6月某日 渋谷区内の不動産屋
「えー、そんなわけで我々、株式会社ホワイトハウスとしては、不動産仲介手数料が完全無料でサービスを展開しておりまして。ぜひ地元に根づいた活動をしているジモコロさんでPR記事を書いていただけないかと……」
「嫌です」
「えっ!嫌とかあるんですか!? 仲介手数料が完全に無料の不動産仲介はニーズも絶対にあるはずですが……!」
「僕、不動産仲介業者さんって、言っちゃあなんだけど全然信用してないんですよ。過去にオトリ物件に騙された事もあるし……」
「確かに、業界全体として問題を抱えてる部分はもちろんあると思うんですね。でも我々はそういう不動産仲介のグレーな部分を払拭して業界を変えて行きたいと思ってまして……」
「だって、仲介手数料が完全無料って、逆にうさんくさいですよ。どうやって利益あげるんですか」
「正直に言うと、まだ利益の目処は立ってません」
「立ってないのかよ。それが余計に怖いんですって!タダほど高いものはないって言うし!」
「そこをなんとか……!」
「えーー。仲介業者のせいで嫌な思いをした人はかなり多そうだしな……。ヘタに宣伝したくない……。手数料ゼロで、今後はどういう見込みを考えてらっしゃるんですか?」
「例えば、引っ越しの時ってインターネット回線を見直したりしますよね? あれを電気屋さんで申し込みすると、ネット回線業者さんから電気屋さんにインセンティブが支払われるんですよ。だから、引っ越しの時にネット回線も同時に我々に申し込んで頂くことでインセンティブで利益を得るとか。保険の免許も持ってますので保険の見直しとかも並行してやることで利益は得られるかな、と思っております」
「でもそれだと、引っ越す人に『ネット回線入ってくれなきゃ仲介しません』とか『保険見直せ!』ってしつこく迫ったりしてトラブルになったりしないかなぁ、っていう。ご時世柄ヤバいですよ」
「それは絶対にしない事をお約束させていただきます!あくまで引っ越しの際に『ご一緒にどうですか?』っていう、通り一遍のご案内をするくらいのつもりです。あとは、広告付き物件というのが最近はあるんですね。『この物件が成約に至ったら、家賃の半月分を仲介業者に支払いますよ』と。その辺りの仕組みを活用して利益を確保したいと考えております。我々みたいな小さな会社は、大手ができないことで勝機を見出すしかないんです」
「ですので何卒よろしくお願いします……!」
「oh……!一回メールでも断ってるのになんというしつこさ……!」
「正直言って、我々としても実験的な試みなんですよ。会社として他の事業もしていまして、そちらで利益は出ているのでとりあえずのところは赤字でも大丈夫です。お客様が増えて、契約数が増えてくれば1件あたりのコストも減らせると思いますし。まず知ってもらうことが一番なんです」
「わかりました。やりましょう!」
「ありがとうございます!」
「ただし、とりあえず読者の人に約束するのは無料期間は最低半年、つまりは2017年の3月いっぱいまでっていう事にして、そこから先は『利益がうまく出なかったら手数料をいくらか取るかも』くらいに最初から言っておきましょう。そのほうが誠実だと思うので」
「わかりました!」
「前フリが異常に長くなった。なんなんだこの企画」
「この条件だとどう考えても儲かる気がしないんだけど大丈夫かなこの人……」
実際に引っ越ししてみよう
そんなわけで洞口さんに良物件を探してもらいつつ、
こちらに今すぐにでも引っ越したい漫画家・カメントツを用意しました。
今回はこのカメントツをホワイトハウスさんの仲介で、マジ引っ越しさせたいと思います。
引っ越したい漫画家:カメントツ
仮面を被った漫画家ライターゆえにカメントツ。オモコロでもマンガを描いているという噂がある。仮面凸ポータルから呼ばれればどんなときも予定があいてれば駆け付けるぞ。Twitterアカウント→@computerozi
「そもそも、なんで引っ越したいんだっけ」
「今居候している家に改装工事が入っちゃって、家で漫画描いててもドッカンドッカンうるさくて気が狂いそうです」
「ちなみにどういう物件が良いの?」
「そうですね。騒音に悩まされてるのでやはり防音と、後は漫画を描くので荷物とかも多くて作業スペースも必要なので広い部屋だとありがたいです」
「よしよし。今日はそんな君にピッタリの物件をみつくろってきたから楽しみにしててください」
「やったー!嬉しい!」
六本木の高層マンション
まずは六本木方面に向かいます。
「おーい!カメントツくーん!」
「広っ!なにこれ!」
「広い部屋が良いって言うのでヤケクソみたいに広いリビングのお部屋をご用意しました。これで漫画も描き放題!」
「あとは騒音にお困りという事だったので、防音がしっかりした部屋を選びました。これはかなり良い物件ですよ。セキュリティもしっかりしてますし、築年数もそれほど経っておりません」
「なるほどーねーーー!」
「ほら見て。バカみたいなサイズのオーブン!鳥の丸焼き、一気に4匹くらい焼ける!」
「誰が焼くんだよそんなもん」
「大容量の食器洗浄機もあるし……」
「自炊しないので食器も使いません」
「この部屋はなんですか?」
「ウォークインクローゼットですね。服の収納はバッチリです!」
「僕、洋服も5着くらいしか持ってませんよ」
「いやー、バルコニーからの眺めも最高やね。ここに住めば?」
「いや、最高なのはわかるんですけど、ここって肝心な家賃はいくらなんですか」
「134万円」
「殺すぞ」
今度は東横線沿線で探そう
月に134万円は払えないそうなので、もう少しお手頃な物件を探しに来ました。
中目黒駅から徒歩10分の好立地。家賃は月に7万円です!
間取り図で見れば充分な広さに思えるが…
「うーん、全然悪くない物件なんですけど、134万円の家見た後だとギャップがすごいですね」
「でしょ。不動産屋さんって最初にダメな物件を見せて、限界までハードル下げた後、最後に良い物件を持ってきて契約させるって言うじゃん。アレの逆をやることで冷静に判断できるようになるかな?って。愛があふれた親心みたいなものなんよ」
「完全に余計なお世話だろ」
「でも別にここでも良いじゃん。ここにしとこうよ。探すの面倒だし」
「露骨に面倒臭がるなよ」
「そうですね。悪くない物件ではあるんですけど、ただ一点問題がありまして」
「隣の家に思いっきり工事の予定が入ってるんですよね」
「工事の音が嫌で引っ越すのに…また工事予定の隣に住んでどうするんですか」
「やっぱりそうですよね……」
「却下!」
「えー」
ヤバすぎる祐天寺57000円の物件
「えーっと。諸事情で外観の画像が載せられません。中に入る前から分かってたんだけど、この物件はちょっとナシかもしれないですね」
「そうですね。個人宅の庭みたいな所に建物が建ってますもんね。部屋に大家さんの荷物らしきものがめちゃくちゃ散らかってるし」
「そうそう。玄関も共有だからほぼシェアハウスだし、そもそも部屋が明らかに傾いてる」
「はい。畳も腐ってるような…。あと内見しに来たらいきなりガラッと窓があいてすごく怖い顔したおじさんに睨まれました」
「でも逆にこういう所に住んだら面白い経験がたくさんできるかもしれないよ。階下のおじさんが夜中にバット持って襲撃しに来るとか」
「その経験をどうやって面白がれって言うんですか」
4件目は憧れの「学芸大学駅 徒歩1分」で69000円!
「カメントツくんは、本当にワガママだな…。今日内見する最後の物件だけど、若者に人気の学芸大学駅徒歩1分! 家賃69,000円! これ、完璧じゃない??」
「これまで散々騙されてきたので全然信じられません。あ!でもよく見たら共益費込みで75,000円じゃないですか」
「それぐらい許容範囲でしょ。それでも安いぐらい」
「とりあえず家の中を見てみましょう」
「おー!部屋全体が明るいし、キッチンもキレイ!」
「これまでと比べると、かなり整った感ありますね」
「風呂好きには欠かせない追い焚き機能も!」
「これは加点ですね」
「クローゼットのスペースもあるし、一人暮らしには十分じゃない?」
「エアコンもしっかりありますね」
「これ、完全にアタリやろ。むしろ安すぎるし人が死んでるのかも」
「死んでません」
「ただ、家賃75,000円は少し予算オーバーなんですよね……。どうしよう……」
「カメントツくん」
「言っておくけど、学芸大学には美人がめっちゃ多いんやで……?」
「えっ、マジですか?」
「じゃあここにします」
「よし!じゃあキマリ!洞口さんあとは頼んだー!」
そして2週間後・・・
カメントツくんにおろしたての30万円を貸したので銭湯帰りの爽やかな気分が吹き飛びました。 pic.twitter.com/CDRJ8xxu9d
— ヨッピー (@yoppymodel) 2016年6月26日
引っ越して駅、本屋、文具店、スーパー、コンビニ、松屋、王将、TSUTAYA、100均、電気屋、ドラッグストア、くたびれた喫茶店、カルディ、個人経営の居酒屋が徒歩3分でそろっている場所に住んで「ヘブン・イズ・ア・プレイス・オン・アース…」と呟かざるおえない。
— カメントツ (@Computerozi) 2016年7月4日
「まさかマジで引っ越し費用がないとは思わなかった。決めてからお金貸してはずるい。なんで僕がそこまでしないといかんのだ…」
「ヨッピーさんのおかげで騒音地獄から解放されました。ありがとうございます!お金はもっと売れたら絶対返すので!」
「出世払いかよ」
「引っ越して1ヶ月経ったんですが、正直な感想も述べておきますね。今回は勢いで決めてしまったんですが、やはり住んでみるといくつか問題は出てくるもので」
●住んでから気づいた「悪い点」
・雨が降ると排水溝からの臭気がのぼってきて台所が下水の臭いになる
・物件自体が古いせいかコンセント数が少ない(4口しかない)
・駅チカすぎて快速電車が通ると家全体が揺れる
●逆に今回引っ越して「良かった点」
・ホワイトハウスの洞口さんは「漫画家」という信用ゼロの僕のために審査面で本当にがんばってくれた(普通にいったらダメだったかも)
・駅チカで揺れるけど、東急の電車は騒音がほとんどない
・改札まで徒歩30秒だし、単純に広いし、住環境はいい感じ
・取引先の会社も近いし、漫画家友だちの家も近い
・コインランドリー、スーパーが目の前なので洗濯機と冷蔵庫買わなくていい
「なるほど。100%満足できる物件なんてなかなかないもんね。満足したかったら、よほど高い家賃の家に住むしかない」
「そうですね。妥協できるところ、譲れないところをハッキリ持っておくのがいいかもしれません」
そんなわけで学芸大学にマジ引っ越ししたカメントツですが、無事に楽しい新生活を送っているようです。
今回の企画では運よくカメントツくんは良い物件に出会えましたが、物件探しには皆さんも色々と苦労した事があったりするのではないでしょうか。
そこで今回「ゴネ王」と呼ばれるレベルで数々の不動産仲介業者と戦ってきた僕の、「良い物件を探すノウハウ」について語る事で締めさせていただきたいと思います!
●ゴネ王の引っ越し理論その1「仲介業者の選択権は自分にある」
まず大前提として知っておいていただきたいのですが「不動産仲介業者をどこにするのか」については自分に選択権があります。仮に良い物件を見つけたとしても、仲介業者の対応が不誠実であったり、納得のいかない料金の上乗せなんかが行われた場合なんかは即座に別の不動産仲介業者さんに切り替えましょう。
別の業者さんの所に物件の情報を持って行って「これ、仲介して頂けますか?」って聞けば9割くらいの物件はイケるはず。「その仲介業者しか持ってない物件」も確かにありますが、数は多くありません。納得がいかないようなら別に仲介業者に頼むのもひとつの手段!
この記事を見た人が「ホワイトハウス、ダメじゃん!」ってもし思ったらとっとと別の仲介業者さんに行くのが良いよ!洞口さんが頑張ってくれるはずだけど!
●ゴネ王の引っ越し理論その2「引っ越し準備には十分な期間を取る」
サラリーマンの転勤に伴う引っ越しなんかだと準備期間がどうしても限られてしまうのですが、逆に言えばそれ以外のケースはちゃんと準備期間として2カ月くらいを見ておきましょう。
更新の機会に引っ越す、などのケースであれば事前にタイミングがわかっているわけですから前もってしっかり準備するべき。何故なら引っ越しまで時間がないと足元を見られるからです。「あと一週間で引っ越さなきゃいけないのに条件に納得がいってない…」みたいな状況でも契約せざるを得なくなるので。駆け引きをするために必要!
十分な期間がないと契約書の中身もしっかり確認出来ないしね!
得に退去時の敷金なんかは『1ヶ月償却』とか書いてあると綺麗に住んでも敷金は丸々帰ってこない契約なので要注意や!
●ゴネ王の引っ越し理論その3「自転車を使え」
いきなり頭が悪くなった感じですが、これには理由があります。家賃に大きく影響するのが「駅からの距離」。逆に言えば駅から離れれば離れるほど、どんどん家賃が安くなるようになっています。
「それだと通勤、通学が大変じゃ……?」って普通は考えがちですけど、そういう時は自転車をフル活用しましょう。徒歩15分の距離も自転車なら5分。マンションなら駐輪場が併設されていることも多いでしょうし、駅の近くにも月極の駐輪場があるものです。
月に高くても2000円程度で契約出来るはずなので、家賃が下がる分を考えたら駐輪場代を払った方がむしろ安くなる。雨が降った時は「さすべえ」なんかを活用すればよっぽどの大雨じゃない限りはイケる。「中心部から離れた駅の駅近」より、「中心部寄り駅の駅遠」に住んだ方が何かと便利やで! あと徒歩15分の距離になってくると最寄りの複数駅が利用可能になることもあるので、その観点で物件探しをするとグッド!
というわけで、少しでも費用を抑えたい人は仲介手数料0円の「ホワイトハウス」を選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか?
※2017年3月末までの期間限定!
<広告主>
株式会社ホワイトハウス
ライター:ヨッピー
大阪府生まれ。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)