鉄道ファンの赤祖父です。今回、「途中下車の旅」を紹介してみたいので、ジモコロの編集部に企画を出してみたのですが…。
「途中下車って、あのテレビでやってるようなやつですよね? 1,000円くらいあれば足りますか?」
「加藤さん、それじゃ流石に「途中下車の旅」はできないんです。あの「途中下車の旅」はニセモノ。あれは『ぶらり”単に都度料金を支払って上下車しつつ明らかに仕込みくさい人と出会う旅”』です…!」
「…?(何言ってんだこいつ…)」
「あれ…疑ってる!? いや本当なんです! これを見てみてください」
「こちらが時刻表に載っているJR営業案内です。このように、途中下車とは「長い距離(100キロ以上)を一筆書きで旅行し、後戻りしないこと」を満たせば、きっぷを保持したまま駅から降りられることを言うのです(JRの場合)」
※詳細はJRや私鉄各社のホームページをご確認ください。
「へ~! 知りませんでした! ただ目的地の途中駅で降りるだけだと思ってました…」
「本当の途中下車の旅って、土日しか自由にならないサラリーマンにオススメなんですよ。例えば、この経路を土日で新幹線と特急を使って行ってくるとしたら、どれくらいお金がかかると思います?」
「う〜ん…4万とか…?」
「都度切符を買うとしたら、35,730円ほどかかりますね。でもですね…」
この長距離の片道きっぷと…?
この各種特急券などを組み合せば…?
「なんと、総計28750円!! 約7,000円もおトクなんですよ!! すごくないですか?」
「すご…!! でも、これキセルとかヤバいやつじゃないですよね…?」
「公式ルールですので大丈夫です! このようにですね…(ペラペラペラ)」
「こちらの運賃表のように、東京から京都までの運賃計算kmは513.6kmなので8,210円となります。一方、今回の長距離片道きっぷは1,177kmの運賃、13,820円。距離としては倍以上なのに、運賃は結構割安になってますよね!? 要するに、長い距離乗るとどんどんおトクになるというルールを利用した小ワザなんです」
「おお、なるほど!(どうでもいいけど、時刻表めくるスピードが異常だなこいつ)」
「じゃ、これ実践してきますから経費出してください!」
「わかりました!」
※詳細は記事の最後にまとめていますので参考にしてください!
目次
- 東京→名古屋→京都→金沢→東京の「途中下車の旅」をしてみる
- 途中下車の旅 1日目
- 名古屋で喫茶店をハシゴする!
- 途中下車の旅 2日目
- 京都で地元B級グルメを食べる!
- 金沢で寿司を食う!
- まとめ
- 「長距離ぶらり途中下車の旅」の注意点
東京→名古屋→京都→金沢→東京の「途中下車の旅」をしてみる
というわけで今回は、このきっぷが実際に使えて長距離ぶらり途中下車の旅ができるということを実証してきました。
要点をおさえておけば、乗り鉄じゃなくても誰でもおトクに旅ができるのです!
改めまして、今回はこのような内容のきっぷをセットで買っています。
京都〜山科の乗車券については後ほどご説明しますね!
途中下車の旅 1日目
今回は名古屋の友人を訪ねるのがメインの予定なので、まずは片道きっぷと東京→名古屋の新幹線を組み合わせます。
ウトウトしていたら、あっという間に名古屋に到着。新幹線、速い!
名古屋までの新幹線自由席のきっぷはここで終了。片道きっぷには途中下車印を押してもらうために有人改札を通ります。
名古屋では、趣味の喫茶店巡りをするぞ~!
名古屋で喫茶店をハシゴする!
まずは名古屋で何店舗か展開する老舗チェーン、コンパルです。
コンパルの名物エビフライサンドです。
同じくコンパルの名古屋コーチン玉子サンドです。はい要するにパンを食べまくっております。
さらに喫茶点をハシゴするぞ~!!
珈琲トミタ。こちらは、2人のマダムが切り盛りする明るい雰囲気の喫茶店です。
こちらではミルクセーキを。それでもモーニングだと自動的にパンが付いてきます。さすが名古屋の喫茶店…。居心地のいい空間でした。
そして今回巡ったなかで特にイチオシ純喫茶、ロビンです。
ロビンのマダムはまだまだお元気。そしてその娘さん、孫娘さん、曾孫娘さんと4世代勢揃いでした。圧巻の明るさ!
曾孫さんの描いた宣伝ポスターがかわいらしい。
「世界一おいしいコーヒーはここにあります」とのことです。確かにそのとおりでした!
夕方には友人宅を訪問し、その新しい家族に初対面。かわええ〜〜〜〜!
その後は居酒屋に移動して飲み、名古屋市内に宿泊しました。
途中下車の旅 2日目
2日目は、まず名古屋から京都へ移動します。
ここで冒頭に出てきた「山科〜京都」のきっぷについてご説明いたしましょう!
ちょっとややこしいのですが、要するにこの経路を参考にする場合は「京都から先で途中下車したいなら、山科より先は運賃がかかる!」と覚えておけばオーケーです。
(以下、詳しく書きますが、読み飛ばしても大丈夫です)
これが山科駅と京都駅における特例扱いのイメージです。この片道きっぷは、本当は山科駅で湖西線に入っていく扱いになっています。ですが、山科駅には東海道新幹線が停車しないので、特例で山科〜京都間の折返しには運賃がかからないことになっています。詳細はJRのホームページに記載されています。
ただし京都駅で降りる場合にはきっぷが別に必要になるので、追加で普通の往復運賃を支払っているのです。なお、これを応用すれば大阪やそれより先へも普通に往復きっぷを別途買うことで行けることになります。
はい、京都に到着。新幹線だと名古屋からは一瞬です。めちゃ近い。新幹線はやっぱ速い。
京都で地元B級グルメを食べる!
京都ではB級グルメを楽しむことにしました。
「京都=お寺を回らなければいけない」という思い込みを排除すると、まったく別の魅力を放ってくるところも京都のいいところです。
まずはこちら、「あいこちゃん」という鉄板焼きのお店です。
マダムに「油かす」(ホルモンを揚げたもの)入りの焼きそばをオーダー。
手際よく作ってくれます。
油かすの食感も始めてでおいしかったですが、この京都ローカルドリンク「フジドリンク」のわざとらしいメロン味とのマッチングが最高でした!
ああ、心の中で言いたくなる「このわざとらしいメロン味!」。
続いてこちらも鉄板焼きのお店「本多」。地元の方で賑わっています。
この渋み溢れる店構えに、すっかり心がヤラれます。
こちらでは京都風のお好み焼き(「ベタ焼き」と言うそうです)に同じくローカルドリンク「パレード」の瓶入りコーヒー牛乳をつけました。
沈殿したコーヒー牛乳の濃い部分をフリフリして分散させながら、ハフハフとベタ焼きを鉄板から口に運ぶと、もう最の高!
続いて京都から金沢へのきっぷの組合せはこちらです。京都〜山科間は先ほどの説明のとおり、別途に乗車券が必要となります。
また、京都〜金沢間の「特急サンダーバード」の料金がかなり安くなっているのは、新幹線との乗り継ぎ割引が適用されているため。新幹線の特急券とセットで買えば割引してもらえるので、ぜひセットで買いましょう!
サンダーバードからの車窓です。
普通列車でのんびり行くのもよさそうですね。
京都から金沢までは、サンダーバードで約2時間。
時間の余裕があれば、福井で途中下車して一泊…といったプランを考えてみるのもいいかもしれませんね。
2015年は北陸新幹線の開業でかなり盛り上がった、金沢に到着しました。
冬なのでもう暗いですが、日の長い夏ならまだまだ散策できる時間です。
金沢で寿司を食う!
ただ、今回はもう帰らなければならないので、駅前で金沢のお寿司を食べるだけで帰ります。
「ラーメンを食べるためだけに北海道へ行った」というスネ夫の自慢話みたいなことを大人になった自分がするとは思いませんでした。
駅前のフォーラスというショッピングビルの中にある回転寿司の「もりもり寿司」。
行列必至ですが、整理券発行システムが採用されているので、待ち時間を買い物などに充てればそれほど苦にならないかもしれません。
この日は30分待ちで入店できました。
回転寿司ですが、注文はiPad!
回っているアレコレは完全無視で、握りたてをいただけます。それにしてもネタのクオリティが高い!
左上から中トロ、うに、ぼたんえび、のどぐろ3点盛り、白子、あわび。
えんがわ、たら、ぼたんえび、お会計、です。東京で食べたら倍の値段で済むかどうか…といった鮮度。
本当においしいので、これのためだけに金沢経由で帰るのも十分アリだと感じました。
寿司を堪能してお土産を買ったら、北陸新幹線で東京に帰ります。
結局食べてばかりでしたが…。
特急券は1回までの変更は無料でできるので、取り敢えずで取っておいた一番遅い列車の指定席券を変更。この日はもう満腹な上に外も真っ暗、そのうえ当然ですが翌日が仕事だったので帰ることにしました。サラリーマンは日曜の夜は守りに入る習性があるのです。
…これまたウトウトしてたら2時間半後には東京に到着。乗り心地もいいし、北陸新幹線すげぇ〜〜〜!
飛行機でもLCCなら安くて速いですが、空港から駅までの遠さと空港に入ってからのロスタイムを考えると、新幹線の手軽さはバランスが取れていて最高です。
歴戦の勇者の身体に刻まれた傷跡かのように、いろいろな途中下車のハンコが押された片道きっぷの勇姿。よくぞがんばってくれた…!!
きっぷは最後に窓口で「無効印をお願いします」と言うと、回収されずにこうして無効化したきっぷを返してくれます。記念に持っておきたい人は、お願いしてみてください。
まとめ
旅費をまとめてみました。
特急券は途中下車したら無効になるので、きちんと降りる駅まで買う必要があります。
今回は名古屋→京都→金沢で降りたかったので、そのような内容で購入しました。
大回り片道きっぷと都度きっぷを買ったときとの差額はこのようになり、結構な差がでていることがわかりますね。
また比較例として、単に東京〜京都間を往復するだけの場合との差額も案外小さくなっています。
また別の観点の比較例として、おトクきっぷの代名詞、青春18きっぷとの同一行程におけるかかる時間的な差は以下のとおりです。
青春18きっぷの安さはすばらしいのですが、普通列車しか乗れず、第三セクター化した地方路線が多いことから、最近はなかなか使い方が難しくなりつつあります。単純に、時間のない方だとこれだけで移動は厳しいですよね…。
さらに18きっぷの場合は、別途特急券だけ買って新幹線に乗る、ということもできません。
一方、長距離片道きっぷの場合は、北陸新幹線の開業で極めて実用的なプランが立てられるようになったというのが大きいと思います。
18きっぷとの金額差はもちろん小さくないものですが、タイムイズマネーなこういう選択肢もあるよ…とご理解いただければ幸いです。
なんといってもこの片道きっぷは応用の利かせやすさが特徴ですので、ご都合に合わせて降りる駅を変えたり足を伸ばす先を変えたりと、いろいろ考えてみると楽しいですよ!
もちろん、東京以外にも大阪や名古屋からもスタートできますから、みなさまの最寄り駅からのルートを考えてみるのも楽しいと思います。
「長距離ぶらり途中下車の旅」の注意点
●一筆書きの旅程でないと成立しないので、時刻表を買ってみて、経路をよく考えた上できっぷ購入時にも駅員さんに問題がないか確認しましょう。
●旅行中、このきっぷで後戻りはできません。後戻りしたい場合は、途中下車をした駅できっぷを別途買いましょう。
●思わぬところで自動改札や駅員さんに回収されないよう、改札では有人の改札口を通り、駅員さんにも説明すると安心です。混雑していることも多いので、時間には余裕を持つといいですね。
●駅員さんに説明をキチンとできるよう、旅程のメモなどを持つと安心です。なおこのような旅をする人は結構いるので、通常は軽い説明で十分納得してもらえます。
●山科〜京都の扱いもほとんどの駅員さんは慣れているので大丈夫です。購入時、途中下車時とも堂々と説明しましょう。
●特急券には途中下車という考え方がないので、乗り降りする駅までキチンと買いましょう。
●きっぷの有効期限内であれば、何度も途中下車可能です。今回の場合は7日間有効なので、時間が許せばもっと途中下車駅を増やすこともできますよ!
最後までご覧いただきありがとうございました。
それではよい乗り鉄ライフを!
最後に、金沢にて人の会社のお金で旅をさせていただいたことへの感謝の意を表します。ありがとうございました…。
※各種料金、列車情報等は2015年12月時点の内容です。
※詳細は駅職員等にご確認の上、経路やきっぷの購入内容に問題がないかよくご確認ください。ジモコロは個別のご質問にはお答えできかねますので、あらかじめご了承ください。
ライター:赤祖父
三流情報サイト「ハイエナズクラブ」の執筆や編集をしたり「全国ノスタルジー探訪」というブログを書いたりもしているインターネット大好きおじさんです。鉄道や写真も好きです。スマホの電波が入らない場所に行くと急に弱気になります。
Twitterアカウント→@akasofa