こんにちは!茶色い何かを口に入れてご機嫌なタカダハルナです。
突然ですがみなさん、美味しいものは好きですか?
「美味しいお店教えてください(てか、ビール飲みに行きましょうよ~!)」というのが私の口癖なんですけど、つい先日、知り合いが面白い情報を教えてくれたんです。
「青森県八戸市にすごく美味しい居酒屋があるから行ってみて。あと、店長は仙人って呼ばれてるの。凄い人でね~」
………
「仙人」ってどういうこと!? どんな偉業を成し遂げれば、仙人と呼ばれるようになるんでしょうか。これまでそのあだ名がついている人間と出会ったことがないけど……
来てしまいました。ここが仙人のいる居酒屋「雄艇(ゆうてい)」です。店の看板にも「仙人」の文字が。
きっと白く長いヒゲをたくわえて、威厳のある立派な眉に、真っ白な着物をサラッと羽織ってたりするんだろうなあ。
お邪魔しまーす……。
「おう!いらっしゃい」
パーマのかかった頭に、黒く太い眉。さらに迷彩服。………いや、まさか、この人が!?!?
「知り合いから『凄い人がいる』と聞いてやってきました」
「ガハハハッ!オラは何も凄くねえよ。仙人って呼ばれてるけどな」
「………」
「怪しい者じゃないよ、取材もたくさん受けてるんだから。ここら辺に貼ってある新聞記事を見てみて」
「本当にたくさん取材受けてますね!(仙人の名前は佐藤っていうのか)」
「本も出してるよ。地元新聞の連載をまとめたんだ」
「帯の推薦文、隣の岩手県・二戸(にのへ)の市長が書いてるんですね!」
「そうだよ。本のはじめには下長内科クリニックの院長さんが良いこと書いてくれた」
佐藤さんの経営する居酒屋「仙人の食卓 雄亭」では、自前の海の幸、山の幸のみが食材としてカウンターに並んでおり、他の料理店で食べることができるものはほとんどない。旬を逃すと、前回食べた食材を今回は食べることが出来ないというのが基本である。(中略)
私の専門の漢方の立場からすれば、漢方薬も草根木皮を主体とした生薬が原料のため、天然素材を使用する点が共通である。
現代人が多くの加工食品を食べ、化学合成した薬品にまみれているこの時、その体力の低下を懸念せざるを得ない。添加物だらけの食品で元気でいられるのだろうか。
下長内科クリニック院長/南部漢方研究会代表幹事 三上信久
「また地元の偉い人が出てきた。この店は自然の食材だけを扱ってるんですね」
「そうそう。実はオラ、胃が無いんだよ。がんになって全摘出したの。余命半年って言われたけど、自分で採ってきた自然のものばかり食べてるうちに、3年7か月も生きてるよ。元気なもんだ! ガハハハッ」
「(この人、本当にすごいかも…?)」
自然がいちばん美味い、ただそれだけ
今回話を伺ったのは、佐藤雄三さん(写真左)。自給自足を実践する姿から「仙人」と呼ばれています。
「お腹空いたでしょ?はいこれ、ムラサキイ貝の蒸し焼き。食べて!」
「ありがとうござ……なんだこれ!?」
「下の方にスープも入ってるから。貝の上に身とスープを一緒にのせて食うと、うんめえど~。鍋にただ貝を入れて蒸しただけだから、いっさい味付けしてないし酒もワインも入れてない。何もしなくても十分美味いんだ」
「え、これ味付けしてないんですか!!?? 何この旨み!!! おいしい〜〜〜」
「オラが潜って採ってきたんだよ。このキノコも山から採ってきた」
仙人の採ってきたヤナギナメコがたくさん入った鍋
「うわああ!すごい量!!しかもデカイ」
「こんなキノコ、見たことねえべ? でも今日はもっと凄いのあるから。我が71年の人生の中でも、まだ12、3個しか採ったことないキノコだ」
「ええ!?」
「これ、秘密のキノコのステーキ。本当に貴重なものだから正式名称は教えられないの。個体数が少ないから、なかなかお目にかかれない」
「……めっちゃ美味しい。口に入れる瞬間から香りが良くてびっくりしました。キノコってこんなに美味しいものなんだ」
「それが本物の味。実際に食べてみないと分からないでしょ。今日これを食べれたのはラッキーだね。オラの店は旬のものを取り扱ってるから、いつも違う料理。それに、塩も自分で作ってるんだよ」
「塩って自分で作れるんですか!?」
「海水を煮沸して、天日に干して作る。マイネームイズ、シュガーってな!ガハハハッ」
「(『佐藤』だけに…ダジャレはコテコテだ)うまく言えないですけど、仙人の作る料理って……凄いです。しかもこれを全部、自分で採ってきてるんだ」
「『作られたグルメ』っていうのはいっぱいあるけど、オラの店は天然食材を活かした本物の味。他所では、なかなか食べられないものばっかりだよ」
「これが本物の味……」
「オラが生まれたのは戦後間もなくて食料がない時代。山と海しかない。だから自然の味が美味しいっていうのを小さいころから覚えてた」
「ふむふむ」
「昔からよく山と海に遊びに行ってたし、大人になってからも休みの日には山と海ばっかりに行くから『仙人生活』って言われてたんだよ」
「それで、あだ名が仙人になったんですね」
「そういうことだね。じゃあここらへんで、今日もアレやるが!」
「”アレ”?」
「ついに究極の歌を作ってしまった、八曲の次だった。ガハハハッ!」
「まだダジャレ言い始めたー!!!」
「いつもライブするの。そうそう、実は隣の二戸(にのへ)市で食堂もやってるんだ。明日食堂行くけど、姉ちゃんも来るか?」
「行きます!楽しそう!!!!」