こんにちは、ライターのギャラクシーです。
あと数日で2016年も終わり。色々なことがありましたが、無事に2017年を迎えられそうです!
さぁ、大晦日には実家に帰って、『紅白歌合戦』を見て、その華やかなフィナーレに感動して……
その直後―
さっきまで人気歌手やアイドルがワーワーキャーキャー言ってたのが一転、画面はシーンと静まり返った 薄暗い寺社の映像に。
ここで……
そう! 大晦日といえば『ゆく年くる年』です!
『紅白歌合戦』の時はそれぞれ自室で好きな歌手を見ていた家族が、『ゆく年くる年』が始まると、居間のこたつに集合し、母親が茹でた伸び伸びの年越しそばを食す。
これが正しいニッポンの大晦日ではないでしょうか。
でも『ゆく年くる年』って一体いつからやってるんでしょうね。僕が子供の頃から変わらず毎年やってるけど、何十年も同じことやってるの?
・何十年も生放送でやってたらものすごいトラブルがあったんじゃないの?
・中継される神社や寺ってどうやって選ばれてるの?(常連とかあるの?)
・お坊さんはなぜあんなに頭から湯気が出るの?
誰もが知ってる番組なのに、誰もがあまりにも知らなすぎ!
というわけで今回は、ジモコロ編集長の柿次郎と共に、『ゆく年くる年』を制作しているNHKに潜入してみました!
※実際は入り口でビビるくらい厳重なチェックがあるため潜入できません
日本最長寿!?戦前から続く番組の歴史
話を伺ったのはこちらのお二人。左の女性が「今から素手で熊を殺します」という顔つきになっていますが、怒っているわけではありません。
(左)日野珠美
報道局・ニュース制作センターおはよう日本部・チーフプロデューサー
2016年の「ゆく年くる年」では、制作を統括するチーフプロデューサーを務める
(右)皆木弘康
報道局・ニュース制作センターおはよう日本部・部長
NHK入局後すぐ、ADとして「ゆく年くる年」の中継を経験。その後、メインディレクターを経て、昨年に引き続き2016年「ゆく年くる年」で最高責任者を務める
「はじめまして! 今日は誰もが知ってるつもりで実はまったく知らない『ゆく年くる年』のことを、教えてもらいにきました」
「はい、よろしくお願いします。かなり大がかりな番組で、苦労して作ってますから、もっと知ってほしい……いや、知って頂いてはいるんですけど、もっと好きになってほしいという思いはあります」
「実際、一年の内であの番組が思い出されるのは大晦日の一日だけ……残りの364日間は話題になることすらないかもしれませんね」
「そう、みんな知ってはいるけど、BGMみたいな感じなんですよね。どんなメロディかはなんとなく憶えてても、作曲者は誰なのか、いつの曲なのか、まったく知らない」
「ではまず、『いつ』の部分……歴史的なことからお伺いしますね。かなり昔から続いてる番組だと思うんですが、いつ頃から始まったんでしょうか」
「『ゆく年くる年』には前身となる番組がありまして、最初は『除夜の鐘』というタイトルで、ラジオとして始まりました」
「へぇ、もともとラジオだったんですね」
「はい。だって当時は日本のテレビ放送自体が始まっていませんでしたから」
「ん??? いつの話ですか?」
「1927年(昭和2年)です」
「ホエェェーーー!?」
「第二次世界大戦(1939年~1945年)より前だ!!」
1927年の『除夜の鐘』放送風景。当時は近所の寺から借りてきた鐘をスタジオに持ち込んで108回叩く、というラジオ番組だった
「1929年には実況中継(ただし一箇所)になり、1932年には各地の除夜の鐘をリレー中継するという内容になります。残念ながら1940年からの数年間は戦争のために中断しましたが……」
「そんな歴史を持ってる番組、ある?」
「1953年には日本でもテレビ放送が開始され、テレビ版の『除夜の鐘』もスタートします」
「やっとテレビ放送が始まった!」
「で、1955年に番組名が現在と同じ『ゆく年くる年』になりまして、現在に至るわけです」
こちらは1963年の『ゆく年くる年』。題字が横書きなのが違和感ありますね
同年、中継先は京都の青蓮院です。こちらの映像は『ゆく年くる年』公式HPで閲覧できます
「ということは、え~っと、89年の歴史があるわけですね?」
「いえ、番組の歴史というのは正確であるべきです。現在の番組タイトル『ゆく年くる年』になってからを計算するのが妥当ではないでしょうか。それで言うと61年です」
「細かい(笑)。それにしても61年もの歴史を持つ番組って他にあるんですか?」
「NHKは歴史のある番組が多いですが……『紅白歌合戦』と『のど自慢』、あと昔は『ホーム・ライブラリ』という番組の1コーナーだった『きょうの料理』なども長い歴史を持ってます」
「ただ、ラジオを含めると、『ゆく年くる年』が圧倒的に長いです。単体の番組としては最長寿になりますね」
「おかあさんといっしょ」が57年も続いてたことにも驚きだわ!
「ちなみにラジオの『ゆく年くる年』は現在も続いてますよ」
「今も!? ラジオでやってるのは知らなかった!」
「長距離トラックやタクシーの運転手さんなど、作業しながらお正月気分が味わえるので、需要があるんです」
「やっぱりすんごい番組だわ……」
ラジオで『ゆく年くる年』をやってたなんて……。知ってました?
絶対にミスできない生放送だから、台本がすごい!
「根本的なことを聞きますが、なぜVTRではなく、生放送なのでしょうか?」
「家に居ながらにして、リアルタイムで除夜の鐘を聞いてほしい、というのがそもそもこの番組の発端だからですね。東京に住んでる方が故郷のお寺の鐘を聞いたり、ね」
「忙しくて初詣に行けない人や、家から出られない人……例えば高齢の方や、ご病気の方とか。そういう人々こそ、本来なら初詣に行って除夜の鐘を聞きたいのではないでしょうか」
「あぁ、なるほど! でも生放送ということになると、VTRとは違って絶対に失敗が許されないですよね。台本なんかはあるんですか?」
「ありますよ。歴代のものを保管してますが、見ます?」
「見たい!!!」
実際に使われていた貴重な台本を見せてもらいました
たった30分の番組なのに、なんでこんなに台本がブ厚いんだ?と思いましたが……読めば納得、1秒単位でギチギチに書かれてる!
ちなみにこちらを描いたのは皆木さん。絵が可愛い!
ナレーションも細かく書かれてました。今は普通に語り口調でナレーションしてますが、昔は『時が……往きます』みたいな、詩的な感じが好まれたそう。
「台本は、まさに秒単位で用意しています。生放送なので万一のことがあるといけませんから」
「『ゆく年くる年』は、全国にあるNHK地域放送局が、それぞれの地域の中継を担当するんです。気軽に集まってミーティングをできる規模ではないので、意思統一の柱として、厳密な台本が必要なわけです」
「なるほど。でも、どんなに計算しても、絶対にトラブルとかは起きますよね?」
「可能性はあります。トラブルがあった場合、その局を飛ばして、次の局にいきます」
「え? 飛ばしちゃったら時間が余るのでは?」
「余りますね。そのために、『ちょい長バージョン』という別の台本も作ってます」
「そんなのあるの!」
「『ちょい長バージョン』に切り替えて、各局少しずつ時間を伸ばした構成にすると、ピタッと収まるようになってます」
「どんだけ練りに練られてんだ!」
「絶対に失敗できないので、常に“まさか”には備えてるんですよ」
「昔は衛星中継だったんで、天候が悪いと電波が飛ばないなどのトラブルも考えられました。今は光ファイバーで伝送してますから、中継が落ちることは、まずないです。ここしばらく『ちょい長』が使われた記憶はないですね」
自分が生まれた年……昭和48~49年の台本を発見。ワインより特別感がある
実はすごい技術の結晶!見どころはここ!
「毎年、大体10箇所以上の場所で中継なさってますが、かなりの人数を動員してますね」
「ディレクターとかカメラマンといった、直接的に放送に係る人間だけじゃなくて、ガードマンなども必要になるんです。参拝客の安全を確保しないといけないので」
「僕も昔は警備員やってたんですが、初詣の雑踏で撮影しようと思ったら、確かにすごい人数のガードマンが要りますね」
「あと多いのは照明ですかね。暗いところでの撮影になるんで、膨大な人数になっちゃう。とはいえ年末年始なので、そんなに人を集められないんですね」
「大晦日の深夜30分間で、しかも全国でこんなに一斉に照明が必要なことって、他にはないんですね。だから必然的にレンタルということになる。それが結構かかりますね」
「年末年始は特別料金だったりするんで」
「いっそ照明を一切使わずに、真っ暗な画面で鐘の音だけが鳴り響いてる番組にしてはどうでしょうか」
「怖いよ! でも多少薄暗くてもいいんじゃないかな、とも思いますけど、どうなんでしょう?」
「いえ、映像美を楽しんでもらう番組でもあるので、照明は絶対必要です。照明の当て方ひとつで、神社もお寺も仏像も、ガラッと表情が変わりますから」
「『ゆく年くる年』は、照明技術も見どころのひとつです。どこからライトを当てたらどう影が入ってどこが目立つのか、緻密に計算して作られてます。ここまでこだわった生放送は珍しいんじゃないでしょうか。ぜひ注目してください」
実はこんなこともしていた!? 挑戦の歴史
「『ゆく年くる年』といえば“変わらない”番組という印象ですが、過去にちょっと違うことをしてみよう! というのはなかったんですか?」
「実は色んなことに挑戦している番組でもあります。例えば2010年には、海中神社の中継をやったことがあります」
「か、海中? 海の中に神社があるんですか?」
「静岡県の伊東市ですね。海の中に神社があって、ダイバーがお参りにいくっていうのを、ウチの潜水カメラマンが中継で撮影しました」
「普通の中継でも大変なんですが、この時は機材も防水のものが必要だったりとムチャクチャ苦労しました」
「なのに、なぜわざわざ……?」
「こういうのもおもしろいかなーと思って」
海中に鐘に見立てたタンク(を切ったもの)が……なぜ見立てる必要があったのか
左の男性はその後 結婚できたのだろうか
「2000年の年明けは、せっかくのミレニアムだから色々やろうということになって、ミレニアム島(日付変更線に一番近い島)から、一番最初の初日の出を中継しました」
「近くの島から5日かけて貨物船で行ったんですよ」
「なんで貨物船!?」
「それしか船がなかったんです。船室も与えられず、クルーは機材とともに甲板で寝起きしました。寝ている間も波をかぶったそうで、非常に厳しい船旅だったらしいです」
「ちなみにその時、同じ考えでBBC(英国放送協会)も来てたんですが、BBCには船室が割り当てられたそうです。いや、他意はないですけど。他意はないんですけどね」
「で、やっとのことでミレニアム島に着いて中継の時間になったんですが、めちゃめちゃ曇ってて、ぼんやりした初日の出しか撮れなかったっていう」
「踏んだり蹴ったりだ」
当時のクルーが撮ったオフショット
「そうか、生放送だから天候の問題があるんですね。今まで土砂降りとか豪雪で中継が不可能になったなんてことはないんでしょうか」
「大晦日って、不思議と雨があまり降らないんですよね。天候的な問題だと、数年前に北海道の宗谷岬で困ったことにはなりましたね」
「あぁ、あったね~!」
「宗谷岬は、全国からバイカーが集まって初日の出を見る名所なんですね。それを中継しようと思ったんですが、ものすごい風で暴風警報が出るくらいだったんですよ。岬だから風をしのげる場所もなくて……」
「北海道でそんな状況だとマジで危険じゃないですか。どうしたんですか?」
「40人くらいのバイカーの皆さんと、ギュウギュウ詰めの公衆トイレから中継しました」
こちらがその時の映像。宗谷岬の公衆トイレ
こんな『ゆく年くる年』、絶対笑う
「あれはひどかったなぁ。カメラのレンズも曇っちゃってね、よく映らなかったんですよワハハハ」
「笑ってる場合か」
数十人のバイカーがトイレにすし詰めで熱気ムンムン。「こんなこともあったよなぁ」って笑えるのって、歴史が長いからこそですよね
ちなみにいつもは30分の番組ですが、2000年は放送時間が1時間15分ありました。そのため、台本もめちゃブ厚いです
なんでお坊さんは湯気が出るの?
「撮影班は準備万端で中継に臨むと思いますが。お寺や神社サイドでは何か準備するんでしょうか。いつもより念入りに頭を剃ったり……」
「ありそう」
「あれ以上剃るのは不可能では?」
「でも、せっかくテレビに映るんですから、袈裟(けさ)は新調するんじゃないでしょうか。お寺のみんなで買いに行くと思うんですよね。『おまえこの袈裟めっちゃ似合うやん』『わし紫アカンねん』みたいに」
「それは聞いてないのでわかりません」
「中には、何度も撮影されてるお寺がありますよね? 撮影慣れしてるお坊さんなんかはいるのでしょうか?」
「『このバミりから上手(かみて)に歩いていけばいいのね、オッケー南無~』みたいな」
「いえ、テレビカメラに撮影されるというのは、慣れている人でもすごくプレッシャーなんです。緊張で手が震えたり思わぬ失敗をなさる方もいます。負担をかけて申し訳ないと思いますが」
「そうですよね……。実は何回か『あっ今、失敗した!』っていうシーンを見たことがあります。他人事ながら毎年、見ててハラハラします」
「お坊さんというと……なんか、頭から湯気が出てるひと多くないですか?」
「出る! その絵をよく見る!」
「『ゆく年くる年』と言えばお坊さんから湯気、というくらい印象深いんですけども、あれは、やはり必要なカットなんでしょうか」
「頭部からの湯気を映すのが目的の番組ではないので、狙ってるわけではありません」
「気づかないだけで、我々のカラダからも湯気は立ちのぼってるんです。僧侶特有の現象ではありません。寒い場所だと息が白くなるように、肌から立ち上る湯気も白く見えるだけですね」
「我々の場合は髪が湯気を吸収しますが、僧侶の方は肌の面積が広くていらっしゃるので……」
「暗いところで逆光で照明を当てて撮影すると、明暗の対比で湯気の白さがすごく目立つんですよ。狙っているわけではないと言いましたが、結果的に寒さや熱気というのが表現されていると思います」
「こんなに真面目に返答してくれるとは思わなかった」
2017年、中継先に選ばれるのはここだ!?
「『ゆく年くる年』といえばお寺か神社という印象ですが、他の宗教が選ばれることはあるんですか? ゾロアスター教とかジャイナ教とか」
「キリスト教は何度か中継してますね。長崎の浦上天主堂とか、函館のトラピスト修道院、ハリストス正教会とか」
「中には『前にも見たな』ってお寺があったりしますが、常連の寺社ってあります?」
「一番多いのが浅草寺で、過去10回中継されてますね。次いで滋賀の比叡山延暦寺が9回。同率で京都の知恩院や、島根の出雲大社も9回です」
▼登場回数ランキング
第1位 浅草寺(東京)10回
第2位 比叡山延暦寺(滋賀)9回
第2位 知恩院(京都)9回
第2位 出雲大社(島根)9回
第5位 厳島神社(広島)8回
第6位 札幌時計台(北海道)7回
第6位 平泉中尊寺(岩手)7回
第6位 明治神宮(東京)7回
第6位 永平寺(福井)7回
第6位 東大寺(奈良)7回
第6位 薬師寺(奈良)7回
▼登場地域ランキング
第1位 北海道 74回
第2位 東京 71回
第3位 京都 30回
第4位 奈良 27回
第5位 広島 25回
第6位 福岡 22回
第7位 宮城 20回
第8位 長崎 19回
第9位 神奈川 18回
第9位 香川 18回
「地域別で見ると、寺社が多いところや、大都市圏は必然的に多くなりますね。また、北海道は単純にめちゃめちゃ広いですから、中継されることも多いんです」
「どこを中継するかっていうのは、どうやって決めてるんですか?」
「各局で、ここにこんな寺があって、こんな良い部分があるんです、みたいなことを提案してくれるんで、その中から選ぶという感じですね」
「選定の基準として、『時代を切り取る』というテーマがあります。その年に話題になった場所とかは中継される確率が高いです」
「立派な寺社だけではなく、めちゃめちゃ小さいお寺とかはあるんですか? 誰も知らない僻地の神社とか」
「ありますよ。ものすごい豪雪地帯にあるお寺とか。子宝に恵まれると言われていて村ですごく大事にされている神社とか」
「そういう特徴というか、物語があれば取り上げたりしますね」
「特長……じゃあ、いぼ痔にご利益がある神社なんかが取り上げられることも?」
「そういう神社があるんですか?」
「いや、もしもの話です」
「例えばその年に全国的にいぼ痔が流行った場合などは、中継先に選ばれるかもしれません。『2016年は列島がいぼ痔に苦しめられた年でした、そこで……』という感じですね」
「ただ『いぼ痔』という言葉は響きが美しくないので、そうですね、肛門……? 肛門の突起に苦しめられた一年……」
「そこまで まじめに考えます?」
「今年の中継先というのはもう決まってるんですよね? 事前に告知なんかは行ってないんですか?」
「告知は行ってないんです。テレビに映るということで人が押しかけてしまうと、道が塞がったりといった迷惑になりますから。なので、今年どこを中継するのかというのは、極秘扱いです」
「こっちで勝手に予想する分には問題ないですよね? 『時代を切り取る』というテーマがあるということだから……」
「今年話題になったとか、流行ったもの、どこだろう?」
「2016年、話題になったといえばSMAP。僕は兵庫県出身なんですが、須磨っていう町のお寺……須磨寺が選ばれるんじゃないでしょうか! そんな寺があるのかは知りませんが」
※調べましたが、須磨寺(すまでら)は、兵庫県神戸市須磨区に実在するようです。
「あぁ、それは気づかなかった! リサーチすれば良かったなぁ」
「この反応は外れだね」
「何らかの災害に遭われた土地なども中継先として選ばれることが多いです。そういう方たちにこそ、祈りが必要だと思うからです」
「あっ! 今年は台風十号の影響で、東北の岩手県北部沿岸に甚大な被害がありましたよね!? 僕も取材に行ったんですが、かなり悲惨な状況で。岩手だと中尊寺とか有名ですけど……」
「正解かどうかはお答えできません」
「えー知りたい! 本当に誓って誰にも言わないんで教えてください」
「すいません、本当に無理なんです。それくらい極秘情報です」
※マジで教えてくれませんでした
▼おすすめ情報
お二人におすすめの初詣スポットを聞いたところ、
東京都府中市の大國魂神社
が良いのでは、と教えてもらいました。ゆく年くる年の題字を書いてる書家の松岡真作さんが、お正月にこの神社で、御朱印帳や御札を書いているそう。御朱印帳を持っていくと、松岡先生に文字を書いてもらえるかもしれませんよ!
『ゆく年くる年』はNHK内でも超重要番組!
「NHKの局内では『ゆく年くる年』はどのようなポジションなんでしょうか」
「『ゆく年くる年』は、NHKの中でも『甲子園』『紅白歌合戦』と並ぶ、最大級の生放送番組ですから、かなり重要なポジションになりますね」
「そんなに重要な番組なら、担当者はどうやって決めているのでしょう? 例えば今年は日野さんがチーフプロデューサーに抜擢されたわけですが、何か理由があったんですか?」
「『ゆく年くる年』は東京・報道局の『おはよう日本』部が担当してるんですが、持ち回りで担当するんです。簡単に言うと毎年順番にやるわけです」
「かなりの大役ですが、プレッシャーがすごいのでは?」
「そうですね。視聴率が20%を超えるような番組なので、身が引き締まる思いです。ただやりがいはものすごく感じてます」
「僕なんか話を聞いてるだけで胃が痛くなってきました。ご家族は日野さんが大役を務めることをどう考えてるんでしょうか。ちなみにお子さんは……?」
「中学三年の娘がいますね」
「そんな大きな番組を自分の母親が担当しているというのは、娘さんとしてはかなり誇らしいんでしょうね」
「いえ、そんなことないです。『今年はゆく年くる年の担当になった』って伝えたら、ひとこと『ダサ~い!』って言われました……」
「えぇ~!」
「すごさが理解されてない!!」
「それは報告を受けていませんでした。由々しき事態ですね」
「……………」
「まあまあ、今年は日野さんがチーフプロデューサーを担当するわけですから、きっとおもしろい番組になると期待してます!」
「色々と裏話を聞かせてもらったから、ここの照明すごいなとか、やっぱめっちゃ湯気でてんな……とかそういうところに注目して視聴します。番組を見るのが待ち遠しいです!」
「あ、もしよければ『ゆく年くる年』公式HPでは、大晦日の18時から『ゆく年くる年』のスマホコンテンツが遊べるようになりますので、番組が始まるまでの暇つぶしにぜひどうぞ」
『ゆく年くる年』公式HPでは、大晦日の18時から翌5時までの限定公開で、スマホコンテンツが遊べるようになります。スマホをタッチして除夜の鐘をつこう! 108回つくと、何かが起きる!?
ちなみに鐘の音は合成じゃなくて本当にちゃんとした鐘の音を録音した本物だそう!
「ちなみにこちらのコンテンツ、1日の朝5時からは“初詣バージョン”が登場します! お楽しみに!」
初詣バージョンは、境内の鈴を3回鳴らすと、“あの人”からのメッセージが聞けるそう!何種類かあるみたい!
「日野さんの娘さん……。お母さんはNHK職員として宣伝も頑張っておられますよ! 正月に帰宅したら、ひとこと労いの言葉をかけてあげてください!」
「では今日はありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
まとめ
61年の歴史を持つ『ゆく年くる年』、一体いつまで続くと思いますか? との問いに、部長の皆木さんはこう答えてくれました。
何十年経っても、『ゆく年くる年』でやることは、たったひとつです。『新しい年が平和でありますように』。この思いが日本人の心からなくならない限り、いつまでだって続くのではないでしょうか。
世の中、変わった方がいいものと、変わらずにいてほしいものがありますよね。「変わらない」ために最高の制作陣をそろえ、最新の生放送技術を使った『ゆく年くる年』。
「ダサ~い」けど、実は「すごい」『ゆく年くる年』を、今年はぜひ見てみましょう!
『ゆく年くる年』は、今年もNHK総合、大晦日の23:45~24:15まで放送されますよ~! お楽しみに!
シェアしやすい!
▼『ゆく年くる年』豆知識まとめ
・前身となった番組『除夜の鐘』は、1927年(昭和2年)ラジオとしてスタート
・1955年から番組名が『ゆく年くる年』になり、現在まで61年間継続
・台本は秒単位でギチギチに書いてある(ちょい長バージョンもある)
・海中や公衆トイレから中継したこともある
・お坊さんの湯気が目立つのは逆光で照明が当たってるから
・視聴率は20%以上
・中継先選定の基準は『時代を切り取る』『災害などがあり祈りが求められている』など
・2017年の中継先は極秘事項!
(おわり)
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ライター:ギャラクシー
株式会社バーグハンバーグバーグ所属。よく歩く。走るし、電車に乗ることもある。Twitter:@niconicogalaxy