こんにちは。ジモコロ編集長の柿次郎です。
誰しも尊敬している先輩の一人や二人いると思います。会う度に新たな視点や勇気をポロっと分け与えてくれる。そして心に刺さるような言葉を投げかけてくれる。
優しさと厳しさを兼ね備えた先輩と対峙するのは、嬉しい反面めっちゃ緊張しますよね。
今まさにそんな状態です。
目の前に、この人がいるから。
ローカルの編集者として大先輩にあたる藤本智士さん。
無知のまま飛び込んだ全国取材の現場。ジモコロ編集長として手探りの日々を過ごしていましたが、今年初めに出会った藤本さんは「この道の大先輩」です。
同じ関西出身。藤本さんは紙の世界からローカルの編集者へ。僕はWEBの世界からローカルの編集者へ。歩いてきた道のりは違えど、行き着いた表現方法はとても近かったんです。
ざっくり要点をまとめると…
・無名の人物や土地を紹介するために、あえて自分たちが前に出る
・前に出る以上は自分自身の影響力を強くしなければいけない
・現地に行ってから取材対象を見極めて、フリースタイルで編集する
・方言や特徴ある言い回しをあえて残して、その人の個性を出す
などなど。
藤本さんが10年前に手掛けた雑誌『Re:S』は、上記の手法で一切耕されていないローカル領域を開拓していきました。そんな誌面構成はありえない時代。藤本さん自身も「当時は批判された」と語るほどです。
10年の月日を経て、43歳の藤本さんと35歳の僕がこのタイミングで出会ったのは何か運命的なモノを感じずにはいられません。2017年1月に初めて飲んで以来、2月の山形・秋田のジモコロ取材ツアーも同行してもらって親交を深めてきました。
そんな藤本さんが意を決して『魔法をかける編集』という本を今年7月に出版しました。本の冒頭には次のように書いてあります。
ある種「狭義」な編集を、「広義」なものに変えたとき、編集はぐっと身近なものとなり、ときにそれは、目の前のさまざまな問題の解決に役立ったり、行き詰まった状況を突破してくれたりします。
そういう意味で僕は、編集とは魔法であり、編集者は魔法使いだと本気で思っているのですが、それが魔法であるがゆえに、これまでは一部の人だけが持つ特権的能力として扱われてきたように思います。
しかし編集力というのは、なにもホグワーツに通わなくても、すべての人がすでに備えている能力であり、意識することで鍛えられるものなんです。
ブログやSNSで誰でも情報発信ができるようになった今こそ、「編集」という視点がとても重要になっています。
藤本さんの言う「広義な編集」とは何か。20年という編集者人生を紐解きながら、「編集とは魔法であり、編集者は魔法使い」の言葉の意図を掘り下げてみました。
話を聞いた人:藤本智士(ふじもと・さとし)
1974年兵庫県生まれ。編集事務所「りす」代表。雑誌『Re:S』編集長を経て、秋田県行のフリーマガジン『のんびり』の編集長を務める。現在はWEBマガジン「なんも大学」編集長も。嵐が日本各地を旅する様子を記録した『ニッポンの嵐』や、俳優の佐藤健が熊本を旅した「るろうにほん 熊本へ」の編集・原稿執筆を担当。2017年7月、『魔法をかける編集』『風と土の秋田』の2冊を刊行。
「自分が前に出る」スタイルが異端じゃなくなった
「……」
「……」
「あの…藤本さん、いきなり怖い感じ出してません?」
「いや、たまたま。この姿勢が楽なだけやねん」
「良かったー! いきなり説教が始まるのかと思いました」
「柿次郎のせいで最近怖いイメージついてるからやめて」
「では本題へ! 藤本さんは自主制作のフリーペーパーから始まって、雑誌や書籍の編集に約20年間関わられてきたわけですよね。この20年、世の中のメディアってどんな風に変わってきたと思いますか?」
「わかりやすく例えると、柿次郎という編集者が出てきたことかな」
「???」
「つまり、作り手が紙面に出てくることって昔はありえなかった。でも今のウェブに顕著だけど、編集者やライターが記事に出てくるのは当たり前になったよね」
「なるほど。藤本さんも10年以上前から雑誌『Re:S』で紙面に出てましたよね」
「そう、だから昔は異端やったと思う。でも、そのやり方をずっと変えずにいたら、いつのまにか世の中が変わってきた」
「作り手が裏方だった時代に、なぜあえて紙面に出てたんですか?」
「『ローカル』を扱う以上、自分たちが前に出るしかなかってん。芸能人を取材するような雑誌と違って、ローカルにいるまだ誰にも評価されてない人を僕らは取り上げてたから。当たり前やけど、何者でもない兄ちゃんが誰にも評価されてない人を紹介したところで人は興味持ってくれないよね?」
「誰?ってなりますね」
「そうそう。だから、まずは自分が『何者か』にならないといけなかった。すると、僕を知ってもらわないとあかんやん。だったら自分をどんどん表に出していくしかない……そんなことを雑誌『Re:S』の4年間はやり続けてた」
「例えば『ローカルのこの人が面白いんです』って、ぶっちゃけ北野武が紹介した方がみんな興味もってくれるやん? でも、それにはお金がかかる。限られた予算の中で最大限やろうと思ったら……」
「自分たちが出ていくしかないと」
「うん。そしてどんだけ自分たちを丸裸にできるかが大事。取材中の失敗や葛藤、苦悶みたいなものを全て記事に詰め込むねん。すると、そこにある種の『ドキュメンタリー性』みたいなものが生まれるわけ」
「なるほど。テレビのバラエティ番組的でもありますよね」
「このやり方が絶対正しいとは思ってないんやけど、僕の編集の中で『自分をさらけ出す』っていうのは軸かもしれない。だから時代と共にそれがいつしかスタンダードになってきてるのは面白いなあって思う」
大事なのは「チーム」の力
「ジモコロも自分たちが出るしかなかったんですよね。若者向けに教科書で習うような歴史や文化を伝えるためには、普通の手法では限界があって……。
まずライターが顔出しで登場。次に取材の必然性を前置きする。顔アイコンの対話形式でテンポや軽やかさを作って…さらにGIFアニメや写真を散りばめる。
最後まで飽きずに読んでもらえるような構成を追求した結果が今のジモコロです」
「そういうやり方を見て、『ジモコロ』面白いなあって思ってた」
「ありがとうございます。でも、スタンダードになると、同じやり方でみんなが記事を作り出すってことですよね?」
「うん。同じやり方だからこそ、クオリティは様々。粗が見えたりもする。だからそこで大事なのが『チーム』やと思うねん」
「チームですか!」
「『Re:S』はいわば、ド素人がローカルに飛び込んで、色んな出会いがあって最後に感動して…みたいな話。今見ると拙い文章もあるけど、やっぱり写真やデザインのクオリティが、ちゃんとした雑誌たらしめてくれてる」
「カメラマンやデザイナーやいろんなプロが関わることによって、クオリティが担保されると。そんなプロの人をチームに巻き込む力も大事ですね」
「それも含めてディレクション。つまり編集の仕事やと思う」
「ジモコロも2年以上やってきて、チームができてきた感じはあります。信頼できるデザイナーやカメラマンと出会って、彼らを巻き込んで……」
「傍から見てもチーム感は伝わってくるよ。だからチーム作りもそうだし、地方でメディアを作ろうとする人たちはみんなもっとクオリティをキープする努力をしたほうがいい」
「東京は三流でも飯が食える」
「今って、一定のクオリティまで行くのはうんと楽になってると思う。将棋の羽生さんが言ってた『知の高速道路』って言葉は知ってる?」
「いえ、初耳です」
「ネットみたいに知識にアクセスしやすい環境が発達してきて、将棋が強い子供がどんどん出てきたっていう話でね」
「最近だと藤井四段みたいな」
「うん。ある程度のレベルまでは『知の高速道路』のおかげで昔より何倍も早く到達できる、と。ただし藤井四段みたいに本当に強くなるためには、逆に高速道路を使った人は難しい、と羽生さんは言ってるんよ」
「ある程度まではみんな到達できるけど、その先は難しいと。デザインでも文章でも同じ話かもしれませんね。
そういえば、藤本さんは以前『東京は三流でも飯が食える』と言ってましたよね。東京のメディアから取材を受けてる最中だったので、その言葉で場がめちゃくちゃ緊張したのを覚えてます」
「東京はとにかく物量がすごいから。高いクオリティを目指すより、そこそこのレベルでも一定のスピードで納品するって仕事の仕方が成立するよね」
「それでも評価されるから、三流でも飯が食える…!」
「でもさ、そういう東京の薄く広く届ける人たちがメジャーな状況って面白くないやん。深く本質的なことを考えている人がローカルにはいて、こっちの方が絶対メジャーになるべき!とずっと思ってた。だから、ネットが出てきた時はワクワクしたわけ」
「ネットが世界をフラットに変えてくれるかもと。でも、結局ウェブメディアの世界も、深さよりスピード感やバズることを重視する方が多くて…」
「悶々とする感じはあるよね」
「ああー!悶々とするーーーー!!」
「急に大声出すのやめて」
今のウェブの世界で“一流”とは?
「特にウェブ業界の前線にいる人はすごく悩んでるんじゃないかと。個人として前に出てると色んな声が飛んできますから」
「ちょっとしたことで炎上したりね」
「日々どこかで誰かが燃えてるじゃないですか。それでどんどん消費しちゃう。でも、みんなそれでも『このやり方しかない!』と進み続けていて」
「うんうん」
「そんなウェブの世界で“一流”のような上のフェーズにはどう上がっていけばいいんだろう、とよく考えるんです」
「僕はずっと関西にいるから、芸人さんの成り上がり方を見続けてて。彼らは『面白い奴は絶対売れる』って言う」
「絶対、と」
「ただ、売れる前にみんなやめちゃうんだと。『一流』というのは必ず売れるから、芸人さんの言うことを信じるなら、やり続けることやなって」
「『やり続けること』か……」
「今の柿次郎の質問も、5年10年と続けたら全然違うかもよ。どんな業界も変わり続けて行くし、その中で自分も動いていかなきゃいけないから」
「そういう意味では、藤本さんは今までに何度も新しい雑誌を始めるような『次に行く』経験をしてますよね。そこでどんな風に決断してたのか、聞いてもいいですか?」
「柿次郎がジモコロを捨てるのはいつ?」
「えっとね、『Re:S』を辞めようと思った時の話なんやけど、ちょうど『魔法をかける編集』には書けなかった話」
「聞きたいです!」
「柿次郎は『雀鬼』の桜井章一さんって知ってる?」
「一応は……『闇麻雀で無敗』みたいな伝説の人ですよね。麻雀がとにかく強い」
「そうそう。ってことは当然、他人の捨て牌から相手の状態を読む、その推測力がハンパないんやろうって思うやん」
「そうですよね。麻雀って相手の捨て牌から、残りの牌を読み合うゲームですもんね」
「で、その桜井さんの本か雑誌のインタビューかを読んでたら、『俺は他人の捨て牌なんか見たことない』って書いてたのよ」
「えーーーっ!」
「さらにね……」
『答えは自分の捨て牌の中にしかない』って言ってるのよ
「かっこいい!」
「せやろ!それで僕もかっけーーー!ってなったのよ。でもね、よくよく考えたら僕自身、最初はフリーペーパーを作ってたけど世の中のフリーペーパーブームを見て嫌になって、次に売る本を作って、本屋さんへの流通の壁にぶつかって、それも辞めて、今度は雑貨みたいな本作ってみて本屋以外に流通したけど、これじゃアカンってなって、次にRe:S作って…って」
「ふむふむ」
「そうか、『僕もずっと捨ててきてる!』、確かに自分の捨て牌の延長にしか未来はないんだって気づいて。それで『Re:S』も捨てなあかんって思ったわけ」
「それがきっかけで…」
「他の要因もあるけど、とにかく踏ん切りがついたのは桜井さんの言葉やった」
「その後も『捨てる』感覚はずっとあります?」
「うん。『のんびり』を始める時も、それまでとは真逆のことをやろうと思ってたから」
「捨てていく先に、新しい仕事があるんですね」
「だから柿次郎がジモコロを捨てるのはいつなんだろう、とか思うよね」
「ん、ああ、たしかに…。今、考えちゃってました」
「『次』は必ずあるから、実はすごくポジティブな話やと思うねん。捨てるのはしんどいけど。いつかそういう気持ちやタイミングがやってくるから、その時は気持ちよく捨てれば良いと思う」
「自分の中で代表作というか。『最後までやりきった』ものでないと捨てる意味もないですよね。自分の軸を持ってクオリティの高いものを生んで、自分の『捨て牌』を人生の中でどう作っていけるか…」
「その道筋の延長線上にしか、自分の未来はないから」
「会社員であり続けるとか。働く場所を変えるとか。誰しもに当てはまる考え方ですね」
編集者になりたいなんて思ったことはない
「急に自分の将来の話になってドキドキしてるので、話題を変えますね。クライアントに突っ込まれちゃうので。『魔法をかける編集』で触れられている『すいとう帖(※1)』の仕事が本当にすごいなぁと」
※1 藤本さんが水筒に『マイボトル』という名前を命名。2004年には約600万本だった水筒の生産本数が2016年には約1800万本にまで増加した仕事
「ほんまに? ありがとう」
「『もっと皆が水筒を持ち歩けばいいのに』というビジョンを実現するために本を作ったわけですよね。で、本をきっかけに『マイボトル』という言葉が生まれ、最初のビジョンが実現してしまうという…」
「奇跡みたいな話だよね。出会いの連続やから、ほんまにありがたい話なんやけど。でもとにかく、ゴールが『本を作りたい』ではなかった。そもそも僕は編集者になりたかったわけでもないし」
「僕も考えたらそうですね」
「でしょ? 伝えたいものと出会って、それを表現する手段がそのときは紙の本だと思っただけで。それに『すいとう帖』をつくった時に『編集の面白さ』が何か少しわかった気がして」
「それは一体…?」
「『編集は目に見えるものを作るだけじゃない』ということかな。それを編集者としてのスタートの時点で発見できたのはラッキーやと思う」
「ビジョンがまず最初にあるわけですよね。僕は『すいとう帖』の話で、とにかく『まず作って見せる』ことが大事なんだと思ったんです。水筒について調べるために、魔法瓶の組合に行く話があるじゃないですか」
「ああ、組合のおっちゃんに『水筒の本を作りたいんです』って言ったら、なんのこっちゃわからんみたいな反応されたやつね」
「それです!で、その後に完成した『すいとう帖』を改めて見せに行く場面が大好きなんです。ちょっと引用しますね…」
いつものようにまるで身内のごとく僕を事務所に招き入れてくれたおじさんは、完成した本と僕を交互に見ながら、目を丸くしてこう言いました。
「君、こういうもんが作りたかったんか! ごめん、おっちゃん、いまはじめてわかったわ……」
そしてさらに畳み掛けるようにこう言いました。
「もうすぐ魔法瓶の会社の社長がみんな集まる理事会があるから、おっちゃんそこにこれ提出したる。これは見てもらわなあかん!」
「あれにはびっくりしたわ。おっちゃん、前と全然反応が違ったからね」
「理事会に提出してもらったのを機に、象印マホービンの社長に会い、マイボトルの誕生につながるわけじゃないですか。それも、ただビジョンを話すだけじゃなくて、藤本さんが本を作って見せたからで。この話はいろんなことに繋がると思うんですよ」
「そうかもね。形にしないと伝わらない。で、『伝える』ってとこで思うのはね」
エンタメ性に欠けた東京のトークイベント
「やっぱりエンターテイメント性はすごく大事で。東京ってすごいなって思うのが、全然面白くないトークイベントがたくさんあるやん」
「そうですね。全員真剣にメモ取ってるような…」
「俺あの空気に耐えられへん。笑かしてくれんでもいいけど、エンターテイメントになってないことが不安じゃないの?と思う。関西の血もあるけどね」
「僕も最近イベントで喋ることは増えたので、少しでも面白くなるようには意識してます」
「ジモコロは記事がエンターテイメントとして成立してるから、ただの事例紹介で終わらないんだよね。パワポの内容をそのまま喋るみたいな、ほんまの事例紹介ってあるやんか」
「僕はそういうプレゼン方法については、完全にバーグハンバーグバーグのシモダ社長の影響を受けてますね。彼も関西の人間で、プレゼンのやり方にもすごいこだわりがあったので」
「ジモコロの記事も、ある意味プレゼンが上手なんよね。出てるのは元々面白い人ばかりなんやろうけど、さらに見せ方の工夫が加わることで、さらに面白くなる。タイトルでつかんで、導入はこうして、写真をこう入れて…みたいにね」
「元の素材が最高ってのはありますね」
「うん、だからブログの記事でもなんでも、エンターテイメント性を意識すると変わってくると思う」
「間口を広げて、より多くの人に届ける努力は今後も大事にしたいです」
ローカルにこそ『編集』が足りない
「もう少し『魔法をかける編集』の話を聞きたいんですけど、本の中で『編集が足りない』と書かれてますよね。このことにはいつ頃気づいたんですか?」
「秋田の『のんびり』をやったのが大きいかな。関わってる一人一人には情熱があるのに、結果として一過性のもので終わっちゃう事例が地方にはいっぱいあるんよね。そこに何が足りなかったのかを考えると、編集者であり、もっと言うと関わる人自身が編集者であると自覚してもらうことじゃないか、と」
「編集者としての自覚。『誰でも編集者』の言葉につながるんですね」
「そう、誰もが編集者だから。銀行の人でもゲストハウスを作ってる人でも、やってることは『編集』だと思う。原稿の赤字の入れ方とか台割の作り方とか、そんなところに編集の醍醐味はないからね」
「今のローカルの『編集者』の現状ってどうなんでしょう?」
「地方に編集者がいないわけじゃないけど、地元情報誌や行政関係の仕事を請け負うライター兼編集みたいな人が多いよね。あとは、デザイナーが編集作業もしてる場合がすごい多いと思う」
「写真と文章まで、デザイナーがやっちゃうみたいな」
「本にも書いてるけど、ローカルのデザイナーさんって本当にしんどいなと思ってて。なんでかって言うと、孤独なんよね。ローカルはプレイヤーが少ないから一人で仕事をしていて、良い悪いの判断がクライアントだけ、みたいな世界で」
「それは辛い…めちゃくちゃ不安じゃないですか?」
「そういうデザイナーに『お前こんなデザインじゃあかんやろ』って言うと『それホント言って欲しかったんです』みたいになるわけ(笑)。みんな答え合わせをしたがっているんよ」
「あー、なるほど」
「今は『デザイン』が広義になりすぎてるんかもね。『街をデザインする』っていろんなところで聞くけど、僕に言わせれば『街を編集する』。要は地方だけじゃなく、世の中に『編集の視点』が足りてないだけじゃないかなと」
「そこで『編集』をもっと広義に捉えると、編集の視点も増えるし、地方で編集者という職業も成立しやすくなる、と」
「そうやと思うねん。広い意味での『編集者』が活躍できる余地が、地方にはまだまだある。そうやって地方の人が編集というものに気づいた時に、世の中が変わるなって思う」
「5年、10年経った後に『藤本さんの本を読んで編集者になりました!』って人が増えてるといいですね」
「それは超理想やなあ」
藤本さん、仲間になってくれませんか?
「藤本さんの20年を振り返ってきたわけですけど、これからのことはどんな風に考えてますか?」
「自分のやりたいことはキープしながら、新しいことはやりたい。ウェブメディアの世界でももっとチャレンジしたいなと思うし。知らなすぎるから」
「それなら藤本さん、ジモコロのライターになってくれませんか?」
「え、めっちゃやりたい!嬉しいわあ」
「よかった!ドラクエ5でゴーレムを仲間にした時の主人公の気持ちです」
「あんなゴツゴツしてへんけど。なんにせよ仲間は大事やもんね」
「これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ!」
皆さん、いかがだったでしょうか。
「広い意味での『編集者』が活躍できる余地は、地方にまだまだある」
藤本さんが本を通して伝えたかった想いは、この言葉に凝縮されています。また「自分が編集者だと自覚した瞬間、編集の面白みがわかった」と話してくれました。
そして何より大事なのは「つくり続けること」。やりきったときに「勇気を持って捨てること」。この2つの覚悟がローカルの編集に必要なのかもしれません。
最後に。
2018年は藤本さんが出版ツアー全国62カ所で蒔いた”編集者の種”が、芽吹く一年になるのではないでしょうか。
だって総動員数2,570名ですよ?
約半年で40県の土地をまわってるんですよ?
この記事のタイミングでKindle版のリリースですよ?
かっこいい背中を見せ続けてくれている藤本さんの意思を引き継いで、ジモコロもこれまで同様に”つくり続けたい”と思います。それではまた!
※藤本さんに興味を持った人はこちらの書籍をどうぞ
『魔法をかける編集』につながるWEB連載(全15回)も合わせてどうぞ。
第1回 究極のローカルメディアとは?!|ローカルメディアのはなし。|みんなのミシマガジン
書いた人:徳谷 柿次郎
株式会社Huuuu代表取締役。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材したり、ローカル領域で編集してます。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学など Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916 Mail: kakijiro(a)gmail.com