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「猫のぽんたを飼い始めたら人生が好転した」 75万フォロワーの漫画家・鴻池剛が明かす半生

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はじめに

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こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグのまきのと、ぽんたです。言わなくてもいいと思いますが一応言っておきますと、人間の方がまきのです。

さて、この「ぽんた」、一見どこにでもいる普通の警戒心MAXなネコなんですが、twitterをやっている人であれば一度はこの漫画がRTで流れてきたことはあるのではないでしょうか。

 

 

そう、twitterに投稿した1P漫画が爆発的にヒットした結果、75万人ものフォロワーを抱えるまでになり、書籍の発売・商業誌での連載が決まり、田園調布に279LDKの大豪邸を建て、ラスベガスの全てのカジノ施設をキャッシュで購入し話題になった男「鴻池剛」が飼っているネコ、それがこのぽんたなのです。数年後、岡山にぽんたランドというテーマパークを建設予定だという噂もあるから驚きです。

今回は、そんなぽんたとの生活を綴った漫画日記で一気に人生が好転したという剛くんに、数年前からそこそこ付き合いのあるわたしが色々お話を聞いてみたいと思います!

 

※本人に確認をとったところ、田園調布の大豪邸、ラスベガスのカジノ買収、ぽんたランド建設は事実ではない、とのことでした。今のうちに訂正しておきます

 

 

 

猫のぽんたが人生を好転させてくれた

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ぽんたと初めてあった私。完全無視

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「今日はどうもよろしくお願いします!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain 「はい!お願いします!」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「よくよく考えたら剛くんとの付き合いも結構長い気がしますね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうですね…2010年にまきのさんからオモコロに誘っていただいたのよりも前に、それぞれの個人サイトをお互い知ってる感じでしたからね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「『直接会ったことはないけどサイトは見たことある』みたいな関係性でしたね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「あの時はみんなが競い合うように日記やら絵日記やらかいてましたね…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「オモコロでも剛くんはずっと『クズ』に特化したテーマの漫画を描いていたので、こんな感じで今売れまくってるのが不思議な感じではありますね」

 

【剛の代表的な記事】

 

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「オモコロに誘ってもらわなかったら完全に漫画描くのやめてたので、本当に人生何があるか分かりません…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「らしいですね…完全に俺のおかげだ…じゃあ印税1兆円ほどちょうだい…?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「1兆円あったら海外に高飛びします」

 

 

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f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「あ、ぽんただ!かわいいな〜めちゃめちゃ怖いけど」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「かわいいんですけど、知らない人には全然なつきません」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ぽんたはもともと捨てネコだったんですよね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうなんです。友人から『捨てネコ拾ったから飼ってくれ』って突然言われて、僕が引き取らなかったら保健所に預けるらしかったのでNOと言えず。そこから共同生活が始まった感じですね。最初の方はネコと生活するのに右も左も分からなかったので苦労しました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「その辺りは単行本『ニャアアアン!に描いてありましたね。実際のぽんたと漫画のぽんたは似ても似つかないフォルムですけど、これはどのような経緯でこんな形に?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「最初にネコの漫画を描こうと思った時に、ちゃんとネコを描くのがすごく面倒だったんですよね…だからさくっと描けるようなものにしたいと思ってああいう造形になりました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「あ、簡略化の結果だったんですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「ですね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「『この造形でいこう!』って決める前にいくつか候補はあったんですか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「いや、もう一発で決めました。やっぱり描き続けていると変わっていくもので、今一番最初の漫画を見るとちょっと気持ち悪いです」

 

 

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ほんとだ、4コマ目の表情がのっぺりしてますね。twitterでガーンと当たったのはこれが最初?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうですね、これです。最初はRT数が2〜300ぐらいでフォロワーもそこまでいなかったんですけど、あれよあれよ言う間に増えていって」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「今ではフォロワー75万人。すごすぎ!それだけの数になってみてどうでしょう」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「いや〜ありがてえ、ありがてえ…っていう感じですね…。自分の漫画でこんなに増えるとは全く思ってなかったので、素直に嬉しさとありがたさを感じて生きてます」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「まさに良い具合に好転した感じですね。フォロワー増えすぎるとリプライ欄とかけっこうすごいことになりそうですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうですね〜リプライは色んな方からいただきますが、皆さん好意的にぽんたに対してのアドバイスがほとんどなので助かってます」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「おお〜優しい世界。」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「ただ、『病院に連れていった方がいい』とリプライでちょくちょく言われて一時期よく連れていってたんですが、今度は医者の方から『あんまり連れて来るとストレスになるよ』と言われて、どっちを信じたらいいんだって思いました」

 

 

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医者とリプライの間で揺れ動く剛

  

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「そればっかりは医者を信じた方がいいかもしれない。フォロワー関連で言うと、逆にフォロワー増えすぎて怖い…みたいな思いはあったりしますか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「少しはありますが、そこまで大事件になったことはないですね。運が良かったなと思います」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「やっぱりそうなりますね…」

 

 

制作の裏側を見てみよう

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ところで、漫画を描く上でネーム的なものはあったりしますか?あればぜひ見たいです」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「いいですよ。ちょっと待っててくださいね…」

 

 

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f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「これです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「おお、これが剛くんのネー……ム…!?!?」

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20161221190111p:plainちっちゃ!!

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「何か分かんないんですけど、小さく描いちゃう癖があるんですよね…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「これ、何が描いてるか分からないけど、本人は読めるもんなんですか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「いや、後で見ると自分でも意味不明なんで覚えてるうちにPCにマジのネームを描きます

 

  

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数日後に小さいネームを見てもよく分からないことが多い

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ですよね」

 

 

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f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「あ、ヘパリーゼが落ちてる…肝臓に気を使ってるんですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「いや、これは『下敷き』ですね…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「え?」

 

 

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※同行していたカメラマンの手で再現しています

 

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain漫画を描く時に、こうやって利き手の下に敷いてタブレットで描くんですよ。そうするとめちゃくちゃ描きやすくなることに気付いたんです!

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「あ〜何か分かる!自分も一時期、タブレットの表面に紙を貼って描いてましたね。本物の紙に描いてる感覚になるので…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「それと同じですね。それもやって色々試行錯誤したんですけど、『ヘパリーゼを手の下に敷く』という手法が一番最高ということで落ち着きました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「涙ぐましい努力…!今でこそこんな感じで漫画を描いてますが、そもそも漫画日記を描き始めたきっかけは?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「うーん、きっかけは『ダンシング☆カンパニヰ』とか『チャットマスター』っていう絵日記サイトを見て影響されて始めたのがきっかけですね。2002年ぐらいかな」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「あ〜ダンカン!懐かしい!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「最初の2年はコンスタントに描いてましたね。アクセス数は一番多くて2000とかそういう感じでしたけど」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「また昔の話をすると、あの頃は『はてなアンテナ』に登録してて、更新されたらその都度見にいく…みたいな感じでしたね。twitterとかもなかったし」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「ですね〜。オフ会も何回か行きましたよ」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「オフ会に!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「で、少なからず『何か素敵なことが起こるかも?』と思って行くじゃないですか。でも自分が思いのほかコミュ障ってことに気付いただけでした」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「コミュ障…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「とあるサイト管理人が主催するBBQオフ会があったんですけど、なんか恥ずかしくなっちゃって、行って10分で酔ったフリして机に突っ伏して数時間過ごして、そのまま逃げるように帰った記憶がありますね…

 

 

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f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「友達いない高校生の休み時間みたいだ!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「それが今でもトラウマでオフ会にはほとんど行かなくなりました。その日も、『これから夜のディズニー行こうよ!』とか言い出して。『こんな机に突っ伏してた人間も誘ってくれんのかよ!!』って思いましたね。帰りましたけど」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「それが今やtwitterの人気者…何があるか分からないな…。ところで一応聞いておきたいんですが、単行本の印税は、何に使いましたか…?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「…あれですね…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「(ざわ…)」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「母と僕の未払いだった『何か』を払ったら消えて無くなりました…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「夢が、ない…!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「でも液晶タブレットを買って作業環境を整えましたよ!」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「お!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「でも全然慣れなくて、もともと使ってる板タブレットに戻しました…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「……悲しいのでちょっと話変えましょう」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「はい!」

  

 

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f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「二匹目のアルフレッドはかわいい上に全然襲ってこない…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「めっちゃ優しいですね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「アルフレッドを飼い始めた経緯は何でしょう?『twitterでもう一段階ウケるため』とか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「だとしたら下衆過ぎるでしょ。飼いはじめた経緯は個人サイトに少し描いてますが(個人サイト『ウッドブック』→ )、家の裏で偶然発見したんですよ。茂みのなかに逃げて行ったんで追いかけて見てみたら、そこでじーっとしてて。よく見たら目が潰れてたんで、何とかしてあげなきゃと。で、一旦家に帰っていつもぽんたを入れているケースで回収して病院で治療してあげて…って感じですね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「わーそんな経緯が。優しい人に出会えてよかった」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「で、そのまま警察に届けて引き取り手がいなかったので育てることになったんです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ぽんたとも仲良く暮らせてよかったですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「仲良くはないけど、折り合いをつけて暮らしている感じはあります」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「アルフレッドっていう名前の由来は?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「なんとなく見た瞬間に…ですね。もともと横文字が好きで、『ア』のつく名前がいいな〜と思いながらアーサーとかアレキサンダーとか浮かんでは消えてって。アレフガルドとかにもしようかな〜とかいろいろ考えて結局アルフレッドにしました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ぽんたと比べるとだいぶ名前の毛色が違いますけど、『◯◯た』みたいに合わせようとかはなかったんですか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうですね…統一感はあんまり無いんですけど、まあいいかなと。正直『ぽんた』っていう名前も元々つけられてた『のんた』をちょっと変えたものなんですよね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「じゃあぽんたをゼロから名付けられるとしたら何にします?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「今なら…ギアッチョですかね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ギアッチョ…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「ジョジョ第五部に出てくる、すぐ怒る奴です。めっちゃ怒るから…」

 

 

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名前がギアッチョだと、こうなる

  

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ぽんたのままでいいと思います!そしてそんなアルフレッドとは一緒に暮らしてどれくらいになりますか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「2015年の10月ごろなので、やっと1年ぐらいですね」

 

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紆余曲折を経た仕事歴

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今でこそtwitterを代表する人気漫画家になった剛くんとぽんたとアルフレッド。しかしそれ以前は職を転々としていたそうです。その辺りも聞いてみました。

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「漫画家としての活動以外で今の本業は?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「今は小さいショップの店長ですね。少し特殊な業種なので詳細は秘密にしてほしいのですが、仕事自体はそこまで忙しくないので合間に漫画を描かせてもらってます」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「これまでに色んな仕事を経験したと思いますが、最初の仕事は何でした?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「新聞配達ですね。漫画『GTO』に新聞配達するエピソードを見て『かっこいいな~』と思って、中3ぐらいから始めました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「新聞配達、うちの母親もやってたなあ…。朝起きるの大変ですよね?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「はい、めちゃくちゃ朝早いです。でも『うわぁ、俺こんな時間から働いちゃってるよ。偉いなぁ…』って気分になって、自分ですごい気持よくなれましたね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「新聞配達する少年って完全に『正義』ですからね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「で、その次にやったのが接客業で、魚屋のバイトでした。そこで自分にコミニュケーション能力と計算能力がないということを知りましてたね。魚屋の人って当たりが結構キツくて、ボロカスに言われましたよ。あれは自信なくしたな…。その後スーパー、ケーキ屋、工場、工事現場、引っ越し屋…と職を転々としました」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「その中で、印象に残ってる仕事はありますか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「墓石を立てる職人さんのアシスタントみたいな仕事ですかね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「墓石立ての補助作業?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうですそうです。でも墓石って『嘘でしょ!?』って言いたくなるぐらい重いんですよ。一瞬も気を抜けないぐらい重くて、運んでるとめちゃくちゃ指が痛くなるんです」

 

  

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うろ覚えな墓石立ての作業工程

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「初めて知った職種だ…。1日に何個ぐらい立てるんですか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「だいたい一日一墓ですね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「墓の単位って『墓』なんだ (※正しくは『基』)」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「午前中から始めて、午後には終わります。一墓立てて5000円くらい」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「何より体力消耗しそうですね。お墓っていうのも怖いし…。それよりもキツいバイトって今までにありましたか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「製麺工場も、なかなかのもんでしたね。インスタントラーメンの工場で、流れてくる麺をずっと見る仕事です」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「品質チェック?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「そうです。ベルトコンベアで流れてくる麺のうち、見た目でおかしな箇所がないかを見るんです。パッと見でもう欠けてたりとか、異物が入ってたりするものを除いていくんです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「なるほど」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「でもこれは未だに納得いってないんですけど、そうやって麺を検品する人の後に、すごい優秀なセンサーの機械が控えてるんですよ。で、グラムが違うとか金属が入ってるとかを全部調べて取り除いていくんですよ!僕たちが見逃したやつもそこで全部弾かれていって。『じゃあ、今俺がやってるこの仕事、いらなくない?』ってなりましたね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「もう機械に任せりゃいいのに…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「でもサボってると怒られるんですよ。流れてくる麺を見るのが仕事の奴を、さらに監視する奴がいて。サボってると注意されるんです。その監視してる奴を監視する奴もどっかにいるでしょうね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「めちゃめちゃな管理社会だ〜」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「でも工場としては『これだけ人数をかけてるから安全です』っていうのをアピールしたいのかもしれませんね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「仕事って一体何だろうってなりますね」

 

 

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アルフレッド様

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「これからバイトを探す若者たちに伝えたいことはありますか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「一つありますね。それは『個人商店を狙え』ということです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ほ〜、それはなぜ?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「経験則ですが、個人商店はその店長の尺度でルールが決まるので、そこまで厳しいというわけではないんですよね」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「なるほど。チェーン店は同じ決まりを皆が覚えるようにしっかり研修しますからね。でも個人商店って広告費をかけないから、求人誌には載ってないイメージがありますけど、どうやって探すんですか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「広告料が安そうな地域のタウン誌や、新聞に挟まってるチラシに書いてあったりしますよ」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「そんなのあったんだ! 新聞とってないから気づかなかったです」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「まぁ本当に時期にもよるんで、必ず挟まってるわけじゃないですけどね。あとはやっぱ店に直接行くことです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「飛び込みですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「『ここは良さそう!』ってとこを調べて、外に求人の貼り紙が出てなくてもとりあえず募集してるか聞くっていうのは大事です

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「なるほど、地道な作業だけど、楽しみながら長期間働くってなるとお店を選ぶところがかなり重要ですからね。いいライフハックだ…」

 

  

今後やっていきたいこと

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ヤクザと全く同じ表情のぽんた様

 

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「『ニャアアアン!』の2巻は出るんでしょうか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「12月末に発売決定しましたもともと半年ごとに一巻ずつ出そうという話だったんですが…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「半年に一巻っていう決まりなんですね」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「定期的に出していかないと廃れていくという説があるみたいで。でも僕がついていけなくて1年かかっちゃいました…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「twitter経由で人気が出てもそんな感じなのか〜ちなみにこんなことを聞くのは野暮なんだけど、漫画日記に『創作』はある…!?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain創作…は、無いですね!事実をベースにして、1P漫画として面白くなるように盛ったりはしますが、そもそもの出発点は本当にあったことです」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「ホッ、よかった…創作話でRT稼ぐ人けっこういますから…昨今…」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「まあまあ…」

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「今後何かまたやっていきたいことはありますか?」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「う〜ん、やっぱり今はぽんたとアルフレッドの二匹に助けられている部分があるので、また別のジャンルで自分が面白いと思うものを描いていけたらな〜とは思います

f:id:chicchi0411:20161221190111p:plain「いいですね!オモコロではクズに特化した4コマやら読み切り漫画を描いてるけど、そういう感じではない一般ウケするようなものだといいと思います!」

f:id:chicchi0411:20161221190140p:plain「オモコロではウケるウケない関わらず闇を表現していましたからね…!あとは締め切りが全然守れていないので、もうちょっと安定して描けるようにもなりたいです」

 

f:id:chicchi0411:20161226115421j:plain

というところで今回のインタビューは終了です。闇を抱えながらもネコに優しく接する剛くん、凶暴だけど金の雨を降らせるぽんた、そして怒るという感情が欠落した優しいアルフレッド、これからも一人と二匹で仲良く暮らしてその出来事を面白おかしく綴ってもらいたいですね!

 

それではさようなら。

 

 

【剛くんの最新情報はtwitterでチェック!】

 

【最新刊は大晦日発売】

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鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!2

 

  

書いた人:まきのゆうき

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。姉妹メディア「オモコロ」で開設当初から「うさねこ」という4コマ漫画を連載中。猫アレルギーではない。Twitterアカウント→@yuuki


【まとめ】2016年のジモコロをPVランキングで振り返る

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ジモコロ編集長の柿次郎です。

2015年5月11日に誕生した「どこでも地元メディア ジモコロ」ですが、おかげさまで二度目の年末を迎えることができました。ありがとうございます。

オウンドメディアが乱立し、キュレーションメディア騒ぎが勃発。Webメディアへの風向きが変わった一年だったのではないでしょうか。

ジモコロは当初から掲げている「足を使って一次情報を取りに行く」姿勢を変えず、コツコツと「仕事」×「地元」の記事を作っていくつもりです!うおおおお!

 

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さて、2016年のジモコロは合計195本の記事を制作。公開時から数えると300本超え。数字好きの人に一応お伝えしておくと…2016年1月1日〜12月25日の計測で、累計11,020,732PV、7,313,704セッション、3,960,494UUでした。

そんな一年を振り返るべく、毎年恒例にしたいと思っているまとめ記事「2016年のジモコロランキングTOP20」をお届けします! 見逃している良い記事が絶対あるはずだから、年末年始のクソ暇な実家のこたつで見てくれー!!

さらに、ジモコロ編集部による個人的なピックアップ記事も紹介。これは一年間一緒に走り続けてきた仲間と共有し、クライアントのアイデム様に媚びる。編集長として大切な配慮を詰め込んだコーナーとなっております。

 

ジモコロランキングTOP

1位 1,542,689PV

7.3万リツイートというワケのわからない数字を記録したインテリア企画が堂々の1位!2015年に続いて2年連続ですね。ARuFaはこの記事きっかけで部屋の環境がマジで改善されたそうです。 

 

2位 404,422PV

「龍が剣に巻き付いたキーホルダー」という男なら一度は見たことのあるお土産。ARuFaがまともにインタビューしている記事を初めて読みました。

 

3位 281,988PV

物議を醸した請求書のハンコ問題。すぐにアンサー記事を制作したのですが、こっちは本記事の1/20も読まれませんでした。悲しい……。両方読むことで完成するのでぜひ!

 

4位 183,133PV

 

カメントツがみんな大好き井村屋「あずきバー」の誕生秘話に切り込みました。結果大きな反響を生んで、Yahoo!トップの話題なうに露出。めっちゃ読まれました。

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5位 179,424PV

アマゾンの先住民「ヤノマミ」、そして金を掘り続ける無法者「ガリンペイロ」とスリリングすぎるドキュメンタリー映像を作っているNHKスペシャル取材班。未開の地に住む部族「イゾラド」に接触したディレクター・国分さんにインタビューをしてきました。個人的にはベストの記事です。NHKのドキュメンタリー最高…!

 

6位 175,847PV

銘菓「博多通りもん」をネタにする。それだけを決めて福岡に乗り込んだんですが、記事制作は困難を極めました。強引さを楽しんでください。

7位 154,156PV

静岡限定のハンバーグ店「さわやか」。この記事きっかけで新たなさわやかブームが起きたような。中毒性が高すぎるため、年末に静岡まで食べに行きます!

 

8位 127,036PV

ヨッピーさん、チョーヒカルさん、ハヤカワ五味さんの3人が既存の就活文化に対してガンガン切り込んだ記事です。

 

9位 105,014PV

SKY-HI(AAA日高)に話を聞いた、エモさ全開のマンガが9位に! ぼくのりりっくのぼうよみTHEラブ人間とジモコロ音楽シリーズ3部作をお楽しみください。

 

 

10位 100,311PV

実は公開当初とタイトルが変わっているんですが、反響が大きすぎて無難なモノに変更しています。来年以降、もっと開発が進むであろう中目黒。土地の歴史を紐解いたら強烈な話が飛び交った、ジモコロらしい記事だと思います。

 

以下、11位〜20位はダイジェストでどうぞ!

 

11位


12位


13位


14位


15位

 

16位


17位


18位


19位


20位


 

ジモコロ編集長のお気に入り

手前味噌で恐縮ですが、2016年のジモコロを象徴する記事は熊本震災支援イベントでした。ジモコロフリーマガジンを作った経験も大きかったんですが、共通して言えるのは「Web」↔「リアル」の連動。

今年は天災も目立った一年で、小さなWebメディアでも情報発信の手助けができる。誰かの背中をポンッと押せるような企画は、今後も積極的に取り組んでいきたいなと思える体験でした。

 

続いてこちら。インターン神田くんの記事ですが、宿に通って店舗側と関係を築く→本人がアポを取る→取材から執筆まで任せました。今年は教育もテーマに掲げていたため、ちゃんと結果が出て安心したというか。良いネタもあえて手放して、誰かに渡す。編集長という業務の奥底に触れたような感覚があったので印象深いです。

 

「こんな形式の記事が許されていいの?」と突っ込まれんばかりの特殊な企画。京都の旅情感を前半で伝えつつ、トークイベントのレポートに繋げる。前後半にしてもおかしくないようなボリュームですが、このあえて感をエイヤッ!とインターネットの大海原に放り込めたのが個人的に気持ちよかった〜〜。

 

まとめて3本! 「たたら製鉄」「岸和田だんじり祭り」「御柱祭」「ねぷた祭り」と…取材も執筆も超ハードな歴史&お祭り系の記事です。主要ライターの根岸、ギャラクシー、柿次郎の3人がそれぞれ1本ずつ取り組んだわけですが、Webサイズの記事に情報を落とし込むことの大変さを痛感しました。

「そりゃ、みんな気軽に手出さんわ」と振り返りつつも、脳に汗をかくような記事こそ、Web上にアーカイヴを残すべきだと思います。来年以降もきっと役に立つ!長い視点の記事! 見逃してたらぜひ読んでください。

 

ギャラクシー(副編集長)のお気に入り

延々アマゾンに関する本を読み込んで、付箋を貼りまくり、番組のDVDを見てという準備に時間をかけた取材。資料に触れることで「違う立場での道徳観」が自分の中で問いとなった。クリエイターとしての先人であるお二人からの解答は「わからないから向き合って撮る、そしてみんなで考え続ける」という言葉で、めちゃめちゃ沁みた。

 

何の準備もせずにブラブラ歩きながら、という気軽な取材だったが、偶然にしては濃すぎる人たちばかりに出会えて楽しかった。かっこよさのかけらもないダサい町だけど、取材しながら、地元ってやっぱり良いな!と思った。

 

本当の「地元記事」ってこういう、スマートじゃないものだと思う。そんな粗い素材を金原さん独特の包容力で温かみのある記事に仕上げていて、読んでて幸せな気持ちになった。

 

名もない人々のありのままの姿が、それだけでおもしろい……こういう店を取り上げるのってすごく意義があると思う。ただ、勝手にあの量出されたら食べきれないと思う。

 

根岸達朗(フリーライター)のお気に入り

哲学への親しみを感じる、知的おもしろ記事でした。「結局どこに住んでも同じ」という土屋先生の言葉がしばらくグルグル。隠れた哲学おじさんはローカル界隈に多そうな気がします。

 

敬愛する発酵デザイナー・小倉ヒラクさんちで過ごした楽しい夏休みの思い出。今年は「発酵」に出会って、人生観が大きく変わったなあ。発酵食品、意外と簡単につくれるので、みなさんもぜひおうちで試してみてくださいな。

 

伊志嶺彩(アイデム 東日本事業本部)のお気に入り

“ジモコロ=地元情報を発信するメディア”というイメージが強いかもしれませんが、もう1つのテーマである「仕事」についての記事もオススメです。

初めて読んだ時「わかりやすく伝えることのお手本のような記事だな」と思ったのがこちら。養豚場の仕組みや仕事内容、ほしい人材、普段食べている豚肉の知識まで、読み進めながら「知らなかった、へえ〜、へえ〜」の連続でとても興味がわきました。途中の豚の写真や最後のまとめのイラストもかわいいんですよ。

 

まず、写真を見てそばが食べたくなると思います。美味しそう! SNSやブログで積極的に情報発信をしているそば職人さんの人柄も魅力的で、長野に行ったら絶対「かんだた」さんに行ってみようと思いました。

ライター・ナカノさんの長野シリーズ(この他に喫茶店の記事もあり)は個人的にすごく好きなので、今後もこういった距離感の近いインタビュー記事をジモコロで書いてもらいたいですね。

 

ジモコロスタート当初から続けてもらっているバーグハンバーグバーグ・シモダさんの連載。直近で第30回に到達しました。

読者からの悩み相談に対して真面目な回答が続き「ホントにためになるな〜」と思っていると、突然トリッキーになったりするので(笑)、いろんな意味で未だに記事のチェックにドキドキします。第27回の名刺の話とどちらを選ぶか迷ったのですが、この機会に過去の記事までさかのぼって読んでみてください!

 

中村 明大(アイデム東日本事業本部 取締役本部長 )のお気に入り

働くために努力して、自分自身の仕事にしてしまう正にプロ!「この仕事は私にしかできないって思うようにしている。自分には負けたくないから」このコメントに心打たれカンドーしました。自分にしかできない仕事って、極めた人しか出てこない言葉ですね。

 

及川貴雄(ddd inc)のお気に入り

宮城県人として、ひとりの人間として、いろんな震災関連の記事を見ますが、こんな記事は見たことない。見たことのない距離感の記事。あれだけのことがあるとどうしても当事者と部外者の中に強い境界ができて、自分ごとだと共感できるとか言いますけど、
起きた出来事が大きければ大きいほど、自分ごとすることすらはばかる心理がありますよね。


この記事はたぶん「半分自分」の距離感から書かれていて、その距離感からの描写が、とても独特な伝える力を得たんじゃないかと感じました。とてもジモコロっぽいと、私は思いました。

 

何が好きって、「あずきバーって硬くない?」っていう、みんな思いつつ、言葉にはできず、まあそういうもんかと思って、別に年に何回も食べるもんじゃないし、つーか何年前に食べたかも忘れたわってくらいになってるはずなのに、「いや、ぜったいそう思ってるはず!」と掘り当て、スポットライトを当てたこの嗅覚のスゴさ。

実際、Yahoo!ホットワード入り!でしたよね?それだけ多くの人が、実はそう思っていたと。まさに神業。ジーニアス。

 

これはいれないといけないですね。柿次郎編集長のコネクションとエモい同士の方々とのつながりが、ジモコロというメディアの可能性をぐぐっと広げた記事だったように思います。

年末のこういうタイミングだったので、ジモコロにとってどうだったかっていう視点で考えるとやっぱり外せないやつだなと思いました。俺は酔っ払って寝てただけですけど。

 

佐藤 歩(読売広告社)のお気に入り

これを見てさわやかを食べに静岡に行き、御殿場プレミアムアウトレットで大量に買い物しました。記事1つで人に行動を起こさせる、背中を押してあげられるのがジモコロの凄さ、良さだと思ってますが、この記事もまさにそうですね~。超絶うまかった~。

 

都道府県マスター潤さんのシリーズは最高ですね。人を笑顔にさせるくだらなさ、という領域でかなりレベルが高いのではと勝手に思ってます。おすしさん大好きです。これまで8県シリーズ化してますが、読んでない方はまとめて5分で読めるので今すぐ読んで欲しいです。2020年くらいまでに全都道府県をマスターすることを願ってます。

 

うっかり電車の中で見てしまって、笑いを堪え切れず悶絶して1個手前の駅で降りてひとしきり収まってから電車にもう一度乗りました。笑うと癌細胞が減る、みたいな話を根拠無く信じてますが、この記事はある意味社会貢献かもなー、言い過ぎかー。

 

以上です!

 

年末年始に暇を持て余し始めたら、このまとめ記事を活用してください。基本的に「いつ読んでも楽しめる」ような企画ばかりなので、知的好奇心に引っかかった記事を読んで、そこから土地や歴史の本に移って深掘りしていくのもオススメです。

 

こっちのまとめ記事も合わせてどうぞ!

 

<予告>

そして年内最後の更新は…明日29日(木)12時…

ジモコロらしいスペシャルインタビュー企画をお届けします!!

www.e-aidem.com

日本の年越しを伝えてきた61年以上続く国民的番組「ゆく年くる年」。知られざるプロフェッショナルたちの仕事論、歴史、ウラ話など、これを読めば間違いなく番組の見方が変わると思います。お楽しみに!!

  

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

【公式】完全解剖―NHK ゆく年くる年! 61年の歴史を裏の裏まで教えます

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こんにちは、ライターのギャラクシーです。

あと数日で2016年も終わり。色々なことがありましたが、無事に2017年を迎えられそうです!

さぁ、大晦日には実家に帰って、『紅白歌合戦』を見て、その華やかなフィナーレに感動して……

 

 

その直後―

 

 

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シーン

 

さっきまで人気歌手やアイドルがワーワーキャーキャー言ってたのが一転、画面はシーンと静まり返った 薄暗い寺社の映像に。

 

 

ここで……

 

 

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ゴォ~~~~ン……

 

そう! 大晦日といえば『ゆく年くる年』です!

 

『紅白歌合戦』の時はそれぞれ自室で好きな歌手を見ていた家族が、『ゆく年くる年』が始まると、居間のこたつに集合し、母親が茹でた伸び伸びの年越しそばを食す。

これが正しいニッポンの大晦日ではないでしょうか。

 

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でも『ゆく年くる年』って一体いつからやってるんでしょうね。僕が子供の頃から変わらず毎年やってるけど、何十年も同じことやってるの?

 

・何十年も生放送でやってたらものすごいトラブルがあったんじゃないの?

・中継される神社や寺ってどうやって選ばれてるの?(常連とかあるの?)

・お坊さんはなぜあんなに頭から湯気が出るの?

 

誰もが知ってる番組なのに、誰もがあまりにも知らなすぎ!

 

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というわけで今回は、ジモコロ編集長の柿次郎と共に、『ゆく年くる年』を制作しているNHKに潜入してみました!

※実際は入り口でビビるくらい厳重なチェックがあるため潜入できません

 

日本最長寿!?戦前から続く番組の歴史

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話を伺ったのはこちらのお二人。左の女性が「今から素手で熊を殺します」という顔つきになっていますが、怒っているわけではありません。

(左)日野珠美

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報道局・ニュース制作センターおはよう日本部・チーフプロデューサー
2016年の「ゆく年くる年」では、制作を統括するチーフプロデューサーを務める

(右)皆木弘康

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報道局・ニュース制作センターおはよう日本部・部長
NHK入局後すぐ、ADとして「ゆく年くる年」の中継を経験。その後、メインディレクターを経て、昨年に引き続き2016年「ゆく年くる年」で最高責任者を務める

 

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「はじめまして! 今日は誰もが知ってるつもりで実はまったく知らない『ゆく年くる年』のことを、教えてもらいにきました」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「はい、よろしくお願いします。かなり大がかりな番組で、苦労して作ってますから、もっと知ってほしい……いや、知って頂いてはいるんですけど、もっと好きになってほしいという思いはあります」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「実際、一年の内であの番組が思い出されるのは大晦日の一日だけ……残りの364日間は話題になることすらないかもしれませんね」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「そう、みんな知ってはいるけど、BGMみたいな感じなんですよね。どんなメロディかはなんとなく憶えてても、作曲者は誰なのか、いつの曲なのか、まったく知らない」

 

f:id:eaidem:20161221214044j:plain

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「ではまず、『いつ』の部分……歴史的なことからお伺いしますね。かなり昔から続いてる番組だと思うんですが、いつ頃から始まったんでしょうか」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「『ゆく年くる年』には前身となる番組がありまして、最初は『除夜の鐘』というタイトルで、ラジオとして始まりました

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「へぇ、もともとラジオだったんですね」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「はい。だって当時は日本のテレビ放送自体が始まっていませんでしたから」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「ん??? いつの話ですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「1927年(昭和2年)です」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「ホエェェーーー!?」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain第二次世界大戦(1939年~1945年)より前だ!!」

 

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1927年の『除夜の鐘』放送風景。当時は近所の寺から借りてきた鐘をスタジオに持ち込んで108回叩く、というラジオ番組だった

 

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「1929年には実況中継(ただし一箇所)になり、1932年には各地の除夜の鐘をリレー中継するという内容になります。残念ながら1940年からの数年間は戦争のために中断しましたが……」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「そんな歴史を持ってる番組、ある?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain1953年には日本でもテレビ放送が開始され、テレビ版の『除夜の鐘』もスタートします」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「やっとテレビ放送が始まった!」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「で、1955年に番組名が現在と同じ『ゆく年くる年』になりまして、現在に至るわけです

 

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こちらは1963年の『ゆく年くる年』。題字が横書きなのが違和感ありますね

 

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同年、中継先は京都の青蓮院です。こちらの映像は『ゆく年くる年』公式HPで閲覧できます

 f:id:eaidem:20161225132655p:plain「ということは、え~っと、89年の歴史があるわけですね?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「いえ、番組の歴史というのは正確であるべきです。現在の番組タイトル『ゆく年くる年』になってからを計算するのが妥当ではないでしょうか。それで言うと61年です」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「細かい(笑)。それにしても61年もの歴史を持つ番組って他にあるんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「NHKは歴史のある番組が多いですが……『紅白歌合戦』『のど自慢』、あと昔は『ホーム・ライブラリ』という番組の1コーナーだった『きょうの料理』なども長い歴史を持ってます」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「ただ、ラジオを含めると、『ゆく年くる年』が圧倒的に長いです。単体の番組としては最長寿になりますね」

 

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 「おかあさんといっしょ」が57年も続いてたことにも驚きだわ!

 

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ちなみにラジオの『ゆく年くる年』は現在も続いてますよ」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「今も!? ラジオでやってるのは知らなかった!」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「長距離トラックやタクシーの運転手さんなど、作業しながらお正月気分が味わえるので、需要があるんです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「やっぱりすんごい番組だわ……」

 

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ラジオで『ゆく年くる年』をやってたなんて……。知ってました? 

 

 

絶対にミスできない生放送だから、台本がすごい!

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「根本的なことを聞きますが、なぜVTRではなく、生放送なのでしょうか?

f:id:eaidem:20161225132657p:plain家に居ながらにして、リアルタイムで除夜の鐘を聞いてほしい、というのがそもそもこの番組の発端だからですね。東京に住んでる方が故郷のお寺の鐘を聞いたり、ね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain忙しくて初詣に行けない人や、家から出られない人……例えば高齢の方や、ご病気の方とか。そういう人々こそ、本来なら初詣に行って除夜の鐘を聞きたいのではないでしょうか」 

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「あぁ、なるほど! でも生放送ということになると、VTRとは違って絶対に失敗が許されないですよね。台本なんかはあるんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ありますよ。歴代のものを保管してますが、見ます?」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「見たい!!!」

 

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実際に使われていた貴重な台本を見せてもらいました

 

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たった30分の番組なのに、なんでこんなに台本がブ厚いんだ?と思いましたが……読めば納得、1秒単位でギチギチに書かれてる!

 

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ちなみにこちらを描いたのは皆木さん。絵が可愛い!

ナレーションも細かく書かれてました。今は普通に語り口調でナレーションしてますが、昔は『時が……往きます』みたいな、詩的な感じが好まれたそう。

 

f:id:eaidem:20161225132659p:plain台本は、まさに秒単位で用意しています。生放送なので万一のことがあるといけませんから」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「『ゆく年くる年』は、全国にあるNHK地域放送局が、それぞれの地域の中継を担当するんです。気軽に集まってミーティングをできる規模ではないので、意思統一の柱として、厳密な台本が必要なわけです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「なるほど。でも、どんなに計算しても、絶対にトラブルとかは起きますよね?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「可能性はあります。トラブルがあった場合、その局を飛ばして、次の局にいきます」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「え? 飛ばしちゃったら時間が余るのでは?」

 

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f:id:eaidem:20161225132659p:plain「余りますね。そのために、『ちょい長バージョン』という別の台本も作ってます」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「そんなのあるの!」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「『ちょい長バージョン』に切り替えて、各局少しずつ時間を伸ばした構成にすると、ピタッと収まるようになってます」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「どんだけ練りに練られてんだ!」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「絶対に失敗できないので、常に“まさか”には備えてるんですよ」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「昔は衛星中継だったんで、天候が悪いと電波が飛ばないなどのトラブルも考えられました。今は光ファイバーで伝送してますから、中継が落ちることは、まずないです。ここしばらく『ちょい長』が使われた記憶はないですね」

 

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自分が生まれた年……昭和48~49年の台本を発見。ワインより特別感がある

 

 

実はすごい技術の結晶!見どころはここ!

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「毎年、大体10箇所以上の場所で中継なさってますが、かなりの人数を動員してますね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「ディレクターとかカメラマンといった、直接的に放送に係る人間だけじゃなくて、ガードマンなども必要になるんです。参拝客の安全を確保しないといけないので」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「僕も昔は警備員やってたんですが、初詣の雑踏で撮影しようと思ったら、確かにすごい人数のガードマンが要りますね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plainあと多いのは照明ですかね。暗いところでの撮影になるんで、膨大な人数になっちゃう。とはいえ年末年始なので、そんなに人を集められないんですね」

 

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巨大な櫓(やぐら)が組まれ、照明が取り付けられた現場 

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「大晦日の深夜30分間で、しかも全国でこんなに一斉に照明が必要なことって、他にはないんですね。だから必然的にレンタルということになる。それが結構かかりますね」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain年末年始は特別料金だったりするんで」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「いっそ照明を一切使わずに、真っ暗な画面で鐘の音だけが鳴り響いてる番組にしてはどうでしょうか」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「怖いよ! でも多少薄暗くてもいいんじゃないかな、とも思いますけど、どうなんでしょう?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「いえ、映像美を楽しんでもらう番組でもあるので、照明は絶対必要です。照明の当て方ひとつで、神社もお寺も仏像も、ガラッと表情が変わりますから」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「『ゆく年くる年』は、照明技術も見どころのひとつです。どこからライトを当てたらどう影が入ってどこが目立つのか、緻密に計算して作られてます。ここまでこだわった生放送は珍しいんじゃないでしょうか。ぜひ注目してください

 

実はこんなこともしていた!? 挑戦の歴史

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「『ゆく年くる年』といえば“変わらない”番組という印象ですが、過去にちょっと違うことをしてみよう! というのはなかったんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain実は色んなことに挑戦している番組でもあります。例えば2010年には、海中神社の中継をやったことがあります」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「か、海中? 海の中に神社があるんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「静岡県の伊東市ですね。海の中に神社があって、ダイバーがお参りにいくっていうのを、ウチの潜水カメラマンが中継で撮影しました」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「普通の中継でも大変なんですが、この時は機材も防水のものが必要だったりとムチャクチャ苦労しました」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「なのに、なぜわざわざ……?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「こういうのもおもしろいかなーと思って」

 

f:id:eaidem:20161226212519j:plain

海中に鐘に見立てたタンク(を切ったもの)が……なぜ見立てる必要があったのか

 

f:id:eaidem:20161226212520j:plain

左の男性はその後 結婚できたのだろうか

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「2000年の年明けは、せっかくのミレニアムだから色々やろうということになって、ミレニアム島(日付変更線に一番近い島)から、一番最初の初日の出を中継しました」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「近くの島から5日かけて貨物船で行ったんですよ」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「なんで貨物船!?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「それしか船がなかったんです。船室も与えられず、クルーは機材とともに甲板で寝起きしました。寝ている間も波をかぶったそうで、非常に厳しい船旅だったらしいです」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ちなみにその時、同じ考えでBBC(英国放送協会)も来てたんですが、BBCには船室が割り当てられたそうです。いや、他意はないですけど。他意はないんですけどね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「で、やっとのことでミレニアム島に着いて中継の時間になったんですが、めちゃめちゃ曇ってて、ぼんやりした初日の出しか撮れなかったっていう」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「踏んだり蹴ったりだ」

 

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当時のクルーが撮ったオフショット

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「そうか、生放送だから天候の問題があるんですね。今まで土砂降りとか豪雪で中継が不可能になったなんてことはないんでしょうか」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain大晦日って、不思議と雨があまり降らないんですよね。天候的な問題だと、数年前に北海道の宗谷岬で困ったことにはなりましたね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「あぁ、あったね~!」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「宗谷岬は、全国からバイカーが集まって初日の出を見る名所なんですね。それを中継しようと思ったんですが、ものすごい風で暴風警報が出るくらいだったんですよ。岬だから風をしのげる場所もなくて……」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「北海道でそんな状況だとマジで危険じゃないですか。どうしたんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「40人くらいのバイカーの皆さんと、ギュウギュウ詰めの公衆トイレから中継しました

 

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ポカーン
 

 

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こちらがその時の映像。宗谷岬の公衆トイレ

 

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こんな『ゆく年くる年』、絶対笑う

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「あれはひどかったなぁ。カメラのレンズも曇っちゃってね、よく映らなかったんですよワハハハ」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「笑ってる場合か」

 

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数十人のバイカーがトイレにすし詰めで熱気ムンムン。「こんなこともあったよなぁ」って笑えるのって、歴史が長いからこそですよね

 

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ちなみにいつもは30分の番組ですが、2000年は放送時間が1時間15分ありました。そのため、台本もめちゃブ厚いです

 

なんでお坊さんは湯気が出るの?

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「撮影班は準備万端で中継に臨むと思いますが。お寺や神社サイドでは何か準備するんでしょうか。いつもより念入りに頭を剃ったり……」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「ありそう」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「あれ以上剃るのは不可能では?」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「でも、せっかくテレビに映るんですから、袈裟(けさ)は新調するんじゃないでしょうか。お寺のみんなで買いに行くと思うんですよね。『おまえこの袈裟めっちゃ似合うやん』『わし紫アカンねん』みたいに」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「それは聞いてないのでわかりません」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「中には、何度も撮影されてるお寺がありますよね? 撮影慣れしてるお坊さんなんかはいるのでしょうか?」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「『このバミりから上手(かみて)に歩いていけばいいのね、オッケー南無~』みたいな」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「いえ、テレビカメラに撮影されるというのは、慣れている人でもすごくプレッシャーなんです。緊張で手が震えたり思わぬ失敗をなさる方もいます。負担をかけて申し訳ないと思いますが」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「そうですよね……。実は何回か『あっ今、失敗した!』っていうシーンを見たことがあります。他人事ながら毎年、見ててハラハラします」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「お坊さんというと……なんか、頭から湯気が出てるひと多くないですか?」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「出る! その絵をよく見る!」

 

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 コォォォォォ……

f:id:eaidem:20161225132655p:plain『ゆく年くる年』と言えばお坊さんから湯気、というくらい印象深いんですけども、あれは、やはり必要なカットなんでしょうか」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain頭部からの湯気を映すのが目的の番組ではないので、狙ってるわけではありません」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「気づかないだけで、我々のカラダからも湯気は立ちのぼってるんです。僧侶特有の現象ではありません。寒い場所だと息が白くなるように、肌から立ち上る湯気も白く見えるだけですね」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「我々の場合は髪が湯気を吸収しますが、僧侶の方は肌の面積が広くていらっしゃるので……」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「暗いところで逆光で照明を当てて撮影すると、明暗の対比で湯気の白さがすごく目立つんですよ。狙っているわけではないと言いましたが、結果的に寒さや熱気というのが表現されていると思います」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「こんなに真面目に返答してくれるとは思わなかった」

 

2017年、中継先に選ばれるのはここだ!?

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「『ゆく年くる年』といえばお寺か神社という印象ですが、他の宗教が選ばれることはあるんですか? ゾロアスター教とかジャイナ教とか」

f:id:eaidem:20161225132657p:plainキリスト教は何度か中継してますね。長崎の浦上天主堂とか、函館のトラピスト修道院、ハリストス正教会とか」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「中には『前にも見たな』ってお寺があったりしますが、常連の寺社ってあります?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「一番多いのが浅草寺で、過去10回中継されてますね。次いで滋賀の比叡山延暦寺が9回。同率で京都の知恩院や、島根の出雲大社も9回です」

 

 ▼登場回数ランキング

第1位 浅草寺(東京)10回
第2位 比叡山延暦寺(滋賀)9回
第2位 知恩院(京都)9回
第2位 出雲大社(島根)9回
第5位 厳島神社(広島)8回
第6位 札幌時計台(北海道)7回
第6位 平泉中尊寺(岩手)7回
第6位 明治神宮(東京)7回
第6位 永平寺(福井)7回
第6位 東大寺(奈良)7回
第6位 薬師寺(奈良)7回

 

▼登場地域ランキング

第1位 北海道 74回
第2位 東京  71回
第3位 京都  30回
第4位 奈良  27回
第5位 広島  25回
第6位 福岡  22回
第7位 宮城  20回
第8位 長崎  19回
第9位 神奈川 18回
第9位 香川  18回

 

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「地域別で見ると、寺社が多いところや、大都市圏は必然的に多くなりますね。また、北海道は単純にめちゃめちゃ広いですから、中継されることも多いんです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「どこを中継するかっていうのは、どうやって決めてるんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「各局で、ここにこんな寺があって、こんな良い部分があるんです、みたいなことを提案してくれるんで、その中から選ぶという感じですね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain選定の基準として、『時代を切り取る』というテーマがあります。その年に話題になった場所とかは中継される確率が高いです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「立派な寺社だけではなく、めちゃめちゃ小さいお寺とかはあるんですか? 誰も知らない僻地の神社とか」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「ありますよ。ものすごい豪雪地帯にあるお寺とか。子宝に恵まれると言われていて村ですごく大事にされている神社とか」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「そういう特徴というか、物語があれば取り上げたりしますね」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「特長……じゃあ、いぼ痔にご利益がある神社なんかが取り上げられることも?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「そういう神社があるんですか?」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「いや、もしもの話です」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「例えばその年に全国的にいぼ痔が流行った場合などは、中継先に選ばれるかもしれません。『2016年は列島がいぼ痔に苦しめられた年でした、そこで……』という感じですね」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ただ『いぼ痔』という言葉は響きが美しくないので、そうですね、肛門……? 肛門の突起に苦しめられた一年……

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「そこまで まじめに考えます?」

 

f:id:eaidem:20161225132651j:plain

f:id:eaidem:20161225132658p:plain今年の中継先というのはもう決まってるんですよね? 事前に告知なんかは行ってないんですか?」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「告知は行ってないんです。テレビに映るということで人が押しかけてしまうと、道が塞がったりといった迷惑になりますから。なので、今年どこを中継するのかというのは、極秘扱いです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「こっちで勝手に予想する分には問題ないですよね? 『時代を切り取る』というテーマがあるということだから……」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「今年話題になったとか、流行ったもの、どこだろう?」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「2016年、話題になったといえばSMAP。僕は兵庫県出身なんですが、須磨っていう町のお寺……須磨寺が選ばれるんじゃないでしょうか! そんな寺があるのかは知りませんが」

※調べましたが、須磨寺(すまでら)は、兵庫県神戸市須磨区に実在するようです。

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「あぁ、それは気づかなかった! リサーチすれば良かったなぁ」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「この反応は外れだね」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain何らかの災害に遭われた土地なども中継先として選ばれることが多いです。そういう方たちにこそ、祈りが必要だと思うからです」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「あっ! 今年は台風十号の影響で、東北の岩手県北部沿岸に甚大な被害がありましたよね!? 僕も取材に行ったんですが、かなり悲惨な状況で。岩手だと中尊寺とか有名ですけど……」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「正解かどうかはお答えできません」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「えー知りたい! 本当に誓って誰にも言わないんで教えてください」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「すいません、本当に無理なんです。それくらい極秘情報です」

※マジで教えてくれませんでした

 

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▼おすすめ情報

お二人におすすめの初詣スポットを聞いたところ、

東京都府中市の大國魂神社

が良いのでは、と教えてもらいました。ゆく年くる年の題字を書いてる書家の松岡真作さんが、お正月にこの神社で、御朱印帳や御札を書いているそう。御朱印帳を持っていくと、松岡先生に文字を書いてもらえるかもしれませんよ!

 

『ゆく年くる年』はNHK内でも超重要番組!

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f:id:eaidem:20161225132655p:plain「NHKの局内では『ゆく年くる年』はどのようなポジションなんでしょうか」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「『ゆく年くる年』は、NHKの中でも『甲子園』『紅白歌合戦』と並ぶ、最大級の生放送番組ですから、かなり重要なポジションになりますね」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「そんなに重要な番組なら、担当者はどうやって決めているのでしょう? 例えば今年は日野さんがチーフプロデューサーに抜擢されたわけですが、何か理由があったんですか?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「『ゆく年くる年』は東京・報道局の『おはよう日本』部が担当してるんですが、持ち回りで担当するんです。簡単に言うと毎年順番にやるわけです」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「かなりの大役ですが、プレッシャーがすごいのでは?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「そうですね。視聴率が20%を超えるような番組なので、身が引き締まる思いです。ただやりがいはものすごく感じてます」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「僕なんか話を聞いてるだけで胃が痛くなってきました。ご家族は日野さんが大役を務めることをどう考えてるんでしょうか。ちなみにお子さんは……?」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「中学三年の娘がいますね」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「そんな大きな番組を自分の母親が担当しているというのは、娘さんとしてはかなり誇らしいんでしょうね」

f:id:eaidem:20161225132656p:plain「いえ、そんなことないです。『今年はゆく年くる年の担当になった』って伝えたら、ひとこと『ダサ~い!』って言われました……

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「えぇ~!」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「すごさが理解されてない!!」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「それは報告を受けていませんでした。由々しき事態ですね」

f:id:eaidem:20161225132656p:plain「……………」

 

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f:id:eaidem:20161225132658p:plain「まあまあ、今年は日野さんがチーフプロデューサーを担当するわけですから、きっとおもしろい番組になると期待してます!」

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「色々と裏話を聞かせてもらったから、ここの照明すごいなとか、やっぱめっちゃ湯気でてんな……とかそういうところに注目して視聴します。番組を見るのが待ち遠しいです!」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「あ、もしよければ『ゆく年くる年』公式HPでは、大晦日の18時から『ゆく年くる年』のスマホコンテンツが遊べるようになりますので、番組が始まるまでの暇つぶしにぜひどうぞ」

 

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『ゆく年くる年』公式HPでは、大晦日の18時から翌5時までの限定公開で、スマホコンテンツが遊べるようになります。スマホをタッチして除夜の鐘をつこう! 108回つくと、何かが起きる!?

ちなみに鐘の音は合成じゃなくて本当にちゃんとした鐘の音を録音した本物だそう!

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ちなみにこちらのコンテンツ、1日の朝5時からは“初詣バージョン”が登場します! お楽しみに!」

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初詣バージョンは、境内の鈴を3回鳴らすと、“あの人”からのメッセージが聞けるそう!何種類かあるみたい!

f:id:eaidem:20161225132655p:plain「日野さんの娘さん……。お母さんはNHK職員として宣伝も頑張っておられますよ! 正月に帰宅したら、ひとこと労いの言葉をかけてあげてください!」

f:id:eaidem:20161225132658p:plain「では今日はありがとうございました!」

f:id:eaidem:20161225132659p:plain「ありがとうございました」

f:id:eaidem:20161225132657p:plain「ありがとうございました!」

 

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まとめ

61年の歴史を持つ『ゆく年くる年』、一体いつまで続くと思いますか? との問いに、部長の皆木さんはこう答えてくれました。

 

何十年経っても、『ゆく年くる年』でやることは、たったひとつです。『新しい年が平和でありますように』。この思いが日本人の心からなくならない限り、いつまでだって続くのではないでしょうか。

 

世の中、変わった方がいいものと、変わらずにいてほしいものがありますよね。「変わらない」ために最高の制作陣をそろえ、最新の生放送技術を使った『ゆく年くる年』。
「ダサ~い」けど、実は「すごい」『ゆく年くる年』を、今年はぜひ見てみましょう!

 

 

『ゆく年くる年』は、今年もNHK総合、大晦日の23:45~24:15まで放送されますよ~! お楽しみに!

www.nhk.or.jp

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▼『ゆく年くる年』豆知識まとめ

・前身となった番組『除夜の鐘』は、1927年(昭和2年)ラジオとしてスタート

・1955年から番組名が『ゆく年くる年』になり、現在まで61年間継続

・台本は秒単位でギチギチに書いてある(ちょい長バージョンもある)

・海中や公衆トイレから中継したこともある

・お坊さんの湯気が目立つのは逆光で照明が当たってるから

・視聴率は20%以上

・中継先選定の基準は『時代を切り取る』『災害などがあり祈りが求められている』など

・2017年の中継先は極秘事項!

 

(おわり)

 

<広告主>

日本放送協会(NHK)

 

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 11話「彦八ぞうに」

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<柳田さんと民話・一覧>
11

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

世界遺産「石見銀山」が生んだシルバーラッシュの功績とその後の暮らし

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こんにちは。犬と見せかけてライターの根岸達朗です。

私は今、島根県大田市の大森町という町にいます。なかなか所縁がないと耳にしたことのない土地かもしれません。 

 

実はここ、

世界遺産「石見銀山(いわみぎんざん)」

で栄えた町なんです!

 

ちなみにこのあたり。

 

 

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古民家の軒先に腰をかけて、大きなてるてる坊主と可愛い柴犬が脇を固めています。2016年とは思えない、日本的な風景ですよね。

 

・石見銀山ってどんな場所なの?

・銀山を支えた大森町はどんな町なの?

・大森町で有名な群言堂、他郷阿部家って一体なんなの?

 

前々から気になっていた上記の疑問を解消すべく、取材に訪れたわけですが…ちょっと複雑なので先に取材直後の興奮を伝えておきますね。

 

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ーー取材直後のやりとりーー

f:id:eaidem:20161212185044p:plain「正直、前知識ゼロで石見銀山の町にやってきたんですけど、銀山やばいですね!現在の日本に繋がるような歴史の道筋が見えてきた感じがあります」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「お、そんなに刺さったんですね」

f:id:eaidem:20161212185044p:plain「島根県奥出雲町のたたら製鉄と新潟県燕三条の鍛冶職人文化を取材しているからかもしれません。この2つの土地は港の交易が盛んだったようですし。ここ一年で出会った点の情報が頭のなかで繋がって、『あ、そういうことかー!』とアハ体験がありました。このゾーンに入ると歴史が急激におもしろくなってきますね…。ロマンがある…。同時におじさん化が進む…」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「うんうん。より土着的な文化の中で隆盛を極めた奥出雲のたたら製鉄と違って、石見銀山は幕府直轄領として代官が支配していた。そこの差がおもしろいですね。自然への影響も考慮し、労働者への配慮も垣間見えるというか」

f:id:eaidem:20161212185044p:plain「そうなんですよ。この大森町が世界遺産に指定された背景は、幕府直轄領に尽きるんじゃないかなぁと。デベロッパー的な俯瞰した視点で、この土地を開発していた。だからこそ町並みが守られて、外的要因の介入が少ない説!」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「強い権力によって支配しないと、守りきれない場所でもあったのかもしれないですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122219p:plain「さらに個人的に拡大解釈すると、石見銀山の莫大な利益があったからこそ、江戸幕府は300年続いたんじゃないか。娯楽文化の育成や幸福度が高かったともいわれる町民の暮らしなんか、その余力(=潤沢な資金)があったからなのかな〜とか妄想が膨らみました」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「なるほど。いろんな説を考えられるのが歴史のおもしろいところです。もちろん莫大な利益が生まれる一方で搾取的な側面もあるんでしょうけど、銀山が日本の発展に寄与したのは間違いないと思います」

ーーここまでーー

 

仕切り直して本編です

では、進行を元に戻します。「石見銀山」は、戦国時代真っ盛りの16世紀に本格的に開発が進んだ日本を代表する銀鉱山。2007年にユネスコの世界遺産に認定されました。

 

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石見銀山遺跡のなかで唯一、中が公開されている坑道「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」。まさにダンジョンへの入口といった趣

 

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坑道のなかはこんな感じ。江戸時代には奥行き600mにも及んでいたそう。真っ暗な坑道では「さざえの貝殻」に、ごま油と綿の灯心を入れて火をともし、それを明かりにしたんだとか

 

石見銀山の銀採掘が本格化するのは16世紀。大陸から伝わった銀の精錬技術である「灰吹法」によって、たくさんの銀が抽出できるようになり、それをきっかけに日本は「世界に銀を輸出して利益を得る」シルバーラッシュの時代を迎えます。

 

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銀山を支配していた戦国大名らが主に貿易を行っていたのは、キリスト教の布教と貿易のためにやってきていたポルトガル人。日本にキリスト教や鉄砲をはじめ、洋服や食べ物などの南蛮文化が花開いたのは、この銀を媒介とする貿易がひとつのきっかけだったといわれます。

 

ちなみに当時の産出量は、世界の銀の3分の1に相当! ポルトガルの古い世界地図には、石見の位置に「銀鉱山王国」という記載もあります。「石見=銀」というイメージが、海を越えて広がっていたんですね。

 

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石見銀山から採取された「銀」を含む鉱石。大航海時代以降の世界的な銀需要の高まりに応えた 

  

さて、私が今いる大森町は、そんな銀山で働いていた人たちが「暮らし」を築いたところ。採掘を生業にする人々や、吹大工と呼ばれる職人技術者、銀を求める商人などが行き交い、当時はきっと大いに賑わいをみせたのでしょう。この景観すべてが、世界遺産として保護されている美しい町です。

 

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銀山に関わる人たちがたくさん住んでいた大森町の街並み

  

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そこで今回は、この銀の町・大森町の「暮らしと仕事」に着目。アパレルブランド「群言堂」や化粧品ブランド「MeDu」、そして古民家改装の宿「他郷阿部家」を展開する「石見銀山生活文化研究所」の広報担当として働く三浦類さんに話を聞いてみました。

世界遺産の町で暮らしながら働くことってどんな感じなんでしょうか。

   

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「今日はよろしくお願いします。いきなりですが、日本語ラッパーの『鎮座ドープネス』に雰囲気が似ているって言われませんか?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「言われません」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「そうですか。適当なことを言ってすみません」

  

前置きが長くなりましたが、始まります。

 

日本の「美しい暮らし」を大切にする町

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「この縁側で対話する感じ、たまりませんね。民家の佇まいといい、町の雰囲気といい、なんだか全体的に現代っぽくないなあと」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「町全体が町並み保存地区になっていますから、昔の建物がたくさん残っているんですよね。私たちのお店である『群言堂』本店の建物も、もともとは築150年の庄屋屋敷だったんですよ」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「築150年ですか。すごい。それを改装して?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「ええ。1988年に、現在の会長である松場大吉と所長の登美夫妻が廃墟同然だったこの物件を直して、雑貨店を始めました。『美しい日本の暮らしを未来に残したい』というポリシーでものづくりに励んで、今ではオリジナルの洋服や生活雑貨など、さまざまなものを販売しています」

 

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「根のある暮らし」を提案するアパレルブランド「群言堂」の本店。商品の核にある思想に共感して、店を訪れる人も多い

 

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古いようで今っぽさもある、不思議な雰囲気の店内。国内の素材にこだわった洋服から雑貨類まで幅広い商品を扱う

 

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中庭を見ながらお茶ができる、洗練された雰囲気のカフェも併設

 

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「確かに、どこを見ても美しさがありますよね。お店の佇まいも古い町並みに自然に溶け込んでいてすてきです」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「人が暮らしながら大切に守られてきた町なので、やはり、この景観に調和する美しさというのは大事にしています」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「そういえば、ここに来る途中にもいくつかお店がありましたが、どこのお店も主張が控えめというか、いい意味で、商売気がないですね。観光地にありがちな、ガチャガチャとしたおみやげ屋も見当たりません」

 

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案内板も町の雰囲気に溶け込んでいる

 

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昨年9月にオープンした大森町唯一のパン屋「ベッカライ コンディトライ ヒダカ」。

 

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ドイツで修業をしたパン職人・日高晃作さんこだわりのドイツパンが食べられる。めちゃくちゃおいしかったです

 

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「今大森町には400人くらいが住んでいます。小さなコミュニティですが、みなさん、世界遺産になっているこの町に誇りを持っているんですよ。美しい暮らしをみんなで守っていこうという、町の人たちの芯の部分に共感して、私もこの町で暮らしたいと思いました」

 

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世界遺産登録後に、大森町の住民が主体となって制定した「住民憲章」。「暮らし」を大切にしていくという、住民たちの強い意思が込められている 

 

 f:id:eaidem:20161212183452p:plain「三浦さんも、町内にお住まいなんですか?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「はい。古民家を借りて、そこにいる犬の『うさころ』と一緒に暮らしています」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「うさころ。愛嬌のある名前ですね」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「海外勤務になった友人が、私に預けていった犬なんです。その友人に代わって、私がずっと世話をしているんですが、よく脱走して…」

 

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「え、脱走しちゃうんですか」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「まあ、結局いつも、なんだかんだで私のところに戻ってくるんですけどね。うさころが脱走すると、町の人が誰かしら連絡をくれるので」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「小さなコミュニティだから、みんなうさころのことを知っているわけかあ。犬が脱走しても戻ってくる町って、なんかいいですね」

 

ゆっくり過ごすことでわかる「よさ」

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「ところで、観光客は年間どのくらい来るんですか?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「40万人くらいです。世界遺産登録後の観光ラッシュのときは80万人くらい来ていました」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「80万人。いまは以前の半分くらいになってるわけですか。落ち着いて観光ができる状況になっている、といってもいいのかなあ」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「そうですね。ただ、大森町も含めて、石見銀山の世界遺産はフランスのモンサンミッシェルみたいにわかりやすく象徴的なものがあるわけじゃない。一見地味なんですよね。その歴史を知らないと人によっては『なにもないじゃないか』と思ってしまうかもしれません」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「ああ、歴史を知らないと」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「実際、観光客の滞在時間が短いというのがひとつの課題だったりもします。だからせめて、この町にいらっしゃる方には1泊、できれば数日滞在してもらいたいというのが本音なんです」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「確かに、ゆっくり過ごすことで、そのよさがじわじわと感じられてきそうな町です」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「歴史がわからなくても、この町の静かで、暗い夜を体験してもらうだけでもいいと思います。この町には『なにもない』ではなく『なにかある』と、それぞれの心のなかで感じてもらえたらうれしいですね」

 

流れを生み出す「宿」の役割

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「今、町内に宿はどのくらいあるんですか?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「大森町にはふたつあります。そのひとつが、私たちの会社が運営している『他郷阿部家(たきょうあべけ)』という宿です」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「たきょうあべけ? 意味が気になります」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「『他郷』は『もうひとつの故郷、不思議の縁』という意味ですね。阿部さんという石見銀山の地役人の一族が住んでいた築230年の武家屋敷を10年以上かけて再生し、宿にしています。『群言堂』のデザイナーでもある所長の松場登美が実際に暮らしている家です。ちょっとご覧になりますか?」

 f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「おお、ぜひ!」

 

 

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f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「すてきな雰囲気の宿ですねえ。特にこの厨房。ジブリアニメに出てきそう!」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「道具類を収納しないで見せるという工夫をしていますね。また、古いものを大切に、美しく使うというのがポリシーなので、椅子やテーブル、調理台なども、廃材を再利用してつくっているんですよ」

 

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「書斎ルームも雰囲気がありますね。民俗学のおもしろそうな本がたくさん並んでいるので、編集長が仕事そっちのけで読みふけっています」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「外国人のお客さんも来られるんですが、この部屋の本棚を目当てに来られて、一日中、この部屋で本を読みながら過ごしている方もいらっしゃいました。連泊をして、ここで論文を書き上げた方もいますよ」

 

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「長期滞在したくなる気持ち、わかるなあ。人気なんじゃないですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「時期によっては予約が取りづらいこともありますが、基本的に予約が取れない宿ではありません」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「そうなんですね。でも、宿がここを含めてふたつしかないということは、どちらかの宿に泊まれなかったら、大森町には長居できないということに?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「今のところはそうなります。なので、私はこの宿以外にも、手頃な値段で泊まれるゲストハウスがあったらいいなと」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「おお、ゲストハウス」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「夜にお酒が飲めるようなお店もありませんから、バーが付いているような。需要もあると思いますし、それができたら、この町にも新しい人の流れが生まれるんじゃないですかね」

 

仕事と暮らしが溶け合う町で

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f:id:eaidem:20161212183452p:plain「新しい人の流れ、大事ですよね」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「そうですね。実は『群言堂』というのは、たくさんの人が意見を出し合って、いい流れを生みだすという中国の言葉に由来しています。反対に、一人の意見だけでものごとを進めていくのは『一言堂』といいます」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122201p:plain「ほー」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「私は、この町で何かやりたいという人が、新しい流れを生みだしてくれたらいいなと。もともとこの町は銀山を中心にして、人の出入りもかなり多かったところ。外からやってくる人に対しても大らかに受け止める土地柄なので、新しい流れはいつでもウェルカムですよ」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「そういえば、三浦さんも移住者なんですよね?」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「はい。学生時代に今の会社のインターンとして、東京からこの町に来ました。そのときにびっくりしたのが、町の人たちが、私みたいな見ず知らずの若者にきさくに声をかけてくれたことです。海に行こうとか、温泉に行こうとか、ことあるごとにいろんなレジャーに誘ってくれまして」

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「いいですね。都会の町に引っ越してもそういう付き合いって、なかなか生まれないですよね」

f:id:eaidem:20161212183456p:plain「驚きましたね。私はそれまで東京に住んで、普通に就職活動をしていたので、そのときの経験がすごく印象的で。世代を超えたご近所づきあいをさせてもらうなかで、この町で暮らしながら働いてみたいと思うようになったんです」

 

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「石見銀山生活文化研究所」の本社外観 

 

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「石見銀山生活文化研究所」のみなさん。立派な茅葺屋根の建物は普段は社員食堂で、ときどきイベント会場や学生の合宿場所など、多目的に使われている

 

f:id:eaidem:20161212183452p:plain「暮らしながら働くっていいなあ。生活の場が変われば、考え方も変わっていきそうな」

f:id:ONCEAGAIN:20161215122211p:plain「ええ。少なくとも私は東京から大森町にきて、自分の価値観が大きく変わりました。今はこの町で、暮らしと仕事の境目がないような、暮らしと仕事が溶け合うような、そんな毎日を送ることができているのはとても幸せですね」

 

まとめ

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歴史があり、豊かな自然があり、小さくても温かいコミュニティがある大森町。人と人の関係が希薄になっている今の時代にあって、「暮らしを大切にする」という、シンプルだけど地に足のついたポリシーによって土地の人たちがつながっているのは、この町の大きな魅力であり、強さでもあるのだろうと感じました。

  

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そんな大森町に暮らしながら働いている三浦さんですが、実は知る人ぞ知るローカルマガジンの編集長。大森町の暮らしを伝える、その名も「三浦編集長」は、地域の魅力とともに、三浦さんの愛嬌のある人柄が、文章と写真からにじみ出てくるとてもすてきな冊子です。

 

「群言堂」の店舗で配布しているほか、オンラインストアで商品を購入するともれなく付いてくるので、機会があればぜひ読んでみてくださいね。

 

三浦編集長 - 読み物 | 石見銀山生活文化研究所|群言堂・MeDuオンラインストア

 

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おじさんたちの旅は、まだ続きます。 

 

Photo by ayumi yagi

 

<協力>

▼ベッカライ コンディトライ ヒダカ

住所:島根県大田市大森町ハ90-1

電話番号:0854-89-0500

営業時間:10時~17時(水木定休)

HP:Facebookページ

 

▼他郷阿部家

住所:〒694-0305 島根県大田市大森町ハ159-1 

電話番号:0854-89-0022

料金:お一人様25,900円(税込)/9名様以上の団体の場合は19,400円(税込)

HP:予約ページ

 

書いた人:根岸達朗

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ライター。発酵おじさん。ニュータウンで子育てしながら、毎日ぬか床ひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

青森県弘前市「ねぷた祭り」取材のこぼれ話 - カメントツの長い一日

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こんにちは、山口むつおです。

実はわたくし、ジモコロの取材で2回ほど青森県は弘前市(ひろさきし)へ行っております。2016年の夏に公開したこちらのカメントツの漫画はご覧になっていただけたでしょうか

 

 

ちなみにですが、祭りのシーズン中でなくても、弘前公園の近くには「津軽藩ねぷた村」という、本物のねぷたを展示している施設があります。ここでは様々な種類のねぷたを見て回ることができますので、シーズンではなくてもねぷたを楽しむことができますよ。

 

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カメントツは漫画家なので、取材した内容を漫画に起こすわけですが、その過程でまとめあげるためには泣く泣く削らざるを得ないシーンも出てくるものです。

 

そこで、この記事では漫画の中には入り切らなかったこぼれ話を実写を交えてご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

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まずはこちら。カメントツが弘前市の祭りを「ねぶた祭り」だと勘違いしており、弘前市役所の方に理由を教えてもらうシーンです。

 

 

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「ねぷた」を「ねぶた」と間違えるのはもちろんですが、ちょいちょい弘前市のことを「ひろまえし」と間違えて言うカメントツ。おもくそ市の職員さんの前で言うので、ドッキドキです。

 

 

 

 

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続いて、今度は実際にねぷた絵師・川村麗巴(かわむられいは)さんの作業場にお邪魔させていただくシーン。

 

 

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作業場にはたくさんの顔料がストックされています。

 

 

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いつも頭のどこかでねぷたの事を考え、インスピレーションを受けれる態勢をとっているという川村さん。資料として日本画のチェックも怠らないそうです。

 

 

 

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ちなみにねぷたって、この通り結構大きいです。ねぷた絵師になる条件として、まず自宅にこれくらい大きな絵を置いておける部屋があるのが条件になるとのこと。条件が部屋て。ぼくが前に住んでた家なんて、16平米の収納なしよ……?

 

 

 

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同じ筆でも使い方を変えることで、力強い輪郭や繊細な毛の質感を自在に表現していく川村さん。

 

 

 

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どういった工程でねぷたは作られていくのか、どんな想いが乗せられるか……1つ1つ丁寧に教えていただきました。

 

ちなみに、この取材にお邪魔させていただいたのが3月。ねぷた祭りの本番は8月。祭りの準備はだいたい半年前から行うのだそうです。つまりお祭りに関わる人たちは、1年の半分くらいはお祭りの事を考えている計算になります。 

 

 

 

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そして今度は、人形ねぷた絵師の中川俊一さん(本名:三浦俊一さん)をたずねたシーン。

 

 

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中川さんは、弘前大学大学院の地域社会研究科で客員研究員を務めるという、もう1つの顔も持っています。ねぷたを観光資源として捉えていて、他の多くの団体とは少し違ったスタンスでした。

 

 

 

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漫画の作中でもあった、人形ねぷたについて突っ込んだインタビューをしている様子です。「あれ?これもしかして、喧嘩になるやつじゃない?」と、横からちょっと心配しながらの現場でした(最終的に漫画同様、意気投合しました)。

 

 

 

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人形ねぷたの技術はこうした立体作品にも応用することができるとのことで、紹介してもらったのがこちらの照明。ねぷたを観光資源として捉えて突き詰めていくと、こうしたアプローチに行き着くことも納得できますね。

 

 

 

 

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さて、こちらは漫画の中には登場しなかった1コマ。さきほど登場していただいた川村さんが絵師として参加している、「東目屋地区ねぷた愛好会」のみなさんです。今回特別にその食事会に参加させてもらい、お話をいろいろと聞かせていただきました。

 

 

 

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この日はちょうど、新しいねぷたの下絵の確認を兼ねていました。こうやって何度も集まり、ねぷたの制作の進捗をみんなで確認し合います。

 

 

 

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こちらは現在の代表を務める三上雅人さん。祭りの会場である弘前駅の駅前までねぷたを運ぶ必要があるのですが、いかんせん大きいため、大型重機でけん引して1時間半ほどかけて運び込んでいるようです。普通にいけば30分くらいの道のりではあるのですが。

ねぷたは紙で出来ているので、雨が降ったら最悪だそうです。とにかく晴れることを祈るのみ……!

 

 

 

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1日中取材で動き回ったせいか、明らかに疲労が見えるカメントツ。この後、数杯ビールを飲んでその場に崩れ落ちました。 

 

 

 

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※仮面を外し、しばしの眠りにつくカメントツ

 

……というわけで、今回は少し趣向を変えて、漫画では紹介しきれなかった裏側の部分をあえて実写で紹介し直してみました。いかがだったでしょうか?


ぜひまた、本編であるカメントツの漫画と見比べつつ楽しんでもらえると幸いです。

 

 

 

あ!ちなみに弘前市は、アニメ「ふらいんぐうぃっち」の舞台となっている街です。
取材に行ったおかげで、作中に見たことある場所がたくさん出てきて、自分事にできてよかったです。

 

最後の最後でなんかすみません、ぼく、このアニメめっちゃ好きなんですよ。へへへ。

 

 

書いた人:山口むつお

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。物忘れが激しいが、昔プレイしたゲームのパスワードはすらすら言える。

個人ブログ: むつおちゃんブログ
Twitter: @e_yamaguchi

匿名店員が暴露! 百貨店を秘密裏に支える超大金持ち「外商」って?

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皆さんこんにちは!

株式会社人間の歯並びが悪い女、社領エミ(しゃりょう えみ)です! 矯正してぇ〜!

 

みなさん……百貨店って、素敵ですよね。

きらびやかな空間にピカピカの商品が並び、最高の接客が受けられる素敵な空間『百貨店』。

 

実は、そんな百貨店が

外商」というとんでもないお金持ちによって支えられている

ということをご存知ですか?

 

噂によると、外商は……

 

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マ、マジで~!?

これって本当なの?是非確かめてみたい!

 

ということで……

 

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ジャーン!!

 

今回はこちら、とある百貨店のカリスマ販売員

Aさんをお呼びしました〜!!

 

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「今日は絶対にバラしちゃいけない『外商』さんについてバラしに来ました! バレたら99%クビですので、ここから先の話はあくまで一部の百貨店のみでの話で、というか僕自体の存在がフィクションで、全て嘘の話だと思って聞いてください」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「ガチのヤバい暴露が始まるっぽいぞ〜!!」

 

 

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「早速ですがAさん。さっきの『外商』の噂って、全部本当なんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plainはい、割と本当です

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「マジか〜〜〜!?!?!?」

 

 

※百貨店の外商員のことを「外商」と指す場合もありますが、この記事ではAさんの言葉通り「高額の売り上げが見込めるお客様=外商」とします

※今回の記事では、Aさんの身長・スタイル・風貌などからの身バレを防ぐため過度な写真加工を行っております。予めご了承ください。

 

 

百貨店の経営を支える超セレブな秘密のお得意様「外商」さん

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f:id:eaidem:20170110113236p:plain「そもそも、外商って何なんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「要するに、百貨店でたくさんお買い物をしてくださるお得意様のことですね。具体的に言うと…」

 

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f:id:eaidem:20170110113240p:plain「という感じの、いわゆる公にはされていない制度です」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「こ、こんなセレブ日本に存在するの〜!!? でも、なんで秘密なんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「一般のお客様に、お金持ちを贔屓してるように見えては困りますからね。では順に詳しく説明していきましょうか」

 

普通のお金持ちと外商さんの線引きって?

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「まず外商さんとは細かく言うと、『お得意様カード』という各百貨店のクレジットカードを持っている方のことを指します。カードを手にいれる方法は百貨店によってさまざまで、『外商さんからの紹介のみ』とか、『沢山買い物をしていると百貨店から招待が来る』とか……」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「なるほど。『沢山買い物』というのは、だいたいおいくらくらいでしょうか」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「僕の主観的な目安ですが、最低でも年間100万円以上お買い物される方ですね」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「私の貯金より断然多いですわ〜〜! 外商さんは、業界全体で何人くらいいるんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「外商さんについては従業員である僕達もあまり詳しい事を知らないのですが、売り場で接客する中では『ごく一部のお客様』という印象です。

また、外商さんには『個人』と『法人』の2種類があります。法人ですとお歳暮やお中元、高校の制服とかを商っていますね。制服のタグに百貨店の名前が書いてあるものは、外商さんの商品ですよ」

 

百貨店の売り上げを6割支える金持ちたち!

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f:id:eaidem:20170110113240p:plain「百貨店全体の売り上げのうち、およそ6割を外商さんが担っているといわれています。特にレアケースですが、個人のお客様でお一人で年間数億お買い物をする方もいらっしゃるみたいです」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「そんな買うもんあるかーーー!?!? 何買ってたらそんな値段に!?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「噂によると、あのハイブランドを週1で棚買いしちゃうとか……」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「私、スーパーですら棚買いできないぞ」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「ほかにも、個人外商のお客様だとハイファッションや宝石が中心に売れていますね。また一部の百貨店では、絵や車、家なども扱っています」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「えっ、家? 百貨店でですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「はい。通年扱っているわけではないですが、有名建築家に頼むことができます」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「それより外国に小学校でも建てろ〜!!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「そのように経営を支えてくださる外商さんには、百貨店側から様々な待遇をさせて頂いています!」

 

金持ち待遇1:好みとサイズを完全に把握してくれる担当者

f:id:emicha4649:20161220153730j:plain

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「外商さんの中でもかなりのお得意様には、ご自身のサイズや好みを完全に把握した担当者がつきます。外商さんの好みドンピシャのものが入荷すると、担当者がご自宅に直接商品を持って出向くこともありますよ」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「す、すごい。お母さんでもそこまでしてくれない!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「担当者にはお客様との信頼関係が必須なので、百貨店の中でもトップレベルの接客担当が伺います。中には、お客様のタンスの中身を完全に把握していたり、お食事に呼ばれすぎて家に専用の茶碗がある担当者もいるとか」

 

金持ち待遇2:ゆったり買い物ができる広くてラグジュアリーなサロン

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「百貨店には、外商さんをお招きするためのこんな感じのサロンがあります」

f:id:emicha4649:20161220153944j:plain

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「おおおお!! ラグジュアリーだ!!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「ほかにも、各フロアには通常より1.5倍ほど広い試着室を外商さん専用に設けてあります。有名な方や政治関連の方といった、顔を見られたくない方が事前に予約してご利用になられますね」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「タレントさんもそういうところを使ったりするんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「タレントさんはあまり使いませんね。意外にふらっと来られたりしますよ」

 

金持ち待遇3:30万以上の商品しかないセレブ専用販売会

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「規模の大きい百貨店では、年に2回外商さん向けの販売会を行っています。」

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f:id:eaidem:20170110113240p:plain「特に限られたお得意様をお招きするこの日は、入口で黒服を着た従業員が数十人ずらりと並んでお客様をお出迎えします。外商さん同士の社交場にもなる、年2回のちょっとしたパーティーですね」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「たった2万の財布を買うために節約してる私がアホらしくなってきたぞ……。 しかし、こんなパーティーする場所日本にあるんですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plainウン千万の現ナマを持ち寄られるお客様もいらっしゃいますので、さすがに場所は言えません。取材もカメラも一切なしの厳戒態勢で行われます。というより、公には『こういう場自体無いもの』として扱っていますね」

 

ハイブランドは普段商品が売れなくてもやっていける!?

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「……とこのように、外商さんとその仕組みを説明させて頂きました。ほかに質問はありますか?」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「はい!普段街中を歩いていてもそんなお金持ちは見かけたことがないと思うんですが、セレブの見た目の判断基準ってありますか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「平日の人が少ない時間帯に、百貨店内で靴と鞄が明らかに高そうな人を探してみてください。その中でも担当者がべったりついて離れないって人はビンゴです、かなりの確率で外商さんですね」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「うお〜〜! 今度平日の百貨店行ってみよ〜〜!!」

 

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「あと、噂で聞いたんですが、ハイブランドのお店って普段商品が売れなくても経営が成り立つって本当ですか?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「まぁ、本当ですね。ハイブランドは年に2回のコレクションで、お金持ちが気に入ったものをごっそり買うからやっていけてるんです。言わば、クリスマスだけドカ売れする某フライドチキンの店と一緒ですね」

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f:id:eaidem:20170110113240p:plain「なので、普段の営業日は1日に2〜3点売れたらラッキーという感じかと」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain私たち庶民は所詮金持ちの余り物を買っているのか……

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「いえ、決してそうではありません! そこで接客して商品を気に入っていただいて、最終的にコレクションに来るまでのファンになればすごいじゃないですか」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「なるほど。普段の接客は営業活動みたいなものなんですね」

 

『百貨店はステータス』の時代は終盤に……厳しくなりゆく百貨店業界

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「しかし……外商さんは年々減り続けていて、正直百貨店業界はかなりピンチです」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「そうなんですか!? さっきの話だけ聞くとめっちゃ景気良さそうなのに」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「それがですね、お金を落としてくれる外商さんたちがどんどん高齢化されて、百貨店にいらっしゃることが少なくなり……

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f:id:eaidem:20170110113240p:plain「現在百貨店を支えている外商さんのほとんどが50代以上。それは、昔は百貨店にしか贅沢品がなかったので、50代以上のお金持ちには今でも『百貨店で買い物すること=ステータス』という認識が根付いているからなんです。

しかし若い世代のお金持ちはそうではありません。インターネットが出現してから、百貨店の在り方が大きく変わってしまいまして……」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「あ、なるほど!みんな通販するようになったのか!?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「その通り。何でも手に入るネットのおかげで、30〜40代のお金持ちのお金の使い道が分散してしまいました」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「ヤバいじゃないですか。百貨店業界、導火線に火ついた感じですね」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「はい。という感じで百貨店業界が厳しくなり始め、00年代後半に大きく業界再編を行いました。三越と伊勢丹、大丸と松坂屋、阪急と阪神の合併です」

 

f:id:emicha4649:20161220094532j:plain

 

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「ちなみに、現在の業界の売り上げランキングとしてはこんな感じ」

 

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※ Aさん独自調べ

 

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「関西の皆さんに朗報なのですが、店舗別売り上げだと全国トップの伊勢丹新宿二番手の阪急うめだ僅差です!」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「マジか! これは関西人として嬉しい〜!!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「また、もう少し踏み込んだ話をしますと……現在は、会社同士が個々で競っているだけではありません。タイプの違う2種類の百貨店が、生き残りをかけてバトルをしているのです」

 

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※ Aさんの分析です

 

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「最終的にどちらが生き残るか、言うなればサドンデス状態です」

 

 

みんな! 気軽に百貨店に集まれ~っ!

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「というわけで、現在の百貨店業界は『既存顧客以外にどう来てもらうか』に力を入れています。特に去年からは、現状維持が許されないおかげで奇抜な企画が通りやすくなっており三越は艦これとコラボしたり、高島屋は繁華街ど真ん中にポケモンセンターを構える等、前代未聞の企画を多く行いました」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「普段百貨店に行かない層にアプローチしたわけですね。 でもそういうオタク層って、百貨店が必要とするお客さんと全然違ったタイプのように感じるんですが」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「それでいいんです! まずは一度店に足を運んでもらって、百貨店の場所と空間と接客を若い方に見て頂きたい。そこで何か発見を与えられたらと思っています」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「なるほどなぁ。しかしAさん。ここまで聞いといてなんですが、正直百貨店っていつ行けば良いか全然わかりません!高価なものしかないし、なんか煌びやかだし、一時間に一回『うんこ』と言いたくなる自分にはキツいです!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「なるほど。『うんこ』と言うのはひとまず我慢いただくとして、僕は、百貨店はお礼やお祝い事などの贈り物をしたい時に相談に来ていただけると絶対に満足頂ける場所だと思います!」

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f:id:eaidem:20170110113236p:plain「ほうほう」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「呉服系百貨店の社員はまず”物”が好き。店を横断して商品を把握しているため、ご要望に合う商品を百貨店の全フロアからご提案することができます。中には、『駅前のあの店にならあったかも……』と、自分の店以外のものを提案することも……

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「すげえ! 自分のとこの売り上げ無視!? しかし、予算3000円の貧乏人の相手をしてもらうのは申し訳ないし、何より店員さんが怖いんですが……!!」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「気にせず来てください! 百貨店は”接客”と”人”が好きな社員しか居ませんので、お客様に話しかけられると喜びますよ。また、商品について面白く伝えられる人しか採用していないので、軽く相談してみるだけでも楽しんで頂けると思います。最終的に買わなくても構いませんし!」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「買わなくてもいいの〜!?」

f:id:eaidem:20170110113240p:plain「良いんです。ぜひ、気楽な気持ちで来てください! 店員を友達だと思って、連れ回してもらえると嬉しいです」

f:id:eaidem:20170110113236p:plain「百貨店ってとっつきにくい印象だったけど、思ったより若者にフレンドリーなんだなぁ。Aさん、今日は本当にありがとうございました!」

 

おわりに

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みなさん、「外商」さんのお話は楽しんで頂けましたでしょうか?

日本にも優雅なセレブっていたんですね〜〜! ハイブランド大人買いとか、まるで漫画の世界ですよ。そんなセレブはイケパラとか花男とか氷帝学園にしか居ないと思っていたので、本当にビックリでした(年齢がバレる例えですみません)。

 

私もこれを機に百貨店にちょくちょく通おうと思いました。接客のプロが集まる百貨店業界、縮小し続けるのはあまりにも惜しい! みなさんも是非足を運んでみてくださいね。

 

ちなみに再三申し上げますが、この記事は全て架空の人物Aさんの”嘘”ということで! 面白半分でお読みいただけたなら幸いです。

 

 

さて、平日に買い物をするセレブに偶然を装ってぶつかって、仲良くなって嫁いで家でも建ててもらうとするか〜!

“嘘"です! 社領エミでした。

 

 

(写真提供:フリー素材屋Hoshino

【ジモコロの野望】今後やりたいこと、プチリニューアル、九州コラボ企画の話をします

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どうも、ジモコロ編集長の柿次郎です。めちゃめちゃ美味そうにビールを飲んですみません。

昨年は大好きなNHKの仕掛人たちにインタビューしたり、熊本復興支援ツアーを計画・実行したり、ジモコロフリーマガジンを発行したりなど、自分のやりたいことを形にできた一年でした。さらに、全国あちこちからお声がかかって多数のイベントに登壇できたのも貴重な経験となっています。

ただ残念ながら、人間の欲望は尽きないもの。階段を一段上るたびに、新しい景色が目に飛び込んできて…またやりたいこと、知りたいことが増えていきます。1年7カ月の短くも長い時間を経た結果、「開設当初よりも知らないことが増えている…!なんなんだこの状態…!」と驚く日々って一体どうなってるんでしょうか。

 

実は、これが最高なんです。

 

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尽きぬ好奇心。ジモコロの取材で気づいたことが一生をかけてでも取り組みたいテーマばかり。せっかくなので私が今後やりたいこと、ジモコロの野望(2017)を並べてみてもいいでしょうか…?

遠慮がちな物言いですが、「機会があればぜひ声をかけてください」というダチョウ倶楽部方式のフリなので察してもらえるとありがたいです。

 

●「鉄腕DASH」「ブラタモリ」の制作チームに取材したい

人生の目標として「30〜40代は城島茂、50〜60代はタモリ」という願望を持っています。そのきっかけは上記のテレビ番組。どちらも超人気かつ、今の時代に則している。圧倒的なスターを起用しつつも、番組をウラ側で支えている制作チームに俄然興味が湧いています。これは2017年絶対実現したいので自主的にアプローチしていくぞ〜!

 

●農業大学とコラボして「ジモコロ畑」にチャレンジしたい

人間の営みに欠かせない畑ですが、都会育ちの私にとっては程遠い存在…。テレビや本で得たような知識は定着せず、やはり実践方式で困難や疑問にぶつかり、その上で人に聞いていくスタイルじゃないと身につかないのではないでしょうか。可能なら農業大学の先生、そして学生たちとともにコンセプトをもった取り組みをしてみたいです。芋が好きなので、ジモコロ芋を作ってコロ沢の復活を…。

 

●インディーズ出版の「ジモコロ本」を作りたい

ジモコロは流行り廃りに流されないような記事作りを大切にしています。可能ならいろんな形式で世の中に届けたい。フリーマガジンは継続して作りたいけれど、インディーズ出版(リトルプレス)の枠組みで、本を出せないかと考えています。WEB上の記事を再編集し、さらに描き下ろし記事や新たな企画を詰め込む。限られた本屋やスペースのみで販売して、ファン向けに展開できたらおもしろいなぁと。「協力したい!広告出稿しよう!」なんて企業がいたらぜひぜひ…。

 

●地域のお土産や商品をプロデュースしてみたい

土地の魅力が詰まったお土産やプロダクトに触れることは、ローカルを取材する上で欠かせません。その場で衝動買いすることも頻繁にあります。同時にこういった商品づくりは「コンセプト」「コピー」「デザイン」といった要素で売れ行きが全然変わるんだろうなぁ…自分だったらどうするかなぁ…と妄想に耽ることも。もしそういったお話があれば個人的に興味津々です。単純にモノを作りたい!手に取りたい!

 

●個性派おじさん大集合! 「ジモコロ祭り」を開催したい

ジモコロで取材をしてきた個性派おじさん。タケノコ王として地上波テレビを賑わした風岡さんを始め、地方で出会った人たちはとにかく話がおもしろいんです。静的なテキストで魅力を伝えるのが仕事なんですが、兼ねてから「全国から個性派おじさんを集めたトークイベントをやりたい。生で動いて話すおじさんは絶対おもしろい!」と考えていました。いかんせん少人数編集部で日々忙殺されているため実現には至らず…。どこかイベント運営に強い人たちと一緒に取り組めたら嬉しいです!切実に…!

 

●世界の「地元×仕事」をもっと取り上げていきたい

ジモコロの「地元」の定義には東京も入っていますし、それこそ世界のどの国にも地元があると考えています。オスマン・サンコンの地元はギニアですし、デーブ・スペクターの地元はアメリカじゃないですか。2017年は世界の「地元×仕事」をどんどん取り上げていきたいんです。

例えばこの記事は、知り合った人の海外体験がおもしろすぎたので寄稿してもらいました。なので海外在住の人や海外旅行が好きなライターの皆さん、現地で体験したことや取材して分かった一次情報があれば、ぜひ企画をお問い合わせフォームから送ってください。「旅行ついでにジモコロで記事を書いてみようかな」みたいなノリでも歓迎。もちろんクオリティ担保のために実績は見つつ、編集はさせていただきます。

 

えー、挙げればキリがありません。現状、こんなことを考えています。

 

プチリニューアルとジモコロ×九州プロジェクト

1月13日(金)、プチリニューアルしました!

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タイトルバナーの変更(写真でドーン!)

 

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右カラムのバナー情報を一新(見やすく、使いやすくドーン!)

 

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エリア別に記事一覧を見れるようになりました(待望ドーン! ※PCのみ)

 

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ライター一覧ページも見やすいのを作りました(便利ドーン!)

 

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細かいところもあちこち調整しました(雰囲気ドーン!)

 

いかがでしょうか。開設以来手つかずだった領域にメスを入れて、いくつか改善させていただきました。特に「エリア別に記事を読みたい」「ライター一覧ページを分かりやすくしてほしい」という要望は前からあったので、実装できて嬉しい限りです。

 

さらに!

 

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新たな試みとして「ジモコロ×九州プロジェクト」を本日から始動します。これまで都道府県別に展開していましたが、熊本地震の復興がまだ始まったばかりの九州を盛り上げようという企画です。いや、ホントに震災の爪痕がまだまだ残っています。

つい先日も阿蘇山周辺の取材で訪れていたんですが、崩落した道の復旧に3年かかるとか、あちこち道が通行止めになっているとか、ようやく仮設住宅に移り住んだ段階とか、観光面の打撃も想像以上でした。何も終わっていません。復興の第一歩を踏み出したぐらいでしょうね。

このプロジェクトでは、特設ページを作り、九州関連のジモコロ記事を一覧で見れるように設計。どんどん記事を追加していって、そこから九州の魅力を知ってもらい、旅行のきっかけにしてもらえたらなぁ、と考えています。

さらに次の展開として「ジモコロ×四国」「ジモコロ×東北」みたいなことができたら最高じゃないでしょうか。さらにそこからエリア別の紙版を作って…エリア別のおすすめ商品を並べてみて…などなど、うわっ、どうしよう。夢が広がりすぎて怖い。

 

まとめ 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kakijiro/20160814/20160814052026.png

駆け足で「今後やりたいこと」「新しくやること」を紹介してきましたが、結局のところ意思表明とアピールが大事なんじゃないかなぁと。個人でも会社でも、そしてメディアひとつにしても、待ってるだけじゃ始まらない。ソーシャルを活用して、2017年も公私混同の仕事づくりをやっていく所存です。

今後とも皆さん、よろしくお願い致します。

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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どこでも地元メディア「ジモコロ」編集長として全国47都道府県をまわってます。趣味→日本語ラップ / 登山 / 漫画 / プロレス / コーヒー / 民俗学など Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916 Mail: kakijiro(a)gmail.com


じいちゃんとわたし「負の連鎖」第2話

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

ジモコロをご覧の皆さん、こんにちは。食いしん坊イラストレーターの杏耶です。

私は母子家庭で育ったため、保育園の送り迎えやゲームの相手になってくれたのはじいちゃんでした。だけど、ある時から祖父の言動におかしなところが増え……

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この物語は、大好きなじいちゃんを蝕んだ認知症と、家族の絆を描いた漫画です。

 

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介護疲れで心身ともに参っている家族の方の気持ちが軽くなるような、介護にも色んな道があるんだと思ってもらえるよう漫画で伝えたい。

というわけで第2話、気軽に読んでみてください!

  

2話

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『じいちゃんとわたし』一覧

 

書いた人:杏耶

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食いしん坊イラストレーター、食べることと料理をすることが大好きで、趣味の一環で手軽に作れる様々なレシピを独自に考案、それをイラスト化した「あやぶた食堂」を2015年に発売。その他に丼物オンリー漫画「ド丼パ!」、東北のお酒と郷土料理を紹介したコミックエッセイ「のんで東北たべて東北」も発売中。Twitter ID→ @ayatanponpon / WEBサイト→ http://ayabubububububu.jimdo.com/

 

【散歩王】路上プロレスラーと散歩で対決してきた in 柿生

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こんにちは、散歩おじさんwithレスラーです!

 

普段は「サンポー」という散歩専門サイトで愉快な散歩をしています。意図せず服装が黒で固まってしまいすみません。真ん中の井上マサキがこの記事を書いております。

 

今日は小田急小田原線の柿生駅に来ています。住所で言うと川崎市麻生区。新百合ヶ丘から1駅だけ西に位置する、快速と急行が止まらない駅こと柿生駅です。

小田急沿線の方しか知らない駅かとは思うのですが、柿生は散歩おじさんにとって歩きがいのある街です。大きなショッピングモールも無く、昔ながらの、しかも古すぎず、新しすぎない商店街があります。味のある看板や建物も多く残っています。「手付かずの自然が残っている」みたいなノリで降り立っています。

 

今日はこちらで「散歩王決定戦in柿生」を行います!

 

【ルール】

  • 街をぶらぶらして、お題に沿った写真をそれぞれ撮ってくる
  • 制限時間は30分。写真はお題1つにつき3枚
  • 30分経ったら再び集合。写真を見せ合って、みんなでやいのやいの言う

 

前回の「散歩王決定戦in高津」とルールは同じ。街から「お題に沿ったもの」を借りてくる、借り物競争+大喜利みたいな競技だとお考えください。

 

本日のエントリーメンバーはこちらの3名です!

 

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今回はゲストプレイヤーとして、新百合ヶ丘に拠点を置くプロレス団体『プロレスリングHEAT UP』から兼平大介選手に参加していただきました。散歩力は未知数ながら、路上プロレスで鍛えられた街を見る目には光るものがあるはず……!

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「今日はよろしくお願いします」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「よろしくお願いします!」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「路上プロレスって、ほんとにその辺の街角で戦っちゃうんですか?」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「やっちゃいますね。こういうのとか……」

f:id:yasunori:20170118092456j:plain

 f:id:eaidem:20170117183107p:plain「思ったよりアスファルト!」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「珍しいところだと川崎市長の市長室で戦ったことがあります」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「市長と!?」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「いやいや(笑)うちの団体で市長を訪問したときに、流れで川崎市長にプロレスを見せることになったんですよ。でも、その時よりも今回のほうが緊張します」

 

そんな百戦錬磨のレスラーをも緊張させる、本日の気になるお題はこちらです。

 

f:id:eaidem:20170117183200p:plain

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というわけで、集合して5分も経たないうちにプレイヤー3人は柿生の街に散りました。相手が何を撮ったのかはお披露目まで内緒。30分後のお楽しみです。

 

f:id:INO:20170112232101j:plain

 

お題の答えを求めて柿生の街をブラブラしていると、あちこちでこのキャラをよく見かけます。「かきまるくん」という名前らしい。なんでも、ここ柿生は昔『柿生村』という村で、日本最古の甘柿と言われる『禅寺丸柿』の原産地なのだとか。なるほど、ゆるキャラにするわけだ。

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「かきまるくんとも戦ったことあります」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「対戦相手のレンジが広すぎる」

 

~30分後~

 

プレイヤーが再集合し、さて撮った写真をお披露目……ということで、場所を探して中華料理屋に入ったのですが、これがまぁちょうどランチタイム。

 

f:id:INO:20170108125240j:plain

 

全員でガッツリ昼食をとってしまいました。美味しかったので「あ!写真!」と思ったときには料理がありませんでした。法事を終えた一コマみたいな写真ですね。

 

そうそう、前回は参加者3人だけの内輪でMVPを決めましたが、今回はきちんと川崎市麻生区にゆかりのある「審査員」をお呼びしましたよ!

 

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f:id:eaidem:20170117185728p:plain

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「兼平さんや稲垣さん、浅井さんは普段からこの辺りでお会いしてるんですか?」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「いや、こういう形で全員揃うのは初めてですね」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「私は普段Cloverとして活動してるのですが、兼平選手はイベントでご一緒することもありますね。『プロレスマルシェ』という川崎野菜の直売会とプロレスを楽しめるイベントで、私はテーマソングを歌ってます。1月19日(木)に新百合ヶ丘・トゥエンティワンホールで開催されるのでぜひ!」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「川崎野菜とプロレス?」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「あ、そうだ動画ありますよ」

 


【ヒートアップTV】1・19プロレスマルシェ開催

 

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「のっけから兼平選手が登場してる。プロレスと何かって絶対面白いからずるいなー」

 

~~発表タイム~~

 

f:id:eaidem:20170117183200p:plain

□1番手:井上マサキの発表

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「じゃぁ僕からいきますね。これたぶん、なにか封じ込めてると思うんですけど……」

 

f:id:INO:20170108111521j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「チェーンを巻くだけでも厳重なのに、ブロック片まで置かれてるんですよ。ファンタスティク・ビースト的なやつを封じ込める便利グッズかと」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「魔法じゃなくて物理的に封じ込めちゃってるし、便利というより、必死? ギリな感じがしますけども」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「いざとなったらブロック片の予備もありますからね。ガタガタ!ってしたら乗せてもらえれば。ちなみにここ、飲食店の店先です」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「飲食業界の闇だ。なんかいいダシでも出るんですかね」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「次はですね、使う人次第のグッズです。地図なんですけど……」

 

f:id:INO:20170108112340j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「柿生の街をベースに自分だけの地図を描こう!という便利グッズ」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「抜けてるところを自分で描くんだ」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「俺だけの最強の幹線道路とか、ここにTSUTAYAとオリジン弁当がほしいとか思いのままです」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「いいなぁ。アナログなシムシティですよね」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「私はこの辺にスタジオが欲しいです。ところで、これ一度書いたら消せるんですか?」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「また剥がしてもらえれば」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「剥がすんだ(笑)」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「結果いいところだけ残るんで、柿生の住民の理想がどんどん蓄積されるようになってます」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「右上とか一回も剥がされてなさそう。すっごい良いこと書いてあるのかな」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「最後はよーく見てほしいんですけど……」

 

f:id:INO:20170108131408j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「駐輪場の前に石の柵があって、フックがすごい並んでいるんですよ」

 

f:id:INO:20170108110817j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「自転車と一緒に犬をつなぎ止められると思うんですよね」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「あの白い枠のなかで犬がずら~っと待ってるんでしょ? いい光景ですね」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「柵は駐輪場と同じように『当日利用』と『月極』にわかれてますから。月極に無断で止めると罰金2万円取られます」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「帰宅時間あたりは犬たちが大騒ぎしそう」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「ご主人が来ない忠犬はじっと待ってるんで、50年後には5,6体銅像があるでしょうね」

 

 

□2番手:ぜつの発表

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「僕はタクシードライバーなんですよ。タクシーって『担当車』が決まっていて、僕の担当車にはドリンクホルダーをつけてるんです。でも、たまにドリンクホルダーが無い別の車に乗ることがあって、すごい不便。そんなときにこれ」

 

f:id:INO:20170108112825j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「このヘルメットさえあれば、どこでもドリンクホルダー

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「これはすごいなあ。なんとなくこなれてるし、工事現場では常識の可能性ありますね」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「どれだけ荒い運転してもこぼれないですから。バケツに水入れて振り回すやつみたいに」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「それヒゲダンスで観たことある」

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「次のやつは便利グッズっていうか、X JAPANのYOSHIKIが……」

 

f:id:INO:20170108131541j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「もうおかしい」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「便利グッズの説明でYOSHIKIの名前が出る時点でおかしい」

 

f:id:INO:20170108111625j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「YOSHIKIが首に巻いてるやつあるじゃないですか。あれが壊れちゃったときの予備なんですけど……」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「??」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「YOSHIKIが首に巻いてるやつ??」

f:id:eaidem:20170117183050p:plainYOSHIKIは巻いてます

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「全然共感できないけど、YOSHIKIは巻いてますって断言してるから巻いてるんだろうなぁ。あとで『YOSHIKI 首』で画像検索しよう」

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「まぁとにかくYOSHIKIは首に巻くんですけど、夜は目立たないんですよ。だから……」

 

f:id:INO:20170108112715j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「暗闇で光る巻くやつです」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「なるほど、これなら夜の六本木でも『あ!YOSHIKIだ!』ってなる。でも電源の確保とかどうやってるんだろう」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain日中に蓄電して、夜放電してるんじゃないですか。ちょっとしたそういうシステム。YOSHIKIシステム」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「YOSHIKIシステム」

 

 

□3番手:兼平大介の発表

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「いやぁ……みんなのと全然違うなぁ……」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「何出すんだろう」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「便利グッズですよね。みなさん、筋斗雲に乗りたいときがあると思いますが……」

 

f:id:INO:20170108112332j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「そんなときはMr.Mushipanの上に乗っていただければと」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「かわいい~」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「なんなら食べられますからね。だけど飛びながら食べちゃうと、力が弱くなってどんどん高度が下がっちゃう」 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain以上です

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「1枚で終わったぞ!」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「ひとつのお題に対して3枚撮るルールが伝わってなかった!」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「すいません」

 

 

f:id:eaidem:20170117183203p:plain

□1番手:井上マサキの発表

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「70円くらいのものを探してたんですけど、ちょうどフリーマーケットをやってたみたいで……」

 

f:id:INO:20170108113332j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「駐車場にトレーナーがかけてありました」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「なんなんだろう、謎の70円っぽさがある」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「USAって書いてるし米軍払い下げなんじゃないかと」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「米軍ってことはテクノロジーがすごいんでしょうね」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「銃弾が飛んできても繊維がグルグルッ!って巻き付いて止めますからね。あとすごい暖かい。ヒートテックの200倍」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「暖かさ、そんなに要ります? ヒートテックでも小汗かくし、200倍とかただただ暑そう」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「次はですね……。これたぶん、元々100円のものだったと思うんですよ。30円分無くなってて……

 

f:id:INO:20170108111604j:plain

 

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「元々は長方形で100円だったのに、30円分無くなってこれなのか。ユザワヤみたいに切り売りしてるんですね。10円単位とかで」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「切り売りしてもギリギリなんとか使えてますけど、半分以上売っちゃうと『だすな』だけになっちゃうのが悩みのタネです」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「まぁでも、右上に『PRICE DOWN』って書いてありますからね。30円分PRICE DOWNしたんでしょうね」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「ホントだ……!気づかなかった! じゃあそれで!」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「最後は、『いろいろあったけど、結局は70円だよな』ってやつです」

 

f:id:INO:20170108112934j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「結局どれだけ宝くじを買ったとしても、当たったりハズレたりして、手元に残るのは70円だよね……という……」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「それ20年選手のベテランが言うやつっぽい。でもプラスにできてるだけすごいですよね。期待値から言うとプラスにはならないですよ」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「ちゃんと計算したらとんでもなく損してるから、なんとなく70円って言ってる感じなんでしょうねぇ」

 

 

□2番手:ぜつの発表

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「最初はそこそこの価値だったんですけど、余計なことをして70円になったのがこれです」

 

f:id:INO:20170108111206j:plain

 

f:id:eaidem:20170117185748p:plainスシ……

f:id:eaidem:20170117185745p:plainスシ……

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「寿司屋限定なんで70円です」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「そういえば兼平さん、よくパイロンを凶器に使ってますよね」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「あー使いますね、路上プロレスで。ちょうどいいですよね」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「じゃぁ今度ぜひ! これ写真には無いんですけど、実際はこれと同じものが2個ありましたから、両手にスシを構えられますね」

 

※ちなみに、兼平選手は普段はこんな感じでパイロンを使用しているそうです。

f:id:yasunori:20170118005306j:plain

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「じゃ次ですね。やっぱり寒い季節は鍋かなと思うんですよ。スーパーに白菜が並んでますけど、さすがに70円じゃ買えない。そこで……」

 

f:id:INO:20170108112516j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain枯れた白菜です」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「リアルに70円くらいのものじゃないですか。無人販売所とかで売ってそう」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「味は変わらないのに店頭に並ばないタイプだ。TOKIOが喜んで持っていくやつ」

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「最後のこれは、すごく一生懸命作ったやつだと思うんですよ。でもまぁ、せいぜい70円……」

 

f:id:INO:20170108113212j:plain

 

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「なんですかこれ……?」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain植木鉢で作った人形ですね」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「ホントだ、小さな植木鉢がびっしり。ハンドメイドだからminneとかで売れるかな……。それにしてもだいぶ年月経ってますね、これ」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「若干のラピュタ感がありませんか。あんなに大きかったのに、いまこんなサイズに……」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「これ巨神兵だったんですか!?」

 

 

□3番手:兼平大介の発表

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「70円の価値のものですよね……」

 

f:id:INO:20170108131847j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「えー、毛皮です

 

f:id:INO:20170108111139j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plainこれを剥いで……

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「生々しい!」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「悪いなぁ~。悪いうえに70円だもの。通常の毛皮の流通ルートじゃつかない値段ですよ」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「柿生から猫が消えたら真っ先に兼平さんが疑われますよ。所持金が70の倍数だったら完全にクロ」

 

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「あと、サイがいたんですけど……」

 

f:id:INO:20170108111029j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「このサイの角を取って売ると、70円です」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「やたら取ったり剥いだりしちゃうな、この人。さすが発想がレスラー」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「今のところ、持ってくるものは全部可愛いんですよ。筋斗雲と猫とサイ。でも剥いじゃう」

 

 

f:id:eaidem:20170117183206p:plain

□1番手:井上マサキの発表

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「このお題難しかったんですよね……。まぁベタなところから」

 

f:id:INO:20170108113240j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plainつかんで投げてつかんで投げてだと思うんですよ」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「兼平さん、凶器の専門家として、このなかで実際投げられたら痛いのなんですか?」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「バスケットボールですかねぇ。色はベーシックな茶色が良いと思います。お客さんにわかりやすいっての大事なんで」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「ためになるな〜。一生使わない知識だろうけど」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「次のはね、結構大掛かりなものですよ」

 

f:id:INO:20170108112000j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「上流の流れが緩くて、途中でガーッって急流になって、また流れが緩くなるエリアがあったので、懲らしめたい子供がいたら上流から船で流してください

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「『川から流すぞ!』と連れてこられて、なんだ大丈夫じゃんと思ったら……」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「ガーッと!なりますから」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「真ん中の平らなところでお父さんが腕組みして立ってるんでしょうね。最後流れが緩くなったところでお父さんが『……な?』って言う。」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「この緩急はディズニーランドとかの手法ですかね。スプラッシュマウンテンの落ちるところと同じ原理でしょ」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「あー、急な流れのところで勝手に写真が撮られてて、出口で1500円とかで売ってたりするやつ」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「次に子供が悪いことしたら『お前こんな顔してごめんなさいしてたじゃん』って写真を見せつけよう」

 

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「あ、ちょうどお金の話が出たので、最後はそういう凶器を紹介しますね」

 

f:id:INO:20170108111821j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「見てください、この目つきの悪さ! 僅かな年金をも搾り取っちゃう」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「あれっ、JAのリス、こんなでしたっけ!?」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「チャイルド・プレイのチャッキーでしょ。『退職金!キキキ……!』とか言いそう」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「そんでグレムリンみたいに水を浴びたらたくさん増えたりして」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「実はブラインドの向こうに何匹もいるんじゃないですか。JAの職員が血を流して倒れていて……」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「怖い怖い! JA怖い!」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「全部おじさんたちの妄想なので大丈夫です」

 

 

□2番手:ぜつの発表

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「今日の曇り空とリンクさせようと思って選びました」

 

f:id:INO:20170108112550j:plain

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「殴ったら痛いんだけど、雨のなか戦っているとずぶ濡れになるので、最後は一緒に傘をさして帰ります」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「兼平さん、実際、傘で殴られると痛いんですか?」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「痛いですね。何度か殴られたことあります

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「でも最後にそっと傘をさされたりしたら……」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「優しいですね」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「あとこれ折り畳み傘だから、伸ばした状態で突き刺せばシャコン!って縮みますよね。おもちゃの飛び出すナイフみたいな感じに。そういう意味でもこれは優しい」

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「次のやつはね、こいつの足を片手で持った状態で、ふわっと殴れば……」

 

f:id:INO:20170108112247j:plain

 

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「これは……?」

f:id:eaidem:20170117183050p:plainフクロウです。足は爪があるからぶつかっちゃうと痛いんで、足はちゃんと持って叩くと」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「足握ってフクロウ振り回している人は全然優しくないんじゃないですか。あとこのフクロウの目の笑ってなさもすごい。『ねないこだれだ』の目ですよね」

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「最後は運任せの凶器です」

 

f:id:INO:20170108112024j:plain

 

 

f:id:eaidem:20170117183050p:plain『やれっ!』バサバサバサ!って感じで」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「鷹匠みたいなこと!? この鳥は訓練されてるんですか?」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「されてないです。野生のムクドリなんで懐かないです」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「あれ、ムクドリって群生してませんでしたっけ? 仲間を呼んで一斉についばんだら『わ~!』ってなりますよ」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain「ヒッチコックだ。攻撃力高いじゃないですか」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「ただ、自分が思ってる相手を攻撃してくれるかどうかは運次第です」

 

 

□3番手:兼平大介の発表

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「いよいよ凶器の専門家ですよ!」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「これはね、この顔を見た瞬間に、凶器としか思えなくなりました。」

 

f:id:INO:20170108110723j:plain

※議員のポスターです

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plainこの、悪そうな顔……

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「めちゃくちゃいい人ですよ!地元のお祭りに来て、いっつもフランクフルト食べてますし」

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「敵に回すと怖いなって」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「まぁ敵に回したらそうでしょうね。プロレス防止条例とか議会に出されますよ」

 

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「2枚で終わりなんですけど、この人から蹴られたらもう……」

 

f:id:INO:20170108110849j:plain

※サッカー選手のポスターです

 

f:id:eaidem:20170117183054p:plain「顔は優しいですけど、キック力はすごいと思うんですよ」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「だから戦っちゃだめだってば!」

f:id:eaidem:20170117183057p:plain動物も人間も全部対戦相手として見てますよね!?

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「あの、ちょっといいですか。兼平さんの写真、記事で使えなくて困る

 

 

 

~~MVPを決めよう~~

 

f:id:INO:20170108134401j:plain

 

最後にひと波乱ありましたが、全ての回答が出揃ったので、審査員の方々にMVPを決めていただきます!

 

その結果、栄えある「散歩王in 柿生」に選ばれたのは……

 

f:id:INO:20170108134612j:plain

 

f:id:eaidem:20170117185745p:plain70円の『とびだすな」です!

 

f:id:INO:20170108111604j:plain

 

お題「実際70円くらいのもの」から、井上マサキの「とびだすな」がMVPになりました!やった!ありがとうございます!MVPに選んだ決め手はなんでしょう?

 

f:id:eaidem:20170117185748p:plainPRICE DOWNですね」

f:id:eaidem:20170117185745p:plain「減っていったというストーリー性がよかったです」

f:id:eaidem:20170117185748p:plain「なんでこの部分だけ真っ直ぐ切れてるんだろう?っていうのも不思議でした」

f:id:eaidem:20170117183050p:plain「長方形のものがゴッ!って当たったんじゃないですか?」

f:id:eaidem:20170117183107p:plain「なんだその長方形のものって」

 

f:id:INO:20170108112134j:plain

 

優勝賞品は柿生の交差点に落ちていた枕です!なぜここに!

 

以上、散歩王決定戦 in 柿生でした!

 

▼散歩おじさんたちの記事をもっと読みたい方はこちら

 

書いた人:井上マサキ

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ライター。好きな路線図はロンドンとプラハ地下鉄。子供のころ「脱サラ」はサラ金から逃げ切ることだと思っていました。 Twitter:@inomsk  個人サイト:イノミス 

占い師って資格は必要? 収入は?当たると評判の有名な先生に聞いてみた!

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こんにちは。長島と申します。

みなさん、昨年はどんな年でしたでしょうか? 今年はどういう年にしたいでしょうか?
新年も明けましたことですし、今年の運勢が気になることかと思います。

ところで、ぼくは、今何をしているかというと、

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「四柱推命」という古代中国で生まれた占いでジモコロ副編集長のギャラクシーさんを占っています。

 

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ギャラクシーさんの今年の運勢はなかなか良いですね。社内、社外からの信頼も高まり、仕事の依頼が多くなって無理をすることが多いかもしれませんが、その分、評価も高まりそうです。恋愛運も良いですね!


そもそもの星回り的に「天徳合」といって祖先の徳を受け取る幸運星を持ってます。災難から守られたり、成功に導かれる一方で、奉仕の精神を忘れると吉作用は半減しますので、丁寧に対応しましょう。また、五行でみると「金」が全くないのでそれを補う行動をした方がいいですね!

 

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 失礼しました。すっかり占い師気取りの発言をしてしまいましたが、この度、私、占い師になりました。

 

大事なことなので、もう一度言います!! 

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この度、占い師になりました!!!

 

ということで、今回は「占い師になるには」をテーマに、めちゃくちゃ当たる有名な占いの先生に学ばせていただき、さらに、占い師のお仕事についてを話を聞いてきました。

 

そもそも、なんでぼくが「占い師になりたい」と思ったかというと、「人生、先が見えてれば楽勝じゃん」と思ったからです!!

 

ちなみに、占い市場は5,000億〜1兆円とも言われており「コンサルティング会社の競合は占い師」と言ったりする方もいるくらいで、プライベートのみならず、ビジネスシーンでも占いのニーズはかなり高いのでは、と思ってます。

 

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というわけで、新潟にある開運占いルーム「やすらぎ」にやってきました。テレビやラジオ、雑誌にも多数紹介されている他、【新潟 占い】で検索すると一番トップに出てくるくらい、ネットでも評判が高いです。

 

ちなみに、ぼくも実際占ってもらったのですが、この日から運気が上がるとか下がるとかを、時期ではなく日付ベースでズバズバ当てられてしまい、一瞬で虜になってしまいました。

 

お聞きしたのはこちらの先生! 

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占いルーム「やすらぎ」代表・福生万里子(ふくしょう まりこ)先生

四柱推命・九星気学・方位・易学・タロット・姓名判断などを駆使し、月間200名以上の方を鑑定している超人気占い師。猫を7匹飼っている。めちゃくちゃ猫好き。

 

 占い師ってどうやったらなれるの?資格は?

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「今日は占い師のすべてを知りたいと思ってやってきました。初歩的な質問もするかもしれませんが、よろしくお願いします!」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「よろしくお願いします。なんでも聞いてください!」

 

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f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「早速なのですが、占い師になるにはどうすればいいんですか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「まず、占い師というものには免許がありません。ここ新潟市には占いを教える専門学校もないので、占い師がやっている占い教室で学んだりすれば占い師になれます」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「免許がいらない!? ぼく、オーラとかも全く見えないんですが、それでも占い師になれますか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「インスピレーションは大切ですが、ここで教える四柱推命は、生まれた「年」「月」「日」「時間」を4つの柱として、統計学に近い理論で鑑定するので霊感は一切必要ありませんよ」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「ということは、ぼくはもう占い師ってこと!!?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「いえ、人の悩み、人の人生を受ける仕事なので、免許がいらないとはいえ、安易にはなるべきではありません。お金が稼げるとか、自由業とかのイメージもありますが、正義感がない人はやるべき仕事ではありません」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「ですよね...」

 

なお、開運占いルーム「やすらぎ」では、占い教室は、1回50分の授業を大体20〜30回の講習を受けることで独立できるレベルまで教えてくれるとのこと。

 

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 ※「占い師養成コース」料金一覧

 

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「ぼくが占い師になれたとして、売れるためにはどうすればいいですか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「口コミでの評判が一番だと思います。多くのお客さんを鑑定して、信頼関係を築いていけば、自然と口コミで話題になると思います。もちろん、鑑定の技術があるということは絶対条件です」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「その原理は他のサービスと一緒ですね。逆に、信頼関係築くためにやっていることはありますか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain怪しいイメージは好まれないと考えておりますので、例えば、服装に関しては、いわゆる一般の方と変わらないものを着るように心掛けています」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「確かに、占い師ってみんな同じ雰囲気の服装をしそうです。怪しい人には心を許しにくいですもんね! あとは何かありますか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「モノを売りつけないことです!!」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「明快ですね!怪しい占い師はみんな高額な数珠を売っているイメージがすごくあります!」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「ただ、お客様からどうしても欲しい、と頼まれたときに限ってパワーストーンなどご案内します。そういう勉強もしているので。ただし、自分からはオススメすることはないですね」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「逆にお客さんとして「占いの館」的なところへ行くときにも、参考になりそうですね。高額の数珠を売りつけてくる人には注意します!」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「『このままだと不幸になる』といって、売りつける人もいらっしゃるようです。ただ、世の中は陰と陽でできているので、良い人もいれば悪い人もいます。悪いことをすると絶対自分に返ってくるでしょう」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「悪いことすると、返ってくる。昨今の芸能界、そしてWEBメディアでも同じことが言えるかもしれません」

 

 

ぶっちゃけ儲かるの?月の収入はいくら?

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f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「イヤらしい話、占い師って、ぶっちゃけ儲かるものなんですか?

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「人の悩みは尽きないので、需要はかなりあります。私は20分3,000円でやってたりするので、月に数十万という感じでしょうか。モノを売りつけたりしないのが前提ですが、めちゃくちゃ頑張れば月に100万とか行くのではないでしょうか

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「20分3,000円って安くないですか? 占い師によっては1回に数万円取る人もいるじゃないですか。その差って何なんですかね」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain 「これでも新潟という場所を考えると安くはないと思ってますが、私の場合、少しでも安くして、その分、何かあったら気軽に来ていただけるようにしたいと思ってます。こういっちゃなんですが、1回で数万円取る占い師との差はそこまでないと思ってます」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「信頼で成り立ってるお仕事だけに、金額にもケアなされてるんですね。確かに、金儲けに走ったら信頼落ちそう。ところで、占い師になるとどんな仕事があるんですか?

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「私の場合、自分のお店にきていただくお客さまを鑑定する他に、イベントに呼ばれての鑑定、占い教室、テレビやラジオ出演、あとインターネットの占いサービスの撮影や監修などですかね」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「先生をテレビでお見かけしたことあります! 県外の仕事もあったりするんですか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「最近は非常に多いですね。占い教室では関東の生徒さんもいたりして、名前は言えませんが、タレントさんでも占いスキルを身に着けたいという方がいらっしゃったりします」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「かなり手広くやってらっしゃるようですが、占いの世界でタブーってあるんですか? 例えば、ぼくが占い師になったら、同業(占い師)の人がきたらヤダなぁと思うんですよ」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「同業者でもいっぱい来ますよ!ただ、そんなことは意識しないで、いらっしゃっていただいた限りはしっかり鑑定します」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「福生先生がお客さんで来たら、逆に見透かされそうな気がして絶対ヤダな...」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「タブーというほどでもないかもしれませんが、死ぬ時期とかは言わないですね。四柱推命ではそういう時期も大まかにはわかったりするのですが、それが何ヶ月後とかは絶対言わないです」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「確かに、それを言い出すとその占い師にすがりたくなっちゃいますもんね。死にたくないから助けてくれ!って」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「あとは賭けごとです。いつ博打をしたら良いとかは言いません。『悪銭身につかず』ではないですが、そういうことで稼いだ人は必ず負のことが起きると思います」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「例えば、タロット占いとかで、結果に満足できないからもう一回やってください、みたいなのってアリなんですか?おみくじで大吉が出るまでやるみたいな」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「それはやらないですね」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「でも、なんで2回やったらダメとかってあるんでしょうか」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「考え方としては、1回目で“気”が入り込んでるから、という感じです。確率論的には何回もやれば良い結果は出てくるかもしれないのですが、経験上、やはり一番最初にやった結果が当たってます」

 

 

有名なのに、なぜ新潟? そこには意外な理由が……

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福生先生の鑑定ルームの目の前にある白山神社

 

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「この記事が掲載される『ジモコロ』というメディアは、地元と仕事がテーマになってるのですが、なんでここで占い師をやろうと思ったのですか?

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「吉方位で選びました」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「すごい!吉方位が『ジモト』って、占い師らしいですね!」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「元々生まれも新潟なのですが、当時は栃木に住んでいて、家族のことも考えて吉方位が新潟方面って出たんです。あとは、このお店の目の前にある白山神社には、昔から縁があったのでこちらに店を構えてます」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「結果はどうでしたか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「おかげさまで順調です。家族も元気ですね!」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「吉方位、すげえ!!!」

 

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f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「占い師として辛いことってどういうとこでしょうか」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「今はもう気にならないのですが、昔は、偏見があることでしたね。良い占い師もいれば、悪徳的な占い師もいますし、国家試験があるわけでもないので、普通に認められにくい業種かもしれません」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「一般認知が広がってるようにも見えるんですけどね」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「今は占いの数が増えていますし、まさに世間的にもだいぶ浸透していってるので、昔ほど偏見がないように感じますね!」

 

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「占い師をやってて良かったなぁと思うとこってどんな部分ですか?」

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「人生疲れ切った感じでいらっしゃったのに、帰る頃には爽快な顔で気分良くなられてる姿を見ると良かったなと思います。お客様に喜んでいただくことが何よりですね!」

f:id:nagashima108:20170119012352p:plain「精神面で人の助けになるって、マジで素晴らしいですね。今日はいろいろとぶっちゃけていただいて、本当にありがとうございました! めちゃくちゃ色々なことが腑に落ちました!」

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

占い師のお仕事は、イメージ的にブラックボックス化してるような気がして、イマイチよくわからなかったのですが、いろいろぶっちゃけていただいたお陰でかなり理解できました! 

 

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そして、ぼくは、こちらの占い教室の「養成コース」で『四柱推命』『タロット』『易』を学び、無事修了しました。

 

f:id:nagashima108:20170119012408p:plain「長島さんは占い師としてやっていける星も持ってて、筋も良いです。とはいえ、まだまだ勉強が必要です。今のスキルだと、占っていいのは周りの友達くらいですね!」

 

ちなみに、福生先生はこれだけのキャリアがありながら、いまだに毎日勉強をしているそうです。何事もたゆまぬ努力が必要なんですね。

 

では、最後に、ジモコロが今度どうなっていくかを、タロットカードの一枚抜きで占って、お別れにしたいと思います。

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The Moon(月)のカードが逆位置で出ました。苦しみからの開放、徐々に好転していくでしょう!

 

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やったね!!!

 

ということで、これからもジモコロをよろしくお願いします。

※占い結果はあくまで判断材料のひとつとして捉えてください

 

 

取材協力

開運ルーム「やすらぎ」

住所:新潟県新潟市中央区一番堀通町685

代表TEL:025-211-2778

営業時間:11:00〜17:00

完全予約制。メールでのご予約はこちら→fukumari4523@yahoo.co.jp 

 

ライター:長島

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新潟出身。通称「イケてるしヤバい男」。それ以上でも以下でもない。公式サイト: イケてるしヤバい男長島、ブログ:Original Hage P、Twitter:@genmaii  

 

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世界で愛されるキャラクター「くまモン」の知られざる真実

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「熊本には三つの宝がある。熊本城、阿蘇、そしてくまモンだ

そう語るのは熊本県知事・蒲島郁夫さんです。

ゆるキャラブームを超えて、日本のみならず世界で愛されるキャラクターとなった「くまモン」。くまモンの誕生から現在までのストーリーを聞いていると、熊本、東京、大阪、そして世界でまったく異なる受け止められ方をしていることに気づかされます。

そして2016年4月14日に発生した熊本地震。震災を契機に、あらためてくまモンの存在は、県民にとっていなくてはならないものになりました。

今回、熊本県庁 くまもとブランド推進課の主幹である四方田亨二さんにたっぷりとお話をうかがいました。あなたが知らないくまモンの姿がきっとみえてくるはずです。

 

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公式サイトでは壁紙や素材など、ファン向けに無料配布されている

 

くまモン誕生の経緯「熊本生まれ、ほぼ大阪育ち」

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今回お話をうかがった四方田(よもだ)亨二さん(商工観光労働部 観光経済交流局 くまもとブランド推進課 主幹 ブランド推進担当) 

 

ーくまモンの誕生経緯について改めて教えてください

2011年3月に九州新幹線が全線開通。それを前年に控えたタイミングで「くまモン」は、PRキャラクターとして2010年3月に誕生しました。

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「くまもとサプライズ!」というキャンペーンのアドバイザーを務めたのが小山薫堂さん、デザインを手がけたのがデザイナーの水野学さん。そもそも、キャンペーンのロゴマーク提案時にオマケとしてくっついてきたのがくまモンなんですよ(笑)。 

 

ーえ、オマケだったんですか?

はい。水野さんが「キャンペーンをやるなら一緒にキャラクターも必要なんじゃないか?」と、ご提案いただいたんです。ゆるキャラを作ればプロモーション活動の中で立体で動くだろうし、そこを配慮した動きやすいデザインになっていたんですね。とても気に入って、これも一緒にやろう!とくまモンが誕生しました。

 

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提案当時の資料にオマケで添えられたくまモン

 

くまモンといえば熊本のご当地キャラクターというイメージが広く浸透した今では意外かもしれませんが、くまモンが最初に認知され、その人気に火がついたきっかけの土地は大阪なのだとか。当初は熊本との関係さえ伏せた上で、くまモンは独立した謎のキャラクターとして活動していました。

 

ー熊本を伏せた上で活動していたのは全然知りませんでした

西日本では割と知られている話なんですけどね(笑)。「くまモン」は大阪にPRするためのキャラクターとして、徹底的に大阪に出張し、活動していました。大阪人にウケるためには、面白いことをしなくてはいけません。神出鬼没にあらゆるところにいきなり現れたり、1万人に名刺を配ってみたり、吉本新喜劇に出てみたり。

一方、SNSを活用した双方向での情報コミュニケーションにも力を入れていました。

 

ー現在ではフォロワー57万人を超える人気者ですもんね

くまモンの人気に火をつけたきっかけは、2010年10月頃。熊本県知事の蒲島郁夫が行った緊急記者会見でした。大阪で1万人に名刺を配るミッションの最中だった、くまモンがとつぜん失踪。

目撃したら、「#kumamon」というハッシュタグをつけてツイッターで報告することを呼びかけた「くまモンを捜せキャンペーン」を行ったのです。これがソーシャル上で話題を呼び、大阪で人気者となったくまモンは熊本、そして全国で知られるようになっていきました。

  

ーそれは大胆な仕掛けですね…。そのプロモーションは小山薫堂さんが考えたのでしょうか? 

1万人に名刺を配る企画などは小山薫堂さんが一人で主導したわけではなく、当時の職員が一丸となってアイデアを考えて実行しました。

 

ーなぜ、そこまで公務員がチャレンジできたのでしょうか?

蒲島知事はすごくチャレンジ精神の強い方で、よく「皿を割れ」と言います。たくさん皿を洗う人は、その分皿を多く割ってしまうかもしれない。でも皿を割ることを恐れて、洗わないのが一番良くないというんですね

「割ってもいいんだ。バンバンやれ」という蒲島知事の言葉のおかげで、職員にチャレンジ精神が浸透しているのでしょう。くまモンは、そのチャレンジ精神の象徴ともいえます。

 

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当時の名刺には「熊本生まれ、ほぼ大阪育ち」とある

 

ライセンス料フリーで広がったグッズ展開

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日本全国、そして世界でくまモンが知られる大きな要因になったのが、いわゆる「楽市楽座」方式の採用でしょう。「楽市楽座」方式とは、くまモンのイラスト利用に関わるライセンス料をフリーにし、許可を受ければ誰でもグッズを無料で作成できること。

2013年12月よりライセンス料をフリーにしてから、くまモン関連グッズは全国に爆発的な広がりを見せて、現在では年間の売上が1,000億円を超えています。

 

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現在、日本発のアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア便のJALの機内食は箱はすべてくまモン仕様になっている

 

ーくまモンのライセンス展開は海外にまで及んでいるんですよね?

はい。最近では「シュタイフ」「バカラ」「ルクルーゼ」といった海外の有名ブランドとのコラボレーションも積極的に行っています。一部のブランドでは熊本地震以降、チャリティー的な意味合いで商品コラボをご提案いただくこともあるんです。

プロダクトの販売を通じて、売上を寄付してもらう。とても理想的な関係で、どの商品も発売後に即日完売しました。

 

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ドイツの高級ぬいぐるみブランド「Steiff/シュタイフ」とコラボレーションして生まれたテディベア。1,500体限定でネット販売したところ15秒で完売。価格は一体29,400円。

 

ーくまモンという強いキャラクターのおかげで、チャリティーの架け橋的なアイコンにもなっているんですね。海外で高い人気を得ているのはなぜなんでしょうか?

2010年に誕生したくまモンが日本を飛び出し、海外でも知られるようになったのは2013年のこと。熊本県の上海事務所がオープンしたことをきっかけに、はじめてアジアへ渡りました。

さらにブランド価値を高めるために、まずはヨーロッパやアメリカで認知度を上げる必要があると考えて、『Japn Expo』などのイベントにも参加するようになりました。

アジアではほとんどプロモーションを行っていないにも関わらず、勝手に人気が出ていたのが面白い点です。どうやらアジア各国では、日本で流行っているものがクールであるという文化があるようなんですね。

香港や台湾にくわえ、タイでもかなり認知度が上がってきています。アジアは距離的にも近いということもありますが、インバウンドの観光客の方もかなり増えましたし、熊本までくまモンに会いに来てくださる方もとても多いです。

 

ー世界のくまモンであると同時に、日本といえばくまモンになってきてるんですね

台湾では歴史的にキティちゃんが確固たる地位を確立していますが、近年ではそれに並ぶくらいくまモンの認知度も高くなってきています。

先ほど楽市楽座方式により、許可さえ得ればライセンスはフリーだと説明しましたが、その分グッズ制作のレギュレーションは厳しくしています。ブランド価値を守ることはもちろん、くまモンの「やんちゃな男の子」というキャラクターを崩さないためにも基準を設けていかないといけません。

それは我々だけでなく、ファンの方々からも「こんな偽物のグッズがあるよ!」といったご連絡をいただくことがあります。みんなでくまモンを守ろうという意識があるのかもしれません。

 

ーいい話ですね。最近だと海外でも偽くまモンが話題になりましたが…

ああ(笑)。ああいった事例はホントに多いんです。都度連絡するようにはしていますが、なかなか難しいですね…。

 

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くまモン関連グッズの数々

 

黒歴史の真相!初期型くまモンについて公式見解は?

今回、『ジモコロ』でくまモン取材をすることになった理由の一つに初期のくまモンについて聞きたかったということがあります。今の姿とはまったく異なる痩身の出で立ちで、顔もどことなく愛らしさに欠けている…。

「これはもしかしたらくまモンの黒歴史なのではないか...?」編集長の柿次郎さんと探ってみることに!

 

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問題の初期型「くまモン」をイラストで再現。シルエットが全然違う…?

 

ー四方田さん、このくまモンについて正直に話してくれますか?

黒歴史というか...(笑)。最初はこういう姿だったのですが…熊本の美味しいものをたくさん食べて太ったというのが…公式見解です!

 

ー公式見解!

本当に初期の初期のモデルで、おそらくイベントにも1〜2回しか出ていないのではないでしょうか。だから県庁にも当時の写真は、一つも残っていないんですよ。 

 

ーこれだけSNSで情報発信しているのに…?

こう言うと黒歴史を認めるようで藪蛇ですが…本当にないんですよ。私も一度だけ生で見たことがありますが、正直ぜんぜん可愛くないと思いましたもん(笑)。重ねて言うようで申し訳ないのですが、公式見解としてはくまモンが努力をして太って、今の可愛いシルエットのくまモンに成長したんです!

 

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ちなみに「くまモン」のイントネーションの語尾を上げるのか、下げるのかに関して、「どちらでも好きなように」というのが公式見解でした

 

ー公式見解なので信じますが…。もう一点! くまモンは某人気キャラクターと同じように、全国で出没時間をコントロールしているのではないか…? なんて噂話についてお答えください

なんで尋問口調なんですか…。それはもちろん、くまモンは一人しかいないので当然同時に出没することはできません。ただ、瞬間移動はできます。

 

ーえ!?

国内に限らず、海外でも瞬間移動します。出動のご依頼がものすごく増えている分、スケジュールがタイトになるので、本当に瞬間移動だらけです。

ちなみに基本的に移動手段は車。乗り込むまではその姿を誰でも確認できます。しかし一度、乗車すると忽然と姿を消してしまうそうですね…。不思議ですね…。そこにどこでもドアがあるのか。なんらかの秘密があるんでしょうけどね…。

 

ーそれは不思議ですね…

 

熊本の復興を支える「しあわせ部長」としての役割

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昨年4月に起こった熊本地震。震災から3週間、くまモンは活動を完全に停止しました。くまモンに出てきてもらい元気づけてほしいという声がある一方、食べるものも水も十分にない避難所暮らしを余儀なくされ、将来に絶望している人も多い…。

とくに震源地の益城町や西原村では被害も大きく、笑顔が出るような状況ではなかったそうです。そうした人たちのことを第一に考えたとき、くまモンが出ていくべきか、くまモン自身も悩みながら、大きな葛藤があったと四方田さんは語ります。

 

震災から3週間後がちょうどこどもの日でした。このタイミングで活動を再開し、子供達に会いに行ったんですね。5月いっぱいまではしばらく避難所回りと、ボランティアに来てくださった方々の激励に徹しました。

 ツイッターも停止していたのですが、一ヶ月後くらいに再開したときは、2万リツイートされました。このときに、くまモンはやはり求められていたんだなと実感しましたね。

 

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ージモコロでは昨年の震災後、「熊本震災支援イベント」として熊本県阿蘇山近くの黒川温泉に100人が自腹で乗り込んで、情報発信を促進しました。東京での情報の風化の速度が早まり、実態が見えないままに関心が薄れていってしまうことに危機感を覚えたのが開催のきっかけでした。

おっしゃるとおりで、くまモンの大きな役割の一つが風化防止なんです。現在、くまモンは全国を回りながら感謝を伝えています。メディアを通してくまモンのこうした姿を目にすることで、「まだまだ大変なんだな」ということを理解していただける。

企業からも売上の何パーセントを熊本に寄付したいという話を今でもたくさんいただきます。きっとくまモンというキャラクターがいるからこそ共感を得やすいんでしょうね。ヤンチャでわんぱくな男の子のキャラだったのが、気づけば成長して尊く思えてしまいます(笑)。

 

「くまモンという存在がいたこそ共感が得られる」という言葉に裏打ちされるエピソードとして、記憶に新しいのがTwitterのハッシュタグ「#くまモン頑張れ絵」のムーブメントです。

 

 

これは漫画『はじめの一歩』で知られる作者・森川ジョージさんの呼びかけで、ちばてつやさん、原泰久さん、神尾葉子さんといった有名な漫画家さんが次々とくまモンの絵を描いてツイッターにアップしていきました。

 

 

ーTwitterがインフラとして機能しているからこその嬉しい動きですね

「熊本がんばれ」とはなかなか気恥ずかしくて言えなくても、「くまモン頑張れ」ならば言いやすいんでしょうね。「#くまモン頑張れ絵」のような取り組みをしてくださっている方が、またはそれを見てくださった方が熊本に想いを寄せてくださるので心強いですし、本当にありがたいです。

 

ー震災以降の活動について考えることも多かったでしょうね

年末年始から今年にかけて、今のところ一番記憶に新しいのは二年ぶり二回目の出演だという紅白歌合戦でしょうか。また今年から世界に向けて感謝を伝えるプロジェクトを始動させました。これまでご支援いただいた場所に、くまモン自らがお礼に行きたいなと。

また今後についてですが…。私たちとしてはまず、熊本の被災者の方のことを第一に考えています。そうした方に寄り添う精神的な安らぎをもたらす活動はもちろん、経済面での貢献もとても大事です。

そのためには海外も含めて、外へ出ていき、アピールすることが必要。くまモンにはもともと営業部長という肩書きがついていうのですが、「しあわせ部長」も兼務していて、震災以降はこちらの比重が大きくなってきました。

 

ー東京にいるとなかなか見えてきませんが、いまだ家に帰れず仮設住宅で暮らす人が多くいること、阿蘇山周辺の道が塞がれていて復旧に1年以上かかること、また風評被害に苦しむ旅館が多いことに驚きました 

復興のステージでいうとまだ最初の段階です。避難所生活は一応すべて解消し、仮設住宅ではあるのですが、一応プライバシーが守られる個別の家に住める状態にやっとなりました。

それでも、普通の生活に近い状態にやっとなったという段階でしかないんです。実際には、阿蘇の大きな橋は落ちたままですし、道も通れないようなところがたくさんあります。

観光客の皆さんにとっては行きにくいところがまだありますし、漠然とした恐怖やネガティブイメージがあるので、観光客は戻っていません。もちろん徐々には回復していますが、以前のレベルには全然追いついていないのが現状です。

ただ、道が悪くても行った先には、元気な観光地がたくさんありますし、そこに来てほしい。熊本城なんかも痛々しい状況ですが、逆にいうと今しか見れない熊本城の姿でもあるので、こうした姿をぜひ見ていただきたいですし、くまモンにも会いに来てほしいですね。

 

まとめ

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いかがでしたでしょうか? テレビで見かける熊本県の人気キャラクターとして、なんとなく存在は知っていたという人が大半だと思います。

熊本で生まれ、大阪で育ったくまモン。

失敗を厭わないチャレンジ精神旺盛な知事の下、職員一同で次々とユニークな施策を行ってきました。とりわけライセンス料をフリーにしたこと、ソーシャル上で積極的な発信を行ったことが大きな成功要因でしょう。

現在、その経済効果は1,000億円以上と試算され、海外における認知度も日に日に増しています。 震災以降、「くまモン」が改めて熊本にとってなくてはならない存在となっていることが明らかになりました。

「くまモンという存在がいたからこそ共感が得られる」と四方田さんが語ってくださったように、単なる「ゆるキャラ」ではなく、熊本県民、日本人にとって心の友のような存在になっているかもしれません。熊本の「しあわせ部長」から日本の「しあわせ部長」へ、今日もまたどこかの町でくまモンは人々に笑顔を届け続けています。

 

最後に熊本を応援する動画「#フレフレくまもと!三百六十五歩のマーチ 熊本バージョン」をご覧ください。頑張れ、熊本!

 

 

 

<広告主>
一般社団法人 九州観光推進機構

 

 

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書いた人:長谷川リョー

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編集者。『SENSORS』シニアエディター。リクルートホールディングスを経て、独立。修士(学際情報学)。将来の夢は馬主になることです。メール:ry.h0508アットgmail.com、Twitter ID:@ryh

ライフログを徹底したら頭がおかしくなった

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 「頭がおかしくなった」とか雑な表現ですみません。今から具体的に説明します。

ライフログというのは、「自分の人生の色々を、コンピュータで記録すること」くらいの意味です。私は一時期、この作業にハマッてたんですね。具体的には以下の二つをやってました。

1:自分の体験した「コンテンツ」をパソコンに記録していく
2:自分の「日々の行動」をパソコンに記録していく

「2000連休」(参考記事)のあいだに、この二つを試してたんです。そのときに起きたことを書いてみます。今回は「1:自分の体験したコンテンツを記録する」について。

 

そもそも、何故そんなことを始めたのか?

きっかけは単純です。Delicious Library 2 というMac用の蔵書管理ソフトを知ったんです。「ブクログ」や「読書メーター」のパソコン版というと分かりやすいかもしれません。amazon からデータを引っ張ってきて、読んだ本を登録できるソフトです。ちょうど読書量が増えてきた時期だったので、最初は備忘録がわりに使いはじめました。

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(参考:Delicious Library 2 の画面はこんな感じ)

んで、この時の私は無職だったんで、「暇」と「凝り性」の核融合とでも呼ぶべきことが起きました。最近読んだ本だけじゃなく、「生まれてから現在までに読んできた本をすべて登録したい」と思ったんですね。途中で読むのをやめた本なんかまで含めて、全部登録したくなった。なんせ時間があるんで、即座に実行しました。

するとこの作業が楽しくて、すぐに「音楽、映画、ゲームなども登録しよう」と考えました。要するに、

自分が過去に体験したコンテンツを、些細なものまで含めてすべて登録したい

という野望が生まれたわけです。Delicious Library はCDやDVDやゲームソフトなど、amazon にあるものなら何でも登録できたのもラッキーでした。記憶を頼りにひたすら登録していきました。

そのうち、登録できるものが減ってくると寂しくなりました。すでに「記憶のデータ化」に夢中になっているので、この作業を止めたくないわけです。そして思いつきました。「人も登録しよう」と。

 

「人間」も登録しはじめた

本や音楽を登録しているが、それよりも自分が人生で出会った人々こそが、何よりも濃密な「コンテンツ」ではないのか。それは、一冊の本や一枚のCDより、ずっと自分に影響を与えているのではないのか。そんなふうに考えたわけです。

この時点で、Delicious Library の普通の機能では対応できなくなりました。amazon に私の知り合いは登録されてないからです(当り前ですね)。仕方なく、空ファイルを作って勝手に登録していくことにしました。

本名がわかる場合はフルネーム、アダ名しか知らない人はアダ名、日雇いバイトで一度だけ会った相手なんかは「メガネのオッサン」とか「紫のパーカーの若者」みたいに。さらにジャンルの欄には、「高校のクラスメイト」や「喫茶店バイト同僚」などと入力していく。

まあ、「人をコンテンツ扱いするかね」と今は思いますが、当時は記憶のデータ化に完全にハマッていたので、登録できるものが増えたことをシンプルに喜んでました。自分だけで思い出すことに限界を感じて、実家から卒業アルバムを送ってもらったりもしました。まさに夢中です。

この作業は楽しかったんですが、凝り性ゆえのストレスも生まれました。ライブラリを作る以上は完璧なものにしたいんですが、知り合いの顔写真がないので、サムネイルが空白になるんですね。これにイライラしてました。

つまり、本ならば表紙、CDやDVDならばジャケットをサムネイル画像にできるのに、昔の知り合いの写真は amazon のデータでは引っ張ってこれないわけです。これでは美しくない。なので「自分の脳のなかにそれぞれの人間の顔面イメージがあるのに、それを出力できないことが悔しい」と思ってました。自分に緻密なイラストを描く能力があれば、全員分の顔を描いてデータベースに登録するのに!

これもまあ、なんだか「頭がおかしくなった」と言いたくなる状態ですが、置いときましょう。このことを指して「頭がおかしくなった」と言いたいわけではないです。

 

「土地」も登録した

もちろん「土地を登録しよう」という発想も生まれました。過去に住んでいた家、通っていた学校、職場、よく行った店、観光で訪れた場所などですね。これも amazon にはないので、空ファイルを作って登録していきました。サムネイルには、グーグルマップなどを駆使して見つけた画像を登録していきました(なのでイライラしませんでした)。

こうして、「人間」と「土地」もコンテンツにしたことで、一気に作業量は増えました。楽しいのでじゃんじゃん登録していく。ようやくその作業も一段落したころ、「実際の知り合いだけじゃなく、芸能人や歴史上の人物も登録したい」と思いつき、少しだけ登録してみた時点で、飽きました。「これ泥沼じゃねえか」と思ったんですね。

まあ、すでに沼に沈んでるんですが。

 

集めたデータをどうしたか?

生まれてから現在までに読んだ小説、マンガ、本、ウェブサイト、音楽、映画、ドラマ、テレビ番組、ゲームソフト、それに、出会った人々と住んでいた土地のデータが集まりました。

このデータを整理するために、自分の人生を時期ごとに分けました。誕生~幼稚園、小学校、中学、高校、大学……というふうに、人生を段階ごとに輪切りにしていく感じです。スマートプレイリストの機能を使って、各時期の「コンテンツ」を表示できるようにしました。たとえば、「中学校」のリストを見ると、中学生の頃に体験したすべてのコンテンツが一覧で表示されるというふうに。

さらに、各コンテンツを色々なジャンルで分けてみたり、レーティング機能を使って、自分への影響度を考えたりもしてました。

 

この記録行為でどうなったか?

この作業を終えた時、自分の記憶が「他人事」になりました。それを指して記事タイトルでは「頭がおかしくなった」と表現してみました。まあ、激しく狂うというよりは、静かに淡々とおかしくなるという感じな気がしますが。

「XXX年、聖徳太子はXXXをした」みたいな文と、自分の過去の違いが、いまいち分からなくなったんですね。「それは本当に自分に起きたことなのか?」という感じ。

やはり、私の作業が特殊だったのは、

・どうでもいいようなものまで、徹底的に思い出したこと
・それをデジタルデータとして、整然と並べたこと

この二つだと思います。自分の記憶を思い出す行為はわりとよくあって、たとえば「自伝を書く」なんてのもそうですね。「インタビュアーに半生を語る」なんてのもあります。こういう場合、むしろ「自分はこういう人間だ」という感覚は強化されると思うんです。

自分の過去のうち、無意識のうちに重要な出来事を選んで語る行為だからです。あるいはデータとして思い出す場合でも、「自分を形作った10冊の本」だとか「自分に多大な影響を与えた10枚のアルバム」みたいな形ならば、「自分はこういう人間だ」という感覚は強化されるかもしれません。

しかし私がやったのは、「コンテンツの評価は置いといて、とにかく思い出せるものはすべて思い出すこと」と、「それをパソコン上にデータとしてまとめること」だった。これが「記憶を他人事にする」という効果を生んだんじゃないでしょうか。

これで終わってもいいんですが、最後に記憶のデータ化と創造性の関連について。

 

オマケ:ライフログは「創造性」と関連するか?

たぶん、あんまり関係ないです。

結局、創造性については、その場でヒョイッと記憶から出てくることが重要で、そこは運動神経に似ている。手持ちのカードから選ぶように記憶は引き出せない。「このネタがある、あのネタもある」というふうに複数のネタをデータとして用意して、そこから随時選んでいくという発想はあると思うんですが、どうもこれは、いまいち面白いものにならないんですね。

創造性は「その場でヒョイ」です。もうすこし一般的な言葉で言えば「ひらめき」です。何かを作る場合は、「よくわからないゴチャゴチャした記憶の混沌」から、必要に応じて「適切なものが勝手に出てくる」という現象を信用するしかないんでしょうか。そこをデータ化して管理してもうまくいかない。「なんだかよく分からないが、こういうものが出てきた」と感じられるときに、良いものになってる気がします。

やはり、分析的な発想で作られたものは、分析的な思考であっさりと殺せてしまうんじゃないですかね。

 

結び

ということで、今回はライフログにハマッていた時のことを書いてみました。もうひとつ、冒頭に挙げたように「自分の日々の行動をパソコンに記録する」ということもしていたので、これもまた別の機会に書いてみようと思います。

 

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

レディー・ガガも注目!?奇天烈すぎるファッションの巣窟「キタコレビル」

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はじめに

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こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグのまきのです。

めちゃめちゃな髪型とニンニクみたいな鼻にて失礼いたします。

 

わたくし、ご覧の通り実験に失敗したような髪型(天然パーマ)のおかげで結構人から顔を覚えられたりしてもらえているんですが、最近はさらに見た目でインパクトを残そうと、割と変なTシャツやパーカーを好んで着ております。

 

 

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たとえば、これは一番好きなTシャツである、「ジョーズピザTシャツ」。ジョーズとピザに何の関連性も無いのにただ形が似てるからというだけで合わさった奇跡ともいえる一品。

  

 

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パーカーでいうと、この「勇者ねこパーカー」も気に入っています。ねこが雷鳴轟く崖で剣をかかげているという絵。これを通販サイトで見かけた瞬間、カートに入れて発送手続きをしたことは言うまでもありませんね。

 

こういう服を好んで着るうちに、わたしはこう思うようになりました…

 

  

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「もっと派手な服が着たい」と…。

 

 

 

 

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そんなわたくしのもとに、「ひときわ異彩を放つショップがある」という噂が舞い込んできました。それを聞きつけてやってきたのは杉並区は高円寺。駅の北口から徒歩数分のところにある「キタコレビル」には、数店舗の個性的なショップが軒を連ねています。

せっかくなので、このビルのオーナーにお話を聞きながら、かっこいい服を探そうと思います。

 

 

 

 

 

キタコレビル1F「はやとちり」のアイテムがすごい

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店内はこんな感じ。所狭しと見たこともない洋服が売られています。左のマネキンもなんかすごいことになってます。

 

 

 

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そしてこちらがキタコレビルの1F「はやとちり」のオーナーである後藤さん。ほんわかしたいい感じの方です。

 

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「こんにちは〜今日はわざわざお時間いただきありがとうございます」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「よろしくお願いします!」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「しかし見たこともないような服を多く取り扱ってますね」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そうなんですよ。既製品ではなく、元々ある服をリメイクしたり、デザイナーの方が作った服を直で仕入れたりしているので、ラインナップがこんな感じなんです」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「リメイク?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「たとえば…」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「このキャップは、上から僕がパーツを付け加えたんです」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おお〜かっけえ!なるほど、そういう意味でのリメイクなんですね。すごいな〜」

 

  

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「似合ってます?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「『かぶる』というより『のせる』って感じですね」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「あとはこれとか。ミリタリーコートの上にクマのぬいぐるみをめちゃめちゃ付けたやつで、広島で洋服を作っている子の作品です」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「すげー!あと、服にしてはめちゃめちゃ重い!」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「どうです!着るのも一苦労ですが、これは似合いますね!手のところがクマの手っぽくなっていてかわいいな〜」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「いい感じですね!ちなみにそちらは12万円となっています」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「給料3ヶ月分かい」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「あとこの『福』って書いてある帽子も自分で作ったんですが…去年末の『紅白歌合戦』でDJ KOOさんがかぶってくれました」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おお〜すごい!この『はやとちり』とDJ KOOさん、相性すごくいいですね〜。聞くところによると、レディー・ガガも一度こちらの商品を購入したとか…?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そうですそうです。数年前にその当時入っていた『GARTER』と『シークレットDog』というショップのアイテムを購入してくれたんです。あいにくご本人ではなく、スタイリストさんが来店したのですが、びっくりしましたね…」

 

 

 

 

 

オーナー後藤さんのルーツを探る

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ところで、こういった洋服やリメイク品などかなり個性的ですけど、ジャンル的にはどういう分類になるんですかね?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「それよく言われるんですけど、自分でもよく分からないんですよね…」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「確かに。なんとも形容のしがたいものがありますね…」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「他の店にないようなものを集めているスタンスでやってるんですが、バンドマンの友達によく言われるのは『出オチ感強い』です」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「確かにこのクマのコートとかで登場したら出オチっぽさはありますね…!昔からこういうテイストのものが好きだったんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「もともと学生時代から高円寺には来ていて、この辺りは古着屋が多いので通っているうちにこういう柄物が好きになっていきましたね」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ほうほう。学校はやはり服飾関係ですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「目黒のドレスメーカー学院というところでした。僕は洋服を作るのではなく、さっきみたいなリメイク品とか、小物を作って服屋に卸す科に所属していたんですけど、作っていくうちに『自分でお店をやったらNGも無く好きなものを作って置けるなあ』と気付いて8年前の23歳の時にここにお店を開きました」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「めちゃめちゃ思い切りましたね!そんなにタイミング良く物件あいたんですね」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「高円寺の古着屋があって、そこで一年半ぐらい働いていたんですけど、そこの店長の紹介でした。この『はやとちり』を作る前は店長の友達がギャラリーを開いていて、それが終わるということになったので『物件あいたから店出せ』と」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おおお、人のつながりがあってのことだったんですね」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そうですね。本当にタイミングがよく、人と人とのつながりやご縁が重なってお店を出すことができました

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「初期投資などは大丈夫だったんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そこはもうその古着屋でむっちゃ働いて稼ぎました。それでも厳しかったので、当時の友達と二人で折半しましたね」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「なるほど。今はその人は、後藤さんが体内に取り込んだからいないんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そんな能力ないです(笑)。もともとスタイリストをやりたがっていた人だったので、今はそっちの仕事がしたいと言って抜けちゃったんです」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ホッ、円満に別れたみたいで安心しました」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ちなみに今これは何をしているんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「あ、これはピアスを作っています」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「将棋の駒で????」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「こんな感じで、一つずつ手作りしてるんです。これを他の店にも卸したりしてるんですよ」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おお、こうしてみるとしっくり来ますね。学校に通う前からこういう個性的なものが好きだったんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そうですね、振り返ってみると大元はズレずにこういうテイストが好きだったなと思います。細かい好みは変わってるかもしれませんが」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ブレない芯を持っているのは素敵です!ところでこういうテイストのお店って原宿っぽいイメージがありますけど、高円寺でも多いんですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「いや、そこまで多くないですね。でも少ないながらもおのおののショップのテイストが全然違うのが面白いんですよ。ここはポップな感じですが、このビルの2Fにある『サウスポー』はファンシーなレディースものを置いてますし、昔あった奥のショップではもっとバッキバキな服を置いてたり。全然テイストは違うけど、リメイク品を扱っているっていう共通点でつながっているのかなと」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「キタコレビルはこの他にもショップとアトリエがあるんですよね」

 

 

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↑こちらが2Fのショップ「サウスポー」。

 

 

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↑そしてこちらがアトリエ。現在はGARTER&チンポム(現代アート集団)のスペースになっているそうです。

 

 

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ちなみにこの『キタコレ』ってのはやっぱり2ちゃん語からですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「それ後から知ったんですけど、実は違うんですよ。最初にここに集まった三人のメンバーで団体名作ろうという話になりまして。で、古着屋は南口に集中してたので、北口の『キタ』と、ブランドなので『コレクション』でいいかってことでキタコレになりました」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「なるほど、キタのコレクション!シンプルで覚えやすいですね」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「2ちゃん用語だと『テンション上がった時に言う言葉』なんで、あ、それはそれで良いなと」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「あと、『はやとちり』という名前の由来は?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「最初に2人で始めた時に英語表記の店より日本語、さらに5文字がいいなという話になって。で色々出していった中で『ひとみしり』か『はやとちり』の2つにしぼって当時の相方(現スタイリストで活動中)が『俺ひとみしりじゃないから』って言ったので、『はやとちり』に決まりました」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「なるほど〜。なんかその時の様子がありありと浮かんでくるほんわかした話ですね…。そんな『はやとちり』というお店を高円寺に構えていてどうですか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「もともと好きで通っていたんですが、ショップを始めてからさらにこの街が好きになりましたね。面白い個人店とかも多いし、お客さんも老若男女問わず足を運んできてくれたり。高円寺特有の暖かさは感じることができますね。住みたい街ランキングには入ってないんですけど、住むにはとても良いと思いますよ」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「 おおお良いですねえ」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「ちなみにお年寄りの方もけっこう多いんですが、その中でもうちによく来て、買うでもなく『これいくら?』ってしょっちゅう聞いてくるおばあさんがいるんですよ。その人のことを『これいくらおばちゃん』って呼んで…」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain商品化しちゃいました

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「なんで!?」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「Instagramでこのおばちゃんの動画をUPしたら思いのほかウケたので、せっかくなんで缶バッチにしちゃいました。300円です」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「名物キャラって感じでいいですね。よく見たら愛嬌もあるし。よく許可もらえましたね」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「いや、無許可です」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「無許可かいっっっっっ!!!」

 

 

 

 

 

コーディネート対決をしてみよう

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さて、お話が弾んだところで、せっかくなので「はやとちり」内にあるアイテムを使って、後藤さんとわたくしでコーディネート対決をしてみようとなりました。モデルとなるのは、この世界線で最も地味でしょうもないボロ布に身を包んだ変なおじさん、ギャラクシーと名乗る男です。写真の明るさも調整したんですが、何故かこれ以上明るくなりませんでした。

 

 

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「ではまずは僕からで。けっこうお顔に個性があるので、それに負けないような組み合わせにしたいと思います」

 

 

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「どうでしょうか。同じデザイナーの人でまとめてみました」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おお、何か良いですね!!柄+柄で一見散らかりそうですが、うまいことまとまっていると思います。普通に街歩いてても違和感ないですね」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「この帽子も絵がかわいいんですよね」

 

  

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「上のジャケットは後ろがクチになっていて、舌がべろんと垂れ下がっています。さらに肩から袖にかけてのオレンジの部分はバスマットをそのまま付けているので、肌触りが抜群です

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「ここにバスマットをつけるセンス、なかなか尖ってますね…!」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「パンツも様々な柄をうまく組み合わせてこの世に二つとない良さがあります。こんな感じでどうでしょうか?」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「いい感じですね!かなり見違えたかと思います。わたくしも負けてられません!俺の魂のコーディネートはこれだ!」

 

 

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plainテーマは『命の素晴らしさ』です」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「これは『静脈』をイメージしたポンチョとのこと。形が不規則なので、どこに頭を通しても、どこを袖と認識して腕を通しても良いという非常に前衛的な装束となっています」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「オススメはこの角度。しっかりと二の腕に絡みつくその姿はまさに躍動する生命の象徴です」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「キャップは躍動する生命を象徴した穏やかなピンク色で、真ん中には『健康』という刺繍が施されています。まさに生命賛歌が服を着て歩いている、と言ってもいいのではないでしょうか」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「素晴らしいですね…この静脈の服を裸で着せる発想は無かったので、お見事としか言いようがありません」

 

 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「さて、どちらが気に入ったかをこのギャラクシーに評価してもらいたいんですが、あいにく彼は現在我々のされるがままに服を着させられるだけの存在なんで、心が空っぽでクチがきけない状態なんですよ。とは言え後藤さんのコーディネートも統一感が素晴らしくまとまっていたので、今回は、『引き分け』とさせていただければ!」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「なるほどありがとうございます!いい勝負が出来てとても嬉しかったです」

 

 

 

 

 

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対戦後、ギャラクシーはそそくさと店内に帰っていきました。

 

 

 

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こんな切なくて小さい背中ある?

 

 

 

 

 

おわりに 

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f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「今後の展開は何か考えていますか?」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「お店はこのまま現状維持でのんびりやっていきながら、今後は外国にもうちょっと展開していきたいですね。台湾などのアジア圏などが日本のファッションを好きでいてくれてるので、その人々に刺さるようなアイテムを作っていけたらなと思います」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「おお、いいですね〜。DJ KOOさんといい、レディー・ガガといい、そういう尖ったセンスをしている人に刺さっているので、今後も広がっていく可能性はありまくると思います!」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「ですね。それこそ そのお二方みたいな「アイコンとなるような方」に注目していただけるのは素直に嬉しいですし、やっててよかったなとも思いますね。英語が全然出来ないんでそこが難点ですが…」

f:id:chicchi0411:20170113174448p:plain「海外に広げていくなら身につけないといけませんね…!」

f:id:chicchi0411:20170113174507p:plain「そうなんですよね…。海外展開を見越してまずは英語の勉強をします!」

 

 

 

ということで、インタビューはこれまで!インパクトのあるアイテムが欲しい、世界で一つしかない個性的なグッズが欲しい方は、キタコレビルの「はやとちり」に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

それではさようなら。

 

 

 

 

 

【ショップ情報】

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・キタコレビルはやとちり
・営業時間:平日15時〜21時 / 土日祝13時~21時 木曜定休
・住所:高円寺北3-4-11
・TEL 03 5327 5330
・twitter:@hayatochiri5toy
・Instagram:https://www.instagram.com/hayatochirikitakore/

 

 

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・静脈ジャケット:レンタル限定30,000円

【画像で解説】錯視が起きる脳のメカニズム! 専門家に話を聞いてきた

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こんにちは。ライターの神田(こうだ)です。

突然ですが、みなさんは自分の見るものが正しく見えている自信はありますか? まずはこちらの画像を見てください。

 

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これ、立体的なケーキが動いているように見えますが、

 

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実はこんなペラペラな紙なんです。

 

どうでしょう、ぼくは実体がわかっても、どうしても立体的なケーキに見えてしまいます。

中には「こんなもの余裕で見破れたよ!」という賢明な方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたのために視覚テストをご用意しました。

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こちらはミュラー・リヤー錯視という有名な錯視です。

どちらの棒が長いでしょうか?

 

簡単ですね。長さは両方とも同じです。

 

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次はこちら。これはエビングハウス錯視と名づけられています。

真ん中の円はどちらが大きいでしょう。

 

正解は左です。見たままですね。

「左の方が大きく見えるけど、右のほうが実は大きいかも、いや待てよ…」と疑心暗鬼に陥ってほしくて、僕が自作しました。すいません。

 

このように私たちのものの見方はとてもあいまいです。なぜ実際のものと見え方が異なるのか。日本女子大学の教授で、知覚心理学の専門家・竹内 龍人さんにお話を伺いました。

 

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 竹内 龍人教授

京都大学文学部心理学専攻卒業後、東京大学大学院へ。現在は日本女子大学人間社会学部心理学科教授。専門は知覚心理学。視覚的研究に造詣が深い。コーヒーは苦い方が好き。

 

ケーキはなぜ動く?

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「はじめまして、錯視がわけわかんないのでお話を聞きたくお邪魔しました」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「いえいえ、よろしくお願いします」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「先生の著書を読んで、そこに載っていた『動くケーキ』が不思議すぎるんですが、どうして立体的に見えるんでしょうか」

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「脳は立体に関する情報があいまいなとき、『現実世界で起こりうる可能性が高い』解釈をします。現実世界でへこんでいるケーキを見ることはまずないため、へこんでいる部分が出っ張って見えちゃうんです」

 

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(型紙引用:『だまし絵でわかる脳のしくみ』竹内龍人著 誠文堂新光社)

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「なるほど… では肝心の『動く』とは?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「このケーキはへこんでいるので、顔を右から左に動かすとケーキの右側が見えますよね。しかしちゃんと出っ張っている本物のケーキであれば、当然ケーキの左側が見えるはずなんです」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「要するにあり得ない見え方をしてしまうわけですよね。なんだか矛盾している…」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「そうです。こうした矛盾した状況のとき、脳は『真ん中がへこんだケーキはあり得ないのでケーキも一緒に動いているはず、だからケーキの左側が見えるのだ』と解釈します。脳は状況に応じてあり得そうな解釈をするんです。これは「逆遠近錯視」と呼ばれている錯視ですね」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「脳って頭いい…」

 

 

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Coffer Illusion (Anthony Norcia)

 

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「こちらの画像も同じですね。木の板のように見えますが実は円がいくつも描かれています。四角の間の部分に注目するとわかりやすいかもしれません」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「どうみてもただの四角い板ですが…… あっ! 円が浮かび上がってきた!

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「見えましたか? 実はこれは縞の方向が異なる円が描かれているだけなんですね。脳は陰影がついたパターンをできるだけ立体的に解釈しようとするため、円が見えにくくなっていたんです」

 

 

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http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「ではこちらの画像はどうでしょうか?気持ち悪いくらいプルプル揺れるんですが……」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「これはオオウチさんというグラフィックデザイナーが作った錯視画像です。作者の名前を借りて『オオウチ錯視』と呼ばれています。なぜ動くのかという一つの可能性として人間の眼球運動が考えられますね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「眼球運動?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「人間の目を動かす筋肉は常にぴくぴく震えていて、たとえ目を動かさなくともたえず眼球を揺らしています。その揺れを脳が画面の動きとして認識してしまう」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「それなら、普段見ている光景も揺れてるはずでは?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「脳の中には手振れ補正機能のようなものがあって、いつもは目の揺れを勝手に補正してくれるんです。しかしオオウチ錯視のような無機質なパターンではその機能がうまく働かないということですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「脳って優秀なんですね!」

 

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 今回のタイトル画像も同じ原理。ジモコロが動いて見えません?

 

 

他にも気になった錯視をご紹介

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(原案:Pinna, B. & Brelstaff, G. J. (2000) A new visual illusion of relative motion. Vision Research, 40, 2091–2096.)

(引用:『だまし絵練習帖』 p106 竹内龍人著 誠文堂新光社)

 

ピンナ錯視という現象が起きている。この画像を顔から遠ざけたり近づけたりするとサークルが回転して見えるというもの。物体の動きを捉える神経細胞それぞれが見ている光景は実はとても狭いため、全体の動きは捉えきれず回転して見えてしまうというもの。

 

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(引用:『だまし絵練習帖』 p40 竹内龍人著 誠文堂新光社) 

 

こちらは「隠れた部分を推測する」という脳の特性を利用したもの。何が隠れているかわかりますか?

ちょっとわかりませんよね。では、ここにランダムなパターンを配置すると……?

 

 

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(引用:『だまし絵練習帖』 p41 竹内龍人著 誠文堂新光社 

 

「ABCD」というアルファベットが見えてきます。これは脳の神経細胞が、円形のパターンの背後に文字の一部分が隠れていると解釈し、とぎれた部分を無意識につなげているため。

 

 

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(引用:『脳が驚いて活性化! 毎日だまし絵で脳トレ』 p1 竹内龍人著 扶桑社)

 

中心へと伸びる線がグニャグニャ歪んでいるように見えますが、実はすべて直線。これはカフェウォール錯視というもので、傾きを判断する脳のメカニズムが、明るい色と暗い色によってかく乱されているためこのように見えます。

 

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(引用:『脳が驚いて活性化! 毎日だまし絵で脳トレ』 p21  竹内龍人著 扶桑社)

 

中心のランプを見ながらゆっくり顔を近づけると、白いぼやけたパターンが広がって明るくなったように見えます。ぼやけた部分の大きさが変わるのは、脳がその部分をモノとして認識していないため。脳は対象の大きさを正しくとらえようとするが、白い部分にはその機能が働いていません。

 

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(引用:『脳が驚いて活性化! 毎日だまし絵で脳トレ』 p31 竹内龍人著 扶桑社)

 

中心のろうそくの炎を見ていると、だんだんと周りが揺らめいてきます。これも先ほどの「オオウチ錯視」と同じく眼球運動によって引き起こされる現象。私たちの目は、じっと見つめているときでも実は細かく動いており、脳が目の動きを対象の動きと判断し、パターンが静止していても動いているように判断してしまうのです。

 

脳は見間違いをしやすい?

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f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain 「脳は意外と見間違いをしやすくて、たとえば色の錯視なんですが、白いものと黒いものだと、同じ大きさでも白のほうが大きく見えるという現象が起こります」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「服でも白いものの方が太って見えるって言いますよね」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「白と黒といえば、囲碁ってあるじゃないですか。実は正式な囲碁の碁石って白のほうがやや小さく作られているんです」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「碁石ってふたつとも同じ大きさだと思ってました!」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「江戸時代の棋士が使っていた碁石が現存しているんですが、やはり白のほうが小さく作られていたそうですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain昔の人は錯視を感覚でわかっていたんだ… すごい…」

 

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(引用:坂道錯視9 http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saka9.html

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「錯視として作ろうとしたものではなく、偶然不思議な見え方をしてしまうものってありませんか? 例えばこちらの画像、上の岩壁がソフトモヒカンの男性、下がチンパンジーの横顔に見えますよね」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「たしかに見えないことはないですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「こうして風景を誰かの横顔と見てしまうのもある意味では錯視と言えるんでしょうか?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「そうですね。それは錯視と言ってしまってもいいかもしれません。でも1番面白いのは、僕たちは色んなものに顔を見つけてしまう本能的な特性があるということなんですよね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain人間の本能なんですか!」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「僕たち人間は、顔のような形に異常に敏感なんです。目と鼻というパターンが並んでいたらそれを顔と認めてしまう、そういう仕組みが脳にあるということなんですね。このコンセントだってそうですよね」

 

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 f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「ホントだ! 下膨れで困っているように見える!

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「車のフロントが顔に見えるというのも同じようなことです。これは私が気に入ってるやつなんですけどいったい何に見えますか?」

 

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©Google

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「人の顔ですよね……? そして、これはイヤホンをしている…?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「どことなく先住民の顔に見えませんか? しかもイヤホンはiPhone買ったときについてくるやつですね」

 

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©Google

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「うわ!! すごい!! この山自体は先住民族に似せようと作ったわけではない…?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「神がわざわざこの形に作ったという考えには納得できないですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「なんと……!」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「人間は顔から敏感に感情を読みとろうとします。対象が自分に対して好意を持っているのか、敵意なのか、どういう状況なのかということを基本的にぼくたちは顔で判断する」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain対象はモノなのに無意識にゴキゲンうかがいの行動を取ってしまっていたんですね。やっぱりその方が生きていくうえで有利なんでしょうか」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「まず有利でしょうね。他人の顔色を読み取れないと共同体の輪からはみ出してしまいかねません。先ほどの横顔に見えてしまうのもしかり、こういうのは人間の特徴として言えるでしょうね」

 

 

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「こちらは錯視として作ろうとしたのかはわかりませんが、Twitterで話題になった画像です。足がオイルでテカテカ光っているように見えませんか? でも実際は足に白い絵の具を塗っているだけなんです」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「これも錯視でしょうね。絵の具が光の鏡面反射のように見えてテカりになっていると」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「どうして光沢ってとらえてしまうんだろう…」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「脳の判断としては、何かが塗ってあるという解釈より、光が反射していると解釈したほうが妥当かもしれないということかな」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「?? 妥当??

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「光沢というのは日常のいたるところにあるじゃないですか。逆に、足が白く汚れていることって普段あまりないわけです。だから確率としては光沢として見るほうがむしろ自然なんですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「なるほど! これのおもしろいところは1度気づくともう見えなくなってしまうという点だと思うんです。細部に気づいてしまうとそちらに固定されてしまうというか」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「固定されてしまうというよりかは真実がわかるんですね。『これはただこういう風に塗ってあるだけなんだな』という理解です。一旦真実を知ると、今度は白い絵の具が塗ってあることが“自然”になっちゃうわけです」

 

 錯視の研究について

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f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「錯視の見え方って、その人が育った環境によっても変わったりするんでしょうか? 田舎で育った人と、都会で育った人では見え方が違うとか」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「違うか違わないかはかなり議論がありましたね。昔は環境によって異なるという話も出ていましたが、今では否定されていますね。ただ環境によって変わるというのは間違いないと思います。選択的育成っていうんですけど」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「選択的育成…?」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「子猫をこのような縦じましか見えない環境で育てると、横じまを見ても知覚しにくくなってしまうんですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「それは目が慣れてしまうからということですか?」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「そうではなく脳の神経細胞が縦じまに適応してしまっているので横じまに応答しなくなってしまうんです

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「目ではなく脳なんだ!」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「育った環境はもちろん関係しているんですが、ここまで極端でないと影響は出ないと思います。だから田舎で育ったからといって景色の見え方に違いはないでしょう。発育環境が何か影響を及ぼすことはあるでしょうけどね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「もし自分に子どもが生まれたとして、子どもが見るものすべてを縦じまで揃えたら……『ウォーリーを探せ!』を読んでも、横じまの服を着ているウォーリーを見つけられないんですね」

 

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f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「お子さんがかわいそうなのでやめてください」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「やめます。ただ目で見えているだけと思っていた錯視が脳自体の研究と直結しているというのは非常に興味深かったです」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「脳の動きをとらえるために錯視というのは非常にちょうどいい。物理的に同じものが実際は違って見えてしまうということは脳の中で何かが起こっているということですからね」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「頭の中で変換されているということでしょうか」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「そうそう。その変換が何かっていうことが脳の中で何が行われているのかということにつながるわけです。錯視の研究もぼくにとっては、ほとんど脳の研究とイコールなんですよね

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「錯視と脳は密接に結びついているんだ…!」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「人間の脳には1000億以上もの神経細胞があるわけですが、特に大脳皮質の3割くらいが視覚に関連したものなんです。これってけっこうすごいことで、それほどまでのリソースをかけていったい何をやっているんだということはたくさんあるんですよ」

f:id:jpmpmpw:20170112151054p:plain「人間は視覚に多くを依存しているんですね」

f:id:jpmpmpw:20170112151055p:plain「人は、見たものを機械みたいに正確に測定してるわけじゃなくて、それまでの記憶などと照らし合わせて判断しているんです。じゃあその仕組みって何だろう? わかっていないことは多々あって、感覚の研究はそれを明らかにするということですね」 

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「なるほど、脳で変換されたものがある意味正しい見方なんですね。今日はありがとうございました!」

 

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先生のお話を聴いて、人は対象をただ受け身で理解するのではなく、能動的に読み取って認識しようとしているということがわかりました。

ただし、その優れたシステムも完璧ではなく、優れているからこそ判断ミスも起こり得る……。それが錯視ということなんでしょうね。

 

錯視を自作してみた

 

最後に、僕自身も錯視を作ってみました。

 

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「高ウナー」という文字列に特に意味はありません。これは、文字列傾斜作詞と言って文字がだんだん傾いているように見える錯視です。なぜこう見えるのかというと、ひとつは文字の平行線の部分が段々になっているのが要因だといわれ、もうひとつは脳の機能によるものだと言われています。脳が対象を認知するとき、文字の傾きや、形などそれらの複合的な要素から判断をするため、文字が傾いて見えるのだそう。

 

 

 

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この画像の鼻のあたりを15秒ほどずっと見つめてください。そうすると何もない白い空間に私の顔が一瞬浮かんで消えます。僕の顔が脳裏に焼き付きましたか?

 

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これは錯視ではありませんが、脳の顔の認識を垣間見ることができます。自分の顔の左半分、右半分でそれぞれ顔を作ってみます。

 

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 こちらは顔の左半分だけを合わせ鏡のようにして作った画像です。なぜかふくよかになり、やさしい表情になりました。

 

顔の左側の筋肉は、感情の処理に優れている右脳がコントロールしています。そのため、顔の左半分のほうが表情豊かに見えるわけですね。

 

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こちらは顔の右半分で作った画像です。先ほどの画像と比べ、たまに部活に来る知らないOBのような威圧感があります。左半分のものとは打って変わって、顔の右半分だけだとどこか冷たい印象を受けます。

 

そしてこちらが大トリ。さっき教えてもらったリバースパースペクティブのコツを応用して、動く自分を作ってみようと思います!

 理論的にはへこんでいる部分が出っ張って見えるようになればいいので、飛び出させたい部分を谷折り、へこませたい部分を山折りにします。

そうすると…?

 

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できました。

なかなかうまくいったのではないでしょうか。ちょっとした工作として、自分で作ってみると楽しいのでおすすめですよ!

コツは、本来ならふくらんで見える部分(頬やおでこなど)を、逆に谷折りにすることです。

 

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ただし僕には工作のスキルが備わっておらず、「立体神田6号」を作るまでに多数の屍を生み出してしまいました。机に転がった自分の生首を見るのはあまりいい気持ちはしないのでみなさんは気を付けて!

 

 

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だまし絵練習帖―脳の仕組みを活かせば描ける 基本の錯視図形からリバースペクティブまで

このような錯視図形の作り方についてはこちらの本が詳しいです。錯視のメカニズムや作り方の解説が載っているため自分で錯視図形を作り出すことができます。

 

 

脳が驚いて活性化! 毎日[だまし絵]で脳トレ
脳が驚いて活性化! 毎日[だまし絵]で脳トレ

 

今回取材させていただいた、竹内龍人さんの近著「脳が驚いて活性化! 毎日[だまし絵]で脳トレ」は 扶桑社より発売中です!

 

 <画像引用>

『だまし絵でわかる脳の仕組み』 竹内龍人著 誠文堂新光社

『だまし絵練習帖 ~基本の錯視図形からリバースパースペクティブまで~』 竹内龍人著 誠文堂新光社

『脳が驚いて活性化! 毎日だまし絵で脳トレ』 竹内龍人著 扶桑社

 

北岡明佳の錯視のページ 坂道錯視9 http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saka9.html

北岡明佳の錯視のページ 錯視カタログ http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/catalog.html

 

書いた人・神田匠

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1995年山口県周南市に生まれる。立命館大学産業社会学部に在学中。現在は株式会社バーグハンバーグバーグでインターンをしている。名字の読み方は「かんだ」ではなく「こうだ」。Twitter:@gogonocoda 個人ブログ:たくちゃんのわくわくブログ


学校よりわかる!ザビエルが日本に来た理由と隠れキリシタンの歴史

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こんにちは、山口むつおです。

長崎県のすごい山奥にある、とある場所から失礼いたします。

 

最近、隠れキリシタンをテーマにした映画『沈黙-サイレンス-』(マーティン・スコセッシ監督)が公開され、話題になっていますね。原作は遠藤周作の名作『沈黙』。じっくり記事を作っていたら、映画公開時期と偶然かぶってしまいました。決してPR記事ではありません!

 

 

ここで歴史の話へ。みんな薄っすらと学校で習ったと思いますが、日本にはザビエルをはじめとした宣教師がやってきました。でも、なんで日本だったんでしょう??

 

ちなみに僕は、学生の時から地理や歴史といった暗記科目が大の苦手でした。

 

いやね、わかりますよ。暗記科目なんて何回も頑張ればそのうち覚えるっていうのは。でもねー、それ好奇心の塊である10代の青少年には酷じゃない?ただただ覚えろって言われても、こちとら「女性の体の仕組み」および「トルネコの大冒険で地下10階にある鉄の金庫をいかにして無事入手するか」「転ばぬ先の杖って持っとく派?それともすぐ捨てる派?」について脳のリソースのほとんどを割いているわけですから……そこ超えてきてもらわんと……。

 

つまりは「なぜそうなってるのか」という仕組みの面白さまで教えてもらえないと、興味が持てんのです!

 

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……というわけで、今回は長崎県に来ているので、「なぜフランシスコ・ザビエルが日本にやってきたか」「長崎県がなぜキリスト教と縁深いのか」について死ぬほど詳しくやります。

 

お話を聞くのは、学生時代から勉強ができなかったこの3名です。

 

 

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山口むつお(ジモコロライター):
高校入学後に勉強についていけなくなる。数学Aの試験で13点を取り追試となるが、元を下回る10点を取った。

 

鳥巣(長崎の案内人):
会社員。長崎出身で、五島列島という場所に図書館を作った男。中学の時点ですでに赤点を取っていた。

 

柿次郎(ジモコロ編集長):
高卒。

 

 

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そしてお話をいただくのは、長崎巡礼センターで事務局長を務める、入口仁志さん。先日長崎県へ取材に行った際にキリスト教について色々聞いてみようと思って訪ねたのですが、その話があまりに面白かったのでこのコーナーだけ取り上げて記事にしてみました。

 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ぼくの会社の先輩が以前に入口さんに出会ってて。その時に聞いた、キリシタンの歴史のお話がすごく面白くて勉強になると言っていたので、今日はとても楽しみです!」 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「よろしくお願いします!」

入口さん「はい、今日はよろしくね!」

 

キリスト教を追放しようとした真の狙いって何なの?

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「昔の日本って、キリスト教を追放しようとしてませんでした??」

入口さん「秀吉が『バテレン追放令』を出したのが1587年。これは九州平定と同じ時期にあたるんだよね。もともと秀吉はキリスト教布教を容認していたんだけど、ひっくり返しちゃったんだ」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「なんでまた?」

入口さん「それはね、この長崎が貿易の中心となっていた事が原因なんだよ。キリスト教徒の中には大名もいたんだけど、彼らが外国と貿易をし続け、自分より力をつける事を恐れたんだろね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「なるほど」

入口さん「つまりバテレン追放令の狙いは『貿易の制限』だったんだ。そしてそれが、江戸幕府が発令した『鎖国』につながっていった。こう見ていくと、キリスト教の歴史って、そのまま日本の歴史に置き換えることができるでしょ?」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「いや〜確かに!」

 

 

なぜザビエルは日本にやってきたの?

 

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入口さん「キリスト教の歴史で外せないのはフランシスコ・ザビエルの存在だよね」

 

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フランシスコ・ザビエル

ナバラ王国生まれのカトリック教会の司祭、宣教師。イエズス会の創設メンバーの1人。バスク人。
ポルトガル王ジョアン3世の依頼でインドのゴアに派遣され、その後1549年に日本に初めてキリスト教を伝えたことで特に有名である。また、日本やインドなどで宣教を行い、聖パウロを超えるほど多くの人々をキリスト教信仰に導いたといわれている。カトリック教会の聖人で、記念日は12月3日。

Wikipediaより

  

入口さん「ザビエルは『キリスト教を布教するため』日本に来たという事は知っていても、どうやって日本に来たかまではわからんでしょう?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「そういえば知りません」

入口さん「そりゃそうさ。だって日本がザビエルを呼んだんじゃないんだもん。ザビエルがなぜ日本にキリスト教の布教にやってきたかを知ろうと思ったら、日本史じゃなくて世界史に目を向けないと見えてこないよ

 f:id:eaidem:20161108170402p:plain「なんか大河ドラマみたいな展開になってきたな」

入口さん「1500年代のヨーロッパは、カトリックが支配していたんだけどね。1517年にマルティン・ルターという神父が、カトリック教会の改革を求めて抗議文を書いたんだ」 

入口さん「その抗議文が書かれたのがドイツ・オランダ地方。その頃、このドイツ・オランダ地方を支配していたのはスペインなんだよね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ふんふんふん」

入口さん「ルターの抗議文は宗教改革……『プロテスタント』というカトリックから分離した新教を生むことになったんだ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「カトリックとプロテスタントってそういう分かれ方したんだ」

入口さん「やがてそれは、オランダがスペインから独立することにつながっていくんだ」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「芋づるで来るな〜〜」

入口さん「急激に成長するプロテスタントに負けてはいられん!という事で、カトリックも『イエズス会』というものを作り『ヨーロッパから飛び出して世界布教を目指そう!』という事を決めた。このイエズス会の創設にフランシスコ・ザビエルは関わっていたんだね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「なるほど〜。ヨーロッパだけじゃパイの数が足りないから、グローバル化して世界シェアを取りに行こうとしたんですね」

入口さん「そうそう。そしてもう1つ、それに関連したちょっと複雑な動きがあったんだ。当時カトリックの覇権はスペインとポルトガルが握っていた」

 

 

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入口さん「世界布教にあたって、カトリックの総本山であるバチカン市国が宣教許可を出すんだけど、『スペインは西へ、ポルトガルは東へ向かえ』と指示したんだ。このときザビエルはポルトガル側にいたんだね」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「はいはいはい」

 

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入口さん「まずはスペインから。スペインはヨーロッパから西へ向うと、まず南米大陸に到着した。そしてインカ文明や他の文明を武力で制圧し、金銀を本国に送ったんだ。そうやって植民地化していったから、南米大陸のほとんどの国でスペイン語が公用語として使われているんだよ

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「植民地の背景にはキリスト教の世界布教があったんだ!知らんかった」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「あれ?でもブラジルの公用語ってポルトガル語じゃなかったでしたっけ?」

入口さん「いいところに気がついたね。じゃあ次は東へ向かったポルトガルの話をしよう」

 

 

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入口さん「彼らは東へ向かったのはいいものの、ヨーロッパの東はバリバリのイスラム圏じゃない?だからそもそも入ることができなかったんだ。だからそこを避けて、ぐぐ〜っとアフリカ大陸に沿って南に下りていく必要があった。その旅の道中、ついでに立ち寄ったのがブラジルだったんだ。だからブラジルだけはポルトガル語なの」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ついでで植民地化するなし」

 

 

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入口さん「そしてアフリカの喜望峰をまわり、航海を続け、とうとうザビエルを乗せたポルトガル船はインドのゴアに到着する。さらに東南アジアのマラッカに進み、そこで偶然、ザビエルはヤジロウという日本人と出会うことになる

 

ヤジロウ

史料上確かな最初の日本人キリスト教徒と目される。彼自身やザビエルの書簡によれば、彼は若い頃に人を殺し、薩摩や大隅に来航していたポルトガル船に乗ってマラッカに逃れた。その罪を告白するために彼はザビエルを訪ねたという。

Wikipediaより

 

入口さん「ザビエルは、彼から日本という国の存在を聞くわけだ。国の規模を考えるとイエズス会が最終目的地としていたのは間違いなく中国だろうけど、その途中に高い文化レベルを持った日本という国があるなら寄って行こうか、という事になったんだな。そしてザビエルは長崎の港にやってきた、というわけ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「日本もついでか〜〜〜〜〜」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「今まで点で覚えようとしてたものをストーリーで聞くと、すごい納得できる」 

入口さん「まあでも、この後彼らは中国を目指したんだけど、海賊の暴れ方が半端じゃなくて布教ができなかったんだよね〜」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「面白いな〜。こういうの小学生の時に聞いておきたかったわ」

入口さん「歴史は面白いよ!それを教えるのが学校の先生のはずなんだけどね。まずは大まかな流れを知ることが大事で、細かいところは自分で勉強すればいいんだよ。僕は長崎の人間だから、長崎で起こったキリスト教の歴史に詳しくなっただけ。つねに自分のポジションを意識しておけば、知識なんてすぐに頭に入ってくるよ

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「なるほどね〜〜〜」

 

 

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めちゃくちゃ感心して笑うしかない鳥巣さん。

 

 

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隠れキリシタンと生まれる差別感情

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f:id:eaidem:20161108170402p:plain「その後、長崎でキリスト教はどうなっていったんですか?」

入口さん「1549年にザビエルが来てから、日本にキリスト教が広まったんだけど、一方でキリシタンに対する弾圧はどんどんひどくなっていったんだ。特に明治初期の弾圧はすさまじいものだった。その大きなきっかけは、長崎に大浦天主堂ができたからなんだ

 

大浦天主堂

 

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 長崎県長崎市にあるカトリックの教会堂で、1865年(元治2年)に建立された日本最古の現存するキリスト教建築物。

Wikipediaより

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あれ?なんでキリスト教を禁止している日本に教会を建てたんですか?」

入口さん「それは時代背景と貿易相手の事を考えればわかるよ。1858年に日米修好通商条約によって日本の鎖国は解かれたわけなんだけど、開国した相手はアメリカ、イギリス、オランダ、ロシア、フランスの五カ国だった。さて、この国々の主な宗教がなにかわかる?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「全部キリスト教じゃない?」 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「全部キリスト教だけど、フランスだけがカトリックで、他の国は全部プロテスタントですね

入口さん「そう! カトリックとプロテスタントは同じキリスト教なんだけど、最も大きな違いがある。プロテスタントがどこでもお祈り(ミサなど)できるのと違って、カトリックでは『お祈りをする場所は教会』が必要なんだ。だから、日本に貿易でやってきたフランス人たちがお祈りできる場所として作られたのが大浦天主堂だったんだ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「なるほど。でもそれだけじゃ、隠れキリシタンが見つかる理由にはならない気がするんですけど」

入口さん「それまで隠れキリシタンは250年もの間、キリスト教の指導者を欠いた状態で、仏教徒のフリをしながら隠れて生きてきたんだ。でも、とうとう『フランス人の神父』という、キリスト教の立派な指導者が現れたわけじゃない?そうなったらもう仏教徒のフリなんてやってられっかと、仏式のお葬式を拒否する人達が現れ始めたんだ

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「ちょっとちょっと」 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「やばい……」

入口さん「長崎の奉行所は、あれ?おかしいぞ?と勘付いて、隠れキリシタンがいないかどうかの調査を始めたんだ。すると驚くべきことに、浦上地区の9割以上の人たちが実は隠れキリシタンだった事が判明するんだよ

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「多すぎるでしょ」  

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「金田一少年の事件簿で『全員が犯人でした』みたいな状態だな……」

入口さん「日本人に対してはキリスト教を禁止しているから、政府はキリスト教の信仰をやめさせるため、彼らを激しい拷問にかけたんだ」

 

メモ

浦上地区の3,394人は流罪として全国に散り散りに流され、669人が戻ってこれずに命を落とした。
また、五島列島の1つである久賀島(ひさかじま)では、12畳ほどの牢屋になんと200人もの人たちを閉じ込め、密集地獄を味わわせた。「牢屋の窄(ろうやのさこ)」と呼ばれている。

  

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ひどい……」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「明治時代って『新しい時代の到来だ!』って言ってたわりに、そのへんは全く変わってなかったんですね」 

入口さん「明治政府は『天皇は神聖にして侵すべからず』として、天皇を神格化してたんだよ。つまり他の神様を信じるという事は、政府にとって都合が悪かったんだね」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「まあそうか……」

f:id:kakijiro:20170127124441p:plain「しかしこの弾圧も、突然終わることになるんだ。なんでだと思う?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「さっぱりわかりません」 

入口さん「明治4年、岩倉具視が率いる使節団が不平等条約の改正のために欧米へ行くんだけど、そこで『キリスト教を迫害するような野蛮な国とまともな話ができるか!』って言われちゃうんだ」 

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「自分たちが信仰している宗教が弾圧されて気持ちが良いわけがないですもんね」

入口さん「日本が隠れキリシタンにひどい事をしている事は、世界中にバレちゃってたのよ。こりゃ弾圧をやめない限りは交渉なんか進まんぞ……って事になって、岩倉具視は伊藤博文にそのことを電信で送ったんだ。そうして明治6年、政府はあらゆる場所にかかげていたキリスト教禁止の看板をすべて撤廃することにしたんだ。一流の国と仲良くするためには、一流の国っぽい憲法を作らんといかんという事でね

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「今でいう『グローバル化』みたいな動きですね」

入口さん「とはいえ、そんな状況になったところで、一般の人たちに長年刷り込まれたキリスト教徒への差別感情がいきなりなくなるわけがない。キリスト教徒への差別感情が残ってしまったんだ

 

 

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差別なんかしても仕方がねぇ!共生の道へ

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入口さん「長崎には『五島列島』という大きな島があるんだけど、その土地の話をしましょう」

 

五島列島

全島が長崎県に属し、人口は約7万人となっている。自然海浜や海蝕崖、火山景観など複雑で変化に富んだ地形で、ほぼ全域が西海国立公園に指定されるなど豊かな自然景観を有している。島々には多くのカトリック教会が点在し、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録を目指す取組みが進められていて、五島観光のひとつとして注目されている。

Wikipediaより

 

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「五島って、鳥巣さんのルーツがある島ですよね?」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「そうです。今、ちょうど『さんごさん』っていう図書館をやってまして」

 

 

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鳥巣さんがやっている五島の図書館「さんごさん」については、こちらの記事で詳しく書かれています。

 

入口さん「明治時代からちょっとさかのぼって1700年代後半の話。五島から大村藩に向けての、移民の申し入れがあったんだ」

 

メモ:

当時、隠れキリシタンを多く抱える大村藩は、外海地方の人口増加に悩んでいた。人口増加を抑制するための子供の間引きを行わざるを得ない状況だったが、これはキリストの教えに背く大罪であった。

 

入口さん「大村藩がある地方は、キリシタンにとって特に過酷な環境だったから、五島への移住は彼らにとって魅力的だったんだ。約3,000人の人々が五島へと渡っていったんだけど、そこは思った以上に生活環境の厳しい場所だったんだ

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「そういう話、ブラジルへの移民政策でも聞いたことあります」

入口さん「しかも魚が獲れる海や川の近くといった生活に便利な場所は、すでに地元住民が住んでしまっていたんだ。まあ当然だよね。地元住民からすれば、差別対象である隠れキリシタン達が、自分たちの村のすぐ近くに住み着くなんてとんでもない。そうした厳しい差別にさらされ、隠れキリシタンの人たちはさらに厳しい環境の山奥へと入っていかざるを得なかったんだ

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「しかもその後、明治政府による激しい隠れキリシタンへの弾圧も始まるってわけか……」 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「地獄……」

入口さん「でも時が経ち、現在、そういった差別はさっぱりと消えているんだ。一体どうやって彼らは差別の壁を乗り越えたんだろう?こういった問題は、現代ではグローバル化して移民問題などになっているけど、長崎の歴史について知ることで『共生』のヒントを得られるかもしれないね」

 f:id:eaidem:20161108170402p:plain「『共生』ですか」

入口さん「共生の1つの例をあげてみよう。五島にある教会の多くは鉄川与助という人が建てたんだけど、彼は仏教徒だったんだ

 

鉄川与助

長崎県を中心に多くのカトリックの教会堂建築を手がけた、長崎県南松浦郡魚目村(現新上五島町)出身の棟梁であり、建築家である。

Wikipediaより

 

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「信じる宗教を超えた!」

入口さん「キリスト教徒たちはお金がない代わりに、彼ら自身が熱心な労働奉仕をして、教会を完成させたんだ。信じている宗教を超えて、1つの立派な建物を作り上げる。これは1つの差別を乗り越えた事例といって過言じゃないよね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「熱い展開だなあ」

入口さん「さっきも言ったように、五島はとても生活環境の厳しい場所だったから、それがヒントになるんじゃないかな。生きていくのも必死な環境において、差別なんてしててもしんどいだけなんだよ。それよりもお互いに協力し、信頼し合って生きていくほうが、よっぽど楽に生きていける。だから今の五島があるんじゃないかと思うよ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「たしかに、よっぽど楽ですわ」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ごもっともですね……」

 

実際に教会へ行ってみよう 

入口さん「これから五島に行くなら、ぜひ見ておいてほしい教会を紹介するよ。どちらもまったくメジャーな教会ではないんだけど」

 

 

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f:id:kakijiro:20170127124441p:plain「この教会とこの教会。その地で隠れキリシタンの人達がどういう生活を送っていたのか、なんとなく肌で感じられるはずだよ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ぜひ行ってみます。興味深いお話、ありがとうございました!」

 

 

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入口さんは巡教ツアーのガイドをやってらっしゃるせいか、めちゃくちゃ語り方がうまくて、グイグイ引き込まれてしまいました。当時の学校の先生にもトーク力がめちゃくちゃあれば、歴史の勉強ももっと面白く勉強できたのにな……と思いました。

 

 

〜翌日〜

 

 

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そして翌日、入口さんに聞いた教会を見に行くことに。五島に渡った隠れキリシタンの人たちが建てた教会とは、一体どんな場所にあるのか。

 

 

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 五島の港からず〜〜〜っと車を走らせ、山の中へ入っていくと……。

  

 

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最初に訪れたのがこちらの宮原教会(みやはらきょうかい)。かなり山深い場所に建てられていました。隠れキリシタンの人達が追われる形で、この山奥に入っていったのでしょうか。

 

最初の教会は、祭壇の手間に障子があり、ミサの時に開けられた。現教会は、1971年に建てられたもの。

ながさき旅ネットより

 

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遠くから見ると、パッと見、普通の家のようにも見えます。

 

そしてもう一軒の教会を見るため、さらに山の奥へと入っていき……。

 

 

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ガタガタガタガタガタガタ!!

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「おいおいおい!道険しすぎやろがい!!」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「ほんとにめちゃくちゃ厳しい山の中に入っていったんだな!!」

 

そしてかなり長い時間、山中を車で走り続けて到着したのが……。

 

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この繁敷教会(しげしききょうかい)です。

 

半泊に外海から公式移住してきた潜伏キリシタンの2代目の家族が、再移住を願い出て1853年に繁敷に入り、田を開いたことに始まる地。今はその跡がダムの底となった初代の教会は、戦時中の繁敷ダム建設のときに失火で燃えて、2代目が別所に再建されたが、ダム工事の本格化で1974年、山の上の現在地に移転する。

ながさき旅ネットより

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「本当にすごい山奥にあるんだな……それに教会って感じがしない外観やな」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「車のない時代にこんなところで生きていくのはさぞ大変だっただろうな……」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「移住してきた隠れキリシタンの人たちが、厳しい環境に入っていくしかなかった苦労がちょっとだけわかる気がする」

 

 

終わりに

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長崎とキリシタンとは深い関係があり、歴史があります。それはザビエルの来日から始まり、迫害を受け、差別と闘い、そして乗り越えたという歴史です。

今回はただただ話を聞くだけではなく、体験をもって歴史について感じることができました。こんなに詳しく、しかも面白く語ってもらえる機会ってなかなかないですけどね。

 

 

書いた人:山口むつお

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。物忘れが激しいが、昔プレイしたゲームのパスワードはすらすら言える。

個人ブログ: むつおちゃんブログ
Twitter: @e_yamaguchi

 

 

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (10) - 父の教え/からいつらい

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【給料は?】工場バイトの実態を、あるある50連発で紹介します【人間関係は?】

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こんにちは、ライターのギャラクシーです。

僕は一時期、従業員数1000人の巨大工場で働いていました。他にも大小様々な工場で派遣やアルバイトとして働いてきたので、今回はその時の経験をもとに、工場勤務の人間だけがわかる“あるある”を50個挙げてみたいと思います。

 

そういった場所で働いたことがない人にとっては、驚きの連続かも!?

※あくまでギャラクシーが働いていた工場の話です

 

工場勤務あるある50選

1:朝が早い

デスクワークは9時や10時に出社する会社が多いですが、工場は8時開始とかザラです。しかも朝は作業服に着替える時間とラジオ体操の時間があるので、実際は開始20分前には集合する必要があります。

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2:朝礼がある
「ヒヤリ・ハット」といって、危うく事故につながりそうだった事例を各部署で報告します。※ヒヤリ・ハット=ひやっとして、ハッとなった事例のこと(肉体労働系の仕事ではメジャーな用語です)

「とにかく何か報告しなきゃいけない」という雰囲気なので、ありもしない「ヒヤリ」を捏造したりする(カッターで指をケガしそうになりました、道具の扱いに注意しましょう、みたいな)。

 

3:終わるのも早い
17時には終わります。時間がいくらでもあるので、働き始めた頃は「帰って何をしたらいいんだ」と思いました。

 

4:と思ったら残業もあるのでいつも早く帰れるわけではない
納期に関してはデスクワークよりシビアでした。そのため残業が多いこともあります。ただ残業代はちゃんとつくところが多かったです。良くも悪くも労働時間の管理にすごく厳しいです。

 

5:自分が何を作っているのかわからない
大きな工場だと「謎の機械の一部に使われる小さな機械の集合体」とかを作る部署などがあり、全員「これ、なんなの?」って思いながら延々“何か”を作り続けます。

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6:何を作っているのかがわかりすぎても混乱する
食品工場でベルトコンベアから流れてくるおにぎりに、延々明太子を注入する作業をしたことがあるんですが、途中から自分が何をしてるのか、それを考えている自分とは何なのかがゲシュタルト崩壊して、完全に脳が白くなったまま“そこ”に存在し続けます。

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7:そんな中、ブラジル人のおばちゃんは余裕でベラベラ喋ってる
おしゃべりしながら他人の手伝いまでしてくれるので、「ブラジル人はタフで優しい」というイメージができあがってしまいました。

 

8:バスの送迎がある

海辺の工場で働いていた時は、最寄り駅からバスの送迎がありました。夜勤だったので、夜中に静まり返ったバスにゴトゴト揺られていると完全にドナドナの気分になります。

 

9:巨大な工場は田舎に作るので虫がいる

クリーンルーム(空気洗浄度が一定の数値を保っている部屋)なのにクワガタとかナナフシが歩いてたりする。

 

10:寒い

やっている業務によっては暖房をつけられないこともあるので、作業服の上にフリースを着たりするんですが、すぐにズタボロになります。

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11:暑い

こっちの方がやっかい。そこら中で機械が動いているため、そもそも構内はサウナみたいに暑い。でもクーラーをつけてはいけない業務の場合は汗ダラダラで仕事をする。

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12:ポカリとお茶の争奪戦

夏場は水分補給が大事なので、味の薄い飲料からどんどん売り切れていく。朝のうちに何本か買いためておくことが肝要。

 

13:最近の耳栓の性能にビビる

大きな音を出す作業時には耳栓をするんですが、最近の耳栓はネッチョリしててきれいに耳を塞いでくれるので、効果にビビる。ただ、それを上回る騒音があることを知り、さらにビビる。

 

14:工具類にはワクワクする

巨大なレンチや精密な工具類は見てるだけでワクワクする。自前ですごい特殊な道具を持ってる人もいる。

 

15:ベテランの人は工具をほぼ自分専用にしてて困る

それぞれの部署、それぞれの人でよく使う工具というのがあり、勝手に持ち出されないように変なとこに隠してたりする(本来は共用のもの)。休日出勤するとその工具がどうしても見つけられず、めちゃめちゃ困る

 

16:女性もいる
規模が大きければ、鉄工所みたいなところでも、少ないながら女性が働いてます。工場で見ると、どんな女性でも、めちゃめちゃかわいくて色っぽく見えます。

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17:女性がめっちゃ多い工場もある
工場にも色んな種類がありますが、食品工場で働いた時は女性ばかりでした。というか、気のいいオバちゃんばっかりでした。

 

18:かぎ続ければどんなニオイでも嫌いになる

ガムやチョコレートの工場は最初の30分だけ「甘くて良いにおいだなぁ~」と顔がほころぶけど、一日中嗅いでると靴下のニオイより嫌いになる。

 

19:デスクワークへの憎しみ

自分で選んでその仕事をやってるのに、なぜかスーツ着てネクタイ締めてる人を見るとほのかな憎しみが生まれます。「おれの手はこんなに油まみれなのに!」みたいな。デスクワークもやってみると大変なんですけどね。

 

20:現場をよくしらない人がかき回してくる

安全対策的な部署が、実態に則さない夢のような案を次々に実施して、効率が著しく低下する。下手すると危険度が増す。

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21:休憩の時間が厳密に決まっている

大きな工場では部署ごとに一斉に2時間おきに休憩します。時間の区切りがすごく明確。どんなしんどい作業でも、とりあえず2時間頑張れば休めるという安心感があります。

 

22:クレーンの移動は「東西南北」

指示を出す時に自分から見てなのか、相手から見てなのか混乱しないように(混乱するとすごく危険)、右とか左ではなく、「ちょい東!そのまま南!」といった感じで指示します。どっちが東やねん!とならないように天井や柱に方角が書いてたりします。

 

23:B定食は人気がない
食堂の定食、Aはしょうが焼きなどの和風、Bはフライ系など洋食が多いイメージ。あと売店が閉まってからも残業組が食べられるように、パンやお菓子の自販機が設置されていました。

 

24:とりあえず缶コーヒーを奢れば仲良くなれる

工場に限らず、肉体労働系の仕事で缶コーヒーを奢るという行為は、最上級の「仲良くしよう」にあたります。

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25:喫煙率がめちゃ高い

休憩時間は大多数が屋外の喫煙所に集結するため、周辺がものすごく煙たい。基本的にはここですべてのコミュニケーションが行われる(構内は騒々しいのでお喋りを楽しむのは難しい)。

 

26:工場内でのみ通じる免許や資格がある

僕が働いてた工場では「クレーン補佐」といった工場内免許、あと「薬品管理」などの工場内資格がありました。他の場所ではまったく意味がないものですが、それを持ってないとできない作業があり、給料もプラスされます。

 

27:元ヤン率は想像してるほど高くない

ただ、一定数は必ず居て(デスクワークにも居ますけどね)、そして元ヤンの人は仕事を頑張るし声が大きいので、それなりのポジションにつくことも多いです。

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28:みんな結婚してる

若くして結婚してる人が多い。そして子供もポコポコ生まれる。この繁殖力は何なんだ……と畏怖の念を感じる。

 

29:しかしキャバクラや風俗には行く

割引券やスタンプカードを家庭に持ち帰るわけにはいかないので、独身社員が一括管理してたりする。

 

30:勤続年数至上主義

体育会系なのでほとんどの人は目上に対して敬語ですが、たま~に勤続年数至上主義の人もいて、10歳くらい年下の先輩気さく過ぎる言葉遣いで話しかけてきたりします。

 

31:休憩中の話題はギャンブルが8割
残りの2割はスナックか風俗の話。「ついていけそうもない」って思いました?それが、そうでもないんですよ。なぜなら……

 

32:ずっと喋ってる派閥と、永遠に無口の派閥がある
大きい工場だと、仲間意識が強くてずっと喋ってる人たちと、「金を稼ぐ手段」と割り切ってコミュニケーションを取らない人たちが混在してて、普通に共存してました。人間関係苦手な人は大きい工場に行くのがおすすめかも。

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33:ゴミの分別が大変
紙や不燃などはもちろん、金属や薬品もあるのでゴミ箱が何種類もある。

 

34:健康診断の項目に、デスクワークでは見かけない項目がある

大きな音が出る工場では聴力検査が何種類かありました。また、振動する道具を使う工場では、指先の感覚が鈍っていないかの検査もありました。

 

35:防毒マスクや手袋が必要な業務もあるが、めんどくさくなって使わない
新人の頃はかっこいいのでフル装備で仕事に挑むけど、しばらくするとめんどくさくなってつけなくなる。バレると班長に「おまえらのために言うとるんじゃ!」って怒られるけど、やっぱりつけない。

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36:構内ではヘルメットか帽子(中がプラスチックで補強されてる)をかぶらなければならない
ムレるしめんどくさいけど、絶対に一回二回は機械(鋼鉄)のカドに頭をぶつけてその衝撃に呆然とするので、「かぶっといてよかったぁ~~!」と思い知る。

 

37:ものすごい姿勢で仕事してる先輩がいる
機械の底面などをいじる時、バレリーナみたいなすごいポーズで隙間に入り込んで仕事してる人がいる

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38:工場内で荷物を運搬する牽引車のBGMがファンシー
牽引車が動く時はパトランプをつけて音楽が鳴るんですが、その電子音が「おどるポンポコリン」などかわいらしい曲が多い。40代~50代のコワモテの職人がそのメロディと共に真面目な顔で構内を進んでくると絶対笑う。

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39:定時になった時の「仕事が終わった感」はデスクワークの比じゃない
カラダを使うので単純に達成感が大きい。あと「作業服や安全靴を脱いで私服に着替える」という儀式的行為も「仕事が終わった感」を高めてくれます。

 

40:帰りの電車で女子高生にイヤな目で見られる
薬品とかを扱った時に、めんどくさくて手袋をしなかったり、終わってからちゃんと洗えてなかったりすると、手がめちゃ臭くなります。電車に乗って下校中の女子高生の集団なんかがいると、きれいに自分の周囲だけ人がいなくなります。すいませんでした。

 

41:靴下にすぐ穴があく

安全靴の先が硬いからか、ハードに使用するからか、穴があくのを前提で履くことになります。ちなみに安全靴というとブーツみたいなものを想像すると思いますが、最近はパッと見はスニーカーにしか見えないものも多いです。

 

42:休み中は、休める
基本的に「工場を出たら仕事のことは脳から追い出してOK」なので、家で仕事を思い出すことは、ほとんどありませんでした。デスクワークだと家に仕事を持ち帰るなんてこともありますが、工場の機械を持ち帰るわけにはいかないですからね。

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43:結構良い給料
僕が行った中で一番高かったところは1年めで30万くらい(ただし残業・休日出勤かなりあり)でした。工場勤務は、残業が多くて稼げるところと、給料低いけどあまり残業がないところに分かれていて、そしてそれはどちらもメリットと言えます。なので、僕は面接の時に「残業ってどれくらいありますか?」と正直に聞いてました。

 

44:失敗したらエライことに……と思ったら意外と何とかなる
これはもう腹を切ってお詫びするしかない、という失敗も、熟練の職人さんだけが知ってる裏技によって何とかなったりします。ただし怒られるのは怒られます。

 

45:仕事の腕一本でのし上がってきた職人の迫力
基本的に叩き上げの人ばかりなので、めちゃめちゃ迫力があって怖いです。普段は優しいけど、ヌルい仕事してると失神しそうなほど怒られます。

 

46:仕事はできないけどめっちゃ優しいおっちゃんがいる
10何年もその工場で働いてるのに全然仕事できないおっちゃんというのがどこの工場にもいて、そういう人は大体すごく優しい。他の先輩などは怖いので、新人の頃は何かあったらそのおっちゃんのところに行って相談することになる。

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47:おっちゃんを卒業する
ある程度仕事を覚えてきたら、相談相手はもっと仕事ができる先輩になる。世話になったにも関わらず「あのおっちゃん仕事できねぇなー」と軽く見るようになり、卒業する。

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48:というあたりで油断して大きな失敗をし、おっちゃんに泣きつく
「まぁ失敗なんかよくあることや。ワシなんか今も毎日失敗しとるわ(笑)」という言葉をかけてくれるのでホッとする。

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49:おっちゃんを卒業する
ほとぼりが冷めたらやっぱり卒業し、「あのおっちゃん仕事できねぇなー」と軽く見るようになる。

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50:仕事を辞めてからもおっちゃんには会いたくなる

おっちゃん、元気かなぁ。

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まとめ

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いかがだったでしょうか。

個人的な感想ですが、僕が働いてたいくつかの工場は人間関係が気楽で働きやすかったです。「休み中は、休める」という項目などもありましたが、とにかくオンとオフがめちゃめちゃハッキリしてて、だから無理に構ってこないんですね。

 

逆にアットホームな環境が好きなら町工場も良いのではないでしょうか。

 

今思えば工場ワークもなかなか楽しかったなぁ。気になった方は検索してみましょう!

www.e-aidem.com

 

(おわり)

 

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』1話~10話 まとめ読み!

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<柳田さんと民話・一覧>
1話~10話 まとめ読み

 

1話|野犬峠

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2話|後日談

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3話|トリッキーな化け狐

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4話|桶かぶり坊主

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5話|美剣士・椿 綾之介

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6話|柳田さんと おばあちゃん

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7話|命とひきかえに石を彫った源兵衛

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8話|金を使わず酒を飲む とんち

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9話|冷たい地蔵がほほえんだ理由

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10話|母とサンタと蛇足」

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<柳田さんと民話・一覧>

 

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

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【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 12話「昔話の教訓」

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<柳田さんと民話・一覧>
12

 

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●「柳田さんと民話」とは?

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