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【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (05) - 現場に急行せよ/どてめし

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>
前回

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。Twitterアカウント→@kinositasinya Facebook始めました!こちら

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています


「蕎麦は伸ばさず、フォロワーを伸ばせ!」62歳のそば職人が語るSNSとの付き合い方

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みなさん、長野の蕎麦は好きですか?

 

はじめまして!生まれも育ちも長野県。生粋の信州人ライターのナカノです。

 
この度、一時期2週間に1回は足を運ぶほど長野大好きなジモコロ編集長柿次郎さんにお声がけいただき、ジモコロライターとしてデビューすることになりました。
ちょっとちょっと待ちくたびれたよ〜!もう長野は任せて〜!
 

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そんなわけで長野を深掘っていこうと思うのですが、第一弾は長野県民に馴染み深い「蕎麦」について。
 
 

「長野 蕎麦」と言えば、少し前にこんなツイートが話題になったことをご存知でしょうか。

 

長野県長野市にある蕎麦屋「かんだた」のカウンターに掲げられている「せいろそばのおいしい食べ方9箇条」を掲載したもの。

 

【手打ち(せいろそば)のおいしい食べ方 かんだた流】

1.お腹の空いた時に食べる。

2.出て来たらすぐに食べる。

3.薬味は少しずつ入れて食べる。

4.そばは八本ずつすくって食べる。

5.汁には半分ぐらいつけて食べる。

6.音を立ててすすって食べる。

7.奥歯で二回ほど噛んで食べる。

8.食べ終わったらそば湯を飲む。

9.以上を気にせず好きに食べる。

  

具体的な数値も交えてかなり細かいと思いきや、

「以上を気にせず好きなように食べること」

で締めくくられています。なんなの。結局どうやって食べたらいいんだよ。

 

一体どんな心持ちで作ったのか気になる。そして本当に美味しいそばの食べ方を知りたい。というわけで真相を探るべく、早速「かんだた」へ向かいました。

 

長野県長野市鶴賀権堂町2320

 

Twitterで話題の「かんだた」へ!

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ぐっと奥まった場所にお店があります。 

 

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こちらが手打ちそば屋「かんだた」。柄杓で打ち水している頑固親父がいそうな店頭。

 

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今回お話をお聞きしたのは蕎麦屋「かんだた」の店主・中村和三さん。東京生まれ東京育ちながら、25年前に長野へ移住してきたそうです。

 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「こんにちは〜。初めまして。今日はよろしくお願いします」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「こんにちは」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「今回はTwitterで話題になっている、かんだたさんの『せいろそばのおいしい食べ方』について色々お聞きしたいと思っておりますのでよろしくお願いします! 」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「あ〜、あれですね。そうそう。Twitterの影響でうちのホームページへのアクセスが集中してびっくりしちゃいましたよ」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「やっぱり! 」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「3,4年前であれば、PCからのアクセスが多かったんです。お店に来る前に、家のパソコンで情報を見ておこうってお客さんが多かったのでしょう」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「なるほど」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「大体混む日の2,3日前にアクセスが集中していました」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「プリントアウトした地図を片手に訪れるおじさま方が目に浮かびます!」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「週末に来るお客さんの人数を想定しようと思ったら、木曜日のアクセス数から検討がついてたんですよ。それが今では、全然読めなくて…」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「えっ、それはなぜですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「スマホの普及で、当日のアクセスが増えたため、混雑の予想がつかなくなったんです」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「パソコン活用しまくっているんですね、中村さん。ギャップにびっくりしました。アクセス解析までして…!」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「いやあ(笑)。そうそう、ウェブページへのアクセスは増えたんですけど、Twitterのフォロワーは増えなくて…」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「え、Twitterもやってらっしゃるんですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「毎日更新してます。Facebookもやっていてこちらも毎日更新していますよ

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「ええ、すごい! お客さんからしたら情報を多方面から受け取れて便利ですよね。中村さんは発信することが好きなんですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「そうかもしれないですね」

 

 

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ちなみに、ブログも2006年から10年続けていますよ」

 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain発信欲の塊!!

 

お店のブログと聞くとキャンペーン情報に偏る印象がありますが、中村さんの記事は日常生活を切り口に蕎麦、蕎麦屋の話題へと昇華させていく記事ばかり。私のオススメ記事は「女性の持つバッグが巨大化している。: 手打ちそば屋は眠れない。」です。男女ともに共感できる、「女性のバッグでかすぎ問題」を蕎麦屋に絡めて言及しています。おもしろいー!!

 

「せいろそばのおいしい食べ方」はどうしてできたの?

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カウンターに立てかけられた、かんだた流手打ち(せいろそば)のおいしい食べ方 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「この『手打ち(せいろそば)のおいしい食べ方』を作ったのはいつ頃なんですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「これは約10年前、居酒屋時代に作ったものです」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「どうしてまた、こんな細かい指示を? しかも最後まで読んでいったら、結局好きなように食べろって…。最初から蕎麦は好きな様に食べてくださいって書けばよかったじゃないですか。忠実に守ってたら蕎麦が伸びちゃう、蕎麦が!!」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「落ち着いてください(笑)。もちろんここに書いてあることをすべて守る必要はないと思うんですよ」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「やっぱり!!」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「蕎麦が好きな人って、ああいう風に食べるこういう風に食べるって議論することが好きなんです。よく噛んで食べるとか喉ごしを大切にしたいから噛まずに食べるとか」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「なんだか回らないお寿司屋さんみたいですね。最初はこのネタを食べろ! ガリはこのタイミングで!とか」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「似ているかもしれませんね。蕎麦も寿司も昔から人々に愛されてきた食べ物ですから」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「確かにどちらも江戸時代くらいから江戸っ子に愛されている食べ物なイメージがあるかも」

 f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「蕎麦って太麺、細麺と色々種類があるけれど、店としてこういう風に食べてもらった方がいいっていうガイドラインを示した方が、食べる人にとってわかりやすいのかなと思ってつくったんです」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「確かに、どうせ食べるならおいしく食べたいですもんね。ガイドラインがあるのはありがたいことかも」

 f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「ただ押しつけにならないよう、最終的には各自お好きに食べてねってことで9番目の文言が入っているんです」

 

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店頭にはこんな看板も

 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「かんだた流おいしい食べ方には細かい指定がありますよね。8本ずつ食べるとか、奥歯で2回噛むとか。この数字ってどこからきたんですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「江戸、すなわち東京は蕎麦の一大消費地ということで、昔から庶民に愛されてきました。江戸っ子は見栄を張ることをかっこいいと思う風潮があったんです

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「それはイメージつきますね。江戸っ子=勝ち気で見栄を張っている

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「ですから、蕎麦を食べる時も、格好をつけて食べることが重要視されていたんです」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「時代劇とかでもよく蕎麦屋の描写がありますよね。蕎麦は江戸っ子を象徴してたのかな」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「そうかもしれませんね。細くて軽い東京の蕎麦が江戸っ子に愛される理由はそこにあると思っています」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「細くて軽いとかっこよく食べられるってことですか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「そうです。細くて軽い蕎麦を途切れなく食べること、それがかっこいい食べ方美しく食べるためには少しずつ本当に箸に引っかかる程度で食べていただきたいなと思っています。ぐいっと持ち上げて食べる方もいらっしゃいますが、もぐもぐと咀嚼する様子はあまり美しくないですよね」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「もしかして、いつもそのカウンター越しから確認しているんですか」

 

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f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「さすがにいつも見ているわけではありませんが、やっぱり食べ方が美しいと目を引きますよね」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「間違いないですね」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「長野市出身の落語家で柳家小さんという方がいらっしゃったのですが、その方は食べ物の作法がとても上手。特に蕎麦の食べ方はまさにお手本とも言える美しさでした」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「さすが落語家!」

 f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「その人の食べ方をみてると、すっすっすって食べてあっという間になくなるのがよくわかるんです。少しずつ蕎麦をとって、ツツッと喉に落とす感覚が大切です

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「喉越しで」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「それが奥歯で2回噛むことに繋がります」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「2回かぁ。あまり噛まないで飲むってなかなか難しいですよね」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「そうなんです。慣れないとこれがまた難しい。だけど、本当は蕎麦って噛んでもおいしいんですよ。甘みが出るんです。だから多少は噛んでもいいと思っています

f:id:eaidem:20160819163630p:plain「結局いいんだ!」

 

蕎麦の美しい食べ方

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タイミングが合えば店頭の窓から蕎麦を打つ中村さんを見ることができます。

 

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等間隔で切り揃えられていく蕎麦から目が離せない…!

 

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まさに職人芸! 美しすぎる!!

 

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茹でて… 

 

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ザルにすくい上げて水で締める

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「うちの蕎麦は細いので1分程で茹で上がります」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「あっという間ですね…!」

 

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丁寧に蕎麦が盛りつけられていきます。

 

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かんだたの蕎麦の完成! 美しい!

 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「うーん、なんだか緊張しますね。話を聞いた後だとちゃんと食べないとって気になってしまう」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「大丈夫ですナカノさん。気にしない、気にしない!」

 

 

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f:id:eaidem:20160819162640p:plain「大体8本とって…(ズル…ズル…)」

 

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うっま!!!!

 

f:id:eaidem:20160819163630p:plain「おいしいです!食感を楽しむっていう感覚、なんとなく分かる気がします」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「よかったです!」

f:id:eaidem:20160819164349p:plain「でもずるずるっと小気味よく食べるのって難しい…。綺麗に食べるためのコツはありますか?」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「若い人は、音を立てて食べることに抵抗がある人が多いみたいですね。コツは蕎麦のすくい方ですね

f:id:eaidem:20160819164349p:plain「ふむ」

f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「麺は重ねるように盛られているのでお箸を立てて持って真ん中からすっとすくう。慣れない人は横からからつまむことが多いのですが、蕎麦がきれいに出てこないんですよ。すくい方を変えるだけで所作が美しく見えますよ。」

f:id:eaidem:20160819164349p:plain「男性は蕎麦の食べ方を磨いて、女性を蕎麦屋デートに誘うべきだ

 

 

長野の蕎麦の歴史を聞いてみた

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長野に移住してから12年間は、純米酒と手打ちそばをメインにした居酒屋を開いていた中村さん。太麺で甘いつゆが主流であった長野の蕎麦に物足りなさを感じ、自分で食べたい蕎麦を作ろうと思ったのだとか。そば打ちの基本的な打ち方を一週間ほど教わったあとは独学。自分の満足のいく蕎麦を追求して今日に至るそうです。

 

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これだけ美味しい蕎麦を食べると、長野の蕎麦の歴史について気になってきました。そもそも、「東京と長野の蕎麦の違いとは?」「中村さんの理想の蕎麦とは?」ーー中村さんに質問をぶつけたところ、仮説ながら思いもよらぬ事実が浮かび上がってきました。

 

 

・長野の蕎麦は「細麺」「キリッとした濃いツユ」が増えてきた

・長野県民は、自宅でそば打ちをしてお金を払ってまで蕎麦を食べない説

・観光需要に合わせて、長野の蕎麦は変化してきたのではないか

・中村さん自身、東京で食べた軽い細麺を理想として使っている

・その細麺をイメージして、小説「蜘蛛の糸」の主人公「かんだた」を店名に採用

 

実際、長野育ちの私も外で蕎麦を食べる機会は少なく、近所からもらった蕎麦を食べることが多いんですよね。

 

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また、蕎麦ツユには砂糖をたくさん使うのが一般的。しかし、「かんだた」では醤油とみりんのみ砂糖の代わりにみりんを使うことによって、よりキリッとしたシャープな味わいのつゆに仕上がるそうです。

 

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「今日は蕎麦の深いお話をありがとうございました」

 f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「今回、Twitterきっかけで情報が拡散されましたが、長野に立ち寄った際は当店まで足を運んでほしいですね」

f:id:eaidem:20160819162640p:plain「うんうん。かんだたさんの蕎麦はより多くの人に食べてほしいです!」

 f:id:hitomonji:20160722070147p:plain「TwitterでRTされた割にはフォロワーが増えたわけでもないので…ぜひ皆さんフォローしてください(笑)」

f:id:eaidem:20160819163630p:plain「どこまでも正直だ〜!」

 

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というわけで…

かんだたで蕎麦を食べてTwitterをフォローだ〜!!

 

 

 

  

  

●取材先

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手打ちそば屋 かんだた

http://www.kandata.jp/

営業時間:11時30分~14時30分、19時30分~20時

※日曜、祭日は昼のみの営業

定休日:毎週水曜日、第1、3火曜日(祭日の場合は営業) 

Facebookページ:https://goo.gl/Z17Ftn 

 

書いた人:ナカノ ヒトミ

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1990年長野県佐久市生まれ。中央大学文学部卒業。2014年より一般社団法人信州若者会議においてwebメディア「SALMON1000」でのライティング、長野県のUIターン事業「若鮭アカデミー」に携わる。2016年4月からは株式会社地元カンパニーにて「地元のギフト」制作に携わり、全国各地の生産者への取材を行う。 twitter: @jimonakano/個人ブログ: ナガノのナカノ/所属: 地元カンパニー

 

【感動】ウマ過ぎる福岡土産「博多通りもん」の魅力を聞いてくれ!

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こんにちは、ARuFaです。

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突然ですが皆さんは、「博多 通りもん」という、史上最強にウマいお菓子をご存知でしょうか?

 

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こちらがその「博多 通りもん」。福岡名物のお菓子で、白あんの中に練乳・バターを使用したお饅頭になります。

……そのシンプルな見た目に秘められしウマさは凄まじいもので、「饅頭発祥の地」である博多の中でも、別名『傑作まんじゅう』と呼ばれていたり、あのモンドセレクションでは16年連続で金賞を受賞していたりする程なのです。

 

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その美味しさをわかりやすくお伝えするには、実際に通りもんを食べた人の反応を見てもらうのが一番でしょう。

というわけで、同じ会社の先輩に食べてもらったところ……

 

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「うっま!」

 

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「ンめっ!」

ご覧のように、大の大人が子供のような笑みを浮かべて大喜びしてしまいます。

この後、二人は「はぁ~…」とため息をつきながら袋に記載されている原材料を熟読していましたが、これは僕の経験上「ウマいものを食った人間が必ずしてしまう行動」なので、通りもんの美味しさは相当なものだと言えましょう。

 

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かくいう僕も通りもんの大ファン。原材料表をラミネート加工して財布に入れ、いつでも味を思い出せるようにしています。

 

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…しかしこの「博多 通りもん」、関東に住んでいる僕の周りでは思ったより浸透しておらず、たとえ名前は知っていても「食べたことは無い」という大損をぶっこいている人もいました。

この事実を知ってしまった瞬間、「通りもんをもっと広めたい」という静かなる情熱がフツフツと湧いてきたため、今回は通りもんについて愛情120%で好きに書かせてもらいたいと思います。 

 

通りもんを分析する

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さて、そんなわけでまずは、この通りもんが何故ここまで魅力的なのかを分析してみましょう。

この世の全ての事象に「理由」があるように、通りもんにもここまで人を魅了する理由があるはずです。

なのでまずは定規を使って、通りもんの大きさを計測してみました。

 

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その結果がこちら。直径は5.5cm高さは2cm皮の暑さは2.8mmです。

一見、特に変わったところは無いように見えますが、この数値から見えてきたのは、通りもんの圧倒的な食べやすさでした。

 

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…というのも、日本人の平均的な口の大きさは4.5cmとされており、僕の口の大きさもピッタリ4.5cmなのですが、その口を自然に開くと通りもんの大きさと完全に一致するのです。

さりげなく開いた口にスッポリと収まり、ちょうど三口目で食べ切れる通りもんの形は、まさに研究に研究を重ねて作られた人類の英知の結晶と言えましょう。

 

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また、通りもんの重さを「全体」「餡」「皮」の各部位ごとに量ってみたところ、これまた驚愕の事実が発覚しました。

 

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注目していただきたいのは、全体の重さにおける餡と皮の比率です。

通りもんは全体に対し餡と皮が7:3の割合で構成されているのですが、この7:3という数字……何かを連想できませんか?

 

 

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そう、『地球』です。

地球における海と陸の割合はまさに7:3とされています。

そしてさらに、そんな地球に住む我々人間の身体も、水分が7:その他3がというバランスで構成されているのをご存知でしょうか。

……つまり、この結果から浮かび上がってくるのは、まさにこういうことでしょう。

 

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「通りもんと、人間と、地球は一緒」

……そう、通りもんは地球であり、そして人間でもあったのです。

であるならば、人間である我々が通りもんを愛するのも至極当然なこと。我々は惹かれあう運命にあったのです。

 

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……ちなみに、餡だけ/皮だけの通りもんも作ってみたのですが、食べてみるとやはり何か物足りない印象を受けました。

地球の海陸の割合が変わると生態系が崩れてしまうように、はたまた体から水分が失われると体調を崩してしまうように、通りもんにはこの7:3という餡と皮のバランスが不可欠なのでしょう。

「製品の美味しさを突き詰めた結果、地球や人間と同じになった」という事実は、もはや人知を超えた自然の摂理めいたものを感じざるを得ません。

 

しかし、博多でしか売ってない

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……さて、そんな神々が創りし奇跡の銘菓『通りもん』

これを読んでいる方は今すぐにでも食べたくなっていると思いますが、実はコレ、博多を中心に福岡市近郊でしか販売されていません。

これは「博多らしさを大切にしたい」という製造会社『明月堂』のこだわりらしく、他県にあるアンテナショップなどでも一切売っていないという徹底ぶりです。

オンラインショップでの通販こそしていますが、やはり現地のお菓子は現地で食べたいものですよね。

 

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なので、もう本当に通りもんが食べたくなっちゃった人は、

 

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僕のように飛行機に乗って、

 

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博多に直接行っちゃいましょう。

飛行機なら東京から2時間弱くらいで到着するので、通販よりも早く通りもんを手に入れたい人にはオススメです。

 

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そして、現地で販売されている通りもんの姿がこちら。

目を惹きやすい黄色いパッケージが目印なので、まず見逃すことはないでしょう。

 

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というわけで、早速購入した通りもんを博多の観光名所「櫛田神社」でパクリ……

 

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HAPPY BOY

そう、僕はHAPPY BOY、世界で一番幸せな男。なぜなら通りもんを食べたから。

 

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……さて、せっかく通りもんを買いに福岡県の博多にやってきたということで、ここからは通りもんと共に周辺を観光してみたいと思います。

観光地を地元の銘菓と巡れるなんて、最高としか言いようがありませんよね。

 

通りもんと巡る福岡県

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まずやってきたのは、藤の花が美しい『河内藤園』

長さ220mの藤の花のトンネルは非常に幻想的で、海外からもたくさんの観光客が訪れます。

 

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藤の見頃は4中旬~5月とのことなので、シーズンになったら是非みなさんも訪れてみてはいかがでしょうか。

「一度見れば一生忘れられない」と評判の美しい光景は、一見の価値アリです。

 

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僕は通りもんで何も見えませんでしたが、これはこれで素晴らしい光景でした。

 

 

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そして次にやってきたのは、福岡県のシンボル『福岡タワー』

高さ234mを誇る日本一の海浜タワーとして、これまでに1000万人以上の観光客が訪れているそうです。

 

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高さ123mの展望台からは、福岡の街を大パノラマで見ることができます。

展望台に上がる際には係のお姉さんが記念写真を撮ってくれるのですが、その時のかけ声が「はい、タワー」という前代未聞のパワーワードなので、これを聞くために福岡タワーに行くのもアリです。

 

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また、福岡タワーの展望台には「恋人の聖地」という素敵なスポットもあります。

 

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こちらは、受付で販売されている南京錠に名前を書き、専用のポールに取付ければ永遠の愛が保証されるというものです。

 

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というわけで、僕も通りもんとの永遠の愛を願いながら南京錠を取り付けてみました。

隣では若いカップルが仲睦まじく将来の話をしていたので、南京錠を締める手にも力が入ります。

 

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さらに、施設内には福岡タワーオリジナルのプリクラもあるので、恋人同士で思い出を残してみるのもいいでしょう。

 

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僕も撮ってみました。様々な角度で一生の思い出になるのは間違いないでしょう。


 

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最後はこちら、『桜井二見ヶ浦の夫婦岩』です。

こちらは日本の夕日百選にも選ばれている福岡県の名所。巨大な鳥居とその奥にある夫婦岩は、ドライブスポットとしても有名で人が絶えません。

 

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ここはご覧の通り海岸に面した素敵な場所にあるのですが、僕が個人的にテンションが上がったのは、海岸に打ち上がっている大量の岩たちでした。

 

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長い年月をかけて波に揉まれ、丸くなめらかになった岩々が見渡す限りに転がっているのですが、何が良いってこの岩、ぜんぶ通りもんに見えませんか?

 

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僕の目には、もはやこう見えます。

そして気付けばこの場所だけで写真を200枚撮っていました。みなさんも撮りましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか

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はい、いかがでしたでしょうか。

福岡県には初めて来たのですが、あたり一面に通りもんが広がっている(ように見える)この地は、まさに『通りもん好き』には堪らない聖地と言っても過言ではないでしょう。

右を見ても左を向いても幸せに溢れているこの福岡県は、最高」の一言に尽きます。

 

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皆様も、この素晴らしき福岡県に是非遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

僕は実際に現地に行ったことでさらに通りもんが好きになったので、今後とも好きなお菓子の発祥の地へは積極的に訪れたいと思います。

 

 

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ちなみに僕は、帰宅後に通りもんのウクレレを作りました。

それでは、さようなら。

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 7話「命とひきかえに石を彫った源兵衛」

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<柳田さんと民話・一覧>
7

 

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<柳田さんと民話・一覧>

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。Twitterアカウント→@kinositasinya Facebook始めました!こちら

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【日本初】2泊3日の出張&旅行が驚くほど捗る!革命的リュック「SLICKS」の話をしようか

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どうも、こんにちは! 年間20〜30回、地方出張で全国を飛び回っているジモコロ編集長の柿次郎(@kakijiro)です。

 

先日も長崎県の五島列島に2泊3日で取材してきたばかりなんですが、さすがに1年半ぐらいこんな生活をしていると旅レベル&荷物のパッキングレベルが上がります。とはいえ、最低限の服装、荷物。そして取材に欠かせない資料、カメラ、バッテリー、充電ケーブルなどなど…そこそこ量が多くなるのは否めません。

 

日々、荷物との格闘。いかに効率を上げるかが順調な取材旅行につながります。

 

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え? このリュックですか?気になる?

これみよがしにアピールしているのバレてる…?

 

実はこれ…これから日本上陸予定のスイス発のプロダクト「SLICKS(スリックス)」のリュックなんです。現在、クラウドファンディング「Kibidango(きびだんご)」でプロジェクトを進行中。目標金額が集まらないと日本には入ってこないそうです。

 

kibi.co

 

で、実際に背負って活用しているのは日本に数人。なぜか、その一人に僕が入っているんです! というのも、Kibidangoの中の人から「柿次郎くん、よかったら使ってみてよ。仕事のスタイル的に絶対相性良いと思うから!」とサンプルが会社に届いてですね。まぁ、白羽の矢というか、気に入ったら紹介してよね圧力というか。

 

仕方なく、取材旅行で使ってみたところ…

 

 

感想:このリュックめっちゃ良い

 

 

https://cf.kibidango.com/asset/sp/1e490e73-6e97-4e0a-8dfa-743ec3db397d.jpg

世界的なアウトドアブランドのリュック製作をOEMで引き受けてきたメーカー「FLINK」。旅行、登山、自転車など、使用シーンによって求められる機能は様々ですが、専門性の高い商品開発に携わってきたメーカーだけあって、ノウハウが超溜まっているそうです。いわばリュック製作の職人集団。

彼らが本気を出して自社ノウハウを詰め込んだリュックを開発したらどうなるのか…?

 

その観点で開発に取り組み、これまでに無かった高機能を携えて生まれたのが「SLICKS Backpack」。実際に使用してみた感想をいえば、僕自身が求めていた理想のリュックでした! そうそう、こういうのが欲しかったんだよ!

 

「これは、旅好きの多いジモコロ読者にも自信を持ってオススメできるな…」、そう確信したので「SLICKS Backpack」の機能をスイス人に代わって熱弁したいと思います!

 

先に動画を見ると捗るよ。

 

リュック革命①「スーツケースと同じ構造×大量の収納スペース」

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SLICKSは背負うスーツケースです。

いきなりで意味がわからないかもしれませんが、開くとスーツケースと同じようにパカッと両開きできます。荷物の視認性が高く、管理が楽チン。普通のリュックにありがちな「奥の荷物が取りづらい!」となりません。

 

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取り外し可能な収納ケースが超便利。上部には衣類スペースになっていて、2泊3日分のシャツや下着類が収まります。

 

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脱ぎたてホカホカのリアルな写真で恐縮ですが、これぐらいは軽く入ります。

 

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同じスペース内には使用済み下着を入れられる着脱可能なランドリーポケットも。濡れたタオルやおしっこを漏らしたパンツも隔離して収納できます。つまり、切り離してそのままコインランドリーに持っていけるってこと。便利だな、おい。

 

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入り口はゴム仕様なので「せい!」とブチ込むだけでOK。これは地味に便利…!

 

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さらに下部は、無印良品やトラベル用品で人気の…

 

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吊り下げ式のお風呂セット&化粧品ポーチがスッキリ収まっています!

うおおおお! 個別で使うだけでも便利なのに、リュックの中に収まる構造は斬新すぎる。歯ブラシや洗顔料、化粧品などなど、ホテルに着いたらまず取り出して引っ掛けておけば驚くほど捗ります。

 

https://cf.kibidango.com/asset/sp/cc3c940b-4361-45e7-8192-80b2b3658142.png

 

ちなみにジッパーを完全に開いた裏側にも、収納スペースがたっぷり用意されています。どんだけ〜!!

 

リュック革命②「スーツと靴を収納できる」

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遠方の結婚式やスーツが必要な出張時など、スーツ上下一式の扱いは誰しも困ったことがあるでしょう。僕自身は年中無職みたいな格好をしているんですが、フットワークが重くなるスーツケースの利用は極力避けています。

SLICKSのすごいところは、リュック内にスーツ一式が収まる構造になっている点!

 

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一般的なスーツカバーのように見えますが、三つ折りでたためるようになっていて…

 

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メインの収納スペースの底にグッと押し込むことで、スーツカバーがピタリと収納できます。ハードケースでシワがつきにくいよう設計されていて、初めて見たときは「ここに収まるんだ…!」と正直ビビりました。

ただ、その分全体的な収容力は落ちるため、スーツ収納時は全体的な荷物を減らさないとキツいかもしれません。

 

 

https://cf.kibidango.com/asset/sp/5d5f249f-34ef-4b32-bae6-c47c250036fb.png

かっこいい外国人が使うとこんなにも見栄えします。

 

f:id:kakijiro:20160905233529j:plain

サイドにはシューズ専用のポケットがあります。もちろん革靴を入れることも可能。

僕はかっこいい外国人ではないため、ビーチサンダルを入れていましたが…登山&旅行好きにはビーチサンダルの価値が伝わるはずです! ビーサン最強!

 

さらに…!

 

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/kibidango/nfs/images/Slicks02.gif

「襟ガード付きシャツケース」なんて気の利いたアイテムも用意されています。

 

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さらっと触れておきますが、3WAYバッグ仕様になっています。スーツ姿でリュックを背負うのはちょっと…という人も手提げスタイルにすれば安心ではないでしょうか。僕はどんな格好でも背負うつもりです。常に両手をフリーにしたい信仰なので。

 

リュック革命③ 「利便性を考えたポケット構造」

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「先生、Macbookは入りますか?」

「余裕でMacbook Proも入ります」

 

はい。当然この質問が来ると思っていました。上部からアクセスできるノートブック専用のスリーブがあります。クッション性の高い構造なので衝撃面も安心。

 

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内側の左側には3段階構造の収納スペースがあって、二つ折りにできない書類や雑誌なんかもスッポリ入ります。メッシュのスペースは、アウトドア用のアウタージャケットなんかを突っ込んでおくと便利そう。ざっくり使ってOK!

 

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表側にはスマホ、モバイルバッテリー、名刺なんかを入れておくと便利な小ポケットが。すぐに取り出したいモノを入れておくと便利です。個人的にはここの小ポケットの使い勝手がグッドグッドグッド! 

 

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ある意味SLICKSにしかない構造ともいえるのが、ジッパーでど真ん中をパックリと開くことができる大容量スペース。これは珍しいのではないでしょうか。

 

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こんな感じで何でも突っ込んでおけます。消化不良、神経性胃炎に効く漢方薬も余裕で入ります。押し込めば厚手のダウンジャケットぐらいいけそうです。

大きな靴を入れたり、裏側のメッシュポケットに物を詰め込んだりしすぎると収容力は当然落ちますが、ペットボトルやカメラ、サコッシュなど、「邪魔だから、とりあえず詰めちゃおう!」ってときに便利です。

 

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ちなみに、登山用ザックのノウハウを生かした雨対策のカバーもあるよ!

 

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慣れれば10秒もかからずに装着可能。このリュックを背負って登山はしないと思うので、自転車通勤をする人には便利すぎる機能ではないでしょうか。

 

 

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旅先で使ってみて地味に嬉しかったのが、リュックそのものがハード素材のため、荷台や車の後ろに積んだときに収まりがいいところ。

抽象的な表現になってしまうんですが、普通のリュックって荷物が底に寄ってしまってペシャってなるじゃないですか。SLICKSは元の形状のまま、それこそスーツケースのような状態で積み込めるのが嬉しい。思わずニヤニヤしてしまいました。

 

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公式の機能をまとめた画像。あくまで使用例として考えて、各ポケットや収納スペースは使いたいように使えばいいと思います。

 

まとめ

https://cf.kibidango.com/asset/sp/db5a4de1-efff-451e-81e4-68f58af4123f.jpg

というわけで、スイスのリュック職人がノウハウを詰め込んだ「SLICKS Backpacks」を紹介させていただきました。正直、欲しくなりませんか?

僕自身、自宅にリュックが10個くらいある大のリュック好きで。嫁に「もうリュックいらんだろ!」と怒られるレベルなんですが、「この発想があったのか!」という機能の連続に興奮しっぱなしでした。使いこなすうちに自分にぴったりな最適解のパッキングが見えてくるんだろうなーと。同時にモノへの愛情が強くなっていきそうです。良いプロダクトってそういうことなんでしょうね。

 

 

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まとめるとこんな感じ!

 

●2泊3日の出張、旅行の相棒として活躍すること間違いなし!

ビジネスユース、アウトドアユースの両軸で使い分けられる

新しモノ好きのガジェットおじさん、WEB界隈でもウケが良さそう

熟練者であれば4泊5日〜7泊8日の海外旅行にも使えると思う

個人的には向こう5年ぐらいこのリュックを使い倒したいです

 

冒頭で触れましたが、この魅力的なリュックもクラウドファンディングのプロジェクトが達成しないと、そもそも日本に入ってきません。カラーは「ブラック」「イエロー」の2色。フル装備の価格は36,800円と決して安くはないですが、スーパー早割=32,800円、早割=34,800円とお得な仕組みになっています。

 

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このリュックが欲しい人は、Kibidangoのプロジェクトでぜひ〜。

 

kibi.co

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身の33歳。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

オシャレな中目黒の路地裏に「謎の宿」… 泊まったら現代の「駆け込み寺」だった

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こんにちは。バーグハンバーグバーグでインターンをしている神田(こうだ)です。私は現在宿がなく、会社に泊まったり、マンガ喫茶やカプセルホテルを転々とする生活を続けています。

下宿先の京都から、会社がある東京まで何のあてもなく出てきたので、どこに住むのか全然考えてませんでした。以前は友達の家に居候させてもらっていたのですが、2カ月を超えたあたりで追い出されてしまい……

 

 

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今はネットカフェや会社の会議室に寝泊まりする生活です。そんな行き当たりばったりの生活を続けていた私に、ジモコロ編集長の柿次郎さんが声をかけてくれました。

 

f:id:eaidem:20160818111406p:plain「神田くん、友達に追い出されたんだって?」

f:id:eaidem:20160818111424p:plain「まんまと追い出されました。僕これからどうしたらいいんですかね」

f:id:eaidem:20160818111406p:plain「それなら会社の近く(中目黒)に気になってる宿があるから今度行ってみたら? ご飯食べに行くときに、たまたま『旅荘』って見慣れない看板を見かけてさ」

f:id:eaidem:20160818111424p:plain「ホテルでも旅館でもなく、旅荘……? 泊まれるところなんだろうけど中目黒にそんなとこあるんだ。一度見てみたいんで、案内してください!」

 

閑静な住宅街に現れた古びた建物

 

柿次郎さんに連れられてやってきたのは、中目黒駅からほど近い、閑静な住宅街。本当にこんなところに泊まれる場所があるのか?

 

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f:id:eaidem:20160822111757p:plain「あった! ほら、ここだよ」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「ひょっとしてこの『旅荘 秋元』のことですか?」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「そうそう。中目黒駅徒歩5分の便利な場所に旅荘よ? 今でもやってるのかどうかも分からないし」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「町の景色に溶け込んでいるように見えて、全然溶け込めてないですね」

 

現代的な街並みの中目黒で、ここだけ時が止まったようにぽつんと佇む宿。ここに泊まると二度と帰って来られないような気がします。一体、中はどうなってるんだ……?

 

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玄関は完全に「他人の家」という佇まい。草木が茂りまくり。

 

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玄関に入るといきなり応接間がドーン! 友達の実家に遊びに来たかのよう。年季の入った空間にちょっとたじろいでしまいました。

 

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出迎えてくれたのは「旅荘 秋元」の主人、秋元一浩さん。 

 

f:id:eaidem:20160818111424p:plain「こんにちは。なんだか普通の民家みたいですけど、ここってホントに泊まれるんですか…?」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「はい、泊まれますよ。1部屋=2800円からになります。昭和38年からやっていて、素泊まり専門の格安宿です」

f:id:eaidem:20160818111424p:plain「えっ! 個室で2800円!!? めちゃ安い! ちょっと見せてもらっていいですか?」

 

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部屋を案内してもらいました。人ひとりすれ違うのがやっとの廊下。

 

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全体的に色褪せていて、田舎のおじいちゃんの部屋を彷彿とさせます。

 

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お客さんが置いていった本。一番上にあるのは名作『八神くんの家庭の事情』。

 f:id:eaidem:20160818111424p:plain「部屋の雰囲気すごくいいです! こんな場所が中目黒に残っていたとは……!」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「喜んでいただいて何よりです。」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「実家が畳敷きの部屋だったから、妙に落ち着きますね。部屋の広さも十分だし、これは良い宿を見つけたかも!」

 

 

こういう宿って一体どんな人が泊まるの?

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f:id:eaidem:20160818111424p:plain「いやー、昭和の面影が残る宿ですね。こういった旅荘に泊まるのは、どんな人が多いんでしょうか」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「終電を逃したサラリーマンや地方から出張でいらした人が泊まってますね。もちろん、神田さんみたいに宿無しの人もある程度います。中には2〜3カ月連泊する人もいますね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「なるほど。そういった需要があるんですね」

f:id:eaidem:20160818111406p:plain「終電を逃してここに泊まれるのはいいですね……! 僕は上野周辺に住んでるんですけど、朝まで飲んでタクシーに乗ると中目黒から自宅まで8000円かかります。それなら、ここに泊まって始発で帰ったほうが断然安い」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「今の生活だとマンガ喫茶のフラットシートで寝ることも多いんですけど、ぜんぜん疲れが取れなくて…。だからこの料金でちゃんと布団で寝られるのはありがたいですね

 

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電車の始発の時間と宿泊料金の書かれた張り紙。木造の部屋が2800円で、鉄筋の部屋が3000円。なぜかWi-Fiが入りやすいのは木造の部屋だとか。

f:id:eaidem:20160822111738p:plain 「失礼かもしれないんですが、こういうところって何となく事情があるお客さんが多そうなイメージがあるんですよね。変わったお客さんはいらっしゃいました?」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「そうですね。けっこういろんな人が泊まっていきますよ。あとで聞いてわかったことなんですが、地方から家出してきた女の子とかね。あ、そういえば北朝鮮の工作員の人とかいましたね

f:id:eaidem:20160818111406p:plain「北朝鮮の工作員!??」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「そうそう。端正な顔立ちで物腰柔らかくって、金払いもいいし、あ~良い人だな、とか思ってたんですがある日公安警察が来て

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「家出少女から話が飛躍しすぎてついていけない」

 

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f:id:eaidem:20160818171812p:plain「『我々は公安警察の者ですが、○○っていう人が泊まってるでしょ?』と聞かれて。○○さんはちょうど外出していてそのときいなかったんですけど、『そいつを確保したいから、我々もここに泊まる』ってことになりまして。で、帰ってくるのを待ち構えて捕まえちゃったんです」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「警察の人もすごいですけど、それを何食わぬ顔で話す秋元さんもすごいですね」

 f:id:eaidem:20160822111701p:plain「なんだかドラマみたいでしたね~。なぜ北朝鮮の工作員がいたのか? ちょっと話が長くなってしまうんですが…偽米ドル事件を知ってますか?」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「全然知らないです」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「10年くらい前に100ドル紙幣の偽札が出回ったんですよね、それもかなり精巧なやつ。この偽札は北朝鮮製の通称『スーパーK』と呼ばれていたそうなんです。確保された工作員は偽米ドル事件の主犯格のひとりだったらしいですね

 

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f:id:eaidem:20160822111738p:plain「思ってたよりずっとディープだ」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「北朝鮮の出口機関があるって話もしましょうか?」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「もう大丈夫です」

 

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f:id:eaidem:20160818111424p:plain「家出少女、北朝鮮の工作員ときて、他にはどんな人が泊まってたんですか?」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「もっとすごい人が出てきそう」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「他の人ねぇ……あ、そうだ。207号室に幽霊が出るらしいですよ

f:id:eaidem:20160822111738p:plainもう人じゃなかった

 

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f:id:eaidem:20160818111424p:plain「しかも、207号室って今いるところだ

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「でもここだけの話、すごい美人の幽霊らしいですよ。私は見たことないんですが、もうこの世のものとは思えないぐらいキレイだとお客さんが言ってましたね」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain実際この世のものじゃないですけどね

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「まあそれぐらいキレイだったという話です。なんせ、そのために通っていた人もいるくらいで。最近は幽霊が出たって話を聞かないけど、どっか行っちゃったのかなぁ…」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「美人の幽霊が出るまで通います!」

 

隣にある賃貸アパートの存在

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f:id:eaidem:20160822111757p:plain「窓から見える向かいの建物は、秋元さんがご家族で住んでいるんですか?」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「いえ、私たちは宿の1階に住んでいます。あそこは賃貸で貸してるアパートです。今は季節柄やってないんですけど。見てみますか?」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「ぜひ見たいです!」

 

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f:id:eaidem:20160822111701p:plain「本館の隣がアパートになっています。階段が急なので気をつけてくださいね」

 

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転げ落ちたら確実に死んでしまうほど急な階段。

 

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アパートの廊下、たくさんの人がここを歩いたせいか床は磨かれてピカピカ。

 

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f:id:eaidem:20160822111701p:plain「部屋はご覧の通り、質素な和室です。今は真夏なのにエアコンがないのでちょっと暑いですけど。日貸しもやっていて1日=1,500円。1カ月=40,000円+光熱費です

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「中目黒のワンルームの家賃相場が約7〜10万円くらいだから、4万円は破格の安さだ! 駅にも会社にも近いし最高すぎる」

 

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f:id:eaidem:20160822111738p:plain「縁側もあるし雰囲気めちゃくちゃいいな…」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「神田くんもうここに住まわせてもらいなよ」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「そのときはお待ちしてます」

 

 

中目黒はどういう土地だったのか

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「昔は中目黒にも旅荘はたくさんあったんですが、今ではすごく少なくなっちゃいましたね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「オシャレな街として名高い中目黒に、かつては旅荘が軒を連ねていたなんて想像つきませんね。こちらの旅荘はかなり年季が入っているように見えますが、いつからあるんですか?」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「ウチは東京オリンピックの前からやってますね。西暦でいうと1964年より前かな。そのときはオリンピック特需がこのあたりにも回ってきてたくさんの人が泊まりに来てくれましたね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「当時は確か渋谷公会堂でウエイトリフティングの競技をやってたそうですね。選手村も代々木のほうだったし。ということは結構儲かったんじゃないですか?」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「ま、多少はね。昔の話ですよ。当時は目黒区でオリンピックのボランティアを募ってたみたいで、中目黒の人はほとんど参加してたみたいですね」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「じゃあ東京オリンピックと中目黒ってけっこう密接に関わってたんだ!」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「そうですね。例えば、この宿のすぐそばに駒沢通りってあるじゃないですか。あれって東京オリンピックに合わせてダーッと舗装したんですけど、作業員の人もかなり多く雇ったからね」

 

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こちらが駒沢通り。1964年の東京オリンピックから今なお健在!

 

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「道路工事をする人が旅荘に泊まりに来て、このあたりの経済が潤ったんだろうな~」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「1964年のオリンピックは50年以上も前のことですよね? 昔の中目黒はどんな街だったんでしょうか」 

f:id:eaidem:20160822111701p:plain昔は中目黒に牧場があったことは知ってます? 今の目黒区役所のあたりかな。牧場からアメリカンスクール、その次は千代田生命、最後は目黒区役所になっちゃって」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「そうなんですか! 都会的な街並みの中目黒に、昔は牧場があったなんて想像もつかないですね」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「今は面影もないですからね。でも土地柄なのか土壌があまりよくないそうなんです。特に土が好ましくないって話を聞いたことがありますね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「そんな噂があったんですか!?」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「ええ。だから庭師は昔から中目黒で土いじりするのを嫌がるみたいですよ。実際に亡くなった方もいるとか……いや噂ですけどね。子供の頃は親に『穴を掘るな!』って何度も言い聞かされていました」

 

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正覚寺の境内にある畜牛の供養塔。中目黒に牧場があったことを伝える数少ない史料。

 

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「今は目黒川というとおしゃれスポットですが、昔はどうだったんですか?」 

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「目黒川には工場排水がドバドバ流れ込んでました。川面がぼこぼこ泡立っててねぇ。昔は規制も緩かったですからね。桜の季節には泡と桜が入り乱れてなんとも幻想的な風景でしたね〜!

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「幻想的とか言ってる場合じゃないでしょ!」 

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「それは何十年もこの町を見続けてきた人しか見れない景色ですね! 知らない歴史がぽんぽん出てくる!」

 

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※9月7日現在

 

f:id:eaidem:20160818111424p:plain「ちなみに現在ポケモンGOでは目黒川にコイキングがうじゃうじゃ湧いてるんですがこちらは知ってましたか?」

f:id:eaidem:20160818171812p:plain「それは知らなかったなー。最近川沿いにやたら人がいるなとは思ってましたけどそういうことだったんですね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plainよっしゃ

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「変なところで張り合うな」

 

旅荘を続けている理由とは 

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f:id:eaidem:20160822111738p:plain「改めて考えても1部屋=2,800円は破格の安さですよね。この料金で、儲けって出るんでしょうか」 

f:id:eaidem:20160822111701p:plain儲けは出ませんね~。プラマイゼロで相殺されちゃうくらい。儲けのためではなく、もはやライフワークの一部です」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「もうほとんどボランティア…? そこまでして、なぜ旅荘を続けるのでしょうか」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain寝泊まりできる場所を必要としてる人がいるんですよ。最近は外国の方も増えてまして、観光客の他に出稼ぎの方も多いんです。そんな人たちの間では『困ったら秋元に行け!』って言われてるみたいで。先日も、六本木で行き場がなくなっていた外国人の方がこちらに訪ねてきましたよ」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「誰でも受け入れちゃう懐深さがすごい! 外国人たちにとっての駆け込み寺になっているんですね」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「この旅荘は行き場がない人、居場所がない人の受け皿になってるんです。別に外国人じゃなくても、ワーキングプアと呼ばれる人もいるじゃないですか。そういった人たちはマンガ喫茶でなんとか生活しているわけですけど、それじゃ生きることはできても、仕事先を見つけて人生を立て直すことは難しいんです」 

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「そもそもマンガ喫茶は生活するための場所ではないですからね」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「『秋元』なら、マンガ喫茶と違って住民票を移すことができます。ここで仮住所を得て、真面目に働いて、社会復帰した人も過去に何人もいます」

f:id:eaidem:20160822111757p:plain「そういう場所ってメチャクチャ大事だ! 働いて現状を変えようにも住民票なりを取って、自分が何者かを証明できないと難しいですからね」

f:id:eaidem:20160822111701p:plain「今は居場所がない人たちの生活を支えるための“基盤”となる場所が少なくなっていると思うんです。ウチみたいな古いスタイルの居場所がきっと必要なんです。ここで寝泊まりして、その間に仕事を見つけて巣立っていく。そんな風にしてがんばってる人を応援してあげたいんですよね」

f:id:eaidem:20160822111738p:plain「自分もそうですが、受け入れてくれる場所があるって、とてもありがたいです。誰にだって、帰る場所が必要なんですよね。というわけで秋元さん、今日からさっそく、お世話になります!」

 

 

まとめ

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中目黒という煌びやかな街に現れた古めかしい旅荘。「こんなところ、誰が泊まるんだ?」「なんのためにあるんだ?」なんて思っていましたが、今回秋元さんに話を聞いて、答えが見えてきました。

こういった旅荘は、居場所がなくて困っている人たちにとって、なくてはならない生活拠点として機能していたのです。

 

戸口を開けると、そこには様々な人々の生活と、秋元さんの優しさが広がっていたのでした。

 

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というわけで、僕は207号室を居場所にして今日も会社に通っています。

 

いつか美人の幽霊が現れる日まで……

 

 

 

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それではまた。

 

 

●旅荘 秋元

住所:東京都目黒区中目黒3丁目2(GoogleMapで見る

TEL :03-3711-4553 / 公式サイト

※電話予約のみ可。当日も空室があれば可能

※風呂共同・シャワー有り。冷暖房、Wi-Fi環境もあり

 

 

書いた人・神田匠

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1995年山口県周南市に生まれる。立命館大学産業社会学部に在学中。現在は株式会社バーグハンバーグバーグでインターンをしている。名字の読み方は「かんだ」ではなく「こうだ」。Twitter:@gogonocoda 個人ブログ:たくちゃんのわくわくブログ

60年ぶりに再ブーム!? 新世代の『紙芝居師』は、なぜ今ひっぱりだこなのか?

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ウォッス〜〜!
こんにちは! 株式会社人間の社領です!

 

突然ですが、私の友人に紙芝居師を生業にしている人がいます。

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そう。ご存知、この紙芝居です。

およそ60年前……自宅にテレビが無い時代、子供達が夢中になったのは『街頭紙芝居』でした。現代ではほとんど姿を見ませんが、当時はなんと、全国に紙芝居屋さんが5万人もいたほどの流行りっぷりだったとか!

 

そんな紙芝居が、今みなさんの知らないところで60年ぶりにブームを迎えているらしいのです!

友人の紙芝居師いわく、現在、紙芝居師は引っ張りだこの忙しさで、もはや私たちの想像もつかない新世代の紙芝居が生まれつつあるんだとか……!?

 

ど、どういうことなの!? ということで、メチャメチャ気になっちゃった私は、大阪府にある巨大児童館『ビッグバン』にやって参りました!

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「は〜い! こちらの類人猿みたいな顔の男性が、私の友達のガンチャンで〜す!」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plainHola〜!!みなさん初めまして、紙芝居師のガンチャンです! よろしく!」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「メキシコづいとる〜!今日は根掘り葉掘りきかせてね!」

 

予想の斜め上を行く、ガンチャンのムチャクチャ紙芝居

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ガンチャンは36歳、紙芝居歴6年のプロの紙芝居屋。
一体彼はどんな紙芝居師なのか、まずは動画で見てみましょう!

 

 

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めちゃめちゃ盛り上がってる様子です! 前に立つガンチャン、いかにもな出で立ちの紙芝居屋さんですが…

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大量の松崎し●る!!

 

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合体したピ●チュウとス●ンジボブ!!

 

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「「「「 志村、うしろ〜!!! 」」」」

 

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「だいじょぶだぁ〜!!」

 

f:id:emicha4649:20160908184538p:plainなんか内容ムチャクチャだな!?思ってた『紙芝居』と全然違うー!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「みんなが想像してるような昔話の紙芝居は『教育紙芝居』。俺の『街頭紙芝居』とはまた別物やねん」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「ちなみに! 街頭紙芝居は、もともと戦後の仕事が無い時代に失業者が駄菓子を売って稼ぐために生まれた文化やねん。今『はじまりはじまり〜』って鳴らす拍子木は、大きな音でお客さんを引き止めて駄菓子を買ってもらうための演出やったんやで」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「えええ〜そうだったの!? たしかに、紙芝居って鳴り物が多くて賑やかだよねぇ」

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「だいたい客寄せのためやね。中には、エロ・グロとかの紙芝居もあったんよ」

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「エロい紙芝居〜〜!?!?」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「キャッキャッ!!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「そんなこんなで戦後の娯楽のない時代、街頭紙芝居はすごいブームを迎えたんやけど、そんな大ブームを見て生まれたのが『教育紙芝居』。こっちは一転して、宗教・教育・思想啓発などの真面目な目的のために作られました。

そして、俺が思うに……街頭紙芝居は教育紙芝居に嫌われております
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「え、そんな派閥みたいなのもあるんだ!?」

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「お互いタイプが全然違うからね。教育紙芝居は基本的に"演じ手は裏方"ってルールがあるけど、こっちはその逆やから」

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「なんか、歌舞伎とかの『古典を守りたい派』と『新作やりたい派』の争いみたいだね……。

ガンチャンは、昔話とかのスタンダードなのは演らないの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「ももたろうやったらあるで」

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「なんだ、普通の紙芝居もするんだ!」

 

ガンちゃん作、普通じゃない紙芝居の数々

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「はい、これが俺のももたろうです!」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「……待って。ちっちゃい字で"もてへんからもんくばっかりいう太郎"って……」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「はい、これが『モテへんから文句ばっかり言う太郎』です」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plainブサイク〜〜〜!!!
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「基本的に俺の紙芝居は、一筋縄ではいかない内容を心がけてるねん。例えばこれ、俺のオリジナル紙芝居『ドキドキトキメキストーリー』の一部やねんけど……」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「タイトル、ベタにも程があるね」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「序盤はその名の通り、ロマンスが生まれそうでありながら……」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「中盤では子供が見る紙芝居らしく、食育の話に……と思いきや」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「ヒロインが急成長し」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「最終的に暴れ牛と戦うって流れになるんやけど……」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「メチャクチャだな!!!」

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「メチャクチャな笑いや驚きを入れ込んで、エンターテイメントとして成立するようにしてるんよ。良い意味で期待を裏切る展開で、お客さんの目を離さへんように」

 

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こんなところにも小ネタが!子供達がクイズに正解すると貰える景品の中に、なぜか『ガンチャンブロマイド』……

 

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ふざけてるように見えるけど、意外とアツい思いで作ってるんだね」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「うん。で、これはその思いが頂点に至った時に作った『オゲレツ大●科』っていう紙芝居なんやけど」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plainマッサージ器持ってるがな!
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「お察しのとおり、これはさすがにボツにしました」

 

iPadを使った紙芝居!? 新世代紙芝居の自由すぎる表現方法

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ガンチャンみたいな街頭紙芝居師って、全国にどのくらいいるの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「具体的な数はわからんけど、今どんどん増えつつあるよ。5年前からは全国大会が開催されてるし、大会の盛り上がりもだんだん増してってると思う」

 

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▲静岡県の商店街で毎年行われる『ニッポン全国街頭紙芝居大会 in ぬまづ』の様子

 

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「作風は、泣けるやつから笑えるやつまで、紙芝居師によって様々。表現方法も色んなのがあって、生演奏があるやつ、一家全員で紙芝居するやつ……どんどん発展を遂げてる。中でもiPad紙芝居っていうやつは、文化庁メディア芸術祭で賞を獲ったこともあります」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「えーっ、普通にすごい! 紙芝居でiPad使うんだ!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「で、全国の紙芝居師たちの中で俺が今一番すごいと思ってるのは、マーガレット一家のたっちゃん
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain誰?

 

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▲マーガレット一家のたっちゃん

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「愛知にある『マーガレット一家』っていうグループの一人やねんけど、現在全国大会を3連覇中! 演劇出身で表現力、動き、言葉の選び方が半端ないねん。この人のを見て、自分の紙芝居が変わったもん」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ははぁ、そういう紙芝居界の権威みたいな人もいるんだな」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plainピカさんの顔面紙芝居もすごい。見た目のインパクトが強いし、セットも世界観もかなり凝ってる」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「これは初めて見るタイプ!! 面白そう〜!!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「あとは、兵庫県のキオナさん。綺麗な点描の紙芝居が特徴で、キオナさん自身も前職は戸塚ヨットスクールの先生というすごい経歴の持ち主です」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plainめちゃめちゃ怖い紙芝居なのでは……

 

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▲絶対マイクを使わず地声でやるというキオナさん

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「1個だけ子供に向かって『命吸い取るぞ〜!』って言う部分があって、俺には冗談に聞こえてへん
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「その場で気絶する自信があるわ」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「今そうして紙芝居ブームに火がついてるのは、結局のところ何がきっかけなの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「そうやなぁ。俺は、デジタルの限界がきてるんやと思う」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ちょっと解る気がする! 最近『VR』とか『ポケモンGo』とか、デジタルでもリアルな要素が入ってるものがどんどん増えてるもんね」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「せやねん、デジタルがどんだけ発達しても生身の体験には敵わへんやん。紙芝居には『お客さんと間近でコミュニケーションを取れる』っていうリアルな強みがあるから、デジタル社会に飽きてきた人にうまく響いたのかもしれへんな」

 

紙芝居師の月収っていくらなの?

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「紙芝居師ってけっこう忙しいの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「うーん、まちまちやなぁ……。一応、7月のスケジュールはこんな感じ」

 

  • ・7/1 フレンドマート ビバモール店で口演(大阪)
  • ・7/2 三島楽寿園子ども七夕祭りで口演(静岡)
  • ・7/3 『第五回ニッポン全国街頭紙芝居大会 INぬまづ』に出場(静岡)
  • ・7/7 フレンドマート宇治菟道店で口演(京都)
  • ・7/10  イベント『あたしnight』で口演(東京)
  • ・7/13  取材打ち合わせ
  • ・7/15  産経新聞取材・アルプラザ枚方店で口演(大阪)
  • ・7/17  豊後高田 昭和の町で口演(大分)
  • ・7/22  大阪日日新聞取材、紙芝居制作
  • ・7/24  豊後高田 昭和の町で口演(大分)
  • ・7/25  ブロマイド撮影
  • ・7/26  紙芝居制作
  • ・7/27  紙芝居制作
  • ・7/27  王子神社 夏祭りで口演(大阪)
  • ・7/28  王子神社 夏祭りで口演(大阪)
  • ・7/29  紙芝居制作、イベント打ち合わせ
  • ・7/31  豊後高田 昭和の町で口演(大分)

 

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「おおー! 全国飛び回ってるんだ! でもやっぱり、普通の人よりお休み多いね」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「まぁ、休みの日もやることは色々あるねん。パソコンで営業資料作ったり、景品買いに行ったり、紙芝居はもちろん作らなあかんし」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「じゃあズバッと聞くけど、紙芝居師の月収はおいくら?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「う〜ん……月収は、多い月は40万いくかな。1〜2月はイベント閑散期やから、10万くらいの時もあるけど」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「うわ、そんなにムラがあるんだ〜〜!? 10万で生活できるの!?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「固定費でほとんど飛んでいくから、家賃待ってもらったりしてる」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ガンチャンって36歳だよね……」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「飲み代もないから、友達とご飯行く時は『俺まとめて払うわ』って言ってクレカで払うねん……」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「こんど奢るわ……。 じゃあ月収が40万いくのはいつ頃なの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「時期問わず、オリジナル紙芝居の制作とかの仕事が入ったら結構儲かるかな。最近はブライダル紙芝居とかもやってる」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ブライダルで紙芝居〜!?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「新郎新婦の馴れ初めを紙芝居にして、結婚式で口演してプレゼントするねん。俺、会社と契約してプログラムとして結婚式のパンフに載ってるで!

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ガンチャン、結婚式のオプションになってるじゃん!!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「でもまぁ、紙芝居師は基本的に儲からへん職業やと思うわ」

 

ハローワークで発見した『紙芝居師』という仕事

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この取材を行った日、実際にガンチャンの口演を見ることができました。

笑いどころが多く、子供たちとのコミュニケーションを主としたガンチャンの作品は、その場の子供達みんなを笑いの世界へと一気に引き込みます。

 

f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ガンチャンは、どうして紙芝居師になろうと思ったの?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plainハローワークで見てん
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ハローワーク〜〜〜!?」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「7年前、会社を辞めてハローワークで職探ししてた時に、たまたま『紙芝居師』っていう職種を見つけて応募してん。一座に入って紙芝居の面白さにすっかり取り付かれて、すぐ独立して今に至ります」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「ハローワークに『紙芝居師』って、かなり怪しいと思うんだけど!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「俺も最初疑ったけど、応募してよかったよ。昔は脚本家になりたかったんやけど、脚本家になるにはひたすら作品を作ってコンクールに出し結果を待ち……って、結構まどろっこしいんよね。その点紙芝居は作ったらすぐ人に届けられて、すぐ反応が帰ってくる。天職や! と思ったよ」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「天職か〜。ガンチャンの紙芝居って本人がすごく楽しんでるというか、好きなものをそのまま作品にしてる感じがするよね。これとかさぁ……」

 

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f:id:emicha4649:20160908184538p:plain長さんの顔で『ウォッス』って完全に子供に通じないよね!?
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「いわゆる『子供向け』作品って、作る側である大人の自己満足やと思うんよね。『こういうのが良いんでしょ』みたいな、置きにいってる笑いというか。俺は、『子供向け』で子供がウケてるとこを見たことがなくて
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「なるほどなぁ。まぁ、普通の桃太郎で子供は爆笑しないもんね」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「自分で本気で面白いと思えることをぶつけないと、結局子供達には響かへん。それに、大人も面白がれるネタの方が、その場の全員の雰囲気良くなるやん?」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「確かに、ガンチャンの紙芝居って大人を置いてきぼりにしない!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「見てくれるからには、全員に楽しんで驚いてってほしいし、大人も笑える"攻めたアイデア"で勝負するようにしてるよ」

 

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▲ドリフネタ満載の『妖●ウォッス』にウケる大人たち

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「"攻めたアイデア"って、『人に楽しんでもらうため、スベることも厭わず自分を裸にさらけ出す』こと……すなわちやと思うねん! 俺はその愛で、『紙芝居=むかしむかし』の既成概念を超えたい!
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「うわー! ガンちゃん、愛の化身や〜〜!」
f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「そうです、俺は愛の化身です」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「いま形骸化しつつある日本文化って多いと思ってるんだけど、その考え方はまさにみんなの鏡だと思うよ! ガンチャンは、これからも紙芝居師を続けるの?」

f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「一生やるよ」
f:id:emicha4649:20160908184538p:plain「即答!」

 

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f:id:emicha4649:20160908184539p:plain「夢は、バカバカしいし胡散臭い、けどめっちゃ面白い紙芝居をやる80歳くらいのお爺さんになって死ぬこと。そのためには、紙芝居界の生き残りをかけて今頑張らないと!」

 

さいごの裏話

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実はこの記事の初稿をガンチャンに送った時、ガンチャンはすぐ事務所に飛んできて4時間もの校正に付き合ってくれました

ライター何してんねん!という感じで全くお恥ずかしい限りですが、私には『インタビュー記事を書くとき自分の存在感がゼロになる』というひどい欠点がありまして……(すみません)。

初稿でそれを見抜いたガンチャン、「いつもの面白い社領を見せようよ!もっと攻めれるよ!」と背中を押しにマッハで事務所に来てくれたのです。 

もちろん自分が出ている記事だからというのもあると思いますが、人の面白さを引き出すためだけに単車を飛ばして市内を横断できますか!? 私にはできませ~ん!!

 

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自分の作品だけじゃなく、何事にも「もっと面白くできる」というフィルターを通すガンチャン。こんなエネルギッシュな人が切磋琢磨している紙芝居師の世界、面白くないといえるでしょうか!

みなさん、もし紙芝居屋さんを見かけたら是非ゆっくり見ていってください。そこには個性豊かなアーティストたちの世界が広がっていて、圧倒されること間違いなしです。

 

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ご興味のある方はガンチャン(kamishibaiya@gmail.com)まで!


紙芝居師養成塾『桃の穴』

場所:大阪市生野区
時間:毎週木曜日 18:45〜20:45ごろ

 

ライター:社領エミ(株式会社 人間)

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"面白くて 変なことを 考えている"会社、株式会社人間の書けるムードメーカー。一番好きなコスプレは駅員さんのコスプレ。
Twitterアカウント→@emicha4649

 

読むことは食べること/「言葉の断食」で思考を静かにしてみよう

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読むことは食べることに似ている。

そんなふうに思うんですね。食物も言葉も問答無用で体内に入ってきてしまう。変なものを食べて腹を壊すように、変な言葉を読んで心を壊すこともある。しかし食べることに比べて、読むことの怖ろしさは意識されていないんです。

 

「毎日泥水をすすってますが影響はありません」とか、「毒をジャンジャン飲んでも平気です」と言う人はいないと思います。「モノを食べれば身体に影響が出る」というのは普通のことです。

 

じつは言葉でも同じで、「読んだけど影響は受けない」は不可能で、「読んだから影響を受ける」か「読んでないから影響を受けない」の二択なんですよ。だから自分が日々どんな言葉を「食べている」のかは、自覚しておいたほうがいいと思うんです。無自覚に言葉をバクバク食べてると、腹を壊しますんで。

 

 

妙なものを食べれば腹を壊すのは当然である

 

インターネットが日常に浸透することで、私たちは断片的な言葉を大量に食べるようになったと思うんですね。人は本を読まなくなったと言いますが、これは毎度の食事に昔ほど時間をかけなくなったようなもんです。「いちいちコース料理なんか食ってらんねえ」ということです。

 

「コース料理=書物」ということで、それよりはネットの短い書き込みをポテチ感覚で食べたり、数千字の記事をチャチャッと食べるほうが気楽だという人が増えたんです。それは良い悪いというよりは、単に環境に適応してるだけじゃないかと個人的には思っております。

 

ただ、ネットは書き込まれたものがそのまま載るし、よほどのことがないと削除されない。だからジャンクな言葉もたくさんあるわけですね。だから「ジャンクな言葉は食べない」という発想はあっていいと思うんです。

 

ネットで拾った毒まんじゅうをモリモリ食べて腹を壊してる人はたくさんいると思うんですよ。そんな時は、「読むことは食べることだ」と自分に言い聞かせることをおすすめします。「わざわざ言語的汚物を食うな、便器の水をすすって腹を壊してるようなもんだぞ!」ということです。

 

 

きれいなものばかり食べるのもつまらない

 

ただ、私個人としては、ジャンクな言葉も好きなんですね。十代の頃からネットを見ていると自然とそうなります。ネットは雑然とした場で、ジャンクな言葉もきれいな言葉も平気で同居してるところが魅力だと思うんですよ。「きれいなものしか読まない」ことには、ギトギトのラーメンやカラフルなガムを一切口にしないような退屈さがあるんですね。

 

私はまずネットで大量の文字を読み、次に本の世界を知ったんですが、本の世界はジャンクな言葉の割合がものすごく少なくて、そこに物足りなさを感じたのも事実でした。本の世界で「過激だ!」と言われてるものを読んで、「そこまで過激じゃなくね?」と疑問に思ったりとか。

 

きれいな言葉ばっかり食ってると、すこし刺激の強い言葉を食べるだけでビックリ仰天することになるし、ジャンクな言葉にはジャンクゆえの面白さがあると思うんで、(腹を壊さないかぎりは)いろいろな言葉を食べたほうが楽しいと思います。

 

 

「言葉の断食」をためしていた

 

さて、読むことが食べることならば、「何も食べないとどうなるか?」という発想も出てきます。つまり「断食」です。

この六年、私は社会との接点をぎりぎりまで減らした状態で生活してたんで、金はないけど時間は腐るほどありました。そんな状態で色々と実験してたんですが、そのひとつに「言葉の断食」があります。文字を読まないこと、徹底して読まないことです。

 

これはめちゃくちゃ面白かったです。

 

二、三日でわかりやすく変化が起きました。「頭の中が静かになった」という表現で伝わるか分かりませんが、いかに日々、食べた言葉を消化することに頭を使っていたかを実感したんですね。食べる言葉の量を減らすと、自然と「頭の中を流れる言葉の量」も減るんです。「思考」と呼ばれるものの大半は、じつは「食べたものの消化」なんですよ。だから食べる言葉の量を減らすと、いっきに思考の量も減るんです。

 

もうひとつ面白かったのは、断食中は街を歩きながら「文字だらけじゃん」と感じてたことですね。「文字を食べない」と意識することで、結果的に街にどれだけ文字があふれていたか気づかされたわけです。

看板、広告、表札、とにかく文字だらけです。電柱にも文字、地面にも文字、視線をこにやっても文字がある! スーパーなんかに入ると大変で、商品のパッケージをはじめとして、あっちもこっちも文字だらけ。だから10分程度の買い物でも大量の文字を食べることになります。げっぷが出ます。

 

こんな状況で平気で暮らしてたのか、と不思議でした。

 

 

食べた言葉が思考を作る

 

10日ほど断食を続けていたとき、本屋で雑誌を立ち読みしてみました。ひさしぶりの「まともな食事」というわけですが、言葉がどんどん体内に侵入してくる感覚があって面白かったです。ひさしぶりに物を食べたときの食道がグッと押し広げられる感じ、と言ったら伝わるでしょうか。

 

そして本屋を出たあとも、読んだ文章が頭のなかでグワーッと消化されてるのが感じられるんですね。たいてい、人は読んだそばから文章の大半を忘れていて、印象に残った部分(面白かったところ、疑問に思ったところ、イラついたところなど)を頭のなかでクチャクチャ噛んでるんですが、そのプロセスを体感しました。

 

食べたものが身体を作る。同じように、食べた言葉が思考を作る。普通、このプロセスは無自覚です。だから人は気づかないうちに「どこかで読んだ言葉」を喋ってるんです。ちなみに「受け売り」や「うすっぺらい言葉」というのは、食べたものがそのまま出てきてることです。咀嚼と消化がないわけです。

 

ということで、普通に暮らしている場合はなかなか難しいとは思いますが、一日か二日でも「言葉の断食」を試してみるのは面白いと思います。とくに「わけもなくイライラする」場合や、「頭のなかの言葉が止まらない」場合、食べる言葉の量を減らしてみるか、自分がどんな言葉を食べているかを反省してみるといいです。気づかないうちに、変なものを拾い食いしてるんじゃないでしょうか。

 

以上、本日は「読むことは食べることだ」という話でした。それではまた。

 

<過去のコラムはこちらから!>
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ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

 


「あずきバー」が硬すぎて井村屋に乗り込んだ話

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 そんなわけで…。

 

 

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しばらく待ってみたところ…。

 

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うんめ。

 

 

漫画描いた人:カメントツ

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仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi

現代の妖怪「消耗のバケモノ」を知っていますか?

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こんにちは、ライターの根岸達朗です。 

数年前にブロガーのイケダハヤトさんが、自身のブログのタイトルを「まだ東京で消耗してるの?」に変更し、地方移住しました。当時も今も「東京=消耗」という視点に賛否の声はあるけれど、事実「消耗している人もいる」のが東京という街です。

満員電車に揺られ、身を粉にして働き、疲れ果てて家に帰るだけの毎日。何のために働いているのかわからない。何のために生きているのかわからない。夢や憧れが詰まったはずの都会で、目には見えない現代の妖怪「消耗のバケモノ」に食い尽くされそうになっている人があまりにも多いと僕は感じています。

 

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実はその答えを導くためのヒントが、最近読んだこの一冊のなかにありました。

 

都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡 (光文社新書)

都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡 (光文社新書)

 

 

 

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著者の高橋さんは1974年、岩手県生まれ。岩手県議会議員を務めていましたが、社会のひずみが露呈したとも言える2011年の東日本大震災を機に、岩手県知事選に出馬。

被災地270キロを徒歩で遊説するという魂の選挙戦を展開し、惜しくも次点で落選しました。その後事業家として食べ物付き情報誌「東北食べる通信」を創刊。現在はその編集長を務めています。

 

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東北食べる通信』は、東北の生産者が育てた食べものを、その食べものが育った背景も見える形で消費者に届けるというもの。講読料を支払うと、毎月東北の一次産業の現場を取材した大型紙と、野菜や魚などの生産物がセットで届くという仕組みになっています。

2016年9月時点で、全国36カ所の土地から「◯◯食べる通信」が誕生。所縁のある土地を知るきっかけとして広がっているようです

 

 

生産者と消費者はSNSで双方向に結ばれ、イベントなどのリアルの場でも交流を深められるようになっているのも特徴のひとつ。消費者と生産者が親戚付き合いのような深い関係性に発展しているケースもあるそうで、なかには収穫が思うように進まない生産者からの呼びかけで、全国から数百人もの購読者が自腹で現地まで手助けにいくといった「小さな奇跡」も生まれたというから驚かされます。

 

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高橋さんが、この新しいメディアとでも言うべき『東北食べる通信』でやろうとしているのは、現代の「生産者と消費者の分断された関係」を人間の根源的な活動である「食」を通じてつなぎあわせること。

食べものの裏側をすべて丸見えにすることで、消費者と生産者、都市と地方が混ざり合う、新しい社会の形をつくろうとしています。

  

 

本書は『東北食べる通信』というこれまでになかった仕組みを生み出した高橋さんが、大都市の消費地などで命を持て余す都市住民の苦悩や、顔の見えない相手に食べ物を作り続けてきた生産者の消耗など、震災後の5年間で見聞きしてきたことをまとめ、そこから導き出された思考をぎゅっと凝縮して詰め込んだもの。現代人の「消耗」を生み出す要因としての、

 

「大量消費社会」への戦いとでも言うべき一冊なのです。

 

こういうテーマは説教くさくなってしまいがちで、伝えるのがむずかしいことはわかっています。でも、誰にとっても大切な「食」と向き合い、魂を込めた活動をしてきた高橋さんが、今この時代に警鐘を鳴らしていることについて、もっとみんなで考えてみたい。ジモコロ的にもかなりチャレンジングな内容ですが、僭越ながら筆を取らせていただいた次第です。ぜひ最後まで読んでみてください。

 

前置きが長くなりましたが前編は、都会に巣食う「消耗のバケモノ」の正体について。「食べる通信」の読者でもある柿次郎編集長を通じて、高橋さんに話を聞かせてもらいました。

  

●登場人物

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain東北食べる通信を立ち上げた偉い人。元岩手県議員。旅人のように全国各地を巡って、その土地の老若男女の声を聞き続けている。

f:id:kakijiro:20160914113138p:plainフリーライター。1児の父。東京生まれ東京育ち。多摩地域に居を構えて、都心と地方のバランスについて日々考えている。

f:id:kakijiro:20160914113343p:plainジモコロ編集長。上京して約7年。東京に出てきたおかげで何とか頑張れているが、都会の生活にやや疲れがち。地方の魅力に気づいてきた。

 

走り続けることをやめられない社会

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f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「今日はよろしくお願いします。まずは、単刀直入に聞かせてください。『消耗のバケモノ』っているんですか?

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「うーん。むずかしいんですけど、強いて言うなら……」

 

自分のなかにいます。

 

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「自分のなかにいる」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「はい。バケモノを探してどこにも見当たらないっていうか。結局、自分自身が求めてきた豊かさが逆説的だけど自分を苦しめているという、現代人のジレンマですね」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「豊かになろうとしてきたことが、裏目に出ている?」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「はい。資本主義社会というのは、走り続けることをやめたら途端に倒れる仕組みになっています。だから、求め続け、走り続けなくちゃいけない。でも、求めたら奪わなくちゃいけないし、今を犠牲にして生きなければいけない。家族と過ごす時間、好きなことに費やす時間、健康を維持するための時間とかも犠牲にして」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「確かに都会生活って、めっちゃ疲れますよね。満員電車も異常だし。いろんな人に出会える利点は確実にあるとは思うんですけど……」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「すべてが過剰でついていけないところがありますよね。それでもみんな頑張ってるんだけど、そもそもが何かを犠牲にしないと成り立たない社会の仕組みになっているから、どうしてもしんどいという」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「お二人ともなかなか消耗してますね(笑)。人類が生まれてから、拡大成長っていうのは基本的な考え方として常にありました。広げていけばいいんだ、増やしていけばいいんだということで僕らはずっとやってきたわけです。でも広げていく生き方っていうのは、必ず何かを犠牲にしないといけない。自然環境もそう。自分の体もそう。本当にそれでいいのかってことなんですよね

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「あれ?って思った人たちは、きっとそれを無意識的か意識的かは分からないけど感じていて、虚無感を抱いたりするのかもしれません」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「現代人が陥る『消耗』の一因にはなっているでしょうね。僕は、都会生活者の仕事における虚無感の背景は、いくつかの型に分けられると思っています」

 

都会の仕事における『虚無感の分類』(書籍本文より一部抜粋)

 

◆存在意義喪失型

仕事が細分化されて、自分は巨大なプロジェクトの駒のひとつでしかないと感じる。自分がこの仕事に携わる必要性が感じられない。

◆やりがい喪失型

パソコンの前でひたすら数字だけを追っていて、実態に触れたり現場を経験したりすることがないので、自分が何をやっているのかわからなくなる。

◆正義希求型

自分がやっている仕事は自然や他者を搾取した上に成り立っていることに気づき、後ろめたさを感じる。 

 

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f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「思い当たる節、あります?」 

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「……ありますね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「これって、どれも食べていくことが精一杯の発展途上国ではありえない悩みです。豊かな社会を実現したがゆえの成人病みたいなものです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「なるほど。今はそうやって消耗しきった人たちが、揺り戻しのように、地方移住とか自然回帰という流れに向かっているように思います。多分、高橋さんの本で言うところの『ふるさと難民』の人に多いのかもしれないのですが」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「はい。僕は人間のふるさとって、命を育む『土』と『海』のことだと思うんです。だから『土』と『海』から離れてしまった生活をしている人のことを、僕は『ふるさと難民』と言っています。田舎のあるなしは関係ないんです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「これって都会の人に特に多いとは思うんですが、地方都市に暮らしていても働き方、暮らし方次第ではそうなるというか、都会に限った話ではないですよね?」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。地方にも『ふるさと難民』はいます。自然から離れすぎてしまった人はみんなそうでしょうね。でも、そこで考えてみてほしいのですが、人間って自然の一部じゃないですか

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「人間は自然の一部」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「はい。私たちは本来的に自然の一部で、それ以上でもそれ以下でもないですよね。何千年もそうやって生きてきて、近代化で自然と離れたのはここ数十年の話。だから自然のなかにいて、自然に寄り添って生きるのが、一番自然な形なんです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「確かに、単純に自然のなかにいるだけで気持ちいい〜って思います」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「音楽フェスに人が集まるのも自然が気持ちいいからですよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうなんですよね。でも、そうやって気持ちいいと感じさせてくれたり、恵も与えてくれる一方で、人の命を奪うような災害も起こす。それが自然です」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「日本は特にそういう厳しい自然とともに生きてきた土地柄でもありますよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「はい。でも、現代社会はどうにかして自然をコントロールしようとしてきました。自然を排除して、コントロールして、思い通りにならないのはいやって感じで。でも、それって無理なんですよ。そこにひずみが生まれてる」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「人間が自然をどうにかできると思ってはいけないけど、都会にいるとそれを忘れてしまう、考えさせないようにしてしまうところがあるような気がします」 

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「いろいろ考えちゃうな〜!」

 

都会の方が一見「自由」に見える罠

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f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「ただ僕は都会をすべて否定しているわけじゃありません。利便性を追求してきた都会は、買い物や飲食をしようと思えばありとあらゆる店がそろい、時間帯も気にせずに欲求を満たすことができる。医療も充実しているから、いざというときの安心感もある。これらは今なお、人が都会に魅了される理由のひとつにもなっているでしょう

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain確かにクルマが生活必需品にならざるを得ない田舎暮らしとは違った、ある種の快適さはありますよね。人も多いからそれだけチャンスの多い場所でもあると思いますし」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plainはい。ただ、都会はそういった便利さを得た一方で、自由を無くしてしまった。自由っていうのは本来、自分の力で生きることです。でも、都市の消費社会は生きる根っこを誰かに押さえられている状態。みんな自分で食べ物をつくることなく、顔の見えない誰かがつくった食べ物を食べている。だから、いざというときに自分の力ではどうにもできなくなってしまったんです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「それでいうと、5年前の震災をすぐに思い出しますよね。物流が止まって、街から食べ物が消えたときは、みんなものすごく不安そうだった。都市の仕組みがいかに脆くてヤバいかっていう」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「生活のなかに生きる根っこを持たないということは、極端な話、何かあったら死ぬということです。でも、田舎はまだ根っこの一部を自分たちの手から離していません。その点では僕は田舎のほうが自由で、安心感があると思うんです」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「難しいことはよくわかんないですが、目の前にある都会的な生活を否定して、それ以外を考えることって大変ですよね」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「実際、根っこを持たないことに『不安』を感じるような人はみんな地方に向かっていますし、それに気付くかどうかは大きいんだと思います。なにより都会の暮らしではお金で物質的な穴埋めをするしかなくて、その結果『消耗』を招いているような気もしていて」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「しかも、その物質も満たされ尽くしました。今はほとんど余白がないのに、企業はなくてもいいものに無理やり価値をつけてモノを売ろうとしています

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「確かに『こんなのいる?』っていうものでも売らなければいけないっていうか。ひどい話、売ってる方も『いらなくね?』って思いながら売ってる可能性ありますよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「基本的に消費社会っていうのは、広告とデザインの力で耐用年数が残ってるものを捨てさせるんです。それを突き詰めていった結果、余白がなくなって、こんな飽食の時代なのに『食えない』なんて話にもなるのです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「消費社会にがんじがらめにされている……? 実際、消費社会の外側に出ようとしているような食べ物や商品を選ぼうとすると、都会はものすごくコストがかかる。一方で大手コンビニの食料品はクオリティが上がる一方で、値段も安い。消費者がついそれを選択してしまうのもわかる気がしています」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「実際、セブンイレブンの惣菜はめっちゃ美味い」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「見方によっては物質的な豊かさが極まって、次のステージになっていると言ってもいいのかもしれません。でも、そうなるとやはり新しい病にもかかるわけで」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「新しい病。それは昔と今では『消耗』の形も違うということですか?」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。たとえば高度経済成長の時代は、今を犠牲にしてでも物質的に満たされていくことで、便利になったし、それで豊かさを感じられた。未来があったんですよね。でも、今はそうじゃない」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「今の社会って日本人にとって未体験ゾーンの領域に突入しすぎているというか、それに対して適応障害を起こしてるような状況なんでしょうね。今こそ『自分はどう生きるか』ということを考えなくちゃいけない……」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain>「太陽浴びるとか、風を感じるとか、土に触れるとか。異常にハードル高く感じちゃいますよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。僕はまず、極端に離れてしまった『自然』と接続し直すことが大切だと思っています。人間が土と海から離れたのって、長い歴史から見たらそう昔の話じゃないですから、もう一度、やればいいんです」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「極端かもしれないけど、都会のマンションのベランダにプランターを置いて野菜育ててみるだけでも違う気がしますよね。家で発酵食品を仕込むのも『自然』と接続することだと思っているし、僕はそんなんでだいぶ都会でもリラックスした生き方できるようになったので」

f:id:kakijiro:20160914113343p:plain「根岸さん、発酵おじさん化して表情変わりましたからね。あるんでしょう。自然との接続という点では、都会と地方の一次産業の現場をつなぐ『食べる通信』がまさに取り組んでいることですよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。僕は都会にも地方にも暮らして、どちらの良いところも具合の悪いところも見てきました。だから今こそ双方のいいとこ取りをしたい。それは『食』を通じて『都市と地方をかきまぜる』ことで実現すると思っています

  

「否定」の世代と「希望」の世代 

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f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「僕は現代の『消耗』が適応障害のようなものだとするなら、自然と接点を持つと同時に、自分の生き方を見つめ直すというか、それなりに重めのマインドセットが個人レベルで必要になってくるなあと思うんですよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。僕も同じだったんですが、今の30〜40代くらいの人たちっていうのは、一回自分の生き方を否定しないといけない世代だと思います」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「自分よりも上の世代から刷り込まれてきた部分がすごく大きいっていうか……」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「それはありますね。物質的な豊かさを求める社会の価値観にまみれているから、そこにひずみが生じている今の時代に消耗するんでしょう。価値変化の境目で揺れる世代です」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「じゃあ、見方を変えて、今の10代20代の若い世代はどうでしょうか?」

 

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f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「僕は議員時代から『車座座談会』という取り組みをやって、多世代の声を聞き続けてきましたが、若い世代は旧来の価値観に凝り固まってないし、世の中を見る目も冷静だなあと。だから、希望なんですよね

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「若者たちは希望」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「そうですね。若者たちのなかには、地球環境のことを考え、今の消費社会に疑問を抱いて、素直に自分のできることから行動している人もいます。そうした人が今の成熟した社会から生まれているというのが微かな希望なんですよ」

f:id:kakijiro:20160914113138p:plain「確かに、現代の大量消費社会をどうするか、ということを考えたら、地球大統領みたいな人がいないと無理なんじゃないかという気がしてきます。小さくても一人ひとりができることをやっていくって大事ですよね」

f:id:kakijiro:20160914113156p:plain「僕はそのときに一人ひとりが北風じゃなくて、太陽になるといいと思っています。何かを『すべき』と声をあげても世の中は変わらない。だから自分が輝く。その連鎖を広げていく。実際、今の大量消費社会の外に出ようとする生き方の方が、圧倒的に楽しいんですよ」

 

まとめ

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都会人が消耗している理由はひとつではないけれど、それが今の自分の生き方、考え方にあると思えれば、あとは「自分を変えるだけ」。

自分が消耗する理由を、電車が混んでるから、上司が使えないから、世の中の仕組みが腐ってるからとか、自分以外の何かのせいにするのは簡単だけど、それじゃ結局何も変わらないんですよね。

 

今を変えたいのなら、まず自分が変わる。

 

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遠く離れてしまった自然を受け入れ、自分が気持ちいいと思える生き方を、自分のなかからつくっていくことができれば、きっと少しずつ自分も、周りも良くなっていくんでしょう。

もはやどうにもならないほど大量消費社会が巨大化している今だからこそ、「敵は我にあり」の精神で「消耗のバケモノ」に向き合っていく。都会と地方をしなやかに繋ぎ合わせる知性と行動力もまた、これからの時代にはますます求められていくのかもしれません。

 

都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡 (光文社新書)

都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡 (光文社新書)

 

ちなみに冒頭でご紹介した高橋さんの本、 ものすごくいいことが書いてあるんですが、新書ということもあり、本屋さんの書棚に残っていけるかどうかは、あと数日の売れ行き次第だそうです。

現代の大量消費社会に一石を投じている本が、大量消費社会に飲み込まれていくという凄まじい状況ですが、もし興味あれば高橋さんの本、買ってみてください。

 

中身の濃さは保証します。

 

 

書いた人:根岸達朗

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東京生まれ東京育ちのローカルライター。ニュータウンの端っこで子育てしながら、毎日ぬかみそをひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

友達と起業しようと思っています - 日本一「ふざけた」会社の社長がマジメに答えます(29)

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ハンドルネーム「ゴード」さん からのお悩み

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都内で働く27歳のサラリーマンです。大学時代の友達たちと起業したいと考えています。

話もわりと現実的なところまで進んでいるのですが、そもそもこういう感じで友達と一緒に仕事をするって大丈夫でしょうか? 色々と問題が起きないか心配です。

また、全員で一気に起業するのは難しいと思うので、起業メンバーはごく少数になると思うのですが、どういう風に選ぶべきでしょうか。

ご助言頂けましたら幸いです。

 

シモダテツヤの回答

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僕の会社も友達同士で起業し、その後入社した社員もほぼ全員友達みたいなものなので、目的さえしっかりと合致しているのならそういった起業も良いと思います。

ただ、誰がリーダーかはハッキリさせておくのと、自分も含めてメンバーの長所と短所を相互理解しておくことは大事です。

僕の場合「朝起きれず毎日遅刻する」という弱点があったので素直にそれを共有したら、わりと芯の部分で信用されないという実績を作ることができました。

できないことをできないと言うのも勇気が必要ってこと、わかってほしいですよね。僕にだけ優しい世の中がくるのを切に願っています。

 

さて、「どのように社員を増やしていけばいいでしょうか?」とのことですが、単純な話、先がどうなるかわからないドベンチャーにジョインしてくれるとなると相当な覚悟を持ってる人間か楽観主義者でないとやっていけないと思うので、最初はそういう人を優先して採るでも良いかと思います。

僕の会社にも、覚悟を決めすぎて起業する1年前に前職を退職して1年間無職で起業を待ったバカがいましたが、たぶんその間マヨネーズしか食ってなかったと思うので、覚悟と一緒に計画性という当たり前すぎるスキルも持ってる方のほうが良いと思います。

また、採用するということは毎月確実に人件費が発生するということなので、しっかりと社員の給料は払えるような体制になってから雇うようにしてあげてください。

僕の場合、社員の給料はギリギリなんとかなったのですが、自分の給料をカウントすることが上手くできてなかったので1年間給料ゼロでマヨネーズな生活を送ることになりました。

翌年、所得税の納税額がめちゃくちゃ低かったときに、喜びよりも目頭にシズル感を覚えるほどの悲しみが襲ってきたので、社長は覚悟だけでなく計画性という当たり前すぎるスキルも持ち合わせておかなければいけません。

 

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あなたのお悩みもお待ちしております

書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【賃貸】「仲介手数料0円」のサービス誕生!? 貧乏漫画家をマジで引っ越しさせてみた

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6月某日 渋谷区内の不動産屋

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f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「えー、そんなわけで我々、株式会社ホワイトハウスとしては、不動産仲介手数料が完全無料でサービスを展開しておりまして。ぜひ地元に根づいた活動をしているジモコロさんでPR記事を書いていただけないかと……」

 

 

f:id:eaidem:20160702181803j:plain

嫌です

 

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「えっ!嫌とかあるんですか!? 仲介手数料が完全に無料の不動産仲介はニーズも絶対にあるはずですが……!」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「僕、不動産仲介業者さんって、言っちゃあなんだけど全然信用してないんですよ。過去にオトリ物件に騙された事もあるし……」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「確かに、業界全体として問題を抱えてる部分はもちろんあると思うんですね。でも我々はそういう不動産仲介のグレーな部分を払拭して業界を変えて行きたいと思ってまして……」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「だって、仲介手数料が完全無料って、逆にうさんくさいですよ。どうやって利益あげるんですか」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「正直に言うと、まだ利益の目処は立ってません

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain立ってないのかよ。それが余計に怖いんですって!タダほど高いものはないって言うし!」

 

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「そこをなんとか……!」

 

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「えーー。仲介業者のせいで嫌な思いをした人はかなり多そうだしな……。ヘタに宣伝したくない……。手数料ゼロで、今後はどういう見込みを考えてらっしゃるんですか?」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「例えば、引っ越しの時ってインターネット回線を見直したりしますよね? あれを電気屋さんで申し込みすると、ネット回線業者さんから電気屋さんにインセンティブが支払われるんですよ。だから、引っ越しの時にネット回線も同時に我々に申し込んで頂くことでインセンティブで利益を得るとか。保険の免許も持ってますので保険の見直しとかも並行してやることで利益は得られるかな、と思っております」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「でもそれだと、引っ越す人に『ネット回線入ってくれなきゃ仲介しません』とか『保険見直せ!』ってしつこく迫ったりしてトラブルになったりしないかなぁ、っていう。ご時世柄ヤバいですよ」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「それは絶対にしない事をお約束させていただきます!あくまで引っ越しの際に『ご一緒にどうですか?』っていう、通り一遍のご案内をするくらいのつもりです。あとは、広告付き物件というのが最近はあるんですね。『この物件が成約に至ったら、家賃の半月分を仲介業者に支払いますよ』と。その辺りの仕組みを活用して利益を確保したいと考えております。我々みたいな小さな会社は、大手ができないことで勝機を見出すしかないんです」

 

 

f:id:eaidem:20160702184048j:plain

ですので何卒よろしくお願いします……!

 

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「oh……!一回メールでも断ってるのになんというしつこさ……!

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「正直言って、我々としても実験的な試みなんですよ。会社として他の事業もしていまして、そちらで利益は出ているのでとりあえずのところは赤字でも大丈夫です。お客様が増えて、契約数が増えてくれば1件あたりのコストも減らせると思いますし。まず知ってもらうことが一番なんです」

 

 

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 「わかりました。やりましょう!

 

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「ありがとうございます!」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「ただし、とりあえず読者の人に約束するのは無料期間は最低半年、つまりは2017年の3月いっぱいまでっていう事にして、そこから先は『利益がうまく出なかったら手数料をいくらか取るかも』くらいに最初から言っておきましょう。そのほうが誠実だと思うので」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「わかりました!」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain前フリが異常に長くなった。なんなんだこの企画」

 

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「この条件だとどう考えても儲かる気がしないんだけど大丈夫かなこの人……」

 

  

実際に引っ越ししてみよう

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そんなわけで洞口さんに良物件を探してもらいつつ、

  

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こちらに今すぐにでも引っ越したい漫画家・カメントツを用意しました。

今回はこのカメントツをホワイトハウスさんの仲介で、マジ引っ越しさせたいと思います。

 

引っ越したい漫画家:カメントツ

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仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi

 

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「そもそも、なんで引っ越したいんだっけ」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「今居候している家に改装工事が入っちゃって、家で漫画描いててもドッカンドッカンうるさくて気が狂いそうです

f:id:eaidem:20160726204621p:plain「ちなみにどういう物件が良いの?」

 f:id:eaidem:20160726204624p:plain「そうですね。騒音に悩まされてるのでやはり防音と、後は漫画を描くので荷物とかも多くて作業スペースも必要なので広い部屋だとありがたいです」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「よしよし。今日はそんな君にピッタリの物件をみつくろってきたから楽しみにしててください」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「やったー!嬉しい!」

 

 

六本木の高層マンション

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まずは六本木方面に向かいます。

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「おーい!カメントツくーん!」

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「広っ!なにこれ!」

f:id:eaidem:20160726204621p:plain「広い部屋が良いって言うのでヤケクソみたいに広いリビングのお部屋をご用意しました。これで漫画も描き放題!」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「あとは騒音にお困りという事だったので、防音がしっかりした部屋を選びました。これはかなり良い物件ですよ。セキュリティもしっかりしてますし、築年数もそれほど経っておりません」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「なるほどーねーーー!」

 

 

f:id:eaidem:20160702211809j:plain

 

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「ほら見て。バカみたいなサイズのオーブン!鳥の丸焼き、一気に4匹くらい焼ける!」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「誰が焼くんだよそんなもん」

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「大容量の食器洗浄機もあるし……」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「自炊しないので食器も使いません」

 

 

f:id:eaidem:20160702212011j:plain

 

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「この部屋はなんですか?」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「ウォークインクローゼットですね。服の収納はバッチリです!」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「僕、洋服も5着くらいしか持ってませんよ」

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「いやー、バルコニーからの眺めも最高やね。ここに住めば?」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「いや、最高なのはわかるんですけど、ここって肝心な家賃はいくらなんですか」

 

  

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「134万円」

 

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「殺すぞ」

 

 

今度は東横線沿線で探そう

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月に134万円は払えないそうなので、もう少しお手頃な物件を探しに来ました。

 

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中目黒駅から徒歩10分の好立地。家賃は月に7万円です!

間取り図で見れば充分な広さに思えるが…

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「うーん、全然悪くない物件なんですけど、134万円の家見た後だとギャップがすごいですね」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「でしょ。不動産屋さんって最初にダメな物件を見せて、限界までハードル下げた後、最後に良い物件を持ってきて契約させるって言うじゃん。アレの逆をやることで冷静に判断できるようになるかな?って。愛があふれた親心みたいなものなんよ」 

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「完全に余計なお世話だろ」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「でも別にここでも良いじゃん。ここにしとこうよ。探すの面倒だし」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「露骨に面倒臭がるなよ」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「そうですね。悪くない物件ではあるんですけど、ただ一点問題がありまして」

 

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f:id:kakijiro:20160715203953p:plain隣の家に思いっきり工事の予定が入ってるんですよね

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「工事の音が嫌で引っ越すのに…また工事予定の隣に住んでどうするんですか」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「やっぱりそうですよね……」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain却下!

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「えー」

 

 

ヤバすぎる祐天寺57000円の物件 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「えーっと。諸事情で外観の画像が載せられません。中に入る前から分かってたんだけど、この物件はちょっとナシかもしれないですね」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「そうですね。個人宅の庭みたいな所に建物が建ってますもんね。部屋に大家さんの荷物らしきものがめちゃくちゃ散らかってるし」

 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「そうそう。玄関も共有だからほぼシェアハウスだし、そもそも部屋が明らかに傾いてる

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「はい。畳も腐ってるような…。あと内見しに来たらいきなりガラッと窓があいてすごく怖い顔したおじさんに睨まれました」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「でも逆にこういう所に住んだら面白い経験がたくさんできるかもしれないよ。階下のおじさんが夜中にバット持って襲撃しに来るとか」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「その経験をどうやって面白がれって言うんですか」

 

4件目は憧れの「学芸大学駅 徒歩1分」で69000円!

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「カメントツくんは、本当にワガママだな…。今日内見する最後の物件だけど、若者に人気の学芸大学駅徒歩1分! 家賃69,000円! これ、完璧じゃない??」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「これまで散々騙されてきたので全然信じられません。あ!でもよく見たら共益費込みで75,000円じゃないですか」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「それぐらい許容範囲でしょ。それでも安いぐらい」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「とりあえず家の中を見てみましょう」

 

 

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f:id:eaidem:20160726204621p:plain「おー!部屋全体が明るいし、キッチンもキレイ!」

f:id:eaidem:20160726204624p:plain「これまでと比べると、かなり整った感ありますね」

 

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f:id:eaidem:20160726204621p:plain「風呂好きには欠かせない追い焚き機能も!」

f:id:eaidem:20160726204624p:plain「これは加点ですね」

 

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f:id:eaidem:20160726204621p:plain「クローゼットのスペースもあるし、一人暮らしには十分じゃない?」

f:id:eaidem:20160726204624p:plain「エアコンもしっかりありますね」

 

 

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f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「これ、完全にアタリやろ。むしろ安すぎるし人が死んでるのかも」

f:id:kakijiro:20160715203953p:plain「死んでません」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「ただ、家賃75,000円は少し予算オーバーなんですよね……。どうしよう……」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「カメントツくん」

 

 

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 「言っておくけど、学芸大学には美人がめっちゃ多いんやで……?」

 

f:id:eaidem:20160728105259j:plain

「えっ、マジですか?」

 

f:id:eaidem:20160726204624p:plain「じゃあここにします」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「よし!じゃあキマリ!洞口さんあとは頼んだー!」

 

そして2週間後・・・

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「まさかマジで引っ越し費用がないとは思わなかった。決めてからお金貸してはずるい。なんで僕がそこまでしないといかんのだ…」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「ヨッピーさんのおかげで騒音地獄から解放されました。ありがとうございます!お金はもっと売れたら絶対返すので!」

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「出世払いかよ」

f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「引っ越して1ヶ月経ったんですが、正直な感想も述べておきますね。今回は勢いで決めてしまったんですが、やはり住んでみるといくつか問題は出てくるもので」

 

●住んでから気づいた「悪い点」

・雨が降ると排水溝からの臭気がのぼってきて台所が下水の臭いになる
・物件自体が古いせいかコンセント数が少ない(4口しかない)
・駅チカすぎて快速電車が通ると家全体が揺れる

 

●逆に今回引っ越して「良かった点」
・ホワイトハウスの洞口さんは「漫画家」という信用ゼロの僕のために審査面で本当にがんばってくれた(普通にいったらダメだったかも)
・駅チカで揺れるけど、東急の電車は騒音がほとんどない
・改札まで徒歩30秒だし、単純に広いし、住環境はいい感じ
・取引先の会社も近いし、漫画家友だちの家も近い
・コインランドリー、スーパーが目の前なので洗濯機と冷蔵庫買わなくていい

 

f:id:kakijiro:20160715204027p:plain「なるほど。100%満足できる物件なんてなかなかないもんね。満足したかったら、よほど高い家賃の家に住むしかない」

 f:id:kakijiro:20160715204417p:plain「そうですね。妥協できるところ、譲れないところをハッキリ持っておくのがいいかもしれません」

 

 

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そんなわけで学芸大学にマジ引っ越ししたカメントツですが、無事に楽しい新生活を送っているようです。

今回の企画では運よくカメントツくんは良い物件に出会えましたが、物件探しには皆さんも色々と苦労した事があったりするのではないでしょうか。

そこで今回「ゴネ王」と呼ばれるレベルで数々の不動産仲介業者と戦ってきた僕の、「良い物件を探すノウハウ」について語る事で締めさせていただきたいと思います!

 

●ゴネ王の引っ越し理論その1「仲介業者の選択権は自分にある」

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まず大前提として知っておいていただきたいのですが「不動産仲介業者をどこにするのか」については自分に選択権があります。仮に良い物件を見つけたとしても、仲介業者の対応が不誠実であったり、納得のいかない料金の上乗せなんかが行われた場合なんかは即座に別の不動産仲介業者さんに切り替えましょう。

別の業者さんの所に物件の情報を持って行って「これ、仲介して頂けますか?」って聞けば9割くらいの物件はイケるはず。「その仲介業者しか持ってない物件」も確かにありますが、数は多くありません。納得がいかないようなら別に仲介業者に頼むのもひとつの手段!

この記事を見た人が「ホワイトハウス、ダメじゃん!」ってもし思ったらとっとと別の仲介業者さんに行くのが良いよ!洞口さんが頑張ってくれるはずだけど!

 

 

●ゴネ王の引っ越し理論その2「引っ越し準備には十分な期間を取る」

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サラリーマンの転勤に伴う引っ越しなんかだと準備期間がどうしても限られてしまうのですが、逆に言えばそれ以外のケースはちゃんと準備期間として2カ月くらいを見ておきましょう。

更新の機会に引っ越す、などのケースであれば事前にタイミングがわかっているわけですから前もってしっかり準備するべき。何故なら引っ越しまで時間がないと足元を見られるからです。「あと一週間で引っ越さなきゃいけないのに条件に納得がいってない…」みたいな状況でも契約せざるを得なくなるので。駆け引きをするために必要!

十分な期間がないと契約書の中身もしっかり確認出来ないしね!

得に退去時の敷金なんかは『1ヶ月償却』とか書いてあると綺麗に住んでも敷金は丸々帰ってこない契約なので要注意や!

 

●ゴネ王の引っ越し理論その3「自転車を使え」 

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いきなり頭が悪くなった感じですが、これには理由があります。家賃に大きく影響するのが「駅からの距離」。逆に言えば駅から離れれば離れるほど、どんどん家賃が安くなるようになっています。

「それだと通勤、通学が大変じゃ……?」って普通は考えがちですけど、そういう時は自転車をフル活用しましょう。徒歩15分の距離も自転車なら5分。マンションなら駐輪場が併設されていることも多いでしょうし、駅の近くにも月極の駐輪場があるものです。

月に高くても2000円程度で契約出来るはずなので、家賃が下がる分を考えたら駐輪場代を払った方がむしろ安くなる。雨が降った時は「さすべえ」なんかを活用すればよっぽどの大雨じゃない限りはイケる。「中心部から離れた駅の駅近」より、「中心部寄り駅の駅遠」に住んだ方が何かと便利やで! あと徒歩15分の距離になってくると最寄りの複数駅が利用可能になることもあるので、その観点で物件探しをするとグッド!

 

 

 

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というわけで、少しでも費用を抑えたい人は仲介手数料0円の「ホワイトハウス」を選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか? 

http://whitehouse.tokyo/

※2017年3月末までの期間限定!

 

<広告主>

株式会社ホワイトハウス

 

ライター:ヨッピー

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大阪府生まれ。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)

 

スケベ心で片道3時間…飛騨市図書館の「官能小説ライブ」に参戦してきた話

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愛知県に住んでいるサラリーマンライターのzukkiniです。趣味は飲酒。特に警察24時を観ながら飲む酒は最高です。

そんな無趣味で刺激のない暮らしをしている僕ですが、8月27日(土)15時30分…まだまだ夏真っ盛りの青空に見守られながら、岐阜県飛騨市を目指して車を走らせてきました。

 

目的はこれ

 

hida.keizai.biz

 

「図書館での官能小説朗読ライブ」

 

図書館司書が閉館後の夜の図書館で官能小説を朗読するそうなのです。

舞い上がりました。飛騨市がどこにあるのかなんて気にもせずにマッハで参加を決めてきました。おいみんな聞いたか、司書だぞ!と愛知県全域で仲間を集めましたが、みんなシン・ゴジラを観に行ってしまいました。

 

だけどそんなことより、愛知県に引っ越してきて1年半経つというのに僕は知らなかったのです。岐阜県の広さを。とりわけこの「飛騨市」ってのがめちゃくちゃ遠いって事を...。

  

1.岐阜県意外と広いゾ問題

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ライブには生まれて数回しか行ったことの無い僕が、この度数年ぶりに参戦するライブ。本題に入る前に「とにかく移動で疲れた!」っていう話をどうしても伝えたい。僕の苦労を謹んでおシェアしたいのです。

 

 

僕が住む愛知県からは気軽に行けるはずの隣県・岐阜県でありますが、それを南北に縦断しようとすると余裕で3時間かかる事を僕が知ったのは出発直前。皆さんに知ってほしいのだけど岐阜県は広いのです。長野県の影に隠れて分からなかったけど、縦に長く、飛騨市っつーのはその最北端なのだ! 

 

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そんな岐阜県を官能小説の朗読聴きたさに片道3時間かけて縦断する34歳・子持ちの悲しい横顔。最近では子持ちシシャモでももっと端正な横顔をすると言われております。

 

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北上するにつれ日が徐々に落ち始め、「富山」「福井」と言った普段馴染みのない北陸地方の地名が現れ始めるといよいよ遠くに来たって感じ。

僕を支えていたのは図書館司書の官能小説朗読が聴きたい、その強い気持ちだけだったのです。

 

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標高は高くなり8月でも気温は21℃、過ごし易いというより肌寒い!

景色がいい。温泉に入りたい。寒い、パーカーが欲しい。松屋のトン汁が食いたい。

それでも...!僕は図書館司書の官能小説朗読が聴きたいのです。

 

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3車線は2車線になり、最後は1車線。

日は落ち始めすっかり夜に。

  

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その様な訳でございまして、片道3時間の長旅を経てようやく目的地である飛騨古川に到着したころには夜の7時。予定では明日は子供と公園に。

 

「日帰りだから帰りの体力も残しておこう」

 

とてもじゃないがスケベな気持ちにはなりそうもない。

 

2.飛騨市図書館、会場入り!

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飛騨市図書館は閉館間際。

 

 

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ウォウウォウやっとるかね? なんて雰囲気とは程遠い普通の図書館が持つ静粛なムードの中で、本日のイベントをお知らせするこの看板を見て「マジでやるんだ」とドキドキ。

 

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会場は閉館後の飛騨市図書館。

閉館後の図書館というのも、これはこれでなかなか貴重な体験なんですが、当然の様にだーれもいないわけです。

 

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7年前に開館したとあってとても綺麗な館内。明るい木の風合いを生かした温かく、落ち着いたデザインです。

飛騨市民約2万5千人のためのこの図書館は、コンパクトながらも狭さを感じさせない心地よい空間でした。 

 

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さーてイベント会場!

 

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コーヒーが無料で振舞われるなど、何だかカフェの様なお洒落な雰囲気すら漂いますね。ジジイなので最近では黒板とアルファベットが揃うだけで反射で「カフェだ!」と言ってしまいます。

来場者の年齢を見ていくと、下は高校生から上は80歳ぐらいのおじいさんまで。男性が多いものの、一人で来た若い女性も見られ思っていたのと違う雰囲気です。

最年少と思われる高校生に「ねえ、何で参加したの」と単刀直入に尋ねるとめちゃくちゃ警戒されたのか目も合わさずに「若気の至り」のコメントをだけ貰えました(まぁ、車で3時間かけて来た俺の若気の至り具合にはかなわんぜ!)。

 

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イベント開始が近づくにつれ館内は徐々に緊張感が増していくわけですが開始直前にはなんと飛騨市長もこのイベントへ電撃参戦。

「市長も朗読か!?」とザワつく会場、色めく市民。市民でなくとも期待が高まる!

飛騨市は今謎の熱気で最高潮!!!!

 

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しかし!!

この日持参した私物の官能小説用語表現辞典での熱心な予習もむなしく!

 

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この日読まれたのはいわゆる官能小説では無かった...!

だけども、もはやそんな事はどうでも良くなっており、会場のこの異様な雰囲気の中で僅かでも、僅かばかりでも...! 「スケベな本が朗読されればそれでよい」と、一人で緊張しながらそんな事を思っておりました。

 

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会場は開始直前でこの通り、満席どころか定員オーバー。

 

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見てよこのスレイブたちを!

アリーナ、スタンド、立ち見...これは朗読ライブならぬ朗読フェスだ!

いよいよ始まるヒダ・ロウドク・フェスティバル!(上手くない!)

 

 

3.ついに開幕!前代未聞の図書館・官能小説朗読ライブ!

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例え読まれる本がフラ○ス書院でなくとも、図書館司書による画期的な試みであることには変わりなし!

 

 

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老若男女のオーディエンス、言葉には出さないまでもみんなドキドキしているであろう不思議な一体感の中、ついにギグがスタート。しめやかに、それでいて大胆に...!

 

 

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一人目は堀さん。図書館司書は3年目だ!

ご趣味は「水族館」らしく、職場も図書館なので僕の予想では館ひろしも好きだと思います。そんな堀さんの好きな本は「書評大全」(三洋堂)とのこと。調べてみたけど調べてみたけど難しくて全然分かりませんでした!

 

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読まれたのは「短編小説H」(徳間書店)から姫野カオルコ著『正調・H物語』。濡れ場あり吐息ありと今回の3作の中で最も攻めた作品。高校生! 若気の至りでやってきた高校生ィ、大丈夫か!とチラ見すると背筋を伸ばしてゴクリと凝視しておりました。

 

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二番手の村田さん。このお仕事1年目にしていきなり官能小説ライブの大舞台に参戦!

「森絵都さんの『DIVE』『リズム』など青春系の本が好き」という村田さんが、この日は「溺レる」(文藝春秋)から川上弘美著『可哀相』に挑戦。

難しい作品でしたが見事に攻略! 堂々とした読みっぷりで飛騨市図書館の未来は明るいゾ!

 

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トリを勤めるのは西倉館長。

趣味のバンドではギターとヴォーカルをやっていると言う館長、ライブ活動は慣れたもの!今日はいつものギターを谷崎潤一郎「刺青」に持ち替えてのステージです。

好きな作家は山田詠美、片岡義男、花村萬月と、僕と趣味が合うぜ館長!

 

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8時に始まったイベントはあっという間に終了時間をむかえました。

 

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終了と同時に肩の荷が下りたお三方にもようやく笑顔が。

 

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こうして飛騨市図書館のチャレンジングな試みは無事終了。

初めて訪れた街の皆さんと一緒に過ごした貴重な時間。とても素晴らしいものでした。

 

 

4.館長に話を聞いてみた!

館長、なぜこんなイベントやったんですか!

と言うワケで今回のイベントや飛騨市図書館のこれまでとこれからについて西倉館長にお話を聞いてみました。

 

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通常業務の後のイベント終了後という大変お疲れの中、「お写真を..」と近づく僕の様な不審者にも笑顔で対応。本当にありがとうございました!

 

 

(1)今回のイベントについて

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f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「イベントお疲れ様でした!そこでズバリ聞きたいのですが『官能小説朗読ライブ』をやろうと決めた理由はなんでしょうか?」

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「企画としては以前から持っていましたが、肝心の読み手が見つからず困っていました。しびれを切らした私が『私たちで読まないか?』と言って話を進めました」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「最初から皆さんが朗読する予定ではなかったんですね!具体的にはいつ頃、どなたが企画を思いついたんでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「昨年春、『おとなの時間』企画当初からです。企画は担当の堀です」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「今回は飛騨市長さんも参加していらっしゃいましたが、市長公認イベントだったのでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「企画書は市長までは回覧していませんでしたが、Facebookでイベントページをつくったところ、いち早く『参加する』を押してくださいました

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「すごい!そういえば会場でも80歳ぐらいのおじいさんが『フェイスブックで見て知った』とおっしゃっていました」 

 


 

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座席に配られた手作りのマスクも官能ムードを盛り上げたゾ!

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「今回朗読された著書はいわゆる『官能小説』ではありませんでした。タイトルは色々と悩まれた末のタイトルだったのでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「いえ。タイトルは『官能小説朗読ライブ』でなければだめだと思っていました。『朗読会』でもだめなんです。『ライブ』なんです。実際に行なったことは『小説の朗読』なので、図書館では王道のイベントだと思います。だからこそ、タイトルやコンセプトを良い意味で『図書館っぽく』なくすることで、イベントとして関心を集めたいと思いました

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「なるほど。そういう意味では今回のイベントは、ネットを中心にかなり話題になりましたね。率直なご感想はどうでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「思っていたより大きな話題となり、読み手としては相当怖気づきました。でも誇らしいです。地方の普通の図書館でも話題を作ることができるんだ!という気持ちです」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「今回の3作品を選ぶときは悩みましたか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「悩みました。話題性を生むことだけに満足しないで、自分たちが本当に良いと思う作品を読みたかったので。読み手がそれぞれ自分の読む作品を選びました」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「僕だったら舞い上がって話題性追及しちゃう...!」

 

 

(2)「おとなの時間」について

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「この『おとなの時間』ですが、いつからはじめた企画なんですか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「昨年6月からです。ネーミングは私のアイデアでした。」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「始めたきっかけは何でしょうか。」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「もともと『こどものじかん』という事業があり(親子で気兼ねなく読書を楽しんでもらうため、時間を限定して館内にBGMを流す)、それなら大人の時間もあってもいいのでは、ということではじめました。」

 

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おとなの時間以外にも色んなイベントが用意されている

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「『おとなの時間』で今までに取り組まれた催しはどのようなものでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain『JAZZ NIGHT@飛騨市図書館』では地元のミュージシャンによるジャズのライブ演奏をしたり、『art gallary BOOK LOVERS IN THE ARTS』として大型の画集を開いて展示したり、図書館全体をアートギャラリーにする企画を行いました。あとは、モンブラン→山岳の本、フィナンシェ→その語源からお金の本、などスイーツメニューにちなんだ本の紹介もしました」

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「すごい!精力的に企画を実施されているのですが、どういう流れで企画され、承認されるんでしょうか」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「司書同士や町の人との会話の中で思いつくことが多いです。担当者を決め、担当者が内容を詰めて企画書を作り、教育委員会で決裁が下りたら開催します

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「恥かしながら図書館がこんなに色々イベントやってるなんて知らなかったですよ」

 

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図書館だって来館者をただジッと待っているだけではないのだ

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「ところで『おとなの時間』の説明には『20代~40代の若者利用者をターゲットに』とありましたが、この年代をターゲットにしたのは何故でしょうか」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain図書館の利用統計を見るとその世代の利用が少ないです。でも本当は、本などの文化・知識や人との新しい出会いを一番求めている世代でもあると思います。図書館こそ、その『出会い』のある場所でなければと思い、その世代をターゲットにしました」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「図書館の中に『社会人専用席』というスペースを見てこういうの初めて見たのでイイなって思いましました」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「『社会人専用席』は、テスト期間になると学生で席が埋まってしまうので設けた席です」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「特に夏休みなんて図書館が学生さんで埋まっているからありがたいですね。僕の場合は図書館ってどうも学生さんのモノってイメージがあるんで、歓迎されていると分かるだけで足が向くと思います」

 

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あの話題の本だって図書館にはある!

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「そんな『おとなの時間』ですがここまで回を重ねるまでに、運営などで苦労されたことはありますか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「図書館としての通常業務を行いながら企画や準備をしなければならないので、忙しいですね」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「通常業務の中で別の仕事もやろうとすると大変ですよね。職員の方はそんなに多くないように見えました」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「当館では9時から20時の開館時間を毎日6~7人で回しています。でも、楽しいという気持ちの方がずっと大きいです!」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「楽しいっていうのは一番の原動力ですね。僕も楽しくなければ片道3時間も運転しなかったと思う...」

 

 

(3)今後について

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「これからやってみたい企画はありますか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「野草や地元伝統工芸の『山中和紙(さんちゅうわし)』、この地域の地酒、また『飛騨の匠の技』と呼ばれる建築技術など、飛騨市のものをフィーチャリングした企画を考えていきたいです」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「よその図書館関係者も来ておられました。普段から図書館同士で交流したり情報交換がされているんでしょうか?」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「今回は図書館情報に敏感な方にお越しいただきました。情報交換というより図書館がそれぞれ情報発信し、アンテナの高い図書館関係者がそれを拾っている、という印象です。形式的な集会は定期的にありますが、もう少しゆるくて濃い図書館同士のつながりができれば、図書館界はもっとおもしろくなるんじゃないかと思います」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「うーん、近くの図書館がこういうイベントを定期的にやってくれたら嬉しいですもんね。逆にやっているのに発信されていなかったり、僕らが気付いていないだけだったら勿体無いなぁ」

 

 

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もっと近くの図書館に行ってみよう、人知れず何かヤバいことやってるかもしれないゾ!

 

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「色々教えて頂きありがとうございました。最後になりますが、せっかくなんで次の企画の告知をお願いします!」

f:id:disco-ninja:20160920221541p:plain「はい。10月22日(土)のおとなの時間で『魔女の集い』を行います。飛騨河合に住む魔女が野草を使った魔術を伝授。今月は珈琲の代わりに野草茶を振舞います」

f:id:disco-ninja:20160920221546p:plain「なんだそのヤバそうなイベンツは! また片道3時間掛けて行かねばーーーー!!!!」

 

 

 

 

書いた人:zukkini

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四流情報サイト「ハイエナズクラブ」で会長を名乗っています。長所、特技、趣味等は一切無く、ただ性格はとても明るいです。ブログ「ぼくののうみそ・x・」、twitterアカウント→@bokunonoumiso

「AIには絶対真似できない仕事だ」印刷界のレジェンド・熊倉桂三が語る職人論

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シュッ…シュッ…シュッ…シュッ…

 

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ウィン…ウィン…ウィン…ウィン…

 

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ウォン…ウォン…ウォン…ウォン…

 

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パサッ……

 

 

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こんにちは! ライターの根岸達朗です。

今日は、ジモコロのフリーペーパーの印刷をお願いしている「山田写真製版所」(富山県富山市)に来ています。

 

 

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有名作家の写真集や作品集の製作を数多く手がけるこちらの会社。作り手のこだわりを受け止め、美しい作品を生み出すことで知られる印刷・製本のプロ集団です。

富山といえばYKK? いや、YPPもあります!

 

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会社の玄関に飾られている写真。写真越しに伝わるのか分かりませんが、白黒印刷にも関わらず、蕎麦の立体感や職人の手のシワがくっきりと描かれています。

 

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こちらの動物のイラスト。左右で白黒を反転しているようなんですが、緻密な印刷ってここまでできるんだ…と驚くばかりです。

 

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今回、ジモコロのロゴや紙版を手がけたデザイナー・中屋辰平くん(写真右)と一緒に、素朴な疑問をぶつける予定なんですが…。

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「いやーそれにしても、ジモコロのフリーマガジンつくって、紙には紙でしか出せない美しさや味わい、手に取れる喜びがあるなーってすごく感じましたね。今後につなげていくためにも今日はいろいろ勉強したいな」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「そうですね。紙の仕事もするなら、印刷のことは知っておいて損はないと思います!」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「あ、ちなみに僕は印刷のこと全然わかってないから、話についていけなくなったら中屋くんフォローしてね。頼りにしてます」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「キン肉マンで言うところのミート君のポジションですね。わからなくなったらWikipediaで調べるので任せてください!」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「……(こいつ、大丈夫か?)」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「ちなみに今回、山田写真製版所さんのご厚意で『印刷界のレジェンド』に話を聞けることになりました」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「え、そうなの??」

 

 

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熊倉桂三(くまくら・かつみ)

1947年東京生まれ。日本のグラフィック界をリードする伝説的なプリンティング・ディレクター。亀倉雄策、田中一光、石元泰博など、名だたる巨匠たちと仕事をし、名作の数々を生み出す。現在は印刷の楽しさや魅力を伝える「熊倉セミナー」を各地で開講。次世代のデザイナーと印刷のエキスパートを育てる活動に尽力している。

 

写真界の巨匠・篠山紀信さんの作品集などを数多く手がけている熊倉桂三さん。プリンティング・ディレクターとして数々の功績を残してきた印刷界のレジェンド!

90年代に絶頂期を迎えていたキムタク葉月里緒菜さんの写真集も手がけており、話題になっている写真集のクレジットをみたら、熊倉さんの名前が載っている……なんてことも全然ありえます。

 

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ちなみに今回の取材に同行した編集長は、増刷したばかりのフリーペーパーの仕上がりが良すぎて、目を開けたまま絶命しました。以後の写真に映り込む編集長は亡霊か何かの類だと思うので、気にしないでください。 

 

大陸文化を起源とする「印刷」の歴史

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「今日は遠いところまでお疲れさまでした。それではこれから皆さんに僕の印刷講義を受けてもらおうと思います」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ありがとうございます。先生、お手柔らかにお願いします!」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「じゃあいきなりだけど僕から質問。『印刷』って、何でしょう?

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「えっ……いきなり逆質問!? 印刷の『印』は印象の『印』だから……」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「うんうん。『印』のつく言葉にはほかに何がありますか?」

 

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「印鑑の『印』ですかね」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そう! 印鑑も印刷のひとつ。つまり、印刷というのは、同じものを大量につくることなんですさすがデザイナー、筋がいいですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「いきなりスマートな回答しないでくれる?」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「フォローしてって言ってたくせに」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「じゃあ、印刷の原点でもある印鑑の起源はどこにあるか。答えは中国です。紀元前の話ですね」

 f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「えー紀元前! でも、印鑑を押すとなると紙が必要ですよね。その時代って紙はあったんですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「いや、そのときはまだ木とか動物の皮を紙の代わりに使っていました。その後、中国の蔡倫(さいりん)という人が実用的な製紙法を確立して、そこからシルクロードを通ってヨーロッパに流れていったのが洋紙に、朝鮮半島を経由して日本に流れてきたのが和紙になったんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「へー勉強になるなあ。日本に入ってきたのはいつ頃なんですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「聖徳太子の時代だから、7世紀頃ですね。そこから改良をしながら、湿度の高い風土にあった丈夫な紙をつくっていく。これが和紙の原点です」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「なるほど。外国から入ってきたものを、自国流にブラッシュアップしていくのは日本人の十八番って感じがしますね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「和紙文化が発展するきっかけをつくったのは、聖徳太子の功績のひとつといってもいいでしょうね。日本に大昔の古文書が結構残っているのは、丈夫な和紙があったからだとも考えられます」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160824155053j:plain

 f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「でも和紙って今は高級な紙というイメージで、一般的に使うものじゃないですよね。なんで使われなくちゃったんでしょう?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「明治時代に洋紙が入ってきて、手仕事でつくる和紙は生産効率が悪いということで、どんどん衰退してしまったのがひとつの理由ですね。機械化の波にのまれたと言ってもいいでしょう」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「そういえば、ドイツから印刷技術が入ってきたのもその頃ですよね。日本の印刷は明治時代が大きな転換点だったと言ってもいいと思います」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「中屋くんの詳しさすごいな。じゃあそれ以前の印刷ってどういう感じでやってたんですかね。日本ならではの方法ってなかったんですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「江戸時代までは基本的にはほとんどが模写です。印刷的といえば、凸版印刷のやり方そのままでつくる『浮世絵』がありますが、あれは枚数が少ないのでどちらかといえば作品の部類に入るでしょうね。印刷というのは、同じものを大量につくることですから」 

 

「要素」の掛け合わせで無限に広がる「印刷」の奥深さ

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「では次の質問に移りましょう。印刷には5大要素があるんですが、なんでしょう? これがないと印刷はできません」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「え、5大要素? うーんと……」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plainインク、紙、マシン、元原稿……」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ちょ…待って! わかった! お金! お金です」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「あっはっは。まあそれも大事だけど、最後のひとつは『版』ですね

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「………」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「印刷は『版』をつくってそこにインクをつけて、紙などに転写するんですよ。だからどういう『版』にするかで、仕上がりも全然違ってきます」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825094238j:plain

ジモコロフリーマガジンの版。この版にのせたインクをゴムブランケットという中間転写帯に転写したのち、紙に印刷する。これを『オフセット印刷』という

 

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印刷機の中身はこんな感じ。ゴムブランケットに黄のインクがのった状態

 

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「ハイデルベルグ スピードマスター」というドイツ製の印刷機。定価はなんと5億円以上!

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「じゃあ、版は大きく分けて何種類あると思いますか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain『凸版』『凹版』『平版』『孔版』の4種類です

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「!?!??」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「正解」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「……完全に劣等生の気分」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「現代の印刷物のほとんどはこのいずれかの版を使っています。すべてに特徴があるからできれば覚えておきましょう」 

 

凸版(とっぱん)印刷・・・インクのつく面がほかの部分よりも出張った版をつかって、紙などに押し付ける形で印刷する技術。力強い印象が出る。「活版印刷」とも呼ばれる。

凹版(おうはん)印刷・・・版を削り込んでできた溝の部分にインクを入れて紙などに転写する印刷技術。写真や美術印刷に向いているとされる。別名「グラビア印刷」。

平版(へいはん)印刷・・・「オフセット印刷」と呼ばれる、現在もっとも主流の印刷技術。版のインクを一度ゴムブランケットという中間転写体に転写したのち、紙に印刷する。精度の高い画線を短時間で大量に印刷できるのが特徴。

孔版(こうはん)印刷・・・版に大小の孔(あな)をあけて、そこにインクを通して印刷する方法。昔は版にシルクを使ったことから「シルクスクリーン」とも呼ばれる。曲面などにも印刷できるのが特徴。

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「一言に印刷とは言ってもいろいろあるんですねえ」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。印刷はこれらの技術を先の要素とどう組み合わせるかなんですよね。無限の組み合わせがあると言ってもいいでしょう」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「確かに。紙ひとつとっても、ものすごい種類ありますもんね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「はい。ファンシー系とかマット系とか、とにかく膨大な種類があります。しかも印刷する素材が布だったり、フィルムだったり、ガラスだったりということもあるんです。インクだって既存の色にないものは『特色』という形で特別に調合するんですよ」

 

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膨大な紙の見本帳。これ以外にもめちゃくちゃたくさんある

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「すごいなあ。じゃあ、印刷のプロはそういう組み合わせの引き出しをたくさん持っていないといけないわけですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。だから、奥深いですよ。でもこうした引き出しを持っていた方がいいのは、デザイナーや作家も同じなんですよね。印刷のことをある程度知っておかないと、本当に作りたいものって作れないですから

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「わかります。僕も学生時代に印刷のことを勉強しといてよかったと思ってます。でもそのときに学んだことって、現場に出てはじめて血肉になっていったんですよね。やっぱり実践で得られる学びは大きかったなと」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「具体的には印刷所とのやり取りとかそういうときに活かせるものなのかな?」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「それはありますね。特に印刷物の仕事ってデザイナー1人ではできないじゃないですか。印刷会社にどれだけいいバトンタッチができるか。そのための知識を持っておくって大事なんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。紙のデザインをするなら、印刷の知識は必要ですね。ちゃんとした知識を持っていれば、予算をかけなくてもすばらしいものをつくることができますから

 

最後に頼りになるのは「人間の目」と「感性」

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「次は色の話をしましょう。RGBって知っていますか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「昔、ゲーム機にRGBケーブルっていうのがあったような」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「RGBというのは『光の三原色』ですね。R=レッド、G=グリーン、B=ブルーバイオレットのこと。普段、私たちが見ている世界の色です。テレビやパソコンのモニターもRGBで表現されています。でも、印刷の世界は違います」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「え、違う?」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「印刷は『光の三原色』と仕組みが違うので、RGBを『色分解』してCMYKにする必要がありますね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「色分解!? ちょっと頭の処理能力が追いつかなくなる可能性あるけど、落ち着いて、ゆっくりいこう」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「………(スラムダンクの仙道みたいなこと言いだしたな)」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「じゃあわかりやすいところで、たとえば次の写真。見比べてどう思いますか?」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825134341j:plain

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「左のお刺身の方が色鮮やかでおいしそうです」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「左は対象物に合わせた『色分解』を考え抜いて印刷をしたもの。右は『ジャパンカラー』という既成のフォーマットを使って、単純に色を置き換えて印刷したものです」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ほ、ほう……」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「『色分解』の仕方でこんなにも違いが出るんですね。RGBをCMYKに置き換えるのは、ソフトのボタンひとつでできることなんだけど、そんな単純な話じゃないっていう」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ええと……RGBはわかったけど、CMYKっていうのは?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plainCMYKは『色の三原則』のこと。C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラックを意味していて、別名『プロセスカラー』と言われています」

 

※プロセスカラーとは?

プロセスカラーとは、印刷物において、基本となる4色のインキの組み合わせによって色を表現すること、またそのようにして表現された色のことである。 4色は、「CMYK」と略して表現される。プロセスカラー - Wikipedia

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ああ!『色分解』っていうのは、画面上の色RGBを印刷用の色CMYKに置き換えることなんですね。でもそれには技があると! わかってきたぞ!

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「……根岸さんに笑顔が戻った」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「この色分解は印刷屋によってそれぞれのやり方があって、技術なんです。僕も『熊倉カーブ』と名付けた独自の変換スタイルを持っていて、それを使いわけながら印刷物に合わせて色を置き換えています」

 

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自らの目で印刷物の色味をチェックする熊倉さん。1%の微妙な色味の違いにも気付く感性が求められる

 

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キーボードのようなインクの色味台。それぞれの番号は印刷物を帯状に分割した位置に対応しているので、それぞれの位置に必要なインクの量を見極めて、濃さを調整する

 

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CMYKのプロセスカラーで表現できない色は「特色」となる。複数のインクを調合してつくりだす

 

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「『色分解』は門外不出。秘伝のタレみたいなものですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「その例え、わかりやすいね。食材によってそのタレにもいろいろあるわけか」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「紙の印刷物っていうのは、その手触りも含めて、五感でその良さを味わうもの。だから、そういうものをつくるにはやっぱり『人間の目』と『感性』が必要なんです。これはテクノロジーが進化しても、機械やAIには絶対に真似できない仕事だと思っています

 

100%の仕事ができるまで

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「いやーそれにしても、たくさんの作品集がありますね。このあたりはみんな山田写真製版さんで手がけたものなんですよね?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。ただ僕の仕事はちょっと特殊なのも多くてですね。たとえばこれとか」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「ん、これは? 同じモチーフの写真が2枚並んでいますけど」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「それぞれを見比べてどう思いますか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「左の方が全体に黒の濃さが際立って見えます」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。左の写真は右の写真の状態から墨を何度も重ねて、より深い『黒』を出そうとしたものです。現代の写真印刷の最高技術と言われる『プラチナ・プリント』に、あえて従来の技術で対抗するというもので、結果的に『プラチナ・プリント』に間違えられるくらいのものになりましたね」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「わーこれ、めちゃくちゃすごいですよ。墨を何度も乗せるなんて、やろうと思ってもできることじゃないです。たとえば、新人の作家さんの作品集制作でこの仕様を提案したら『お金がものすごいことになりますけど』って笑って却下されると思います」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「へえ。こういうのって、巨匠レベルじゃないとできない印刷なんですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「コストもかかりますので、まあそうですね。しかもこれ、実は印刷の常識じゃ考えられないことしてるんですよ。普通、インクの濃さって1〜100%まであるとして、CMYKの総量が340%以上の濃さは事故が起きるからやってはいけないとされているんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「印刷機の負荷もすごそうですよね……」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「はい。でもこれ、何%だと思います?」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825140612j:plain

「400%です」

 

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「圧倒的ラスボス感。戸愚呂弟よりすごい」

f:id:ONCEAGAIN:20160905092528p:plain「こういう印刷は普通デザイナーがお願いしても、無茶な話なのでお断りされます」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「うちは高級印刷を謳っている以上、中途半端なものは作らないというポリシーがあるんですよ。お客さんに感動してもらうためにはどうすればいいかということを常に考えているので、ときには常識から外れたことでもやるんです」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「熊倉さんの仕事への情熱、すごいですね。これはやっぱり優れた作り手たちと仕事をしてきた経験から生まれたものですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そうですね。僕はありがたいことに、大先生と呼ばれるような人たちとずっと一緒に仕事をさせてもらってきました。当然ながら彼らに中途半端なものは通用しません。何かあれば徹底的に追及されます。それに応えないといけないという仕事をしてきたから、自分自身に妥協がないんですね」

 f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「自分自身に妥協がない……沁みる言葉です」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「それに、巨匠たちと仕事をして『本当にいいもの』を知ることができたのもよかったですね。料理もそうだけど、おいしいものを食べないと味の違いってわからないじゃないですか。印刷も一緒なんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「確かにおいしいものを知ると後戻りできない感じありますよね。カウンターで食べる寿司知ったら、中途半端な回転寿司に満足できなくなるのと同じで」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102454p:plain「そういうものですよね。でも、僕は今でも100%納得した仕事ってできてないんですよ。みんなはすばらしいと言ってくれても、自分のなかで満足していない部分がひとつやふたつ必ずあるんです。だから、心の底から『100%の仕事ができた』ときが、僕がこの仕事を引退するときですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160825102511p:plain「仕事への向き合い方も含めて、とても勉強になりました。今日はありがとうございました!」

 

まとめ

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文字が読めればなんでもいい、写真が写っていればなんでもいいという感覚では、決して到達することはできない細やかな「美」の世界。

 

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「1%の違い」と向き合う印刷の世界で妥協なき仕事を突き詰めてきた熊倉さんの話からは、仕事とは本来どうあるべきかという、根っこの部分の心構えをあらためて問われたような気がしました。

 

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良くも悪くもクリエイティブらしきものがあふれる今の時代。本当に価値のあるものを残していくためには何をすべきか、すべての作り手がきちんと考えなければいけないときが来ているのかもしれませんね。遅ればせながら紙の世界に触れた者として、学びの多い取材だったことをここに記します。

 

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それではまた!

 

 

●取材協力:YPP株式会社 山田写真製版所

http://www.yppnet.co.jp/

●取材協力: 中屋 辰平 / Shinpei Nakaya

Graphic Designer / Art Director。1988年東京都足立区生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、ハンサム株式会社(デザイン事務所)を経て独立。紙やWEBなど媒体問わずビジュアル制作の企画・デザインに携わる。 http://shinpui.jp/

●写真撮影:小林 直博

編集者兼フォトグラファー。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。http://www.fp-tsurutokame.com/

 

 

書いた人:根岸達朗

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東京生まれ東京育ちのローカルライター。ニュータウンの端っこで子育てしながら、毎日ぬかみそをひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

【8コマ漫画】木下晋也 『特選!ポテン生活』 (06) - 話の種/今日の出来事

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<ポテン生活|一覧>

 

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<ポテン生活|一覧>
前回

 

●「ポテン生活」とは?

ギャグ漫画界の新鋭・木下晋也が描く、の~んびりして、クスッとしてしまう8コママンガ。独特の中毒性から、10巻までの単行本は大きな話題になりました。ジモコロでは、そんな「ポテン生活」から、おもしろかった話を毎月2本、選り抜きでお届けしますよ!

 

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。Twitter→@kinositasinya Facebook→こちら

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています


海外追放?学費が高い?スパルタな近大国際学部が「事実」を伝えてバズった理由

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 「また近大か!!!」

 

世界初・マグロの完全養殖成功で狼煙を上げてからはや16年。
日本で初めてネット出願100%へと舵を切ったり、度重なる広告賞の受賞、
Tokyo graffity編集部による大学案内の制作、銀座と梅田でのマグロ居酒屋の営業、
「ド派手入学式」でのつんく♂さんの衝撃のスピーチなどなど、毎年何かと話題が尽きない近畿大学さんですが……


今年もこちらの広告でやらかしたことが話題です。

 

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怖い。


公式サイトも怖すぎる。

 

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正気の沙汰ではない。


これ、2016年からスタートした新設の国際学部のポスターなんですが……

巷では「昭和のヤクザ映画のポスター」とか言われてますね。

 

ちなみに近畿大学医学部のサイトはこんな感じでした。

 

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http://www.med.kindai.ac.jp/

 

普通!健全!すごく普通!

医学部は正気の沙汰で良かった〜〜。

 

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あ、申し遅れました。わたくしライター兼ブロガー兼、広告業などをやっております塩谷舞(@ciotan)と申します。しおたんと呼ばれております。

27歳生まれは大阪、北千里高校(偏差値62)というところの出身なのですが、一部は国公立に、大半が関関同立に、そして2、3割が産近甲龍 に進学する…といった感じの中堅校でした。

 

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高校時代のわたくし。(左から2番目)あんまり若さを感じられないのは何故だろう。

 

私が18歳の頃に大学資料冊子や予備校で見ていた近畿大学のポスターは、こんなんじゃなかった。

 

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こんなマグロもなかったし…

 

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こんなSFモノのもなかった。

 

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赤井英和〜〜〜!も、なかった。

当時(10年前)はもっと普通だったんですよ。マジで。記憶をもとに再現してみますね。

 

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そうそうこんな感じ。これはすんごい雑な作りですけどね。ECC予備校千里中央校に貼ってましたよ、普っ通〜〜〜のポスターが!

しかし10年が経って、わたしも今や広告業界の端くれで働く人間。いつも広告で話題の近畿大学さんに、問いたいことがあるんですわ。

 

話題の広告、ほんまですか?!ちゃんと事実書いてますか? バズらせたい(=ネットで拡散させたい)がために、なにかと誇張してませんか?!


ということで、落ち度があれば容赦なく突っ込んでいく所存です。本気やで!

 

 

まずは関西電通に行ってきたよ

今回のパンチのある近畿大学さんのポスター。どこの広告代理店が作ってるのか?!と聞けば、電通です。あぁ……そうですか…電通様ですか……(逃げ腰)。

 

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電通が制作されたポスターはこちらのシリーズで、日頃は近畿大学広報課の方々がキャッチコピーなど考えて制作されているそうです


…ということで、就職活動ぶりに関西電通にやってきましたよ!(筆記試験で落ちたことは、今となればいい思い出やで!!)

 

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かつて私を落としやがった電通様の社内。5年も経てば堂々と入れます。


そして会議室に現れた電通マン。

 

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!!!でで〜〜〜ん!!!

 

日下慶太(くさかけいた)さん、大阪生まれ。神戸大学ご出身です。近畿大学じゃないんですね。見たからにヤバい人のようなオーラが出ている日下さんですが、過去に手がけられた広告実績はこちら。

 

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「これ、覚えてる!!!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう、これらは全て、4年前にネットでもテレビでもめちゃくちゃ話題になった大阪・文の里商店街の町おこしPRポスターなんです。その仕掛け人が日下さん(制作は若手クリエイターたち)。はいはいはい、なるほどなぁ〜〜〜!

どうやら、バズるポスターを作るのがお上手な日下さん。
しかし、バズらせたらええっちゅうもんでもないですからね!!!

ということで、厳しめにお話を聞いていきたいと思います。

 

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f:id:eaidem:20160830113026p:plain「日下さんは近畿大学をバズらせましたが、これは大学から直々に依頼があったんですか? 『電通よ、ネットで話題を作るのだ』と」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「いや、違うんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ほう。自主提案でしょうか?」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「実はこれ、大手新聞社5誌合同(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞)の新聞を盛り上げよう、というコンペに応募するために、『制作費は安くてもいいから、公開まで一切内容チェックをせずに新聞広告を作らせてくれるクライアント』を探してたんですよ」

f:id:eaidem:20160830113026p:plainは?

 

f:id:eaidem:20160829113803j:plain

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「あ……つまり、制作途中をクライアントに見せないで、公開できるクライアントを……」

f:id:eaidem:20160830113026p:plainそんなクライアントいる訳ないじゃないですか!!」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「そうなんです。いくつかの企業さんにプレゼンをしたけどダメで……」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「そりゃそうですよ!不安すぎる!!」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「でも、2年前に文の里商店街のポスターを作らせてもらった時、商店街のお店の方々にはチェックをいただかずに、出来たものをそのまま納品させてもらったんです。あれはお仕事ではなくボランティアでしたが、『絶対オモロイもんを作る』という約束の上で、完全任せてもらった。もちろんお店の方々には何度もヒアリングを重ねた上で、なのですが」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「おおお………そうだったんですか。知らなかった。でも、そもそもなんでボランティアで制作しようと思ったのでしょう?」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「話せば長くなってしまうのですが……僕、30歳までずっと電通を辞めたかったんです。

学生時代はバックパックで旅するのが好きで、ロシアでスパイ容疑で軟禁されて尋問されたり、アフガニスタンでタリバンと自転車を二人乗りしたり。そんな生活からいきなり、電通に入社。資本主義のド真ん中で働きはじめました。そして、鬱になってしまったんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ちょっとまって。ロシアでスパイ容疑で軟禁……?」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「はい。僕、そのせいでロシアにはたぶんもう、入国出来ないんですよ」

 

 

f:id:eaidem:20160829113804j:plain

((長くなるので割愛しますが日下さんはロシアでスパイをしていた訳ではありませんでした ))

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「(中略)……ということがあって、世界ではモノがなくて困ってるのに、日本ではなんでしょうもないモノをこんなに作って、売らなアカンねん、と。モノ作りは好きやったけど、ああ、やってられへんなあ、といつも思ってました」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「…(ごくり)」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「とはいえ、まだまだ半人前。疑問は一度封印して、仕事を一生懸命やりました。そしたら、東京コピーライターズクラブ最高新人賞という賞をもらいました」

f:id:eaidem:20160830113026p:plainすごい!」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「はい、コピーライターのM1グランプリみたいなもんです。でかいです。『やった!これで一流クリエイターの道が開けたぞ』と思った矢先、腎臓の病気になって、2年も会社を休んでしまったんです。結局無理してたんでしょうね。体が先に根をあげた」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「なんと」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「そして、休んでる間に起きたのが2011年のあの震災。『あぁ、これは消費社会に警鐘を鳴らされてる。むやみやたらモノ売ってる場合ちゃう!』と封印が解けて、疑問がさらに大きくなりました」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「そうやったんですか……(この人、タダ者やない…)」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「震災の後は、普通にCMを作ることにまったく興味が持てなくなった。そこで自分の中に出てきたのが、地方を元気にする仕事です。地方はいろんな問題を抱えている。でも、それを解決する人があまりにも少なすぎる。みんな東京に偏り過ぎ。

僕が企業の広告制作で培った力は、地方に還元出来るんやないか、とずっと考えてました。そして商店街の広告にも繋がったんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「そんな経緯があったんですね」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「僕だけじゃなくて、電通の若手クリエイターたちも随分とフラストレーションを溜めているんです。コンペで頭をひねって50案作っても、そのうち1つも通らないこともありますし、そんな毎日の連続だったりもします。

ぼくは若手の教育担当だったのですが、彼らがフラストレーションを溜めてモチベーションが落ちてしまっている状況をなんとか出来ないか、とずっと思っていて。それで、商店街では『オモロイもん以外は認めへん』という約束の上で、若手に自由に案を出してポスターを作ってもらったんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「結果、めちゃくちゃ話題になりましたね。海外からの観光にまでなったとか」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「そう。しかも納品から4年経った今でも、まだお店に貼ってくれてるんですよ。お店の方々も嬉しかったみたいで……それが僕らもめちゃくちゃ嬉しい……」

 

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本当に嬉しそうに笑う日下さん

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「振り返ってみると、『中間チェックを入れないで全て任せてもらう』というのが、上手くいった原因でもありました」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「うーん、まぁ…信頼関係があって、本当に能力があるクリエイターであれば、上手くいくのかもしれない……怖いですけど…」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「もし上手くいかなかった場合、責任は全てこっちにありますからね。若手クリエイターたちの責任感もより一層強くなるんですよ。だから今回、新聞広告で勝負するときにも、その手法でやりたかったんです。そこで色んなクライアントさんにお願いしては断られる訳ですが、ようやく首を縦に振ってくれたのが、近畿大学さんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「近大、リスクを恐れなさすぎる」

 

★★★★★★5000リツイート越え!!!!★★★★★

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「しかし、バズれば勝ち、みたいなのは良くないですよね。なんてったって大学ポスターですから。若者の人生がかかってますからね。これぶっちゃけ、内容はけっこう誇張してません? ここだけの話」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「誇張はしてないですよ! このポスターは後輩のコピーライター見市と、アートディレクターの松長が作りました。ぼくはクリエーティブディレクターとして、企画の方向を指し示したものです。確認作業こそしてませんが、制作中は近畿大学国際学部の先生方に何度もヒアリングを重ねて作らせてもらいました。ご登場いただいてるのも本当の先生方」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「えっ、これ先生?!演技力高すぎるでしょ!!」

f:id:eaidem:20160830113122p:plain「この表情を引き出すまでは、結構時間がかかりました。ここまで協力してもらえる大学は近畿大学以外にはあまりないでしょうね」

 

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最後に記念撮影。やっぱり昭和のヤクザ映画の宣伝にしか見えない。


日下さんのお話を聞いて、いかにこの広告が実直な気持ちで作られているか……ということはわかりました。ヒアリングを重ねた上で制作されていることもわかりました。電通様にも人の心、日下さん。いい兄ちゃんだったなぁ……。

 

が。


この広告を作ったのは、国際学部に学生さんが入る前なんですよね。

学生さんが入学した今現在、本当に広告に見合った授業がされているのでしょうか?

実際のところ大学の授業なんて寝てる人も多いし、ましてや近大は進学校でもな(以下略)

 

続いて近畿大学に行ってきたよ

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やって来ました近畿大学。

大阪の東の方にありますが、かなりデカい。西日本で一番デカいらしいです。全敷地はおよそ385万平方メートルあって、西日本最大の広さを誇っているそうです。

中に入っていくと……

 

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綺麗すぎて目がやられる……

 

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私の行ってた大学と全然違う……。しかし、大事なのは現場です。授業です。

新設でピッカピカの国際学部に殴り込みやで!!!!

 

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はいこちら! 国際学部の校舎内にやってまいりましたよ。案内フォントがおしゃれか!

 

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国際学部職員の岡さんに案内していただきました。ほんわか〜。

 

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上場したIT企業みたいな校舎ですね!グリーみたい!

そして教室に入ってみると……

 

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机と椅子が一体化してる!動く!!!

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「国際学部は全部こちらの椅子を採用してるんです。国際学部はディスカッションをすることが何より大切なので、様々なチームを組みやすく、かつ動きやすい形になってるんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「これじゃ『端っこの席で寝てる』みたいなことが出来ない!」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「そもそも授業は15人制、参加型なので寝るとかは論外ですね。では、こちらの教室に入ってみましょう」

 

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f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ほんとだ、誰も寝てない。ていうか、先生の英語が速くて全然聞き取れないんですが。学生さんたちもみんな英語喋ってるけど、ペラッペラですね……」

 

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※英語が聞き取れないので通訳してもらっています。恥ずかしい。

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ちょっと、これはレベル高すぎじゃないですか?1年生の5月でこのレベルって、置いてかれる子もいますよ。スパルタすぎ!登校拒否になる!」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「あ、約500人の学生さんたちは、英語のレベル別に12クラスに分けられているので、その心配はないんです。ここは帰国子女の子なんかも多い、レベルの高いクラスなんですよ」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「12クラス?! 細かっ!! それ、1学年500人いるから成せる技ですね……。でもそれって、自分の英語力がどんなレベルなのか、誰より上で誰より下なのか、クラス分けによって一目瞭然ってことですよね。私、前に勤めてた会社で英語の授業があったんですけど、途中でクラス落ちちゃって、めっちゃ凹んだんですよ。『Upperクラス』から『Lowerクラス』に……そのときのショックといったら……」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「そうなんですね。でも近大では、自分の英語力は本人にしかわからないようになっていて、クラス名だけ見てもレベルがわからないんです」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「じゃあ…所属クラスが下がって、落ち込むこともない?」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「そうですね。 でもクラスが上がることはあっても、下がることはないですよね? 毎日学んでいるわけですから」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「うっ……」

 

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英語での自己紹介を求められて「アイム、ア、ブロガー!フロム、トーキョー!」と話す私。恥ずかしい。

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「そろそろ本題なんですが、これらの広告は本当に本当ですか? まずこれ、『1年次から全員海外追放。』

 

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f:id:eaidem:20160831172613p:plain「本当です! 1年生の後期には、グローバル専攻の学生さんたちには全員強制的にアメリカ留学に行ってもらいます」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「まじっすか。普通、海外留学って英語を話せるようになってきた2年後期とか、3年生で行くものだと……」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「確かに他の大学だとそういうカリキュラムが多いですね。でも、それだと意味がないんです。1年生の前期は、まだまだ英語が苦手な子も多いので「異文化理解」とか「日本近現代史」の授業は日本語でやってるんですが、留学を経て戻ってきた頃には英語ペラペラになっているので、英語以外の授業も英語で行われます。近大の国際学部は、さっさと海外留学してもらうのが目玉なんです。

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「まじっすか……」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「はい。そうすると、英語を学ぶことだけが目的にならず、英語で経済学や国際学を学んだり……という選択肢もできますからね。ちなみに、留学先で日本人同士でばかり一緒にいることのないように、できる限りランクが近い子たちは別の大学にして、留学先で同じクラスにならないようにしています。提携してるのはアメリカの27校なので、留学先のクラスではみんなバラッバラです!」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「スパルタすぎる。ほんまに海外追放や」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「遊びに行くわけじゃないですしね。でも中には、カップルで近大に入学したのに、彼氏は西海岸、彼女は東海岸の大学に決まってしまい、泣いてる彼女の姿も……」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ひどいっ! 時差アリの遠距離恋愛を強いるなんて……」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「まぁでも、遊びに行くわけじゃないですからね。ただ、やっぱり寮やホームステイの生活を不安に思う子は多いので、私たちは出来る限りのサポートをしています。毎週個別面談をしたり」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ちゃんとケアされてるんですね。というか、500人の学生がホームステイ(か寮)に行くって、それ全部近大さんが手配してるんですか?」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「はい! もちろんです。ホームステイ先は1つ1つ審査をして、審査基準をクリアした良質なご家庭に預けることになります。特に女子学生はセクハラなどのリスクもありますから」

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「なるほど。大事ですね。しかしこの設備に、このサポート体制……『学費が高いと言われるが、将来を考えたら爆安だ』というコピーも腑に落ちてきました」

 

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f:id:eaidem:20160831172613p:plain「そうですね。確かに学費は少しお高いですが、1週間に9コマの英語の授業がありますからね。もし卒業後にベルリッツで同じカリキュラムを受けるとすると、軽く10年分以上の学費がかかりますね

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「ちょっと岡さん。なんで今、ベルリッツを比較対象にしたんですか。営業妨害で怒られる」

f:id:eaidem:20160831172613p:plain「あ、違うんです。近大はベルリッツと業務提携しているんです。ベルリッツと提携することで、社会人になってからもビジネスで本当に通用する英語を学べるようになっています。こんな感じです」

 

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http://int-studies.kindai.ac.jp/about/feature/berlitz/より

f:id:eaidem:20160830113026p:plain「すげえ……。授業、無駄に出来へんわ……」

 

日本なのに、まるで海外にいるみたいな「英語村」

国際学部のカリキュラムも校舎もすごすぎてカルチャーショックを全身に受けヨレヨレだったのですが、最後に案内されたのがこのオシャレカフェみたいな「英語村」

 

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中を見渡すと……

 

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外国人率が高め?

 

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モノポリー(英語)。

 

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雑誌(英語)。

 

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私の大好きなNARUTO、我愛羅と戦う巻(英語)。

そうです。「英語村」に足を踏み入れたら最後、英語しかありません。英語しか喋っちゃだめなんです。中には学食みたいなカフェもあるのですが、オーダーも全て英語!(日本語だとオーダーが通りません!)

この英語村は2006年、10年前からスタートしています。国際学部が出来るずっと前からあったんですね。

 

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英語村で働くスタッフは全員、英語を話す外国人!

広報部の横山さん曰く「ここに毎日通ってると、TOEIC100点くらい上がりますよ」とのこと。モグれそうなので、近所の方はモグってみてはいかがでしょう(あかんか…)。

 

英語がスゴい近大は、マグロも美味い

電通も、国際学部も、英語村もご紹介いたしましたが、い、いかがだったでしょう……?

最後には、梅田のグランフロントにある近大が運営する居酒屋「近畿大学水産研究所」にて近大産の、養殖のマグロなどをいただいた訳でした。最&高に美味しかった…。

 

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広報がスゴい。中身もスゴい。学生は元気。先生も元気。校舎はキレイ。授業はスパルタ。マグロは美味い。

取材後の、素直な感想はこちらです。

 

 


本当に、まじやばい。10年後には世界のビジネスシーンで近大卒のビジネスマン&ウーマンたちが、ものすごい活躍してる気がします。ああ恐ろしや、ナニワのマンモス校・近畿大学。

これ、すべてが新設のスタートアップというならまだしも、組織としては100年近く前からある老舗大企業みたいなものですからね……。どんな改革やねん。

ひとつ欲を言えば、水泳の入江選手(近大卒)をもっと広告に出して欲しい。そのポスターをもらいたいし、家に貼りたい。私から言えることは、それくらいですね……。

 

ではでは、またお会いする日まで! ライターの塩谷がお届けしました。またね!

 

 

 

 ※この記事はKindai PicksのHP上で2016年8月3日に公開された内容を再編集したものです

 

書いた人・塩谷 舞(しおたん)

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1988年大阪生まれ、京都市立芸大卒。PRプランナー/Web編集者。CINRAにてWebディレクター・広報を経てフリーランスへ。お菓子のスタートアップBAKEのオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」の編集長を務めたり、アートのハッカソン「Art Hack Day」の広報を担当したり、幅広く活躍中。

 

【ファミ通町内会】伝説のハガキ職人「おほしんたろう」は食えているのか?

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どうも、初めてジモコロで記事を書かせていただきます、冷凍食品と申します。

 

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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
学生時代にはラジオや雑誌のハガキ職人をやっていました。

 

で、今は何をしているかといえば、何もせずに部屋の中でじっとしているという生活を送っています。

 

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働いていないので当然お金はないんですけど、中学生の頃からファミ通町内会に投稿していたおかげでガバスならたくさん持ってます。

 

ガバスとは

「ファミ通町内会」などの読者投稿コーナーに投稿が掲載されると獲得できるチケット。これを集めると、ポイントに応じてゲーム機本体やソフト・周辺機器と交換することができる。

 

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今回カメラをお願いしたおおきちさんも、元はファミ通町内会のハガキ職人。当時は高城れにというペンネームでネタを投稿していたらしいです。

 

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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
 おおきち(高城れに)の作品

 

f:id:frozen_food:20160923111813p:plain「ファミ通町内会ってぼくらにとっての原点じゃないですか。ゲーム雑誌の読者ページにもかかわらず、自由度が高くて、どんなネタでも受け入れてくれて。荒れてる高校の恩師みたいな存在なんですよ」

f:id:frozen_food:20160923111852p:plain「その例えはよくわからないですけど、単純にめちゃくちゃおもしろくて、すごく影響を受けましたね。あとネタが採用されるとガバスがもらえて、ゲームソフトやゲーム機と交換できるのも画期的でした」

f:id:frozen_food:20160923111813p:plain「当時1ガバス=1円換算で、毎週1000ガバス=1000円くらいもらえたので、子供心に『え?働かなくてもこれで暮らしていけるじゃん!』と思っちゃったんですよね」

f:id:frozen_food:20160923111852p:plain「道を踏み外したのをファミ通町内会のせいにしないでください」

f:id:frozen_food:20160923111813p:plain「そんなハガキ職人たちも、今はちゃんと働いて生活してるハズですよね? 今日はこれから、有名投稿者の方に『ぼくは今後どうすればいいのか』、という人生のアドバイスをもらいに行きたいと思います」

 

 

というわけで今回は、この方にお話を聞いてきました!

 

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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)

 

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ファミ通町内会の有名投稿者で、現在は芸人のおほしんたろうさんです。

 

おほしんたろうさんといえば、『塩味電気』というペンネームでファミ通町内会に投稿し活躍したハガキ職人。現在はワタナベエンターテインメント九州所属のピン芸人として活動しています。

Twitter(@ohoshintaro)で1コママンガなどを発表していたところ指原莉乃(アイドルグループHKT48チームHのメンバー)の目に止まり一躍大ブレイクした人物です。

 

 ↑これが指原莉乃にRTされたネタ

 

 ファミ通町内会の思い出

 

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今回はおほさんが出演した「歯のマンガ出版記念イベント」にお邪魔させてきただき、終演後に会場であるロフトプラスワンWESTさんのスペースをお借りしてお話をうかがいました。

 

f:id:eaidem:20160912184846p:plain 「はじめまして、よろしくお願いします! さっそくですが、実はぼくも以前ファミ通町内会に投稿していまして……」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「知ってますよ~」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「おほさんに認知されてた!! やったー!! ぼくもさっしーに……アイドルに認知されたいんですが、どうしたらいいんですか! 羨ましい! 妬ましい!!」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「……」

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「ちょっと落ち着いてください。焦りすぎです」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「すいません、先走り過ぎました。ぼくはおほさんのネタってほぼ全部読んでて、どれも好きなんですが、おほさん自身が個人的に思い入れがあるネタってありますか? 」

 

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「うーん、ちょっと待ってくださいね」

 

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 「あ! これですね」

 

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出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)

 

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「おぉ!! なぜこのネタを?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「とにかく4コマ目が気に入っていて。このネタって本当は3コマ目で終わってもいいんですよ。腕時計を確認したらコーヒーをこぼしたっていうところでオチてるから。なのに4コマ目で『そもそも時計あったし、コーヒーかけられてるし』っていう」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「オーバーキルだ」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「理屈じゃないけど力押しで、とにかくしつこくて『何やってんのこれ?』みたいな。笑いの性質としてこういうのが好きなんで、印象に残ってますね」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「今見てもおもしろいなぁ。ちなみに今までの総獲得ガバスってどのくらいかわかりますか?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「え、今まで全部のトータル? いくらだろう。えーと……」

 

f:id:eaidem:20160909131511j:plain

 

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「だいたい60〜70万ガバスくらいですかね。100万は行ってないと思います」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「すげぇぇー!! 1ガバス=1円として70万円分!? PS4 のワイヤレスコントローラーが100個もらえるじゃないですか!」

※ちなみに冷凍食品の総獲得ガバスは5万ガバス

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「コントローラー100個もあったらいくらワイヤレスでもかさばりますよ。これまでに発売されたWii Uのソフトおよそ100タイトルがすべてもらえる計算ですね」

※おおきちの総獲得ガバスは8000ガバス

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「ぼくはゲームのハード一式をガバスで揃えたりしてました。ちょっと気になったゲームをガバスで簡単に手に入れて、飽きたらすぐやめて、また新しいのもらって……」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「長嶋茂雄が切り分けられたスイカの先っぽの甘いところだけ食べて残りは捨ててたみたいな贅沢エピソードだ」

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「その話そんなに有名じゃないですよ」

 

ハガキ職人ってどんな人種?

 

f:id:eaidem:20160909151302j:plain

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「そもそもおほさんがハガキを投稿し始めたきっかけってなんだったんですか?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「ハガキ職人としては、小学生の頃に学研の『科学と学習』の読者ページに投稿したのがスタートですね。中学生からファミ通を読みだしたんですけど、ファミ通町内会でとがわKさんの4コマに衝撃を受けて
 
とがわK
独特な絵柄と唯一無二な作風の4コママンガを長年に渡り投稿し続け、ファミ通町内会の4コママンガグランプリで3度も優勝し殿堂入りした、神投稿者。今までに獲得したガバスをいっさい使わずにすべて隠し持っていることで有名なファミ通町内会のゴールド・ロジャー。

 

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「とがわKさんっておもしろいネタを書き終わったときが投稿のピークなんですって。ハガキを投函したら終わりで、それ以降の採用とか評価にはまったく興味がないらしいんですよ」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain 「普通は『採用されたい! 俺のネタを見てくれ! こんなに載ってガバス稼いだぜ!』なんですけどね……」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「ですよね?『自分が一番おもしろい!』っていう気持ちがあるから。ただ僕はそういうのがだんだん削ぎ落とされていきましたけど」
 
 
f:id:eaidem:20160909145947j:plain
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「変わった人が多いファミ通町内会投稿者の中では、おほさんは珍しく闇がないタイプですよね」
f:id:eaidem:20160912184854p:plainぼくも人見知りだし明るくはないですけどね。でも昔よりは明るくなったほうですね」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain明るくなるきっかけとかはあったんですか?」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「芸人やりだしてからですね。最初は『おもしろいこと考えときゃそれでいいだろ』と思ってたんですけど、だんだんそうじゃないというのがわかってきて。社会人としてちゃんと人付き合いするって大事だなと」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「やっぱりちゃんと社会に出て人と関わるべきなんですね……」

f:id:frozen_food:20160923111852p:plain「気付くの遅すぎるだろ」

 

 

個人的に好きなおほさんの4コマ
 f:id:frozen_food:20160923112507j:plain
出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
おほさんのネタはわかりやすくて伝わりやすいのが魅力

 

 

ハガキ職人から芸人への転身

 f:id:eaidem:20160909130959j:plain f:id:eaidem:20160912184846p:plain「おほさんが芸人になられた頃は、ハガキ職人から芸人の道へ進む人って、わりと珍しかったんじゃないですか?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「そうかもしれませんね。ハガキ職人の進路というと、構成作家になるのが一般的でした。あとはマンガ家とか」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「そっちのほうへ行かずに、芸人を目指した理由はあるんですか?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「うーん、やっぱり根っこは目立ちたいとか、ちやほやされたいというところですかね。学生時代も落研に入っていたし、自分の中では一貫してるつもりです」

 

f:id:eaidem:20160909150312j:plain

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「ハガキ職人と芸人とで、ネタの作り方に違いってありますか?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「あります! 投稿は投げっぱなしじゃないですか。思いついたものを送ったら、あとは待てばいいっていう」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「ファミ通町内会はとくにそうですよね」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「芸人だとそれじゃダメなんですよね。ちゃんと伝わりやすさを考えて、その中でいかにおもしろくできるか。そのバランスが絶妙だったのが、とがわKさんだと思うんですよ」

f:id:frozen_food:20160923111813p:plain「ここでもやはりとがわKさんの名前が」

f:id:frozen_food:20160923111841p:plain「目指すところはとがわKさんなんです。ナメられないし、かといって大衆ウケもするという理想的なバランス。お笑いで売れている人たちはみんなそうですよね、一般ウケも玄人ウケもしないとダメっていう」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「わかります。たしかにパワプロでもそうですもんね。コーチのご機嫌ばかりうかがっているとチームメイトから嫌われたりして」 

 

f:id:eaidem:20160909150504j:plain f:id:eaidem:20160912184854p:plain「……ん? パワプロ???」

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「その例えはよくわからないです」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「えー!? パワプロみんなやったでしょ? サクセスモードでコーチの評価ばかり上げていると、チームメイトからの評価が下がって邪魔されたりするじゃないですか!?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「わかんないって言ってるのにもう一度同じこと言っても伝わらないですって! 諦めてください」

 

 

個人的に好きなおほさんの4コマ
f:id:frozen_food:20160923114458j:plain
出典:「ファミ通町内会」(週刊ファミ通編集部)
照れて終わるオチ

 

今後のおほしんたろう、活動と夢

 

f:id:eaidem:20160909131350j:plain

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「最近は色々な活動をなさってますよね? 例えばLINEスタンプも作ってらっしゃいましたが……あれって儲かってるんですか?」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「あぁ、色々出した中ではLINEスタンプが一番受け入れられているっていう気がしますね、買いやすいのかな」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「こないだ好きな子とLINEしてた時に、その子はファミ通町内会とかまったく知らない人なのに、いきなりおほさんの“タンパク質”っていうスタンプが送られてきて」
 
f:id:frozen_food:20160901005635j:plain
f:id:eaidem:20160912184837p:plainファミ通町内会を知らない層にも広まってるんですね」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「『LINEのスタンプってこういうのだよね』っていう実用性のあるやつもちゃんと作ったんですけど、悪ふざけで作った“タンパク質”とかが意外によく使われてるみたいですね」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「よりファミ通町内会的なエッセンスの強いスタンプが使われてますね。独特の意味のない笑いが、世間的にも受け入れられ始めてるのかなと」
 

f:id:eaidem:20160909151302j:plain 

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「LINEスタンプは成功だったと。では今後の目標とかはありますか?」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「うーん、今のところお笑いでは成果が出せていないので、もっとネタで勝ち進んでいきたいですね。Twitterとかは結局、ハガキ職人の延長線上でしかないので」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「いやいや、そんなことないじゃないですか。本も出して、テレビで冠番組までもっているのに」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「それはもちろんありがたいと思ってるんですが、世間的には『おもしろイラストを描ける人が、たま〜にテレビにも出てます』みたいな感じじゃないですかね。まだまだですよ」
f:id:eaidem:20160912184846p:plain「『Twitterとかはハガキ職人の延長線上でしかない』とおっしゃってましたが、じゃあもう、ああいったネタはやりたくない……?」
f:id:eaidem:20160912184854p:plain「いやいや、原点なんで大事にしたいと思ってますよ。芸人になってからはコントをメインでやっていたんですけど、Twitterで発表したマンガやイラストが評判になったのがきっかけで、今はネタにもイラストやフリップを入れるようになりました。だんだん自分に合ったことができるようになってきたかなって」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「おほさんがイラストやフリップ使ったネタをやったら、おもしろくないわけがない!!」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「理想はとがわKさんなんですけどね。あの人の笑いをどうにかしてお笑いで表現できたら、絶対に成功すると思うんですよ」

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「どんだけとがわKさん好きなんですか!」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「たしかに、あれをどうにか舞台上で形にすることができたらすごいことになりそう! とがわKさんのマンガって『キテレツ大百科』みたいですよね? あの設計図をどうにか形にできたらものすごい発明だぞっていう」

f:id:eaidem:20160912184837p:plain「え、キテレツ?? どういうこと?」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「パワプロに続いて、例えがまったくわからない……」

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「すいません、例えが下手って文章を書く上で致命的ですね。では、最後の質問です! ぼくも同じようにハガキ職人から出発して現在無職なんですが、おほさんは今……食えてますか!?」 

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「以前はコンビニの夜勤バイトとかしてましたけど、今はありがたいことにバイトせずに生活できてます。茶色いものばっかり食べてましたが、食べ物の色味がだいぶ増えましたね

f:id:eaidem:20160912184846p:plain「そうですか~! 他人事なのになんか嬉しいです! おほさんは、ぼくたちみたいな鬱屈としたハガキ職人の希望の星なんで!! これからもがんばってください! 今日はありがとうございました」

f:id:eaidem:20160912184854p:plain「ありがとうございました」

 

f:id:frozen_food:20160901010859j:plain

 

というわけで、ハガキ職人のレジェンド・おほしんたろうさんに人生のアドバイスをもらいに行った結果、「例え話がわかりにくい」という具体的なアドバイスをいただきました。

 

それはさておき、かつてファミ通町内会に投稿していた人たちがそれぞれ様々な場所で活躍をしているのを見るのは、他人事ながら誇り高い気持ちになります。

自分はもうダメみたいなのでおほさんにすべての希望を託します!

 

なぜなら……つい先日、おほさんは人気番組「IPPONグランプリ」への出場権を懸けた「IPPONスカウト」決勝の収録を終えたばかり!

zasshi.news.yahoo.co.jp 

 

果たして本戦に出場することはできるのか……!?
がんばってくれ~~~~!! もう収録は終わってるけど~~~~!!!!
 
そんなおほしんたろうさんの冠レギュラー番組「おっほ 〜ゴッホみたいに言うな!!〜」TVQ九州放送で毎週日曜日0時35分から放送中。
 
 
そしてTwitterの1コママンガをまとめた単行本『おほまんが』も好評発売中です。
おほまんが

おほまんが

 
   
 

さらに11月20日にレソラNTT夢天神ホールで開催されるワタナベエンターテインメント九州の事務所ライブ「WEL九州」にも出演予定とのことなのでこの機会にぜひとも足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

書いた人:冷凍食品

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今はとくに何もしていない元ハガキ職人。好きなものは固有名詞。 Twitter ID:@frozen_food

【8コマ漫画】木下晋也 『柳田さんと民話』 - 8話「金を使わず酒を飲む とんち」

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<柳田さんと民話・一覧>
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<柳田さんと民話・一覧>

 

●「柳田さんと民話」とは?

ひとり旅を趣味とする男性・柳田久仁夫が、日本各地で地元に伝わる民話を聞き歩く、ユルくておもしろくてためにならない8コママンガです。

 

書いた人・木下晋也

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1980年大阪生まれ。2008年、『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞受賞。単行本『ポテン生活』全10巻、『おやおやこども』が好評発売中。Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』連載中。木下晋也公式サイト、cakesでもいくつか作品を公開中です。趣味はプロレス観戦。Twitter→@kinositasinya Facebook→こちら

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

「キツい」「稼げない」「結婚できない」…5K問題で農漁業の現場から人が消える日

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ライターの根岸達朗です。ピアノを弾いてるように見えてすみません。

突然ですが、皆さんは「5K」という言葉を聞いたことがありますか?

 

・きつい

・汚い

・かっこわるい

・稼げない

・結婚できない

 

これらの頭文字を取った俗語で、特に若者に不人気な仕事のことを指しています。これだけ見ると「どんな珍しい仕事だよ」って思うかもしれません。

 

実はこれ、日本の一次産業のことなんです。

 

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一次産業といえば、農業や漁業、林業などなど。自然の恩恵を生かした仕事で、日本を支え続けてきた主要産業と言えます。この仕事がなければ僕たちは美味しいご飯も食べられないですし、木造建築の家に住むこともできません。

ーーー
◆第一次産業
国の産業分類のひとつ。日本では農業、牧畜業、林業、水産業、狩猟業などがこれにあたる。
ーーー

めちゃめちゃ大事な仕事なのに「5K」扱いされている…?

そんな背景もあって、現在担い手の数は全国に約350万人。それも年々減少を続け、今後10〜20年の間に、現在の10分の1にまで減ると言われています。

 

日本の一次産業はこのままで大丈夫なの?

 

一次産業の担い手が減ると日本はどうなっちゃうの?

 

 

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というわけで今回、日本の一次産業の事情に詳しい『東北食べる通信』の高橋博之さんにコンタクト。日本の一次産業が抱える問題点や、これからの一次産業のあり方について、ちょっとマジメな話を聞かせてもらうことにしました。

 

ちなみに『東北食べる通信』は一次産業の現場を取材した大型紙と食べ物がセットで送られる仕組みが話題を集めている急成長中のメディア。ご当地の名前を冠した『◯◯食べる通信』が全国に拡大中なので、この機会にぜひその名前を覚えておいてください〜。

 

 

話を聞いた人:高橋博之

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『東北食べる通信』を立ち上げた偉い人。元岩手県議員。旅人のように全国各地を巡って、その土地の老若男女の声を聞き続けている。近著に『都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡』(光文社新書)。

 

 

今、日本には食べ物をつくる人がいない⁉︎

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f:id:eaidem:20160930151057p:plain「高橋さん、今日はよろしくお願いします。早速、込み入った話になっちゃうんですけど……」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「構いませんよ。どうぞどうぞ」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「あの、日本の一次産業ってずっと担い手がいないと言われ続けていると思うんですが、やっぱり結構ヤバい状態なんですか?」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「そうですね」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「……どのくらいヤバいんですか?」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「たとえば農家であれば、私が生まれる少し前の1970年には約1025万人いました。それが年間約10万人の離農が続いて、今は約210万人。そのうちの70%以上が60歳以上の高齢者です」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「高度経済成長期の4分の1……。減り方が尋常じゃないですね」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「漁師にいたってはさらに深刻で、同じ1970年には約57万人いましたが、今は約17万人。これも農家と同じで過半数が60歳以上の高齢者です」

 

f:id:eaidem:20161003180708j:plain

年々減り続けている農家&漁師。しかも大半が高齢者という現実…!

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「なるほど……人口が1億2千万人いて、たったそれだけなんですね。どう考えても生産が追いつかないような。そのうち若者はどれぐらいいるんですか?」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「農業も漁業も、就業人口のうちのそれぞれ10%程度です」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「少ない…。これだけ数が減っているというのは、高齢化にともなって引退していく人が多いからですか?」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「それもひとつにはあるんですが、実は若者の減少率が一番激しいんです若者たちが食えなくてやめていく。みんな一次産業の厳しさに直面しています」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「高齢者よりも若者の仕事離れが大きいと」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「そうですね。残念ながら手っ取り早くお金を稼げる仕事に流れてしまう。結果、若者のいなくなった今の日本の一次産業というのは、お年寄りたちが年金をつぎ込んでなんとか維持しているのが実態です」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「年金に支えられている一次産業かあ……。でも、なんでそんな状況になってしまったんでしょうか。本来的には日本人は一次産業の仕事を大切にしてきたし、自然と寄り添って生きてきたはずですが」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「西洋的な価値観に基づいて、近代化を突き詰めてきた結果でしょう。どんどん自然から離れていって、気付いたら一次産業の仕事を下に見るようになってしまったという」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「一次産業を下に。そういえば、高橋さんの本のなかにも『冷蔵庫行き』という言葉がありましたよね」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「はい。『冷蔵庫』というのは被災地の水産会社のことで、地元の高校生の卒業先の進路なんです。どこにも行くところがないダメな奴に『お前、冷蔵庫行きか?』って言う。震災後にふるさとへの思いが強くなった被災地ですらこうですから、内陸の農業なんて……」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「最近は一次産業の価値が見直されているような動きも感じていたんですが、実態はそんなこともないんですか?」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「もちろんやる気のある若者は一握りではあるけれどいます。でもイメージの悪さから、それを圧倒的に上回るペースで若者たちが一次産業の現場から離れている。農業高校、水産高校の出身でも卒業したら、大半が一次産業とは関係のない会社に就職するんです」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「このままいくとどうなるんですか? 誰も一次産業の現場からいなくなってしまうような気がするのですが……」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「やる気のある若者はいるので、厳密にはゼロにはならないでしょう。ただ、そのほとんどをロボットが担うことになるかもしれません

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「ロボット!」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「はい。今、日本の一次産業の労働力不足を補っているのは、実は外国人労働者なんです。でも、残念ながら待遇がひどい。だからこのままいけばいつかは外国人にも選ばれない国になるでしょう。日本人もやらない、外国人もやらない、となればあとはロボットしかないでしょう」

 

なんで一次産業は下に見られているの?

f:id:eaidem:20161003181006j:plain

大根を収穫するロボットのイメージ

 

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「いやーまるでSF映画の世界ですね。生きる根っこをロボットに押さえられた人間……」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「そうなんですよね。このまま一次産業の地位が下がり続けていったら、それもいつか現実になるかもしれません。なにせ5K産業と言われてしまうくらいですから」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「人の手からどんどん離れていってる感じがちょっと怖いですね。それもこれも一次産業を下に見るメンタリティによるもの……?」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「そうですね。じゃあなんでそういうメンタリティが生まれてしまったのか。僕は、一次産業の仕事の価値を消費者に伝える“情報”がなかったからだと思うんです」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「情報。確かにスーパーで野菜買っても、産地の情報くらいしかわからないですね。たまに『◯◯さんがつくりました』みたいな、顔写真があったりするけど、そのくらいかも」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「ですよね。それだけ見ても、その生産者がどんな気持ちでその食べ物をつくっているのかってことまではわからないです。わからないので、それが消費者に正当に評価されることもなく、結果として生産物まで買い叩かれるような状況が生まれてしまいました」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「なるほど。買い叩かれるから生産者は続けていくのがつらくなる。どうみてもしんどそうだとなれば、若者は当然やりたがらない。そもそも情報がないからどんな仕事なのかもわからない、魅力を感じられない……。既存の流通システムがそういう状況を作り出しているとしたら、めちゃくちゃ悪循環……」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain消費者と生産者の分断です。これが結果として、一次産業を下に見る5K問題を引き起こしている要因ではないでしょうか」

 

生産者と消費者の距離をどう埋めるべきなのか?

f:id:eaidem:20161003181211j:plain

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「でもこの分断の溝ってめちゃくちゃ深くないですか……? なんか絶望的な気分になってくるんですけど」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「できることはあります。それは、食べ物の裏側を知ることです。どんな人がどんなところで、どんな思いでつくっているのか。食べ物の裏側を知れば、きっと一次産業の生産者に共感すると思うんです」 

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「共感」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「はい。『食べる通信』は、食材の背景にある物語を消費者に伝えることで、この共感の輪を広げて、生産者の社会的地位を上げようとしています社会的地位が上がれば、仕事に対する価値も正当に評価されますから、結果として生産者の収入アップにもつながっていくでしょう」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「モノとコトってやつですね。本来的には5Kなんて言われる仕事じゃないでしょうし。正しい評価を広げていくためにも、まずは自分が知ろうとすることが大事なのかもしれない?」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「そうですね。一次産業は稼げないなんて言われてますけど、工夫をすればきちんと稼ぐことができるし、現実にやっている人もいます。結婚できないと言われているけれど、すてきなパートナーと出会って、夫婦でがんばっている人もいるんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「おお。ですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain5Kは単なるイメージです。消費者と生産者の間で情報の行き来がなくなってしまった今の社会が生んだ勝手なイメージ。それに僕らはとらわれているんでしょう」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「イメージかあ」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「実際、僕を含めて『食べる通信』の読者たちは、食べ物をつくる現場の働き方、自然との向き合い方、生死への考え方などに触れて、それまでの自分のなかにあったイメージや価値観が大きく転換するような影響を受けました。食べ物の裏側にあるストーリーに共感し、それによって生産者に対する目も変わっていったんです」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「共感から尊敬へ」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「そうです。そもそも一次産業の仕事は人間のもっとも根源的な活動につながっているわけですから、現代社会でもっとも価値のある仕事、かっこいい仕事といってもいいでしょう。その価値が今の流通システムによる分断で、見えにくくなってしまった」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170638p:plain「ですね……」

f:id:ONCEAGAIN:20161005170649p:plain「僕もかつては分断された消費者の一人でした。でも、裏側を知ることによって、一次産業が持っている本来の価値に気付くことができたんですよね。一次産業の地位を上げることは、自分や『食べる通信』の読者のなかで起こったような心の変化を消費者のなかに広げていくことでもあるんです」

f:id:eaidem:20160930151057p:plain「小さな連鎖を広げていくことに、一次産業の未来はあると」

f:id:eaidem:20160930151110p:plain「はい。分断によって遠ざかった『食』を一部分でもいいから、自分の手が届く範囲に取り戻していきましょう。食べ物の裏側を知ることは、その一歩なんですよ」

 

まとめ 

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利便性がどんどん向上していく一方で、人間の根源的な活動である「食」、そしてそれを生み出す一次産業が衰退していく社会。結果、僕たちが日々口にしている食べものがどこで誰に手によって作られたのか、それを知る機会もほとんどなくなってしまいました。

消費者と生産者の分断された関係。現代人にとって非常に重く、むずかしいテーマではありますが、この記事が皆さんにとって「考える」きっかけのひとつになれば幸いです。 

ちなみに今月、旬の食べものを全国の農家・漁師から直接買うことができるスマホアプリ「ポケットマルシェ」がリリースされました。食材のおいしい食べ方から現場のストーリーまで、日々の食卓を豊かにしてくれるヒントが満載の無料アプリ。「食なおし」の小さな一歩として、利用してみてはいかがでしょうか?

 


最後に高橋さんの著書の言葉を借りて、この記事を締めくくりたいと思います。

 

「つくる」と「食べる」をつなげる。これまでの消費社会には、このつながりが欠落していた。そこにあるのは、単なる食べものとお金のやりとりだけ。生活とは「活かして生きる」と書く。

このつながりを回復することで、私は「消費者」を「生活者」に変えたい。そのためには単に生産者がつくった食べものだけでなく、人間の力が及ばない自然に働きかけて命の糧を生み出す「生産者の生き様」そのものに価値を見出していく必要がある。

その価値を共有する「生産者=郷人(さとびと)」と「生活者=都人(まちびと)」のつながりが回復されたとき、都市と地方はしなやかに結び合っていくはずだ。

 

それではお元気で。 

 

 

イラスト:マキゾウ  http://makizou.tumblr.com/

 

書いた人:根岸達朗

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東京生まれ東京育ちのライター・編集者。ニュータウンで子育てしながら、毎日ぬか床ひっくり返してます。メール:negishi.tatsuro@gmail.com、Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

「写真集一冊に10年間、500万円かかった」覚悟が問われすぎるプロ写真家の生き方

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f:id:eaidem:20160927180348j:plain

どうも。最近カメラが趣味で、最終的にはヌードカメラマンになろうと思っている原宿です。

最近のデジタル一眼はオート設定でもかなりいい写真が撮れるので、ヌードカメラマンへの道も昔よりぐっと近くなったと思うんですよね。

ヌードを撮るってどういう気持ちなのか? そもそもヌード写真だけを撮って生活することはできるのか?

今日はその辺りの疑問を、実際に写真だけで食べている“プロ”のカメラマンの方にお話を伺ってみることにしました。

 

それがこの方。

 

f:id:eaidem:20160906131647j:plain

鶴崎 燃(つるさき もゆる)さん

愛知県出身。名古屋ビジュアルアーツ写真学科を卒業した後、写真家の大石芳野氏に師事し、フリーカメラマンに。Visual Arts Photo Award 2015で大賞を受賞し、作品集「海を渡って」を2016年2月に発売した。

 

海を渡って

海を渡って

 

 

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「鶴崎さんには、いつも記事に使う写真の撮影などでお世話になっております。ぶしつけなんですが、ヌードって撮ったことありますか?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「僕はヌード撮ったことないんですよね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「ええ!? プロカメラマンって全員とりあえずヌード撮るんじゃないですか!? むしろそれが福利厚生の一貫なのではと……」 

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「どんな福利なんですか。まぁヌードを撮るのが好きなカメラマンもいるとは思いますが、僕がこれまで撮影してきたのは主にフォトドキュメンタリーという種類の作品になります。例えばこんな写真です」

 

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f:id:eaidem:20161006132521p:plain「ん?上下で写真が分かれていますが、これはどういう……?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「上は満州の開拓団から帰国したご婦人で、これは引き上げなどの過程で亡くなった人たちを忘れないため、名前を思い出してノートに書き留めたものを見せてもらっている状況です。下は南満州鉄道が建てたホテルの一室を事務所として借りながら、現在中国で働いている日本人青年です」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「あ、なるほど。『海を渡って』というタイトルには、時代と場所を越えて、人が海を渡る理由や渡った先にある運命みたいなものを描き出そうという意図があるんですね。うーん! それを聞いてから写真を見ると大変味わい深いです」 

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「写真を見た人によって変わるそういった味の違いが、フォトドキュメンタリーの面白さかもしれません。『海を渡って』では、日本と中国の他にミャンマーとブラジルを取材して、だいたい10年かけてようやく完成させました」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「10年!?」

 

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ミャンマーの難民キャンプ

 

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ブラジル・サンパウロ市内のセアザと呼ばれる卸売市場

 

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「いいですねえ。自分の作品のために海外を飛び回って写真を撮るカメラマンなんて、小説の主人公っぽくてめちゃめちゃかっこいいです! ブラジルって治安が悪いイメージがあるんですが、街中で写真を撮っていて危ない目にあったことはないんですか?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「地域にもよりますが、確かに街角でスナップショットすら撮っちゃいけない場所というのはありますね。あと日系人にはお金持ちが多いので、向こうでそういった方たちに話を聞くとだいたい強盗に遭ってます

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「だいたい遭うんだ」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「農園をやっている日系人の方なんかは、職場に寝泊まりすると危険なので、“コンドミニアム”と呼ばれる24時間態勢のゲートと警備員による警護がついたマンションで寝起きし、そこから農園に通って仕事をしているんですよ」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「ジョージ・A・ロメロの『ランド・オブ・ザ・デッド』で、そういう建物ありましたね」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「だからまぁブラジルの治安は日本に比べたら悪いと思うんですけど、僕が好きなのは向こうで暮らす人の性格と素晴らしい農園の風景ですね。ブラジルの地形は日本のように高い山がないので、見渡す限り緑の地平線が広がっているんです。この景色が本当に素晴らしい」

 

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農園の軒下から見渡せる緑の大地

 

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「見通しいいなー!」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「人間もとても陽気で、知らない人にいきなり喋りかけるのも全然オッケーという雰囲気なんですよ。だから僕はブラジル好きですね。ご飯は残念ながら、あんまり日本人の口には合わないんですが」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「でもこういう取材って、一回渡航するだけでかなりお金がかかりますよね? この写真集一冊のために使ったお金って、だいたいどのくらいなんでしょう?」 

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「うーん、全部ひっくるめると500万ぐらいは使ってるかもしれません」 

f:id:eaidem:20161006132521p:plain500万! 10年! そして500万!

 

 

写真家が個展を開く理由

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f:id:eaidem:20161006132528p:plain「渡航費や滞在費だけじゃなくて、個展をやった費用も含まれています。写真集になる前に3回ぐらい自分で個展を開いているので、それが1回につき50万円ほどかかっていますね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「はー、個展を開くのも結構お金がかかるもんなんですね。前から『写真の個展ってネットでやればよくない?』という気持ちがあるんですけど、やはり写真家の方は個展という形にこだわりたいものなんですか?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「古い感覚かもしれませんが、写真業界では『個展』という形を見すえて作品を作るケースは結構多いですね。僕の場合はもともと『現像』という行為が好きで、プリントされてない写真やモニタ上の写真は『完成してない、途中のもの』という感覚になるんです。自分のイメージと一番近い色合いや明るさで見せることができるのは、やはり実際に作品をプリントして展示する『個展』になりますね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「実物だけが放つ迫力というのはありますもんね。しかしそんな活動が実を結び、Visual Arts Photo Award 2015大賞というスゴそうな賞を獲ったからには、今までの活動資金はすべてペイできた……?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「それがなかなかそういうわけにもいかないんですよね。写真家にとって、作品を作ることと経済的な成功というのは相容れない部分もあるので……」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「まぁ、確かに小説や漫画でも自分の作りたかったものが売れるとは限らないですもんね」 

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「基本的に僕が撮ってるような作品は、仕事につながりにくいとは思っています。昔は『アサヒグラフ』や『毎日グラフ』のようなグラフ誌が隆盛で、フォトドキュメンタリーの需要も高かったと思うんですが、今はこうした時間と手間とお金のかかる企画は、なかなか雑誌に通らないですね。今後インターネットのメディアで、こうした分野が伸びてくれればと思っているんですが」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「写真とはちょっと違いますが、中原一歩さんの『路上料理人と呼ばれる男』とか、ネットで初出しされたすんごいノンフィクションでしたよね。今のインターネットはTwitterとかInstagramで手軽に消費できるネタが全体的に好まれている気がしますが、こうしたプロフェッショナルの凄みが感じられるコンテンツも、もっと目にできるようになるといいですね」

 

news.yahoo.co.jp

 

どうしたらプロになれる?

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鶴崎さんが衝撃を感じたという、アメリカの写真家ブルース・デヴィットソンの「Subway」。凄い場面に立ち会いすぎ!

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「話は変わるんですが、そもそもプロカメラマンってどうやってなるんですか? まずは写真の専門学校に行ったりとか?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「そうですね。一番多いのは専門学校卒業後に、カメラアシスタントになるケースですね。プロ写真家という職業には大きく分けて2つの種類がありまして、自分の世界観に沿って作品としての写真を作る『作家系』と、写真館やブライダルカメラマン、広告などの撮影をする『商業系』です。どちらの道に行きたいかで動き方も変わってくるのですが、両方に言えることは人脈が非常に大切ということですね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「人脈」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「はい。カメラアシスタントになるには、まずレンタルスタジオという所に就職するのが一般的なのですが、重要なのはそのスタジオがどういった用途で使われているか、です。ファッション誌の撮影に使われているのか、音楽系なのか、ブライダル系なのか、ブツ撮り中心なのか……」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「なぜ用途が重要になってくるんでしょう?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「レンタルスタジオでの勤務は、多くの場合2~3年が満期と決まっているので、そこで働いてる内に次の行き先を決めなきゃいけないんです。で、次の勤務先は、そのスタジオをよく利用するカメラマンに直接師事する形になることが多いんですね。もちろん『こいつ、アシスタントとして使えるな』と思われることが前提になってきますが」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「なるほど。就職したスタジオをよく使ってるカメラマンに、そのまま弟子入りすることが多いということは……『ヌードを撮りたければ、ヌードがよく撮られているスタジオに就職しろ』。こういうことですね」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「まぁ、そうですね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「いやでも弟子入りとかしなくても、いきなり鮮烈なヌード写真をSNSに投下して有名になることも、今の時代なら可能ではないでしょうか? 自分がいきなりその道の師匠になればいいのでは?」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain 「はい。カメラマンは資格を取得して就く仕事ではないので、いきなり独立してももちろん構いません。最初からSNSで有名になるという手法もアリだとは思いますが、みんながみんな選べる道ではないですよね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「その通りですね。正直、『鮮烈なヌード写真』がどういうものなのか、まっっったく思いついてませんし」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「結局安定して仕事が入ってこないと、プロカメラマンとして食べていくことはできないので、そのための近道がすでに活躍しているカメラマンのアシスタントになって、人脈を作ることなんです。技術的な勉強も大事ですが、商業的な写真というのは正直『この人しか撮れない』というものを見出すのが難しいので、クライアントと直で接点を持つのが仕事を得る一番の近道なんですよね」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「カメラマンって、孤独でタバコ吸いながらブルースばかり聞いてる人がなるのかと思ってましたが、コミュ力もある程度いるんだなということがよくわかりました」

 

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「本当に分かってもらえたんでしょうか」

 

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「はい。最後に1つだけお願いですが、都内で篠山紀信さんのよく使っているレンタルスタジオを教えてください!」

f:id:eaidem:20161006132528p:plain「知りません」

f:id:eaidem:20161006132521p:plain「よし! プロカメラマンになるのやめよう!」

 

 

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そんな鶴崎燃さんが10年という期間を経て作り上げた「海を渡って」の個展が、10月12日(水)より、銀座ニコンサロンで開催されます。海を隔てて交差する人々の思いがたくさん詰まった写真を、ぜひその目でご覧ください! 入場無料です。

 

「海を渡って 日本×ブラジル」

2016年10月12日(水)~25日(火)

銀座ニコンサロン

http://www.nikon-image.com/activity/salon/

 

capacamera.net

 

 

ライター:原宿

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。ご飯をよく噛むオモコロ編集長として活動中。Twitter:@haraajukku

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