Image may be NSFW. Clik here to view.「この『手打ち(せいろそば)のおいしい食べ方』を作ったのはいつ頃なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「これは約10年前、居酒屋時代に作ったものです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「どうしてまた、こんな細かい指示を? しかも最後まで読んでいったら、結局好きなように食べろって…。最初から蕎麦は好きな様に食べてくださいって書けばよかったじゃないですか。忠実に守ってたら蕎麦が伸びちゃう、蕎麦が!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「落ち着いてください(笑)。もちろんここに書いてあることをすべて守る必要はないと思うんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やっぱり!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「蕎麦が好きな人って、ああいう風に食べるこういう風に食べるって議論することが好きなんです。よく噛んで食べるとか喉ごしを大切にしたいから噛まずに食べるとか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんだか回らないお寿司屋さんみたいですね。最初はこのネタを食べろ! ガリはこのタイミングで!とか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「似ているかもしれませんね。蕎麦も寿司も昔から人々に愛されてきた食べ物ですから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かにどちらも江戸時代くらいから江戸っ子に愛されている食べ物なイメージがあるかも」
Image may be NSFW. Clik here to view.「蕎麦って太麺、細麺と色々種類があるけれど、店としてこういう風に食べてもらった方がいいっていうガイドラインを示した方が、食べる人にとってわかりやすいのかなと思ってつくったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、どうせ食べるならおいしく食べたいですもんね。ガイドラインがあるのはありがたいことかも」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ただ押しつけにならないよう、最終的には各自お好きに食べてねってことで9番目の文言が入っているんです」
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店頭にはこんな看板も
Image may be NSFW. Clik here to view.「かんだた流おいしい食べ方には細かい指定がありますよね。8本ずつ食べるとか、奥歯で2回噛むとか。この数字ってどこからきたんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「江戸、すなわち東京は蕎麦の一大消費地ということで、昔から庶民に愛されてきました。江戸っ子は見栄を張ることをかっこいいと思う風潮があったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはイメージつきますね。江戸っ子=勝ち気で見栄を張っている」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ですから、蕎麦を食べる時も、格好をつけて食べることが重要視されていたんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「時代劇とかでもよく蕎麦屋の描写がありますよね。蕎麦は江戸っ子を象徴してたのかな」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうかもしれませんね。細くて軽い東京の蕎麦が江戸っ子に愛される理由はそこにあると思っています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「細くて軽いとかっこよく食べられるってことですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうです。細くて軽い蕎麦を途切れなく食べること、それがかっこいい食べ方。美しく食べるためには少しずつ本当に箸に引っかかる程度で食べていただきたいなと思っています。ぐいっと持ち上げて食べる方もいらっしゃいますが、もぐもぐと咀嚼する様子はあまり美しくないですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もしかして、いつもそのカウンター越しから確認しているんですか」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「さすがにいつも見ているわけではありませんが、やっぱり食べ方が美しいと目を引きますよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「間違いないですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「長野市出身の落語家で柳家小さんという方がいらっしゃったのですが、その方は食べ物の作法がとても上手。特に蕎麦の食べ方はまさにお手本とも言える美しさでした」
Image may be NSFW. Clik here to view.「さすが落語家!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その人の食べ方をみてると、すっすっすって食べてあっという間になくなるのがよくわかるんです。少しずつ蕎麦をとって、ツツッと喉に落とす感覚が大切です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「喉越しで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それが奥歯で2回噛むことに繋がります」
Image may be NSFW. Clik here to view.「2回かぁ。あまり噛まないで飲むってなかなか難しいですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんです。慣れないとこれがまた難しい。だけど、本当は蕎麦って噛んでもおいしいんですよ。甘みが出るんです。だから多少は噛んでもいいと思っています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「結局いいんだ!」
蕎麦の美しい食べ方
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タイミングが合えば店頭の窓から蕎麦を打つ中村さんを見ることができます。
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等間隔で切り揃えられていく蕎麦から目が離せない…!
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まさに職人芸! 美しすぎる!!
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茹でて…
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ザルにすくい上げて水で締める
Image may be NSFW. Clik here to view.「うちの蕎麦は細いので1分程で茹で上がります」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あっという間ですね…!」
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丁寧に蕎麦が盛りつけられていきます。
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かんだたの蕎麦の完成! 美しい!
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、なんだか緊張しますね。話を聞いた後だとちゃんと食べないとって気になってしまう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「大丈夫ですナカノさん。気にしない、気にしない!」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「大体8本とって…(ズル…ズル…)」
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うっま!!!!
Image may be NSFW. Clik here to view.「おいしいです!食感を楽しむっていう感覚、なんとなく分かる気がします」
Image may be NSFW. Clik here to view.「よかったです!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもずるずるっと小気味よく食べるのって難しい…。綺麗に食べるためのコツはありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「若い人は、音を立てて食べることに抵抗がある人が多いみたいですね。コツは蕎麦のすくい方ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ふむ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「麺は重ねるように盛られているのでお箸を立てて持って真ん中からすっとすくう。慣れない人は横からからつまむことが多いのですが、蕎麦がきれいに出てこないんですよ。すくい方を変えるだけで所作が美しく見えますよ。」
Image may be NSFW. Clik here to view.「男性は蕎麦の食べ方を磨いて、女性を蕎麦屋デートに誘うべきだ!」
Image may be NSFW. Clik here to view. 「失礼かもしれないんですが、こういうところって何となく事情があるお客さんが多そうなイメージがあるんですよね。変わったお客さんはいらっしゃいました?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。けっこういろんな人が泊まっていきますよ。あとで聞いてわかったことなんですが、地方から家出してきた女の子とかね。あ、そういえば北朝鮮の工作員の人とかいましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「北朝鮮の工作員!??」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうそう。端正な顔立ちで物腰柔らかくって、金払いもいいし、あ~良い人だな、とか思ってたんですがある日公安警察が来て」
Image may be NSFW. Clik here to view.「家出少女から話が飛躍しすぎてついていけない」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「『我々は公安警察の者ですが、○○っていう人が泊まってるでしょ?』と聞かれて。○○さんはちょうど外出していてそのときいなかったんですけど、『そいつを確保したいから、我々もここに泊まる』ってことになりまして。で、帰ってくるのを待ち構えて捕まえちゃったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「警察の人もすごいですけど、それを何食わぬ顔で話す秋元さんもすごいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんだかドラマみたいでしたね~。なぜ北朝鮮の工作員がいたのか? ちょっと話が長くなってしまうんですが…偽米ドル事件を知ってますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「全然知らないです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「10年くらい前に100ドル紙幣の偽札が出回ったんですよね、それもかなり精巧なやつ。この偽札は北朝鮮製の通称『スーパーK』と呼ばれていたそうなんです。確保された工作員は偽米ドル事件の主犯格のひとりだったらしいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「思ってたよりずっとディープだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「北朝鮮の出口機関があるって話もしましょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もう大丈夫です」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「家出少女、北朝鮮の工作員ときて、他にはどんな人が泊まってたんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もっとすごい人が出てきそう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「他の人ねぇ……あ、そうだ。207号室に幽霊が出るらしいですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もう人じゃなかった」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「しかも、207号室って今いるところだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもここだけの話、すごい美人の幽霊らしいですよ。私は見たことないんですが、もうこの世のものとは思えないぐらいキレイだとお客さんが言ってましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実際Image may be NSFW. Clik here to view.この世のものじゃないですけどね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まあそれぐらいキレイだったという話です。なんせ、そのために通っていた人もいるくらいで。最近は幽霊が出たって話を聞かないけど、どっか行っちゃったのかなぁ…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「美人の幽霊が出るまで通います!」
隣にある賃貸アパートの存在
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Image may be NSFW. Clik here to view.「窓から見える向かいの建物は、秋元さんがご家族で住んでいるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえ、私たちは宿の1階に住んでいます。あそこは賃貸で貸してるアパートです。今は季節柄やってないんですけど。見てみますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ぜひ見たいです!」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「本館の隣がアパートになっています。階段が急なので気をつけてくださいね」
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転げ落ちたら確実に死んでしまうほど急な階段。
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アパートの廊下、たくさんの人がここを歩いたせいか床は磨かれてピカピカ。
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Image may be NSFW. Clik here to view.「部屋はご覧の通り、質素な和室です。今は真夏なのにエアコンがないのでちょっと暑いですけど。日貸しもやっていて1日=1,500円。1カ月=40,000円+光熱費です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「中目黒のワンルームの家賃相場が約7〜10万円くらいだから、4万円は破格の安さだ! 駅にも会社にも近いし最高すぎる」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「縁側もあるし雰囲気めちゃくちゃいいな…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「神田くんもうここに住まわせてもらいなよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そのときはお待ちしてます」
中目黒はどういう土地だったのか
Image may be NSFW. Clik here to view.「昔は中目黒にも旅荘はたくさんあったんですが、今ではすごく少なくなっちゃいましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「オシャレな街として名高い中目黒に、かつては旅荘が軒を連ねていたなんて想像つきませんね。こちらの旅荘はかなり年季が入っているように見えますが、いつからあるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ウチは東京オリンピックの前からやってますね。西暦でいうと1964年より前かな。そのときはオリンピック特需がこのあたりにも回ってきてたくさんの人が泊まりに来てくれましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「当時は確か渋谷公会堂でウエイトリフティングの競技をやってたそうですね。選手村も代々木のほうだったし。ということは結構儲かったんじゃないですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ま、多少はね。昔の話ですよ。当時は目黒区でオリンピックのボランティアを募ってたみたいで、中目黒の人はほとんど参加してたみたいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあ東京オリンピックと中目黒ってけっこう密接に関わってたんだ!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。例えば、この宿のすぐそばに駒沢通りってあるじゃないですか。あれって東京オリンピックに合わせてダーッと舗装したんですけど、作業員の人もかなり多く雇ったからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.
こちらが駒沢通り。1964年の東京オリンピックから今なお健在!
Image may be NSFW. Clik here to view.「道路工事をする人が旅荘に泊まりに来て、このあたりの経済が潤ったんだろうな~」
Image may be NSFW. Clik here to view.「1964年のオリンピックは50年以上も前のことですよね? 昔の中目黒はどんな街だったんでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「昔は中目黒に牧場があったことは知ってます? 今の目黒区役所のあたりかな。牧場からアメリカンスクール、その次は千代田生命、最後は目黒区役所になっちゃって」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですか! 都会的な街並みの中目黒に、昔は牧場があったなんて想像もつかないですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今は面影もないですからね。でも土地柄なのか土壌があまりよくないそうなんです。特に土が好ましくないって話を聞いたことがありますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そんな噂があったんですか!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ええ。だから庭師は昔から中目黒で土いじりするのを嫌がるみたいですよ。実際に亡くなった方もいるとか……いや噂ですけどね。子供の頃は親に『穴を掘るな!』って何度も言い聞かされていました」
Image may be NSFW. Clik here to view.
正覚寺の境内にある畜牛の供養塔。中目黒に牧場があったことを伝える数少ない史料。
Image may be NSFW. Clik here to view.「今は目黒川というとおしゃれスポットですが、昔はどうだったんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「目黒川には工場排水がドバドバ流れ込んでました。川面がぼこぼこ泡立っててねぇ。昔は規制も緩かったですからね。桜の季節には泡と桜が入り乱れてなんとも幻想的な風景でしたね〜!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「幻想的とか言ってる場合じゃないでしょ!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それは何十年もこの町を見続けてきた人しか見れない景色ですね! 知らない歴史がぽんぽん出てくる!」
Image may be NSFW. Clik here to view.
※9月7日現在
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちなみに現在ポケモンGOでは目黒川にコイキングがうじゃうじゃ湧いてるんですがこちらは知ってましたか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それは知らなかったなー。最近川沿いにやたら人がいるなとは思ってましたけどそういうことだったんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「よっしゃ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「変なところで張り合うな」
旅荘を続けている理由とは
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Image may be NSFW. Clik here to view.「改めて考えても1部屋=2,800円は破格の安さですよね。この料金で、儲けって出るんでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「儲けは出ませんね~。プラマイゼロで相殺されちゃうくらい。儲けのためではなく、もはやライフワークの一部です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もうほとんどボランティア…? そこまでして、なぜ旅荘を続けるのでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「寝泊まりできる場所を必要としてる人がいるんですよ。最近は外国の方も増えてまして、観光客の他に出稼ぎの方も多いんです。そんな人たちの間では『困ったら秋元に行け!』って言われてるみたいで。先日も、六本木で行き場がなくなっていた外国人の方がこちらに訪ねてきましたよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「誰でも受け入れちゃう懐深さがすごい! 外国人たちにとっての駆け込み寺になっているんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「この旅荘は行き場がない人、居場所がない人の受け皿になってるんです。別に外国人じゃなくても、ワーキングプアと呼ばれる人もいるじゃないですか。そういった人たちはマンガ喫茶でなんとか生活しているわけですけど、それじゃ生きることはできても、仕事先を見つけて人生を立て直すことは難しいんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そもそもマンガ喫茶は生活するための場所ではないですからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『秋元』なら、マンガ喫茶と違って住民票を移すことができます。ここで仮住所を得て、真面目に働いて、社会復帰した人も過去に何人もいます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そういう場所ってメチャクチャ大事だ! 働いて現状を変えようにも住民票なりを取って、自分が何者かを証明できないと難しいですからね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今は居場所がない人たちの生活を支えるための“基盤”となる場所が少なくなっていると思うんです。ウチみたいな古いスタイルの居場所がきっと必要なんです。ここで寝泊まりして、その間に仕事を見つけて巣立っていく。そんな風にしてがんばってる人を応援してあげたいんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「自分もそうですが、受け入れてくれる場所があるって、とてもありがたいです。誰にだって、帰る場所が必要なんですよね。というわけで秋元さん、今日からさっそく、お世話になります!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんか内容ムチャクチャだな!?思ってた『紙芝居』と全然違うー!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「みんなが想像してるような昔話の紙芝居は『教育紙芝居』。俺の『街頭紙芝居』とはまた別物やねん」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ちなみに! 街頭紙芝居は、もともと戦後の仕事が無い時代に失業者が駄菓子を売って稼ぐために生まれた文化やねん。今『はじまりはじまり〜』って鳴らす拍子木は、大きな音でお客さんを引き止めて駄菓子を買ってもらうための演出やったんやで」 Image may be NSFW. Clik here to view.「えええ〜そうだったの!? たしかに、紙芝居って鳴り物が多くて賑やかだよねぇ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だいたい客寄せのためやね。中には、エロ・グロとかの紙芝居もあったんよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「エロい紙芝居〜〜!?!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「キャッキャッ!!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「そんなこんなで戦後の娯楽のない時代、街頭紙芝居はすごいブームを迎えたんやけど、そんな大ブームを見て生まれたのが『教育紙芝居』。こっちは一転して、宗教・教育・思想啓発などの真面目な目的のために作られました。
そして、俺が思うに……街頭紙芝居は教育紙芝居に嫌われております」 Image may be NSFW. Clik here to view.「え、そんな派閥みたいなのもあるんだ!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「お互いタイプが全然違うからね。教育紙芝居は基本的に"演じ手は裏方"ってルールがあるけど、こっちはその逆やから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんか、歌舞伎とかの『古典を守りたい派』と『新作やりたい派』の争いみたいだね……。
ガンチャンは、昔話とかのスタンダードなのは演らないの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ももたろうやったらあるで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんだ、普通の紙芝居もするんだ!」
ガンちゃん作、普通じゃない紙芝居の数々
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい、これが俺のももたろうです!」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「……待って。ちっちゃい字で"もてへんからもんくばっかりいう太郎"って……」 Image may be NSFW. Clik here to view.「はい、これが『モテへんから文句ばっかり言う太郎』です」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ブサイク〜〜〜!!!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「基本的に俺の紙芝居は、一筋縄ではいかない内容を心がけてるねん。例えばこれ、俺のオリジナル紙芝居『ドキドキトキメキストーリー』の一部やねんけど……」 Image may be NSFW. Clik here to view.「タイトル、ベタにも程があるね」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「序盤はその名の通り、ロマンスが生まれそうでありながら……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「中盤では子供が見る紙芝居らしく、食育の話に……と思いきや」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ヒロインが急成長し」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「最終的に暴れ牛と戦うって流れになるんやけど……」 Image may be NSFW. Clik here to view.「メチャクチャだな!!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「メチャクチャな笑いや驚きを入れ込んで、エンターテイメントとして成立するようにしてるんよ。良い意味で期待を裏切る展開で、お客さんの目を離さへんように」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ふざけてるように見えるけど、意外とアツい思いで作ってるんだね」 Image may be NSFW. Clik here to view.「うん。で、これはその思いが頂点に至った時に作った『オゲレツ大●科』っていう紙芝居なんやけど」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「マッサージ器持ってるがな!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「お察しのとおり、これはさすがにボツにしました」
iPadを使った紙芝居!? 新世代紙芝居の自由すぎる表現方法
Image may be NSFW. Clik here to view.「ガンチャンみたいな街頭紙芝居師って、全国にどのくらいいるの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「具体的な数はわからんけど、今どんどん増えつつあるよ。5年前からは全国大会が開催されてるし、大会の盛り上がりもだんだん増してってると思う」
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▲静岡県の商店街で毎年行われる『ニッポン全国街頭紙芝居大会 in ぬまづ』の様子
Image may be NSFW. Clik here to view.「作風は、泣けるやつから笑えるやつまで、紙芝居師によって様々。表現方法も色んなのがあって、生演奏があるやつ、一家全員で紙芝居するやつ……どんどん発展を遂げてる。中でもiPad紙芝居っていうやつは、文化庁メディア芸術祭で賞を獲ったこともあります」 Image may be NSFW. Clik here to view.「えーっ、普通にすごい! 紙芝居でiPad使うんだ!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「で、全国の紙芝居師たちの中で俺が今一番すごいと思ってるのは、マーガレット一家のたっちゃん」 Image may be NSFW. Clik here to view.「誰?」
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▲マーガレット一家のたっちゃん
Image may be NSFW. Clik here to view.「愛知にある『マーガレット一家』っていうグループの一人やねんけど、現在全国大会を3連覇中! 演劇出身で表現力、動き、言葉の選び方が半端ないねん。この人のを見て、自分の紙芝居が変わったもん」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ははぁ、そういう紙芝居界の権威みたいな人もいるんだな」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ピカさんの顔面紙芝居もすごい。見た目のインパクトが強いし、セットも世界観もかなり凝ってる」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「これは初めて見るタイプ!! 面白そう〜!!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「あとは、兵庫県のキオナさん。綺麗な点描の紙芝居が特徴で、キオナさん自身も前職は戸塚ヨットスクールの先生というすごい経歴の持ち主です」 Image may be NSFW. Clik here to view.「めちゃめちゃ怖い紙芝居なのでは……」
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▲絶対マイクを使わず地声でやるというキオナさん
Image may be NSFW. Clik here to view.「1個だけ子供に向かって『命吸い取るぞ〜!』って言う部分があって、俺には冗談に聞こえてへん」 Image may be NSFW. Clik here to view.「その場で気絶する自信があるわ」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「今そうして紙芝居ブームに火がついてるのは、結局のところ何がきっかけなの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「そうやなぁ。俺は、デジタルの限界がきてるんやと思う」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょっと解る気がする! 最近『VR』とか『ポケモンGo』とか、デジタルでもリアルな要素が入ってるものがどんどん増えてるもんね」 Image may be NSFW. Clik here to view.「せやねん、デジタルがどんだけ発達しても生身の体験には敵わへんやん。紙芝居には『お客さんと間近でコミュニケーションを取れる』っていうリアルな強みがあるから、デジタル社会に飽きてきた人にうまく響いたのかもしれへんな」
紙芝居師の月収っていくらなの?
Image may be NSFW. Clik here to view.「紙芝居師ってけっこう忙しいの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、まちまちやなぁ……。一応、7月のスケジュールはこんな感じ」
・7/1 フレンドマート ビバモール店で口演(大阪)
・7/2 三島楽寿園子ども七夕祭りで口演(静岡)
・7/3 『第五回ニッポン全国街頭紙芝居大会 INぬまづ』に出場(静岡)
・7/7 フレンドマート宇治菟道店で口演(京都)
・7/10 イベント『あたしnight』で口演(東京)
・7/13 取材打ち合わせ
・7/15 産経新聞取材・アルプラザ枚方店で口演(大阪)
・7/17 豊後高田 昭和の町で口演(大分)
・7/22 大阪日日新聞取材、紙芝居制作
・7/24 豊後高田 昭和の町で口演(大分)
・7/25 ブロマイド撮影
・7/26 紙芝居制作
・7/27 紙芝居制作
・7/27 王子神社 夏祭りで口演(大阪)
・7/28 王子神社 夏祭りで口演(大阪)
・7/29 紙芝居制作、イベント打ち合わせ
・7/31 豊後高田 昭和の町で口演(大分)
Image may be NSFW. Clik here to view.「おおー! 全国飛び回ってるんだ! でもやっぱり、普通の人よりお休み多いね」 Image may be NSFW. Clik here to view.「まぁ、休みの日もやることは色々あるねん。パソコンで営業資料作ったり、景品買いに行ったり、紙芝居はもちろん作らなあかんし」 Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあズバッと聞くけど、紙芝居師の月収はおいくら?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「う〜ん……月収は、多い月は40万いくかな。1〜2月はイベント閑散期やから、10万くらいの時もあるけど」 Image may be NSFW. Clik here to view.「うわ、そんなにムラがあるんだ〜〜!? 10万で生活できるの!?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「固定費でほとんど飛んでいくから、家賃待ってもらったりしてる」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ガンチャンって36歳だよね……」 Image may be NSFW. Clik here to view.「飲み代もないから、友達とご飯行く時は『俺まとめて払うわ』って言ってクレカで払うねん……」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「こんど奢るわ……。 じゃあ月収が40万いくのはいつ頃なの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「時期問わず、オリジナル紙芝居の制作とかの仕事が入ったら結構儲かるかな。最近はブライダル紙芝居とかもやってる」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ブライダルで紙芝居〜!?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「新郎新婦の馴れ初めを紙芝居にして、結婚式で口演してプレゼントするねん。俺、会社と契約してプログラムとして結婚式のパンフに載ってるで!」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「ガンチャン、結婚式のオプションになってるじゃん!!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「でもまぁ、紙芝居師は基本的に儲からへん職業やと思うわ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ガンチャンは、どうして紙芝居師になろうと思ったの?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ハローワークで見てん」 Image may be NSFW. Clik here to view.「ハローワーク〜〜〜!?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「7年前、会社を辞めてハローワークで職探ししてた時に、たまたま『紙芝居師』っていう職種を見つけて応募してん。一座に入って紙芝居の面白さにすっかり取り付かれて、すぐ独立して今に至ります」
Image may be NSFW. Clik here to view.
Image may be NSFW. Clik here to view.「ハローワークに『紙芝居師』って、かなり怪しいと思うんだけど!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「俺も最初疑ったけど、応募してよかったよ。昔は脚本家になりたかったんやけど、脚本家になるにはひたすら作品を作ってコンクールに出し結果を待ち……って、結構まどろっこしいんよね。その点紙芝居は作ったらすぐ人に届けられて、すぐ反応が帰ってくる。天職や! と思ったよ」 Image may be NSFW. Clik here to view.「天職か〜。ガンチャンの紙芝居って本人がすごく楽しんでるというか、好きなものをそのまま作品にしてる感じがするよね。これとかさぁ……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「長さんの顔で『ウォッス』って完全に子供に通じないよね!?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「いわゆる『子供向け』作品って、作る側である大人の自己満足やと思うんよね。『こういうのが良いんでしょ』みたいな、置きにいってる笑いというか。俺は、『子供向け』で子供がウケてるとこを見たことがなくて」 Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほどなぁ。まぁ、普通の桃太郎で子供は爆笑しないもんね」 Image may be NSFW. Clik here to view.「自分で本気で面白いと思えることをぶつけないと、結局子供達には響かへん。それに、大人も面白がれるネタの方が、その場の全員の雰囲気良くなるやん?」 Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、ガンチャンの紙芝居って大人を置いてきぼりにしない!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「見てくれるからには、全員に楽しんで驚いてってほしいし、大人も笑える"攻めたアイデア"で勝負するようにしてるよ」
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▲ドリフネタ満載の『妖●ウォッス』にウケる大人たち
Image may be NSFW. Clik here to view.「"攻めたアイデア"って、『人に楽しんでもらうため、スベることも厭わず自分を裸にさらけ出す』こと……すなわち愛やと思うねん! 俺はその愛で、『紙芝居=むかしむかし』の既成概念を超えたい!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「うわー! ガンちゃん、愛の化身や〜〜!」 Image may be NSFW. Clik here to view.「そうです、俺は愛の化身です」 Image may be NSFW. Clik here to view.「いま形骸化しつつある日本文化って多いと思ってるんだけど、その考え方はまさにみんなの鏡だと思うよ! ガンチャンは、これからも紙芝居師を続けるの?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一生やるよ」 Image may be NSFW. Clik here to view.「即答!」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「夢は、バカバカしいし胡散臭い、けどめっちゃ面白い紙芝居をやる80歳くらいのお爺さんになって死ぬこと。そのためには、紙芝居界の生き残りをかけて今頑張らないと!」
Image may be NSFW. Clik here to view.東北食べる通信を立ち上げた偉い人。元岩手県議員。旅人のように全国各地を巡って、その土地の老若男女の声を聞き続けている。
Image may be NSFW. Clik here to view.フリーライター。1児の父。東京生まれ東京育ち。多摩地域に居を構えて、都心と地方のバランスについて日々考えている。
Image may be NSFW. Clik here to view.ジモコロ編集長。上京して約7年。東京に出てきたおかげで何とか頑張れているが、都会の生活にやや疲れがち。地方の魅力に気づいてきた。
走り続けることをやめられない社会
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Image may be NSFW. Clik here to view.「今日はよろしくお願いします。まずは、単刀直入に聞かせてください。『消耗のバケモノ』っているんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん。むずかしいんですけど、強いて言うなら……」
自分のなかにいます。
Image may be NSFW. Clik here to view.「自分のなかにいる」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。バケモノを探してどこにも見当たらないっていうか。結局、自分自身が求めてきた豊かさが逆説的だけど自分を苦しめているという、現代人のジレンマですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「豊かになろうとしてきたことが、裏目に出ている?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。資本主義社会というのは、走り続けることをやめたら途端に倒れる仕組みになっています。だから、求め続け、走り続けなくちゃいけない。でも、求めたら奪わなくちゃいけないし、今を犠牲にして生きなければいけない。家族と過ごす時間、好きなことに費やす時間、健康を維持するための時間とかも犠牲にして」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに都会生活って、めっちゃ疲れますよね。満員電車も異常だし。いろんな人に出会える利点は確実にあるとは思うんですけど……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すべてが過剰でついていけないところがありますよね。それでもみんな頑張ってるんだけど、そもそもが何かを犠牲にしないと成り立たない社会の仕組みになっているから、どうしてもしんどいという」
Image may be NSFW. Clik here to view.「お二人ともなかなか消耗してますね(笑)。人類が生まれてから、拡大成長っていうのは基本的な考え方として常にありました。広げていけばいいんだ、増やしていけばいいんだということで僕らはずっとやってきたわけです。でも広げていく生き方っていうのは、必ず何かを犠牲にしないといけない。自然環境もそう。自分の体もそう。本当にそれでいいのかってことなんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あれ?って思った人たちは、きっとそれを無意識的か意識的かは分からないけど感じていて、虚無感を抱いたりするのかもしれません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「現代人が陥る『消耗』の一因にはなっているでしょうね。僕は、都会生活者の仕事における虚無感の背景は、いくつかの型に分けられると思っています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「思い当たる節、あります?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「……ありますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「これって、どれも食べていくことが精一杯の発展途上国ではありえない悩みです。豊かな社会を実現したがゆえの成人病みたいなものです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。今はそうやって消耗しきった人たちが、揺り戻しのように、地方移住とか自然回帰という流れに向かっているように思います。多分、高橋さんの本で言うところの『ふるさと難民』の人に多いのかもしれないのですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。僕は人間のふるさとって、命を育む『土』と『海』のことだと思うんです。だから『土』と『海』から離れてしまった生活をしている人のことを、僕は『ふるさと難民』と言っています。田舎のあるなしは関係ないんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「これって都会の人に特に多いとは思うんですが、地方都市に暮らしていても働き方、暮らし方次第ではそうなるというか、都会に限った話ではないですよね?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。地方にも『ふるさと難民』はいます。自然から離れすぎてしまった人はみんなそうでしょうね。でも、そこで考えてみてほしいのですが、人間って自然の一部じゃないですか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「人間は自然の一部」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。私たちは本来的に自然の一部で、それ以上でもそれ以下でもないですよね。何千年もそうやって生きてきて、近代化で自然と離れたのはここ数十年の話。だから自然のなかにいて、自然に寄り添って生きるのが、一番自然な形なんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、単純に自然のなかにいるだけで気持ちいい〜って思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「音楽フェスに人が集まるのも自然が気持ちいいからですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですよね。でも、そうやって気持ちいいと感じさせてくれたり、恵も与えてくれる一方で、人の命を奪うような災害も起こす。それが自然です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「日本は特にそういう厳しい自然とともに生きてきた土地柄でもありますよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。でも、現代社会はどうにかして自然をコントロールしようとしてきました。自然を排除して、コントロールして、思い通りにならないのはいやって感じで。でも、それって無理なんですよ。そこにひずみが生まれてる」
Image may be NSFW. Clik here to view.「人間が自然をどうにかできると思ってはいけないけど、都会にいるとそれを忘れてしまう、考えさせないようにしてしまうところがあるような気がします」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いろいろ考えちゃうな〜!」
都会の方が一見「自由」に見える罠
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ただ僕は都会をすべて否定しているわけじゃありません。利便性を追求してきた都会は、買い物や飲食をしようと思えばありとあらゆる店がそろい、時間帯も気にせずに欲求を満たすことができる。医療も充実しているから、いざというときの安心感もある。これらは今なお、人が都会に魅了される理由のひとつにもなっているでしょう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かにクルマが生活必需品にならざるを得ない田舎暮らしとは違った、ある種の快適さはありますよね。人も多いからそれだけチャンスの多い場所でもあると思いますし」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。ただ、都会はそういった便利さを得た一方で、自由を無くしてしまった。自由っていうのは本来、自分の力で生きることです。でも、都市の消費社会は生きる根っこを誰かに押さえられている状態。みんな自分で食べ物をつくることなく、顔の見えない誰かがつくった食べ物を食べている。だから、いざというときに自分の力ではどうにもできなくなってしまったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それでいうと、5年前の震災をすぐに思い出しますよね。物流が止まって、街から食べ物が消えたときは、みんなものすごく不安そうだった。都市の仕組みがいかに脆くてヤバいかっていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「生活のなかに生きる根っこを持たないということは、極端な話、何かあったら死ぬということです。でも、田舎はまだ根っこの一部を自分たちの手から離していません。その点では僕は田舎のほうが自由で、安心感があると思うんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「難しいことはよくわかんないですが、目の前にある都会的な生活を否定して、それ以外を考えることって大変ですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実際、根っこを持たないことに『不安』を感じるような人はみんな地方に向かっていますし、それに気付くかどうかは大きいんだと思います。なにより都会の暮らしではお金で物質的な穴埋めをするしかなくて、その結果『消耗』を招いているような気もしていて」
Image may be NSFW. Clik here to view.「しかも、その物質も満たされ尽くしました。今はほとんど余白がないのに、企業はなくてもいいものに無理やり価値をつけてモノを売ろうとしています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに『こんなのいる?』っていうものでも売らなければいけないっていうか。ひどい話、売ってる方も『いらなくね?』って思いながら売ってる可能性ありますよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「基本的に消費社会っていうのは、広告とデザインの力で耐用年数が残ってるものを捨てさせるんです。それを突き詰めていった結果、余白がなくなって、こんな飽食の時代なのに『食えない』なんて話にもなるのです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「消費社会にがんじがらめにされている……? 実際、消費社会の外側に出ようとしているような食べ物や商品を選ぼうとすると、都会はものすごくコストがかかる。一方で大手コンビニの食料品はクオリティが上がる一方で、値段も安い。消費者がついそれを選択してしまうのもわかる気がしています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実際、セブンイレブンの惣菜はめっちゃ美味い」
Image may be NSFW. Clik here to view.「見方によっては物質的な豊かさが極まって、次のステージになっていると言ってもいいのかもしれません。でも、そうなるとやはり新しい病にもかかるわけで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「新しい病。それは昔と今では『消耗』の形も違うということですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。たとえば高度経済成長の時代は、今を犠牲にしてでも物質的に満たされていくことで、便利になったし、それで豊かさを感じられた。未来があったんですよね。でも、今はそうじゃない」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今の社会って日本人にとって未体験ゾーンの領域に突入しすぎているというか、それに対して適応障害を起こしてるような状況なんでしょうね。今こそ『自分はどう生きるか』ということを考えなくちゃいけない……」
Image may be NSFW. Clik here to view.>「太陽浴びるとか、風を感じるとか、土に触れるとか。異常にハードル高く感じちゃいますよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。僕はまず、極端に離れてしまった『自然』と接続し直すことが大切だと思っています。人間が土と海から離れたのって、長い歴史から見たらそう昔の話じゃないですから、もう一度、やればいいんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「極端かもしれないけど、都会のマンションのベランダにプランターを置いて野菜育ててみるだけでも違う気がしますよね。家で発酵食品を仕込むのも『自然』と接続することだと思っているし、僕はそんなんでだいぶ都会でもリラックスした生き方できるようになったので」
Image may be NSFW. Clik here to view.「根岸さん、発酵おじさん化して表情変わりましたからね。あるんでしょう。自然との接続という点では、都会と地方の一次産業の現場をつなぐ『食べる通信』がまさに取り組んでいることですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。僕は都会にも地方にも暮らして、どちらの良いところも具合の悪いところも見てきました。だから今こそ双方のいいとこ取りをしたい。それは『食』を通じて『都市と地方をかきまぜる』ことで実現すると思っています」
「否定」の世代と「希望」の世代
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Image may be NSFW. Clik here to view.「僕は現代の『消耗』が適応障害のようなものだとするなら、自然と接点を持つと同時に、自分の生き方を見つめ直すというか、それなりに重めのマインドセットが個人レベルで必要になってくるなあと思うんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。僕も同じだったんですが、今の30〜40代くらいの人たちっていうのは、一回自分の生き方を否定しないといけない世代だと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「自分よりも上の世代から刷り込まれてきた部分がすごく大きいっていうか……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはありますね。物質的な豊かさを求める社会の価値観にまみれているから、そこにひずみが生じている今の時代に消耗するんでしょう。価値変化の境目で揺れる世代です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあ、見方を変えて、今の10代20代の若い世代はどうでしょうか?」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「僕は議員時代から『車座座談会』という取り組みをやって、多世代の声を聞き続けてきましたが、若い世代は旧来の価値観に凝り固まってないし、世の中を見る目も冷静だなあと。だから、希望なんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「若者たちは希望」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。若者たちのなかには、地球環境のことを考え、今の消費社会に疑問を抱いて、素直に自分のできることから行動している人もいます。そうした人が今の成熟した社会から生まれているというのが微かな希望なんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、現代の大量消費社会をどうするか、ということを考えたら、地球大統領みたいな人がいないと無理なんじゃないかという気がしてきます。小さくても一人ひとりができることをやっていくって大事ですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕はそのときに一人ひとりが北風じゃなくて、太陽になるといいと思っています。何かを『すべき』と声をあげても世の中は変わらない。だから自分が輝く。その連鎖を広げていく。実際、今の大量消費社会の外に出ようとする生き方の方が、圧倒的に楽しいんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えー、そんなわけで我々、株式会社ホワイトハウスとしては、不動産仲介手数料が完全無料でサービスを展開しておりまして。ぜひ地元に根づいた活動をしているジモコロさんでPR記事を書いていただけないかと……」
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「嫌です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えっ!嫌とかあるんですか!? 仲介手数料が完全に無料の不動産仲介はニーズも絶対にあるはずですが……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕、不動産仲介業者さんって、言っちゃあなんだけど全然信用してないんですよ。過去にオトリ物件に騙された事もあるし……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに、業界全体として問題を抱えてる部分はもちろんあると思うんですね。でも我々はそういう不動産仲介のグレーな部分を払拭して業界を変えて行きたいと思ってまして……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だって、仲介手数料が完全無料って、逆にうさんくさいですよ。どうやって利益あげるんですか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「正直に言うと、まだ利益の目処は立ってません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「立ってないのかよ。それが余計に怖いんですって!タダほど高いものはないって言うし!」
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「そこをなんとか……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えーー。仲介業者のせいで嫌な思いをした人はかなり多そうだしな……。ヘタに宣伝したくない……。手数料ゼロで、今後はどういう見込みを考えてらっしゃるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「例えば、引っ越しの時ってインターネット回線を見直したりしますよね? あれを電気屋さんで申し込みすると、ネット回線業者さんから電気屋さんにインセンティブが支払われるんですよ。だから、引っ越しの時にネット回線も同時に我々に申し込んで頂くことでインセンティブで利益を得るとか。保険の免許も持ってますので保険の見直しとかも並行してやることで利益は得られるかな、と思っております」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもそれだと、引っ越す人に『ネット回線入ってくれなきゃ仲介しません』とか『保険見直せ!』ってしつこく迫ったりしてトラブルになったりしないかなぁ、っていう。ご時世柄ヤバいですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それは絶対にしない事をお約束させていただきます!あくまで引っ越しの際に『ご一緒にどうですか?』っていう、通り一遍のご案内をするくらいのつもりです。あとは、広告付き物件というのが最近はあるんですね。『この物件が成約に至ったら、家賃の半月分を仲介業者に支払いますよ』と。その辺りの仕組みを活用して利益を確保したいと考えております。我々みたいな小さな会社は、大手ができないことで勝機を見出すしかないんです」
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「ですので何卒よろしくお願いします……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「oh……!一回メールでも断ってるのになんというしつこさ……!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「正直言って、我々としても実験的な試みなんですよ。会社として他の事業もしていまして、そちらで利益は出ているのでとりあえずのところは赤字でも大丈夫です。お客様が増えて、契約数が増えてくれば1件あたりのコストも減らせると思いますし。まず知ってもらうことが一番なんです」
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「わかりました。やりましょう!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ありがとうございます!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ただし、とりあえず読者の人に約束するのは無料期間は最低半年、つまりは2017年の3月いっぱいまでっていう事にして、そこから先は『利益がうまく出なかったら手数料をいくらか取るかも』くらいに最初から言っておきましょう。そのほうが誠実だと思うので」
Image may be NSFW. Clik here to view.「わかりました!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「前フリが異常に長くなった。なんなんだこの企画」
Image may be NSFW. Clik here to view.「最初から皆さんが朗読する予定ではなかったんですね!具体的にはいつ頃、どなたが企画を思いついたんでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「昨年春、『おとなの時間』企画当初からです。企画は担当の堀です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今回は飛騨市長さんも参加していらっしゃいましたが、市長公認イベントだったのでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「企画書は市長までは回覧していませんでしたが、Facebookでイベントページをつくったところ、いち早く『参加する』を押してくださいました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すごい!そういえば会場でも80歳ぐらいのおじいさんが『フェイスブックで見て知った』とおっしゃっていました」
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座席に配られた手作りのマスクも官能ムードを盛り上げたゾ!
Image may be NSFW. Clik here to view.「今回朗読された著書はいわゆる『官能小説』ではありませんでした。タイトルは色々と悩まれた末のタイトルだったのでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いえ。タイトルは『官能小説朗読ライブ』でなければだめだと思っていました。『朗読会』でもだめなんです。『ライブ』なんです。実際に行なったことは『小説の朗読』なので、図書館では王道のイベントだと思います。だからこそ、タイトルやコンセプトを良い意味で『図書館っぽく』なくすることで、イベントとして関心を集めたいと思いました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。そういう意味では今回のイベントは、ネットを中心にかなり話題になりましたね。率直なご感想はどうでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「思っていたより大きな話題となり、読み手としては相当怖気づきました。でも誇らしいです。地方の普通の図書館でも話題を作ることができるんだ!という気持ちです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今回の3作品を選ぶときは悩みましたか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「悩みました。話題性を生むことだけに満足しないで、自分たちが本当に良いと思う作品を読みたかったので。読み手がそれぞれ自分の読む作品を選びました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕だったら舞い上がって話題性追及しちゃう...!」
(2)「おとなの時間」について
Image may be NSFW. Clik here to view.「この『おとなの時間』ですが、いつからはじめた企画なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「昨年6月からです。ネーミングは私のアイデアでした。」
Image may be NSFW. Clik here to view.「始めたきっかけは何でしょうか。」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もともと『こどものじかん』という事業があり(親子で気兼ねなく読書を楽しんでもらうため、時間を限定して館内にBGMを流す)、それなら大人の時間もあってもいいのでは、ということではじめました。」
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おとなの時間以外にも色んなイベントが用意されている
Image may be NSFW. Clik here to view.「『おとなの時間』で今までに取り組まれた催しはどのようなものでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『JAZZ NIGHT@飛騨市図書館』では地元のミュージシャンによるジャズのライブ演奏をしたり、『art gallary BOOK LOVERS IN THE ARTS』として大型の画集を開いて展示したり、図書館全体をアートギャラリーにする企画を行いました。あとは、モンブラン→山岳の本、フィナンシェ→その語源からお金の本、などスイーツメニューにちなんだ本の紹介もしました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すごい!精力的に企画を実施されているのですが、どういう流れで企画され、承認されるんでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「司書同士や町の人との会話の中で思いつくことが多いです。担当者を決め、担当者が内容を詰めて企画書を作り、教育委員会で決裁が下りたら開催します」
Image may be NSFW. Clik here to view.「恥かしながら図書館がこんなに色々イベントやってるなんて知らなかったですよ」
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図書館だって来館者をただジッと待っているだけではないのだ
Image may be NSFW. Clik here to view.「ところで『おとなの時間』の説明には『20代~40代の若者利用者をターゲットに』とありましたが、この年代をターゲットにしたのは何故でしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「図書館の利用統計を見るとその世代の利用が少ないです。でも本当は、本などの文化・知識や人との新しい出会いを一番求めている世代でもあると思います。図書館こそ、その『出会い』のある場所でなければと思い、その世代をターゲットにしました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「図書館の中に『社会人専用席』というスペースを見てこういうの初めて見たのでイイなって思いましました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『社会人専用席』は、テスト期間になると学生で席が埋まってしまうので設けた席です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「特に夏休みなんて図書館が学生さんで埋まっているからありがたいですね。僕の場合は図書館ってどうも学生さんのモノってイメージがあるんで、歓迎されていると分かるだけで足が向くと思います」
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あの話題の本だって図書館にはある!
Image may be NSFW. Clik here to view.「そんな『おとなの時間』ですがここまで回を重ねるまでに、運営などで苦労されたことはありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「図書館としての通常業務を行いながら企画や準備をしなければならないので、忙しいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「通常業務の中で別の仕事もやろうとすると大変ですよね。職員の方はそんなに多くないように見えました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「当館では9時から20時の開館時間を毎日6~7人で回しています。でも、楽しいという気持ちの方がずっと大きいです!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「楽しいっていうのは一番の原動力ですね。僕も楽しくなければ片道3時間も運転しなかったと思う...」
(3)今後について
Image may be NSFW. Clik here to view.「これからやってみたい企画はありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「野草や地元伝統工芸の『山中和紙(さんちゅうわし)』、この地域の地酒、また『飛騨の匠の技』と呼ばれる建築技術など、飛騨市のものをフィーチャリングした企画を考えていきたいです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「よその図書館関係者も来ておられました。普段から図書館同士で交流したり情報交換がされているんでしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今回は図書館情報に敏感な方にお越しいただきました。情報交換というより図書館がそれぞれ情報発信し、アンテナの高い図書館関係者がそれを拾っている、という印象です。形式的な集会は定期的にありますが、もう少しゆるくて濃い図書館同士のつながりができれば、図書館界はもっとおもしろくなるんじゃないかと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、近くの図書館がこういうイベントを定期的にやってくれたら嬉しいですもんね。逆にやっているのに発信されていなかったり、僕らが気付いていないだけだったら勿体無いなぁ」
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もっと近くの図書館に行ってみよう、人知れず何かヤバいことやってるかもしれないゾ!
Image may be NSFW. Clik here to view.「色々教えて頂きありがとうございました。最後になりますが、せっかくなんで次の企画の告知をお願いします!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。10月22日(土)のおとなの時間で『魔女の集い』を行います。飛騨河合に住む魔女が野草を使った魔術を伝授。今月は珈琲の代わりに野草茶を振舞います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんだそのヤバそうなイベンツは! また片道3時間掛けて行かねばーーーー!!!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今日は遠いところまでお疲れさまでした。それではこれから皆さんに僕の印刷講義を受けてもらおうと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ありがとうございます。先生、お手柔らかにお願いします!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあいきなりだけど僕から質問。『印刷』って、何でしょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えっ……いきなり逆質問!? 印刷の『印』は印象の『印』だから……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うんうん。『印』のつく言葉にはほかに何がありますか?」
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「印鑑の『印』ですかね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そう! 印鑑も印刷のひとつ。つまり、印刷というのは、同じものを大量につくることなんです。さすがデザイナー、筋がいいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いきなりスマートな回答しないでくれる?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「フォローしてって言ってたくせに」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあ、印刷の原点でもある印鑑の起源はどこにあるか。答えは中国です。紀元前の話ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えー紀元前! でも、印鑑を押すとなると紙が必要ですよね。その時代って紙はあったんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いや、そのときはまだ木とか動物の皮を紙の代わりに使っていました。その後、中国の蔡倫(さいりん)という人が実用的な製紙法を確立して、そこからシルクロードを通ってヨーロッパに流れていったのが洋紙に、朝鮮半島を経由して日本に流れてきたのが和紙になったんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へー勉強になるなあ。日本に入ってきたのはいつ頃なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「聖徳太子の時代だから、7世紀頃ですね。そこから改良をしながら、湿度の高い風土にあった丈夫な紙をつくっていく。これが和紙の原点です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。外国から入ってきたものを、自国流にブラッシュアップしていくのは日本人の十八番って感じがしますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「和紙文化が発展するきっかけをつくったのは、聖徳太子の功績のひとつといってもいいでしょうね。日本に大昔の古文書が結構残っているのは、丈夫な和紙があったからだとも考えられます」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「でも和紙って今は高級な紙というイメージで、一般的に使うものじゃないですよね。なんで使われなくちゃったんでしょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「明治時代に洋紙が入ってきて、手仕事でつくる和紙は生産効率が悪いということで、どんどん衰退してしまったのがひとつの理由ですね。機械化の波にのまれたと言ってもいいでしょう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そういえば、ドイツから印刷技術が入ってきたのもその頃ですよね。日本の印刷は明治時代が大きな転換点だったと言ってもいいと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「中屋くんの詳しさすごいな。じゃあそれ以前の印刷ってどういう感じでやってたんですかね。日本ならではの方法ってなかったんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「江戸時代までは基本的にはほとんどが模写です。印刷的といえば、凸版印刷のやり方そのままでつくる『浮世絵』がありますが、あれは枚数が少ないのでどちらかといえば作品の部類に入るでしょうね。印刷というのは、同じものを大量につくることですから」
「要素」の掛け合わせで無限に広がる「印刷」の奥深さ
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Image may be NSFW. Clik here to view.「では次の質問に移りましょう。印刷には5大要素があるんですが、なんでしょう? これがないと印刷はできません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、5大要素? うーんと……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「インク、紙、マシン、元原稿……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょ…待って! わかった! お金! お金です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あっはっは。まあそれも大事だけど、最後のひとつは『版』ですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「………」
Image may be NSFW. Clik here to view.「印刷は『版』をつくってそこにインクをつけて、紙などに転写するんですよ。だからどういう『版』にするかで、仕上がりも全然違ってきます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一言に印刷とは言ってもいろいろあるんですねえ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。印刷はこれらの技術を先の要素とどう組み合わせるかなんですよね。無限の組み合わせがあると言ってもいいでしょう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに。紙ひとつとっても、ものすごい種類ありますもんね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。ファンシー系とかマット系とか、とにかく膨大な種類があります。しかも印刷する素材が布だったり、フィルムだったり、ガラスだったりということもあるんです。インクだって既存の色にないものは『特色』という形で特別に調合するんですよ」
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膨大な紙の見本帳。これ以外にもめちゃくちゃたくさんある
Image may be NSFW. Clik here to view.「すごいなあ。じゃあ、印刷のプロはそういう組み合わせの引き出しをたくさん持っていないといけないわけですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。だから、奥深いですよ。でもこうした引き出しを持っていた方がいいのは、デザイナーや作家も同じなんですよね。印刷のことをある程度知っておかないと、本当に作りたいものって作れないですから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「わかります。僕も学生時代に印刷のことを勉強しといてよかったと思ってます。でもそのときに学んだことって、現場に出てはじめて血肉になっていったんですよね。やっぱり実践で得られる学びは大きかったなと」
Image may be NSFW. Clik here to view.「具体的には印刷所とのやり取りとかそういうときに活かせるものなのかな?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはありますね。特に印刷物の仕事ってデザイナー1人ではできないじゃないですか。印刷会社にどれだけいいバトンタッチができるか。そのための知識を持っておくって大事なんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。紙のデザインをするなら、印刷の知識は必要ですね。ちゃんとした知識を持っていれば、予算をかけなくてもすばらしいものをつくることができますから」
最後に頼りになるのは「人間の目」と「感性」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「次は色の話をしましょう。RGBって知っていますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「昔、ゲーム機にRGBケーブルっていうのがあったような」
Image may be NSFW. Clik here to view.「RGBというのは『光の三原色』ですね。R=レッド、G=グリーン、B=ブルーバイオレットのこと。普段、私たちが見ている世界の色です。テレビやパソコンのモニターもRGBで表現されています。でも、印刷の世界は違います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、違う?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「印刷は『光の三原色』と仕組みが違うので、RGBを『色分解』してCMYKにする必要がありますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「色分解!? ちょっと頭の処理能力が追いつかなくなる可能性あるけど、落ち着いて、ゆっくりいこう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「………(スラムダンクの仙道みたいなこと言いだしたな)」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあわかりやすいところで、たとえば次の写真。見比べてどう思いますか?」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「左のお刺身の方が色鮮やかでおいしそうです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「左は対象物に合わせた『色分解』を考え抜いて印刷をしたもの。右は『ジャパンカラー』という既成のフォーマットを使って、単純に色を置き換えて印刷したものです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ほ、ほう……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『色分解』の仕方でこんなにも違いが出るんですね。RGBをCMYKに置き換えるのは、ソフトのボタンひとつでできることなんだけど、そんな単純な話じゃないっていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ええと……RGBはわかったけど、CMYKっていうのは?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「CMYKは『色の三原則』のこと。C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラックを意味していて、別名『プロセスカラー』と言われています」
※プロセスカラーとは?
プロセスカラーとは、印刷物において、基本となる4色のインキの組み合わせによって色を表現すること、またそのようにして表現された色のことである。 4色は、「CMYK」と略して表現される。プロセスカラー - Wikipedia
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ああ!『色分解』っていうのは、画面上の色RGBを印刷用の色CMYKに置き換えることなんですね。でもそれには技があると! わかってきたぞ!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「……根岸さんに笑顔が戻った」
Image may be NSFW. Clik here to view.「この色分解は印刷屋によってそれぞれのやり方があって、技術なんです。僕も『熊倉カーブ』と名付けた独自の変換スタイルを持っていて、それを使いわけながら印刷物に合わせて色を置き換えています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『色分解』は門外不出。秘伝のタレみたいなものですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その例え、わかりやすいね。食材によってそのタレにもいろいろあるわけか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「紙の印刷物っていうのは、その手触りも含めて、五感でその良さを味わうもの。だから、そういうものをつくるにはやっぱり『人間の目』と『感性』が必要なんです。これはテクノロジーが進化しても、機械やAIには絶対に真似できない仕事だと思っています」
100%の仕事ができるまで
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Image may be NSFW. Clik here to view.「いやーそれにしても、たくさんの作品集がありますね。このあたりはみんな山田写真製版さんで手がけたものなんですよね?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。ただ僕の仕事はちょっと特殊なのも多くてですね。たとえばこれとか」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ん、これは? 同じモチーフの写真が2枚並んでいますけど」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それぞれを見比べてどう思いますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「左の方が全体に黒の濃さが際立って見えます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。左の写真は右の写真の状態から墨を何度も重ねて、より深い『黒』を出そうとしたものです。現代の写真印刷の最高技術と言われる『プラチナ・プリント』に、あえて従来の技術で対抗するというもので、結果的に『プラチナ・プリント』に間違えられるくらいのものになりましたね」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「わーこれ、めちゃくちゃすごいですよ。墨を何度も乗せるなんて、やろうと思ってもできることじゃないです。たとえば、新人の作家さんの作品集制作でこの仕様を提案したら『お金がものすごいことになりますけど』って笑って却下されると思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「へえ。こういうのって、巨匠レベルじゃないとできない印刷なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「コストもかかりますので、まあそうですね。しかもこれ、実は印刷の常識じゃ考えられないことしてるんですよ。普通、インクの濃さって1〜100%まであるとして、CMYKの総量が340%以上の濃さは事故が起きるからやってはいけないとされているんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「印刷機の負荷もすごそうですよね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。でもこれ、何%だと思います?」
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「400%です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「圧倒的ラスボス感。戸愚呂弟よりすごい」
Image may be NSFW. Clik here to view.「こういう印刷は普通デザイナーがお願いしても、無茶な話なのでお断りされます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うちは高級印刷を謳っている以上、中途半端なものは作らないというポリシーがあるんですよ。お客さんに感動してもらうためにはどうすればいいかということを常に考えているので、ときには常識から外れたことでもやるんです」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「熊倉さんの仕事への情熱、すごいですね。これはやっぱり優れた作り手たちと仕事をしてきた経験から生まれたものですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。僕はありがたいことに、大先生と呼ばれるような人たちとずっと一緒に仕事をさせてもらってきました。当然ながら彼らに中途半端なものは通用しません。何かあれば徹底的に追及されます。それに応えないといけないという仕事をしてきたから、自分自身に妥協がないんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「自分自身に妥協がない……沁みる言葉です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それに、巨匠たちと仕事をして『本当にいいもの』を知ることができたのもよかったですね。料理もそうだけど、おいしいものを食べないと味の違いってわからないじゃないですか。印刷も一緒なんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かにおいしいものを知ると後戻りできない感じありますよね。カウンターで食べる寿司知ったら、中途半端な回転寿司に満足できなくなるのと同じで」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そういうものですよね。でも、僕は今でも100%納得した仕事ってできてないんですよ。みんなはすばらしいと言ってくれても、自分のなかで満足していない部分がひとつやふたつ必ずあるんです。だから、心の底から『100%の仕事ができた』ときが、僕がこの仕事を引退するときですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「仕事への向き合い方も含めて、とても勉強になりました。今日はありがとうございました!」
世界初・マグロの完全養殖成功で狼煙を上げてからはや16年。 日本で初めてネット出願100%へと舵を切ったり、度重なる広告賞の受賞、 Tokyo graffity編集部による大学案内の制作、銀座と梅田でのマグロ居酒屋の営業、 「ド派手入学式」でのつんく♂さんの衝撃のスピーチなどなど、毎年何かと話題が尽きない近畿大学さんですが……
Image may be NSFW. Clik here to view.「日下さんは近畿大学をバズらせましたが、これは大学から直々に依頼があったんですか? 『電通よ、ネットで話題を作るのだ』と」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いや、違うんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ほう。自主提案でしょうか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実はこれ、大手新聞社5誌合同(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞)の新聞を盛り上げよう、というコンペに応募するために、『制作費は安くてもいいから、公開まで一切内容チェックをせずに新聞広告を作らせてくれるクライアント』を探してたんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.は?
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Image may be NSFW. Clik here to view.「あ……つまり、制作途中をクライアントに見せないで、公開できるクライアントを……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そんなクライアントいる訳ないじゃないですか!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんです。いくつかの企業さんにプレゼンをしたけどダメで……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そりゃそうですよ!不安すぎる!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でも、2年前に文の里商店街のポスターを作らせてもらった時、商店街のお店の方々にはチェックをいただかずに、出来たものをそのまま納品させてもらったんです。あれはお仕事ではなくボランティアでしたが、『絶対オモロイもんを作る』という約束の上で、完全任せてもらった。もちろんお店の方々には何度もヒアリングを重ねた上で、なのですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おおお………そうだったんですか。知らなかった。でも、そもそもなんでボランティアで制作しようと思ったのでしょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「話せば長くなってしまうのですが……僕、30歳までずっと電通を辞めたかったんです。
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょっとまって。ロシアでスパイ容疑で軟禁……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。僕、そのせいでロシアにはたぶんもう、入国出来ないんですよ」
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((長くなるので割愛しますが日下さんはロシアでスパイをしていた訳ではありませんでした ))
Image may be NSFW. Clik here to view.「(中略)……ということがあって、世界ではモノがなくて困ってるのに、日本ではなんでしょうもないモノをこんなに作って、売らなアカンねん、と。モノ作りは好きやったけど、ああ、やってられへんなあ、といつも思ってました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「…(ごくり)」
Image may be NSFW. Clik here to view.「とはいえ、まだまだ半人前。疑問は一度封印して、仕事を一生懸命やりました。そしたら、東京コピーライターズクラブ最高新人賞という賞をもらいました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すごい!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい、コピーライターのM1グランプリみたいなもんです。でかいです。『やった!これで一流クリエイターの道が開けたぞ』と思った矢先、腎臓の病気になって、2年も会社を休んでしまったんです。結局無理してたんでしょうね。体が先に根をあげた」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なんと」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そして、休んでる間に起きたのが2011年のあの震災。『あぁ、これは消費社会に警鐘を鳴らされてる。むやみやたらモノ売ってる場合ちゃう!』と封印が解けて、疑問がさらに大きくなりました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうやったんですか……(この人、タダ者やない…)」
Image may be NSFW. Clik here to view.「震災の後は、普通にCMを作ることにまったく興味が持てなくなった。そこで自分の中に出てきたのが、地方を元気にする仕事です。地方はいろんな問題を抱えている。でも、それを解決する人があまりにも少なすぎる。みんな東京に偏り過ぎ。
Image may be NSFW. Clik here to view.「結果、めちゃくちゃ話題になりましたね。海外からの観光にまでなったとか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そう。しかも納品から4年経った今でも、まだお店に貼ってくれてるんですよ。お店の方々も嬉しかったみたいで……それが僕らもめちゃくちゃ嬉しい……」
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本当に嬉しそうに笑う日下さん
Image may be NSFW. Clik here to view.「振り返ってみると、『中間チェックを入れないで全て任せてもらう』というのが、上手くいった原因でもありました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、まぁ…信頼関係があって、本当に能力があるクリエイターであれば、上手くいくのかもしれない……怖いですけど…」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もし上手くいかなかった場合、責任は全てこっちにありますからね。若手クリエイターたちの責任感もより一層強くなるんですよ。だから今回、新聞広告で勝負するときにも、その手法でやりたかったんです。そこで色んなクライアントさんにお願いしては断られる訳ですが、ようやく首を縦に振ってくれたのが、近畿大学さんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「近大、リスクを恐れなさすぎる」
Image may be NSFW. Clik here to view.「しかし、バズれば勝ち、みたいなのは良くないですよね。なんてったって大学ポスターですから。若者の人生がかかってますからね。これぶっちゃけ、内容はけっこう誇張してません? ここだけの話」
Image may be NSFW. Clik here to view.「誇張はしてないですよ! このポスターは後輩のコピーライター見市と、アートディレクターの松長が作りました。ぼくはクリエーティブディレクターとして、企画の方向を指し示したものです。確認作業こそしてませんが、制作中は近畿大学国際学部の先生方に何度もヒアリングを重ねて作らせてもらいました。ご登場いただいてるのも本当の先生方」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えっ、これ先生?!演技力高すぎるでしょ!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「この表情を引き出すまでは、結構時間がかかりました。ここまで協力してもらえる大学は近畿大学以外にはあまりないでしょうね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「国際学部は全部こちらの椅子を採用してるんです。国際学部はディスカッションをすることが何より大切なので、様々なチームを組みやすく、かつ動きやすい形になってるんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「これじゃ『端っこの席で寝てる』みたいなことが出来ない!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そもそも授業は15人制、参加型なので寝るとかは論外ですね。では、こちらの教室に入ってみましょう」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ほんとだ、誰も寝てない。ていうか、先生の英語が速くて全然聞き取れないんですが。学生さんたちもみんな英語喋ってるけど、ペラッペラですね……」
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※英語が聞き取れないので通訳してもらっています。恥ずかしい。
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょっと、これはレベル高すぎじゃないですか?1年生の5月でこのレベルって、置いてかれる子もいますよ。スパルタすぎ!登校拒否になる!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あ、約500人の学生さんたちは、英語のレベル別に12クラスに分けられているので、その心配はないんです。ここは帰国子女の子なんかも多い、レベルの高いクラスなんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「12クラス?! 細かっ!! それ、1学年500人いるから成せる技ですね……。でもそれって、自分の英語力がどんなレベルなのか、誰より上で誰より下なのか、クラス分けによって一目瞭然ってことですよね。私、前に勤めてた会社で英語の授業があったんですけど、途中でクラス落ちちゃって、めっちゃ凹んだんですよ。『Upperクラス』から『Lowerクラス』に……そのときのショックといったら……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですね。でも近大では、自分の英語力は本人にしかわからないようになっていて、クラス名だけ見てもレベルがわからないんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「じゃあ…所属クラスが下がって、落ち込むこともない?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。 でもクラスが上がることはあっても、下がることはないですよね? 毎日学んでいるわけですから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うっ……」
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英語での自己紹介を求められて「アイム、ア、ブロガー!フロム、トーキョー!」と話す私。恥ずかしい。
Image may be NSFW. Clik here to view.「そろそろ本題なんですが、これらの広告は本当に本当ですか? まずこれ、『1年次から全員海外追放。』」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「本当です! 1年生の後期には、グローバル専攻の学生さんたちには全員強制的にアメリカ留学に行ってもらいます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まじっすか。普通、海外留学って英語を話せるようになってきた2年後期とか、3年生で行くものだと……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「確かに他の大学だとそういうカリキュラムが多いですね。でも、それだと意味がないんです。1年生の前期は、まだまだ英語が苦手な子も多いので「異文化理解」とか「日本近現代史」の授業は日本語でやってるんですが、留学を経て戻ってきた頃には英語ペラペラになっているので、英語以外の授業も英語で行われます。近大の国際学部は、さっさと海外留学してもらうのが目玉なんです。」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まじっすか……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。そうすると、英語を学ぶことだけが目的にならず、英語で経済学や国際学を学んだり……という選択肢もできますからね。ちなみに、留学先で日本人同士でばかり一緒にいることのないように、できる限りランクが近い子たちは別の大学にして、留学先で同じクラスにならないようにしています。提携してるのはアメリカの27校なので、留学先のクラスではみんなバラッバラです!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「スパルタすぎる。ほんまに海外追放や」
Image may be NSFW. Clik here to view.「遊びに行くわけじゃないですしね。でも中には、カップルで近大に入学したのに、彼氏は西海岸、彼女は東海岸の大学に決まってしまい、泣いてる彼女の姿も……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ひどいっ! 時差アリの遠距離恋愛を強いるなんて……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まぁでも、遊びに行くわけじゃないですからね。ただ、やっぱり寮やホームステイの生活を不安に思う子は多いので、私たちは出来る限りのサポートをしています。毎週個別面談をしたり」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちゃんとケアされてるんですね。というか、500人の学生がホームステイ(か寮)に行くって、それ全部近大さんが手配してるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい! もちろんです。ホームステイ先は1つ1つ審査をして、審査基準をクリアした良質なご家庭に預けることになります。特に女子学生はセクハラなどのリスクもありますから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。大事ですね。しかしこの設備に、このサポート体制……『学費が高いと言われるが、将来を考えたら爆安だ』というコピーも腑に落ちてきました」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。確かに学費は少しお高いですが、1週間に9コマの英語の授業がありますからね。もし卒業後にベルリッツで同じカリキュラムを受けるとすると、軽く10年分以上の学費がかかりますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょっと岡さん。なんで今、ベルリッツを比較対象にしたんですか。営業妨害で怒られる」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あ、違うんです。近大はベルリッツと業務提携しているんです。ベルリッツと提携することで、社会人になってからもビジネスで本当に通用する英語を学べるようになっています。こんな感じです」
Image may be NSFW. Clik here to view. 「はじめまして、よろしくお願いします! さっそくですが、実はぼくも以前ファミ通町内会に投稿していまして……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「知ってますよ~」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おほさんに認知されてた!! やったー!! ぼくもさっしーに……アイドルに認知されたいんですが、どうしたらいいんですか! 羨ましい! 妬ましい!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ちょっと落ち着いてください。焦りすぎです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すいません、先走り過ぎました。ぼくはおほさんのネタってほぼ全部読んでて、どれも好きなんですが、おほさん自身が個人的に思い入れがあるネタってありますか? 」
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「うーん、ちょっと待ってくださいね」
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「あ! これですね」
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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
Image may be NSFW. Clik here to view.「おぉ!! なぜこのネタを?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「とにかく4コマ目が気に入っていて。このネタって本当は3コマ目で終わってもいいんですよ。腕時計を確認したらコーヒーをこぼしたっていうところでオチてるから。なのに4コマ目で『そもそも時計あったし、コーヒーかけられてるし』っていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「オーバーキルだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「理屈じゃないけど力押しで、とにかくしつこくて『何やってんのこれ?』みたいな。笑いの性質としてこういうのが好きなんで、印象に残ってますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「今見てもおもしろいなぁ。ちなみに今までの総獲得ガバスってどのくらいかわかりますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、今まで全部のトータル? いくらだろう。えーと……」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「だいたい60〜70万ガバスくらいですかね。100万は行ってないと思います」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すげぇぇー!! 1ガバス=1円として70万円分!? PS4 のワイヤレスコントローラーが100個もらえるじゃないですか!」
※ちなみに冷凍食品の総獲得ガバスは5万ガバス
Image may be NSFW. Clik here to view.「コントローラー100個もあったらいくらワイヤレスでもかさばりますよ。これまでに発売されたWii Uのソフトおよそ100タイトルがすべてもらえる計算ですね」
※おおきちの総獲得ガバスは8000ガバス
Image may be NSFW. Clik here to view.「ぼくはゲームのハード一式をガバスで揃えたりしてました。ちょっと気になったゲームをガバスで簡単に手に入れて、飽きたらすぐやめて、また新しいのもらって……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「長嶋茂雄が切り分けられたスイカの先っぽの甘いところだけ食べて残りは捨ててたみたいな贅沢エピソードだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その話そんなに有名じゃないですよ」
ハガキ職人ってどんな人種?
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Image may be NSFW. Clik here to view.「そもそもおほさんがハガキを投稿し始めたきっかけってなんだったんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ハガキ職人としては、小学生の頃に学研の『科学と学習』の読者ページに投稿したのがスタートですね。中学生からファミ通を読みだしたんですけど、ファミ通町内会でとがわKさんの4コマに衝撃を受けて」
Image may be NSFW. Clik here to view.「とがわKさんっておもしろいネタを書き終わったときが投稿のピークなんですって。ハガキを投函したら終わりで、それ以降の採用とか評価にはまったく興味がないらしいんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view. 「普通は『採用されたい! 俺のネタを見てくれ! こんなに載ってガバス稼いだぜ!』なんですけどね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ですよね?『自分が一番おもしろい!』っていう気持ちがあるから。ただ僕はそういうのがだんだん削ぎ落とされていきましたけど」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「変わった人が多いファミ通町内会投稿者の中では、おほさんは珍しく闇がないタイプですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ぼくも人見知りだし明るくはないですけどね。でも昔よりは明るくなったほうですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「明るくなるきっかけとかはあったんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「芸人やりだしてからですね。最初は『おもしろいこと考えときゃそれでいいだろ』と思ってたんですけど、だんだんそうじゃないというのがわかってきて。社会人としてちゃんと人付き合いするって大事だなと」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やっぱりちゃんと社会に出て人と関わるべきなんですね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「気付くの遅すぎるだろ」
個人的に好きなおほさんの4コマ
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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
おほさんのネタはわかりやすくて伝わりやすいのが魅力
ハガキ職人から芸人への転身
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「おほさんが芸人になられた頃は、ハガキ職人から芸人の道へ進む人って、わりと珍しかったんじゃないですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうかもしれませんね。ハガキ職人の進路というと、構成作家になるのが一般的でした。あとはマンガ家とか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そっちのほうへ行かずに、芸人を目指した理由はあるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、やっぱり根っこは目立ちたいとか、ちやほやされたいというところですかね。学生時代も落研に入っていたし、自分の中では一貫してるつもりです」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ハガキ職人と芸人とで、ネタの作り方に違いってありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あります! 投稿は投げっぱなしじゃないですか。思いついたものを送ったら、あとは待てばいいっていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ファミ通町内会はとくにそうですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「芸人だとそれじゃダメなんですよね。ちゃんと伝わりやすさを考えて、その中でいかにおもしろくできるか。そのバランスが絶妙だったのが、とがわKさんだと思うんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ここでもやはりとがわKさんの名前が」
Image may be NSFW. Clik here to view.「目指すところはとがわKさんなんです。ナメられないし、かといって大衆ウケもするという理想的なバランス。お笑いで売れている人たちはみんなそうですよね、一般ウケも玄人ウケもしないとダメっていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「わかります。たしかにパワプロでもそうですもんね。コーチのご機嫌ばかりうかがっているとチームメイトから嫌われたりして」
Image may be NSFW. Clik here to view.Image may be NSFW. Clik here to view.「……ん? パワプロ???」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その例えはよくわからないです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「えー!? パワプロみんなやったでしょ? サクセスモードでコーチの評価ばかり上げていると、チームメイトからの評価が下がって邪魔されたりするじゃないですか!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「わかんないって言ってるのにもう一度同じこと言っても伝わらないですって! 諦めてください」
個人的に好きなおほさんの4コマ
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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
照れて終わるオチ
今後のおほしんたろう、活動と夢
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Image may be NSFW. Clik here to view.「最近は色々な活動をなさってますよね? 例えばLINEスタンプも作ってらっしゃいましたが……あれって儲かってるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あぁ、色々出した中ではLINEスタンプが一番受け入れられているっていう気がしますね、買いやすいのかな」
Image may be NSFW. Clik here to view.「こないだ好きな子とLINEしてた時に、その子はファミ通町内会とかまったく知らない人なのに、いきなりおほさんの“タンパク質”っていうスタンプが送られてきて」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ファミ通町内会を知らない層にも広まってるんですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『LINEのスタンプってこういうのだよね』っていう実用性のあるやつもちゃんと作ったんですけど、悪ふざけで作った“タンパク質”とかが意外によく使われてるみたいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「よりファミ通町内会的なエッセンスの強いスタンプが使われてますね。独特の意味のない笑いが、世間的にも受け入れられ始めてるのかなと」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「LINEスタンプは成功だったと。では今後の目標とかはありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、今のところお笑いでは成果が出せていないので、もっとネタで勝ち進んでいきたいですね。Twitterとかは結局、ハガキ職人の延長線上でしかないので」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやいや、そんなことないじゃないですか。本も出して、テレビで冠番組までもっているのに」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それはもちろんありがたいと思ってるんですが、世間的には『おもしろイラストを描ける人が、たま〜にテレビにも出てます』みたいな感じじゃないですかね。まだまだですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「『Twitterとかはハガキ職人の延長線上でしかない』とおっしゃってましたが、じゃあもう、ああいったネタはやりたくない……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやいや、原点なんで大事にしたいと思ってますよ。芸人になってからはコントをメインでやっていたんですけど、Twitterで発表したマンガやイラストが評判になったのがきっかけで、今はネタにもイラストやフリップを入れるようになりました。だんだん自分に合ったことができるようになってきたかなって」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おほさんがイラストやフリップ使ったネタをやったら、おもしろくないわけがない!!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「理想はとがわKさんなんですけどね。あの人の笑いをどうにかしてお笑いで表現できたら、絶対に成功すると思うんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「どんだけとがわKさん好きなんですか!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たしかに、あれをどうにか舞台上で形にすることができたらすごいことになりそう! とがわKさんのマンガって『キテレツ大百科』みたいですよね? あの設計図をどうにか形にできたらものすごい発明だぞっていう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「え、キテレツ?? どういうこと?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「パワプロに続いて、例えがまったくわからない……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「すいません、例えが下手って文章を書く上で致命的ですね。では、最後の質問です! ぼくも同じようにハガキ職人から出発して現在無職なんですが、おほさんは今……食えてますか!?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「以前はコンビニの夜勤バイトとかしてましたけど、今はありがたいことにバイトせずに生活できてます。茶色いものばっかり食べてましたが、食べ物の色味がだいぶ増えましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですか~! 他人事なのになんか嬉しいです! おほさんは、ぼくたちみたいな鬱屈としたハガキ職人の希望の星なんで!! これからもがんばってください! 今日はありがとうございました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ありがとうございました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「高橋さん、今日はよろしくお願いします。早速、込み入った話になっちゃうんですけど……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「構いませんよ。どうぞどうぞ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あの、日本の一次産業ってずっと担い手がいないと言われ続けていると思うんですが、やっぱり結構ヤバい状態なんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「……どのくらいヤバいんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「たとえば農家であれば、私が生まれる少し前の1970年には約1025万人いました。それが年間約10万人の離農が続いて、今は約210万人。そのうちの70%以上が60歳以上の高齢者です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「高度経済成長期の4分の1……。減り方が尋常じゃないですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「漁師にいたってはさらに深刻で、同じ1970年には約57万人いましたが、今は約17万人。これも農家と同じで過半数が60歳以上の高齢者です」
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年々減り続けている農家&漁師。しかも大半が高齢者という現実…!
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど……人口が1億2千万人いて、たったそれだけなんですね。どう考えても生産が追いつかないような。そのうち若者はどれぐらいいるんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「農業も漁業も、就業人口のうちのそれぞれ10%程度です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「少ない…。これだけ数が減っているというのは、高齢化にともなって引退していく人が多いからですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それもひとつにはあるんですが、実は若者の減少率が一番激しいんです。若者たちが食えなくてやめていく。みんな一次産業の厳しさに直面しています」
Image may be NSFW. Clik here to view.「高齢者よりも若者の仕事離れが大きいと」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。残念ながら手っ取り早くお金を稼げる仕事に流れてしまう。結果、若者のいなくなった今の日本の一次産業というのは、お年寄りたちが年金をつぎ込んでなんとか維持しているのが実態です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「年金に支えられている一次産業かあ……。でも、なんでそんな状況になってしまったんでしょうか。本来的には日本人は一次産業の仕事を大切にしてきたし、自然と寄り添って生きてきたはずですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「西洋的な価値観に基づいて、近代化を突き詰めてきた結果でしょう。どんどん自然から離れていって、気付いたら一次産業の仕事を下に見るようになってしまったという」
Image may be NSFW. Clik here to view.「一次産業を下に。そういえば、高橋さんの本のなかにも『冷蔵庫行き』という言葉がありましたよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。『冷蔵庫』というのは被災地の水産会社のことで、地元の高校生の卒業先の進路なんです。どこにも行くところがないダメな奴に『お前、冷蔵庫行きか?』って言う。震災後にふるさとへの思いが強くなった被災地ですらこうですから、内陸の農業なんて……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「最近は一次産業の価値が見直されているような動きも感じていたんですが、実態はそんなこともないんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「もちろんやる気のある若者は一握りではあるけれどいます。でもイメージの悪さから、それを圧倒的に上回るペースで若者たちが一次産業の現場から離れている。農業高校、水産高校の出身でも卒業したら、大半が一次産業とは関係のない会社に就職するんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「このままいくとどうなるんですか? 誰も一次産業の現場からいなくなってしまうような気がするのですが……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「やる気のある若者はいるので、厳密にはゼロにはならないでしょう。ただ、そのほとんどをロボットが担うことになるかもしれません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ロボット!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。今、日本の一次産業の労働力不足を補っているのは、実は外国人労働者なんです。でも、残念ながら待遇がひどい。だからこのままいけばいつかは外国人にも選ばれない国になるでしょう。日本人もやらない、外国人もやらない、となればあとはロボットしかないでしょう」
なんで一次産業は下に見られているの?
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大根を収穫するロボットのイメージ
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやーまるでSF映画の世界ですね。生きる根っこをロボットに押さえられた人間……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうなんですよね。このまま一次産業の地位が下がり続けていったら、それもいつか現実になるかもしれません。なにせ5K産業と言われてしまうくらいですから」
Image may be NSFW. Clik here to view.「人の手からどんどん離れていってる感じがちょっと怖いですね。それもこれも一次産業を下に見るメンタリティによるもの……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。じゃあなんでそういうメンタリティが生まれてしまったのか。僕は、一次産業の仕事の価値を消費者に伝える“情報”がなかったからだと思うんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「情報。確かにスーパーで野菜買っても、産地の情報くらいしかわからないですね。たまに『◯◯さんがつくりました』みたいな、顔写真があったりするけど、そのくらいかも」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ですよね。それだけ見ても、その生産者がどんな気持ちでその食べ物をつくっているのかってことまではわからないです。わからないので、それが消費者に正当に評価されることもなく、結果として生産物まで買い叩かれるような状況が生まれてしまいました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。買い叩かれるから生産者は続けていくのがつらくなる。どうみてもしんどそうだとなれば、若者は当然やりたがらない。そもそも情報がないからどんな仕事なのかもわからない、魅力を感じられない……。既存の流通システムがそういう状況を作り出しているとしたら、めちゃくちゃ悪循環……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「消費者と生産者の分断です。これが結果として、一次産業を下に見る5K問題を引き起こしている要因ではないでしょうか」
生産者と消費者の距離をどう埋めるべきなのか?
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Image may be NSFW. Clik here to view.「でもこの分断の溝ってめちゃくちゃ深くないですか……? なんか絶望的な気分になってくるんですけど」
Image may be NSFW. Clik here to view.「できることはあります。それは、食べ物の裏側を知ることです。どんな人がどんなところで、どんな思いでつくっているのか。食べ物の裏側を知れば、きっと一次産業の生産者に共感すると思うんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「共感」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。『食べる通信』は、食材の背景にある物語を消費者に伝えることで、この共感の輪を広げて、生産者の社会的地位を上げようとしています。社会的地位が上がれば、仕事に対する価値も正当に評価されますから、結果として生産者の収入アップにもつながっていくでしょう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「モノとコトってやつですね。本来的には5Kなんて言われる仕事じゃないでしょうし。正しい評価を広げていくためにも、まずは自分が知ろうとすることが大事なのかもしれない?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。一次産業は稼げないなんて言われてますけど、工夫をすればきちんと稼ぐことができるし、現実にやっている人もいます。結婚できないと言われているけれど、すてきなパートナーと出会って、夫婦でがんばっている人もいるんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「おお。ですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「5Kは単なるイメージです。消費者と生産者の間で情報の行き来がなくなってしまった今の社会が生んだ勝手なイメージ。それに僕らはとらわれているんでしょう」
Image may be NSFW. Clik here to view.「イメージかあ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実際、僕を含めて『食べる通信』の読者たちは、食べ物をつくる現場の働き方、自然との向き合い方、生死への考え方などに触れて、それまでの自分のなかにあったイメージや価値観が大きく転換するような影響を受けました。食べ物の裏側にあるストーリーに共感し、それによって生産者に対する目も変わっていったんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「共感から尊敬へ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうです。そもそも一次産業の仕事は人間のもっとも根源的な活動につながっているわけですから、現代社会でもっとも価値のある仕事、かっこいい仕事といってもいいでしょう。その価値が今の流通システムによる分断で、見えにくくなってしまった」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ですね……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕もかつては分断された消費者の一人でした。でも、裏側を知ることによって、一次産業が持っている本来の価値に気付くことができたんですよね。一次産業の地位を上げることは、自分や『食べる通信』の読者のなかで起こったような心の変化を消費者のなかに広げていくことでもあるんです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「小さな連鎖を広げていくことに、一次産業の未来はあると」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。分断によって遠ざかった『食』を一部分でもいいから、自分の手が届く範囲に取り戻していきましょう。食べ物の裏側を知ることは、その一歩なんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「鶴崎さんには、いつも記事に使う写真の撮影などでお世話になっております。ぶしつけなんですが、ヌードって撮ったことありますか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「僕はヌード撮ったことないんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ええ!? プロカメラマンって全員とりあえずヌード撮るんじゃないですか!? むしろそれが福利厚生の一貫なのではと……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「どんな福利なんですか。まぁヌードを撮るのが好きなカメラマンもいるとは思いますが、僕がこれまで撮影してきたのは主にフォトドキュメンタリーという種類の作品になります。例えばこんな写真です」
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Image may be NSFW. Clik here to view.「ん?上下で写真が分かれていますが、これはどういう……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「上は満州の開拓団から帰国したご婦人で、これは引き上げなどの過程で亡くなった人たちを忘れないため、名前を思い出してノートに書き留めたものを見せてもらっている状況です。下は南満州鉄道が建てたホテルの一室を事務所として借りながら、現在中国で働いている日本人青年です」
Image may be NSFW. Clik here to view.「あ、なるほど。『海を渡って』というタイトルには、時代と場所を越えて、人が海を渡る理由や渡った先にある運命みたいなものを描き出そうという意図があるんですね。うーん! それを聞いてから写真を見ると大変味わい深いです」
Image may be NSFW. Clik here to view.「写真を見た人によって変わるそういった味の違いが、フォトドキュメンタリーの面白さかもしれません。『海を渡って』では、日本と中国の他にミャンマーとブラジルを取材して、だいたい10年かけてようやく完成させました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「10年!?」
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ミャンマーの難民キャンプ
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ブラジル・サンパウロ市内のセアザと呼ばれる卸売市場
Image may be NSFW. Clik here to view.「いいですねえ。自分の作品のために海外を飛び回って写真を撮るカメラマンなんて、小説の主人公っぽくてめちゃめちゃかっこいいです! ブラジルって治安が悪いイメージがあるんですが、街中で写真を撮っていて危ない目にあったことはないんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「地域にもよりますが、確かに街角でスナップショットすら撮っちゃいけない場所というのはありますね。あと日系人にはお金持ちが多いので、向こうでそういった方たちに話を聞くとだいたい強盗に遭ってます」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だいたい遭うんだ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「農園をやっている日系人の方なんかは、職場に寝泊まりすると危険なので、“コンドミニアム”と呼ばれる24時間態勢のゲートと警備員による警護がついたマンションで寝起きし、そこから農園に通って仕事をしているんですよ」
Image may be NSFW. Clik here to view.「ジョージ・A・ロメロの『ランド・オブ・ザ・デッド』で、そういう建物ありましたね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「だからまぁブラジルの治安は日本に比べたら悪いと思うんですけど、僕が好きなのは向こうで暮らす人の性格と素晴らしい農園の風景ですね。ブラジルの地形は日本のように高い山がないので、見渡す限り緑の地平線が広がっているんです。この景色が本当に素晴らしい」
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農園の軒下から見渡せる緑の大地
Image may be NSFW. Clik here to view.「見通しいいなー!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「人間もとても陽気で、知らない人にいきなり喋りかけるのも全然オッケーという雰囲気なんですよ。だから僕はブラジル好きですね。ご飯は残念ながら、あんまり日本人の口には合わないんですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「でもこういう取材って、一回渡航するだけでかなりお金がかかりますよね? この写真集一冊のために使ったお金って、だいたいどのくらいなんでしょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「うーん、全部ひっくるめると500万ぐらいは使ってるかもしれません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「500万! 10年! そして500万!」
写真家が個展を開く理由
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Image may be NSFW. Clik here to view.「渡航費や滞在費だけじゃなくて、個展をやった費用も含まれています。写真集になる前に3回ぐらい自分で個展を開いているので、それが1回につき50万円ほどかかっていますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はー、個展を開くのも結構お金がかかるもんなんですね。前から『写真の個展ってネットでやればよくない?』という気持ちがあるんですけど、やはり写真家の方は個展という形にこだわりたいものなんですか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「古い感覚かもしれませんが、写真業界では『個展』という形を見すえて作品を作るケースは結構多いですね。僕の場合はもともと『現像』という行為が好きで、プリントされてない写真やモニタ上の写真は『完成してない、途中のもの』という感覚になるんです。自分のイメージと一番近い色合いや明るさで見せることができるのは、やはり実際に作品をプリントして展示する『個展』になりますね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「実物だけが放つ迫力というのはありますもんね。しかしそんな活動が実を結び、Visual Arts Photo Award 2015大賞というスゴそうな賞を獲ったからには、今までの活動資金はすべてペイできた……?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「それがなかなかそういうわけにもいかないんですよね。写真家にとって、作品を作ることと経済的な成功というのは相容れない部分もあるので……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まぁ、確かに小説や漫画でも自分の作りたかったものが売れるとは限らないですもんね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「基本的に僕が撮ってるような作品は、仕事につながりにくいとは思っています。昔は『アサヒグラフ』や『毎日グラフ』のようなグラフ誌が隆盛で、フォトドキュメンタリーの需要も高かったと思うんですが、今はこうした時間と手間とお金のかかる企画は、なかなか雑誌に通らないですね。今後インターネットのメディアで、こうした分野が伸びてくれればと思っているんですが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「写真とはちょっと違いますが、中原一歩さんの『路上料理人と呼ばれる男』とか、ネットで初出しされたすんごいノンフィクションでしたよね。今のインターネットはTwitterとかInstagramで手軽に消費できるネタが全体的に好まれている気がしますが、こうしたプロフェッショナルの凄みが感じられるコンテンツも、もっと目にできるようになるといいですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「話は変わるんですが、そもそもプロカメラマンってどうやってなるんですか? まずは写真の専門学校に行ったりとか?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「そうですね。一番多いのは専門学校卒業後に、カメラアシスタントになるケースですね。プロ写真家という職業には大きく分けて2つの種類がありまして、自分の世界観に沿って作品としての写真を作る『作家系』と、写真館やブライダルカメラマン、広告などの撮影をする『商業系』です。どちらの道に行きたいかで動き方も変わってくるのですが、両方に言えることは人脈が非常に大切ということですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「人脈」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。カメラアシスタントになるには、まずレンタルスタジオという所に就職するのが一般的なのですが、重要なのはそのスタジオがどういった用途で使われているか、です。ファッション誌の撮影に使われているのか、音楽系なのか、ブライダル系なのか、ブツ撮り中心なのか……」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なぜ用途が重要になってくるんでしょう?」
Image may be NSFW. Clik here to view.「レンタルスタジオでの勤務は、多くの場合2~3年が満期と決まっているので、そこで働いてる内に次の行き先を決めなきゃいけないんです。で、次の勤務先は、そのスタジオをよく利用するカメラマンに直接師事する形になることが多いんですね。もちろん『こいつ、アシスタントとして使えるな』と思われることが前提になってきますが」
Image may be NSFW. Clik here to view.「なるほど。就職したスタジオをよく使ってるカメラマンに、そのまま弟子入りすることが多いということは……『ヌードを撮りたければ、ヌードがよく撮られているスタジオに就職しろ』。こういうことですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「まぁ、そうですね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「いやでも弟子入りとかしなくても、いきなり鮮烈なヌード写真をSNSに投下して有名になることも、今の時代なら可能ではないでしょうか? 自分がいきなりその道の師匠になればいいのでは?」
Image may be NSFW. Clik here to view. 「はい。カメラマンは資格を取得して就く仕事ではないので、いきなり独立してももちろん構いません。最初からSNSで有名になるという手法もアリだとは思いますが、みんながみんな選べる道ではないですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「その通りですね。正直、『鮮烈なヌード写真』がどういうものなのか、まっっったく思いついてませんし」
Image may be NSFW. Clik here to view.「結局安定して仕事が入ってこないと、プロカメラマンとして食べていくことはできないので、そのための近道がすでに活躍しているカメラマンのアシスタントになって、人脈を作ることなんです。技術的な勉強も大事ですが、商業的な写真というのは正直『この人しか撮れない』というものを見出すのが難しいので、クライアントと直で接点を持つのが仕事を得る一番の近道なんですよね」
Image may be NSFW. Clik here to view.「カメラマンって、孤独でタバコ吸いながらブルースばかり聞いてる人がなるのかと思ってましたが、コミュ力もある程度いるんだなということがよくわかりました」
Image may be NSFW. Clik here to view.「本当に分かってもらえたんでしょうか」
Image may be NSFW. Clik here to view.「はい。最後に1つだけお願いですが、都内で篠山紀信さんのよく使っているレンタルスタジオを教えてください!」
Image may be NSFW. Clik here to view.「知りません」
Image may be NSFW. Clik here to view.「よし! プロカメラマンになるのやめよう!」