こんにちは、ライターの吉野です。私はこの夏からワーホリビザで日本からオランダに引っ越しました。現在は慣れない土地で、仕事や部屋探しに奮闘しています。
さて、みなさんは海外で働くことについてどんなイメージがありますか?
様々な人種が交差する多様な環境、聞き慣れない言語、日本よりも高い時給など、興味はあっても、「海外の仕事」って何だか難しいイメージですよね。
最近は円安の影響もあって、海外で働くことへの関心が若者の間で高まっており、働きながら滞在できる「ワーキングホリデー」の申し込み件数はコロナ禍を経て、年々増加しています。
そこで今回、世界各地で働く20代前半〜後半の方々に「どんな仕事をしているのか?」や「ぶっちゃけどのくらい給料をもらえるの?」など、時給や働き方について詳しく聞いてみました。
今回、対談をお願いしたのはこちらの3人!
▼登場人物
青中潤也さん
27歳。オランダ在住。約5年間日本で理学療法士として働いた後、オランダにワーキングホリデーへ行くことを決意。趣味はサッカー観戦。柴田杏菜さん
24歳。ハンガリーの大学を卒業後、キプロス島にあるラーメン店の立ち上げメンバーとして島に移住。大のジブリ好き。脇坂拓真さん
29歳。オーストラリア在住。オーストラリアに引っ越した彼女に会えなくなるのが寂しすぎて、自身も渡航。日本人のワーホリへ行くハードルを下げるためTikTok「ワーホリに行く彼女についてく金魚のフン彼氏」でオーストラリアの日常を発信中。
毎月100万以上稼げる仕事も!? 世界の時給事情
オンライン取材では時差もある中、奇跡的に全員集合!
「みなさん、今日は世界中からお集まりいただきありがとうございます。まずはどこで何の仕事をしているのかを教えてください!」
「僕はこの5月からオランダ第二の都市、ロッテルダムに引っ越して、たこ焼き屋さんとラーメン屋のバイトをかけもちしています」
「私は今年から東地中海のシリア・アナトリア半島の沿岸にあるキプロス島にいます。日本人が経営するラーメン屋で、正社員として働いていますね。キプロス島の前はハンガリーにいました」
「僕はオーストラリア在住1年目で、ブルーベリーファームでピッキング(収穫)の仕事をしています。ちなみに、ブルーベリーの前はぶどうのピッキングをやってました」
「みんな職種はバラバラですね。今の勤務時間や時給はどんな感じですか?」
「私は週6勤務で、お給料は月収約30万円もらっています。給料の他にもキプロス島にはチップ制度があるので、スタッフ全員で分けた1ヶ月のチップ代約2万円が追加収入として入ってきます」
「僕は週4日、平日はラーメン屋、土日はたこ焼き屋で働いています。オランダの最低賃金は年齢によって違っていて。僕の場合、時給は21歳以上の最低賃金の1,918円です。ただ、オランダは労働法で『全ての従業員に8%の休暇手当がボーナスとして支給される』と決められているので、それを含めると時給は合計2000円くらいかな」
「オランダでは、スキルがある人とない人で時給が変わるのは本当ですか?」
「そうそう。例えばドイツ語(※ドイツはオランダの隣国)を話すことができると、時給は平均より高めです。あと、オランダは最低賃金の見直しが年に2回行われるので、時期によって平均時給も変わってきますね」
「そんなに頻繁に時給が変わるんですね。 脇坂さんはどうですか?」
「今の職場は歩合制なので、ブルーベリーの収穫量が多ければ多いほど稼げる仕組みになっています。だけど、以前働いていたぶどうピッキングは時給制で、時給が2600円のなか、1日10時間以上働いていたので1週間に約13万円くらい稼いでました」
「え、そんなに稼げるんですか!」
「正直、時給制はかなり稼げます! しかも時給+出来高給だったので毎月100万円以上の収入がある友人もいて。そんな生活が続くので、周りの人はバイト終了後に車を買ったり、大学の奨学金を返済したりしてる人が多かったです」
「すごい。まるで夢のような仕事……」
「だけど時給の場合、仕事の遅さとクオリティが原因で『明日から来なくていいよ』って急にクビを宣告されることもあって。歩合制だとよほどのことがない限りクビにはならないし、自分が頑張ればその分大きく稼げる。それぞれメリットやデメリットがあるので、その都度自分に合った働き方を選んでいます」
「海外アルバイト=稼げるなどのポジティブな情報が多いけど、実際は予想以上にシビアな世界なんだなあ」
ラーメン一杯3000円。日本の倍近くの食費と家賃
「どの国も日本と比べると物価が高いイメージですが、実際どうでしょう?」
「私はキプロス島のリゾート地・アヤタパという場所に住んでいるので、物価は島の中でも高めです。家賃は1ヶ月約7万円くらいで、食事はレストランのまかないが毎日出るんですけど、外食は週に2回程度で昼ごはんや仕事終わりにバーに行くくらいですね。でも、オランダよりは安いと思いますね」
「オランダはどれも全体的に日本より高いです。特に外食が引くほど高くて。この前レストランで生牡蠣6個を注文すると5000円もして、ぼったくりかと思いました(笑)」
オランダの生牡蠣
「僕も節約のために米と春雨ばかり食べています。オーストラリアは食費の他に、家賃が上がっていて郊外でも家賃が月に16万円もかかるんです。日本ならタワマンに住める価格ですよね(笑)」
「ひええ〜!」
「ちなみに、海外って家賃が高いだけでなく、常に物件不足のため家探しが難しい状況で……。オランダでは50軒以上内覧しても契約まで行き着けないんですよ。僕は現地の人に探してもらって、渡航して3ヶ月後にやっと家が決まりました」
「後、海外で食べる日本食も高いですよね。日本では考えられないかもしれませんが、私の働いているラーメン屋では一杯約3000円(19ユーロ)で提供しています。海外にいると、寿司やラーメンが最高のごちそうなんです!」
キプロス島のラーメン
「安くて美味しいものを食べられる日本の外食チェーンって本当に奇跡ですよ。僕は日本食が恋しすぎて、無性に日本に帰りたくなる……」
「みなさん日本へ帰国した際は、思う存分日本食を食べつくしてください!」
海外では上下関係なく意見を言える職場が多い
「海外で働いてみて良かったことはありますか?」
「日本と比べると、勤務中の自由度が高いことですね。作業中に爆音で音楽を聴いたり、『もう疲れたから帰るわ〜』って途中で帰ったりと、とにかく自由。他にも、大自然の中で働くので、デジタルデトックスにもなっています」
「僕は人間関係に恵まれていることかな。ヨーロッパには上下関係があまりなく、英語には敬語もないからか、お客さんや上司との関係もすごくフラットなんですよ。それが働く上でのやりがいにも繋がっています」
「それはありますね。私の職場でも社長に対して『これ持って行ってくれない?』って普通に言うし、自分はマーケティングをやったことないけど、お店の広告についての意見も言います。自分が思ったことを発言しやすい環境です」
「海外で働くのにはメリットが多くある反面、もちろん大変なこともありますよね……」
「屋外で働いているので、とにかく暑いこと。今年はやばいですね。オーストラリアの日差しは強烈なので、今日もブルーベリーの収穫中に何人か熱中症で倒れてしまい、作業が途中でストップになりました」
「日本人って感情をコントロールするのが得意な方だと思うんですけど、外国の人は感情のコントロールをしないことが多いんです。なので、職場に感情的な人がいる時はとりあえずなだめています(笑)」
柴田さんの職場仲間
「僕は日々、言語の壁にぶつかっていますね。言葉の問題って想像以上にストレスで……。職場での話し合いの時に、自分の思いを上手く表現できなくてフラストレーションが溜まってしまいます」
「言語と言えば、みなさんは英語や現地の言葉を問題なく話すことができるのでしょうか?」
「僕はオランダ語を話せないんですけど、オランダは英語が通じるので、英語が出来ると日常生活に支障はないです」
「キプロス島はギリシャ語圏なんですけど、ヨーロッパのリゾート地なので英語が通じやすいんです。私もギリシャ語が話せないので、英語で仕事ができるのはとても助かっています」
「英語を話すことができると、現地語が話せなくても何とかなるんだ!」
「僕はオーストラリアに着いて一週間で働き始めたこともあり、語学学校には行ってません。それに前から英語はあまり得意じゃなくて……」
「あれ、そしたらどうやって海外で家や職を見つけたんですか?」
「仕事を探す時は事前に翻訳した文章をコピペして送りました。オーナーとの個人的なやりとりはネットで調べたり、周りの日本人に聞いたりして乗り越えています。でも喋れるに越したことはないので、英語の勉強はしておいた方が絶対にいいです!」
海外生活を乗り越える「なんとかなるさ精神」
「海外で働く経験をした人の中で、働き方が自分に合っていて『もう日本では働きたくないな〜』と思う人もいるかもしれませんが、ぶっちゃけどうですか?」
「時給が上がるのであれば、こっちに長く住むのもありですね。だけど、僕としてはやっぱり日本が好きなので、日本に居ながら海外の会社にリモートワークで働いて、いい給料もらうのが理想です」
「僕はオーストラリアで自由を知ってしまったので、帰国して日本の会社で働くのは少し息苦しくて……。なので、日本でも自由な環境で過ごせるように今から手に職をつけて、自分で仕事を作っていこうと思います」
休日の様子
「最後に、これから海外で働く人に向けてアドバイスをお願いします!」
「海外に住むメリットとデメリットを考えると、両方出てくると思うんですけど、どの道を選んでも悩みは尽きないので、まずはメリットだけを考えて、とりあえず行動してほしいです」
「そう、行かないと何も始まらないと思います。後、『目的がないと海外に行ってはいけないの?』って考える人が多いと思うんですけど、そんなことは全くなくて」
「渡航の目的はなくてもいい?」
「もちろんあるに越したことはないと思うんですけど、目的よりも、海外に行きたいという気持ちの方が重要だと思います。『なんとなく海外に行きたいな〜』も立派な理由のひとつかなと」
「それこそ僕はオランダに来て2日目に、高熱を出して『来なきゃ良かった!』と思ったんですけど、今不安に思っていることって何ヶ月かしたら忘れる訳で。だから何事も考えすぎず、『なんとかなるさ精神』は大事!」
「もし海外で暮らし始めても、最初の一年目からいきなり自分を変えようとする必要はないんですよね。長く滞在していると、いつかチャンスが巡ってくるはずなので『自分、今海外で挑戦して偉いわ〜』くらいの気持ちで、自分を褒めながら過ごしてほしいです」
「日常の些細なことでも自分を褒めてあげることで、海外生活のモチベーションにも繋がってきますよね。みなさん、これからも海外で頑張ってください〜!」
まとめ
コロナが落ち着き、海外渡航を目指す方も多いと思います。海外に住み始めて、色んな壁にぶち当たった時は、あまり深く考えずに「なんとかなるさ」とリラックスしてみてください。海外在住の方も、これから渡航する予定の方も貴重な海外生活を思いっきり楽しんでくださいね。
今回インタビューを受けた3人のリアルな生活の様子はSNSで見られるので、気になる方はそちらもチェック!
〈3人のSNSはこちら〉
・柴田杏菜さん(キプロス島)
キキ | Kiki | ハンガリーからキプロスにお引越し (@kiki_in_cyprus) • Instagram photos and videos・脇坂拓真さん(オーストラリア)
ワーホリに行く彼女についてく金魚のフン彼氏 (@kin_hun_) | TikTok・青中潤也さん(オランダ)
Junya Aonaka (@pose1003) • Instagram photos and videos