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【裏京都】デートスポットで打ち首!?京都精華大学の名物教授と行く古都オカルトツアー

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こんにちは、ライターのおかんです。

 

さてテレビ番組の「ブラタモリ」や「モヤさま」の人気からもわかるように、日本はいま空前の「街ブラブーム」!ともすれば「ムダ知識」として一部のマニアにしかウケていなかった情報が、多くの人を魅了しはじめているように思います。

 

さて、 私の母校は京都市の北にある「京都精華大学」。じつは"街ブラの達人"が多いんです。以前、ジモコロ内でも「マンガ学部」を紹介して話題になりました。

www.e-aidem.com

「人文学部」と言われても、いまいちピンとこない方も多いと思うのですが、昔から国内外のあちこちに出かけ、現地で「フィールドワーク」をする人が多いというのが私のイメージ。

ほとんどの学生がタイやインドに行ってしまい、キャンパスに全然人がいなくなっちゃった、なんて話も聞いたことがあります。

フィールドワークもとい、本気の「街ブラ」。そんな学生たちを教える教員陣には、現場主義の人が多く”街ブラの達人”がたくさんいます!

今回は、街ブラ記事の多い「ジモコロ」で、京都を舞台に人文学部の先生に出張授業を行ってもらいました。読めば京都のイメージがガラッと変わるはず!

 

案内役の人文学部教授は「怪談研究」のエキスパート!

f:id:yh1123:20170418193924j:plain京都精華大学 人文学部 総合人文学科 文学専攻 堤邦彦教授!
世の中の役に立たない(と見はなされてきた)怪談研究をライフワークとして、国内外の妖怪、その裏に秘められた文学や歴史を追っかけ続けている方。

 

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「堤さん、お久しぶりです!」(※ 精華大では教員と学生が対等な立場で学ぶ文化があり、「先生」と呼ばず、自然発生的に「○○さん」と呼ぶ習慣があります)

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「あいにくの雨ですが、むしろ怪談研究者的には『縁起がいい』と言えるかもしれない……」

 

 

今日は私の他にも同じく京都精華大学の卒業生を生徒にお招きしているんです。ドン!

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株式会社人間の書けるムードメーカー、社領エミちゃんです!

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「私もエミちゃんも同じ京都精華大学の出身。ちなみに学生時代、私は芸術学部、エミちゃんはデザイン学部に所属していました」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「こんにちは〜!」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「さっそくですが、エミちゃんは在学時代、人文学部や堤さんを知ってました?」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「全然知らなかったです!」

 

f:id:yh1123:20170419181505g:plain何で知らんのじゃボケーー!!

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「『水木しげる・京極夏彦・堤邦彦』と言っても過言ではないくらいオカルトカルチャーいえばこの人なんだよ!!」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「うう、今日はイチから『人文学』を学びます……」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「むしろ全然知らない人の方が面白いかもね。今回巡るのは、京都の『首』にまつわるスポット。華やかな京都に生々しく残る歴史をひもといていきましょう」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「ひえー!首!怖オモシロそう!!」

 

・今回のツアーのルートはこちら!

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f:id:yh1123:20170421171420p:plain「どう考えても『ブラタモリ』オマージュ」


妻子39人を河原で斬首!?悲劇の武将・豊臣秀次の墓所「瑞泉寺」

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今回スタート地点となったのは三条大橋。天気が良ければ、カップルがひしめくデートスポット。荒れ狂う鴨川を越えて、最初の目的地である「瑞泉寺」に向かいます。

 

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f:id:yh1123:20170421171420p:plain「ここ三条大橋の河川敷は、カップルや学生などでいつも賑わっているスポットですね」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「そうですね。ただ、この河原は平安時代末期から明治時代初期まで、罪人が斬られた『刑場』だったんで……」

 

 

バギャン!!

 

 

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f:id:yh1123:20170421171650p:plain「ギャーー!!傘が崩壊した!!」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「帽子!帽子!」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「刑場って言った瞬間にこの仕打ち」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「祟りや……鴨川にいる水神さまの祟りや……」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「こういうのは『龍神がクシャミをした』って言うんですよ。いやぁ幸先がいい」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「いいわけあるか」

  

f:id:yh1123:20170418194321j:plainやって来たのは京都随一の繁華街、木屋町三条にひっそり建つ「瑞泉寺」!

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「めちゃくちゃ繁華街だ!何回も通っているのに全然気づかなかった……」

 

f:id:yh1123:20170418194354j:plainお話をうかがう中川龍学さんは、イラストレーターを兼業する異色の住職。あと春風亭昇太さんに似てる。

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「ここは昔からあったんですか?」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「いえ、江戸時代初期までは河川敷でした。ここは豊臣秀吉の甥にあたる豊臣秀次公とそのご一族の墓所です。ここに秀次公の首が納められていた塚があったことに由来しています」

 

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f:id:yh1123:20170421171650p:plain「首……」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「事の発端は、跡継ぎ問題です。秀吉は長らく実子に恵まれず、次の関白……いまでいう総理大臣みたいな役職に、甥である秀次公が任命されていたんです」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「あ、でも実子の秀頼が生まれちゃうんだ」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「そう。やっぱり実子に後を継がせたい秀吉は、次第に態度が変わっていってしまった」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「不憫すぎる」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「諸説ありますが、秀次公は謀反の疑いをかけられて切腹させられてしまうんですね」

 

f:id:yh1123:20170418194505j:plainお寺のなかにある資料室には、かつて鴨川の中州だったこの場所を描いた絵巻が展示されている。

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「秀次の首は高野山で斬られ、河原にさらされました。そのさらし首の前で、秀次の正室・側室35人と、4人の子どもたちの首が次々にはねられたといわれています」

 

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f:id:yh1123:20170421171650p:plain「まじで〜!??ヴエッッホ!!ゲホッ!!ゲホッ!!」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「驚き過ぎてむせる奴はじめて見たよ」

 

f:id:yh1123:20170420145139j:plain「瑞泉寺絵巻」の一部。正室・側室や側近たちが、秀次の首を見て泣いている様子。生首との対面後、妻子は処刑され、鴨川が赤く染まったという。

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「妻子たちの遺体は一緒くたに埋められ、その塚の上に、秀次公の首を納めた石櫃(死者を葬るのに用いられた石製の容器)が置かれたと伝わっています。人々からは『畜生塚』と呼ばれ、極悪人としてさらし者になっていたそうです。その後、江戸時代初期に、供養のためこのお寺が建立されました」

 

f:id:yh1123:20170418194634j:plain35人の妻たちのなかには10歳前後の子どもまでも。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「悲惨な死だったからこそ、秀次は後世でも語り続けられています。たとえば江戸時代後期の怪談集『雨月物語』の一編『仏法僧』には、ある親子が高野山で秀次一行の幽霊に会い、帰りに瑞泉寺の首塚を見て異様なオーラを感じた、という話があります」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「永らく反逆者との認識が強かった秀次公ですが、最近の研究では『名誉を守るために自ら切腹した』という説も出てきています。現代でもわかっていないことが多いからこそ、物語のキャラクターとして愛されている部分も多いんでしょうね」

 

f:id:yh1123:20170418194741j:plainお話のあとは供養塔でお参り。

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「いまも供養塔の中には首が入ってるんですか?」

f:id:yh1123:20170421192453p:plain「じつは阪神・淡路大震災で被災した際に、先代が石櫃の中を見たんですね。でも、中がどうなっていたかというと……語ってくれませんでした」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「うおおお、気になる……!」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「せめて今は安らかに眠っていることを願うのみ……」

●「首スポ1:鴨川&瑞泉寺のまとめ」

秀次一族39人が公開処刑された、まさにその地に建つ瑞泉寺。境内には豊富な歴史資料があるが、知れば知るほど顔をしかめるレベルの残忍さ。「血の気引く度」は、いきなり満点の星5つ!!!

血の気引く度:★★★★★

 

光秀の前世は延暦寺の坊主!?和菓子屋さんが守る「明智光秀の首塚」

f:id:yh1123:20170418194840j:plain一行は地下鉄東西線で一駅先の「東山駅」付近にやって来ました。祇園へと美しく流れる白川。さて、次はどこに連れて行ってくれるのでしょうか?

 

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f:id:yh1123:20170421171500p:plain「豊臣秀次の首に続いて、次は明智光秀の首にまつわるスポットに行きましょう」

f:id:yh1123:20170421171650p:plainまた首ィ……美術館とかギャラリーが建ち並ぶキラキラなスポットなのに、そんなものがあるんですか……」

 

f:id:yh1123:20170418194943j:plain白川のほとりにある和菓子屋「餅虎」さん。景観に配慮した緑のカラーコーンが京都らしい。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「じつは、この和菓子屋さんは代々、光秀の首塚の守人をしているんです。首塚自体は、お店の横にある細い路地のなかにあります」

 

f:id:yh1123:20170418195034j:plain住宅に取り囲まれるように小さな塚が建てられています。

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「この祠のなかに光秀の首が置いてあるんですか?」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「いえ、ここは光秀の首が埋まっている場所と伝わっていて、お堂の中に首があるわけではないんです」

 

f:id:yh1123:20170418195059j:plain小さな神社のような佇まい。人感センサーでライトが点灯し、夜に来るとドキっとする。けっこうイマドキの工夫がされています。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「光秀は比叡山焼き討ちをおこなった武将なんですが、本人は仏教を厚く信仰していたという説もあるんです」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「仕事とプライベートは別だったのかなあ」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「江戸時代の小説『御伽人形』のなかに、こんな記述があります。昔、比叡山でイジメをうけたある坊主が、山を降りて『いつか比叡山を燃やしてやる』と言って死んでいったと。その坊主の名前が『明智(みょうち)坊』だというのです」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「明智光秀と同じ漢字だ!」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「江戸時代のオカルト話として、『明智光秀は明智坊の生まれ変わりで、だから比叡山を焼き討ちにしたんだ』という、都市伝説のようなものが流布したんですよ」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「へええ〜!面白い!けど普通に考えると、非科学的な話ですよね?」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「非科学的ではありますが、人々の間に広まった噂話や信仰心が、光秀のキャラクターを強化して後世に伝わったのは事実です。つまり、怪談話のような疑わしいものが文化をつくっていく

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「そんな噂がなければ、今日の光秀人気もなかったかもしれないですよね」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「事実だけでは世の中面白くないんです」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「たしかに、小説やマンガ、アニメなどの創作物も『事実だけではない世界』を描いてますね」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「あと、おまんじゅう屋さんが首塚の守人をしているという点も実に面白い。信仰の対象が商売と結びつき、大衆化することで守られているわけですから」

 

f:id:yh1123:20170418195339j:plain「餅虎」の名物「光秀饅頭」をおやつに小休止。焼印は光秀の家紋に使われていた桔梗の花。

 

f:id:yh1123:20170420145316j:plain甘さひかえめでおいしいですー。

 

f:id:yh1123:20170419183711g:plain今日イチで目を見開く堤さん。

●「首スポ2:明智光秀の首塚のまとめ」

比叡山焼き討ちの死者数は、1500人とも4000人とも。光秀の因縁が本当ならば、首塚に立ち寄るのも怖ろしい!?しかし「光秀饅頭」のやさしい甘さが怖ろしさをやわらげてくれます!!

血の気引く度:★★★☆☆

 

町の名前に隠された謎と、突如現れる◯◯の聖地

f:id:yh1123:20170420150712j:plain三条通を東に向かって進みます。次に目指すのは三条通沿いに建つ「金剛寺」。

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 f:id:yh1123:20170418195526j:plain金剛寺門前で堤さんが話し出すと、なぜか雲行きが怪しくなり、雨が強くなってきた。

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「やっぱりここも首関係ですか?」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「はい。こちらの金剛寺は応仁の乱で荒廃したのですが、阿弥陀如来像の首だけが残されたといわれています」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「首スポット多発過ぎ!」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「信者たちは、戦地に残った阿弥陀如来像の首を持って、ここからもう少し東の地に仮のお堂を建て、菰(こも/藁で織ったむしろ)の上に祀ったんですね。現在、一帯は『小物座町(こものざちょう)』と呼ばれていますが、昔はこの出来事にちなんだ『菰座町(こもざちょう)』という地名でした」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「地名ってそんな風にできてるんですか!知らなんだ〜!」

 

f:id:yh1123:20170418195558j:plainお寺の案内板には「菰座町」の文字が。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「すべての地名に当てはまるわけではないですが、土地の名前には過去の出来事が関わっていることもありますね」

 

f:id:yh1123:20170418195618j:plainちなみに過去そんな激しい戦で燃え尽き、阿弥陀如来像の首だけ残った金剛寺、現在はWi-Fiが使えて電子タバコなら吸えるナウいお寺です。

 

f:id:yh1123:20170418195834j:plainさらに東に進むと、突如現れる合槌稲荷神社!

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「ここは首に直接まつわる場所ではないんですが、『戦といえば刀』ということで。刀鍛冶に関係した神社です」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「あっ!三条小鍛冶宗近!!小狐丸〜!!!」

 

f:id:yh1123:20170418195852j:plain説明の看板を見つけて突然のテンションMAX。

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「ああ……、ゲーム『刀剣乱舞』の聖地なんだ」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「平安時代の刀工『三条小鍛冶宗近』が『小狐丸』という刀を打った時に、稲荷の力を借りたという伝説にもとづく神社なんです。最近は『刀剣乱舞』ファンの間で話題になりつつありますね」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「小狐丸は初期キャラでイケメンだから人気があるんです!こんなところに聖地があったんだ〜!キャピピピ〜!」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「民家の間をすり抜けるように参道が続いています。住人の方もおられますので、静かに参拝しましょう」 

f:id:yh1123:20170420150249j:plain朱色の鳥居をくぐり、

f:id:yh1123:20170419184952j:plain民家の隙間を縫うように歩き、

f:id:yh1123:20170420144018j:plain6畳ほどのスペースしかない本殿に到着!

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「刀鍛冶にキツネというのはよくある組み合わせなんですか?」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「稲荷神社は狐が神の使いですね。商売繁盛の神様として信仰が厚いですから、お商売のために刀鍛冶の職人さんが勧請したのだと思います。ただ『狐火』という言葉にもあるように、キツネは火をつかさどると言われている生き物なので、もっと深い関係性を見ることができるかもしれません」

●「首スポ3:金剛寺&合槌稲荷神社のまとめ」

仏像の首なら怖くない&刀剣乱舞の聖地は秘境感抜群。「血の気引く度」は、ここにきてまさかの星1つ!

血の気引く度:★☆☆☆☆

 

 

あの世とこの世の境目!ゴールは「粟田口刑場跡」

f:id:yh1123:20170420024148j:plain三条通から東を望む図。かつての東海道へと続く三条蹴上のゆるやかな坂道。道の高低差が「街ブラ」の注目ポイントだそうです。

 

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f:id:yh1123:20170418200056j:plain三条通脇の斜面にポツンと建つ石碑には、なぜか「南無阿弥陀佛」の文字。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「さて、三条河原の刑場から、豊臣秀次の墓所、明智光秀の首塚と続いて、いよいよ本日のゴール、粟田口刑場跡です」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「処刑場がゴールか……まあ、ある意味では終着点になった人も多いのか」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「うまいこと言うやん」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「このあたりは『粟田口』と呼ばれる地域。『粟田口刑場』という公開処刑場があり、平安時代から江戸時代後期までの間に、約1万5千人ほどの罪人が処刑されたと伝わります」

 

f:id:yh1123:20170418200147j:plainあああああああ……。

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「ついに4桁突破!打ち首のインフレやーー!」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「刑場は明治時代になって廃止され、その後、『粟田口解剖場』が置かれます。古くから忌み地とされてきたんですね。ここに建つ石碑は、その慰霊碑です」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「どうして処刑を公開したんですか?」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「近代以前の処刑は公開が基本だったんです。それに、この場所は都の果て……処刑場というのはよく大都市の入口に設けられました」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「見せしめの意味もあった?」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「大都市は人口や流れ者も多いぶん、犯罪が起きやすいんですね。街外れに処刑場を設けて罪人をさらし、人々を牽制していたという見方はできると思います」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「見ず知らずの人に、死体を見られるんや〜!辛すぎる!」

 

f:id:yh1123:20170418200226j:plain楽しそうに語る堤さん、イキイキしている。

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「東海道の入口、つまり『ここから先は都ではありませんよ』という境目です。怪談の世界でも峠や橋、辻などの『境目』は、怪異が発生する重要なポイント。江戸時代の小説『新御伽婢子(しんおとぎぼうこ)』のなかに、粟田口を舞台にした、こんな怪談があります……」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「ヨッ出た!精華大の稲川淳二!」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「昔、都である坊主が女と恋仲になる。しかし、坊主は修行の身なので都から離れた関東のお寺に修行に出なければいけなくなった。ギリギリまでお坊さんに付いて行こうとした女は、ついに粟田口まで来てしまう。そこから先は都の外、まさに限界点。そこで女が坊主に懇願します。『私の首をはねて持っていって』と」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「メンヘラすぎる」

 

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f:id:yh1123:20170421171500p:plain「そこで坊主は本当に首をはねちゃうんですね。その首を修行先にこっそり持っていく。女の首は生きていて、『今日はどんな修行をしたの?』というふうに首のまま坊主に語りかける秘密の日々が続く」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「さすが怪談研究のプロ。話し方が怖い」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「しかしある時、坊主が京都に帰省したにも関わらず、無人の部屋から女の声がすると大騒ぎになる。仲間の坊主が部屋を覗くと、生きた女の生首に出会うわけです。坊主たちに気づくと、女の首はそのまま干からびて動かなくなった……。これで話は終わらず、坊主の実家から一通の訃報が届きます。女の生首が命を失うまさにその時、坊主も不慮の死を遂げた、という知らせでした」

 

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f:id:yh1123:20170421171650p:plain「こ わ い」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「そんな怪談話が生まれるほど、粟田口は死と密接に関わってきた土地なんですよ」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「大きな刑場だったのに、京都在住者でも粟田口刑場のことはあまり耳にしませんね」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「京都は数多くの忌むべき土地がありますが、大規模都市としての歴史が長いぶん、時代の変化によって再開発や土地の区画整理が進み、土地のもつ歴史や雰囲気が大きく塗り替えられてきたんです。かつて菰座町と呼ばれ、処刑へのカウントダウンだった蹴上の道も、いまや桜の名所ですから」

f:id:yh1123:20170420152930j:plain堤さんが見せてくれた昭和34年7月の『京都新聞』には、粟田口付近の怪談話が載っている。少し時代をさかのぼっただけでも、土地のイメージが大きく異なる。 

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「たしかに、最近では駐車場やホテルなどが増え、街の雰囲気がガラッと変わりましたよね。そして、前にあった建物のことはすぐ忘れちゃう」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「後世に残る街の記録なんて、ごくわずかにすぎません。現地を歩いて感じる印象や空気こそが、その街のリアルな姿であり、その時代その場所でしか見られない貴重な資料なんですよ」

f:id:yh1123:20170421171650p:plain「普段何気なく歩いている場所に、こんな一面があるなんて……!怖かったけど、別の角度から京都を見られるようになりました」

f:id:yh1123:20170421171420p:plain「街の見方が変わる、ものの見方が変わる。それが昨今の街ブラブームの理由なのかもしれませんね」

f:id:yh1123:20170421171500p:plain「『街ブラ』が流行する背景には、学歴や資格といったわかりやすい『学』だけではなく、『教養』という、すぐには役に立たないかもしれないけれど、『心を豊かにしてくれるもの』の価値が高まっているのかもしれませんね。まさに、モノゴトをいろんな角度から見るための学問。それが『人文学』だと思います」

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すぐ近くに多くの観光客が訪れる桜の名所があるとは思えない。死の残滓がただよう慰霊碑の前で、パシャリ。堤さん、ありがとうございました!

●「首スポ4:粟田口刑場跡のまとめ」

1万5000人の魂が眠るあの世とこの世の境目。今まで何気なく通っていた道も、知られざる歴史を知ればゾゾ〜!「血の気引く度」は星10コ!

血の気引く度:★★★★★★★★★★

 

終わりに 

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f:id:yh1123:20170418200557j:plain京都の「首」を共通ワードにひと味違った街歩き、いかがでしたか?
当たり前に暮らしている身の回りの世界のことを、いかに一方向からしか見ていなかったか、よーく思い知りました……。面白すぎる!もっと知りたすぎるよ、街!

 

● 「フィールド・プログラム」が魅力の京都精華大学・人文学部

京都精華大学の人文学部では、3年次前期の1学期間、キャンパスを離れて学ぶ「フィールド・プログラム」を実施します。滞在先は学生が選択でき、アジア圏を中心に世界各地に設けています。今まで見えていなかった世界の可能性を発見できること間違いなし!

● 気になる人は要チェック!

オープンキャンパスではこの夏、京都の街を舞台にしたフィールドワークの体験授業を実施予定。一度参加すれば、好奇心がむくむく育っていくのがわかるはず。もちろん親御さんの参加もOKです。

 

詳しくは京都精華大学のHPで告知します

www.kyoto-seika.ac.jp

2017年のオープンキャンパス開催日はこちら
・4/30(日)※ この日はフィールドワークを行いません
・6/18(日)※ フィールドワークでどこかに行く予定です
・7/29(土)&7/30(日)※ フィールドワークでどこかに行く予定です

(堤さん以外の教員が登場する可能性もあります!)

本日の記事に負けず劣らずの面白いフィールドワークを用意して待っています!
ぜひご参加ください!

 

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京都精華大学

書いた人・平山(通称:おかん)

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京都の編プロ、合同会社バンクトゥの編集/ライター。兵庫県出身。大学のあだ名「おかん」がそのまま通称に。しかし実態は色々とおっさんに近い。酒場と酒を愛し、将来の夢はスナックのママ。
個人ブログ:おかんの人生飲んだくれ日記/Twitter:@hirayama_okan/所属:合同会社バンクトゥ

 


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