どうも、こんにちは。 観光会社別視点の松澤です。
ふらりふらりと珍スポットばっかりめぐって生きています。けっこう楽しいです。
前回の記事で、伊豆の珍スポット「まぼろし博覧会」をご紹介いたしました。
「リアル世界にたちあらわれたマッドなコラージュ空間」ってかんじで最高なんですよね、ここ。
でもね、最高なのはここだけじゃないんです。
ホットな博物館にイカした喫茶店。
どうしてこうなったのか、伊豆は最高の珍スポだらけ。まさしく珍スポの聖地。
伊豆半島、そのものが珍スポットみたいなもんですわ。
というわけで、前回紹介しきれなかった伊豆半島のおすすめ珍スポットを8つご紹介いたします。
こういうとこに行き過ぎてそのへんの感覚がなくなってるんですが、どうもヘビーすぎるとこばかりだと「読むだけならいいけど、行くのは怖いよ…」となってしまうみたいなので、扉をあけるのに勇気がいる重量級から、ふらっと1人旅でも立ちよりやすいライトなとこまで幅広くそろえてみました。
【テーマパーク系】
●家族経営の地獄テーマパーク「伊豆極楽苑」
まずご紹介したいのが伊豆市にある「伊豆極楽苑」。
「極楽苑」という名称ですが、そのじつ展示の8割が地獄…。オープン30年目をむかえる家族経営の地獄テーマパークなのです。
あの世を手作りのジオラマやイラストで再現しています。
まずは館長の奥さんが、死んでからの流れを軽妙な語り口で説明してくれます。
人間は死ぬと、49日の審査期間にはいります。
生前のおこないを審査して、
天上界・人間界・畜生界・阿修羅界・餓鬼界・地獄界
の6つから、エンマ大王が行き先を決めます。
これらをじっさいに巡ってまわれるのが、伊豆極楽苑なんです。
ちいさい子だとビビッて泣いてしまうことあるそうですが、ご安心ください。
最後にたくましいメス鬼が「あなたは今後、地獄には縁がありません」と断言してくれます。
無間地獄におとされて、349京2413兆4400億年、責めさいなまれるのはごめんですからホッとひと安心ですね。
地獄から一転、極楽浄土はハッピーです。
・温度ハワイと同じ。家賃敷金礼金ナシ
・阿弥陀さまは極楽のオーナー
と説明文もイケイケです。
極楽浄土には六道サイコロがあるので、死後の世界を占ってみましょう。
わたしは「餓鬼界」に堕ちるそうです。地獄には縁がないようですが、糞尿が主食の餓鬼界に堕ちてしまうんですね。
フェルトのかわいいサイコロですが審判はシビアです。
●サービス精神の塊「熱海城」
お城は人気の観光スポットですよね。
歴史的建造物を眺めて、はいって、江戸時代に想いをはせるのは楽しいものです。
熱海城のおもしろさは王道の城とはまったく別種のものです。そもそも歴史上存在しない架空の城ですから。
観光用に建てられた城なんですが、そのぶん、サービス精神が過剰なんです。入り口から天守閣まで、すき間なくみっちりとサービス精神が詰めこまれています。
そのほとんどが城も日本史も関係ないのですが、客を楽しませようという熱い心意気は伝わってきます。
まず城内で待ちかまえているのは米粒芸術家の真庭さんです。
米粒に文字を書きつづけるうちに、不思議なパワーが宿ってしまったとのこと。
「王監督や槙原投手のケガや不調も右手で直した」と言っていました。
800円の米粒アートを買えば、一生涯ハンドパワーを受けられるそうです。
米粒アートには連絡先が同封されていて「なにかいいことがあったら、この電話番号に報告して!」と何度も何度も念を押されました。
6階の天守閣からは熱海の町が一望できます。
本来それだけでいいはずなのですが「もっとお客さんを喜ばせたい」とジェンガやオセロが用意されています。
お殿さまでもやったことがないでしょう、天守閣でのジェンガ。
このお城でいちばんホットなエリアが地下1階のゲームコーナーです。
おどろくことにすべて無料、テレビゲームがやりたい放題。
ふだんはゲームに見向きもしないだろうおじいちゃんやおばあさんが、無料ならばと音ゲーを叩きまわり、レーシングゲームでハンドルをにぎっています。
たいへんプレミアムな光景ですね。
【食いもの系】
●海鮮丼の昔ばなし盛り「漁師めし」
海にかこまれた伊豆半島、せっかくなら海鮮料理を食べたいですよね。
「とにかく量だ、腹いっぱい海鮮をむさぼりたい」
そんな人にオススメしたいのが伊東の「伊豆高原ビール本店」の漁師めしです。
これ一人前ですよ、信じられますか。
漬けにしたマグロ、アジ、サーモン、イカにイクラが隆起してます。
まさに日本昔ばなしの盛りかた。
スプーンを潜らせても、なかなかごはんに到達しません。
海鮮の山が崩落しないよう、すこしずつ切り崩す、土木工事のような食事が楽しめます。
いろいろ食べたい場合はこういうのもあります。プチ丼を3種類食べ比べできるセットです。
●マンボウ食べましょ「まるたか」
伊豆ならではの変わった地魚を食べてみたいかたは「伊豆鮮魚商まるたか」がおススメです。
居酒屋っぽい外観ですけどフードメニューが充実してるしランチもやってるので、お酒が飲めなくても問題なし!
ふつうの焼き鳥などもあるんですが、堂々と「おすすめしません」と書かれています。
あくまで地魚がウリなんです。
これ、なんのお刺身かわかりますか??
正解はマンボウ。
「ひゃくひろ」といってマンボウの小腸なんですって。
こりっこりで貝のような食感。
身に水分がおおいので早めの消費が望ましいし、そもそそも網に偶然かかるだけで漁獲量もすくないので、地元以外で流通されることはほとんどないそうです。
こちらはドライドルフィン。つまりイルカの干し肉。
クジラ肉同様、味と匂いにクセがありますが、好きな人にはそれがいいってかんじです。
マヨネーズをつけて食べます。
こちらは、サバの生ハム。
サバとサバのあいだにはさまっているのは大根です。
「どこが生ハムなんだ」っておもいますけど、ひとくち食べたらあら不思議、おもいっきり生ハムの味がします。
見た目はサバなのに、味は生ハム。オーマイコンブ!ってかんじです。
●コンテナ営業の激ウマおそば!「究極のそば」
国道136号沿いを車で走っていると、「究極のそば」というパワーワードが目にとびこんできます。伊豆極楽苑のすぐ近くです。
ここまで強気にでられたらどんなそばか確認したくなるのが人の性。
近づいてみると、完全にコンテナでした。
どっからどうみてもコンテナです。
ラーメン屋ですとコンテナでやってるところもたまにありますが、そば屋のコンテナ営業は珍しいですね。
平日でお昼どきをはずしてたので、すっと入店できましたが、じつはこのお店、超人気店。休日のピークタイムは整理券を配るほどの行列ぶりで、1時間待ちもざらだとか。
究極の名は伊達じゃありません。
「なんでコンテナかって?おもしろいからって答えてるけど、じつはですね……お金がなかったからなんです!!」と店長さん。
「こないだテレビ見てたら、スイーツやラーメンでもコンテナでやってるお店があって安心しました」とのこと。
のどごし最高の歯ごたえあるそば。なみなみ入ったお汁もおいしい。
これは人気になるのもわかるし、究極の名に偽りなしです。
【ミュージアム系】
●日本で”秘宝館”はここだけ「熱海秘宝館」
いまや「秘宝館」は絶滅の危機にあります。
秘宝館とは、ちょっとエッチな大人の博物館のこと。温泉街を中心に70年~80年代に最盛期をむかえました。
2014年鬼怒川秘宝殿が閉館してしまい、施設名に”秘宝館”を冠する施設は、日本でもここ「熱海秘宝館」だけとなってしまいました。
(名前に秘宝館をつけてないだけで、コンセプト的に秘宝館なスポットはまだ各地にあります)
展示の特性上、写真をのせるわけにいきませんので、その特徴を箇条書きさせていただきます。
・バラエティー色強めの笑えるテーマパーク
・「面白くしたい」という気持ちがあふれすぎてて、もはやエロくはない
・ただし、けっこうガチな浦島太郎のパロディーAVが最後に待ちかまえているので、油断してると面食らう
「いつか行ってみたい…」とおもっているうちに、なくなってしまうかもしれないのが秘宝館。おもいたったが吉日です。
●ヒトラーの遺品がめちゃくちゃある「風雲文庫」
今回紹介する8スポットのなかで、もっとも濃厚にして得体のしれぬオーラをはなったスポットです。
どういうところなのか。
ひとくちで言ってしまえば「ヒトラーの遺品がめちゃくちゃある博物館」です。
「わが闘争」を入力したタイプライター、愛用していたフォークと皿、自筆の演説原稿、行軍時に使っていたベッドなどなど。
本物か否か判別はつきませんが、とにかくたくさん展示されています。
モーセの杖や如意棒もありました。
どういう経緯でこの博物館ができたのか、くわしい情報はけっして明かしてくれないものの、管理人のおばちゃんはとても優しくて、お茶をだしてくれます。
展示物は撮影禁止なので、現地にいって、その目でたしかめてきてください。
●へんちくりんな創作万華鏡をのぞこう「アトリエロッキー万華鏡館」
上記2つのミュージアムはいろんな意味でアダルト向けなので、家族づれでも安心して楽しめるところをご紹介しましょう。
伊豆高原の「アトリエロッキー万華鏡館」です。
20個ほどの創作万華鏡がありまして、王さまの鼻をのぞく「ツタンカーメン万華鏡」、便座をのぞく「トイレ万華鏡」、まわるお寿司をながめる「寿司万華鏡」などへんちくりんな万華鏡だらけ。
これはトイレの万華鏡ですね。
センサーが反応して立ち去るときに、ジャーーと水洗音がながれます。
のぞき穴付近がやたらいい匂いがするなあとおもったら、毎日シャネルの5番の香水をふりかけているそうです。
へんてこな万華鏡を作るだけでも熱いのに「毎日、香水をかける」という継続的で”無意味”な努力をしているところに、静かな狂気をかんじます。
●モノマネショーが楽しめる喫茶店「さる~と」
最後に紹介したいのが、伊東にあるカラオケ喫茶「さるーと」です。
こういう手書きの看板をかかげてるお店ってだいたい良いんですよ。入店する前からわかります。「ここは、匂うぞ」と。
赤、黄、黒の警告色の比率が高いと、さらに期待値が跳ねあがるんですが、その点このお店は申し分ないですね。
駐車場の木です。
カラオケ喫茶さるーとのご神木のようで鳥居が描かれています。
アポを取っていたわけでもなく、飛びこみで入店したにもかかわらず、入るやいなや肩をつかまれ「取材だよね!?」と顔を近づけられました。
いや実際そうなんですけど、心の準備をする間もなく迫られたのでギョッとしました。
「そうですけど、なんで分かったんですか?」とたずねたところ「数年前、おでこにコブが出来てからいろんなものが見えるようになった」とのこと。
コブは聖人の証らしく、道ゆくインド人に拝まれるそうです。
席に座るや
「このベルトはわたしが開発したカラオケ発生ベルトだよ!腰につけるだけで歌がうまくなる。3万本以上売った!」
「これはサザエゴールド。サザエの殻を金色に塗ったの!金運があがるよ」
「わたしの先祖はどうやら本多忠勝らしいんだよ!伊豆には徳川四天王の子孫がもう1人いるから、あと2人そろえば完璧」
と夢まぼろしのようなお話しを怒涛の勢いでされました。
店長のかもめ次郎さんが、このお店をはじめたのは20年前。
そのまえは流しの歌手として銀座や赤坂のクラブで歌っていたそうです。
ものまねが得意で、名刺代わりに自作のものまねCDを配っています。
マシンガントークに一区切りついたらモノマネタイムです。
歌手の顔面を片手にもって、モノマネメドレーを20分ほど見せてくれます。
途中「ノリノリの曲ですね!」と口をはさんだら「え?もぅ、やめよっか?」と不安げにたずねてきましたし、「よっ!」と合いの手をうったら「もぅやめたほうがいいよね??」とマイクを置きそうになりました。やめないでください、自信満々につづけてください!
「前にテレビ取材はいったときさ、その場では『うまいですね!』ってさんざん褒めてたのに、番組観たら『ちっとも似てないモノマネ特集』だったんだよ」とかもめ次郎さん。「そういうのもおもしろい!」とのこと。強いですね。
ショーのあともしばらく世間話をしていました。
なんでも、赤羽にかもめ次郎さんのニセモノがいるそうです。
「べつに有名でもないのに、なんのために私のニセモノやってるのかわからない」とブキミがっていました。
Youtubeにも「かもめ次郎」の名前で動画があったそうなんですが、カラフルな波のようなものがゆらゆらしてる映像だったそうです。
都市伝説めいててゾクゾクしますね。
というわけで伊豆半島のおすすめスポットを8つご紹介いたしました。
ひとくちに伊豆半島といっても、熱海から伊豆市、伊豆高原とかなり広い領域にちらばっています。
一気にめぐるのはしんどいかもですが、ゴールデンウィークや夏休み、近くを旅するさい1つでも組みこんでみてください!
そこからズルズルと珍スポ沼にハマってもらえたらしめしめです。
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ちょっと別視点のお知らせ
2017年4月22日(土)~23日(日)に「1泊2日伊豆別視点ツアー」をおこないます。
・家族経営の地獄テーマパーク「伊豆極楽苑」
・トイレの神さまをまつってる「明徳寺」
・ディナーショー&海底温泉があるホテル「サンハトヤ」
などなど伊豆半島の珍スポ13個を貸し切りバスでめぐりたおすツアー。もちろん、まぼろし博覧会も行きますよ。
ご興味あるかたは、こちらをごらんくださいませ~。
書いた人:観光会社「別視点」
取材・文:松澤茂信 観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」書いてます。(Twitter)
撮影:齋藤洋平 観光会社「別視点」副代表。観光カメラマン。(Instagram)