「ングッ……ングッ……ングッ……」
「プハーッ!! これこれ~~~!!!」
突然の「ングッ……ングッ……ングッ……」からの「プハーッ!! これこれ~~~!!!」で失礼します。
ジモコロをご覧のみなさんはじめまして、ライターのニシキドアヤト(@art_0214)です。
最近の悩みは、大阪と東京の2拠点生活を送っているんですが、そのどちらの飲み会にも誘ってもらえないことです。誘ってください。よろしくお願いします。
それはそうと......
みなさんが冒頭の写真を見て、「この人、何を飲んでそんな美味しそうに『ングッ……ングッ……ングッ……』からの『プハーッ!! これこれ~~~!!!』してるの!? 自分もこんな最高な『ングッ……ングッ……ングッ……』からの『プハーッ!! これこれ~~~!!!』したーい!! ねぇ~! したいの~! 教えて~!」
という声が聞こえるので、教えます。
僕が飲んでいるのはコレ!
「白バラ牛乳」です!!
白バラ牛乳は、鳥取にある大山乳業農業協同組合が製造・販売をしている牛乳で、その味はほんのり甘く、後味はスッキリ! ゴクゴクいけちゃう鳥取県民のソウルドリンクなのです!
この白バラ牛乳、そのあまりの美味しさに鳥取を越え、全国にも熱狂的なファンが多くいることをご存知でしょうか?
その人気は、白バラ牛乳のパッケージデザインのTシャツや、スマホケースまで販売され、瞬く間に完売してしまうほどなのだとか!
牛乳パックデザインのグッズがバカ売れって、どういうこと???
僕、気になります!!!
鳥取にやってきた
どうしても気になるので、白バラ牛乳を製造している大山乳業さんが本所を置く、鳥取県にやってきました!
鳥取県では、普通のスーパーにも白バラブランドの商品がズラリ。なんだここは......ここが天国(ヘブン)......?
ちなみにこの白バラコーヒーもマジで美味いので、飲んだことがない人は絶対に飲んでください。
大山乳業の本所工場へ
そしてやってきたのがコチラ! 大山乳業農業協同組合の本所工場です!
すごい。ここであの美味しい白バラ牛乳が作られているのか......!
商品のラインナップがズラリと並ぶ。
知らない商品もある! 飲んでみたい......。
そしてこちらが今回、我々に白バラ牛乳のアレコレを教えてくださる、大山乳業農業協同組合・企画室の福井さんです。
「本日はお忙しいところ、ありがとうございます」
「こちらこそ、遠路はるばるありがとうございます。今日は楽しんでいって下さい」
「はい!早速なんですが......」
「サインください」
「?」
「サインください」
「?」
「?」
「ありがとうございます! 白バラ牛乳の大ファンなので、めちゃくちゃ嬉しいです」
「私のサインなんかで良いんですかね?」
「こちらに務めている方のサインであれば、誰でもいいんです」
「シンプルに失礼では? ......あの、でははじめに私たち大山乳業の活動をまとめたビデオをご覧いただきますね」
ビデオでは、主に生乳を生産する酪農家さんたちの一日や、生乳が工場でどのような処理をされるのか、といった映像が約15分に渡って流れます。
ビデオによると、鳥取県内の全ての小中学校で、白バラ牛乳が給食に出てくるらしいです。なんだそれ羨ましすぎる......。
鳥取県で生まれ育ちたかった......。
出される牛乳やおやつが嬉しい......!
白バラ牛乳が作られている工場で、白バラ牛乳が作られている過程を見ながら飲む白バラ牛乳は最高です。
大人気の白バラグッズはいかにして生まれたのか
「お疲れ様でした。いかがでしたか?」
「知らないことだらけですごく楽しめました! 福井さんは、企画室では広報なども担当しているとのことでしたが、どんなことをされているんですか?」
「HPやFacebook、Instagramの管理などもしています。最近話題になった白バラTシャツやスマホケースも手掛けていますね」
「え!福井さんがあの白バラTシャツやスマホケースの生みの親だったんですか!?」
こちらが一時期ネットを賑わした白バラTシャツ。
白バラコーヒーTシャツも最近、お笑いタレントのイモトアヤコさんが着用している写真をInstagramにアップし、話題になりました。
「そうなりますね!」
「おぉ......! まさか生みの親にお会いできるとは......! サインをもらっておいて良かった......。白バラグッズはいまや大人気となっていますが、こういった商品が生まれたきっかけなんかはあったんですか?」
「最初、こういったグッズ展開は全然考えていなかったんですよ。一昨年に大山乳業の創立70周年記念式典がありまして、企画室もその時の事務局として立ち上げたんですよね」
「なるほど、じゃあ企画室自体も最近できたものなんですね」
「そうなんです。で、せっかくなので来てくれた人に面白いものを渡せたらいいな。という思いがありまして、記念式典が11月だったのもあり、お年玉を入れるポチ袋を作って配ったんですよ。そしたら......」
「そしたら......?」
「もう、大好評で(笑)」
「これだけ(笑)が似合う人もそういないな」
こちらがそのポチ袋。めちゃくちゃ可愛い......!
これは欲しくなぁ。
「そして式典の後も『あれはどこで買えるの?』『売ってないの?』といった問い合わせが多く、『じゃあ......一回売っちゃう?』という感じでHPで告知を出したんですね。そしたら......」
「そしたら......?」
「即・完・売!」
「悪・即・斬 みたいに言う」
「それで、『なんでこんなに売れるんだろう?』と考えた結果、おそらくパッケージじゃないかと、『もしかして、パッケージを使えば食べ物じゃなくても売れるのでは?』と思ったんです」
「なるほど......!」
「そこで最初のグッズとして、マスキングテープを作ったらこれも大反響で(笑)。そこからTシャツ、スマホケースとグッズ展開してきました」
マスキングテープとスマホケース。
「素晴らしい商才ですね......! スマホケースなんかは、僕の周りでも愛用している人が結構いますよ」
「本当ですか! 嬉しいです!」
「私もなんですよ」とスマホを見せてくれる福井さん。
「このケースはまだiPhone用しか製造されていないんですよね。もともと私もアンドロイドユーザーだったんですが、どうしてもこのケースにしたくてiPhoneに機種変更してしまいました」
「自社愛がすんごい」
自社のスマホケースを使用したいが為に機種変更する人、普通いる?
白バラグッズの生みの親は、熱狂的な白バラファンだった。
「お話を聞いていると、福井さんの凄まじい自社愛が溢れて止まらないように見えます」
「そうですね、私は鳥取出身でまさにこの白バラ牛乳で育ったんです。本当にこの牛乳が大好きで、『水の代わりに白バラ牛乳を飲んできた』と、親に言われるほどなんですよ。身長が180cm以上あるのも、白バラ牛乳のおかげかもしれません」
「水の代わりに......! こちらに就職する前から、熱狂的な白バラファンだったんですね」
「はい、なので今こうして、組合を通してより多くの人に白バラ牛乳を知っていただく為の活動が出来ていることが本当に嬉しいんです。ネット上の『白バラは神の飲み物だ』『幻の飲み物』なんていう評判を目にすると最高にやりがいを感じますね」
「素敵だ......」
「企画室も私を含めまだ二人しかいないんですが、組合はある程度自由にやらせてくれています」
「これだけ自社愛に溢れている人が広報を務めていれば、企業としても安心だろうなぁ」
どうしてこんなに美味しい?白バラ牛乳のこだわり
白バラコーヒーで乾杯!
「あ~、やっぱりコーヒーもめちゃくちゃ美味い! 個人的に、白バラ製品ってスッキリとした甘さが特徴的だなぁ、と思っているんですが、その辺はこだわりのポイントなんかはあるんでしょうか?」
「なるほど」
「これはですね、ちょっとマニアックな話になるんですが......」と、福井さん。ヤバい、マニアック地雷を踏んでしまった?
「大山乳業の工場内には、検査室という場所があるですが、あそこで何を検査しているかというと乳脂肪分だったり、固形分だったりを調べているんですね」
「はい」
「そしてこれが大事なんですが、『体細胞数』というのも検査しているんです」
「たいさいぼうすう」
「はい。で、『体細胞数』というのはなんなんのかというと、母牛の白血球や体内から剥がれ落ちた細胞なんです。これらが多いと、渋みや塩味といった味覚に対するマイナスな成分が入ってしまうんですよ」
「はい」
「大山乳業では、この『体細胞数』などの一定の数値があって、『この数値以下のものでないとペナルティを与えますよ』という独自の基準を設けているんです」
急に押し寄せてくる情報の波に、「はいbot」と化す僕。
「な、なるほど......! 逆にその『体細胞数』なんかの数値が低ければ低いほど、雑味のない、コクと甘みのある美味しい牛乳になるわけですね! では、その数値を抑えるための努力は酪農家さん達がされているんですか?」
「大山乳業には、酪農指導部という部門がありまして、獣医も含めた牛の専門家集団なんです。その酪農指導部では120数戸の酪農家の餌の供給・乳質管理・酪農経営といった多岐に渡ったサポートをしています」
「乳業メーカーに獣医がいるってなんかすごいですね」
「鳥取県は、『牛群検定』の実施率も日本一なんですよ」
「ぎゅうぐんけんてい」
「『牛群検定』とは、牛の健康診断のようなものです。その診断で生乳の状態や、乳牛の問題点などが分かるんですね。そしてその対処法はうちの酪農指導部が常にアドバイスすることによって牛の健康を保ち続け、おいしい生乳を出せる牛を守り続けているんです」
「すごい......。まさに県一丸となって白バラブランドを守り続けているんですね......!」
ちなみに大山乳業の本所工場では見学用通路があり、順路に沿って説明を受けながら製造ラインを見ることが出来ます。(※工場見学についてはコチラから)
乳飲料だけでなく、ヨーグルトなんかも作られており、製品が出来上がっていく過程を眺めているだけでも面白くて楽しめます。
こちらの工場では多い日で牛乳パック約20万本、牛乳ビンは約10万本が製造されており、一日に酪農家さん達から集まる生乳は、なんと約160トンもあるのだとか!
一生をかけてもそんなに飲めない~!!
白バラという名前の由来は? デザインは誰がしたの?
「いやぁ、本当にお話を聞けば聞くほど面白いです。ちなみに、白バラ牛乳の『白バラ』という名前ですが、なにか由来はあるんですか?」
「『白バラ』というのは、その名の通り植物の『白バラ』です。白バラの花言葉は『正直』、『純粋』、そして『私はあなたにふさわしい』です。消費者のみなさんにふさわしい商品であるために、我々は頑張りますよ。というメッセージなんかが込められているんですよ」
「うわぁ、めちゃくちゃ素敵だ」
「そうですよねぇ。私もそう思います」
「白バラといえばもうひとつ、やっぱりこのパッケージですよね。これを見て『白バラ牛乳だ!』とすぐに分かってしまうほどの馴染みのあるデザインですが、いったい誰が手掛けたんですか?」
「それがですね......」
「分かっていないんです......。」
「えぇ~~~!?分かってないの~!? そして今日一番の悲しい顔~~!!!」
「私も記念式典をする際に知っておこうと、めちゃくちゃ資料を漁って歴史を紐解いてみたんですが、どこにも記載されておらず......」
「ほう.....」
「一番古い記録としては、昭和39年に初めて紙パックの機械が導入されているので、恐らくその当時からこのデザインだったであろうとはされているんですが......。肝心の誰がデザインしたのか、という部分には触れられておらず......」
「えぇ~......、なんですかその気になる謎は......」
「私もすごく気になってるので、パッケージデザインした人を探してます」
「この記事を見られた方で、『うちの親戚がデザインした』とか『知り合いがデザインした』という情報があればジモコロまでご連絡くださーーーい!!!」
これからの白バラ牛乳
伺う話しが面白すぎて、時間を忘れて語り合ってしまう。
「なんだか、今日一日だけで白バラ牛乳にすごく詳しくなれた気がします。最後に、今後の白バラブランドや、広報としての目標なんかがあれば伺いたいです」
「そうですね、これからはさらにネット上での広報を強化していきたいと思っています。やはり今のSNSなどの影響力は無視できないので。今後も新たな展開を予定しています」
「それは楽しみですね!」
「こういった活動で白バラの名前を色んな人に知っていただき、興味をもってもらえれば、これほど嬉しいことはないですね。今はオンラインショップで全国に白バラ牛乳をお届けできるので、是非一度飲んでいただきたいな、と思います」
「話題になり有名になったところで、やはり商品自体がおいしくないと真の評価には繋がらない。これからも酪農家さんたちと二人三脚で良いものを作っていきたいですね」
「今回、福井さんにお話しを伺うことが出来て本当に良かったです......! これからも白バラ牛乳を飲み続けます! 本日はありがとうございました!」
最後に
今回は、白バラ牛乳について大山乳業さんにアレコレ聞いてみたお話しでした。
Tシャツやスマホケースなどがネットで大反響を呼んだ白バラ牛乳ですが、「このパッケージは白バラ牛乳だ!」と思ってもらえるのも、長年酪農家さん達とこのブランドを守り続け、消費者の方々に寄り添ってきた結果なんだな。と、取材を通じて学ぶことが出来ました。
そしてなにより! 白バラグッズ大成功の裏側には、この福井さんナシにはありえなかったでしょう! それは間違いありません!
熱狂的なまでの自社愛に溢れる広報担当が生んだ、この白バラ現象。まだまだ僕たちを楽しませてくれそうです。
みなさんも是非! 是非一度、白バラ牛乳を試されてみてはいかがでしょうか!
それでは今回はこの辺で。
ニシキドアヤトでした。
写真:奥平 大
書いた人:ニシキドアヤト
フリーのWEBライター。お風呂に入ると手がシワシワになる不思議な現象に対して、「不思議だなぁ」と思っている。
Twitter:@art_0214