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『クマソの穴』ヤマトタケルに滅ぼされた部族が住んでた穴

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『クマソの穴』ヤマトタケルに滅ぼされた部族が住んでた穴

先日、鹿児島に行った時のこと。

移動中の車内から景色を眺めていると、気になる看板があったんです。

 

『熊襲の穴』

 

“熊襲”と書いて“クマソ”と読みます。

クマソというのは、日本神話に登場する一族で、大和朝廷に抵抗した九州南部の勢力。最終的にヤマトタケルに滅ぼされたとされています。

 

その……穴???

 

地元の人に聞くと、5分くらい山道を登ればすぐだよ、とのこと。雨だったのでちょっと迷ったんですが、雨合羽を羽織って向かってみます。

 

さて、『クマソの穴』とやらに到着する前に、ヤマトタケルについて軽く書いておきましょう。

なぜなら、『古事記』で描かれるヤマトタケルは、めちゃめちゃなサイコ野郎で、おもしろいからです。

 

ヤマトタケル

※実はクマソ征伐するまではオウスノミコトという名前だったんですが、ややこしいのでこの記事ではヤマトタケルで統一します

 

ヤマトタケルは『古事記』や『日本書紀』に登場する英雄です。

特に有名なのは九州のクマソを滅ぼした「西征」と、東海や関東、東北を平定した「東征」でしょう。

 

草むらで奇襲を受け、火に囲まれた際、『天叢雲の剣(あめのむらくものつるぎ)』で草を薙ぎ払って助かった、というエピソードも有名ですね。なので、『天叢雲の剣』は『草薙の剣(くさなぎのつるぎ)』とも呼ばれます。

 

※『天叢雲の剣』=スサノオがヤマタノオロチを倒して手に入れたとされる神剣。三種の神器のひとつ。ただし、天叢雲の剣と草薙の剣は別物だとする説もあります

 

などと話している間にも山道を登っていきましょう。

雨だからというのもありますが、鬱蒼と生い茂った草木に古代の空気を感じますね。

 

せっかく『熊襲の穴』に向かっているので、クマソ征伐についても書いておきます。

そもそもなぜヤマトタケルはクマソを征伐することになったのか?

 

理由はヤマトタケルが―

 

 

自分の兄を惨殺しちゃったんですね。殺害に至るまでにはちょっとした言葉の誤解があったんですが……とはいえ、めちゃめちゃなサイコパスです。

※ちなみに兄を殺したと書かれているのは『古事記』のみで、『日本書紀』では兄は死んでいません

 

兄を惨殺した事実を知った父は、「こいつやべぇwww」と感じ、ヤマトタケルを疎むようになります。そのため、クマソ征伐という名目で、九州という遠方に遠ざけたわけですね。

 

そんなわけで、ヤマトタケルは、九州南部の「クマソタケル」と呼ばれる兄弟(タケルは“強い男”という意味)を征伐に向かいます。

 

10代の美少年だったヤマトタケルは、女装してクマソの宴会に忍び込みました。

そして、その美しさに見惚れたクマソタケルの兄を、短刀で殺害します。

 

それを見た弟は逃げ出しますが、すぐに追い詰められ、「ヤマトの国には我ら兄弟より強い男がいた」と武勇を讃えました。

で、冒頭で書きましたがヤマトタケルは当時オウスノミコトと名乗っていたんですが、そんな彼に名を譲って「ヤマトタケル」の号を献じたわけです。

 

ちなみに、その言葉を聞いた直後に、ヤマトタケルはクマソタケルの弟を真っ二つに斬り殺してます。やっぱりだいぶヤバいやつですね。

 

以上、ヤマトタケルの「西征」でした。

※ヤマトタケルの英雄譚は、他の話も不意打ち・騙し討ち・極悪行為のオンパレードなのでおもしろいですよ!

 

どこが「5分登ればすぐ」だよ……と、恨みながら20分ほど登ると、何か門のようなものが見えてきました。

 

山門の横にあった立て札を読むと、『熊襲の穴』というのはクマソの一族が住んでいた住居らしいですね。クマソって穴居人だったの?

 

これが『熊襲の穴』……

 

まあ、こういうのは実際のモノがどうというより、古代に思いを馳せるスイッチの役割なので、僕的には十分楽しめました。

だって神話の時代、ここで英雄・ヤマトタケルが戦ったんだなぁ~なんて、考えるだけでワクワクしませんか?

 

以上です。

 

「5分で登れる」ので、近くに来た際は是非立ち寄ってみてください。

現代美術家が描いたモダンアート壁画とかも見られる……らしいです。僕は興味ないので詳しくは調べてみてください。

 

熊襲の穴

場所|鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4381−1

時間|特になし

駐車場あり

 

 

(おわり)


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