで。すごい歴史ですよね…」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「はい。でも開湯自体はもっと古くて、1191年の開湯なんですよ。」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain1191年…! 鎌倉幕府ができる前年に開いてる温泉ってことですよね。すると、平安時代から…?」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「そうなりますね。それ以来、療養温泉として地元の方に親しまれ続け、1617年に旅館としての営業が始まりました」

 

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f:id:tmmt1989:20170517214000p:plain「ちなみになんですが、このガラスは大正時代に作られたもので、そのままの状態でとってあるんですよ」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「ええ⁉︎ 大正時代の⁉︎ 廊下にギャラリーもあるし、まるで博物館みたいだ…」

 

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古ぼけた映画ポスターほか、大正モダンあふれるインテリアがあちこちに

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「こんなに歴史が深い温泉旅館なのに、菱野温泉さんは珍しいというか、新しい経営スタイルをされていますよね。温泉や宿泊場所以外の見どころもたくさんあります。例えば、そこにアニメの一枚絵が堂々と飾ってあったり」

 

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ところどころに飾ってある、アニメ『あの夏で待ってる』のポスター。人生ゲームやけん玉も

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「『あの夏で待ってる』は菱野温泉のある信州の小諸を舞台にした作品なんですよ。ほかにも、小諸は『ろんぐらいだぁす!』というアニメの聖地でもあって、そうしたアニメとコラボしたイベントも開催しています」

 

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居心地が良すぎるコタツ&漫画ルームは、Wi-Fiも完備

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「こうしたコタツ&漫画ルームみたいな、まるでマンガ喫茶みたいな空間も魅力的ですよね」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「あ、こういうサービス、実はラブホテルの経営を参考にしているんですよ」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「ラ、ラブホテル!?」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「実は、ラブホテルってすごいんです。宿泊できるのに、アミューズメント施設のようなバラエティにも富んでいる。マンガ喫茶にも言えることですが、これって宿泊施設として強いなと。薬師館では、そこを目指したいと思っています」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「実際、今まで出会ったことがない楽しすぎる宿泊体験ですし、ムードも良い感じです! カップルのお客さんも結構多いんですか?」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「多いですが、ファミリー層も多いですよ。特に女性の方はリピーターが多くて。最近は、コスプレイヤーのお客さんも結構いらっしゃってます」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainコスプレ歓迎と聞きましたが、本当なんですか?」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「はい。時期にもよりますが、ウチでは15名以上で薬師館を貸し切ることもできます。オフ会で集まって、ウチのロケーションを使って仲間内でコスプレを心置きなく楽しむこともできますね。」

 f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「ロケーションがロケーションなのですごく楽しめそうですね! ほかにも貸し切ることで色々な楽しみ方が出来そう!」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「例えば、鉄道オタク仲間で薬師館を貸し切って、旅館中にレールを敷いて電車を走らせる、なんてこともできます」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「すごい自由度…! 色んな趣味を持つ現代人のニーズに応えてるんですね!」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「ほかにも、乳がんの手術を受けた方って、手術痕が気になって、他の方と一緒にお風呂に入れなかったりしますよね。そういう方が、お風呂を貸し切って人目を気にせず温泉に入る……なんていうこともできますよ」

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「すごい…! 現代人の多様性というか、「平成」という時代そのものにマッチした新しい経営をされているんですね。新時代の温泉旅館の姿を見ている感覚です。今日はインタビューに付き合って下さり、ありがとうございました!」

f:id:OIDEnagano:20170516133009p:plain「いえいえ!引き続き、菱野温泉を楽しんでいってください!」

 

 

地元食材を使ったレストラン「ujo」へ 

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インタビューを終え、「和風イタリアダイニング ujo」にやってきました!

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「長野県と言ったらやっぱり蕎麦! 美味な上に量も山盛り!」

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085843p:plain小諸産馬鈴薯野沢菜の3種のチーズピザ! 野沢菜のシャキシャキ感がアクセントになっていて美味しい!」

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f:id:OIDEnagano:20170506085856p:plain 信州和牛信州産林檎の和風ダレと一緒にいただきました! 地元の食も大事にしているんですね…!」

 

 【朝食編】

ちなみに朝食は、3つのプレートから好きなものを選ぶことが可能!

朝食のレポはおいでよ三人組の当時の実況ツイートにてどうぞ!

う~ん、どれも甲乙つけがたい! ほかにも、焼き立てクロワッサン天然水を使ったコーヒーも頂けます!

レストランujoさん、美味しい夕食と朝食、いただきました!

 

 

池の上で入湯!?「浮島風呂」へ 

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浮島風呂へは、洞窟を通っていきます。登山列車があったり、洞窟があったり、菱野温泉さんはレジャーランド感がすごい!

雰囲気抜群の洞窟を抜け…遂に池の上に浮く温泉「浮島風呂」に着きました!

 

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中に入るとこれまた雰囲気のある湯舟が!貸し切りです!

 

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階段を下ると、下にも2つの湯舟が!ぬるめと熱め、お好きな温度で入れます。

 

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浮島風呂を外から見るとこんな感じ。お風呂の部分が、矢印のように突き出していて池の上に浮かんでいるんです!

f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plain「がーこちゃんが泳いでいるかもしれない池の上で入湯!不思議な感覚!」

 

は~~~~~! 浮島風呂も最高! もう完全回復です。風呂上がりには、浅間山から湧き出る天然水をいただきます!

 

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f:id:OIDEnagano:20170506085819p:plainん~!美味しい!!!!温泉上がりに美味しい水が飲める悦び…!」

 

温泉で一泊しただけなのに、修学旅行が終わった後みたいな充実感…!

なのに疲れはなくてむしろ元気という不思議…。ネタだらけの濃厚な1泊2日でした!

 

 

まとめ

最後に、一泊する間に描き上げた記念色紙を花岡さんに押し付け渡してきました。

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受け取ってくれて良かったです。

魅力のキャパオーバーではち切れんばかりの楽しさ。温泉旅館のおもてなし、温泉・宿泊・食事で疲れを癒せたのはもちろん、まるでアミューズメント施設に行ってきたかのような充実感…!これまでには無かった新しい温泉旅館体験をさせてもらいました。

 

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今回、おいでよ三人組が利用した「創業400周年特別企画」、一泊二食付9400円で菱野温泉を楽しめるプランは2017/7/8までとなっています。この記事で菱野温泉に興味が湧いた方は是非、このプランを利用して菱野温泉を満喫してみてはいかがでしょうか。

 

▼宿泊プランはこちらをチェック!

【菱野温泉上の湯 薬師館】 宿泊プランの一覧

 

それでは… 

歴史新しさが融合する温泉旅館、

菱野温泉においでよ!

 

 

 

 

書いた人:おいでよ長野

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信州の大地が生んだ狂気の山。Twitterにて長野県の非公式PR活動にいそしんでいる。長野においでよ。ほらはやく。 Twitter:@OIDEnagano

 

「国境なき医師団」って有名だけど、実際どんな組織なの?  現地で活躍する日本人に聞いてきた

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こんにちは。ヨッピーです。

本日は「国境なき医師団」の日本事務局本部に来ております。

 

「国境なき医師団」と言えば1999年にノーベル平和賞を受賞した事でもお馴染み、世界各地の紛争地域などで人命を救助しまくっているゴリッゴリの「立派な団体」でありますので、「お前みたいなコッパのライターがそんな所で何してるの?」って聞かれそうな今日このごろです。

 

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こちらが「国境なき医師団」の旗。発祥がフランスなのでフランス語で書かれており、「MEDECINS SANS FRONTIERES」はそのまんま「国境なき医師団」という意味なんだそうだ。略してMSFと言う。

 

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そして現地で撮影された写真の数々。

 

例えば日本の東日本大震災、ネパールの大地震など自然災害における緊急援助活動や、シリアやアフガニスタンなど紛争地域における医療救援活動など、世界中で起こる災害や紛争、疫病の流行など、「人命に関わる大きな問題」が発生した時にいち早く現地に飛び込んで医療活動を行っているのが「国境なき医師団」であります。

 

しかしながら、その「国境なき医師団」で活躍している人々の中には日本人もたくさんいる事や、どういう人たちがどういう目的を持って、どのような活動を繰り広げているのかを具体的に理解している人はけっこう少ないのではないでしょうか。

 

そこで本日は、

 

「国境なき医師団ってどういう団体で、どういう人たちがどういう目的でやってるの?」

 

みたいな部分についてフォーカスしてみたいと思います!

 

【そもそも、国境なき医師団ってなんだ?】

 

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まず最初にお話をお伺いしたのがこちら!

国境なき医師団日本で資金調達を担当していらっしゃる是則(これのり)さんです!

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「今日はよろしくお願いします! 国境なき医師団については、なんとなく『立派な団体!』えらいひとたち!』くらいの認識しか持っていないので色々教えて頂ければと思うのですが……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうですね。まず、私たち国境なき医師団は大きく分けて医療』証言』という2つの役割を担っています。国境なき医師団はフランスのジャーナリストと医師が中心になって結成された団体なので医療』と証言』なんですね」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain医療』については大規模な災害の現場や紛争地域、難民キャンプや疫病の流行地帯など、そういった言わば最前線』に飛び込むことでなるべく多くの人命を救おう、という活動です。こちらについては皆さんもイメージしやすいかも知れません」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「ですね。『証言』というのは……?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain証言』は、そういった危機的な状況にある現場が、今、どうなっていて、何が求められているのか、という部分を最前線から、世界に対して発信する役割を担っています」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「現場で何が起こってるか世間に知って貰わないと抜本的な解決にはならないですもんね」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうなんです。そして『国境なき』という言葉に示されるように、活動の範囲は国境による分け隔てがなく、全世界が対象です。世界各地に28の事務局があって、日本にもそのうちの一つがあります。2015年の実績では38,000人以上の海外派遣スタッフと現地スタッフが、約70の国と地域で活動しました」

 

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アフガニスタンで生まれた未熟児に聴診器をあてるMSFの医師 ©kate Stegeman/MSF
 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「派遣先は、『その時に一番困ってる人達のところに行く』みたいな感じでしょうか?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「その通りです。国境を越えて、命の危機に直面している人達を助けに行くのが国境なき医師団です。病気や怪我の治療はもちろん、水や食料などの緊急援助や、現地の方々に医療に対する啓発活動を行って予防に努めるような事もします。そして特徴的なのは、どの国家、組織にも属さない独立した団体であることなんですね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「あ、そうなんだ。国連の一部とかじゃないんですね」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「いえ、あくまで民間による、非営利の独立した団体です。そして運営資金は9割以上が民間からの寄付によってまかなわれていて、特定の国や組織に属しているわけではありません。更にその支出についても私たちの収支報告は極めて透明性の高いものになっております。この独立した組織』というのがけっこう、大事な事なんですよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なんでですか?国連なりアメリカ政府なり、どっかの大組織に属してた方が予算も多いだろうし何かと便利なような気がするんですけど……」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「うーん、例えば、アメリカの支援を受けて活動するとすれば、アメリカと敵対している国で活動出来なくなるんですよ。『敵だ!』ってみなされてしまうので」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「おお……!なるほど……!『僕らは独立した組織で中立だよ』って言うわけですね」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうです。特定の国家やイデオロギー、政治宗教に関わらず、あくまで独立した団体であるからこそ、紛争地域に入っていけるんですよ。例えばAという部族とBという部族が対立している地域に入って行くとしたら、両方の部族に話を通すんですね。『私たちはあくまで現地で医療行為をするだけだ。宗教的、政治的な意図は一切ないから認めてくれ』みたいな話を現地で力を持っている人達に通すわけです」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうしないと、私たちの病院まで攻撃対象になってしまう。その上でAの部族にもBの部族にも、分け隔てなく医療行為を行うんです」

 

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紛争地域である南スーダンで栄養失調の子供を抱えるMSFの医師 ©Nick owen/MSF

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なるほど。実際に現場に行く人はお医者さん達がメインなんですか?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「現地に行く人間をざっくり分けると、『医療従事者』と『非医療従事者』が居て、非医療従事者は物資調達や車両管理を担当するロジや、人事財務を担当する事務方に分けられます。医療従事者はその名の通り、医師や看護師、薬剤師などですが、チームの中で言えば3~4割程度でしょうか。他の人達は例えば建築士が病院の建設に関わったり、技師が車の整備や電気設備の設営、保守をしたり、物資の調達から配送など物流を担当する人間も居ます」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「あ、そうなんだ。ほとんどがお医者さんなのかと思ってた」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「『国境なき医師団』という名前ではありますが実際には医師以外の人達もたくさん居て、医療従事者と非医療従事者、あとは現地で雇った現地スタッフがチームを組んで活動します」

 

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東日本大震災では被災者への心理ケアも行った ©Eddy McCALL/MSF

 

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「そういう人たちはみんなボランティアなんですかね?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「いえ、給与はお支払いしております」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「これ、聞いて良いのかどうかわかりませんけど、月収で言うといくらくらい……?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「最初の1年間の契約期間は一律166,704円で、海外派遣期間が1年を超えた後は経験や職種などを考慮して187,542~568,626円となります」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「えー!16万円スタートって、やっす!お医者さんの給料として考えるとめちゃくちゃ安いし、そもそもそういった危険な地域に行くことを考えるとその値段だとやってられないのでは……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうですね。実質的にはボランティアのようなものだと思います」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「ちなみに参加資格ってあるんでしょうか?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「医療スタッフなら医者や看護師、薬剤師など医療従事者である事と、英語もしくはフランス語でコミュニケーションが取れることが必須条件です。非医療のスタッフだと、人事、財務、車両整備や建築、医療機器の設置やメンテナンスなどといった分野で2年以上の実務経験があること、そして医療関係者と同じく英語もしくはフランス語でのコミュニケーションが取れること、が必須条件になります。募集職種についてはこちらを見て頂ければ」

 

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難民キャンプに向かうMSFスタッフ。人種、国籍に関わらずMSFでは様々な人々が活動している。©Yuna CHO/MSF

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なるほど、色んな国から人が集まるから言語が統一されてないといけないんですね」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「多国籍のチームなのでコミュニケーションが何よりも大事なんですね。日本人同士のチームだと起こらないようなトラブルが起こったりするので」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「生活習慣の違いとか文化の違いとか?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「そうです。それに現地では『コンパウンド』と呼ばれる拠点の敷地内でしか暮らせなかったりするので、コミュニケーションが取れないとストレス解消の手段も限られてくるんですよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「それは拠点の外に出ると危ないからっていう?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「はい。誘拐のターゲットにならないとは限りませんし、治安が良い場所でないことも多いので。外国人だと目立ちますしね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「確かにストレスが凄そう……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「あんまりこういうお話をすると、『お手伝いしたい』と言う人が尻込みしそうなので言わない方が良いのかも知れませんが、例えば紛争中の地域に乗り込んで拠点を作って医療活動をするとします。そこで大規模な戦闘や爆発が起こったりすると、すごくたくさんの怪我人が私たちの病院に押し寄せて来るんです。それこそ、千切れた右腕を持って来る人、足が吹き飛ばされた人、なんて。それがたくさん」

 

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イエメンでMSFの治療を受けた被害者 ©Guillaume Binet/MYOP

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「oh……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「でも、治療にも限界があるんですよ。ベッドの数も限られているし、治療するための薬の数も医師の数にも限界があります。ある程度の人数を受け入れてしまうとキャパオーバーになってしまうので、そこからは病院に来た人達を断らなきゃいけなくなるんです」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「エボラ出血熱の時も入口にスタッフが立ってね、今にも死にそうな子供を抱えた親が、泣き叫びながら『この子の命だけでも、なんとか救ってくれ!』って言うんですよ。でも、もう入れてあげる事は出来ないんです。そういう人が何十人も居るんですよ。それを入口でスタッフが申し訳ないが、病院にはもう入れない』って断るんです」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「想像を絶する世界ですね……」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「日本だとまずあり得ないことじゃないですか。腕がふっ飛ばされて病院に来たのに病院が受け入れ出来ない、なんていう事はまずないでしょう。でも、現地だとそれが日常の光景だったりするんです。その入り口で病人を押しとどめていたスタッフは『涙が止まらなくなった』って。もちろんそういう心理面のケアをするためのスタッフも同行しておりますが、やはり現場の苦労は並のものではないので……」

 

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f:id:eaidem:20170502002243p:plain「だから、そういった『無力感との戦い』という側面はあると思います。私自身も、今申し上げたような事については全て伝聞でしかありませんし、現地で大変な思いをしている仲間たちが居るのに、自分はこうやって平和な日本で活動しているっていう後ろめたさみたいなものは常にありますから。でも、広報活動や資金調達っていう私の仕事も、間接的に多くの命を救っているはずだ、と自分を納得させながらやっています」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なんていうか、皆さん立派すぎてコメントに困りますね……!尊敬の念しかない……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「その、『尊敬する』とかえらい』なんて言われている段階だと、国境なき医師団は、まだまだ遠い存在なんだな』と思ってしまうんですね。別に私たちは特別な存在ではありませんし、普通の一人の人間ですから、特別視するのではなく、対等な関係で、『私にも何か出来る事は無いか』という目線で見て欲しいな、と思うんです。全ての人間がそういう視点を持つことによって、もっと救われる命があるはずです」

 

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ちなみにこちらは研修合間のランチタイムの様子。実際にスタッフとしての参加を名乗り出た人達には事前にみっちり研修を施すそうです。

 

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「研修の内容ってどんなのですか?」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「研修で学ぶ事はたいへん重要でして、心のケアの話や、異文化間で起こりやすいトラブルの話とか。あとは命に関わるようなことですね。例えば現地で誘拐された時にどうやって対処するか』とか。現地に行く前に、本人にしかわからない暗号を書いて、封印をして事務局に預けておくんですよ。それでもし、現地で誘拐されたらその暗号を言ってもらうことであ、これは本人だ』ってわかるようになっていたり」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「とんでもねぇな……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「あとは研修と並行して、予防接種を受けるだけで時間がかかるんですよ。黄熱病に狂犬病に肝炎に、って10本くらい打たなければいけないんですが、ある程度期間をおいて受ける必要があるワクチンなんかもあるので、最初は数か月かかったりとか。10年くらい有効なワクチンもあるので2回目以降はそれほど大変ではないんですけど」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なんでそこまでしてやるんだろう……!」

 

f:id:eaidem:20170502002243p:plain「それは是非、現地に行っている人間に直接聞いてみてください!」

 

 

【何故国境なき医師団で働くのか】

 

 

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さあ、そんなわけで「何故そんな大変な思いをしてまでやるのか」という部分について聞くために、国境なき医師団の吉野先生にお伺いしました。過去に活動されていた地域はナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン、パレスチナのガザ地区など。ちなみにこの記事が掲載される頃はイラクのモスルから帰国したところだそうです。

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「すごく変な事を聞きますが、めちゃくちゃ大変そうなのに、何故国境なき医師団で活動を……?」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「そうですね。中学生の頃くらいって、『将来何になりたいかな』みたいな事を考えるじゃないですか。そんな時にユニセフの募金活動を見たんですよ。今、アフリカでは何秒に1人、小さい子供の命が亡くなっています』みたいな。それを見てどうにかしてあげたいと思って、まず教育だ』と思ったんですね。教育がじゅうぶんじゃないから貧困に陥るんだと。だから最初は先生になろう』って思ったんですよ」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「でも、色々と勉強しているうちに、勉強以前の問題がゴロゴロある事を知るんです。ワクチンがじゅうぶん行き渡らなくてたくさんの子供が死んでる、とか。ワクチンが無いせいで命が失われるって、それはもう勉強するとかしないとか以前の問題じゃないですか」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「確かにそうですね。学校があったとしても栄養失調だと勉強どころじゃないでしょうし」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「そうそう。それで『教育よりもまずは健康だ』と気付いたんです。だから高校三年の時に急に医者になろう!』と思って方向転換するんです。それで勉強して医学部に受かって、研修を終えて外科の専門医として経験を積んだんですよ。6年かな。で、駅を歩いている内に、ふと国境なき医師団』の募集ポスターを見たんですよ。それでああ、そうだ。私はこれがやりたいから医者になったんだった』って」

 

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コンゴ民主共和国で手術を終えたばかりの子供を抱き上げる吉野先生 ©MSF

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「それから申し込みをして、今では1年の内半年を国内の総合病院で外科医として働いて、残り半年を国境なき医師団の活動にあてています」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「やり甲斐みたいなものはあるんでしょうか」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「もちろんありますよ!自分の手で、実際に人の命を救えるっていうのはすごく『やっててよかった』と思います。死にそうだった子供が、私の手術によって元気になって走り回ってるとか、もしかしたら私が助けた子供が大きくなってその国を良い方向に導いてくれるかもしれないじゃないですか」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「その人の命を救う』っていうことは、日本で医師として活動していても同じじゃないかなって思うんですが……」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain救える命の絶対数が違いますね。例えば私の場合、国境なき医師団の活動だと一か月に100件くらい手術をするんですよ。何日も寝ないで手術をしたり。日本だとそんなハイペースでやる事なんてあり得ないんです。日本だと、私がやらなくても別の誰かがやってくれる恵まれた環境ですけれども、現場だと私がやらないとその人は間違いなく死んじゃうんですよ。だからやらなくちゃいけない。そういう使命感ですね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「日本でやる手術と現場でやる手術って違うんですか?」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「日本だと、医療が高度化しているんですね。例えば私は日本に居る間はガンの手術をすることが多いんですが、腹腔鏡とか精度の高い顕微鏡を使いながら手術をするんですよ。でも現場だとそういう機材がそもそも無いですし、『〇〇の専門医』みたいな事があんまり関係ないんです。日本だと脳手術の専門家とか、この病気ならこの先生、みたいに専門がかなり細分化、高度化されているんですが、現場だともうそんなの全然関係なくて、とにかくなんでもやる』みたいな環境に居ますね」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「私も帝王切開もしますし、脳外科の手術もしますし、手の千切れた患者さんの手術からもう何から何まで。だから日本の外科医として得た経験が通用しないことも多くて本当に大変でした」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「ふーむ、『離島のお医者さん』って感じですね」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「そう!本当にそうだと思います!物資も機材も限られている中で、全ての事をひととおり自分で出来なきゃいけないので。逆に大学病院などで高度医療を専門にやられている医師だと面食らうと思います。CTスキャンもMRIも無いし、レントゲンの精度も悪いから触診で判断するしかないんですよ」

 

 

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現地で使われる道具の数々。何せ物資が足りないので、ありあわせのもので作っちゃう事もあるらしい。

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「でもね、不思議と、それだけ高度に発達した日本の医療でも医療不信って起こり得るのに、現地の人はみんなすごく私のことを信用して、信頼してくれるんですよ……。私が手を施しても、やっぱり助からなかった命もあるわけですが、それで遺族の方が『お前のせいだ!』なんて言って来る事は今まで一度も無くて……。ありがとう』貴方はよくやってくれた』って。もちろん命が助かった時は感謝されますし」

 

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なんとなく聞いていて思ったんですけど、『医療の原点がそこにある』っていう感じですね。命の危機がそこにあって、手を尽くす事でそれが救われて、周りの人に感謝されて、っていう」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「あ、まさにそうですね!その『医療の原点』っていうのは国境なき医師団で活動する理由としてすごくしっくり来る気がします。今後、私もそれ使っていきたいくらい!困ってる人が居て、それを助ける、っていう、医療の原点がそこにはあるんですよ。だから行くんです」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「逆に大変な事ってないですか?そもそも、そういう地域に行くのって怖くないんですか……?」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「派遣先によっては断る事も出来るんですよ。派遣先の地域って、例えば栄養失調プログラムで行く先なんかはそれほど治安に問題があるわけじゃないので、休暇日にホテルのプールで息抜きしたりするんですが、私みたいに外科医だとだいたい紛争の最前線だったりするんですよね(笑)」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「外科だと怪我人の治療がメインになるわけですもんね……」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「私が過去に行った先だとパキスタンの時なんかは怖かったですね。もちろん事前に、紛争の当事者達に『攻撃対象にしない』っていう確約を得てから現地に入るんですけれども、シャワー浴びてたらスタッフが飛び込んで来て『おい!すぐ逃げろ!5分で出るぞ!』って怒鳴るんですよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「何それめっちゃ怖い」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「警察とかも来てて『すぐ逃げてくれ!』って。もう慌てて病院から飛び出して。話を聞いてみると病院が攻撃される』っていう噂が流れたみたいで。まあその時は誤報で済んで良かったのですが、アフガニスタンでは実際に国境なき医師団の病院が攻撃された事※もあって……。私、その病院で働いてた事があったので……。当時の同僚も亡くなったんですよ……」

 

※クンドゥーズ病院爆撃事件……2015年10月3日、アフガニスタン北部クンドゥーズで国境なき医師団の病院に対してアメリカ空軍が攻撃を加えた事件。42名の死者の内、14名が国境なき医師団のスタッフ。後にオバマ大統領が攻撃を認め謝罪したが、第三者機関による独立した調査の受け入れは拒否されている

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「あとは窓の外から空爆の飛行機が見えて、そのあと大きな爆発があって爆風で建物が揺れたり。窓から見えてる建物が爆発したりするので、万全を期しているとはいえ、やっぱり怖いですし、その辺で遊んでた子供が空爆の巻き添えで運び込まれて来たりすると本当にやるせないです。『この子が日本に生まれていればこんな目に遭わなかったのに……』って」

 

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ガザ地区の空爆により破壊された車と子供達。Yann Libessart/MSF

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「そんな中で手術するんですよね……」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「そうですね。腕がちぎれてる人とか足がちぎれてる人とかがいっぱい来るんですよ。床が血の海になっていたり。血を見慣れている外科医の私でも気を張ってないとぶっ倒れてしまいそうになるので、日本ではあまり見ない光景だと思います」

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「ヘビーすぎる」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「国境なき医師団が掲げるスローガンに、『国の境目が、生死の境目であってはならない』というものがあるのですが、でも現実にはやはり国境が生死の境目を分けているんですよ。戦争している街から1時間ほど車を走らせた別の国では畑のそばで優雅にお茶を飲んでたりしますから。戦争って、本当にやるせないです。せめて武器を使わずに、殴り合いくらいで決められないかなって思うんです」

 

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こちらの紙を子供の腕に巻くことで栄養失調の緊急度合を測る。危険な状態にある子供は指2本分の腕の太さくらいしかないことがわかる。

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なんか僕、『のうのうと平和に生きててすいません』っていう気持ちになってきました……」

 

f:id:eaidem:20170426101845p:plain「いえ、そんなことはないですよ。技術がある人は技術を、お金がある人はお金を、何もない人は関心を持ってくれるだけで私たちの活動は随分やりやすくなるはずなんです。だから、まずは自分の事を精いっぱいやって、少しある余裕で応援して頂ければな、って」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なるほど。じゃあ頑張って書きます!」

 

 

【何故国境なき医師団に支援するのか】

 

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さあ、そんなわけで「国境なき医師団」の事務局の方、現地で働く方というそれぞれの立場でお話を聞かせて頂いたわけですが、「国境なき医師団」にはもう1人、大事なプレーヤーが居ます!

この方にご登場いただきましょう!

 

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「高須クリニック」院長の高須克弥先生です!

 

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f:id:eaidem:20170426101844p:plain「今日はよろしくお願いします!今日は何故先生にお話を聞きに来たかと言うと、支援者の目線っていうのが欲しいな、って思ったからなんです。ほぼ全額を寄付金でまかなってる団体ですから、支援者も重要なプレーヤーの一人だな、って」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「それで国境なき医師団の方と打ち合わせをしている時に色々とスライドを見せて頂いてたら、いきなりその中に高須先生の写真が出てきて、『なんで高須先生が写ってるんですか?』って聞いたらこの病院、建設費用の一部が高須先生の寄付によるものなんです』って」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「ああ、アンマンの病院かな?僕、正直色んな所に寄付してるからあんまり細かい事は覚えてないんだけど。1000万円だったかな?」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「そうそう。ちょうどこの間もね、サウナに入ってる時にぼーっとテレビ見てたら、高須先生が大阪大学の相撲部に土俵をプレゼントする※、みたいな事をやってたり。あとはリオオリンピックのナイジェリア代表のサッカー選手団に寄付したり※もしてましたよね」

 

※大阪大学の相撲部は長年土俵が無い中での練習を強いられており、相撲部主将からの訴えを聞いた高須院長が相撲部に土俵を寄付

 

※リオオリンピックのサッカーナイジェリア代表チームがベスト8まで進むも、給料の未払いを理由に準々決勝のボイコットを示唆。窮状を見かねた高須院長がナイジェリア代表に私費での支援を表明したことでボイコットを回避。結果的にナイジェリア代表はベスト4まで進んだ。

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そう。阪大の相撲部は500万円で、ナイジェリア代表は3,900万円」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「これまでに合計、いくらくらい寄付してるんですかね?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「計算してないからわかんない(笑)何十億っていうくらいかな?国境なき医師団も相撲部もナイジェリアも比較的最近の事だから覚えてるけど、古い事だといちいち覚えてないからね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「何十億……!とんでもねぇな……!先生って、色んな人に『ご支援を!』ってお願いされると思うんですけど、当然ながら全員にお金をあげてるわけじゃないですよね?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そりゃもちろん!『頑張ってて、それでも支援して欲しい人』とか、理不尽な目に遭ってる人』とかはなんとか助けてあげたい、と思うけどさ、例えば生活が苦しいからお金を下さいなんて言われても、それは僕の役割じゃないな』って思っちゃう」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「そうですね。その辺は政府の役割ですもんね」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そう。今の日本なら本当に飢え死にしそうでも、ちゃんと救われるべきセーフティネットがあるじゃない。でも外国の人はそうじゃないからね。難民の人達なんて、何も悪い事してなくても戦争に巻き込まれて住む所がなくなって、それで政府が機能してなかったりするんだから本当に理不尽だよね。そういう所はなるべく助けてあげたいって思ってる」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「先生はなんでそういう人を『助けてあげたい』って思うんですか?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「僕はね、小さい頃にめちゃくちゃいじめられたんだよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「えっ、高須先生の家って代々お医者さんでいわゆる名家※ですよね?」

 

※高須家は江戸時代から続く医師の家系

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「確かに血筋はそうなんだけどね、僕は防空壕の中で産まれたし、高須家の家も土地も全部戦後の農地改革で取られちゃったんだよ。で、両親が医者でしょ。そのころって文革の時の中国みたいなもので、いわゆるブルジョワジーに対する反発がすごく強かったんだよね」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そうすると医者の息子っていうだけで農家の息子とか漁師の息子とかからすごくいじめられるんだよ。でも親父がね、『克弥!負けたまんまで帰って来るな!』って言って、バットを持たされて家を追い出されるわけ。でも、バットを振るっていう動作ひとつとっても、むこうは四六時中クワを振ってるんだから農家の息子の方が断然強いよね(笑)」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そんな親父も僕が中学生の時に亡くなったし、だからずっといじめられっ子だよ。それからかなぁ。『弱い人達をいじめるようなヤツは許せない!』って思うようになったんだよね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「へー、めちゃめちゃ意外でした……!」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「それにね、国境なき医師団みたいな事を、もっと若ければ本当は僕自身がやりたかった、っていうのもある。防衛医大に入りたかったくらいだからね。あとはなんだろうなぁ。別に偉そうな事を言うつもりはなくてさ、単純に寄付って楽しいんだよ。喜んでもらえるし、感謝されるでしょ。昔ね、教会が『免罪符』って言ってこれ買えば天国に行けるよ~!』なんて宣伝してお札をたくさん売ってね、ルターがそれを批判して宗教改革につながったやつ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「社会科の授業で習った気がします」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そうそう。その『免罪符』を買ってるようなものだと思ってる。これだけ人に喜んで貰えたら天国に行けるかなぁ、って。僕はね、自分の遺産とか残すつもりは無くて、全部どこかに寄付して死ねたらいいな、って思ってるの。僕ももう72歳だしね、いつ死ぬかもわからないから毎年遺言状書いてるよ。どこそこにいくら寄付してくれ、みたいなね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「先生はあんまりお金とかに執着が無いんですかね?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そうだね。昔から物欲とかそういうの全然ないもの。別に高いものを食べたいとも思わないし。ちょうどね、東日本大震災が起こる前の年にね、僕の母親と、家内と、愛犬がね、同じ年に亡くなったんだよ。絶望だよね。目の前が真っ暗でさ。それで次の年に東日本大震災でしょ。もう生きる希望とか全部亡くしてさ。『もう、人生に何の未練も無いや』って思って出家したんだよね。だから僧籍もあるしお経も読めるよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「おお……。その時から見ると随分元気になられたような……」

 

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f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そう!それは全部西原のせいだよ!※ 西原がね、美味いご飯をやたらと食べさせたりさ、なんか色んな所に僕を引っ張りまわすせいでね、食べ物の味がわかったりとか、『煩悩』みたいなものが少しづつ戻ってきたんだよね!西原は悪魔みたいな女性ですよ!」

 

※現在は漫画家の西原理恵子と交際中

 

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高須先生があちこちから貰った感謝状。これでもまだ一部だそうで、表にあんまり出せないものもあるらしい。

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「聞いた話なんですが、『国境なき医師団』って、支援金額の多さで言うと日本国内で4番目とか5番目なんですって。上位はユニセフとか赤十字らしいんですけど。で、アメリカだと国境なき医師団って50番目くらいでしかないのに、金額の多さで言うとそれでも日本の何倍もあるんですって。よく、日本には寄付文化がない』って言われますけど、実際そうなんですかね?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「うーん、まず寄付の控除の仕組みが日本はあんまり整ってないんだよね。個人でやると『節税対策だろ』とか言われるんだけど、ダライラマに寄付したって税金が控除なんてされないよね。日本の税金ってすごく高いんだから!僕は以前に脱税で挙げられたことがあるんだよ。僕は経理にずっと任せっぱなしだったから、なんでそれが僕のせいになるんだって最高裁まで争ったんだけど負けちゃってね。8億円取られたもん」

 

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「そのせいで医師免許が1年間の免停食らってね。その1年は国内じゃ仕事出来ないから海外で仕事してたらその時の人脈で国際美容外科学会の会長になっちゃった(笑)

あとは、日本で大金持ちと呼ばれる人達って株とかで総資産は多くても、意外と現金を持ってなかったりして。そのかわり企業が寄付したり社会貢献したりはしてるよね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「どうしたら寄付とかって増えるんだろうなぁ。『寄付額ランキング』みたいなの出して公開するとか……?」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「それは良くないね。寄付なんてさ、金額じゃないんだから。それをやるならパーセンテージの方がずっと大事だよ。月収1000万の人が月に5万円寄付するより、月収20万円の人が月に5000円寄付する方が立派なんだから。その人に出来る事をする、っていうのが大事なんだよね」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「ああそれ、国境なき医師団の先生にも言われました。技術がある人は技術を、お金がある人はお金を、それも無ければ関心を、って」

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「そう。気持ちが大事なの。お金ってさ、車で言うところのガソリンみたいなものでさ、生きて行く上で必ず必要になるものだけど、タンクローリーにガソリンを満載にしてさ、そのまま死んだって意味ないよね

 

f:id:eaidem:20170426101842p:plain「ガソリンが無くて動けなくて困ってる人が居たらじゃんじゃん分けてあげればいいし、自分がガソリンなくて困ってる人は無理しないで、誰かに助けてもらいながら、余裕が出た時にまた別の誰かにガソリンを分けてあげればいいんだよ。そうやって世の中は出来てるんだから。だって、人の役に立てるって気持ち良い事だし、楽しいよ」

 

f:id:eaidem:20170426101844p:plain「なるほど……!なんとなくわかったような気がします……!」

 

 

 

そんなわけで「国境なき医師団」では皆さんの「技術」「支援」「関心」を大募集中です!

 

 

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医療関係者や技術者など「実際に現地で活動をサポートしたい」という方はこちらの募集要項を!

 

 

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「支援したい!」という方はこちらのメニューから!

 

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「関心を持ちたい!」という方はこちらから公式Twitterや公式FBのフォローをしてみてはいかがでしょうか!

 

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【取材協力】

国境なき医師団日本

http://www.msf.or.jp/

プロデュース:田中英輔(Sigoo Inc. Creative Intercomm LLC)

ライター:ヨッピー

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大阪府生まれ。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)

 

【幽霊を見る・幽霊が来る・幽霊になる】「怖い話」の3つのパターン

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「怖い話」は、3つのパターンに分けられるのではないか。

この記事では、そんな話をしてみたいと思います。なお、ここでいう「怖い話」とは、幽霊やオカルト的なものを指します。チンピラに絡まれたとか、鬼嫁にいびられるとか、そういう系統の怖い話ではないです。

霊的なもの、何らかの非現実的な存在が関わってくる話というですね。チンピラや鬼嫁は怖いですけど、普通に実在しますからね。むしろ実在するからこそ怖い。幽霊とちがい、チンピラは手でさわれます(不用意にさわれば殴られますが)。

 

怖い話の三段階

さて、私は怖い話が好きでして、昔から色々と見てきました。ネットで短いものを読むのも楽しいし、ホラー映画も面白い。漫画や小説でも、ホラー系のものがあれば、ちょっと読んでみようかとなる。すると話のパターンも見えてくるわけですね。もちろん、パターンを知った上で楽しむのが娯楽ってもんですが。

ということで、便宜的に怖い話を3つのパターンに分けてみました。

パターン1:非日常的な場所で幽霊を見る

パターン2:日常に幽霊が侵入してくる

パターン3:自分自身が幽霊のようになる

ひとつずつ具体的に説明していきます。

 

パターン1

パターン1:非日常的な場所で幽霊を見る

定番のパターンです。いわくつきの旅館やホテル、廃校や廃病院、山奥の村などなど、普段は行かないような場所で、幽霊を見てしまい、逃げるように帰ってくる。それを報告するという形式も多いです。

肝試しなんかもこのパターンですね。友達同士で心霊スポットに行く。それで何かを見て逃げ帰ったり、あるいは、とくに何も見ずに拍子抜けして帰ってきたりするわけです。このパターンでは、普段は行かない場所で幽霊を見るんで、しっかりと「逃げ帰る」ことができます。

しかし次は、そうはいかない。

 

パターン2

パターン2:日常に未知のものが侵入してくる

自分の家に不気味なものが侵入してくるパターンです。

たとえばホラー映画の『呪怨』では、自分の住んでいる家に幽霊があらわれる。すこし前に小野不由美の『残穢』というホラー小説を読んだんですが、この作品も「家」がテーマでした。

個人的には、パターン1よりもパターン2のほうがずっと怖いです。自分の家に幽霊が出ちゃうと、もうどうしようもないですからね。あわてて逃げ帰ることもできない。もう帰っている。日常そのものが侵食されてしまう。

この恐怖に支配されると自宅で怯える間抜けな人間が誕生するわけです。あなたのその部屋には、本当にあなたしかいないのか? たとえば押入の中、あるいは風呂場には、本当に誰もいないのか? 部屋に一人でいるはずなのに、肩ごしに視線を感じないか?

自分で書きながら後悔しはじめましたが(しばらく後ろを向けない)、これがパターン2です。

 

映画版ドラえもんにおける事例

パターン2のバリエーションとして、自分の住んでいる街や、自分の家族・友人が変わってしまうものもあります。これに関して、私が覚えているのは『のび太のパラレル西遊記』です。ご存知ドラえもんの映画ですが、この映画の序盤が最高に不気味なんですよ。

あることをきっかけに、のび太たちは気づかないうちに過去の世界に化け物たちを解き放ってしまうんですね。そして現代に戻ってみると、どうも見慣れたはずの街の様子がおかしい。街の中心に見慣れない建物がある。家に帰ってみると、パパとママの様子もどうもおかしい。

じつは化け物の支配する世界に変わっており、のび太の両親も化け物になっているんですが、このへんの描写がものすごく怖くて、私なんかは完全にトラウマになってます。とくにドラえもんはレギュラー放送でさんざん日常を見てますんで、それが侵食されているのを見るのはキツい。

 

映画ドラえもん のび太のパラレル西遊記【映画ドラえもん30周年記念・期間限定生産商品】 [DVD]
 

さて、しかしここでは、のび太とドラえもんは正常なままなわけですね。ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんというレギュラーメンバーも正常なままだったはず。「僕たち以外、みんなおかしい」という状況なわけです。

ということで、最後はパターン3です。

 

パターン3

パターン3:自分自身が幽霊のようになる

ここがこの記事のキモなんですが、やや分かりにくい話でもあります。ひとまず個人的なエピソードを書いてみますが、むかし、肝試しをしたことがあるんですよ。そのときは大勢で行くんじゃなく、仲のいい友達と二人で山にある墓地に行ったんですね。

で、最初は二人で怖い怖いと盛り上がってんですが、途中で、フッと意識の状態が変わり、恐怖のレベルが上がったんですよ。隣にいる友達の存在が疑わしくなってくるんです。

あれ……

隣で歩いてるの、

ちゃんとアイツだよな‥‥?

周囲は暗闇で、最低限の街灯があるだけ。相手の顔はちゃんとは見えないし、自分の身体だってちゃんとは見えていない。歩きながら自分たちの会話だけが耳に入ってくる。しかし暗闇で聞いたとき、友人の笑い声が、なんだか聞き慣れないものに思えてくる。ここまで来れば、次が最後の一歩です。

今喋っているこれは俺の声だよな……?

つまり、自分の声すら、なにか別の人間の声のように聞こえはじめる。パターン1と2では、「自分」というものが安定した状態で「幽霊」を見るわけですが、ここでは、自分という存在そのものが未知の何かになっているように感じられるということです。

 

文学作品における事例

これも作品で例示してみますが、パターン3は、ジャンルとしてのホラーには該当するものが見つかりにくくなるんですね。どちらかというと、文学作品の一部に見つかる。たとえばフランツ・カフカ『アメリカ』という小説。あるいは、夏目漱石『坑夫』という小説。

この二つは話の構造が似てまして、どちらも主人公が若い男で、恋愛がらみの問題で家を追い出されて、知らない土地を放浪することになるんですね。しかし、この主人公がどちらも不気味で、いまいち人間らしくない。同時に、放浪しながら出会う人々も、どうも人間らしく描かれていない。結果的に、全編を通して、ずっとぎこちない。

サミュエル・ベケットという作家の『モロイ』という小説は、さらに露骨にこの感覚を扱っています。もはや自分が誰なのか分からない、世界が何なのかも分からない、その状態でほとんど改行もなしに文章が続いていく。

そういえば、夢野久作『ドグラマグラ』も、「自分が誰なのか分からない」という状態で主人公が目覚めるところで物語が始まりますね。あれも怖い小説だと思いますが、「ホラー小説」としては紹介されないと思います。どちらかといえば「奇書」でしょうか。たぶん、自分自身の根拠まで崩れてくる話になると、ホラーとすら呼びがたい何かになってしまうんですね。

 

アメリカ (角川文庫)

アメリカ (角川文庫)

 

 

坑夫

坑夫

 

  

モロイ

モロイ

 

  

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

 

 

矢部嵩のホラー小説

古典ばかりになってしまったんで、ひとつ現代の小説を挙げておくと、矢部嵩という作家の『紗央里ちゃんの家』。これは一応、ジャンルとしてのホラー小説に属していると言えます。というのは、日本ホラー小説大賞を取った作品なんですね。

しかし、これがかなり変な小説でして、出来事のレベルで奇妙なことが起こるのと同時に、文章のレベルで非常にギクシャクしているんですね。明らかな悪文ではないんですが、普通の文とは微妙にズレていて、そのぎこちなさによって恐怖を生み出している。

矢部嵩は他の作品でも似た手法を取っており、そこがすごく面白いんですが、普通のホラーを期待すると、ちょっと裏切られるかもしれません。ツッコミ不在のコントみたいなもので、わりと受け手を選ぶんですね。

 

紗央里ちゃんの家 (角川ホラー文庫)

紗央里ちゃんの家 (角川ホラー文庫)

 

 

 

離人症と幽霊

最後に、前回の内容と絡めて終わります。

前回、「鏡をジーッと見つめていると、自分の顔がゲシュタルト崩壊する」という話を書いたんですが、これなんかも、まさに怖い話のパターン3だと言えます。「自分そのものが未知と化す」という現象です。私が何度か連載で出した「離人症」という言葉も、この状態に関わっています。

面白いのは、離人症の状態に入りこむと、幽霊がとくに怖くなくなるんですよ。どうも、幽霊を怖がるためには、確固とした自己が必要なんじゃないか。日常や常識があるからこそ、非日常や非常識に強く反応できるようなもので。幽霊というのは、世界そのものが未知と化すことを防ぐために、神秘を特定の場所に閉じこめる仕組みなのかもしれません。

ということで、今回は怖い話の三つのパターンについてでした。

それでは、また次回。

 

 

ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (14) - シャットアウトマン/おもしろ3組

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<ポテン生活|一覧>

   

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

普通は公開しない!? オウンドメディア「ジモコロ」2年間の効果測定データ

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こんにちは。ジモコロの「広告おじさん」及川貴雄です。

誰?って感じでしょうが、、、

 

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こんなふうに後ろの方でこっそり片棒を担いだりしてきた人間です。

 

ジモコロもおかげさまで3年目に突入。

 

多くのみなさんに読んでもらえるようになって、とてもありがたいのですが、最近よく聞かれることがあるのです。

 

 

そもそも問題!なんでアイデムさんはジモコロをやってるの?

 

f:id:eaidem:20170509122755j:plainなんでアイデムさんはジモコロをやってるの?

編集長の柿次郎がアイデムさん騙して好きなことやってるだけじゃないの?

 

今日はそのあたりの「ジモコロ」の裏側、WEBマーケティング的な狙いと成果など、できるだけ赤裸々にリポートしたいと思います。

 

 

ジモコロの目的ってなんですか?

 

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アイデムさんには「イーアイデム」というWeb求人情報サービスがあります。

 

ざっくり言えば、ジモコロはアイデムさんの企業ブランドの向上「イーアイデム」のプロモーションのためにやっています。

 

まず、企業ブランディングの観点から見ると、ジモコロはアイデムさんの考え方や姿勢をつたえるオウンドメディア活動です。

 

昔はブランディングというと商品と店舗、広告なんかが主戦場だったわけですが、今は企業の態度や行動の事実がもっと重要になってきています。

 

嘘やただのイメージなんてすぐにウェブで丸裸にされてしまうので、メディア環境が企業に“事実”とか“誠実”を求めているわけですね。

 

 

アイデムのブランディングとしてのジモコロ

 

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アイデムさんはふだん、仕事情報を通じて地域に活力を届けているわけですが、ジモコロとの共通点はまさにそこなんです。 

 

 

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まとめると以上のような目的でブランディング活動しているわけです。

 

アイデムさんの中でジモコロのフロントをやってくれている伊志嶺さんも以下のようにと言ってくれています。  

 

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「ジモコロでは様々なライターさんが記事を書いてくれていて、ライターさんごとに読者層や記事の拡散されるルートが異なるため、今までイーアイデムだけではリーチできなかった層(特に若年層)との接点がつくれていると感じます。SNS上でイーアイデムに関する反応が増えてきたのもジモコロを始めてからですね。

 

アイデムは新聞折込求人紙のイメージが強く、なかなかイーアイデム(Web)の認知度を高めることが難しかったのですが、採用活動の際に学生さんたちから『ジモコロ読んでます!』と言われたり、Web系の企業の方とお会いする時に『ジモコロをやっているイーアイデムさん』と言っていただくことがあったりと、数値面だけでない効果も感じています」

 

広告業界ではこういうのをひっくるめて「エンゲージメントが高まる」なんて言ったりするわけですが、言い方はなんにせよ、企業と人の関係を深めることが目的です。

 

 

でもだからこそ、、、

 

 

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たとえば、ジモコロ×九州の取り組みがそうですし、最近の事例だとジモコロ×大雪渓もそうなります。

 

 

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でも、ジモコロ×大雪渓はもう一つの目的であるプロモーションも意識した企画になっています。

 

今度は、そっちの側面から見てみます。

 

 

イーアイデムのプロモーションとしてのジモコロ

 

www.e-aidem.com

 

きっかけはジモコロの初代キャラクター「コロ沢」の非業の死です。 

 

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あまりにも突然の死でしたが、やっぱりキャラクターはいた方がいいよね、ということでカメントツさんに開発してもらった新キャラクターが「イエティ」でした。

 

 

www.e-aidem.com

 

いっぽうで信州安曇野でめちゃくちゃ愛されている大雪渓というお酒は、雪山がどーんとデザインされたとっても個性的なボトル。 

 

 

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このコラボは意外で面白いんじゃないか、ということでこんな座組みが生まれました。

 

 

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ジモコロが間に入り企業コラボを記事化することで、大雪渓さんは新しい切り口でPRする。イーアイデムはツイッターキャンペーンに活用することでプロモーションにつなげる。ジモコロ的にも、新しいキャラクターであるイエティの存在感を高められるというわけです。

 

 

プロモーションの結果は?

 

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そんなに爆発的に伸びたりしてるわけではありませんが、着実に反響があります。

 

ポイントはすべて自社メディア、自社企画で完結しているので、プロモーションを自給自足できているところです。

 

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「これまでも弊社では何度かプレゼントキャンペーンを実施していますが、当選者からの反応の早さは今回がダントツでした。TwitterのDMで当選の通知をしたところ、あっという間にほぼ全員から返信をいただくことができ、賞品の発送までとてもスピーディーに進みました。日本全国への発送作業をしながら、ジモコロがなければずっとイーアイデムのことを知らないままだった人もたくさんいるよね~と思い、ジモコロの影響力を再確認しました。

『ジモコロが好きだから、当たって本当に嬉しい』という声の他にも、ジモコロの感想をたくさん書いてくださる方や、届いた日本酒を写真に撮ってツイートしてくださる方も多く、読者の皆さんの反応を見られたことは嬉しかったですね」

 

ひとりひとりに深く刺さっていることは確かだと思いますし、自給自足でここまでできるのは価値があるなと思います。

 

 

しかし、そうなると余計にこう思うのではないでしょうか?

 

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それって結局、ビジネス的にはどうなの?

という疑問です。

 

深く刺さるのはわかったけど、狭くない?

 

この”問い”と言いますか、じわじわとしか効果を顕在化できないつらさというのは、オウンドメディアに携わる人の最大のハードルかもしれません。2年間の節目として、そのあたりもリポートしたいと思います。

 

 

で、本当に役立っているの?定量データから読み解きます

 

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「定量的」というのはどれだけ拡散した、とかどれだけフォロワーが増えたという「実績」でもなく、「個人的な印象」でもなく、ある程度たくさんの人に同じ質問をして統計的に傾向を見る方法です。認知率とか、好意度とか、いわゆるタレント好感度なんかも定量データです。

 

この手の調査、やらなきゃやらなきゃと思いながら、なかなかできなかったのです。

調査の設計と実施をやったYOMIKOの佐藤さんいわく、、、 

 

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「ブランド施策における<効果の見える化>はとても難しい課題ですが、webアクセスなど『行動の定量データ』だけでなく、人々がジモコロに触れて持ってくれた『意識の定量データ』を把握してみることも大事なことだという話をアイデムさんとしました。

 

意外に、分かっていてもこういったことまでできない場合の方が多いと思うので、実施に踏み切っていただいたことはジモコロの今後を考える上で本当にありがたいことだと思ってます。

 

オウンドメディア1つで人の気持ちがどこまで動かせるのかは未知数だなと思ってましたが、できるだけ、広告代理店っぽい結果ありきの調査(自分もたまにやってしまうんですが…)にならないように、ジモコロの現在地点をきちんと見てみようという気持ちで設計はしてみたつもりです」

 

そうなんですよね。オウンドメディア施策で人の気持ちがどこまで動くのか?

これを調べるのはちょっと怖い。あんまり動いていなかったら「意味ないからやめましょう」という話になってもおかしくないですし。

 

で、結果は以下の通りになりました。

(※データというのはどう読むかですので解釈に異論反論あるかもしれません。ご指摘ある場合は穏便にお願いします。)

 

 

イーアイデムの助成想起は伸びた?

 

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まず、助成想起。「言われれば知っている」という認知率です。

 

「知っている求人サイト」に仲間入りしますので、利用の安心感につながったりすると言われています。

 

 

 イーアイデムの純粋想起は伸びた?

 

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つぎに、純粋想起。「求人情報といえばイーアイデムだ」という人の割合です。

 

これも1%上昇しています。CMも広告もしていないのに、これが1%も増えるというのは正直驚きでした。ほんと、そんなに上がると思っていなかったのです。

1%というと大したことないように思いますが、100人に1人ということは、100万人の1万人です。実はけっこうなものなのです。

 

広告屋さんには、TV-CMをどれくらいオンエアすると〇%上がるという統計データがあります。状況にもよるのですが、それに換算すると1%上げるのに数千万円かかることだってある。しかも、せっかくそうやって上げた認知率もオンエアをやめると下がってしまうのです。

 

その点、ジモコロで獲得した1%は、忘れにくい1%。同じ1%でも価値が違うんじゃないかなーと。手前味噌ながら長年関わってきた者として感じています。

 

 

イーアイデムのことが好きだと感じる人は増えた?

 

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もちろん、ジモコロの読者はアイデムさんに好意をもってもらえているようです。

 

ちなみにアクセスデータのハイライトは以下の通り。 

 

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月々変動しますので、なんとも言えませんが、平均するとこんなもの。

 

PVやUUという「広さ」も重要ですが、平均滞在時間や離脱率の低さ、またはSNSでのシェアからの流入など「深さ」につながる部分は、ジモコロらしさとして大切にしたいですね。

 

 

さいごに

 

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というわけで、こんな内輪なデータでも、少しは興味を持ってもらえる人がいるかなということで、思い切って公開してしまいました。

ここまで公開させてくれるアイデムさん、すごいです。

来年もまたご報告したいところですが、できなかったら大人の都合だと思いますのでそっとしておいてください。とりあえず、3年目のジモコロをよろしくお願いします。

 

 

書いた人:及川貴雄

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ジモコロの広告おじさん。フリーのクリエイティブディレクター(ddd inc.)。ブランドに関わることもろもろ全般的に。コピーライター17年目。ウェブライター1年目。

じいちゃんとわたし「話を聞いてもらう」第4話

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

ジモコロをご覧の皆さん、こんにちは。食いしん坊イラストレーターの杏耶です。

私は母子家庭で育ったため、保育園の送り迎えやゲームの相手になってくれたのはじいちゃんでした。だけど、ある時から祖父の言動におかしなところが増え……

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この物語は、大好きなじいちゃんを蝕んだ認知症と、家族の絆を描いた漫画です。

 

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介護疲れで心身ともに参っている家族の方の気持ちが軽くなるような、介護にも色んな道があるんだと思ってもらえるよう漫画で伝えたい。

というわけで第4話、気軽に読んでみてください!

  

4話「話を聞いてもらう」

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

書いた人:杏耶

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食いしん坊イラストレーター、食べることと料理をすることが大好きで、趣味の一環で手軽に作れる様々なレシピを独自に考案、それをイラスト化した「あやぶた食堂」を2015年に発売。その他に丼物オンリー漫画「ド丼パ!」、東北のお酒と郷土料理を紹介したコミックエッセイ「のんで東北たべて東北」も発売中。Twitter ID→ @ayatanponpon / WEBサイト→ http://ayabubububububu.jimdo.com/

 

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商店街の鍵屋の老主人、古今東西の鍵を収集するマニアだった

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こんにちは、ライターの神田です。

私は最近東京に引っ越してきたのですが、今日は家の合鍵を作ってもらうため、鍵屋さんにやってきました。

 

訪れたのは職場である目黒区・中目黒のカトウロックサービス

通勤時に前を通るたび、「なんか変わった店だな」と思っていたんですが、店に入るとその予感は的中。

 

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どうしてこんなに鍵が……?

 

10や20じゃない、ものすごい数の鍵がショーケースに並べられていたのです。

 

この鍵屋さん、只者じゃない…

ということで、合鍵を作るついでにお話を伺ってみました。 

 

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加藤順一さん

中目黒の鍵屋、カトウロックサービス店主。

ご夫婦でお店を営業。現在もなお精力的な鍵のコレクションを続けている 現在86歳。 

 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「はじめまして。合鍵を作ってもらいに来たんですが……すごい鍵のコレクションですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「全部私が集めたものです。家の中にあるのも含めて総勢1000点以上はありますかね。もう鍵のこととなったらいくら話しても足りないくらいです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「そんなにあるんですか! 日本の昔の錠前や海外の鍵までズラッと並んでますが……合鍵を作ったあと、お話を聞かせて頂くことってできますか?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「いいですよ」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ありがとうございます! じゃあまずは合鍵をお願いします! 今までじっくり見たことはなかったけど、合鍵ってどうやって作るんですか?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「こういうブランクキーという何も刻まれていない鍵を元にして、機械で刻みをつけていくという形ですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「へえー! 金属を鍵の形に削り出すものだと思ってました。これがぼくの家の鍵です。お願いします!」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「はいはい、では作りましょうか」

 

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合鍵の作り方をざっくり説明すると―

1)対になった2つの機械があり、左に元となる鍵をセット、 右にブランクキーをセットする

 

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2)左の元鍵を棒のような器具でなぞると、連動した右の機械で同じ形に右のブランクキーが削れていく

 

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3)最後にちょちょっと整えて完成 

 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「絵になるな…! まさに職人技だ」

  

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これでいっちょあがりです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「5分もかかってませんね! 合鍵ってこういう風に作られるのか……」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ざっとこんなもんですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「合鍵を作る時、いつも気になってたことがあるんですが、この機会に聞いていいですか?」

 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「いいですよ」

 

 

Q.ドラマやアニメで粘土を鍵に押しつけて複製してるけど、あれって可能なの?

 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plainあれはあくまでおとぎ話ですよ。ありえないですね。第一粘土に鉄なんか流し込んで型取りなんか相当できるもんじゃない」

 

Q.鍵の写真を撮ってネットに公開した場合、画像を見ただけで鍵を複製できる?

 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「んー、難しいでしょうね。昔のものなら許容誤差の範囲で作れないことはないと思うんです。でも今の鍵は複雑なので見ただけでは難しいでしょう。どちらにせよ鍵の写真をネットに載せるのは控えたほうがいいですね」

 

Q.『合鍵を作れない鍵』はなぜ複製できないの?

 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain我々は作ってはいけないとメーカーから決められているんです。もし作ってしまうとメーカーと取引中止になってしまう。だから必ずメーカーに依頼するようにお願いしたいですね」

 

 

 

f:id:jpmpmpw:20170602131902p:plain

  

 世界の鍵の歴史

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「では店内のコレクションについてお話を聞かせてください。鍵ってこんなに種類があるんですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ここには日本だけじゃなく、中国やインドなど色んな国の鍵があります。その面白いところは国ごとにそれぞれ進化を遂げているんです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「そんなに差はないと思っていたけど国によって違うんだ!」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「アジアのどこかでアジア型の錠前が発明されて、錠前のサンプルと製作方法と、鍵の構造がシルクロードに乗っかって東西に分かれたと。東に行ったのが中国、朝鮮で日本で終点、西に行ったのはインドから中近東を通ってトルコまで行ってるんですよね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「鍵もシルクロードに乗って運ばれていたんですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ええ、でもアジアの鍵は機構的に同じようなものなんです。外側のあしらいはそれぞれ違いますけどね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ざっくり大別するとどのように分けられるんでしょうか」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「今言ったアジア型、ヨーロッパ型、アフリカ型の三つですかね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「勝手な偏見で恐縮なんですがアフリカに鍵ってあったんですか? なんかみんな大らかで、鍵をかけないようなイメージがあります」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「いやいや、もちろん鍵は存在してますよ。私のコレクションの中にもあります」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これはもう1000年以上前のものですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「木製なんですね。未だに残ってるのはすごい。でも木だから燃やしたら開きそうですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これだけ燃やすわけにはいかないでしょ! 中のものまで燃えてしまう」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「とにかくアフリカにも鍵があったことがわかりました」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「実はこのアフリカの鍵は私たちが普段使っている鍵と構造が同じなんです。ピンシリンダーという仕組みなんですが、その製作者がアフリカのこの鍵を参考にして作ったらしいですよ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「そんなルーツがあったとは! じゃあ全世界に鍵という文化があったわけですか」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうですね。鍵の文化として、残された未知の国は南米ですかね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「メキシコとかそっちのほうですよね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「あそこに有名な黄金文明があったでしょ、そこにも当然錠前があるはずなんだけどね。学者さんや権威者に鍵のことを聞いてみてもわかんないのよ……」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「鍵にかけては加藤さんの右に出る人はいないでしょうからね」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「『日本には鍵の歴史なんてなかった』なんて言う人もいてね。冗談じゃないよと。私は鍵についての本を書いたんだけど、その際、日本のカギの記録を全部調べたんです。日本一番古い文献・古事記には、既に鍵のことが書いてあったんです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「たしか古事記は飛鳥時代だから…もうその時代には鍵があったということですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「もちろん。源氏物語にも登場していますし、日本が錠前不毛の国だなんてとんでもない」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「すごい知識量だ… 古今東西の鍵のコレクションがそれを物語っていますね。これからもどんどん集めていくんですか?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうしたいけどね。昔は下町のお寺とかで骨董市があって、錠前とか売ってたんです。中目黒の、朝の始発電車で行くわけ。まだ暗いから、業者の持ってきた荷物を懐中電灯で照らしてね」 

 

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「このデカいやつも骨董市で買われたんですか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「それはちょっと別口からだね。インド産の錠前で、世界一大きくて重いんですよ」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ぎっくり腰になる恐れがあるので絶対に持ち上げないでくださいって書いてありますね。重さが防犯になってるのかな」

 

 

 

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日本の錠前

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 f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これは日本の錠前ですが、日本ではずっと、横から鍵を差し込んでロックするような仕組みになっていたわけですよ。しかし江戸時代になって貿易が盛んになると錠前にも変化が訪れます」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「それはいったい?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「このように正面からの方式に変わるんです。こちらのほうが使いやすいし、かっこいいからみんなこぞって真似し始めたんです」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「かっこいいから変えたってけっこうゆるいな」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ですが断固として変化を認めなかったところがあります。それは伊勢神宮です。伊勢神宮は20年ごとに遷宮といって社の建て直しをしますよね。その時、扉につけてある鍵も取り換えるんですよ」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「古い鍵は捨てられるんですか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そう。麻袋に詰めて捨てちゃうっていうんですよ。ちゃんとお金は出すから譲ってくださいって言ってもダメなのよ。ホントにもったいない」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「でも鍵自体はどこか作っているところがあるんですよね?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「鍵自体は京都の鍵屋さんが作っているそうなんです。壁にある金メッキの鍵がそうなんだけど、私は実際にお伊勢さんで使われてた鍵がほしいの」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ものすごい執念だ…」 

 

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こちらが、伊勢神宮で使う鍵を作っている京都の鍵屋の作品

 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「さて、話を日本の錠前の話に戻しましょう。アジア型のカギは全部中の機構が同じなんです。でもそういうのには欠点がある。カギの種類が少ないんですよ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「100種類の錠前に対して、鍵は10種類しかない、みたいなことですか? じゃあ別のカギを使っても開いちゃうことがあるのでは?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そう。今でも日本の江戸時代のカギで、中国の漢時代の錠前が開いちゃったりするんですね。そうすると防犯上問題があるんですよ。この問題をどうするか職人たちは考えました」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ほうほう」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうやって生み出されたのがこの『からくり錠』なんです。鍵は2本あります」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なんだこれ!」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これはお蔵で使われていたものですね。『からくり』の名の通り、ちょっとした仕掛けがあるので簡単には開かないようになっています」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「初見ではこれが錠前なんてさっぱりわからないですね。 この正面の鍵穴に鍵を差し込んで開錠するんですか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「残念。そこはロック用の鍵穴なんです。だからまずは開錠用の鍵穴を探さなくちゃいけない。さて、どこにあるかわかりますか?」

 

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「全然わからん」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これは全く知らない人にはまず無理なので解説しましょう。ちなみにこれはお蔵の鍵なので『松』『竹』『梅』をはじめとした縁起のいいあしらいがされています。実はこの『壽』と書いてある部分が動くんです

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なるほど。でも触ってみても全然動きませんが……」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「こういう風に松の飾りの部分が右に動くので、そのままにして『壽』を上に動かします。そうすると鍵穴が出てきましたね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「動くことすらわからないですよ! この鍵はどれくらい昔の鍵なんですか?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これは今から250年前の鍵ですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「250年前にこんな技術があったんですね。今でも驚きだ」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「先ほどの話に戻りますが、この鍵穴に鍵を差し込んで回すと、中からチーンという合図の音がします。これは鍵が開いた合図という意味もありますが、周りに鍵が開いたぞと知らせる防犯上の役割も備えているんです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「すごく考えられてるな… でももうこれで鍵は開いたんですよね?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「開いたと思うでしょ?ところがいくらやっても開かないんですよ」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「どこまで意地悪なんだ昔の人」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「開ける最後の仕掛けがこの中にあるんです。では触ってみてください」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「………わからない」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「難しいでしょ? 実はこの上から4番目のネジが動くんです

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「ここか!これはホントによく見なきゃわかんないですね…」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「けして古臭いからってバカにはできないですよ。これほどのものを考えてたんだから」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「昔の人に知恵比べで負けるのってなんだか悔しいですね…。」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ですが一度開け方わかっちゃうと誰でも開けられちゃう。だから職人たちは、また新しい機構を考えなきゃいけないわけです」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「もう泥棒と鍵職人のいたちごっこなわけですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「錠前のいい悪いの特徴の一つは、子供でも年寄りでも、誰でも簡単に施開錠できること。それがいい錠前の条件なんです。ですがからくりっていうのはそれ一切無視しちゃって、わざと使いにくくしてる。そうせざるをえないんですよね」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「もう職人の意地とかプライドの世界ですね」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「ホントそうですよ。日本の鍵に関してはそういうのが明治大正まで行われていたんです」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なるほど! けっこう最近のことなんですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「明治になると、外国から今の私たちが使ってるような新しいタイプの鍵が入ってくる。しかも大量生産でべらぼうに安い。その新しいタイプが流通しちゃうと昔ながらの錠前鍵が少なくなってくるんですよ。だからこそ古い鍵に惹かれてしまって」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なんか今の鍵ってすごくシンプルで、ただの道具になってる気がしますけど、加藤さんが見せてくれた昔の鍵って、からくりがあったり遊びがありますよね。もはや芸術とまで言えてしまうような」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「からくりなんですけど私が調べただけで18通りある、さらに厄介なのがまぜこぜに使ってんの。だから骨董市に行って探すにしてもね、何か新しい、変わったからくりがないかと一生懸命探してますね。それが楽しいんですよ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「今やっと鍵の楽しさがわかりました。まだ見たことのないからくりを見つけるのって楽しそう!」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「なんだかわくわくしてきたでしょ? それで、からくりの絶頂っていうのが明治に入って完成された。完璧に終わったのは大正から昭和の初期なんですよ。あとは後継者がいなくなってがくんと落ち込んでしまって」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なるほど… ちなみにそのからくりの絶頂と言われている鍵ってどんなものなんですか?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「それがこちらです」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「デカいしゴツい… しかも全く仕掛けがわからない! 自分じゃ開けられないことはわかったので開けてもらっていいでしょうか……?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「この鍵が……」

 

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1. 左上突起を下げて棒の部分をスライドさせる

2. 中心の飾りを回す

3. 右上突起を手前に下げたまま錠横部分を動かす

4. 鍵穴がふたつ登場、 鍵を左側の穴に差し込む

5. 反対側を押さえながら右側の穴に強く差し込む

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「このようにして開きます」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「そこ動くんかい、のオンパレードでしたね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「このようにしてようやく開くんです。防犯性もばっちりでしょうね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「こんな重厚な上に複雑な鍵、そもそも突破できないですよね…」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain作った職人が銘を刻むほどですからね。よく見ると『阿州住直次作』と刻まれてるでしょ。『阿州住』は阿波の国に住んでいるということ、『直次』は職人さん。銘が刻まれることはほとんどないんですが、作った職人さんもこれは傑作だと思ったんでしょうね

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「刀に銘を刻むのは知ってますが、鍵にまで銘が刻まれるなんて!」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そのころ阿波の国では藍染めの藍を作り始めたんです。それがものすごく儲かったそうですね。ここにある大きな錠前はだいたい藍染めのお蔵のものなんですよ。阿波には、今でもとんでもないお屋敷があちこちにありますよ。あそこは鍵もお蔵も日本一ですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「だから阿波のほうではこのような鍵の技術も発達していったんですね。じゃあ世界の中でも一番からくりの技術が発達してるのは阿波なんですか?」

 f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「いえ、それが違うんですよ。実は世界で一番からくりの技術が発達してるのはインドなんです」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「インド~~~~~~~?????? まったく想像していなかったですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「インドは悠久の国ですから。考える時間がたっぷりあったんでしょうね」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「さっき見た鍵もインド製… こんなアホみたいにデカい鍵を作るくらいだから、正直全然大したことないと思っていました」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「インドのからくり錠はすごいですよ。私でさえ最初はまったく歯が立ちませんでしたから」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「インドの鍵とはいったい…?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「これには鍵が5本必要です。ですが鍵穴はひとつ。」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「このでっぱりを回すと上の部分がエレベーターのように上がって、鍵穴が3つ出てくるんです。そうして順に鍵を差し込んでいくと開きます」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「すごい! 加藤さん、まさかこれ、インドまで行って買ったんですか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうですよ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain鍵のためにインドまで!? 好きすぎるでしょ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「それくらいしなくちゃマニアなんて言えませんよ」

 

 

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鍵屋としての道のり

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「鍵って奥深いですね…。カトウロックサービスさんはここに店を構えられてどれくらいなんですか」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「お店ができたのは昭和5年ごろですね。もともと金物屋だったんですが、45年ほど前から鍵屋として営業しています」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なるほど… そもそも加藤さんはどうして鍵に興味を持たれたんですか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「元々細かいものが好きでね、何かを分解して元通りに組みなおしたりということが好きだったんです。その中でたまたま見つけた錠前を分解して内部の機構を見たりして、こりゃおもしろいぞと。それから本を読んだり独学で勉強して鍵の世界に入りました

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「独学で!!?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうですね。当時は試行錯誤の繰り返しでした。でも一生涯の仕事にするつもりでしたからなりふり構わず勉強して。朝から深夜までずっと鍵といっしょでした」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「自分なら途中でダウンしちゃいそうだ……」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plainそれで勉強してるうちになんとか目当てがついてと。出張して錠前を開けたり金庫を開けたりと、段々鍵屋としての自信がついてきたころでした。そんなときに、とある仕事を頼まれたんです」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「それはいったい…?」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「古いお蔵の錠前を開けてくれっていう仕事でした。当時の東京にはまだお屋敷があって、そこには必ずお蔵があったんです。ところがそのお蔵に案内されてみると、もう全然歯が立たない

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「手に負えないと」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plainそれがからくり錠だったんです。でも先方さんは壊してもいいからとにかく開けてくれと。だからドリルで壊して開けたんですよ。それでもう自信をなくしちゃって」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「なるほど…」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「悔しくて、帰りに骨董屋で古い鍵を見つけて買って帰りました。その鍵を家で見てみると、私が勉強してきた今風の鍵とは全く機構も発想も違ったんです。こんな鍵があるなんてと! そこからもう鍵にどっぷりのめりこんでしまって」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「そこからもう鍵のコレクターになっちゃったわけですね。鍵は加藤さんにとっての因縁でもあったんだ」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「そうですね。もう生業になっていますから」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「鍵についてここまで聞いたのは初めてでした。本日はありがとうございました!」

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「まだ全然しゃべり足りないですよ。そうだ、私今やろうと思ってることがあってね。ちょっと本を持ってきますね」

 f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「…?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain新しく本を出したくて。私が今書きたいのはですね、実は笑われるかもしれないけど忍者についてなんですよ」

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「忍者!? 鍵とは全く違うジャンルですね」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「いえいえ、そんなことはないんです。実は忍者と鍵は密接に関わっているんです。この本は忍術のすべてが書かれた『万川集海』という本なんですが、ここに開器という項目があります。なんだかわかりますか?」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「万川集海…? 開器…?」

 f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「実はこれ、鍵の開錠についての手引きなんです。その忍者の技術を知りたいんですが全くわからない。一字一字は読めるんですがまとまって文章になると何言ってるかさっぱり」 

f:id:jpmpmpw:20170515113710p:plain「確かに全然わからない」 

f:id:jpmpmpw:20170515113742p:plain「だからこの本を解読するために毎日勉強しています。そして調べて分かったことをわかりやすく書いておいて。それで鍵のことをもっと継承していけたらいいですね」

 

まとめ

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中目黒の目黒銀座商店街近くにある小さな鍵屋さん。

足を踏み入れると、そこには1000点を超える古今東西の鍵のコレクションがありました。それはまさに加藤さんの人生そのもの。

鍵のことで何か困ったことがあれば、博識なご主人がきっと力になってくれますよ!

 

加藤さんは現在もコレクションを続けているそうなので、珍しい鍵をお持ちの方はぜひご主人とお話ししてはいかがでしょうか。

 

 

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▼カトウロックサービス

住所:東京都目黒区上目黒2-6-10 メゾン・ド・セリュリエ1F

TEL:03-3712-1851

営業時間:9:30~19:00

URL:http://www.katolock.co.jp

 

書いた人・神田匠

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1995年山口県周南市に生まれる。名字の読み方は「かんだ」ではなく「こうだ」。かわいいものが好きでKIRIMIちゃん.が特に好き。Twitter:@gogonocoda 個人ブログ:たくちゃんのわくわくブログ 

バナナが絶滅するって本当!? 専門家に聞いた「そんなバナナ」な真実

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こんにちは、株式会社キュービックの菊地です。普段は会社の広報と、学生向けメディアを運営しています。

私は今、わけあって東京農工大学の府中キャンパスにお邪魔しています。

ちょうど新人歓迎会が行われていて、校内は賑やかな雰囲気。楽器が弾ける人ってかっこいいですよね。

 

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ところで、みなさんは「バナナが絶滅するかもしれない」というニュースを耳にしたことがありますか?

なんでも「新パナマ病」という病気がフィリピンで猛威をふるっていて、バナナが絶滅の危機に追いやられているそうです。

パナマ病には、「新パナマ病」と「パナマ病」があり、今流行しているのは、新パナマ病とのこと。「」というくらいだから、パナマ病よりもヤバいやつなんでしょう。

 

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パナマ病によって枯れたバナナの木

私の部署では、毎朝バナナを食べるという習慣があるので絶滅されては困ります。

さらには、もっちりとした食感が特徴のキャベンディッシュという品種しか食べないこというこだわりも持っています。キャベンディッシュ最高!

ちなみに、キャベンディッシュは、日本では主流の品種なので高いバナナではありません。安ければ100円以下で買うことができます。

 

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心配でバナナを心から楽しめない同僚

 

それはさておき、バナナが食べられなくなる恐怖で寝られないので、本当に絶滅するのかどうか、その道の専門家に聞いてみることに。

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というわけで、東京農工大学の農学部植物病理学研究室の有江力(ありえ・つとむ)教授にお話を伺っていきます。有江教授はトマトなどの植物の病気に詳しく、パナマ病にも知見のある方です。

 

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バナナが絶滅するって本当? 

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現在、フィリピンを中心に「新パナマ病」という病気が猛威を振るっており、現地では、バナナの生産量が大幅に落ち込んでいるのだそうです。

また、50年以上前には世界的にパナマ病が流行し、当時主流だったグロスミッチェルという品種のバナナを根絶やしにしかけたという過去があります。

 

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「本日はよろしくお願いします。早速ですが、バナナが絶滅するというのは本当ですか?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「安心してください。バナナは絶滅しません。10年以上前にも、あと数年でバナナが絶滅すると騒がれていましたが、現にバナナは普通にスーパーで売られていますよね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「はい!昨日も仕事帰りに買ったばかりです!でも、フィリピンではバナナの生産量が減っているんですよね?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「そうですね。確かに新パナマ病が猛威を振るっていることで、バナナの生産量が落ちていることも事実です。菊地さんの不安を取り除くためには、まずパナマ病がどういった病気なのかを説明した方が良さそうですね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「はい、お願いします。バナナがないと困ります」

 

パナマ病ってなに?

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「植物の病気というのは、大体は微生物によって引き起こされます。パナマ病の場合はかびですね。ちょうど現物があるのでご覧ください」

 

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f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「これがパナマ病を引き起こすフザリウム オキシスポラムと呼ばれるかびです。土中に生息していて、根から侵入して、維管束という場所で増えていきます。人で言えば血管のようなところですね。このかびに感染したバナナの植物体は萎れ、やがては枯れてしまいます」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plainふわふわしてそうですね。もっと禍々しいものを想像していました」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「かびなのにきれいでしょ?匂いを嗅いでみてもかび臭くないんですよ。液体培地で培養すると日本酒みたいな匂いがするんです」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「とはいえ、かびですよね?感染したら土壌ごと殺菌すれば良いのではないですか」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「そう単純な話ではないんです。土壌には、多様な微生物が絶妙なバランスで生息しています。土壌を薬剤や熱水で殺菌してしまうというのは、その全てを死滅させるということになります。そうなると悪い菌が繁殖しやすくなったり、栄養バランスが崩れたりと、植物にとって都合の悪い土壌になる可能性が高くなるんです」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「生態系そのものが崩れてしまうんですね。では、パナマ病を感染前に防ぐ方法はないのでしょうか?」

 

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f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「一番効果的なのは、単純にかびが畑に入ってこないように、徹底的に隔離することですね。現に、フィリピンでも病原体の侵入を防ぐために、管理をきちんと行ってパナマ病の拡大を防いでいる畑もあります」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そんな簡単なことでいいんですか?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「言うのは簡単ですが、これを実行するのは非常に大変なんです。土というのは、風に飛ばされたり、トラックや人間の衣服に付着したり、長距離移動することもあります」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「確かに、服に土がくっついていても見落としてしまいそう…あれ、いま騒がれているのは新パナマ病ですよね? ただのパナマ病でさえ、ここまで対策しないと防げないということは、新パナマ病はもっと徹底した管理が必要ということですよね?『』ということは、バージョンアップしてますよね、人に感染しませんか?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「まずですね、新パナマ病というのは、パナマ病より病原性が強くなっているわけではないんです。なので、人に感染するということもありません」

 

新パナマ病ってなに?

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f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「たとえば、バナナがRという病気に強い遺伝子を持つとしましょう。この抵抗性遺伝子Rは、病原体が持つ遺伝子Aを認識して侵入をブロックする働きがあります」

 

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f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「空港の金属探知機のようなものですね」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「ところが、病原体の遺伝子Aが変異してaになってしまうと、Rは病原体を認識することができずに侵入を許してしまう。つまり、新パナマ病は病原体が凶暴になったわけではなく、植物が防御のために張っているレーダー網をかいくぐって侵入する、いわゆる『ステルス性』を獲得したということなんですね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「強くなって帰ってきたわけではないんですね。少し安心しました。では、バナナに抵抗性を持たせれば解決ですね」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「その通りです。しかし、バナナの場合はそう簡単ではないんです。私たちが普段食べているバナナは、キャベンディッシュという系統で、以前流行したパナマ病に対する抵抗性を持った品種。日本で出回っているバナナはほとんどがこの品種となっています

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「はい。日本人好みの品種なんですよね。私も大好きです」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「例えば、トマトであれば、抵抗性を持つ野生系統などと掛け合わせることで、食用品種に抵抗性遺伝子を入れることができます。これを育種と言います」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「なるほど」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「しかし、私たちが食べているキャベンディッシュは3倍体と言って、掛け合わせてもほとんど種ができないので、それが難しい。新パナマ病に対する抵抗性を持つ系統のバナナと、キャベンディッシュを掛け合わせて、新パナマ病に抵抗性を持つキャベンディッシュが生まれる確率はとても低いんです

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「どこかで100万分の3の確率と聞いたことがあります」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「私は育種の専門家ではないので、正確な数字はわかりません。仮に新パナマ病に対する抵抗性を持つ品種が生まれても、今のキャベンディッシュのように甘くなかったり、日本人好みの味にならなかったりという可能性もあります」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「私たちが普段から美味しい果物を食べられるのも、そういった研究を続けてくれている人たちの努力の賜物なんですね」

 

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f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「そうですね。例えば、トマトも育種によって、どんどん品種が増えています。私はもともとトマトの病気が専門ですが、トマトも何度か絶滅の危機を迎えているんですよ。それなのに、世間的にバナナほど騒がれていないのが少し不思議です」

 

バナナはこれからも食べられる? 

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f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「確かに、トマトの方が食卓に欠かせないような気がしますが…バナナの話に戻ると、結論としては『現状は新パナマ病に抵抗性を持つバナナは無いけれど、管理を徹底している農園では感染の拡大を防げている。いずれは抵抗性を持つおいしい新品種も現れるので、バナナが絶滅する心配はいらない』ということでしょうか?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「そうですね。今は、育種や遺伝子組み換えの技術も発達しているので絶滅することは無いと思います。最悪、キャベンディッシュ以外の品種を食べることもできますから」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「いや、バナナはキャベンディッシュに限ります。もっちり感が違う。先ほど管理コストのお話が出ていたと思うのですが、そうなると値上がりは避けられないのでしょうか?」

f:id:yutori_style:20170503123842p:plain「今でもスーパーでは、1房100円前後で販売されているので当分は大丈夫だと思います。今は輸送技術も発達していて、新パナマ病の発症が確認されていない遠方からでもバナナを輸入できます。現に、最近はエクアドル産のバナナをよく見かけますよね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そうなんですね。バナナが絶滅しないことがわかり安心しました。お忙しいなか、貴重なお話の数々ありがとうございました!」

 

 

バナナは絶滅しなかった 

 

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バナナが絶滅すると聞いて、取り乱してしまいましたが、絶滅することはなさそうですね。

当分のうちは、大幅な値上がりもなさそうなので、明日からも安心してバナナを食べようと思います。

皆さんも素敵なバナナライフを!

 

【ジモコロ バナナシリーズ第一弾もあわせてどうぞ】

 

書いた人:菊地誠

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自社メディア事業を手がける西新宿のデジタルマーケティング企業、株式会社キュービックのPR担当。Webディレクター兼ライター。タイ人と2人で暮らしています。ペンギンとぬか漬けが好き。Facebook:菊地 誠 / Twitter:@yutorizuke / 所属:株式会社キュービック / 運営メディア:「ココナス」「HOP!」「エピカワ」「イエトク」「カービックタウン」「キューチャン!」など

【もしもバナナが消えたなら】旭山動物園に与える影響を徹底調査!

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こんにちは。株式会社キュービックの菊地です。普段は広報をしたりメディアを運営したりしています。

前回の記事で、バナナが絶滅しないことがわかり安心していたのですが…一つ問題があることに気がつきました。


僕は、バナナが多少値上がりしたところで食べられなくなることはありません。ちゃんと働いているのでお給料があります。

 

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 だけど、動物園にいる動物たちはどうでしょう。彼らは、自分でお金を稼ぐことはできません。

 

つまり、バナナが値上がりすると、バナナの量を減らされてしまうかもしれない。このままでは、動物たちが食事の楽しみを奪われてしまう!!

 

 そうなった場合、動物たちのモチベーションが下がり、最高のパフォーマンスができなくなってしまう可能性も!!!!

 

 

旭山動物園に行ってみた 

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というわけで、急いでやって来たのは、北海道旭川市にある旭山動物園。バナナが絶滅や値上がりすることで、動物園が被る被害総額を伺っていきます。

 

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最初に、迎えてくださったのは旭山動物園長坂東元さん。優しそうな眼差しとは裏腹に、こちらが挨拶をしても返事がありません。

 

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坂東園長と無言の状態が続き、気まずい雰囲気が流れるなか…

 

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しばらくすると、副園長の中田さんがいらしてくださいました。

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「本日はよろしくお願いいたします。園長が無言でヒヤヒヤしました」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「よろしくお願いします。それはそうでしょうね。えーと、バナナが絶滅することで、うちが受ける影響のお話ですよね?」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「はい。当初はその予定だったのですが、バナナ、絶滅しません(詳しくは前編参照)」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうですか(笑)、それは良かったです。そうなると、今日はもう…」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「いえ、東京から北海道まで来ているので手ぶらでは帰れません。仮にでもバナナが絶滅したらどうなるか教えてください」

 

 

バナナが絶滅したらどうする? 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「バナナが絶滅することなんて、考えたことすらなかったからなあ。もし絶滅したら、栄養が似たようなものを探して代用しますね。あとは、代わりにリンゴの量を増やすとか」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「バナナが絶滅しないのですが、価格が高騰する可能性はありそうです!どのくらいまで高騰したら、バナナをあげるのを躊躇しますか?」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「うーん。みんなバナナが大好きだから、どんなに高くなっても食べさせてあげたいなぁ。ただ、あげる量は減らすことにはなるかもしれませんね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「やっぱり、動物もバナナ大好きなんですね!ちなみに、どんな動物にバナナをあげているんですか?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「うちでは、ニホンザル、チンパンジー、オランウータンとか猿系ですね。あとは、アフリカ産のヤスデやゴキブリなどがいる、ゲテモノ水槽の虫たちにもあげています。詳しくは、あとで実際にエサ小屋に行ってご説明しますね」

 

f:id:yutori_style:20170517161712j:plain

実は、日本にしか生息していない貴重なニホンザル

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「ありがとうございます。ひと口に猿といっても個体差があると思うのですが、バナナが嫌いなサルはいますか?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「今までバナナが嫌いな猿にあったことはないですね。動物には、好きなものから食べるという習性があるのですが、色々な野菜と混ぜてあげても、必ずバナナの取り合いから始まります

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そうなんですね!逆にいつも残ってしまうエサはありますか?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうだなぁ。やっぱりキャベツや白菜といった葉っぱ類ですね。あとは人参とか芋類が残るかなぁ」

 

f:id:yutori_style:20170517161029j:plain

動物たちには不人気な白菜とキャベツ

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「やっぱり味の主張がないものは敬遠されるんですね。動物たちの場合、鍋で煮込んでポン酢というわけにもいかないですし」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「基本的には、甘いものが好きなんですよね。バナナ、リンゴ、キウイとか。でも、そればかりあげるとブクブク太ってしまうので、健康面を考えると少量しかあげられないんですよね」

 

f:id:yutori_style:20170501123158j:plain

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そうなんですね。日頃から少量のバナナを楽しみにしている彼らにとって、バナナがなくなってしまうというのは大事件ですよね?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「彼らのモチベーションにどう影響が出るかはわからないのですが、私たち飼育員からしても、バナナがないと困ることが多いんですよ」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そういうのが聞きたかったんです!なぜでしょうか!」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「例えば、動物が風邪をひいたり、怪我を負ったりした時は薬をあげないといけないのですが、当然ながら薬をそのままあげても彼らは飲みません」

 

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オランウータンという名前はマレー語で森の人という意味

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「私も苦い薬は基本的に飲みません」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「だから、バナナに切り込みを入れて、薬を練りこんであげるんです。まあ、チンパンジーなんかは頭がいいので、バナナに切り込みが入っているだけで、薬に感づいて食べなかったりするんですけどね(笑)」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「なるほど!確かに、バナナのもっちりとした粘度ならうまく隠れそうですね」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうなんです。あと、なかなか寝室に戻らない時の誘導にもバナナを使っています。動物たちの目の前でバナナをチラつかせると、素直に寝室に入ってくれるんですよ」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そんな思わぬところでバナナが活躍していたなんて…ちなみに、絶滅が騒がれているバナナはキャベンディッシュと呼ばれる品種なのですが、動物たちにはどういった品種をあげているんですか?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「品種はわからないなあ…野菜業者の方に、毎日届けてもらっているから、品種や原産国までは気にしていませんね。さあ、そろそろエサ小屋に移動しますか。少し距離があるので、車でいきましょう」

 

 

旭山動物園のエサ小屋へ

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エサ小屋へ向かう道中、せっかくなので気になっていた質問を投げかけてみました。

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「素朴な質問なんですが、動物園のスタッフさん同士の飲み会ってどんな感じですか?私たちサラリーマンの場合だと、売り上げの話や、くだらない話が話題の中心になるのですが」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうですね。ふざけた話がメインなのは、私たちも同じですよ。ただ、動物のことになるとみんな熱くなりすぎて、喧嘩寸前の言い合いになることはありますね。それだけみんな動物が大好きなんですよ。あ、左に見えるのがニホンザルです」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「今、猿山を改装中でニホンザルは仮住まいなんです」

 

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遠くを見つめるニホンザル

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そうなんですね。住み慣れた我が家ではないからなのか、どこか悲しげですね」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「菊地さん、エサ小屋に着きましたよ。どうぞ中へ」

 

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f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「小屋というので、もっとこぢんまりとした空間を想像してました。広いですね」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「園内の動物たちのエサは全てここで管理しているので、これくらいのスペースは必要になります。ちなみに、ここにあるのが動物にあげている野菜です」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「前日に各動物の担当者が、それぞれの動物に必要な量を確保しておきます。すでに担当者が持っていったあとなので、もう残りが少ないですね」

 

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f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「これがその確保されたエサというわけですね。カゴの形が統一されていないあたりに、担当の方々の人間味が垣間見えます」

 

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生活感を感じる注意書きを発見。自分の担当している動物たちに、「少しでも多くのエサを食べさせてあげたい」という気持ちからついつい多く取り過ぎてしまうのでしょうか。

 

 

旭山動物園ではどのくらいバナナをあげているの? 

f:id:yutori_style:20170516143238j:plainf:id:yutori_style:20170503123844p:plain「どの動物に何をどれくらいあげるのかは、ここのホワイトボードに書いてあります。ニホンザルには、1日に4kgのバナナをあげていますね。ちなみに、うちには64頭のニホンザルがいます」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「それだけのサルがいながら1日に4kgというのは、なかなか熾烈な奪い合いになりそうですね。バナナ1本がだいたい200gなので、4kgということは20本くらいでしょうか」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「はい、そのくらいですね。細かく切って広範囲に撒くなどして、全員にいき渡るように工夫はしています。それでも食べられないサルには、あとから寝室でこっそりあげたりしています。サルは上下関係が厳しいので、下っ端はなかなかバナナにありつけないんですよ」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain寝室でこっそりですか。何か良からぬ響きです。ただ単にエサをあげるだけではなく、動物たちがきちんと食べているかどうかも観察しているんですね」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうですね。ただ、動物がエサを食べる時というのは、その群れのなかの上下関係が顕著に現れるので、注意深く観察してみると色々な発見があって意外と面白いんですよ」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「どんな社会にも上下関係はあるんですね。厳しい現実です」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「それぞれ野菜の仕入れ金額も書いてあるので、1日あたりのバナナの消費金額もわかります」

 

f:id:yutori_style:20170501124151p:plain

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「あった!バナナ1kg当たり300円!!それが8kgということは300(円)× 8(kg)で1日にかかるバナナのコストは2400円ですね!!」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうですね。他の餌と比べれば量は少なめかもしれません」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「3年前、バナナの平均価格は1kg当たり250円だったので、3年で50円の値上がりがあったということになります。つまり『このままのペースで価格が高騰し続ければ、2020年の東京オリンピックの時には、今より50円の値上がりに。現在、旭山動物園はバナナにかけているコストはおおよそ86万円なので、年間のバナナにかかるコストは14万円増える』ということになりますね!」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「う〜ん。まあ、それくらいであればバナナの量を減らすこともなく、これまで通りあげ続けられそうですねぇ。菊地さん、急に早口になりましたね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「あ、、、そうですか。そうですよね。よかったです。はい。思いのほか被害も少なそうでびっくりしました。でも、動物たちの楽しい食事は守られるみたいなので、よかったです、はい」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「被害というほどのことではないですね。やっぱり動物たちの命を預かっているので、彼らにとって、できるだけ良い環境を整えてあげたいんです」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「じゃあ、バナナが食べられなくなった動物たちが、いっせいにストライキを起こしてしまうなんてことは、、、?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「ないでしょうね(笑)。彼らも野生では美味しいものばかり食べているわけではないので」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「それはそうだ」

 

 

果物をあげなくても動物は平気? 

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「実のところ、バナナをはじめとする果物や野菜というのは、最悪あげなくても動物たちの健康に差し支えることはないんですよね。これを見てください」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「これは、ペレットというドライフード。動物に必要な栄養がぎっしり詰まったエサです。それぞれサル用、クマ用と動物ごとに用意してあって、これさえ食べておけば健康を維持することは可能です」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「ドックフードみたいですね」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「でも、これだけを食べるのはなんだか味気ないですよね」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「栄養面だけを突き詰めて行くと、こういったドライフードに行き着くんですね。確かに、毎日こればかり食べるのは味気ないです」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「ちょっとこれを見てください。これはフラミンゴ用のペレットです。よーく見ると、赤い斑点がありますよね?これはカロチンという色素で、フラミンゴの赤い模様を維持するために必要なものなんです」

 

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野生では、数千羽から百万羽にもなる巨大な群れで生息するフラミンゴ

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「栄養面だけではなく、より野生の環境に近づける工夫がなされているんですね。私もこれを食べたら肌が赤くなりますか?」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「(笑)。それはちょっとわからないですが、ずっと昔にフラミンゴの池にアヒルもいたんです。彼らも、このペレットをつまみ食いしていたみたいで、一時期ほんのりと赤くなっていることがありました」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「それはおもしろいですね。シロクマが食べたらどうなるのでしょうか」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「さあ、どうでしょうね。せっかくなので肉食の動物たちのエサも見てみましょう」

 

 

肉食動物は何を食べているの?

f:id:yutori_style:20170501124554j:plainf:id:yutori_style:20170503123843p:plain「生々しいですね…」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「生肉なんで、そうですね。これは今解凍中で、だいたい前日くらいからこうやって外に出しておきます。ちなみにこれは鳥肉と馬肉で、主にライオンやトラが食べます」

 

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ネコ科の中でもっとも社会性が高いと言われているライオン

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トラの仲間では、一番大きいとされるアムールトラ

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「あとはホッケですね。うちのペンギンが食べています

 

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f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「ペンギンはホッケを食べているんですか。ずいぶんと贅沢ですね」

 

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ホッケを待つキングペンギンたちとそのヒナ(茶)

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「東京の感覚だとそうかもしれませんね。でも道民からすると、アジやイワシよりホッケの方が安いんですよ」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「こんな感じで冷凍保存しています。これはやや小ぶりですが、北海道のスーパーで売っているホッケは、もっと大ぶりで身がぎっしり詰まっています」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「おいしそうですね。今夜はホッケを美味しく食べられるお店を探してみようと思います」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「この辺りのお店で出てくるホッケは、大ぶりで脂がのっていて美味しいですよ。私もお腹が空いてきたので、そろそろ戻りましょうか」

 

 

大人ならではの動物園の楽しみ方 

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エサ小屋見学を終え、オフィスに戻ってきました。

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「中田さん、本日は本当にありがとうございました。最初の主旨からは少々ズレてしまいましたが、大人になっても動物園は楽しい場所ですね」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「そうですね。動物園には、大人だからこその楽しみ方もたくさんあります。動物は、季節ごとにいろんな表情を見せてくれるんですよ。子どもの時にはわからなかった微妙な違いも、大人になってから気づける部分ってたくさんあります。体毛の変化とかはまさにそうですね」

 

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夏のホッキョクギツネ

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冬のホッキョクギツネ

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「僕は断然、冬のホッキョクギツネが好きですね。ふわふわしてそう」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「あとは、うちの動物たちの姿を見て、野生で生活している彼らの生き方をイメージして、動物たちをより身近に感じてほしいですね」

 

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f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「例えば、オランウータンだったらボルネオの森の中が本来の住処。でも現地では、オランウータンの数が年々減っています。なぜ減っているのか、どうしたら数の減少を食い止めることができるのか。大人ならではの視点で動物を見てもらえたら嬉しいです」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「たしかに、子供の頃はそこまで考えていませんでした。動物が見ているだけで楽しかった」

f:id:yutori_style:20170503123844p:plain「私たちスタッフが伝えたいことは彼ら動物たちの『命』についてなんですよ。この地球上では、人間だけじゃなく、動物たちも毎日必死で生きています。そんな彼らが、今どんな状況にいるのか、世界で起きていることに、もっと目を向けてほしい。そのきっかけづくりを今後もしていきたいと考えています」

f:id:yutori_style:20170503123843p:plain「そうなんですね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました」

 

 

まとめ 

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はい! ということで今回は、バナナが絶滅することで動物園が被る被害総額を調べてみるという企画だったのですが、動物園が被る被害も少なく、大きな影響はありませんでした。

 

今回、取材にご協力くださった旭山動物園さんは、今年の7月1日で開演50周年を迎えます。実は、7月1日というのは私の誕生日でもあるんです。こんなにめでたい日はそうそうありませんね。

 

今回の調査結果:大人になっても動物園は楽しい。

 

この機会にみなさんもぜひ、旭山動物園に行ってみてはいかがでしょうか?

 


そして、仕事が忙しくて北海道には行けない、というあなた。安心してください。私の勤務先であるキュービックにも動物がいますよ。

 

 

 

 

書いた人:菊地誠

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自社メディア事業を手がける西新宿のデジタルマーケティング企業、株式会社キュービックのPR担当。Webディレクター兼ライター。タイ人と2人で暮らしています。ペンギンとぬか漬けが好き。Facebook:菊地 誠 / Twitter:@yutorizuke / 所属:株式会社キュービック / 運営メディア:「ココナス」「HOP!」「エピカワ」「イエトク」「カービックタウン」「キューチャン!」など

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 16話「カフェと民話と」

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<柳田さんと民話・一覧>
16

 

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※参照 『柳田さんと民話』13話 

 

 

<柳田さんと民話・一覧>

 

・1話~10話までをまとめ読みする!

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

ヤンキー御用達の「短ラン詰職人」世界へ

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こんにちは。ライターのカツセマサヒコです。

 

ズボンのことを「パンツ」とか「ボトム」と呼ぶことに抵抗がある今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか。胸元あたりのことを「デコルテ」って呼んで、ハイソな気分、味わってますか。

 

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ファッションセンスというのは身に付かない人はいくつになっても身に付かないようで、僕もいつもどおりユニクロ固め・無印良品添えで飲み会に出向く日々です。

 

ところが先日、ヴィンテージ服が好きすぎて、博物館所蔵の洋服を分解して標本にしてる奇特な人”を友人から紹介してもらいました。

 

「ヴィンテージってアレでしょ? 要するに古着でしょ?『WE GO』で買うんじゃダメなの?」

「てか、服って博物館から買えるんだっけ?」

「そのお金でもっとウマい飯とか食えるんじゃない?」 

 

と、ツッコミを入れてみたくなったので、今回はそんなオシャレ服に人生を奪われてしまったアパレルお化けに会いに行くことにしました。

 

レッツ・アーバンリサーチ!

 

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ということで、今回取材させていただくオシャレ番長、長谷川彰良(はせがわ・あきら)さんの登場です。

10歳頃から洋服作りに目覚め、現在はフリーのモデリスト(※)をやりながら趣味で欧米諸国のヴィンテージ服を集めている。都内の一軒家で、奥さんと子どもと幸せに暮らしている素敵なパパでもあります。

 

※モデリストとは?

一言で言うと、“洋服のデザインから生産まで一貫して作れる人”のこと。「デザイナー」はあくまでもイメージまで、「パタンナー」はイメージを形にする人。モデリストはその二つの役割を併せ持ち、生産までしちゃうスゴい人。ドラクエで言う「バトルマスター」みたいな感じらしい。

 

初の個展で海外にまで注目を集める

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f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「長谷川さんはとにかくヴィンテージ服が好きすぎて、趣味の域を超えちゃってるって聞いたんですけど、どんなことをやってるんですか?」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「僕、会社を辞めて最初にやったことが、集めたヴィンテージ服を分解し標本にしたもので個展を開くことだったんですよ」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「なんだそのパンクな個展」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「そしたら、○○○○美術館さんとか、アパレルの○○○○グループさんとか、○○○○大学さんから、セミナーの登壇依頼が来るようになりました」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「まさかの世界規模のラインナップ! 書けないのが悔しい……ッ!!」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「ヴィンテージ服を標本にしてる人って、そんなにいないんでしょうね。だから需要はあったんだと思います。でも、個展を開く準備で3カ月間ほぼ無収入で、初期費用に80万円くらいかかってますからね。なんとも言えないです(笑)」

 

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個展「半・分解展」のポスター。アパレルに関心がある人にはたまらない企画だったのだろう。

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「でも独立してすぐのタイミング、しかも妻子持ちで3カ月間無収入って、過酷すぎますよね……?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「回収できるか心配だったんですけど、最終的には1400人くらい来場して、なんとか黒字にできました。無名の個人の個展としては、ギリ成功って言っていいんじゃないかと思ってます」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「初個展で1400人って、普通に考えてすごい」

  

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個展のあいさつ文。長谷川さんの服への想いがぎっしり書かれている

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「そもそも長谷川さんみたいなフリーランスのモデリストって、どうやって仕事を受けるんですか? 」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「僕は自分のブログから仕事の依頼を受けることが多いですね。『〇〇を作ってください』とざっくりとした依頼を受けて、お客さんと一緒に話し合いながら、ひとつひとつ作っていくことが多いです」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「どんな人から依頼がくるんでしょう?」  

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「クライアントの9割はアパレルメーカーですね。海外メーカーからも仕事をいただいてます。クライアントによってはデザイン・パターン・生産までまるごと依頼をいただくこともありますし、個人の方からマニアックなオーダーメイドの依頼がくることもありますね」

 

f:id:katsuse_m:20170517014553j:plain

「たとえば……」と取り出したジャケットは、ミシンを一切使わずに全部手縫いで作ったらしい。「手縫いのやわらかさって独特じゃないですか?」と言われたけど、悔しいくらいに理解できない。

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「じゃあ長谷川さんは、いざとなったらどんな服でも作れちゃうってことですよね?」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「あー、でも僕、作る服の領域はめちゃくちゃ狭めているんですよ。たとえば、紳士服と婦人服だったら、紳士服しかやらない。編み物と織り物であれば、織り物の服しか作らない。パリコレに出るようなモードなモノは作らず、クラシックでスタンダードなものだけを扱うって決めているんです」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「じゃあ基本的にスーツばっかりだ。どうしてそれだけに絞ったんですか?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「んー……」

 

f:id:katsuse_m:20170517015205j:plain

それが、僕がこの世に残したい服だから?

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「めっちゃかっけえ」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「僕のモノづくりに対するコンセプトが『100年前、150年前の感動を、100年後、150年後につなげたい』なんです」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「おお……!」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「将来的には自分のブランドをやろうとも思っています。ただ、『ブランド』という発信の仕方だけではなく、個展やセミナーなどにも積極的に取り組み、100年前の洋服の素晴らしさを僕らしい見せ方で、下の世代の人たちに伝えていき100年後の未来に繋げていこうと思ってます。」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「志の高さまで最高すぎる……」

 

 

ヤンキー御用達の「短ラン詰め職人」だった青春時代

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f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「ファッションセンスが皆無な僕から聞きたいんですけど、どういう教育を受けたらヴィンテージの洋服に興味を持つようなオシャレさんになるんですか?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「僕の場合、親の影響はまったく関係なくて、気付いたら好きだったんですよ。小学校3〜4年生くらいからミシン踏んでましたし」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「早すぎ」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「ボストンバッグが欲しいと思って、自分で作ったのがきっかけだったんですよね。親に布を買ってもらって、パターンみたいなやつ引いてました。確かその時点で、服作りを生業にするだろうなあと思ったのを覚えています」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「小学生男子って家庭科のエプロン作りすら嫌がって、ドッヂボールに命かけてるイメージだったんですけど」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「あ、でも、エプロンは全く上手に作れなかったですよ。たぶん、興味がないから(笑)」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「『好き』という理由だけでそこまで執着できるのが羨ましいです」

 

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家の中には業務用ミシンや、パターンを書くための大きめのテーブルが並ぶ 

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「中学・高校時代も服を作り続けていたんですか?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「そうですね。出身が茨城なんですけど、ヤンキーが多い地域だったんで、友だちの学ランとかよく詰めてました

 

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f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「超いいエピソードじゃないですか。よし、ここでタイトル画像入れときますね」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「タイミング謎すぎるでしょ。実際、茨城のヤンキー文化を支えてた気がします。めちゃ怖そうな先輩から『長谷川くん、詰めてくれない……?』って遠慮がちに言われてましたし」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「ある意味スクールカーストの頂点ですよ、それ。長谷川さんも、ヤンキーだったんですか?」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「あ、僕は普通の学生だったんで短ランにはしませんでした。でも、当時って成長期だし、みんな入学当初って、大きめの学ラン買いませんでした?」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「買いました、買いました」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「僕、アレがすごいイヤだったんで、自分で裾とか詰めて、ひとりだけいつもジャストサイズを着てました」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「一周まわって短ランより怖いな」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「高校を卒業してからは専門学校に入って、そこで洋服の造形美を知りました。新卒でパタンナーとしてアパレルブランドに勤め、土日はスーツ作りの学校に通い、そこから独立して今に至る、といった経歴ですね」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「アパレルまみれの人生すぎるし、『成るべくして成った』って感じがしますね」

 

 

圧倒的機能美! ヴィンテージ服お披露目

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f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「ちなみにヴィンテージ服って、今もこの家に保管されているんですか?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「ああ、ありますよ。見ますか?」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「ぜひ! ぜひ見たいです!」

 

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ギィィィィ。

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「屋上への隠れ階段とか、RPGすぎるでしょ」

 

 

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屋根裏から出てきた、ヴィンテージすぎる服

 

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半分は仕組みを知るために分解し、別途保管されている

 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「これが、今から120年前くらいのフランスの消防服です。20代始めのころに出会って、分解したら生き方が変わりました

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「生き方が変わるレベルなんですか、これが」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「量産されている既製服とオーダー服はつくりが全然違うんですけど、一度洋服の作り方を勉強すると、こういう服を見たときに発見がとても多いんですよ。この服なんか、人生ひっくり返るレベルでした」

 

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このデザインで消防士の服だから、めちゃくちゃオシャレなのはわかる。でもそんなにすごいの……?

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「現代の服を分解しても、これとは全く違う形になるってことですよね?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「そうですね。わかりやすいところで言うと、現代の服は肩周りが動きやすいように、背中側の布を前面よりも大きく作っているんです。でも、100年前の服は真逆で、前を大きく作っています」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「なぜそんなかたちに?」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「背面の布が小さいと、背筋を張らざるを得なくなるんです。そうすると、勇ましく見えたり、姿勢が良く見えたりするんですよね」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「へええ! たしかに世界史の教科書を見ていると、みんな胸を張ってるイメージある」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「それ、服による要因もあると思いますよ」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「なるほどー! 分解するだけでそんなことがわかるんですね」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「そうですそうです。時代によって美しさの基準が全く違うんですね。それが本当に面白い。試しに、何か着てみますか?」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「え! 着ていいんですか!!!」

 

 

 

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30歳、はじめてのヴィンテージ服

 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「あ、意外と似合ってる」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「本当ですか? なんか、ちょっとした露出狂に見えません?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「大丈夫、イケます」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「こういう服、どこで手に入れるんですか?」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「仲のいいコレクターがヨーロッパをずっと周っていて、その人から買いました。これは100年前のアメリカ海軍の軍服ですね」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「海軍かー! かっこいい!!」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「こういうのを着たり分解したりすることで、歴史や背景を研究するのが楽しいんですよ。これとか『ソード・スリット』って言って、剣を刺せるスリットが付いてるんですよ」

 

 

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ジョジョに出てきそうなポーズで教えてくれる「ソード・スリット」

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「すげー!! 男の子が大好きなヤツじゃないですかこういうの!」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「ですよね(笑)」

 

 

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さらに100年前くらいのコートがこれ。1800年、フランス革命の頃の服らしい。

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「完全に呪われそう」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「博物館からディーラーに買いとってもらって、それを僕が買ったんです」

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「いくらで買えるんですか、そんなの」 

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「これは時価だったんで、ジャケット2着とシャツ1着をオーダーで仕立てて、それと交換して買いました」 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「スキルで物々交換するとか、めっちゃカッコイイ」

 

 

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このほかにも出るわ出るわ、ヴィンテージ服のオンパレード。部屋の中があっという間に博物館みたくなっていきました。

 

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「ちなみになんですけど、これらを合わせたら総額いくらくらいになるんですか?」

f:id:tmmt1989:20170517200406p:plain「うーん、○○○万円くらいじゃないですか?

f:id:tmmt1989:20170517200341p:plain「絶対に真似したくない趣味だな」

 

  

おわりに

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軽い趣味の延長線上にあるかと思った「ヴィンテージ服の収集癖」は、いつしか趣味の域を遥かに超えて、世界が注目するブランドから声がかかるほどの異次元の世界に行っていました。

 

無趣味・無頓着でだらだらと生きてきた僕からすると、長谷川さんのように「何かを突き詰めること」に夢中になれる人は本当に尊敬ばかりです。

 

ましてや「3カ月間無収入でもやりたいこと」なんてこれっぽっちも浮かばない僕には、初の個展にそこまでの労力を割ける熱意が羨ましくてしょうがない。

 

そして何より、洋服のコンテンツとしての奥深さ! 一着を分解するだけで見えてくる歴史的背景に、かなりワクワクさせられました。

 

この世界観をもっと見てみたい方はぜひ、長谷川さんのブログを読んでみてください。ディープな世界が広がりすぎてて、若干引いたあとにめちゃくちゃ楽しめますし、各地でイベントやトークショーも主催しているようなので!

 

それでは、またお会いしましょう。

レッツ・ナノ・ユニヴァース!!

 

ライター:カツセマサヒコ

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1986年東京生まれ。下北沢の編集プロダクション・プレスラボでライター・編集者経験を経て、2017年4月より独立。 広告記事、取材記事、コラム、エッセイ、Web小説等の執筆および、 メディア運営・企画・取材・編集・拡散等の領域で活動中。趣味はtwitterとスマホの充電。Twitter→@katsuse_m

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