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みんなの現状報告 〜その後はどうだい?〜宿・ゲストハウス編

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みんなの現状報告 〜その後はどうだい?〜宿・ゲストハウス編

そっちはどうだい?の「その後」

「さいきん調子どう?」

「いやあ、ぼちぼちかな」

そんな何気ない会話がずいぶん前に感じる今日このごろ。「新型コロナウィルス」という言葉を耳にするようになってから、もうすぐ一年が経とうとしています。感染拡大の勢いは落ち着くどころか日に日に増す一方で、社会の様子もずいぶんと変わりました。

 

入店前のアルコール消毒もすっかり生活習慣となった


ジモコロでは、コロナの第1波が猛威を奮っていた昨年の4月から6月にかけて、お店同士のゆるやかな連携や情報交換を目的とした「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」というアンケート取材を実施。

地域や業種を問わず、ありのままの声を詰め込んだ記事は、たくさんの方にご協力いただき、予想以上の反響がありました。

みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜 宿・ゲストハウス編

しかし、この企画から半年が経った今でも状況は依然厳しく、第3波の影響で昨年以上の局面を迎えているお店があることも、容易に想像がつきます。

 

ジモコロは一メディアとして『彼らを救う』なんて大それたことはなかなか言えません。でも「どうにもならん」と匙を投げずに、今の状況を伝え続けることに意味があるのかもしれません。そう考え、前回取材した方々に改めてその後の状況をうかがいました。

 

今回は山形、岡山、長野のそれぞれで宿を営む人たちの『その後』を紹介します。
『Go To トラベル』によって一時期は回復の兆しが見えたように思えた宿泊業ですが、その後に到来した第3波を受けたいま、一体どのような状況にあるのでしょうか?

 

みんな〜〜〜!!! その後はどうだい???

 

 

【今回、紹介するお店】

・山形座 瀧波(山形/宿泊業)

・DENIM HOSTEL float(岡山/アパレル業・宿泊業・飲食業)

・1166バックパッカーズ(長野/宿泊業)

・株式会社有鄰(岡山/宿泊業・飲食業・小売業)

【山形】山形座 瀧波

山形座 瀧波 須藤 宏介さん

業種:宿泊業(旅館)
所在地:山形県南陽市赤湯3005
HP:http://takinami.co.jp/

■前回アンケートからの変化

昨年2020年5月の初旬に取り上げていただいたあと、7月22日にスタートした『GoToトラベル』により、年明けまでの約5ヶ月間は大変忙しく過ごすことができました。

急激な予約の増加への対応や、10月1日からの『地域共通クーポン』の配布、また『GoToトラベル』事業にともなう事後申請なども相まって、今まで経験した事がないほど忙しい期間ではありました。コロナ禍でさまざまな業種が苦労されている中、スタッフ総出で一生懸命お仕事ができたことに心から感謝しております。

 

■現在の状況と今後の展望

二度目の緊急事態宣言を受け、お客さまの少ない状況ではありますが、新型コロナウイルス感染拡大防止の為にもご予約をお受けするお日にちを調整したり、混み具合のコントロールをしながら元気に営業しています。

 

定期的に開催していたイベントも今は一旦延期とし、安心して旅行に出かけられる状態になった際に、ワクワク感と山形色満載のイベントでお迎えできるよう、引き続き努力を重ねていきます。

また、全客室に「源泉100%の温泉」と「Wi-Fi設備」のご用意もありますので、リモートワークでのご利用も大歓迎です。食事の有無など、お客さまのご要望に合わせてさまざまなアレンジも可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。

山形でお会いできる日を楽しみにしております。

 

【岡山】DENIM HOSTEL float

EVERY DENIM 島田 舜介さん

業種:アパレル業・宿泊業・飲食業
所在地:岡山県倉敷市児島唐琴町1421-26
SNS:instagram

■前回アンケートからの変化

昨年、一度目の緊急事態宣言が解除されたあと、6月中旬ごろから近隣府県や地元の方を中心にお客さまが増え始めました。8月〜11月までは盛況で人も絶えず、宿として順調に成長できたと感じています。

 

新たに変化した部分として、ドミトリーの宿泊を撤廃し、館内完全個室に。お客さまが安心してゆっくりした時間を過ごしていただけるようになりました。

またカフェメニューも改善し、ご好評いただいている定番のスパイスカレーを食事のメインに据えつつ、ドリンクは徳島の阿波晩茶やコーヒー・コーラを追加。アルコールも岩手の『ベアレンビール』や岡山の『六島浜醸造所』を用意し、より充実した食事を楽しんでいただけます。

2022年に開催を予定している『瀬戸内国際芸術際』を見据え、floatとしてもしっかりとした体制でお客さまをお迎えできるよう準備を進めております。

 

■現在の状況と今後の展望

2020年後半を上記のように過ごしたのち、年明けすぐに試練がやってきました。1月の緊急事態宣言を受け、宿泊予約は軒並みキャンセル、またしても厳しい日々が続いています。

街を見渡してみると、開店していてもほぼ休業に等しい状況の飲食店も出始めており、飲食・宿泊業は正直とても重たい雰囲気です。両方の事業を行っている私たちも当然明るい状況ではありませんが、未来に向けてできることを模索しています。

 

その中での新たな取り組みとして、さまざまな宿泊プランを追加しました。「選書された本を読みながら過ごせるプラン」や、「服をデニムのインディゴ染料で染め直せるプラン」「チェキを借りて海の写真を撮れるプラン」など、お客さまのご要望にあわせた宿泊を楽しむことができます。

また、その他にも「服と、ヨリを戻そう。」をテーマに衣類を染め直す『fukuen(フクエン)』というサービスをリリースしました。

自宅で過ごす時間が増え手持ちの服を見直す方も多いなかで、ぜひこの機会にもう一度着たかった服を身につけていただければと思っています。

 
 
 
 
 
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【長野】1166バックパッカーズ

1166バックパッカーズ 飯室 織絵さん

業種:宿泊業(ゲストハウス)
所在地:長野県長野市西町1048
HP:https://1166bp.com/

■前回アンケートからの変化

長野市の国宝・善光寺さんのすぐそばで、最大14名が宿泊できる小さなゲストハウス『1166バックパッカーズ』を運営しています。

 

昨年は4〜7月と休館し、その間はオンラインストアを主な収入源にしていましたが、8月からようやく宿も再始動。国・県・市によるさまざまなキャンペーンもあり、加えて9月からは長野県内のゲストハウス6宿で『ナンドモナガノ』という周遊スタンプラリーも開始しました。

 
 
 
 
 
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3つの宿に泊まるとお土産を、6つの宿を制覇するとオリジナルの本染手ぬぐいをプレゼント。ノベルティはすべて各々の宿が日頃からお世話になっている地元の方々から仕入れ、長野のよさを広めるとともに、地域に少しでもお金を落としたいと企画しました。

おかげさまで月ごとに宿泊客も増えてゆき「これなら行ける!」というところまできましたが、コロナ第3波が訪れた昨年11月末からは、また振り出しに。緊急事態宣言のあとは、先の予約は真っ白です。

 

■現在の状況と今後の展望

昨年も楽観視していたわけではありませんが、それでも思った以上の長期戦。もしかするとこの長いトンネルに出口はないのでは……なんて不安になることも。

それでも、ここで出会い結婚した方々や、独身時代にひとり旅で来て、今は家族で訪れるようになった女性、折を見て顔を出してくれる元スタッフ……そうした面々の顔を思い出すと、「誰かの人生の岐路に少なからず関わらせていただいた場所なのかも」という気持ちになり、簡単に閉業という選択はできなくなります。

 

まずは収入源として宿泊以外の別解を増やし、その別解のクオリティをあげることに注力したいと考えています。また、いざ移動の制限が解除されたとき、旅先の宿としての『1166バックパッカーズ』を思い出してもらえるように、情報発信を行ってゆきます。

 

【岡山】有鄰庵 / 暮らしの宿 てまり(株式会社行雲)

株式会社有鄰 犬養 拓さん

業種:宿泊業(ゲストハウス・カフェ「有鄰庵」/古民家の宿「暮らしの宿てまり」)、飲食業(日本料理店「Bricole」/スイーツ店「はれもけも」)、小売(ライフスタイルショップ「美観堂」)
所在地:岡山県倉敷市本町2-15

HP:https://ko-un.jp/

 

■前回アンケートからの変化

昨年の5月から9月までは、全体の数字もとても厳しかったです。ただ、『GoToトラベル』の恩恵で一時的に持ち直し、春の時点で事業のスリム化を行ったこともあって10月と11月は単月で黒字化もできていました。

宿でいうと、ドミトリー形式のゲストハウス『有鄰庵』を休業として、一日一組限定の『暮らしの宿 てまり』に一本化していたことが数字の面でプラスに働いています。

しかし昨年11月からの第3波で、今はまた厳しい状況に戻り、12月以降に自店舗が休業している日数は、去年の最もひどかった時期と同じぐらいになっています。

 

5月以降の取り組みとして、美観地区全体のために行ったクラウドファンディングは、目標の150%、360万円ほどの支援をいただき、美観地区のお店さんたちに微力ながら貢献できました。また、会社全体でECに取り組んだ結果、ECの前年比では350%増を達成。ただ実店舗での売上の落ち込みをカバーできるほどではないです。

またコロナとあまり関係ないですが、私達が手掛ける日本料理店『Bricole』が10月にミシュランの星を獲得し、地元の方からよりご愛顧いただけるようになったのは良いニュースでした。

 

■現在の状況と今後の展望

倉敷は現時点で緊急事態宣言は出ていないとはいえ、やはり全国的なムードにつられて暗い自粛ムードには包まれています。宿の予約も12月からは例年のおよそ1〜2割になっていますし、とても厳しい状態です。

この第3波の状況は、少なくとも3月末までは続くと見込んでいるので、それまでは会社として少しでも毎月の赤字ダメージを減らすために、今できる事業に注力するしかありません。

具体的に言うと、『美観堂』としては引き続き岡山のいいものを販売するECにも注力するほか、『はれもけも』としてはおうちスイーツとして楽しんでもらえるチーズケーキ専門ブランド『倉敷チーズケーキ隊』を立ち上げ、そのクラウドファンディングも実施しました(現時点で目標の150%のご支援をいただいています)。

また、『有鄰庵』としてもプリンの通販スタートを2月に控えています。

それ以外にも『暮らしの宿 てまり』としては、ただ宿泊業をするだけでなく、これからの暮らしにフィットするうつわやサスティナブルなアイテムを販売する事業も立ち上げようとしているところです。

 

自分たちの力だけではどうしようもないことも多いですが、それを嘆いていてもしかたないので、自分たちにできることを実行するのみです。

 

みなさんの現状もお待ちしています

「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」では引き続き記事を公開していきます。

記事を読んだ皆さんも、SNSで「#そっちはどうだい」のハッシュタグをつけて、現状を報告していただけるとうれしいです。

先の見えない、大変な状況だと思います。みんなで現状や取り組みをシェアして、少しでも前向きに日々を過ごしていきましょう。いつかまた、笑って会える日を信じて。

OGPイラスト:小松佑


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