初めての弘前街歩き
こんにちは。ヨッピーです。
本日は青森県の弘前市に来ております。
何故なら「弘前市をインターネットでPRしたい」という依頼が来たからです。
そもそも大阪出身で現東京在住の僕にはあまりなじみが無い土地だし、
「え……? 青森……? リンゴ以外に何があるの……?」
なんて思わなくもなかったんですが、
担当の人から「弘前舐めんな!」みたいな感じで、どえらい勢いでまくしたてられたので渋々来るハメになりました。
弘前までは東京から飛行機とバスを乗り継いでざっと2時間半。これで本当にリンゴ以外に何もなかったら怒るぞ! と思って付近を散策してみると……
弘前中央市場
安すぎてウマすぎる料理
殻付きウニ
うますぎて変な顔になる僕
同行のカメラ係、山口くんもこの顔
意外にやるじゃない……
軽く歩いただけでこの収穫。これ、詳しい人に聞けば、もっと良いとこあるに違いない! この街に一番詳しい人…そうだ、市長に聞けばいいんじゃないか?
市長と本音トーク
そんなわけで弘前市長と飲んでみることにしました。
「いやー、どうもどうも!お待たせしました!」
「うわぁ。市長だ……! ちょっと引くわ」
「市長ってマジで存在する生き物なんだ。マイク・ハガーしか知らなかった」
※マイク・ハガー カプコンのゲーム「ファイナルファイト」の主人公。市長
葛西憲之(かさいのりゆき)
弘前市長。1946年弘前市出身。国立函館工業高等専門学校卒業。70年青森県庁入庁、県土整備部長など歴任。2010年4月弘前市長に就任。11年秋、第6回マニフェスト大賞(首長部門)最優秀賞を受賞。
「本日はよろしくお願いします。市長ともなると言っちゃマズいやつとかは当然色々あるとは思いますが、今日はその辺は深く考えずに、ざっくばらんにお答え頂ければ!」
「わかりました!」
「じゃ、とりあえずまずは……乾杯~~~~~!」
「市長、お酒めっちゃ強いって聞いてますけど」
「いや別にそんな大した事ないですけど、お酒は好きですね」
「普段はやっぱりこの、弘前の夜の街である鍛冶町周辺で飲むんですか?」
「いや、それがこういう所で飲むと、だいたい次の日のFacebookとかブログとかで『市長が来た! 市長が酒飲んでる!』って書かれちゃうんで、あんまり調子良く無いですね。写真も撮られるし……」
「まあ確かに横で市長が飲んでたら笑うもんな……。でも今日はせっかくの機会なんでね、市長にもリラックスして飲んで頂いて、むしろ僕が潰してやろうと思ってます!」
「ちなみにヨッピーさんはお酒強いんですか?」
「弱いです」
この日のおつまみは弘前名物「いがめんち」
ビールに合います!
「そもそも、なんで市長になろうと思ったんですか?」
「別にね、市長になりたいなんて思ってなかったんですよ。ただ長く県庁に勤めてたおかげでまあまあ偉くなりましてね。県庁を退任してから当時の弘前市長に『副市長やってくれ』って依頼されたんですよ」
「おお。順調に出世してますね。豊臣秀吉みたい」
「ところが、副市長になったのは良いけど、当時の市長とソリが合わないんですよ。政策のことなんかで何度もぶつかって」
「ケンカしてたってこと……?」
「当時の市長と話をしたけど、このままじゃいかんな、と。だから思い切って辞表出して、次の選挙に出たんです。そしたら勝っちゃった」
「じゃあつまり、市長になった理由をまとめると、『当時の市長とケンカしたから』っていう事ですね」
「そう。負けず嫌いなの」
ここぞ、とばかりにリンゴのお酒「シードル」を勧めてくる市長。
市長が言うには、「市長はリーダーであり、セールスマンであり、広報マンである」そうだ。
他地域に特産品を売り込むのも市長の仕事なので解説はお手のもの。
「政治家って何してても文句言われる職業じゃないですか。9割の人が賛成する政策だとしても、残りの1割からは批判されますよね。特に市長ともなると真っ先に叩かれるわけじゃないですか。嫌になったりしないんですか?」
「嫌になりますよ。新しい事しようと思ってるのに、なーんでこう後ろ向きな事ばっかり言うかなぁって。他にも、まあ色々あるからね。しょっちゅう嫌になったり落ち込んだりしますよ」
「へぇ、市長になるような人でもそんな感じなんですね」
「ただ人前では出さないようにしてますね。不機嫌な市長とか落ち込んでる市長とか、そんなのが自分の街の市長だったらイヤでしょ?
その代わり、家では家内に愚痴を聞いてもらって、慰めて貰って、次の日に弁当持たされて『頑張って行っておいで』って送り出されるわけです」
「中学生みたい」
ビール、シードルと続いて今度は日本酒。
弘前には酒蔵が多いらしいが、この日のお酒「松緑」は飲みやすくてグイグイ飲んでしまうのでそろそろ危ない。
ねぷたのミニチュアを自慢してくる市長。ノリノリである。
「弘前の人はね、自分たちの住む街に誇りを持ってくれてる。それはすごく素晴らしいことですが、視野が狭くなってはいけない。だから市長に就任した時に『自分達の文化を誇るだけじゃなくて、他の優れたものにも目を向けようよ』というような話をしたんですよ」
「つまり、就任初日に『お前らあんまり調子に乗るなよ』っていう話をしたってこと?」
「そう……いやいや、どうしてそんなにカドのある言い方にさせたがるの?」
「その方が面白いかと思って……。でも、弘前の人はプライドが高いっていうのは聞いてましたよ」
「そうですね。えふりこき(見栄っ張り)、もつけ(調子乗り)、じょっぱり(頑固者)っていうのが弘前の人の特性で、見栄っ張りですぐ調子に乗って色んなものをどんどんやる。
ねぷた祭りがまさにその特性を表してる。見栄っ張りで派手で調子乗りのお祭り。でもそれを変えずにずっと受け継いで行く頑固さもあるっていう」
弘前人の気質が受け継いできたねぷた祭り。
だいぶデキあがってきた一行。僕の顔色がおかしい。
「突然ですが、市長の初キッスっていつですか?」
「は、初キッス?」
「はい。初キッス」
「それは、胸の奥に秘めておくものだと思いますよ」
「そこをなんとか! そこをー! なんとかー!」
「……ま、いいか。高校生の頃だな」
「へぇぇ~。どこで知り合った人ですか?」
「当時バレーボールやってて、他の高校に試合に行ったりしててそこで知り合った人。函館の見晴公園(香雪園)ってところでね」
市長の初キッスの場所。函館の見晴公園(香雪園)
「うわ! めっちゃ綺麗な所や!」
「でしょ。何となく雰囲気がそうしなければという場所ですよ。だから函館の市長に『恋人の聖地とかでもっと見晴公園(香雪園)をアピールしろ!』って言ってんの」
「初キッスの場所を売り出そうとするな!」
「ちなみに初体験はいつですか?」
「初体験はね・・・」
(以下、事情により割愛させていただきます)
「弘前って大学が6つあって、お医者さんだって人口10万人あたり約440人居るのって全国でも有数なんですよ。つまり『都市』としての暮らしも出来るし、のんびり田舎暮らしも出来るっていう……ちょっと自慢しすぎた?」
「確かにさっきまで街を歩いてたんですが、思ったより都会ですね。でも、冬は雪がほら……」
「雪か……」
「やっぱり雪は弱点なんだ」
「まあぶっちゃけ、雪には覚悟してね、っていうのはありますね。ただ除雪に関しては先進地になろうと思っていて色々対策をしてます。地熱を利用したり、効率化したり」
「でも雪が溶けたあとの桜の季節は最高なんでしょうね。桜まつりは有名ですもんね」
「四月の下旬くらいから桜が咲きます。お濠に桜の花びらが散ったら、そのままお濠の水を堰き止めると綺麗な桜色のじゅうたんが出来るんです。それが花筏」
「なにこれ綺麗すぎ。なんでこの時期に呼んでくれなかったんですか……」
ますます元気になる市長とそろそろヤバくなってきている僕たち。
「市長、司馬遼太郎好きですよね、たぶん」
「おお……! そうなんですよ……! 大好きなんです……!」
「ですよね。僕も大好きなんです。司馬遼太郎の本はだいたい全部読みましたよ。さっき喋ってる時に島津斉彬っていう単語が市長の口から出た時にピンと来ました」
「いや、良いですね。坂の上の雲とかね。いやーー、若者と司馬遼太郎の話が出来るのは嬉しいなーーー!」
「ぼくは司馬遼太郎の本とかあんまり読まないんでわかんないんですけど、なんでわかったんですか! 読心術?」
「市長くらいの年代の政治家だったら8割くらいは司馬遼太郎読んでると思うよ。ちょろいわ」
それにしても……
市長、酒めっちゃ強い。
全然勝てなかった。
「じゃあまた! 今度は自宅の庭を見に遊びに来てください!」
「はい!」
ちなみにこの日のお会計はワリカン。
市長が出すにしても僕らが出すにしても色々と問題があるらしい。
実はこの対談の裏で、市役所の人達がめっちゃ働いてたんです。
僕らが「市長と飲んでみたい」ってワガママ言ったせいで、こうやってたくさんの人が動くハメになったわけですね。
(撮影協力:よしじん)
学生と街歩き
市長のように偉い人の意見だけじゃなくて、ごく一般的な人々にもどんな暮らしをしているのか聞いてみたい。そんなわけで、この日は弘前大学の学生さんに市内を案内して頂く事にしました。
左が小倉さんで右が加藤さん。
「HIROSAKI MAP」という学生さん自身がお気に入りのお店を集めたフリーペーパーを発行してる「Hiromaru」という団体に所属しているので、素敵なお店探しにはもってこいだそうです!
「案内してくれる所に風俗はある?」
「無いです」
さーて、どこに案内してくれるのかなーー!
大層マニアックな、地元の人しか知らないような所に連れて行ってくれるんだろうなー!
あれ。ひょっとして……?
「ここが弘前中央食品市場です。新鮮な魚介類なんかをその場で食べられます」
うん。知ってる。
こないだ来たからね。
続いては「石田パン」というお店に連れて来て頂きました。
店内はお客さんでいっぱい!
石田パンは老舗のパン屋で昔から受け継がれている津軽の味なんだそうだ。
その後もオシャレな雑貨屋さんや―
食器や家具などを取扱っているお店に案内してもらい―
なぜかおしゃれな美容院で髪を切ったりしました。
弘前ヘアー完成。シャンプーはいらないです、とお願いしたのでカットのみで3000円。
値段は割とふつう!
「なるほどね。弘前の文化レベルが高い、っていうのはなんとなくわかった」
「そうなんです。オシャレなカフェなんかも結構多いんですよ。美容院だってたくさんあって、渋谷とかより弘前の方が多いんじゃないか、ってくらいなんです」
「それは流石にウソだと思う。まあでも確かに、お城もあるし、でっかい本屋さんもあるし、街もなんとなくオシャレだよね。例えばこのオブジェ」
「この丸っこい石なんて、僕が産まれ育った大阪なら、お祭りの時に下の川に投げ捨てられるね」
「えっ。大阪ってそんな感じなんですか?」
「君達の年代なら知らないかも知れないけど、阪神タイガースが優勝した時にカーネルサンダースの人形が道頓堀川に投げ込まれとるからね」
「大阪すごいな……」
実際、弘前の学生はどんな暮らしをしてるのか、という事で、案内をしてくれた加藤さんが暮らす一戸建ての家にお邪魔してみた。
東京の学生の暮らしぶりとどれくらい違うか知るには良い機会のはず!
え。なにこれ。なんか広くない!?
二階建てで7部屋あるそうです!
なーにーそーれー!
「それで?家賃は?」
「6万3000円を三人で割るんで2万1000円ですね」
「安すぎ」
「なにそれ……! 価格破壊も良いとこ」
お酒が飾ってあったので思いっきり振りました。
良い暮らしをしてて腹が立つからです。
「なるほどね。弘前で暮らすのが、雪を除けば割と快適な事はわかった。家賃も安いし。……でも大事な事を忘れてない?」
「大事な事って?」
「夜の街はどうなのよ?」
「あー、鍛冶町っていう所が飲み屋街なので、そこにキャバクラとかもいっぱいありますよ」
「なるほどね。次はそっちの方の街をPRする企画、やりましょう!」
「やりません」
※この記事は弘前市のHP上で公開された内容を加筆・再編集したものです
ライター:ヨッピー
「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)