みなさん、風、感じてますか?
風といっても、大都会を吹き抜けるビル風でも、地下鉄がホームに連れてくる列車風でもありません。
ブーン! ブンブンブーン!!!
青春時代のシンボル的乗り物……そう、バイクだからこそ感じられる”あの爽やかな風”です!
申し遅れました。ジモコロライターの田中です。
実は僕、学生時代に普通二輪の免許を取得してバイクも購入したのですが、上京のタイミングで手放してしまったんです。
以来、10年以上バイクとは疎遠に……。
でも、スカッと晴れた日や、海沿いの道なんかを見ると、今でも無性に感じたくなるんですよね、あの風を!
という話をジモコロ副編集長のギャラクシーにしたところ……
「レンタルバイクって知ってます?」
「何それ? レンタカーみたいに、バイクをレンタルできるサービスがあるんですか??」
「あるらしいよ。実は僕も15年前までバイクに乗ってたんだけど、売っちゃったのよ。久しぶりにバイクに乗ってみたいんだけど。そのために買うのも、ちょっとねぇ? そんな時に……」
「レンタルすれば良いと! なるほどメッチャ最高じゃないですか! ぜひ借りてツーリング行きましょうよ!」
「オーケー! じゃ今から行こう」
「今!? いや予約とかしてないし、心の準備が……」
手ぶらでも安心! レンタルバイクってどんなサービス?
半ば強引に連れられてきたのは、『レンタル819(バイク)』お台場店。全国130以上の店舗を展開し、そのシェアは国内最大規模。
店内には、最新のバイクがズラリと並んでいます。カッコイイ!
「うぉぉぉ~! 久しぶりに血が騒ぐぜー!」
「確かに、改めて見るとバイクってカッコイイですよね。でもいきなり『バイク貸してください』なんて言っても……」
「いけます」
「誰!?」
「はじめまして。『レンタル819』を運営するキズキレンタルサービスの林です。初めてのご利用でも、免許証と本人名義のクレジットカードさえあればご利用いただけますよ」
「あの~、バイクは遠い昔に売っちゃったんで、ヘルメットもグローブも持ってないんですけど」
「いけます」
「嘘っ!?」
店内にはヘルメットやグローブのレンタルコーナーが。サイズも幅広く用意してくれているので、僕のような頭囲60cm以上のビッグヘッドにも対応してくれるそう(本来ヘルメットは要予約です)
「予約とかしてないんですけど、それでも?」
「えぇ!? 予約を……していないぃぃ~~~?」
「いけます」
「マジで!」
「乗りたい車種がある場合は事前にご予約いただいたほうがいいですけど、アポなしでもご利用できます」
「ちなみに、どういった車種をお借りできるんですか? 借りることが可能とわかった途端に、めちゃめちゃ目移りしてきた!! あれも良い! これもかっこいい!」
「定番のものから、かなり新しいモデルまで、しかも国内メーカーだけではなく、DUCATIやHARLEY-DAVIDSON、BMWといった海外メーカーも取り揃えてます。お好きな車種を選んでください」
※思い出のバイクや乗ってみたかったバイクがある人は予約しよう!
ド迫力のハーレー! 高くて買えなかった憧れの車種も、レンタルなら……!
「街乗り用から、オフロード用、さらにはビッグスクーターまで、あらゆるニーズに応えてくれるラインナップだ……。あ、原付も借りられるんですね」
「そうなんです。最近では、TV番組『水曜どうでしょう』に影響を受けてカブを借りにきた大学生のグループがいたり、アニメ『ゆるキャン△』の影響でソロキャンプをしたい女の子が原付を借りに来たこともありました」
世の中のトレンドを受け、東京モーターショーにはアウトドア仕様にしたクロスカブを出展。かなり話題になったそうです。なにこれ、めちゃかわいい!
ふじさんとカレーめん
実は「バイク離れ」はそれほどでもない
「若い世代の方たちや女性の方たちも結構利用されているんですね。『バイク離れ』のイメージが強かったので、少し意外でした」
「バイクを購入する世代は50代の人たちが多いんですが、レンタルとなると、利用者は20代から70代まで平均的に分布しています。『バイク離れ』と言われていますが、若い人たちも乗りたいということですね」
「乗りたいけど、買うお金はないってことか……と言ってる僕も、買うのはちょっと厳しいから、こうしてレンタルバイクに興味を持ったわけですけど」
「バイクの価格はこの20〜30年でだいぶ高騰していますからね。昔は70万円ぐらいだった車種が、今は140〜150万円くらいになっています。それに対して若者の給料はそこまで上がっていないので……」
「140〜150万円のバイクを購入できる人と、レンタルする人、二極化してきてきてるのかな?」
「ちなみに、バイクを購入する場合とレンタルして月に数回ツーリングにいく場合、車体や維持費含めてどのくらい差が出るものなんですか?」
「あくまでも当社のデータですが、レンタルは購入する場合と比べて、およそ100分の1の費用で済みます」
「やっっす!! でも、そりゃそうか。バイクそのものだけじゃなくて、駐輪所も要らないし整備代もかからないんだもんなぁ」
レンタル819の料金体系。250ccのバイクを24時間利用すると、12,400円!詳細はこちら
「僕らのように、免許はあるけどしばらく乗っていなかったペーパーライダーだと、やっぱり保険が気になるんですが……」
「まず、基本料金のなかに任意保険が含まれています。対人賠償や対物賠償ですね」
「正直、久しぶりすぎてうまく運転できる自信がありません。もしコケちゃったら……?」
「コケてしまった場合などは車両補償があります。車種のクラスによって金額は異なるんですが、P-4のクラスだと1日3200円を支払えば、全損させてしまっても、免責の5万円をご負担いただくだけで大丈夫です」
その他詳しくはこちら
「手厚い! これで心のつかえが取れた」
「では、実際にレンタルしてツーリングしてみてはいかがですか? お台場からだと、千葉方面なら富津岬、横浜方面なら三浦半島や江ノ島、八景島あたりがいいと思いますよ」
「ツーリングコースまで教えてくれるの!?」
「私もスタッフもバイク大好きなライダーばかりですから。どういうツーリングにしたいとか、どこを見たいとか、漠然と『どっか良いコースない?』とかでも構いませんので、お気軽にご相談ください」
「でも、実際に運転するのは、まだ不安が……」
「とりあえず、どういう車種にするか、試乗して選んでみましょう。バイクにまたがってみれば、気分も盛り上がってくるはず!」
バイクを選ぶ時間は最高に楽しい
レンタルするなら、まずは車種を選んでまたがってみましょう。
僕は、ずっと乗ってみたかったオフロード車にトライ……しようと思ったんですが、足の長さに不安が残るので、違うのにしようかな。
結局、足が楽々届くカワサキのエストレヤにしました。おしゃれバイクの代表格ですね。林さんによると、女子人気も高いそう! モテるかな〜?
こうやって、気軽に色んな車種を試せるのも、レンタルバイクの魅力ですね!
ギャラクシーは一度乗ってみたかったというビッグスクーター(スズキのバーグマン)を選んだようです。ブラックのボディがかっこいい!
車種が決まったら、車体にキズがないかチェックしたり、
契約に関するアレコレを記入したり。このあたりはレンタカーと同じですね。
スマホホルダーも借りられるから、ナビ機能を使えば土地勘がなくても安心!
運転が久しぶりという人は、どの道をどう通って……なんてことを考える余裕がないかもなので(僕がそうでした)、絶対に借りたほうが良いです。
オプションの料金表
ヘルメット(要予約) ¥1,000/1日
ディスクロック/ワイヤーロック ¥200/1日
グローブ ¥300/1日
ツーリングネット ¥100/1日
スマホホルダー ¥500/1日
インカム ¥1,500/1日※店舗により取り扱いが異なるため、詳細はご利用予定の店舗にご確認を!
優柔不断な僕らは車種選びでかなり時間を使いましたが、ここまでの所要時間は30分くらい。あっけなく借りることができました。
「じゃあそろそろ、実際にツーリングに行ってみましょう!」
「あ、はい……まあ、どうします?」
「ん? え? もう行くの? え?」
「じゃあ……うん、はい」
「ビビりすぎ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいね。え~っと……左手がクラッチで、左足はギアですよね……?」
「え、このボタン何? ウインカーどれ?」
「落ち着いてください! 運転の仕方はスタッフがちゃんと教えますから!」
「不安しかない」
「大丈夫ですって! お店にはお二人みたいに10年20年バイクに乗ってないって人もいっぱい来るんですから。そんなお客さんでも、戻ってくる頃には晴れやかな笑顔になってるものですよ」
「え? あ……はい?」
「(聞こえてねーな……)」
とりあえずバイクを借りることには成功したので、ここからは二人で実際にツーリングに行ってみたいと思います!
ツーリングスタート!
「じゃあ、行くか」
「10年ぶりだからマジで運転の仕方がわからない。まずはセルスターターを押しながらアクセルを回して……」
キュロロ! ブォンッ! ドッドッドッドッ……!
おぉ、エンジンかかった! で、一速にチェンジしたら……
ドドドドドドドドドドドド……
「うわ怖~~~!!!!」
「風になるどころじゃない。マジで怖い。恐怖以外の感情を失ってしまった」
「次はどっちに行くんだっけ。道なりに真っ直ぐで、途中で……」
「田中くん、ウインカー出しっぱなし!!!」
最初はビビり倒しの二人でしたが、30分もすると余裕が出てきました。頭ではバイクの運転を忘れていても、体が憶えてるものですね。
「最高~~~~!!! そっちどう?」
「周りを見る余裕が出てきてからは楽しくてしょうがない。そうだった、バイクってこんな感じでした。これを求めてたんです僕は!」
「僕なんか車の免許を持ってないから、公道に出ること自体15年ぶりだったのよ。最初はホント怖かったけど、気づいたらいつのまにか、『イージュー★ライダー』口ずさんでたわ」
「僕は玉置浩二の『田園』でした。あ、なにやら巨大な橋が見えてきましたよ! あれは……」
「横浜ベイブリッジだ~~~~~~!!!!」
「イエ~~~イ!!!」
横浜ベイブリッジをバイクで渡るなんて滅多に経験できないので、ヘルメットにカメラを装着してみました! 横風がちょっと怖いけど、開放感がすごすぎる!!
「気分も盛り上がってきたところで、オナカすいてきましたね。このへん、ウマいラーメン屋があるんですけど、行きません?」
「ツーリングと言えばラーメンだよね! 行こう行こう!」
というわけでやってきたのは、横浜家系ラーメンの名店、杉田家さん。
このコッテリ感がたまらん〜〜!!
まさに家系。濃い味が疲れたカラダに染み込む……
普段食べるラーメンの何倍もウマい気がする!!
「バイク、楽しいですね。明らかに車より不便な乗り物なのに、何がこんなに楽しいんだろ」
「登山でも、ロープウェイで頂上に上るより、歩いて登ったほうが達成感はあるでしょ。不便とかしんどさって、決して悪いものではないですよね」
「(ライダーあるある……カッコつけたセリフ言いがち)」
「20年前、淡路島をバイクで一周したことあるんですよ。途中で雨が降って顔が痛くて、半泣きで走り続けたつらい旅だったのに、人生で一番覚えてる旅がその時のツーリングで。その後、車でも一周したんだけど、そっちはまったく記憶に残ってない」
20年前のギャラクシー
「つらい旅のほうが記憶に残りますよね。バイクは特に天候とか気温がダイレクトにのしかかってくる。『夏は涼しそうで良いね』って言われがちだけど、実はメチャ暑いとか、意外と知られてない」
「あるある」
お腹もいっぱいになったところで、再び目的地を目指します。目的地と言っても、何となく海の方……くらいしか決めてなかったんですけど。
「それにしても、エストレヤは安定感抜群! 車高が高くないからトラックが横を通っても風の影響を受けにくくて、めちゃめちゃ運転しやすいです! 信号待ちでも足が地面にラクラク届くので安心感もありますね」
「なるほど、だから小柄な女性ライダーにも人気なんだろうね。手軽にマニュアル車のおもしろさを味わえるというか」
「ギャラクシーさんはビッグスクーターに乗ってみたかったってことですけど、今回、実際に乗った感じはどうでした?」
「バイクは不便さが良いって話をしたけど、ビッグスクーター……めっちゃ快適です。まず、ギアチェンジの必要がないっていうのが、久しぶりに乗るライダーにはピッタリ。なのにスピードも出るし、ポジションも楽だし、メットは収納できるし」
さてさて、そんな約2時間のツーリングの末、ついに目的地に到着しましたよ!
八景島!! クルマでも電車でも来れるけど、バイクだとアドベンチャー感が段違い!!
ツーリングの定番といえば、やっぱりソフトクリームと……
甘めの缶コーヒー! カップに入ったコーヒーじゃだめなんですよね。缶コーヒーじゃないと! 理由はしりませんが、とにかくそうなんです!!!
「ギャラクシーさん、改めてですが、バイクめっちゃ楽しくないですか?」
「うん、最高。若かりし日のことを思い出しちゃうね」
「わかる〜! 青春時代にカムバックしちゃう〜! 甘酸っぱい〜!」
「落ち着いて」
「そりゃ利便性を考えればクルマの方がいいかもしれないけど、やっぱりバイクにはバイクの魅力がありますね」
当初はビクビクしながら運転していましたが、帰る頃にはすっかり慣れてました
というわけで、再び2時間ほどのツーリングを経てお台場まで帰ってきました。ガソリンを満タンにして返却しましょう
時間としてはたった4〜5時間。行き先も都内から目と鼻の先。どうってことのない日常です。でも、バイクに乗ったとたん、日常の風景が非日常になる……それがバイクの醍醐味なんじゃないかと感じました。
「ペーパーライダーのみなさん! レンタルバイク、楽しいよ!!」
(おわり)