こんにちは、ライターのギャラクシーです。
僕は学生の頃から今まで、数え切れないほどアルバイトをしてきました。その時に学んだのは、どんな職場にも怖い話や不思議な体験があるということ。
というわけで今回はこちらのメンバーに、『仕事で体験した怖い話』を語ってもらいしょう!
※先に言っておくと、怪談蒐集家・寺井さんの話 以外はあまり怖くないバカ話ばかりだったので、怪談が苦手な人も安心して読んでください
▼登場人物紹介
ギャラクシー|ジモコロ編集長
経験したバイトは警備員、工場、ぬいぐるみショーなど
まきの|WEBディレクター
経験したバイトはカフェのウェイターなど
加藤|WEBディレクター
経験したバイトは精肉店、居酒屋など
モンゴルナイフ|WEBディレクター
経験したバイトは家庭教師、居酒屋、林業など
寺井広樹|怪談蒐集家
怪談蒐集家として活動する一方、銚子電鉄の「まずい棒」などプロデュース業も
※現在ジモコロでは、読者の皆さんからの『仕事で体験した怖い話』を募集中です。編集部で審査し、怖かったエピソードは記事としてご紹介します。
1位にはなんとAmazonギフト券3万円分をプレゼント! 参加賞もあるので、どんなエピソードだろうと とりあえず応募してみよう! 詳しくは記事の最後に!
仕事で体験した怖い話
ストーカーの正体は……
「では最初は僕から! 二十代の頃にバイトしてた会社で、実際にあった話です」
「バイト先のみんなで話してる時に、女性社員のAさんが『ストーカー被害を受けてるかもしれない』と言い出しまして。家の近所を歩いてる時、誰かがついてきてる気がする、と」
「『かも』だったとしても、夜に帰る時とか怖いですね」
「ですよね。被害はAさんの住まい近辺のみで、会社の周辺ではそういったことは無かったんですけど……念の為、Aさんが帰る時は、手の空いてる男性バイトが駅まで送りましょう!って提案しました」
「ギャラクシーさんも送った?」
「……いや、忙しい会社だったんで、新人バイトくんに任せっぱなしでした」
「かっこよく提案だけして、実際は後輩にやらせるやつ」
「よくない先輩ですね。それで被害はなくなったんですか?」
※ちなみに机の上のこけしは「雰囲気が盛り上がるかなー」と思って置いただけなので気にしないでください
「被害はおさまらなかったんですけど、Aさんは『男子に送ってもらえるから心強いわ~』って喜んでました。ところがある日、別部署の女性が『こないだ、Aちゃんを見かけたよ』って言うんですよ。その女性はAさんの近所に住んでるらしくて」
「声かけろよ」
「Aさんも話に加わって、『それなら声かけてよ~』って言ったんですが、その女性は『だって、あなた新人バイトくんと歩いてたから、邪魔しちゃ悪いと思って』と」
「ん? 新人バイトくんっていうのは、会社帰りだけAさんを駅まで送ってた人ですよね?」
「なんでAさんの家の近所で一緒に居るの???」
「結論から言うと、Aさんを悩ませてたストーカーは新人バイトくんだったんですよ。入社してすぐにAさんのことが好きになったらしくて、社員名簿に載ってた住所を見て、定期的に尾行してたそうです。Aさんはそれに気づいてなかったんですね」
「こわっ! 自分がストーカーなのに、ストーカーから守るために駅まで送ってたってこと?」
「その通りです。その日は新人バイトくんは休みだったんですが、上司が電話で確認したところ、『間違いないです』と」
「うわああぁ~~~」
「『自分が毎日のように、ストーカーと二人きりで夜道を歩いてた』っていうのが後から怖くなったのか、Aさんは泣いてました。ちなみにAさんの希望で警察とかには通報せず、新人バイトくんは自主的に退職ってことになりました」
「心霊とかではないけど、地味に怖い話ですね」
ちょっとの時間差で……
「続いては私のエピソードを! こちらです!」
「私は北海道の田舎出身なんですが、周辺はみんな農家で。夏になるとよく手伝いのバイトをしてたんです」
「それってどれくらいの規模の農家なんですか? 家の裏庭でやってる感じ?」
「いえ、北海道なんで広大な土地を使って農業やってました。視界いっぱい見渡す限り、とかそういうレベルですね。私は長~~いカマ(払刈鎌)を使って雑草を刈る仕事を手伝ってました」
「その日は途中で雷雨になりまして。私は気にせず作業を続けてたんですけど、農家の人が『そんなに頑張らなくていいから、雨が止むまで休憩しよう』って言ってくれたんです」
「今の所まったく怖い要素がない。ただのほのぼのスローライフじゃん」
「作業をストップした地点に目印としてカマを刺して、離れたところにある車の中で休憩しました。そこかしこで雷が光ってて、大きな音も鳴ってたんですが、通り雨だったみたいで、すぐに雨が上がりました。で、作業してた場所に戻ってみたら……」
「目印として地面に刺してたカマが、バラバラの丸焦げになってました」
「!?」
「落雷でってこと!?」
「他に原因が考えられないのでそうでしょうね。ひらけた場所で他に高いものがなかったから、カマに落ちたんだと思います」
「危機一髪すぎない?」
「農家の人が『雨が止むまで休憩しよう』って言ってくれてなければ、ひょっとして……」
「ゾ~ッ」
「長らく農家の手伝いバイトをしてたんですけど、こんな怖い経験をしたのはこの一度きりでしたね」
呪いの机……?
「続いてはプロの怪談蒐集家に話していただきましょう。寺井さん、お願いします!」
「では、私からはこんなエピソードを紹介します」
「大手の会社に10年ほど務めている女性・Bさんから聞いた話です。結構入れ替わりの激しい会社だったらしいんですが、Bさんは、辞めていく人に共通する法則に気づいたそうなんです」
「法則!?」
「それは……広いオフィスに整然と並ぶ机の中で、ある特定の席に座った人は辞めていく、という法則です」
「その席の隣に、ものすごく貧乏ゆすりするオッサンが座ってたとか?」
「私は上司から自分のモニターが見える席だと、You Tubeを見てるのがバレるからイヤですね」
「いや、そういう理由ではありません。キャリアアップのために転職するといった前向きな理由でもなく、身内に不幸があったり……あまり良くない理由でみんな辞めていくんです。そのことを、Bさんだけが気づいていました」
「怪談っぽくなってきた」
「そんなある日、別部署から年配の女性が異動してきたんですね。別部署というのは、一時期Bさんも所属していた部署でしたから、その女性のことも知っていたんです。かなり面倒な性格の人で、Bさんはいじめに近いことをされていたそうで」
「そんな人とまた一緒に働くのイヤだなぁ」
「ですよね。Bさんも上司に『私はあの人のことをよく知っていて、苦手なんです』と告げたそうです。でも逆に『知り合いなら、君が世話をしてあげてほしい』と言われちゃったんですね」
「最悪」
「久しぶりにその女性に会っても、やっぱりイヤな性格は変わってなくて。Bさんはちょっとした嫌がらせで、例の机にその女性を座らせることにしたんです。せめてもの仕返しって感じで」
「ドキドキ……一体どうなったんですか?」
「その席に座って一週間経った頃、女性は外回りの営業中に突然倒れて……そのまま脳溢血で亡くなったそうです」
「えーーー!???」
「怖ーー!!!」
「これ、本当の話らしいので、後日談とか、その机にはこういう経緯があって呪われていた、みたいな種明かしも何もないです。これでおしまいですね」
「スパッと終わるのがリアルで逆に怖い」
「ちょっとした仕返しのつもりで机に座らせたBさん、『まさか本当に……』ってなったんだろうなぁ。その気持ちを考えるとまた怖い」
「ひょっとしたら、これを読んでるみなさんのオフィスにも『座らないほうがいい机』があるかもしれませんね……」
薄暗い厨房で……
「続いては、大学生の頃に僕がバイトしてた料亭での話です」
「その料亭にはヤンキーみたいな人が厨房で働いてて、その人がめちゃめちゃ怖かったんですね。大学生の僕と同い年なんですけど、高校を卒業してすぐ料亭で働き始めて、社員になった人で」
「本気度が違いますね」
「いいかげんな仕事してるとすぐ『何しとんねんボケが!』って怒鳴るような人で、バイトはみんな震え上がって、誰も近寄れない状態でした」
「まあ、料亭って特に厳しそうではある」
「ある時、たまたまいつもより早く出勤して、開店前の誰も居ない店内を歩いていると、厨房の方から何やら低い音と声が聞こえてきたんです。恐る恐る覗いてみると、薄暗い厨房にヤンキー先輩が一人で立ってまして。その身体がゆらゆら動いてて……」
「え、暴力系の怖い話かと思ったら、心霊系なの???」
「一体なにしてたんですか?」
「ラジカセで三木道三の『Lifetime Respect』を聞きながら歌ってました。歌詞カード片手に」
「しょーもな」
「覚えようとすんな」
「『怪談』の意味わかってます?」
「話の“入り”としては悪くなかったのに……」
「でも実際目の辺りにしたら、意外に怖いんじゃないですかこれ。心底恐ろしい先輩が、薄暗い厨房で一人で三木道三 歌ってるって……」
「そう、その時は怖かったんですよ。あの恐ろしい先輩が、何でこんな所でこんなことしてるんだ???っていうのが理解不能だった。そして、覗いてることがバレたらどんな目に遭わされるかっていうのも怖かった」
「え、『歌うまいっスね~』って話しかけなかったんですか??」
「話しかけるわけない! そのまま黙って更衣室に行って、店が始まるまでパイプ椅子に座ってました」
「どんだけ恐ろしい先輩だったんだ」
謎の料理人
「じゃあ次は僕が話しますね、こちらです!」
「『怪談』ですよね?」
「絶対怖くないやつだ」
「いや、怖い話です。昔バイトしてた居酒屋チェーン店での話なんですけど、その店は料理が全然おいしくないんですよ。メインで料理を作ってたのは10年くらい働いてるベテランさんなのに、チャーハンすらマズい」
「チャーハンなんて誰が作ってもおいしくなるはずだけどなぁ」
「10年も料理を作り続けてるのに、上達しないものなんですか?」
「圧倒的な才能の無さ」
「僕もそう思ってたんですけど、ある時、珍しく『今日はまかないを作ってあげるよ』って言ってきたんですね。普通なら喜ぶところですが、なんせ“おいしくない”ことは知ってるんですよ」
「全然嬉しくないですね」
「でも断るわけにもいかないから、作ってくれたチャーハンを仕方なく食べてみたんです。そしたら……」
「ムチャクチャおいしいんですよ」
「????」
「どういうこと?」
「その人は本来、料理がすごく上手な人だったんです。でもチェーン店だから作り方にマニュアルがある。その人はアレンジしたり、調味料の分量を勝手に変えるのは良くないという考えで、つまり……わざとマズく作ってたんですよ!!!」
「不思議な話ではあるけど、なんだろう……なにこの話」
「え、怖くないですか? 本当はおいしく作れるのに、10年間黙々とマズい料理を作り続けてるんですよ?」
「どういう10年だったのか興味ありますね」
「あえてマズい料理を作ってる時の顔を見てみたい」
「そう言われると、なんというか無機質な怖さというか、昆虫的な怖さがあるかも……」
警備員が聞いた無線機からの声
「次は、僕が夜勤の警備員をやってた時の実話です」
「タイトルこわっ」
「その日は7~8人の警備員が、道路工事の警備をしていました。深夜なので人通りもなく、楽な現場だったんですが……工事が半ばに差し掛かった頃、無線から異音が聞こえてきたんです」
「さっそく来た!」
「『ザザザッ……ガガッ……』みたいな音がしばらく聞こえたあと、女性の声が聞こえてきて。無線は全員が共通した周波数に合わせてるんで、全員が『何だこの音? 怖っ!』と怯えてました」
「全員が聞いてるなら気のせいじゃないですね。女性の声は何を語りかけてたんですか?」
「正体はすぐにわかりました。女性は一人で喋っていたわけではなく、“会話”だったんです。相手は男性で、その声はハッキリと、こう言ったんですよ……
好いとーよ
……と」
「は?」
「?」
「男性の声は、同じ現場の警備員の一人……三十代後半で福岡出身のオッサン・Y田さんでした」
「女性の声は誰?」
「Y田さんの彼女です。Y田さんは一人で休憩してる時に彼女と電話してたんですが、座る時に偶然、無線機のスイッチが入っちゃったんですね。で、気づかないまま喋り続けてたと」
「終了」
「期待して損した」
「いやこれ、怖いんですって。『今度会う時、あの服着て来てや(笑)』とか、『今日の現場監督ウザいわ~』とか、現場にいる全員に筒抜けなんですよ?」
「あ、怖い」
「しかも無線というのは、電話と違って誰かが送信してると、他の人は使えないんですよ。つまり全員、業務の連絡ができないんです」
「誰かがY田さんに教えてあげればいいのでは?」
「休憩は一人ずつ、コンビニとか公園とか好きなとこで過ごすから、Y田さんがどこで休憩してるか誰も知りません。僕らは、Y田さんの休憩時間が終わるまでの一時間、延々おっさんのイチャイチャLOVEトークを聞かされながら仕事したんです」
「あとでめちゃめちゃ怒られそう」
「はい。『大人がこんなに怒られることってあるんだ』ってくらい怒られてて、それも怖かったです」
心霊ビデオ
「では私からのエピソードを。これは友達の話なんですけど、アルバイトで『心霊ビデオ』を作ってる人で」
「心霊ビデオを……作る???」
「はい。『大学生が心霊スポットに行って、後からホームビデオを見たら霊が写ってた』みたいな映像、よくあるじゃないですか。その人は、ホームビデオの素材に合成で霊を足したりする仕事をしてたんです」
「わざわざCGか何かで霊を入れてるのか……」
「でもその人が言うには……」
「20本に一本くらい、合成しなくていいビデオがあるらしいんですよね……」
「ということは……本物!?」
「怖っ!」
「この話を聞いて、私は思いました。『心霊ビデオって20本中19本は偽物なんだ……』って」
「そこ!?」
「いや、19本の偽物があるせいで、1本の本物がリアルに感じられる。怪談としてはとても良いですね」
追い出し部屋
「では最後に私からのお話を。企業に出向して、研修したり、人材育成やマネジメントなどをやってる人に聞いたエピソードです」
「その人……Cさんが配属されたのは、とある企業の通称『追い出し部屋』と呼ばれる部署。そこはリストラ対象の四十代~五十代に、退屈な仕事やつらい仕事をやらせて自主退職に追い込むための部署でした」
「ショムニみたいな部署ですかね」
「社会とか企業って、怪談よりコエーな」
「一人退職させたら、Cさんの会社にロイヤリティが支払われるんですね。Cさんは心苦しく思いながらも、リストラ対象者にキツく当たっていました。『こんなことすらできないんですか!?』とか。実際、ほとんどの人は一ヶ月以内に辞めるそうです」
「つらいよー」
「その部署に、新たに配属されたある男性が、異常な行動をするようになったそうなんですよ。Cさんと一緒に仕事してる時に、急に『何か音が聞こえる』って言い出して、壁に耳をつけたり。もちろんCさんにはそんな音は聞こえません」
「追い込まれ過ぎちゃったんだろうなー……」
「どんな音が聞こえたんだろ」
「壁を『トトントントトン……』とノックするような音だったらしいです。その症状はどんどんひどくなって、ある時Cさんがトイレから戻ってきたら、『山中くん、いま助けてやるからな』と言いながら、カッターで壁を掘ってたそうなんです」
「山中くんて誰??」
「山中くんというのは、その男性が以前働いていた部署の同僚ですね。一足早く追い出し部屋に送られ、すでに退職……というか連絡がとれなくなってた人です。『山中くんが壁の向こうでノックしてるから、早く助けてあげなきゃ』と一心不乱に掘ってたそうです」
「山中くんに何があったんだ」
「その男性には帰ってもらったんですが、Cさんは追い出し部屋でぽつんと一人、『誰かを追い込むような仕事、もうやりたくないな』なんて考えてたんです。そしたら、壁の方から―
『トトントントトン……』
とノックする音が……」
「ゾゾ~~~ッ!!!」
「Cさんは心底怖くなって、その日のうちに会社に辞表を提出したそうです。そして、ふと、あることに気づいたんですね。
ひょっとしたら……
“追い出し部屋”に入れられてたのは
自分だったんじゃないか?
……と」
「うわ」
「ヒエ~」
「実際、Cさんは成績が悪いほうだったので、会社はCさんを辞めさせるために、あんな企業のあんな部署に出向させたんじゃないか?というお話ですね」
「結局、霊より人間が怖いですね」
まとめ
というわけで今回は、ライターたちがバイト中に経験した怖いエピソードをご紹介しました(あまり怖くない話が多かったですが)
ジモコロでは、読者の皆さんからの『仕事で体験した怖い話』を募集中です。編集部で審査し、怖かったエピソードは記事としてご紹介します!
1位にはなんとAmazonギフト券3万円分をプレゼント! 参加賞もあるので、どんなエピソードだろうと とりあえず応募してみよう!
・大賞:Amazonギフト券30,000円分
・2位:Amazonギフト券10,000円分
・3位:Amazonギフト券5,000円分
・4位~10位:Amazonギフト券3,000円分
・参加賞:抽選で100名にAmazonギフト券500円分
▼応募方法
イーアイデム公式Twitter(@eaidem_tw)をフォローし、#職場の恐怖エピソード のハッシュタグをつけて、あなたがアルバイトや仕事先で体験した恐怖体験を投稿してください。
ご自身のエピソードでなくても、同僚や先輩に聞いた話でもOKですよ!
▼募集期間
2021年7月30日まで
▼結果発表
結果は8月末ごろ公開の記事上にて発表いたします
※詳細&規約は→こちら
新たなバイト恐怖エピソードを探せ!