こんにちは、今日も元気に路上観察! 金原みわです。みなさまどうぞよろしくお願い申し上げます。
突然ですが、「アニマルガード」ってご存知でしょうか?
これ!
工事現場などで区画取りや入場禁止のためのバリケードですが、街を歩いているとこんなかわいいアニマルたちに遭遇しませんか? 昔に比べて、目にする機会が大変増えた気もします。
でも、実際の正体といえば…実はあんまりよく知らないですよね。なんでいつの間にか世の中のガードがアニマルになってるの!?
どうやらこのアニマルガードの発祥は「仙台銘板」さんというところらしい。気になります。気になって気になってしょうがない!
ということで…。
はるばる大阪から仙台へ(関空AM7:00)。
来ちゃいました!! 仙台銘板、本社!仙台営業所さんです! うおお~~~~!!
さて工事現場の用品を扱っているということで、作業着の親方に怒鳴られたらどうしようと思っていたのですが、あらら本社は超キレイで超静か。
スタイリッシュでバリバリ仕事ができそうな、仙台営業所長の赤坂さまが今回お話してくださります。
「今日は大阪から来ました。よろしくお願いします」
「それはそれは遠い所から…大阪営業所もあるのに、どうしてここへ?」
「わたしアニマルガードの大ファンなんです!! 全国を旅している際、見つけたら必ず写真に収めていたんです。本社へ来たのは、まあ聖地巡礼みたいなものですね!」
「はあ…なるほど…」
仙台銘板とは?
「仙台銘板さんって、どういうお仕事をされているのですか?」
「主に建設会社さんと取引をさせていただいています。インフラ整備、お役所さんが建設会社さんへ発注された工事に関して、各工事現場さんに対し保安用品を提供させていただいているという形です」
「むむ、ちょっと難しいですね。つまり…」
「こういうことですね!」
「もともとは防災関係の銘板などを販売営業していたと聞いておりますが、創始者がレンタル事業を広めていきたいという思いがあり、保安用品のレンタルを始め、それが現在は主となっているという感じですね」
「なるほど…まったく知らない世界です。道路工事って、勝手に始まって勝手に終わると思っていたけど、成し遂げるためには工夫が必要ですもんね」
本題のアニマルガードの話へ
「そもそも、アニマルガードはどういう経緯で発祥したのか、その歴史について教えていただけませんか?」
「もともと、人や車の侵入を防ぐ保安用品には、"単管バリケード”しかありませんでした。すごく簡素なもので、キャラクターもなく、ただバリケードに単管がついているだけです」
「単管バリケード…って、あんまり馴染みがない名前ですね」
「アニマルガードは、2006年に北海道旭川市の仕事を請けた際、行楽で旭川を訪れた方に『なんか工事ばっかりの街だったな…』というイメージだけでなく、『工事はしてたけども旭山動物園に行ったぞ!』という気分になってくれるように作られました」
「そんなエピソードがあったのですね!」
「その時に誕生したのが、サルガードです」
「来たーッ! サルガードさん!!」
腕をバンザイしたようなポーズのサルガード。ひょうきんなその風貌は、見ているだけでなんだか笑顔になれます…。
「ありがたいことに大変好評で、旭川発祥のサルガードは全国的に使われることになりました。そして、第2弾として作られたのがカエルガードになります」
「え、意外! 第2弾はカエルだったのですね…!」
ウインクがまぶしいカエルガード。
「なんというか、アニマルガードは保安用品の革命児って感じですよね。キャッチーでインパクトがあって。このアイデアって誰が考えているんですか? 開発部があるんですか?」
「よく聞かれるのですが、商品開発部みたいな専用の部署はありません。ある程度大きい物になると、社内でプロジェクトチームを立てることもありますが、少額の保安用品やこういった小さなアニマルガードにおいては、全国の営業所から声の
上がったものを製品化しています」
「そうなんですね。てっきり、アニマルガードの部署があるんだと思っていました!」
「全国展開しているので、各営業所はその土地土地に根付くことを目指しています。その風土にあった形を商品化し、全国でも使えそうであればサルガードやカエルガードのように広まるケースもあります。ただやはり土地土地で使うものも若干違ったりとか、市町村によって考え方が違ったりするので、いわゆるご当地物として作られることが多いですね」
「沖縄のシーサーガードとか、群馬のぐんまちゃんガードとかがそんな感じですかね」
沖縄っぽさ全快のシーサーガード。
「よくご存じですね! アニマルガード、本当に好きなんですね」
全然ゆるくない、ゆるキャラガード
「…実は、ゆるキャラガードのはしりである”ぐんまちゃん”ガード、私も製作に携わったんですよ」
「ええ! 赤坂さん、あの”ぐんまちゃんガード”の生みの親なんですか!?」
メットが似合ってるぐんまちゃんガード。
「昨年の春先まで群馬県の営業所で勤務していたんですが、ゆるキャラグランプリでぐんまちゃんが優勝し群馬県内で盛り上がっているのを見て『その土地に根付いたものができないか?』と考え、当社の強みであるアニマルバリケードにすれば、もっと県内の工事現場に対して親しみをもっていただけるのでは…と思い作らせていただきました」
「ぐんまちゃんガード、保安用品界での第二次革命だと私は思ってるんです。だって、それまで単管バリケードには版権物のキャラを使ったものはなかったですよね。ぐんまちゃんガードをはじめて見たとき、アニマルガードの無限の可能性を感じました…」
「ありがとうございます。今、ゆるキャラにちなんだ商品であれば”くまモン"のバリケードもありますね。ゆるキャラではありませんが、最新作として”キティちゃんガード”なんてのも発表させていただきました」
さすが! 仕事は選ばないぜキティちゃんガード
「アニマルガードは進化し続けていますね、素晴らしいです。アニマルガードに関する苦労話とかってありますか?」
「ゆるキャラバリケードは、許可申請をいただいたうえで作るのですけれども、製品化する上で本体自体を違う形に変えてしまうのが一番やってはいけないことなんです。例えば商品のお腹の所に鉄パイプが来ると、キャラクターの体に穴があいてしまうことになるので、さらにそのデザインの許可を取らないといけません」
「かわいくて笑顔なのに、体の中心に鉄パイプが刺さってるってすごいデザインですからね…! そこがまたいいんですけど」
「版権元によっては、"絶対に傷つけてはダメ""ちょっと線が入っているのもダメ""というケースもありますね」
「あはは、ゆるキャラなのに全然ゆるくないですね…!」
アニマルガード豆知識
▼大きさ
「バリケードの規格は、ほぼ決まっています。高さ75cm×幅約45cmでちょうど、一般の男性で腰の高さくらい。単管の太さは48.6πになっています」
「テストに出そうですね、覚えておきます」
「テストはありません」
▼製造とデザイン
「当社では製造は行っておりません。工場メーカーさんのデザイナーさんに作ってもらって、OEM契約というような形で製造してもらっています。メーカーさんがひとつなので、デザインする方もあまり変わっていないと思いますね」
「確かに、作っているところがひとつのせいかアニマルガードはどれも同じ世界観ですよね!」
▼素材について
「アニマルガードの素材は樹脂、いわゆるプラスチックですね。そのプラスチックの製法が少し変わっておりまして、ブロー成型という手法をつかっています。金型にプラスチックをどろどろにしたものを流し込んで、そこに空気を入れるんです。ようは風船を膨らませる感じ。アニマルガードの中は空洞になっているんですね」
「そういわれれば、たしかに空洞っぽい」
「プラスチックはパリパリに割れてしまうと、車がぶつかった時に飛び散って二次災害などが起きてしまいます。かといって夏の暑さでぐにゃっと倒れてしまうものでも困ります。車がぶつかって破損しても破片が飛び散らないような材料を使っているんです。また、ある程度凹凸をつけることによって、実際に強度を持たせたりもしています。あと何より、アニマルガードの目であったり顔であったりとか、いわゆるモチーフになる部分に注目していただきたいですね」
「目とか顔ですか?」
「そうです。その部分にはいわゆる反射材を使用しておりまして、夜間車で走っていると反射するような製法にしているのです。使ってもらうコンセプトとして、あくまでも保安用品でありますから」
「すごい! それは気付きませんでした! 夜間に目が光るなんて、本物の動物みたいですね…!」
▼種類
「今、実際に商品化したものは27種ですね」
「そんなにあるんですか…!」
▼商品化されたアニマルガード一覧
サル
カエル
ぞう
しか
キリン
いるか
ぐんまちゃん
コウノトリ
パンダ
シーサー
くろぶた
シロウサギ
タワーガード(スカイツリーができたときに)キツネ
コバトン
キティちゃん
チーバくん
くまモン
水戸黄門ガード
トッキッキガード(佐渡島トキ)
しがらきガード
新幹線ガード
「こんなところでしょうか」
「沢山ありますね。これから全国を探すのが楽しみになりそうです。あれでも…もしかして…他社も、アニマルガードって出しているんですか?」
「そうですね。他社で扱っているところもありますね」
「わー! …正直なところ、競合他社をどう思ってますか?」
「そういう商品を展開するコンセプトというのがやっぱり我々が工事現場に対して安全を提供するということになりますから、我々がすべて抱えていいという事はあってはならないと思っています。すべて受け入れることができる広い心であるわけではないんですけども…」
(めっちゃ気にしてはる~!!!!)
アニマルガードの真の目的
「街で見かけるバリケード、あれって誰が選んでいるのですか? 工事現場の人の趣味ですか?」
「アニマルガードがいいというお客様もいれば、そうでないものをというお客さまもいますが、そこに関しては我々が提案していますね」
「お客さまがただ借りればいいや…ということではなく、より安全に工事現場をプロデュースするにはどうすればいいかを考えて、営業させていただいています。アニマルガードに関しても、工事現場の人が使いたいかというよりかは、そのほかの第三者の目を考えていますね」
「第三の目!?」
「例えば工事現場の近くに幼稚園や小学校がある場合、ただ危ないから汚いから近寄ってはダメというよりかは、アニマルガードを利用することで何のために工事をやっているのかをわかってもらいやすいと考えております。事故が起こらないようにとか、あるいは地域住民の工事への理解を得るためにとか、そういった効果を期待して提案しています。実際の工事現場でも、アニマルガードを使用することで少し現場が和む…という意味合いもあるかもですね」
「なるほど。確かに工事現場の周りは、住宅地だったり観光地だったり。そういったところでも親しみを持てて、かつしっかり安全を確保できるわけですね」
アニマルガードは、見た目がかわいくて和めるだけじゃなく、私たちをしっかり守ってくれていたんだなあ…。
今後の展開
「アニマルガードの今後は? 47都道府県のゆるキャラ制覇でしょうか?」
「各営業所の考え方によって、やっぱり地元のキャラクターだという想いがあれば商品化される可能性はあるとは思いますが、すべからくという意味ではないでしょうね。会社としてある程度の生産数と使用回数も考慮しないと、難しいものがありますから…」
「しかしながら、まだまだこれから出てくる予定です。今、設計に入っているものも沢山あります。私も今新しい開発に関わっていますよ」
「新しいのが出るんですね!…ちょっとこっそり教えてくれませんか?」
「それは秘密です」
そういって赤坂さんが見せてくれた冊子…。
「まだ秘密なんですが…」
「これはまさか…。いやはや、これからが楽しみですね」
最後に、本社にあるアニマルガードを撮影させていただきました。沢山のアニマルガード!
「壮観!! これは本社じゃないと見れないラインナップですよ」
いなばのシロウサギガードと北陸新幹線ガードが並ぶ。
パンダガードとタワーガードと鹿児島のくろぶたガードが!
「夢のような眺めです! 私、ここへ来てさらにアニマルガードが好きになった気がします。本当にありがとうございました」
「金原さん、よかったらお土産をどうぞ」
「なんでしょう…あーーっ!! こ、これは!!」
アニマルガードストラップ!!!!
「すご~! これって、普通のお店で売ってるんですか?」
「いいえ。購入できるのは、全国各地の営業所でのみですね」
「もっとヴィ〇ッジヴァ〇ガードとかで売った方がいいですよ! めちゃめちゃかわいい! できがいい!!」
「そうですね…でも、"安全に工事をできる環境作り"が我々のモットーだと考えております」
「奇抜なことをしているのに、前には出たがらないんですね…! その心意気もカッコいい! でも、アニマルガードの存在は本当に革新的な物だと思うのです。今後も、さらなるアニマルガードの発展を期待しております」
本社巡礼で、普段は知ることができないアニマルガードの裏側を知れました。
みなさんも、街に出かけたらアニマルガードを探してみてはいかがでしょうか? かわいいいだけじゃないアニマルガードが工事現場でがんばっている姿を見ると、きっと写真に収めたくなりますよ!
それではみなさま、どうぞご安全に!