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柚子で売上33億円のゴールドラッシュ! 高知県馬路村に地方創生のヒントがあった

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高知県の馬路村って知ってる?

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。今回は高知県の馬路村(うまじむら)に来たんですが、村長が不在だったので勝手に座らせていただきました。やっぱり村長の椅子ってフカフカなんですね。

 

 

馬路村が位置するのは高知県の東側です。高知龍馬空港から車で約2時間ぐらいかかる山奥に位置する村で人口は約1000人。総面積の約96%が山林に覆われており、魚梁瀬杉(やなせすぎ)という銘木を中心に林業で栄えてきた歴史があります。

そんな土地になぜやってきたのか…?

 

www.e-aidem.com

少し前に自身の徳谷姓のルーツを辿る記事を作ったら、高知県の徳谷地区に行き着いたんです。何かと高知県に縁があるようなんですが…

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結果そこそこ話題になったおかげで、以前から親交のある高知県の広報活動をしている横山久志さんに「柿次郎さん、あの記事当たりましたね! 高知でも話題になっています。この調子で今度、高知県東部の記事広告をやってくださいよ!」と声をかけられたんです。

 

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普段は銀座のアンテナショップ「まるごと高知」で働いている横山さん

これまで人気ライターのヨッピーさんやARuFaくんしか指名してこなかったのに…。

手の平を返したかのような身の振り様に僕は思いました。記事一発で評価が変わるのがインターネットなんだな、と。だったら、やってやろうじゃないか!

ただし、高知市内や四万十川といった知名度のある土地ならまだしも、高知県東部にわざわざ行く人はあまりいない説…。だったら個人的に大好きな「柚子」で有名な馬路村を取材させてくれー! 柚子の生産者に話を聞かせてくれー!!

 

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ほら、柚子とハチミツを使ったドリンク「ごっくん馬路村」って有名じゃないですか。食べログでも柚子の皮が入ってるだけで3.5評価つけがちじゃないですか。日本人の繊細な味覚にいつも彩りを添えてきた「柚子」のことをもっと知るべきなんですよ!!

 

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みんな大好き「ゆず」の二人も来てるし!

 

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あの小泉進次郎も来てるよー! ブログにも4行でまとめられてるよー!

 

高野光二郎さんの応援で、高知県馬路村から一日がスタートしました。名物の「ごっくん馬路村ゆずジュース」を飲んでから役場前で今日の第一声。人口約970人の村ですが、多くの皆さんに朝からお越し頂きました。馬路村の里山の美しさ、忘れません。

 

4行…。

 

柚子で一攫千金を狙った人口1000人の村

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前段の長さに辟易して多くの読者が離脱したかもしれませんが、今回は柚子に興味がある人に読んでもらえればミッション完了です。さて、まずは柚子の錬金術に成功したと言われている施設「ゆずの森加工場」へやってきました。

 

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敷地内に入るといきなり大量のテニスボールが…! もしかして出産時に使われる「いきみ逃し」のテニスボールはここで作られている…!?

ウィルソンではなしに…!?

 

 

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よくみたら柚子でした。

 

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いやー、立派な柚子ですね。馬路村では有機栽培をしているため、表面がゴツゴツしているのだとか。東京でこのサイズの柚子を買おうと思ったら「高いからやめとこ」となりがちですが、さすが生産量一位の高知県。全部の柚子を有効活用しているそうです。大量の柚子を浮かべた風呂に浸かりてぇぇぇ。

 

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やけに“柚子の香り”と“成功の臭い”がする立派な工場内へ入ってみます。 

 

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思わず目を奪われる村のメッセージが出迎えてくれました。馬路村はかつて栄えた林業が衰退し、「このままでは村の危機だ!」と崖っぷちに立たされた状況から、村の名産である柚子に目をつけて再建した歴史があります。村人と農協の職員が官民一体となって地域を盛り上げているんですよね。

ここに国が掲げる「地方創生」を成功させるヒントが詰まってる気がしてなりません。

 

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ここからは馬路村農協の本澤侑季さんに案内してもらいます!

 

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「ほおお、ここで柚子を絞ってるんですか?」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「そうです。柚子は10月末から12月頭にかけて一気に収獲するんですが、馬路村だけで年間約800トンは穫れますね」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「800トンですか。ウルトラマンの体重35000トンには遠く及ばないですね」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「身長40メートルのウルトラマンと比較されても困ります。この時期は土日含めて村人全員が柚子収獲に駆りだされて休む暇もありません。というのも、収穫したその日に搾汁するスピード感がないと美味しい柚子果汁を作れないんですよね」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「わー、それは大変ですね」

 

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ここで馬路村がどういった経緯で柚子の加工品に力を入れ始めたのか、僕みたいなバカでも分かるビデオを見ることに。寝不足で途中寝落ちしかけたんですが、ある一人の情熱によって想いが結実したストーリーに触れて目が覚めました。

 

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「本澤さん、馬路村の柚子ビジネスって年間売上33億円もあるんですか!?

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「2014年度の売上はそうですね。ポン酢しょう油『ゆずの村』は年間約340万本、柚子ドリンク『ごっくん馬路村』は年間約600万本、ほかにも柚子の加工食品や化粧品など、おかげさまで全国の人たちに支持されているんです」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「人口1000人の小さな村でその事業規模はすごい。まさに柚子で起こしたゴールドラッシュ…!地方創生が叫ばれる昨今、馬路村が見出した活路はすごく貴重な例になりそうですね」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「この結果に繋がるまでの道のりは、決して平坦ではなかったんです。むしろ苦労の連続で(笑)。村の森林組合が柚子苗の育成を始めたのが昭和38年。桃栗3年、柿8年…柚子は大バカ18年と言われるくらい収穫まで時間がかかるんです」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「気が遠くなる時間ですね…」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「収穫ができ始めた昭和50年代に馬路村の主要産業だった林業が輸入材木に押されて衰退してきて、このままじゃいかん!ってことで柚子の佃煮を作り始めたんですが…鳴かず飛ばずでした。そんな危機を察知した現在の農協代表理事・東谷望史がガラっと流れを変えてくれたんです。『柚子のしぼり汁』を携えて全国の催事場駆け巡り、時間と熱量を惜しまず投資していきました。この時点では赤字の連続です(笑)」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「おお、なにかドラマの予感が…!」

 

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f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「その熱がジワジワと広がったんでしょうね。馬路村出身の神戸大丸・食品係長と意気投合し、デパートの目立つスペースを借りることができたんです。とにかく場所がよかった。一週間で127万円の売上を記録したんです。そこからジワジワと口コミで評判を生み、産直の通信販売も大成功し、昭和63年には『ぽん酢しょうゆ・ゆずの村』が“日本の101村展”で最優秀賞を受賞しました!」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「ゴールドラッシュの産声!!」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「村の歴史が変わるほどの反響でようやく売上が1億円を超えました。その後、新たに柚子の果汁を活用しようと開発したドリンク『ごっくん馬路村』も大ヒット。通信販売やネットショッピングで独自の販路を見出し、柚子の馬路村というブランドも確立することができましたね。すべてのきっかけは東谷望史さんの馬路村愛といっても過言じゃありません」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「今では県外観光客はもちろん、外国の方もはるばる馬路村を訪れているんですよね。危機感を持って情熱的に取り組めば、誰かが必ず手を差し伸べてくれる。お話を聞いてちょっと鳥肌が立ちましたよ!」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「こんな歴史があるので、馬路村は村民と行政が一体となって村の危機を乗り越えた自負があります。小さい村で観光資源が乏しくとも、たった一人の情熱で変えられるのかもしれません。もちろん周囲の理解と支えが欠かせないと思います」

 

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f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「あと工場見学をしていて思ったんですけど、働いている社員の方が仕事に自信を持って取り組んでいるなぁと。活気にあふれていて、笑顔が絶えない職場ですね」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「ありがとうございます。自分たちの手で村を成り立たせている実感がそうさせるのかもしれませんね。村人全員が「柚子」の恩恵を受けていますし。また、車で1時間ほどの町民が馬路村で働いているケースも増えてきてきて、雇用の場として機能すれば村の人口も増えていくはずです」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「馬路村でも過疎問題は他人事じゃないんですね」

f:id:kakijiro:20160127151521p:plain「いくら柚子ビジネスがうまくいっていても、日本全体の人口は減り続けているわけですから。高知の山奥に若者を移住させるのは簡単ではないですよね。それでも『馬路村で働きたい!』と思ってもらえるような努力を今後もしていきたいと思います!」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「一度遊びに来れば、馬路村の魅力が伝わるでしょうね。美しい村ってこういうことなんだなと感動しました」

 

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この馬路村農協のポスターに魅力が詰まっているような気がして。田舎の温かさをコピーの力で伝えるのって大事! 僕も「ジモコロに妥協はしとうない」って言っていこうと思います。

 

危険すぎる柚子収獲の実態…

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馬路村の成り立ちを理解した後、柚子の収獲体験をやらせてもらえることになりました。柚子収穫の達人である馬路村役場の白川さんに教えてもらいます。ゴリゴリ獲るぞ〜!

って、そういえば柚子がなってる状態って見たことがないような…。

 

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え、こんな民家のウラに? しかも、すごい斜面だな…。

 

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わー! すごい急斜面に柚子がなってるー!!

 

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そして、いばらのトゲトゲがすごい!

 

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吹き矢に使えそうなイカついトゲが剥き出しになっています。なにこれ。刺さったらヤバいやつじゃないですか? 凶器? もしかして柚子の収獲ってダイハード? ブルース・ウィリス呼んだ方がよくない?

 

f:id:kakijiro:20151220052352p:plain「馬路村は大半が山林地帯のため、農業に使える土地が少ないんです。そのため村内の空いた斜面や狭い土地に柚子を植えていて、収獲が大変なんですよね。なおかつこのトゲでしょう? 手に刺さるのは当たり前で、普通のスニーカーで立ったトゲを踏んだら貫通するほどの威力を秘めています

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「軽い武器じゃないですか」

f:id:kakijiro:20151220052352p:plain「しかも、手に刺さった状態でトゲが折れたら最悪で。刺さった場所によっては軽く身をえぐらないと取り出せません。それが嫌でいまだに刺さったままのトゲが数本…」

f:id:kakijiro:20151220052306p:plain「ぎゃー!!!」

 

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f:id:kakijiro:20151220055035p:plain「しかも、この斜面! 高枝バサミで収獲するにしても、目線が上で首が疲れるし、腰への負担がすごいし、めちゃめちゃ大変ですね」

f:id:kakijiro:20151220052352p:plain「子どもからお年寄りまで、収穫時期は毎日朝から夕方までこの作業をやるんですよ」

 

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f:id:kakijiro:20151220055035p:plain「ひえええ。柚子に殺される。しかも、枝と枝が重なってるから、高枝バサミを伸ばすポイントが見えづらいですね。長い高枝バサミをこの斜面の狭い空間で動かすのも大変だし、常に鋭利なトゲを気にしないといけないし、想像の100倍キツい…」

f:id:kakijiro:20151220055757p:plain「そんなへっぴり腰じゃダメですよ!それそれそれ!

 

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顔つきが変わって柚子収獲の修羅と化した白川さん

 

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開始30分で音を上げました

 

f:id:kakijiro:20151220055035p:plain「ゼェゼェゼェ…」

f:id:kakijiro:20151220052352p:plain「柿次郎さん、柚子のありがたみが分かりましたか」

f:id:kakijiro:20151220055035p:plain「はい。まさかこんな大変だったとは…柚子が高価な理由も分かりました…」

f:id:kakijiro:20151220052352p:plain「収穫期は毎日村人全員で取り掛かってるわけですが、この柚子あっての馬路村なんですよね。観光事業や商品開発など、苦労の上に成り立ってるからこそ、これだけキツい作業もやれるわけです。ぜひ来年の収穫期も遊びに来てください!」

f:id:kakijiro:20151220055035p:plain「もうやだ…」

 

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採れたてピチピチの柚子を食べさせてもらったら、酸っぱすぎて一瞬で10歳ぐらい老けました。

 

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その後、「ごっくん馬路村」のジュースを飲んだら甘味が際立って最高に美味い…。アメと鞭を超える、柚子果肉とごっくん馬路村の組み合わせ。この一連の体験をすれば、柚子に対する印象がガラっと変わるはずです。東京にいたら“商品の過程”が見えないもんなぁ。

 

高知のおもてなしはエグい

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ドンッ!

 

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ドドンッ!

 

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ズバーンッ!!

 

 

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な、なんなのこの豪勢な料理は…? 取材を終えて、宿泊先の「馬路温泉」で地元の方々と飲もうとしたら、とてつもないおもてなしが待ち受けていました。

高知の郷土料理「皿鉢料理」、そしてシイタケやミョウガ、刺身こんにゃくなどをネタにし、柚子果汁を混ぜ込んだ酢飯で作る「田舎寿司」など、「こりゃ美味い!」と思わず柏手が飛び出すほどの絶品料理ばかり。マジで美味しかったです。

 

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さらに追い打ちをかけてきたのが、酒の消費量が日本一とも言われている高知県ならではの酒飲み文化「菊の花」。遊び方はカンタンで。まず「菊の花〜♪ 菊の花〜♪」と歌いながら、裏返したお猪口を一人ずつ開けていきます。中に花びらが入っていたら、その時点で開けた分のお猪口に日本酒を注いで全部飲み干すという地獄仕様なんです。

 

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元々は土佐のお座敷遊びだったんですが、大人数で飲むときは必ず盛り上がる文化で今でもガッツリやるらしく、せっかくのおもてなしだから乗っかるじゃないですか。そして負けるじゃないですか。

 

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こんな感じでグイグイと日本酒を飲み干していきます。高知の日本酒「土佐鶴」の熱燗、美味いんですよ? でも量が量じゃないですか? しかも、5分に1回ぐらいのテンポで回していくため、当然ながら酔い潰れていきます…。終わらない争いに巻き込まれていく感覚がとにかく強烈…。

みんな「菊の花」には気をつけて!!

まとめ

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ただ柚子が好きだから訪れた高知県馬路村。決してアクセスの良い場所ではありませんが、山林に囲まれた小さな村で生き生きと暮らす村人の姿こそ、人を呼びこむコンテンツになっているなと感じました。そのきっかけは普段見慣れていた「柚子」の価値を見出したこと。

柚子の魅力を最大限に引き出し、「六次産業(生産・加工・販売)」の循環を生み出した馬路村の仕組みこそ、地方創生のヒントになりえるのではないでしょうか。少なくとも馬路村は課題解決に約30年前から着手し、自分たちの足で生きていける知恵と技術を身につけています。

自分の頭で考えて、がむしゃらに動き続ける。そこで得た失敗と成功の積み重ねの果てに「自信」が芽生える…どの仕事にも共通する大切な感覚だと思います。少しでも気になった人は、少し遠いからこそ面白い、高知県馬路村へ遊びに行ってみてください!

 

●合わせて読もう!

<広告主>

高知県東部地域博覧会推進協議会

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身の33歳。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

 

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【本音】初キッスは公園!? 青森県弘前市長とサシ飲みをしてきた

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初めての弘前街歩き

 

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こんにちは。ヨッピーです。
本日は青森県の弘前市に来ております。

何故なら「弘前市をインターネットでPRしたい」という依頼が来たからです。

そもそも大阪出身で現東京在住の僕にはあまりなじみが無い土地だし、


「え……? 青森……? リンゴ以外に何があるの……?」


なんて思わなくもなかったんですが、
担当の人から「弘前舐めんな!」みたいな感じで、どえらい勢いでまくしたてられたので渋々来るハメになりました。


弘前までは東京から飛行機とバスを乗り継いでざっと2時間半。これで本当にリンゴ以外に何もなかったら怒るぞ! と思って付近を散策してみると……

 

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弘前中央市場

 

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安すぎてウマすぎる料理

 

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殻付きウニ

 

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うますぎて変な顔になる僕

 

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同行のカメラ係、山口くんもこの顔

 

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意外にやるじゃない……

 

軽く歩いただけでこの収穫。これ、詳しい人に聞けば、もっと良いとこあるに違いない! この街に一番詳しい人…そうだ、市長に聞けばいいんじゃないか?

 

市長と本音トーク

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そんなわけで弘前市長と飲んでみることにしました。

 

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「いやー、どうもどうも!お待たせしました!」

f:id:eaidem:20160121101426p:plain「うわぁ。市長だ……! ちょっと引くわ」

f:id:eaidem:20160121101429p:plain市長ってマジで存在する生き物なんだ。マイク・ハガーしか知らなかった」


※マイク・ハガー カプコンのゲーム「ファイナルファイト」の主人公。市長

 

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葛西憲之(かさいのりゆき)

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弘前市長。1946年弘前市出身。国立函館工業高等専門学校卒業。70年青森県庁入庁、県土整備部長など歴任。2010年4月弘前市長に就任。11年秋、第6回マニフェスト大賞(首長部門)最優秀賞を受賞。

 

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「本日はよろしくお願いします。市長ともなると言っちゃマズいやつとかは当然色々あるとは思いますが、今日はその辺は深く考えずに、ざっくばらんにお答え頂ければ!」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「わかりました!」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「じゃ、とりあえずまずは……乾杯~~~~~!

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f:id:eaidem:20160121101425p:plain「市長、お酒めっちゃ強いって聞いてますけど」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「いや別にそんな大した事ないですけど、お酒は好きですね」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「普段はやっぱりこの、弘前の夜の街である鍛冶町周辺で飲むんですか?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「いや、それがこういう所で飲むと、だいたい次の日のFacebookとかブログとかで『市長が来た! 市長が酒飲んでる!』って書かれちゃうんで、あんまり調子良く無いですね。写真も撮られるし……」

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f:id:eaidem:20160121101425p:plain「まあ確かに横で市長が飲んでたら笑うもんな……。でも今日はせっかくの機会なんでね、市長にもリラックスして飲んで頂いて、むしろ僕が潰してやろうと思ってます!」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「ちなみにヨッピーさんはお酒強いんですか?」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「弱いです」

 

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この日のおつまみは弘前名物「いがめんち」
ビールに合います!

 

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f:id:eaidem:20160121101425p:plain「そもそも、なんで市長になろうと思ったんですか?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「別にね、市長になりたいなんて思ってなかったんですよ。ただ長く県庁に勤めてたおかげでまあまあ偉くなりましてね。県庁を退任してから当時の弘前市長に『副市長やってくれ』って依頼されたんですよ」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「おお。順調に出世してますね。豊臣秀吉みたい」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「ところが、副市長になったのは良いけど、当時の市長とソリが合わないんですよ。政策のことなんかで何度もぶつかって

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「ケンカしてたってこと……?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「当時の市長と話をしたけど、このままじゃいかんな、と。だから思い切って辞表出して、次の選挙に出たんです。そしたら勝っちゃった

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「じゃあつまり、市長になった理由をまとめると、『当時の市長とケンカしたから』っていう事ですね」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「そう。負けず嫌いなの」

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ここぞ、とばかりにリンゴのお酒「シードル」を勧めてくる市長。
市長が言うには、「市長はリーダーであり、セールスマンであり、広報マンである」そうだ。
他地域に特産品を売り込むのも市長の仕事なので解説はお手のもの。

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「政治家って何してても文句言われる職業じゃないですか。9割の人が賛成する政策だとしても、残りの1割からは批判されますよね。特に市長ともなると真っ先に叩かれるわけじゃないですか。嫌になったりしないんですか?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「嫌になりますよ。新しい事しようと思ってるのに、なーんでこう後ろ向きな事ばっかり言うかなぁって。他にも、まあ色々あるからね。しょっちゅう嫌になったり落ち込んだりしますよ」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「へぇ、市長になるような人でもそんな感じなんですね」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「ただ人前では出さないようにしてますね。不機嫌な市長とか落ち込んでる市長とか、そんなのが自分の街の市長だったらイヤでしょ?

その代わり、家では家内に愚痴を聞いてもらって、慰めて貰って、次の日に弁当持たされて『頑張って行っておいで』って送り出されるわけです」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「中学生みたい」

 

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ビール、シードルと続いて今度は日本酒。

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弘前には酒蔵が多いらしいが、この日のお酒「松緑」は飲みやすくてグイグイ飲んでしまうのでそろそろ危ない。

 

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ねぷたのミニチュアを自慢してくる市長。ノリノリである。

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「弘前の人はね、自分たちの住む街に誇りを持ってくれてる。それはすごく素晴らしいことですが、視野が狭くなってはいけない。だから市長に就任した時に『自分達の文化を誇るだけじゃなくて、他の優れたものにも目を向けようよ』というような話をしたんですよ」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「つまり、就任初日に『お前らあんまり調子に乗るなよ』っていう話をしたってこと?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plainそう……いやいや、どうしてそんなにカドのある言い方にさせたがるの?」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「その方が面白いかと思って……。でも、弘前の人はプライドが高いっていうのは聞いてましたよ」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「そうですね。えふりこき(見栄っ張り)、もつけ(調子乗り)、じょっぱり(頑固者)っていうのが弘前の人の特性で、見栄っ張りですぐ調子に乗って色んなものをどんどんやる。

ねぷた祭りがまさにその特性を表してる。見栄っ張りで派手で調子乗りのお祭り。でもそれを変えずにずっと受け継いで行く頑固さもあるっていう」

 

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弘前人の気質が受け継いできたねぷた祭り。

 

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だいぶデキあがってきた一行。僕の顔色がおかしい。

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「突然ですが、市長の初キッスっていつですか?

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「は、初キッス?」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「はい。初キッス」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「それは、胸の奥に秘めておくものだと思いますよ」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「そこをなんとか! そこをー! なんとかー!」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「……ま、いいか。高校生の頃だな」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「へぇぇ~。どこで知り合った人ですか?」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「当時バレーボールやってて、他の高校に試合に行ったりしててそこで知り合った人。函館の見晴公園(香雪園)ってところでね」

 

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市長の初キッスの場所。函館の見晴公園(香雪園)

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「うわ! めっちゃ綺麗な所や!」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「でしょ。何となく雰囲気がそうしなければという場所ですよ。だから函館の市長に『恋人の聖地とかでもっと見晴公園(香雪園)をアピールしろ!』って言ってんの」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「初キッスの場所を売り出そうとするな!」

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f:id:eaidem:20160121101425p:plain「ちなみに初体験はいつですか?

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「初体験はね・・・」







(以下、事情により割愛させていただきます)

 

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f:id:eaidem:20160121101430p:plain「弘前って大学が6つあって、お医者さんだって人口10万人あたり約440人居るのって全国でも有数なんですよ。つまり『都市』としての暮らしも出来るし、のんびり田舎暮らしも出来るっていう……ちょっと自慢しすぎた?

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「確かにさっきまで街を歩いてたんですが、思ったより都会ですね。でも、冬は雪がほら……

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「雪か……」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「やっぱり雪は弱点なんだ」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「まあぶっちゃけ、雪には覚悟してね、っていうのはありますね。ただ除雪に関しては先進地になろうと思っていて色々対策をしてます。地熱を利用したり、効率化したり」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「でも雪が溶けたあとの桜の季節は最高なんでしょうね。桜まつりは有名ですもんね」

 

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f:id:eaidem:20160121101430p:plain「四月の下旬くらいから桜が咲きます。お濠に桜の花びらが散ったら、そのままお濠の水を堰き止めると綺麗な桜色のじゅうたんが出来るんです。それが花筏」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「なにこれ綺麗すぎ。なんでこの時期に呼んでくれなかったんですか……」

 

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ますます元気になる市長とそろそろヤバくなってきている僕たち。

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「市長、司馬遼太郎好きですよね、たぶん」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「おお……! そうなんですよ……! 大好きなんです……!」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「ですよね。僕も大好きなんです。司馬遼太郎の本はだいたい全部読みましたよ。さっき喋ってる時に島津斉彬っていう単語が市長の口から出た時にピンと来ました」

f:id:eaidem:20160121101430p:plain「いや、良いですね。坂の上の雲とかね。いやーー、若者と司馬遼太郎の話が出来るのは嬉しいなーーー!」

f:id:eaidem:20160121101429p:plain「ぼくは司馬遼太郎の本とかあんまり読まないんでわかんないんですけど、なんでわかったんですか! 読心術?」

f:id:eaidem:20160121101425p:plain「市長くらいの年代の政治家だったら8割くらいは司馬遼太郎読んでると思うよ。ちょろいわ

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それにしても……

 

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市長、酒めっちゃ強い。
全然勝てなかった。

 

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f:id:eaidem:20160121101430p:plain「じゃあまた! 今度は自宅の庭を見に遊びに来てください!」

f:id:eaidem:20160121101425p:plainはい!」



ちなみにこの日のお会計はワリカン。
市長が出すにしても僕らが出すにしても色々と問題があるらしい。

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実はこの対談の裏で、市役所の人達がめっちゃ働いてたんです。
僕らが「市長と飲んでみたい」ってワガママ言ったせいで、こうやってたくさんの人が動くハメになったわけですね。

 

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(撮影協力:よしじん)

 

 

学生と街歩き

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市長のように偉い人の意見だけじゃなくて、ごく一般的な人々にもどんな暮らしをしているのか聞いてみたい。そんなわけで、この日は弘前大学の学生さんに市内を案内して頂く事にしました。

左が小倉さんで右が加藤さん。

「HIROSAKI MAP」という学生さん自身がお気に入りのお店を集めたフリーペーパーを発行してる「Hiromaru」という団体に所属しているので、素敵なお店探しにはもってこいだそうです!

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「案内してくれる所に風俗はある?」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「無いです」

 

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さーて、どこに案内してくれるのかなーー!
大層マニアックな、地元の人しか知らないような所に連れて行ってくれるんだろうなー!

 

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あれ。ひょっとして……?

 

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「ここが弘前中央食品市場です。新鮮な魚介類なんかをその場で食べられます」

 

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うん。知ってる。
こないだ来たからね。

 

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続いては「石田パン」というお店に連れて来て頂きました。

 

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店内はお客さんでいっぱい!
石田パンは老舗のパン屋で昔から受け継がれている津軽の味なんだそうだ。

 

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その後もオシャレな雑貨屋さんや―

 

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食器や家具などを取扱っているお店に案内してもらい―

 

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なぜかおしゃれな美容院で髪を切ったりしました。

 

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弘前ヘアー完成。シャンプーはいらないです、とお願いしたのでカットのみで3000円。
値段は割とふつう!

 

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f:id:eaidem:20160121101427p:plain「なるほどね。弘前の文化レベルが高い、っていうのはなんとなくわかった」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「そうなんです。オシャレなカフェなんかも結構多いんですよ。美容院だってたくさんあって、渋谷とかより弘前の方が多いんじゃないか、ってくらいなんです」

f:id:eaidem:20160121101427p:plainそれは流石にウソだと思う。まあでも確かに、お城もあるし、でっかい本屋さんもあるし、街もなんとなくオシャレだよね。例えばこのオブジェ」

 

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f:id:eaidem:20160121101427p:plain「この丸っこい石なんて、僕が産まれ育った大阪なら、お祭りの時に下の川に投げ捨てられるね

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「えっ。大阪ってそんな感じなんですか?」

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「君達の年代なら知らないかも知れないけど、阪神タイガースが優勝した時にカーネルサンダースの人形が道頓堀川に投げ込まれとるからね」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「大阪すごいな……」

 

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実際、弘前の学生はどんな暮らしをしてるのか、という事で、案内をしてくれた加藤さんが暮らす一戸建ての家にお邪魔してみた。
東京の学生の暮らしぶりとどれくらい違うか知るには良い機会のはず!

 

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 え。なにこれ。なんか広くない!?

 

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二階建てで7部屋あるそうです!
なーにーそーれー!

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「それで?家賃は?」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「6万3000円を三人で割るんで2万1000円ですね」

f:id:eaidem:20160121101429p:plain「安すぎ」

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「なにそれ……! 価格破壊も良いとこ」

 

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お酒が飾ってあったので思いっきり振りました。
良い暮らしをしてて腹が立つからです。

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「なるほどね。弘前で暮らすのが、雪を除けば割と快適な事はわかった。家賃も安いし。……でも大事な事を忘れてない?」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「大事な事って?」

f:id:eaidem:20160121101427p:plain夜の街はどうなのよ?」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「あー、鍛冶町っていう所が飲み屋街なので、そこにキャバクラとかもいっぱいありますよ」

f:id:eaidem:20160121101427p:plain「なるほどね。次はそっちの方の街をPRする企画、やりましょう!」

f:id:eaidem:20160121101428p:plain「やりません」

 



※この記事は弘前市のHP上で公開された内容を加筆・再編集したものです

 

ライター:ヨッピー

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「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)

 

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地元伝説コロ沢(27)

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1話〜16話(第一部)まで一気に読みたい人はこちら 

前回の地元伝説コロ沢を読む

 

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●地元伝説コロ沢とは?

とある地元の商店街の惣菜屋「コロコロコロッケ」で生まれたキャラクター。持ち前のビジネス知識とマネジメント力で、活気が失われた商店街を再生していく朝ドラ風の4コマ漫画です。

 

書いた人:小山健

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マンガ家・イラストレーター。東京都在住。雑誌・書籍・WEBなどでお仕事をしています。 http://koyamaken.com

 

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工事現場のかわいくて頼りになる"アニマルガード"って知ってる? 好きすぎて本社訪問してきた

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こんにちは、今日も元気に路上観察! 金原みわです。みなさまどうぞよろしくお願い申し上げます。

突然ですが、「アニマルガード」ってご存知でしょうか?

 

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これ!

工事現場などで区画取りや入場禁止のためのバリケードですが、街を歩いているとこんなかわいいアニマルたちに遭遇しませんか? 昔に比べて、目にする機会が大変増えた気もします。

でも、実際の正体といえば…実はあんまりよく知らないですよね。なんでいつの間にか世の中のガードがアニマルになってるの!?

どうやらこのアニマルガードの発祥は「仙台銘板」さんというところらしい。気になります。気になって気になってしょうがない!

ということで…。



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はるばる大阪から仙台へ(関空AM7:00)。

 

 

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来ちゃいました!! 仙台銘板、本社!仙台営業所さんです! うおお~~~~!!

さて工事現場の用品を扱っているということで、作業着の親方に怒鳴られたらどうしようと思っていたのですが、あらら本社は超キレイで超静か。

 

 

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スタイリッシュでバリバリ仕事ができそうな、仙台営業所長の赤坂さまが今回お話してくださります。

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「今日は大阪から来ました。よろしくお願いします」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「それはそれは遠い所から…大阪営業所もあるのに、どうしてここへ?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「わたしアニマルガードの大ファンなんです!! 全国を旅している際、見つけたら必ず写真に収めていたんです。本社へ来たのは、まあ聖地巡礼みたいなものですね!」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「はあ…なるほど…」

 

 

仙台銘板とは?

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f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「仙台銘板さんって、どういうお仕事をされているのですか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「主に建設会社さんと取引をさせていただいています。インフラ整備、お役所さんが建設会社さんへ発注された工事に関して、各工事現場さんに対し保安用品を提供させていただいているという形です」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「むむ、ちょっと難しいですね。つまり…」

 

 

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f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「こういうことですね!」

 

 

f:id:zoudazou:20160122073917j:plain

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「もともとは防災関係の銘板などを販売営業していたと聞いておりますが、創始者がレンタル事業を広めていきたいという思いがあり、保安用品のレンタルを始め、それが現在は主となっているという感じですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「なるほど…まったく知らない世界です。道路工事って、勝手に始まって勝手に終わると思っていたけど、成し遂げるためには工夫が必要ですもんね」

 

 

本題のアニマルガードの話へ

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f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「そもそも、アニマルガードはどういう経緯で発祥したのか、その歴史について教えていただけませんか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「もともと、人や車の侵入を防ぐ保安用品には、"単管バリケード”しかありませんでした。すごく簡素なもので、キャラクターもなく、ただバリケードに単管がついているだけです」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「単管バリケード…って、あんまり馴染みがない名前ですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「アニマルガードは、2006年に北海道旭川市の仕事を請けた際、行楽で旭川を訪れた方に『なんか工事ばっかりの街だったな…』というイメージだけでなく、『工事はしてたけども旭山動物園に行ったぞ!』という気分になってくれるように作られました」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「そんなエピソードがあったのですね!」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「その時に誕生したのが、サルガードです」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「来たーッ! サルガードさん!!」

 

 

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腕をバンザイしたようなポーズのサルガード。ひょうきんなその風貌は、見ているだけでなんだか笑顔になれます…。

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「ありがたいことに大変好評で、旭川発祥のサルガードは全国的に使われることになりました。そして、第2弾として作られたのがカエルガードになります」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「え、意外! 第2弾はカエルだったのですね…!」

 

 

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ウインクがまぶしいカエルガード。

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「なんというか、アニマルガードは保安用品の革命児って感じですよね。キャッチーでインパクトがあって。このアイデアって誰が考えているんですか? 開発部があるんですか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「よく聞かれるのですが、商品開発部みたいな専用の部署はありません。ある程度大きい物になると、社内でプロジェクトチームを立てることもありますが、少額の保安用品やこういった小さなアニマルガードにおいては、全国の営業所から声の

上がったものを製品化しています」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「そうなんですね。てっきり、アニマルガードの部署があるんだと思っていました!」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「全国展開しているので、各営業所はその土地土地に根付くことを目指しています。その風土にあった形を商品化し、全国でも使えそうであればサルガードやカエルガードのように広まるケースもあります。ただやはり土地土地で使うものも若干違ったりとか、市町村によって考え方が違ったりするので、いわゆるご当地物として作られることが多いですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「沖縄のシーサーガードとか、群馬のぐんまちゃんガードとかがそんな感じですかね」

 

 

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沖縄っぽさ全快のシーサーガード。

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「よくご存じですね! アニマルガード、本当に好きなんですね」

 

 

全然ゆるくない、ゆるキャラガード

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「…実は、ゆるキャラガードのはしりである”ぐんまちゃん”ガード、私も製作に携わったんですよ」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「ええ! 赤坂さん、あの”ぐんまちゃんガード”の生みの親なんですか!?」

 

 

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メットが似合ってるぐんまちゃんガード。

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「昨年の春先まで群馬県の営業所で勤務していたんですが、ゆるキャラグランプリでぐんまちゃんが優勝し群馬県内で盛り上がっているのを見て『その土地に根付いたものができないか?』と考え、当社の強みであるアニマルバリケードにすれば、もっと県内の工事現場に対して親しみをもっていただけるのでは…と思い作らせていただきました」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「ぐんまちゃんガード、保安用品界での第二次革命だと私は思ってるんです。だって、それまで単管バリケードには版権物のキャラを使ったものはなかったですよね。ぐんまちゃんガードをはじめて見たとき、アニマルガードの無限の可能性を感じました…」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「ありがとうございます。今、ゆるキャラにちなんだ商品であれば”くまモン"のバリケードもありますね。ゆるキャラではありませんが、最新作として”キティちゃんガード”なんてのも発表させていただきました」

 

 

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さすが! 仕事は選ばないぜキティちゃんガード

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「アニマルガードは進化し続けていますね、素晴らしいです。アニマルガードに関する苦労話とかってありますか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「ゆるキャラバリケードは、許可申請をいただいたうえで作るのですけれども、製品化する上で本体自体を違う形に変えてしまうのが一番やってはいけないことなんです。例えば商品のお腹の所に鉄パイプが来ると、キャラクターの体に穴があいてしまうことになるので、さらにそのデザインの許可を取らないといけません」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「かわいくて笑顔なのに、体の中心に鉄パイプが刺さってるってすごいデザインですからね…! そこがまたいいんですけど」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「版権元によっては、"絶対に傷つけてはダメ""ちょっと線が入っているのもダメ""というケースもありますね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「あはは、ゆるキャラなのに全然ゆるくないですね…!」

 

 

 

アニマルガード豆知識

▼大きさ

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f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「バリケードの規格は、ほぼ決まっています。高さ75cm×幅約45cmでちょうど、一般の男性で腰の高さくらい。単管の太さは48.6πになっています」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「テストに出そうですね、覚えておきます」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「テストはありません」

 

 

▼製造とデザイン

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「当社では製造は行っておりません。工場メーカーさんのデザイナーさんに作ってもらって、OEM契約というような形で製造してもらっています。メーカーさんがひとつなので、デザインする方もあまり変わっていないと思いますね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「確かに、作っているところがひとつのせいかアニマルガードはどれも同じ世界観ですよね!」

 

 

▼素材について

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f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「アニマルガードの素材は樹脂、いわゆるプラスチックですね。そのプラスチックの製法が少し変わっておりまして、ブロー成型という手法をつかっています。金型にプラスチックをどろどろにしたものを流し込んで、そこに空気を入れるんです。ようは風船を膨らませる感じ。アニマルガードの中は空洞になっているんですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「そういわれれば、たしかに空洞っぽい」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「プラスチックはパリパリに割れてしまうと、車がぶつかった時に飛び散って二次災害などが起きてしまいます。かといって夏の暑さでぐにゃっと倒れてしまうものでも困ります。車がぶつかって破損しても破片が飛び散らないような材料を使っているんです。また、ある程度凹凸をつけることによって、実際に強度を持たせたりもしています。あと何より、アニマルガードの目であったり顔であったりとか、いわゆるモチーフになる部分に注目していただきたいですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「目とか顔ですか?」

 

 

f:id:zoudazou:20160122074714j:plain

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「そうです。その部分にはいわゆる反射材を使用しておりまして、夜間車で走っていると反射するような製法にしているのです。使ってもらうコンセプトとして、あくまでも保安用品でありますから」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「すごい! それは気付きませんでした! 夜間に目が光るなんて、本物の動物みたいですね…!」

 

 

▼種類

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「今、実際に商品化したものは27種ですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「そんなにあるんですか…!」

 

▼商品化されたアニマルガード一覧

サル
カエル
ぞう
しか
キリン
いるか
ぐんまちゃん
コウノトリ
パンダ
シーサー
くろぶた
シロウサギ
タワーガード(スカイツリーができたときに)

キツネ
コバトン
キティちゃん
チーバくん
くまモン
水戸黄門ガード
トッキッキガード(佐渡島トキ)
しがらきガード
新幹線ガード

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plainこんなところでしょうか」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「沢山ありますね。これから全国を探すのが楽しみになりそうです。あれでも…もしかして…他社も、アニマルガードって出しているんですか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「そうですね。他社で扱っているところもありますね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「わー! …正直なところ、競合他社をどう思ってますか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「そういう商品を展開するコンセプトというのがやっぱり我々が工事現場に対して安全を提供するということになりますから、我々がすべて抱えていいという事はあってはならないと思っています。すべて受け入れることができる広い心であるわけではないんですけども…」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain(めっちゃ気にしてはる~!!!!)

 

 

アニマルガードの真の目的 

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f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「街で見かけるバリケード、あれって誰が選んでいるのですか? 工事現場の人の趣味ですか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「アニマルガードがいいというお客様もいれば、そうでないものをというお客さまもいますが、そこに関しては我々が提案していますね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「お客さまがただ借りればいいや…ということではなく、より安全に工事現場をプロデュースするにはどうすればいいかを考えて、営業させていただいています。アニマルガードに関しても、工事現場の人が使いたいかというよりかは、そのほかの第三者の目を考えていますね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「第三の目!?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「例えば工事現場の近くに幼稚園や小学校がある場合、ただ危ないから汚いから近寄ってはダメというよりかは、アニマルガードを利用することで何のために工事をやっているのかをわかってもらいやすいと考えております。事故が起こらないようにとか、あるいは地域住民の工事への理解を得るためにとか、そういった効果を期待して提案しています。実際の工事現場でも、アニマルガードを使用することで少し現場が和む…という意味合いもあるかもですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「なるほど。確かに工事現場の周りは、住宅地だったり観光地だったり。そういったところでも親しみを持てて、かつしっかり安全を確保できるわけですね」

 

 

f:id:zoudazou:20160122080439j:plain

アニマルガードは、見た目がかわいくて和めるだけじゃなく、私たちをしっかり守ってくれていたんだなあ…。

 

 

今後の展開

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「アニマルガードの今後は? 47都道府県のゆるキャラ制覇でしょうか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「各営業所の考え方によって、やっぱり地元のキャラクターだという想いがあれば商品化される可能性はあるとは思いますが、すべからくという意味ではないでしょうね。会社としてある程度の生産数と使用回数も考慮しないと、難しいものがありますから…」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「しかしながら、まだまだこれから出てくる予定です。今、設計に入っているものも沢山あります。私も今新しい開発に関わっていますよ」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「新しいのが出るんですね!…ちょっとこっそり教えてくれませんか?」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「それは秘密です」

 

 

f:id:zoudazou:20160122191155j:plain

そういって赤坂さんが見せてくれた冊子…。

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「まだ秘密なんですが…」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「これはまさか…。いやはや、これからが楽しみですね」

 

 

f:id:zoudazou:20160122075108j:plain

最後に、本社にあるアニマルガードを撮影させていただきました。沢山のアニマルガード!

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「壮観!! これは本社じゃないと見れないラインナップですよ」

 

 

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いなばのシロウサギガードと北陸新幹線ガードが並ぶ。

 

 

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パンダガードとタワーガードと鹿児島のくろぶたガードが!

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「夢のような眺めです! 私、ここへ来てさらにアニマルガードが好きになった気がします。本当にありがとうございました」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「金原さん、よかったらお土産をどうぞ」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「なんでしょう…あーーっ!! こ、これは!!」

 

 

f:id:zoudazou:20160122075315j:plain

アニマルガードストラップ!!!!

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「すご~! これって、普通のお店で売ってるんですか?」 

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「いいえ。購入できるのは、全国各地の営業所でのみですね」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「もっとヴィ〇ッジヴァ〇ガードとかで売った方がいいですよ! めちゃめちゃかわいい! できがいい!!」

 

f:id:ryo_kato:20160203160133p:plain「そうですね…でも、"安全に工事をできる環境作り"が我々のモットーだと考えております」

 

f:id:ryo_kato:20160203160123p:plain「奇抜なことをしているのに、前には出たがらないんですね…! その心意気もカッコいい! でも、アニマルガードの存在は本当に革新的な物だと思うのです。今後も、さらなるアニマルガードの発展を期待しております」

 

 

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本社巡礼で、普段は知ることができないアニマルガードの裏側を知れました。

みなさんも、街に出かけたらアニマルガードを探してみてはいかがでしょうか?  かわいいいだけじゃないアニマルガードが工事現場でがんばっている姿を見ると、きっと写真に収めたくなりますよ!

 

それではみなさま、どうぞご安全に!

都会に出たせいで地元に就職できません - 日本一「ふざけた」会社の社長がマジメに答えます(20)

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ハンドルネーム「甘味」さん からのお悩み

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シモダさん、はじめまして。パティシエを目指している者です。

「地元で就職して地域の発展に貢献したい」と考えていたので、より多くを学べる都会の大きい専門学校に進んだのですが……。

何度か現場実習のため地元に帰るたびに言われるのは、「あなたは働きぶりも申し分ないし今すぐにでも雇ってあげたい。でも来年の春からしか働けないのでは、人手不足のこの店では待っていてあげられない」と言うことです。

その店では私の代わりに、専門学校を出ていない男の子と、地元の調理師学校を出た女の子を雇いました。悔しくてしょうがないです。知識のない彼や、製菓科のない学校で妥協した彼女は働けて、「地元の為に」と都会に出て行った私は働けない。

都会に行ったことがプラスになりこそすれ、枷になるなんて思ってもいませんでした。私はどうするのが正解だったのでしょうか?

 

シモダテツヤの回答

f:id:kakijiro:20150508151115p:plain

釣りなのかしらレベルのご投稿ありがとうございます。

さて、いただいたご相談についてですが、結論から言いますと、就職するために専門学校へ通っていたのに、入りたい職場から声をかけてもらったタイミングで学校を辞めて就職するということを選べば良かったんじゃないでしょうか。

免許うんぬんは僕もよくわかりませんが、掴めるチャンスを掴めなかったのは全て自分の責任です。声をかけてくれたその職場もあなたのために慈善事業で経営をやっているわけではありません。

自分たちの生活を優先するのは当たり前で、その上であなたの勝手な都合まで聞いてる余裕がなかったというだけです。

さらに自分以外のせいにしたり、入社したお二人を嫉妬から蔑んだりするような人は成長性も知れてると思うので、少しいじわるな言い方をすればその職場の人はあなたを採らなくて正解だったと思います。

そして代替案になれば良いのですが、「地元のために」とおっしゃるのなら、「土地神さま」に就職するのはいかがでしょうか? その土地に根付き、土地の発展の為に貢献するという意味では「土地神さま」を超える存在はなかなかないと思います。

具体的に何をするのかは僕もよくわかりませんが、適度に透けてて浮いてたら「ぽさ」は出ますし、あとは時折調子に乗った人間に天罰を喰らわせてやれば部長くらいにはなれるんじゃないかと思います。頑張ってください。

 

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あなたのお悩みもお待ちしております

書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

【寒さ対策】アンダーウェアの決定版『ジオライン』を着るべき理由

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f:id:eaidem:20160201125925j:plainさっむ~~! 寒いさむいさむいさむさむさむ…何これ、寒波すげーー!

都内で気温1度って。

 

f:id:eaidem:20160201125926j:plainホッ、ホッ、ホッ、こうしてカラダを動かしてないとマジで死んじゃう!

おっ、足踏み効果でなんだか……あったかく……

 

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いや、やっぱり寒いわ!

 

こんにちは、ジモコロライターのギャラクシーです。

最近寒すぎて会社内でも震えてるんですが、そんな時に重宝するのが防寒アンダーウェア。低価格で有名なファストファッションブランドから火がついて、今や誰でも肌着として着ているアレです。が、今年は記録的な寒波。寒がりな人にとっては普通のアンダーウェアでは全然スペック不足なんです。

 

そこで僕は考えました。

 

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僕は登山が趣味で数年前からたまに山に登っているんですが、極寒の山中でも身を守ってくれる登山用のアンダーウェアなら、日常生活でも寒さを感じず過ごせるはず。

 

ただし、僕は登山時のウェアはかなり適当(古着屋で買ったジャージとか)なので、登山用のアンダーウェアなんて持っていません。

 

よし、登山ウェアの店に買いに行こう!

 

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というわけで、登山ウェアを始め、アウトドア商品全般を扱う株式会社モンベル 東京営業所にやってきました。

http://www.montbell.jp/


なお、僕にモンベルを薦めた張本人・ジモコロ編集長の柿次郎氏にも同行してもらったんですが……

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モンベルの取材に行くのにコロンビア(こちらも有名なアウトドアメーカー)の上着を来てくる無神経さにマジでビビりました。

 

登山用アンダーウェアって日常生活でも着れるの?

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f:id:eaidem:20160203110719p:plain「はじめまして! 今日はよろしくお願いします」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「モンベル広報部の金森です。こちらこそよろしくお願いします」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「最近寒すぎて一般的な冬用アンダーウェアでは間に合わなくなってまして、登山用のやつを普段着として買おうかと思ってるんですが」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「なるほど、普段着として使いたいわけですね。登山はしないんですか?」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「たまに山に登ってるんですが、アンダーウェアどころか、あまりまともな装備では登ってなくて。だからモンベルさんで買えば登山にも使えて一石二鳥かなと」

 

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f:id:eaidem:20160203110721p:plainダメの見本みたいな格好ですね。基本的に登山で綿素材はNGだから! 綿・綿・綿・デニムって、登山好きが見たら卒倒するでしょ」

f:id:eaidem:20160203110720p:plainほんとダメですよこれ。綿素材は汗に濡れると乾きにくくて、体が冷えてしまいます

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「(インタビュー開始から3分で、二人がかりで叱られるとは……)」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「それにさあ、レイヤリングとか知ってるぅ? レイヤリングっていうのは重ね着っていう意味で、体の温度を一定に保つために暑くなったら脱いで、寒くなったら着るっていう…。化学繊維の服だけで重ねないといけなくて。化学繊維のウェアの間に綿素材を挟むと意味がないんですよ」

 f:id:eaidem:20160203110719p:plain「わかったわかった、わかりましたよ! 今日は金森さんにアンダーウェアのことを聞きに来てるから、ちょっと黙っててください!」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「いやでも、せめてアンダーウェアは高機能素材のものを着たほうがいいですよ。アンダーウェアなら日常生活にも使えますから。モンベルではジオラインという素材になります」

 

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ジオライン M.W.ラウンドネックシャツ Men's

 

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「ファッションブランドが作った日常生活用のものと、登山用に作られたジオラインでは、何が違うんですか?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「ファッションブランドが作るものと登山用では用途が違うんで、ちょっと比較しにくいですが……」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「じゃあメチャクチャ単刀直入に聞きますが、ジオラインの方があったかいんですか?

 

f:id:eaidem:20160129150521j:plain

山で冷えると命に関わるんで、登山用アンダーウェアは暖かいですよ」

 

価格比較(形状や厚みによって変わります)

ジオライン=3000~5500円くらい

日常生活用防寒アンダーウェア=1000~1500円くらい

 

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「僕はジオラインを愛用してて、日常生活でも着てるんですが、そういう人って実際多いんですか?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「多いですね。登山には興味がないというスーツ姿の方や女性もよく購入していかれます」

 

f:id:eaidem:20160129150503j:plain

ショップにずらりと並ぶジオラインは男性用/女性用を用意。腹巻きやパンツもある

 

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「あ~、女性はモコモコのシルエットになるのがイヤでしょうから、一枚でも暖かい登山用の方が役立つのかも。他に日常用と登山用の違う部分ってあります?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「登山用は山の中を歩いたり岩を登ったりといった運動を前提にしてるんで、よく伸びること(ストレッチ性)や、汗臭くならないように制菌効果(抗菌より高い防臭効果)があったりしますね」

f:id:eaidem:20160203110719p:plainよく伸びる! 汗臭くならない! 日常生活でもバリバリに役立ちそうな機能だ!」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「満員電車に乗ってるサラリーマン全員に配ってほしい」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「あと、最も重要な違いと言っていいのが速乾性です。山を登ってると冬でも絶対に汗をかきますから」

 

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出典:モンベルオンラインショップ

 

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「カジュアル系アンダーウェアの1/3の時間で乾くんですね。すごい!」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「え、速乾性ってそんなに重要ですか? 少々ベタついてもガマンすればいいんじゃないかと思うんですけど。なんで? ねぇ、なんでなんで?」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「死ぬから」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「死ィィ~~~~!?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「それは言い過ぎですけど、汗で衣服が濡れることでカラダが冷えて、低体温症になって命を落とすという事故は、実際にいくつも起きてるんです。だから登山ウェアは速乾性をすごく重視してます」

低体温症

体温が生体活動の維持に必要な水準を下回ったときに生じる様々な症状の総称。濡れた衣服による気化熱など、条件次第では夏場でも発生しうる

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「じゃあファッションブランドが作ってる日常用の防寒アンダーウェアで登山しちゃうと…」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「おすすめはできませんね。もともと登山のために作られてませんから。汗が乾きにくく、身体を冷やしてしまいます」

日常生活に使える登山用アンダーウェアの特長まとめ

・山で命を守るために暖かい

・伸縮するので動きやすい

・汗臭くならない

・汗をかいてもすぐ乾く速乾性

  

ジオライン購入!他にも普段使いできる登山ウェアは?

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金森さんの話を聞いて、登山用アンダーウェアさえあれば、山でも日常生活でも快適に過ごせるという確信を得た僕。さっそくショップで購入してみよう!

 

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f:id:eaidem:20160203110719p:plain「めちゃめちゃいっぱい種類ある!!!」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「ジオラインはハイネックに丸首、Vネックから選べるほか、生地の厚さが『薄手』『中厚手』厚手』から選べます。もちろんタイツもありますよ」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「『厚手』の説明文に『極寒地での使用を想定』って書いてるゥゥ~! 日常生活で使うと暑くなりすぎないですか? るろうに剣心の志々雄みたいに身体が発火するとか」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「そこまでじゃないです。ただ『厚手』なら、真冬に外出する時でも着こむ枚数が極端に減らせるでしょうね。一般的には『中厚手』くらいが便利じゃないですかね」

 

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「よっしゃー!ジオラインゲットやー! どれどれ、ちょっと試着してみるかな」

 

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「んん~? あ! あっ、あ…!」 

 

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「あったかい……」

 

日常用防寒アンダーウェアの多くは、カラダから出る水分(蒸気)を暖かさに変える仕組みですが、ジオラインは繊維そのものが暖かい空気を溜める仕組みなので、着た瞬間からすでにほんのりあったかい。

こりゃ日常生活が捗るわーー!

 

こんなに商品があるなら他にも普段使いできそうな登山ウェアがありそう!ということで金森さんにおすすめを教えてもらいました。

 

●ジャケット

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ストームクルーザージャケット

¥18400(税抜)

防水透湿性能のあるレインウェアは雨天の時以外に着用できるものであり、概念がややこしいので、わからない人は単に「防水機能を持つジャケット」と考えてほしい。普段着として街中でも着れるように、カラーバリエーションがかなり豊富。

雨は防ぐけど内部は蒸れない。防風効果もあるので、自転車やバイクに乗る人にも人気。

 

●ダウンジャケット

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ライトアルパイン ダウンパーカ

Men's ¥16800(税抜) Women's¥16200(税抜)

モンベルには数十種類以上のダウンジャケットが存在しており、用途に合わせて選ぶことができる。この世の「ダウンジャケットが必要な用途」が数十種類もあるとは思えないが、選ぶ側としては嬉しいことである。

登山用の本格ダウンでありながら、お手頃価格なのがすごい。

 

●フリース

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シャミースジャケット

Men's ¥4,800(税抜) Women's¥4,600(税抜)

フリースも種類豊富! 薄手でインナーとして使えるものがすごく使い勝手が良さそうだった。薄いといってもフリースなのでもちろんめちゃめちゃあったかい。あとこの色すごいかわいくないですか。

 

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※こちらは柿次郎おすすめの商品である財布。登山や旅行用のセカンド財布として購入したところ、使い勝手が良すぎて現在はこれしか使っていないとのこと。762円(税抜)

 

登山好きがモンベルで働くということ

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1F(ショップ)から3Fのオフィスに上がる際、エレベーターではなく階段を使う金森さん。「さすが登山家ですね!」って言ったら、「ハア、ハア……え?」っていう反応でした。

 

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「ショップの方は、平日なのにお客さんが入ってましたね。今ってどの業界も不況だと思うんですが、アウトドア市場はどうなんでしょうか」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「堅調に伸びています。おかげさまでモンベルも順調に売上げを伸ばすことができています。店舗数も増えているし、モンベルクラブの会員数も増加して、今は60万人を超えてます

モンベルクラブ

ポイントや山小屋の割引など様々な特典が付くモンベルの会員。年会費1500円。

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「スゲェー! 60万人といえばモンテネグロ(ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置する共和制国家)の人口と同じじゃないですか。人気の理由、金森さんはどう考えてます?」

 

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f:id:eaidem:20160203110720p:plain「昔は登山というと年配の方の趣味でしたが、ショップを見ていると若い方や女性でも登山をする人が増えている。それに登山をしない方もファッションとしてウェアを見に来てくれてるのかな、とは思ってます」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「確かに今は若い人が登山をするのも当たり前ですよね。この状況って、モンベルさんが手が届く価格デザインを両立させたことで、一気に間口が広がったんじゃないかと考えてるんですが」

 f:id:eaidem:20160203110720p:plain「ありがとうございます。価格を抑える努力や、ウェアのデザインにはすごくこだわってます。会議では毎回議論を重ねていますし。機能性とデザイン性をどちらも妥協せずに着地点を見つけるのは、難しいですね」

 

f:id:eaidem:20160201143041j:plain

登山やってない人にはわかりにくいかもしれないけど、確かに普段着としてのデザイン性と登山ウェアとしての機能性のバランスが、ちょうどいい

 

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「金森さんがモンベルで働き出したというのは、やはり山が好きだったからという理由なんですか?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「そうですね。学生時代、山岳部で登山をして、国内外問わず山に登り続けました。で、どうせなら山に関わる仕事がしたいな、と」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「登山ウェアのメーカーということで、他の一般的な職種とは違う部分はあるんですか? 例えば面接の時とか」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「大学で学んできたことも大切なのですが、実際にどんなアウトドア経験をしてきたのか?ということも重視されましたね」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「(オフィス内を見回して)ここで働いてる皆さん、そういうアウトドアのエキスパートなんですか?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「そういう人が多いですね。だからみんなすごく気が合うんですよ。だって趣味も同じで仕事も同じなんですから。そんな職場ってあまりないでしょ? モンベルで働いてて良かったなと思える部分です」

 

登山初心者がやりがちなミスって?山ガールは今どうしてるの?

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「登山人口は増え続けてますが、初心者ゆえの間違った装備を身につけて登っちゃう人も多いんじゃないかと思うんですが……」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「おまえのことじゃねーか」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「少し前、山ガールという言葉が流行った頃は、若い子が一気に増えて、正直危なっかしい装備の方もいました。でもあれからすでに何年も経ってますからね」

 

f:id:eaidem:20160201173037j:plain

山ガール

2009年頃から、テレビ、雑誌、インターネットなどで話題になった「登山が好きな女子」のこと。最近の登山ブームに一役買っている存在

 

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「じゃあ今、山ガールの人たちはどうしてるんですか?」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「あの頃の山ガールは何年分も経験を積んで、中には本格的な登山に目覚めた方もいるようです長く続けてれば、若い子は憶えるのも早いし好奇心も強いし、成長速度は早いですよ」

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「昔は若い女性が軽い装備で登山をすることに賛否両論あった気がしますが、今や本格的な山に登っているというのは素敵ですね。実際、山ガールが話題になったおかげで、女性が登山をしてもおかしくないという空気ができましたよね」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「女性登山客は年々増え続けてますが、さらにもっと増えてほしいですね。山の魅力は男女に関係ないですから」

 f:id:eaidem:20160203110719p:plain「おっしゃる通りです! それに、山を登ってる時に前が女性だと、おしりを眺めながら歩けて楽しいですよね!」

 

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「それはないでしょ」

 

f:id:eaidem:20160203110721p:plain「ねーよ」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「(また二人がかりで叱られた……)そ、そうですよね、ないですよね。わかりました! 今日は色々お答えいただいてすごく勉強になりました!」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「いえいえ、こちらこそ楽しかったですよ」

f:id:eaidem:20160203110719p:plain「ジオラインは明日から会社に行くのに使わせていただきます! そして山で女性のおしりを見るのはやめときます! ありがとうございました!」

f:id:eaidem:20160203110720p:plain「ありがとうございました」

 

 

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取材の流れで購入したジオラインをすごい頻度で着ているんですが、金森さんが言っていた通り着心地は抜群。洗濯しても一瞬で乾くし、丸二日着ていてもぜんぜん臭いが気になりません。すごいぜ、ジオライン…!

 

※オススメの「ジオライン(中厚手)ラウンドネックシャツ」

※Amazon.jpでも買えます

  

ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

【貧乏】ロックバンドと漫画家の「夢」と「現実」

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誰に何と言われようと突き進み続ける、THE・ラブ人間の「恋愛至上主義」3rdアルバム「メケメケ」は現在絶賛発売中です。

 

メケメケ

メケメケ

 

 

漫画描いた人:カメントツ

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仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi

チャンス到来! 焼肉界のカリスマ「森田隼人」が人を増やしたいワケ

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こんにちは。ジモコロライターの根岸です。

ぼくは今、山手線の鶯谷駅にいます。

 

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鶯谷といえば、東東京の中心的繁華街でもある上野や、遊郭の名残を残す吉原などにもほど近い、ラブホテルと下町情緒が混在するディープなエリア

地縁があるとすれば、自分自身がこのあたりの学校に通っていたことと、周辺の地名が「根岸」であることくらいでしょうか。 「根岸」が「根岸」にやってきたなんて、皆さんにとってはどうでもいい話ですよね。本当に申し訳ありません。 

 

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「(謝るくらいなら言わなければいいのに…)それはそうと今回、ぼくがお世話になっている人気焼肉店オーナーの森田隼人さんに取材をしたくてですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「あの予約1年半待ちの焼肉店を手掛ける?」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「そうです。森田さんの仕事観やマネジメント論に前々から興味があったのと、森田さんもちょうど人を探しているらしくて。だったら一緒にやっちゃおうという一石二鳥な企画です」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「もしかして求人に繋げて、森田さんに恩返ししようとしてる?」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「そりゃ、そうでしょう! 森田さんのお店にクライアントとか仲良くなりたい人を連れていったらすごいんだから! みんな幸せになるんだから!」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain 「す、すごい気迫だ…」

 

 「肉と日本酒」を五感で楽しむ新感覚の焼肉店 

森田さんは、2.2坪の激セマ立ち飲み焼肉店「六花界(ろっかかい)」や、予約1年半待ちちの会員制焼肉店「初花一家(はつはないっか)」などを手がける六花界グループのオーナー兼シェフ。建築士やプロボクサー、モデルなどいくつもの顔を持ち、豊富な人生経験を糧に、斬新なスタイルのお店を次々と立ち上げてきました。

 

  

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六花界はこんな感じのお店。元チケットショップを改装して、2010年にオープン。知らない人と焼肉用の七輪を共有するスタイルで大人気!

 

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肉と日本酒の組み合わせを追求するストイックなスタイルが注目を集め、近年は有名シェフが名を連ねる「CHEF-1」にも参戦するなど、「肉のスペシャリスト」としてメディアにも引っ張りだこの森田さん。今回求人する「CROSSOM MORITA」は、そんな森田さんがクラウドファンディングの支援を受けて、3年間の期間限定で立ち上げた新店です。

日本各地の蔵元と共同研究した「日本酒吟醸熟成肉」や、それを店内でさらに熟成させる「ミートキープ」、プロジェクションマッピングを駆使した料理の総合演出など、従来の焼肉業界にはなかった新たなスタイルで、なんと予約はすでに1年先まで埋まっているのだとか!

 

場所は、鶯谷駅徒歩1分くらいのラブホテル街のど真ん中。いったいどんな店なの〜? というわけで、柿次郎編集長と一緒にお邪魔してきました!

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「巨大泡立て器みたいなオブジェがすごくない?」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「(まずそこ?)とりあえず、中入りましょうか」

  

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「失礼しま〜す(小声)。ねえ、編集長、カウンターの輝きがすご……って、なにこれ?」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「こん棒? ここ焼肉屋じゃなくて、武器屋だった?」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「焼肉屋です」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「そこの肉、うまいっすよー。屈斜路湖のエゾシカなんですけど、もう群抜いてますわ。これひょっとしたら、うますぎてまずいんちゃうかな。そんくらいうまいわ」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「あ、森田さんだ。今日はよろしくお願いします(うますぎてまずいって新しくない……?)」

 

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◆森田隼人(もりた・はやと)

1978年、大阪府生まれ。大学卒業後、建築関連会社に就職し25歳で設立。

店舗設計やリサイクル事業を行っていた経験を生かして、2009年7月に神田のガード下に激セマ立ち飲み焼き肉店「六花界」をオープン。メディアの取材が押し寄せる超人気店に。その後、「初花一家(はつはな)」「吟花(ぎんか)」「五色桜(ごしきざくら)」を立ち上げる。

2013年4月には著書『大繁盛の秘密教えます! 激セマ立ち飲み焼肉店「六花界」だけに人が集まる理由』(角川学芸出版)を刊行。近年は、日本酒の普及活動や、新聞へのコラム執筆、セミナー講師も行っている。プロボクサー、トレーナー、モデルとしても活躍。

 

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「著書にはお店を立ち上げるまでの経緯や森田さんの『食』にかける熱い思いが大体全部書かれているので、興味を持ったらぜひ読もう!」

 

食の「経験」を与える焼肉店

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「それにしてもでっかい冷蔵庫ですね」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「これはクラウドファンディングの支援で作らせていただいた熟成庫です。そのなかでお客様の肉を熟成させるんです。日本酒酵母を使ってじっくりと」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「おお、これが……」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「はい、日本酒吟醸熟成肉のミートキープです。うちの店ではお客様がお帰りの際に次回来店の予約を確認するのですが、ミートキープはそのとき一緒にご注文いただきます。1年間限定で、肉をボトルキープするようなものですね。この工法で仕上げた熟成肉はやわらかくて、調味料なしでもありえないほどの旨味があって……」

 

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こだわりの日本酒吟醸熟成肉

 

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「(ごくり……)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「設備もメニューも、これまで手がけてきたどの店よりも手間暇かけてつくってますよ。2階ではプロジェクションマッピングをできるようにしましてね、いろんな体験を通じて、五感で食を楽しんでもらいたいと考えているんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「五感ですか」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「そうです。たとえば、青々とした海が目の前に広がる砂浜で、心臓を赤貝に見立てて食べるとするじゃないですか」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「はい(なんだろうその状況)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「『それではみなさまご覧ください、沖縄の美しい砂浜でございます!』といって、テーブルに砂浜の映像を投影する。お皿の上にはまるで赤貝のような、生き生きとした心臓。それを砂に見立てた調味料で……」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「ほほぉ……」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「お味はいかがでしたか? それでは次に召し上がっていただくのは牛肉入りのリゾットです。チーズは入っていませんが、チーズの香りがするリゾットをご用意させていただきました」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「……(あれいつの間にか、森田ワールドに?)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「こちらをご覧ください!」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「???」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「これは溶岩をイメージして、職人に焼いてもらった特別なお皿でございます。中心のくぼみにはリゾットが入っています。そこでぼくが合図をすると、ここから火がぶわ〜〜〜〜〜っと立ち上がって……」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「!?!?!?!?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「周りが一気に溶岩の映像に切り替わるっ! そして、ビートルズの音楽が流れてきて……」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「ここ焼肉屋ですよね?」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「焼肉屋です」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「ちょっとヒートアップしてしまいました」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「大丈夫です。思考が追いつかなくなっただけです」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「言葉だけで説明するのも限界があるので、映像をご覧ください」

 

 

 

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plainす、すごーー!!室内全体がいろんなシチュエーションに切り替わるんですね! まさに食のエンターテイメントだ…」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「驚いたでしょう? ぼくは今、時代は経験を求めていると思います。だからこの店ではお客さんにこれまでに体験したことのないような経験を与えたい。そして、『食』で人を喜ばせたい。『食』ならそれができるんです 

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「最近『利他的』っていう言葉にハマってるんですけど、森田さんはそれが自然にできる人ですよね。表現者は相手に何かを差し出す意識がないといいものは作れない気がするので」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「ありがとうございます。ぼくこの店に自信があるんですよ。自分の店だけど、『こんな店あったら来てみたいわ〜』って思いますもん。そうやった。立ち話もなんですから、場所を移しましょうか」

 

「新しい風」で熱量と密度を再構築する

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「今回の取材は森田さんの仕事観をお聞きしつつ、どんな人材が欲しいのか教えてもらいたいんですが

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「うーん、人材ねえ。どんな人がいいんやろ……。今までうちで働いてくれた人たちはみんな六花界の常連さんだったから、公に求人するのは今回が初めてで」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「六花界グループで働くって、ちょっと特殊な感じしますよね。会員制というコミュニティのなかで、人との関係性もすごく濃そうだし」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「うちの店知ってくれてる人がほんまは一番話早いんやけど、それやったらうちの店でお客さんたちに声かけた方がすぐに人は見つかるだろうし、こうやって求人出す意味ないわけですよね。六花界グループって、いままで煮詰めてきたことの熱量と密度がすごいから、それを再構築していくためにも、新しい風は必要でして」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「職種は?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「一応キッチン、ホール、バーテンを募集していますが、『肉と日本酒』という新しいジャンルで、いろいろ勉強したいと思ってる人も大歓迎です。年齢も問いませんし」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「3歳のうちの息子でも?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「接客できます? それで考えたら、人生経験は大事ですね。これまでいろんな経験をしてきていて、さらに人生を遊びたい方がいいと思います。『食』は一生を費やすに値する遊びなので、それを楽しめる人かなぁ」 

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「あとは何かに特化してくれてたらいいですね。たとえばパティシエ経験者とか、料理の専門学校出てるけど、今まったく別の業界で仕事してる人とか。学んだ技術を生かせてないと感じるなら、うちでやってみたらいい。何か一歩行動したいと思ってる人やいつか海外に飛び出したい人、夢を持ってる人もいいですね。そんな人、うちに来たら人生大きく変わると思うわ〜」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「人生変えちゃう焼肉屋ってすごいなー」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「ぼくはその人のスイッチが見えれば、そのスイッチをなんぼでも押してあげるんですよ。お店を持ちたかったら、当然店も持たせてあげます。もちろん、そこから先は自分の力ですけどね」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「森田さんはたぶん、ナメック星人の最長老みたいに能力を引き出すタイプなんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「引き出されてみたいわ〜」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「優秀じゃなくていいんですよ。そもそも優秀ってなんやろって話じゃないですか? ぼくが思うに、『ごめんなさい』や『ありがとう』が言えるとか、幼稚園で教えてもらったことが普通にできる人は優秀ですよ。だから、うちではあたりまえのことがあたりまえにできて、普通に社会に出られる人なら、誰でも働けるんです」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「じゃあ、知識とか経験もそこまで?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「料理は経験じゃないですもん。やる気とセンス。あと、命を扱うんで、命の大切さを理解すること。ざらっというと、ボーイスカウトやってたようなやつらは完璧ですね。そのままいけるんちゃう? 野草の見分け方とかも大体分かってますしね」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「手旗信号もできますもんね」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「それ必要ある?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「うちにきてくれた人を首にしたことないんで、誰でもいいから一回会いたいです。あ〜ほんま、誰かに会いたいわ〜」

 

誰もが必ず通る「六花界」という道標

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「新人さんはどういう仕事から?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「まずぼくの側に1ヶ月くらいいてもらって、そのあとは六花界です。立ち飲みなんで、これをやることによって、お客さんがその人につくんですよ。六花界のお客さんってグループの全店舗にいるので、そこで仕事をすると、別店舗にもスムーズにスライドしていける」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「六花界は必ず通る道なんですね」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「はい。それを経験した後は各々の店でイベントを立ち上げたり、メニューつくったりとかもやってもらう。慣れてきたら今度は新たに六花界に入ってきた新人を教える役割も担ってもらうと」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain人材育成の循環システムが構築されてる」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「仕事も普通の飲食店に比べたら楽だと思います。六花界を除けばなにせ、ぜんぶ予約で埋まってますから。決まった時間に、決まった人数がやってくるので、それをおもてなしするだけ。お出しするメニューもお酒も決まっています。営業時間も短いので、スタッフは大体毎日準備を含めて8時間以内に仕事が終わってます

 

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スタッフとのコミュニケーションは欠かさない

 

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「残業なしとか今どき珍しいくらいのホワイトさ」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「だからこそ、そのなかでどれだけ遊びを考えていけるかが大事。そこにいるスタッフたちもみんなそんな感じで仕事をしていますよ。元々システムエンジニアだったスタッフもいるんですが、日本酒に対する舌が良かったから採用しました」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「ひとつの能力が特化していたんですね。そこの個性を軸に教育していくと」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「ですね。ほんまは教えたら授業料払ってもらいたいくらいやけど、うちは学校みたいにひとつずつ教えるんですよ。いろんなことを経験して覚えてもらって、どんどん自分を磨いてもらいたいから

 

森田式ブランディングの秘密

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「森田さんって幅広いフィールドがありますが、ブランディングを徹底しているじゃないですか。スタッフの皆さんにもそうなってほしいと思いますか?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain六花界で自分の魅せ方を学んでいく人は多いですよ。ぼくは、自分を魅せることは人間として生きてるかぎり、どんな世界にいても必要なことだと思うんで」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「(ドキッ……)」

f:id:ONCEAGAIN:20151211100330p:plain「(この人、なんでドキドキしてんだ)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「スタッフのみんなにはこれからどんな風にも転んでいけるように、自分の武器を増やしてほしいです。だって今の時代、ひとつのことしかできないんじゃだめやないですか? 最低3つくらいの武器がないと生き残れない。テレビ出てる芸能人見てても、大体そうやなって。3つやな、テトラやな〜って」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「3つ……?(まじか)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「それと、やっぱりここだけは負けへんっていうものをつくるのが大事ですよね。それを同じ業界のなかで『こいつはすごい』と思う3人に提示して認めさせればいい

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「3人?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「そう。そいつらはそれぞれすごいネットワークを持っているから、その3人にさえ認められれば、業界内外で知られた存在になれる。つまり、その他大勢を凌駕して、一気にてっぺんに近づけるわけやね」

 

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全国の酒蔵を自分の足でまわってきた森田さんこそ、業界内で知られた存在になっている

 

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「そうなんですか?」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「そうなんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「……(すごい説得力)」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「あとは、チャンスを逃さないこと。ぼくは絶対に逃さない。チャンスだと思ったらそこに向かって全力で進むから」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「そういう意味ではもしかして、この求人もチャンス?

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「チャンスもチャンス、完璧にチャンス。この店が注目されてすごい店になることは分かっていることなんで」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「予約も1年先まで埋まってますしね」

f:id:kakijiro:20160201010551p:plain「そう、1年たったらこの店、だいぶおもろいことになってるから、今この段階から『わちゃわちゃやっていこうよ!』って呼びかけたい。今ちょうどバスが止まっているところなので、それが行っちゃうまえに乗ってほしいんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20160126101051p:plain「おお、そこまで言い切れる自信は流石です。ものすごいチャンスな気がしてきました」

 

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食を通じた「遊び」を創造していく六花界グループ。そして圧倒的なカリスマで人々を魅了していく森田さん。新店オープンのこのタイミングなら、いろんなことを学びながら、いちから店をつくっていくダイナミズムも肌で感じることができるのではないでしょうか。

 

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焼肉界のカリスマ・森田さんと一緒に働きたい人は・・

 

ここから応募しよう!

六花界グループの求人情報一覧 | アルバイト・バイトの求人情報ならイーアイデム

 

チャンスしかないバスが止まってるぞー!

 

ライター:根岸達朗

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1981年生まれのフリーライター。1児の父。息子が私のことを「うんちばかもの」と呼びます。
Mail:negishi.tatsuro@gmail.com/Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗


地元伝説コロ沢(28)

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1話〜16話(第一部)まで一気に読みたい人はこちら 

前回の地元伝説コロ沢を読む

 

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●地元伝説コロ沢とは?

とある地元の商店街の惣菜屋「コロコロコロッケ」で生まれたキャラクター。持ち前のビジネス知識とマネジメント力で、活気が失われた商店街を再生していく朝ドラ風の4コマ漫画です。

 

書いた人:小山健

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マンガ家・イラストレーター。東京都在住。雑誌・書籍・WEBなどでお仕事をしています。 http://koyamaken.com

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています

めんちん?スリップ?書店バイトのワケわからん専門用語集

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こんにちは。この世のありとあらゆるアルバイトを熟知するバイト博士です。

 

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世の中には、そのバイトを経験した人しか知らない専門用語というものがあります。

例えばこの言葉、どんな業界の人がどんな時に使うか、わかりますか?

「ワンモア」

「日配」

このコーナーでは、バイト先では当たり前のように使われているけれど、一般人にはまったく意味がわからない「アルバイト専門用語」を紹介したいと思います。

※ちなみに、「ワンモア」は居酒屋などで、グラスの空いたお客さんにおかわりの注文を聞きにいくこと。「日配」はスーパーなどで毎日配送される食品(豆腐やパンなど日持ちしない食品)のこと。

 

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アルバイト用語「問い合わせ」

使い方:「『今日の新聞で紹介されてた誰かの本』っていう問い合わせがきてるけど、わかる人いる~?」

出版社もタイトルも作者名もわからないという雑な問い合わせはよくあること。少ない情報量で求めている本を導き出すには、センスと経験が必要。

また、お客さんの相手をしていると、「問い合わせ係」と思われるのか、話している真っ最中に別のお客さんから次々と問い合わせされるが、ちゃんと順番に対応するのが肝要である。

 

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今日も書店員は暗号のような問い合わせと戦っている…

 

アルバイト用語「面陳」

使い方:「1巻を面陳にして、最新巻を平積み、残りは差しで」

表紙面が前面に来るように立てかけて陳列すること。

平積みと違い、面陳は「遠くからでも目立つ」「目線の高さに近い位置でアピールできる」などの長所がある。ちなみに普通に背表紙が見えるような陳列は「差し」という。

 

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面陳は見た目が良いが、数が置けない

 

アルバイト用語「品出し」

使い方:「本が届いたから男子で品出ししといて」

入荷された本を運んで並べる作業。一冊一冊は大した重さではないのに、まとめて運ぼうとすると途端にとてつもなく重くなる。

本屋のアルバイトというとメガネをかけた華奢な美青年をイメージするかもしれないが、実際はかなりの力仕事(コツがわかれば女性でもできるようになる)

 

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書店バイトは意外と筋肉質

 

アルバイト用語「児童書売り場」

使い方:「児童書売り場がまたメチャメチャになってるから片付けてきて」

棚を完璧に整えた10秒後にはめちゃめちゃに荒らされる。座る。寝る。メリメリメリって音がするくらい本を開く、本を奪い合って泣く、など暴虐の限りを尽くされる無法地帯。

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子供だって立派なお客様ですけどね!です!けど!ね!

 

アルバイト用語「スリップ」

使い方:「スリップ切り離して出版社ごとに分けといて」

本に挟まっている細長い二つ折りの紙。折られた半分が「注文カード」、もう半分が「売上カード」になっている。本が売れたら引き抜いて切り離し、注文したり売り上げを管理したりするのに使う(といっても最近はコンピューターで管理しているお店が多い)。

ただし、「売上カード」はまとめて出版社に送ると報奨金(一枚につき5円など)がもらえる場合があるので捨ててはいけない。

 

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ISBNコードをメモっておけば、注文時に便利

 

アルバイト用語「内容確認」

使い方:「こちらのコミックを内容確認したいんですね?大丈夫ですけど、どうしてもですか?内容確認しない…という方法はないんですか?絶対ですか?」

買おうか迷っている本の中身をちょっと読んでみたい場合など、店員さんに言えばシュリンク(本を包んでいるビニールのパック)されているコミックであろうと、開けて中身を確認させてくれる。店員としては非常にめんどくさいんですけどー!という顔をしないようにものすごく表情筋を使用する。

 

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長いマンガだと何巻まで買ったか忘れちゃいますよね…

 

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いかがだったでしょうか。

 

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一般人が決して知ることはないアルバイト専門用語の世界。この世のすべての専門用語を網羅するために、あなたが知っているアルバイト専門用語があれば、私にお教えください。

 

 

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ライター:ギャラクシー

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy

【実録】フリーランスの「孤独」すぎる日常 

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はじめに

はじめまして、フリーランスでイラストや漫画を描いてるマキゾウと申します。ジモコロ編集長の柿次郎とは、「みんなのごはん」という媒体でグルメ漫画『胃弱メシ』で一緒に仕事をしていました。

 

f:id:eaidem:20160219012023p:plain「マキゾウの地味すぎる日常をエッセイ漫画で描いてみない?」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「え、私の地味な日常なんて誰も興味ないでしょ…」

f:id:eaidem:20160219012023p:plain「大丈夫! 本人はピンとこなくても、フリーランスの働き方&日常って意外と興味あるから」

 

というわけで、私がそもそもフリーランスになった経緯、そして実際になってみたら「孤独の戦いを甘くみていた…」という実体験を漫画にしてみました。

 

 

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フリーになっての悩み

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f:id:eaidem:20160219012023p:plain「マキゾウって会社に遊びに来たら、喋りたくてウズウズしてるもんね。まさか声帯が弱るほど人と話してないなんて…」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「もっと喋らせておくれよ」

 

 

引き篭もりの日々

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f:id:eaidem:20160219012023p:plain「四季がないなんてかわいそう」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「これもフリーランスあるあるなんよ」

 

 

フリーになってもたらされたもの

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f:id:eaidem:20160219012023p:plain「会社員じゃなかったら生活サイクルが崩れるのは分かるけど、部屋着はまともなの着てほしい」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「どうせ誰も見てないから」

 

 

過ぎ去りし日々

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f:id:eaidem:20160219012023p:plain「ごめん。全然理解できない」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「この気持ちが分かる人と喋りたい」

 

 

SNSと私

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f:id:eaidem:20160219012023p:plain「可視化されたSNS社会は、孤独なフリーランスにとっては猛毒なのか…」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「この漫画を描いてみて、自分がギリギリの精神状態だったんだなと気づいたよ」

f:id:eaidem:20160219012023p:plain「フリーランスの闇に触れた気がする。口直しにマキゾウの孤独なツイートを恣意的に抜粋しときます!」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「おい」

 

 

f:id:eaidem:20160219012023p:plain「お疲れ様でした」

f:id:eaidem:20160219012033p:plain「誰か孤独から救ってください」

 

 

漫画:マキゾウ

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鼻ミゾにちょっとしたこだわりをもって、イラストやマンガを描いています。絵を描く以外はたいていご飯とお金のことを考えています。早起きと脂身と臭い肉が苦手です。Twitter:@makizou_11

イケてない人ほど上京したがる気がします - 日本一「ふざけた」会社の社長がマジメに答えます(21)

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ハンドルネーム「ひっとみぃ」さん からのお悩み

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シモダさんはじめまして。

上京の話をよく取り扱ってる気がして、私も質問したいことがあります。私は中部地方の「日本一上京したがる県」に住んでいる高校二年生です。

周りの友達と進学の話をしていて分かったのですが、可愛かったりイケメンだったり目立っている人は県内にとどまって、目立たなかったり何してんのかわかんなかったり家と学校の往復ぐらいの人が上京したがってます。

物やイベントがたくさんあるから都会の方が便利で住みたいのは分かるけど、そこにいったら出会いや新しい自分に変われると思ってるんでしょうか? どこの環境にいたって良い彼氏彼女友達を見つける人は見つけるし…。

シモダさんはどんな気持ちで上京しましたか? 私の周りだけでしょうか?

 

シモダテツヤの回答

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中部地方って、あの有名な中部地方ですよね。聞いた事あります。

聞いた事はありますが、僕は冗談抜きでガチで日本地図が読めないので、あのタツノオトシゴっぽい国土のどの部分なのかはわかりません。

ちなみにわかるのは「沖縄」と「北海道」と「琵琶湖」だけで、出身地である「京都」の場所も「琵琶湖のまわりのどれか」ということしかわかりません。

でもこれからの人生の中で覚えていく気もないし、嫌いなタイプの人間は「小さいころ桃鉄やってなかったんですか?」って言ってくる人であることも変わりません。

誰もがファミコン買ってもらえる家で育ったと思うなよ! クリスマス近辺に投函されるオモチャのチラシが宝物だったわ!

 

すいません、前半で力み過ぎました。

力み過ぎて伝える必要の無いバカ情報をプレゼンテッド・バイ・テツヤしてしまってすいません。英語は難しかったのでカタカナで書きました。

というわけで僕がどんな気持ちで上京したか、ということですが、結論から言いますと「拉致」に近い状況だったので「マジかよ」という気持ち以外ありませんでした。

当時まだ学生で就職活動真っ盛りの4月。たまたま縁あって前職の「GMOペパボ」(当時はpaperboy&co.)というIT企業から「うちに来ないか」と言って頂き、その言葉を頂戴した2秒後に「来月から」と言われたのです。

4月に内定が決まったら普通、フルスイングで1年間遊べると思うじゃないですか。それが「来月から」だったので「すいません、大学もあるんで1年後じゃダメですか?」と聞いたんですけど、伝家の宝刀「そこをなんとか」が僕のアバラとアバラの隙間あたりに炸裂。

その後なにをやりとりしてもBOTのように「そこをなんとか」しか返ってこなかったので結局根負けし、関西の大学に在学しながら何故か上京して正社員として働くという社会人スタートを切ることとなりました。

なのであんまり「気合い入れて上京する!」みたいなのはなかったのですが、それ以前のダメだった自分の事を誰も知られてないので「バレずに一生誤摩化しきれるんじゃないか」という高校デビューや大学デビューみたいな感覚はあったかもしれません。

バレないっていいですよね。高校のときに友達が全然いなくて携帯で架空の友達と電話をするフリをして休憩時間を過ごしていたことなんて誰も知らないんですもの。

 

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あなたのお悩みもお待ちしております

書いた人:シモダテツヤ

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1981年京都生まれ。Webクリエイター。バーグハンバーグバーグ代表取締役社長。 代表作は「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「インド人完全無視カレー」「分かりすぎて困る! 頭の悪い人向けの保険入門」など。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』がある。Twitterアカウント→@shimoda4md

 

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【年中無休】神対応でロケ地3倍増!? たった一人で「熱海のハリウッド化」を企む最強のオジさん

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みなさん、はじめまして。『schoo WEB-campus』というオンライン動画学習サービスを運営する会社で働いている小禄(ころく)と申します。ジモコロは一読者としていつも楽しく読ませていただいています。今回、そんなスクー×ジモコロの記事を書かせていただくことになりました!

 

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突然ですが、みなさんは熱海へ行ったことありますか?

最近は某有名人の「新婚旅行はATM」発言があったり、芥川賞を受賞した『火花』の舞台にもなったりしましたが、昭和の高度経済成長期には新婚旅行ブームや会社の慰安旅行先としての人気が爆発し、その名を轟かせていた熱海…。

全盛期には、1日5000組の新婚旅行客が熱海を訪れた、なんていう話もあるくらいです。しかしながら、1990年に入りレジャーの多様化や海外旅行の大衆化などにより観光客が激減。2006年には熱海市長自ら「財政危機宣言」を出し、衰退の一途をたどっていました。

そんな熱海が今、ふたたび注目を集めています。

 

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海あり山ありグルメあり……魅力がぎっしり詰まった熱海の町並み

なぜ今、熱海なのか? そのカギを握るのが、注目の熱海PR事業であるロケ地支援プロジェクト「ADさん、いらっしゃい!」をたった一人で切り盛りされている熱海市役所の観光経済課に勤める山田久貴さん。なんと熱海のハリウッド化を企んでいるそうです。

ロケ誘致実績は、事業を始める前の2011年度(33件)と2014年度(111件)と比較して約3倍も増加!それにともなって観光客数も同年比で約20%(約50万人)増!!

 

つい最近、映画「火花」の撮影を真冬の海岸でやっていたとタクシーの運転手が言ってました。ほかにも代表作として…

 ●映画「パトレイバー 首都決戦」

 ●映画「ゴッドタン THE MOVIE2」

 ●映画「イニシエーション・ラブ」

 ●ドラマ「HERO」 

 ●ドラマ「最高の離婚」

こんなにも有名作品が並んでいます(詳しくはこちら)。実績がすごい!

 

話を聞いた人:山田久貴(やまだひさたか)さん

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熱海市生まれの熱海市育ちの生粋の熱海っ子。35歳で熱海市役所に転職。平成24年度に、「1年365日、24時間対応」のロケ支援事業「ADさんいらっしゃい」を一人で立ち上げる。その後、熱海でのロケを2年で3倍に増やすという劇的な成果を上げる。このインタビューを受ける人であり、最強の公務員。

 

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つまり、たった一人で地域活性を成功させた鉄人なんです!

すごいぜ、山田さん!! 

というわけで、各テレビの制作担当者から「神対応」と讃えられる山田さんに去る2月10日(水)、schoo WEB-campusにて公開生放送インタビューを実施。「熱海のブランド戦略」というテーマでプロジェクトを推進する際に大切にしてきたポイントや、仕事に懸ける想いなどを伺いました!

 

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スクーでの授業の様子(写真右から山田さん、小禄、大木)

「お金のためとか、自分が注目されたいからとか、そんなんじゃなくて、熱海市民のため」

そんな言葉を恥ずかしげもなく真っ直ぐな瞳で言い放つ山田さんのお話が素晴らしすぎたのと、「地方×働く」というテーマにピッタリだったので、僭越ながらジモコロ編集長の柿次郎さんにお願いして公開インタビューの一部を寄稿させていただく運びとなりました。

※記事は動画の一部書き起こしとなりますので、フルで視聴したい方は以下より閲覧ください(2016年2月29日17:00まで無料視聴可)

 

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f:id:eaidem:20160224152555p:plainインタビュアー:小禄卓也(ころくたくや)

生放送動画学習サービス『schoo WEB-campus』を運営する株式会社スクーのコンテンツディレクター。インタビューする人。マンガが好き。

f:id:eaidem:20160224152616p:plain司会進行:大木しのぶ(おおきしのぶ)

『schoo WEB-campus』の学生代表アナウンサーとして、司会進行サポートを行う。インタビューする人。静岡県出身(※ただし浜松)で、名探偵コナンとマグロが好き。

ーーーー 

 

「24時間戦えますか?」を地で行く治外法権サラリーマン

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「さっそくなんですけども、ロケ支援事業の名前が『ADさん、いらっしゃい!』なんですけども、これはやっぱりあの国民的番組から?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。これは私の感覚で、制作会社で働く方々って関西出身の方が多い印象があったんですよね。そこで、関西の制作会社さんに認知されやすいタイトルにしたいという思いと、彼らへの尊敬と親愛の情を込めてこのタイトルにしました」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「たしかに安心感ありますね」

 

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f:id:coromonta:20160224141230p:plain「この資料を見る限り、『本当に一人でやってるのか?』って疑いたくなりますけど、本当にお一人なんですよね?

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「もちろんです」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「もう少し具体的なお仕事内容を聞かせてもらってもいいですか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。主に都内にいらっしゃる制作会社の担当者さんから、『◯◯という番組のロケがしたいんですけど、△△とか□□のような場所ありますか?』という依頼が来たとします。まずはそれに対して『こことかどうですか?』と提案します。そして、候補地のロケハンに同行し、案内。ロケ地が決まったら当日も同行して、お弁当の手配やロケ地の人との折衝などの段取りを一通り担当してますね」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「おぉ、山田さんがまさにADみたいなことをされるんですね」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。いわば熱海の万年ADです」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「ほう」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「ADさんって普通は出世するとディレクターになりますけど、私はディレクターになれないADなんですよ」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「さすが生粋の熱海っ子ですね……。ちなみに、実際にどんなロケ地があるかご紹介いただけますか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain熱海市の有形文化財である起雲閣は有名ですね」

 

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f:id:coromonta:20160224141232p:plain「ここは一般の方も観覧できる施設なんですが、昭和7年に東武グループの根津嘉一郎さんが建てた熱海三大別荘の一つです。調度品をそのまま残しているので、当時の時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。有名どころではNHKの朝ドラ『花子とアン』や、SMAPの木村拓哉さん主演の『HERO』などのロケ地で使っていただきました」

 

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f:id:coromonta:20160224141232p:plain「こちらの廃校は、閉校してから約10年になる元中学校なんですけども。今までは何も使ってなかったけど、ロケ支援事業を始めた時に『もしや……』と思って制作会社さんに紹介したらかなり反響をいただきまして。この施設は24時間使えるんですけども、『パトレイバー』や『コープスパーティー』を始め、ホラー映画なんかが多く、年間10〜20作品くらいで使われています」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「ちょっとここで『ADさん、いらっしゃい!』の実績も見てみましょうか」

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f:id:coromonta:20160224141230p:plain「平成24年度から26年度にかけて、60本から110本に増えてます。2年でざっくり2倍のロケが行われていて、入湯税ベースも大体105%くらい順調に成長している。事業を始める前から計算すると単純にロケ地が3倍以上になっているそうで。これ僕の勘なんですけど、もしかして山田さん2人いませんか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「いや、いませんから」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「あ、そうですか」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「もちろんロケの大小はありますが、1つの作品や番組で大体平均5日掛かるんですよね。それが110本ということは、ざっくり550日くらい。なので、1日にロケハン2件、合間抜けてロケハン2本やったりとかしてます」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「ロケ事例を見てもかなりバラエティに富んだ番組ラインアップなんですけど、『食いしん坊バンザイ』なんかは6週連続で取り上げてもらったとか」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「最初は熱海ともう1箇所の2箇所で6週放送の予定だったんですよ。それが、私がいろんなお店を紹介していくうちに、向こうのディレクターさんが『熱海で6週分いっちゃいます!』と言ってくださって。その後さらに、『食いしん坊バンザイ』の40周年記念の特番にも出していただきました」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「ちなみに、一度に回してる案件ってどれくらいですか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain365日、常に5〜10本くらい抱えてます。1本終わると2〜3本違う企画の話をもらったりして。平成26年度に映画のロケ数が伸びたのは、確実にリピートですね。『ロケ地で困ったら熱海みたいなことになっているらしくて」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「それ、『困ったら熱海』というより『困ったら山田さん』ですよね」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「例えば、『学校のプールを明後日の深夜に使いたい』みたいな無茶振りとか」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「それも実現させるんでしょ?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「何とかします」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「山田さん、寝てますか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「寝てます」

 

「公務員の信用」と「民間企業の柔軟さ」があれば最強

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f:id:coromonta:20160224141230p:plain「そもそもロケ支援を始めようと思ったきっかけの一つが『双方の性質』ということなんですけど、これはどういうことなのでしょうか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「そもそものきっかけは、事業を始める前に一度ロケ地の紹介をしたことがあって、その時に制作会社さんがすごく気に入ってくださったんです。そこで、ひょっとしたらニーズがあるのでは……と思って始めました」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「そのニーズを見逃さなかったわけだ」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。双方の性質という言葉には、『売る側とつくる側』『精通するものと無知なもの』『時間に対する双方の認識』の3つの意味があって」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「なるほど」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「1つ目は、熱海市役所という公的な立場で市をPRする立場と、制作会社という番組作りのロケ地を探す立場の2つの出合いがうまく噛み合うなと。そして、私自身が生まれ育った熱海のことを熟知している一方で、制作会社さんは当然熱海の知識はあまりありません。そのマッチングが2つ目のポイントです」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「熱海市としては観光に来てほしい。つくる側としては効率よくロケ地を探して撮影がしたい。そのニーズを満たすポテンシャルを持ったのがロケ支援事業だと」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「そうですね。そして3つ目の『時間』について。これが、私が24時間365日働く理由に繋がるのですけど、制作会社さんは夜中でも関係なく働いていたりしますよね? この働く時間を顧客である制作会社に合わせることで、ロケ支援事業の価値を2倍も3倍も高められるんじゃないかと思ったのです」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「すごい発想…。ちなみに、一人でやってて嫌になったりしませんか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「大変だから嫌になる…とかはないですね。見え方的には制作会社さんのために動いてるんですけど、その先には『熱海市民のためになる』という気持ちがありますから」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「実際動いてるのは一人だけど、市を背負ってるというか」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「そこまでは言わないけど、常に市民の方の幸せを思っています」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「もう…公務員の鏡じゃないですか! でも確かに、生まれ育った街が衰退していくのは悲しいですもんね。というか、制作会社の人たちは山田さんのことを公務員と思ってないんじゃないですか?」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「もしくは特命係長的な何か?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「それは分かりませんけど、個人的には公務員のような信用民間企業のようなバイタリティと柔軟さ。この両方を備えていれば最強だと思ってます」

 

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今は寂れた雰囲気が漂う風俗街も、「撮影スポット」としてのニーズは高い

 

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「続いて、『一人で事業をやる理由』なんですけども」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「今まで働いてきた会社も、市役所で今の事業をやる前までも、基本的に常に組織で動くじゃないですか。◯◯会議とか◯◯チームとかが発生するんだけど、そこで侃々諤々やっても責任の所在が分からなくてね。チームリーダーがいても、彼らは複数プロジェクトを抱えていることが多いし、そんな時にプロジェクトがダメになっても、責任を取る人がいないことにいろいろ思うところがあったんですよ」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「組織でやることに対する疑念から、一人でやることを決めたと。その背景にあるのが、『顧客重視』という視点だと」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。制作会社の方って『パッと何か思いついたら午前3時だった』とか全然あるじゃないですか。普通はそんな時間じゃ電話できないし、対応もできませんよね。それを私が向こうのリズムに合わせることで電話対応もできるようになる。しかも一人でやってるから抜け漏れが一切ない。僕が寝なければいいし、休みの日も出ればいいし、乾杯していても出ればいいし」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「念のため確認しておきますけど、強制労働じゃないですよね?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「もちろんです。好きでやってます

 

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f:id:coromonta:20160224141230p:plain「なるほど、末恐ろしいですね。でも、そうすることで、組織の落とし穴や責任の所在が解消されると。一人でやればいいじゃないと」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「組織でやるのも大事なんですけど、僕がやってる事業に関しては、組織でやる必要がない。制作会社さんが決めたことに応えるだけなんで、こっちは決めなくてもいいですし」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「打ち返すだけなら一人でいい、と。一人でやる理由の2つ目として『コスト意識』とありますが、こちらはどうでしょう?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plainこの事業に掛かってるのは、基本的に僕の人件費と固定費だけなんですね。要は、年間通して数百万円くらいがコスト。自分一人の経費でどれだけスピード感を持ってやれるかは、すごく意識しています」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「市役所は公的機関ですし、お店側に金銭的な何かを提供することもないですもんね」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「そう。私が市役所の職員だからというのもあって、飲食店なり旅館なり、熱海の人たちも積極的に協力してくれるようになるんですよ。自然と案件ごとにチームができちゃったりして。きっと私が個人事業として同じようなPR事業をやっていたら、ここまで協力してくれないと思います」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「そっか。お店側としてはロケ地として誘致することが広告代わりになって、結果的に集客に繋がりますもんね」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「ちなみに、熱海以外でロケ地誘致をやってるところはあるんですか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「フィルムコミッションという団体が各地にあります。規模の違いはあれど、大体みなさん複数人でやったりとかしていますね。私はこの事業を始める時に他の事業を研究したわけじゃないんですけど、『一人でここまでやれる人はいない』とはよく言われます」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「いや、まぁそうですよね……。そもそも名前からして『フィルムコミッション』と『ADさんいらっしゃい!』だもんな。独自路線感がすごい」

f:id:coromonta:20160224141232p:plainあと、私が意識してるのは絶対に諦めないこと。例えば1つの候補地がダメでも、別の場所を必ず提案します

 

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熱海秘宝館にも有名人のサインが多数あった。何よりキャッチコピーが秀逸

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「できません、とは言わないんですね」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「それが一つの信用に繋がるかな、と。公務員としての立場上の信用に加えて、職業人としての信用ですね」

f:id:coromonta:20160224141230p:plainこれがさっきおっしゃってた『個人的には公務員のような信用と民間企業のようなバイタリティと柔軟さ』の融合ですね! もう、熱海のプロですね。山田プロ。ちなみに、山田プロがライバルと思ってる都市はありますか?」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「負けたくないというのはないんですけど、追いつけ追い越せで、京都や鎌倉といったイメージがしっかりできあがっている都市になりたいですね。同じ土俵どうこうではなく熱海にしかないもので、しかもそれが行ってみたいと思ってもらえるようなイメージを確立させたいです」

 

B級グルメやゆるキャラに頼らない地方PRの考え方

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海も山も島も温泉もグルメも文化も、城すらもある熱海は、麻雀で言うと国士無双

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「数字を見ても分かるように、現在順調にロケ地誘致の成果が出てきていると思うのですが、プロジェクト成功の鍵は何だと思いますか」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「この質問はいろんな方々から問い合わせをいただくんですけど、まず答えるのは、熱海のもつ特性です。首都に近い』『海がある』『山がある』『島がある』『温泉がある』『グルメを唸らす食がある』『温泉街としての文化がある』『別荘地が並ぶ歴史がある』という8つの魅力を兼ね備えているところは熱海以外にないんですよ」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「言われてみればたしかに……!」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「なかでも首都圏との近さは大きな要因で、制作会社さんは東京に集中しているから、関東圏のマーケットは莫大なもの。近いから時間と経費がそこまで掛からないし、ロケやった次の仕事にも新幹線でさっと1時間で帰れたりする立地の良さは大きいですね」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「おー、それはありがたい」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「しかも、熱海は昔から観光地だったから、市民の方々も自然に観光客を迎える意識がある。市民の約8割がサービス産業に従事していて、街全体がウェルカムなんですよね。これがベッドタウンだったら、いくら有名な俳優がいたって、知らない人がウロウロしてるのは気持ち悪いじゃないですか」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「なるほど。例えばこれを他の都市が熱海に倣って『ロケ支援やろうぜ』ってなっても、そううまくいくものではないんでしょうか」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「ダメかどうかはさておいても、仮に僕が熱海じゃないところにいるとしたら、その街のポテンシャルを知るところから始めますね。林業がダメだから温泉掘ってやるとか、B級グルメとかゆるキャラとか、全部がそうなったらダメで、その街のオリジナリティを探し出してそれだけを磨いていくべき」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「その地域のことを深く掘り下げていくと」

f:id:coromonta:20160224141231p:plainもともと持ってるものを活かす、ということですよね」

f:id:coromonta:20160224141232p:plain「はい。こういうことって簡単に言われるんだけど、簡単じゃないからこそ一人の人が考えてやり切ると、日本一になったりするかもしれないなと」

f:id:coromonta:20160224141231p:plain「ありがとうございます。最後に、熱海市の未来に懸ける想いを聞かせてください」

 

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f:id:coromonta:20160224141232p:plain「この授業のタイトルにも『日本のハリウッドを目指す』と書いてあるんですけど、常に街のどこかで映画やバラエティなどのロケがやっていて、それに観光客が出くわして、『熱海ってロケ多いね』と思ってもらえるような、そういう街にしたいです」

f:id:coromonta:20160224141230p:plain「たしかに、『熱海に行けばロケに出くわす』みたいな体験が熱海旅行の定番になったら楽しそうですね。山田さん、貴重なお話ありがとうございました!」

 

インタビューを終えて

収録当日も、スタジオに到着するやいなや制作会社さんと電話で話し始めるなど、24時間365日フル稼働の片鱗を垣間見せてくれた山田さん。後日熱海に遊びに行った時も、起雲閣の方や網代漁港のお姉さんが「あぁ、山田さんね。いつもADさんみたいに動きまわってますよ」と言うくらい、熱海市民にもよく知られる方でした。

いわく、「長生きしたいとか出世したいとかお金が欲しいとか定年退職後にこんな商売したいとか、そういう考えがまったくない」そうで、「とにかくいい番組、いい作品に関わりたい」「地元熱海にたくさんの人を呼びたい」というピュアな気持ちで目の前の仕事に打ち込む姿は、まさに最強の公務員と呼べるのではないでしょうか。

ちなみに、schoo WEB-campusでは、2月〜4月ごろにかけて「持続可能性の高い文化を生み出す地域プロジェクト」をテーマにした授業を不定期開講する予定です。

2月25日20時〜21時、21時15分〜22時15分には、内閣官房の地域活性化伝道師などを担当され、数多の地域プロジェクトに経営視点を注入して回っている木下斉さんを先生にお迎えし、「経営視点で考える、成功する地域プロジェクトのつくり方」という授業を行います。

ご興味のある方は、生放送授業は無料なのでぜひチェックしてみてください!


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schoo WEB-campusとは

 

※静岡には最強のオジさんがもう一人います

書いた人:小禄卓也

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生放送動画学習サービス『schoo WEB-campus』を運営する株式会社スクーのコンテンツディレクター。インタビューする人。マンガが好き。 Twitter:@coroMonta / Facebook:takuya.koroku

観光地にある「龍が剣に巻きついたキーホルダー」の魅力を聞いてくれ

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こんにちは、ARuFaです。

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突然ですが僕は現在、『浅草』に来ております。

 

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浅草といえば、言わずと知れた東京を代表する観光地

シンボルである「雷門」をはじめ、ここ浅草には様々な見所があります。

 

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例えばこちらの「花やしき」

ここは日本最古の遊園地であり、絶叫マシンや昔懐かしいメリーゴーラウンドなど、様々なアトラクションでお客さんを楽しませてくれるところです。

 

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また、浅草を代表するお寺、「浅草寺」に行って無病息災を願ってみたり、

 

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そこでおみくじを引いてみたり、

 

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記念に顔ハメをしてみてもいいかもしれませんね。

 

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…さて、そんな観光地「浅草」ですが、やはり観光地といえば欠かせないのがお土産です。

観光地のお土産といえば、その地域の名産品せんべいおまんじゅう等が鉄板とされていますが、僕にはそれらを差し置いたとしても、「絶対にこれだけは買う」というマストバイなお土産があります。

 

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それがこちらの……

 

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「ドラゴンが剣に巻き付いたキーホルダー」です

この写真を見て、「幼き日の思い出」が走馬灯のごとく脳内を駆け巡った方も少なくないのではないでしょうか。

知らない人は一切知らず、知っている人は異常なまでに反応してしまう不思議なお土産。それがこの「ドラゴンが剣に巻き付いたキーホルダー」なのです。

今回の記事では、このキーホルダーの魅力ついて熱量120%で書かせていただきたいと思います。

 

メチャクチャ種類があるし、技術がすごい

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キラキラと輝く超かっこいい剣トゲトゲのドラゴンが巻き付いた、少年達の心を羽ボウキでくすぐるようなこちらのキーホルダー。

日本各所の観光地に必ずと言っていいほど存在し、修学旅行生を次々と魅了してきたこのキーホルダーですが、その種類やデザインは日々進化しており、今や多くの派生キーホルダーが生まれています。

 

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とりあえず、浅草にある同系統のキーホルダーを一通り集めただけでも……

 

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これだけありました。

すごい種類ですよね。しかもそれだけでなく、キーホルダー自体もかなり進化しておりまして…

 

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例えばこちらの無骨で激シブな二刀の剣なのですが、こちらの剣には特殊な溝が彫り込まれており、

 

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このように二刀の剣を合体させて、いかにも攻撃力の高そうな一刀の剣にすることができるのです。さしずめスピードの二刀、パワーの一刀と言ったところでしょうか。

さらに溝の加工が非常に精密なため、合体時には剣の溝と溝がピタリとはまり、「シャキッ…」という身震いする程かっこいい金属音も聞くことができます。

 

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また、こちらのドラゴンが刻印されている、一見普通なキーホルダーも……

 

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後ろの天板を回すと、中から「シャカッ」と刃が飛び出して手裏剣に変化するというギミックが施されているのです。

これ、凄くないですか? メタリックで、ドラゴンで、手裏剣で、ギミックですよ? 料理に例えたら「ハンバーグカレー風味の唐揚げピザ」くらいのオールスター感。男の子の「好き」が凝縮されていますよね。

 

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…そして、これだけかっこいいキーホルダーであれば、その使い方もまさに無限大です。

例えば、上の写真は観光地・京都のお土産「生八つ橋」。一般的には爪楊枝を刺して食べるこの八つ橋も、このかっこいいキーホルダーを使って食べれば……

 

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このように、「選ばれし勇者しか食べることのできない八つ橋」に早変わり。

口に運んだが最後、京の都の平和を守る『ヤツハシクエスト』が幕を開け、襲い来るわらび餅や湯豆腐をバッサバッサと切り捨てる刃こぼれ知らずの旅が始まってしまうかのようですよね。

 

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また、こちらは僕が使っている自宅のカギなのですが、こんな脱出ゲームの序盤に出てきそうな寂しいカギでも、このかっこいいキーホルダーを付ければ……

 

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このように、まるで凄まじい殺気を帯びているかのように演出することも可能です。

 

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また、考えられないくらい重い上に、歩くたびに「ジャグッ…ジャグッ…」という恐ろしい音が鳴るのでカギを紛失することもありませんし……

 

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刺した鍵を回すのも格段に困難になるため、毎日のドアの開閉にありがたみを感じることもできるのです。

「カギさえ刺せばドアが開く」という甘い時代は今日でおしまい。これからのドアはカギをかけるだけでなく、命もかける時代なのです。

 

認知度がバラバラすぎる

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さて、そんな超絶かっこいいこのキーホルダーですが、世代や性別に関係なく「メチャクチャ知っている人」「全く知らない人」で二極化しています。

僕としては、てっきり全人類がこのキーホルダーの存在を知っているだろうと思っていたのですが、その認知度にはかなりバラつきがあるようなのです。

 

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…参考として会社の先輩の原宿さん(34歳)に、このキーホルダーの存在を知っているかを聞いてみましょう。

 

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f:id:Arufa:20160225082651p:plain原宿さん、これ知ってます?

 

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「…何これ、知らないけど?」

 

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ズン

…どうやら原宿さんはこのキーホルダーを知らないご様子。

しかし、ほぼ同年代である先輩、かんちさん(31歳)に聞いてみると…

 

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f:id:Arufa:20160225082651p:plainかんちさん、これ知ってます?

 

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「あー! 観光地によくあるキーホルダーでしょ!? 修学旅行の時に買ったかも! へぇ~まだあるんだこれ! 懐かしい~!」

 

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ズンッ

…と、このように、同世代でも認知の差がかなり開いてしまうのです。

さあ、そんな感じで何かと不思議な魅力の多いこのキーホルダー……果たしてその製作者はどんな方なのでしょうか?

 

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というわけで今回僕は、様々な疑問やアレコレを調査するため、制作元の会社に連絡をしてキーホルダーについて取材させてもらうことに。

 

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早速、製作会社があるという、東京は本駒込駅にやってまいりました。

完全に勢いだけで来てしまいましたが、果たして大丈夫なのでしょうか。「デカい剣で貫かれたらどうしよう」という不安を押し殺しつつ、某所にある会社へと向かいます。

 

製作者の方に話を聞く

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さあ、そんなわけでやって来たのは、「ドラゴンが剣に巻き付いたキーホルダー」を製作している株式会社コヤマさん

お話を伺うのは、社長の小山さんです。

 

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キーホルダーを製作するコヤマさんは創業から今年で58年。61歳の小山さんは「恥ずかしいよ~!」という理由で似顔絵での登場です。

それでは早速、あのスーパーかっこいいキーホルダーについて色々と伺ってみましょう。

 

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f:id:Arufa:20160225082651p:plainすみません。早速聞きたいんですけど、この「ドラゴンが剣に巻き付いたキーホルダー」正式名称って何なんですか?

f:id:Arufa:20160225082705p:plainああ、ウチのは『魔界のドラゴン夜光剣キーホルダー』ですね。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainえっ?

f:id:Arufa:20160225082705p:plain「魔界のドラゴン夜光剣キーホルダー」です。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainかっこよすぎる……

 

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f:id:Arufa:20160225082705p:plainちなみに、このキーホルダーは大体25年くらい前から売り始めてますね。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainえっ! 僕も今年で25歳なので同い年です!

f:id:Arufa:20160225082705p:plain当時は「ドラゴンクエスト」が流行ってて、全国的なドラゴンブームが起きたんです。だから当時のキーホルダー業者は、こぞって男の子の好きなとか手裏剣とかにドラゴンを這わせたんですよ。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainまさか自分が産声を上げた時に、「大ドラゴン這わせ時代」が到来しているとは……

f:id:Arufa:20160225082705p:plainこのキーホルダーを知っている方も、大体ARuFaさんくらいの20代の方が一番多い気がしますね。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainちなみにこのデザインって、やっぱり時代とともに変化してるもんなんですか?

f:id:Arufa:20160225082705p:plainいえ、ウチは初期ロットから一切変えていませんね。そうだ、着色前の見本とかもありますけど見てみます? 剣のは手元にないのですが、他のならあるので。

f:id:Arufa:20160225082651p:plain小山さん。

 

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「見ますけど?」

 

f:id:Arufa:20160225082705p:plain……? わかりました。

 

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f:id:Arufa:20160225082705p:plainこんな感じで、着色前の見本を保管してますね。これを外部の人に見せたのは初めてです。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainうおおおおおおおおお~~~~~~~!!!

 

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f:id:Arufa:20160225082705p:plainあ、これは鎖鎌ですね。

f:id:Arufa:20160225082651p:plain「これは鎖鎌ですね」って言葉、とても良いですね。

 

f:id:Arufa:20160225082703j:plain

…ちなみにそんな鎖鎌の完成形がこちら。かっこよすぎます。

デザインや構想も小山さんが描き、その後デザイナーさんに仕上げて貰うらしいので、この鎖鎌は小山さんの頭の中に存在していたことになります。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainこういうデザインのアイデアって、どうやって考えているんですか?

f:id:Arufa:20160225082705p:plain散歩中とかですかね。外を歩いているとイマジネーションが働くので。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainなるほど、散歩中に……

 

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f:id:Arufa:20160225082651p:plain面白い……

…ちなみに製造は全て"Made in Japan"とのこと。

丁寧な加工や、異常なクオリティの高さの秘密はそこだったんですね。

 

それでは最後にお願いを

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f:id:Arufa:20160225082651p:plain…あの、やっぱりこのキーホルダーって、「ドラゴン」と「剣」っていう男の子が好きそうな物を組み合わせたから人気が出たと思うんです。

f:id:Arufa:20160225082705p:plainはい。

f:id:Arufa:20160225082651p:plainだから僕も、男の子が好きそうな物を組み合わせたキーホルダーを考えてみたんですけど、良かったら最後にそれを見てもらえませんか?

f:id:Arufa:20160225082705p:plainお、いいですね。見せてください。

 

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「これなんですけど……」

 

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『鎖あげパン』です。

 

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f:id:Arufa:20160225082705p:plain??????????

f:id:Arufa:20160225082651p:plain男の子が好きな物同士を組み合わせたんですけど、売れると思います?

f:id:Arufa:20160225082705p:plainわからないですね……でも、とにかく鎖はもっと太い方がいいと思います。

f:id:Arufa:20160225082651p:plain参考にさせていただきます。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

 

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…はい、いかがでしたでしょうか。

皆さんも観光地に訪れた際は是非、ドラゴン系キーホルダーを手に取ってみてはいかがでしょうか。

そして、ドラゴンキーホルダー好きがさらに増えることを、心から願っております。

 

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それでは、僕はこの辺で失礼いたします。

さようなら。

 

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作りました。 

 

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『鎖あげパン』をプレゼント!

僕が徹夜して作った紙粘土製の『鎖あげパン』を1名様にプレゼントします。

応募方法は、記事下のツイートボタンからこの記事をTwitterにてツイート、またはこの記事のツイートをリツイートするだけ。どしどしご応募ください(マジでいらないという方には送らないので安心してください)

※鎖あげパンは紙粘土製です。きな粉部分が無限にボロボロと崩れるので保管には注意してください。
※当選者の発表は、商品の発送を持って代えさせていただきます。締切は3月7日です。

ライター:ARuFa

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株式会社バーグハンバーグバーグ所属のブロガー
車にひかれることが苦手

個人ブログ→ARuFaの日記
Twitterアカウント→@ARuFa_FARu

地元伝説コロ沢(29)

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1話〜16話(第一部)まで一気に読みたい人はこちら 

前回の地元伝説コロ沢を読む

 

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●地元伝説コロ沢とは?

とある地元の商店街の惣菜屋「コロコロコロッケ」で生まれたキャラクター。持ち前のビジネス知識とマネジメント力で、活気が失われた商店街を再生していく朝ドラ風の4コマ漫画です。

 

書いた人:小山健

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マンガ家・イラストレーター。東京都在住。雑誌・書籍・WEBなどでお仕事をしています。 http://koyamaken.com

 

ジモコロは求人情報サイト「イーアイデム」の提供でお送りしています


水たまり禁止! ギリギリ泳ぎきれる文章を読もう

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こんにちは。上田啓太というものです。

京都在住の31歳です。会社勤めはしてません。まあ、無職とライターの中間のようなアヤフヤな存在だと思ってください。「真顔日記」というブログを長年やっています。

 

 

さて、この6年ほど、私はほとんど人とも会わず、本ばかり読んでいたんですね。

私はテレビとマンガとゲームとネットで育った世代で、子供のころからビジュアルでパッと入ってくるものを大量に浴びていたから、活字というのはダルイものだったんですが、そんな自分が大量の本を読んだわけです。

もちろん最初は簡単な本から読みはじめ、徐々にむずかしいものも読むようになっていったんですが、その結果、「人はいかにして難解な長文を読むことに慣れていくのか」を自覚的に体験しました。

その過程で色々なことに気づきました。難しい文章とは何なのか、人はどんなところでつまずいてしまうのか。

この連載では、私が学習したことを書いていきたいと思います。

ということで、今回は「文章と息継ぎ」の話です。

 

文章を読むことと海にもぐること

文章を読むことは水に潜ることに似ています。それは慣れない者を溺れさせます。

だから、読み手を溺れさせないために、文章にはさまざまな「息継ぎのポイント」が設定されています。

どのようなものがあるか具体的に見てみましょう。

 

〇イラスト・画像

子供向けの小説には挿絵というものが入ってますね。子供にとっては文章を読むこと自体が大変だから、挿絵に辿りつくたびにホッとします。

ウェブの記事における「画像の挿入」も、この延長にあると思います。

〇会話文

一般的に地の文よりも会話文のほうが読みやすいため、挿絵のない本を読めるようになった子供は、次は会話文を頼りに長文を読んでいくようになるでしょう。

〇見出し

あるていどの分量ごとに見出しをつけることも、息継ぎのポイントになります。

〇改行

改行が増えるほど、息継ぎの回数も増えるため、簡単に読める文章になります。

〇句読点

もっとも小さな息継ぎの単位です。

〇見慣れた単語

いわゆる「難解な文章」には、見慣れない語句があふれています。その場合、見慣れた単語が息継ぎのポイントになります。

 

知らない言葉に出会うというのは、鼻に水が入ってくるようなもんです。次々と見慣れない単語が出てくれば、ゴボゴボと水が入ってくることになりますので、当然、溺れることになるでしょう。

 

息継ぎ不可能な文章の一例

上記の要素によって、文章の要求する「肺活量」が决まります。

自分の肺活量を大幅に超えた文章を読むと、人は「わけわかんねーよ」となります。

つまり、画像やイラストもなく、会話もなく、見出しも改行もなく、難解な語句が説明なしに次々と出てくるうえに、句読点なしでダーッと文章が続いている場合ですね。

極端な例をひとつ、でっちあげてみましょう。

 

カントからヘーゲルを経てマルクスに至る哲学の展開、それは物理学における特殊相対性理論の超観念論的錯誤の形而上学的誤謬、あるいはクリプキの議論を思い出すまでもなくポストモダンの超越論的湯豆腐と言えるだろう。しかし言語論的展開(Linguistic Turn)における湯豆腐の遡及的言論は一神教と多神教のアマルガムでしかなく、湯豆腐は湯と豆腐でできているという当然の事実すら丸山真男の眼鏡を叩き割ってモダニズムの亡霊にド・マンの徘徊は光子の観測を準備する。やはり近代の超克には、ジャック・ラカンの酔っぱらい哲学の登場を待たねばならないだろう。

 

パッと見ただけで「意味が分かりそうにない」ことは分かると思います。鼻にゴボゴボと水が入ってきたんじゃないでしょうか。

この文章自体は私が三十秒ででっちあげた完全なデタラメなので、本当に何の意味もないんですが、なにかの拍子に「その時の自分の肺活量」を大幅にこえた文章を読んでしまった場合、この文章を読んだような状態になると思われます。「意味不明すぎ!何かの呪文か!?」ってやつですね。

さて、しかしですよ。

息継ぎポイントを大量に設置すりゃあ、「読みやすくて面白い文章」になるかといえば、そうでもない。

「とにかく誰も溺れないように、徹底的に読みやすくしてみよう!」

と考えた場合、以下のような文章が生まれてしまいます。

 

息継ぎできすぎる文章の一例

 

きょうは とっても

てんきが いいから

おそとに 出てみては

どうでしょう!

 

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もしかしたら

すてきなことが

おこるかも!

 

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ところで みなさんは

湯豆腐(ゆどうふ)って

ご存知ですか?

 

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これって……

じつは……

 

お豆腐を お湯で

ゆでたものなんです!

 

 

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勉強になったかな?


(^_^)vブイッ

  

 

f:id:premier_amour:20160215001608j:plain本日のまとめ

 

湯豆腐は

お湯で豆腐を

ゆでたもの 

 

水たまりも楽しくない 

「こいつ、俺のことナメてんのかな?」となりますよね。

 

たしかに、この文章はわかりやすい。

しかし、それはもう「無内容」と同じことですね。なにひとつ学ぶところがない。この文章を読んで、「続きを読みたい」とは思わないでしょう。たぶんこいつ、次は「カレーライスって、カレーとライスでできてるんです!」とか言い出しますからね。

「とにかく簡単にすりゃあいい」という発想で書かれた文章というのは、水たまりを用意して「ここでパシャパシャ泳いでください」ということなんで、やっぱり面白くないわけです。

読み手と文章のあいだの「良い関係」というのは、「ギリギリ泳ぎきれる」関係です。

知らない言葉もけっこう出てくる。つまり鼻に水が入ることもある。それでも分かるところは分かるし、すこし頑張れば話についていける。それが「良い関係」なわけです。

そして、ギリギリで泳ぎきれる文章を読んでいるうちに、自然と肺活量も増えて、以前は意味不明だった文章も読めるようになってくる。私がそうでした。

 

ということで、この連載では、「文章を書く・読むというのはどういうことなんだろう?」「本を読むことと、ネットを見ることはどう違うんだろう?」などについて、京都でひきこもりながら考えていたことを書いていきます。

湯豆腐は二度と出てこないので安心してください。

 

 

ライター:上田啓太

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京都在住のライター。1984年生まれ。
居候生活をつづったブログ『真顔日記』も人気。
Twitterアカウント→@ueda_keita

【本好き必見】「面白いと感じたら失敗する」校正校閲の職人仕事とは?

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こんにちは、ライターの根岸達朗です。

突然ですが、皆さんは校正・校閲(こうせい・こうえつ)という仕事をご存知でしょうか?

校正ってほら、誤字脱字がないかとか、文章のまちがいを指摘したりするアレで、校閲はうーんと…… 

なんて、あやふやな知識でこの仕事を捉えてる人も多いかもしれませんが、なにを隠そう、ぼく自身がそのあたりをイマイチ理解してなくてですね…… 

 

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「ちょっとー! 開き直ってるけどいいんですか。校正・校閲がなんたるかを知ることは、ジモコロの価値を高めることにもつながるんですよ?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「そうなの? なんかすごい職人仕事だというようなことは聞いたことあるけど」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「じゃあ今回は、校正・校閲の専門会社『鴎来堂(おうらいどう)』の柳下恭平(やなした・きょうへい)さんを取材しましょう。知識の幅が広くて、話がめちゃめちゃおもしろい人なんで! 絶対ためになるやつなんで!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「へ〜校正・校閲専門の会社かぁ」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「さらに! 今回はもう一人、ぼくが以前取材させてもらって仲良くなった小林くんをカメラマンとして招集しました。小林くんは長野県奥信濃でフリーペーパー『鶴と亀』を作っていて、写真のセンスがとにかく抜群なんだからー!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226060726p:plain「こんにちは、小林です。柿次郎さんに呼ばれ、朝5時起きで長野から来ました!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「本日はジモコロの本気を示すべく、この3人で乗り込みます。ぼくたちは無教養なんだから、みんなで学んでひとつ賢くなりましょう! いいですね?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「OK……」

 

本づくりの現場に欠かせない職人集団

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文人たちに愛された小粋な花街の風情と、今どきのおしゃれなお店が共存して、独特な雰囲気を醸し出している東京・神楽坂。

周辺に出版社や印刷会社も多く、どこかアカデミックな香りも漂うこの街で、2006年に創業したのが、校正・校閲の専門会社「鴎来堂」です。

 

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http://www.ouraidou.net/


鴎来堂の仕事の9割は書籍。ここで具体的な書名は出せないものの、そのタイトルや作者の名前を聞けば多くの人が「あー知ってる!」となるような話題の作品も多く手がけています。

校正・校閲は一見地味な印象もある仕事かもしれません。しかし、柿次郎編集長が「今こそ知るべき!」と語気を強めるのには、それなりの理由がきっとあるはず!

というわけで早速、会社におじゃましました〜!

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「あ、エントランスになにげなく原稿が。その奥にあるのは辞書と……級数表?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain校正者の必須アイテムですね。僕たちの仕事を知ってもらうために展示をしているんですよ。さぁ、会社のなかをご案内しますので、どうぞこちらへ」

 

話を聞いた人:柳下恭平(やなした・きょうへい)さん

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1976年生まれ。世界を放浪したのち日本で校閲者となる。28歳で鴎来堂を立ち上げ、現場で本と向き合いつづける。会社近くの書店が閉店したのをきっかけに書店事業に参入。2014年末、神楽坂に「かもめブックス」をオープンし、店主として店に立つ。15年10月、誰もが書店を開けるようにするための流通サービス「ことりつぎ」の事業を始動。

  

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「ここは?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「編集さんと〆切の調整をしたり、ゲラ(校正用に刷られた原稿)の進行管理をしたりする営業の現場ですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「みんなとても忙しそうです」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「近所の出版社とゲラのやりとりをするので、人の出入りも多いんですよ

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「へ〜ゲラって手渡しなんだ。たしかにめちゃくちゃ大事なものですしね。じゃあ、校正・校閲者は別の部屋で仕事を?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「はい。みんな職人なので、作業に集中するための環境は別につくっているんです。これから行く部屋で作業をしているので、なかに入ったら静かな声で話しましょうね。あ、あと写真はちょっとご遠慮ください」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「この奥が作業場ですか。なんか図書館みたいな静けさ……(小声)」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「このフロアでは社内のスタッフとフリーの校正・校閲者が仕事をしています。ひとことに校正・校閲者といってもそれぞれに得意不得意の分野があるので、そのゲラを読むのにもっとも適した人をアサインするのも大切です。ちなみに今外部スタッフは120人くらいいます」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「120人! あらゆる文章に対応できるようにってことですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「それもありますが、単純にその文章と親和性の高い人が読んだ方が、まちがいを見つけやすいんですよ。たとえば地方の方言が出てくるような文章だったら、その地方出身の人に読んでもらった方が細かなニュアンスの違いにも気付けます。あとは世代差、男女差なども考慮したスタッフが必要ですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「たしかに。ドラマとかで関東出身の人に無理やり関西弁しゃべらせてるのを見ますけど、あれ関西人が見たら速攻で違和感に気付きますから。たぶんそういうことなんでしょうね」

 

校正・校閲とは何か

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「初歩的な質問で恐縮なのですが、そもそも校正と校閲って何が違うんでしょう? 意外とわからない人も多いような気がしていて」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「なるほど。ではその前にまず、一冊の本がつくられるまでの流れから簡単にご説明しましょう。著者と編集者の間で組み上げた原稿は、出版に至るまでに何度かの校正刷を重ねていくのはご存知ですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「初校とか再校とか、そういうやつですよね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「そうです。『校』という字には『くらべる』という読みがあるのですが、校正とはつまり、刷られたゲラを付き合わせて、前のバージョンで指摘したことが、今のバージョンで直ってるかを見くらべて正すこと。一見簡単そうに見えるかもしれませんが、一字一句見ていくので実はかなり根気が必要な作業なんです」 

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「じゃあ、ほかとくらべるものがない一番最初の原稿を見るときは?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plainその原稿だけを読み、客観的な視点でまちがいや疑問点を指摘します。これが校閲です

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「素人仕事ですが、赤入れってこんな感じのイメージですよね?」

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「おばあさんは大きな桃を拾って、家に持ち帰ると……」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「続きの話はしなくていいんで」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「だいたいこんな感じですけど、実際はもっと細かいですね。表記が統一されているか、ルビは合っているか、数字に間違いがないかなど、細かいところまで事実確認をしながらじっくりと読んでいきます。同時に不快表現や差別表現がないかも合わせてチェックするんですよ

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「いくつものチェックフィルターを同時に走らせながら読んでいくんですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「はい、常に頭のなかがマルチタスク状態です。ほかにも考えることはありますよ。たとえば、『山茶花』という漢字がありますが、これなんて読みますか?」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「えーと……『さざんか』でしたっけ?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「そうですね。でもこれ、昔は『さんさか』または『さんちゃか』と読まれていたこともありました」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「え、じゃあそっちが正解?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「いえ、どちらも正解です。現代では『さざんか』の読みが一般的ですが、作品によっては『さんさか』『さんちゃか』と表現した方がいい場合もあるかもしれません。どちらが正しいとも間違っているとも言えないときに、作品の世界観や読み手の感覚を踏まえて『こうした方が適切なのでは?』と、指摘するのも校閲の仕事になります」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「なるほど。それをするには、本をたくさん読んで、幅広い教養を身につけておく必要がありそうですね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「読書量は強みにはなります。ただ、それと同じくらい客観性も大切です。校正・校閲は読書ではなく、どれだけ機械のようにまちがいを見つけられるかが肝なので。ゲラを読んでおもしろく感じたらこの仕事は失敗なんですよ

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「おお、それは俯瞰する能力が職人ってことですね」

f:id:eaidem:20160227133323p:plain「僕が大好きな貴志祐介の『新世界より』でも同じことができるって言うんですか…!? あの超絶オモシロ小説でも!?」

f:id:eaidem:20160227133618p:plainええ、作品性に左右されることはありません

f:id:eaidem:20160227133323p:plain「ウソでしょ…信じられない…」

f:id:eaidem:20160227133646p:plain「急になんなんだよ」

  

愛する本のために

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「なるほど、校正・校閲の違いがちょっとわかってきたような気がします。でも、そもそもこの仕事って何のために必要なんでしょう? 大事なのはわかるけど、それを言葉で説明するのってむずかしいなぁと」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「はいはい。では、想像してもらいたいのですが、たとえば、終わってほしいような、終わってほしくないような、最高に物語が盛り上がってる場面で誤植がひとつあったらどうでしょう?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「ん……? って引っかかりますね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「ぼくは本が大好きですし、その世界に没入したくて読んでいる。それが、小さな誤植ひとつで現実に戻されたらやっぱりイヤなんです。それは作品の価値を落とすことですし、ひいては作家の価値を落とすことにもつながる。それって、実にもったいないことだと思いませんか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「たしかに、内容以前の問題かもしれませんね。そう考えると、この仕事って本への深い愛情がないとできない仕事のような気がしてきました。愛があるからたくさん本を読むのか、本を読んでいるうちに愛が芽生えてくるのかはわかりませんが」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「ああ、そういえばぼく、本をたくさん読んでいるうちに身についた変な特技がありましてね

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「え、なんすかこれ?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「片手でページがめくれるんですよ。だから電車のつり革につかまりながらとかでも普通にどんどん読めちゃいます」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「なにこの地味にすごいスキル……」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「柳下さん、身長は163cmぐらいなんですけど手足がめちゃめちゃでかいんですよ。靴のサイズは29cm。尊敬の意味を込めて『知のドワーフ』と心の中で呼んでいます」

f:id:eaidem:20160227133618p:plain「そんな風に思ってたんだ」

f:id:eaidem:20160227133323p:plain「僕は特別、手が小さいわけじゃないんですが…この差ですからね?」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「すごい。柳下さん、本を読むために生まれてきたんじゃないですか?」

f:id:eaidem:20160227133323p:plain「いやいや、鍛冶嫌いのドワーフの末裔じゃないですか?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「その議論いりますか?」

f:id:eaidem:20160227133646p:plain「愛する本を読むために肉体が進化しているとしたら、柳下さんは読者の視点に立った校正・校閲の仕事が天職なのかもしれませんね」

f:id:eaidem:20160227133618p:plain「ありがとうございます。ドワーフの疑いが晴れて良かったです」

 

校閲は現代の情報リテラシーになる

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f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「読者の視点に立って誤植をなくすというのは、紙の文章でもネットの文章でも同じように大切なことかもしれませんね。たかが誤植、されど誤植」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「それでいうと、最近はなんとなく誤植に対する視線が昔よりも厳しくなってるような気がしてるんですが、そのあたりはどうでしょう?」

 f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「それはあると思います。昔は雑誌の最後に作者の住所が書かれていたりとか、今よりもおおらかでしたよね」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「たしかに今はちょっとしたことで炎上する時代ですよね。全方位に気を張っておかないといけないっていうか」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「そうですね。でもぼくはこんな時代だからこそ、出版技術としての校閲は情報リテラシーとして再定義できると思っています」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「情報リテラシー、ですか」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「はい、情報の扱い方に対する教養みたいなものですね。読者へのフックが必要な表現の世界では、炎上を完全に防ぐことはできないと考えた方がいいと思います。ぼくらに落ち度があることだって当然あり得ます。でも、炎上が本当に怖いのは、尖った表現による炎上ではなく、不快表現であることに気付かず発信したことによる予期しない炎上なんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「ああ、思いもよらなかったところから突っ込まれるような」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「そうです。でもそれが校閲が入ることによって、特定の誰かに対しての不快表現であることに気付けたら、読者から指摘を受けても『わかっていました。でもあえてこの表現をしました』と言えるんです。ああ、そういえば、ちょっと見てもらいたい本があって」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「あーこれこれ。ぼくが好きな水木しげる先生の漫画大全集なんですが、現代では差別表現とされている言葉がたくさん出てきます。でもそれらも時代性を伝えるためには必要なことで、それをわかった上で、あえてそのままの形で今の時代に出版している。奥付に編集者がその意思を短く潔い文章で伝えているのですが、これがまた愛のある美しい文章なんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「編集者の意思」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「差別表現は校閲としては指摘すべきなのですが、作品にとってそれがどうしても譲れない表現であるなら、編集者はその指摘を殺せばいいだけの話編集者や作家という作り手にまずは気付いてもらうことも校閲の役割なんですよ」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「めちゃめちゃ重要な仕事だ!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「やっとわかったの……?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「0から1以上を生み出すのが作家だとしたら、表現と商業性のバランスを取りながら、たとえば1を100にするのが編集者です。じゃあ、僕たちの仕事とは何か。それは100を100のまま届けることなんです。決して98にはしたくない。あわよくばその作品の価値が101くらいになったら最高だなあって思いますね」

 

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 f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「いやー今日は勉強になったなあ。貴重なお話、ありがとうございます!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「ほら、ためになるやつだったでしょ」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「そうですね。んん………?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「どうしたんですか? トイレいきたいの?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「あ………あれぇ? ま、まさか……?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plainf:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plainf:id:ONCEAGAIN:20160226060726p:plain「???」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「ICレコーダーが回ってなかったぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「え………まじで? まじっすか?」

 

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f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「あっはっはっは! 今気付いてよかったじゃないですか。じゃあ、いったん休憩しましょう。これまで話したことダイジェストでもう一回話しますから」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「え、いやいや……?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「いいですよ。僕、人のミスには寛容なんです」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「ゲラのまちがいは容赦なく指摘するのに?」

f:id:ONCEAGAIN:20160226061607p:plain「だって誰かがミスをしてくれるから、僕らの仕事があるわけですもん」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055132p:plain「本当に申し訳ありません……」

f:id:ONCEAGAIN:20160226055116p:plain「小林くん、このダメな大人を写真に収めておいてください。戒めとして」

f:id:ONCEAGAIN:20160226060726p:plain「任せてください」

 

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このあと柳下さんは、ライターとして大失態を犯したぼくのために、今日話したことをダイジェストでもう一度話してくれました。

猛省……そして、本当にありがとうございました!

 

まとめ

鴎来堂では近年、企業の情報発信担当者にその技術を教える機会も増えているそうです。校正・校閲は今の時代、個人で知っておいても損はないスキルなので、皆さんも興味があれば学んでみてはいかがでしょうか?

 

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ちなみに、柳下さんがお店に立っているかもめブックスでは、今回の企画で味わい深い写真をたくさん撮ってくれた小林くんのフリーペーパー「鶴と亀」も取り扱い中。本の見せ方が個性的で、つい長居したくなる居心地の良いお店なので、気になる人はぜひ足を運んでみてくださいね。

店内のカフェで飲める柳下さんこだわりのコーヒーもおいしいよー!

 

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●かもめブックス

住所:東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル1階(地下鉄東西線「神楽坂駅」矢来口より徒歩0.5分)

電話:03-5228-5490

営業時間:月曜日~土曜日 10:00 ~ 22:00、日曜日 11:00 ~ 20:00

http://kamomebooks.jp/

 

●3月23日(水)に柳下さんのイベントが開催されます!

・鴎来堂(出版、書籍の校閲)
・ことりつぎ(取次、誰でも本屋をつくれる仕組み)
・かもめブックス(小売、神楽坂の独立系書店)
・ブックマンショー(読者、読書普及ユニット)

僕の四つの仕事を自分自身で整理をするというゼミナール。自分自身が、作るところから消費するところまで、本の全部に関わってきて、この一年で考えることが増えました。連続講座を作ることで、僕のバラバラで繋がった仕事を見つめ直すことができます。

 

ライター:根岸達朗

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1981年、東京都生まれのローカルライター。都会と田舎の多拠点生活を目指して活動中。家では息子に「うんちばかもの」と呼ばれている。
Mail:negishi.tatsuro@gmail.com/Twitter ID:@onceagain74/Facebook:根岸達朗

写真:小林 直博

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長野県奥信濃発のフリーペーパー『鶴と亀』で編集者兼フォトグラファーをやっている。1991年生まれ。ばあちゃん子。生まれ育った長野県飯山市を拠点に、奥信濃らしい生き方を目指し活動中。

 

江戸時代から続く「41世帯」縛り… 東京から一番近い離島の謎を調べてきた

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はじめに 

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。関東から一番近い離島「初島」取材に行くんですが…皆さん「初島」って知ってますか? Twitterのアンケート機能で調査したところ…

 

229名の投票で約6割の人が存在を知らない様子! 

 

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実は「初島」って関東からもっともアクセスの良い離島なんです。都内から熱海を経由して、たったの約90分で大自然を堪能できる離島に行けるのが魅力!

ざっくりポイントをまとめると…

 

 

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・都内から最速で90分で行ける

・熱海を経由して行くから二度美味しい

・フェリーで船旅気分を味わえる

・富士急行が運営するフェリーや観光施設がある(※PRポイント)

・離島の魅力をコスパ良く堪能できる

・1泊2日の旅行プランとして、ちょうどよすぎる!

 

僕も全然知らなかったんですが、どうやら何かとちょうどいい旅行プランを組むことができるそうです。今回、富士急行さんから記事広告の制作依頼があるまで気づきもしませんでした。

さらに「初島」の歴史に触れると…約2万年前に海底が隆起して現れた島で、約7000年前から人々が住んでいたとか。周囲約4km、人口243人とかなり小さい規模です。

 

Googleマップで見たら一目瞭然。小さな離島なのに、しっかり一軒ずつ情報があるし、衛星画像の生感もすごいし、「Googleマジすげー」と思わざるをえませんね…。

それが観光地として栄えている説得力にも繋がるわけですが、軽く歴史を調べてみると古くから住める世帯は41戸と定められているらしく、初島独自の文化が育まれているんでしょう。

というわけで今回は、初島の「観光視点の魅力」×「好奇心剥き出しの歴史」を調べてきたいと思います! 

 

東京→熱海は新幹線で超近い 

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はじめて熱海駅に来たんですけど、駅前に足湯があるんですね。足湯用タオルも100円で売ってるし、Wi-Fiも飛んでるし、地味に天国かもしれません。

 

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熱海駅から熱海港まではバス or タクシーで。バスは駅前ロータリーの7番「熱海港 後楽園」方面に乗ります。タクシーは1,000円ちょいで移動可能です。

 

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熱海港に着いたら、ドーンと出迎えてくれたのが富士急行が運営する高速クルーズ船「イルドバカンス プレミア」です。想像していたよりもリッチ! 

 

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初島行きの便はこんな感じ。片道約30分の航路のため、1日9便も往復しているそうです。気になるお値段は大人往復=2,400円。新幹線代(品川→熱海)と合わせても計10,580円で往復移動できます。おお、リーズナブルの神々よ…。

  

いざ、キレイな高速船で「初島」へ

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クルーズ船に乗ってみてビックリしたんですが、めちゃめちゃキレイなんですよ。もっと海の男たちが険しい表情で雑魚寝しているイメージだったんですが、たった30分の船旅を楽しんでもらいたいという富士急行さんの心意気が感じられます。

 

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地下のスペースは、海中をイメージした作りに。光の演出が楽しい天井を見上げて寝転がることもできるので、少しでも仮眠したい東京のビジネスマンにオススメです。

 

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せっかくの船旅なので、景色を楽しむのも一興。幸い天気に恵まれたため、本土の熱海がどんどん遠くなっていく様子を眺めていました。ツイート数やいいね数の喧騒から離れられる瞬間…まぁ、これも記事広告なんだけど…。

 

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今回カメラ担当として同行した同僚のまきの(彼がジモコロで書いた記事はこちら)ですが、持ち前の天然パーマで海風属性を受け止めていました。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「天然パーマのリーゼント?」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「リーゼントではありません」

 

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そして初島に到着!

品川から熱海まであっという間だったんですが、熱海から初島までも体感的には「え、もう着いたの?」という印象です。

 

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釣りを楽しんでるおじさんがたくさんいて羨ましい。どうやら貸し釣竿もあるそうです。離島のロケーションで釣りって…いきなりテンションが上がりますね。

 

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なにはともあれ、まずは腹ごしらえということで、期間限定(2/5〜3/13)で開催されている地元漁師たちが自慢の一杯を競い合う『丼合戦』に参戦! 初島の地魚や地元食材を使った丼16種類を各店舗が提供している名物です。高速クルーズ船とセットになった「丼合戦セット券」も熱海港で購入できるので忘れずにどうぞ。

 

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いかにも港の料理屋さんといった佇まいのお店が一列に並んでいて、どこにしようか迷うところですが…。

 

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「めがね丸の初島うまい丼」という名前に惹かれて速攻決めて入りました。

「うまい」って字面が入ってたら絶対うまいでしょ。ラーメン屋の『神座(かむくら)』が人気なのも「おいしいラーメン」というネーミングのおかげじゃないか?と思っているので理屈的には間違いありません。

 

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こちらが「初島うまい丼」です! うっまそー!!

 

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特製の生姜ダレをかけて食べるんですが、イカ、ねぎとろ、アジの鮮度がヤバいですね…。写真越しに伝わる透明感。SK-Ⅱで保湿でもしてんじゃないかってレベルで輝いています。

腹がペコペコだったので、豪快にかきこんでみると…

 

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美味い!!

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「地方出張に行く度に思うんだけど、魚介類って鮮度がすべてよね」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「うん。近くで獲れるかどうかだな。生姜ダレも効いてて美味すぎ」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「丼合戦って言ってるけど、使用している食材はほぼ一緒なんだから、どこで食べても美味いんじゃないかな。元も子もないけど」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「合戦終了のお知らせ」

 

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腹ごしらえをした後は、島を散策してみます。いやー、この写真だけで伝わるのか分かりませんが、いわゆる「海を見たい」という欲求を満たせる上に離島のシチュエーションじゃないですか。このちょうどよさ!しきりに「ちょうどいい〜!」という言葉が口からこぼれていきます。

 

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2月中旬の時点で河津桜が咲いていて、一足先に春の訪れを感じることができるし。

 

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富士急行が運営する施設「海泉浴 島の湯」では、絶景の海を眺めながらお風呂に入れるし。

 

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夏場は併設されたプールを楽しむことも可能。こりゃ、贅沢だわ。 

 

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さらに少し階段を上がったところにある「アジアンガーデン R.Asia」は…

 

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文字通りアジアリゾート感満載の広い公園になっていて、テーブルで休憩したり、ハンモックに揺られたりなど、リラックスした時間を過ごせそうです。いいなぁ。

スタッフの人に魅力を聞いたところ「天気の良い日は、ここに寝転がって見る星空が一番キレイなんですよ」と、とっておきの情報をGETしました!

みんなメモった!? この環境で星空を眺めてダラダラできたら最高じゃない!? 

 

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夏季限定でバーも運営しているそうです。サバーイ!!(タイ語で気持ちいいの意)

 

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さらに奥の「キャンプヴィラ」は富士急行運営の宿泊施設です。アメリカ映画を見てると一度はトレーラーハウスに泊まりたくなるものじゃないですか。

 

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冷暖房完備、大自然に囲まれた環境で宿泊できます。バーベキューセットもあるし、食材も事前に言えば用意してくれるし、友人何人かで集まったら最高じゃないでしょうか。絵が浮かぶ…。ソーシャルに写真をUPすると「リア充!」と言われるやつ…。

 

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違うエリアには「テントヴィラ」もあって、夜はこんな星空を眺めながらゆったり過ごせるってわけで…。富士急行さん運営の施設は、大関クラスの安定感がありますね。

しかし、なんでこんな天国が話題になってないのか? 近くにいたスタッフに聞いたところ「春から夏にかけて週末はすぐに予約で埋まるほどの盛況ぶりです」との回答が。なるほど。自分がただ知らなかっただけで、知る人ぞ知る人気スポットだったんですね。初島で宿泊したい人は、今のうちに予約しましょう!

 

人気すぎるアトラクション「SARUTOBI」

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そして初島の超人気アトラクション「SARUTOBI」も忘れてはいけません。

 

2月の平日に行ったのでたまたま空いていましたが、週末の連休になると朝イチで並ばないと入れないくらい人気なんだとか。一体、どんなアトラクションなのか?

 

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高いところがあまり得意ではない私に代わって、カメラ担当のまきのがチャレンジします。安全確保のために専用のハーネスを装着。これがポイントです。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「お腹痛いから、あとは頼んだ」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「今回の取材、俺の扱い悪すぎない?」

 

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初級12コース、中級7コースと大きく分けて二つあるんですが、全コースに頑丈な鉄製ロープが引かれていて、そこに装着したハーネスをガチャっと通します。スタッフに遊び方をしっかり聞いて、言うことを守っていれば怪我の心配はありません。

 

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ちなみにコースはこんな感じ。全部通して遊ぶとなると1時間ぐらいかかるようです。

 

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こんな感じでハーネスを手繰り寄せながら、猿みたいに木の上を移動する自然体験アトラクションなんですが…

 

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その高さ6〜7mと、高所恐怖症じゃなくとも少し足がすくむようなステージになっています。スタッフに「一度スタートしたら絶対に戻れません。気をつけてください」と入念に言われた意味がわかりました。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「どう? 怖いの?」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「風が強くてめちゃめちゃ揺れる〜!! 助けてくれ〜!!」

 

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ワーワーと叫びながらステージをクリアしていったんですが、思わず「ごはんですよ」のおじさんみたいな顔になる光景が目に飛び込んできました。

 

 

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わー!! ドンキーコングみたいな激ムズステージだ!!

 

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「いい加減にしてくれ〜!!」

 

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プルプルプルプル…

 

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この手のアトラクションが得意な彼でも、初級ステージを終えてこの有り様…。途中で引き戻せないという設定が絶妙なんでしょう。テレビでおなじみの「SASUKE」みたいなコースもあるようなので、この手のアトラクションが好きな人は熱海港始発のフェリーに乗って挑んでみてはいかがでしょうか。

 

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こちらの女子大生二人は、黄色い声をあげながらも初級、中級コースと難なくクリアして「楽しかったです!」と言い残して、颯爽と元々の目的であるランニング(ちょうどいいコースがある)に戻っていきました。あれ…? 人によって印象が全然違う…?

 

初島の歴史を取材してみた

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ここまでは初島のリゾート的な魅力を取り上げてきましたが、冒頭で触れた通りに小さい島ながら人口243人が普通に暮らしている土地でもあります。歴史上、41戸しか住むことを許されていないーーその理由も正直気になっていました。

 

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島の反対側はご覧のとおり、民家がやけに密集しています。いくら狭い島とはいえ、ここまでギッチギチに家が建てられてるのはなぜだろう…。

 

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そこで、たまたま道を歩いていた島在住のお婆ちゃんに声をかけてみました。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「初島の歴史について取材してるんですけど、お話聞いてもいいですか?」

f:id:eaidem:20160304152627p:plain「いいよー!」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「元気ですねぇ。この島で生まれ育ったんですか?」

f:id:eaidem:20160304152627p:plain「そうだよ。初島で生まれ育って77年。戦争もこの島で経験したからねぇ」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「島の生き字引きだ! 早速お聞きしたいんですけど、民家や民宿が密集しているのはなぜなんですか?」

f:id:eaidem:20160304152627p:plain「ああ〜。二つ理由があってね。小さい島だから海風が強いでしょう? 隣り合わせて民家を建てることで海風を防げるわけ。もちろん家によって影響は変わるんだけどね。島自体も海風を避けるために、海岸沿いに松の木を植えてるのよ〜」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「なるほど! 松の木がやけに多いのはそのためだったんだ」

 

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f:id:eaidem:20160304152627p:plain「もう一つはね、そもそも水道やガスがこのあたりまでしか引かれていないのよ。だから密集してるの」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「めちゃめちゃ分かりやすい理由ですね。古くから41戸しか住んではいけない理由も、ライフラインの問題なんでしょうか」

f:id:eaidem:20160304152627p:plain「そうそう。ここは半農半漁の島なんだけど、耕作地も家を建てる土地も限られているでしょう。水源も少ないし。だから増やそうにも増やせないのよ。といっても島の高齢化が進んでいて、今では住む人も減って30世帯ぐらいしかいなくてね…」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「ここでも過疎化の流れが…。家は長男が継いで、次男、三男は島外へ出るわけですよね。初島に移り住むことって可能なんですか?」

f:id:eaidem:20160304152627p:plainお嫁に来てくれたらいいのよ〜!私の家でよければ大歓迎よ? あっはっはは〜!」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「深刻そうなのに明るい〜! ここの土地の人は外から来た人に対して、すごく優しいですよね。観光業が中心だからなのかなぁ」

f:id:eaidem:20160304152627p:plain「それはそうよ。島外からお客さんが来てくれないと私たちの生活は成り立たないもの。GWや夏休みシーズンは島内に人が溢れかえっちゃうくらいで。住んでる私たちも楽しいし、お客さんも魅力があるから集まってくれるんじゃないかしらねぇ」

 

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気さくに初島の歴史や土地の成り立ちを教えてくれたやえこ婆ちゃん。「坂道は後ろ歩きがラクなのよ」って言いながら、マイケル・ジャクソンばりのムーンウォークを見せてくれました。ポゥ!

 

アポなしで初島区長に話を聞いてみた

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島の全体像を掴みつつあったものの、島民の方々が口を揃えて「詳しいことは初島漁業組合に聞いた方がいい」と言うのでアポなしで訪れてみました。大丈夫かな…。

 

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と思ったら、たまたま居合わせた初島区の区長であり、初島漁業協同組合の組合長でもある新藤康晴さん(一番偉い人!)にお話を聞くことができました。運が良すぎる!

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「突然お尋ねしてすみません。初島の取材をしているんですが、より正確な情報を知りたくて来ちゃいました」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「いえいえ、私でよければお答えしますよ」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「今日は熱海港から富士急行さんの高速船で初島に来て、島内を散歩してきたのですが、富士急行さんとのお付き合いはどれくらいなのでしょうか?」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「富士急行さんとは1964年からのお付き合いなんですが、当時は熱帯植物園、ゴーカート、プールぐらいしかなくてバブル崩壊後に伸び悩んでいたんです。そこで富士急行さんと一緒にアイデアを出し合って、2006年に全面リニューアルしました。トレーラーヴィラやキャンプヴィラ、そしてSARUTOBIの人気もあいまって、GWや夏休みは特に大盛況となっていますね」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「そんな昔からやってたんですね。島のお婆ちゃんが夏休みは人であふれかえるくらいだと言ってましたが、過剰な観光需要は良い面と悪い面がありませんか?」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「うーん。大型連休に人が集中するのは少し問題ですね。GWはこの狭い島に1日3,000人来ることもあるので、サービス側の対応が追いつきません。改善しようにも、41人の地権者によって初島は成り立っている背景もあり、土地の流動性が生まれない。つまりこれ以上お店を増やすことができないんです」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「へえー、そうだったんですね。お店が増えないということは新たな雇用も生みにくい…。都心からのアクセスの良さで需要は高まっていても、そもそも対応できないというのは初島ならではの悩みかもしれませんね」

 

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f:id:eaidem:20160229011637p:plain「さらに難しいのが、初島の文化が絶妙なバランスで成り立っていることです。41戸という括りも高齢化や後継者不足で、実稼働は30戸まで落ち込んでいます。普通の村と違って規模が小さいため、働き手が1人減っただけでも大きな影響を受ける…」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「地方創生問題の縮図みたいですね」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「そうなんです。なんとか一致団結してこの問題に取り組むべく、『土地は売らない』『境界を厳しくする』『人気(道徳)を悪くしてはならない』という島に伝わる三原則を強く働きかけているところですが…同時に外の価値観を入れないと後がなくなるのも事実です。しかし、一人の影響が大きすぎて失敗が許されない。仲が良くとも悪くとも島は家族である…その想いが島を維持してきた側面もあって、一歩踏み出せないのが正直なところなんです」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「もし全然島の風土に合わない人が入ってきて、島内の結束が崩れるのは避けたいわけですね。うーん。これまで地方の問題を取材してきましたが、離島の問題はまた特別な事情が絡んでくるんだなぁ」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「我々だけの力だけではどうしようもない部分があるので、それこそ富士急行さんのような大企業と一緒に取り組んでいけるといいんですが(笑)。まずは島内唯一の学校の対応でしょうか。小・中学校合わせて5人しか生徒がいないんです」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「高齢化と少子化のダブルコンボ! 現在空いてる10戸近くの民家を有効活用しつつ、島の文化を受け継いでいけるといいですね」

f:id:eaidem:20160229011637p:plain「我々が島で生活をすること自体が文化の存続になるわけですし、だからこそ島の魅力が出るのは間違いないので。観光需要に応えつつ、島内の問題にもしっかり対応していきたいと思います

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「貴重なお話ありがとうございました!」

 

取材を終えて「熱海シーサイド SPA&RESORT」へ

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今回、富士急行さんの依頼で一切知識のない「初島」を訪れたわけですが、元々備わっている観光的な魅力に大きな気づきがありました。都内からのアクセスの良さ、初島 or 熱海のどちらに宿泊しても満喫できる利便性。もし取材をしていなければ「熱海の先に何かがある」という選択肢が生まれなかったんじゃないかと思います。

さらにインターネットで調べても出てこない初島の歴史に触れることができて、「これだから地方取材はやめられないぜ! 掘れば掘るほどおもしろい!」と少年漫画の主人公的な感慨に浸ることができました。41戸縛りの離島ならではの風土…好奇心前提で触れるとおもしろいとしか言いようがありません。

 

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というわけで、この記事を読んだ上で初島&熱海をセットで訪れてみてください。1泊2日で「ちょうどいい旅」ができるはずです。初島の週末は混雑が予想されるので、そんなときは富士急行さんの運営ホテル「熱海シーサイド・スパ&リゾート」に泊まってみてはいかがでしょうか。

 

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全室オーシャンビューだし、源泉掛け流しの天然温泉もあるし、ご飯は美味いし、それで1泊2日で8,000円〜と旅に必要なモノが全部揃ってます。

 

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いやー、ちょうどよかった…。

 

 

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書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身の33歳。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

熱海を満喫するために必要な「秘宝館」「熱海城」「トリックアート迷宮館」の魅力

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こんにちは、ジモコロ編集長の柿次郎です。

後ろに写っているのは、熱海のキレイな海とカオスな様相を呈している建造物ですね。昭和のバブル期に多くの日本人を癒やした熱海も、時代の流れと共に変わってきています。

 

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東日本大震災直後は観光客が激減したそうですが、2016年時点では外国人旅行客を含めて多くの人で賑わっています。特に連休のゴールデンウィークや夏休み、年末年始は世代を問わず熱海に押し寄せていて、「まさかこんなに混んでるなんて…」とトホホな状況になることも…熱海の人気は普遍的!

 

その人気を生んだひとつに「熱海のハリウッド化」を目指す熱海市役所 観光経済課に勤める山田久貴さんの尽力があったり…

 

熱海港からたった25分で行ける離島「初島」のちょうどいい魅力もあったり…ジモコロの取材を通して、熱海のポテンシャルに驚かされるばかりです。どうせ熱海をプッシュするなら、と。旅行プランに組み込むだけでグッと満足度が上がる3つの観光スポットを紹介させていただきます!

 

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秘宝館!

 

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熱海城!

 

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熱海トリックアート迷宮館!

 

この3つの観光スポットは一連の流れでまわることができるし、極限までハードルを下げた状態で入ってみると、めちゃめちゃ楽しめることが判明しました。ぜひ熱海を訪れた際は、騙されたと思って行ってみてください。

以下、ざっくりとしたレポートです!

 

若者が押し寄せる「秘宝館」

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漠然としたイメージしかない「秘宝館」だったんですが、実は山の上にあってロープウェイを使わないといけません。全然知らなかった…。

 

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ロープウェイ乗り場の一階は、昭和レトロすぎてタイムスリップしたような感覚になれるゲーム筐体が並んでいます。

 

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ちなみにロープウェイと秘宝館入場券はセットです。往復乗車券付きで1,800円。

 

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上がってくると売店や休憩所、そして「愛錠絵馬」という恋愛スポットが目に飛び込んできます。

 

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いやー、微笑ましいですね。毎年年末にかかっている絵馬はすべてお焚き上げするそうなんですが、取材をした2月時点でかなりの量が結ばれていました。これ、かなり儲かってるんじゃないでしょうか。

 

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「こちとら恋愛どころじゃねーよ」「不景気で仕事がやばいんだよ」という方は、こちらの「祈願堂」で不景気をぶっ飛ばしてみてはいかがでしょうか。いちいちシュールで良いですね。

 

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秘宝館のコピーも秀逸!

 

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で、肝心の秘宝館のレポートなんですが…実は「写真撮影禁止、模写禁止」という徹底した情報統制が行われているんです。そこで同行した同僚のまきのと印象トークだけお届けしようと思います。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「いやー、想像以上におもしろかったね。日本唯一の秘宝館として生き残った意味が分かった。基本的にレトロでチープなんだけど、時代背景的にバカバカしさが上回ってくるというか」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「写真撮影禁止、模写禁止も納得。あと若い女の子がグループで遊びに来てるのが意外だった」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「うんうん。SNS全盛期のこの時代、写真レポートで満足することって往々にしてあるからね。その点で秘宝館は『現地に行かないと何も分からない』し、『行った人は友だちに教えたくなる』設計になっていてすごい」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「ほんとそれ。リアル脱出ゲームみたいに現地での体験を大事にしてるから、ネット上の消費に流されない強さがある」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「何十年も前からこの視点に気づいてるってヤバくない? あと、売店のおばちゃんに聞いたんだけど、運営元が後楽園ホールや東京ドームをやってる株式会社東京ドーム(正確には関連会社の株式会社アタミロープウェイ)らしいよ」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「意外すぎる」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「観光客が絶えないこともあって、いまだに施設のアップデートを繰り返してるとも言ってた。入り口の人魚は最新のモノで、白蛇神社も近々リニューアル予定だとか」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「いつの間にそんな情報仕入れてたのよ」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「恐るべし秘宝館…。熱海を訪れたら絶対行くべきスポットだと思う。ジモコロが自信をもってオススメします!」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「おっさん二人じゃなくて、女の子と行った方が絶対楽しいね」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「間違いない」

 

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入り口にはゴールデンボンバーのサインが。この商魂たくましい熱海秘宝館には、これから老朽化を迎える観光地にとって大事なヒントがありそうです。いやー、過度な競争の中で最後のひとつになるまで生き残ることってビジネスの極意なのかもしれませんね。

 

●公式サイト

http://www.atami-hihoukan.jp/

住所=静岡県熱海市和田浜南町8-15

電話番号=0557-83-5572

営業時間=9時30分〜17時30分

入館料=ロープウエイ往復(セット券) 1,800円

 

 

実は日本で一番新しい城「熱海城」

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次は秘宝館の後、歩いて行ける距離にある「熱海城」へ。そもそも熱海に城があるなんて知らないですし、聞いたら1959年に鉄筋コンクリート造で建てられた日本で一番新しいお城だそうです。

 

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入場料900円を支払って城に入ってみると、なぜか1階にはマジで貴重な歴史的資料が飾られてあったり…

 

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海抜120mのジェット足湯という謎な癒やしスポットがあったり…

 

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ゴッドハンドの異名を持つおじさんがいる「米つぶ人形の店 一風堂」も入ってます。なにがすごいのかって言うと…

 

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写真では伝わりづらいかもしれませんが、米一粒に数十文字の漢字を筆で書いているんです。話せば長くなるというか、このお店を取材するだけで記事1本作れるぐらいの情報量だったので今回は割愛します。気になる人はぜひ寄ってみてください。

 

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海抜160mの天守閣展望台に上れば、Googleで「熱海」画像検索したら真っ先に出てきそうな眺望を拝めます。この景色を楽しむだけでも熱海城に入る価値がありそうです。

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「ほかにもいろいろあったけど、良い意味で統一感がなかったね」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「米粒に字を書くおじさんが気になって仕方がなかったけど、クイズコーナーがあったり、マッチ棒で作った城が大量に展示してあったり…好きなもの詰め込んでる感がすごかった」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「施設内の展示は好みがあると思うけど、ジェット足湯もあるし、展望台は天気が良ければ最高だし、なんだかんだで楽しめたなぁ」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「一度バブル全盛期を通った観光スポットって、今だからこそおもしろいのかもしれない」

 

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熱海城に併設された「海の見える喫茶&レストラン」では、地味に美味いそばで腹ごしらえできます。秘宝館の後、もしくは帰り際に寄ってみてはいかがでしょうか。

 

●公式サイト

http://www.atamijyo.com/

住所=静岡県熱海市曽我山1993

電話番号=0557-81-6206

営業時間=9時〜17時(年中無休)

駐車場代=500円(100台まで可)

入館料=大人900円、小中学生450円

 

リニューアルしたばかりの熱海トリックアート迷宮館

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わー!タコに襲われるー!!

 

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北極の氷の割れ目に落ちて、後ろの白熊に殺されるー!!

 

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巨人に襲われるー!!

 

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仕返しだー!!

 

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「…みたいなオモシロ風写真が撮れるトリックアート迷宮館でした」

f:id:eaidem:20160307024045p:plain「うん。おじさん二人でも正直楽しめたね」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「実はここ熱海城の派生的なスポットで、2014年にリニューアルしたばかり。あちこちにトリックアートってあるけど、最新なだけあって工夫が施されていて満足度高い!」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「Instagramが流行ってるから、こういったオモシロ風写真が撮れるのは若者にウケるだろうね。実際、男女3人ずつの大学生グループと同じタイミングで入ったけど、気が狂いそうなほど傍目に見ていて楽しそうだった」

f:id:eaidem:20160228191403p:plain「俺たちにあんな青春はなかったからね」

f:id:eaidem:20160228191414p:plain「熱海城とのセット券を買えば合計1,500円(通常900円×2=1,800円)になるからお得です」

 

●公式サイト

http://atami-trickart.com/index.html

営業時間=9時〜17時(年中無休)

入館料=大人900円、小中学生450円

 

熱海を訪れて改めて感じたこと

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旅行先として熱海を思い浮かべる瞬間…それは「1泊2日で楽しみたい」「遠出するのが面倒だから」など、アクセスの良さに起因した理由が多いのではないでしょうか。実際、今回の取材で熱海を訪れるまで僕は正直ナメていました。

いざ面白いものを探す目線で熱海をウロウロしていると、「ただ近いだけの温泉宿」「寂れた昭和の観光地」といったこれまでのイメージは払拭されて、バブル期を通った熱海のポテンシャルは2016年になってより一層際立つ存在だと認識を改めた次第です。

 

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だって、画一的な開発が進む地方都市が増える中で、熱海の文化は圧倒的な「個性」そのものじゃないですか。メシは美味いし、温泉の泉質は間違いないし、ところどころ廃墟になってる町並みすら愛することができます。なんだろう、この感覚は…。もっと熱海に滞在したかった…。

 

ちなみに昨年末には熱海にもゲストハウス「guest house MARUYA」がオープンしています。最近泊まった友人いわく「3600円〜で泊まれるし、300円の朝食は向かいの干物屋で売ってる魚を焼いて食べるシステムで最高だった」とのこと。新しい文化も育まれつつあるようです。

いやー、少しでも熱海の魅力が伝わりましたでしょうか? 僕自身が触れた熱海の文化はほんの一部に過ぎなくて、視点次第でまだまだ面白い「場所」「お店」があるはずです。冒頭で伝えた通り「ハードルを下げた状態」で熱海を訪れて、自分なりの楽しみ方を見つけてみてください。それでは!

 

書いた人:徳谷 柿次郎

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ジモコロ編集長。大阪出身の33歳。バーグハンバーグバーグではメディア事業部長という役職でお茶汲みをしている。趣味は「日本語ラップ」「漫画」「プロレス」「コーヒー」「登山」など。顎関節症、胃弱、痔持ちと食のシルクロードが地獄に陥っている。 Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916

今さら聞けない「シェアリングエコノミー」の歴史と可能性

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「ローカル」と「テクノロジー」に詳しいライターのモリジュンヤが、年間約350本をこなす取材で得た知識や経験を1つのテーマに絞って毎月お届けするコラムです。コレを読めば少し頭が良くなること間違いナシ!


 

戦後、モノがなく、経済が右肩上がりに成長していた時代では、モノを所有することが豊かさの証だった。時代ともに、経済成長は鈍化。モノがあふれるようになり、次第に人々は「所有」ではなく、「利用」を優先するようになってきた。

所有物を常に利用していることは稀だ。「使いたいときにだけ使えたらいい」「共同で所有したほうが安くすむ」そんなことを考え始めた人たちが現れ、いろいろなものを「シェア」し始めた。

 

f:id:kakijiro:20151215160218j:plain「こんにちは。2ヶ月半ぶりのモリジュンヤです。覚えてますか?」

 

「所有」より「利用」を優先

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たとえば、自動車。1987年のスイスに、自動車を共同で所有し、使いたいときに利用し始める人たちが現れた。これが「カーシェアリング」の始まりだと言われている。自動車のような価格の高い商品であっても、共同でお金を出しあうことができれば、一人あたりの負担は2分の1、3分の1になっていく。

住宅も同様だ。近年、フジテレビでドラマ「テラスハウス 」が放送されたことなどもあって、認知度が向上した「シェアハウス」。少しでも生活コストを安くしたい若者にとって、月々の家賃は大きな負担となる。その負担を下げるため、家をシェアする若者が増加した。

コストを抑えるためにシェアする、という考え方では「シェアオフィス」もイメージしやすいかもしれない。お金を出しあい、共同で所有することで、単独ではできないことが可能になる。

 

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だが、「おすそわけ」という言葉が存在していたり、醤油の貸し借りが行われていたりと、昔から日本社会には、モノを「共有」する文化が存在していた。「シェア」というだけなら、それほど新しいことではないようにも感じられる。

異なる点を見出すとするなら、企業が介入するようになったことではないだろうか。カーシェアリングにおいては、国内で2002年にオリックスカーシェア、2005年にタイムズカーシェアなどがスタート。シェアハウスでは、グローバルエージェンツが運営する「ソーシャルアパートメント」のような多人数が暮らす共有ラウンジ付きというスタイルが生まれた。

シェアオフィスの領域においては、2003年「co-lab」という約250坪、約50人が入居するワーキングスペースが六本木に誕生。各領域において、企業がビジネスとしてシェアサービスを提供し始めたことで、シェアはカルチャーからビジネスへと変化を始めた。

 

f:id:kakijiro:20151215160218j:plain「今回、やけにカタカナが多いので気をつけて読んでください」

 

インターネットがシェアの広まりを後押し

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渋谷で先駆けてコワーキングスペース「co-ba(コーバ)」を展開するツクルバ

ジモコロのインタビュー記事「前編」「後編

シェアのエコノミー化を後押ししたもう一方の要因が、インターネットだ。「何かを共有したい」「自分のいらなくなったものを誰かにもらってもらいたい」と考えたとしても、相手が見つからなければ共有もできない。

簡単に広く情報を届けることができるインターネットは、シェアする相手を見つけるのに役立った。たとえば、旅人と宿泊地提供者をマッチングさせ、旅人にソファーを貸し出すサービス「カウチサーフィン」が広まり、地域掲示板サービス「クレイグスリスト」ではいらなくなったものを掲載し、近所の人に譲る例も頻繁に見られた。

こうした流れはスマートフォンの登場と普及により、さらに加速する。 

パソコンを一人一台持つのは稀だった。だが、スマートフォンはほぼ一人一台所持している。個人が、いつでも、どこでもインターネットに接続するようになったことで、格段にマッチングしやすくなった。 

必要に応じてサービスが提供される「オンデマンド」と、個人と個人をつなげる「peer-to-peer(ピアツーピア)」。インターネットで浸透するこの2つの考え方が、リアルな世界にも流出したことで、様々なシェアリングサービスが登場した。

 

今日では、スマートフォンから配車依頼、決済まで可能なオンデマンド配車サービス「Uber」や、空いた部屋を貸し出せる「Airbnb」といったサービスたちが大きく成長。日本においても、登録した自家用車をシェアできる「Anyca」や、空きスペースを駐車場として貸し出すことができる「あきっぱ」など、シェアするためのサービスが数多く登場し、日々存在感を増している。

近年ではこうしたムーブメントを指した「シェアリングエコノミー」という単語が登場している。

 

拡大する「シェア」の対象

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シェアリングエコノミーの対象となる範囲は広く、大きくは「Product-service systems(個人所有のモノのシェア)」、「Redistribution markets(再利用・交換)」、「Collaborative lifestyles(時間や場所など共通のニーズを活用したシェア)」の三つにまとめられる。

上記の捉え方に当てはめれば、テレビCMも放映されているフリマアプリ「メルカリ」なども、シェアリングサービスといえる。メルカリの月間の流通額は数十億円と言われ、販売された商品のうち約20%は1時間以内に買い手が見つかるなど、マッチングまでの時間も短い。

 

シェアの対象となるのは、モノに限らない。ワンコインで自分のスキルや知識を提供する「ココナラ」のようなサービスや、専門家が短い時間で自分の専門性を販売する「ピザスク」のようなサービス、家事を手伝ってくれる人を探す「Any+times」といったサービスも登場しており、スキルや知識、時間もシェアの対象となっている。

 

広がる個人の可能性

様々なサービスが普及してきたことで、これまでは換金が困難だったモノやコトが、お金に変えられるようになってきた。それに伴い、人々の所有や利用に対する捉え方も変化してきている。「シェアリングエコノミー」という新たな経済の登場は、個人による小商いの可能性を広げてくれるだろう。

個人でお金を稼ぎやすい環境になったとしたら、人の「働く」に対する価値観も変化するはずだ。少なくとも、「働く=会社に勤める」ではなくなっていくだろう。働くことに対する価値観が多様になることで、人々はこれまで以上に自由なライフスタイルを選びやすくなる。

そして、シェアの広がりは人々に「共有可能なもの」と「共有不可能なもの」について考えるきっかけをもたらす。人とは共有できない本当に大事なものとは、自分にとってなんなのか。人が、自分にとって大事なものを認識して暮らせるということは、経済的な価値以上に社会に豊かさをもたらす、と信じたい。

 

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※前回のローカルワーク論を読む

 

ライター:モリジュンヤ

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ジャーナリスト、編集デザインファーム「inquire」代表。1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。横浜国立大学経済学部卒業後、『greenz.jp』編集部を経て独立。『THE BRIDGE』『マチノコト』『IDENTITY名古屋』『soar』など複数のメディア運営に携わる。テクノロジー、イノベーション、起業、都市、地域などについて幅広く取材・執筆活動を行っている。Twitter ID:@JUNYAmori

イラスト:室木おすし

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イラストレーター。イラスト・マンガ・GIFアニメ等を使用して活動中。オモコロライターとしても活動。特技「たべっ子どうぶつ盲牌」がフジテレビの番組「ジマング」で取り上げられて、そのことをたまに思い出してはニヤけている。お仕事常に募集中!お気軽に! 公式サイト:スシックスタジオ(http://www.susics.com)/ Twitter ID:@susics2011

 

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