はじめに
こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。関東から一番近い離島「初島」取材に行くんですが…皆さん「初島」って知ってますか? Twitterのアンケート機能で調査したところ…
みんな「初島」って知ってる? これから取材で行くんですけど。
— 徳谷 柿次郎 (@kakijiro) 2016年2月16日
229名の投票で約6割の人が存在を知らない様子!
実は「初島」って関東からもっともアクセスの良い離島なんです。都内から熱海を経由して、たったの約90分で大自然を堪能できる離島に行けるのが魅力!
ざっくりポイントをまとめると…
・都内から最速で90分で行ける
・熱海を経由して行くから二度美味しい
・フェリーで船旅気分を味わえる
・富士急行が運営するフェリーや観光施設がある(※PRポイント)
・離島の魅力をコスパ良く堪能できる
・1泊2日の旅行プランとして、ちょうどよすぎる!
僕も全然知らなかったんですが、どうやら何かとちょうどいい旅行プランを組むことができるそうです。今回、富士急行さんから記事広告の制作依頼があるまで気づきもしませんでした。
さらに「初島」の歴史に触れると…約2万年前に海底が隆起して現れた島で、約7000年前から人々が住んでいたとか。周囲約4km、人口243人とかなり小さい規模です。
Googleマップで見たら一目瞭然。小さな離島なのに、しっかり一軒ずつ情報があるし、衛星画像の生感もすごいし、「Googleマジすげー」と思わざるをえませんね…。
それが観光地として栄えている説得力にも繋がるわけですが、軽く歴史を調べてみると古くから住める世帯は41戸と定められているらしく、初島独自の文化が育まれているんでしょう。
というわけで今回は、初島の「観光視点の魅力」×「好奇心剥き出しの歴史」を調べてきたいと思います!
東京→熱海は新幹線で超近い
はじめて熱海駅に来たんですけど、駅前に足湯があるんですね。足湯用タオルも100円で売ってるし、Wi-Fiも飛んでるし、地味に天国かもしれません。
熱海駅から熱海港まではバス or タクシーで。バスは駅前ロータリーの7番「熱海港 後楽園」方面に乗ります。タクシーは1,000円ちょいで移動可能です。
熱海港に着いたら、ドーンと出迎えてくれたのが富士急行が運営する高速クルーズ船「イルドバカンス プレミア」です。想像していたよりもリッチ!
初島行きの便はこんな感じ。片道約30分の航路のため、1日9便も往復しているそうです。気になるお値段は大人往復=2,400円。新幹線代(品川→熱海)と合わせても計10,580円で往復移動できます。おお、リーズナブルの神々よ…。
いざ、キレイな高速船で「初島」へ
クルーズ船に乗ってみてビックリしたんですが、めちゃめちゃキレイなんですよ。もっと海の男たちが険しい表情で雑魚寝しているイメージだったんですが、たった30分の船旅を楽しんでもらいたいという富士急行さんの心意気が感じられます。
地下のスペースは、海中をイメージした作りに。光の演出が楽しい天井を見上げて寝転がることもできるので、少しでも仮眠したい東京のビジネスマンにオススメです。
せっかくの船旅なので、景色を楽しむのも一興。幸い天気に恵まれたため、本土の熱海がどんどん遠くなっていく様子を眺めていました。ツイート数やいいね数の喧騒から離れられる瞬間…まぁ、これも記事広告なんだけど…。
今回カメラ担当として同行した同僚のまきの(彼がジモコロで書いた記事はこちら)ですが、持ち前の天然パーマで海風属性を受け止めていました。
「天然パーマのリーゼント?」
「リーゼントではありません」
そして初島に到着!
品川から熱海まであっという間だったんですが、熱海から初島までも体感的には「え、もう着いたの?」という印象です。
釣りを楽しんでるおじさんがたくさんいて羨ましい。どうやら貸し釣竿もあるそうです。離島のロケーションで釣りって…いきなりテンションが上がりますね。
なにはともあれ、まずは腹ごしらえということで、期間限定(2/5〜3/13)で開催されている地元漁師たちが自慢の一杯を競い合う『丼合戦』に参戦! 初島の地魚や地元食材を使った丼16種類を各店舗が提供している名物です。高速クルーズ船とセットになった「丼合戦セット券」も熱海港で購入できるので忘れずにどうぞ。
いかにも港の料理屋さんといった佇まいのお店が一列に並んでいて、どこにしようか迷うところですが…。
「めがね丸の初島うまい丼」という名前に惹かれて速攻決めて入りました。
「うまい」って字面が入ってたら絶対うまいでしょ。ラーメン屋の『神座(かむくら)』が人気なのも「おいしいラーメン」というネーミングのおかげじゃないか?と思っているので理屈的には間違いありません。
こちらが「初島うまい丼」です! うっまそー!!
特製の生姜ダレをかけて食べるんですが、イカ、ねぎとろ、アジの鮮度がヤバいですね…。写真越しに伝わる透明感。SK-Ⅱで保湿でもしてんじゃないかってレベルで輝いています。
腹がペコペコだったので、豪快にかきこんでみると…
美味い!!
「地方出張に行く度に思うんだけど、魚介類って鮮度がすべてよね」
「うん。近くで獲れるかどうかだな。生姜ダレも効いてて美味すぎ」
「丼合戦って言ってるけど、使用している食材はほぼ一緒なんだから、どこで食べても美味いんじゃないかな。元も子もないけど」
「合戦終了のお知らせ」
腹ごしらえをした後は、島を散策してみます。いやー、この写真だけで伝わるのか分かりませんが、いわゆる「海を見たい」という欲求を満たせる上に離島のシチュエーションじゃないですか。このちょうどよさ!しきりに「ちょうどいい〜!」という言葉が口からこぼれていきます。
2月中旬の時点で河津桜が咲いていて、一足先に春の訪れを感じることができるし。
富士急行が運営する施設「海泉浴 島の湯」では、絶景の海を眺めながらお風呂に入れるし。
夏場は併設されたプールを楽しむことも可能。こりゃ、贅沢だわ。
さらに少し階段を上がったところにある「アジアンガーデン R.Asia」は…
文字通りアジアリゾート感満載の広い公園になっていて、テーブルで休憩したり、ハンモックに揺られたりなど、リラックスした時間を過ごせそうです。いいなぁ。
スタッフの人に魅力を聞いたところ「天気の良い日は、ここに寝転がって見る星空が一番キレイなんですよ」と、とっておきの情報をGETしました!
みんなメモった!? この環境で星空を眺めてダラダラできたら最高じゃない!?
夏季限定でバーも運営しているそうです。サバーイ!!(タイ語で気持ちいいの意)
さらに奥の「キャンプヴィラ」は富士急行運営の宿泊施設です。アメリカ映画を見てると一度はトレーラーハウスに泊まりたくなるものじゃないですか。
冷暖房完備、大自然に囲まれた環境で宿泊できます。バーベキューセットもあるし、食材も事前に言えば用意してくれるし、友人何人かで集まったら最高じゃないでしょうか。絵が浮かぶ…。ソーシャルに写真をUPすると「リア充!」と言われるやつ…。
違うエリアには「テントヴィラ」もあって、夜はこんな星空を眺めながらゆったり過ごせるってわけで…。富士急行さん運営の施設は、大関クラスの安定感がありますね。
しかし、なんでこんな天国が話題になってないのか? 近くにいたスタッフに聞いたところ「春から夏にかけて週末はすぐに予約で埋まるほどの盛況ぶりです」との回答が。なるほど。自分がただ知らなかっただけで、知る人ぞ知る人気スポットだったんですね。初島で宿泊したい人は、今のうちに予約しましょう!
人気すぎるアトラクション「SARUTOBI」
そして初島の超人気アトラクション「SARUTOBI」も忘れてはいけません。
2月の平日に行ったのでたまたま空いていましたが、週末の連休になると朝イチで並ばないと入れないくらい人気なんだとか。一体、どんなアトラクションなのか?
高いところがあまり得意ではない私に代わって、カメラ担当のまきのがチャレンジします。安全確保のために専用のハーネスを装着。これがポイントです。
「お腹痛いから、あとは頼んだ」
「今回の取材、俺の扱い悪すぎない?」
初級12コース、中級7コースと大きく分けて二つあるんですが、全コースに頑丈な鉄製ロープが引かれていて、そこに装着したハーネスをガチャっと通します。スタッフに遊び方をしっかり聞いて、言うことを守っていれば怪我の心配はありません。
ちなみにコースはこんな感じ。全部通して遊ぶとなると1時間ぐらいかかるようです。
こんな感じでハーネスを手繰り寄せながら、猿みたいに木の上を移動する自然体験アトラクションなんですが…
その高さ6〜7mと、高所恐怖症じゃなくとも少し足がすくむようなステージになっています。スタッフに「一度スタートしたら絶対に戻れません。気をつけてください」と入念に言われた意味がわかりました。
「どう? 怖いの?」
「風が強くてめちゃめちゃ揺れる〜!! 助けてくれ〜!!」
ワーワーと叫びながらステージをクリアしていったんですが、思わず「ごはんですよ」のおじさんみたいな顔になる光景が目に飛び込んできました。
わー!! ドンキーコングみたいな激ムズステージだ!!
「いい加減にしてくれ〜!!」
プルプルプルプル…
この手のアトラクションが得意な彼でも、初級ステージを終えてこの有り様…。途中で引き戻せないという設定が絶妙なんでしょう。テレビでおなじみの「SASUKE」みたいなコースもあるようなので、この手のアトラクションが好きな人は熱海港始発のフェリーに乗って挑んでみてはいかがでしょうか。
こちらの女子大生二人は、黄色い声をあげながらも初級、中級コースと難なくクリアして「楽しかったです!」と言い残して、颯爽と元々の目的であるランニング(ちょうどいいコースがある)に戻っていきました。あれ…? 人によって印象が全然違う…?
初島の歴史を取材してみた
ここまでは初島のリゾート的な魅力を取り上げてきましたが、冒頭で触れた通りに小さい島ながら人口243人が普通に暮らしている土地でもあります。歴史上、41戸しか住むことを許されていないーーその理由も正直気になっていました。
島の反対側はご覧のとおり、民家がやけに密集しています。いくら狭い島とはいえ、ここまでギッチギチに家が建てられてるのはなぜだろう…。
そこで、たまたま道を歩いていた島在住のお婆ちゃんに声をかけてみました。
「初島の歴史について取材してるんですけど、お話聞いてもいいですか?」
「いいよー!」
「元気ですねぇ。この島で生まれ育ったんですか?」
「そうだよ。初島で生まれ育って77年。戦争もこの島で経験したからねぇ」
「島の生き字引きだ! 早速お聞きしたいんですけど、民家や民宿が密集しているのはなぜなんですか?」
「ああ〜。二つ理由があってね。小さい島だから海風が強いでしょう? 隣り合わせて民家を建てることで海風を防げるわけ。もちろん家によって影響は変わるんだけどね。島自体も海風を避けるために、海岸沿いに松の木を植えてるのよ〜」
「なるほど! 松の木がやけに多いのはそのためだったんだ」
「もう一つはね、そもそも水道やガスがこのあたりまでしか引かれていないのよ。だから密集してるの」
「めちゃめちゃ分かりやすい理由ですね。古くから41戸しか住んではいけない理由も、ライフラインの問題なんでしょうか」
「そうそう。ここは半農半漁の島なんだけど、耕作地も家を建てる土地も限られているでしょう。水源も少ないし。だから増やそうにも増やせないのよ。といっても島の高齢化が進んでいて、今では住む人も減って30世帯ぐらいしかいなくてね…」
「ここでも過疎化の流れが…。家は長男が継いで、次男、三男は島外へ出るわけですよね。初島に移り住むことって可能なんですか?」
「お嫁に来てくれたらいいのよ〜!私の家でよければ大歓迎よ? あっはっはは〜!」
「深刻そうなのに明るい〜! ここの土地の人は外から来た人に対して、すごく優しいですよね。観光業が中心だからなのかなぁ」
「それはそうよ。島外からお客さんが来てくれないと私たちの生活は成り立たないもの。GWや夏休みシーズンは島内に人が溢れかえっちゃうくらいで。住んでる私たちも楽しいし、お客さんも魅力があるから集まってくれるんじゃないかしらねぇ」
気さくに初島の歴史や土地の成り立ちを教えてくれたやえこ婆ちゃん。「坂道は後ろ歩きがラクなのよ」って言いながら、マイケル・ジャクソンばりのムーンウォークを見せてくれました。ポゥ!
アポなしで初島区長に話を聞いてみた
島の全体像を掴みつつあったものの、島民の方々が口を揃えて「詳しいことは初島漁業組合に聞いた方がいい」と言うのでアポなしで訪れてみました。大丈夫かな…。
と思ったら、たまたま居合わせた初島区の区長であり、初島漁業協同組合の組合長でもある新藤康晴さん(一番偉い人!)にお話を聞くことができました。運が良すぎる!
「突然お尋ねしてすみません。初島の取材をしているんですが、より正確な情報を知りたくて来ちゃいました」
「いえいえ、私でよければお答えしますよ」
「今日は熱海港から富士急行さんの高速船で初島に来て、島内を散歩してきたのですが、富士急行さんとのお付き合いはどれくらいなのでしょうか?」
「富士急行さんとは1964年からのお付き合いなんですが、当時は熱帯植物園、ゴーカート、プールぐらいしかなくてバブル崩壊後に伸び悩んでいたんです。そこで富士急行さんと一緒にアイデアを出し合って、2006年に全面リニューアルしました。トレーラーヴィラやキャンプヴィラ、そしてSARUTOBIの人気もあいまって、GWや夏休みは特に大盛況となっていますね」
「そんな昔からやってたんですね。島のお婆ちゃんが夏休みは人であふれかえるくらいだと言ってましたが、過剰な観光需要は良い面と悪い面がありませんか?」
「うーん。大型連休に人が集中するのは少し問題ですね。GWはこの狭い島に1日3,000人来ることもあるので、サービス側の対応が追いつきません。改善しようにも、41人の地権者によって初島は成り立っている背景もあり、土地の流動性が生まれない。つまりこれ以上お店を増やすことができないんです」
「へえー、そうだったんですね。お店が増えないということは新たな雇用も生みにくい…。都心からのアクセスの良さで需要は高まっていても、そもそも対応できないというのは初島ならではの悩みかもしれませんね」
「さらに難しいのが、初島の文化が絶妙なバランスで成り立っていることです。41戸という括りも高齢化や後継者不足で、実稼働は30戸まで落ち込んでいます。普通の村と違って規模が小さいため、働き手が1人減っただけでも大きな影響を受ける…」
「地方創生問題の縮図みたいですね」
「そうなんです。なんとか一致団結してこの問題に取り組むべく、『土地は売らない』『境界を厳しくする』『人気(道徳)を悪くしてはならない』という島に伝わる三原則を強く働きかけているところですが…同時に外の価値観を入れないと後がなくなるのも事実です。しかし、一人の影響が大きすぎて失敗が許されない。仲が良くとも悪くとも島は家族である…その想いが島を維持してきた側面もあって、一歩踏み出せないのが正直なところなんです」
「もし全然島の風土に合わない人が入ってきて、島内の結束が崩れるのは避けたいわけですね。うーん。これまで地方の問題を取材してきましたが、離島の問題はまた特別な事情が絡んでくるんだなぁ」
「我々だけの力だけではどうしようもない部分があるので、それこそ富士急行さんのような大企業と一緒に取り組んでいけるといいんですが(笑)。まずは島内唯一の学校の対応でしょうか。小・中学校合わせて5人しか生徒がいないんです」
「高齢化と少子化のダブルコンボ! 現在空いてる10戸近くの民家を有効活用しつつ、島の文化を受け継いでいけるといいですね」
「我々が島で生活をすること自体が文化の存続になるわけですし、だからこそ島の魅力が出るのは間違いないので。観光需要に応えつつ、島内の問題にもしっかり対応していきたいと思います
「貴重なお話ありがとうございました!」
取材を終えて「熱海シーサイド SPA&RESORT」へ
今回、富士急行さんの依頼で一切知識のない「初島」を訪れたわけですが、元々備わっている観光的な魅力に大きな気づきがありました。都内からのアクセスの良さ、初島 or 熱海のどちらに宿泊しても満喫できる利便性。もし取材をしていなければ「熱海の先に何かがある」という選択肢が生まれなかったんじゃないかと思います。
さらにインターネットで調べても出てこない初島の歴史に触れることができて、「これだから地方取材はやめられないぜ! 掘れば掘るほどおもしろい!」と少年漫画の主人公的な感慨に浸ることができました。41戸縛りの離島ならではの風土…好奇心前提で触れるとおもしろいとしか言いようがありません。
というわけで、この記事を読んだ上で初島&熱海をセットで訪れてみてください。1泊2日で「ちょうどいい旅」ができるはずです。初島の週末は混雑が予想されるので、そんなときは富士急行さんの運営ホテル「熱海シーサイド・スパ&リゾート」に泊まってみてはいかがでしょうか。
全室オーシャンビューだし、源泉掛け流しの天然温泉もあるし、ご飯は美味いし、それで1泊2日で8,000円〜と旅に必要なモノが全部揃ってます。
いやー、ちょうどよかった…。
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書いた人:徳谷 柿次郎
ジモコロ編集長。大阪出身の33歳。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916