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【グルメ沼】鍋も料理もおいしくする「ローカル調味料」の話を聞いとくれ!

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【グルメ沼】鍋も料理もおいしくする「ローカル調味料」の話を聞いとくれ!

グツグツグツ……。

雪不足が全国で問題になるなど記録的な暖冬となったこの冬。とはいえやっぱりコートは必要だし、身体が芯から冷える夜もあるわけで。

冬のごはんの大定番といえば……そう、鍋!

 

ポン酢を片手にこんにちは。お料理だいすきライターおかんです。

鍋っていいですよね。身体があったまって野菜がいっぱい食べられて、しかもリーズナブルで。しかし、簡単に作れるだけあって味もマンネリ化しがち。

 

ただ、全国を飛び回って、各地のおいしいものを食べまくっているわれわれジモコロライターは知っているのです。

 

ローカルこだわり調味料で
鍋が2万倍おいしくなる!

 

まだまだお鍋がおいしいいまの時期、全国さまざまな場所で取材するなかで知ったおすすめ調味料をつかって、いつもの鍋をグレードアップさせようじゃないですか!

 

用意したのはこちら!(写真左から)

・飯尾醸造「富士ゆずぽん酢」(京都)

・馬路村農協「ゆずしぼり」(高知)

・よしの味噌「発酵レモン胡椒」(広島)

・茅乃舎「生七味」(福岡)

・伍八山椒堂「朝倉山椒の赤粉」(京都)

 

そして、おいしい調味料の凄さを知ってもらうために、ジモコロライターの社領エミちゃんに来てもらいました。

 

「タダでおいしいご飯が食べられると聞いて」

「今日で舌が爆肥えするので、もう生半可な調味料は物足りなくなると思ってください」

 

かけるだけ・つけるだけで鍋がおいしくなるローカル調味料たち

飯尾醸造「富士ゆずぽん酢」(京都)

さて、紹介するトップバッターは京都・飯尾醸造の「富士ゆずぽん酢」

 

「京都北部の宮津にある老舗の『富士ゆずぽん酢』です。飯尾醸造は明治26年創業のお酢屋さんで、純米酢とか寿司酢とかを作ってるねん」

「お酢屋さんのポン酢なんや!」

「まずはこの香りを嗅いでみて……」

 

「おっふぁ〜〜〜〜!!!全然違う!!家で使ってるポン酢と全然違う!!!」

「ブワーっといい香りが広がるんやけど、角がないんよね。角はないけどしっかり柑橘のフレッシュな香りが立ってて、その後ろから出汁の香りが追いかけてくる」

「コメントの解像度がすごい」

「『富士ゆずぽん酢』は無添加にこだわってて、地元の無農薬米からつくったお酢に、徳島産のゆず、関西の昆布といえば……な北海道の利尻昆布と厳選素材でつくられてて。これかけるだけで鍋も湯豆腐もおひたしも『ええ店』の味になるんよ〜〜〜!」

高知県・馬路村農協「ゆずしぼり」

続いて高知県は馬路村農協から「ゆずしぼり」

 

「『馬路村』だ!知ってる!」

「おーさすが。そう、馬路村は農協の個性がめっちゃ強くて、村が自分自身をブランディングして『ゆずの村』として認知させることに成功してるんよね」

「しかも調味料っていうか、ゆずの果汁だけなんや!」

「10月〜11月のいい時期のゆずだけを絞ってるから、本当に香りがいい! 液体の上にゆず皮の油分が浮いてるんやけど、それだけ香り成分を抽出してるってことなんよね。鼻に抜ける爽やか〜でどこか甘みも感じる……公式サイトで『美しい香り』って表現されてるのが非常によくわかる」

 

「うおーーー!! 美しい香り……!! 香りを嗅いだ人が思わず笑顔になっちゃうやつ」

 

「体臭これになりたい…」

よしの味噌「発酵レモン胡椒」(広島)

3番手は広島県・呉の味噌屋「よしの味噌」から「発酵レモン胡椒」

 

「発酵…レモン…胡椒……?」

「青ゆずと青唐辛子、塩で仕込む『ゆず胡椒』ってあるよね。あのゆずの代わりに広島産のレモンを使った商品。さらに米麹も入ってるねん」

「へー、だから『発酵』って名前がついてるのか!」

「レモンの爽やかさ、青唐辛子の辛さ、塩のしょっぱさを米麹の穏やかな甘みがまとめてる。おいしさのキモはこの米麹じゃないかなあ。米麹って文字通りお米が原材料だから、米の甘みがあるぶん、ご飯のおかずと相性がよくなる気がする」

「たとえばどんな風に?」

「発酵レモン胡椒を酒で伸ばして、鶏モモ肉を漬け込んで焼くとか」

「絶対おいしい。食べる前から欲しくなってきたー!」

茅乃舎「生七味」(福岡)

お次は福岡の名店・茅乃舎の「生七味」!

 

「七味なのに生とは」

「そう! 乾物の七味はもちろんおいしいけど、生七味って原材料が全部フレッシュなんよ。だからそれでペースト状になってる。香りがやっぱり全然違うねん、生っぽい感じで、材料一つ一つの香りが際立ってる

 

「お〜〜!?いろんな香りがする!」

「でしょ〜。七味って辛さや香りをつけるために振るけど、この生七味は生姜とかごまとか青のりとかが入ってて、辛さや香りを添加するのはもちろん旨味もプラスしてくれるんよね! 肉にちょんと乗せたら、もう最高よ……」

「辛そうな香りかと思ったけど、なんか甘みを感じる気がする……」

伍八山椒堂「朝倉山椒の赤粉」(京都)

最後は京都府・伍八山椒堂から「朝倉山椒の赤粉」。

 

「山椒って、じつはいろんな種類があるねん。サンショウ属で250種類くらいあるんかな。中華料理で使う花椒(ホアジャオ)もその一種で」

「じゃあ朝倉山椒も、ひとつの山椒の種類ってこと?」

「そうそう! で、この『朝倉山椒』はそんなに収穫量が多くないんやって。伍八山椒堂の『朝倉山椒の赤粉』は、さらに実を赤くなるまで熟させてから粉にしてるんよね。そうするとピリピリ感が減って、香りがものすごく立つ!」

「気になる〜〜!!! はよ食べよ!!」

 

かけ合わせるともっとおいしい。普段の鍋がお店レベルに!

さて、いよいよ実食です!

鍋は調味料の違いがわかるように、昆布だしに白菜・大根・豆腐・鶏肉のシンプルなものを用意。仕上げに九条ネギをわさっ。

 

「ささ!食べてみてください。最初は飯尾醸造の富士ゆずぽん酢をかけるのがいいかも」

 

「うわーー!! めちゃくちゃおいしい!! 素材の味が普段の鍋より引き立ってる気がする……白菜甘い!」

いいポン酢って食材にかけた時に真の姿を発揮するよね〜」

「これってやっぱり飯尾醸造のやつだからおいしいの?」

「もちろん富士ゆずぽん酢はおいしい。でもね、関西ってポン酢へのこだわりが強い土地なんよね」

「たとえば高知のゆず、徳島のすだち、和歌山のみかん。関西って柑橘に恵まれた土地、それに素材の味わいを活かした出汁の文化が息づいてるから、食にこだわる人は『推しポン』を持ってる人も結構いるんよ」

「『ゆずしぼり』の馬路村ポン酢ももちろんおいしいし、大阪には『谷町ポン酢』っていうのもある。スダチ、ゆず、ユコウ、ジャバラ……柑橘にもいろんな種類があるから沼にハマるとなかなか抜け出せないよね、ポン酢は……」

「めっちゃ語るやん……」

「おいしいポン酢はシンプルに味わうのがいちばん魅力がわかりやすいんじゃないかな。料理に使う場合は、おひたしとか、軽く塩胡椒して焼いた鶏モモにかけるとか

「手間もかからなくていい!」

「あと、水餃子のタレにしたら柑橘と酢の酸味が豚の脂をさっぱりさせてくれるしおすすめ! 春先からは新物のワカメやしらすが出回るから、さっと茹でてこのポン酢をサッとつけて……もう最高よ。日本酒いっぱい飲めちゃう」

 

「この発酵レモン胡椒、鶏肉に合うなあ〜。ポン酢で薄味がついた鶏肉にレモンの風味が乗っかって……旦那さんに食べさせてあげたい!」

「疲れて帰ってきた時にシンプルで味わい深い食べ物は沁みるよね〜。うどんにちょっと添えるのもおすすめ。あとはね……バターと混ぜてもおいしいよ!

「バター!」

バターと発酵レモン胡椒を混ぜて、塩ラーメンに乗っけたり、トーストに塗ったり。ステーキのバターとしてもいいんじゃないかな」

「罪の味すぎる……」

 

「生七味も味が引き締まっていいよね。引き締まるだけじゃなく、風味は豊かなんやけど他の調味料を邪魔しない謙虚さもある。粉の七味とは別物と考えたほうがよさそう」

「確かに、香りだけだともっと主張が強いかと思ったけど。どんな調味料にも合いそう」

マヨネーズにこの生七味を混ぜてドレッシングにしてもいいし、納豆にちょい足ししても良さそう」

 

「さて、いろいろ風味が重なり合った上に、このポン酢にゆずしぼりをブレンドすると……」

 

「happiness……!!」

 

「私はキンミヤ焼酎のソーダ割にこのゆずしぼりをトクトク加えて……」

 

「はい最高〜〜〜〜!!!!」

「あと、いいポン酢はトマトサワーに入れてもおいしいよ! 甲類焼酎と無塩トマトジュースにポン酢を適量加えると、和風ガスパチョみたいな味がするんよね。トマトジュースは二日酔いの予防になるから、実質プラマイゼロ」

「ゼロではないと思う……」

 

「発酵レモン胡椒や生七味は唐辛子由来の辛味がどうしてもあるから、辛いのが苦手、でもスパイシーな香りが欲しいって人もいると思う。そういうときにはこの『朝倉山椒の赤粉』ですよ……」

 

「うおおおおおお〜〜〜〜!!! 何やこれめっちゃいい匂いするう!!!」

「すごい、部屋中に山椒の香りが広がる……!」

「知ってる山椒の香りを何倍も上回ってくる〜!これっていっぱい入ってるからなんかな……」

 

「いや少なっ!! めっちゃ少ない!!!」

「内容量5gですから。香りが強いぶん、ちょっとずつしか使わないんよ」

「5gでこの香りの広がり方かあ……」

「少ないって思うかもしれんけど、山椒ってどのランクでもそんなに安くないうえに、けっこう香りが飛びやすいねん。たとえば10g入りの商品を買って、ちょっとだけ使って残りをしばらく置いておくと、もう香りがほとんどしないこともある。5gだったら香りが強いうちに使い切れるから、満足度は高いんじゃないかなあ」

 

いい匂いが充満しすぎて、撮影場所として借りていたお店の店主やお客さんもいっしょに鍋をつつくことに

 

「もう何も考えずに調味料を選んでた頃には戻られへんかも!」

「いい調味料ってお値段もするけどさ、たとえばこのポン酢は1本864円やけど、一食で50ml使うとしたら、17円くらい

「17円でこの『おいし〜!!』が手に入るなら高くないのかもしれへん」

「普段はもっと安いポン酢使ってても、誰かと一緒に食べるとか、ハレの日のご飯とかに奮発していい調味料を使うってのもありやんね」

 

「朝倉山椒の赤粉」を振りかければ、たちまち香りが……! いままでに嗅いだことのない華やかな山椒の香りに思わず目を閉じちゃう。

いい調味料ってどれも香りの立ち方がすごいんです。顔を近づけなくても食欲をくすぐる香りが空間中に舞い上がる!

 

調味料がおいしいと食がめちゃくちゃ進む!

 

すこしみんなにおすそ分けしましたが、エミミ(社領エミ)と私と撮影を手伝ってくれた友人の3人で、鶏モモ2枚、豆腐2丁、大根1/2本、白菜半玉を食べつくしました。

 

いい調味料を選ぶときのポイント個人的に見ていること

「あ〜、おいしかった。地方に行ったら色々買っちゃいそう。ところで調味料を選ぶ時に、おかんが気にしてることってある?」

「原材料の生産地が表記してあると、ついつい読み込んじゃうなあ。あとは材料がなるべくシンプルで、アミノ産とか旨味が足されてないものを選ぶようにしてる。もちろん選ぶ調味料や食材全て、無添加じゃないとダメ!とは思っていないんやけど」

 

「やっぱりそういう添加物が入ってるとおいしくない?」

「うーん、”おいしい”って感情は個人の嗜好やその時々に影響するので一概にはいえないんやけど。ただ、こと調味料に関しては、アミノ酸で旨味が足してあるものって味が均一的になっちゃう気がするんよねー」

「へー、そうなんや」

化学調味料の利点は安いこと、時短になること、誰でも簡単に味が決められることやと思うのね。アミノ酸って『旨味のかたまり』やから丁寧に出汁をとるとか、熟成させるとかの手間を省いて、料理が得意じゃない人でも『おいしい』と感じられるものが安くつくれる。そこがメリットでもあるんだけど」

「忙しい家とかでは助かるよね」

「うん。ただ個人的には、そのためにどうしても『旨味が強すぎる』というか、似た味になる印象があって……」

「おかんみたいにこだわりたい人は気になっちゃうんや。鍋みたいなシンプルな料理だと際立ちそう」

「うんうん。食い意地がはってるから、毎食『似た味だな〜』と思って食べることを避けたい。食材由来の風味だけでつくられたものって材料コストもかかってるから、比較するとどうしても高価になる。それでも一食あたりで考えたら、そんなに高いわけではないし」

 

「まあ、独り身だから食にかけられるコストがまだあるだけやとは思うし、ビンボーしてる時は買えませんけど……もうそういう時は塩でよくない?」

「急に身も蓋もないな!」

 

おわりに

いいものを食べることって、贅沢ってだけではなくて勉強になると思うんです。素材が持つポテンシャルを学ぶことができる、舌のための教材というか。

調味料は入手しやすいし、汎用性が高いので、手軽に「日々の生活のクオリティをちょっと上げたい」人におすすめです!

というかマジで食べてみて欲しい、本当においしいから……。

 

ちなみに今回は関西以西で柑橘ベースのものばかりだったのですが、全国にはおいしいこだわりローカル調味料がたくさん。最後にリストで紹介します。

【まだまだあります、おすすめ調味料】

『あごんちょび』(長崎)

長崎・新上五島の、トビウオのアンチョビ

『京だし』(京都)
無添加にこだわる京都の佃煮屋「津乃吉」がつくる万能調味料

『鯖の醸しリエット』(滋賀)
滋賀の高島市の保存食屋「10%アイアム」のリエット

『摩文仁マジック』(沖縄)
沖縄の保存食屋さんがつくるヨモギのソース

『ゆずアチャール』(岡山)
岡山の自然食品屋さんがつくるインドの漬物「アチャール」

 

ローカルのちょっといい調味料を揃えるだけで、普段のちょっとした料理のレベルが爆上がりする。これぞグルメ沼の入り口です。

 

そして皆さんも好きな調味料があれば、Twitterで「#グルメ沼おすすめ調味料」のハッシュタグをつけてつぶやいてください!

みんなの集合知でグルメ沼にずぶずぶ浸かっていきましょう。それでは。

 

撮影協力:壬生モクレン


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