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Channel: イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」
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【4コマ】イエティーと髭博士「じこしょうかい」

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ジモコロの新キャラクター「イエティー」と「髭博士」の日常を描いた頭からっぽの4コマ漫画です。なんでも知っている髭博士となにも知らないイエティーのやりとりをお楽しみください。

 

●登場人物

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頭からっぽ4コマ

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<ジモコロはかせとイエティーの頭からっぽ4コマ・一覧>

 

 

 

漫画描いた人:カメントツ

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仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi


「恥を捨ててエモく発信しろ!」京都の老舗音楽フェスで語り散らしたフックアップ文化の話をしようか

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こんにちは、京都在住ライターのおかんです。みなさん、今年フェスには行きましたか?

毎年、全国各地でフェスが開催されていますが、京都にもたくさんの音楽フェスが存在します。ロックバンド10-FEETが主催する「京都大作戦」や、京都出身のバンド・くるりが主催する「京都音楽博覧会」。他にも、さまざまなお店や駅前広場などをステージとした市街地型音楽フェスなども。

 

さて、数ある京都のフェス、そのなかでも老舗中の老舗、ローカルフェスの先駆けとなるイベントがひとつあります。みなさんは「ボロフェスタ」をご存知でしょうか。

 

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メジャーシーンにはない、マニアックで新しいアーティストがたくさん出演する典型的なインディーズフェスなんですが…。

ボロフェスタのなにがいいって、自給自足なフェスなんです。知名度の有無やジャンルに関係なく主催者やスタッフが「いい!」と思ったアーティストのみを呼び、100人以上のボランティア・スタッフと主催者が一緒になって、会場設営から運営までを行っている、ハンドメイド感あふれるイベントってこと!

「今年はボロフェスタどうしよっかな〜」と、考えていたらある日柿次郎さんから連絡をもらいました。

 

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「おかんちゃん、9月にジモコロで京都に行くんだけど、記事書いてくれない?」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「おお〜、ぜひぜひ!何の取材ですか?」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「ボロフェスタっていうフェスなんだけど、知ってる?」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「知ってるもなにも……知ってますよ」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「お、話が早いー! 今度、秋に開催されるボロフェスタに先駆けて、ナノボロフェスタっていうプレイベントで、ジモコロが出張トークイベントをするんだよね」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「出張トークイベント……。何の話しをするんですか」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「フックアップっていうカルチャーと音楽を絡めて話しをする予定!日曜日にイベントあるけど、京都で遊びたいから金曜日に行くねー!ではー!」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「ものすごいバックリした説明やったな……」

 

かくして、ジモコロ出張イベントの様子と、京都が誇る名フェス、ナノボロフェスタをレポートしてきました。

 

あらゆる人が集まる3日間がはじまった

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そして金曜日の夜。はじめに合流したのは、おなじみ「鶴と亀」の小林くん。小林くんだけ早めに京都に着いたので、雑貨屋をウロウロするプチおデートを敢行しました。

 


小林くんに「どんな感じのイベントなんか全然聞いてないんやけど、なんか聞いてる?」と聞いたら、「いや、何にも……。とりあえず京都集合って言われたんですよね」と何ともフワフワとした回答が。ジモコロっていつもフィーリングで取材してる?

 

 

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四条烏丸にある雑貨屋「VOU」。クールでかっこいい商品がいっぱいのお店です。

このあと前回の「路地酒場」で紹介した「ELEPHANT FACTORY COFFEE」で一服して、京都駅へ移動。

 


 

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京都駅で柿次郎さんと望月優大さんが合流。望月さん(あだ名:もっちー)は熊本のイベントで仲良くなったお方です。

 

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「おかんちゃん、おつかれさま〜」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「久しぶり〜」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「ユルい登場だなぁ。近所のコンビニに行くくらいラフな格好で来たな。もっちーさんはジモコロ初登場なので、軽く自己紹介をお願いします」

f:id:eaidem:20161007193522p:plainHIROKIM BLOGという硬派めのブログを書いている会社員です。 RHYMESTERの宇多丸師匠を勝手に尊敬しています」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「ヒップホップとカレーと銭湯が好きな望月さんです。いずれジモコロライターとして何か書いてもらいたいなーと思ってます」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「そうなんだ」

 

f:id:yh1123:20161003220422j:plain京都といえば銭湯!ということでまずは京都駅から徒歩15分くらいの銭湯「白山湯」へ。ここのお湯は全て地下水をくみ上げて沸かしているので、湯触りがマイルドなのが特徴なのだ。

 

……ごめんなさい。今回、ものすごーく記事が長くなってしまうのを先に謝っておきます。ナノボロフェスタ自体の話と、トークイベント自体の話やテーマが絡み合っているのでちょっと複雑。

しかも、メンバーがまさかのイベント前々日集合! 過去のジモコロ出演者も総動員。読まれやすい文章ルールを全無視して、熱量だけで書き上げたこの旅の記録!(無理しなくていいから)読んでくれ〜!

 

ふたりが提唱する「フックアップ」ってなんだ!? 

f:id:yh1123:20161003165040j:plain入浴後の一杯。銭湯のあとの牛乳ってなんでこんなにおいしいんだろうな。しかしワイの顔がでかい。目も死んでる。

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「そもそもなんでナノボロフェスタにジモコロが出るんですか」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「ふむ、その説明をするとなると……」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「まずはフックアップの話をしなければならないね」

 

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銭湯後は串カツ屋「はなまる串カツ製作所」へ。一串80円で爆安なのに、薄衣&大ぶり具材でめちゃウマ。柿さんが京都にくるとだいたいこのお店に行く。いわく「これが東京なら食べログ4.1はする」らしい。

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「フ、フックアップ……?」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「フックアップっていうのは、『ものを引っかけて持ち上げる』とか『接続する』っていう意味の英単語なんだけど、ヒップホップのスラング的な言葉でもあるんだよね」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「柿さん、ヒップホップ好きでしたね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「たとえば50Centっていう筋肉バッキバキのラッパーがいるんだけど、彼はあの世界的にめちゃくちゃ売れているラッパーで。EMINEMの目に止まったことがきっかけで音楽シーンでの成功を果たしていて」

 

Get Rich Or Die Tryin

Get Rich Or Die Tryin

 

50Centのド名盤 1stアルバム『Get Rich Or Die Tryin』。50Centはあるトラブルがきっかけでレコード会社のブラックリストに載ってしまい、大舞台での活動ができなくなっていたんですが、くすぶりながらも続けていた音楽活動が結果としてEMINEMによって見いだされ、大型ラッパーとしての地位を獲得します。

 

 

Marshall Mathers Lp

Marshall Mathers Lp

 

その50Centを自身のレーベルへ迎え入れたEMINEM。極貧、家庭崩壊などの不遇な境遇からアフリカ系アメリカ人やヒップホップに親しんでいった。いまや世界中にファンを超大物ラッパー。音楽をあまり聴かない人でもこの「Lose Yourself」は1度はどこかで聴いたことあるって人は多いはず。

 

f:id:yh1123:20161003170946j:plain串カツ屋の後は我が家で深夜まで飲んだあと並んで寝た。4畳半にいい歳した成人が4人川の字で寝るなんて完全に無茶をさせてしまったと反省してます。写真はおかん得意の強制マッサージ中。

 

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「そのEMINEMも、もともとはN.W.A.っていう伝説的なヒップホップグループの元メンバーで、いまはヘッドフォンの開発や音楽プロデューサーとして活躍するDr. Dreがプロデュースしたことがきっかけでヒットに繋がったっていう経緯があるんだよね」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「黒人主体のヒップホップ業界で白人のエミネムが成功したのは、Dr. Dreあってこそだって言いますもんね。『Without Me』がリリースされたとき、あまりのカッコよさに衝撃を受けたのを覚えてるなー。MDに入れて聴きまくってた」

 

 

Chronicle Best of

Chronicle Best of

 

50CentをフックアップしたEMINEMをフックアップしたDr. Dre。N.W.A.時代の波乱や東西間の音楽抗争などで多くの仲間を失ってきたんですが、紆余曲折を経てEMINEMというダイヤの原石を見つけ舞台に戻ってきた。そんな経緯を知った上で「Still D.R.E.」という曲を聴くと泣けてきます。

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「この話みたいに、ヒップホップ業界には『上の立場にいる人が下の人を捕まえて、引き上げてあげる』っていう文化が根づいてるんだよね。その引き上げる、持ち上げてあげる行為のことをフックアップと呼んで、まだ世に知られていない才能を世間に広めていくんだ」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「フックアップ素敵やん……!ただ、フックアップといま京都に柿さんともっちーさんがいるのがあんまり繋がらないんだけども」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「よくぞ聞いてくれました」

 

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「僕たち、フックアップブラザーズです!」

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「何それ」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「僕ももっちーもヒップホップが大好きだから、前にフックアップの文化っていいよね、フックアップをテーマにしたメディアをつくりたいよねって話をしてて。ユニットとしてフックアップ文化を啓蒙すべく、フックアップブラザーズとしてやっていくことにしたんです」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「ジョナサンでね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「そう、ジョナサンでうっすいハイボールを15杯くらい飲みながら……」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「3時くらいにね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「そう、昼の3時くらいに」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「笑う」

 

f:id:yh1123:20161004111954j:plain翌朝、昨日の銭湯で朝風呂をキメてから近くの渋〜い喫茶店「CAFE WORLD 新町」で一服。

 

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「まあ、そんな感じで、フックアップカルチャーを広める活動をしようということに決まって、一度東京でふたりでトークイベントをしたんよね。その後ももっと全国的にこの活動を広げたいなーと考えていたところに、今回のナノボロ出演のお話をいただいたというわけ」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「にゃるほど。ふたりが京都にフックアップを伝導しにきたってことか。フックアップが音楽シーンのなかで生まれた文化なら、フェスで話すのはごく当たり前ですしね」

 

フックアップされた経験があるからこそ、フックアップを広めたい

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お昼は美味いスパイスカレーが食べたい!というリクエストで「240(ニコヨン)」へ。パンチ力のあるカレーで美味い。ひとつのお皿にカレーと副菜が盛られた小宇宙のようなビジュアルは関西ならではって聞いたんですがホンマですか?

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「フックアップを推すのは、ただヒップホップが好きだからって理由だけじゃないですよね?」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「うん、ぼく自身の経験も大きいよね。バーグハンバーグバーグ社長のシモダにフックアップしてもらったからこそ今の自分がいるから。最終学歴松屋だし、どうやって社会に上がるかわからなかった」

 

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スパイス欲がガツンガツンに満たされる!めちゃくちゃうまいと大好評

 

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「大阪でくすぶっていたある日、上京していたシモダからメッセンジャーでエクセルシートが送られてきたんよね。確認したら半年で50万円を貯めろ!そして上京しろ!っていう内容で。毎月貯金額を記入して送り返せって言われた」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「おお、信頼関係がないと通じないやり方ですね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「まぁね。自分自身このまま大阪でくすぶっていても先が見えなかったから、そこから必死で働いたなぁ。朝8時〜夜22時まで松屋でアルバイト。23時〜深夜2時までスーパー銭湯でアルバイト。休み関係なく半年働いたら50万円ぐらいあっという間に貯まって。『よっしゃ、上京だ!』って行動に移したのが26歳の終わり頃だったかな」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「8年ぐらい前のことですね。へー!そんな経緯があったんだ!」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「上京直後は編プロで2年間修行したんだけど、バーグハンバーグバーグの4人目として誘われて合流。紆余曲折を経てジモコロ編集長に至るんだけど、シモダのフックアップがなかったら、おかんちゃんとも出会ってないね」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「そう考えるとフックアップ超大事…!」

 

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f:id:eaidem:20161007193524p:plain「さらにシモダ自身は、paperboy&Co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真さんにフックアップされていて。その関係図を分かりやすく伝えるために用意したのがこちらです」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「わざわざ6人分の似顔絵イラスト用意してまで伝えたいんだ」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「うん。これが一番分かりやすいからね。この図で言えば、Dr.Dreと家入一真さんはフックアップおじいちゃんにあたるんよね。つまりフックアップの恩義を感じている人間は次に繋げようとするんじゃないかな?と思っていて」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「なるほど〜! 次は柿さんも誰かをフックアップしないといけないわけですね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「そういうこと。ジモコロ視点でいえば、ロゴや紙周りのデザインをお願いしているデザイナーの中屋辰平くん。写真をよくお願いしている鶴と亀の小林直博くん。そしてジモコロのメインライターとして一緒に動いている根岸達朗さん。この3人はほっといても実力があるし申し分ないんだけど…僭越ながらジモコロきっかけでフックアップできたらいいなと思ってる」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「そういえば3人よく一緒にいますもんね」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「まぁ、気の合う人と一緒に仕事できるのが一番だからね!」

 

 

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2日目、男子チームは京都のゲストハウス「Len」に宿泊。ホステルの1階にあるカフェバーで飲んでいたら、たまたま柿さんの東京での知り合いが現れてしばらく一緒にお茶をすることに。

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「まさか旅先で三ノ輪のご近所さんに会うとは思わなかった」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「偶然が生み出すエモ」

 

 

f:id:yh1123:20161004113209j:plain昨日たくさん飲んだのに結局みんなビールを飲み出す。

 

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f:id:eaidem:20161007193522p:plain「ぼくは柿次郎さんとシモダさんのような上下関係だけがフックアップだけじゃないと思ってるんだよね。横どうしの関係、『水平フックアップ』での経験が多いかもしれないなぁ」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「水平フックアップ。そういうのもあるのか……」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「若いころはアンチ上下関係だったし、この人に拾ってもらったって言える上の立場の人はいなかった。でも柿次郎さんみたいに、同世代の人が『飲みに行こうよ』って誘ってくれることで、ふだんインドア派の僕は新しい人たちと知り合えることがあって」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「それは柿さんがもっちーさんをフックアップしてるてこと?」

f:id:eaidem:20161007193522p:plain「そう、でも柿次郎さんとは上下のフックアップにある同業種の繋がりはない。すごく水平な人間関係なわけで、ぼくはこれを水平フックアップと呼ぶわけです」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「水平フックアップなら、知らず知らずのうちに誰もが一度はやっているのかもしれないなぁ」

 

 

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夜はボロフェスタOBの人たちを中心に前夜祭。ボロフェスタOBの大学の後輩、京都在住のDJ、バーグさんとこの社員、まきのゆうきさんの弟がやってきたりして、人が人を呼ぶ大型飲み会に。

 

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しっかり梅湯にも行きました。湊三次郎さんのインタビュー記事はこちら!

 

 

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かもめブックス&校閲会社・鴎来堂代表の柳下さんも登場。

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「柳下さんのインパクトがスゴい。知のドワーフ存在感ありすぎ」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「知らないうちに来てて、パっとみたら豪快に身体洗ってたからびっくりした」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「なにそれ。続々とジモコロと接点のある人が集まっていてすごい。そんな柳下さんが校正校閲について語る記事はこちら!」

 


 

 

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10人くらいいたのに、女が私ひとりだけだっため悲劇のソロ入浴。男子チームのキャッキャしてる声を聞いてました。壁の向こうは楽しそうでいいなぁ。

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「梅湯では10月28日から11月15日まで、記事の冒頭で小林くんと私が行ってた『VOU』っていう雑貨屋とコラボして、オリジナルグッズの販売や、銭湯でのアートイベント、ライブなどをおこなう『Get湯!』が開催予定です」

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「なんだその新しいイベントは!」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「ちょうどボロフェスタ本祭と日程がかぶっているので、ぜひ合わせて行ってみてください。より京都のカルチャーにどっぷり浸かれますよ!風呂だけにな!」

 

いよいよ本番!ナノボロフェスタ!

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風呂行って食って飲んでを繰り返し、ようやくメインイベント、ナノボロフェスタの会場へ。本当はこの日も直前まで銭湯行って豆腐食べてしてました。

 

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アルミホイルがギャンギャンに巻かれたろうそくのオブジェに……

 

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手描きのタイムテーブル。

 

f:id:yh1123:20161004083725j:plain会場のひとつである「喫茶マドラグ」での演奏の様子。イベント限定の特製メニューなどを食べながらのんびり観賞が可能。

 

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「なんというか、こう……ものすごくユルくないですか?」

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f:id:eaidem:20161007193523p:plain「この独特のユルさがボロフェスタの魅力なんですよ。スタッフが学生なので、すごく学園祭のようなのどかさがあるんです」

 

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ジモコロ出演陣と、ボロフェスタのOBスタッフのみなさんも会場に集結!
左から、ボランティアスタッフからそのままSCRAPに入社した松田さん、デブ(わし)、柿さんともっちーさん、星海社で編集をしている今井さん、新婚旅行先のハワイから昨日帰ってきた久保さん。

 

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そして……この方がボロフェスタ創始者のひとり、今回のトークイベントオーガナイザーである飯田仁一郎さん

リアル脱出ゲームで知られる株式会社SCRAPの取締役であり、音楽情報や音源を配信するサイト「OTOTOY」の編集長も兼ね、さらに自身もパンクバンド「Limited Express (has gone?)」のリーダーをつとめる超マルチなスゴい人。

 

f:id:eaidem:20161007193524p:plain「今日はよろしくお願いします〜!」

f:id:eaidem:20161007193523p:plain「前置きがあまりに長過ぎたけど、やっと本番やど!」

 

ボロフェスタは「フックアップされなかった」人たちがつくった

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f:id:eaidem:20161007193519p:plain「今回はフックアップをテーマとしているんですが、フックアップについて、飯田さんはピンとくるものがありました?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「もちろん過去を振り返るとフックアップと呼べるものはあったんですが、それよりなにより、ボロフェスタの起源がフックアップされなかった、もしくはされたかった人たちのイベントなんです」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「いきなり重要な話きた!」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「15年前の何があったかというとですね、くるりがその2年前にメジャーデビューを果たしたんです。現在のくるりと言えば名前が大きく知られていますけど、当時もう京都は震撼したんですよ。『くるりがメジャデビュー!?』って」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ほほー!」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「しかもメジャーに行っただけではなく、売れた。それによって何が起こったかというと、大手レコード会社のA&Rがくるようになったんです。『なんか京都がすごいらしいぞ』って。SONYとかVictorなんかの袋を持った人たちが小さなライブハウスに大挙したわけです」

 

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f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そこから『キセル』『つじあやの』『ママスタジヲ』に『越後屋』っていうバンドがメジャーに輩出されて、いわゆる京都ブームがどかーんと起こったんです」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「みんな有名なアーティストばっかりだ!」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「問題は京都出身のアーティストが根こそぎ持っていかれたこと。いいバンドをあらかた拾いきってA&Rたちが去ったあと、京都の音楽シーンは焼け野原になった。その頃に出てきたのが僕たちのバンドで」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ほおほお」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「上の世代はあんなに目をかけてもらえたのに!?って。これじゃあ見てもらう機会さえない、フックアップされる術がない。俺たちをみてくれよ。そんな思いが募って、フジロックが5年目を迎えたタイミングで『自分たちでもできるんじゃ?』と決起してはじまったんです」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「のっけからエモい話だ!よくよく考えれば音楽フェスってフックアップそのものですよね。フェスで人気のアーティストがセールスを延ばして、強い固定ファンを獲得して、次のステージに上がっていく」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そうですね」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「消費型ではないリアルな体験というのもいいですね」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ジモコロにフックアップを絡めると、地元の良さってまだまだ見つかってないんですよ。かといってその場所に長く住むと良さが見えなくなる。外からの目線で『これいいぞー!』って発信する、これもフックアップだと思ってます。フックアップはどこにもある」

 

ボロフェスタだからこそできるフックアップ

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f:id:eaidem:20161007193519p:plain「『今年はコイツをフックアップしたい!』っていうのはありますか?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「ありますね。去年だと『Have a Nice Day!』と『NATURE DANGER GANG』という東京のバンドです。まだ京都では知られていなかったんですが、相当カッコいいんです。けど、アングラな音楽だからメジャーシーンのフェスには出られない」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「なるほど」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そうなるともう『俺らしかいない!』って。Have a Nice Day!はエレクトロな曲なのに、モッシュやダイブが起こるバンドなんですよ。そんな特徴もふまえて、彼らは新しいカルチャーだからこんなふうに暴れたりするんだよ!って紹介しました」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「他所ではポテンシャルを出せないアーティストを出せるのがボロフェスタなのかもしれないですね」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「たとえば話題の岡崎体育くんは去年マドラグで歌ってたんですよ」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ええっ!?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「彼もめちゃくちゃおもしろい。ただ、オルタナ対比で見ると特殊すぎて、現在のフェスルーツには乗れないんですよ。そんなアーティストを僕たちが紹介していくってのはボロフェスタの意義としては大いにあります」

 

f:id:yh1123:20161006122236j:plain

 

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「ただ、NOTフェスルーツのアーティストであっても、岡崎体育くんや『水曜日のカンパネラ』みたいに、売れていくと呼ばない場合もあります。呼ばないっていうか、アーティスト側が、自分たちが来るとチケットが売れすぎるからって辞退していきますね」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「特定のファンだけがドッと来て、他のアーティストを熱心に見てくれないってことですか?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そうですね。あんまり1アーティストで引っ張ると客層が変わっちゃうし。1500人規模のフェスには、1500人規模に見合ったキャパがありますから。客側にも演奏する側にも」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「業界としてすごくきもちいい循環があるんですね」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「その上で、『このアーティストいいな』って思う基準はなんですか?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「知名度に地域差があるときかもしれない。拠点地では完全にアツいのに、プロモーションが下手だったり、有能なA&Rがついてなくてその場に留まっている。実力があるのに進めてない。そんな人はフックアップしていきたいと思います」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ローカルでくすぶっている人たちだ」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「地元で熱が出てるってことは、どこでも活動できるんです。でもバンドマンって人見知りだったりするから。酒が飲めたらそれでいいとか言っちゃうし」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「あー、ありますね」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「それ以外のフックアップ予備軍といえば?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「近しい人たちに認められなきゃ、俺がフックアップしても無理だぜ、っていうのはありますね。まずは地元のライブハウスをパンパンにしなさいよって」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「そこまでは死にものぐるいで登ってきなさいってことですか」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そうです。やっぱり実力主義なので、おもしろくても演奏やメロディーがよくないとだめ」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「それは熱量以前の問題なんですね」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「東京のバンドによく言うのは『ぼくは君たちを応援したいが、いま呼んでもボロのステージの前に集まるのはたった10人だ。それじゃダメだろう。だから東京のLIQUIDROOMを満杯にしてくれ。そうしたら絶対に呼ぶから』って」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ほぉー」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「で、その説得から7年かけて今年来るのが『MOROHA』です」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「おおお、MOROHA!知ってます!」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そう、MOROHAにはこの話をして、以前このステージに呼んだんです。ボロフェスタ本祭じゃなく、こっちのナノボロフェスタに」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そしたら彼らはラッパーなんで、MCで『なんで俺らを本祭に出してくれないんだ』って内容をラップして、めっちゃ盛り上げたんですよ」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「それはアガりますねえ」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「ぼくはその場にいなかったんですが、主催者のひとりから『こんなに盛り上がったから本祭に呼びたいんだ』って電話があったんです。でもぼくは言ったんです、『待とう』って」

 

 

f:id:yh1123:20161005132614j:plain

 

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「ええっ、まだ早いってこと?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「まだ早いというか、そのエネルギー持ってる奴は京都にもいっぱいいるんですよ。『そんなMCがよかったからって出してどないするねん。 お前の周りにもあるやろそれくらいの情熱ある奴』って説得して」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「おあずけフックアップだ!」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「厳しい」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「『あいつらが1000人収容のLIQUIDROOMを埋めたら、京都でも100人は埋まるから。そこまでいってから呼ぼう』って、渋々納得してもらいました。それで7年後、MOROHAから『LIQUIDROOMに見に来て』って連絡があったんです。すごくいいライブで、チケットもソールド。感動しました。そしてその日の夜に、是が非でも出てほしいですって連絡しました」

 

 

f:id:yh1123:20161005132458j:plain

f:id:eaidem:20161007193519p:plainエッモ〜〜!

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「エモすぎる!!」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「7年越しの気持ちよさ!ふぁー。僕たちなんか飯田さんに比べたらフックアップ新人ですね」

 

パッパラパーだからこそ京都の学生はいい

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f:id:eaidem:20161007193519p:plain「こんなイベントができるのも京都だからじゃないですか?たしか人口の3割が学生なんですよね。『学生さん』なんて、さんづけで呼ばれるのなんて京都だけですよ」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「うーん、京都の学生さんは本当に……パッパラパーなんです

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ええ?」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「いやこれはスゴい大事なことで。たとえば東京で同じようなイベント立ち上げると、人は集まるけど、みんな就職活動のためだったりSCRAPへの入社を目的としてるんですよ。でも、京都の学生は誰もそんなこと考えてないんです

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「パッパラパーすぎるでしょ!」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「超ステキじゃないですか。東京の人はみんな確固たる目的があるのに、京都の人はただおもしろそうとか、刺激的だからってだけでやってくる。それが最高なんですよ」

 

f:id:yh1123:20161005132751j:plain

 

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「今年は小学生から立命館の4回生までずっとアメフトやってたような奴が『刺激を求めて……』なんて理由でスタッフとして参加してます。もう意味がわからない」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「学生間の仲のよさとか、街全体が学生さんを甘やかしてるところがあるのかな」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「ぼくも甘やかされて育ってきました。京都の特性でもあるんですけど、むしろ東京がシビアすぎるのかも。東京は著名な経済人スゴい!ってなるけど、ローカルはぜんぜんそんなことない。先輩がいて街の飲み屋がいて……その土地に沿ったコミュニティがありますね」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ぼく、もしなにかあったら京都で人生リセットしたいですもん。ダメな人を受け入れてくれそう」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「そんなこともないですけど、街全体がエモーショナルな感じ、優しい感じがあると思います。特別な街であることは間違いないですね」

 

 

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くだんのアメフト部。でかい。

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ぼく、もともと音楽ライターになりたかったんですよ。京都に来たらボロフェスタのボランティアからはじめようかなぁ」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「全然いいですよ、来てください!」

 

SNSの活用で影響力を高めて、「スモールフックアップ」を広げよう

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「このなかにもフックアップされたい人がいるんじゃないですか?」という質問に、真っ先に声をあげたガールズバンド『おとぼけビ〜バ〜』のぽっぷちゃん。

飯田さんいわく「完全にフックアップ候補です!」とのこと。かわいい見た目してパワフルな音楽がカッコいいバンドです。要チェックや!学生の頃からイベントではいつも聞いていたのでなんだか嬉しいな〜!

 

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「ひとまず、ぼくはスモールフックアップのカルチャーを育てていきたいんです」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「スモールフックアップ?」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「その人なりの影響力が人生のなかで積み上がってくるにしたがって、助けられる人の数が増えてくるんですが、まずは誰でもできるフックアップのひとつがSNSの活用なんですよね」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「フックアップは明確な立場がある人だけじゃなくて、だれでもできるっていうのが現代、SNS時代ではOKなんですよ。たとえば友達が曲をつくってYouTubeにアップした。それをスルーするんじゃなくて、コイツのためにシェアするっていう踏みとどまりが大事だと思うんです」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「ああ、なるほど」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「シェアも、ただシェアするだけじゃなくて、なにか一言添えてあげる。それだけで周囲の人の印象に残りますよね。そうした『小さなことからコツコツと』フックアップはできる。西川きよしスタイルです」

 

 

f:id:yh1123:20161005150030j:plain

「……?」

 

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「完全にスベッて悲しい。誰か何か話して」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「うん。話は少し変わるんですが、SNSの使い方って難しくないですか?ちょっと最近疲れてきて。そんなに自分が何してるかって知りたいかなあって。『コイツおもしろいで』って内容は呟けるんだけど」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「『SNSってこういう場所だよね』っていう斜に構えたイメージがあるとおもうんですよね。それぞれごとに。それに流されてる場合じゃないんです」

 

f:id:yh1123:20161006123454j:plain

 

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「おお……」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「僕はSNSは広報ツールでしかない。FacebookやTwitterとかは『俺通信』。僕はこういうことやってますっていう告知で、キャラを明確にする。投稿は疲れるんだけど、自分の影響力を上げることは恥じらうことなくやるべきなんです。その方が、何か発信した時に潜在的に届く数が増える」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「なるほど……」

f:id:eaidem:20161007193520p:plain「たとえばSNS上で寄付を募ったとして、俺がシェアしたらこんだけ拡散するんだぜ!っていう影響力が育ちます」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「つまり影響力が高いほど、シェアしたときのフックアップ度合いが高まるってことですね。フォロワー数が多いほど、たくさんの人に拡散されるから」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「ぼくも日頃の発信は欠かしません。しかも楽しそうに発信します。『いま京都に来てまーす』って楽しそうに言うだけで『この店がおすすめです』とか『◎◎さん京都に来てますよ!』とか、周りが情報をくれて、新しい出会いがあったりするので」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「なるほどなー、おもしろかった。スモールフックアップ、すごいな」

f:id:eaidem:20161007193519p:plain「『京都でうまいもん食ってまーす』って言われても知らんがな、なんですよ。でも知らんがな……の向こうに何かがある。それを積み重ねていくとメリットがあるかもしれない」

f:id:eaidem:20161007193521p:plain「すごく勉強になった!勉強になったところで、いい時間なのでそろそろ終わりにしましょうか。おふたりともありがとうございました」

f:id:eaidem:20161007193519p:plainf:id:eaidem:20161007193520p:plain「ありがとうございました〜!」

 

 

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で、ここからが本番「ボロフェスタ」の告知なわけですよ

f:id:yh1123:20161006145233j:plain「今日のはあくまでプレイベントなんだな!」

 

壮大なボリュームでお届けした今回の記事ですが、今までの話は全て布石!フックアップの権化、ローカルフェスの代表格、京都音楽カルチャーがいちばんギラギラに光るサイコーな2日間のためのイントロダクションなんです!

 

borofesta.jp

今年のボロフェスタは開催15周年!

イベントのなかで登場したMOROHAを筆頭に、クラムボンtofubests、話題の岡崎体育、アイドルのBiSクリトリック・リスeastern youthサニーデイ・サービスに!POLYSICSHave a Nice Day!忘れらんねぇよ踊ってばかりの国に……あああああああああああ!!!

 

出演人が豪華すぎて動悸がおさまらん!こんなにエモい人たちばっかり集めてボロフェスタは我々をどうする気なの!?エモ死にさせる気なの!?

 

毎年すごいけど今年はメチャクチャすごいです。ボロフェスタというイベントにフックアップされたアーティストたちがどんな音を奏で歌い、観客をどんな世界に引っ張り上げてくれるのか。はんなりイメージな京都には、ものすごいパワーをもったフェスが存在するんだと改めて思い知らされました。

 

このあと急いでチケット購入に走ろうと思います。

 

f:id:yh1123:20161006150442j:plain「おまちしてま〜す!」

 

 

書いた人・平山(通称:おかん)

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京都の編プロ、合同会社バンクトゥの編集/ライター。兵庫県出身。大学のあだ名「おかん」がそのまま通称に。しかし実態は色々とおっさんに近い。酒場と酒を愛し、将来の夢はスナックのママ。
個人ブログ:おかんの人生飲んだくれ日記/Twitter:@hirayama_okan/所属:合同会社バンクトゥ

 

1分で読める!「真田十勇士」「豊臣秀吉」…オリジナル解釈の歴史4コマ 6連発

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この4コマ漫画は、シモダテツヤが過去に歴史専門雑誌で連載していたものをまとめたものです。真田十勇士、直江兼続、坂本龍馬、伊達政宗、徳川家康、豊臣秀吉などなど…オリジナル解釈の4コマを1分でお楽しみください。


 

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書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

【上田啓太】なぜネットがあると集中できない? 数分で消費できるコンテンツへの慣れ

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ネットがあると集中できない。

 

これはよく言われることです。私は高校の頃から15年以上ネットのある生活をしてますので、ずっとこの問題に悩んできました。ネットを完全にやめようとしたこともありましたが、もちろん失敗しました。今さら完全にやめるのはさすがに無理がある。

 

なのでこの数年は「ネットをしている自分」を観察することを頑張ってました。

 

効果的だったのは「太極拳をしているオッサンのようにネットをしてみる」という方法です。ちょっとワケが分からないかもしれませんが、要するに「ものすごくゆっくりとネットをしてみる」ということです。

 

リンクのクリック、ページのスクロール、タブの切り替えや検索ワードの入力など、普段は無意識にしている色々な操作をひとつひとつ意識してみるんです。

 

「ネットがあると集中できない」という人は、当然、ネットをすることに完全に慣れています。もういちいち操作に悩まない。色々なページをストレスなく閲覧できる。身体が勝手に動くレベルになっている。ものすごい速度でネットができる。だからこそ「ついネットを見てしまう」という失敗も起こるんです。

 

だから、いったん初心者のような遅さでやってみる。そして自分がどのようにネットをしているのか、あらためて観察してみる。それが「太極拳のオッサンのようにネットをしてみる」という言葉の意味です。

 

その過程で発見したことを書いていきます。

 

ネットがなくても集中は切れている

 

昔よくあった失敗パターン。

パソコンで仕事をしている。しばらく集中している。しかしネットを見てしまう。あちこちのページをだらだら見る。ふと我にかえる。こんなことしてる場合じゃない! あわてて仕事を再開する。しかしまたしばらくするとネットを見てしまう。

 

「どうして集中が続かないんだ……」

 

私はよくこんなふうに嘆いてたんですが、これは勘違いでした。

というのは、ネット環境のない状態でも集中は切れてるんですよ。集中なんてのは一定の時間が経てば絶対に切れる。べつにネットがあるから集中が続かないわけじゃない。普通にしていても人間の意識は「集中」と「発散」を繰り返してるんです。

 

「よし! 二時間も集中できた!」

 

そんなふうに言うときも、二時間ぶっ続けで集中してたわけではない。集中は何度も切れてます。しかし集中が切れたときの空白を「ぼんやり」で埋めてるんですよ。

この「ぼんやり」が発見でした。

 

たとえば私はカフェで文章を書くことがあります。観察して気づいたんですが、文章をパーッと書き進めて、ふっと集中が切れたら、他の客をボーッと眺めてるんですね。だいたい30秒くらい。そしてまた文章を書きはじめている。集中は切れているんですが、他の客をぼんやり眺めることをしている。

 

これはネットとちがい、「脱線」になりにくいんです。だから30秒程度でまた書くことに戻れる。集中が続かないこと自体はあまり問題じゃないんです。むしろ、集中が切れたときに生まれる意識の空白を、ネットで埋めてしまうことが問題なんです。

 

集中が切れた瞬間に、他のことに吹っ飛ばずにただ「ぼんやり」する。これでまた集中が再開できます。変な言い方ですが、集中が切れたときに「ぼんやり」に踏みとどまれないことが本当の問題だったんです。

 

指先と目玉の化け物

 

ツイッターのタイムラインを見る。この行為もゆっくりとやってみました。

 

普段は異常な速度になっていたことに気づきました。ツイッターにかぎらず、まとめサイトやニュースサイトでも同じです。要するに「2、3分で読める記事へのリンク」がズラッと並んでいて、興味を持ったものを次々とクリックしていく行為です。これをするときの自分のスピードは異常でした。

 

まず、タイムラインを見るときの「眼球の動き」がかなり速いです。むかし何かで読んだんですが、こういうとき、人は文字を読むんじゃなく「スキャン」してるらしいんですね。そうしないと膨大な情報を処理できないから。

 

ページに並んだ文を上からパーッと「スキャン」して、ほとんどのものは無視して、興味を引いたタイトルをクリックする。記事を読み終えたら閉じる。最後まで読まずに閉じることもある。そしてまたタイムラインのスキャンが始める。この運動を凄いスピードで繰り返してるんですよ。

 

指の動きも異常に速くなってます。私がパソコンのショートカットを多用してるというのもあります。身体はジッとしてるのに、眼球と指先だけがものすごい速度で動いている。これは「指先と目玉の化け物」とでも言いたくなる状態です。

 

タイムラインを見ると、2〜3分ごとにパッと集中を切って、また別の記事に行ってます。だから1時間ほどネットをするだけで、20以上の断片的なコンテンツを消費することになります。日常的にネットをしてるとこれが普通になるんですね。

 

この状態で本棚にあった分厚い本を読もうとすると、やはり数分で集中が切れます。これを自覚したときは笑いました。そりゃネットに慣れると本読めなくなるわ、と。

本というメディアはネットに比べるとものすごくゆったりしたリズムで書かれてるんで、ネットのリズムのままで読もうとするとうまくいかないんです。いったん「ぼんやり」して速度を落とさなければいけません。

 

「このデバイスをさわっていたい」という中毒

 

パソコンをさわること自体が目的になっている。

そんな発見もありました。

 

コンテンツよりも、デバイスそのものの中毒になってるということです。私の場合、パソコンでネットすることに慣れ過ぎてるんで、スマホだと全然楽しくないんですよ。画面の小ささや、操作法のちがいや、文字入力の面倒くささによって、ストレスばかりたまる。だからスマホでは最低限のメールチェックくらいしかしません。

 

もしかして、ネットにハマッてるというより、「パソコンというデバイスをさわること」にハマッてるんじゃないかとすら思いました。

 

逆に、スマホならずっといじっていられるという人は、スマホというデバイスの中毒になってるということですね。同じように、テレビを付けてないと落ち着かないとか、イヤホンで音楽を流していないと落ち着かないとか、人によって色々ありそうです。

 

特定のデバイスに長くふれてると、コンテンツ自体じゃなく、そのデバイスにふれていること自体が目的になってくるんだと思います。これは、ほとんど赤ん坊のおしゃぶりみたいなもんです。われわれは大人なのに。

 

まとめ

 

ネットに慣れるほど、いろいろな操作のスピードは上がります。ひとつひとつの判断も反射的になっていきます。数分で消費できるコンテンツを、ものすごいスピードで開いては閉じ、開いては閉じる……という状態に入りこみます。これは疲れることでもあります。そんなときは、意識的に自分の指の動きを遅くして、ゆっくりとネットをしてみるといいかもしれません。

 

それではまた次回。

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

f:id:premier_amour:20160212111940j:plain

京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

 

地元を離れた、全ての都会人へ。こんな田舎に帰りたくないですか?

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ジモコロ読者のみなさんこんにちは、塩谷舞(@ciotan)と申します。しおたんと呼ばれています。渋谷の陸橋から失礼します。

 

私は生まれてから大学卒業までずっと大阪で暮らしてました。

 

が、「メディア関係の仕事なら東京一択や!」と5年前に上京。最初は泣くほど地元に帰りたかったけど、今はすっかり東京都民ぶっております。

 

ただ、福岡や高知をはじめ地方移住が盛り上がっていたり、手に職があれば地方に住んだ方が幸福度が高いぜ!という話もよく聞きます。で、ガチで今後の行く先を悩んでます。移住か、地元に帰るのか……。

 

そこで東京で働く色んな職業の人に「地元に帰らないんですか?」って聞いてみました。

 

 

大阪府出身→東京都在住

ジモコロ編集長・徳谷柿次郎(@kakijiro)さんの場合

f:id:eaidem:20161017112126p:plain「大阪と東京を比較すると、規模は違えど仕事内容は大きく変わらないし、もし移り住むなら、もっと自然のあるところがいいな〜!」

f:id:eaidem:20161017112222p:plainうーん、それは一理ある」

 

 

岐阜県出身→東京都在住

漫画家・宮川サトシ(@bitchhime)さんの場合

f:id:eaidem:20161017112412p:plain「僕が岐阜に戻らない理由は、色々あるんですが……。母親が死んじゃったから寂しくて地元から逃げてきた、ってのが大きいですね」

f:id:eaidem:20161017112222p:plainなんと……」 

f:id:eaidem:20161017112412p:plain「でも情熱大陸に出られるんだったら、すぐに地元にカメラ連れて帰りますね」

f:id:eaidem:20161017112222p:plainそうですか」

 

  

広島県出身→東京都在住

DJ・Webディレクター・野間寛貴(@HirokiNOMA)さんの場合

f:id:eaidem:20161017113403p:plain「親が自分と同じ景色を見るな!』と、広島から東京の大学に行かせてくれたんですよ。子どもとしては、その投資と期待に添いたい部分がある」

f:id:eaidem:20161017112222p:plain親御さん、カッコイイ!」

 

 

群馬県出身→東京都在住

起業家・関口舞(@mai_D_maiさんの場合

f:id:eaidem:20161017113644p:plain「やはり、東京でいろんなことを成し遂げるぞ!という夢をもって上京しましたし、色々結果を出すまではずっと東京にいると思います。それに群馬は近いから、毎月家族にも会ってますし、そんなに恋しくならないのかも…」

f:id:eaidem:20161017112222p:plain群馬ってそんな近いのか」

f:id:eaidem:20161017113644p:plain「群馬は関東です!」

  

 

愛知県出身→現住所不明

コンサルタント・夏目和樹(@Natsumeg_k)さんの場合

f:id:eaidem:20161017113851p:plain「うーん、どこでもいいけどね、住む場所は。よくわかんない国の島とかでも、Macとノリがあれば仕事できそうだし」

f:id:eaidem:20161017112222p:plain「電波はいるけどね」

  

と、5人に聞いてみましたが「地元に帰る!」という人はいませんでした(ちょっと人選が偏っていた気もする)。

しかし私はどうしよう。東京に永住したいとは思わない私ですが、今後の行く先は決まってません。

大阪に住む私の両親は、どう思ってるんでしょうね。聞いてみたこともありません。ただ、子どもに面と向かって「帰って来いや」と言える親も、そうそういないと思います。成人したら我が子といっても、それぞれ別の人生ですし。

 

でも、その町で生まれた子どもたちが、誰も地元に戻って来なかったら?

もしくは、外から若い人が移住してこなかったら?

 

近い将来、その町ごとなくなってしまうかも…。そんな状況に置かれている町もあるようで……

 

 

東京から5時間半、「大野」ってどこ?

 

9月某日、私は大阪に住む「電通の日下さん」という胡散臭い男性からこんな連絡を受けました。

(日下さんは、かつて大阪の「文の里商店街」のポスター展を大成功に導いたり、近畿大学の話題の広告を仕掛けたスーパークリエイターです。近畿大学の広告はこちらの記事でご紹介しました!)

 

f:id:eaidem:20161018171955p:plain「しおたん、 ちょっと大野ってところに行ってきて欲しいねん」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「…どこですか?最寄駅は?」

f:id:eaidem:20161018171955p:plain「越前大野駅ってとこ!」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「どれどれ」

 

f:id:eaidem:20161018140247p:plain

 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain片道5時間半!?  遠っ……あの、私、ちょっと忙しいんで……」

f:id:eaidem:20161018171955p:plain「忙しいしおたんにこそ、行って来て欲しいんやわ」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「じゃあ、せめて間をとって金沢で手を打ちませんか?」

f:id:eaidem:20161018171955p:plain「それやと意味ないから! 大野まで行ってきて!頼む!どうしても見て欲しいものがあるんやわ!!」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「ううっ……」

 

年上男性からの押しに弱い私は、押しに負けて渋谷から東京、東京から金沢、金沢から福井、福井から1両編成の「越美北線」ってヤツに乗って、大野に向かうことになりました。

 

f:id:eaidem:20161018140428j:plain(※飛行機で行けば3時間くらいですけど、飛行機代をケチりました)

 

f:id:eaidem:20161020173434j:plain

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「はぁ、金沢で降りて海鮮丼食べたかったな〜……」

 

 

とブツブツ言ってるうちに着いた、福井県大野市!!!!

  

f:id:eaidem:20161020173408j:plain

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「あれ、この町、思ってたよりもデカいぞ」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「ようこそ大野へ!長旅お疲れ様です。大野市は福井県の中でも一番大きい市町村で、ここ大野盆地で約3万4千人の市民が暮らしています」

※突如現れたのは、大野市役所の広報担当室で働く「吉田室長」です

 

 

そう、大野は山奥の町だけど、結構デカい。地図で見るとわかりやすいぞ!!

 

f:id:kakijiro:20161020171652g:plain

 

市のシンボルは、こちらの大野城。コンディションが良いと、こんな景色が見られるんだとか……

  

f:id:eaidem:20161018142238j:plain

 http://www.onocastle.net/gallery/より

 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「お空の上!」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「ふふふ…“天空の城”って呼ばれてるんよ」

 

さらに。

全国の水道水を飲み歩き、水ジャーナリストとして有名な橋本淳司氏が、日本一、水道水が美味しい町は大野だと宣言しているほど。

 

360度ぐるっと山に囲まれた盆地で、冬場の積雪がある北陸地方だから、ミネラルたっぷりの地下水が豊富なんですって。家庭の水道からも地下水がジャブジャブ出てきます。

 

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こんな感じで、地下水が湧き出る「湧き水スポット」が沢山。

 

なんと大阪から、毎月この水を求めて、自家用タンクいっぱいに水を注いで帰る方もいるらしいのですが……

 

f:id:eaidem:20161020173410j:plain

この水、日本一だけあって、甘くてやわらかくて、めちゃくちゃ美味い。

 

水が美味しいと、その水で育つ食べ物も美味しい!お酒も野菜も蕎麦も最高でしたが、特筆すべきはこれ。 

「大美商店」というお店で出会った…

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若鶏 せせり1人前 350円(安い!)

  

私は肉の中では鶏肉が一番大好きなのですが……

 

f:id:eaidem:20161020173427j:plain

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「冗談抜きに、人生で一番美味いっす……

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「そんなに美味しい? よかった〜」

 

夜は星空がめちゃくちゃキレイ。それも、かつて「日本一、星空がキレイに見える町」に輝いたこともあるんだとか。

 

極め付けには、「マジで綺麗な淡水」にしか生息しないらしい、絶滅危惧種のお魚・イトヨもいます。

  

f:id:eaidem:20161018145117p:plain

http://www.city.ono.fukui.jp/page/itoyo/より

 

水は日本一で、食べ物は美味しくて、城下町は美しくて……

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「大野、マジ天国」

f:id:eaidem:20161018172417p:plain「わかる」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「電通の日下さんは、大野の素晴らしさと、絶品せせりの味を伝えたくて、大野に行けと言ってくれたのか……」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「あ、違うんよ。ちょっと聞いて欲しい話があってね」

 

 

大学・専門学校が1つもない大野市

 

はい。ウマい飯を食べに来ただけの旅ではありません。

 

吉田室長の話によると……大野市内には小学校が10校、中学校が5校、そして高校が2校あります。子どもは結構沢山いるんですが、大学や専門学校は1つもありません。

 

つまり、過半数の子どもたちが、18歳で故郷を出て行きます。

 

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県立大野高校・卒業式の様子 

 

f:id:kakijiro:20161020144422p:plainいまね、大野市の若者人口は減り続ける一方で……」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「そうなんですね……でも私も地元を出た身だから、若者の気持ちもわかるかも……」

 

この風景は、朝の七間通り。400年以上毎日続く朝市は「大野の日常」なのですが……

 

f:id:eaidem:20161020173417j:plain

近い将来、過疎化によって朝市はなくなり、ここもシャッター街になってしまうかもしれない。

  

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「それでね、電通の日下さんと大野の高校生が、一緒にやってる“大野へかえろう”ってプロジェクトがあって。その1つが、これね」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「おお??」

 

f:id:eaidem:20161018150324p:plain

 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「大野ポスター展??高校生と??電通が???なんでですか???」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「これ、去年初開催したら好評でね。今年も開催することになったんよ。大野にあるお店のポスターを高校生に作ってもらうんやけど、これが去年のグランプリ作品」

  

f:id:eaidem:20161018150601p:plain

大野高校、田中愛梨ちゃんのポスター。モデルは実のおばあさんだそうです。

  

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「こりゃ素敵なポスターや!」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「でしょう」

 

話を聞くと、大野出身の電通クリエイターの方々や日下さんが、大野の高校生たちに指導をして、高校生が企画、キャッチコピーの制作、撮影までを行い、デザインはプロが担当する……というポスタープロジェクトなんだとか。

 

しかし、過疎化とポスター展になんの関係が??


よくわからないので、当事者に話を聞きにいきました。

 

ヘアサロン「R-up」ポスター

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「切っても、切れない 仲になる。」

このポスターを作ったのは、大野高校の米村明莉(あかり)ちゃん、3年生。ちっちゃい頃、このヘアサロンに通っていたそうです。

 

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18歳のあかりちゃんと、28歳の私…。 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「あかりちゃんは、今回なんでポスター展に参加しようと思ったん?」

f:id:eaidem:20161018172643p:plain「私、将来はデザイナーになりたくって」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「へぇ!」

f:id:eaidem:20161018172643p:plain「ユニバーサルデザインに関わる仕事がしたいんです。ポスターも、絶対勉強になるし…」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「東京やとインターンとかの機会ってよくあるけど、田舎やとデザインを学ぶ機会も少ないし、これは有意義やね」

f:id:eaidem:20161018172643p:plain「はい!それに、子どもの頃にいつも髪切ってもらってたmieさんとも、久々にいっぱい喋ったし!」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「よく喋る様子がそのままポスターになってる! ところであかりちゃんは、来年には大野を出るん?」

f:id:eaidem:20161018172643p:plain「はい、大野やと芸大どころか、大学も専門学校もないですし……」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「そうやよねぇ……。でもやっぱり、引越しとか一人暮らしとかはワクワクするよね」

f:id:eaidem:20161018172643p:plain「しますね!ただ、大野好きやし、mieさんみたいに将来戻るのもアリかな、とか……まだわからないですけど!」

 

f:id:eaidem:20161020173431j:plain

美容師のmieさんも、一度大野を出て福井市のヘアサロンで働いていました。ですが、15年ほど前に故郷に戻り、このお店を開いたんだそう。

 

 

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取材を終えて、家に帰って行くあかりちゃん。

 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「なるほど……高校生に、大野で働く大人の姿を知ってもらうことで、将来自分が大野で働くイメージが湧く……だから”大野へかえろう”プロジェクトなのか!」

f:id:kakijiro:20161020144422p:plain「そうなんです」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「そうなんですね」

広告っていうと、「集客」とか「話題性」みたいな、即効性が重要視されるもの。

でもこの大野へかえろうプロジェクトは、高校生と大人たちの「大野でのつながり」を作り変える、息の長いプロジェクトだったのです。

 

手作り工房「もっこ」

 

続いてはこちらのポスター。

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 「うららの手は この子らの親や」

 

「うらら」というのは、福井弁で「うちら」のこと。職人さんの作った工芸品や玩具などを販売している工房「もっこ」のポスターです。

 

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制作を手がけたのは、大野高校の松田風音ちゃん。絵を描くのが大好きな高校1年生です。

「もっこ」の稲垣さんは…  

f:id:eaidem:20161018173900p:plain「去年ね、ウチのお向かいのカフェが高校生にポスターを作ってもらってて、うらやましかったんですよ。それで今年は、風音ちゃんがこんなに素敵なポスターを作ってくれたでしょう。本当に嬉しかった〜。生きがいですよ!お店がある限り、ずーーーーっと飾っておきます!」

f:id:kakijiro:20161020144850p:plain「ほんとに嬉しかったんですね〜」

 

たしかに「お向かいのカフェ」には、去年の夏に制作されたポスターが今でもしっかり飾ってありました。こっちにもポスター、あっちにもポスター。

 

f:id:eaidem:20161020173414j:plain

 

↓お蕎麦屋さんでも……

 

f:id:eaidem:20161020173419j:plain

 

↓日本酒の「花垣」でも……

 

f:id:eaidem:20161020173424j:plain

 

↓お醤油屋さんでも……

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f:id:eaidem:20161017114739p:plain「ん?」

  

 

f:id:eaidem:20161018154716p:plain

 

 

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f:id:eaidem:20161017114739p:plain「バカの味」

 

ここは予定外ですが、お話を聞いてみましょう。

 

「ノムラ醤油」ポスター

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「お兄さん……表のポスターの方ですか?」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「あぁはい、そうです。」

 

 

f:id:eaidem:20161018155313j:plain  

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「実際の姿とギャップがありません?」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「はい…。高校生が熱心に取材してくれた結果、”ここは変顔で、お願いします!”と。変顔するなんて初めてでした……」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「おぉ……では、もしかして。このポスター、今すぐ剥がしたいのでは?」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「いや、違うんです!! 驚いたんですよ。このポスターの評価がすごく高くて……みんな、”野村さんの違う表情が見れた!”とか、たくさん声をかけてくれるんです」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「なんと」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「僕は醤油職人として、ずっと真面目にやってきました。それも大切なのですが、型にハマッて作るばっかりではダメなんだと……そんなことを、このポスターが気づかせてくれたんです」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「そんな効果が…!」

  

そう話しながらも、ノムラ醤油さん、蔵のほうまで見学させてくださいました。

 

f:id:eaidem:20161020173411j:plain

奥のタンクには1万リットルのお醤油が。

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流れで、醤油製造体験まで!(※商品用のお醤油は、もっと衛生的な環境で製造されています) 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「これって、私みたいな道行く人にも体験させてくれるんですね…!」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「若い方には、出来るだけ体験してもらいたいんですよ。それも、大野は今、若い人が減ってしまって、どこも後継者不足で…

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「そうみたいですね…」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「多くの方が自分の代で、店は閉める”と言うんです」

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「もったいない」

f:id:eaidem:20161018174308p:plain「でしょう。僕はノムラ醤油の6代目なのですが、辞めるのは簡単。でも、脈々と受け継いできたものの一部を、次の世代に渡さずに終わらせたくはないんです。

 

だからこうして、若い人にはどんどん醤油作りのことを知ってもらってるんです。そうしないと、この醤油も、いつかなくなってしまうでしょう

 

 

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そう語る野村さんの「ノムラ醤油」は、ちょっと甘くて豊かな味。

 

大野から出ても「あの醤油じゃなきゃダメだ」と、わざわざ取り寄せる方もいらっしゃるそうです。それはなくなったら、困る!!

 

 

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「次の世代に受け継いでいかなければ、なくなってしまう」

 

受け継がなければ、野村さんとこのお醤油も、綺麗な大野の町並みも、なくなってしまうかもしれない。だから、どうか受け継いで欲しい。

それが、大野で生きる大人たちの、口には出せない本音です。

  

そこで、2016年の大野高校の卒業式。

お父さんやお母さんたちは、外の世界に行ってしまう我が子に向けて、サプライズでこんな歌を贈りました。ぜひ動画でご覧ください!!

 


大野へかえろう 卒業式プロジェクト (full version)

 

“大野へかえろう

言い出せないから歌にする

大野へかえろう

広い世界に出るといい

いつでも大野は待っているから” 

(作詞:日下慶太氏・作曲:松司馬拓氏) 

 

「広い世界に出るといい いつでも待っているから」

 

この歌詞は大野に限らず、日本全国の多くのお父さんやお母さんも、同じ気持ちなのかもしれません。だって大野には縁もゆかりもなかった私なのに、この動画を再生したら涙が止まりません。

 

しかしこの曲、気になる点が……

 

f:id:eaidem:20161017114739p:plain「作詞……日下慶太……?」

 

電通の日下さんは、今や完全に大野に入れ込み、卒業式ソングを作った上に父兄への歌唱指導までしてるそうです。さらに土日にはプライベートで大野まで行って、釣りに行っているそうです。熱量ありすぎ!

 

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 ヤマメが、釣れたそうです。

 

 

大人になって帰ってきた、かつての子どもたち

 

日下さんが大阪から足繁く通いたくなるのには、「水がうまい」とか「魚が釣れる」以外に、こんな理由がありました。


大野市に住む若者が集まるスペースでの1枚を、ご覧ください(私もいます)。

 

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ここに集まっているのは、映像作家やフォトグラファーやアーティスト……それぞれ個性的な方ばかり!みんな「大野を盛り上げるぞ!」という前向きなオーラがすごくて、なんとも楽しいコミュニティなんです。

 

ほとんどが、東京や大阪に出てから、Uターンして戻ってきた若者。

 

さらに、大野市外から移住してきた人もいます。こちらは、大野の魅力に惹かれて、2012年に脱サラして引っ越してきた、二見祐次さん。

 

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二見さんは、大野になんとも居心地のよいカフェ「Cafe Name came Ono」を作りました。なんとこちら、一泊2,500円から宿泊出来るゲストハウス付き!


店先には、高校生が作ったポスターもありましたよ。

 

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本当に町中どこにでも、ポスターがあるな(笑)。

 

広い世界へ、行ってらっしゃい!

 

私が滞在したのはたった3日だったけど、酒やら味噌やらお醤油やらを買いすぎて、帰りにはこの大荷物に(笑)。

 

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越前大野駅から1両編成の越美北線に乗り込むと、大野市役所の方々が、見えなくなるまでずっと、手を振ってくれていました。

 

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水の美しいこの町が、ずっとずっと受け継がれますように。縁もゆかりもなかった私ですが、そう願わずにはいられません。 

 

私にも、こんな田舎が欲しかった!!

 

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大野では、たくさんの人と話をしました。東京だと絶対に関わりを持たないような、高校生から、80代くらいの方まで。

 

みんなが外から来た私に、「大野、ええとこやろ」と笑ってくれました。

 

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今18歳のあかりちゃんが私と同じくらいの歳になったとき、ポスター展で接した大野の大人たちや、あの歌をどう思い出すんでしょう。


果たして「大野へかえろう」プロジェクトは、10年後、実を結ぶのでしょうか……。

 

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でも。

 

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もちろん、東京に行くのも、もっと遠い世界に行くのも、未来は彼女たちの自由です。

 

「広い世界へいってらっしゃい!」

 

来年の3月。大野の大人たちは18歳になった子どもたちを、全力で送り出してくれることでしょう。

 

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今回紹介した「大野ポスター展総選挙」は、読者の皆さんも投票することができます。気に入ったポスターがあればぜひ1票入れてみてください!

大野へかえろう|大野ポスター展総選挙|投票ページ

 

・Special Thanks!

大野市のみなさん、大野市役所の雨山さん、鈴木翔太君、ヒロミさん、吉田室長、そしてすっかり大野市民のような電通の日下さん、ありがとうございました!

・Photo by 中村ナリコ

・広告主:福井県大野市

 

書いた人・塩谷 舞(しおたん)

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1988年大阪生まれ、京都市立芸大卒。PRプランナー/Web編集者。CINRAにてWebディレクター・広報を経てフリーランスへ。お菓子のスタートアップBAKEのオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」の編集長を務めたり、アートのハッカソン「Art Hack Day」の広報を担当したり、幅広く活躍中。

Twitterアカウント→@ciotan
個人ブログ→http://ciotan.com/

 

すぐ感情的になって後悔ばかりしてしまいます - 日本一「ふざけた」会社の社長がマジメに答えます(30)

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ハンドルネーム「さやか」さん からのお悩み

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私はついつい思いつきで行動してしまったり、感情的に話してしまう癖があります。

後になって「やってしまった」と後悔し、こんなことが二度とないようにと反省もするのですが、忘れた頃にまた繰り返してしまいます。

最近では開き直って「私はこういうキャラでいこう」と自分に言い聞かせてて、諦めることにしました。

シモダさんは、感情的に発言・行動されることはありますか? もしあるようでしたら、その場合の対処や心のコントロールの仕方など、教えていただけますでしょうか。

 

シモダテツヤの回答

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後悔してもまたやってしまう、それはもう性格なのでたぶん直らないと思います。なのでさっさと諦めてしまうのは正解だと思います。

矯正できない部分を変えようとしてても非効率なので、それよりもとにかく周りの人間にウザがられないように対策していくのがいいんでは? と全身をハムで巻いてイタリア風だと思いこんでいるシモダおじさんは思います。

感情的になるのは、ときにその場に刺激を与えてくれて良い議論を生んだりするのでアリだと思いますが、一緒にいる人を過剰に疲れさせてしまうのならそれは問題です。

「あいつといると疲れるよね」「あいつすぐ感情的になってアルゼンチンバックブリーカーしてくるよね」「背骨折れた」といったことになってしまうと良い議論は生まれません。

昨今の医療保険問題に拍車をかけ、我々が支払う税金がまた増えてしまうことになります。あなたの一時的な感情によるプロレス技によって日本の背骨が危ないのです。

 

で、僕はどうなのかと言いますと、わりと感情的に行動してしまうほうです。

オフィスで飲み会をしていたときにふいに頭をよぎった「人の尻に氷を入れたい!」という感情が抑えきれず、ファミリーマートでロックアイスを購入。

その後、社員の尻に氷を詰めてる写真をTwitterでアップされ「直腸を傷つける危険行為!」と知らない人から怒られたことがありました。

そのときはやんわり反省して以後気をつけようみたいな気持ちになったのですが、なんか腑に落ちない。僕は詰めようとしましたが、そんなに中まで詰めてないんです。

括約筋のチカラって想像以上に凄いんです。直腸まで氷をぎっしり詰め込む想像をしたその人のほうが怖い。悪魔なの?

 

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あなたのお悩みもお待ちしております

書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

みんな集合! 11月3日(祝)ジモコロがフリーマーケットに参戦します

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オンフリマ in 家族の文化祭
【日時】11月3日(木) 第1部 10:00-16:00 第2部 18:00-21:00(持ち込み方式の手巻き寿司大会を予定) 
【会場】ONLY FREE PAPER ヒガコプレイス店(東京都小金井市梶野町5-10-58)
-JR中央線「東小金井駅」北口より徒歩3分-

【主催】ONLY FREE PAPER(なお、家族の文化祭の主催は東日本旅客鉄道株式会社および株式会社JR中央ラインモールになります)
【協力】株式会社リライト
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《家族の文化祭》と名付けられたこちらのイベントは一年に2回(春と秋)に開催され、多摩地域で活動される方々中心に食・雑貨・音楽・遊びなどなどのジャンルから様々な方をお呼びしみんなで盛り上がる、そういったイベントになります。
前回、前々回と1日で約3000人[これ東小金井換算するととんでもない数字です]もの人が集まるとても賑やかなイベントなのです!
ちなみに今回のテーマはずばり食です!

フリーマーケット ” オンフリマ ” 開催!!/NEWS | ONLY FREE PAPER

 

こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。2016年11月3日(木・祝)に東小金井で開催されるフリーマーケット『オンフリマ』。この度、WEBメディアにも関わらず初参加させていただくことになりました!

 

テーマは『食』。

 

ジモコロでは過去、『食』にまつわる取材を数多くこなしてきました。フリーマーケットに初挑戦するのなら、過去の取材記事と連動した出し物が良いのではないか。リアルとWEBの掛け合わせ。ジモコロだからこそできることがあるはず! 

というわけで、以下の記事にまつわる商品を当日販売予定です。いかんせん僕たちは頭が悪すぎて計算ができないため…基本的に定価で仕入れて定価で売ります。利益度外視。時代はもう利益とかじゃないと思うんですよね、うん。

 

 

さらにジモコロの新キャラクター「イエティーと髭博士」のグッズ(Tシャツ、ステッカーなど)、同じブースで当日接客する長野県奥信濃の爺ちゃん婆ちゃんフリーペーパー「鶴と亀」の小林くんとコラボ作品もイチから作って販売予定!頑張るぞ!

 

 

 

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その他にもこんな人たちが出店します!

引用を喰らえ−!!

 

・郷土菓子研究社
「世界各国各地には、未だその地に眠っているお菓子があるだろう、そんなお菓子を発掘するべく旅に出た。」フランスの菓子屋での勤務後、2012年6月から自転車でユーラシア大陸を横断。行程550日、走行距離6600km。自転車で世界を駆けた郷土菓子研究社・林周作氏が今回初めて外のイベントに出店します。
旅の手記を綴ったフリーペーパーTHE PASTRY TIMESが話題となり本も出版されました。現在は原宿にお店も構える郷土菓子研究社。200種類を超えるお菓子の中から厳選された世界のお菓子が小金井に!??

http://www.kyodogashi-kenkyusha.com/

 

・SUNNY BOY BOOKS
学芸大学にお店を構える古本を中心としたブックショップ。わずか5坪の店内には料理、ライフスタイル、絵本、コミック、海外文学、日本文学、詩集、思想、哲学、映画、音楽、建築、デザイン、写真、美術などたくさんの本が並びます。
そんな秘密基地のようなワクワクをそのままに目黒区から小金井市へ!
本はもちろん、雑貨なども出展してくださる予定とのことです。

http://www.sunnyboybooks.jp/

 

・鶴と亀
フリーペーパー界のヤングスターとして一気にスターダムに躍り出た鶴と亀。当店でもお問い合わせ件数No.1。おじいちゃんおばあちゃん×ストリートカルチャーの衝撃は今だにフォロワーを生み続ける驚異のフリーペーパー「鶴と亀」。発行人の小林くんが、地元長野県・飯山市の魅力を小金井まで届けに来てくれます。もちろん鶴亀グッズもあります。
さらには、ジモコロとのコラボも!?当日何が起こるかはたまた起こらないのか、お楽しみです!

http://www.fp-tsurutokame.com/

 

・hama158cm & ベトナム料理ぺぺfeat.ガラクタ
西八王子に位置する、ミラクルな出会いを創出するその名も喫茶ミラクル。そんなミラクルで出会ったこれまたミラクルな人たちがこの度出店してくれます。愉快なイラストレーターhama158cmさん、ベトナム料理ペペさん、さらには喫茶ミラクルに併設されたペペさんが営んでいるガラクタ屋さん。もうここだけですでに祭りです。
グッズ、バインミー、ガラクタ。愉快で愉快で嫌なこと全部忘れちゃおう!!

http://hama158cm.com/hama158cm_official_site/hama158cm_officialsite.html

 

さらにさらに、当日用にオリジナルのフリーペーパーも配布予定です。何もかも予定にしておいて確約はしない。ほとんど利益も上げない。ジモコロが取材で実体験したローカルに落ちてる魅力をご紹介できればと思います。もちろん僕も売り子として当日立ちますし、何か気になることがあれば気軽におしゃべりできると嬉しいです。

 

詳細また決まったら何かしらで報告します!

 

onlyfreepaper.com

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オンフリマ in 家族の文化祭
【日時】11月3日(木) 第1部 10:00-16:00 第2部 18:00-21:00(持ち込み方式の手巻き寿司大会を予定) 
【会場】ONLY FREE PAPER ヒガコプレイス店(東京都小金井市梶野町5-10-58)
-JR中央線「東小金井駅」北口より徒歩3分-

【主催】ONLY FREE PAPER(なお、家族の文化祭の主催は東日本旅客鉄道株式会社および株式会社JR中央ラインモールになります)
【協力】株式会社リライト
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【詳細レポート】7年に一度の奇祭「御柱祭」は、約19mの巨木16本を使った神事だった

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。

 

皆さん、長野県諏訪地域の奇祭をご存知でしょうか。

 

その名も「御柱祭」。

 

 

砂煙を巻き上げて、斜面を転がり落ちる大木…。

木にまたがる男たちの異様とも言えるほどの熱気…。

 

え、なんなのコレ!?

 

僕も初めて知ったときは吃驚しました。

この御柱祭は数え年で7年に一度(実際には6年毎)開催されるレアなお祭りなのですが、2016年はなんとその開催年! ジモコロを始めて2年目でタイミングがぶち当たるなんて、これは御柱祭が呼んでいるといっても過言ではありません。

 

というわけで、長野県の諏訪湖周辺を訪れたのが2016年3月頃。御柱祭はいろいろ仕組みがややこしいんですが…

 

・寅年と申年に行われる(正確には6年毎だが、数え年で7年に一度)

・御柱は約19m、直径約1m、重量約7.5トンの巨木

・1本の御柱につき約2000人〜3000人(!)が蟻のように群がって動かす

・諏訪湖の北側=下社、対岸の南側=上社、この2つの場所で開催される

・諏訪大社の氏子・20万人以上が参加する「神事」である

・大きく分けて斜面を滑り落ちる「木落し」、町中を練り歩く「里曳き」に行事が分かれる

 

あまり説明しすぎると必ず粗が出てしまうため、今回の記事は必要最低限の情報に絞らせていただきます。ムリムリ。現地の人も全部把握してないんだから!

前提で開き直った上で、とある縁を辿って「下社」に絞って取材を試みたわけですが…。

 

御柱祭の取材は、無理ゲーだってことを最初に伝えておきます。

 

なんなんだよ、底沼のように深い歴史は!

 

 

 

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諏訪大社の下社春宮にやってきました

 

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全国約25,000社ある諏訪神社の総本家であって立派…!

 

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取材当日、五穀豊穣を願う「祈年祭」の真っ最中

 

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厳かな雰囲気に包まれた下社春宮。諏訪大社の歴史と偉大さを感じた瞬間です

 

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こちらが主役、約19mの御柱。1つの社に4本立てられています

 

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御柱は「上社前宮」「本宮」、「下社春宮」「秋宮」に各4本=計16本ある

 

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こちらは諏訪大社の本宮。 石造りの鳥居は迫力がすごい

 

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調べれば調べるほどに情報の渦にのまれる感覚…

 

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とりあえず詳しい人に話を聞いてきました。

 

御柱祭にすべてを注ぎ込む諏訪の人々

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お話を聞いたのは、下諏訪町の宿泊施設「マスヤゲストハウス」で働きながら、諏訪地域の観光大使をしている小野雅世さん。地元のテレビ局にも出演し、諏訪地域の広報的な視点で情報発信しています。

 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「御柱祭にはずっと興味があったので、今日は来れてよかったです。聞くところによると、地元の人の祭にかける想いは並々ならぬものがあるとか?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「そうですね。7年に一度しかないこともあって、この時期になると地域全体に熱がこもります。地元の新聞もニュース番組も毎日御柱の話題ばかりです」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「御柱がメディアをジャックしちゃうんだ……すごい。あと僕、以前長野の人に聞いてびっくりしたのが、このあたりの人たちって、御柱が終わると次の御柱に向けて貯金をするんですよね? 家によっては数百万円…」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「昔はみんなそうだったみたいですね。御柱のときって、家を開いてお客さんをとにかくたくさん呼ぶんですよ。もうこれでもかっていうくらい料理やお酒を振舞う。だから何十万円ってお金がすぐに飛んでいっちゃうんです」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「僕ならそのお金でハワイに逃げると思います。この土地では、御柱のときはみんなにおもてなしするのが当たり前っていう感覚なんでしょうね。太っ腹だなぁ」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「どこの家もそうなんですよ。誰でも寄りなさいという感じ。この時期だけの独特な雰囲気ですね」

 

 

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f:id:eaidem:20161014183946p:plain「独特といえば、御柱ならではのルールも変わっているんですよ。たとえば、開催の年は結婚式や葬式を控える、家の改築を控えるといったこととか。諸説ありますが、祭に奉仕するために個人的なことは控えるべきという意味があるようですね」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「結婚できないんだ! あくまでも神事を優先するなんて徹底してますね」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「家の出費がすごいのもあるでしょうね。御柱祭って約1200年前に始まったとされているんですが、一度も休んだことがなくて、織田信長が諏訪大社を焼き討ちしたときもやってますし、戦時中でもやってますからね(笑)」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「ええー! 執念がすごい!」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「……強い思いの表れですよね。だから、各地域の氏子の中心的な存在にもなれば、命をかけるくらいの気持ちがないと務まらないんですね」

 

地域ごとに御柱との関わり方がある

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f:id:eaidem:20161014183946p:plain「ところで、柿次郎さんは御柱祭、今回が初めてですよね? わかりにくいところも多かったんじゃないですか?」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「そうなんですよ。気になってネットでいろいろと調べてみても、ほとんど情報がないし、あっても断片的なものが多くて……」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「じゃあちょっと簡単に説明しますね。御柱祭というのは、諏訪大社で7年に一度、寅年と申年に行われる神事です諏訪大社に山から切り出したモミの木を運んで奉納し、所定の場所に人力で建てるんですよ。あ、ちょうど今柿次郎さんが開いている本に写真が載っていますね」

 

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f:id:eaidem:20161014183937p:plain「あ、これですね。人が何人も乗ったまま垂直に立てるんだ。やばい…。あの、そもそもなんで大きな柱を建てるんですか? 巨人の棒倒しゲームの準備?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「うーん、実はよくわからないんです。諏訪大社の社殿造営に関わる説が有力ですが、神域を示すためとか、神霊の依代であるとする説とか。諸説が20種類以上あると言われていて…御柱祭について正確に語れる人は数少ないと思います」

 

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御柱は樹齢100年を優に超えるモミの大木を使用する 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「へえ……建てる巨木はこの1本だけなんですか?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「いえ、全部で16本あります」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「16本!?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「諏訪大社と一言にいっても、それには上社と下社があって、さらに上社には本宮と前宮、下社には春宮と秋宮があるんです。それぞれのお宮に4本ずつですから、4×4で16本ですね」 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「なるほど。諏訪大社って4つのお宮の複合体みたいな感じなんですね。それにしても、それだけの数の大木を運ぶのは大変そうな……しかもすべて人力でしょう。1本にどのくらいの人が関わるんですか?」

 

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御柱に10人以上の大人が乗り込んでるのすごくないですか?

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「1000〜3000人くらいですかね。上社の場合は、諏訪地域のどの地区がどの柱を担当するのか、くじ引きで決めます。下社の曳く柱は、地区ごとに決まっています」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「数千人単位! しかも、柱ごとに各地域が関わっているんだ。どうりで全体像が掴みづらいわけだ……」

 

 

御柱祭に懸ける思いは人それぞれ

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すごすぎて「ニューガンダムのファンネルみたいだなぁ」と思いました

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「じゃあ、そのなかでメインイベントというか、比較的広く知られているのは山から木を落とすところですか?」 

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「あ、下社の『木落し』ですね。4月に行われている山出しの最大の見せ場で。人がまたがった御柱が急斜面をすごい勢いで滑り落ちます。滑り落ちきった後に、一番前に座っていられた男がすごいという。さらに上社では木落しのあとに、川幅43メートルの宮川を越える『川越し』というのもあります」

 

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長野の4月上旬は、まだまだ凍えるような水温らしい

f:id:eaidem:20161014183937p:plainもうめちゃくちゃな行事ですね。そういえば僕、先日NHKのドキュメンタリーで見たんですけど、木を動かすときって独特な歌を歌いませんか? おじさんが結構高いキーで歌ってたのが印象的だったんですけどあれは……」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain木遣り歌ですね。あの歌を合図に、みんなで気持ちを揃えて大木を動かすんですよ。あの歌を練習する声が聞こえてくると、御柱がやってきたなあという気持ちになります」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「一度聞いたら忘れられないような、独特な歌い回しですもんね」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「そうですね。でも、この地域の女性たちって、歌は知ってても、生で御柱を見たことがないっていう人が結構多いんですよ」

 

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建御柱の瞬間。危ない、危ないよー!! 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「え、それはなんで?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「古くからの習慣として、男の人は氏子として御柱に関わるけれど、女の人は家にいてお客さんをもてなすことが多いんですよ。木遣り隊やラッパ隊に所属している氏子の女性もいますが…。家にいる女性は料理の準備とかとにかくやることが多すぎて、生の御柱を見に行く暇がないんです。もちろん地元のケーブル局の番組で見てはいるんですが、直接見に行くことはなかなか大変なんでしょうね」

 

 

違う意味で御柱祭を見れなかったシーン

 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「あーなるほど。小野さんのお家もそうだったんですか?」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「そうですね。小さい頃は、来客のもてなしの手伝いはあまり好きじゃなかったし、御柱の年は結婚式挙げちゃいけないってなんのことだろうって思っていました」 

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「ああー。それって僕みたいな観光者には絶対に持ち得ない、土着的な思いですよね」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「そうかもしれないですね。でも大人になって、街の観光に関わる仕事もして、これがこの土地の文化なんだなあって前よりも受けいれられるようになってきたんですよ。この土地で生きていくということは、いろんな思いを抱えながらも、御柱とともに歩んでいくということなんじゃないかなと思います」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「貴重なお話、ありがとうございました。完全なよそ者ですけど今度の下社里曳き、楽しんできます!」

f:id:eaidem:20161014183946p:plain「ぜひぜひ。できれば法被着ていくといいですよ。ちょっと地元の人っぽく見えますから(笑)」

f:id:eaidem:20161014183937p:plain「ナイスな情報、ありがとうございます!」

 

というわけで・・・

 

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法被一式をゲットしました! 地元で事前に買うと安いらしい!

 

 

そして、当日・・・

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●2016年5月14日(土)

髪を短くし、気合を入れて始発の電車でやってきました。下社里曳き「建御柱」へ。実は御柱祭終盤の行事で、8本の御柱を春宮・秋宮に建てるのが目的です。

 

 

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下諏訪の町はお祭りらしく、屋台が立ち並んでいます。

 

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小腹が空いたので「ふりふりポテト」を買ったら、めちゃめちゃ人気者になりました。

 

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町中はすでに御柱祭一色。騎馬行列や花笠踊りといった「神賑わい」が繰り広げられます。それぞれに名前と役割が決められているんですが、説明し始めると小冊子1冊が必要になるレベル。

 

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とはいえ、町を練り歩く人たちの衣装や立ち居振る舞いは見応えアリ!

 

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子どもが馬に乗って練り歩いているのも、深い意味があるんだろうなぁ…。

 

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「これはどういう意味があるんですか?」と聞いたんですが、「なんだろうな?」と言ってました。

 

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女性陣の華麗な踊りも! このあたりは神事とはいえども、お祭り感があります。

 

 

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御柱を求めて歩き続けます。疲れてきて顔が弛緩してきました。

 

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いい感じに気合が入っている女性たちと記念写真。

 

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女性の胸元にお札が入っていました。おひねり…?

 

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町中を曳いてるはずの御柱目当てにウロウロ歩くこと2時間。警察による交通規制がしっかり敷かれていて、思った以上に動けないのが現実です。なぜなら、一般客のためのお祭りではなく、氏子のための神事だから…!この事実を忘れてはいけません。

 

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約19mの御柱に人が乗ったまま、神社の4隅に建てるメインイベント「建御柱(たておんばしら)」もご覧の通り。一部の氏子も入れないほどの混雑っぷりで、中の様子は一切うかがい知れませんでした。なんてこったー!!

 

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なんとか休憩中(?)の御柱に遭遇したので、その巨木さを体感すべくまたがってみました。

 

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ンフフ…

スベスベで気持ち良い…

 

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ちなみに約7.5トンの御柱を引っ張る極太綱もヤバいことになってます。縄がミチミチに詰まっていて、この綱を持ち上げることすらできません。御柱と綱の準備だけで途方もないような労力がかかっているんだろうな…。

 

 

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と、活動停止中の御柱と戯れたところで取材終了の時間に。

 

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「なにも見てねぇ…」

 

 

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丸一日で12キロぐらい歩き回ったんですが…

 

取材としての撮れ高は20%程度…

正直ナメてました…

 

 

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「御柱祭の取材、なんて難しいんだ…」 

 

7年後に役立つ!正しい「御柱祭」の楽しみ方

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というわけで壮大な前フリになってしまいましたが、ここからが本記事の核となります。僕のように御柱祭をナメてかかると、7年後に何一つ楽しめません。

これは御柱祭に限らず、全国的に有名な祭り全体にも言えることなので、耳の穴よくかっぽっじって聞いてください! 

 

●本番の数ヶ月前から「有料観覧席チケット」を手に入れる 

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確実に御柱祭を楽しみたいなら、有料チケットを購入しましょう。4月上旬頃に上社、下社でそれぞれ「山出し(木落し)」が行われます。今回取材に協力していただいた「マスヤゲストハウス」さんほか一部の宿では有料チケット+1泊のセット券が販売されていました。次回はどうなるかわかりませんが、公式販売以外の購入方法の可能性も! なんにせよチケット入手はお早めに!

 

●他県の人は、地元の人を絶対捕まえて一緒に行動する

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僕は事前取材を試みたものの、「山出し(木落し)」の有料チケットも手に入れられず、日程調整がついた下社「里曳き」に参加して前述の無惨な結果に…。

すべては御柱祭を甘く見ていたこと、そして地元の人と一緒に行動しなかったことが敗因だと思っています。ジモコロライターのナカノヒトミは、長野出身の地の利を生かしてしっかり楽しんでいたようです。羨ましい…!!

 

●御柱祭を理解するためには結果14年かかると思った方がいい

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●山出し
 上社:2016年4月2日(土)・3日(日)・4日(月)
 下社:2016年4月8日(金)・9日(土)・10日(日)

●里曳き
 上社:2016年5月3日(火)・4日(水)・5日(木)
 下社:2016年5月14日(土)・15日(日)・16日(月)

●宝殿遷座祭
 上社:2016年6月15日(水)
 下社:2016年5月13日(金)

もはや意味を成しませんが、今回の御柱祭全体のスケジュールです。そもそも諏訪湖中心に2カ所(上社、下社)で開催され、「山出し」と「里曳き」に行事が分かれている。歴史の深さ、仕組みの複雑さもあいまって、相当ハードルが高いお祭りだと言っていいでしょう。

一度飛び込んでみてダメなものはダメで致し方なし。反省点を生かして次回開催の御柱祭で本質に迫るしかないと思います! 少なくとも僕は、7年後にリベンジを果たしたいです。結果14年かかりますが、そのためにジモコロ自体を継続させないといけません。

 

 

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それでは次回、2022年にお会いしましょう!

 

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916


日本最大 怒涛の狂宴! 「岸和田だんじり祭り」の屋根乗り一族に密着した

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こんにちは、ライターのギャラクシーです。提灯の逆光の中から失礼します。

今日は大阪の岸和田市に来ています。

 

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写真を見て夜だと思ったかもしれませんが、現在 時間は早朝5時。

なぜわざわざこんな明け方に来たかというと、『岸和田だんじり祭り』を良い場所で見たかったからです。

 

岸和田だんじり祭り

大阪・岸和田市で毎年9月に行われるお祭り。集団でだんじりを曳き、スピードに乗ったまま方向転換させる「やりまわし」が特徴である。

 

僕はもともと関西人なんですが、実はだんじり祭りには一度も来たことがありません。なぜなら―

 

 

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というイメージがあったからです。人もだんじりもすべてが怖そう。

だって考えてみてくださいよ。屈強な男たちに曳かれた巨大な木の塊が、怒号ととも走ってくるんですよ? “怖い”以外の感情って湧きます?

 

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一緒に来たジモコロ編集長・柿次郎も関西人ですが、同じく一度も生で見たことはないそう。

 

関西人として生まれたからには、一度くらいはだんじりをこの目で見たい! “知識”ではなく、“体験”を発信するために! そんな思いを胸に我々は今……などと言っている間に夜が明けてきました。

 

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ド早朝にこの人だかり。

若い頃は怖そうでだんじり祭りには来なかったわけですが、今の僕なら、大人の余裕で楽しめるんじゃないかしらん。わくわく!

 

おっ、向こうの方がざわついてきました。そろそろ来るのかな!? 

 

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…………ソーーリャ! ソーーリャ! ソーーーリャ!

 ドドドドドドドドド

 

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ソォ~リャオラァァ~!!

ドドドドドドドドドド

 

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ズドドドドドドドドドドドドドドドド…………

 

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こっわ!

 

超重量の木の塊が、目の前を疾走していくド迫力! しかもそれを人力で曳くために、数百人(町会によって曳く人数は違います)が全力で、しかも精密に、コーナーを曲がっていく。

すごい! 

 

スピードを落とさずに角を曲がっただんじりに対しては「おぉ~!」と歓声が上がるし、曲がる時に膨らんでこっちに突っ込んできそうな時は、そこら中の人が逃げ惑い、壁際にギュウギュウに寄ってスペースを空ける。

 

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近い近い近い!

 

勇壮で漢(おとこ)度・激高! 人力ならではのライブ感と迫力がそこにはありました。

見た後はなぜかこっちまで強くなったかのような気になってしまう。怖かったけど実際に見てよかった~!

 

岸和田だんじり祭りとは

さて、そんな岸和田だんじり祭りですが、そもそもだんじり岸和田という町はどういうものなのか、ざっくり解説しましょう。 

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・だんじり祭りは300年続いている

元禄16年(1703年)、五穀豊穣を祈願し行った稲荷祭がその始まり。

・だんじり基本データ

だんじり本体の価格は1億数千万円。50年〜100年かけて町内で使用する。重さはおよそ4トン。高さは3.8m、長さは4m。

・日本最大の規模

だんじり自体は西日本の他の地域でも行われているが、規模は岸和田が最大。2016年の来場者数はなんと約38万9000人。アイスランド共和国の総人口(約33万人)より多い。

・岸和田は全国平均より若年層の人口比率が高い

年少人口指数(簡単に言うとこれが高いほど若年層が多い)の全国平均は「20.7」。岸和田は「24.0」。祭りがあるから?

※2010年のデータです

・岸和田は出生率も高い

全国平均「1.32」に対し、岸和田は「1.51」。祭りでカップルができやすいから!? そうなの? ねえ?
※2002年のデータです

・女性の茶パツ率も高い

これに関しては単に町を歩いてて思った印象です。

・車の内装に青色LEDをメチャ使う

完全にただの予想です。

 

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※岸和田だんじり祭りに行く時の諸注意

ムチャクチャ混雑します。

初見で良いポジションをとるのはかなり難しいので、知り合いにつれていってもらうか、素直に観覧席のチケットを買いましょう。というか、実質選択肢はその2つしかないと考えた方がいいです。

また、広範囲にわたって「道路はだんじりが通るためのもの」になるので、一度始まると1時間~2時間くらい動けないこともあります。事前にトイレに行っておこう!

 

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だんじりは500人~1000人ほど(町によって違う)で曳行します。細かく役割分担されてちゃんと名称もあるんですが、ここではわかりやすく大まかに紹介します。

 

・だんじりの前方で綱を曳く人

・だんじりの直前でブレーキと方向転換をする人

・だんじりの前面に乗る指揮者・責任者

・だんじりの屋根で方向の指示を出し舞う人

・だんじりの側面で太鼓や笛を奏でる人

・だんじりの後方で綱を操作し方向転換する人

 

こんな感じで構成されています。

最も目立つ役、メインの花形といえば、やはり屋根に乗って舞う人ではないでしょうか。でもあれ、怖くないのかな? 一体どんなモチベーションで、どんな人間が乗ってるんだろう?

 

岸和田人は、なぜだんじりに乗りたいのか

というわけで、詳しい話を岸和田人に聞くべく、知り合いのツテを辿って、とあるご家庭を訪ねました。

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尾張恭一さん。昔はだんじりの屋根に乗っていたんですって!

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「はじめまして! 尾張さんが昔だんじりの屋根に乗っていたと聞いたんですが」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「あぁ、『大工方』のことやね。昔は乗ってたよ」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「屋根に乗る人のことを『大工方』っていうんですね。あれって怖くないんですか?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plainムチャクチャ怖いで! まず実際に屋根に上がってみたら想像してるより高いんよ(高さ3.8m=ビルの2階くらい)。しかもそれが、走って揺れて角を曲がるからね」

f:id:eaidem:20161024170210p:plain「聞いてるだけで冷や汗が出る」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「だんじりの屋根も平面やないんよ。その名の通り『屋根』やから、足場も悪い。一応、滑らんように筵(ムシロ=藁などで編んだ敷物)を敷いとるけど」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「車輪の部分はゴムでしたっけ?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain木の車輪やね。だからメッチャ揺れるよ。自転車でも車でも、タイヤが木製やったらとても乗ってられへんやろ? しかも立って乗るなんて絶対無理やで」

 

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こちらがだんじりの屋根。乗るのは大変そうだけど、めちゃめちゃ細かい彫りは職人技って感じで美しい……! 

f:id:eaidem:20161024170210p:plain「そんなに怖いことを、よくやってましたね」

f:id:eaidem:20161024170213p:plainだんじりの屋根に乗るっていうのは、岸和田の男にしたら子供の頃からの夢やから、怖いより嬉しい気持ちの方が強いね。F1レーサーでもプロ野球選手でもない、だんじりの上に乗りたかった」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「そこが外部の人間にはよくわからないんです。詳しく教えてもらえないでしょうか。なぜ だんじり なのか」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「なんでやろ? 岸和田の人間は子供の頃からだんじり曳いてるから、みんな先輩の背中を見て『かっこエエなぁ~』って思うんよ。それが当たり前で……基準が、『だんじり基準』になっとるんやろね」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「子ガモが、最初に見たものを親と思ってついて行くみたいなことですか?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「単純に、周りの子がみんなだんじり曳いとったら、その中で一番になりたいっていうのは、誰にでもあるんちゃうんかな。クラスで一番絵がうまくなりたいとか、学年で一番足が速くなりたいとか」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「なるほど。それって『クラス』や『学校』に行ってなければ芽生えない感覚ですもんね。岸和田では『だんじり』という枠がある。そして“一番”の位置に大工方があると」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「だんじりは数百人で曳くんやけど、大屋根の大工方は2人だけ(乗るのは一人だが、だんじり祭りは一日中走り回るので、2人が交代で乗る)。ホンマに町で一番の男って感じやね」

 

どういう人が選ばれるの?

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だんじりの時はお客さんに関東煮(おでんのこと)や、くるみ餅などを振る舞うそうで、僕も頂きました。おでんに関しては、実は関西のほうが濃い味なんです。懐かしくて美味しかったなぁ! 

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「今までケガはしてこなかったんですか?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「足の骨を3回と、手を1回 骨折しとるよ」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「ファッ!?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「だんじりがズデーンとコケてしもてね。こう、ポ~ンと飛ばされた時に、地面でボキッと……。まあ、そういうこともあるわ」

f:id:eaidem:20161024170210p:plain「思ったよりもすごいダメージ食らってた」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「高さがあるからね~。2階から落ちるみたいなもんや。スピードが乗っとる時に投げ出されたから、えらい飛んだったわ!ウハハハハ!

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「笑ってる場合か」

 

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撮影中にも目の前で足をケガした人が……! 幸い大事はなかったようですが、やはり危険と隣り合わせでだんじりに乗っているんですね。

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「そこまでして、やっぱりだんじりは乗りたいものなんですか?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「あんまり考えたことないなぁ。1年に一回、やるのが当たり前で、疑問もなんもあらへん。好きでやっとることやしな」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「一年に一回という頻度に関しては? 好きだから毎日でもやりたい?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「無理無理! 準備も一年かけるし、お金も集めなあかん。若い頃はなんぼでもやりたかったけど、今は正直、一年ごとでも『今年はもうやらんでエエかな……』って思うこともあるで」

※岸和田だんじり祭は町内でお金を集めて実施している祭りであり、各家庭で年間およそ10万くらい必要とのこと

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「マジでやめてみるっていう選択肢は?」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「ないなぁ。祭りの太鼓の音が聞こえてきたら、もうどうしようもなく燃えてくるんやわ。今も実は風邪ひいて熱あるんやけどな(笑)。始まったら熱なんか関係あらへん」

f:id:eaidem:20161024170210p:plain「アツいな~! 屋根に乗る人っていうのは、何か選ぶ基準があるんですか? ケガも多いようですが、そういう事態に対処できるように身体能力の高い人が選ばれるとか?」

 

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これは身体能力高くないと無理だわ

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「選ぶのは先輩が選ぶんよ。基準は……どうやろね。同じ町内やから、みんな子供の頃から知っとるし、どんな子かは全員がわかってる。やっぱり運動神経と、あとは見た目で選ぶかな」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「(近くで聞いてた尾張さんのお姉さん)自分も大工方やったっちゅう話の時に、見た目で選ぶとか、よう言うわ。うちの息子も今年から屋根に乗るから、なんや恥ずかしいやないの」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「ん? お子さんが大工方になったんですか!? それってすごいじゃないですか!」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「まあ嬉しいことですわ。親としてこれ以上ないくらい誇りですね。あの子はよう頑張っとったから」

f:id:eaidem:20161024170213p:plain「つれてこよか? 今は2階で休憩しとるから、現役の話 聞いたらエエやん」

 

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というわけで尾張さんは2階へ。

残された僕たちはお母さんと少し喋る機会がありました。だんじりの話って男性視点ばかりなので、おまけ的にやりとりを書いておきます。

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ちなみにお母さんは汗だくの僕らを見て、町内オリジナルタオルをくれました。

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「女性から見て、だんじりの屋根に乗る男性っていうのは、どうなんでしょう?」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「そらカッコええよ。凛々しいやないの。岸和田では一番モテる人種ちゃう? 自分の息子が大工方やからちょっと贔屓目に言うてるけど(笑)」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「じゃあ、だんじり祭りの間って、女子からの告白が多いんですか?」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「せやね。この時期にカップルになる人が多いんちゃうかな?」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「ではお母さんも、旦那さんとはだんじりで?」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「そっ……え? まあ、そうやけど」

 

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こちらが旦那さん。現在は「参与」という偉い役職に就いています

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「凛々しかった?」

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「えぇ~? イヤやわぁ。もう何十年も前やで? 恥ずかしいわ」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「凛々しくてドキドキしたんですか? どうなんですか?

f:id:eaidem:20161024170208p:plain「まぁ……凛々しかったわ。ウチのお父さん」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「うへへへへ」

f:id:eaidem:20161024170210p:plain「なんなんだ」

 

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岸和田ではだんじりの期間、女子は上の写真のような「編み込み」のヘアスタイルでおしゃれするそう。美容院がめちゃめちゃ忙しくなるんだって。

 

現役でだんじりの大工方を務める人に話を聞いた 

というわけで、ここからは現役(しかも今年から!)の大工方である、小西要暢さんにお話を聞いていきます。

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f:id:eaidem:20161024170209p:plain「はじめまして。今年から大工方になられたそうですね。選ばれた時はどんな気持ちだったんですか?」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「それはもう、感無量でした。ハッピもみんなと違うんでね。それを受け取った時はホンマ誇らしくて、特別な気持ちでした。着ると気ィも引き締まりますね」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「岸和田ではやっぱり、全員 屋根に乗るのが憧れなんでしょうか?」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「う~ん、誰もが一度は夢見るとは思いますけど、実際、怖いんでね。練習で試しに乗ってみて『俺はもう乗りたくないわ』っていうやつもいますね

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「あ、全員が乗りたいっていうわけじゃないんですね」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「そうですね。でも『鳴り物』とか、とにかくだんじりに近いとこにみんな行きたがるとは思います」

 

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だんじりの側面で笛を吹いている人が見えるでしょうか。他にも大太鼓、小太鼓、鉦を演奏する人のことを「鳴り物」といいます。

 f:id:eaidem:20161024170209p:plain嫉妬や妬みみたいなのはないんですか? なんであいつが屋根なんだ!とか、俺の方がうまいのに!とか」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「そう思われへんように、自分から動いて誰よりも練習して、認められる人間になるんです。そしたら、みんなの方から『あいつを屋根に乗せたってくれ』って言うてくれるんですわ」

f:id:eaidem:20161024170210p:plain屋根に乗るのに、適正みたいなのはあるんですか? 運動神経とか?」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「運動神経はもちろん必要ですね。だから岸和田の人間は結構ジムで鍛えてる人が多いですよ。体力つけるために走ったりね」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「!やっぱりそうですよね? 町を歩いてて、胸板厚い人が多いなあって思ってました。町全体の筋肉量が違いすぎる。じゃあ、一番運動できる人が乗るって感じなんですか?」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain大工方が振る団扇は、方向とかの指示を出す役割もあるんで、リーダーシップというか、前に出れるやつっていうか、そういう力が要りますね。責任も重いんです」

 

だんじりはヤンキーのもの?

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 f:id:eaidem:20161024170209p:plain「正直に言うと、だんじりって全員ヤンキーがやってるんだと思ってました

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「あははは(笑)。そう思う人、多いでしょうね。ガラの悪い人もいれば、おとなしい人もいますよ。クラス全員がやるみたいな感じなんで、どっちかに偏るようなものじゃないですね」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「ほう! 真面目な人もいるんですね」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「ていうか、みんな真面目な人ですよ!

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「でもだんじりが走ってる時はなんかもう、怒号っていうか、オラオラァ~!みたいな感じじゃないですか」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「気ィ抜くとホンマに危ないっていうか、命の危険があるんでね。そこはみんな必死やからと思います」

 

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ハッピ着てると無条件で強そうと思ってしまう

 f:id:eaidem:20161024170210p:plain「先ほどクラス全体が参加するみたいな感じ、とおっしゃってましたけど、『参加したくない』って人はいないんですか?

f:id:eaidem:20161024170212p:plainもちろんいますよ。昔はほぼ全員が祭りに出てたらしいけど、今は8割くらいかな。少子化やし、参加する人が減るっていうのは寂しいですね」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「でも町を歩いてて思ったんですけど、岸和田の人ってムチャクチャ子供を作る能力高そうですよね。男はガタイがいいし、女性は情が深そうで」

 

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だんじりと共に、その町内の人々は男女問わず一緒に走ってついていきます

 f:id:eaidem:20161024170212p:plain「まあ子供が増えてくれたらいいですね。こういうお祭りって、受け継いでいかなアカンと思うし。僕も屋根の上の踊りは、叔父さん(尾張さん)のを見て受け継いでるんです

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「流派というか、特徴的な動きみたいなものがあるわけですね。じゃあ要暢さんは叔父さんの影響で屋根に乗りたいって思った?」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「あとは、父がテレビでインタビューを受けたことがあったんです。まだ僕が生まれる前の映像で、『子供が屋根に乗ってくれるのが夢です』って言ってて」

 

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お父さんが現役だった頃のだんじり祭り

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「うわぁ、それから数十年経って、お父さんの夢が叶ったんですね」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「そうですね。僕も子供が屋根に乗ってくれるのが夢です。受け継いでくれたらなぁって思ってます」

f:id:eaidem:20161024170209p:plain「なるほど! では数十年後に、今度はお子さんにインタビューさせてください! 今日はありがとうございました!」

f:id:eaidem:20161024170212p:plain「ありがとうございました。じゃあ休憩も終わりなんで、僕はまた屋根に乗ってきますわ!」

 

取材を終えて

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僕はあまり積極的に地域の祭りというものに参加してこなかったんですが、尾張さんや要暢さん、そしてお母さんの話を聞いて、羨ましいなぁと思ってしまいました。

 

どこかの場所と比べるんじゃなく、ひとつの町の中で連綿と受け継がれてきた価値観があって、『屋根に乗るのが夢』と言えるのって、今や日本にほとんどないのではないでしょうか。

 

屋根に乗り、叔父さんから受け継いだ舞いを踊る要暢さん

 

とはいえ、僕にこの運動神経はないので、おとなしく家でゲームをしときます。ではみなさん、さようなら。

 

おわり

 

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その土地のことが、もっともよくわかるのは「祭り」。昨日公開された記事、長野県の7年に一度の奇祭「御柱祭」のレポートも読んでみよう!

www.e-aidem.com

 

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (07) - 不透明決着/夫婦の絆

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。Twitter→@kinositasinya Facebook→こちら

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

デートに使える!「浅草花やしき」は1000円で入れる高品質のB級スポットだった

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みなさん、こんにちは! あぐ味です。

そろそろ就活目前、ピチピチの女子大生です。

ズボンの太もも周りが特にピチピチしています。痩せたいです。

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さて、本日私は、東京のTHE・観光名所、『浅草』に来ております。

 

浅草といえば、東京都台東区に位置する下町。

同じく東京の名所であるスカイツリーと上野にちょうど挟まれたような場所にあります。

 

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交通の便も良く、なかなか都内でも気軽に来やすいスポットなのですが、

 

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この通り昼からワイワイ賑わっている、いい意味で大衆的な飲み屋街、通称『ホッピー通り』や、

 

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江戸時代の風情を残した、日本一古い商店街のひとつ『浅草仲見世商店街』

 

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落語などの演芸が一日中楽しめる『浅草演芸ホール』があったり、

 

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かと思えば、日本中の食や伝統工芸が気軽に楽しめるショッピングセンター、『まるごとにっぽん』などの新名所が次々と誕生するなど、昔の文化と今の文化がカオスに入り混じった……

まさに落語の世界に飛び込んでしまったような非日常が気軽に味わえるスポットなのです。てやんでい!

 

というわけで私はこの浅草、一人でよく来るんですが……

 

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今回の記事の撮影も、ガチの一人で来ています。

お気付きかもしれませんが、冒頭から自撮り棒を使って孤独にやっております。

というのもですね、一人じゃないと恥ずかしい理由があるんです。

 

今回、私が行いたいのは、「デートの下見」だからです。

グルメやショッピング、演芸、飲み屋など、なんでも揃っているこの浅草。

いつか私に出来るであろう、色白でメガネが似合う本好きなムキムキマッチョだけどちょっと病弱なイギリス留学帰りの彼氏と来たいではないですか。

 

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(フリー素材に居た、未来の彼氏です。)

 

…というか、いつか絶対にその日はやってくるんですよ。私の人生設計の上では決定事項なんです。

そのときにスラスラと楽しく案内し、その彼氏に「こんなに浅草が楽しい場所だなんて知らなかった。すぐに結婚しよう」と言わせるために下見をしておこうというわけです。

 

さて、そんな私が今日行きたいのは、

「彼氏ができたら浅草の中でも特にココに来たい」とずっと思いながらも決して足を踏み入れてこなかった場所でございます。

 

 

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そう。浅草の街を歩いていると突然ヌルッと出没する遊園地、

 

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『浅草花やしき』です。

この浅草花やしき、一言で紹介するなら「日本最古の遊園地」

上の写真からも分かるように、なんとも言えないレトロ感を常に醸し出しています。

なんと開園したのは1853年。江戸時代ですよ。

 

とはいえ、最初は植物園で、江戸の茶人や俳人の集会や、憩いの場として使われてたそうです。唯一あったのはブランコだけだったんだとか。

「いい俳句を詠んだ奴だけしばらくブランコに乗ってもいい」みたいな取り合いをしてたに違いありません。

 

そんな花やしき、今現在は一体どんな場所なのかずっと気になってたんですが、外からはほぼ見えない造りになってるんですよね。

 

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本当にこの中に遊園地なんてあるのか?

虚(きょ)なのでは……? 無の白い空間が広がっているのでは……?

 

一人ではなかなか入りづらかったけれど、デートの下見という名目ならば私は突き進むことができます。

 

そして今回、一番調べたいこと…

それは、「浅草花やしきは入園料だけで楽しめるのか?」ということです。

 

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ご覧ください。この花やしき、入園料だけなら大人1000円なんです。安い。

乗り物に乗りまくりたい! となると、フリーパス券+入園料で一気に3300円というお値段になってしまうのですが、

もしも1000円だけでこの花やしきを満喫することができたら、デートで浅草観光の「ついでに」フラッと寄れる場所になると思うんですよね。

 

レトロな光景を見てるだけで楽しいかもしれないし、なにか面白いものが散らばってるかもしれないし、いや、なんにも分からないけれども……

もしかしたら、彼氏とキャッキャ出来る素敵スポットかもしれない。

 

とりあえず入るだけなら1000円です。入ってみよう!

 

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入園者をまず迎えるのは、幸せを招き入れる(らしい)入園口、「笑運閣ゲート」の説明。

「どうか笑顔で笑運閣ゲートをくぐられまして、楽しいひと時をお過ごし下さい」

 

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ワクワクしてきたぜ!!!!!!!!! ニコニコッ!!!!!

 

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はい。そしてこちらが入口です。すぐに辿りつきました。

その雰囲気は、まるで大きい私立高校の文化祭のゲートのごとく、野性味あふれる粗削りなワクワク感がありますね。

 

私の未来の彼氏はひょうきんなので、ふざけて出口の方に入ろうとするんでしょうね。

それを笑いながら止める私。困りながらもはにかんでくれる入口のお姉さん。

 

……というのを早く実現したいところですが、今日は一人で通ります。

 

 

いよいよ花やしきに入園!

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さて、花やしきに入園しましたよ!

 

……ゲームセンターだ。

 

入口の奥にゲームセンターっぽいの見えるなと思ってたけど、本当にそうだったとは。

奥に抜けられそうだけど依然として遊園地のオーラは感じないし、花やしきってデカいゲームセンターのことだったのか?

 

とりあえず進んでみましょう……。

 

 

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……ん?

 

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んおおお……?

 

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ゆ、遊園地だ!!!!!!!!

 

ゲーセンを抜けて階段を登ると、一気に遊園地でした。

急に日常から抜け出して夢の中に入っちゃった感じ。なんだこれ。入口がゲーセンだったからこそのサプライズ感。

 

心の中に次々と湧き上がる、

「あれなんだろう? 」「わぁ、あれ気になる!」「あそこ行ってみよう」の数々……。

 

……これ、彼氏と共有してぇ~~~!!!!!
正直一人でもテンション上がりますが、誰かと来た方が良いです。

 

 

彼氏と来たい、さりげないデートスポット!

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ふと見ると、こんな脇道に洞窟みたいなのを見つけちゃったりするんですよ。
どうしたってワクワクしますよね。彼氏の手を引っ張ってあちこち行きたい。

 

私は力が強いので気付いたら彼氏の腕だけ持ってたみたいなことになりそうだし止めておきますが、全国のか弱い女の子には是非グイグイしてほしいです。

 

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そして進んだ先にあるのは、「限りなくイルミネーションがつきそうなことを感じさせる洞窟」……。

 

「明らかにイルミネーションがつきそうだね」「さぞや綺麗だろうね」というロマンチックな会話の後にキッスしたくなる洞窟ですね。

 

10月30日から本当にイルミネーションが始まるそうなので、彼氏と来るならそこもオススメです。(但し特別料金)

私もその日までにどうにかムキムキマッチョの彼氏をこしらえます。

 

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こういう乗り物を見るとやっぱりどうしてもテンション上がってしまいますが、今回は入園料だけで楽しみたいので我慢です。

 

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階段を登ってふと下を見れば、こんな素敵な日本庭園風の場所があったりします。

正直、花やしき内の世界観の統一は全くなされてませんが、そのチグハグ感が非常に良いです。飽きない。

この橋、もちろん渡れます。一緒に滝を眺めたいですね。

 

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「見て……。とっても綺麗だね」

 

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「不動の大瀧」

 

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ジョボボボボボボボ…………

強めの打たせ湯くらいのスケールでした。

 

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でもちゃんと今回の下見で発見できたラブスポットもあります。

 

こちらです。

「休憩所・喫煙所へ続く道」

 

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ご覧ください。壁一面が間違い探しになっているのですが、

全体像を全然把握できないぐらいコンパクティな道なのです。

 

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なので、このように超密着して間違い探しを楽しむことが出来ます。

同時に間違いを指さしてしまい、「あっ……」となったらそのまま手を繋いでどこかへ行くといいでしょう。そうなると間違いはもうどうでもいいです。

 

 

ツッコミが追い付かない、花やしきの装飾達

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さて、なんというかこの花やしき、すでに色々と楽しいんですが、

もう目に飛び込んでくる情報量が多すぎるんです。一人でツッコミきれない。

「なんでめちゃくちゃデカいカブトムシがあそこに? 」みたいな疑問が、あちこちに配置されてます。

 

でも、それがめちゃくちゃ楽しい!

私みたいな、会話が途絶えると「ア……ア……」しか言えなくなる人間でも盛り上がれそうです。

 

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野菜が並んでる……

 

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かと思えば栗も混ざってる……

 

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「ぬるっぱ」とは……?

気になって帰宅後に検索したら、オカワカメという植物の別名だそうです。

全く知らなかったので、これがぶら下がってるのを見たときは「なんなの?」と恐怖を抱くばかりでした。

でもこういうのを考察するのが楽しいです。

 

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こちらは『ビックリハウス 』。

 

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窓際に置かれた、これらは一体なんなのでしょうか?

 

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よく見ると、ヤバイ風呂に入って完全に毒の回っている熊や、

 

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レンガの上の小さなパフェ、UFO?上の特設ステージで突っ立っているロボットなど、ビックリハウスに入れば意味が分かるのでしょうか。

 

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極めつけはこれです。『ちびっ子タクシー』

 

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怖ぇ~~~~!!!

夢に出てきて口をパクパクさせながらどこまでも追いかけて来るヤツだ、これ。

 

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でも「ぼくのなまえはブランコです!」って軽快に自己紹介してくれてる。

ちょっと親しみ湧きますね。

 

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これは、セミがデカいのか? 自由の女神が小さいのか?

ハッパマンとは誰の事なのか?

飛行機だけどドリルがついているからなにか掘るのか……?

 

分からない……。 なにも分からない……。

 

 

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これは……!? なん……なんだ……!?

助けてくれ……………!!!!!!!!!!!!

 

 

カップルにオススメ!屋上のマル秘スポット

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ちょっと疲れ始めたら是非行ってほしいのが、

このエレベーターを使って行くことの出来る素敵な場所……、

 

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スカイプラザです。ベンチもたくさんあって、穴場!

 

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なんと、花やしきを一望することができます。

ミニチュアみたいで非常に可愛い。

ちょっと見渡せば、スカイツリーや浅草の色々な名所を発見することもできます。

 

あ、ちなみに。

この手前に映っている白いタワー、まさに花やしきのシンボル「Beeタワー」ですが、
つい先日、56年の歴史に幕を閉じることが決定し、すでに工事が始まっていました。

 

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この記事が載るころにはもう無いかもしれません……。

めちゃくちゃ残念ですが、最後に見れて良かったなぁとも思います。

 

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さて、このスカイプラザにはカップル向けの写真スポットもあります!

これは……恋のジェットコースター的なことでしょうか?

 

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一人では乗ることができませんでした。

まぁ、下見ですから。こういう感じで撮ろう、と思えたらそれでいいんです。

 

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あの、奥にある神社らしきものは何でしょうか。

 

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ガサガサの葉っぱのせいで結構読めませんが、要約すると、

ここにいるのは「ブラ坊」という神様で、撫でると良縁に恵まれるとのことです。

 

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撫でなければ!!!!!!!!!!

 

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いやらしい気持ちになる丸みだな……。

 

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そしてこのブラ坊の横には「願い札」を結べるゾーンがあるので、是非書きましょう。

まぁ「ずっと一緒にいられますように」とかは次回、彼氏と来たときに書くとして、

今回は下見なので……

 

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ガチの願い事をしておきます。

 

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あのとんがった木に挟まれたあの人は誰だ?

 

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創立者 山田貞一さんだ……!!!!

いいのかこんな端っこにいて。 気難しそうな顔してるけど周りがファンシーすぎるんじゃないか。

 

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近くには、肉を食べたであろう人の感想もありました。

 

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また、屋上庭園にはベンチが死ぬほどあるので、外の風を浴びながら一息つきまくれるのも嬉しいところ。

 

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「はぁ、ツッコミどころ多くて楽しいね、花やしき」

「いっぱい喋って喉乾いたな。下行ってコーヒーでも飲もうよ」

「カフェインを積極的にとるところ、好き」

 

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「花やしき見ながらこんなにゆったりできるなんて幸せの極みだね~」

「人が多すぎないのもいいよな」

 

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…………………あっ。

 

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妄想と現実がごっちゃになって二缶買ってしまった……。

 

 

無料で嬉しい!テレパシーウォーカーで歴史散歩

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さて、入園料だけで楽しんでいるので、“無料”のものはどんどんやっていきたいわけですが、このHanaJoy!では、「テレパシーウォーカー」なるものを無料で借りることができます。

 

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この、ポスターからして彼氏といい感じになれるらしい、花やしき歴史散歩に参加できるんです。

 

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私は脳を治療している最中のヤバイ女みたいになってしまいましたが、機械自体はなかなかカッコイイです。

 

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このブラ坊さんの前に立つと、右目の前にある小さな画面の中に映像が映し出されるという、なかなか最先端のしくみ!

正直、今回は一人で付けたままウロウロする勇気がなく、外して歩きながら周りに人がいないときに見る、みたいなことをしてしまったので、是非彼氏と来て一緒にこれ付けて歩きたいものです。

 

 

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……さて、結論から言うと、

花やしきは「入園料だけでも充分楽しめる」場所でした。

 

今回載せきれなかったような場所やツッコミどころもまだまだあるし、
常に「誰かと共有したい!」と思いながら歩いていたので、デートスポットにも最適な所だと思います。

 

乗り物に乗りたくなったら乗り物券を買うもよし、
是非皆さん来てみて下さい。安いし。

 

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よ~し……

 

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浮いた金で酒飲むぞ!!!!!!

 

 

ライター: あぐ味

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現役女子大生ライター。マントヒヒを引き裂くことができる。
 あぐ味のTwitter

 

【実録】ハガキ職人から放送作家に転職した男はどんな人生を歩んできたのか?

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こんにちは。聴いてるラジオが多すぎて、2倍速で聴かないと消化出来ないくらいにはラジオリスナーでライターのおおきちです。

なぜハガキとペンを持ってキメ顔をしているかというと今回のテーマがハガキ職人についてだからです。

 

そもそも皆様はハガキ職人という言葉知っているでしょうか?聞いたことがない人もいらっしゃるかと思いますのでウィキペディアより引用します。

 

ハガキ職人(ハガキしょくにん)とは、特定のラジオ番組や雑誌に優秀なネタハガキやイラスト入りのハガキを数多く投稿し、その他の番組リスナーや雑誌読者からもその名が広く知られている常連投稿者の事を指す用語である。
近年は、ハガキよりも電子メール投稿のほうが主になっているラジオ番組が増えてきており「メール職人」、「ネタ職人」と言われている。 wikipediaより引用

 

ウィキペディアの通りラジオのコーナーにネタを送っている人ですね。

このハガキ職人がきっかけで放送業界に携わることになった人も多数いるんですよ。AKBグループでおなじみ秋元康宮藤官九郎、アニメのおそ松さんの脚本を担当した松原秀さんも元ハガキ職人だったそうです

 

実は僕もラジオや雑誌にネタを送るのに一時期ハマっていまして……

 

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ネタ投稿が採用されると貰えるノベルティの一部(私物です)

 

ただ、今思い返しても「自分の貴重な時間を潰してまでなぜネタ投稿に力を入れていたのか」分からない……なので今回は……

 

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ハガキ職人から放送作家に転職した男たちにインタビューをしてみたいと思います!!

 

放送作家セパタクロウさん

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さすらいダーリンという名前でラジオに投稿していた元ハガキ職人、現・放送作家のセパタクロウさんにインタビューをしてきました。

 

現在作家として

TBSラジオ「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」などを担当しています。

 

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「こんにちは。セパタクロウと申します。」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「はい!よろしくお願いいたします! ラジオでよくお名前を聞いていました! 現在放送作家として活躍されてますが、ネタを送っていた番組から作家として引き抜かれたって本当ですか?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「はい、アンタッチャブルさんのシカゴマンゴというラジオ番組で当時のスタッフさんから引き抜かれました」

 

アンタッチャブルのシカゴマンゴ

TBSラジオで木曜深夜放送されていたアンタッチャブルがパーソナリティーのラジオ番組通称"シカマン"。主にモテない、童貞などの話題で盛り上がることが多かった。当時、木曜深夜はニッポン放送でナインティナインが裏番組を務めており、あまりの強さにTBSラジオの木曜深夜は短命というのが常であったが、シカマンはナイナイの聴取率を上回るなど大健闘をした。2010年4月惜しまれつつ終了

 

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ハガキ職人のシンデレラストーリーじゃないですか! 失礼ですけど、なんでハガキ職人をやろうと思ったんですか? 僕もなんですけど、ラジオ聴くのはまあよいとして、ネタを送るって結構ハードル高いですよね?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「元々バンドのラクリマ・クリスティーが好きで彼らのラジオを聴いていたのと、お笑いが好きだったんですよね。ネタメールでない“ふつおた”(普通のおたよりの略、コーナー宛でない質問メールなどをこう呼ぶ)は送っていたんですけど」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「うんうん」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「アンタッチャブルさんの番組が始まったくらいにネタコーナー送ってみたら読まれて『全然知らない人が僕が考えたことを聴いているのって楽しいな、と思ったのがキッカケですね。そこからは生活がネタ投稿中心になりました」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「おお! ネタ投稿中心というと?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「当時、大学も卒業してすることもなく『何のために生きてるのかな?』って考えた時に”ラジオでネタが読まれてるってことはそこを誰かが評価してくれてる”って思いまして」

 

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他人事とは思えないラジオリスナーっぽい顔をしているセパさん(失礼)

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ああ!!! いいですね!!典型的な暗いラジオ好きの持つ闇パワー!!って感じで。そういう方がいま表現する側になっているっての夢があります。

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「人間関係も苦手でバイトも半日で辞めてしまうような性格だったので、それだけが楽しかったんですよね」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「わかります。僕もバイト先で着ていったインドの神様柄のTシャツを爆笑されてバックれた事がありますし」 

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「その顔でインドの神様柄のTシャツは僕も引きます」

 

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f:id:eaidem:20161019192437p:plain「番組から引き抜きっていうのは、どんな感じで誘われるんですか? あの番組は多くのハガキ職人が投稿をしていたと思います。ライバルがたくさんいる中でセパさんに白羽の矢が立った理由ってなんですかね?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「番組のイベントでハガキ職人が漫才師のネタを書く他力本願ライブというのがありまして。僕がビーグル38さんのネタを書いて採用されたのがキッカケだと思います。その後、TBSラジオの方から電話が来て誘われました」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ビーグル38は『それエアロスミスやないか!』の芸人さんですね。その一発勝負で!?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「それ以前にもシカマンでブラックマヨネーズさんが出演された時にブラマヨ風のネタを書いて送ったらご本人らに褒められたってのがありましたね」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ブラマヨのやつ覚えてます! 100点中98点って絶賛されてたやつでしたよね」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「ちゃんとその漫才師のネタを研究してその人達のパターンを把握した上で構成してました。そういう真面目さを見抜いてくれた…のかな?(笑)」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「やっぱり研究して狙いに言っていたんですね、頭一つ抜ける訳だ!」

 

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セパさんが当時思いついたネタを書き溜めてたアイデアノート 

 

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ハガキ職人から構成作家に転身しましたが、仕事は面白いですか?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「やっぱりハガキ職人と構成作家は違うなと思いますね。ハガキ職人は思いついたネタをとりあえず大量に投げて相手に委ねるだけでいい。構成作家は台本などを作る作業なので、アイデアを取捨選択した上で固めてから絶対にウケる1球にしないといけないんですよ」

 

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レモンティーのレモンを絞るセパさん

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「辞めようと思ったことは?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「辛いところも勿論ありますけど、でも楽しいですし、絶対辞めないと決めているんです」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「お! それはなぜ?」

f:id:eaidem:20161019192438p:plain「TBSの方から電話があって誘われたときに心に決めてたんですよ。多くのハガキ職人の中から僕1人だけ誘われたってことは、同じ志(こころざし)を持った仲間の上に僕が立っているという事じゃないですか。他にも放送作家になりたかった人っていると思いますし、その方々を裏切らないように"絶対辞めない"と決めました」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「セパさん……惚れました……」

 

僕もラジオのネタ投稿をはじめたキッカケはセパさんと同じような理由だったの思い出しました。途中から「ラジオの中だけでなく、もっと多数の人を楽しませる事してみたいかも…」という思いに変化していきました。

 

元 有名ハガキ職人Aの場合

セパさん以外にもう1人インタビューしてきました。元有名ハガキ職人のAです。

 

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元ハガキ職人のA(顔出しNGでした)

A

2006〜2010年くらいの深夜ラジオ聴いていた人なら確実に名前を知っているであろうハガキ職人。ラジオだけでなく雑誌などにもネタを投稿しており、当時は誇張でなく毎日なんらかの媒体でAの名前が出ていた。ラジオのDJがAの話題で話が進むことが何回もあった。ハガキ職人から芸人、そして構成作家の道へ進むが、現在は芸能とは関係ない職についている

 

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僕の考えたハガキ職人ヒエラルキー。Aはもちろん6。

 

投稿していた番組は多数

TBSラジオ

月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力

火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ

水曜JUNK 雨上がり決死隊べしゃりブリンッ!

水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論

木曜JUNK アンタッチャブルのシカゴマンゴ

木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき

金曜JUNK 加藤浩次の吠え魂

JUNKサタデー エレ片のコント太郎

水曜JUNK2 スピードワゴンのキャラメルon the beach

木曜JUNK2 カンニング竹山 生はダメラジオ

木曜JUNK ZERO ケンドーコバヤシのテメオコ

山里亮太のヤンピース

ニッポン放送
くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン

J-wave
ROCKETMAN SHOW!

雑誌

ファミ通町内会
SPA! バカはサイレンで泣く

覚えている限り書き出してみました。

このAと僕、実は中学校時代のクラスメイトでして。

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僕が大学生くらいの頃、聴いていたラジオのイベントのため、会場へ向かった所そのクラスメイトと遭遇! 話を聞いてみると当時からメールが読まれまくっていたラジオネームを名乗るじゃないですか!!

 

そういえば中学校時代はお笑いの話がキッカケで仲良くなって、ネタ番組やDVDの情報交換をしていたなァ……

今回のインタビュー、Aと会うのは半年ぶりくらい。

 

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「Aって異常なくらいネタを投稿して読まれいて、当時一番有名なハガキ職人だった訳じゃない? あの時代ってなにを考えてそんな行動してたのかなって思って。どこからそんなパワーが来てたの?」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「僕は大学時代はいわゆる"ぼっち"で。話す人も全くいないし、周囲のチャラいノリが大嫌いで馴染めなかったんだよね(笑)。そういった恨みつらみを糧にしてネタ投稿に昇華していたって感じかなぁ? もちろんお笑い好きだったし。ラジオ投稿が唯一の生活の楽しみだったっていうのもある」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「ハガキ職人って全員、闇パワーで活動する闇属性なの? 『大学では全く友達いないけど、ラジオの中だったら俺は読まれてるんだぜ!』ってのが痛快だったって感じ?」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「完全にそれだわ。こんな大学、絶対最速の4年で卒業しやるって思って、単位取りまくって3年の時点で残すはゼミと卒論という状態にしたなー」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「出来るだけ大学と関わらない様にしたのか……」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「でも、ゼミも知り合い同士の大学生ばっかりでさ。居場所がなかったから結局行かなくなった。教授になんとかお願いして卒業はさせてもらったけど」

 

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 f:id:eaidem:20161019192437p:plain「そこからAは、ハガキ職人をキッカケにお笑い養成所の門を叩いて芸人になったんだよね? ハガキ職人と芸人とでなんか違いはあった? ネタを考えるって事には自信あったと思うんだけど?」

 f:id:eaidem:20161019192439p:plain「ハガキ職人ってなにかお題があってそれに答える大喜利が基本だから。アイデアを思いついたら投稿しまくって投げっぱなしでもいいんだけど。0から作るって所がハガキ職人とは違うかな?そこはやってきてなかったから難しかったね」

 

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コーヒーを飲むA

 

前述のセパさんと全く同じことを言っていて驚きました。構成作家も芸人も「本当はこんなのもあったんだけど…」と言う後出しは効かない。 

 

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「でも芸人は思ったような結果が残せなかったから手を引いた。そしたら事務所からラジオの作家の仕事を紹介されて」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「元ハガキ職人にとっては、ラジオの現場で働くのは夢の様な気持ちだと思うんだけどどうだった?」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「やっぱラジオの裏側見ると『普段フツーに聴いていたラジオってこんなにも人が関わっているのか』って思って感動したのを覚えてるね」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「だろうね!でも今は作家も辞めちゃったんだよね? ラジオにネタを送っていた身としては、Aみたいな人に、のし上がって売れっ子になって欲しいってのが個人的にあるんだけど。どうして辞めちゃったの?」

 

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作家時代の話をするA

 

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「業界トップの芸人さんや作家の方と会議とかで話せたんだけど、話せば話すほどに『こんなにポンポン面白いことが浮かんでドンドン発言できる人に自分なんかがなれるわけがない!』って感じて。それが続くうちに向いてないなって思っちゃったな。あと、やっぱり第一に社交性が必要って実感した」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「社交性って人と接しないと身につかないもんね。そもそも、そういうのがうまく出来てたらネタ投稿やってないかもね」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「そうだね。周囲のチャラい大学生のことバカにしてたけど、本当は友達多い人のこと、めちゃくちゃ羨ましくて。そういった妬みがネタ投稿の力になってたわけだから(笑)」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「それは悪いことじゃないと思うけどなぁ」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「暗くていつも一人でいるような人ことこそ面白いみたいな考えあるじゃん? 全く関係ないね! ほんとに若い頃の自分にアドバイス出来るなら、『とにかく人とは接しろ』って思うなあ。」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「えー!!不器用な方が闇パワーで面白いこと出来そう気がするけどなあ……というか、そうであってくれ…」

f:id:eaidem:20161019192439p:plain「多分闇パワーってね、ある程度までは行きやすいんだよ。その代わり最大レベルが意外に低い。限界がすぐにきちゃう。結局人とうまくやれる人が一番強いって思ったな」

f:id:eaidem:20161019192437p:plain「僕は未だに闇パワーで行動してます……ちょっと考え直すわ」

 

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取材を終え1人駅へ向かうA

 

ネタを投稿するということについて 

今回インタビューをした2人はネタを読まれたことが自信になり業界に飛び込みました。そして、僕もラジオ等で採用されていなかったら、ライター活動をしていなかったと思います。

 

ネタ投稿というのは特定の人にとっての自信をつけられる虎の穴であり、救済措置も担っている気がしました。

 

ただ、恨み妬みだけで行ける場所には限界がある。

特にAの「闇パワーの最大レベルは意外と低い」という発言は重みを感じました。これまでの自身の行動、そして今後の考え方について強く影響を受けました。

 

 

 

というわけで2人に影響されて、僕も久しぶりにネタ投稿をしようと思います。

 

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闇成分がまだ全然抜けてないようなので、もう少し闇パワーと付き合っていくことになりそうです。

 

 

ちなみに現在、僕はオモコロというメディアで自らラジオをやっています。自分でやってみるとこんなに大変だったんですね……。よければ聞いてみてください~!

▼『みくのしん・おおきちの大仲良しラジオ』

omocoro.jp

 

ライター:おおきち

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1988年生まれ。ゴッサムシティ(荒川区)で深夜ラジオとインターネットに影響を受け続けている。尊敬する人はふかわりょう。ハイエナズクラブなどにも書いてます。 blog「おおきちナイトニッポン」 twitter:@ookichiinmyhead

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 9話「冷たい地蔵がほほえんだ理由」

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<柳田さんと民話・一覧>
9

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。TwitterFacebook

 

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【入門】発酵食品の作り方! パン・納豆・米麹を「家」で仕込んでみた

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ライターの根岸達朗です。

 

突然こんなことを言うのもなんですが、私は半年ほど前から趣味で、ぬか漬けや味噌、甘酒やパンなど「発酵食品」を自宅で作り続けています。「え、発酵食品って自分でつくれるの〜?」っていう人もいるかもしれないのですが、味はともかくとして……

 

めちゃくちゃ簡単につくれます。

 

正確にいえば、僕がつくるのではなくて、微生物が醸すことで発酵食品はできあがるわけですけれども、これが実に不思議で奥深い。

 

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イラスト:小倉ヒラク

 

しかも、なんでかわからないんですが、自分でつくるとそれだけで元気が出て、気分が良くなるんですよね。自然のなかにいると気持ちいい〜と感じるのと一緒で、微生物という自然に触れるといい感じになるっていうのは、多分あるんじゃないかなって、私は勝手に思っています。

 

そこで今回はそんな「発酵食品」をテーマに、山梨に住んでいる発酵デザイナーの小倉ヒラクさんの家を訪ねてきました。ヒラクさんは「発酵をこの世に広めること」をミッションに活動しているおもしろい人で、過去にジモコロでも「長野の湯田中温泉にある変なタイ料理屋を訪れた記事」に登場済み。

 

 

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おじさんたちの夏休み感たっぷりの内容で恐縮ですが、ぜひレシピなど参考にして、みなさんも発酵の世界を楽しんでみてください〜。それではどうぞ!

 

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話を聞かせてくれた人:小倉ヒラク

発酵デザイナー/アートディレクター。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、発酵を研究しながら、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップを行っている。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より「こうじづくりワークショップ」を全国で展開中。

HP:http://hirakuogura.com/

 

小倉ヒラクくんが作った味噌の魅力を伝える曲

 

リアル「もやしもん」の世界! 目には見えない。でも、すぐそばにいる

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f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ジモコロのおじさんたち、こんにちは。今日はせっかく我が家まで来てもらったので、僕が普段やっているいろいろな発酵食品の仕込みを体験してもらおうと思っています」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「わーい。よろしくお願いします!」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「根岸さん、いつになく高揚してるように見えるんですがどうしたんですか?」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「実は最近、趣味で発酵食品をつくりはじめたんですよ。だから、僕なんかよりもぜんぜん深いレベルで、発酵を探求している先輩に話を聞かせてもらえるのがうれしくて」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「え? そうだったんですか。いつの間に……」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「おお、発酵食品仕込んでるんだったら話は早いですね。じゃあまずは、今夜食べるパンからいきましょうか。今日つくるパンは果物の酵母パンです」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「パン! これって、天然酵母のとか、そういうやつ?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「そうそう。パンは発酵の本丸なんですよ。酵母液はそうですね、このへんのやつを使いましょう」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ん? 酵母液って?」

 

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f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「酵母液っていうのは、パンをこねるときに混ぜ合わせる液体ですね。この液体のなかにいる酵母菌がパンを膨らませるんですよ」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ほー。根岸さん知ってた?」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「果物に酵母菌が付いているんですよね。密閉できる瓶のなかに果物と水を入れて数日放っておくと、だんだんシュワっとした感じで微発泡してくるんですが」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「え? なんで発泡?」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「酵母菌が果物の糖分を餌にして、炭酸ガスとアルコールを発生させているからですよね。そのあたりは今いろいろと本を読みながら勉強中で」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「なんなんだその知識……。僕が知ってる根岸さんじゃない!」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「いいですね。酵母菌って気温が30〜33度くらいのときに最強になるんですけど、ベストな条件を出すと、1日に10の9乗増えます。だから今の時期、キッチンで仕事をしていると、突然『バチン!』とすごい音がして、瓶のふたが弾け飛ぶこともあるんですよ」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「わーすごいですね。僕は東京郊外のマンション住まいなのですが、うちでやってもそこまでになったことがないです」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「我が家のキッチンに天然の酵母菌が棲み着いているというのもありますね。実は野生の酵母菌って空気中にもたくさんいるんですよ

 

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f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「目には見えないけど、この空気中にも酵母菌が? 漫画『もやしもん』の世界まんまですね」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「そうですね。我が家は築60年くらいなんですが、こういう古民家の方が菌は棲みつきやすいんです。もちろん空気中には酵母菌以外の菌もたくさん飛んでいるんですけど、僕はここで酵母菌を育て続けているというのもあって、このへんを飛んでいるのはほぼ、酵母菌しかいなくなりましたね」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「へえ。そういうものなんですね。おもしろいなあ」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ただ、酵母菌っていうのは、たくさんある菌のなかのひとつのジャンルのようなものなんです。音楽にヘビメタとかクラシック、ヒップホップなどがあるのと一緒ですね。どちらかといえば、おしゃれなジャンルです

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「はあ〜、菌の世界におしゃれとかあるんだ」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「パンとかシードルとか、酵母菌の発酵によるアウトプットがわりとおしゃれ感ありますもんね」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「そうですね。でも逆におしゃれじゃない菌の世界もあって、たとえばカビですね」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「カビ! あの梅雨時にうっとうしいやつ⁉︎」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「はい。実は僕の専門はそっちなんですが、カビの世界はマジでおしゃれじゃないんですよ。でもその話をするととても深い世界に入ってしまうので、今日はとりあえず置いといて、パンつくりましょ。実は僕、子どもでも簡単にパンが焼ける方法を研究してるんです」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「楽しみです!」

 

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原始的なパンを作ってみる

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「早速始めましょう。まず、分量はこちらです」

 

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<材料>

強力粉・・・200g

酵母液・・・120g

塩・・・ひとつまみ

ハチミツ・・・大さじ2

バター・・・10g

 

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「おお、シンプルな材料」 

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「材料はたったこれだけです。これらを全部ボウルに入れたら、全力でこねてください。こねるマシーンと化してください

f:id:kakijiro:20161021145422p:plainf:id:kakijiro:20161021145431p:plain「よーしやるぞぉ!」

 

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f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ん……でもこれ、いきなり手でいっちゃっていいやつ? ちゃんと洗ってないような…」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「いいですよ。手には常在菌というのがいるんですが、ちょっと洗ったくらいじゃ取れませんから。この際、柿次郎さんの常在菌も混ぜ込んじゃってください

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「いいのね。いっちゃうよ……って、根岸さんもうやってる!?」

 

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なんだよその笑顔!

 

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「いやあ、なんか楽しくなってきまして」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「いいですね。たまにどういうわけか『発酵』させるのが奇跡的にうまい人というのがいて、もしかしたらそういうタイプかもしれませんよ。菌に愛されるタイプの」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「うれしいですね」

 

 

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f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ちなみにこれ、どのくらいやったらいいの? だいぶいい感じになってきた気がするけど」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「5〜10分くらいですね。コツは薄く広げて、折りたたむようにしてつぶすのをエンドレスにやること。最後にまるく整形したら、5時間くらいゆっくり寝かせて、生地を発酵させます。発酵するとちょっとずつ膨らんできますよ

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「おお」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ちなみにこれはストレート法といって、もっとも原始的なパンのつくり方です。僕はライ麦と水だけでつくるサワードウというパンも好きなんだけど、詳しくは僕のブログを見てくださいね」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「うーむ。それにしてもこれがパンになっちゃうなんて……」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「むっちゃ楽しみですね」 

 

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ひたすら発酵、発酵、発酵・・・ 

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f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「じゃあどんどんいきますよー。次は納豆です!

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「おお、納豆〜!」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「納豆⁉︎ 自分でつくれるの? まじで? おいしいの?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「スーパーで買うやつとは、違うものになりますね。野性的な味になるんですよ」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「野生的な味! そういえば、納豆ってワラに包まれたやつがあるじゃない? あれはもしかして発酵と何か関係がある?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ありますね。ワラには大豆を納豆にする納豆菌がいるんです。ただ、今回はワラは使いません。市販の納豆を使います。じゃあ柿次郎さん。今ここに4時間くらい茹でた大豆があるので、ここにかきまぜた市販の納豆を半パックくらい入れましょう」

 

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f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「え〜これ、ほんと〜? こんなので納豆になるの〜? まじかよ〜」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「まじですね。僕も家でやったことありますけど」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「あるの!? 未知の一面出しすぎでしょ」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「はい、混ぜ合わせたらこれをジップロックに入れて、ヨーグルトメーカーに突っ込みましょう。そして45度くらいにして保温。ヨーグルトメーカーがなくても、保温できる箱があればできますね。これが明日には納豆になっています

 

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f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「むむむー。こんなのが世に知れたら、納豆が売れなくなっちゃうんじゃない? 納豆メーカーの逆鱗に触れるんじゃない?」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「納豆菌は誰のものでもありませんからねえ」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「そういうもの?  それにしてもすごい量の納豆ができそうな……」

 

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米麹はカンタンに作れる

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「はい。まだまだいきますよ。次は米麹です」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「米麹?」

 

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f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「お酒を仕込んだり、甘酒をつくったりするときに使うやつですね。コウジカビという、発酵に有効なカビを米に繁殖させたものです。ここにあるのは種麹といって、コウジカビだけを純粋に培養して乾燥させたもので、種麹屋さんなどでは『もやし』と呼ばれます」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「漫画『もやしもん』のもやし?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「そうですね。実はこの米麹の作り方も簡単なんですよ。まずここに5時間くらい浸水させてから水を切っておいた米があります。これを全部蒸し器のなかに入れてください。じゃあ、菌に好かれてそうな根岸おじさんお願いします」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「はい! 光栄です」

 

 

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f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「こんな感じでいいでしょうか?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「いいですね。そしたら、できるだけ真っ平らにならしてください。はじっこまで詰めるようにしましょう。それができたら蒸し器のふたをして、卓上コンロで40分くらい蒸します」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「わかりました!」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「蒸している間は特にやることもありませんから、みんなで昼寝でもしましょうか」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「いいですねえ」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ゆるすぎる、おじさんたちの夏休み」

 

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そして、40分後・・・

 

 

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f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「蒸しあがりましたね」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「おお。食べるには結構かたそうな感じだ」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ではこれを一粒一粒ばらすようなイメージでほぐしていきましょう。これ、地味ですが、大事な作業ですよ」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「わかりました。集中してやります」

 

 

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パラパラ……………

 

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パラパラ…………

 

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「本当に地味な絵面ですね」 

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「やってみると結構楽しいですよ。だいぶほぐれたような感じがします」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「はい。では、先ほどの種麹を全体にまぶしましょう。お米があんまり熱すぎると麹菌が死んでしまうので、種麹をまくのは、あら熱が取れてからの方がいいですね。ここからは僕がやります」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「はい。わかりました!」

 

 

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蒸米に種麹をふりかけた状態

 

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再びふきんをきつくしばって保温容器へ。ペットボトルにはお湯が入っている

 

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「麹づくりは温度管理がちょっとむずかしいんですよ。でも、そのあたりは僕のワークショップに参加してくれたら極意をお教えします。条件さえ整えてあげれば、48時間後には米麹ができあがりますよ

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「おお、丸2日ですね」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「へええ。でも、米麹って日常生活だとあんまり馴染みがないじゃない? できあがったとして、それをどうやって使っていけばいいのかな?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「いろんな使い方がありますが、そうですね、今日はお酒好きのおじさん達がいるので、どぶろくでも仕込んでみますか

f:id:kakijiro:20161021145422p:plainf:id:kakijiro:20161021145431p:plain「どぶろく!?!?!?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「はい。どぶろくっていうのは、米に麹と酵母を加えて発酵させた昔ながらの濁り酒ですね。日本では、お酒づくりの免許のない人が1%以上のアルコールを発生させるのは禁じられているんですが、酒税法が制定される前は一般家庭でも普通に作られていて、今でも一部の地域では……☆*@¥+☆*@+¥#%」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「*+%$#☆*%!?」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「@#$%&*¥+*#$%&$@☆*」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plainf:id:kakijiro:20161021145431p:plain「!!!!!!!」

 

 

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はっ!!!!

 

 

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「ちょっと根岸さん! いつまで寝てるんですか! メシの前に温泉いきましょ、温泉!」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「え? あれ? あれれ??? さっきどぶろくを仕込んでて……」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「なに寝ぼけたこと言ってるんですか? 根岸さんは米を蒸している間に爆睡してたでしょ。僕も出張続きで疲れてたからずっと寝てて、さっき目が覚めたんですよ。早く準備してくださいね。外で待ってますから」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「……???? ……え、あれ、どぶろ……????」

 

  

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f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「いやーでもさっき、僕は夢のなかでどぶろくをね……」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「まだ言ってる」

f:id:kakijiro:20161021145412p:plain「ははは。夢のなかでも仕込んでるなんて、完全に発酵おじさんじゃないですか。あ、そろそろさっき仕込んだパンが焼けるんじゃないかな」

f:id:kakijiro:20161021145431p:plain「やったー楽しみ!」

f:id:kakijiro:20161021145422p:plain「……………」

 

 

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ま、いっか。

 

 

まとめ

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楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。発酵デザイナー・小倉ヒラクさんの家で発酵食品を仕込み、温泉につかり、お酒を飲みながら語り合った時間は、かけがえのない宝物になりました。

 

おじさんになってからの夏休みの方が「いい時間」過ごせてる気がします。

 

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そしてなにより、目には見えない微生物たちが醸し出す「発酵」の不思議。

 

寝ている間も、今この瞬間も、地球上のあらゆるところで微生物たちが働き、「発酵」を繰り返していることを思うと、そこに「大いなるもの」を感じずにはいられないのは、私が発酵の世界に魅せられたスピリチュアルおじさん……いや、発酵おじさんだからでしょうか。

 

「発酵」には今の生き方を少しだけましにするためのヒントがあるのかもしれない。そんなことを思いながら、私は今日も都会の片隅で、大好きなぬか漬けを作り続けるのでした。

 

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また、お会いしましょう。

 

 

※ジモコロ編集長推薦! 小倉ヒラクくんの好きなブログ記事 

 

 

書いた人:根岸達朗

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東京生まれ東京育ちのライター・編集者。ニュータウンで子育てしながら、毎日ぬか床ひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

【予言】北海道「標津サーモン科学館」の『世界初!チョウザメ指パク体験』は全国区になるであろう

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どうもー!!

 

 

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どうも、ジモコロ編集長の柿次郎です。

これ、ヒグマの剥製なんですけど…犬歯の尖り具合がヤバすぎますよね。しかも獰猛かつ、俊敏。人間を殺すことなんて赤子の手をひねるようなもんでしょう。一応、弱点は「黒い鼻先」ということだけ伝えておきます。

 

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さて、僕は北海道の道東エリアにある「標津サーモン科学館」に来ています。皆さん、もちろん知ってますよね。

 

え、標津サーモン科学館を知らない?

そもそも、道東エリアってどこなのって??

 

  

ご覧のように北海道の端に位置します。地図で見ると最果て感がすごい。

羽田空港から根室中標津空港まで約2時間。実は東京からアクセスが良いんです。ただし、飛行機は1日1本なのでご注意ください。近いけど、遠い。遠いけど、近い。それが都民にとっての道東エリアです。

 

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道東エリアの定義は、ざっくりといえば帯広以東です。今回取材で訪れるまでぜんぜん知りませんでした。なんとなくの距離感をこれで掴んでもらえると道東の民が喜んでくれると思います。

 

根室中標津空港の最寄りには、

 

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地球が丸く見えることで有名な絶景スポット「開陽台」があります。空港に着いてから北海道の広大な景色に興奮しっぱなしなんですが、360°の絶景は開陽台ならでは。

 

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写真では1/10ぐらいの魅力しか伝わらないんですが、This is 北海道な景色で最高!!

 

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中標津の町には、「味噌バターコーン ラーメン」が美味すぎる人気ラーメン店「らー麺 たら福」。

 

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スパイスがガツンと効いたスープカレー屋「木多郎倶楽部」。

 

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地元を代表する人気アイスクリーム店「ラ・レトリ なかしべつ」もオススメ!

 

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「人生で一番美味しいジェラートです!」とTwitterで激押しされるほど。実際食べたらスゲー美味かったです。香料・安定剤を使わず、牛乳本来の旨味と優しい味わい。夏でも冬でも、中標津を訪れたらぜひ!

 

ジモコロ推薦!標津サーモン科学館の魅力

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さて本題へ。コンパクトな根室中標津空港から車を走らせること約30分。サケ漁が盛んな標津町へ向かいます。ここはケーサー業界で重要な拠点となっているようです。ザギンで食べるシースーもケーサーあってこそでしょう。

 

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1991年にオープンした「標津サーモン科学館」は、サケ科魚類の展示数国内でナンバーワン! 水族館として楽しめるだけでなく、サケの研究施設としても機能しているため、めちゃめちゃマニアックな内容となっています。

 

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施設内にはさまざまな水槽があるんですが、9月〜10月はサケの遡上をガラス越しに観賞することができます。ものすごい水流に逆らい登り続けるサケの馬力すげぇ。ヒノノニトンぐらい排気量あるんじゃないでしょうか。

 

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さらに11月はシロザケの産卵行動が見れるとか。

 

館内では繁殖行動の映像も流れていたんですが…

 

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なんかエネルギッシュすぎて笑ってしまいました

一瞬なのよ、一瞬…。命の灯が火花みたいにカッ!て…。

よくよくサケの顔を見たら古代魚っぽいし、種としての粘り強さを感じます。

 

 

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イトウはこんな魚です(イメージ)

さすがサーモン科学館。シレッと展示されているんですが、個体数の少ない日本最大の淡水魚「イトウ」を繁殖しているらしく、エサをあげることができます。

 

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なぜかガチャガチャに入っている「うきエサ」販売機。大迫力の文字がエサにかかっているようにしか思えないのですが…

 

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あら、不思議。100円を入れると、そこそこの強い臭いを放つエサと50円キャッシュバック券が!なんだこれ!

スタッフに話を聞くと「100円玉対応のガチャガチャしかないから仕方なく。昔は50円硬貨をそのまま入れていたんですが、エサの臭いがキツすぎて苦情が…。今は施設内で使える50円クーポン券にしています」とのこと。

 

こういうエピソード大好きです。

いいぞ、もっとやれ。

 

 

 

そんな「標津サーモン科学館」ですが、

今回ジモコロ的に紹介したいのはサケじゃないんですよ! 

 

 

これがメインイベントだ!

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「チョウザメ指パク体験コーナー」

 

語感の良さは文字で伝わると思いますが、最初目に飛び込んできたときに「なんだこれ」って笑っちゃいました。

 

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どうせ、ローカルによくあるショボい体験じゃないの?

チョウザメの口に指を当てるとか。指パク証明書発行中とか。ワケわかんないこと書いて。「指パク体験」なんてキャッチーな語感つけちゃってさ。

ちなみにチョウザメ自体は歯がないため、人間の赤ちゃんに噛まれるような感覚だとか。だからといってわざわざ指パクさせるほどの価値があるんでしょうか。

 

水槽を覗き込んでみると… 

 

あれ、チョウサメって立泳ぎできるんだ。

※本来しない行動だけど、水面の餌を求めて進化したそうです

 

とりあえず、水面にさっきのうきエサを撒いてみました。

 

うわああああ!! めちゃめちゃチョウザメが集まってきたー!!

しかも、めっちゃパクパク音が鳴ってるし、これ捕食のSEじゃないの。音を出せる環境で見てほしい。餌を求めて空気と水を吸い込んで吐き出す獰猛さ…。このサイズでこの迫力なんだから、仄暗い海の中で人食いサメに出会ったら人生終了ですね。脳が停止して気絶するわ。

 

 

 

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チョウザメに恐るおそる指を差し出すと… 

 

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エイリアンみたいな口が飛び出てくる恐怖仕様。

なんなんだ。怖すぎる。

 

 

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(バクンッ!!)

 

 

 

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    /\___/ヽ   ヽ
    /    ::::::::::::::::\ つ
   . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
   |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.    |    ::<      .::|あぁ
    \  /( [三] )ヽ ::/ああ
    /`ー‐--‐‐―´\ぁあ

 

 

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今までになかった体験〜!!

 

歯がないので痛みが走るわけじゃないんですが、見た目の怖さとパクパク音が恐怖すぎて、終始「うわあああああ!」と声が出ちゃいます。絶叫しすぎて館内に男二人の声が響き渡るという惨状。

そして何よりも捕食されたときの異様な感触。なんだろ、この得も言えぬ感情は…。怖いけど楽しい。自分でもこんなピュアな顔になれるんだって、驚くほどの体験が味わえます。

 

すげーぜ、チョウザメ指パク体験!

 

こちらは指を食われる瞬間。スロモーションでどうぞ。

 

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チョウザメの被り物も完備

タレントやお笑い芸人がやれば、よりリアクションが伝わる映像になると思います。盛り上がること必至。現状ローカルテレビ局しか訪れてないようなので、全国区のテレビ番組で日の目を見るのも遠くなさそう。みんな〜!ここに良いネタがあるよ〜!

 

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ちなみに指をパクられると「チョウザメ指パク体験証明書」(ブルー)が交付されます。一番デカいボスサイズのチョウザメに4本指をパクられると、ボスをクリアした証「チョウザメ指パク体験証明書」(ピンク)がもらえるので、実績解除好きにはたまりません。

うき餌のキャッシュバック50円券は、この証明書のラミネート代(50円)に充てることが可能! 何から何までジモコロ的に好物な「ローカルの良い塩梅」が詰まっていて、「標津サーモン科学館」のことが大好きになりました。

地味に世界初ってのもいいんですよ。受付の女性も「チョウザメがすごすぎて、サケの印象が全部吹っ飛んでしまうんですよね(笑)」って言ってたし。さすがスケール感のでデカい北海道! おおらかすぎる!

 

最後に標津サーモン科学館のすぐ近くで、蓮舫ばりにサケの雄雌を仕分けする動画をご覧ください。カーリングみたいにサケがツルツル滑っていくのすごい。

 

世の中には、まだまだ知らないことがある。

 

●スポット情報

標津サーモン科学館

住所:〒086-1631 北海道標津郡標津町北1条西6丁目1番1-1

電話:0153-82-1141

時間:9 : 30 〜17 : 00(入館受付は16:30まで)

開館期間:2月1日〜11月30日(12月〜1月は閉館)

2月、3月、4月、11月は水曜日休館 ※事前に問い合わせた方が確実!

 

 

というわけで、急遽敢行した3泊4日の北海道・道東エリア取材旅行(10/24〜27)の第一弾記事でした。14時30分頃に空港を出て、16時頃にサーモン科学館を出たタイミングで空は真っ暗。陽の落ちる時間が東京と違って圧倒的に早く、「あ、初日終わった…」と取材の難しさを実感しました。

 

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次回、「ネット上で『この世の果て』と噂される北海道のスポットは本当に世紀末感があるのか?」をお届け予定です。さようなら。

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916


汗だくで苦悩できますか? 運動による「悩み耐久テスト」のすすめ

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人は汗だくで苦悩できるのか? 

 

今回はこの問いかけで始めてみます。

苦悩する前にまずは身体を動かしてみればいいのでは? 汗だくになってみればいいのでは? それでも「悩み」が生き残れるか試してみればいいのでは? 

そんな提案をしたいと思います。

 

ただ、こういう導入だと、チンパンジーみたいな人間がタンクトップ一枚で書いてそうに見えるんで、最初に私のことを軽く説明させてください。

 

趣味は文字の読み書きと音楽を聴くこと。外出の大半はコンビニとスーパー。あとは気晴らしに近所のカフェに行くくらい。アウトドアやスポーツの趣味は一切なし。そもそもこの連載のタイトルが「京都ひきこもり大演説」。

ということで、身体をぜんぜん動かさない人間が、最低限の運動でも心の安定に役立つんだと気づいた話です。

 

全体の要約をしておくと、

・室内で悩んでいる人間は「身体」の存在を忘れている

・悩みは「アタマの問題」だから「当然アタマで解決するべきだ」と考える

・しかし実際はたんなる運動不足だったり、日光を浴びていないだけのことがある

・運動によって「身体」の存在感を強めて、「モヤモヤした悩み」と「解決すべき問題」を切り分けるといい

 

このへんを実体験をもとに書いてみようと思います。ちなみに現在の私はこれを「悩みの耐久テスト」と名づけてます。運動することで「悩みの強度」を確かめるわけです。この耐久テストを生き延びた悩みだけが「悩むに値する」というわけですね。

 

具体的にやってること

具体的に何をしているか。

40分程度のウォーキングです。距離でいうと4kmくらい。色々と試すうちにこの距離に落ち着きました。コースは完全に固定してます。ポイントは「汗をかく」だけの長さに距離を設計することです。私の場合、季節にもよりますが、最初の10分ほどで「うっすら汗をかく」状態になる。そして最後のほうでは汗だくになってます。

 

ちなみにジョギングじゃなくウォーキングなのはダルいから……というのもありますが、気分が落ち込んでるときのジョギングは、インドア人間にはハードルが高いからですね。「ひとまず歩いてみるか」ならいけるが、「ひとまず走るか」にはなかなかいけない。

まあ、このへんは私個人の体力に大きく依存した話なんで、みなさん自分用にカスタマイズしてください。

 

一時期は毎日きまった時間にやってましたが最近はそうでもなくなってます。理想は毎日ですが、ちゃんとはしてない。すこし忙しくなると平気でサボっている。さらに私は勤め先もありませんので、生活は乱れるだけ乱れる。

 

三日ほど夜型・運動不足が続くと「どうでもいい悩み」が増えはじめたと気づくので、そこでウォーキングして調整するって感じになってます。「どうでもいい悩み」は雑草みたいなもんなんですね。だからあんまり自分と結びつけないほうがいいです。「ああ、生えてきた。抜いとこう」と考えたほうがいいです。

 

「どうでもいい悩み」は汗だくになると消えている

「悩み」と「問題」は分けて考えるべきである。

そういう話はけっこう色んなところで読みます。「悩み」は具体性のないものです。そして「問題」は具体性があります。だからこそ「解決方法」を考えられるというわけです。これは本当にそのとおりなんですが、「身体」という視点もいれないと、ただの正論になっちゃう気がするんですね。

 

ウォーキングをするようになって気づいたんですが、汗だくの状態だと笑顔に「なってしまう」んですよ。声も大きく「なってしまう」んですよ。これはほとんど「強制」なんだと分かったのが面白かったです。「楽しくなれる」なんてカワイイもんじゃなく「楽しくなってしまう」んです。

 

これは人の悩みを聞くときにも応用できます。「とりあえず歩きながら話そうか」ということです。「うまいもんでも食べながら」もちょっと似てますね。

悩みを聞くときに二人でジッとしてるのは良くないわけです。言葉のレベルでは相手の話を聞きつつ、別の方法で相手の肉体の状態にも働きかけていく。

 

「問題」は言語レベルで考えるべきだが、「悩み」は肉体レベルで対処するべきだと言うと分かりやすいかもしれません。肉体の状態を整えた時に、それでも残るのが「問題」なんだと言ってもいいです。ここの切り分けを覚えたことで、私はものすごくラクになりました。

 

三島由紀夫と太宰治

このへんで作家の文章を引用します。

小説家の休暇 (新潮文庫)

小説家の休暇 (新潮文庫)

 

三島由紀夫は『小説家の休暇』(新潮文庫)で太宰治にふれて書いてます。

太宰のもっていた性格的欠陥は、少くともその半分が、冷水摩擦や器械体操や規則的な生活で治される筈だった。

これは笑ってしまうんですが、たしかにそうなんですね。私は作家としては太宰のほうが好きなんですが、この文章は否定できない。

作家というのは普通の人間に比べると考えこみやすいタイプが多いと思うんですね。だから「たんなる運動不足」や「たんなる夜型生活のせい」なのに、「観念的な悩み」や「アタマで考えてアタマで解決すべき悩み」だと思い込みがちなんです。

 

インドア人間というのは、たいてい言語能力が発達してます。肉体の運動神経のかわりに、日々、言語やイメージの反射神経を鍛えてるようなもんだからですね。少しの刺激からグワーッとさまざまに思考を展開させるくせがある。

これ自体はたんなる特徴です。うまく使えば「想像力豊か」とか「よくもまあ変なことを考えるもんだ」と言われる。

 

しかしマイナス方向に振れた場合、誰かのささいな一言から被害妄想を20000字くらい考えてしまうわけです。100字に満たない言葉を勝手に数万字にふくらましてしまう。私も一人のインドア人間としてこの副作用に長いこと苦しめられてきました。

最近になって、じつはマイナスに振れるかどうかは「身体の状態」に大きく依存していると気づいたわけです。

 

脳を鍛えるには運動しかない

もうちょい学術的な本では、『脳を鍛えるには運動しかない!』をおすすめします。

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

  • 作者:ジョン J.レイティ,エリックヘイガーマン,John J. Ratey,Eric Hagerman,野中香方子
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  • 発売日: 2009/03
  • メディア:単行本
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邦訳タイトルは煽り気味ですが、内容は硬めです。ウォーキングをはじめてすぐの頃に読んでました。自分の実感がバシバシと言語化されてて面白かったです。

この記事では「悩み」に焦点をあててますが、じつは「発想」や「創造性」も運動と関わってるようなんですね。

「頭のパフォーマンス」だと思ってたものが、かなり「体の状態」に依存している。「頭がボンヤリする」の正体が「体の状態が悪い」だということも多いわけです。そのへんのことも、この本を読んで納得しました。

 

まとめと注意と余談

ということで、運動による悩みの耐久テストをおすすめします。

ちなみに、運動すれば悩みがすべて消えるということではないです。そこまでいくと筋肉万能主義になる。私個人としてはそこまでいけないです。あくまでも「汗をかくほど運動して、悩みが生き残れるかテストしてみる」ということです。

汗だくになった後も悩んでいられるか? 

反復横飛びしながらも悩んでいられるか? 

シャトルランのあとでも悩みを維持できるか? 

このへんはもう何でもいいです。「肉体」にいったん引き戻すということです。

 

余談ですが、個人的には哲学と運動の関係も気になるんですね。散歩しながら哲学はできると思うんですが、反復横飛びしながら哲学はできるのか? 「ゆっくり歩く」ことと思索の相性は良いですが、「高速で左右に動きながらだとどうなのか?」という。

「思索」というのも実は肉体の一機能なんじゃないかと思ってるんですが、まあ、この話はそのうち。

 

とりあえず、私は文化系の極みみたいな人間なんで、「汗だくで苦悩するのは難しい」という発見がものすごく役立ちました。

文化系だと自負してる人も、そうでない人も、ぜひ試してみてください。

 

それではまた次回。

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

 

長崎県の魅力を「リンガーハット」「グルメ」「移住」の視点で調査してきた

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はじめに

ハフ……ハフ……ズルズル……うまっ……ズルズル……フーッ、フーッ……ハフハフ……ズルズル……

こんにちは、山口むつおです。
ただいま私……。

 

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長崎県のリンガーハットに来ております

  

 

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みなさん長崎県といえば、どんなイメージがありますか?ちゃんぽん、ハウステンボス、カステラ、ザビエル、サムライスピリッツのラスボス……。

色々あるとは思うのですが、今回は!

 

 

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山口むつお
これを書いているジモコロライター。長崎と聞くとサムライスピリッツのラスボスを思い出す男。

柿次郎
ジモコロの編集長。2泊3日の取材中、腸炎を発症して真っ青になり24時間寝込んだ。

鳥巣
長崎県出身で、今回案内をしてくれるザビエル似の男。山口と柿次郎の友人で、五島という島に図書館を建設したというが……?

 


こちらの3名で、

 

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この3軸を中心に、長崎の魅力、そこで生活している人たちについて取材を行いたいと思います!

 

 

目次:

【グルメ】やっぱり長崎のリンガーハットは他県のものより美味いの?

【グルメ】長崎発祥の変わったおもてなしグルメ「卓袱料理」

【次回予告】学校の授業の100倍わかりやすい「隠れキリシタンの歴史」

【働く】移住者が活躍する五島列島に行ってみよう

まとめ

 

 

やっぱり長崎のリンガーハットは他県のものより美味いの?

 

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ちゃんぽんと言えばリンガーハット。発祥の地はもちろん長崎。チェーン店といえども、やはり本場だと違うんじゃないかという気がします。確かめてみましょう。

 

 

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ちなみになんですが、リンガーハットはもともとトンカツ屋さん(とんかつ濵かつ)からスタートしています。ちゃんぽん屋さんのうえには、そのトンカツ屋さんも

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「やっぱり本場長崎……東京のより美味いのかな?」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「確かめたことはないですけど、長崎県出身の身としてはそうなってると嬉しいですね」

  

 

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みなさんお馴染み、リンガーハットのちゃんぽん。もっともベーシックな「長崎ちゃんぽん」を注文。早速いただいてみましょう。

 

 

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ズズッ

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「……ッ!」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「うんま……!」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「これこれ。この味よ!」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「明らかに東京より美味い!」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「それにしても、ちゃんぽん久しぶりに食べたけどこんなに美味いとはな……。チェーン店でこのレベルだと、こだわりの個人経営のお店とかだとヤバイかもしれんな」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ちゃんぽんにもラーメンみたいに『あっさり派』『こってり派』があって、それぞれに名店と呼ばれるお店が県内にあったりしますよ」

 

 

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そしてこちらは、デザートで頼んだミルクセーキ。

 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「本来ミルクセーキって飲み物なんですけど、長崎だとこんなふうにデザートとして提供される事が多いんですよ」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「名前は聞いたことあるけど、食べたことない」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あ、これアイスクリームみたいなものだと思ってたらシャーベットなんだ」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「そうそう、かき氷に卵とか練乳とかを入れたものなんですよ。長崎県発のデザートです」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「それにしても、さっきのちゃんぽんよ。チェーン店って調理する器具とか段取りが統一されてるもんだけど、長崎はちょっと違ったりするのかな?」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「いや〜これは違うでしょ。明らかに野菜の旨み、スープのコクが違うもん。長崎に来てどこかちゃんぽんの個人店探さなくても、リンガーハットで十分満足できるレベル」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ジモコロ編集長!これは美味しさの秘密、店員さんに確認しておいたほうがいいのでは?!」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「よ〜〜し!」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170402p:plain「いや〜〜美味しかったです!ぼくたち東京から来たんですけど、やっぱり本場長崎は違うなーと思いました!やっぱり調理方法とかが他と違ったりするんですか?」

f:id:eaidem:20161108171011p:plain「いえ……よく言われるんですけど、全国どこでも同じ材料・器具・調理法で作っています……」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170402p:plain「……!!」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「(クッ……!こいつぁ……)」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「(こいつぁ……恥ずかしい……!)」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「(危なかった……柿次郎に聞きに行ってもらって助かった……!)」

 

 

・・・・・・

 

 

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f:id:eaidem:20161108170402p:plain「………」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「編集長、あれからずっと海を見てますね」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「そっとしておきましょう」

 

 

 

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リンガーハットは、全国どこで食べても美味しいように、材料・器具・調理方法を統一しているようです。長崎に行って「やっぱ本場は違うな!」と明言するのは避けたほうがよいでしょう。

 

 

長崎発祥の変わったおもてなしグルメ「卓袱料理」

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長崎の夜。メジャーな居酒屋から、1本入るとかなりディープな雰囲気の裏路地が隣接しています。

 

 

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今回案内してくれた鳥巣さんが「どうしても食べてみたい」という長崎発祥のおもてなしグルメ「卓袱(しっぽく)料理」があるという事で、みんなで付き合うことに。

 

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「簡単に卓袱料理の説明をさせていただきますね。卓袱料理は『和華蘭(わからん)料理』とも呼ばれています。和食、中華……そして蘭はオランダのことですね。」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「なるほど。昔から貿易の拠点となっていた長崎ならではですね。一瞬、意味がわからん料理かと思ってしまいました」

 

卓袱料理とは

中国料理や西欧料理が日本化した宴会料理の一種。長崎市を発祥の地とし、大皿に盛られたコース料理を、円卓を囲んで味わう形式をもつ。和食、中華、洋食(主に出島に商館を構えたオランダ、すなわち阿蘭陀)の要素が互いに交じり合っていることから、和華蘭料理(わからんりょうり)とも評される。

Wikipediaより

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「円卓で食べるんですね」

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「はい。一般的な日本料理のように膳で食べるのではなく、このような丸いテーブルにお料理を乗せます。お料理は、大皿からそれぞれ取り分けて召し上がっていただくというのも大きな特徴ですね」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ラフですね〜」

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「まずは、みなさんにはお吸い物をお召し上がりいただきます。飲み干されたら、次の料理をお持ちいたします。これは広東料理で『まずはじめにスープを飲み干す』という慣習にならったものです

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「さっそく異文化のミックス来た」

 

 

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魚の美味い部分……

 

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美味い刺身……

 

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美味いジュレ……

 

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美味くて皿に対して浅いやつ…… 

 

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その後、続々と運ばれてくる料理の数々。和食、中華、洋食とバラエティー豊か!

かつ、全部のレベルがクソ高いうえに「みんなで円卓囲んでる」という空気感も最高。

 

 

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そしてこのパイ料理が和華蘭料理の「蘭」にあたる部分です。

 

 

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こうやって砕いて食べます。 

卓袱料理、この取り分けシステムのおかげで、とにかく堅苦しすぎないうえに美味いので、何を話してても盛り上がるのです。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161108/20161108170613.png「やばいわ。これ人生の中で一番楽しい夕食会かも」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「高級なだけじゃなくて、みんなでとりわけ合うことで生まれるコミュニケーションがいいね」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「そしてそのコミュニケーションを円滑にする、料理自体のポテンシャルの高さよ……」

 

 

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くぅ〜〜〜〜〜〜!!!!

 

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「よかったです。これで中盤戦くらいなので、どんどんお持ちいたしますね」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「は?!中盤戦?!」
f:id:eaidem:20161108170402p:plain「このあとデザートで閉幕じゃないの?!」

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「卓袱料理って、量も相当あるんですよ」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「Oh……」

 

 

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美味さを固めたやつ……

 

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茄子とうなぎに美味い味噌がかかったやつ……

 

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美味い汁……

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「まだ出ます?」

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「まだ出ます」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「まだ出るかあ」

 

 

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美味茶漬け…… 

 

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美味い角煮……

 

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美味くて白いやつ……

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「もうちょい?」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「そろそろ腹がバーストを起こすよ?」

f:id:eaidem:20161108171030p:plain「次が最後のデザートですよ〜」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「とうとう……!」

 

 

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そして、ついに最後のデザート・美味いおしるこでフィニッシュ。

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あ〜〜〜!マジで多かった……全部美味かったけど……」
f:id:eaidem:20161108170402p:plain「来る前に間食入れてたら、バーストしてたかもな……」

 

 

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美味いのに残すことになったら、もったいないです。

 

 

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余談ですが、なんと坂本龍馬の刀傷が残されているということで、その部屋を見せてもらう事になりました。

 

 

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161108/20161108171030.png「あちらが坂本龍馬のつけた刀傷です」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あの歴史的人物の刀傷……!」
f:id:eaidem:20161108170559p:plain「誰か、刺客と戦ったりしたんですか?」

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161108/20161108171030.png「いえ、酔っ払って勢いで刀振り回したらしくて」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「はしゃいだだけかよ」
f:id:eaidem:20161108170402p:plain「飲んで食って、いい感じに仕上がっちゃったんだろうね」

 

 

学校の授業の100倍わかりやすい「隠れキリシタンの歴史」

さて、長崎といえば隠れキリシタンの歴史があるのは、みなさん小中学生の歴史の授業で習ったとおり。

 

 

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f:id:eaidem:20161108170559p:plain「今日は長崎巡礼センターというところで局長をやっていらっしゃる、入口さんという方に隠れキリシタンの歴史を教えてもらいましょう」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「(もう学校で習ったことなのに、もっと知ることってあるかな……)」

 

 

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……と思ってたら、めちゃくちゃおもしろくて勉強になったのですが、活字に起こすとゲロほど長くなっちゃいそうなので、別記事にまとめます。もうちょっと待っててね!

 

 

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移住者が活躍する五島列島に行ってみよう

今回案内してくれた鳥巣さんは、東京にいながら「五島列島」という島に図書館をつくったといいます。また、五島列島に魅せられて移住し、働いている人たちも多いとのこと。我々も五島列島に行ってみることにしました。

 

 

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移動は長崎港から高速船で!五島列島は全長80kmと意外に大きな島。離れたところにある男女群島まで含めると150kmもあります。

 

 

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長崎では、船はけっこうポピュラーな移動手段のようです。早朝から船に乗り込む行列が。

 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「港の近くに造船所があって、そこに勤めている人なんかは会社が持ってる船で通勤していたりしますよ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「通勤に船……東京だと考えられない移動手段だなぁ」

 

 

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そんなこんな言いながら1時間半ほど高速船に揺られて……

 

 

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五島列島に到着しました。さあ、どんな働き方をしているのでしょうか。

 

 

「誰かの人生の3冊」が読める図書館・さんごさん 

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五島の富江という町に、鳥巣さんが作った図書館「さんごさん」はあります。

外観はさんごをイメージした赤。「富江には大きな図書館や書店がない」という話を聞いていたので、地元の人にも島外の人にも楽しんでもらえるような図書館を作ろうと思ったんだそう。

 

sangosan.net

 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「もともと、この島はさんご漁が盛んだったんですよ。さんごって宝石として高価に取引されていたので。それで一発当てたろか、という人達で賑わってたんです。そういう経緯もあって、さんごさんという名前にしました」

 

 

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さんごさんの中には大きな本棚と、綺麗に陳列された本が。

 

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「あれ?なんか図書館のわりには本少なくないですか?」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「図書館とは言っても、もともと民家なのでそんなにたくさん本を収蔵できないんですよ。なので誰かの『人生の3冊』を読める図書館にしよう、とテーマを決めたんです」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あー、それで今回の旅の前に、マイベスト3冊を持ってきてくれって言ってたんですね」

 

 

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ぼくと柿次郎の「人生の3冊」を寄贈させていただきました。

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ぼくの人生の3冊は『ドラゴンボール 27巻』『+81』『ふしぎ!なぜ?大図鑑』です」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「どういう理由なんですか?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ドラゴンボール27巻といえば、フリーザ戦で悟空が超サイヤ人に変身する巻で、めちゃくちゃかっこいいからです」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「子供の意見だ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「『+81』っていうのは海外のクリエイターをいっぱい紹介する雑誌なんですけど、これを買ったのは就活の時期でして。なんかクリエイターみたいなカッコイイ仕事に就きた〜い!と世間をナメてた経済学部の僕が、本屋で買ったのがこれでした」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「わかりやすいナメ方ですね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「結局、それからしばらくこの雑誌は買うようになって、広告やデザインに興味が湧いてWEBの製作会社に無事入社できたので、ぼくとしては恩人みたいな雑誌ですね」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「最後の図鑑は?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ぼくの小学生の時のバイブルです。生き物好きなぼくにとって、昆虫・哺乳類・爬虫類・両生類・鳥類・魚類・植物を1冊で網羅したこの図鑑は、お子様の成長を助ける一冊として強くオススメします」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ありがとうございます。…って、このようにね。その本とエピソードがあると、俄然読みたくなるでしょ? そういう本の出会い方って面白いと思うんです」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「たしかに。友達がオススメしたヤツは読みたくなるっていう、ソーシャルでのクチコミに近い感覚かも」

 

 

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こちらはさんごさんのリノベーションを手掛けた石飛さん。東京在住ですが、このためにしばらく五島に移住してきたのだそう。

 

 

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本物のさんごが!さんごの加工の過程で出る端材をもらってきて練り込んだそうだ。「さんごさん」という名前からインスピレーションを受け、石飛さんが所属する能作淳平建築設計事務所で考えたのだとか。

 

 

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五島のマジの火山岩を足場に利用しています。

 

 

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そして、壁には超高速で投げつけてめり込んだ貝殻が。

 

f:id:eaidem:20161108170634p:plain「ちょっと!さらっとウソの解説入れないでくださいよ!これはリノベーションの作業中、土壁に貝殻が紛れ込んでいるのを見つけたんですけど、なんか良かったからそのままにしているんですよ」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「あ、そうだったんですね!失敬失敬……」

 

 

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f:id:eaidem:20161108170559p:plain「実は図書館以外にもやれる事はあると思っていて……結構広いスペースがあるので、町のワークショップの場所にしたり、2階の部屋をゲストハウスとして解放したりという展開を考え中です」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「建物に雰囲気あるし、泊まったら楽しそうですね」

 

 

※現在、いろいろなワークショップやイベントを開催しています

 

 

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さんごが飾られていたりと、なんでも絵になる気持ちの良い空間です。

 

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「ここに置いてるショップカード、五島に移住してきた人がやってるゲストハウスのものなんですけど、ちょっと会いに行ってみましょうか」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「はい!」

 

 

仕事での滞在をきっかけに始めたゲストハウス「ネドコロノラ」 

 

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こちらは、港町・荒川にある「ネドコロノラ」。古民家を改装したかわいらしいゲストハウスです。

 

 

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大学の同級生であるマナミさんとモエさんが運営されています。2人とも五島出身ではなく、移住組!

横浜出身のマナミさんが、3年ほど仕事で五島に移住したのをきっかけに五島に魅せられ、大学時代の友達だったモエさんを誘ってオープンさせたのだそうです。

 

 

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みんなでごはんを食べたり、語らったりするテーブルに……。

 

 

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こちらはキッチン。

 

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ええ雰囲気だな……この場で友達出来て語り合ったりしたら楽しそう……」

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「ゲストハウスの醍醐味やね……」

 

 

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まだオープンして3ヶ月くらいのネドコロノラ。にもかかわらず、すでに鳥巣さんとも石飛さんとも仲が良かったです。移住してきた人達はこうやってすぐに仲良くなるみたいです。

 

 

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2階が宿泊スペース。ハンモックも吊るされています。

 

 

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乗ろうとしたのですが、うまく乗れず補助してもらうハメに。

 

f:id:eaidem:20161108170654p:plain「え…?本当に乗れないんですか…?」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ぼく、体が完全にジジイなんですよ」

 

 

蒲鉾(かまぼこ)で有名な「浜口水産」

 

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こちらは株式会社浜口水産。東京の豪徳寺に支店も持つ、蒲鉾(かまぼこ)で有名な会社です。その工場は五島の富江にあります。

 


 

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工場に隣接されたお店。予想と違ってめちゃめちゃオシャレなディスプレイ!

 

 

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浜口水産で働くこちらの藤田さん。五島の魅力に取り憑かれ「来ちゃった」という移住者の1人です。

 

 

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お店の奥に入ると、かまぼこの製造工程を見学することができるようになっています。

 

 

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様々な大型の機械も使われつつ…… 

 

 

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人の手による作業もありつつ。丁寧に作られていました。 

 

 

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そして藤田さんのはからいで、出来たてのイワシのかまぼこをいただく事に。めちゃくちゃ熱いのですが……。

 

f:id:eaidem:20161108170402p:plain「できたてのかまぼこ、やばいくらい美味い !」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「できたての熱いかまぼこなんてはじめて食べた。長崎に来てから美味いものしか食ってないな……」

f:id:eaidem:20161108170559p:plain「魚つながりだと、他にも近畿大学と豊田通商が手を組んで作った、近代マグロの一貫養殖拠点『株式会社ツナドリーム五島種苗センター』……いわゆるベンチャー企業が五島に生まれたりもしていますね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「そういえば、五島で参加した飲み会があったじゃないですか」

 

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※ここに写っている人、ほとんど移住者。柿次郎は体調不良でダウンしていたため、参加できなかった。

 

みなさんが「とりあえず来たら何とかなるよ」って口々に言ってたのがすごい印象的でした。みんな、五島に1回来たくらいで移住決めてたりするんでびっくりしました。なんでかな〜と思って話聞いてたんですが

 

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f:id:eaidem:20161108170613p:plain「ここにいる人達が移住したきっかけのほとんどが、この女性が『五島に移住しちゃいなよ』って言ったかららしいんですよ」

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161108/20161108170559.png「!!」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain移住の成功は良きキーマンの存在、と思いましたね」

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/eaidem/20161108/20161108170559.png「ぼくも相当お世話になりましたね……。というのも、移住ってその自治体からのバックアップももちろん大事ですけど、個人レベルでの横のつながりも大事なんですよね。友達やご近所さんとだとちょっとした事で助け合えるし、何より寂しくないし。結局人と人とがつながっていれば、楽しく生きていけるような気がしますね」

f:id:eaidem:20161108170613p:plain「都会で働くより、まったりした感じでとはまた違ったつながり方や働き方ができる町なんだな〜 」

 

 

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まとめ

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遊びに来て良し、 住んでも良しな場所でした。もともと貿易の拠点として発展した長崎は、和洋が入り混じった独特な文化が多いのも魅力です。

 

次回もまた、長崎についてご紹介しますね。それでは!

 

 

書いた人:山口むつお

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株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。物忘れが激しいが、昔プレイしたゲームのパスワードはすらすら言える。

個人ブログ: むつおちゃんブログ
Twitter: @e_yamaguchi

 

「哲学ってなんなの? ムダじゃない?」 哲学者に話を聞いてきた

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うーん。実に興味深い……。

 

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こんにちは。ライターの恐山(おそれざん)と申します。

難解な哲学書を読んでいるふりをしています。

 

唐突ながらおたずねします。

みなさんは「哲学」という言葉にどんなイメージを持っていますか? 

 

周囲の人たちに聞いてみたところ、このような反応でした。

 

難しいことを言っている学問

役に立たない学問

無意味な学問

名言を考える学問

・本気でやると不幸になって、発狂して孤独に死ぬ

・気むずかしい屁理屈好きの趣味

ヒゲ

就職できない

 

……散々です。

 

で、「哲学者が考えている哲学的な問題」って、たとえばこんなイメージじゃないですか?

 

 

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ろうそくの火は消えるとどこに行くのか?

 

みたいな。

哲学といえばフワッとしてて抽象的な問題を考える学問、というイメージ。「そもそもそんなこと考えてなんの役に立つの?」と思われるのも仕方ない気がします。

 

 

さて、「役に立たない」「難しい」「ヒゲ」というイメージを持たれている哲学ですが、実際のところはどうなのでしょうか?

本職の哲学者に話を聞きに行ってきました。

 

 

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お話を伺ったのは土屋 賢二(つちや けんじ)さんです。ヒゲは生えていませんでした。

 

土屋賢二さん
1944年生まれ。東京大学を卒業後、現在はお茶の水女子大学哲学名誉教授。定年退職後は神戸に在住。

週刊文春でユーモアエッセイ『ツチヤの口車』を長期連載中のエッセイストでもあり、ジャズピアノの演奏者としても知られる。好きな飲み物はコーラ。

 

 

今回は哲学者の土屋さんにインタビューして、馴染みのない「哲学」に少しでも迫っていきたいと思います。

土屋先生が哲学者になるまでの話から、なぜ哲学をやるのか? まで伺ってきました。

「ロウソクの火のゆくえ」にもハッキリと答えが出ましたよ!

 

 

哲学者の考える「地元」

 

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「今日はよろしくお願いします。哲学的で深遠な話を期待してます!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「なるべく深遠なことを言えるようにします」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「土屋さんはお茶の水女子大学を定年になって、今は神戸に住んでいるんですよね?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「はい。岡山県から上京してきて、定年までずっと東京に住んでいたから、神戸に深いゆかりがあるわけではないんですけどね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「このインタビューが掲載される『ジモコロ』は『地元と仕事』がテーマなのですが、土屋さんが神戸に住んでいる理由はなんでしょうか。哲学者の琴線に触れる何かがあるとか……?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「出張で神戸に行ったときから、山と海に囲まれた環境が気に入ってたんです。深夜でも町が賑やかで、ケーキ屋まで開いてることにも驚いて『いつか引っ越そう!』と思ってた。でも、結局どこに住んでも同じだよね(笑)」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「えええ……。『どこに住んでも同じ』って、ジモコロ的には一番の禁句ですよ!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「引っ越してからわかったんだけど、自宅からじゃ山も海もぜんぜん見えないんですよ(笑)。それに夜に出歩くような歳でもなくなっちゃったしね。どうせ半径100メートルしか移動しないなら、どこに住んでも大して変わらない。たとえばもし、寝てる間に地球そっくりの惑星に移動したとしても、きっと気づかないでしょ?」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「たしかにそうですね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「僕らは『場所』にこだわるけど、自分がどこにいるのかをどうやって認識してるのかって、実は曖昧です。結局は頭のなかに地図があるだけなんじゃないでしょうか。場所』とは一体なにか……と、こういう話にすると哲学者っぽいでしょ?」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「『ぽい』です。気を遣ってくださってありがとうございます」

 

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東京大学で「疑うこと」を知った青春時代

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「土屋さんは2010年までお茶の水女子大学で哲学を教えていた、生粋の哲学者ですよね。哲学には昔から興味があったんでしょうか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「いや、若いころは哲学なんてぜんぜん興味なかったですね。でも最近は『中学2年生のころからニーチェを読んでいました』なんて学生がいる。尊敬しちゃいますよね」

※ニーチェ…ドイツの哲学者。力強い言葉でいろいろ断言するので、弱い人に人気がある。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「生徒を尊敬してどうするんですか。土屋さんは中学2年生のとき、何に興味があったんですか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plainうーん……。鉄棒かな」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「ニーチェと鉄棒じゃ大違いですね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「1962年、東大の文科一類に合格したときは、親に言われるがままに官僚になるつもりでした。『官僚』が何をする仕事かもわかってないのに、漠然と『官僚にさえなれば一生安泰だ』と思ってたんだよね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「本当はエリート街道を進んでいく予定だったんですね。官僚が何かわかってない人はたぶん官僚になれなかったと思いますけど」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「東大に入学して、今はなき『駒場寮』っていう学内の寮に住んだんだけど、そこで出会ったものが僕の価値観を大きく変えることになりました」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「なるほど、そこで哲学書ですね?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plainマージャンです」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「ダメ学生じゃないですか」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「東大駒場寮は1部屋6人の、ぼろぼろの刑務所みたいなところなんだけど、本当に24時間、誰かが卓を囲んでるんですよ。寝ていても頭の上でずっとジャラジャラ鳴っている。でも誰もそれを気にしない、おおらかな空間でした。毎日、マージャンに疲れたら寝て、起きたらマージャンして……の繰り返し。当然、講義なんか出るヒマないですよ」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「親は、信じて東大に送り出した息子がそんなことになってるとは夢にも思わなかったでしょうね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「食事すらロクにとらないから栄養状態も悪くて、みんな痩せてたなあ。そもそも、学食の壁に張り出されてる『本日メニューの栄養素』の円グラフが全部基準値を下回ってるという……」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「すごい時代だ」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「でも、そのときはじめて自由ってものを知りましたね。ほら、親っていろいろと子どもに指図するでしょう? 『勉強しろ』『風呂入れ』とか。だから反動で、駒場寮時代は『2週間、禁風呂する』なんてストイックな目標を立てたりして、楽しかったですね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「そういうのはストイックとは言いません」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「あと、パチンコにもハマってました。あれは本当にお金と時間を浪費しますよ! いつかパチンコ屋で見た隣の席のおじさんは『なんで俺はこんなことを。この金で子どもに何か買ってやれたのに』って嘆きながら、ハンドルからは手を放さない(笑)。まあ、僕も同じ穴のムジナなんですけど」

f:id:eaidem:20161104113237p:plainあれ、この記事って『多重債務者にインタビュー』でしたっけ?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「寮生活時代はそうやってどんどん堕落していったんだけれど、極めつけはドストエフスキーの小説を読んだことです。彼の小説には饒舌で型破りで魅力的なキャラクターがたくさん出てくるんです。それに既存の価値観を完全に破壊されてしまった。『本当に官僚になるのが一番いい生き方なんだろうか?』と疑わしく思えてきたんです。官僚の道を捨てて哲学に行ったきっかけは、今思うとそこからですね」

※ドストエフスキー…ロシアの小説家。登場人物の多くが、怒りながらよくしゃべる。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「子どもを官僚にしたい親は、ドストエフスキーを読ませないようにしたほうがいいですね」 

 

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ドストエフスキーの写真。ヒゲが生えている。

 

 

「存在と時間」の謎に取り憑かれる

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「あの、そもそも『哲学』ってなんなのでしょうか」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「たとえば小さな子どもが『なぜ空は青いの?』と質問します。そこで『光の拡散によって青い波長だけが見えて……』というような説明をしても、子どもは納得しないでしょう。子どもにとっては、そんな法則が成り立っている事実も空が青いのと同じくらい不思議だからです」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「さらに法則が成り立っている理由を説明しても納得しないでしょうね。たぶん『なぜ?』『なぜ?』が無限に続く……」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「つまり、すべての事実が明らかになったとしても残る謎があるんです。これが哲学的な問題に共通する性質だと思います」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「なるほど……。それを解き明かすのが哲学なんですね。大学時代に哲学を知った直接的なきっかけはなんですか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「ある日、なんとなく受けた講義で先生が面白いことを言ってたんです。『ハイデガーというすごい人が『存在と時間』という『存在とは何か?』を突き詰めた本を書いていて、何百ページもあり、しかも未完である』と。それを聞いて『存在』と『時間』という言葉の組み合わせの不思議さ、深遠さに打ちのめされちゃった。これを理解しないまま死んでいくのは絶対に損だぞと思ったんです。

※ハイデガー…ドイツの哲学者。『存在と時間』の新訳版は未完なのに全8巻もある。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「実は以前、私も『存在と時間』という言葉が気になって読んでみたことがあるんですが……」

 

f:id:eaidem:20161102193702j:plain

『存在と時間』裏表紙の帯から引用

 

存在を開示しながら理解することが、現存在に適合したかたちでそもそも可能となるのは、どのようにしてなのだろうか。……根源的時間から、存在の意味へとつうじるひとつのみちすじがあるのだろうか。時間そのものが、存在の地平としてあらわになるのであろうか。

 

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「何を言ってるのか、本当にさっぱり何一つわかりませんでした!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「そう。僕もさっぱりわからなかった(笑)。普通、どんなに難しい本でもやろうとしていることのだいたいの方向性はわかりますよね。たとえば『宇宙の端っこはどうなってる?』って疑問を解くのはとても難しいけど、少なくとも調べたいことの意味はわかる。でも、この哲学書が出す疑問は『存在とは何なのか?』なんだよね。何がどうなったら『存在がわかった』ことになるのか、まずそこからわからない。難しさのレベルが違うんです。そんな種類の問題があるなんて思いもしなかったから、若い僕は衝撃を受けた」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「結局、私は『存在と時間』を読むのを断念してしまいました」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「僕も最初は1ページどころか1行たりとも理解できませんでした。でも『こんなに深遠で面白そうなことをわからないまま生きていくのは絶対にいやだ』と思って、必死に勉強して読み解きました。そして2年生のとき父親の反対を押しきって、哲学科に転科したんです。将来をどうしようとかは全然考えてなかったなあ」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「深遠なことが気になるわりに、自分の人生の決め方は軽薄ですね。哲学科に転科して、ハイデガーはわかるようになりましたか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「全然わからなかったですね。それどころか、ガッカリしちゃった。ハイデガーに詳しい先生の話を聴いても、ハイデガーの言葉をハイデガーの言葉で言い換えてるだけで、本当に知りたい謎の答えはわからないままなんだよね」


哲学者になった理由は「仕方なく」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「結局、自分でハイデガーの問題意識を理解するまでに10年かかりました」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain10年!?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「10年経ってわかったのは『今までの成果はぜんぜんムダだった』ってこと。僕がずっとやってたことは完全に見当ハズレだったんですよ。理由はあとで説明しますね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「えええええ……!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「ハイデガーに没頭しているうちに、身の振り方を考えないといけない歳になっていました。大学院まで進んでしまうと、官僚はもちろん、普通の就職先もないわけです。哲学の教師くらいしか道はないんですが、僕は当時流行していた学生運動に面白半分で参加して、校舎に立てこもったりしていた。先生に歯向かったあげく『じゃあ、先生になります』なんて言えないじゃないですか(笑)

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「『哲学者になるまでの話』というよりは『官僚になれなくなるまでの話』を聞いている気分です」

 

f:id:eaidem:20161102183021j:plain

 

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「仕方なく、いろんな商売に手を出しました。たとえば『競売にかけられた不動産を買って、すぐ転売すればボロ儲けなんじゃないか?』と思って裁判所に通いつめたり」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「不動産を買うお金なんかあったんですか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plainないですよ。競り落としてからお金を払うまでに一週間くらい猶予があるから、その間に買い手を見つければいいや、と思ってた」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「めちゃくちゃだ」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「結局、そんな商売はすでにヤクザみたいな人が手を付けていて、僕がつけ入るスキなんてなかった(笑)。いよいよどうしようもないなと思っていたら、大学の先生にバッタリ会って『キミの卒論、なかなか面白かったから博士号取れば?』と言われました。『もう潰しがきかないし』ということで博士号を取って、先生になって……」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「今に至るわけですね。おそろしいほどに行き当たりばったりですね」

 

哲学の問題に答えはない。でも、すべて解決できる。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「話を戻しますが、10年間も勉強したハイデガーの研究成果が『見当ハズレ』だったんですよね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「うん。その根拠はいろいろあるんだけれど、一番大きな理由は『この問題に答えは出せない』とわかったこと。問題に答えが出せないんだから、問題の研究も無意味に決まってますよね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「え? それって『敗北宣言』ですか? 哲学の問題なんか、どうせ解決できないっていう……」

f:id:eaidem:20161104113258p:plainいいえ」

 

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f:id:eaidem:20161104113258p:plainすべての哲学的問題は解決できますよ」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「すごい、言い切った……。でも、哲学の問題に答えは出せないんですよね? 矛盾してるじゃないですか」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「うん。だからね、哲学の問題は『そもそも問題がまちがっている』ということなんです」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「問題そのものが?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「たとえば『ろうそくの火が消えたとき、その火はどこへ行くのか?』という哲学的な問題があります」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「おお、哲学っぽくてかっこいい問題ですね!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plainでも、答えはないんです。それどころか、問題ですらないんです。なぜなら『言葉のルールに違反している』から。だって、火は消えたらどこか別の場所に行くわけじゃなくて、消滅するものでしょう? だから『消えたらどこに行く』って質問自体、意味がないんですよ。これはヴィトゲンシュタインという哲学者も似たようなことを言っているんですが」

※ヴィトゲンシュタイン…オーストリアの哲学者。『論理哲学論考』を書いたあと「哲学の問題は全部とけた」と思って数年間哲学をやめた。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「す、すごく常識的! 哲学者なのに!」

 

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f:id:eaidem:20161104113258p:plain「僕は『なんのために生きるのか』『心とは何か』『自由とは何か』みたいな哲学的な問題は、全て『問題がまちがっている』という形で解決することができると考えています。もちろん、それをきっちり指摘するためにたくさん言葉を使って論証しないといけないし、ハイデガーの『存在とは何か』なんて問題になると、プロセスはかなり複雑になりますけどね」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「だから、答えがあると思ってハイデガーを研究した10年は『見当ハズレ』だったんですね……」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「そう気付いてからはヴィトゲンシュタインを中心に研究することになるんだけど、これがハイデガーとは別の意味で難しい。言葉はとてもシンプルなのに、それを言う『意図』が読めない、不思議な文章なんです」

 

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ヴィトゲンシュタイン『哲学探究』(岩波書店)より。短い断片の集合で成っている。

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「ヴィトゲンシュタインは前置きもなしにいきなり問題を解き始めるんですね。で、読みながら自分なりに『こうすれば解けるだろう』と思っていると、先回りして反論されてしまう。『だったらこうしたら…』と思っても、さらに先回りして反論される。そのうえ、こっちが想像もしていない斬新なアイデアまで出してきて、それにも自分で反論してしまう。彼の思考の鮮やかさに魅了されました」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain武道の達人みたいですね……!」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「その面白さがわかったのは三十代後半でしたけどね」

 

 

 哲学は役に立たない?

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「よく『哲学は役に立たない』みたいなことを言う人がいますよね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「いますね。僕の読者が『ツチヤって哲学者がいるんだよ』ってお母さんに教えたらしいんですけど、返ってきた言葉が『誰でもそういう時期はあるわよね』だったらしくて(笑)」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「土屋さんはもう50年以上『そういう時期』……。失礼ですが、話を聞いているかぎり、哲学が役に立つようには感じないです」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「たしかに哲学は日常的には役に立ちません。でも、日常を成り立たせているものに疑いの目を向けることができるのが哲学です」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「『哲学は役に立たない』と言う人がイメージする哲学は『難しい言葉で深遠そうなことを言っているだけ』という感じだと思います。土屋さんがやっている『哲学』は、むしろ逆に見えますね。深遠そうな言葉に疑いを向けている」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「はい。哲学は何でもかんでも、『存在』でさえも疑いますが、それはわかっていないことをわかったような気にならないためには大切なことなんです」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「みんながなんとなく信じていることってたくさんありますね。そういうときに暗黙の前提を疑う人がいないと、おかしな方向に行っちゃう気がします。疑ってはいけないものがある世界は窮屈そう」

 

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f:id:eaidem:20161104113237p:plain「そう思うと、曖昧な言葉をむやみに使ってるのは哲学者より普通の人たちのほうなんじゃないかという気がしてきました」

 

誤解を解くには「対話」が必要

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「『哲学なんてひとりで勝手にやってればいいじゃないか』という人もいますよね。大学のような場所で哲学を学んだり教えたりすることに意味はあるのでしょうか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「哲学の祖と言われている古代ギリシアのソクラテスは、通りがかりの人に話しかけて哲学的な議論をしていました。互いに意見が一致するところから話をスタートして、ちょっとずつ相手の間違いをあぶり出していくんですね。プラトンは学校を作ったし、アリストテレスも先生です。僕も、哲学をやるなら対話できる環境が必要だと思います。他人は思わぬ角度から反論してきますから」

※ソクラテス…一番有名な哲学者。レスリングも得意で、けっこうガッチリしていたらしい。

※プラトン…ソクラテスの弟子。ソクラテスを主人公にした本をたくさん書いた。

※アリストテレス…プラトンが開いた学校の元生徒。アレキサンダー大王の家庭教師もしていた。

 

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ラファエロ『アテナイの学堂』で議論しながら歩くプラトンとアリストテレス。ヒゲが多い。

 

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「そのために大学は役に立つ、と。土屋さんも生徒に反論されるんですか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「もちろんです。反論されると『こんな考え方があったか』と気づけるので嬉しいですね。あのソクラテスですら、論証の過程でけっこうインチキをしていて、いまだに批判されています」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「それにしても、そのへんの人を捕まえて言い負かすって、ソクラテスはイヤな人ですよね」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「結果的に民衆の恨みを買って死刑になっちゃうほどですからね(笑)」

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「そんな哲学を学ぶと、人は変わりますか?」

f:id:eaidem:20161104113258p:plain「変わりますよ。哲学科の1年生に、流行の新書を読ませて感想文を書かせると『とても参考になりました』みたいなことばかり書くんです。それが4年生くらいになると『この本は言葉の定義が曖昧でぜんぜん話にならない』『前の章と言っていることが矛盾している』と、冷静に批判できるようになっている。だから、哲学をやるとイヤな人になるかもしれない(笑)

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「いい子を育てたかったら子どもを哲学科には入れないほうがいいですね……。お聞きしたいのですが、土屋さんは哲学に飽きることはないのでしょうか?

f:id:eaidem:20161104113258p:plainまったくないですね。いまでも面白い問題を思いつくと解くのが楽しいです。

f:id:eaidem:20161104113237p:plain「すごい!」

 

 

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その後も話がはずみ、なんと計3時間半もお付き合いいただきました。

土屋さんは世間的な哲学者のイメージとは逆に明るく朗らかな方でしたが、哲学的な謎に対する思いは本物だと感じます。

哲学的な思考は、一定の枠組みにとらわれた考え方から自由になる手段として役に立ちます。でもなにより、土屋さんは謎が気になって仕方がなくて、そして謎を解くのが楽しくて哲学をやっているのではないでしょうか。そんな情念の前に「役に立つかどうか」なんて些細なことなのではないか、取材を終えてそんなことを思いました。

 

 

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土屋賢二さんの自伝的エッセイ『哲学者にならない方法』は、東京書籍より好評発売中です!

 

 

 

ライター:ダ・ヴィンチ・恐山

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。作家名義は品田遊。
延長コードの購入や自動改札機の利用など、多方面で活躍中。

ブログ→品田遊ブログ
Twitterアカウント→@d_v_osorezan

 

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ウェブ上で『この世の果てだ…』と噂された秘境スポット「野付半島」に行って来た

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。

世の中には「この世の果て」「世界の終わり」と比喩されるようなスポットが数多く存在します。10月下旬ごろ、北海道・道東エリアの3泊4日取材旅行に臨んだんですが、自分の目で確かめたい場所もそのひとつ。

 

それは…

 

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根室中標津空港から車で1時間30分ほど走らせた場所にある「野付半島」です!

エビみたいな形をしていて、国後島(くなしりとう)とは目と鼻の先。地図を見て「ここは一体どういう土地なんだろう?」と想いを馳せるのが好きなんですが、野付半島はウェブ上で「この世の果てみたいな景色だ…」と紹介されていて気になっていました。

 

 

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というわけで、野付半島がある別海町に到着。エビみたいな形の島を車で走り続けます。人の気配は感じられず、時折トラックとすれ違う程度。漁師町の面影はありますが、時期的に閑散とした景色が続きます。

 

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途中、野付半島ネイチャーセンターに車を停めて、あたりの様子を伺ってみたら…

 

 

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波紋ひとつない穏やかな海面が、鏡のように青い空を映し出していました。

 

なんだ、これー! 美しすぎるだろー!

 

  

この景色だけでも感動したんですが…。どうやら「この世の果て」と噂される場所は、ここから20〜30分ほど歩かないといけないようです。車は通行止め。「一体、何なんだよ…」と渋々歩くことに。

 

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往復で1時間近くかけて行くほどの秘境スポットなの…?

 

いざ噂の真相を確かめに…

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歩き続けると「別海十景トドワラ 野付風蓮道立自然公園」の看板が目に飛び込んできました。

 

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トドワラは、長い時間かかって作りあげられた砂嘴(さし)の上に成立したトドマツ林が、海水面の上昇あるいは砂嘴の沈降により海水におかされた枯木群に変化したものと考えられています。

枯木の大部分は樹齢90〜120年のトドマツであり、その中に樹齢150〜170年のエゾマツも混在していたことがその年輪から読みとれます。また、年輪幅(5〜10mm)からこの林は極めてよい成長をつづけていたことが分かります。今後、枯木群の腐朽が進み塩湿地植物群落に置き換えられつつあるのも自然の生み出す大きな流れなのでしょう。

トドマツ、エゾマツとおそ松さんみたいな言葉が並んでいますが、かなり貴重な植物が自生しているエリアのようです。「自然の生み出す大きな流れなのでしょう」に諦めと懐のデカさみたいなのを感じますよね。

 

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ここからは綺麗に舗装された道に切り替わります。

 

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「おりないでください」と強めの注意書きが。貴重な自然を守るためのことなんでしょう。

 

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テクテク…

 

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お…

 

 

 

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なんだか…

 

 

 

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このまま天国へ行けそうな…

 

 

 

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ここがこの世の終わり…? 

 

 

 

し、死にたくない〜!!

 

 

まだ全国47都道府県制覇してないし、ウォーキング・デッド全部観終わってないし、ベルセルク完結してないし、クリストファー・ノーラン監督作の映画はずっと見たいし、来年EVISBEATSの新譜が出るって話だし、VRの世界がどんなエロ進化を遂げるのか絶対体験したいし、2020年の東京を見届けたいし、シェアリングエコノミーがすごいことになるって話だし、自動運転で地域と都市の距離がグッと縮まるかもしれないし、AIがもっと進化しても人間力で戦えるのか興味あるし、その先には火星に住む人が増えるかもしれないし、それこそトランプ大統領は今後どうなるのか気になるし、そもそも遺伝子残してないし、俺にはまだまだやるべきことが沢山ある〜!!

 

 

 

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いやー、焦った。死んだかと思った。ここは途中、海側に分岐している道なんですが、ほぼ加工ナシでこんな写真が撮れるスポットです。いろんな条件が重なったんでしょうけど、光の当たり方が普通の土地とぜんぜん違う! 

 

 

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元のルートに戻り、少し歩くと…

 

 

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ああああー!! 

 

 

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これがトドワラなのー!?

 

 

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この世の果て、世界の終わり…。

生き物の気配がほんとんど感じられず、長い年月かけて朽ちていったトドマツの無残な姿だけがそこに…。その先には穏やかな海が続いていて、日本の最果てであることは肌で感じ取ることができます。

 

 

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この世に自分1人しか残されていないような感覚…。アイアムレジェンド…。

 

 

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思っていたよりも腐朽が進んでいたため、インターネットの噂で見た景色とはかなり変わっていました。元通りになることはなく、前述の看板に書かれていた通り、自然の流れを受け入れるしかないんでしょうね…。

 

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やや寂しいけど、野付半島のトドワラの様子(2016年10月月末時点)を記録しておくことは意味がきっとあるはず!

 

真冬の様子はこちらの記事をどうぞ。一面、白銀の世界。オオワシやミミズク、エゾシカの群れなどに出会えるかもしれません。「野付半島ネイチャーセンター」のツアーガイドに参加するのが吉!

 

 

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歴史を紐解いてみると、江戸時代には国後へ渡る要所として通行屋が設けられて、北方警備のために武士も駐在していたとか。当時と景色は違うのかもしれないけど、武士が駐在していたとか胸アツですね。

 

世紀末感はまだ残っていた!

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時は199X年、地球は核の炎に包まれ、人類は絶滅したかのように思えた時代、人類は生き延び暴力の支配する弱肉強食の世界に突入していた

帰り道にもう一つのスポット「ナラワラ」を見てみたんですが、こっちはこっちでまだ朽ちた木がたくさん残っていて世界の終わり感がありました。「北斗の拳」のあらすじをうっすら入れても違和感がない。いつまでも元気でいてくれ地球…。

 

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しかし、日本とは思えない景色ですね。北海道・道東エリアが日本離れした印象を与えるのは、人間の手があまり入っていない原風景が残っているからなのかもしれません。なんたって、めちゃめちゃ不便なところにあるから。ジモコロで学んだことですが、人間都合の利便性から距離を置いた土地は面白いところが多いです。

 

 

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ちなみに野付半島、根室あたりは海のルビーとも言われる「北海シマエビ」の産地! 野付半島ネイチャーセンターでも食べることができます。

 

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エビの旨味と甘味が質量パンパンに詰まってる…! 

 

 

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野生のキツネもいる!

 

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エキノコックス症(えきのこっくすしょう)とは、寄生虫の1種エキノコックスによって人体に引き起こされる感染症の1つである。エキノコッカス症、包虫症などとも呼ばれる。

患者の98%が肝臓に病巣を形成される。感染初期の嚢胞が小さい内は無症状だが、やがて肝臓腫大を惹き起こして右上部の腹痛、胆管を閉塞して黄疸を呈して皮膚の激しい痒み、腹水をもたらす事もある。次に侵され易いのは肺で、咳、血痰、胸痛、発熱などの結核類似症状を引き起こす wikipediaより引用

こんな可愛いのにエキノコックスとかいうヤバい病気にかかる恐れがあるため、直接触ることは禁止されています。北斗の拳同様、薄いグレーテキストで症状を書くと怖すぎる。悲しい生き物だなお前…。めちゃめちゃ餌付けされてる感あるけど…。

 

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というわけで、噂を確かめるべく訪れた野付半島の「この世の果て」はトドマツの原生群だったものの、「トドワラの終わり」が間近であり、「日本の最果て」を感じさせるスポットであることは間違っていませんでした。

とある記事(取材をしないで画像集めて書いてるんだろうな!)では、まだまだトドワラがしっかり残っている印象を受けますが、2016年10月月末時点の最新情報として参考にしてもらえたらと思います。

 

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最後に。今回の取材で改めてローカルは足を使った取材が必要だなと痛感しました。ウラを取らずに寄せ集めの情報で記事を作り、検索トップを狙う。何かを知るきっかけとして必要かもしれませんが、自然でも飲食店の店舗でも、刻一刻と変化していくものです。せめて行ったフリをして書くのはやめようじゃありませんか。ずるいぞ。

ただでさえ時間とお金がかかる未開の地だからこそ、正しい情報をウェブ上にアーカイブしていきたいとジモコロは考えています。すげー金かかってんだからな!写真はタダじゃねーぞ!

 

ーーーー

●お役立ちリンク集

別海町観光協会

野付半島ネイチャーセンター

野付半島の先端にはかつて幻の町「キラク」があった? – 北海道ファンマガジン

野付半島の分かりやすいイラストマップ(PDF)

ーーーー

 

デイリーポータルZでは「サケ漁体験」まで踏み込んで取材しています。

さすが…!!

 

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北海道・道東エリアのジモコロ取材旅行はまだまだ続きます!

 

 

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次回、「屈斜路湖に湧き出た謎の混浴・野天風呂に浸かってグビグビ飲んだら、でっかいウンコが出た件」をお届け予定です。

 

 

●ジモコロ×北海道・道東エリア特集 記事一覧

  

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

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