はじめまして、ライターのみらいです。毎日ジャージを着て、Youtubeばかり見ています。
友人からはいつも「女らしさと気品が足りてない」と、ため息混じりで言われ続けています。
このままでは女性としてまずい。確実にまずい。お嫁にいけない。
でも
女性らしさって一体何なんでしょう!?
クッションに毛玉がついてないこと?
今の世の中、価値観や働き方が多様化して、男や女といった区別は、昔のようにハッキリとした形ではなくなってきました。
でも、人それぞれ方向性は違っても、女性なら誰だって「自分が考えている女性らしさ」の概念を持っているはず!
私が考える「女性らしさ」……
それは……
芸者!
そう、私が考える「女性らしさ」は、芸者さん。
立ち振る舞いも美しく気品があって、もてなしの心を持っていて、男性を立て、聞き上手。まさに女性らしさの象徴って感じ!
なぜ私が芸者に特別な憧憬を感じるかと言えば、生まれ育った地元・八王子には、昔から根強い芸者文化があるからです。
というわけで、さっそく八王子にある置屋(芸者さんの事務所のようなもの)「置屋ゆき乃恵」さんを訪ねてみました。ジャージは着替えました。
よーし、ここで女性らしさを学んで、黒木瞳ばりの気品を手にいれるぞー!
「置屋ゆき乃恵」
住所:東京都八王子市中町9-9
上品な門構え! 芸者という存在は知っていても、実際にこういう場所に足を踏み入れた人は少ないのでは? 地元民の私にとっても未知の世界です。
超独特の空気感だなぁ。めちゃめちゃ緊張してきた……
あ、あの~……すいませ~ん。取材の約束をしている者ですが。どなたか……どなっ……
「ようこそお越しくださいました」
芸者さんから学ぶ、真の女性らしさ
美しく可憐な芸者さんたちがお出迎えしてくれました。左からひさ丸さん・成華さん・くるみさん。
気品の塊。気品モンスターという言葉が浮かびましたが黙っておくことにしました。
そして、そんな芸者衆を束ねるのは、こちらの方―
『置屋ゆき乃恵』の主人・めぐみさん
八王子の高級料亭で仲居をしていた際、芸者にスカウトされ、現在の八王子花柳界を支える中心的存在。
今回の記事では、めぐみさんを中心に話を聞いていきます。
「よろしくお願いいたします! 今日は『女性らしさ』とは何なのか、お話を聞かせてください」
「はい、よろしくお願いします。『女性らしさ』とは、また難しいお話ですね」
「それで、あの~早速で申し訳ないのですが……」
「何でしょう?」
「足をくずしてもいいですか……?」
開始10分で無残にもしびれる己の足
ウケました
「(笑)どうぞ楽にして下さい」
「すいません。では失礼して……。私が目指す『女性らしさ』の中には、“ピンと背筋を伸ばして美しく正座できること”も含まれているんですが、どうしても無理でした」
「こればっかりは慣れがありますから。最初の頃は誰でも足が痺れて……中には、立ち上がった瞬間に、障子ごと廊下に転げ出てしまった人もいるんですよ」
「うわああぁぁ! すごいエピソード! 」
この美しい正座をご覧ください。
ちなみに左のお三方がまさにそうなんですが、芸者を目指す人は舞踊を習っていることが多いらしく、幼い頃から(稽古などで)正座に慣れているそうです
「『女性らしさ』って何だろう?ということで最初に考えたのは、言葉遣いなんです。私は男性のように『まじ?』とか『じゃねーの?』とか、普通に言ってしまうので」
「確かに最近は、男性のような言葉を使う女性も多いですね。それは個人の自由だとは思いますが」
「皆さんはやはり気をつけているんですか?」
「私たちはお客様の相手をするわけですから、美しい言葉遣いができるというのは必須だと思います」
「私は油断をし過ぎているんでしょうか。電車に乗り遅れた時とか、『チクショー』って言いながら舌打ちとかしちゃうんですよね」
「それはいけませんね。どんなに取り繕っても、言葉遣いは日頃使っている言葉が出るものです。特に咄嗟の時には、そうやってついポロッと出てしまう。私は普段から、どんな状況でも綺麗な言葉を使うように意識しています」
「え~本当ですか? じゃあコンビニで『お弁当温めますか?』って聞かれた時、なんて返すんですか? 私は『ッス』とか言っちゃいますけど」
「う~ん、そうですね。私なら……」
「(ニコッ)結構です……」
「……とか」
「『結構です』!! なんて上品な言葉でしょう! 今日の夜、カルビ弁当買う時に使います!」
「『女性らしさ』と『カルビ弁当』に多少の違和感を覚えましたが、お好きでらっしゃるんですね」
「はい、たまらなく好きなんです! ちなみに今の話だと、めぐみさんはコンビニではお弁当を温めないんですか?」
「食べる直前に、家でレンジを使ったほうが温かいので……」
「勉強になります。みなさんにも、言葉遣いに関してお聞きしていいですか? 男性のような言葉を使う女性のことを、どう感じます?」
「お客様相手の会話ではないなら、使いやすい言葉で良いと思います。私たちは職業柄、普段から気をつけなくてはいけませんけれど」
「私は私の思う理想のためにきれいな言葉を使っているだけなので、あまり他の方の言葉遣いについて考えたことはないですね。別の方には別の理想があるのではないでしょうか」
「心の余裕ありすぎ」
「言葉遣いに関しては、小さい頃からお稽古の師匠や、母に厳しく言われていました。ですから、友人と話す時でも気をつけるようにしています」
「なるほど、小さい頃から綺麗な言葉遣いが染みついていると。内から溢れ出る気品って、結局その人が積み重ねてきたものなんですね」
芸者さんに聞く会話術
「芸者さんといえば、言葉遣いがきれいなだけではなく、そういった言葉を駆使して、実際に会話をしなくてはいけませんよね。プロとしてうまい会話のアドバイスを頂けないでしょうか」
「まずは、常に聞き上手でいることが大切だと思います。自分のことばかり喋るより、相手の言葉を聞いてちゃんと頷いてくれる人のほうが、会話の相手として嬉しいものではないでしょうか」
「うわあ、そのへんも女性らしいなぁ。私、いつも人の話を聞かずに、昨日見た夢の話ばっかりしてますよ」
「あら、それも楽しそうですね(笑)。どういった夢をご覧になるんですか?」
「え~っと、例えば昨日はですね、壺の中に毒虫を入れて戦わせる夢を……はっ! これが聞き上手ってことですか!」
「そうですね。ただ、会話が苦手な方は無理に話を引き出そう!と力まず、お話に対して、相手にわかるように大きく相槌を入れるだけでも印象が変わってきます。無反応ではいけません」
「私、顔がずっと同じとか、リアクションが悪いってよく言われるんですが、『相手にわかりやすいように』大きく相槌を打つ、なんて考えたこともなかったです」
「礼儀やマナーというのは、あくまで相手のためのものですから。相手から見てどうなのか、というのは意識したほうが良いですね」
「自分にはわからない話題が出たらどうするんですか? 私は曖昧に微笑んでごまかすようにしてるんですけど」
「このお仕事をしていますと、嫌でも様々な話題に慣れていくものですが、それでも全くわからない話題というのもあります。そんな時は素直に『難しくて分かりません』と言うことにしています」
「えー、でも気まずくないですか? 例えばカバディっていうスポーツの話題を振られて、知りませんって言っちゃうと会話が途切れちゃうし」
「カバディ? 聞いたこともないですね。どういった競技なんですか? 日本のスポーツなんでしょうか」
「いえ、カバディというのはインドの国技で、『カバディカバディカバディ……』と連呼しながらですね、敵の陣地で……あ! なるほど、こうやって会話を続ければいいってこと?」
「知ってるふりをするより、知らないと伝えて、素直に教えてもらうのが一番良いんです。人にものを教えるのって楽しいし、こちらも知らないことを学べて楽しいですから」
「そう言われれば、『女性らしい』人のイメージって、“素直”な人物像になりますね。素直さって『知らないことを知らないと言える勇気』でもあるから、身につけるのは意外に難しい……」
芸者遊びのマナーが知りたい!
「お話を聞いていたら、俄然 芸者さんの世界に興味が湧いてきました!」
「それはありがたいことですね。最近は女子会などで、女性のお客様も多いんですよ」
「芸者さんが老若男女に受け入れられてきているんですね。芸者遊び、私もしてみたい! でも未知の世界すぎて怖いんですよ。例えばお値段とか想像がまったくつかない」
「うちでは芸者一人につき、2時間で1万4千円ですね」
「!? 想定してるよりだいぶ安かった! 1万4千円なら、付き合わせる友だちの分も私が払うとして……3万以内で呼べる!」
「おそらく勘違いなさっていると思いますが、お客様がどんな人数でも、芸者を一人呼ぶ金額は変わりません。タクシーのように、全員で割ってお支払い頂けます」
「ええっ! 極端な話、10人の団体で芸者さんを一人呼んだら、1400円で済むってこと?」
「基本的には料亭などに呼ぶことになると思いますので、料理代もご用意が必要ですけどね」
「いやそれでも、芸者遊びって娯楽の中でも最上級にリッチなイメージがあったんですけど……」
「実はそんなこともないんですよ。ぜひ、若い方も気軽に呼んでいただけたらと思いますね。ただ、私は八王子のことしか存じておりませんから、他の地域だとまた違うのかもしれません」
「芸者遊びといえばマナーが厳しく上品なイメージです。例えばドレスコードなんかはあるんですか?」
「私たちの方から『ジャケット着用が必須です』というようなことはありませんね」
「じゃあ貝殻の水着で来店しても大丈夫?」
「水着は素足なのが良くないですね」
「そっち!?」
「足の裏の皮脂が畳につくと、料理屋さんのご迷惑になるので……。昔の粋な方は、靴下の替えを持ってきたりしていましたよ」
「靴下の替え……?! お客さんのほうでも思いやりの心がハンパない!」
「女性でも男性でも、清潔感は大切だと思います。替えの靴下を履いている人がいたら『さすがだな』となりますね」
「これ、男性にはお得情報になりましたね。芸者遊びをする際、靴下の替えを持ってきたらモテる! 他にモテそうなポイントってあります?」
「やはり、さりげない気づかいができる方は素敵だなと思います」
「そうですね。大げさなことではなく、ただ『ありがとう』と言ってくださるとか。そういう一言だけでも印象はガラリと変わります」
「感謝の気持ちをさらっと表現できる人って素敵ですよね。それをプレゼントとして伝えるというのはどうでしょう? 芸者さんの世界ではご祝儀の文化ってあるんですか?」
「感謝の気持ちとしてお客さまからいただくことはあります」
「やっぱりあるんですね! いくらくらいが相場なんですか?」
「あくまで一般的な相場ですけど、例えば今日だと4人なので……1万円くらいでしょうか」
「4人で1万円ですね。うん、全然用意できる!」
「渡す場合はさりげなく、お膳の下からスッと差し出してもらうと、素敵だと思います。気づかいができる人というのは、さりげないんですよね」
立派な女主人も昔は失敗ばかりしていた?
「今日、みなさんにお話を聞いて、私なんかには永久に『女性らしさ』は身につけられないんじゃないかと不安になりました」
「女性らしさや美しい所作というのは、一朝一夕で身につくものではないのは確かです。でも誰だって初めてがあります。失敗を積み重ねて恥をかかなければ、身につく可能性はゼロのままです」
「ということは、めぐみさんも初めの頃は失敗をしていた?」
「もちろんですよ! 私などはよく失敗していて、今思い出すと恥ずかしいことばかりです」
「今の姿からは想像もつかない……。例えばどんな失敗をしたことがあるんですか?」
「お客様としゃぶしゃぶを食べた時には……ほら、しゃぶしゃぶって、真ん中に穴が開いている鍋で食べるでしょう? 私、当時そんな鍋があることを知らなくて、どう扱って良いのか分からなかったんです」
「ああ、こういうやつですね」
「困っている私に、お客さんが冗談で『真ん中の部分にお肉をはりつけて焼くんだよ』と言ったんです。真に受けて、その通りにしたら、お肉が引っ付いてしまうし、周囲は大笑いで、私は一段とパニックに……。本当に恥ずかしかった」
普段のピシッとしためぐみさんをよく知るお三方はメチャ爆笑してました
「それ、怒られなかったんですか?」
「怒られませんでした。本心からお客様のためを思ってがむしゃらに奮闘していたら、その気持は必ず伝わるし、失敗しても、意外と許してくれるものです」
「なるほど~!」
「芸者にとって大切なのはおもてなしの心ですが、それは本心でなければいけません。仕事の間だけ……テクニックだけではなく、本心を磨くことが大事なんです。それは、『女性らしさ』についても同じではないでしょうか」
「モテたいとか、良く見られたいとかではなく、本心を『女性らしい形』に磨きあげていく……う~ん、難しそう」
「そんなに難しく考えなくても大丈夫ですよ。あなたにも好きな人いますでしょう?」
「えっ!そ、そうですね、まあ……はい(照)」
「好きな人に笑顔になってもらいたいという気持ちを磨けば、それが自然と、その人なりの『女性らしさ』になると思いますよ。」
「なるほど、そういうことかああ!!思ってるよりもずっとシンプルだったんですね。好きな人に笑顔になってもらうことだったら、私にもできるかもしれないです……!」
「ふふ、初々しくて良いですね」
「今日は、芸者の皆さまにお会いできて本当によかったです。美しく気高く、そして強くて優しい。まさに理想とする『女性らしさ』を発見した気分です。帰ったらさっそく自分を磨き上げます。ありがとうございました!」
「こちらこそ、楽しいお時間でした。頑張ってくださいね」
まとめ
というわけで、良い女への道も一歩から! 普段の生活の中で、言葉遣いに気をつけたり、身だしなみに気を付けたりしながら日々精進していきたいと思います。
毎日の地道な積み重ねが大事!よーし、さっそく今日から始めよう。 まずは連日のYoutube鑑賞から断つぞー!!
~数時間後~
結論:~習慣は簡単には変えられない~
本心を磨きましょう、本心を。
書いた人:みらい
1993年東京は八王子生まれ。春霞のように生きることが目標のかけだしフリーライター。ゆるい記事書きます。お笑いとコーラが好き。
HP:http://miraisigoto.hatenadiary.jp/