唐突なドリカム編成で失礼します。赤祖父と申します。
今回は、交通費たったの140円だけで1日あちこち行って楽しめる食い倒れグルメ日帰り旅行のご提案をいたします。
旅のお供にはジモコロでもお馴染みマンスーン君と、以前の乗り鉄企画の犠牲者の後藤さんにご同行願いました。
「今回は、いろいろとおいしいものを飲み食いできると聞いたので来ました。嘘だったら赤祖父さんの鞄の中に、きな粉を撒き散らして帰ります」
「僕もすごく不安ですが、無職なのでタダメシに釣られて来ちゃいました。念のため聞きますが、キセル乗車じゃないですよね…?」
「ちゃんと飲み食いできるし、正規のルールで楽しめる乗り鉄にはポピュラーな方法ですのでご安心ください。JRには、"大都市近郊区間内各駅相互発着の選択乗車の特例"というのがあってですね、超ザックリまとめると以下のルールを守ればOKです」
「特例があって、結果的にOKということですね。いつも思うんですけど鉄道ファンってなんでこんなこと思いつくんですかね?」
「あれ? 改札から出られないってことは、『駅ナカ』のグルメはダメってことですか? 私やっぱり騙された?」
「単に『駅ナカ』と言うと改札外と改札内どちらも意味しますけど、今回は改札内限定になりますね。それでもお店は結構あるものですよ」
「あまり意識したことないけど、立ち食いそばくらいしかないのでは…」
「それがそんなことないんですよ…! ちゃんとご当地グルメや最新スイ〜ツまで押さえてますから! で、今回はこんなルートにしてみました」
「死ぬほどめちゃめちゃ遠回りしてるんですが…」
「これで大体ゆっくり回っても8時間くらい、丁度一日楽しめる想定です!」
「というわけで、スタートの上野駅にて140円の切符を買って「大回りの旅」を始めましょう!」
「この写真リア充のインスタグラム風ですね」
上野:景気づけに朝から一杯キメよう!
「実は昔ここでバイトしてました…! 朝はモーニングメニューも充実してるんですよ!」
「いや〜〜〜〜〜〜すんません! 朝からすんません! これぞ無職の特権!参ったな〜〜〜!!」
「今日(取材日)は土曜日だけどね」
秋葉原:昭和な雰囲気のミルクスタンドで10秒チャージ!
「改めて見ると、珍しい種類が沢山ありますね! 昭和の忙しいサラリーマンが電車待ちの数分にエネルギー補給! ってイメージですね」
「無職だって牛乳くらい飲みます」
「ここではそこらへんのスーパーでは売っていない千葉限定の『かずさ牛乳』をチョイスし、10秒でイッキ飲みしまグビグビグビ」
「笑わせるヒマもなかった…」
新宿:日本初上陸! 話題の最新スイーツで流行を先取りしよう!
「続いて新宿に来ました。大きな話題になったのでご存じかもしれませんが、新宿駅は2016年3月に南口にバスターミナルや駅直結施設『NEWoMan(ニュウマン)』などがオープンしてかなり盛り上がっています」
「新宿駅の南口は久々に来ましたが、すごく変わりましたね…」
「まだ10時前なのに、こんなに並んでる…!」
「このシュークリーム、いつも夕方には売り切れてますね。今のところ日本初の店舗がここ新宿駅の改札内にしかないので、今後さらに人気が高まると予想されます」
「うまそう…っていうか『乗り鉄の旅』なのに普通のグルメサイトみたいな紹介しますね」
「それはいいだろ別に…」
「味もいろいろと種類があるんですね! 『アグリュム』とか気になる〜!」
「ここのシュークリーム、しばらくの間オッサンが若い子への手土産としてバカの一つ覚えみたいに持ってくることが予想されるので、覚悟しておいてくださいね」
「一時期の某ドーナツ店もそうでしたね…あるある過ぎる…」
「…ッ…てこれ甘すぎず適度! めっちゃおいしい!」
「あ〜これはうまい…ちょっと小さいのと購入制限が気になりますね…」
「何周も並んで買い込んでるオッサンを見たことありますが、食べたければしばらく開店直後を狙わないとダメかもですね」
立川:知られざる立川駅の名物そばを食べよう!
「新宿からは中央線に乗って立川に移動しました。今回の旅の西端になりますね」
「あっ、立ち食いそばですか? どこで食べても同じなのでは…」
「おでんそば!? 東京生まれ東京育ちの僕も、こんな立川名物初めて聞きました」
「ありそうでないトッピングですよね。先に行っておくと、味は想像通りです」
「想像通りの味! いや、おいしいですけどね」
立川から南武線経由で鶴見線に乗ろう!
「鶴見駅に店はないんですけど、あくまで鉄道旅なのでいいかなと…」
「この景色…ビール飲みたくなってきました…」
「これは大回りのルールに抵触しないんですか?」
「線路は交差してるのですが、駅がないので同じ駅を2度通過することはないですし、営業経路上も重なってないので大丈夫です」
「今回の場合、先に川崎に行ってしまったらダメだということですね」
「そうなんですか? 丁度ず〜〜〜っと改札内にいて何だか息苦しさを感じてたんですよ!!」
「実は駅構造の関係から南武線側と鶴見線側の駅が道路を隔てているので、やむを得ず一度出ることになるのですよ」
「シャバの空気って感じがする!」
「おっ! 線路を堂々とまたぐ野良猫がいますよ。鶴見線のこういう雰囲気もたまらないですね〜 本当はグルメなんかより鶴見線全駅巡りのほうが全然…」
「自分の企画否定するのやめてくださいよ」
「ホゲ〜 猫かわいい〜〜〜〜〜〜〜!!!! 待って〜〜!!」
「この有人改札、隠しルートみたいな構造ですね」
「来たことある人ならその表現納得してくれると思う。いきなり4-1に行くみたいな雰囲気ありますね」
品川:ご当地グルメの「品川丼」をむさぼり食う!
「鶴見からは京浜東北線で品川まで来ます。品川駅のご当地グルメって知ってますか?」
「あっ! ネットで見ました! 生ハム食べ放題でしょう!?」
「今更そんなの紹介しませんよ…通こそが知っているのはやはりコチラ【常盤軒】です」
「生ハム食べ放題モーニングのオシャレ感と180度違う店構え…」
「何ですかこれ…!!」
「ダシが染み込んだかき揚げって感じですかね。昔はこの辺は海だったので、漁師のまかないメシみたいなものがルーツらしいです」
「あっ、これ好きな味だ…!」
「私も好きな味だ…!」
「急に飲み始めないでくださいよ…」
「ちょっともうガマンできなくなりまして」
東京:充実の改札内グルメをとことん楽しむ!
「酒! お酒は!?」
「…(やばい感じになってきたな)…えっと、【はせがわ酒店】という凄い品揃えを誇るお店があるので行きましょう」
「わっ! いい品揃え!」
「試飲などもやってるようなので、ぜひどうぞ…」
「風が語りかけます… うまい…うますぎる…!」
「十万石まんじゅうのCMのマネしても、埼玉の人にしか通じませんよ…」
「この後まだ長いんですよね? せっかくなので買い込んでおきましょう!!」
「勢いづいてきたぞこの人…」
「これが竹若の超贅沢な逸品『ウニ・トロ・いくら丼』です。お値段なんと1980円! ですけど、お値段以上の価値アリですよ」
「おどる宝石や〜!」
「それじゃ彦摩呂じゃなくてドラクエのモンスターでしょ」
「ウヒャー…普段の食費の何倍もするので、食べたら胃がビックリしてしまうかも」
「……! ん〜! ん〜! んんんんん〜〜〜〜!!」
「これ、比べるのも悪いけど“駅弁の向こう側”って感じですね。改札内のお店限定という縛りを抜きにしても相当ハイクオリティですよ…! おいし〜〜〜!」
「確かにおいしい」
「…それもラベルのとおり東京駅限定の地ビールらしいですよ。もうちょっと味の説明とかしてくださいよ…」
「おいしいです」
「この人なんなの」
「大回りルール」で我孫子駅を目指す!
「なるほど、このルートなら秋葉原駅を通らないのでルール上も問題なしですね!」
「最悪、京葉線経由という手もありますが、タイミング良く“快速エアポート成田”に乗ることができたので一気に成田駅まで行けます!」
「せっかくなので成田駅の顔出し看板で撮っていきましょう」
「しかしこの行程が一番遠回りしてるなあ、って感じがしますね」
「我孫子に行きたいのでどうしてもこのルートしか無いんですよ。でも成田線の風景なんかはかなりのどかな感じがしていいでしょう」
「私は飲めれば何でもいいです」
「(やばいなこの人…)」
我孫子:名物! 「唐揚げそば」で満腹になっちゃおう!
「我孫子に来たかったのは、有名な立ち食いそばがあるからです」
「ネットで見たことあります。今日一番楽しみにしてました!」
「すごい人…お店から人がはみ出してますよ」
「はみ出るのは人だけじゃないんですよ…!」
「なんですかこれ!?」
「『唐揚げそば』です。この器からはみ出るほどの超デカい唐揚げで、我孫子駅の改札内グルメは全国区なんですよ。これだけ食べに来る人も沢山いるらしいです」
「おふっ! 欲張って唐揚げ2個入りにしましたが、そばの存在忘れてほぼ唐揚げ食べてるだけって感じですね。おいしいけど…!」
「あっ これおいしい。酒のツマミにも丁度いいですね〜」
「飲酒から少し離れてくれません?」
「流石に食べ過ぎた…! いくら絶食してきたとはいえ品川丼食べて海鮮丼食べて唐揚げそばも食べてますから」
「というわけで食後の一杯をば…」
「また飲むのかよ」
「この人なんなの」
日暮里:オリジナルブレンドコーヒーで旅をシメよう!
「改札内にあるカフェ【ドリップマニア】では日暮里限定の『日暮里ブレンド』が飲めるんですよ」
「今気付いたんですが、今まで回ったところってほぼすべて“その駅”でしか味わえないものですね」
「一応考えてるんですよこれでも…【HIGHBALL'S】とか【ドリップマニア】は数店舗ありますけど、まだ数は少ないですね」
「日暮里を表現したブレンド…うーん、よくわからないけどうまい。西海岸の味ならぬ日暮里の味」
「アルコールは置いてますか?」
「あとは帰って勝手に飲んでください」
まとめ
「死ぬほど退屈するかと思いきや、結構楽しかったですね!」
「有人改札にてお願いすると、きっぷに無効印を押して返してくれるので記念にもなります。日暮里のキャラクター『にゃっぽり』のあしらわれた印が可愛いですね」
「この写真やっぱりリア充のインスタグラム風ですね」
「今回の旅はどうでしたか? 時間の都合に合わせて旅程は長くも短くも調整できますし、『改札内』縛りでも結構充実してたかと思います」
「鶴見線は乗ってみたかったのでおもしろかったですし、改札から一度も出ずにかなりいろいろと食べられるのも意外でした! こんな旅気分を味わって140円で済むのはかなり得した気分です!!」
「同感です。むしろちょっと飲み足りないくらいですね…!」
「だから帰って勝手に飲んでくださいってば…」
……「140円大回りの旅」はテーマを決めたりとにかく長い時間乗ったりと、ルールを守った上でも応用の幅も広いので、是非「乗り鉄」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
別のルートでもっと大回りしてみた記事もありますので併せてご覧下さい。
【乗り鉄】JR大回り!140円で一都六県を旅する(前編) | ハイエナズクラブ
【乗り鉄】JR大回り!140円で一都六県を旅する(後編) | ハイエナズクラブ
それではよい鉄道の旅を!
※記載の情報は2016年4月時点の内容です
ライター:赤祖父
三流情報サイト「ハイエナズクラブ」の執筆や編集をしたり「全国ノスタルジー探訪」というブログを書いたりもしているインターネット大好きおじさんです。鉄道や写真も好きです。スマホの電波が入らない場所に行くと急に弱気になります。
Twitterアカウント→@akasofa