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【拡散希望】お〜い!フリーランスのみんな!請求書のハンコって全然意味ないらしいよ!

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請求書に関する作業、面倒くさすぎ問題

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「請求書」

それは生きていくために必要な「これだけ仕事したからお金ちょうだいな」という証明になる大事な書類です。

 

 

 

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です、が。あ、この人、ハンコがない、もらい直さなきゃ…あの人からはもらった、あの人からも届いている、こちらが送る分はハンコを押し忘れたやつがあったから再送してくれという連絡が…。

 

 

 

 

 

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は〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

f:id:chicchi0411:20161107121409g:plain

 も〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

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めんどくせええええええええ!!!!!

 

請求書の作業めんどくせ〜〜〜〜わ!!大事は大事なんだけど何でいちいち「印刷」して「押印」して「郵送」しなきゃいけねえんだよ!!受ける側も送る側も面倒くさすぎるだろ!

 

会社だったらまだ幾分かマシだけど、フリーランスで色々な媒体に制作物を納品しているライターさん、イラストレーターさんの人々って、面倒くさすぎて死亡の一歩手前まで行ってるじゃないの!? インターネットやクラウド技術が進歩しまくってるのに、このまま原始的な手法で続けていっていいのかい!おいおいおい!!!

 

 と思って、「請求書 めんどくさい」でツイート検索してみると… 

 

 

 

 

出るわ出るわ、請求書に対する怨嗟の声。やっぱり皆めんどくさいと思ってたみたいです。もうちょっと突っ込んで、月末には請求書作業で気が狂っていそうなフリーランスの声を聞いてみましょう。

 

 

 

 

 

フリーライター 熊山准さんの魂の叫び

まず一人目は、「R25」、「サイゾー」、「スゴレン」など、多くの媒体で記事を執筆しつつ、自身のぬいぐるみを世界中に連れ回すアート活動もされている熊山准さん(@kumaya)に「いかに請求書の作業が面倒か」をうかがってみました。

 

*****

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請求書作成はフリーランスにとって月末の苦行。まずその月に納品した全原稿をチェックしてまとめなくてはいけません。ライターの場合だと、記事タイトルや納品日なども必要なため、スケジュールやタスクリストを見返すなどの作業で限りある集中力がかなり削られてしまいます。個人的には、作成後いちど横たわりたいくらいぐったり。

 

さらに、印刷→校正→捺印→封書→郵送といった作業も面倒。クライアントが多岐に渡ると手間暇だけでなく郵送料もかかりますしね。場合によっては急ぎで送れと速達代を負担する場合も。そして、どれだけ校正したつもりでも誤りや行き違いがあり、修正した請求書を再度送り直すという手間もかかります。

 

そこで現在は、すべての請求作業を「捺印した請求書PDFをメールで送付する」ことで済ましています。請求書をおこす作業自体はなくならないものの、これなら印刷以降の手間が省けて、なおかつ緊急や再送といった事態でも自宅や事務所以外からもメールで対応可能。しかし多くのクライアントの経理からは、PDFで済ませようとすると、必ず「原本送れ」と言われます。そのたびに直接穏便に話し合って説得しているんですが、その支払いを最後にお仕事が来ないクライアントも少なくありません。

 

経理のよくあるいいわけは、「社員による架空請求を防ぐため紙の原本が欲しい(過去にもあったので再発防止にかねて)」というもの。でもそれっておかしくないですか? 請求書なんて本気で偽装しようと思えばいくらでも偽装できますし、だいいちコンプライアンスを下請けに期待している時点で企業として終わってると思うのです。

*****

 

ゲレンデとメールボックスが溶けるほど魂のこもった熱い声をいただきました。これが全てのフリーランスの人々が思っている心の声を全て代弁しているといっても過言ではないかもしれません。

 

 

 

フリーのPRプランナー/Web編集者 塩谷舞さんの心の声

二人目はフリーランスのPRプランナー/Web編集者として活躍中の塩谷舞(しおたん)さん(@ciotan)。最近「ジモコロ」にも寄稿してくれていますが、請求書問題に関して「一言物申したい!」とノリノリでコメントをくれました。

 

*****

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161003/20161003132746.jpg

私は「オンラインハンコ作成ツール」みたいなところで「塩谷」ってハンコをつくって、それを会計ソフトの『freee』で作った請求書にくっつけています。便利なのでオススメです。ですが、PDFだけをメール送付して「よろしくお願い致します!」というと、「原本の送付もお願いします」と、よく言われます

 

ただ、デジタルのハンコなので、私のプリンタで印刷したものも、先方のプリンタで印刷したものも「同じもの」なんですよね。そうすると「原本ってなんなんだ????」という解けない謎に包まれます。

 

あと、デジタルのハンコなので「印鑑証明と同じ印鑑でお願いします」と言われると「ファッ!?」となります。あとあと、大きな会社とお仕事をしたときに「現住所の証明書をください」「(相手のフォーマットにあわせて)職務履歴書もご記入ください」「マイナンバーもください(New!!)」なんて言われると、もはや「ギャラいらないので……」と後ずさりしたくなっちゃう……。

*****

 

しおたんさんも同様に「原本送付の謎」「ハンコの謎」に深く切り込んでおります。「原本、そっちで印刷しといてください」ってクライアントに言ったらどうなるんでしょうね。

 

 

 

漫画家、カメントツさんの忌憚なきご意見

続いては、弊社メディア「ジモコロ」や「オモコロ」、「月刊サンデー」などに連載を抱える仮面漫画家カメントツさん(@Computerozi)に聞きました。

 

*****

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請求書はいつも面倒に思いますが、特にハンコ文化に関してはそもそも意味が分からないですね…。こんなに発展したインターネット文化の中で「請求書をプリントアウトする→ハンコを押す→スキャンして送付」って、一回物質に戻す意味って何なんですか!?

 

印刷するのも、押し忘れで再送を依頼されたりするのも面倒なので、もうハンコを透過したpngデータを作っておいて、プリントアウトせずにPC内で請求書のデータにかぶせて送っています。そしたら向こうは満足するんですけど、そんなの何の証明にもならないでしょ!完全に昔の風習が形骸化しちゃってる悪習ですよね。

 

と言いつつ、僕は大手出版社からお仕事をいただいているんですが、そこでは請求書を書いたことないんですよ。ページ数は毎回上下するんですが、それも考慮して振り込まれて、僕のところには毎月「支払明細」が来るだけ。向こうで管理してもらっているんですよね。大きな会社でも請求書が必要ないってことは、どの企業でもいらないんじゃないでしょうか!? 漫画だけ描かせてくれーー!!って感じです。

*****

 

 …なるほど。やはり各方面から怒りの声は高まっているようですね。何とかならんのか〜〜〜〜!!!!

 

 

 

 

 

スペシャリストに聞いてみよう

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ここまで人々を狂わせる請求書&ハンコ問題。もしやらなくていいのであれば出来るだけ楽に行いたい…ということで、数々の会社の経営コンサル、経理業務に携わってきた永岡さんに質問をぶつけてみました。弊社もお世話になっております。

 

 

 

*****

 

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「請求書にハンコを押して郵送するという風習、本当は無くてもいいと思うんですが、実際はどうなんでしょうか?」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「はい。結論を先に言ってしまうと、もともと『押印された請求書の原本を郵送する』なんて義務は実はありません

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plainえ!?

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「それと、ハンコは『あればそれっぽい』というだけの話で、ハンコ屋さんで簡単に作れますから、必要ありません

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「なんやて〜〜!!??」

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「究極、ハンコどころか請求書すら発行する必要も本来はないのです」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「えええ!?!?」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「口頭でもOKです。電話で、『50万円よろしく!』『はーい!』でオッケーなんです」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「え〜!でも◯◯万円以上とか、企業同士のやりとりでは必要なんじゃないんですか?」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plainそんな決まりもありません。私も実際、契約書はおろか請求書もほとんど発行してないですから」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「え〜!?!?途中で法律が変わったとかではないんですか?

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「いえいえ、最初から『請求書にハンコが無いと効力がない』という法律もありません

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「じゃあ何でこんなに面倒なことをやってるんでしょうか?」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「請求書は面倒で無駄なんですが、何故こんなことをするかというと、2点あると思います。まず『決裁の問題』」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「けっさいのもんだい」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「例えばまきのさんがAさんに50万円でお仕事を頼みました。その後問題なく納品してもらった後、社長に『Aさんに仕事を頼んだので50万振り込んでください』と言いましたが、社長からは『仕事を頼んだ証明ある?』と言われてしまいました。どうしましょう?」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「請求書をもらってなかったら、三国志の関羽みたいに『そんなものは無い』って言わざるを得ませんね」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「そうなんですよね。なので請求書は『仕事を頼んだ+納品した証明』となるので、必要になります。それでもハンコはいりませんが…

 

 

 

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f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「確かにそういう時には請求書がいりますね。しかしハンコが必要ないっていう事実がもっと広まったら、フリーランスの人はもっと楽になるのにな…教えてあげたい…

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「あともう一つは、『税務署の問題』です」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「ぜいむしょのもんだい」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「企業で税務調査の対象になった場合、『この支払いは何ですか?』『この売上はなんですか?』と質問される場合があります。数年前のものだと記憶があいまいになるので、請求書を取り交わしてしっかり記録しておく必要があります」

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「記録は大事ですね」

f:id:chicchi0411:20161116165014p:plain「そうです。消費税法にも『仕入税額控除を受ける場合、税務調査のときに請求書をすぐに提示できる状態にしておくこと』とありますので、請求書はあったほうがよいのです。ですが、ハンコまでは、求められていません

f:id:chicchi0411:20161116165008p:plain「マジでハンコいらんのか〜〜い!」

 

 

 

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ということで、目からウロコの結果となりました。この事実、みんな知ってくれ〜〜〜〜〜!!!

 

 

 

 

 

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お〜い!請求書のハンコって意味ないんだって〜!!!

 

 

 

 

 

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この思いが、どこまでも届きますように…全ての企業が請求書に対して柔軟な姿勢を示し、全てのフリーランスの人々が月末に少しでも気が楽になりますように…

 

 

※ちなみに、弊社(バーグハンバーグバーグ)でも2016年から請求書のハンコを撤廃し、エクセル・PDFデータだけでやりとりしていますが、全く問題ありません。それどころか、ライターからは「手間が省けてハッピー!」と好印象です。皆様も是非!

 

※追記(2016/11/17 20:00)
本記事は、押印の法的意味そのものを否定する意図ではありません。あくまでも、請求書に押印が法的に要求されている訳ではないことを説明する意図になります。

 

書いた人:まきのゆうき

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。姉妹メディア「オモコロ」で開設当初から「うさねこ」という4コマ漫画を連載中。今までもらった請求書は全部甘く煮ている。 Twitterアカウント→@yuuki

 


【完全版】請求書にハンコを押すのは本当に義務じゃない?弁護士が徹底検証!

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こんにちは、ジモコロライターのまきのです。

先日のことになりますが、請求書のハンコってめんどくね?という思いから、このような記事を書かせてもらいました。

 

 

弊社では外部のライターやマンガ家、カメラマンなどに仕事を依頼することが多いため、彼らが少しでも楽になれば……と思って書いたわけですが、その結果―

 

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※2016年11月20日のソーシャル数値

 

話題になり過ぎ。

ページビュー(その記事が何回見られたかの数値)は、なんと20万を超えました。

 

一人が何回も見たり、途中で読むのをやめてしまった人もいるので比較するのは心苦しいのですが……20万といえば1999年にGLAYがおこなった伝説のライブ「GLAY EXPO '99」の観客動員数と同じです。

すごいですよね……

GLAYってほんとすごい!ちなみに同年に発売されたシングル『Winter,again』は164万枚も売れたそうです。すごい、凄みがすごい!

 

このままGLAYの素晴らしさについて書いてもいいのですが、前回の記事に対する読者の反応は非常に興味深いものでした。

 

 

ほとんどが「そうだったのか!」「これで月一の作業が楽になる!」というものでしたが、「ハンコは必要じゃい!」といった意見も結構多かったのです。

 

思いがけぬ問題提起になったこの記事、せっかくなのでもう少し突っ込んで調べてみたい!そこで今回は、弁護士の藤井総さんに、法律的な観点も含めて話を伺ってみることにしました。

 

 

 

ハンコってほんとに義務じゃないの?

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藤井 総(ふじい そう)

2005年に司法試験合格、2006年に慶應義塾大学卒業、2015年に『弁護士法人ファースト法律事務所』を開設。数々の企業の法律顧問を務める

 

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「こんにちは!僕が書いた記事のことでご相談したいことがありまして」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「ハンコに法的な義務はないっていう記事ですよね?結構反響があったらしいですね」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そうなんです。はてなブックマークのコメント欄を見ると、肯定的な意見もある反面『嘘つくな!ハンコは無意味じゃないぞ!』というのもいくつかあって」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「まきのさんが書いた記事、僕も読ませてもらいました。間違ったことも言っていないですし、悩めるフリーランスの人たちにとって役立つ記事だと思いました。こういった問題提起はしていくべきです。ただ、誤解を招きやすい書き方をしているなぁ…とも感じました」

 

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(まきの、本気で"ゴクッ")

 

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「まず、記事のメインである請求書のハンコって意味ないんだってというのがそもそも誤解を招きやすい!これって、

 

・『請求書のハンコは義務ではない』
 一般的な請求書で、法的にハンコを押さなければならない義務はない

・『ハンコという“慣習”には意味がない』
 ハンコそのものがもっと楽なものに置き換えるべき慣習である

 

の二点を、意図的においしい部分だけ混ぜ合わせてませんか?」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そっ…いやでも、嘘では…」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain嘘ではないけど、誤解する人が出るのは仕方ないと思いますよ。だって請求書にハンコを押すことによる“得”がまったくない訳ではありませんから」

 

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f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そこのところ、詳しく教えて欲しいです!“得”とはどういうものがあるんでしょうか?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「例えば、しかるべき権限者が作成したことを推認させるとか、偽造の可能性を低減させるとか」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「なるほど。確認しますが、それでも義務ではないんですよね?

f:id:eaidem:20161120213223p:plain義務ではありません。ただ、トラブルが起きた時に、ハンコを押してる場合と押していない場合では、押していない場合の方が “困り度” が少し高くなります。それでいいなら押さなくてもいいのです」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「ハンコを押している場合でも、トラブルが起きれば困るのは困るんですか?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「それがトラブルというものですからね。わかりやすく言うと、

・毎月毎月何枚もハンコを押すという苦労を重ね、いつかトラブルが起きた時は小さな困り度に対処する

もしくは

・ハンコを押す手間をゼロにして、いつかトラブルが起きた時は大きな困り度に一気に対処する

の二択です。まあ、業種や案件の内容や取引先によって、トラブルが滅多に起きない場合もあるとは思いますが」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「確かに、弊社でもハンコなしで困ったことは起きてません」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「僕の事務所も請求書はデータで送信してますが、トラブルが起きたことはありませんね。ただ、万が一という場合もあるので、ハンコを押すことには、やはり“得”がないわけではないのです」

 

 

 

トラブルってなんやねん 

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f:id:eaidem:20161120213211p:plain「先ほどからおっしゃっている“トラブル”とはどんな場合が考えられるでしょうか。低い確率でもいいので教えてください」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「例えば、発注側の担当者と受注側の担当者が結託して、有りもしない架空取引の請求書を作ったり、金額を水増しした請求書を作ったりして、発注側の金を騙し取る事件が考えられます」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「なるほど!A社(発注側)がB社(受注側)に1万円で発注した仕事なのに、A社とB社の担当者同士がグルになって『5兆円の請求書を送ってくれたら4兆9999億9999万円を山分けできる!最高!』という感じで金を騙し取れるということですね?これは良い情報だ…」

f:id:eaidem:20161120213223p:plainやめてください。そういうのを防ぐために、請求書の押印(代表者印)を要求するのは、意味があります。少なくとも、受注側(B社)の社内でしかるべきプロセスを経ないと、代表者印は押せないですからね」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「でもそれって、受注側がフリーランスの場合には無関係では?担当者=会社みたいなものなんだから。そもそも、そんな犯罪行為よく起きることなんですか?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「いや……『低い確率でもいい』って言うから」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain受注側がフリーランスの場合は考えにくいトラブルを防ぐために、毎月毎月あんなにハンコ押して切手代使って……そりゃあフリーランスの人は恨みが募りまくってるワケですね」

 

 

 

ハンコという慣習って無くせないんですか? 

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f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そもそもハンコっていう慣習を無くすことはできないんでしょうか。今でも不可欠な利用シーンってあります?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain役所に提出する書類は結構ハンコが必要なものが多いですね。ただ、実はこれも法的に押印が義務付けられているわけではないものって、意外と多いのですよ」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そうなんですか!?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「最近だと千葉の市長が、何でもかんでも押印を要求する役所の体制に疑問を呈し、千葉市が運用を見直すことになりました

 

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「千葉の市長…、少し前に弊社の企画でヨッピーとシムシティ対決してくれた人だ。やっぱり先進的な考えの人だったんですねぇ」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain今後、役所ですら押印が不要となるケースが増えてくるでしょうね。とはいえそれはまだまだ先のこと。今はハンコが効力を持つシーンも多いです」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「欧米ではハンコではなく自筆のサインで済ませてるんですよね?じゃあ、要らなくないですか?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「サインだけよりは、ハンコとサインで二重になっていたほうが、より堅固な証明になるのは確かです。ハンコなら“押し跡”があるし、印鑑登録をしていれば偽造して利用しにくいんで」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「なるほど〜」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「一定の種類の文書を偽造すると、文書偽造罪という犯罪になるんですけど、押印のない文書と、押印のある文書では、罪の重さが違うんですね。

<押印なし>私文書偽造罪→1年以下の懲役又は10万円以下の罰金

<押印あり>有印私文書偽造罪→3月以上5年以下の懲役

という感じです」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「へ〜。それだけ、日本ではハンコに対する信頼が大きいってことなんですね…」

 

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藤井さんの襟に燦然と輝く弁護士バッジ。余談ですが、このバッジは使い込むほどにメッキが剥げて「シルバー」と呼ばれ、歴戦のベテラン弁護士のステータスになるそう

 

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「偽造しにくいから証明力が高い、ということですか」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「あとは、その堅固な証明力手間とのバランスが問題ってことです。例えば自分のパソコンにログインするために1時間くらいパスワードを入れ続けなきゃいけないなんてことになったら…」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そこまでしなくてもいいです!ってビル・ゲイツに直談判しにいかなきゃいけないですもんね」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「絶対会ってくれないとは思いますが、そういうことです」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「そういえば、はてブのコメントにあったe文書法って何でしょうか。“e"というのはおそらくネットのことだろうとは思うんですが」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「e文書法とはざっくり言うと、法律上保存等が義務づけられている一定の種類の文書について、紙文書だけでなく、電子化された文書ファイルや、紙文書をスキャンしたデータでの保存等を認める法律です。請求書も、一定の要件を満たせば、データでの保存が認められます。ただ、ハンコは関係ないですね」

参考:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)

 

 

 

前回の記事が話題になった理由をどう分析する? 

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f:id:eaidem:20161120213211p:plain「前回の記事はかなり話題になったんですが、その理由、今まで数多くの企業の法律顧問をしてきた藤井さんは、どう分析します?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「やはり不満が溜まってたからではないでしょうか。毎月請求書を作る時期になると憂鬱だったのに、『実は義務じゃなかった』という事実を知れば、『これで楽になる!』とか『今までの苦労は何だったんだ!』ってなるのは当然かと思われます」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「でも今後は双方が楽になりますよね!」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「それはどうでしょうか」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「へ?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「現状、一般的な会社は“請求書にはハンコを押すものという体制”で動いています。ハンコを押すのは確かに手間ですが、体制を変えるのはもっと手間です」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「だから現状の手間を続けるってことですか?面倒だけど一度体制を変えてしまえば、その後は楽なのに!」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「でも会社ってそういうものですよ」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「さっき“ハンコをなくしてからも会社ではトラブルは起きてません”と言いましたけど、実は“ハンコが必要だった頃の方がトラブルは多かった”んです。『ハンコがないから送り直してください』って言うと、やっぱりギクシャクしますよね」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「そうでしょうね」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「フリーランスの人はもっとトラブルが多かったと思うんです。『ハンコって必要ですか?』って言うと、こんなやつには二度と仕事を振らないってなったり」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「そういったトラブルが、『実はハンコは義務ではなかった』という事実によって、じゃあ あの時の手間をどうしてくれるんだ!という問題に発展しそうではありますね」

 

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f:id:eaidem:20161120213211p:plain「ですよね。書かないほうがよかった……?」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「いえ、ハンコは義務ではないというのは事実ですし、問題提起するのは悪いことではないと思います」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「あの記事は、発注側・受注側・法律・経理・詳しい人・詳しくない人、さらには途中までしか読まずに意見を言う人、僕の書き方のせいで勘違いする人、というのが入り混じってすごい議論になってまして」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「確かに、すごいコメント合戦でしたね」

f:id:eaidem:20161120213211p:plainネット上でこういった議論が巻き起こることってよくありますが、何を信じればいいのかな、とはずっと思っていて」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「内容の妥当性を論理的に考えよう、ソースを確認しよう、発信者の属性に気をつけよう、なんて言ったところで、リテラシーが高くない人には難しいですからね」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「実名&顔出しできちんと経歴もあるのにデマ言う人もいる一方で、Twitterの匿名アカウントでも鋭い分析をする人はいますし……」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「ただまぁ、この手の騒動って、一方の声が大きくなれば、もう一方の声も大きくなり、大抵揺り戻しがあって、時間が経てば最終的には妥当な結論になることが多いですよね。時代が判定してくれる、ということではないでしょうか」

 

f:id:eaidem:20161120211542j:plain

 

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「藤井さんはIT関係の会社の法律問題を多く手がけてますが、これからネットの記事を読む上で、読み手に求められることがあれば教えてもらえないでしょうか」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「まずは誰がその情報を発信しているか、誰がその情報を肯定/否定しているか、最低限そこだけは見ることですね。まとめサイトやバイラルメディアに掲載された情報は、PVありきな場合が多いです」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「ふむふむ」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「一方で、専門家が自身のサイトやブログで公表している情報は、PV関係なく、正確で有益な情報を、社会的責任に基づいて公表している場合が多いです。間違ったことを言うと損になる人の発言、肯定/否定のコメントは、基本的には信頼度が高いかなと」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「さっき言ったとおり、それでも間違いはあるけど、という前提ですね。なるほど、ありがとうございました!」

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「いえいえ、わからないことがあったらいつでも聞いてください」

f:id:eaidem:20161120213211p:plain「じゃあこのインタビュー代金は5000兆円で弊社に請求書を送っといてください。余分なお金は山分けしましょう!

f:id:eaidem:20161120213223p:plain「異議あり!」

 

 

まとめ 

 

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というわけで、前回の記事では勘違いしやすい書き方をしてしまい、申し訳ありませんでした。改めて調査した結果は下記となります。

 

・請求書にハンコを押すのは義務ではない?
 →義務ではありません

・請求書にハンコを押すのは意味がない?
 →偽造しにくくする、トラブルが起きた時に小さな困り度で済ますことができるなど、無意味というわけではありません

・それでも請求書にハンコを押すのは義務ではない?
 →義務ではないです。ただし上記トラブルが起きる可能性は、低いとはいえ存在します。それでよければ、ハンコを押す必要はありません

 

 

個人的な解釈ですが、ハンコって“ネクタイ”みたいなものかなと思いました。

義務ではないけど、ネクタイしてる人は信用されるし、中にはネクタイしてないと入れない場所もある。でもネクタイそのものには意味がなく、時代の流れとしてクールビズなんてものも出てきている、と。 

弊社ではこれからもハンコなしで処理していきますが、みなさんはどうお感じになったでしょうか。様々なご意見、お待ちしております。それではさようなら。

 

※今後の情報発信につきましては、より一層留意してまいります(ジモコロ編集部)

 

書いた人:まきのゆうき

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。姉妹メディア「オモコロ」で開設当初から「うさねこ」という4コマ漫画を連載中。今までもらった請求書は全部甘く煮ている。 Twitterアカウント→@yuuki

 

ジモコロも全面協力!兵庫県多可町「2泊3日PR映像プロジェクト」で優勝すれば30万円

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http://www.loftwork.com/files/2016/11/image11.jpg

ジモコロ編集長の柿次郎です。

突然ですが、兵庫県多可町をご存知でしょうか?

 

 

http://www.loftwork.com/files/2016/11/image09.jpg

多可町(たかちょう)は兵庫県の中央部にある、2万2千人が暮らす山里。

一見、ありふれた日本の田舎のように見えますが、ここではさまざまな「おもろい人たち」「アツい人たち」が、自分たちの手で「やりたい仕事をつくること」を実践しています。そんな、ちょっと自由でバイタリティあふれる多可町の人々からは、いわゆる「田舎」のイメージを覆すようなポジティブな空気を感じます。

 

場所はこのあたり!

兵庫県は神戸、西宮、尼崎なんかは有名ですが、山奥の土地となるとなかなか縁がありません。

 

 

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今回ロフトワークさんが主催する多可町のPRムービープロジェクト「TAKA Winter Video Camp」にジモコロも、がっつり協力させていただくことになりました!うおおおおお!なんかおもしろそうだからやるぞおおおお!

 

TAKA Winter Video Campとは?

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2017年1月13日〜15日にかけて2泊3日間滞在し、地域の人たちや文化に直接触れてもらいます。その流れの中で、ジモコロならどんな企画を立てて、取材をするのか…といった部分のワークショップを開催。僭越ながら私がフワッとしたことを話します。その上で企画コンペに参加してもらい、通過企画は実際に制作してもらう流れです。

グランプリ受賞者には、映像制作費として30万円!

さらにビデオキャンプ参加者にも、交通費・プラン制作費として6万円をお支払します。割と太っ腹ではないでしょうか。話を聞いてる限り、多可町がこのプロジェクトに参加する意味は、土地のポテンシャルに自信があるからだと思います。播州織を担う若旦那衆の力強さ。兵庫県の大自然を生かした農作物の数々、郷土料理など、まだ全国に発掘されていないコンテンツが眠っているようです。

なにより単純にキャンプが楽しそう!

 

兵庫県多可町を舞台に開催される「TAKA Winter Video Camp」では、合宿(キャンプ)というかたちで現地に滞在し、バイタリティあふれる個性的なオカンや職人の手仕事など、地域の「すごい(SUGOI)」を発信する「PRムービー」を制作するクリエイターを募集します。

真冬のムービーキャンプには、あったかい郷土料理と温泉、そして満天の星空のオマケ付き。兵庫の奥座敷・多可町へ、人々のパワフルな生きざまに出会いにきてください。

 

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●応募要項

2017年1月13〜15日に実施される「Taka Winter Video Camp」(以下、ビデオキャンプ)に参加する映像・アニメーション作家を募集します。

 

●ビデオキャンプ参加者が行うこと

・多可町に2泊3日滞在し、多可町のものづくり現場の視察や人々との交流など、地域の見どころを体験します。

・ビデオキャンプ終了後、多可町の魅力を広く伝えるPRムービー(以下、PRムービー)の企画コンペティションに参加します。企画プラン・ストーリーボードを制作し、2017年1月29日までに事務局に提出します。

・グランプリを受賞した場合、受賞プランに沿ったPR映像を制作し2017年3月までに事務局に提出します。

 

●プロジェクトがサポートすること

・選考によってビデオキャンプへの参加が認められた場合、プロジェクトは以下の事項をサポートします。

・プロジェクトより、ビデオキャンプ参加者に交通・滞在・プラン制作費用として6万円を支給します。

・応募者1組あたり最大2名まで宿泊場所を提供します。

・キャンプでは、参加者が多可町を代表するものづくりの現場を訪れ、働く人々と交流したり地域の見どころを体感できるツアーを提供します。

・キャンプでは、Webメディアの第一線で活躍しているクリエイターがメンターとなり、企画やストーリー制作のノウハウをハンズオンするワークショップを行います。

・グランプリ受賞者には、プロジェクトより映像制作費として30万円を支給します。

・PRムービーは完成後、多可町公式PRムービーとして地元のローカルテレビ局で流れるほか、多可町をPRするさまざまなシーンで上映されます。

 

●応募期間

2016年11月15日(火)〜12月18日(日) 深夜12:00

 

●応募条件

・日本国内在住で、映像作品またはアニメーション作品の制作実績のある方。(国籍は問いません)

・2017年1月13、14、15日に行われるビデオキャンプ全行程に参加可能であること。

 

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全体のスケジュールはこんな感じです。

 

ほとんど引用してるけど、詳しくはロフトワークさんのページをご確認ください。応募も飛び先からお願いします。

www.loftwork.com

 

応募締め切りは12月18日。おもしろそう!と感じたら、後先考えずに応募してみてはいかがでしょうか。こういうのは直感に身を任せて、行動力と覚悟を後づけで伴わせていけばいいと思います。僕自身、とても楽しみにしている企画なので多可町でお会いしましょう!

 

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

 

1分で読める!「新撰組」「織田信長」…オリジナル解釈の歴史4コマ 6連発

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 ※この4コマは、過去に歴史雑誌で連載していたものを「ああ、もったいないな。せっかくだから使おう」と思ってまとめたものです

 

書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

【東日本大震災】人口ゼロからの再スタート…ぼくの「地元」のこれから

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はじめまして、バーグハンバーグバーグのかんちと申します。

 

いま僕は母校の前に来ています。

 

この校舎は僕が小学2年生の頃に新しく建てられたもので、今から24年前、僕たちは完成したばかりのピッカピカの校舎で小学校生活を送っていました。

 

しかし、この校舎は現在使われていません。

 

それはなぜか、僕の地元の今についてお伝えします!

 

かんち
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株式会社バーグハンバーグバーグのWebディレクター。南相馬市小高区 出身で、中学卒業まで地元で過ごす。実家はガソリンスタンドを経営。

 

f:id:madmania:20161115050017p:plain「ところでサムネイルの顔、立方体過ぎない?」

 f:id:madmania:20161114220241p:plain「立方体の形をしたスイカありますよね、四角い箱に入れて育てるやつ。あれと同じ仕組みで育てられました」

 f:id:madmania:20161115050017p:plain「どういう生い立ちだよ」

 

 

 

福島県の南相馬市小高区ってどんなところ?

f:id:madmania:20161114220241p:plain「僕の地元は福島県の太平洋沿いにある、南相馬市小高区という場所にあります」

 

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「この地域は数年前まで全国的な知名度がほとんど無い、とても地味な田舎町だったんです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「うん。全然知らなかった」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「といってもスーパーやコンビニも沢山ありますし、車を15分くらい走らせればショッピングモールもあって生活に不便は感じないんですよ」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「そこまでド田舎ってわけじゃないんだね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はい。しかも海も山も川もあって、自然が豊かなとてもいい場所なんです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「そういやライターのヨッピーさんと相馬野馬追っていう1000年続くお祭りの取材もしたよね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はい。でもこのお祭りも全国的にみると知名度が低いんですよね。1000年も続いているのに……」

 

f:id:madmania:20160920003113j:plain

上空に打ち上げられた御神旗を騎馬武者が奪い合う相馬野馬追 神旗争奪戦の様子

 

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そんな僕の地元が全国的に有名になる出来事が起こったんです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「5年半前の……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はい。2011年に発生した東日本大震災福島第一原発事故です。これを境に町の運命が一変することになりました」 

f:id:madmania:20161115050017p:plain「かんち君も被災したの?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「いえ、僕はこの頃東京で生活していました。震災の当日は仕事が休みだったので、一日中テレビに張り付いてひたすら地元の状況を見守っていましたね」

 

東日本大震災時のかんちのツイート 

 

f:id:madmania:20161115050017p:plain「徐々に冷静になっていくツイートが生々しい……。南相馬市の被害はどれくらいだったの?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「ここは最大震度6弱の揺れを観測して、津波は9.3m以上の高さが襲ってきたらしいです。2016年3月時点で南相馬市の死者・行方不明者は1,125人だそうです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「やっぱり被害が凄まじかったんだね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「僕の身内に不幸は無かったのですが、中学の時に担任だった先生や同級生が亡くなりました」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「こういった情報は時間が経って落ち着いてきたから分かることですけど、震災直後の現地はやっぱり壮絶だったみたいですね。地震が来て、津波が来て、翌日には近くの原発が爆発したっていう情報が流れてきて……」

 

 

 

f:id:madmania:20160920145754j:plain

Mike Weightman (Flickr)

f:id:madmania:20161115050017p:plain「東京にいても相当なパニックだったけど、そんなの話にならないくらいの混乱だったんだろうなぁ……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そうでしょうね。うちのばあちゃんは実家の庭にいて爆発音が聞こえてきたって言ってました」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「マジかよ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「もちろんその時は、何の音かは分からなかったみたいですけど。その後すぐに、『原発が爆発したから逃げろ!』ということになって。家族や親戚みんな車に荷物を詰め込んで慌てて逃げたらしいです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「あの頃はテレビやネットでも情報が錯綜していたけど、そこにいる人達もどこに逃げればいいのかなんて分からないだろうし、相当怖かっただろうなぁ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「常に電話で連絡を取り合って、情報を集めながらとにかく遠くへ遠くへ逃げたと父親は言ってました。その時は携帯で通話しながら車の運転していても、警察は何も言わなかったそうです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「そりゃそうだわ。避難最優先」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「その後は親戚の家や被災者を受け入れている旅館などを転々として、新潟に空き家を貸してくれる人が見つかり、状況が落ち着くまでの数カ月間はそこに住ませてもらったみたいです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「他の住民もそんな感じで、みんな避難したってことよね?」

 f:id:madmania:20161114220241p:plain「そうですね。震災の翌日の3月12日夜には原発から20km圏内全てに『避難指示』が出され、その数週間後には震災の前はおよそ1万3千人弱いた南相馬市小高区の人口が、ゼロになりました」

 

 

 

 

震災から一カ月後の町の様子

f:id:madmania:20161114220241p:plain「それから1カ月ほど経って、自分の地元がどうなっているのか知りたくなったので東京から帰省して避難指示区域の中に入ったんです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「えっ?中に入れたの?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「福島第一原発からちょうど20kmの地点に検問が敷かれていたんですけど、免許証を提示して、目的を伝えれば入れました。僕は親が避難時に持ち出せなかったものを取りに戻る時に、同伴して中に入りました」

 

 

 

f:id:madmania:20160919232548j:plain

f:id:madmania:20161114220241p:plain「これは沿岸部の道路です。津波でえぐり取られていて前の風景が全く思い出せません。ある程度覚悟はしていましたが、やはり見覚えのある景色はそこにはありませんでしたね」

 

 

 

f:id:madmania:20160919232533j:plain

f:id:madmania:20161115050017p:plain「これはかんち君の実家?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「実家が経営するガソリンスタンドです。写真の左奥に写っているのは祖父母の自宅ですね」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「津波直撃したんだね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はい。なんとか建物は残りましたけど、瓦礫やヘドロが事務所に流れ込んで中にあった機器類や書類は全部ダメになっていました。ちなみに外に設置していた釣銭機の現金は避難の時に持ち出せなかったらしく、僕が見た時には何者かにバールでこじ開けられて、中は空っぽになっていました」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「えー!酷すぎる……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「当時は避難指示区域内で空き巣等が多発しているというニュースをテレビで見ましたが、まさか本当に火事場泥棒のようなことをする人がいるのには悲しくなりました。もし今後犯人を見つけたらバールで釣銭機と同じ目に合わせてやります

 f:id:madmania:20161115050017p:plain「やめろ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「やります」

 

 

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f:id:madmania:20161115050017p:plain「これは……うわぁ…家がペシャンコだ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「本震と繰り返される余震によって、このような潰れた家やお店はいたるところにありました」

 

 

 

f:id:madmania:20160919232527j:plain 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「ちなみにこれは撮影していたら寄ってきた犬です。当時はこんな感じで町のあちこちに犬や猫がいました」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「避難先にペットを連れていけないし、鎖つけたままだったら餓死しちゃうって理由で逃したのかな?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「おそらくそうでしょうね。放された動物の中には家畜の牛やダチョウまでいたそうで、当時、ネット上では『定点カメラにダチョウが映り込んだ!』とちょっとした騒ぎになりました」

 

 

f:id:madmania:20161115050017p:plain「突然野良ダチョウにエンカウントしたらビックリするだろうな……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「その後ダチョウは捕獲されたようです」

 

 

 

f:id:madmania:20160920170320j:plain

 

そんなかんじで「いつまた元に戻るんだろう。半年後くらいには避難指示解除されるかな?」なんて何の根拠もないこと考えながら、誰もいなくなったボロボロの町をパシャパシャとカメラに収めていました。

 

 

 

 

 

 

あれから5年4カ月

 

 

 

 

今年の2016年7月12日、南相馬市小高区のほぼ全域で避難指示解除されたというニュースが入りました。

 


f:id:madmania:20161115050017p:plain「5年半経ってようやくか……。町のみんなは戻ってきたのかな?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そこが気になって先日地元に帰ってきました!」

 

 

 

南相馬市小高区 の今

小高区の中心部から沿岸部までを車で撮影した動画

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「車はそこそこ走っていましたが、ほとんどのお店はまだ営業再開していないので外を歩いている人はかなり少なかったです。あと動画の最後、道路の両側に何かがたくさん映ってましたよね」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「あれ何?のぼりみたいなのが並んでたけど」

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「なんだろう?と思って車を降りてよく見てみると……」

 

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「全て『おかえりなさい!』と書かれたのぼりでした。あまりに数が多かったので、正直ちょっとだけ『こわっ!』って思ってしまいました……」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「思うな」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「すみません。思っちゃいました。ついでにこの白い壁の中はどうなっているかというと……」

 

 

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「こんな感じで津波で出た瓦礫や、除染作業によって回収された放射能汚染された土などが黒い袋に入れられ大量に並べられていました。この除染廃棄物を最終的にどこに置くかというのも課題になっています」

 

 

 

 

f:id:madmania:20160914184834j:plainf:id:madmania:20160914184845j:plain

f:id:madmania:20161114220241p:plain「また車で走っていると、道路の横にこのような看板もあちこちに設置されています。メッセージ性が強いので、見ていて気持ちのよいものではありませんが……」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「原発事故に対する住民の怒りが伝わってくるね……」

 

 

 

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f:id:madmania:20161115050017p:plain「これは住宅の解体?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はい。補助によって家の取り壊し費用無償だったこともあり、地震のダメージを受けてそのまま5年以上経った家を取り壊している家庭も結構ありましたね。人が住まない家はすぐ傷むというのは本当のようです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「みんな家を壊してるってこと?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「いえ、うちの実家は避難指示期間中も定期的に戻って家の掃除をしていたので、そのまま住めますし、そういった家庭も多いです」

 

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「取り壊さずにリフォームする家や、取り壊した後にもう一度そこに新しく家を建てる家庭もあります。中には更地にした土地に太陽光パネルを設置する家庭もありましたよ」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「なるほど。震災前は1万3千人弱が住んでいたって言ってたけど、今はどのくらいの人が戻っているんだろう?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「市の ウェブサイト を見ると、2016年11月17日現在で967人がここで生活を再開しているようです」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「うーん、1割も戻ってないのかぁ。そんなもんなのかな?」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「いや、少ないと思いますね。しかも半数以上は高齢者と言います。その理由として、まだ小中高校が再開していないことや、スーパーなど買い物する場所がほとんど無いことが挙げられます」

f:id:madmania:20161115050017p:plain「生活インフラがまだ整っていないってことかぁ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そうですね。でもこういった状況を悲観的な目で見るのではなく、チャンスと捉えて行動している人もいるんです。後日話を聞く機会ができたので、インタビューしてきました」

 

 

 

 

課題の数だけ仕事がある 小高ワーカーズベース 和田智行さん

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株式会社小高ワーカーズベース 代表取締役 和田智行さん。「100の課題から100のビジネスを創造する」を企業理念にかかげ、地元の復興のために活動をする。1977年生まれ。 

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「はじめまして、よろしくお願いします。和田さんもここの出身なんですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「はい、僕も小高生まれの小高育ちです!」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「一緒ですね!ずっと地元っ子だったのでしょうか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「いえ、大学進学のタイミングで地元を離れて、しばらく東京の会社でITエンジニアとして働いていました。その後、2005年にUターンして小高に戻ってきたんです。地元に戻ってきてもWeb系の仕事を続けていました」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「なるほど。それで小高に戻ってきて6年後に被災したんですね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「はい。幸い私の家は地震や津波の被害はありませんでしたが、震災の翌日、原発がヤバいぞ!となり、避難指示が出る前に家族全員で自主的に逃げました。その後、避難場所を転々としながら妻の実家の青梅市に辿り着いたんです」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「車で避難したんですよね?僕も当時ガソリンスタンドで働いていたので記憶に残っているんですけど、当時ガソリンを手に入れるのって相当大変じゃなかったですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「いやぁ、大変でした……。避難の途中、栃木県宇都宮市でガス欠になって立ち往生したんですね。そこで妻の実家に連絡して、青梅にある実家の車からホースを使ってガソリンを抜いて携行タンクに詰めてもらい、それを便利屋さんに頼んで青梅から宇都宮まで運んでもらったんです。時給2千円で」

 

 

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「やっべ。車からガソリン抜くって終末世界だけの話かと思いました」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「でもそういう原発パニックエピソードは、避難した人全員にあると思いますよ」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「たしかに……僕の両親も当時の話はいろいろしてくれました。和田さんは避難後もITの仕事を続けていたんですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「最初はそうですね。もともと東京の仕事をサテライトでやっていたので、避難で場所が変わっても仕事は続けられました。ただ震災後1年経った頃から、この仕事を続けることがしんどくなってきて……」

 f:id:madmania:20161114220241p:plain「ITエンジニアの仕事がですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「はい。その頃はGREEやモバゲーなどソーシャルゲーム全盛期で、それに関する仕事をしていました。でもいくらシステム開発に時間を費やしても、この先どうなるのか、いつ地元に戻れるのか、という自分の中の先行き不透明感を一向に晴らすことはできなくて。それで2012年12月に仕事を辞めました」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そこから地元の復興のために動き始めたんですね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「最初は外から視察などで避難区域を訪れる方達をガイドしていました。そうして震災から2年が経った頃、他の被災地を見てみると岩手や宮城などは外部の支援や住民の努力によって少しずつ復興に向けて進み始めているのに、この地域は相変わらず住民がゼロで、全く前に進んでいなかったんです」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「うーん、人が住んでいるところを優先するのは仕方ないことですもんね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「そもそも当時この地域には、復興のために活動する拠点すら無かったんです。そこで僕が小高ワーカーズベースを立ち上げて、避難区域内でもWi-Fiに接続して仕事が出来るコワーキングスペースを作りました。それがこの会社のスタートですね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「へぇー、どんな人がコワーキングスペースを利用するんですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「避難指示区域を取材しに来たライターの方が、そのままここで記事を書いていくことはよくありました。あとはスマホの速度制限かかってしまって、自宅にネット環境もない人が避難区域の外からわざわざここに助けを求めて来たり」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「なるほど。南相馬市全体で見てもフリーのWi-Fiスポット全然ありませんもんね。コワーキングスペース以外の活動ではどのようなことをされているんですか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「当時は営業している飲食店が1店舗も無かったので、作業員や地元の方が気軽にごはんを食べられるように2014年12月に食堂『おだかのひるごはん』をオープンしました。今年の3月に役目を終えて閉店しましたが、黒字営業だったんですよ(笑)」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「自宅の掃除とかで帰ってくる地元の人が結構多かったんでしょうね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「そして今メインで運営しているのは、2015年9月にオープンして現在も営業中の『東町エンガワ商店』というスーパーです」

 

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f:id:madmania:20161114220241p:plain「いかにも仮設って感じの建物ですねー!」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「ここができた経緯は、地元の人から『お店がないと小高には戻れないよ』という声が市に多く寄せられていたのが始まりです。そこで市がこの仮設スーパーを作ったんですね。ただ、作ったはいいけど運営してくれる地元の企業がなかなか見つからなかったみたいで」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「なるほど。そこで小高ワーカーズベースが手を挙げたということですね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「はい。さっきの食堂もそうですが、こういった商売は全くの素人なので成功するかどうかはやってみないと分からないですよね。僕の会社はまだ小さく、失うものは何も無かったので『是非うちにやらせてください』と言って運営を任されました」

 

 

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コンビニと変わらない品揃え

 

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お昼時は多くの地元民や作業員がお弁当を買いに来るそう

 

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地元の銘菓や名産品も取り扱っている

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「ところで、いまこちらに来ている原発関係の作業員の方々って全国から集められていますよね。正直コワモテな人が多いイメージなんですけど、店内でトラブルが起きたりとかありませんか……?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「東町エンガワ商店で揉め事はオープンしてから今まで一度も無いです!地元の方も作業員の方も、皆さんとてもいい人です」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「おぉ!ちょっと安心しました

 

 

 

今この場所に足りないこと

f:id:madmania:20161114220241p:plain「今年の7月に小高は避難指示解除されて住めるようになりましたけど、今ここに足りないものってありますか?」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「やっぱり居酒屋みたいな人が集まってわいわいできる場所は出来て欲しいです。今は夜営業しているお店がお寿司屋さんしかないので、流石に毎日も通えないし……」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「たしかにお酒飲みながら情報交換する場所は、こういう所だからこそ必要ですね。ほかに娯楽施設もないですし。あ、娯楽といえば南相馬市周辺のパチンコ屋さんってどこも駐車場がいっぱいで繁盛してますよね……。これ以上言いませんけど、複雑な気持ちになります」

 

 

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避難指示区域”外”のパチンコ屋さんはいつも駐車場がいっぱい!

 

f:id:madmania:20161114220234p:plain「実際、働かなくても賠償金で生活できちゃっているので、労働意欲が低下しているというのはこの地域が抱える大きな問題ですね」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「市内のコンビニに張り出されている求人募集のバイト時給が、震災前と比べて数百円上がってました。働ける・働きたい人が少ないのかなぁというのを僕はそれを見て感じました」

f:id:madmania:20161114220234p:plain 「このままだと、東京電力から賠償金や補償金をもらって余生を静かに過ごしたいと考える高齢者ばかりの町になるんじゃないかという懸念はあります」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「完全に悪い流れだ」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「僕はなんとかそれを断ち切りたいんです。大半の人は『そんなところで生活を再構築できるの?』という目で見ていると思うんですけど」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「人口がゼロになってますからね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「でも見方によっては、人口がゼロからスタートして、これからどんどん人が増えていく可能性がある場所だと思っています。南相馬市小高区は避難指示解除から10年後5~6千人にまで人口が回復する見込みで計画を作っていますし」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「震災前で1万3千人弱なので、約半分かぁ」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「それだけを見れば、10年経っても元の半分かと思われるかもしれません。でも一度人口がゼロになったことを考えれば、10年でゼロから6千人町が急拡大すると考えられるのではないでしょうか」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「たしかに『6千人の移住者』と考えたらすごい規模だわ」

 

 

 

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f:id:madmania:20161114220234p:plain「今あるどの町も、元々原野だったところを開拓したところから始まっています。そしてそこに『自分も住みたい』という人たちが集まって一つの町になった。それと同じようなプロセスが、この日本という成熟した国でできるのはこの区域でしかないと思うんです」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「そう考えるとワクワクしますね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「この町はスタート時点で解決すべき課題が山ほどあって、ひとつひとつ対応していくことで今後人口が増えていくはず。人口が増えればおのずとニーズも増えていき、仕事のチャンスも増えていきます」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「ってことはつまり、100の課題があれば100の仕事が生まれるってことですね!」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「それはうちの会社のキャッチコピーなんで、いま自分が思いついたみたいに言わないでください」

f:id:madmania:20161114220241p:plain「すみません」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「小高ワーカーズベースは今年6月に新たにガラス工房の運営も始めました。コーヒーの耐熱ガラスで有名なHARIOのガラスアクセサリーの加工や販売をしています」

 

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ガラス加工の様子(HARIOランプワークファクトリー小高)

 

f:id:madmania:20161114220241p:plain「現状、働く場所が少ないこの地域でこうやって働く場所が増えていくのはとてもいいことですね」

f:id:madmania:20161114220234p:plain「この町はまさにリアルシムシティなんです。一度リセットされてゼロになったこの場所を、みんなの力で住みよい町に作り上げていきたい、そう思っています」

 

 

 

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最後に和田さんに「次の目標は?」と聞くと、「来年の春に小・中・高校が再開するので、みんなが安心して通学でき、そしてみんなのたまり場になるような場所を作りたい」と語っていました。

 

 

 

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僕の通っていた校舎も来年には生徒が戻ってきて、ここで授業が再開される予定です。こうして少しずつ町としての機能を取り戻し始めたこの南相馬市小高区。

 

 

多くの課題を解決しながら10年後には6千人の人口を目指すこのシムシティみたいな町に興味がある方は、まずは足を運んでみてはいかがでしょうか。ここにはたくさんの可能性が眠っているはずです!

 

 

 

取材協力:株式会社 小高ワーカーズベース

 

ライター:かんち

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。
胸板が厚いので隙間に挟まって動けなくなることもしばしば。
Twitter:@zmukkuri

 

じいちゃんとわたし「大好きなじいちゃん」

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ジモコロをご覧の皆さん、はじめまして。食いしん坊イラストレーターの杏耶と申します。

基本的に食べては描いて…

 

作っては食べて描いて…

 

の日々を送ってます。


体の中にプリン体を大量に飼育するのが最近の日課です。

 

ですが今回は、山形県で生まれ育った私のルーツとも言える…じいちゃんの話を描いていきたいと思います。


今回自分の祖父の事を語るきっかけになったのはニュースで見る認知症と疑われる老人による事故などで自分の祖父や家族の時の事を思い出す事があり…。

 

介護疲れで心身ともに参っている家族の方の気持ちが軽くなるような、介護にも色んな道があるんだと思ってもらえるよう漫画で伝えられたらなと。気軽に読んでみてください!

  

じいちゃんとわたし

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書いた人:杏耶

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食いしん坊イラストレーター、食べることと料理をすることが大好きで、趣味の一環で手軽に作れる様々なレシピを独自に考案、それをイラスト化した「あやぶた食堂」を2015年に発売。その他に丼物オンリー漫画「ド丼パ!」、東北のお酒と郷土料理を紹介したコミックエッセイ「のんで東北たべて東北」も発売中。Twitter ID→ @ayatanponpon / WEBサイト→ http://ayabubububububu.jimdo.com/

 

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (08) - レッツショッピング/こだわり一面

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

「頼んでないメニューが勝手にセットで出てくる」 独特すぎる喫茶店『故郷』の商売論とは?

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みなさん、こんにちは。ライターのナカノです。

 

突然ですが、みなさん街歩きは好きですか?

私は大好きです。

  

「街歩き」で私が思い浮かべるのが、清野とおるさんの漫画『ウヒョッ!東京都北区赤羽』

ウヒョッ!東京都北区赤羽(1) (アクションコミックス)

ウヒョッ!東京都北区赤羽(1) (アクションコミックス)

 

著者である清野とおるさんが、東京都「赤羽」の街で生活する面白い人や場所を掘り下げていく本作。

この作品を読んで、一度も降り立ったことのない赤羽に引っ越したいと本気で思いました。登場する人や場所の魅力が、それはもうギュギュッと詰まっているんです。

 

私も自分がゆかりのある街を、まだ見ぬ誰かに好きになってもらいたい〜!!

 

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そこで今回は、私が普段働いている「長野県上田市」のディープスポットを紹介させてください。

 

 

時間の感覚を奪われる異空間!

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改めまして、風に吹かれてこんにちは。ライターのナカノです。

本日やってきたのはこちら『喫茶 故郷』

 

会社の先輩に教えられて初めて足を運んだ時、びっくりしました。

自分が今どこにいて、何をしているのかわからない感覚に陥ったんですよ。

 

 

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絶妙な色使いやフォント。 

縦横無尽に伸びている草木にアートを感じざるをえません。

中の様子を一切遮断している茶色のカーテンにより、足を踏み入れるのをためらってしまう…。が、勇気を出して入ってみましょう!

 

カランコロン〜♪

 

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おばあちゃんち感がすごい。

小学生の頃、よく海や山に行っていて。おばあちゃんにお土産を買って帰ったことをふと思い出しました。おばあちゃんって、買って帰ったお土産をみんな並べて飾ってくれるんだよなぁ。

 

注文をしようと思ったけれど…

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f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「いらっしゃいませー。はい、ちょっと待っててくださいね」

 

席に着き、メニューを待つ。

店内に流れるクラシックのせいか、明かりのせいか、すでに脳がとろけそうな眠気が…。

 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「はい、お待たせしました〜」

f:id:eaidem:20161128155258p:plain「え?」

 

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain頼んでないです!」 

 

 

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f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「まぁまぁ、いいからな。ほら食べて、飲んで」

f:id:eaidem:20161128155258p:plain「え、あ、はい」

 

 

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  • コーヒー
  • しそ茶
  • ゆで卵(固ゆで)
  • カール(6粒)

多分このお店でしかみることのない組み合わせなのではないでしょうか。

 

 

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卓上用ではなく調理用のキッチンソルトは存在感抜群です

 

 

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ちなみにこの後、紅茶とコーヒーがもう一杯運ばれてきました。んん?? 

 

 とにかく色々聞かずにはいられない

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 色々聞いてみることにしました。だって気になるんだもの。

 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あの故郷って店名は、お父さんがつけたんですか?」

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「いやあ、この人がつけたなぁ」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あっ、お母さんがつけたんですね!」 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「喫茶店を始めるってことで、どういう名前をつけようかなぁって考えたんですけど、人は誰しも故郷のことを想いますから。私自身も故郷が好きなので、お店の名前にしました」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「お母さんの故郷は上田なんですか?」

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「いや、私は岐阜県の出身なんですよ。こっちに嫁いできたんです。この辺の近くで親戚がやってた喫茶店を手伝ってから独立したんですよ。このお店をオープンしたのは、40年前くらいですね」

 

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「40年前といえば1970年代ですよね。長い年月を経て、客層に変化はありましたか?」

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「うーん。開店当時からいらっしゃったお客様は亡くなった方もいらっしゃいますからねぇ」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「そうか。長年お店をやっていると、そういう事態も起こるんですね…!」 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「一生懸命通ってきてくれた人はみんないなくなっちゃったからなぁ。あぁ。世の中っていうのはな〜。今度は自分の番だな、早いもんだな、早いもんだ…」 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「まだ諦めないでください」

 

 

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お父さんのファッションはオシャレなアーガイル柄。

 

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ツヤツヤ輝く長靴。外は晴れていたけれど、ブーツのように履きこなす

 

 

 

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「今、上田は大河ドラマの影響によって観光客がごった返していると思うんです。いわゆる真田丸フィーバーってこのお店にもありますか?」

 

 

故郷から歩いて20分のところにある上田城。

城内に期間限定でオープンした「信州上田真田丸大河ドラマ館」には60万人を超える来場者が。とんでもないフィーバーを巻き起こしています。

 

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f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「みんな喫茶店には寄らないわ。パーッとバスでやってきて、上田城に行って食事をして帰っちゃうなぁ」

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「そうですね。お客さんが増えたかというと、そんなことないですね」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「うーん、確かに観光バスや車で来る方が多いから、歩いてお店に立ち寄ることってあんまりないんですね。せっかく上田に来てもらってもぱぱっと帰ってしまうのは寂しいです…」

 

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一瞬の表情がコミカルすぎるお父さん。好きだな〜!

 

 開店してから40年経つけれど

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あの、メニューについてお聞きしてもいいですか。どうしてこの組み合わせなのでしょうか?」 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「あ〜そんなもんはな、いいだいいだ」

f:id:eaidem:20161128155258p:plain「え?」

 

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あの、お父さんが内容を決めたんですか?」

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「決めたじゃねぇだ」 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あれ、じゃあお母さん?」

 

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f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「ひとつ飲んでいただければサービスで出しているんです。その時によってものは違うけど、卵も出してますね」 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「は、はぁ…。あ、でも、おかげさまでお腹いっぱいになりました! ちなみにメニューはないんですか? 座ったらいきなりセットが出てきてびっくりしちゃって」 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「みんなね、メニュー見せてくださいって言わないですから」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「えっ、新鮮。じゃあ言えば出してもらえるんですか?」 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「いやぁ、大体お客さんコーヒー頼むじゃないですか。だからメニューがなくてもいいんです。でもね、一応ほら、あるんですよ」

f:id:eaidem:20161128155258p:plain「(なんだか設定が難しい…!)」

 

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おもむろにメニューを差し出すお母さん。上下紫色のジャージが素敵…!

 

 

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表面の店名はお母さんの手書きだそう

 

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f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「あっ、本当だ。ちゃんとメニューがあったんですね!」 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plain「そう、開店当初のメニューです。ここには書いていないけれど昔はカクテルもやっていたんですよ」 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「えー!アルコールも提供していたんですね。どうして今はアルコールの提供を行っていないんですか?」 

 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain商品ってのは、色んなものを出すと失敗しちゃうんだよ」 

f:id:hitomonji:20161121221514p:plainそう。だからメニューは一つで勝負なんですよ」 

 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「いきなり阿吽の呼吸で商売論が…! 深いようで、なんだか矛盾しているような気も…。コーヒー、しそ茶、紅茶、お菓子にゆで卵まで…。これだけ沢山出てきて値段はおいくらなんでしょうか…。600円? 700円くらいですかね?」

 

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f:id:hitomonji:20161121221456p:plain300円だよ。うちは40年間変わらず300円!」 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「えっ!安すぎる!!!」

 

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カウンターにいらっしゃった常連さん

この日訪れたのは2回目だそう。支払いをしようとすると、お母さんから「今日は1回目でお金もらったから払わなくていいよ」とのこと。どういうこと?!  飲食店の常識はどこへいっちゃったの!?

 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「いやあ、欲があるとよくないなぁ。何事もまじめに堅実にな。小さい銭稼いでやってく人が成功するのかもしれないな」

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain「良いこと言う〜。コツコツやってくことが大切なんですね」

 

f:id:hitomonji:20161116081704j:plain

 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「ああ、そうだなぁ。俺は16年生まれだからな、まだこんなガキだったんだよ。12月8日に太平洋戦争が始まっちゃってさ。うすうす覚えているけどな…あぁ…」

 

f:id:eaidem:20161128162815j:plain

 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plain?! お父さん?」 

f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「うーん、そんなようなもんだな、うん。旧ソ連とアメリカがな、あぁ…」

f:id:eaidem:20161128155258p:plain回想しないで〜!!

 

 

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f:id:hitomonji:20161121221456p:plain「あと、そうだ…。セブン、イトーヨーカドー、そごうってな。これからはこんな風に進んでいくよってどんぴしゃだ…ああ…」

 

f:id:hitomonji:20161121221509p:plainおとうさーん!!!」

 

まとめ

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気づけば3時間半も居座ってしまった。あまりにゆったりしていて、時間の概念が奪われる。とんでもない異空間に飛び込んだ気分です。

 

でも、思い返してみると時間を気にせずコーヒーを飲む機会って貴重かもしれません。

 

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カフェに入る時、1杯のコーヒーの値段=作業をするための場所代と考えることもしばしば。

 

電源が使えてWi-Fiも飛んでいる使い勝手のいいチェーン店もいいけれど、たまにはパソコンの電源を落として、何も考えずふらっと喫茶店に立ち寄るのもいいかもしれません。

長野県の上田に来たら、話好きな故郷のお父さん、お母さんがあなたを待ってますよ…! 真田丸のついでに立ち寄ってみてくださいね!

 

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帰り際にゆで卵をいただきました。

 

 

●喫茶 故郷

住所:長野県上田市中央3-11-15

電話:0268-24-2706

営業時間:10時〜21時ぐらい(日によって変動有り)※不定休

https://tabelog.com/nagano/A2004/A200401/20008411/

 

 

※ナカノヒトミが書いた他の記事も読もう!


 

書いた人:ナカノ ヒトミ

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1990年長野県佐久市生まれ。最近、意識的に散歩をはじめた。
twitter: @jimonakano/個人ブログ: ナガノのナカノ

 


【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 10話「母とサンタと蛇足」

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<柳田さんと民話・一覧>
10

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【混浴】まるでDQ3のギアガの大穴!? 北海道「屈斜路湖」にある野外露天風呂が愛されるワケ

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ザッ…ザッ…

 

 

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降り積もる雪…

 

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北海道、寒すぎるだろー!!

34歳のおじさんの疲れた顔が無情にも浮き出てくるほどの寒さ。

そして豪雪。コンディションは最悪です。

 

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ここは北海道の道東エリアにある「美幌峠(びほろとうげ)」。10月下旬だというのにしんしんと雪が降り続けてご覧の有り様です。阿寒国立公園内にある峠で、天気さえ良ければ屈斜路湖(くっしゃろこ)が一望できるのに…。

 

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見事なホワイトアウト。

 

 

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良い時期に訪れたらこの絶景なんです

 

ちなみにこの屈斜路湖、あまり知られていないかもしれませんが…日本最大のカルデラ湖なんです。湖の周囲は57キロ、面積は79.3平方キロメートル、最大深度は117.5メートルとバケモノみたいなスケール感。しかも、湖心に浮かぶ中島ですら、周囲12キロ、面積5.7平方キロメートルと淡水湖として日本最大だそうです。

 

火山入門―日本誕生から破局噴火まで (NHK出版新書 461)

火山入門―日本誕生から破局噴火まで (NHK出版新書 461)

 

 

突然ですが、たまたま興味があって読んでいた新書『火山入門 -日本誕生から破局噴火まで』の中に、カルデラについて詳しく書いてあったので引用させていただきます。

「カルデラ」は、もともとはポルトガル語で「大きな鍋」のことである。火山学ではカルデラは火山を中心にした大きな窪地のことで、地下から大量のマグマが出てきた結果、地下に空洞ができ、その空洞が陥没して地表が大きく窪んでできるものである。阿蘇山で見られるものが有名だ。

引用元:島村英紀火山入門 -日本誕生から破局噴火まで』(NHK出版、2015年)

屈斜路カルデラができたのは約3万5000年前〜4万年前と推測されていて、同じ体積のマグマが噴出した跡だと考えると…ゾッとしませんか? 世代的にドラクエ3の「ギアガの大穴」をイメージしました。地下世界は存在しないとしても、火山活動の激しさにガクブルです。

噴火の結果できたカルデラとしての日本最大のものは北海道の屈斜路カルデラ、2位が阿蘇カルデラ、3位は鹿児島県の姶良カルデラである。

引用元:島村英紀火山入門 -日本誕生から破局噴火まで』(NHK出版、2015年)

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20160721/20160721183744.jpg

今年の夏、熊本の取材で阿蘇山も訪れていて「なんなんだよ、このドラクエみたいな世界観…」と呆然としたものですが、それすら凌駕する屈斜路カルデラの存在。日本列島がいかに活発な火山活動の上に成り立っているのかが分かりますね。

豊富な温泉資源、そして鉄や銀といった鉱物、その土壌で実る野菜などなど、火山活動から見る日本めちゃめちゃおもしろいよー!!

 

噴火の規模としては桁違いに大きいカルデラ噴火だが、いままで日本では10回以上も起きている。今後、永久にカルデラ噴火が起きないということはあり得ないだろう。これからも短ければ数千年ごとに起き続けるはずである。カルデラ噴火がこの次にいつ起きるかについて定説はない。だが、ある火山研究者が2014年に発表した計算によると、100年以内に起きる可能性は1%だという。低いと言えば低い。しかし、1%というのは阪神・淡路大震災(1995年)が起きた前日に政府の地震調査委員会が発表していた地震の確率と同じである。可能性が低いといって安心できるレベルではないのかもしれない。この研究者は、もし将来、この種の巨大なカルデラ噴火が起きると、噴火そのものとそこから出る火山灰の影響で、最悪の場合、1億2000万人の死者が出ると試算している。つまり、日本人のほとんどが死に絶えてしまうということだ。この種の「次のカルデラ噴火」がいつ、どこに起きるかはわからない。しかし、もし九州に起きると、九州はもちろん壊滅的な被害を生じるが、偏西風のために火山灰が運ばれて影響は日本全体に及ぶ。この1億2000万人の死者という試算は九州でカルデラ噴火が起きたとしたとき、つまり日本にとって最悪の想定である。

引用元:島村英紀火山入門 -日本誕生から破局噴火まで』(NHK出版、2015年)

一方で、身の毛もよだつようなカルデラ噴火怖い話も…。興味がある人は、ぜひ本を手にとってみてください。

 

おじさんのウンチクは置いといて…

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「ああ、温泉入りてぇ。大自然の写真を撮りたくて、はるばる北海道までやってきたのに夢が潰えるだなんて。寒さで足の指先までキンキンに冷えてる…」

 

 

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このままだと白い雪に包まれた織田裕二になってしまう可能性が高いため、屈斜路湖のある弟子屈方面へ向かいます。

 

 

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もしものことを考えて、旅の経路に入れていたのがこちらのスポット!

 

屈斜路湖の湖畔に見えるんですが、後ろを振り返ると…

 

 

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うわー!野外の露天風呂だー!!

湖と直結した公衆浴場で、正式名称は「和琴温泉(わことおんせん)」。むき出しの更衣室が野性味を感じさせます。屈斜路湖内の和琴半島にはあちこちに温泉が湧き出ていて、その入口に位置するのがこの公衆露天浴場です。野外で混浴風呂ってダイナミックすぎる。

 

もちろん入浴料は無料!

 

すぐ近くに駐車場もあるため、車でのアクセスも問題ありません。野外の露天風呂に抵抗がある人は、和琴半島の少し奥にある室内公衆浴場を利用しましょう。

  

 

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地元のおっちゃん、おばちゃんたちが憩いの場として利用するだけでなく、物珍しそうに欧米人の男女も全裸で入ることもあるとか。なぜなら野外の露天混浴風呂だから!

 

 

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冬でも風情があり、白い湯煙が温泉好きにはたまりません。 

 

 

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10月末という時期が時期だけにガラガラ。全裸上等の四文字を頭に唱えながら、「うおおおおお!温泉んんんんっっ!!」と衣服を脱ぎ捨て飛び込みました。極寒だから。全裸で佇むリスクが最高潮に達してます。同時に温泉欲もトップギア…!!

 

 

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取材旅行に欠かせないジモコロの手ぬぐいを写しつつ…。ありがとう。スポンサーのアイデムさん…。経費がなけりゃこんなところまで来れなかったぁ。

 

では、皆さんご唱和ください。

 

 

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極寒の露天風呂最高〜〜〜!!

 

 

ただの野外の露天風呂ではなく、泉質がマジで良いんです。ジモコロの取材旅行を通して年間50回以上温泉に浸かっていますが、野外という点を差し置いても、かなり気持ちの良い泉質…! そこまで硫黄臭くもなく、それでいて成分が濃い感じ。ちょうどいい温度の源泉が足元から湧き出ているのが分かります。

 

 

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前述の阿蘇カルデラ周辺の温泉が人気なのも泉質のおかげだといっていいでしょう。大規模噴火を起こしたカルデラと温泉の関係性は切っても切れない。つまり、日本最大の屈斜路カルデラの湖畔沿いの天然温泉なんて良い泉質なはず…! フレッシュ!!

 

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しかも、足元が砂利って珍しい。お尻にあたる感触が独特なんですが、大自然の中に肉体とともに溶け込む感覚は和琴温泉ならではかもしれません。こりゃ、癖になる。

 

 

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途中、歴戦の猛者的なおじさん(全裸)、おばさん(タオル巻いてる)が入浴してきたので、ちょっと話を聞いてみました。ちなみにおじさんは、湖に近いエリアでゴシゴシと頭を洗い始めたので只者じゃないと思います。

 

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「すみません。おじさんはこの温泉のヌシですか?」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「ん? 違うよー!」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「立ち居振る舞いが風景に馴染みすぎていたので、幻のヌシと対峙してるのかと思いました」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「なにいってんのー。おれはあれだよ、あれ。遠くから白人のお姉ちゃんが見えたから、もしかして!?と思って入りに来たんだよ。そしたら、もう温泉に浸かって出た後だったんだよ。惜しかったな〜!」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「志村けんのコントみたいなことしてたんですね」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「君たちはどこから来たの?」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「東京ですね」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「あらー、遠路はるばるご苦労なことで」

 

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f:id:eaidem:20161129192943p:plain「ここは初めてなの? だったら、ここの源泉を飲んで行った方がいいわよ」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「え、ここの温泉飲めるんですか?」

f:id:eaidem:20161129192943p:plain「もちろん。昔からここの温泉を飲んだら病気が治るって評判なのよ。特に目が良くなるって言われてるのよ」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「そうそう。70歳過ぎたじいさんが、ここの温泉を飲んだら視力が0.2から0.8まで回復して、運転免許を取ったなんて話があるんだよ。あっはっはっ!」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「視力が上がるかもしれない温泉!? 断言するとネットで叩かれるやつだ!」

f:id:eaidem:20161129192947p:plain「あと、あれだよ。ここの温泉飲んだら、こぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んなでっけぇウンコが出るんだよ。便秘に悩んだらここの温泉で間違いないな〜」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「便通にも良し! 胃腸と免疫が弱い系男子なので気になります。せっかくなんで上がったら飲んでみますね」

 

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というわけで、木にぶらさがっているWe are the oneなコップを借りて、おばさんの浸かっているすぐ傍にある源泉が湧き出ているポイントをすくってみました。

 

f:id:eaidem:20161129192943p:plain「もっと奥よ!奥!」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「え、あ、はい(ほぼ、おばさんのお尻の近くだ…!)」

f:id:eaidem:20161129192943p:plain「そうそう。そのあたりよ」

f:id:eaidem:20161129193244p:plain「ここですか?(いろいろ複雑なやりとりだなぁ…)」

 

 

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「ゴクッゴクッ…」

 

おお、飲泉特有の硫黄臭さといったクセがなくて飲みやすい。成分が強いため、コップ軽めに飲むぐらいがちょうどいいのだとか。

いやー、浸かっても良し。飲んでも良し。地元の人との交流含めて、改めて温泉ってのはいいもんですね。

 

 

しかも、我々が利用した「根室中標津空港」から約1時間の距離にあるため、「屈斜路湖」「摩周湖」を訪れるときは旅のプランに組み込んでみてはいかがでしょうか。フライト直前に温泉をキメると、すこぶる身体がご機嫌になるのでオススメです!

ちなみに効果があったのかどうか定かではありませんが、ここの温泉を飲んでからでっかいウンコが出て便通の調子は良くなりました。一週間くらい。毎日飲みてぇ。

 

●屈斜路湖 和琴温泉

住所:北海道川上郡弟子屈町字屈斜路和琴
TEL:01548-2-2191(弟子屈町役場)
その他:入浴料無料、24時間営業、駐車場あり

 

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北海道・道東エリアのジモコロ取材旅行はまだまだ続くぞ〜。

 

●ジモコロ×北海道・道東エリア特集 記事一覧

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

【4コマ】イエティーと髭博士「おにぎり」

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ジモコロの新キャラクター「イエティー」と「髭博士」の日常を描いた頭からっぽの4コマ漫画です。なんでも知っている髭博士となにも知らないイエティーのやりとりをお楽しみください。

 

●登場人物

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頭からっぽ4コマ

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<イエティーと髭博士の4コマ一覧>

 

 

 

漫画描いた人:カメントツ

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仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi

商店街を歩きながら、道行く人と「怪獣」に話を聞いてきた

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こんにちは、ライターのギャラクシーです。今日は兵庫県の尼崎市に来ております。

尼崎は、工場と商店と、ガラの悪い 気さくなおじさん・おばさんの町。そして何を隠そう、僕が40年住んだ地元でもあります。

 

今回は、そんな尼崎市の中心部に位置する『三和商店街』周辺を巡りながら、そこらへんを歩いてる人に話を聞いてみようという、ゆるゆる企画をお送りします。

 

こってりドロドロに煮込まれたおじさん・おばさんの人生模様をお楽しみください。

 

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兵庫県尼崎市とは……

本題に行く前に、尼崎市がどういう町なのか軽く説明しましょう。

 

尼崎市は兵庫県の南東端に位置し、大阪市と隣接している町です。

市外局番も大阪市と同じ「06」なので、兵庫県なのに大阪の市のひとつと勘違いされたりもします。そして尼崎人自身も、他府県の人に出身地を説明するのが面倒くさい時は「大阪のほうですわ」と言ったりします。

 

 

人口は2010年の時点では約45万人。人口密度で言うと兵庫県内で最も高く、日本全国すべての市町村の中でも30位以内に入るそうです。

なぜそんなに人口密度が高いのかというと、単純にムチャクチャ便利だから。

電車なら大阪まで15分以内、神戸まで30分以内でいけます。つまり良いとこ取りできるわけですね。

 

工場が非常に多く、工業地帯が町全体の36.1%(準工業地帯を含む=尼崎市公式HPより)を占め、かつては阪神工業地帯の中核『工都』と呼ばれました。

弐瓶勉のマンガみたいでかっこいいでしょ。

 

尼崎出身の有名人

・ダウンタウン:松本人志・浜田雅功(漫才師)

・中島らも(作家)

・矢沢あい(漫画家)

・尼子騒兵衛(漫画家)

・HEATH(X JAPAN)

・マギー(モデル)

など

 

商店街に潜入! シャッターが下りている……?

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ではさっそく商店街に入っていきましょう。

このあたりは「三和本通商店街」「中央商店街」「三和市場」などがクモの巣のように入り組んで存在しており、ややこしいので大体の人が『三和』と一括りにして呼びます。

 

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戦後はバラックが立ち並び、巨大な闇市として栄えたそうです。「三和に行ったらなんでも揃う」「三和に無いモンは無い」と言われていたとか。

 

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ちなみに三和の商店街は『涼宮ハルヒの憂鬱』の聖地でもあります。

こちらの「ワンワン屋」は、SOS団が作中で撮った映画『朝比奈ミクルの冒険』に出てきた「ヤマツチモデルショップ」。

 

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メインの通りはいつも人で混んでるんですが、一本奥に行くとシャッターが下りてるお店が目立ちます。子供の頃はどこまで行っても人で溢れてた記憶があるんだけどなぁ。

※この時点で18時過ぎくらいなので、時間的なものもあるかもしれません

 

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あぁ、でもこういうのも良い絵だな……などと考えながらブラブラしていると、向こうから味わい深いおじさんが歩いてきました。さっそく話を聞いてみましょう!

 

尼崎のひと:地獄のAさん

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この周辺の物件も取り扱うという、不動産屋のAさん 

 f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「こんにちは! このあたりを取材してるんですが、お話きかせてもらえないでしょうか」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「取材……? おう、エエけどアレやな、ほんま、うん、エエよ」

注:Aさんは少々飲んでいます

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「子供の頃、この商店街によく来てたんですけど……こんなにシャッター閉まってましたっけ?」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「せやなぁ。昔はこの商店街も隅から隅まで栄えとったな。活気があったもんやけど」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「それがどうして……やはり大型スーパーやコンビニの影響で?」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「全部が全部そうちゃうで。単純に、二代目が後を継がんのよ。子供らはみんなサラリーマンとして元気にやっとるから、そない悲しいことちゃうねん。店じゃなくて住居になったっちゅうだけ」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「そういうもんですか。Aさんは子供の頃、この商店街で遊んだりしてたんですか?」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain僕が子供の頃は、このへんはまだ闇市の雰囲気が残ってたなぁ。少ない小遣い握りしめて、よう遊びに来とったわ。ロクなもん食うてなかったから、お好み焼きとか天ぷら食うんが楽しみでな。ホンマごちそうやった」

 

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 f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain今食べれるどんなモンより、あの頃食べた天ぷらがうまかったわ。サツマイモとかスルメ天とか、安いモンばっかりやったけど。あの味は忘れへん」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「いつまでも記憶に残ってる“あの時のあの味”ってありますよね」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「僕はお好み焼きなんかも好きやねんけどな、さっきもそこで知り合いが『食うもんがないねん』って言うてたから、買ってた100円のお好みをおごったったんや」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「へぇ、良いことしましたね。でもこの時代に食べるものがないというのは、どういうお知り合いなんですか?」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「え、何が? 僕、今何の話をしとった? あぁ、そうそう、つまりエエことはしていかなアカンということや」

注:Aさんは少々飲んでいます

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「へ? あぁ、まぁそうですね」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「エエことはしていかなアカンのよ。悪いことするやつは、今は儲かって楽しいかもしれんけどな、そういうことしとったら地獄に落ちるんや」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「じ、地獄!? 話が急ですが、言わんとすることはわかります」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「地獄に落ちたらな……」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「地獄に、落ちたら?」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「地獄に落ちたら…………しんどいで……」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「(ゴクリ)」

f:id:niconicogalaxy:20161205194110p:plain「血の池でもがいたり、針の山を歩かされたりするんや。ほんま、苦しいで……」

f:id:niconicogalaxy:20161205194114p:plain「わ、わかりました。悪いことはしないようにします!」

 

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この状況で聞く『地獄』という言葉の重さ

 

尼崎のひと:ホルモン焼きのおばちゃん

トップバッターがいきなり天下一品ばりのドロドロスープでしたが、みなさんついてきてくれてますか?

気を取り直して、再び商店街をブラブラしていきましょう。尼崎は庶民の街なので、安くてうまいもんがたくさん! 例えば―

 

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こちらはさつま揚げの有名店、『尼崎枡千』。ムッチムチの魚のすり身を揚げたもので、素材の味はしっかりするのに、サッパリ淡白な味わいなんです。そのまま食べてもおいしいので、食べ歩きのお供にどうぞ。

 

ちなみに関西ではさつま揚げのことを天ぷらって言います。

 

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nuwton.com

 

そしてもうひとつ。尼崎に来たらぜひ食べてほしいのが、ホルモン焼き!

みなさんは、「ホルモン焼き」と聞いてどういう形状を想像しました?

 

大抵の人が、七輪の上でモツを焼いたものや、焼き鳥のように串を刺して焼いたものを想像したと思います。しかし、尼崎人と一部の大阪人にとっては、違うんです。

 

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ホルモン焼き|100g160円

 

こういうのです。

茹でたホルモンを、ニンニクの効いたスープと共に鉄板の上でドロドロになるまで焼いた(というより煮込んだ)料理、これが「ホルモン焼き」です。

七味をぶっかけて食べれば、ごはんにめちゃめちゃ合います。お酒が好きな人ならおつまみにもピッタリ。

 

そんなホルモン焼きを作ってくれるのが、三和商店街の南端に店を構える「栄屋商店」さん。三代目のおかみさんに話を聞きました。

 

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f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「こちらのお店は、どれくらいやってるんですか?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain「店自体は60年以上やね。戦後すぐの、闇市の頃からやってるんでね。あたしの代だけでも40年くらい」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「え? 40年もやってるって、そんな歳に見えませんね。若い頃はさぞかしきれいだったんでしょうね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain「今もきれいやろ~? さっき来て急に『写真撮っていいですか?』って言うから何もしてへんけど、10分前に言うてくれたら、エエ服 着て写ったのに

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「す、すいません。それにしてもこれ、おいしいですねぇ。こういう『ホルモン焼き』、東京で売ってないんですよ!」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain「あぁ、らしいねぇ。こっちやとナンボでもこういうホルモンの店があるんやけどね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「東京に引っ越すまで、まさか尼崎と大阪の一部でしか食べられてないとは知りませんでした」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plainもともとは沖縄の料理らしいで。知らんけど」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「ただ、知り合いの沖縄人は『見たことがない』って言ってました。尼崎や大阪の一部……沖縄からの移住が多かった地区に伝わってる料理みたいなので、沖縄の人が、関西で考案した料理なのかなぁ」

 

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完全に大物女優の貫禄を持つおかみさん

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain東京の知り合いに『鉄板のホルモン焼き食べたい!』って言われて、よく送ってるわ。こんなおいしいもんが食べられへんって、かわいそうやね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「向こうだと七輪で焼いたりするタイプが主流ですね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plainモツは七輪で焼くと苦くなるんよ。まぁ、それは好みやけどな。焼き鳥なんかも、ちょっと焦げ目があって苦味があるのが好きな人もおるやろ?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「僕はこのホルモン焼きがソウルフードなんで、困ってるんですよ。栄屋さん、通販やってくださいよ」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain「通販もええけど、たまにはこっちに帰ってきて食べーや。東京のしゃれた町もええけど、尼崎も、そない悪くないやろ?

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「嬉しいこと言ってくれるじゃないですか! じゃあ今度は10分前に電話してから来ます!」

f:id:niconicogalaxy:20161206011208p:plain「ほな、化粧してドレス着て待ってるわ」

 

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 尼崎のおばちゃんって基本的にめちゃめちゃ人懐っこい

 

 ちょっと休憩:かんなみ新地について

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商店街の西の端には、大衆演劇の芝居小屋があります。

 

ここから少し西に歩くと、尼崎とは切っても切れない関係、かんなみ新地が広がっています。大阪の飛田新地のような風俗街です。

 

ごく普通の住宅地に突然、開け放ったドアからピンクの灯りが洩れる民家が50mくらい密集しています。

中には客を呼び込むおばさんと、きれいなお姉さんがいてこちらに色っぽい視線をなげかけてくるわけです。

 

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ちなみに昼間に行くと看板すら出てないので、たんなる民家です。

 

かんなみ新地は戦後にできた、いわゆる「青線」のひとつ。

赤線=当時(1946年~1957年の間)、許可を取って営業した地域

青線=当時、許可を取らずに始めた地域

 

全国には、江戸時代の遊郭が起源の風俗街なんかもありますが、ここは、そういった歴史的価値とか由緒ある建築様式といったカッコよさとは無関係。

戦後のバラックから生まれ、工場の町特有の雑さと、淡々とした作業的思想があって、良くも悪くも「ほんと尼崎だなぁ」と思います。

 

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お店の目の前の駐車場でカニカマを食う猫。飼われてるのかな?

 

尼崎のひと:怪獣で町おこしする男性

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当てもなく歩いていると、最初にAさんに話を聞いた三和市場に戻ってきてしまいました。

こちらはAさんに話を聞いたのとは反対側の入り口。

 

ひと気もないし、通り抜けて別の場所に行こう……と思っていると―

 

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明かりが漏れている店舗が。中では男性が一人で何か仕事をしている模様。チラリと見える店内には怪獣や宇宙刑事のフィギュアが並んでいます。なんじゃこりゃ?

 

気になり過ぎたので、ご迷惑とは思いつつも声をかけてみました。

※この記事は、ガチで何の下調べもアポ取りもせず進めています

応じてくれたのは、森谷寿さんという男性。

 f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「こんにちは~、今このあたりの取材をしてるんですが……」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「ん? 取材の人? いいですよ、入ってください」

 

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やけに取材慣れしている森谷さん。とある理由で最近よく取材されるそう

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「ここは一体どういう場所なんですか? 怪獣やら映画のポスターやらが溢れ返ってますけど」

 

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f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「ここは『とらのあな』って言うて、市場の休憩所なんです。で、怪獣とか映画のポスターは、趣味というのもあるけど……実は怪獣で町おこしをしとるんですよ」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「へ? どういうことですか? “怪獣”と“町おこし”の2つがどうしても繋がらないんですが」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「僕はこの市場で肉屋をやってるんですけど、なんとか活気が戻ってほしいと思って、数年前から『怪獣市場』っていうイベントを開いてるんです。特撮にゆかりのある監督や役者さんを招いたりしてね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「はぁ~なるほど、それで怪獣を。確かにこのへん、ほとんどの店がシャッターを閉めてましたね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「以前はここの市場も全店営業してたんですよ。でも阪神大震災のあと、『ちょうど役目を終えたんかもしれへん』ってね、店を閉める人が多かったんです」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「あぁ! 子供の頃はもっとお店が開いてるイメージだったのに、おかしいなぁと思ってたんですが、そうか、震災の後にシャッター街になったわけですか」

※阪神大震災は1995年。三和も被害を受けた。僕は20歳くらいでした

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain昔はこの市場も54軒の店があったんやけどね、今は12軒です」

 

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向かいには森谷さんのお店、肉屋の「マルサ商店」が

 f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「どういう経緯で町おこしのために怪獣のイベントをやることになったんですか?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「せっかく空きスペースがあるんやから、趣味をイベントにしよかと思ったんです。それが非常に好調で、話題になったんですね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「特撮好きはめちゃめちゃ濃いファンが多いですからね……」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「そしたら、ちょっとずつ『じゃあ私は怪獣ショップやります』『僕はライブハウス作ります』っていう人が出てきてね。2年で6軒、店舗が入りました

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「考えもしなかった方法で、町おこしが成功している……?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「イベントには、あらゆるツテを辿って大村崑さん(ガメラシリーズに出演している)とか、森次晃嗣さん(モロボシ・ダン)、小牧リサさん(モモレンジャー)なんかにも来て頂いてます」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「めちゃめちゃ大物だ! 熱意あればこそですね~」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「イベントそのものは、正直、儲けなんてあらへんのです。プラマイゼロになったらエエほう。でも、イベントのためにお客さんが来てくれたら、ちょっとでも三和にお金を落としてくれるでしょ」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「町おこしの鑑(かがみ)みたいな考え方だ」

 

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 f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「おもしろがって西川伸司さんが何回か遊びに来てくれましてね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「西川さんって、ゴジラvsビオランテとか、多くの特撮で怪獣のデザインなんかを手がけてるデザイナーであり、漫画家の方ですよね

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「ですね。お会いした時に、しばらく前から考えてた『三和市場のキャラクターとして怪獣を作ってみたい』ということを伝えたんですよ」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「全国にゆるキャラとかご当地ヒーローがいますけど、それの怪獣版というわけですね」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「そしたら、『それ、おもしろいね』って言うて、すぐにデザインを描いて送ってくれたんです」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「ホエー!? 実現に一歩近づいた!」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「そのデザイン画をもとに原型を発注して、まずはフィギュアを作りました。さらに、設定をラノベ作家の馬場卓也さんが考えてくれたりしてね。それが『三和市場怪獣 ガサキングα』です」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「そのフィギュアは、作っただけじゃなくて、販売したんですか?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「5400円で販売しました。もうちょっと安くしたかったんですけど、町おこしのための資金にするわけやから、あえてちゃんと儲けが出る価格設定にしたんです」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「儲かりました?」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「ありがたいことに。それを資金にして、やっと着ぐるみを作る目処が付きました

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「フィギュアで満足しないで、着ぐるみまで作る気なのか……」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plainガサキングの映画を撮りたくてね。実はこないだちょっと撮ったんです。残念ながら着ぐるみは間に合わんかったんですけど、市場を逃げ惑うエキストラとして、200人くらい集まってくれてね。嬉しかったなぁ……

 

2分ちょっとではありますが、こちらが「大怪獣ガサキングα 三和市場に現わる」。

なんと、ウルトラマンXなどの監督・田口清隆さんが撮ってくれたそう! すごい!

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「着ぐるみも、やっと形になってきてね。もうちょっとで完成やねんけど、見に来ます? 今、家にあるけど」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「え! 見たい見たい! ぜひ見せてください!!」

 

というわけで、製作途中のガサキングαが置いてあるという、森谷さんの自宅にお邪魔させてもらいました!

三和市場を恐怖のどん底に叩き落す大怪獣、ガサキングαとは一体……!

 

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ゴゴゴゴゴ……

 

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ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

 

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バァァ~ン!!

 

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デケェェ~~!

目の前で見るとかなりのド迫力!

※取材時には胸や爪なんかがまだ未完成でしたが、現在はもう完成しているそうです!

 

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そして、おわかりでしょうか……

 

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ツノと耳に、3ワ(さんわ)の文字が……! 名前の「(あま)ガサキング」といい、尼崎人はダジャレを言わないと死んでしまう呪いにかかっているのでしょうか。

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「熱意だけでここまでのものが形になるって、本当にすごい! ガサキングαによって、今まさに市場が再生しようとしてる!

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain再生させてんのか、息の根止めてんのかはわからんけどね(笑)」

f:id:niconicogalaxy:20161206011209p:plain「でも何もしないよりは絶対マシだと思います。今日はおもしろい話を聞かせてもらった上に自宅にまで入れて頂いて、ありがとうございました!」

f:id:niconicogalaxy:20161206011210p:plain「はい、ありがとうございました。これでちょっとでも三和に人が来てくれたらエエんやけどね~!」

 

森谷さんは、12月24日に「とらのあな」でヤシオリ酒場というイベントを行うそうです。シン・ゴジラに出てきた作戦名ですが、もともとはスサノオがヤマタノオロチを酔わして倒した、あのお酒のこと。太古から作られているヤシオリ酒を呑む酒場です。

また、1月21日には、ガサキングαのデザインを担当した西川さんと、設定を考えてくれた馬場さんを招いて『ガサキング酒場』というイベントを行うそうですよ!

 

 

 

まとめ

 

尼崎は僕の故郷ですが、子供の頃や 思春期の頃は、この町が大嫌いでした。

都会的なエレガントさとは正反対だし、おしゃれな服屋さんより町工場のほうが数が多いし、ガラが悪いし。

 

でも、東京に来てから、尼崎ってすごく良い町だったんだなと気づきました。周りがみんな工員や商人だから、誰も気取らない。

ガラの悪い人も、真面目な人も、気難しい人も、話しかければみんな人懐っこい。

 

三和市場の怪獣を使った町おこし、ぜひ成功してほしいですね。そしていつか、子供の頃のように人でいっぱいの三和を歩きたいものです。

 

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(おわり)

散歩王決定戦 in 高津

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こんにちは。おじさんトリオで〜す。

普段は「サンポー」という散歩専門サイトで、頭のおかしな散歩を目指しております。 

あ、これを書いているのは井上マサキです。

今日は田園都市線の高津にやってきましたよ。

 

 

二子玉川から二駅ほど西に位置し、もうちょい行くと溝の口。渋谷から田園都市線に乗って二子玉川で降りるつもりが、うっかり寝過ごしてハッと起きたあたりの場所。それが高津です。その名の通り川崎市の高津区にあります。「タカツク」って繰り返し発音するとちょっとしたボイスパーカッションっぽい。

 

そんな高津へ散歩しにやってきたわけですが、今日はせっかくのジモコロですので、ちょっと遊んでみたいと思います。題して「散歩王決定戦 in 高津!

 

【ルール】
●街をぶらぶらして、お題に沿った写真をそれぞれ撮ってくる
●制限時間は30分。写真はお題1つにつき3枚
●30分経ったら再び集合。写真を見せ合って、みんなでやいのやいの言う

 

街から「お題に沿ったもの」を借りてくる、借り物競争みたいな競技です。

 

そして、本日のエントリーメンバーは、こちらの3名です!

 

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というわけで、3人それぞれ別の方向に散ってスタート。相手が何を撮ったのかはお披露目まで内緒です。

ちなみに、あらかじめ用意しておいたお題はこちらの3つ。

 

 

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そんなもんあるんかいな、というお題だけど、きょろきょろしながら街を歩くと、なんでもないのぼりベースまで「古代にあったのでは……」と思えてくるから不思議。多少強引でも説明をつければなんとかなるかな……。

 

〜30分後〜

 

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はい、集合しました。

発表はタブレットで行います。それにしても撮影タイムの30分間、他のメンバーに全然会いませんでした。みんなどこ行ってたんだろう。一回家帰ったりしてないかな。モスクワの写真とか出てきたらどうしよう。

 

では、いよいよ、みなさんの"散歩力"を見せていただきましょう。

 

散歩おじさんたちが持ち寄った回答は? 

発表タイム〜!!

 

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f:id:eaidem:20161206151824p:plain「じゃあ俺からなんですけど、よく考えたら食えなくもない名前かと思って……」

 

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f:id:eaidem:20161206151824p:plain七宝焼

f:id:eaidem:20161206151829p:plain「ん?」

f:id:eaidem:20161206151824p:plain「八宝菜ってあるでしょ。それの仲間として考えて頂いて、なんとか……」

f:id:eaidem:20161206151827p:plain「ああ、そう言われると7つの味わいを楽しめそう。あと、個人的にはその横に書いてある『日本七宝焼作家なんとか』も気になりますね」

f:id:eaidem:20161206151824p:plain日本七宝焼作家協会、かな。これは多分認定機関みたいなやつですよ」

f:id:eaidem:20161206151827p:plain「業界団体がしっかりしてるな。よし」

 

f:id:eaidem:20161206151824p:plain「次行きます。これも美味しいと思うんですよね」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plainカスティリア」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「これ絶対スイーツですね。甘そう〜」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「お中元とかでもらって嬉しいやつですよ」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「自分で買うのはためらうけど、人からもらうのはウェルカムなお菓子ってあるよね。あと、カステラって自分で切り分けるから、突然お客様が何人来ても量を調節できていいんですよ」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「お、突然のお客様豆知識」

  

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「さて、んで最後」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「未開封のやつが落ちてました」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「本当に食べられるやつじゃん!」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「ミルクミントか。焼肉屋でもらうタイプの飴じゃないですね。自分で買ったやつだ」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「なるほど、マジで喉が痛い人だ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「駐車場に落ちてたんで、多分キーを出し入れしてるときに落としたんですよ。今頃、あれ! ポケットに入ってたのに!って思ってるだろうなぁ」

 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plainえっと、むちゃくちゃたくさん食えるやつがありました。

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「繁殖力あるから暴走しがちですよね。アロエ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「でも栄養価高いですよ。傷口にも効きますし」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「これだけあればしばらく困らない。むしろ消費しきれず増えていく」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「あーでも、あの木の電柱、犬の何かしらがついてそうだな……」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「続いてこれなんですけど、抹茶味だと思うんですけど……」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「フォー。パウダーがめっちゃ振りかけられてる」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「なんならちょっとこぼれてるますよね。フランス料理感がある。高いところからササササーってかけられたと思う」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「というか、像の名前『読書』って」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「図書館にあったんですよ。二宮金次郎の読書に集中したバージョンです」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「読みふけってるなぁ~。抹茶がかかってるの気づかずに」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「こんなになるまで読んでますからね。知らない間に美味しくなってる。あとこれはお土産にもらうと『頭から食べるのかわいそう~』てなるやつです」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「『ひよこ』パターンですね」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あとは牛角の前に置いてあったこれですね」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「このピンクのストロベリー味のやつが、この穴からすごい出てくると思うんですよね」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「中にびっしり詰まってるのかな」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「ティッシュみたい」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「コォーッ!って吸い出して食べます」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「写真3枚出せるということで、つなげていきますけど……」

 f:id:eaidem:20161206145906j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plainちょっと腐ったみかん」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あ~、ここだけ切り落せば食べられなくもない」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「でもこういうの、意外と中のほうまでいってたりするんですよね」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plainだいぶ腐ったみかん」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「リュックの底にまだあったぞ、みたいな」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「世紀末には、これを数人で取り合うんですよね」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「みんなに分け与えるのか、力あるものが奪いとるかですよ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「そう言われると、核の炎に包まれたみかんに見えてくる」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「腐ったみかんからの、苔ベースの盆栽

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「口の中モッシャモシャだろうなぁ。飲み物ほしいなぁ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「上の茎と葉っぱを抜くかどうかも悩むところ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「そこ持つところなんじゃない?」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「カブみたいに?」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「えっ? カブってそうやって食べる文化ありましたっけ?」

 

 

f:id:jpmpmpw:20161206174835p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206174828p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「これはねえ……」

 

f:id:eaidem:20161206145922j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain『ゴミのルールの盾』です」

 

f:id:eaidem:20161206145928j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「あらゆる属性が入ってますね~ 」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「火属性と水属性が共存してるもん」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「効果としては、ルールを忘れた時に「何曜日だっけ?」って確認できる」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「パズドラの右上にあるやつと同じだ」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「属性が三角になってるあれですね」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「いつも木属性と水属性のどっちが強いかわかんなくなっちゃう」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「そんな時にこの盾」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「かさばる~」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「あとこれ」

 

f:id:eaidem:20161206145932j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「『落ちてるジーンズ』

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「いにしえ感がありますよね。精霊の効果が付与されているレアアイテムか…… 」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「それともただの『ぬののふく』か…… 」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「効果はね、これ履いてるとお金がもらえるんですよね。かわいそうで」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『ぬののふく』だったか…… 」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「この植木鉢にお金をいれてもらいます」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「サイズ的にもらう気満々じゃないですか。期待高すぎですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『大は小を兼ねるって言うしさ!』って」

 

 

f:id:eaidem:20161206145929j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「これは『キャプテン感が味わえるリボン』。腕に巻けばあなたもキャプテンに」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「なんでこんなところに結んじゃうかな~。でもこれ、まず取るのが大変でしょ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ああ、固めに結んでますからね」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「きっと選ばれし者しか取れないんですよ。キャプテンじゃないと」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あー、伝説の剣が土から抜けない的なノリで、手先が器用な勇者じゃないと結び目が解けないんだ」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「何人か挑戦しているとこに「どけ!俺がやる」って」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『バカな!あんなに固かった結び目がスルスルと……!』 」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「でも、取ったはいいけど、一人じゃ腕に巻けないですよね」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『ちょ、巻いて』ってなっちゃう」 

 

f:id:jpmpmpw:20161206174831p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「じゃ僕も盾から…… 」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「みんな盾持ってるんですね」 

 

f:id:eaidem:20161206145913j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain『安全で住みよい街づくり』」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「宣言してますね。街を守る気がすごい」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「草の大きさと比べてもらうとわかるんですけど、めちゃめちゃ小さいです」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「盾なのに身を守りづらい」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「そこは、これを何個かハメられるデカい盾が別売りであるので、お好みで組み合わせてもらえれば」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「次、これは……」 

 

f:id:eaidem:20161206145919j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「赤いベストとですね、よく見るとウサギの耳元にカチューシャがぶらさがってます。ボディを守ります」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「これから寒くなりますからね。防寒にいいですよね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「それにしても、どんだけここで衣類をポロポロ落としたんだって話ですけど」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「この先に湯でもあるのかな」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あー、近づくにつれてズボンとか靴とか段々脱いじゃって」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「待ちきれなかったんですね」

 

 

f:id:eaidem:20161206145924j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「最後ですね。これは装備というか、ここから出てくると思うんですけど……」 

 

 

f:id:eaidem:20161206145918j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「この『E』をボイーン!って叩いたら……」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「あー、これは、出ますね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「エナジーの『E』だと思うんですよね。ロックマンのE缶みたいな感じで」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「回復とかいいアイテムが絶対出るじゃないですか。叩きたいなぁー」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「横から叩いてもいいですよ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「横から叩くと反対側から出ちゃうんだけど、崖になってて落ちちゃうパターンとかありましたよね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「すぐ回りこないといけないパターンね。そんなときは、一旦スクロールアウトするとまた叩けます」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「できるんだ」

 

 

f:id:jpmpmpw:20161206174832p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「じゃぁ盾から……」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「まず盾を出す流れができた」

 

f:id:eaidem:20161206145908j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「これは何でも跳ね返すというか、むしろ攻撃されて喜ばしい効果があります」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あ、『私は豚野郎です』ってことか」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「挑発じゃないんだね。宣言なんだね」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「ためらうなぁ。攻撃」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「んでこれは…… 」

 

f:id:eaidem:20161206145910j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain攻撃を2方向にわける 」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「やばい、送水口を武器の目で見たことがなかった。2WAYだ! 」

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「真ん中に当てるにはちょっとずらさないといけない」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「便利そうで不便! 使いこなすにはスキルが要る」

  

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「最後これ」 

 

f:id:eaidem:20161206145911j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain何かのガスがでる

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「強そう。今度は4WAYか~」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「メカ感がすごい」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「たぶん、いろいろ混ぜて調合できるんですよね。空気とかアセチレンガスとか」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「あれだ、色のやつ。4原色の」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「ここからブラック、マゼンダ、イエロー、シアンが!?」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ここでなんでも印刷できちゃう」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「これ逆に言うと、よく1本の根本から4つに分かれるなぁ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ゴミの分別のやつみたいじゃないですか。ビン、缶、ペットボトルを捨てるとこが全部つながってるやつ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「あれ納得いかないですよね。説明に従ってわざわざ捨て口を変えたこの労力は何だったのか」 

 

 

 

f:id:jpmpmpw:20161206174826p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206174828p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「これはね、」

 

f:id:eaidem:20161206145933j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「古代の椅子ですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「古いなー」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plainまだフカフカさを発明する前ですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「フカフカという概念がない」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「フカフカの夜明け前ですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「権力者でもこのカッチカチで満足したんですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「どんな王でもこれにふんぞり返ってますからね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ふんぞり返って『もっと黒く塗るのだ〜!』って言ってる」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「色のほうが気になっちゃうんだ。まだそこしか差別化できないから」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『背もたれ以外も塗るのだ〜!』って言ってそう」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「あとこれ」 

 

f:id:eaidem:20161206145934j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「古代の水道ですね。まだ蛇口が中途半端なところにあって使いづらい」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「水が出るのが結構先なんだね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「わざわざこっちまで戻ってきてひねらないといけない」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「結構遠いんだ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「巻いたらいいんじゃないですか?」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「それに気づくのが100年後です」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「さっきの椅子といい、ヤスノリさんの古代人は頭悪すぎませんか?

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「最後のは珍しいですよ」 

 

f:id:eaidem:20161206145935j:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「アルファベットが日本に伝来した直後の試し書きです」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「だいぶ苦悩してますねー。雑だなぁ~」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「右上の『CREATIVE DRUG STORE』がお手本なんだな」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「『あれ……?あれ……?』って」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「まだ縦書きの概念が捨てきれてないんですね。お手本通り横に書こうとして、ななめに行ってる」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「スラスラ~って流れるように字をつなげちゃうから」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「『O』は結構完成度高いんですけどね。簡単だから」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『E』とか『G』とかもうパニック」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「それにしてもこんな大イベント、絶対筆がうまい人が選ばれてるはずですよ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「第一人者ですよね、アルファベットを筆で書くなんて」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「弘法とか来てますよ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plainさすがの弘法もアルファベットでは筆を誤っちゃう

 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「シンプルに、めっちゃ古いのを見つけたので……」

 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「古代のショベルカーです」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「かっこいいなあ。これは普通に見れる」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「よくこのままの形で残ったなと」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「貝塚掘れそう」

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain高床式倉庫の基礎とかこれで掘ってますから」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「捗ったでしょうね。弥生時代」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「次行きましょう」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「ピラミッドに貼ってあったという『広告募集中』です」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「建設の予算が足らなくなったのかなぁ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ピラミッド、4面ありますからね。せっかくだから使わないと」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「『コンビニ1km先』とか目立ちますよ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain『この先砂漠。最後のコンビニ』とか」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「水買わなきゃ!ってなる」

 

 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「最後、これは、」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain古代の実力者達の肖像画です」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「四天王だ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「昔はかなり若い段階で頂点に登ったんだなと」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「この4人が大体のことを決めてたんですね」

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「東西南北を治めてね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「年1くらいで集まるんでしょうね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「正月とかに『これ東のほうで採れたカニ』とか持ち寄って」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「和気あいあい」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「でもみんなスーツなんですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「正装だからね」

 

 

f:id:jpmpmpw:20161206174832p:plain

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain古代の携帯電話なんですけど……」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「パイプの先を耳に当ててもらって。ここから何十キロも続いてますんで」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「リアルにつなげちゃった」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「『そうだ!筒をつなげればいいんだ』ってひらめいちゃったんだ」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『どこまでも音が続くぞ!』って」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「王に知らせよ!ってこれ繋いで」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「王様も『本当じゃ!』ってなる」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「そんで『黒く塗るのじゃ!』って言う。

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「次が初期のラーメン二郎なんですけど…… 」

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「ここからスタートかー。まだ食べ物と非・食べ物の境界を越えてない」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「今はだいぶ食べやすくなりましたけど」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「だいぶ太麺だったんだな。黒いの混じってるし」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「まあでも、面影ありますよね」

 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「最後。これは、」 

 

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f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain古代のジャングルジムです」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「低っ! 高さの概念があまりないのかな」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「これで子供たちはすごい満足してましたから。鬼ごっこしようとしてもすぐ捕まっちゃう」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「もっと重ねたらどうだろうってのは……」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「100年後です」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「横からだいぶ激しくぶつかった跡がありますね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「大人気ですからね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162209p:plain「今はこれで遊んでいる子はいない?」 

f:id:jpmpmpw:20161206162200p:plain「今はもう……おじいちゃんが寂しく観てるくらいですね」 

f:id:jpmpmpw:20161206162146p:plain「『昔はこれで満足したもんじゃ……今はポケモンGOだなんだと……』」 

 

 

散歩王決定戦 in 高津の勝者は?

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わーわー言うてるうちにお時間です。それではここでMVPを決めましょう。ホントは誰か審査員でもいればいいんですが、初回ということで内輪で「よかったよねぇ」というゆるゆるな審査基準で決めた結果……。

 

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MVPはぜつさんの「2WAY」に決定しました!

初代チャンピオンおめでとう!もう、2方向に何かを発射するようにしか見えない! 

 

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ぜつさんにはだいぶ腐ったみかんを差し上げます!すばやさが5さがります!

 

以上、高津からでした!

 

▼散歩おじさんたちの記事をもっと読みたい方はこちら

 

書いた人:井上マサキ

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ライター。好きな路線図はロンドンとプラハ地下鉄。子供のころ「脱サラ」はサラ金から逃げ切ることだと思っていました。 Twitter:@inomsk  個人サイト:イノミス 

人は2000連休を与えられると、どうなるか?

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連休。

この二文字に何を感じるかで、その人の状況が分かると思うんですね。大半の人は「うれしさ」が出てくると思います。会社や学校に行っている人にとって連休はサイコー。

しかし一部の人は何の感情もわきません。無職、ニート、サボりがちの大学生など、日常的に通う場所のない人間は連休と言われてもピンとこない。

日々の労働があるからこそ、土日はうれしいわけです。金曜の夜はワクワクするし、月曜の朝はうんざりする。三連休があれば大喜び。盆と正月はすばらしい!

 

ここで私の話をしたいんですが、私は最近まで2000連休だったんですね。今年の春ごろからこういう場所で記事を書くようになって少し忙しくなったんですが、それまではずっとひまでした。

具体的には、2010年から2015年までの6年間で2000連休でした。厳密には2190連休ですが、まあ、端数は切り捨てさせてください。この状況で細部にこだわるほどアホらしいこともないんで。

 

ということで、「人は2000連休を与えられるとどうなるか?」という問いに、実体験をもとに答えてみようと思います。みなさんも想像してみてください。3連休や5連休じゃないです。2000連休です。どうですか。

「うれしい」と感じる人は、ちょっと働きすぎですね。2000連休と言われると、ゾッとするのが普通の人だと思います。そこにあるのは「巨大な空白」ですからね。そんなものを与えられると人はどうなってしまうのか?

 

第1部 至福 1~10連休

バイトを辞めました。そして人の家に転がりこみました。好きなだけ寝ていられる! マンガ読みほうだい! 昼から酒だって飲める! 最高!

……という時期でした。「開放感」と呼ぶにふさわしい状態です。携帯のアラームを設定しなくていいことがうれしい。読みたかった本も好きなだけ読める。欲望のままに行動できる。俺は自由だ!

 

第2部 怠惰 11~100連休

「開放感」は、文字どおり開放されたことで起こります。

ひらきっぱなしの人間に開放もクソもありません。休みによる開放感が続くのは最初の数日、長くても10日ほどです。2000連休のはずなのに、10連休を過ぎたあたりでもう「退屈」がやってくるんですね。まだ1990連休も残ってるのに。

 

私は性格的にひまが平気な類です。人と会うのはそんなに好きじゃないし、一人で色々していても全然飽きない。なので3ヶ月ほどダラダラしてました。ネット見たり、本読んだり、マンガ読んだり、音楽聴いたり……。

一日の予定がないことはすでに日常なので、とくに嬉しくはないです。そして3ヶ月といっても100連休で、まだ1900連休残ってるんですね。いかに2000連休が怖ろしいものか分かると思います。

 

この時期はどんどんボンヤリした意識状態になってました。部屋に寝転がってポテチ食いながらマンガ読んで、「カイジのチンチロ編おもしれ~。この頃の福本伸行キレキレじゃん」とか思ってるうちに一日が終わる。生活リズムは乱れに乱れてました。

 

第3部 恐怖と逃避 100~300連休

このへんで不安が強まってきました。

「これまでの俺の人生は何だったんだ……?」

「これからの俺の人生はどうなるんだ……?」

過去と未来のはさみうちです。

 

無職になって生活から刺激が減った。人に会わない、仕事もない、何もない。それで判明したんですが、刺激が減ると、人は自分の内側から無理やりに刺激を作り出そうとするんですよ。要するに「昔のことをやたらと思い出す」ということです。

この現象の小さなものは、誰でも眠れない夜やひまな休日に経験してます。昔のことをフッと思い出して感傷にひたる。「時には昔の話を」というやつですね。普通の社会人の場合はそうなっても、適当なところで「さあ、明日からまた仕事だ!」と締めるわけです。

 

しかし、2000連休の人間には締めるものがない。ひたすら過去に溺れていきます。この時点で私は二十五歳だったので、それまでの記憶が次々と噴出して大変なことになりました。むかし好きだった女の子、嫌いだったクラスメイトや同僚、果たすことのできなかった目標や夢。なにもかもが溢れて止まらなくなりました。

それで、どうなったか?

逃避行動が起きました。もちろん当時は自覚してません。今ではそれが逃避だったと言えるだけです。「すでにクリアしたゲームを何度もやる」みたいな不毛なことを黙々とやってました。頭を使わなくていい単純作業ですね。何も考えたくないから反復に身を委ねる。「あーもう知らねー知らねー!」という感じ。

 

第4部 記憶の書き出し 300~1000連休

ある時点で腹をくくりました。

記憶から逃げることをあきらめたということです。同時に「自分の中にある問題を解決したい」という意志が発生しました。読書量が爆発的に増加しました。薬を探すような切実な気持ちでさまざまな本を読む。

 

同時に、自分の記憶をひたすら書き出してました。「思い出したくないのに思い出してしまう」という受け身の状態から、「能動的に思い出して文章化していく」という態度に変わったわけです。

この過程で理解したんですが、ある記憶をいまだに思い出してしまうとき、感情が引っかかっているんですね。「怒りたかったのに怒れなかった」とか「傷ついていたのに笑ってしまった」とか「本当は好きだったのに言えなかった」というふうに、自然にしていればその場で出るはずだった感情が、内側に残ってしまう。

そして内に残った感情が、十年だろうが二十年だろうが消えずに残り、ゆっくりと腐っていく。その腐臭がたまに鼻をつくのが「フラッシュバックのように昔を思い出してしまう」という現象なんだと思います。

 

記憶を書き出していく行為は、この「未解決の感情」を再体験していくことでした。なので一人でやっているのに、どんどん感情的に不安定になっていく。この時期のことは、連載第四回でも少し書いています。

 

www.e-aidem.com

 

第5部 「自分」がうすれる 1000~1500連休

記憶を書き出して、感情を再体験する。

そうしているうちに、記憶によって構成されていた「自分らしさ」とのあいだに距離が生まれはじめました。これは「離人症」に近い状態です。私は小さいころから離人症のケがあったんですが、それがあからさまになったと言ってもいい。

 

ここでの問いはこうです。

「この意識」は、
 明らかに「上田啓太」とは別の何かだが、
 だとしたらこれは何だろう?

自己紹介が遅れましたが、私の名前は上田啓太というんですね。というか、この時期の感覚のまま無理やり自己紹介するならば、

「私は人々から長いこと上田啓太と呼ばれてきたので、習慣的に自分のことを上田啓太という名前だと考えていますが、それはひとつの約束事に過ぎません。しかし、約束事の世界に参加するために、いまはひとまずこの名前を使っておきます」

という感じです。

 

こんな自己紹介をする奴がいたら、絶対飲み会に呼びたくないですね。

んで、これは「他に本当の名前がある」という話ではないんですよ。「上田啓太としての自分は仮の姿だ」とか「本当の自分は〇〇〇なんだ」という話ではないんです。むしろ「どの自分にも違和感がある」という感覚に近いです。

 

「自分らしさ」というのは、人間関係のなかで仮構されていくものです。これが極端になれば「役割を押しつけられる」とか「キャラを押しつけられる」という感覚にもなります。

よくあるものとしては、「男として・女として」とか「社会人として」とか「父として・母として」とか「日本人として」とか「一人の人間として胸を張れるか」というふうに、人は色々な「~として」に同化してるわけです。それが嫌になれば「本当の自分」という錯覚も生まれます。しかし、それは押しつけられた役割の裏面としてしか存在しないんですね。

 

ひきこもることで日常の人間関係を減らし、記憶のなかに残存する古い人間関係とも距離が生まれはじめたとき、色々な「自分らしさ」との同一化が切れていきます。そのとき残るのは、「この肉体から世界が知覚されている」というシンプルな事実です。

 

第6部 意識と肉体が残る 1500~2000連休

ここで起こるのは爆発的な「不思議」の増加です。

普通の意味での「不思議」というのは、「常識」というしっかりとした土台に立って、常識からズレたものを見つけていくことだと思います。たとえば「日本の文化」という土台のうえに立って、「外国の不思議な習慣」を見るというふうに。

しかし、ここでは土台だった「常識」そのものがどんどん崩れていきます。たとえば「自分に肉体があること」の根拠がよくわからなくなる。「肉体が空間の一部を占めていること」や、「位置感覚があること」が不思議になる。「右手や左手を動かせる」ことの意味もよくわからない。ここでの問いはこうです。

「この意識」が、
「この肉体」と接続していることに、
 何の根拠もないのでは?

2000連休の最後に出てきたのはこの問いでした。この問いが強烈になるにしたがい、不安も増していきます。この不安は、第三部で生じた「過去と未来に対する不安」とは別種のものです。強いて言うならば「"今"がむきだしになっている不安」です。

いちいち注釈入れますが、ここでの「今」も、普通に言う場合の「今を生きろ!」とはちがうんですね。普通に「今を生きる」という場合、それは「過去と未来を直近の数日にしぼりこめ!」くらいの意味だと思います。

「今やりたいことをやる」とか「今の自分に正直になる」という場合、あくまでも数日ほどの記憶があることは前提なわけです。本当に「今」がむきだしになった場合、そもそも目標を維持できません。

 

2001日目

そんな状態の時に、ジモコロ編集長である柿次郎氏より連絡があり、この場所で文章を書くことになりました。同時に、放置ぎみだった個人ブログも更新するようになり、色々と原稿も書くようになり、相対的に人付き合いも増えました。

 

そこでは、いま説明してきた展開を逆走していく感覚がありました。人間関係の世界に戻ったという感じでしょうか。ふたたび色々と懐かしい「人付き合いの葛藤」が出てくる。ただ、それをまた別の位置から見ている感覚も残っていて、変な感じです。

 

まとめ

まとめて終わります。

2000連休の初期段階では、開放感によるシンプルな幸せがありました。それはしばらくすると「怠惰」に変化しました。やがて「怠惰」「不安」に変化して、「過去の記憶」が噴出しました。私の場合、ある時期からこれを徹底的に書き出していきました。

記憶を文章化して「未解決だった感情」を体験していくうちに、記憶によって作られていた「自分らしさ」の感覚が薄れていきました。かわりに「肉体があると感じられること」や「世界が知覚されていること」が気になりはじめました。

 

この連載の主旨は、「六年間のひきこもり生活のことを書く」というものです。今回の記事がその見取り図になればと思います。

それでは、また次回。

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

日本一おいしい水道水は◯◯県◯◯市!? ホントかどうか事実確認してきた

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こんにちは、ライターの塩谷舞(@ciotan)です。布団の中から失礼します。

 

寒い。

ここ最近、毎日びっくり寒い。恐ろしく寒い。

 

しかし、冬になるといつも、あんなに暑かった夏のことを忘れるのはなぜでしょう。

 

あの楽しかった、夏の日を……

 

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そうそう。

夏の終わり、私はジモコロの取材で福井県大野市ってところに行ってきました。

 

そのときの記事がコチラ。

おいしいごはん……あったかい地元の方々……最高の原風景……。

で、何より衝撃を受けたのがこの

 

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「田舎は水がうま〜い」だなんてよく言うけど、ここのはレベルが違いました。

だって福井県大野市は「水道水がおいしい市町村ランキング」の1位なんです!

 

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このランキングは、「水ジャーナリスト」として日本全国の水道水を飲み歩いてこられた橋本淳司さんが発表したものです。

 

福井県大野市、日本の1,741市区町村の中で1位!!

これはスゴい!!

 

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大野の水で作ったカルピスも……

 

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日本一うまかったな〜〜〜〜〜〜〜!

 

f:id:kakijiro:20161208145405p:plain「いやいやいや、ちょっとまってくれ!水ジャーナリストって何者〜〜?!」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「わっ、都合よく現れたジモコロ編集長の柿次郎さん!なんすか!」

f:id:jpmpmpw:20161207201311p:plain「本当にマジで日本一なの? 信ぴょう性あるの?ほら、メディアは記載内容の責任を負うから〜!!」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「あー、それはクリティカルな問題っすね。じゃあ本人に話を聞いてみましょう。校閲だーー!事実確認だーーー!!」

 

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「……しおたん、ドラマの真似したいだけでしょ?」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「やかましっ」

 

 

…ということで、数日後。

 

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お会いしました!水ジャーナリストの、橋本淳司さんです!

 

私が手にしているのは、橋本さんが小学生向けに書かれた著書『水の大研究』(PHP研究所)。

私たちが毎日使っている水は、どこから来るのか? どれくらいムダづかいしちゃってるのか? 世界の水問題はどうなっているのか?などなどが、わかりやす〜く書かれた1冊です。

 

ほかにも橋本さんは

 

・『67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ』(日本経済新聞出版社)

・『100年後の水を守る―水ジャーナリストの20年』(文研出版)

・『日本の地下水が危ない』 (幻冬舎)

・『世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われる日』(PHP研究所)

・『通読できてよくわかる 水の科学』(ベレ出版)

・『日本の「水」がなくなる日』(主婦の友社)

・『いちばんわかる企業の水リスク』(誠文堂新光社)

・『明日の水は大丈夫? ~バケツ1杯で考える「水」の授業 』(技術評論社)

 

……ってもう紹介しきれないくらい、これ以外にもたくさんの水にまつわる本を出版されている、本物の水ジャーナリストなんです!

 

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「うん、めちゃくちゃすごい人だった」

 

水ジャーナリストの橋本さんにいろいろ聞こう

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「橋本さん!本日はお忙しい中わざわざ、ありがとうございます。こちら福井県大野市の、お土産です!」

 

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f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「おっ!大野の銘酒、花垣じゃないですか。これは嬉しいですね。ありがとうございます」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「わあっ!良かったです〜〜〜〜!やっぱり水がおいしいとお酒もおいしいんですね〜〜〜!感動しました!だから橋本さんにもぜひ、と思ったのですが、やっぱりお好きだったんですね〜〜〜」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「(偉い人だからって、いきなり態度が違う…あざとい……!)しおたん、本題!」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「へい、そうでした。橋本先生が水道水おいしいランキングを作成されてて、『日本一水道水がおいしいのは福井県大野市』って決められていましたが、あちらの根拠は一体なんなんでしょう? 科学的な物質とかの総合得点なのか、主観的な味覚の評価なのか……」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「はい、主観的な評価ですが、1つ物差しを持って決めています。ひと言に水道水といっても、蛇口から出てくるまでのプロセスは随分違いますよね?」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「と、いいますと?」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「大野だと、地下水を汲み上げた”原水”がすごくいい水で、それを念のため、わずかに消毒して、水道水として出しています。水道法という法律がありますので。でも東京だと、原水となるのは利根川や多摩川の水。昔に比べればキレイになりましたけど、その水を直接飲んだらおそらく体を壊してしまいます」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「ふむ、そうですよね」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「だから東京の水なんかは、オゾン殺菌と生物活性炭を使って、何段も何段も工程を経て、お金も電気も使って、やっとのことでおいしい水を作っているんです」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「なるほど。それは、ナチュラルボーンなすっぴん美人(大野の水)と、金をかけまくった整形美人(東京の水)を比べるようなものですね……」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「たとえが悪い」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「まぁ水の話ですがね。僕はそのふたつを一緒に比べてはいけないと考えています。もちろん、汚れた水をキレイにする技術も素晴らしいのですが。でもやっぱり、原水をキレイにするための保全活動は大切な取組みなんですよね。だから今回はそういった市町村の水道水をベースにランキングを作成しました」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「大野のみなさん、保全活動めちゃくちゃ頑張ってましたもん! とはいえ日本は広いですし、頑張ってる市町村はたくさんあると思うのですが、なぜ1位に? 確かに、超おいしかったですけど……!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「やっぱりあの地形ですよね。ポカンと盆地が広がって、周りが全部山に囲まれている。そして北陸地方だから、冬には雪が多いでしょう。その雪水が地下に浸透するのですが、大野は土壌も素晴らしくって。非常に上質なミネラルを適度に含んだ水が、地下から出てくるんですよ」

 

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「山、盆地、雪、土!」 

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plainはい。パーフェクトです

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「恵まれてるんですねぇ。それだけ自然が水を綺麗にしてくれたら、さぞかし水道料金も安くてうらやまし……」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「あれ、比較サイトで比べてみたら、しおたんの住んでる東京都のほうが安いよ?」

 

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f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「あれ?!なんで?!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「確かに水道水を作るまでのコストは東京都の方が圧倒的に高いのですが、やっぱり住民が多いので一人あたりの負担が軽くなって、結果として水道代が安くなるんですね」

 

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f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「そっか、住民の人数で割り算されるんですね」

 

ちなみに、水道料金の安い&高いランキングはこちら。

 

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f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「富士河口湖町の835円に対して、北海道夕張市は6,841円……?! ひえ〜〜。ここまで地域差があるとは、知らなかったです!!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「水は本当に地域差が大きいですね。それぞれ、その土地にある資源を使うものですから。”水を運ぶ”って、簡単なようですごく難しいんですよ。ものすごく重いですからね」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「たしかに水は重い!会社にあるウォーターサーバーの水が切れたら、水タンク交換するだけで重すぎて腰がやられるので、誰かが交換してくれるまで見て見ぬフリしました」

 

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一方、積極的に水を交換する柿次郎さん(バーグハンバーグバーグ社内の様子)

f:id:jpmpmpw:20161207201311p:plain「コラー!見て見ぬフリするなー!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「重いですよね。もし、水がもう少し軽かったら……世界の水問題なんていうのは簡単に解決できてしまうのでは、と思ってしまうほどです」

f:id:kakijiro:20161208145946p:plain「世界の水問題…」

 

重い水を運ぶくらいなら、猛毒の入った井戸水を飲む…? 

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「世界の水問題の象徴的な話なんですが、バングラデシュのとある町にある井戸は取水口を真っ赤にぬられていました。それは、『ヒ素に汚染されているから飲むな』という印だったんです」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「え、猛毒じゃないですか……」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「はい。でも、子どもたちは喜んでその水をゴクゴク飲んでいて、周りの大人たちもポットにくんで、飲み水として家庭に持ち帰っているんです」

f:id:kakijiro:20161208145946p:plain「えっ…」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「信じがたいですよね。その町には、身体に無数の斑点ができた子どもや、大人がいました。ヒ素の影響です。最悪、死に至ります。近くにはたくさんの川や池があるのに、その水はもっとひどい病原菌におかされていたんです。それを誤って飲み、死んでしまう子どももいました。1990年代半ば、私がまだ駆け出しのジャーナリストだった頃の話なのですが……取材でバングラデシュに行ったんですよね」

 

 

f:id:kakijiro:20161208150235p:plainその町の人たちが安全な水を手に入れるには、3時間以上かけて水をくみにいく他ない。でもそうすると、働く時間を奪われて生活ができなくなる。だから危険だと知りながらも、ヒ素が入っている水を飲むんだと。そんな事実を、現地の方から知らされました」 

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「やるせないですね……」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「その光景を見たときから、水に恵まれた日本の中で歩き回って、”この水はおいしい”とか記事にしていた自分が、一気に恥ずかしくなりました。自分がそれまでに書いた原稿を全てやぶり捨てたいくらい、恥ずかしかった」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「それで今橋本さんは、世界の水問題を取り扱う水ジャーナリストとして活動されているんですね」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「なるほど……。でも今はそれこそ、海水を淡水化する技術も進んでいるのでは?」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「もちろんです。ですが、海水を淡水化する技術を使える乾いた国というのは、中東の油田があって、王様がいて……という地域くらいですね。

海水を淡水化するには、ものすごくお金がかかります。アフリカの貧困層の方々の生活水準にマッチしていない。彼らは毎日一生懸命働いても、1日に40円ぐらいの手取りです。そこにたとえば、日本のミネラルウォーターを100円で売ったとしても売れないですよね」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「500mlの水を飲むために、2万円払う……くらいの感覚ですね。2リットルで8万円……。それは生活できないですね……」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「はい。海水の淡水化は、もちろんそれ以上に高額です。一方オイルマネーで豊かな中東の国では、膨大な資金を使って海水を淡水にして、スプリンクラーで砂漠に水をまいてるんですよ。飲み水ではなく、砂漠を緑化してるんです」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「え、それで砂漠に草が生えるモノなんですか?!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「普通はなかなか厳しいのですが、ずーーーっと撒きっぱなしにすると、砂漠にも草が生えてくるんです。ドバイなんかでは、そうして砂漠の中に緑を作って観光資源にしていたりするんですよ」

 

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砂漠の中に高層ビル、そして緑が見えるドバイの風景

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「オイルマネーおそるべし……」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「だから、安全な水を得られない貧困の方々と、海水を淡水にするビジネスっていうのは全く別のレイヤーで動いてしまっているんです」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「知らなかった……!」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「いやほんと。教えてくださってありがたいです」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「こちらこそ、水のことに興味を持ってもらえるのが一番嬉しいんです。日頃はこんな水の話を、学校で授業させてもらったり、大人相手にさまざまな土地の日本酒を味わいながら話したり、あとは自治体や企業へのアドバイスをさせてもらっています」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「水ジャーナリストというより、それは水専門コンサルタント、的なかんじですか?」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「そうですね。でも僕は”アクアコミュニケーター”とも名乗っています。

地方自治体だと「田舎に工場を作れば、水が汚れてしまう!」と二項対立してしまいがちなのですが、今は、保全しながら活用する……という取り組みが主流になってきました」

f:id:kakijiro:20161208150326p:plain「ふむふむ」

f:id:kakijiro:20161208150235p:plain「たとえば地下水の潤沢な熊本県では、もちろん100年後にもその地下水を残していきたい、という強い思いがあります。ですが都市化が進んで水田が減少すると、土に染み込む水の量が減り、地下水が枯れていってしまうんです。

それを避けるために、農家さんが水田に水を張るお金を、さまざまな企業が補助しているんです。企業が熊本で活動を続けるためには、そのような条件が課されているんですよ」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plainf:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「へ〜〜〜!!熊本すごい!」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「そうなんですよ。あ、そして福井県の大野市でも、あのおいしい地下水を残しながら、町が発展していけるとよいですよね」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「あの大野の水は、本当に本当においしかった……。人生で一番おいしかったです……水がうまいから、米もうまかったし……」

 

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f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「私から言うのも変な話ですが……。大野の方には、ぜひぜひあのおいしい水を守っていってほしいです」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「変じゃないですよ。塩谷さんは大野の水のことを、自分の町のように捉えてくれてるんですよね。素晴らしいことです。大野もそうですし、遠く離れたアジアやアフリカの方々も安全な水を使えるように。世界の水問題を『自分には関係ないこと』だと思わずに、知ってもらえると、嬉しいですね」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「たしかに……。無関心が、最大の罪ですね」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「橋本さんの本を読んでから、水の知識が一気に増えて、結果としてめちゃくちゃ水ケチって暮らしてます」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「お、ありがとうございます。いいですね! でも日本家庭の水道水の使用量は、ここ数年でずいぶん減少してるんですよ」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「なんで?!不景気だから、みんな節約を?」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「というよりも、家電メーカーの努力ですね」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「あ、前にTOTOに取材に行きました!」

 

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「これはトイレの記事だったので書かなかったのですが、体感する水圧はほぼ一緒なのに、使ってる水の量は半分くらいになる……みたいなシャワーヘッド『エアインシャワー』という商品もありましたね。正直、欲しくなりました」

f:id:jpmpmpw:20161207201314p:plain「そうですね。節水したかったら、家のシャワーヘッドを取り替えるのも効果的です」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「へえぇ〜〜、意外と知らないシャワーヘッドの世界…」

 

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この後も、家庭内の節水の話から、日本国内にもあるグレーな水ビジネスの話、フランスでは水はお薬みたいに使われるという話、東京の地盤沈下しやすい場所の話、水を見ると精神衛生に良いという論文が出た話、お母さんのお腹の中の羊水の話……

 

ありとあらゆる「水」トリビアを聞かせてもらって、私と柿次郎さんはへぇへぇと目をまん丸にしてたのでした。

 

〜事実確認を終えて〜

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「いや〜〜水の話、めちゃくちゃ面白かったっすね!」

f:id:jpmpmpw:20161207201310p:plain「ホント! でも橋本さんの知識がハンパない上に、伝え方がうますぎる、というのもある」

f:id:jpmpmpw:20161207201312p:plain「確かに!」

   

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というわけで、事実確認終了〜〜!!

 

Photo by 中村ナリコ、柿次郎

 

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100年後の水を守る―水ジャーナリストの20年 (文研じゅべにーる)

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書いた人・塩谷 舞(しおたん)

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1988年大阪生まれ、京都市立芸大卒。PRプランナー/Web編集者。CINRAにてWebディレクター・広報を経てフリーランスへ。お菓子のスタートアップBAKEのオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」の編集長を務めたり、アートのハッカソン「Art Hack Day」の広報を担当したり、幅広く活躍中。Twitterアカウント→@ciotan / 個人ブログ→http://ciotan.com/


記念写真の「ピース」から卒業するために、プロダンサーに決めポーズを教わった

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こんにちは、ARuFaです。

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カメラ付き携帯電話が普及し、生活の中で写真を撮ったり、撮られたりすることが増えてきた今日この頃……。

突然ですが、日本人が写真を撮られる際、反射的にしてしまうポーズが何かご存知でしょうか?

答えはこちら……

 

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『ピース』です。

2本の指を突き立てるだけでできるこのハンドサインは、その手軽ゆえにカメラの前ではお約束のポーズとなっています。

この記事を読んでいるあなたも、一度はしたことがあるはずです。

 

……ですが、今日はあえて言わせてください、

 

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「みんなピースばかりしすぎでは?」

個人の個性多様性が求められつつある現代社会において、誰もがみんな右にならえの感覚でピースばかりしているのは、非常にもったいないと思いませんか? 僕は思います。

調べてみたところ、どうやら写真を撮る際にピースをするのは世界でもほぼ日本人だけらしいですし、驚くべきことにピースが相手を侮辱する意味として通じてしまう国もあるそうです。

 

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……楽しく写真を撮っていたはずが、知らず知らずのうちに相手を怒らせてしまう可能性すらあるなんて、怖いと思いませんか?

もっとこう……ピースに代わるような『自分だけの決めポーズ』みたいなものがあれば、世界のどこに行っても写真をより楽しめるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、ピースを卒業し、自分だけの決めポーズを取得すべく、この世で最も決めポーズをする職業である、

 

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『プロダンサー』に決めポーズを習いたいと思います

己の身体を最大限に活かし、人々を魅了するダンサーならば、きっと決めポーズの極意も知っているはず!

写真を撮影するたびに女子が良い意味で失神するような素敵なポーズを教えてもらうべく、早速プロダンサーに会いに行きましょう!

 

 

プロのダンサーに、決めポーズを習おう

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さあ、そんな訳で都内某所にあるダンススタジオにやってきました。写真中央にいるモブキャラみたいのは僕です。

運動は高校の部活以降は何もしていませんが、今回そんな僕に決めポーズを教えてくれるのが、こちらの方!

 

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プロダンサーの、大宮さんです。

【大宮大奨】

ダンサー、振付家。2013年イタリアン・インターナショナル・ダンス・フェスティバルにて新人振付家として優勝。アメリカ国内での著名なアーティストの映像作品にも出演しているスゴい人。好きな食べ物はたこ焼き。

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「今日はよろしくお願いします」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「はい、こちらこそ……」

 

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「よろしくっ……」

 

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「お願いっ」

 

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「します!!!!」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「すごさがヤバすぎる」

いかがでしょう。皆様におかれましては、この一連の動きだけで大宮さんがマジのダンサーであることがわかっていただけたかと思います。

 

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ちなみに僕が同じポーズに挑戦してみても、「床に叩きつけられたエビフライ」みたいなポーズにしかなりませんでした。

 

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そして残念なお知らせです。今の動きのせいで首と腰を同時に痛めて体が「終了」してしまいました。運動不足って怖いですね。

……そのため、ここからは身体が回復するまで、大宮さんに『決めポーズのコツ』についてインタビューしてみたいと思います。

ダンサーの方は、一体どんなことに注意しながら決めポーズをしているのでしょうか?

 

 

決めポーズのコツを聞く 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「体が終了してしまったので、回復するまでお話を聞かせて下さい」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「わかりました。せっかくなので身体をほぐしながら話しましょうか」

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「ア゛~~!! あの、決めポーズをする上での『コツ』を聞きたいのですが、大宮さんは決めポーズをするとき、どんなことに気を付けていますか?

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「気持ちの面で言うと、決めポーズ中は『この場で一番かっこいいのは俺だ!』とか『俺を見ろ!!』という強い気持ちでポーズをしていますね」

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「ア゛~~~!! なるほど、自信を持つということですね」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「はい。あとは動きの面で言うと、ポーズを決める際には、身体の全ての動きに意味を持たせるようにしています

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「……全ての動きに意味? どういうことですか?」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain表情はもちろんのこと、腕の角度足の開き指先の曲げ具合におけるまで神経を巡らせて、文字通り『全身』で気持ちを表現するという意味ですね」

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「なるほど」

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain「『全身で気持ちを表現する』とのことでしたが、ポーズだけで『喜怒哀楽』とかって表現できたりするものなんですか?」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「できますよ。実際にやってみましょうか」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「お願いします」

 

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「すっっっげ」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain完全に感情が伝わってきました。筋肉のスジが浮き上がるほど力強かったり、しなやかな躍動感だったり……ポーズってすごいんですね」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「ありがとうございます。ダンスの中ではもっと複雑な感情をポーズだけで表現することもありますよ」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「なるほど。じゃあカバンの中に正露丸がこぼれていた時の感情とかも表現できるってことですか?」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「思っていたよりもグンと複雑なテーマが来ましたね。でもできますよ。一連の流れも含めてやってみましょうか」

 

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f:id:Arufa:20161208181606p:plain凄まじい絶望感を感じますね」

f:id:Arufa:20161208181633p:plain「こんな感じで、僕等ダンサーは1つのポーズに対しても多くの感情や情報を宿しているんです」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「ポーズ次第で印象がまるっきり変わるのであれば、なおさら写真でのポーズはこだわりたいですね」

 

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……さて、ポーズの持つ可能性を教えてもらったところで、次は写真撮影で使えそうなダンスや決めポーズについて大宮さんに教えてもらいたいと思います。

なお今回は、決めポーズをする際に、写真撮影には欠かせない「あのかけ声」を利用したいと思います。

 

「はい、チーズ」のかけ声中にダンス&ポーズはできないか

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写真撮影時のかけ声といえば、みなさんもご存知の「はい、チーズ」がお約束ですよね。

せっかく写真で決めポーズをするのならば、撮影直前のこの2秒程の時間を使って『ダンス』をし、シャッターを切るタイミングで『決めポーズ』をガツンとかましたらカッコイイと思いませんか? 思いますよね?

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「思いませんか?」

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「思いますね」

大宮さんもこう言っていることですし、早速様々な撮影シーンでのダンス&ポーズを踊っていただきましょう。

シャッターを切る直前にダンスを踊るというこの試みが成功すれば、時代に新たなムーヴメントを起こせるかもしれませんからね。

 

1.恋人とツーショットするとき

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そんな訳でまずは、「恋人とのツーショットをするとき」のダンス&ポーズから。

恋人とのデート中……大好きな相手とラブラブなツーショット写真を撮りたくなることってありますよね(知らんけど)。

そんな時には、頭をコツンと合わせた状態から、こんなダンス&ポーズをしてみてはいかがでしょうか。

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「いきますよ、ARuFaさんはそのまま力を抜いていて下さいね」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「わかりました」

 

はい、チーズ……

 

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パシャッ!

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「頭を合わせた状態から、相手を回転させて情熱的なポーズをしてみました」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「人間っていきなり回転させられると、なすがままになってしまうんですね」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「そうですね。この流れでチューをしちゃってもいいんじゃないでしょうか」

f:id:Arufa:20161208181639g:plain「ス、スケベ!!」

 

2.集団で記念写真を撮るとき 

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この世で最も「ピース」が使用される瞬間。それが集団での記念写真です。

周りがみんな同じポーズの中、あなたはこんなオリジナルポーズで周りと差をつけてみてはいかがでしょうか?

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「次のポーズは、スピードが命です」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「……? お願いします」

 

はい、チーズ……

 

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パシャ!!

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「シャッターが切られる直前に滑り込み、思いっきり視線を集めて主役になってしまいましょう」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「何ていうか、こんなのもう、通り魔と一緒では?」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「そうかもしれませんね」

 

3.自撮りをするとき 

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すみません。この時点で既に体勢がおかしいことは百も承知ですが、まずは僕たちの話を聞いてください。

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「自撮り写真って、大体みんな同じような構図で撮影されることが多いとは思いませんか?」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「そうですね。なので自撮りにも動きをつけて、ダイナミックに撮影したら楽しいと思いますよ」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「おねがいします」

 

はい、チーズ……

 

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パシャッ!!!

こんなにかっこよく自撮りをする人、生まれて初めて見ました。

そして、撮れた写真はこちらです。

 

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f:id:Arufa:20161208181637p:plain「ダメじゃないですか」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「動き過ぎましたね」

自撮りはダイナミック過ぎてブレッブレになってしまいました。

……とはいえ、その他の試みでは成功していますし、「はい、チーズ」のかけ声中にダンスを踊り、決めポーズを決めることは十分可能だと言えましょう。

 

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というわけで、最後は今までのことを踏まえて、この記事の本題である僕のオリジナルポーズを大宮さんに振り付けてもらいたいと思います。

はたして、僕だけの決めポーズとは、どんなものになるのでしょうか。

 

 

オリジナルのポーズを振り付けてもらう

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f:id:Arufa:20161208181637p:plain「というわけで、僕だけのオリジナルの決めポーズを一緒に考えて下さい!」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「いいですね。ARuFaさんを表すポーズを作るのであれば、ARuFaさん自身が好きな物や趣味をポーズにした方が良いと思います」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「好きな物……趣味……」

f:id:Arufa:20161208181638p:plain「何かあります? 休日にやってることとか」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「……趣味でいうと、たまにパソコンを使って作曲をすることはありますね」

 

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f:id:Arufa:20161208181607p:plain「おっ、作曲! いいですね!」

f:id:Arufa:20161208181606p:plain「でも、面倒臭がりで飽きっぽいので、ちょっとでも手間取ると曲が完成する前に投げ出しがちです

f:id:Arufa:20161208181607p:plain「うん、いいじゃないですか! 今回はその部分をポーズに組み込んでみましょう!」

f:id:Arufa:20161208181637p:plain「めちゃくちゃマイナスな部分を話してしまったな」

 

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現代人を100人煮詰めた時に出たアクみたいな人間性ですが、今回はこの3つの要素でダンスと決めポーズを振り付けてもらいます。

 

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……そして大宮さんによる数分のレッスンの末、ついに僕だけの写真用の決めポーズが完成しました。

例によって「はい、チーズ」のかけ声中のダンスも振り付けてもらったので、ご覧ください。

 

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はい、チーズ……

 

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パシャッ!

……いかがでしょうか。

「足を組みながら机の上で作曲作業をするも、結局飽きて、ヘッドフォンを投げ捨てる」という僕のオリジナルダンス&ポーズが完成しました。

 

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……とはいえ、大宮さんと比べると僕の方は指先足の開き方がまだまだであることが見受けられるので、もっと練習をする余地はあるでしょう。

今後の写真撮影の際には、積極的に決めポーズをとっていきたいと思います。

 

決めポーズは楽しい

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いかがでしたでしょうか。

今回はピースから卒業するために、ダンサーの大宮さんから写真で映えるようなポーズをたくさん教えていただきました。

 

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……決めポーズをしていると、だんだん自信が沸いてきて、写真を撮られるのが楽しくなるだけでなく、今まで見たことの無い写真が撮れるため本当にオススメです。

一瞬の思い出を切り取る写真だからこそ、その時の感情を全身で表現する意義があるというものですよね。

 

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是非ともみなさんも、オリジナルポーズでライバルに差をつけてみてはいかがでしょうか?

それでは、さようなら。

 

ライター:ARuFa

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属のブロガー
車にひかれるのが苦手

個人ブログ→ARuFaの日記
Twitterアカウント→@ARuFa_FARu

 

【大宮さんが出ている動画】

'Wheelchair Dance'は車椅子とコンテンポラリーダンスをテーマに日本在住の有志のクリエイター達で制作。映像及びWEBのインデペンデント作品です。サイトはこちら→ http://wheelchair-dance.com/

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (09) - 春恋し/桃太郎裏話

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【2016年】日本全国取材中の編集者セレクト! もう一度行きたい「温泉」「グルメ」「ゲストハウス」まとめ

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。網走の独居房から失礼します。

2016年も残すところあと僅か。世界情勢から国内の芸能ニュースまで、激動の一年だったのではないでしょうか。今年もジモコロ編集長として地道に全国47都道府県を対象にあちこち取材してきたわけですが…

 

一年半でジモコロが訪れた都道府県はこんな感じです。 

※赤が行った場所、緑はまだ行けていない場所

 

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ちなみに2016年でいえば約26カ所を取材しました。複数回訪れたのは長野県、京都府、福岡県。来年は47都道府県を制覇したいんですが、一度行けば土地や人との縁が生まれて、「もう一回行きたいな…」となるのが人間の性です。

とりあえず年明けに九州取材が確定しているので「鹿児島県」「宮崎県」「大分県」のどこか行ければなぁ、と。

 

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ジモコロの取材は基本、地元の人におすすめを教えてもらいながら行動するスタイルなんですが、あまりにもあちこち巡りすぎて記憶力がやばいことになっています。1982年式の僕の脳みそのHDD容量は128MBほど。デフラグをいくらかけても隙間が生まれない状態…。歯槽膿漏の歯茎みたいに記憶がガタガタです。

まだ少しでも記憶があるうちに、脳みそを雑巾絞りの要領で棚卸ししたいと思います。絞り落ちろ! 記憶の果汁…! 

 

f:id:kakijiro:20161219210325p:plainというわけで、ジモコロらしく「もう一度行きたい!」と思った「◯◯県」「温泉」「グルメ」「ゲストハウス」に合わせて、「もう一度買いたいお土産」、「買って良かった旅グッズ」なんかをベスト3形式で紹介させていただきます。あくまで主観に基づいたセレクトですが、今後の参考にしてみてください。

 

もう一度行きたい「都道府県」

1位:山形県

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上野から新幹線で約3時間。決してアクセスは悪くないものの、観光視点であまり語られることの少ない山形県ですが、個人的には超好みでした。

まず人が優しすぎる。個性豊かなメシも美味いし(麺の量が多い!)。各市町村には温泉施設が必ずあるのもポイント高いです。

また、山の形で山形という地名まんまの景色も素晴らしい。出羽三山中心の山岳信仰が生まれて当然だな…と納得できます。2017年は何度か通いたいな〜。

 

2位:福岡県

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今年は二度、福岡に行く機会があったんですが…ようやく高い文化度を支える歴史的背景みたいなものが理解できて「そりゃ、強いわ!」とハラオチしました。

飯が美味い、女の子が可愛い。そこに大好きなコーヒーとカレー文化が高いレベルで共存している。「お前、明日から福岡な」って言われても「おっけー!」と、軽いレスポンスで移り住める自信があります。家賃めっちゃ安いし。移住者の多さも納得!

 

3位:長野県

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相変わらず長野に通い続けた2016年。ちゃんと数えていないんですが、15回以上行っていると思います。

そもそも「長野=インド説」を唱えたくなるくらい広大な土地に、個性豊かな町があちこちに点在しているため、「何度行ってもまわりきれねぇ!大迷宮か!」と好奇心が尽きません。

よく通った土地は長野、松本、上田、諏訪、信濃町、安曇野、白馬など。来年は佐久、軽井沢も行きたいし、伊那、木曽、飯田のよりディープそうな南信も攻めたいですね。

 

もう一度浸かりたい「温泉」

1位:北海道 屈斜路湖「和琴温泉」

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一度記事にしていますが、カルデラ湖畔沿いに突如出現するドラクエ感は2016年ベストでした。根室中標津空港から車で一時間ちょっとで行けるアクセスの良さ。「秘境温泉」のカテゴリには入らないものの、インパクトと満足度はさすが北海道クオリティです。来年も道東エリアに行く機会があれば絶対行くぞ!

 

www.e-aidem.com

住所:北海道川上郡弟子屈町字屈斜路和琴
TEL:01548-2-2191(弟子屈町役場)

 

2位:長野県 信玄の隠し湯「加賀井温泉」

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いつかジモコロでも記事化を狙っている長野のディープスポット「加賀井温泉」。語るべき要素はたくさんあるんですが、特筆すべきは茶褐色の泉質ですね。硫黄成分が強すぎて、写真右側の源泉が湧き出ているところに鼻を近づけると…「ギュンッ!!」と身体がねじ曲がるほどの刺激臭を体験できます。脳が拒絶するやつ。

痔がひどいときに訪れて「治れ、治れ、治れーっ!」と湯治していました。キュッとお尻に力を入れて。信玄が隠すだけのことあって肌もスベスベになります。

住所:長野県長野市松代町東条55

TEL:026-278-2016

 

3位:長野県 エメラルドグリーン「七味温泉」

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また長野ですみません。北信エリアにある信州高山温泉郷の「七味温泉」が想い出深いので、3位にさせていただきました。

文字通り7つの源泉が出る土地らしく、ホテル渓山亭が運営する日帰り温泉施設は、ご覧の通りエメラルドグリーンのお湯が特徴。標高1,300mの立地もあって抜け感もある露天風呂がすばらしいです。詳しくは以下の個人ブログでどうぞ!

 

jet-set.hatenablog.com

住所:長野県上高井郡高山村七味温泉牧2974−48

TEL:026-242-2921

 

もう一度食べたい「グルメ」

1位:島根県  久鶴「赤鯛」

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魚の美味さは鮮度に尽きるな…と真理に近づいた体験がありました。それが島根取材で訪れた出雲市駅前の料理屋「久鶴」で注文した「赤鯛の煮付け」です。老夫婦二人で小さく営んでいるお店。

大将いわく「朝獲った鯛を活き締めして、市場を通さずに漁師から直接仕入れている」とのこと。鮮度には相当な自信があるようで「え、鯛ってこんなに美味いの!?」と感動しました。いやー、脳が覚醒するほど美味しかったなぁ。

 

店名:久鶴

住所:島根県出雲市今市町1273

TEL:0853-23-2801

 

2位:岩手県 大寿司「寿司」

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2016年は奥深い寿司の世界に踏み込んだ一年でもありました。都内で1万円以上する寿司を誕生日祝にご馳走になったんですが、技術料が乗った寿司の世界やべー!と柏手を連発。「このレベルの寿司をもっと食べられるようになりたい」と心に誓いました。

その一ヶ月後。岩手県宮古市取材でふらっと入った「大寿司」は、手間暇を惜しまず職人技術をふんだんに盛り込んだ激ウマ寿司が出てきてテンションMAXに。都内の1万円以上する寿司よりも美味いのでは…?と思うぐらいだったんですが、一人たったの3000円ぐらいで唖然としました。この寿司のためだけに岩手にもう一度行きたい。マジで美味かったなぁ。

 

店名:大寿司

住所:岩手県宮古市西町2-1-8

TEL:0193-62-7417

 

3位:静岡県 炭焼きレストランさわやか「げんこつハンバーグ」

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ジモコロ的に外せないのが「さわやか」のげんこつハンバーグ! 山本さほさんの愛情がすごすぎたので「確かめに行きましょう」と取材同行したら、ガチで美味かったです。

備長炭の強火と遠赤効果。ギュッと旨味が閉じ込められていて、口の中にミディアムレアな肉の塊を放り込むと昇天確実…! この記事きっかけでテレビ、ネット含めて露出が増えたような印象すらあります。この記事を参考に、行列対策を考えて向かいましょう。

www.e-aidem.com

 

もう一度泊まりたい「ゲストハウス」

1位:長野県 信濃町「LAMP」

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累計20泊以上している長野県信濃町の野尻湖沿いにあるゲストハウス「LAMP」。

全国あちこちのゲストハウスに泊まっているんですが、元々ペンション×アウトドアスクールの施設をリニューアルして、「アウトドアアクティビティを遊べて」「安く泊まれて」「美味いメシが食える」というゲストハウスへ進化。

しかも、シャワーだけのゲストハウスが大半の中で風呂付きです。総合力の面で1位にしました!来年も行くぞ!

www.sundayplanning.com

 

2位:長野県 下諏訪「マスヤゲストハウス」

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「一ヶ月ぐらいここで暮らしたい」――そんな気持ちになった唯一のゲストハウスが、長野県の下諏訪にある「マスヤゲストハウス」です。

老舗温泉旅館を改装しているため、空間にゆとりがあって居心地が良い。スタッフの空気感もほどよく、居間のコタツでゴロゴロしているだけで癒やされます。

周辺には200円代で入れる銭湯(お湯熱い)があちこちあるし、寿司とウナギが美味いし、観光視点でも申し分ないというか。7年に一度の奇祭「御柱祭」でお世話になったんですが、諏訪大社の厳かさは一見の価値あり!

 

masuya-gh.com

 

3位:京都府 河原町「Len」

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観光客激増で宿の手配がシビアになってきている京都。ジモコロが毎度お世話になっているのが、京都河原町近くのゲストハウス&カフェバーラウンジ「Len」です。

東京で大人気のゲストハウス・入谷「toco.」、蔵前「Nui.」の姉妹店で、オシャレな内装と宿泊客&地元民の交流の場となっているラウンジが最高!

朝は美味しいコーヒーとパンも堪能できるし、こだわりのクラフトビールもあるし、ついつい長居しちゃいます。これでドミトリー=2600円〜って最高かよ。いや、最高なんだよ!

 

backpackersjapan.co.jp

 

もう一度買って来い!と嫁に言われた「お土産」

全国あちこちに出かけて家を空けがちなんですが…。大切なのは、嫁のご機嫌取りです。夫として必死に選んできた「お土産」の中でも、嫁の反応が良かったモノを選んでみました。ポイントは「ご飯のおともになる」、「食べきりやすい」の2つ!

 

1位:京都府「辛ごまふりかけ どうぞおかけやす」

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京都で360年続く老舗「七味家本舗」の「辛ごまふりかけ どうぞおかけやす」。なにげなく買って帰ったら、これがご飯のおともとして優秀な逸品…! 七味とごまの香ばしい風味と食感は、ふりかけに求められる“飽きのこなさ”の視点で嫁に好評でした。

価格=432円ってのも嬉しい。好きすぎて販路リサーチをしていたんですが、JR京都駅でも買えることが判明。ぜひ一度お試しください。

 

2位:山口県「しそわかめ」

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続いて山口県で人気の井上商店「しそわかめ」。理由は上記の「辛ごまふりかけ」と同様。飽きのこなさ、白飯によく合う風味がクセになります。おにぎりにたっぷり混ぜ込めば、山口県のソウルフードに早変わり!こちらも価格410円とお得!

 

3位:福岡県「博多 通りもん」

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もはや説明不要かもしれません。福岡を代表するお土産「博多 通りもん」は、甘い系のお土産の中で全国トップレベルだと言っていいでしょう。

上品な甘味と生地の食感は、独自の黄金比率によって成り立っているのでは…? そのあたりARuFaくんの記事でご確認ください。通りもん、コンビニで売ってほしいな…。

www.e-aidem.com

 

買ってよかった旅グッズ

1位:てぬぐい

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全国旅行取材のコツとして「荷物をどれだけ軽くできるか」があります。中でもかさばるのがタオル類なんですが、てぬぐい一枚に絞ってから旅の準備から温泉対応まで、めちゃめちゃ捗るようになりました。

一番のメリットは、「汗を拭く」「風呂で身体を洗う」「風呂上がりに身体を拭く」がてぬぐい一枚で済むこと。日中の汚れは身体を洗えばついでにキレイになるし、夏場は1〜2時間で乾くのも最高。

日本人はもっとてぬぐいを愛用すべきではないでしょうか? てぬぐい愛好家として今後も情報発信していきます!

 

2位:チコバッグ(携帯用エコバッグ)

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リュックやトランクとは別に「チコバッグ(携帯用エコバッグ)」を持ち歩いていると超便利! サイズはいろいろあるんですが、僕が持っているのはいなり寿司ぐらいで約44グラム。超軽量でコンパクトです。特にアウトドア用の素材であれば濡れたモノも気にせず入れられるため、荷物を置いて温泉や銭湯に行くときに活躍します。

 

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広げるとこんな感じ。アウトドア好きな金太郎の衣装みたいですが、使い込みすぎてシワシワになってしまいました。アウトドアショップで購入できます。

 

3位:サコッシュ

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取材中はもちろん、ちょっとした買い物時や音楽フェスの移動時など、デカい荷物を常に持ち歩くのってツラいじゃないですか。 そこで重宝するのが、肩がけで超軽量のサコッシュ。

小物類を入れたり、ペンや小さいノートを入れたり、フェス中には缶ビールを差し込んだりなどなど…使い勝手の良さは申し分ありません。僕が買ったのは登山用で防水対応。スマホやモバイルバッテリーといった水に弱い機械類を肌身離さず持つのもおすすめの使い方です。こちらもチコバッグ同様、とりあえずリュックに入れておくと便利!

 

まとめ

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1年半で全国あちこちまわった気でいましたが、知れば知るほどに「知らないことが増えてくる」という無理問答みたいな心理状態に陥るローカル取材。

あくまで主観かつ、知っている範囲でのセレクトとなりましたが、毎年このまとめ記事を作っていけば変化があって面白くなるんじゃないかなと思っています。

ステキな情報があれば、ジモコロのお問い合わせフォームからご連絡ください。

それでは!

 

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

他人にも自分にも現実感が持てないその感覚、マンガを引用して説明します

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みなさん、こんにちは。

突然ですが、みなさんは世界にリアリティを感じてますか?

私はあんまり感じてません。小さい頃からそうでした。見えている世界からニセモノっぽさが抜けませんでした。

二十歳くらいの時に「それ、離人症じゃない?」と言われて、そういう言葉があることを知りました。それからは自分のこの状態を「離人症」と呼んでます。

最初に辞書の定義を引用しておきますね。

 

離人症(りじんしょう)

自分自身や自分の行動、また外界などに対し、実感が伴わない状態。神経症・鬱病・統合失調症、極度の疲労時などにみられる。

(出典:スーパー大辞林)

 

これは、分かる人には分かるんですが、分からない人にはさっぱり分からない感覚のようなんで、この記事で説明してみたいんですね。いわば離人症のプレゼンテーション。

そんなもんプレゼンしてどうするんだって気もしますが、これは私が小さいころから一番気になっていたことで、同時にいちばん人に伝わらなかったことでもあるんで、チャレンジしてみたかったのです。

 

説明のために、マンガのシーンを三つ紹介します。フィクションの世界で離人症が大きく扱われることは少ないんですが、それでも商業レベルで流通しているマンガにそれらしき描写が見つかることがあるのです。読んでいて「この感覚だ!」と思った場面を引用します。

具体的には、以下の三つの作品です。

・尾玉なみえ『脳酸球』

・いがらしみきお『I』

・井上雄彦『バガボンド』

ちなみに今回の話は、前回の「人は2000連休を与えられると、どうなるか?」における第五部以降の話とリンクしています。ご参考までに。

 

www.e-aidem.com

 

尾玉なみえ『脳酸球』

尾玉なみえの『脳酸球』は短編集です。そのなかにオマケとして1ページのエッセイ漫画が収録されています。そこで作者の幼少期のエピソードが紹介されています。

状況はこうです。まだ小さい作者が一人でトイレに座っている。作者はトイレットペーパーの説明書きを読もうとするんですが、まだ漢字が読めないので、平仮名の部分だけを意味も分からずに読んでいる。

「まりますからこれらのものさないでさい……」

すると、徐々に「へんな気分」になってくる。

そして以下の描写に続きます。

 

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するとこんな感じになってきて…

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2つの穴から外を見てる様な感覚になって…

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ここにいることを不思議がらない自分を、しきりに不思議がって…

(出典:尾玉なみえ『脳酸球』141ページの4〜6コマ目)

 

「ここにいることを不思議がらない自分をしきりに不思議がる」という、この表現はまさにビンゴ。離人症における問いは「何故これまで、このことが気にならなかったのか?」という形で起こるのです。キッカケは「当り前が当り前でなくなる」ことなんです。

 

このマンガ自体は8コマの短いものなので、この後は「おしりふいてトイレから出たら元に戻ってた」と終わるわけですが、これはまさに「離人症的な状態」の入口に立った瞬間を描写したものだと私は考えます。

キッカケとなったのが「無意味な文字列を読むこと」だったのも重要です。文字をジーッと眺めていると、そこから「意味」が消えてしまう現象がありますが(「ゲシュタルト崩壊」というやつですね)、あれと同じことですね。言葉の世界から脱落したとき、人は離人症の入口に立つのです。

 

いがらしみきお『I』

いがらしみきおの「I(アイ)」は、全三巻のストーリー漫画です。

この作品自体が離人症的なテーマを扱っているのですが、とくに第一話の冒頭で、露骨にこの感覚が描かれてます。

主人公は医者の息子です。家庭は幸福そのものです。そこには「何不自由ない暮らし」があるのです。小学生の主人公はそんな日々を送りながら、夜になるたびに布団の中で自問自答しているのです。

 

毎晩心臓のことばかり気にして、一睡もできないこともあった。自分は動かしているつもりはないのにいったい誰が心臓を動かしているのかふしぎでしょうがなかった。

(『I』1巻15ページ)

 

これは「肉体があることの違和感」とでも呼ぶべきものです。

以前、この連載で書いたんですが、私は小学生の頃、脈拍や心拍数をはかるという行為が気持ち悪くて仕方なく、学校で「はかりましょう」と言われるたびにごまかしていました。それは、「自分の体」とされているものが、「自分の意志」と何の関係もなく勝手に動いていることへの違和感なのです。

 

いがらしみきおの話に戻ります。第一話にはこんな感覚も描かれています。

夜、主人公は家族といっしょに楽しくテレビを見ている。父親も母親も祖母も笑っている。まさに「一家団欒」を絵に描いたような幸せな光景です。

その状況で、主人公は思うのです。

 

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この人たちは誰なのだろう。

(出典:いがらしみきお『I』第1巻16ページ)

 

家族という「最初の人間関係」がうまく飲み込めていないのです。

再度強調したいのは、作中の家族が「典型的な幸せな家族」だということです。これが「問題のある家庭」だったならば、「この人たちは誰なんだろう?」という問いは、「こんなにも僕にひどいことをする人たちは誰なんだろう?」という問いにスライドしていくのです。それは「本当の親は別にいるんじゃないか」という思考にもつながるかもしれません。

「強烈な不幸」もまた現実感を喪失させるのですが、「完全な幸福」のほうが離人症を生み出しやすいと私は考えます。この主人公は申し分のない幸福の中で、ただただ「この人たちは誰なんだろう?」と疑問に思っているのです。

 

いがらしみきおには、『みんなサイボー』(『ガンジョリ—いがらしみきおモダンホラー傑作選』収録)という短編もあります。ここでは反対に、「問題のある家庭」が描かれています。「強烈な苦しみ」の中で、主人公は「みんな細胞にすぎないのに」という考えに取り憑かれていくのです。この作品に関しては、また別の機会に取り上げてみたいと思います。

 

井上雄彦『バガボンド』

興味深いのは、尾玉なみえにしろ、いがらしみきおにしろ、マンガに離人症めいた描写が登場するときは「幼少期の回想」という形になることです。次は井上雄彦の『バガボンド』から引用しますが、これもやはり「幼少期の回想」です。

 

コミックス32巻、武蔵が少年期を回想するシーン。武蔵はひとりで山におり、夜空の星を見ています。そのうち、「身体から魂が抜けていくような感覚」がおとずれます。武蔵は、自分の身体を別の自分が上空から観察しているかのような状態に入りこむのです。そして、武蔵は問いかけます。

 

あれ……? 何で……この姿…… 何でこのかたち……?

 

やはり、問題は「人間という身体の枠」なのです。武蔵は「自分の身体の形」の根拠のなさに直面しているのです。

武蔵はこの時の感覚を、友人である又八に次のように説明します。

 

俺が俺じゃなくなったような 俺が体から離れて俺を見てるような感じになった ボワワ〜と

一回じゃない 時々あるんだ

そこにいる俺は まるで初めて見る他人みたいに立ってる 何か借り物のような奇妙な——

 

尾玉なみえの漫画では、「体から意識が分離するような感覚」が描かれていました。いがらしみきおの漫画では、心臓が動いていることへの違和感が描かれていました。そしてここでも、肉体と外界の「境界線」の根拠のなさが描かれているのです。

 

ところで、『バガボンド』で描かれる武蔵の幼少期は悲惨なものです。宮本村という山奥の小さな村で、武蔵は「鬼の子」として周囲の人間から憎まれ、疎まれているのです。それは「濃密な意味の世界」と言ってもいいものです。

他人から憎しみを向けられ、自分もまた人々を憎む。武蔵は自分に暴力を振るう父親を憎み、自分を厄介者として扱う村人たちを憎みます。そんな日常を生きる武蔵にとって、フッと意味が消える瞬間は「救い」となるのです。

だからこそ、離人症の感覚を体験した武蔵は思うのです。

 

ほんとは誰も恨まなくていい——

 

そこには「誰かを憎んでいる自分」も「憎しみを向ける相手」もいないからです。濃密な意味の世界から、フッと離人症の世界に入ったとき、それが「救い」のように感じられることもあるのです。

この意味で、尾玉なみえ・いがらしみきおの事例と、井上雄彦の事例は微妙に異なっています。前者の場合、そもそも「意味の世界」にしっかりと参入できていない。しかし井上雄彦の場合、「意味の世界」にがんじがらめになった少年が、「救い」として離人症の世界に入っているのです。

 

ナンセンス系ギャグと離人症

尾玉なみえといがらしみきおは、どちらもナンセンス系のギャグ漫画家です(もっとも、現在のいがらしみきおをギャグ漫画家とは断言しにくいのですが)。そして井上雄彦はもちろんストーリー漫画家です。

 

これは私の仮説ですが、ナンセンス系のギャグ漫画家は、「人間関係の世界」にしっかりと参入できていないのです。だからこそ、人間たちの言動、社会のルール、当り前のように使われている言葉、そのひとつひとつが「冗談」のように見えるのです。

それでも作家が無理やり社会と関係を結ぼうとするとき、「ナンセンスギャグ」が生まれるのです。これは、離人症の問いに直面することを避けるための、一種の防衛反応と呼んでもいいものなのです。

 

一方、ストーリーマンガ家は、「人間たちの濃密な意味の世界」をストレートに描きます。井上雄彦の場合、『スラムダンク』や『リアル』はまさに「人間ドラマ」であり、そこに離人症の問いはありません。

そして『バガボンド』もドラマではあるのですが、徹底的にテーマを深めていった結果、人間ドラマの世界から脱落しそうになっているのです。この漫画には「自分の肉体の状態をしつこく観察する」という描写があるのですが、それが離人症的な感覚の発見につながったのではないかと思われます。

以上です。

 

離人症の感覚を描いていると感じたマンガを三つ紹介してみました。

とりあえず、今回はこのへんで終わりにします。

 

尾玉なみえ短編集 脳酸球 (シリウスコミックス)

尾玉なみえ短編集 脳酸球 (シリウスコミックス)

 

 

I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX)

I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX)

 

 

ガンジョリ―いがらしみきおモダンホラー傑作選 (ビッグコミックススペシャル)

ガンジョリ―いがらしみきおモダンホラー傑作選 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

バガボンド(32) (モーニング KC)

バガボンド(32) (モーニング KC)

 

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

ソトコト編集長に聞いた!若者がローカルに興味を持つ理由は「関わりしろ」

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ライターの根岸達朗です。

 

突然ですが、ひとつだけお聞きしたいことがあります。

みなさんが今、一番・・・

 

「おもしろいこと」はなんですか?

 

恋愛でしょうか? 仕事でしょうか? グルメでしょうか?

スポーツやゲームなど、趣味の世界に没頭しているのが何よりも最高! という人もなかにはいるでしょう。

 

実は今、若者たちの多くが「ローカル」に「おもしろさ」を見出しているそうです。

 

ローカル(local)とは一定の地方、地域、またそこに限られた特有の物や状態のこと。主な例として文化、風習、方言、民謡など。日本各地の地方のことをローカルと言い換えることが多い。ローカル - Wikipedia

 

ローカルで活躍する若者たちの中心は、バブル崩壊後に育った20代〜30代。東日本大震災以降、トレンドに敏感な現代の若者たちが、いわゆる「都会的なきらびやかさ」ではなく、どこか土臭い「ローカル的なもの」に引き寄せられているのには、何か理由があるのでしょうか。

 

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今回、日本全国を取材で駆け回るジモコロ編集長・柿次郎が、Twitterのフォロワーに対して行ったアンケートでも、回答者のじつに6割以上が「ローカル的なキーワードに興味がある」と回答。

 

 

地方創生などの文脈で、ローカルが注目を集めていることを知っている人は多いかもしれないのですが、ローカルに若者たちが集っている真の理由については、各地の現場に足繁く通わなければ、きっとわからないことでしょう。

 

ローカルは今、どうなっているのか。それを知るのにぴったりの本が今月発売されました。

 

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

 

 

本の主役は、地方を舞台に自分たちの暮らしを楽しく、豊かにしていくための活動に力を注いでいる「若きローカルヒーロー」たち。お金でもキャリアでもなく、生きる手応えと人のつながりで地域を盛り上げる。そんな若者たちの「今」が切り取られています。

  

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新潟県十日町市を拠点に活動する、20代男子3人組の建築集団「パーリー建築」。パーティを続けながら、使われなくなった建物を改修し続けている。撮影:Hiroshi Takaoka

 

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宮城県気仙沼市の唐桑半島で、地域の魅力を発信している20代女性5人組のチーム「ペンターン女子」。メンバーのほとんどが大学卒業と同時に移住を決めた。撮影:Masaya Tanaka

 

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著者の指出一正さんは、かつて日本中に「ロハス」という言葉を広めたことで知られる環境雑誌『ソトコト』の編集長。

 

震災によって社会が大きく動いた2011年に編集長に就任し、これからの時代を見越したかのように、雑誌の方向性を「ロハス」から、人のつながりによって、社会の幸せを考えていく「ソーシャル」という価値観へと舵を取った人物です。ジモコロ編集長の柿次郎も尊敬の念を抱いています。

 

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http://www.sotokoto.net/jp/

 

年間80回にも及ぶトークイベントを全国各地でこなし、さまざまな地域プロジェクトにも関わる指出さん。時代と人を見続けてきたキーパーソンは、ローカルの今をどのように捉えているのでしょうか。

 

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話を聞いた人:指出一正(さしで・かずまさ)

月刊『ソトコト』編集長。1969年群馬県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て、現職。島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、高知県文化広報誌『とさぶし』編集員ほか、地域プロジェクトに多く携わる。趣味はフライフィッシング。

 

「ローカルヒーロー」が人とまちを変えていく

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f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「単刀直入にお聞きしますが、ローカルっておもしろいんですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「おもしろいですよ。今の時代は、誰かがつくった既存のシステムに乗るのではなくて、自分たちの楽しみを、自分たちの手でつくれる人たちが増えているんですよね

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「へえ、自分たちの手で」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そういう人たちが特に地方には集まってきていて、それを僕は『ローカルヒーロー』と呼んでいます」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「ローカルヒーロー。ださかっこよくて、なんかいいですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「でも、ローカルヒーローというのは、たったひとりで誰もが望むような奇跡を地域に起こすような人じゃないんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「ヒーローなのに?」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。生身で等身大なんだけど、その人が作用することで、仲間を巻き込み、普段のまちに熱波が広がり、その地域が前向きに動くような、そんな愛すべきキャラクターですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「いいですねえ。お友達になりたいです」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「楽しいと思いますよ。たとえば、ちょっと前の音楽フェスだと、圧倒的に有名なアーティストがでてきて、みんなが元気をもらったりしましたよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「はいはい」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「それも手法としては残っているのですが、そうでなくてもおもしろいことができるということに、気付けるような人ですね。そういう人たちが増えている。自分たちで小さなパーティやフェスを開いたり、古い物件をリノベーションしてみたり」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「DIY的な遊び方ですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そうですね。かつて『おもしろいこと』といえば、東京にあると考えられてきたけど、今は違うんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「そうなんでしょうね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「過疎地といわれる場所や、山間部のほとんど知られていないような土地で、センスのある若者たちが、自分たちのやり方で、その地域を盛り上げようとしている」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「しかもそれなりの結果を出して」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ええ。程度の差はありますが、前向きに進んでることは間違いないでしょう。これは今、国が進めている地方創生の流れとも、比較的同じ方向を向いているなあと思いますね」

 

そこに「関わりしろ」があるから

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「パーリー建築」の作品「田んぼの教室」。ここで田植え体験やナイトウォークなど、さまざまなイベントが催されている。撮影:Hiroshi Takaoka撮影:Hiroshi Ikeda

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「若者たちはシンプルに好奇心をそそられるから、ローカルに集まっているんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ですね。さらにいえば、僕はそこに『関わりしろ』というキーワードもあると思っているんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「関わりしろ? あまりなじみのない言葉ですが」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そこに自分が関わる余白があるかどうか、ということですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「余白」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。たとえば、根岸さんがローカルに興味があって、ひとつのコミュニティに飛び込んでいこうとします」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「はい」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そのコミュニティがガチガチにコンセプトが定まっていて、取りつく島のないような、完成されたものだったとしたらどうですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「うーん。まあ、それに心から共感できればいいかもしれないですが、自分が関わって、そこで何か新しいことをやろう、というような気分にはならないかも」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ですよね。これは『東京R不動産』という不動産サービスを立ち上げた建築家の馬場正尊さんとも話していたことなのですが、『ツルツルピカピカ』のところに人が集まる時代は終わったということです」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「ツルツルピカピカ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「それよりも、もっとデコボコしていたり、ザラザラしていたりするようなところの方が、人の関心を集める時代になっている。なぜかといえば、そこには自分も一緒に何かができそうな、関わりしろがあるから

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「そっか。そういう意味では、ローカルというのは確かに『関わりしろ』だらけかもしれませんね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「今、名前も読めないような地方のローカルシティに人が集まり始めているのはそういうことだと思います」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「納得しますね。名前も読めなかったけど、行ってみたら自分がその地域の困りごとに対して何かできそうな感じがあったから、そのまま住んでやってみちゃったというような」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ありますね。そのときにその土地で気付いたことを東京に持ち帰って、都会と地方をつなぐ活動を始める人もいます。これまででは『弱み』とされていたことが、人を集める時代になっているんですね

 

「丁寧な暮らし」から「おもしろい暮らし」へ

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f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「若者たちは今、そうした地域の『弱み』を感知して、それを『おもしろさ』に変えることができるのか。しかも、それをすごくフットワーク軽く」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そうですね。今は社会が何層にも分かれていて、今住んでいるところだけが社会ではない時代になっているということでしょう」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「自分のなかにいくつもの社会を」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ええ。だから、東京に住みながら、島根や広島のプロジェクトに関わったり、長野に拠点を持って二拠点居住をしてみたりする。自分が関わる場所を複数持っている人も珍しくないのです」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「すごいですよね。たとえば、ちょっと前にはローカル的な暮らしのキーワードとして『丁寧な暮らし』というのがあったじゃないですか」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「今もありますね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「それとはまた違う潮流ですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そうですね。ただ、今の東京を中心とした社会の空気感には、まだ『丁寧な暮らし』がローカル的な『良さ』であるとする雰囲気が残っているんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「好きな人多いですもんね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「でも、僕はもう確実に、今の若者たちはそこじゃないところを求めていると思います」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「その先へ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。『丁寧な暮らし』というのはローカルにもともとあったものを、輸入しているだけの文化ですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「おばあちゃんの知恵的なやつとかもありますよね。それはそれで尊い世界なんですが」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。でもそれは家に帰ったあとに、自分の家のなかでまっとうすればいい暮らし方じゃないですか。僕はそれって、見つけ終わったら、終わっちゃう内向きな暮らし方だと思います

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「その世界観だけにとどまっていたらそうかもしれません」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「むしろ、今はみんなが外に開かれた価値観を持ち始めていますから、そのなかでどう暮らしをつくっていくかということを考えたい」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「そうですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「だから今の時代のセンスのある若者たちが、ユニークな活動をしている人やまちに関わって、そこから自分なりの『おもしろい暮らし』をつくっていきたいとなっていくのは、ある種の自然な流れだと僕は思うんです」

 

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着ぐるみで地域活性化を目指す「桃色ウサヒ」(山形県朝日町)。没個性キャラでどれだけ地域に貢献できるかを実験中。撮影:Hiroshi Ikeda

 

全国総「地域化」時代

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f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「それでいうと、若者たちを惹きつける『暮らし』のありかが、今のところ、都会ではなくて地方に軍配が上がっているようにも見えるのですが、そのあたりはどうでしょうか」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「都会もおもしろいですよ。たとえば、その中心は東京ですよね。実は今、東京って本気を出し始めているんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「東京が本気を」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「ええ。たとえば、下町の谷根千エリアとかがそうですよね。昔ながらの建物が残る土地に新しいコミュニティや地域プロジェクトが生まれ、そこにどんどん人が引き寄せられている」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「へえ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「清澄白河や西荻窪なども元気ですし、自分が住んでいなくても、よく遊びにいくようなまちを、どうしたいかということに、おもしろさを感じる人が現れている」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「東京にも、ローカル的な魅力が発見されつつあると」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。今は地方といわれている地域に住んでいる人たちの活動が一歩リードしているように見えるのですが、実はそんなこともないんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「そうなんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「むしろ今は、都市も地方も関係なく、自分の足元のことを楽しく、おもしろくしていくことに幸せを感じる人が増えている。これはもう、全国が地域化してきたといってもいいかもしれませんね

 

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山形・真室川の伝承野菜を使った「ソーシャル芋煮会」で、ふるさとの食文化を守ろうと活動する3人の男性。右からデザイナー、生産者、公務員。撮影:Atsushi Okuyama

  

若者たちが今「おもしろい」と感じること

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f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「全国が地域化。そこにある『おもしろ』の根っこにあるものってなんでしょうね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plainおたがいを認め合う楽しさでしょう。それが、顔の見える仲間との間に生まれるから楽しい」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「ああ、おたがいを認め合う楽しさ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「今はみんなが当事者の時代なんだと思いますね。だから、お互いにものごとをなしとげて、分かち合いたい。個人で何かをやるというような社会起業ではなく、コミュニティで何かをやっていくことに価値を見出す若者が多いんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「みんなでやることが、やっぱり楽しいんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「はい。それでいて、何が起こるかわからないような、偶発性も楽しんでいる

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「偶発性」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そこにいる人たちで、おたがいにできることを持ち寄ったら、意外とおもしろそうだから、やってみるかというような。たったひとりの、何かにひいでたプレイヤーがものごとを引っ張っていくという形ではないんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「そこにあるもので、自分たちでできる範囲で、とりあえずやってみるというスタンス。やっぱりDIY的」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「そうですね。でもこれがやってみたら、大人たちもびっくりするような、地方創生の文脈に乗っているプロジェクトになったということはある。それがすごい」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120935p:plain「無理なく、楽しんでやれているから、持続的な力が発揮されていくのかもしれないですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161221120949p:plain「先輩世代にはできなかったことを、今の20〜30代のソーシャル層はやっていると思いますよ。全国の地域で、昔の記憶を残しながら、新しいことが次々と始まっている時代というのも、すごくおもしろいですよね」

 

まとめ

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「豊かな社会」の尺度が変わり、多くの若者が「ローカル」に価値を見出すようになった今の時代。これからを担う若者たちにとって、「ローカル」という遊び場は自分にとって「関わりしろ」のある場所であり、「おもしろさ」を発見する場所になっています。

これ以上の経済成長は見込めないとも言われる時代にあって、私たちはどのような価値観を大切にし、どのように暮らしを築いていくのか。拡大成長時代の先にある、真に「豊かな社会」は、もしかしたら、いびつでザラザラとした「ローカル」から生まれていくのかもしれません。

 

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

 

今回、お話を聞かせてくれたソトコト編集長・指出一正さんの著書『ぼくらは地方で幸せを見つける』は、そんなローカルに生きる若者たちへの愛と、未来への希望が込められた一冊。

これからローカルで何かをしてみたいという人も、すでにローカルの再生に向き合っている人も、自分の生き方を見つけるためのヒントにしてみてはいかがでしょうか。

 

それでは、また! 

 

ローカルに興味が湧いた人、指出さんの話を聞きたい人は、2017年1月11日(水)19時〜開催予定の下北沢 本屋B&B「東京で地域について語ろう。地域×編集長ナイトJanuary」に参加してみてはいかがでしょうか。ジモコロ編集長の柿次郎も登壇します!

 

インタビュー写真:中西拓郎(http://1988web.com/

 

書いた人:根岸達朗

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ライター。発酵おじさん。ニュータウンで子育てしながら、毎日ぬか床ひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

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