はじめに
こんにちは、バーグハンバーグバーグのまきのです。
めちゃめちゃな髪型で失礼いたします。
突然ですが、貴様らは「Brain Wars」と「Brain Dots」という
二つのゲームアプリをご存知でしょうか?
Brain Wars(ブレインウォーズ)は世界中のプレイヤーとリアルタイムで脳をフル回転して脳トレ的ゲームで戦う対戦型アプリ。
世界中から対戦相手をマッチングし、29種類あるゲームの中から3本勝負で争うというシンプルなシステム。ゲームは「青い矢印がきたらその向きにフリック、赤い矢印がきたら逆の向きにフリック」というような単純なものばかり。しかし一瞬の判断力や計算力、記憶力が必要とされ、いかに素早くクリアしてポイントを稼いでいくかがキモとなるゲームです。またこれが対人戦だからより燃えるんですよね〜。
そしてBrain Dots(ブレインドッツ)は、Brain Warsとは対称的に一人で黙々とステージをクリアしていくタイプのパズルゲームです。
このトレイラー動画、30秒だけなんで見てみてください。ルールを一瞬で理解できるので…。こんな感じで、「図形を自分で描き入れて、うまく青と赤のボールをぶつけるだけ」という簡単なシステムなのにめちゃくちゃ中毒性が高い神ゲーっちゅうわけです。
フラットなデザインとシンプルで分かりやすいルール、そしてゲームの奥深さが話題となり、ダウンロード数は全世界でどちらも1000万ダウンロードを超えているというヤバ過ぎるゲームアプリです。そしてさらにこの二つのアプリを作った制作会社は日本というから驚きです。
そんな二大ヒットアプリを制作した「株式会社トランスリミット」さんにお邪魔して、お話を聞いてきました。やったね!
(※この記事は、わたしがこのゲームが好きなためこちらから取材を申し込んだので、いわゆる記事広告ではありません)
■脳トレ対戦アプリ「Brain Wars」と会社設立の経緯
今回お話をうかがったのは、代表取締役社長の高場さん、広報の西山さん、デザイナーの花城さんの三人。本日のためにわざわざお時間をいただきました。
念のために好きな食べものも聞いておきましたので、今後お邪魔する用事がある皆さま、エビをいつもより多めに持っていきましょう。
「今日はよろしくお願いいたします!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
「まずはトランスリミット初のアプリとなるBrain Warsにいきついた経緯を!」
「はい。会社を立ち上げた時は私とエンジニアとデザイナーの花城さんの3人だったので、『この人数でも海外で戦えるものを作ろう』というのが基準にあったんです」
「おお、初めからその気持ちだったんですね」
「そうなんです。でも『世界を目指す』ってなると、世代・文化・知識の上で障壁が出るんですよね。たとえば戦国モノを出すと、日本以外ではなかなか話題にならないし、『オバケ』一つにとっても幽霊やゾンビなど、育ってきた文化に依存されます」
「日本の戦国時代でも全員興味あるというわけではないし、それが海外になっちゃうとさらに絶対数が減りそうですね」
「はい。なので文化に依存されることを極力なくしていかないと世界中の人が利用してくれないんですよね。テキストがあると翻訳しなくちゃいけないし、ストーリーも同様に文化に依存しちゃうので、そういう障壁が無く、『世界中のあらゆる人が見た瞬間に使える』というものがベースにありましたね」
「そんな考えの先に「対戦」「脳トレ」という形に行き着いたんですね!」
「はい。少数精鋭でいけるようにキャラクター、ストーリーなどのデザインコストもかからないようにしつつ、さらに一度決めたデザインが永遠に使われるようなものにする必要がある…ということを考えて、『対戦型』ならいいな…と」
「このシンプルなデザインは確かに世界で通用しそうですし、実際してますよね。ぼく最初これ海外のアプリだと思ってたぐらいですから」
「よく言われますね。ありがたいことです」
Brain Wars以前のトランスリミット設立の経緯もお伺いすると、もともとサイバーエージェントでアメーバピグ海外版の担当していたのですが、大学時代からずっと「インターネット産業で世界を狙える会社を作りたい」という思いがあったんだそうです。
Google、twitter、facebook、Microsoft、Apple等のようなレベルで、日常生活に組み込まれるような国内産のモノはほとんど無いのが現状。国内の企業もインターネット産業に身を置くならもっとグローバルに目線を高めて、"世界中の人が利益を享受できる"というインターネットのメリットを活かして勝負していかないと!という野望が根底にあるそうです。
か、カッチョえ〜!ワシ、大学時代なんかずっと個人サイトで日記をちまちま書いてて国内で1000アクセス/日あったらヤッピー、ぐらいの小規模な生活を送っていたのに、とんでもない向上心やで…。
「トランスリミット設立までの話をおうかがいして、めちゃめちゃな向上心だな…と尊敬の念しか浮かびませんでした。『モテたかったから』とかっていう理由は無かったんですか?」
「いやいや…地道に頑張ってましたので、そういう意識は無かったですね」
「Brain Warsが当たって、モテました…?」
「モテなかったですし、リリース直前に結婚しましたので…!」
「クゥ〜〜!」
■ステージの解く方法は人それぞれ!Brain Dotsの魅力とは
「さて、Brain Dotsの話になりますが、公式アカウントで「解き方」を積極的に公開していますね。運営がネタバレするのはなかなか珍しいパターンだな〜と思いました」
[Today's pick up] Nice water swing! : ) http://t.co/TfvdvuLtPh#BrainDots#BrainDots_s203https://t.co/DNyE7GXiJQ
— Brain Dots (@braindots_app) 2015, 9月 11
「そうなんです。Brain Dotsは「青と赤のボールをぶつける」というゴールはあるんですが、そこに行き着くまでの解き方はプレイヤーごとに全く異なるんですよね」
「だんだん複雑になってくると、人によって解き方違ってきますね!ステージ100あたりいくとそれは顕著かと」
「ただ『ボールを押す』にしても、直線を描いて普通に押すでもいいし、丸やハートの形を描いて押す、可愛い絵を描いて押す、というようにデザイン的にクリアするユーザーもいるので、こういう角度からのアプローチがあるんだよ!というのを積極的に公開することでより興味を持ってもらえるようにしています」
「確かに分かるな〜」
「ステージ2とかは、何もしなければ青いボールが落ちるだけなんですが、お手本のように三角を描くことで青のボールが転がって赤いボールにタッチしてクリアですよね。これも三角じゃなくて…」
「うんこで坂道作ったりしてもいいですからね」
「そ、そういうことです!」
「うんこはさておき、Brain Dotsといえば、最近自分でステージを作ってシェアできる『ビルダー機能』が追加されましたね!この機能作ったらもう運営側が新ステージ追加する必要なくなっちゃったんじゃないですか?」
「ですね…9月中旬にステージを追加して以降は、ビルダー機能のブラッシュアップに時間をかけているところですね」
ユーザーが制作したステージの一例がこちら。お城や雲、木なども全て丸や三角のパーツを組み合わせてちまちま作っていったそうです。この時点ですごすぎません?
このステージ、特に何かを描き込む必要はなく、開始すると青いボールが緩やかな坂を下って手前のスイッチを押すことで橋げたが開く…という仕組みになっているのです。
で、クリア。すごすぎる…。
「この機能、反響はどうですか?」
「スゴイです。ありがたいことに、1日1万ステージ追加されています。10秒に1ステージ!」
「めちゃめちゃ追加されてる!!このビルダー機能、ぼくも見てますけど、一般ユーザーの手によってすごいステージが日々追加されていってますね」
「そうなんです。どちらかというと、さっきお見せしたお城のステージのような、『難しいの作ったから解いてみて!』というのではなく、『美しくクリアできるステージを作ったから操作しないで見てみて!』っていうのがトレンドになってますね」
「確かにさっきのお城のステージはまさに後者ですね。こんなの作ってくれたら、開発者としては嬉しいですよね〜」
「嬉しいですね。面白いステージを作ってくれるだろうな…とはある程度想定していましたが、まさかここまでのクオリティのものを世界中の人が作ってくれるというのは思わなかったです」
「スタミナも無いからず〜っと出来ますしね。Brain Warsはスタミナありましたが、Brain Dotsにスタミナ制を取り入れなかった理由は?」
「これは「何回もチャレンジして欲しい」っていう思いがあるからですね。途中で途切れてしまうよりかは、「クリア」か「今日は無理!」ってなる「区切り」までプレイしてもらった方がより好きになってもらえるかな、と思って外しました。スタミナはすぐなくなっちゃいますからね」
「確かに、あとちょっとでクリアだ〜って時にスタミナ切れで強制的にできなくなっちゃうとストレスたまりそうですね。スタミナとか体力的な面で言えば、パズドラやモンストのようないわゆる『日本のソシャゲ』に対してはどう思ってますか?」
「もちろんアイデアにあふれて面白いとは思います。でも『僕らが作るのはああいう感じではないかな〜』という感じですかね。特別嫌いってわけじゃないですよ。話題のゲームはだいたいインストールしてどんなゲーム性なのか、どういう課金システムなのかっていうのを調査するために遊びます」
「僕もいちユーザーとして話題になったゲームは少し触りますね」
「でも日本のゲームは人件費や広告費やら、ビッグタイトルだと1ゲーム何億って投資するんですよね。例えば1ゲーム5億かけて当たらなかった時のショックは計り知れないので、僕らはそこまで大きくは戦えないですね」
「そこまでお金かけないとしても、人知れず消えていくゲームはおそらく山程あるでしょうね…そう考えると御社のゲーム二種類はアイデアもありますが、世界に目を向けた戦略と展開でつかんだ勝利、という感じがしますね!」
「ありがとうございます。嬉しいです!」
「で、結局どれくらい儲かったんですか?」
「すみません、それは秘密ですね…!」
■文化圏の違いでゲームの受け取り方も変わる?
「Brain Wars、Brain Dotsともに世界で勝負してますし、高場さんが世界を相手に勝負している心意気と熱意、存分にいただきました。グローバルで勝負するメリット、デメリットなんかはありますか?」
「メリットでいうと、やはり『数』ですかね。めちゃめちゃ単純に言うと、日本国民全員が使ってくれても1億人弱ですが、全世界には70億人いて約30億台のスマホが普及していると言われています。なので、世界を狙ったほうが圧倒的な数のメリットがあると思います。作ってるサービスは日本だけにとどまらずに世界中の人々に使ってもらえるという楽しさがあって、それを体験できるのは運営しててすごく面白いですね」
「自分が作ったものが世界中の人に受け入れられてもらえるって、考えただけでもゾクゾクしますね…」
「デメリットは、イベントやデザイン、細部にわたって常にグローバルな目線で考えていかなきゃいけないのは大変ですね。例えばお正月のイベントステージ作成の時も『門松』とか『凧揚げ』といういわゆる日本人に馴染みのあるものは海外では通用しない、的な事が考えられます。あとは海外ユーザーはアプリにお金をほとんど落とさないのと、広告単価が安いこともあって、なかなか収益を上げるのもこれからの課題ですね…」
「わ〜。ってことはお正月の特別ステージってなかなか難しそうですね。国ごとにユーザーの特性の違いってありますか?」
「結構ありますよ。違いで一番おもしろかったのは、韓国で『カフェでBrain Dotsをやるワタシ、イケてる』っていうブームが一時期あったんですよ」
「えっ?」
「Instagramに『カフェのオープンテラスで彼はBrain Dots、わたしはケーキ食べてる。どう?イケてるでしょ!?』みたいな自撮り投稿が韓国圏で巻き起こってましたね〜。予想外ですごく楽しく見てました」
「ファッションアイテムとしてカテゴライズされてるんですね!すごい文化だな〜。でもそれもデザインやコンセプトの賜物だと思いますよ」
「嬉しいです。他にも北欧だと教育的に使われたり、フランスだと有名なyoutuberが紹介してくれたおかげで割とテンション高めな人にプレイしてもらったりと、国によって全く受け取り方が違うので、見ていて楽しいですね。その分プロモーションも大変ですが…」
「ローカライズとかも大変そうですね〜」
「大変ですね。基本的にマンパワーでやるしかないので…。友人とか、そのまた友人とかの助けを借りています」
「熱狂的な海外のファンの方で『ここの言語の翻訳はワタシが代表してやってあげるわよ!』っていうメールもいただいた事もあるんですよ」
「うわ〜いいですね!それだけ愛されてるってことですね〜」
「そういう意味でも細やかにローカライズはしなきゃいけないなって思います。韓国や中国版は、専用のロゴも作りました」
「あっ本当だ。韓国語はもともと丸っこい字体だから、それに合わせたキャッチーなデザインがファッションアイテムとして認識されたのかもしれませんね」
「韓国のTV番組のタイトルとか見て研究しました」
「あっ、やっとしゃべった」
「デザインの話にならなかったので、ずっと黙ってました。逆に中国語版は可愛すぎるとウケないとの事だったので、どっしりとした漢字で制作しましたね」
「お〜本当だ。専用ロゴがあると現地のファンはよりファンになってくれそうでいいですね。アラビア語とかはまだないんですか?」
「うーん、それはまだですね…」
「今後のためにぜひ作ったほうがいいのでは?そこにホワイトボードあるので…」
「わかりました。ちょっと調べて作ってみます」
「じゃあその間に、Brain Warsの対戦しますか社長!」
「おお、いいですね。やりましょう!」
■対戦しよう
というわけで、社長である高場さんとBrain Wars対決を行いました。Brain Warsは自分のIDを伝えればいつでも対戦を申し込むことができます。
今回は
・↑のカラースイッチ(真ん中のボールの色をタッチで赤か青に変えて、上下から迫り来る丸の色に対応させてさばいていくゲーム)
・神経衰弱
・カード足し算(配られたカードの数値を覚えて、合計の数を答えていく)
の三本勝負となりました。
カラースイッチに結構手こずってしまったんですが…
「よっしゃあああああああ勝った〜〜〜〜!!!!社長に勝ったということは、実質トランスリミットの社長としてやっていけるということに他ならない〜〜!!!!」
「社長がやられたか…しかし弊社の高場はBrain Wars界では雑魚の雑魚」
「え…」
「社内に『世界ランク1位最多保持者』がいます!彼と対戦してください!」
「なんやて〜〜!!?」
「お呼びですかな…?」
この方が、Brain Warsで世界中の対戦相手を蹴散らし世界ランク1位になった回数が一番多いレジェントプレイヤーの八神さん。もともとはいちユーザーでしたが、Brain Warsがうますぎてトランスリミットに転職したという異色の経歴の持ち主。
ここでわたしが勝てば、もうトランスリミットの株を100%もらって子会社化できるのではないか…そして「クリアできたら天才!」みたいな釣りタイトルで広告しかないクソゲーアプリを山のように作らせて広告収入を全てポケットマネーにしたいと思います!!
そんな八神さんの神経衰弱のプレイがこちら。何をやってるかよく分からねーかと思いますが…。
これ、最初はカードが表向きになっていて「おぼえた」ボタンを押すと裏返るんですね。
で、さっきのカードの組み合わせを当てていき、時間内に何回当てられるか、という仕組みなんですよね
世界チャンピオン、「覚えたボタン」のある位置を連打しまくって、始まった瞬間にカードを裏返すんですよね…最初に表示されるほんの一瞬で記憶して圧倒的スピードでどんどん当てていってるんですよ…なんなんだこのスピードは…!
その後もありえない神速でクリアしていった結果…
勝てるわけね〜〜!!!やはり世界の壁は厚かった…!
■終わりに
いかがでしたか?
高場さんの世界に挑戦し続けるモノづくり精神と、日々著しい変化を遂げている世界でグローバルな視線と力強い志を持ち続けるアクティブな姿勢に感銘を受けました。世界に向けてコンテンツを発信する時は、高場さんの言葉を思い出しながら制作すると感覚がつかめるかもしれません。胸に刻みつけておきたいと思います!
今後の展開もお聞きしたところ、来年の春にまた新たなゲームアプリをリリースする予定らしいです、それもまた楽しみですね!
Brain Wars、Brain Dotsともに、とっても面白いアプリなのでぜひダウンロードしてみてくださいね。
それではさようなら。
対戦で熱くなりすぎてスッカリ忘れてたんですが、後ほどこの画像だけが送られてきました。アラビア語版も追加されるといいですね!
【ダウンロードはこちらから】
(おわり)
【他のゲームアプリ会社取材も読んでよね】
書いた人:まきのゆうき
株式会社バーグハンバーグバーグで働く人。姉妹メディア「オモコロ」で開設当初から「うさねこ」という4コマ漫画を連載中。髪の毛がもじゃもじゃで異形の存在なのか、電車内で赤ちゃんと目が合う確率が異常に高い。 Twitterアカウント→@yuuki