Image may be NSFW. Clik here to view.「請求書にハンコを押して郵送するという風習、本当は無くてもいいと思うんですが、実際はどうなんでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。結論を先に言ってしまうと、もともと『押印された請求書の原本を郵送する』なんて義務は実はありません」
Image may be NSFW. Clik here to view.え!?
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Image may be NSFW. Clik here to view.「それと、ハンコは『あればそれっぽい』というだけの話で、ハンコ屋さんで簡単に作れますから、必要ありません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんやて〜〜!!??」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「究極、ハンコどころか請求書すら発行する必要も本来はないのです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えええ!?!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「口頭でもOKです。電話で、『50万円よろしく!』『はーい!』でオッケーなんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え〜!でも◯◯万円以上とか、企業同士のやりとりでは必要なんじゃないんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そんな決まりもありません。私も実際、契約書はおろか請求書もほとんど発行してないですから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え〜!?!?途中で法律が変わったとかではないんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえいえ、最初から『請求書にハンコが無いと効力がない』という法律もありません」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあ何でこんなに面倒なことをやってるんでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「請求書は面倒で無駄なんですが、何故こんなことをするかというと、2点あると思います。まず『決裁の問題』」
Image may be NSFW. Clik here to view.「けっさいのもんだい」
Image may be NSFW. Clik here to view.「例えばまきのさんがAさんに50万円でお仕事を頼みました。その後問題なく納品してもらった後、社長に『Aさんに仕事を頼んだので50万振り込んでください』と言いましたが、社長からは『仕事を頼んだ証明ある?』と言われてしまいました。どうしましょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「請求書をもらってなかったら、三国志の関羽みたいに『そんなものは無い』って言わざるを得ませんね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですよね。なので請求書は『仕事を頼んだ+納品した証明』となるので、必要になります。それでもハンコはいりませんが…」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「確かにそういう時には請求書がいりますね。しかしハンコが必要ないっていう事実がもっと広まったら、フリーランスの人はもっと楽になるのにな…教えてあげたい…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あともう一つは、『税務署の問題』です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ぜいむしょのもんだい」
Image may be NSFW. Clik here to view.「企業で税務調査の対象になった場合、『この支払いは何ですか?』『この売上はなんですか?』と質問される場合があります。数年前のものだと記憶があいまいになるので、請求書を取り交わしてしっかり記録しておく必要があります」
Image may be NSFW. Clik here to view.「記録は大事ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうです。消費税法にも『仕入税額控除を受ける場合、税務調査のときに請求書をすぐに提示できる状態にしておくこと』とありますので、請求書はあったほうがよいのです。ですが、ハンコまでは、求められていません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「マジでハンコいらんのか〜〜い!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「こんにちは!僕が書いた記事のことでご相談したいことがありまして」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ハンコに法的な義務はないっていう記事ですよね?結構反響があったらしいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんです。はてなブックマークのコメント欄を見ると、肯定的な意見もある反面『嘘つくな!ハンコは無意味じゃないぞ!』というのもいくつかあって」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まきのさんが書いた記事、僕も読ませてもらいました。間違ったことも言っていないですし、悩めるフリーランスの人たちにとって役立つ記事だと思いました。こういった問題提起はしていくべきです。ただ、誤解を招きやすい書き方をしているなぁ…とも感じました」
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(まきの、本気で"ゴクッ")
Image may be NSFW. Clik here to view.「まず、記事のメインである『請求書のハンコって意味ないんだって』というのがそもそも誤解を招きやすい!これって、
・『請求書のハンコは義務ではない』 一般的な請求書で、法的にハンコを押さなければならない義務はない
・『ハンコという“慣習”には意味がない』 ハンコそのものがもっと楽なものに置き換えるべき慣習である
の二点を、意図的においしい部分だけ混ぜ合わせてませんか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そっ…いやでも、嘘では…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「嘘ではないけど、誤解する人が出るのは仕方ないと思いますよ。だって請求書にハンコを押すことによる“得”がまったくない訳ではありませんから」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「そこのところ、詳しく教えて欲しいです!“得”とはどういうものがあるんでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「例えば、しかるべき権限者が作成したことを推認させるとか、偽造の可能性を低減させるとか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。確認しますが、それでも義務ではないんですよね?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「義務ではありません。ただ、トラブルが起きた時に、ハンコを押してる場合と押していない場合では、押していない場合の方が “困り度” が少し高くなります。それでいいなら押さなくてもいいのです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ハンコを押している場合でも、トラブルが起きれば困るのは困るんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それがトラブルというものですからね。わかりやすく言うと、
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、弊社でもハンコなしで困ったことは起きてません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕の事務所も請求書はデータで送信してますが、トラブルが起きたことはありませんね。ただ、万が一という場合もあるので、ハンコを押すことには、やはり“得”がないわけではないのです」
トラブルってなんやねん
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Image may be NSFW. Clik here to view.「先ほどからおっしゃっている“トラブル”とはどんな場合が考えられるでしょうか。低い確率でもいいので教えてください」
Image may be NSFW. Clik here to view.「例えば、発注側の担当者と受注側の担当者が結託して、有りもしない架空取引の請求書を作ったり、金額を水増しした請求書を作ったりして、発注側の金を騙し取る事件が考えられます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど!A社(発注側)がB社(受注側)に1万円で発注した仕事なのに、A社とB社の担当者同士がグルになって『5兆円の請求書を送ってくれたら4兆9999億9999万円を山分けできる!最高!』という感じで金を騙し取れるということですね?これは良い情報だ…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やめてください。そういうのを防ぐために、請求書の押印(代表者印)を要求するのは、意味があります。少なくとも、受注側(B社)の社内でしかるべきプロセスを経ないと、代表者印は押せないですからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもそれって、受注側がフリーランスの場合には無関係では?担当者=会社みたいなものなんだから。そもそも、そんな犯罪行為よく起きることなんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いや……『低い確率でもいい』って言うから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「受注側がフリーランスの場合は考えにくいトラブルを防ぐために、毎月毎月あんなにハンコ押して切手代使って……そりゃあフリーランスの人は恨みが募りまくってるワケですね」
ハンコという慣習って無くせないんですか?
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Image may be NSFW. Clik here to view.「そもそもハンコっていう慣習を無くすことはできないんでしょうか。今でも不可欠な利用シーンってあります?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「役所に提出する書類は結構ハンコが必要なものが多いですね。ただ、実はこれも法的に押印が義務付けられているわけではないものって、意外と多いのですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですか!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「最近だと千葉の市長が、何でもかんでも押印を要求する役所の体制に疑問を呈し、千葉市が運用を見直すことになりました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「千葉の市長…、少し前に弊社の企画でヨッピーとシムシティ対決してくれた人だ。やっぱり先進的な考えの人だったんですねぇ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今後、役所ですら押印が不要となるケースが増えてくるでしょうね。とはいえそれはまだまだ先のこと。今はハンコが効力を持つシーンも多いです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「欧米ではハンコではなく自筆のサインで済ませてるんですよね?じゃあ、要らなくないですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「サインだけよりは、ハンコとサインで二重になっていたほうが、より堅固な証明になるのは確かです。ハンコなら“押し跡”があるし、印鑑登録をしていれば偽造して利用しにくいんで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど〜」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一定の種類の文書を偽造すると、文書偽造罪という犯罪になるんですけど、押印のない文書と、押印のある文書では、罪の重さが違うんですね。
<押印なし>私文書偽造罪→1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
<押印あり>有印私文書偽造罪→3月以上5年以下の懲役
という感じです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へ〜。それだけ、日本ではハンコに対する信頼が大きいってことなんですね…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「偽造しにくいから証明力が高い、ということですか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あとは、その堅固な証明力と手間とのバランスが問題ってことです。例えば自分のパソコンにログインするために1時間くらいパスワードを入れ続けなきゃいけないなんてことになったら…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そこまでしなくてもいいです!ってビル・ゲイツに直談判しにいかなきゃいけないですもんね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「絶対会ってくれないとは思いますが、そういうことです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そういえば、はてブのコメントにあったe文書法って何でしょうか。“e"というのはおそらくネットのことだろうとは思うんですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「e文書法とはざっくり言うと、法律上保存等が義務づけられている一定の種類の文書について、紙文書だけでなく、電子化された文書ファイルや、紙文書をスキャンしたデータでの保存等を認める法律です。請求書も、一定の要件を満たせば、データでの保存が認められます。ただ、ハンコは関係ないですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「前回の記事はかなり話題になったんですが、その理由、今まで数多くの企業の法律顧問をしてきた藤井さんは、どう分析します?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やはり不満が溜まってたからではないでしょうか。毎月請求書を作る時期になると憂鬱だったのに、『実は義務じゃなかった』という事実を知れば、『これで楽になる!』とか『今までの苦労は何だったんだ!』ってなるのは当然かと思われます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でも今後は双方が楽になりますよね!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはどうでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へ?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「現状、一般的な会社は“請求書にはハンコを押すものという体制”で動いています。ハンコを押すのは確かに手間ですが、体制を変えるのはもっと手間です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だから現状の手間を続けるってことですか?面倒だけど一度体制を変えてしまえば、その後は楽なのに!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でも会社ってそういうものですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「さっき“ハンコをなくしてからも会社ではトラブルは起きてません”と言いましたけど、実は“ハンコが必要だった頃の方がトラブルは多かった”んです。『ハンコがないから送り直してください』って言うと、やっぱりギクシャクしますよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうでしょうね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「フリーランスの人はもっとトラブルが多かったと思うんです。『ハンコって必要ですか?』って言うと、こんなやつには二度と仕事を振らないってなったり」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そういったトラブルが、『実はハンコは義務ではなかった』という事実によって、じゃあ あの時の手間をどうしてくれるんだ!という問題に発展しそうではありますね」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ですよね。書かないほうがよかった……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえ、ハンコは義務ではないというのは事実ですし、問題提起するのは悪いことではないと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あの記事は、発注側・受注側・法律・経理・詳しい人・詳しくない人、さらには途中までしか読まずに意見を言う人、僕の書き方のせいで勘違いする人、というのが入り混じってすごい議論になってまして」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、すごいコメント合戦でしたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ネット上でこういった議論が巻き起こることってよくありますが、何を信じればいいのかな、とはずっと思っていて」
Image may be NSFW. Clik here to view.「内容の妥当性を論理的に考えよう、ソースを確認しよう、発信者の属性に気をつけよう、なんて言ったところで、リテラシーが高くない人には難しいですからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実名&顔出しできちんと経歴もあるのにデマ言う人もいる一方で、Twitterの匿名アカウントでも鋭い分析をする人はいますし……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ただまぁ、この手の騒動って、一方の声が大きくなれば、もう一方の声も大きくなり、大抵揺り戻しがあって、時間が経てば最終的には妥当な結論になることが多いですよね。時代が判定してくれる、ということではないでしょうか」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「藤井さんはIT関係の会社の法律問題を多く手がけてますが、これからネットの記事を読む上で、読み手に求められることがあれば教えてもらえないでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まずは誰がその情報を発信しているか、誰がその情報を肯定/否定しているか、最低限そこだけは見ることですね。まとめサイトやバイラルメディアに掲載された情報は、PVありきな場合が多いです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ふむふむ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一方で、専門家が自身のサイトやブログで公表している情報は、PV関係なく、正確で有益な情報を、社会的責任に基づいて公表している場合が多いです。間違ったことを言うと損になる人の発言、肯定/否定のコメントは、基本的には信頼度が高いかなと」
Image may be NSFW. Clik here to view.「さっき言ったとおり、それでも間違いはあるけど、という前提ですね。なるほど、ありがとうございました!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえいえ、わからないことがあったらいつでも聞いてください」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあこのインタビュー代金は5000兆円で弊社に請求書を送っといてください。余分なお金は山分けしましょう!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「東京にいても相当なパニックだったけど、そんなの話にならないくらいの混乱だったんだろうなぁ……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうでしょうね。うちのばあちゃんは実家の庭にいて爆発音が聞こえてきたって言ってました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「マジかよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もちろんその時は、何の音かは分からなかったみたいですけど。その後すぐに、『原発が爆発したから逃げろ!』ということになって。家族や親戚みんな車に荷物を詰め込んで慌てて逃げたらしいです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あの頃はテレビやネットでも情報が錯綜していたけど、そこにいる人達もどこに逃げればいいのかなんて分からないだろうし、相当怖かっただろうなぁ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「常に電話で連絡を取り合って、情報を集めながらとにかく遠くへ遠くへ逃げたと父親は言ってました。その時は携帯で通話しながら車の運転していても、警察は何も言わなかったそうです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そりゃそうだわ。避難最優先」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その後は親戚の家や被災者を受け入れている旅館などを転々として、新潟に空き家を貸してくれる人が見つかり、状況が落ち着くまでの数カ月間はそこに住ませてもらったみたいです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「他の住民もそんな感じで、みんな避難したってことよね?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。震災の翌日の3月12日夜には原発から20km圏内全てに『避難指示』が出され、その数週間後には震災の前はおよそ1万3千人弱いた南相馬市小高区の人口が、ゼロになりました」
震災から一カ月後の町の様子
Image may be NSFW. Clik here to view.「それから1カ月ほど経って、自分の地元がどうなっているのか知りたくなったので東京から帰省して避難指示区域の中に入ったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えっ?中に入れたの?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「福島第一原発からちょうど20kmの地点に検問が敷かれていたんですけど、免許証を提示して、目的を伝えれば入れました。僕は親が避難時に持ち出せなかったものを取りに戻る時に、同伴して中に入りました」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「これは沿岸部の道路です。津波でえぐり取られていて前の風景が全く思い出せません。ある程度覚悟はしていましたが、やはり見覚えのある景色はそこにはありませんでしたね」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「これはかんち君の実家?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実家が経営するガソリンスタンドです。写真の左奥に写っているのは祖父母の自宅ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「津波直撃したんだね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。なんとか建物は残りましたけど、瓦礫やヘドロが事務所に流れ込んで中にあった機器類や書類は全部ダメになっていました。ちなみに外に設置していた釣銭機の現金は避難の時に持ち出せなかったらしく、僕が見た時には何者かにバールでこじ開けられて、中は空っぽになっていました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えー!酷すぎる……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「当時は避難指示区域内で空き巣等が多発しているというニュースをテレビで見ましたが、まさか本当に火事場泥棒のようなことをする人がいるのには悲しくなりました。もし今後犯人を見つけたらバールで釣銭機と同じ目に合わせてやります」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やめろ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やります」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「これは……うわぁ…家がペシャンコだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「本震と繰り返される余震によって、このような潰れた家やお店はいたるところにありました」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ちなみにこれは撮影していたら寄ってきた犬です。当時はこんな感じで町のあちこちに犬や猫がいました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「避難先にペットを連れていけないし、鎖つけたままだったら餓死しちゃうって理由で逃したのかな?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おそらくそうでしょうね。放された動物の中には家畜の牛やダチョウまでいたそうで、当時、ネット上では『定点カメラにダチョウが映り込んだ!』とちょっとした騒ぎになりました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「突然野良ダチョウにエンカウントしたらビックリするだろうな……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その後ダチョウは捕獲されたようです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「5年半経ってようやくか……。町のみんなは戻ってきたのかな?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そこが気になって先日地元に帰ってきました!」
南相馬市小高区 の今
小高区の中心部から沿岸部までを車で撮影した動画
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「車はそこそこ走っていましたが、ほとんどのお店はまだ営業再開していないので外を歩いている人はかなり少なかったです。あと動画の最後、道路の両側に何かがたくさん映ってましたよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あれ何?のぼりみたいなのが並んでたけど」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「なんだろう?と思って車を降りてよく見てみると……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「全て『おかえりなさい!』と書かれたのぼりでした。あまりに数が多かったので、正直ちょっとだけ『こわっ!』って思ってしまいました……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「思うな」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すみません。思っちゃいました。ついでにこの白い壁の中はどうなっているかというと……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「こんな感じで津波で出た瓦礫や、除染作業によって回収された放射能汚染された土などが黒い袋に入れられ大量に並べられていました。この除染廃棄物を最終的にどこに置くかというのも課題になっています」
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「また車で走っていると、道路の横にこのような看板もあちこちに設置されています。メッセージ性が強いので、見ていて気持ちのよいものではありませんが……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「原発事故に対する住民の怒りが伝わってくるね……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「これは住宅の解体?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。補助によって家の取り壊し費用が無償だったこともあり、地震のダメージを受けてそのまま5年以上経った家を取り壊している家庭も結構ありましたね。人が住まない家はすぐ傷むというのは本当のようです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「みんな家を壊してるってこと?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえ、うちの実家は避難指示期間中も定期的に戻って家の掃除をしていたので、そのまま住めますし、そういった家庭も多いです」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「取り壊さずにリフォームする家や、取り壊した後にもう一度そこに新しく家を建てる家庭もあります。中には更地にした土地に太陽光パネルを設置する家庭もありましたよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。震災前は1万3千人弱が住んでいたって言ってたけど、今はどのくらいの人が戻っているんだろう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「市の ウェブサイト を見ると、2016年11月17日現在で967人がここで生活を再開しているようです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、1割も戻ってないのかぁ。そんなもんなのかな?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いや、少ないと思いますね。しかも半数以上は高齢者と言います。その理由として、まだ小中高校が再開していないことや、スーパーなど買い物する場所がほとんど無いことが挙げられます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「生活インフラがまだ整っていないってことかぁ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。でもこういった状況を悲観的な目で見るのではなく、チャンスと捉えて行動している人もいるんです。後日話を聞く機会ができたので、インタビューしてきました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はじめまして、よろしくお願いします。和田さんもここの出身なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい、僕も小高生まれの小高育ちです!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一緒ですね!ずっと地元っ子だったのでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえ、大学進学のタイミングで地元を離れて、しばらく東京の会社でITエンジニアとして働いていました。その後、2005年にUターンして小高に戻ってきたんです。地元に戻ってきてもWeb系の仕事を続けていました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。それで小高に戻ってきて6年後に被災したんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。幸い私の家は地震や津波の被害はありませんでしたが、震災の翌日、原発がヤバいぞ!となり、避難指示が出る前に家族全員で自主的に逃げました。その後、避難場所を転々としながら妻の実家の青梅市に辿り着いたんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「車で避難したんですよね?僕も当時ガソリンスタンドで働いていたので記憶に残っているんですけど、当時ガソリンを手に入れるのって相当大変じゃなかったですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやぁ、大変でした……。避難の途中、栃木県宇都宮市でガス欠になって立ち往生したんですね。そこで妻の実家に連絡して、青梅にある実家の車からホースを使ってガソリンを抜いて携行タンクに詰めてもらい、それを便利屋さんに頼んで青梅から宇都宮まで運んでもらったんです。時給2千円で」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「やっべ。車からガソリン抜くって終末世界だけの話かと思いました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもそういう原発パニックエピソードは、避難した人全員にあると思いますよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかに……僕の両親も当時の話はいろいろしてくれました。和田さんは避難後もITの仕事を続けていたんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「最初はそうですね。もともと東京の仕事をサテライトでやっていたので、避難で場所が変わっても仕事は続けられました。ただ震災後1年経った頃から、この仕事を続けることがしんどくなってきて……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ITエンジニアの仕事がですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。その頃はGREEやモバゲーなどソーシャルゲーム全盛期で、それに関する仕事をしていました。でもいくらシステム開発に時間を費やしても、この先どうなるのか、いつ地元に戻れるのか、という自分の中の先行き不透明感を一向に晴らすことはできなくて。それで2012年12月に仕事を辞めました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そこから地元の復興のために動き始めたんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「最初は外から視察などで避難区域を訪れる方達をガイドしていました。そうして震災から2年が経った頃、他の被災地を見てみると岩手や宮城などは外部の支援や住民の努力によって少しずつ復興に向けて進み始めているのに、この地域は相変わらず住民がゼロで、全く前に進んでいなかったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、人が住んでいるところを優先するのは仕方ないことですもんね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そもそも当時この地域には、復興のために活動する拠点すら無かったんです。そこで僕が小高ワーカーズベースを立ち上げて、避難区域内でもWi-Fiに接続して仕事が出来るコワーキングスペースを作りました。それがこの会社のスタートですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へぇー、どんな人がコワーキングスペースを利用するんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「避難指示区域を取材しに来たライターの方が、そのままここで記事を書いていくことはよくありました。あとはスマホの速度制限かかってしまって、自宅にネット環境もない人が避難区域の外からわざわざここに助けを求めて来たり」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。南相馬市全体で見てもフリーのWi-Fiスポット全然ありませんもんね。コワーキングスペース以外の活動ではどのようなことをされているんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「当時は営業している飲食店が1店舗も無かったので、作業員や地元の方が気軽にごはんを食べられるように2014年12月に食堂『おだかのひるごはん』をオープンしました。今年の3月に役目を終えて閉店しましたが、黒字営業だったんですよ(笑)」
Image may be NSFW. Clik here to view.「自宅の掃除とかで帰ってくる地元の人が結構多かったんでしょうね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そして今メインで運営しているのは、2015年9月にオープンして現在も営業中の『東町エンガワ商店』というスーパーです」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「いかにも仮設って感じの建物ですねー!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ここができた経緯は、地元の人から『お店がないと小高には戻れないよ』という声が市に多く寄せられていたのが始まりです。そこで市がこの仮設スーパーを作ったんですね。ただ、作ったはいいけど運営してくれる地元の企業がなかなか見つからなかったみたいで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。そこで小高ワーカーズベースが手を挙げたということですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。さっきの食堂もそうですが、こういった商売は全くの素人なので成功するかどうかはやってみないと分からないですよね。僕の会社はまだ小さく、失うものは何も無かったので『是非うちにやらせてください』と言って運営を任されました」
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コンビニと変わらない品揃え
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お昼時は多くの地元民や作業員がお弁当を買いに来るそう
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地元の銘菓や名産品も取り扱っている
Image may be NSFW. Clik here to view.「ところで、いまこちらに来ている原発関係の作業員の方々って全国から集められていますよね。正直コワモテな人が多いイメージなんですけど、店内でトラブルが起きたりとかありませんか……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「東町エンガワ商店で揉め事はオープンしてから今まで一度も無いです!地元の方も作業員の方も、皆さんとてもいい人です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おぉ!ちょっと安心しましたImage may be NSFW. Clik here to view.」
今この場所に足りないこと
Image may be NSFW. Clik here to view.「今年の7月に小高は避難指示解除されて住めるようになりましたけど、今ここに足りないものってありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やっぱり居酒屋みたいな人が集まってわいわいできる場所は出来て欲しいです。今は夜営業しているお店がお寿司屋さんしかないので、流石に毎日も通えないし……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかにお酒飲みながら情報交換する場所は、こういう所だからこそ必要ですね。ほかに娯楽施設もないですし。あ、娯楽といえば南相馬市周辺のパチンコ屋さんってどこも駐車場がいっぱいで繁盛してますよね……。これ以上言いませんけど、複雑な気持ちになります」
Image may be NSFW. Clik here to view.
避難指示区域”外”のパチンコ屋さんはいつも駐車場がいっぱい!
Image may be NSFW. Clik here to view.「実際、働かなくても賠償金で生活できちゃっているので、労働意欲が低下しているというのはこの地域が抱える大きな問題ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「市内のコンビニに張り出されている求人募集のバイト時給が、震災前と比べて数百円上がってました。働ける・働きたい人が少ないのかなぁというのを僕はそれを見て感じました」
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「このままだと、東京電力から賠償金や補償金をもらって余生を静かに過ごしたいと考える高齢者ばかりの町になるんじゃないかという懸念はあります」
Image may be NSFW. Clik here to view.「完全に悪い流れだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕はなんとかそれを断ち切りたいんです。大半の人は『そんなところで生活を再構築できるの?』という目で見ていると思うんですけど」
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「人口がゼロになってますからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でも見方によっては、人口がゼロからスタートして、これからどんどん人が増えていく可能性がある場所だと思っています。南相馬市小高区は避難指示解除から10年後に5~6千人にまで人口が回復する見込みで計画を作っていますし」
Image may be NSFW. Clik here to view.「震災前で1万3千人弱なので、約半分かぁ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それだけを見れば、10年経っても元の半分かと思われるかもしれません。でも一度人口がゼロになったことを考えれば、10年でゼロから6千人に町が急拡大すると考えられるのではないでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかに『6千人の移住者』と考えたらすごい規模だわ」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「今あるどの町も、元々原野だったところを開拓したところから始まっています。そしてそこに『自分も住みたい』という人たちが集まって一つの町になった。それと同じようなプロセスが、この日本という成熟した国でできるのはこの区域でしかないと思うんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そう考えるとワクワクしますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「この町はスタート時点で解決すべき課題が山ほどあって、ひとつひとつ対応していくことで今後人口が増えていくはず。人口が増えればおのずとニーズも増えていき、仕事のチャンスも増えていきます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ってことはつまり、100の課題があれば100の仕事が生まれるってことですね!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはうちの会社のキャッチコピーなんで、いま自分が思いついたみたいに言わないでください」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すみません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「小高ワーカーズベースは今年6月に新たにガラス工房の運営も始めました。コーヒーの耐熱ガラスで有名なHARIOのガラスアクセサリーの加工や販売をしています」
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ガラス加工の様子(HARIOランプワークファクトリー小高)
Image may be NSFW. Clik here to view.「現状、働く場所が少ないこの地域でこうやって働く場所が増えていくのはとてもいいことですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「この町はまさにリアルシムシティなんです。一度リセットされてゼロになったこの場所を、みんなの力で住みよい町に作り上げていきたい、そう思っています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うん、めちゃくちゃすごい人だった」
水ジャーナリストの橋本さんにいろいろ聞こう
Image may be NSFW. Clik here to view.「橋本さん!本日はお忙しい中わざわざ、ありがとうございます。こちら福井県大野市の、お土産です!」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「おっ!大野の銘酒、花垣じゃないですか。これは嬉しいですね。ありがとうございます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「わあっ!良かったです〜〜〜〜!やっぱり水がおいしいとお酒もおいしいんですね〜〜〜!感動しました!だから橋本さんにもぜひ、と思ったのですが、やっぱりお好きだったんですね〜〜〜」
Image may be NSFW. Clik here to view.「(偉い人だからって、いきなり態度が違う…あざとい……!)しおたん、本題!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へい、そうでした。橋本先生が水道水おいしいランキングを作成されてて、『日本一水道水がおいしいのは福井県大野市』って決められていましたが、あちらの根拠は一体なんなんでしょう? 科学的な物質とかの総合得点なのか、主観的な味覚の評価なのか……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい、主観的な評価ですが、1つ物差しを持って決めています。ひと言に水道水といっても、蛇口から出てくるまでのプロセスは随分違いますよね?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「と、いいますと?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「大野だと、地下水を汲み上げた”原水”がすごくいい水で、それを念のため、わずかに消毒して、水道水として出しています。水道法という法律がありますので。でも東京だと、原水となるのは利根川や多摩川の水。昔に比べればキレイになりましたけど、その水を直接飲んだらおそらく体を壊してしまいます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ふむ、そうですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だから東京の水なんかは、オゾン殺菌と生物活性炭を使って、何段も何段も工程を経て、お金も電気も使って、やっとのことでおいしい水を作っているんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。それは、ナチュラルボーンなすっぴん美人(大野の水)と、金をかけまくった整形美人(東京の水)を比べるようなものですね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たとえが悪い」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まぁ水の話ですがね。僕はそのふたつを一緒に比べてはいけないと考えています。もちろん、汚れた水をキレイにする技術も素晴らしいのですが。でもやっぱり、原水をキレイにするための保全活動は大切な取組みなんですよね。だから今回はそういった市町村の水道水をベースにランキングを作成しました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「大野のみなさん、保全活動めちゃくちゃ頑張ってましたもん! とはいえ日本は広いですし、頑張ってる市町村はたくさんあると思うのですが、なぜ1位に? 確かに、超おいしかったですけど……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やっぱりあの地形ですよね。ポカンと盆地が広がって、周りが全部山に囲まれている。そして北陸地方だから、冬には雪が多いでしょう。その雪水が地下に浸透するのですが、大野は土壌も素晴らしくって。非常に上質なミネラルを適度に含んだ水が、地下から出てくるんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「山、盆地、雪、土!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。パーフェクトです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「恵まれてるんですねぇ。それだけ自然が水を綺麗にしてくれたら、さぞかし水道料金も安くてうらやまし……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あれ、比較サイトで比べてみたら、しおたんの住んでる東京都のほうが安いよ?」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「あれ?!なんで?!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに水道水を作るまでのコストは東京都の方が圧倒的に高いのですが、やっぱり住民が多いので一人あたりの負担が軽くなって、結果として水道代が安くなるんですね」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「そっか、住民の人数で割り算されるんですね」
ちなみに、水道料金の安い&高いランキングはこちら。
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Image may be NSFW. Clik here to view.「富士河口湖町の835円に対して、北海道夕張市は6,841円……?! ひえ〜〜。ここまで地域差があるとは、知らなかったです!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「水は本当に地域差が大きいですね。それぞれ、その土地にある資源を使うものですから。”水を運ぶ”って、簡単なようですごく難しいんですよ。ものすごく重いですからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかに水は重い!会社にあるウォーターサーバーの水が切れたら、水タンク交換するだけで重すぎて腰がやられるので、誰かが交換してくれるまで見て見ぬフリしました」
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一方、積極的に水を交換する柿次郎さん(バーグハンバーグバーグ社内の様子)
Image may be NSFW. Clik here to view.「コラー!見て見ぬフリするなー!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「重いですよね。もし、水がもう少し軽かったら……世界の水問題なんていうのは簡単に解決できてしまうのでは、と思ってしまうほどです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「世界の水問題…」
重い水を運ぶくらいなら、猛毒の入った井戸水を飲む…?
Image may be NSFW. Clik here to view.「世界の水問題の象徴的な話なんですが、バングラデシュのとある町にある井戸は取水口を真っ赤にぬられていました。それは、『ヒ素に汚染されているから飲むな』という印だったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、猛毒じゃないですか……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。でも、子どもたちは喜んでその水をゴクゴク飲んでいて、周りの大人たちもポットにくんで、飲み水として家庭に持ち帰っているんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えっ…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「信じがたいですよね。その町には、身体に無数の斑点ができた子どもや、大人がいました。ヒ素の影響です。最悪、死に至ります。近くにはたくさんの川や池があるのに、その水はもっとひどい病原菌におかされていたんです。それを誤って飲み、死んでしまう子どももいました。1990年代半ば、私がまだ駆け出しのジャーナリストだった頃の話なのですが……取材でバングラデシュに行ったんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その町の人たちが安全な水を手に入れるには、3時間以上かけて水をくみにいく他ない。でもそうすると、働く時間を奪われて生活ができなくなる。だから危険だと知りながらも、ヒ素が入っている水を飲むんだと。そんな事実を、現地の方から知らされました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やるせないですね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その光景を見たときから、水に恵まれた日本の中で歩き回って、”この水はおいしい”とか記事にしていた自分が、一気に恥ずかしくなりました。自分がそれまでに書いた原稿を全てやぶり捨てたいくらい、恥ずかしかった」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それで今橋本さんは、世界の水問題を取り扱う水ジャーナリストとして活動されているんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど……。でも今はそれこそ、海水を淡水化する技術も進んでいるのでは?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もちろんです。ですが、海水を淡水化する技術を使える乾いた国というのは、中東の油田があって、王様がいて……という地域くらいですね。
Image may be NSFW. Clik here to view.「500mlの水を飲むために、2万円払う……くらいの感覚ですね。2リットルで8万円……。それは生活できないですね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。海水の淡水化は、もちろんそれ以上に高額です。一方オイルマネーで豊かな中東の国では、膨大な資金を使って海水を淡水にして、スプリンクラーで砂漠に水をまいてるんですよ。飲み水ではなく、砂漠を緑化してるんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、それで砂漠に草が生えるモノなんですか?!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「普通はなかなか厳しいのですが、ずーーーっと撒きっぱなしにすると、砂漠にも草が生えてくるんです。ドバイなんかでは、そうして砂漠の中に緑を作って観光資源にしていたりするんですよ」
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砂漠の中に高層ビル、そして緑が見えるドバイの風景
Image may be NSFW. Clik here to view.「オイルマネーおそるべし……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だから、安全な水を得られない貧困の方々と、海水を淡水にするビジネスっていうのは全く別のレイヤーで動いてしまっているんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「知らなかった……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやほんと。教えてくださってありがたいです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「こちらこそ、水のことに興味を持ってもらえるのが一番嬉しいんです。日頃はこんな水の話を、学校で授業させてもらったり、大人相手にさまざまな土地の日本酒を味わいながら話したり、あとは自治体や企業へのアドバイスをさせてもらっています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「水ジャーナリストというより、それは水専門コンサルタント、的なかんじですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。でも僕は”アクアコミュニケーター”とも名乗っています。
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「へ〜〜〜!!熊本すごい!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですよ。あ、そして福井県の大野市でも、あのおいしい地下水を残しながら、町が発展していけるとよいですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あの大野の水は、本当に本当においしかった……。人生で一番おいしかったです……水がうまいから、米もうまかったし……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「私から言うのも変な話ですが……。大野の方には、ぜひぜひあのおいしい水を守っていってほしいです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「変じゃないですよ。塩谷さんは大野の水のことを、自分の町のように捉えてくれてるんですよね。素晴らしいことです。大野もそうですし、遠く離れたアジアやアフリカの方々も安全な水を使えるように。世界の水問題を『自分には関係ないこと』だと思わずに、知ってもらえると、嬉しいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかに……。無関心が、最大の罪ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「橋本さんの本を読んでから、水の知識が一気に増えて、結果としてめちゃくちゃ水ケチって暮らしてます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「お、ありがとうございます。いいですね! でも日本家庭の水道水の使用量は、ここ数年でずいぶん減少してるんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんで?!不景気だから、みんな節約を?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「というよりも、家電メーカーの努力ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あ、前にTOTOに取材に行きました!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「これはトイレの記事だったので書かなかったのですが、体感する水圧はほぼ一緒なのに、使ってる水の量は半分くらいになる……みたいなシャワーヘッド『エアインシャワー』という商品もありましたね。正直、欲しくなりました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。節水したかったら、家のシャワーヘッドを取り替えるのも効果的です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へえぇ〜〜、意外と知らないシャワーヘッドの世界…」
Image may be NSFW. Clik here to view.というわけで、ジモコロらしく「もう一度行きたい!」と思った「◯◯県」「温泉」「グルメ」「ゲストハウス」に合わせて、「もう一度買いたいお土産」、「買って良かった旅グッズ」なんかをベスト3形式で紹介させていただきます。あくまで主観に基づいたセレクトですが、今後の参考にしてみてください。