さっむ~~! 寒いさむいさむいさむさむさむ…何これ、寒波すげーー!
都内で気温1度って。
ホッ、ホッ、ホッ、こうしてカラダを動かしてないとマジで死んじゃう!
おっ、足踏み効果でなんだか……あったかく……
いや、やっぱり寒いわ!
こんにちは、ジモコロライターのギャラクシーです。
最近寒すぎて会社内でも震えてるんですが、そんな時に重宝するのが防寒アンダーウェア。低価格で有名なファストファッションブランドから火がついて、今や誰でも肌着として着ているアレです。が、今年は記録的な寒波。寒がりな人にとっては普通のアンダーウェアでは全然スペック不足なんです。
そこで僕は考えました。
僕は登山が趣味で数年前からたまに山に登っているんですが、極寒の山中でも身を守ってくれる登山用のアンダーウェアなら、日常生活でも寒さを感じず過ごせるはず。
ただし、僕は登山時のウェアはかなり適当(古着屋で買ったジャージとか)なので、登山用のアンダーウェアなんて持っていません。
よし、登山ウェアの店に買いに行こう!
というわけで、登山ウェアを始め、アウトドア商品全般を扱う株式会社モンベル 東京営業所にやってきました。
なお、僕にモンベルを薦めた張本人・ジモコロ編集長の柿次郎氏にも同行してもらったんですが……
モンベルの取材に行くのにコロンビア(こちらも有名なアウトドアメーカー)の上着を来てくる無神経さにマジでビビりました。
登山用アンダーウェアって日常生活でも着れるの?
「はじめまして! 今日はよろしくお願いします」
「モンベル広報部の金森です。こちらこそよろしくお願いします」
「最近寒すぎて一般的な冬用アンダーウェアでは間に合わなくなってまして、登山用のやつを普段着として買おうかと思ってるんですが」
「なるほど、普段着として使いたいわけですね。登山はしないんですか?」
「たまに山に登ってるんですが、アンダーウェアどころか、あまりまともな装備では登ってなくて。だからモンベルさんで買えば登山にも使えて一石二鳥かなと」
「ダメの見本みたいな格好ですね。基本的に登山で綿素材はNGだから! 綿・綿・綿・デニムって、登山好きが見たら卒倒するでしょ」
「ほんとダメですよこれ。綿素材は汗に濡れると乾きにくくて、体が冷えてしまいます」
「(インタビュー開始から3分で、二人がかりで叱られるとは……)」
「それにさあ、レイヤリングとか知ってるぅ? レイヤリングっていうのは重ね着っていう意味で、体の温度を一定に保つために暑くなったら脱いで、寒くなったら着るっていう…。化学繊維の服だけで重ねないといけなくて。化学繊維のウェアの間に綿素材を挟むと意味がないんですよ」
「わかったわかった、わかりましたよ! 今日は金森さんにアンダーウェアのことを聞きに来てるから、ちょっと黙っててください!」
「いやでも、せめてアンダーウェアは高機能素材のものを着たほうがいいですよ。アンダーウェアなら日常生活にも使えますから。モンベルではジオラインという素材になります」
「ファッションブランドが作った日常生活用のものと、登山用に作られたジオラインでは、何が違うんですか?」
「ファッションブランドが作るものと登山用では用途が違うんで、ちょっと比較しにくいですが……」
「じゃあメチャクチャ単刀直入に聞きますが、ジオラインの方があったかいんですか?」
「山で冷えると命に関わるんで、登山用アンダーウェアは暖かいですよ」
価格比較(形状や厚みによって変わります)
ジオライン=3000~5500円くらい
日常生活用防寒アンダーウェア=1000~1500円くらい
「僕はジオラインを愛用してて、日常生活でも着てるんですが、そういう人って実際多いんですか?」
「多いですね。登山には興味がないというスーツ姿の方や女性もよく購入していかれます」
「あ~、女性はモコモコのシルエットになるのがイヤでしょうから、一枚でも暖かい登山用の方が役立つのかも。他に日常用と登山用の違う部分ってあります?」
「登山用は山の中を歩いたり岩を登ったりといった運動を前提にしてるんで、よく伸びること(ストレッチ性)や、汗臭くならないように制菌効果(抗菌より高い防臭効果)があったりしますね」
「よく伸びる! 汗臭くならない! 日常生活でもバリバリに役立ちそうな機能だ!」
「満員電車に乗ってるサラリーマン全員に配ってほしい」
「あと、最も重要な違いと言っていいのが速乾性です。山を登ってると冬でも絶対に汗をかきますから」
「カジュアル系アンダーウェアの1/3の時間で乾くんですね。すごい!」
「え、速乾性ってそんなに重要ですか? 少々ベタついてもガマンすればいいんじゃないかと思うんですけど。なんで? ねぇ、なんでなんで?」
「死ぬから」
「死ィィ~~~~!?」
「それは言い過ぎですけど、汗で衣服が濡れることでカラダが冷えて、低体温症になって命を落とすという事故は、実際にいくつも起きてるんです。だから登山ウェアは速乾性をすごく重視してます」
低体温症
体温が生体活動の維持に必要な水準を下回ったときに生じる様々な症状の総称。濡れた衣服による気化熱など、条件次第では夏場でも発生しうる
「じゃあファッションブランドが作ってる日常用の防寒アンダーウェアで登山しちゃうと…」
「おすすめはできませんね。もともと登山のために作られてませんから。汗が乾きにくく、身体を冷やしてしまいます」
日常生活に使える登山用アンダーウェアの特長まとめ
・山で命を守るために暖かい
・伸縮するので動きやすい
・汗臭くならない
・汗をかいてもすぐ乾く速乾性
ジオライン購入!他にも普段使いできる登山ウェアは?
金森さんの話を聞いて、登山用アンダーウェアさえあれば、山でも日常生活でも快適に過ごせるという確信を得た僕。さっそくショップで購入してみよう!
「めちゃめちゃいっぱい種類ある!!!」
「ジオラインはハイネックに丸首、Vネックから選べるほか、生地の厚さが『薄手』『中厚手』『厚手』から選べます。もちろんタイツもありますよ」
「『厚手』の説明文に『極寒地での使用を想定』って書いてるゥゥ~! 日常生活で使うと暑くなりすぎないですか? るろうに剣心の志々雄みたいに身体が発火するとか」
「そこまでじゃないです。ただ『厚手』なら、真冬に外出する時でも着こむ枚数が極端に減らせるでしょうね。一般的には『中厚手』くらいが便利じゃないですかね」
「よっしゃー!ジオラインゲットやー! どれどれ、ちょっと試着してみるかな」
「んん~? あ! あっ、あ…!」
「あったかい……」
日常用防寒アンダーウェアの多くは、カラダから出る水分(蒸気)を暖かさに変える仕組みですが、ジオラインは繊維そのものが暖かい空気を溜める仕組みなので、着た瞬間からすでにほんのりあったかい。
こりゃ日常生活が捗るわーー!
こんなに商品があるなら他にも普段使いできそうな登山ウェアがありそう!ということで金森さんにおすすめを教えてもらいました。
●ジャケット
ストームクルーザージャケット
¥18400(税抜)
防水透湿性能のあるレインウェアは雨天の時以外に着用できるものであり、概念がややこしいので、わからない人は単に「防水機能を持つジャケット」と考えてほしい。普段着として街中でも着れるように、カラーバリエーションがかなり豊富。
雨は防ぐけど内部は蒸れない。防風効果もあるので、自転車やバイクに乗る人にも人気。
●ダウンジャケット
ライトアルパイン ダウンパーカ
Men's ¥16800(税抜) Women's¥16200(税抜)
モンベルには数十種類以上のダウンジャケットが存在しており、用途に合わせて選ぶことができる。この世の「ダウンジャケットが必要な用途」が数十種類もあるとは思えないが、選ぶ側としては嬉しいことである。
登山用の本格ダウンでありながら、お手頃価格なのがすごい。
●フリース
シャミースジャケット
Men's ¥4,800(税抜) Women's¥4,600(税抜)
フリースも種類豊富! 薄手でインナーとして使えるものがすごく使い勝手が良さそうだった。薄いといってもフリースなのでもちろんめちゃめちゃあったかい。あとこの色すごいかわいくないですか。
※こちらは柿次郎おすすめの商品である財布。登山や旅行用のセカンド財布として購入したところ、使い勝手が良すぎて現在はこれしか使っていないとのこと。762円(税抜)
登山好きがモンベルで働くということ
1F(ショップ)から3Fのオフィスに上がる際、エレベーターではなく階段を使う金森さん。「さすが登山家ですね!」って言ったら、「ハア、ハア……え?」っていう反応でした。
「ショップの方は、平日なのにお客さんが入ってましたね。今ってどの業界も不況だと思うんですが、アウトドア市場はどうなんでしょうか」
「堅調に伸びています。おかげさまでモンベルも順調に売上げを伸ばすことができています。店舗数も増えているし、モンベルクラブの会員数も増加して、今は60万人を超えてます」
モンベルクラブ
ポイントや山小屋の割引など様々な特典が付くモンベルの会員。年会費1500円。
「スゲェー! 60万人といえばモンテネグロ(ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置する共和制国家)の人口と同じじゃないですか。人気の理由、金森さんはどう考えてます?」
「昔は登山というと年配の方の趣味でしたが、ショップを見ていると若い方や女性でも登山をする人が増えている。それに登山をしない方もファッションとしてウェアを見に来てくれてるのかな、とは思ってます」
「確かに今は若い人が登山をするのも当たり前ですよね。この状況って、モンベルさんが手が届く価格とデザインを両立させたことで、一気に間口が広がったんじゃないかと考えてるんですが」
「ありがとうございます。価格を抑える努力や、ウェアのデザインにはすごくこだわってます。会議では毎回議論を重ねていますし。機能性とデザイン性をどちらも妥協せずに着地点を見つけるのは、難しいですね」
登山やってない人にはわかりにくいかもしれないけど、確かに普段着としてのデザイン性と登山ウェアとしての機能性のバランスが、ちょうどいい
「金森さんがモンベルで働き出したというのは、やはり山が好きだったからという理由なんですか?」
「そうですね。学生時代、山岳部で登山をして、国内外問わず山に登り続けました。で、どうせなら山に関わる仕事がしたいな、と」
「登山ウェアのメーカーということで、他の一般的な職種とは違う部分はあるんですか? 例えば面接の時とか」
「大学で学んできたことも大切なのですが、実際にどんなアウトドア経験をしてきたのか?ということも重視されましたね」
「(オフィス内を見回して)ここで働いてる皆さん、そういうアウトドアのエキスパートなんですか?」
「そういう人が多いですね。だからみんなすごく気が合うんですよ。だって趣味も同じで仕事も同じなんですから。そんな職場ってあまりないでしょ? モンベルで働いてて良かったなと思える部分です」
登山初心者がやりがちなミスって?山ガールは今どうしてるの?
「登山人口は増え続けてますが、初心者ゆえの間違った装備を身につけて登っちゃう人も多いんじゃないかと思うんですが……」
「おまえのことじゃねーか」
「少し前、山ガールという言葉が流行った頃は、若い子が一気に増えて、正直危なっかしい装備の方もいました。でもあれからすでに何年も経ってますからね」
山ガール
2009年頃から、テレビ、雑誌、インターネットなどで話題になった「登山が好きな女子」のこと。最近の登山ブームに一役買っている存在
「じゃあ今、山ガールの人たちはどうしてるんですか?」
「あの頃の山ガールは何年分も経験を積んで、中には本格的な登山に目覚めた方もいるようです。長く続けてれば、若い子は憶えるのも早いし好奇心も強いし、成長速度は早いですよ」
「昔は若い女性が軽い装備で登山をすることに賛否両論あった気がしますが、今や本格的な山に登っているというのは素敵ですね。実際、山ガールが話題になったおかげで、女性が登山をしてもおかしくないという空気ができましたよね」
「女性登山客は年々増え続けてますが、さらにもっと増えてほしいですね。山の魅力は男女に関係ないですから」
「おっしゃる通りです! それに、山を登ってる時に前が女性だと、おしりを眺めながら歩けて楽しいですよね!」
「それはないでしょ」
「ねーよ」
「(また二人がかりで叱られた……)そ、そうですよね、ないですよね。わかりました! 今日は色々お答えいただいてすごく勉強になりました!」
「いえいえ、こちらこそ楽しかったですよ」
「ジオラインは明日から会社に行くのに使わせていただきます! そして山で女性のおしりを見るのはやめときます! ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
取材の流れで購入したジオラインをすごい頻度で着ているんですが、金森さんが言っていた通り着心地は抜群。洗濯しても一瞬で乾くし、丸二日着ていてもぜんぜん臭いが気になりません。すごいぜ、ジオライン…!
※オススメの「ジオライン(中厚手)ラウンドネックシャツ」
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(モンベル)mont-bell ジオラインM.W.ラウンドネックシャツ Men's 1107525 BK ブラック L
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ライター:ギャラクシー
株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy