こんにちは、ライターの松岡です。
最近、在宅勤務の機会が増えたのでコーヒーメーカーを買ってみました。
siroca コーン式全自動コーヒーメーカー SC-C122 ステンレスシルバー [コーン式ミル/ステンレスサーバー/ステンレスフィルター/選べるテイスト/予約タイマー/自動計量/豆・粉両対応]
自宅で本格コーヒーを飲む「渋い大人」になりたかったんですが、ド素人すぎてコーヒー豆の選び方や味の違いがまったくわかりません。
一体……
Q.どうすればカフェで飲むようなおいしいコーヒーを自宅で飲むことができるの〜!!!
A.コーヒー豆の専門店で豆を買えばいい
しかし、知識ゼロのド素人がコーヒー豆の専門店に行っても大丈夫なのでしょうか?
「コーヒー豆の種類はたくさんあるけど、どれがどんな味なの?」「焙煎とか豆の挽き方って、どんな意味があるの?」なんて、初心者丸出しのこと聞いていいの!?
聞きましょう!
というわけで、祐天寺にある人気のコーヒー豆専門店『ハチコーヒー』に来ました。
コーヒーに憧れている全読者の代表として、今さら聞けないコーヒーのことを質問してみます。
店長の塩谷さんに、コーヒー初心者でも楽しめる豆の選び方についてお話を伺ってみましょう!
ハチコーヒー
住所:東京都目黒区祐天寺2-4-1
営業時間:10:30 ~ 19:00(定休日:毎週水曜日、木曜日)
コーヒー豆の種類と味
「今日はよろしくお願いします! 店内には色んな種類のコーヒ豆が溢れかえっていますが、どの豆がどんな味なのでしょうか」
「コーヒーの味はざっくりわけると、苦味、酸味、中間(マイルド)の3種類があります。初心者の方はマイルドから飲むのがオススメではないでしょうか」
「代表的なコーヒー豆というとキリマンジャロとかブルーマウンテンとか色々ありますが、それらの豆は酸っぱい・苦い、どこに属するんでしょうか」
「初心者の方が自分に合った豆を見つけるのは一番大変な壁ですからね。そこで躓いてほしくないので、わかりやすく表にしてみましょう。代表的な豆の大まかな味はこんな感じです!」
※後述しますが焙煎によって味は変わるのであくまで目安に!
「苦い」:マンデリン・ケニア・グアテマラ
「マイルド」エメラルドマウンテン・ブルーマウンテン・クレオパトラ
「酸っぱい」:キリマンジャロ・ハワイコナ・モカイルガチェフ
「南米系のブラジルやコロンビアの豆……この店でいうとエメラルドマウンテンとか、クレオパトラとかはマイルドなので、初心者の方が基準として試してみる時におすすめです」
「中間(マイルド)なものを飲んでみて、『もっと酸っぱいほうが好みだな』って感じで豆を探せばいいわけか。表を見ると、キリマンジャロは酸味が強いみたいですね」
「キリマンジャロはタンザニア産のコーヒー豆の呼称で、味の特徴としては酸味とコクが楽しめるコーヒーです」
「エメマンはマイルド、キリマンジャロは酸味……缶コーヒーを選ぶ時にも役立ちますね。苦味が強い豆の代表は?」
「マンデリンとかは苦味が特徴ですね」
「なんか他の豆よりも色が青っぽいような……?」
「マンデリンは水分を多く残した状態で豆を精製するので、青々としているんです。ちょっと水分が多いので焙煎で味を調整しましょう。深煎りにすると苦味とコクが引き立っておいしくなりますよ!」
「コーヒー豆の焙煎って、味を調整する意味があるんだ!」
「同じ豆でも炒り方によって味が変わる。浅煎りで酸味が引き立つ豆や、深煎りで苦味が引き立つ豆もあります」
「豆を選んで終わりじゃなくて、その豆を焙煎でどういう味に調整するかっていうのもあるのか。奥が深すぎて挫折しそう」
「このあたりは慣れないとわかりにくいと思うので、気軽に店員さんに聞きましょう! 同じ豆でもお店ごとにどれくらい焙煎するかは違うので、店の特徴が出やすい部分でもあります」
「初心者が色々聞いたら『そんなことも知らないのかこの素人が!帰れ!』って怒られません?」
「そんな店員は居ません。店員なら誰だってコーヒーが好きなわけで、好きなものを誰かに共有したいって思ってるんじゃないでしょうか。質問したら嬉々として教えてくれると思いますよ」
「では、コーヒー初心者の方が最初に豆を選ぶ時に聞く、ベストな質問方法などありますか?」
「酸味、苦味、マイルドなどの好みを伝えるのがいいですね」
「逆に聞かれて困る質問などありますか」
「何の指定もなく『オススメのコーヒーは?』と聞かれるのは困りますね。その方の好みがわからないので、答えようがないんですよ。」
「それ、僕がよく聞く質問だ……でも実際、色々飲み比べた経験がないから、自分がどの味を好きなのかすらよくわかってないんだよなぁ……」
「苦いのか、酸味を求めてるのか、マイルドなのか、せめてその3点の中からでいいんで、自分の好みを伝えるのがいい」
「めちゃくちゃ店員さんと会話するのが苦手な方が、1つだけ質問する場合はどんな風に聞くのがいいですか?」
「『リピーターが1番多いマイルドなコーヒー豆はどれですか?』と聞くのはいいかもしれないですね。人気の豆はマイルドなものが多いので」
「そしてリピーターが多いってことは味もコスパもいいってことか……なるほど!」
ちなみに「ハチコーヒー」のマイルドで一番人気はこちらの『クレオパトラ』
「今日は実際に豆を買ってみたいと思ってます。僕の好みは……自信はないですがおそらく『マイルド寄りのちょっとだけ苦味あり』です」
「一番人気の『クレオパトラ』ではだめですか?」
「『クレオパトラ』は220gで950円ですよね? せっかく『経費で買っていい』と言われてるんで、例えば―」
「これとか。220g 3600円」
「結構 高い豆イキますね!! 経費ってそんな自由に使っていいものなんですか? 確かにこのブルーマウンテンはものすごくバランスがよくて、飲むとその味に癒されるような落ち着きがありますが……」
「が?」
「さきほどおっしゃった『マイルド寄りのちょっとだけ苦味あり』とは少々ズレるかもしれません。こちらは『マイルド寄りのちょっとだけ酸味あり』って感じなので」
「なるほど……」
「でも、これにします!」
「経費でいちばん高いコーヒーが飲みたいだけでは……?」
「いえ違います。僕は酸味のあるタイプが好きじゃないと思いこんできましたが、『一番良い酸味のコーヒー』を飲めば、好みが根本から変わるかも知れないのでその検証をですね……」
「急に早口になりましたが、わかりました。ではこちらを焙煎してお渡ししますね。ちなみにこの豆、プレゼントとして買われる方も多いです」
豆を焙煎する機械(手動)。焙煎してる時のなんとも言えない良い香りがたまりませんね!
「焙煎も好きなだけやれるかというとそうでもなくて、ブルーマウンテンのような柔らかい豆を深煎りにすると、香りが飛んだりします。つまりそれぞれの豆にストライクゾーンがあるので見極めるのが難しいですね」
「全種類の焙煎加減を調べるのって、めちゃくちゃ大変じゃないですか?」
「大変です。新しい豆などを販売する時は特に。豆によって1年中同じ品質じゃないのと、焙煎したてだとコーヒーの味が変わるので」
「ええ!?焙煎した後にすぐ飲めないんですか? お店で焙煎してもらって、持って帰ったらすぐ飲んでました」
「理想は3日くらい置いて、味が落ち着いてから飲むのがオススメですね」
というわけで220g3600円のブルーマウンテンを購入しました。ごちそうさまでーす!
コーヒー豆ってそもそも何?
「大人になった今は『コーヒーっておいしいな~』って思えるんですが、子供の頃はただただ苦くてとても飲めませんでした。人類で最初にコーヒーを飲んだ人ってすごくないですか?」
「諸説あるんですけど、昔々のエチオピアで、飼っているヤギがコーヒーの実を食べて元気に走り回る姿を見た少年がいまして、僧侶にそのことを話したそうです。僧侶は『これを食べたら人間も元気になるのかな?』と思い、茹でて飲んだのがコーヒーの起源と言われています」
「少年の洞察力と僧侶の行動力がすごい! 今だったら歴史に名を残す案件じゃないですか」
「ちなみにその少年の名前、カルディっていうんですよ」
「あのコーヒーショップの店名の由来、それだったのか!」
「コーヒー豆の名前には、ブルーマウンテンとかケニアなどありますけど、名前に意味ってあるんですか?」
「コーヒー豆は、主に生産地や地域名のブランドで名前がつけられています。イメージをするなら、日本のお米みたいな感じですね。魚沼産コシヒカリ=ジャマイカ産ブルーマウンテンみたいな感じですね」
「そう言われると、日本のお米と一緒だ」
「名前の意味としては、産地国名(ケニア)、山の名前(キリマンジャロ、ブルーマウンテン)、栽培地名(ハワイコナ、スマトラマンデリン)などの情報が入っていますね。あとは農園名や精製方法、等級なども名前に入っていることが多い」
「良いコーヒーを飲みたいと思ったら、とりあえず高い豆を選べば間違いないですか?」
「もちろん高い豆はおいしいものが多いのハズレは少ないですが、高い=おいしいとは限りません」
「例えばうちで販売しているハワイコナは上から2番目のランクです。よその農園でしたが、1番上のランクのハワイコナを仕入れたのですが、実際に飲んでみると今の農園の2番目の方が美味しい。1番上のランクが美味しいとは限りません。」
「なるほど。高ければいいというわけじゃないのか。希少性とか輸入に費用がかかるとか、味以外にも値段が高くなる要素ってありますもんね。それに結局、自分に合ってるどうかが大事なんだよなぁ……」
「では、おいしいコーヒー豆をみつけるポイントとしては、どこをみるのがいいのでしょうか」
「グアテマラやケニアとかいう国の括りよりも、〇〇農園が作っているというような農園単位で追った方が品質はいいですね。あとはコーヒーを飲み比べてみるのもオススメです」
「たくさんの種類のコーヒーを飲むのがいいと」
「一度にたくさん飲まなくても、飲みきる前に新しい豆を購入して、両方を比べてみると味の違いがわかりやすい」
「それなら僕でもできそうです」
「あとはシチュエーションを変えて飲んでみると好みがわかるかもしれないですね。朝、昼、夜にわけて飲むとか。これを1つの銘柄で飲んでいると、コーヒーの味って体調によってえらい違うんですよ」
「同じコーヒーでも味が変化すると」
「一期一会の味なので」
「現代に生きる千利休じゃないですか。ちなみに食事のシチュエーションで飲むコーヒーを変えてみるのはありなんでしょうか?」
「食べ物との相性も大事で、パンと一緒に飲むからバランスのとれたマイルドなコーヒーがいいとか、苦味の強いコーヒーが好みだとかはありますね」
「確かに、食べ物の組み合わせで味の好みはわかれそう」
「例えばシュークリームを食べる時は、生クリームが重いからマンデリンなどの苦味の強いコーヒーでも大丈夫なんですけど……イチゴのショートケーキみたいに少し酸味のあるものだと、ケーキの甘さを全部流してコーヒーの味しか残らない、とかね」
「なるほど。コーヒー初心者の方はまず、シチュエーションや食事を意識して飲んでみると楽しそうですね!」
ミルクに合う豆、アイスに合う豆ってあるの?
「このミルクと合うコーヒー豆が気になるんですけど。言われてみればコーヒーって必ずしもブラックで飲まなければいけないってわけじゃないですよね」
「これは少し深煎りにすることでコクのある苦味が出てくるので、ミルクを入れても相性がよくなる。カフェオレにして飲むとおいしい」
「ミルクと相性がいいのは苦味のある豆! 知らなかった」
「アイスコーヒーにするのも、深入りで苦味が強い豆が向いてます。冷たいと舌が感じにくくなるので、味がぼんやりしちゃうんです。強い苦味で味をハッキリさせたほうがいい」
「めちゃくちゃ勉強になります。これから自宅でおいしいコーヒーを飲みたいと思った時に、最低限準備しないといけない物ってありますか?」
「コーヒードリッパーとフィルターがあれば大丈夫です」
「めちゃくちゃ手軽だ。僕の場合いきなりコーヒーメーカーを買っちゃったんですが」
「本来なら、最初に凝るよりは、少しずつステップアップした方がいいと思います。初期投資が高価だと、最初の一歩が踏み出しにくいので」
「なるほど。次にステップアップするには、どんな道具がオススメですか?」
「細口のドリップポットですね。沸騰したお湯よりも90℃くらいのお湯がいいので、これだとやかんから移すだけで5℃くらい温度が下がります」
「この道具を揃えてキャンプとかに出かけたら最高だろうな。あと、気になる点としてコーヒー豆はミルで挽いた方がおいしくなるんですか?」
「コーヒー豆は焙煎した瞬間から劣化がはじまり、粉になると表面積が大きくなるので酸化しやすくなります。なので、豆の状態で保管し飲む直前にミルで粉にした方が鮮度が高くキープできます」
「粉と豆だとそんな違いがあるんだ。ちなみにお店で豆を粉にする時に、粗挽き、中挽き、細挽きがありますって言われたんですけど、どんな違いがあるんですか?」
「粗めの方が薄めに出ちゃうんですね。あまり濃く出ない。逆に細く挽くと濃厚に出るんですよ。ただ細かく挽くと雑味も出てくるので、慣れないうちは中挽きがオススメです」
「なるほど! 今日は初心者丸出しの質問に答えて頂いてありがとうございました! 購入した220g3600円のブルーマウンテンは3日後に飲んでみます!」
「何度でも質問してくれていいので、自分に合う最高の一杯を見つけてくださいね!」
まとめ
というわけで今回は、ハチコーヒーの塩谷さんに、コーヒー豆の豆知識についてお話を伺いました。
・コーヒーの味はざっくりわけると、苦味、酸味、中間のマイルドの3種類
・豆を探す時には、3種類の中から自分の好みを伝えるのがいい
・初心者にオススメの味は「マイルド」
色々なことがわかった結果、コーヒー豆の世界に興味が出てきました。
マイルドな味からはじめて、酸味や苦味を楽しめるようになるのも奥深いですね!
今回の取材を終えて3日後、自宅で飲んだブルーマウンテンの味は……
極上にうま〜い!!!
(おわり)
取材協力「ハチコーヒー」