はじめに
こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグのまきのです。
めちゃめちゃな髪型とニンニクみたいな鼻にて失礼いたします。
わたくし、ご覧の通り実験に失敗したような髪型(天然パーマ)のおかげで結構人から顔を覚えられたりしてもらえているんですが、最近はさらに見た目でインパクトを残そうと、割と変なTシャツやパーカーを好んで着ております。
たとえば、これは一番好きなTシャツである、「ジョーズピザTシャツ」。ジョーズとピザに何の関連性も無いのにただ形が似てるからというだけで合わさった奇跡ともいえる一品。
パーカーでいうと、この「勇者ねこパーカー」も気に入っています。ねこが雷鳴轟く崖で剣をかかげているという絵。これを通販サイトで見かけた瞬間、カートに入れて発送手続きをしたことは言うまでもありませんね。
こういう服を好んで着るうちに、わたしはこう思うようになりました…
「もっと派手な服が着たい」と…。
そんなわたくしのもとに、「ひときわ異彩を放つショップがある」という噂が舞い込んできました。それを聞きつけてやってきたのは杉並区は高円寺。駅の北口から徒歩数分のところにある「キタコレビル」には、数店舗の個性的なショップが軒を連ねています。
せっかくなので、このビルのオーナーにお話を聞きながら、かっこいい服を探そうと思います。
キタコレビル1F「はやとちり」のアイテムがすごい
店内はこんな感じ。所狭しと見たこともない洋服が売られています。左のマネキンもなんかすごいことになってます。
そしてこちらがキタコレビルの1F「はやとちり」のオーナーである後藤さん。ほんわかしたいい感じの方です。
「こんにちは〜今日はわざわざお時間いただきありがとうございます」
「よろしくお願いします!」
「しかし見たこともないような服を多く取り扱ってますね」
「そうなんですよ。既製品ではなく、元々ある服をリメイクしたり、デザイナーの方が作った服を直で仕入れたりしているので、ラインナップがこんな感じなんです」
「リメイク?」
「たとえば…」
「このキャップは、上から僕がパーツを付け加えたんです」
「おお〜かっけえ!なるほど、そういう意味でのリメイクなんですね。すごいな〜」
「似合ってます?」
「『かぶる』というより『のせる』って感じですね」
「あとはこれとか。ミリタリーコートの上にクマのぬいぐるみをめちゃめちゃ付けたやつで、広島で洋服を作っている子の作品です」
「すげー!あと、服にしてはめちゃめちゃ重い!」
「どうです!着るのも一苦労ですが、これは似合いますね!手のところがクマの手っぽくなっていてかわいいな〜」
「いい感じですね!ちなみにそちらは12万円となっています」
「給料3ヶ月分かい」
「あとこの『福』って書いてある帽子も自分で作ったんですが…去年末の『紅白歌合戦』でDJ KOOさんがかぶってくれました」
「おお〜すごい!この『はやとちり』とDJ KOOさん、相性すごくいいですね〜。聞くところによると、レディー・ガガも一度こちらの商品を購入したとか…?」
「そうですそうです。数年前にその当時入っていた『GARTER』と『シークレットDog』というショップのアイテムを購入してくれたんです。あいにくご本人ではなく、スタイリストさんが来店したのですが、びっくりしましたね…」
オーナー後藤さんのルーツを探る
「ところで、こういった洋服やリメイク品などかなり個性的ですけど、ジャンル的にはどういう分類になるんですかね?」
「それよく言われるんですけど、自分でもよく分からないんですよね…」
「確かに。なんとも形容のしがたいものがありますね…」
「他の店にないようなものを集めているスタンスでやってるんですが、バンドマンの友達によく言われるのは『出オチ感強い』です」
「確かにこのクマのコートとかで登場したら出オチっぽさはありますね…!昔からこういうテイストのものが好きだったんですか?」
「もともと学生時代から高円寺には来ていて、この辺りは古着屋が多いので通っているうちにこういう柄物が好きになっていきましたね」
「ほうほう。学校はやはり服飾関係ですか?」
「目黒のドレスメーカー学院というところでした。僕は洋服を作るのではなく、さっきみたいなリメイク品とか、小物を作って服屋に卸す科に所属していたんですけど、作っていくうちに『自分でお店をやったらNGも無く好きなものを作って置けるなあ』と気付いて8年前の23歳の時にここにお店を開きました」
「めちゃめちゃ思い切りましたね!そんなにタイミング良く物件あいたんですね」
「高円寺の古着屋があって、そこで一年半ぐらい働いていたんですけど、そこの店長の紹介でした。この『はやとちり』を作る前は店長の友達がギャラリーを開いていて、それが終わるということになったので『物件あいたから店出せ』と」
「おおお、人のつながりがあってのことだったんですね」
「そうですね。本当にタイミングがよく、人と人とのつながりやご縁が重なってお店を出すことができました」
「初期投資などは大丈夫だったんですか?」
「そこはもうその古着屋でむっちゃ働いて稼ぎました。それでも厳しかったので、当時の友達と二人で折半しましたね」
「なるほど。今はその人は、後藤さんが体内に取り込んだからいないんですか?」
「そんな能力ないです(笑)。もともとスタイリストをやりたがっていた人だったので、今はそっちの仕事がしたいと言って抜けちゃったんです」
「ホッ、円満に別れたみたいで安心しました」
「ちなみに今これは何をしているんですか?」
「あ、これはピアスを作っています」
「将棋の駒で????」
「こんな感じで、一つずつ手作りしてるんです。これを他の店にも卸したりしてるんですよ」
「おお、こうしてみるとしっくり来ますね。学校に通う前からこういう個性的なものが好きだったんですか?」
「そうですね、振り返ってみると大元はズレずにこういうテイストが好きだったなと思います。細かい好みは変わってるかもしれませんが」
「ブレない芯を持っているのは素敵です!ところでこういうテイストのお店って原宿っぽいイメージがありますけど、高円寺でも多いんですか?」
「いや、そこまで多くないですね。でも少ないながらもおのおののショップのテイストが全然違うのが面白いんですよ。ここはポップな感じですが、このビルの2Fにある『サウスポー』はファンシーなレディースものを置いてますし、昔あった奥のショップではもっとバッキバキな服を置いてたり。全然テイストは違うけど、リメイク品を扱っているっていう共通点でつながっているのかなと」
「キタコレビルはこの他にもショップとアトリエがあるんですよね」
↑こちらが2Fのショップ「サウスポー」。
↑そしてこちらがアトリエ。現在はGARTER&チンポム(現代アート集団)のスペースになっているそうです。
「ちなみにこの『キタコレ』ってのはやっぱり2ちゃん語からですか?」
「それ後から知ったんですけど、実は違うんですよ。最初にここに集まった三人のメンバーで団体名作ろうという話になりまして。で、古着屋は南口に集中してたので、北口の『キタ』と、ブランドなので『コレクション』でいいかってことでキタコレになりました」
「なるほど、キタのコレクション!シンプルで覚えやすいですね」
「2ちゃん用語だと『テンション上がった時に言う言葉』なんで、あ、それはそれで良いなと」
「あと、『はやとちり』という名前の由来は?」
「最初に2人で始めた時に英語表記の店より日本語、さらに5文字がいいなという話になって。で色々出していった中で『ひとみしり』か『はやとちり』の2つにしぼって当時の相方(現スタイリストで活動中)が『俺ひとみしりじゃないから』って言ったので、『はやとちり』に決まりました」
「なるほど〜。なんかその時の様子がありありと浮かんでくるほんわかした話ですね…。そんな『はやとちり』というお店を高円寺に構えていてどうですか?」
「もともと好きで通っていたんですが、ショップを始めてからさらにこの街が好きになりましたね。面白い個人店とかも多いし、お客さんも老若男女問わず足を運んできてくれたり。高円寺特有の暖かさは感じることができますね。住みたい街ランキングには入ってないんですけど、住むにはとても良いと思いますよ」
「 おおお良いですねえ」
「ちなみにお年寄りの方もけっこう多いんですが、その中でもうちによく来て、買うでもなく『これいくら?』ってしょっちゅう聞いてくるおばあさんがいるんですよ。その人のことを『これいくらおばちゃん』って呼んで…」
「商品化しちゃいました」
「なんで!?」
「Instagramでこのおばちゃんの動画をUPしたら思いのほかウケたので、せっかくなんで缶バッチにしちゃいました。300円です」
「名物キャラって感じでいいですね。よく見たら愛嬌もあるし。よく許可もらえましたね」
「いや、無許可です」
「無許可かいっっっっっ!!!」
コーディネート対決をしてみよう
さて、お話が弾んだところで、せっかくなので「はやとちり」内にあるアイテムを使って、後藤さんとわたくしでコーディネート対決をしてみようとなりました。モデルとなるのは、この世界線で最も地味でしょうもないボロ布に身を包んだ変なおじさん、ギャラクシーと名乗る男です。写真の明るさも調整したんですが、何故かこれ以上明るくなりませんでした。
「ではまずは僕からで。けっこうお顔に個性があるので、それに負けないような組み合わせにしたいと思います」
「どうでしょうか。同じデザイナーの人でまとめてみました」
「おお、何か良いですね!!柄+柄で一見散らかりそうですが、うまいことまとまっていると思います。普通に街歩いてても違和感ないですね」
「この帽子も絵がかわいいんですよね」
「上のジャケットは後ろがクチになっていて、舌がべろんと垂れ下がっています。さらに肩から袖にかけてのオレンジの部分はバスマットをそのまま付けているので、肌触りが抜群です」
「ここにバスマットをつけるセンス、なかなか尖ってますね…!」
「パンツも様々な柄をうまく組み合わせてこの世に二つとない良さがあります。こんな感じでどうでしょうか?」
「いい感じですね!かなり見違えたかと思います。わたくしも負けてられません!俺の魂のコーディネートはこれだ!」
「テーマは『命の素晴らしさ』です」
「これは『静脈』をイメージしたポンチョとのこと。形が不規則なので、どこに頭を通しても、どこを袖と認識して腕を通しても良いという非常に前衛的な装束となっています」
「オススメはこの角度。しっかりと二の腕に絡みつくその姿はまさに躍動する生命の象徴です」
「キャップは躍動する生命を象徴した穏やかなピンク色で、真ん中には『健康』という刺繍が施されています。まさに生命賛歌が服を着て歩いている、と言ってもいいのではないでしょうか」
「素晴らしいですね…この静脈の服を裸で着せる発想は無かったので、お見事としか言いようがありません」
「さて、どちらが気に入ったかをこのギャラクシーに評価してもらいたいんですが、あいにく彼は現在我々のされるがままに服を着させられるだけの存在なんで、心が空っぽでクチがきけない状態なんですよ。とは言え後藤さんのコーディネートも統一感が素晴らしくまとまっていたので、今回は、『引き分け』とさせていただければ!」
「なるほどありがとうございます!いい勝負が出来てとても嬉しかったです」
対戦後、ギャラクシーはそそくさと店内に帰っていきました。
こんな切なくて小さい背中ある?
おわりに
「今後の展開は何か考えていますか?」
「お店はこのまま現状維持でのんびりやっていきながら、今後は外国にもうちょっと展開していきたいですね。台湾などのアジア圏などが日本のファッションを好きでいてくれてるので、その人々に刺さるようなアイテムを作っていけたらなと思います」
「おお、いいですね〜。DJ KOOさんといい、レディー・ガガといい、そういう尖ったセンスをしている人に刺さっているので、今後も広がっていく可能性はありまくると思います!」
「ですね。それこそ そのお二方みたいな「アイコンとなるような方」に注目していただけるのは素直に嬉しいですし、やっててよかったなとも思いますね。英語が全然出来ないんでそこが難点ですが…」
「海外に広げていくなら身につけないといけませんね…!」
「そうなんですよね…。海外展開を見越してまずは英語の勉強をします!」
ということで、インタビューはこれまで!インパクトのあるアイテムが欲しい、世界で一つしかない個性的なグッズが欲しい方は、キタコレビルの「はやとちり」に是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
それではさようなら。
【ショップ情報】
・キタコレビルはやとちり
・営業時間:平日15時〜21時 / 土日祝13時~21時 木曜定休
・住所:高円寺北3-4-11
・TEL 03 5327 5330
・twitter:@hayatochiri5toy
・Instagram:https://www.instagram.com/hayatochirikitakore/
・静脈ジャケット:レンタル限定30,000円