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オジギソウ、耕作放棄地、エチオピア産コーヒー……全部つなげて「農業の復活」を目指す秋田の24歳

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オジギソウ、耕作放棄地、エチオピア産コーヒー……全部つなげて「農業の復活」を目指す秋田の24歳

こんにちは、ライターの友光だんごです。地方を車で走っていると、よくこんな草ぼうぼうの土地を見かけませんか?

 

これらの多くは、いわゆる「耕作放棄地」。かつては畑だったものの使われなくなり、手入れする人がいなくなった土地なんです。

 

そして、この耕作放棄地は日本でどんどん増加していてですね……

 

耕作放棄地面積の推移(「農林業センサス」

 

農家さんの高齢化、また農業人口の減少による農地の受け手不足などの理由から、この30年間でおよそ30万ヘクタールもの農地が耕作放棄地に。数字だけ見るとピンとこないかもしれませんが、とにかくどんどん増えているんです。

 

その結果、景観としてもよくないし、食料自給率の低下にも繋がっています。食糧危機もささやかれる時代に、実はかなりヤバい問題の一つになっているんです。

 

そんな中、僕は秋田で「耕作放棄地の復活」に取り組む24歳の青年に出会いました。

 

それが彼、保坂君夏(ほさか・きみか)さん。自分で起こした会社の事業として、秋田の里山の耕作放棄地を農地として復活させる活動を行っています。

 

さらに興味深いことに、彼はそれ以外にも幅広い活動に取り組んでいて……

 

・高校時代に「オジギソウ」の研究で秋田県1位に

・大学在学中に起業し、耕作放棄地の復活に取り組む

・エチオピアからフェアトレードコーヒーを直輸入してさとやまコーヒーとして販売

・注目のクラフトサケ醸造所「稲とアガベ」の正社員としても働く

などなど、面白そうな活動・経歴が続々と!

 

20代にしてこれほど多種多様な経験を積んできた君夏さん。しかも、一見バラバラに見えるこれらの活動は、君夏さんが大切にする「何事も自分の目で見て、手を動かす」という行動指針ですべて繋がっているそうなんです。

 

でも、オジギソウの研究から醸造所での仕事まで、いったいどんな繋がりが…?

生まれ育った地元・秋田で目の前の課題に向かって手を動かし続ける、君夏さんへのインタビューをお届けします!

 

醸造所、農業、コーヒー輸入……複業の24歳

だんご「さっそく君夏さんの活動についてお聞きしたいんですが、現在は『稲とアガベ』で正社員として働いているんですよね」

君夏さん「はい。もともと立ち上げからアルバイトとして関わっていて、2022年の8月からは正社員になりました」

 

「稲とアガベ」……2021年11月に男鹿市で創業した醸造所。「男鹿の風土を醸す」を経営理念として掲げ、日本酒の製造技術をベースに自由な発想で新たな味わいを実現する「クラフトサケ」づくりに取り組んでいる

 

だんご「オープンから1年くらいで10人以上新規採用したり、酒蔵だけじゃなくてレストランもやってたり、男鹿のまちづくりにも関わっていたり、ほんとに勢いのある会社ですよね。『稲とアガベ』で、君夏さんはどんな業務を?」

君夏さん「僕はけっこう部門を横断しながら働いていて。昼は自社田で農業をしたり、酒蔵に入ってお酒造りに関わったり、在庫管理をしたり。夜は併設のレストラン『土と風』でサービスをしています」

だんご「かなり業務が幅広いですね!」

 

君夏さん「あと『稲とアガベ』とは別に、大学時代に相方とふたりで起業した合同会社『秋田里山デザイン』の仕事もしています」

だんご「自分の会社も。『秋田里山デザイン』ではどんな活動をしてるんですか?」

君夏さん「男鹿市を拠点に、『農業』と『コーヒーの販売』のふたつを軸に活動しています」

だんご「酒蔵とレストランでのお仕事に加えて、農業とコーヒー販売の会社まで……」

君夏さん「色々やってますよね(笑)。自分の軸の一つに『農業』があるんですけど、農業を学ぼうと思ったきっかけは高校時代まで遡るんです」

 

「オジギソウ」の研究で秋田県1位に

この日は「稲とアガべ」のスタッフとして、福島のイベントに出店中でした

 

だんご「農業を学ぶきっかけが高校時代に。農業系の学校だったとか?」

君夏さん「農業系じゃなかったんですけど、僕の母校は文科省のSSH(※スーパーサイエンスハイスクール)に指定されていて、理科・数学教育や自主性を育てることに力を入れていたんです。その関係で、うちの高校には『躍進探求部』という部があって」

だんご「ぜんぜん聞いたことない部活!」

君夏さん「いわゆる科学部ですね。僕はその部活で、オジギソウという植物を研究してたんです」

 

触ると葉が閉じるマメ科の植物。日本では自生するほか、園芸用に育てる人も

 

だんご「どうしてオジギソウの研究をしようと思ったんですか?」

君夏さん「生物実験室の横にオジギソウが生えていて、閉じたり閉じなかったりするのが『なんか面白いな』と。役に立つかどうかは考えず、最初は軽い興味から研究を始めてみたんですよね」

だんご「その研究って、具体的に何を?」

君夏さん「オジギソウって、閉じた葉っぱをまた開くときにめちゃくちゃエネルギーを使うんです。雨や風にも反応していちいち閉じていたらエネルギーがもったいないので、自分に害のない刺激に対しては記憶して、閉じなくなる能力があって

だんご「へー! 省エネ能力が」

君夏さん「そこが面白くて、『オジギソウをお辞儀させなくする』研究をしてました」

だんご「(笑)。紐でギチギチに固定するとか……?」

君夏さん「自分で種を蒔いて100株くらい育てて、一つひとつナンバリングして、さまざまな条件で刺激を与えて覚えさせる実験をしましたね。2年くらいず〜っとやってました」

 

だんご「『オジギソウをお辞儀させなくする』研究に没頭する高校生、面白いな……。最終的に何かにまとめて発表したんですか?」

君夏さん「研究成果を論文にして提出して、いろんな人に読まれて評価されましたね。いちおう、秋田県で1位になったんですけど」

だんご「県で1位に!? すごい」

君夏さん「その研究成果の発表で、いろいろな全国大会を回りました。関東にも行ったりして。その手応えもあったんですが、一番楽しかったのは、いろんな視点を持てるようになったことでしたね」

だんご「ほうほう。視点を持てるようになった」

君夏さん「目の前にあるひとつの対象物に対して、いろんな角度から切り込んで、いかに面白さを見出せるか、という力が育まれたと思うんです。それで、その視点を地元である秋田にも向けてみようと」

 

だんご「オジギソウの次は秋田に! スケールアップしましたね」

君夏さん「秋田の若者は、大学進学を機に県外へ出ていく人も多いんですよね。でも、比較対象となりうる自分の故郷を知らないまま、判断基準を持たずに出ていっても意味がないなと自分は思ったんです」

だんご「よく知らないと、いい悪いの判断基準も生まれない?」

君夏さん「もちろん、すぐに県外へ出る人を否定してるわけじゃないです。でも僕にとっては、もっと秋田を知ることは、いつか外で自分のやりたい仕事をする時にもきっと役に立つんじゃないかと。それで、秋田に残る選択肢を選びました」

だんご「秋田への理解をさらに深めたうえで、『やっぱり自分の求める場所は東京だ』って結論になるならいいけど、君夏さん自身はまだ、その判断ができるほど秋田を知らなかった」

君夏さん「そうですね。オジギソウの研究で植物の面白さに目覚めたので、さらに専門性を深めて秋田のためになにかするには、基幹産業である農業を学ぶのが一番かなと。それで秋田県立大に進学しました」

 

自分の手を動かし、現場で土と向き合う

だんご「大学ではがっつり農業を勉強することに?」

君夏さん「自分が入ったのはいわゆる農学部ではなくて、『アグリビジネス』という一次産業から六次産業までを網羅的に学ぶ学科です。経営寄りだったり、地域の特性を見たり、行政が打ち立てている施策がうまく回ってるのかを評価したり……みたいな内容ですね」

だんご「農業を『いろんな角度から見る』って視点を感じますね」

君夏さん「ただ、そこで『秋田の基幹産業は農業です』『しかし、高齢化が進んでます』『農地も余ってきて、耕作放棄地も増えています』と教わったものの、いまいち自分ごととして捉えられなかったんですよね」

だんご「どうしてでしょう?」

君夏さん「机上で教養を教わるだけで、実際に現地を見て手を動かしてなかったからだと思います。農家さんを相手にする仕事に就きたいけど、現場の大変さも知らないままで良い施策なんて作れるのか?という自分の弱点にも気付き始めました」

 

君夏さん「それで3年生の終わり頃に休学しました。耕作放棄地を借りて、実際に自分の手で農業を始めてみようと思ったんです。現役の農家さんの声を聞きながら、ひたすら土と向き合う時間を作りたくて

だんご「ひとまず自分で実践してみよう、と」

君夏さん「それで、秋田の男鹿で農地を借りました。耕作放棄地を探していたら、たまたまお声がけいただいたのが男鹿だったんですが、もう背丈と同じくらいの草や木でボウボウの土地で。機械も持っていなかったので、スコップと鍬で耕して整地するところから始めました

だんご「想像するだけでも大変そう……」

君夏さん「いやあ、大変でしたね(笑)。耕作放棄地がどうして厄介なのか、身をもって学びました。景観の問題だけではなくて、一度荒れてしまうと、畑に戻すのにすごく時間がかかるんです。1年目は秋田市から往復2時間かけて通っていて、多分1日10時間くらいは農地にいましたね」

だんご「1日10時間! ずっと一人で?」

君夏さん「たまに大学の友達とかが手伝ってくれてましたけど、8月くらいからは完全にひとりでやってました」

だんご「ひとりDASH村だ。途方もなさすぎる」

 

君夏さん「とにかく時間はかかりましたね。でも、耕したところはすぐに畝を作って種を蒔いてました。全部整地してから植えてたんじゃ冬までに終わらなそうだったので、ちょっとずつ耕しては植えて、の繰り返しで」

だんご「そうじゃないと、モチベーションも続かなさそうですよね」

君夏さん「でも、放棄されている間に落ち葉などが堆積してたので、農地に戻すことさえできれば、土質なんかの条件は意外と農業向きになってたんです。それも面白かったですね。放棄されてたメリットもなくはないんだと」

だんご「1年目はどんな作物を育てたんですか?」

君夏さん「じゃがいもとナス、トマト、あとは枝豆も。面白いくらいとれたので、秋田市の飲食店さんとコラボして、自分たちの野菜を調理してもらって、学生たちで食べる会をやったり。その後、男鹿市内のカフェに野菜を卸すのも始めました」

 

『耕作放棄地の解消』よりも『今ある農地の維持』が必要なワケ

写真右が、『秋田里山デザイン』の相方である大西克直(おおにし かつき)さん。東京出身な大西さんは男鹿の景色に魅了され、その景色を守るために、耕作放棄地の解消に取り組みたいと君夏さんと活動を始めた

 

君夏さん「ただ、活動を続けて地域に入り込んでいく中で、だんだん『耕作放棄地の解消』よりも『今ある農地面積の維持』が求められていることがわかってきたんです」

だんご「今ある農地の維持?」

君夏さん「地域の農家さんたちが高齢化を理由にどんどんリタイアして、後継者も見つからない。そんな状況では、いくら耕作放棄地を解消していっても、地域としての変化は乏しいことに気付いたんですよね。自分がいちばん最初に借りた農地の周りだけでも、この3年で3軒の農家さんが辞めていて」

だんご「すごいスピードだ……。復活させる前に、そもそも農地がこれ以上減るのを食い止めないとやばい、という状況だったんですね」

君夏さん「なので今は、『もう続けられないから誰かやってくれないか』という農家さんの受け皿になるような活動をしています」

だんご「なるほど〜。ちなみにコーヒーの活動は、相方の大西さんがコーヒー好きだったから?」

 

君夏さん「最初はそうだったんですけど、結果として、僕らのやりたいことと繋がってたんですよね。いつも大西が淹れてくれるコーヒーを飲んでいるうちに、よく考えたらコーヒーもエチオピアの『農作物』だということに気付いて

だんご「たしかに!!!」

君夏さん「普段何気なくコーヒーを飲んでるけど、もっとコーヒー豆の生産地の情報を届けるような活動もできるんじゃないか?と『さとやまコーヒー』が始まったんです」

 

『さとやまコーヒー』では、コーヒー豆の直輸入から焙煎して消費者に届けるところまで、すべて自分たちの手で行っている

 

君夏さん「エチオピアの生産者さんたちが農業でちゃんと食べていけているかというと、向こうには向こうの社会課題があって。そこで『農家さんと直接やりとりして、しっかり適正価格で豆を買う』『コーヒーの売上の一部は、男鹿の農地に還元される』という仕組みを作りました」

だんご「エチオピアの農家さんを応援することにもなるし、さらに男鹿の農業にも還元される。エチオピアと秋田が繋がるのが面白い」

君夏さん「大西は年に数回エチオピアに行って、コーヒー豆の収穫を手伝っていて。日本で農業をしている自分たちが現地の農業を取り巻く現状について伝えていくことで、海外と日本の一次産業で起きている問題を比較しながら提示していければ、と思ってるんです」

だんご「それも『いろんな視点を持つ』の話ですね。エチオピアの視点も持つことで、秋田の農業の新たな面も見えてきそう」

君夏さん「農業では、秋田や男鹿といったローカルの中で『若者がこんな取り組みをしてるらしい』と知ってもらえるような発信方法で。コーヒーはECなどを活用して、たくさんの人に飲んでもらいつつ、より広い社会に向けて。それぞれに向いているツールや媒体を考えながら、情報発信を行っていますね」

 

地域ごとに異なる課題を、どう解決に導くか

だんご「実際、エチオピアの農村での課題には、男鹿との共通点も多いんですか?」

君夏さん「共通している部分もあります。エチオピアではコーヒー豆が品目別輸出額の約3割を占め、コーヒー産業頼りの現状があります。しかもエチオピアの農村では、コーヒー豆では稼ぐことができないことから首都に出て働くケースもあるみたいです」

だんご「日本のように『都会に出て、地元にはない別の仕事をやる』という選択肢が生まれ、コーヒー産業の衰退が進んでいるんですね」

君夏さん「『外貨を稼がなきゃ』という事情もあって、規模拡大のために山々をどんどん切り崩してしまう農園も多いらしくて。さとやまコーヒーが関わっている農園さんは、なるべく山林を崩さず、今ある木々の間にコーヒーを植えるような農業を行っているんですが

 

君夏さん「日本でも、かつての農業拡大によって沢沿いにまで田んぼを作ったケースが多くて。でも、そもそも農業をやるのに大変な土地だったりするので、そうした場所から耕作放棄地が増えている現状があるんですよ。だから無理に自然を切り開かず、適正を見ながら農地選択をしていくことが大事なはず」

だんご「経済も含め拡大していくことが前提の時代と、今はいろんな状況が変わっていますしね」

君夏さん「エチオピアと日本の違いだけでなく、国内でも各地域で課題や規模感が違うんですよね。なので本来は、全国で一緒の政策を進めるのではなく、それぞれの地域に応じた施策を打ち出していく必要があるはず。たとえば今だと規模拡大に対して補助金が出るんですけど、男鹿は半島なのでこれ以上農地を増やすのも難しいですし」

だんご「たとえば北海道と男鹿では、土地の事情もまったく異なりますもんね」

君夏さん「そうなんです。特に農業のような一次産業に関しては、今のトップダウン形式よりも、もっとボトムアップでの取り組みが生まれるような、地域の生産者目線での政策が必要になってくると思いますね」    

 

「稲とアガベ」に関わりながら活動するメリット

左が「稲とアガベ」代表の岡住さん

 

だんご「ここまでの活動に、『稲とアガベ』での仕事はどう繋がってくるんですか?」

君夏さん「『秋田里山デザイン』はまだ走り出した段階なので、正社員ふたりが食べていくのはちょっと厳しい、というのが理由のひとつです。ふたりともギリギリで生活するくらいだったら、とりあえず一人だけでもしっかり食べれるような会社を作りたい、と大西に話したんです」

だんご「うんうん」

君夏さん「いずれは雇用を生み出せるような会社を目指すために、まず自分は他の仕事にもちょっと時間を割きつつ、大西ひとりは食っていける状態を作ろうと。それで以前からお手伝いしていた『稲とアガベ』代表の岡住さんに、『正社員として雇ってもらえませんか』と相談して」

だんご「自分たちの会社を持続的にやっていくための選択だったんですね」

君夏さん「岡住さんは正社員として雇ってくれた上に、『稲とアガベ』の酒米を男鹿で作ってほしいと言ってくれたんです。なので、結果として自分の活動ともちゃんと繋がっていて」

だんご「農業という強みを『稲とアガベ』の中でも活かせますね 」

君夏さん「酒米用の農地選択も僕に一任されているので、土や水の条件は良いけど耕作放棄されてしまった田んぼをお借りすることで、放棄地の復活にもなりますね」

 

君夏さん「しかも、僕は男鹿の集落でずっと農業をしてたので、地元の方たちと知り合いなんです。稲刈りや水路清掃などの集落活動を手伝ってきた信頼もあるので、機械なんかも貸していただけて」

だんご「そうか、『稲とアガベ』がイチからその地域に入っていくよりもだいぶ活動しやすくなる。君夏さんが『秋田里山デザイン』と『稲とアガベ』の活動を並行して続けていくことで、どちらにもメリットがあるんですね」

君夏さん「今の秋田って、県外からやってきて物事を起こそうと頑張ってくれている方々が多いんですよね。でも、そこに県内の人が加わるケースは少ない気がしていて。秋田で生まれ育った自分の24年間の人脈を絡めていくことで、彼らのやりたいことのスピード感が上がって、より動きやすくなると思うんです」

だんご「君夏さんが、秋田内外の人を繋ぐハブのような役割になるわけですね」

君夏さん「ただ、僕はいま24歳なんですけど、30歳くらいまでにもう少し農家としての力を培っておきたいんです。栽培技術をしっかり持って、農地も拡大できて、人も雇えて……という一次産業の事業者が、今の男鹿には必要だと思っていて」

だんご「しっかり農業で食べていけるような」

君夏さん「かといって、農業が資本主義的にお金だけで見られることには、自分の中で引っかかる部分がある。規模が大きくなりすぎると、関わる人たち一人ひとりの顔が見えなくなってしまうのも、ちょっと嫌だなって

だんご「うんうん。それでいいのか、という」

君夏さん「なので、そういう部分もしっかり理解してもらいながら、別の部分で付加価値をつけるような……。たとえば菜園レストランや直売所などを設けて、お客さんに農業の現場を見てもらえるとか、複合的な農園の設計をしていきたいです」

 

君夏さん「今、野菜を卸しているのもほぼ男鹿市内なんです。畑から家に帰る途中で、『今日はこれが取れました!』と服屋さんやカフェに野菜を卸して、最後は稲とアガベのレストランに野菜を持っていく……みたいな流れが、なんかいいなって」

だんご「ちゃんとした意味での地産地消ですね」

君夏さん「地産地消を目指したわけではないんですけど、自分が届けたいと思う人に向けて作っていたら、地域の中での循環が自然に生まれていたというか。でも、まだまだこれからなので、コツコツ頑張っていきます」

だんご「今後の活動も応援してます!」

 

おわりに

オジギソウの研究も、耕作放棄地での農業も、大西さんや『稲とアガベ』と積極的に関わるのも、はじめは一見バラバラな活動のように見えていました。でもこうやってお話を聞くと、『物事をいろんな角度から捉え直してみる』『自分なりの仮説を持って、ちゃんと手を動かしてトライしてみる』という君夏さんの行動指針の元にちゃんと繋がっていて。

 

24歳にして一本のぶっとい人生の芯を持った君夏さんのこれからが楽しみです。気になった方は、ぜひ秋田へ会いに行ってみてください!

 

☆この記事は特集「若者がすべて」の記事です。

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イラスト:おぐら(Twitter
構成:夜夜中さりとて


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