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全国民に告ぐ!山口県民が愛してやまない最強うどんチェーン『どんどん』の素晴らしさ

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全国民に告ぐ!山口県民が愛してやまない最強うどんチェーン『どんどん』の素晴らしさ

どうもこんにちは。ジモコロ編集長の柿次郎です。

皆さんは山口県民全員が食べているソウルフード「どんどん」のことを知っていますか?

 

県民から「毎日食べにいく」「俺の体の細胞は『どんどん』でできている」とまで言われる愛されメシ。その正体は、そう……

うどんです。

 

「うどんなんて、だいたい美味しいでしょ?」と思うでしょう。しかし、山口県発のローカルうどんチェーンである「どんどん」は特別なんです。

 

数年前に山口県の萩市を訪れた時、地元の人に「美味しいから行って来なよ〜」と、「どんどん」を紹介してもらいました。そのあまりの美味しさをツイッターで伝えると、山口県民や地元の学生らしき人たちからすごい反応が。

 

調べてみると、「どんどん」を愛する人たちが口々につぶやいている……

 

「こんなに愛されてる地元チェーン店、ある???」

そう気になりはじめてからずっと「どんどん」のことが忘れられなくて……。しかも調べれば調べるほど、すごい噂がどんどん出てくる。

 

こんなにすごいローカルチェーンがあったなんて。これはもう、裏側を探るしかない!

 

どんどんで生まれ育った山口出身の友人を連れて、「どんどん 武久店」での現地取材を実現!

僕の心にずっと残る「どんどん」とは、なんだったのか? 今日こそ、その魅力を見極めるぞ……!

 

『どんどん』ラバーの山口県民

「『どんどん』はすごく良いですよ……学生時代、僕の細胞の何割かは確実に『どんどん』でできてました

 

取材先でそう熱弁するのは、山口県出身のデザイナー・望月重太朗さん。

「東京の立ち食い蕎麦屋でうどんを食べたら、味の違いにびっくりして。自分は山口のうどんがメチャクチャ好きだったんだなって、再確認しましたね」

「そんなに違いますか! でも、ほとんどのうどんって美味くないですか? 3年前に食べて確かに美味しかったけど、そこまで特別かな」

「いやいや、『どんどん』は本当に全然違う。別格です。出汁が甘くて、麺もふわふわしてる中にコシがあって、添えられたネギの味にも深みがあって

「そう聞くと美味そうだ……望月さんは、そのうどんに学生時代から触れていたんですよね。当時はどのくらい食べてたんですか?」

 

当時、よく食べていたという「学割どんどん」のおむすびセット。わかめのおむすびも絶品だそう

 

本当に、ほぼ毎日食べてましたよ。高校3年生くらいになると、学校が早く終わるじゃないですか。それから、唐戸(山口県下関市)にあった店舗に行って。学割うどんを食べて活力を得てから予備校に行く……ってのが日課でした」

「完璧に『どんどんに育てられてる』じゃないですか!」

「しかも美味しいだけじゃなくて、めちゃくちゃ安い。『学割どんどん』ってメニューなんか、育ち盛りの学生が好きそうな肉・かまぼこ・天かすの入ったボリューミーなうどんが、330円。おむすびを2つ付けても430円なんですよ」

 

学割メニューにプラス100円でおにぎり2個、もしくは炊き込みごはんを付けることができる

 

「めっちゃ安い! お金のない学生にとって『安くて美味い』は正義ですもんね……」

「マジで出汁まで飲み干してました大人になってからは、二日酔いの日に食べるとすごく体にいい感じがして……しんどかった体が少しだけ軽くなるんですよね」

「二日酔いにまで!? それは確かに、毎日食べたくなるかも」

「マジで県民に愛されているし、こだわり方もチェーン店のレベルじゃないんですよ。個人店でもここまでこだわる?ということを、全国35店舗でやってるからすごい

「そのこだわり、詳しく知りたい! 早速、会社の方に聞きに行きましょう!」

 

愛されるうどんのヒミツ

山口県民・望月さんが「毎日食ってた」と豪語する『どんどん』のヒミツを探るべく、同社の専務、大島さんにインタビューを決行しました。

 

話を聞いた人:大島透さん
うどんチェーン『どんどん』を運営する、株式会社スナダフーヅの専務。現在は店舗の企画・運営などを担当している。創業者である砂田シゲヨさんは義理の祖母に当たるそう。繁忙期には、専務である大島さん自ら店舗に立つことも。

 

「山口県民から愛されまくりの『どんどん』について、今日は色々聞かせてください! ぶっちゃけ、人気の理由は何だと思いますか??」

「やっぱり、麺も理由の一つでしょうか。お店では基本的に全ての麺を『釜揚げ』で提供すると決めています。15分ほどかけて茹で上げて、すぐにお出しすることで『どんどん』の特徴である『麺のふわふわ感』『コシのある食感』を両立できるんです」

 

甘めの牛肉とエビ天が入った「肉天うどん」(550円)

 

「全て釜揚げ! でも15分もかかると、お客さんを待たせるのでは? そんなに待った覚えはないけどな」

「実は、15分後の来店客数を想像して茹でてるんですよ」

「15分後を予想……それって結構、すごいことでは? どうやって予測するんですか? 麺茹でのプロ集団でも雇ってる?」

 

「それはパートの方々の経験によるものですね。『昨日はこんな感じだったから、今日は12時にこのくらいの人数が来そうだな』と考えて、11時45分ごろ茹で始める。すごく訓練を要するし、外すこともあります。茹で過ぎた麺は、一定時間経つと仕方なく廃棄することも」

「おお、うどんのクオリティを保つための努力がすごい」

「それから、実はあんまり謳っていないんですが……うちは『安い』『美味い』以外に『体に良い』ということも大切にしてるんです

 

「体に! そういえば、国産のネギをたっぷり使えるんですよね?」

「はい。うどんを注文されたお客様には、鉢1杯分の国産ネギを『のせ放題』でお出ししています」

 

味の濃い国産ネギ。「水耕栽培のものは絶対に使わない、味が違うから」というこだわりようだ

 

「それから、一般的なエビ天では当たり前の『加水』という加工をしていません。これは身を柔らかくしたり食感を良くするために添加物を加える処理なんですが、うちではそのままのエビを楽しんでもらいます」

 

揚げたてのエビ天。エビの食感を楽しめるように、衣も薄めだ

「後は生姜も、高いですが高知産のものを使ったり、『あんかけうどん』のあんかけも最初は片栗粉で溶いてたんです。でも、『片栗粉より葛粉の方が美味しいよね』という話になって、今は全て葛粉に。全体的なコストでいうと1.5倍くらい違うんじゃないかな」

「コスト1.5倍! なぜそこまでこだわれるんですか??」

「その理由は、当店のルーツにあるのだと思います」

 

大衆のための『どんどん』誕生秘話

「どんどんのルーツ、気になります」

「実は私の義理の祖母が今でいう『起業家』のような人で、いろんな事業を起こしていたんです。その中で、萩市に出した『うどんの店』という店が大ヒットを起こしまして」

「なるほど、おばあさまは料理も?」

「はい。『どんどん』の味も、彼女が作り上げたものでした。彼女は天才的な舌の持ち主だったそうで、彼女の出身地である島根の甘い出汁の味付けが、現在の『どんどん』の味のベースになりました」

「そういえば少し甘めの出汁ですよね。どんどんのルーツは島根県にもあったのか!」

「はい。その後、萩市内から下関、山口市へと店舗を増やして行きました。その頃からずっと変わらない理念として『毎日来てもらえる、大衆向けの店である』というものがあります」

「大衆向けの店。確かに学割だけじゃなくて、どのメニューも安いですよね」

 

わかめうどんが430円、天ぷらうどんも……480円!?

 

「はい。やはり毎日来てもらえるためには、毎日でも食べられる価格で、飽きない味で、かつ健康にも良いものでないといけない。コスト度外視で食材にこだわるのも、創業当時からの理念を持ち続けているからなんです」

「なるほど……とはいえ食材の費用も変化するし、大変なのでは?」

「そうですね。私はもともと飲食と違う業界で働いていたので、正直、コストのことを考えるとヒヤヒヤしてしまいます。一時は天候不順のせいで国産のネギが取れなくなって。牛肉よりネギが高いなんて時期もありました。去年の秋も、ちょっと大変だったな……」

 

大変だった時を思い出した大島さん

 

「ただ、社長たちの『自分が出されて嬉しいものしか、出したくない』という思いを理解しているので。会社として、食材へのこだわりは半端ではないと思います」

「一貫してますね。この価格帯で、そこまで食材にこだわるうどん屋って他に無いんじゃ?」

「僕はあまり無いと思います。今回の消費増税の時も、僕らは税込価格を据え置きました」

 

人気の肉うどん(480円)、天ぷらうどん(480円)など、学生でも気軽に食べれる価格だ

 

「税は上がるけど、値段は変えない。だから実質『値下げ』なんですよね。しかし、お客様の本当に求めているものを出すためには、こうしないと」

「大変な企業努力だ……飲食チェーンってやっぱり、コストを削減して、早く消費してもらうのが一般的な流れだと思うんです。そこに逆行してでも、理念を貫くのはすごいことだと思います」

 

サイゼ&オリジンも?「体にいいもの」共同戦線

「実は似た取り組みをしている企業が他にもあって」

「価格は安く、体にいいものを!? 知りたい! それはどこでしょう?」

「『サイゼリヤ』さんと『オリジン弁当』さんです。実はこの2つの企業の会長さんと、うちの会長が意気投合しまして。『これからは体に優しいものが来る時代だ!』と、3企業とも意識して取り組んでいるんです」

「おお……! 飲食業界トップランカー同士、やはり業態は違えど通じる熱い思いがあったんですね。ちなみに、何がきっかけで意気投合したんでしょう?」

「うちの会長とサイゼリヤの会長さんの名前が、同じ『やすひこ』だったんです」

「そんな理由!?」

「年も同い年だったので、仲良くなって」

「そんな理由か……でも、全国にチェーン店を開く大企業が『体に良い』を重視していくのは、食べる側の僕らにとっては嬉しいことですね」

 

どんどんを支える山口県民

「これまでのお話を聞いていると、店舗スタッフの方に求められることも多いのかな? と思います。」

「それはあると思います。何より、店づくりはパートさんによるものが大きくて

 

店は基本10時ごろから、夜は21時まで。シフトを組めば、家のことをしながらでも働きやすい

 

「うどんの出汁も各店でとっているので、手間はかかります。夜に店を閉める時に昆布を水に浸してもらって、朝に出勤したパートさんがそれを火にかけてくれる。先ほどお話した『お客さんの数を先読みする』というのも、とても訓練が必要なことです」

「やっぱり『どんどんの味を愛してきた、山口生まれのスタッフが優秀』みたいなことはあるんですか?」

「県民の方でなくとも、『どんどん』の味に親しんできてくれた方がスタッフになってくださればと思います」

「その店の味を知っているというのも大事なことですよね。僕は、『この味を伝えたい』『お客様の食生活を変えたい』みたいな想いがあって創業した飲食チェーンでも、規模が拡大するうちにどこか店舗には受け継がれない部分が出てくるのかなと思っているんです」

 

「その点、『どんどん』は味へのこだわりやイズムまで店舗がしっかりと受け継いでいて、やってることはチェーン展開というより『のれん分け』みたいに見えますね。それってかなり、飲食チェーンの理想形なんじゃないでしょうか?」

「いえいえそこまで……! ただ、手間のかかることを続けている自負はあります。冷凍を使ったら早いな、と思わないこともないけど、味が全く違うので」

「飲食の個人店がどこまでできるかな? という部分をチェーンでやってる。やっぱり、昔から『どんどん』を好きだった人たちが中にいるからできることなんでしょうね」

 

「本当は他の地域にも増やしたいんですよ。山口って名物が少なくて。フグとか、日本酒の獺祭とかは有名になりましたが……『山口県といえば、どんどんのうどんだよね』と全国の人に思ってほしい。そこから『萩や山口に行ってみようかな』という人がいれば、地域にも貢献できるかなと」

「もうほんと、もっと取材されてほしい。企業努力もイズムの貫き方も、『ガイアの夜明け』とか『カンブリア宮殿』レベルですよ

 

まとめ

山口県民に愛されるうどんチェーン『どんどん』。その秘密は、「毎日食べに来てもらえる店に」という創業当時の思いを守るための、企業努力にありました。

 

体に良い食材を使い、ちょっとした手間も惜しまず美味しいものを作り、毎日来られるように価格を抑える。その努力は、1つ1つのお店にいるスタッフたちのものでもあります。

 

味に慣れ親しんだスタッフが店を回し、その味を愛する県民がまた集まる。まるで「のれん分け」された個人店のように、1つ1つの店に、『どんどん』のイズムが受け継がれています。

食材の値上げや市場の変化と戦いながらも、味を守る。その姿は、飲食チェーン店の1つの理想形ではないでしょうか。

 

そして…

ストーリーを知った上で食べると、『どんどん』がより美味く感じる〜〜!!! ぜひ皆さんも、足を運んでみてください!

 

構成:乾隼人
写真:小林直博


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