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「産業廃棄物のリサイクルで【砂】を作ってます」←なんで??

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「産業廃棄物のリサイクルで【砂】を作ってます」←なんで??

我々の生活から出る「一般ごみ(生活ごみ)」はおよそ5000万トン。もっとゴミを減らしましょうみたいなことを散々言われてますが……「産業廃棄物」の量はそれを遥かに凌ぐ4億トン

※平成19年度環境省の調査

 

未来のために、産業廃棄物をリサイクルする技術は必要不可欠と言えるでしょう。

 

そんな中、産業廃棄物をリサイクルして『砂』を作っている会社があるという…………

え、なんで? ワンピースのクロコダイルが経営してる?

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というわけで今回は群桐エコロ株式会社・群馬ハイブリッドクリーンセンターにやってきました。

 

群桐エコロ株式会社 群馬ハイブリッドクリーンセンター

所在地|群馬県太田市新田大町600番26,27

・公式HP→こちら

 

最近 かなり真面目に環境問題に興味を持っているので……産業廃棄物をなぜ砂に変えているのか聞いてみます。

 

なんで『砂』作ってるの?

お話を聞いたのは群桐エコロ株式会社の代表・山口さんと、同社総務部・家富さん

 

「今日はよろしくお願いします! 群桐エコロさんでは産業廃棄物のリサイクルを行なっているそうですが」

「はい。主に3つの事業に取り組んでいまして、例えば廃油をリサイクルして再生重油にしたり……」

「廃油っていうのは、車のオイル交換の時の……あの黒いドロドロの油とかですか?」

「それも廃油ですね。他にもオイルは色々なものに使われてまして、例えば機械を動かしたり金属加工にも油が必要なので、廃油って大量に出るんです。それを再生重油にしてます」

 

「再生重油っていうのは何に使われてるんですか? スーパーでサラダ油の横に売ってたりします?」

「いえ売ってません。一般の方の目に触れることはあまりないかもしれませんが、工業用の燃料油として広く使われていますよ」

「へ~なるほど。資源を無駄にせず再生するって有意義な事業ですね! 先ほど『主に3つの事業に取り組んでいる』とおっしゃってましたが、残る2つは?」

 

「あとはPCBの処理とか」

「ぴ……PCB……???」

「PCBはポリ塩化ビフェニルのことで、有害な物質です。わかりやすい例で言うと、電柱にバケツみたいなやつがついてるじゃないですか。あれは変圧器といって中に油が入ってるんですが、昔はその油にPCBが使われていたんです」

「え、有害なのに使われてたんですか? しかも電柱って大量にあるじゃないですか!」

 

「有害なことがわかって規制され、50年くらい前からは新たに作ったり使ったりすることは禁止されました。で、濃度が高いものは国が処理して、低いものは民間で処理していて、群桐エコロでも処理をやってるわけです」

「諸外国ではすでに処理が終わったりしていて、日本も2027年までに処理を終えることを国際的に約束してます。高濃度のものはほとんど処理が終わってますね」

「なるほど。ここまでに『廃油を再生重油に変える』『PCBの処理』、を挙げられましたが、3つの事業のうち、最後の一つは何でしょう?」

「最後は、廃棄物の焼却溶融処理ですね」

「溶融……溶かすってことですか」

「はい。廃棄物を1300度の炉でドロドロに溶かして、砂を作ってます

「……ん? 砂ってあの砂ですか? そこらへんの地面にあるあの……」

「あの砂を人工的に作ってます」

「え~っと…………」

 

なんで?

 

「まあ、そうなりますよね(笑)」

「なぜ砂を作っているかは、産業廃棄物の処理そのものについてお話しする必要がありまして」

「まず、産業廃棄物というのは国が定めた分類で20種類あります。廃プラスチックとか汚泥、燃え殻、木くず紙くず……」

 

「へぇ~……あ!

「どうしました!?」

 

13号廃棄物っていうのがある!! これ、『パトレイバー』に出てくる実験生物の呼称ですよ! レイバーの殻をかぶって戦ったあの生物って実在したんですか?」

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「いえ、たぶん実在してません。『産業廃棄物を処分するために処理したもので、他の19種類の産業廃棄物に該当しないもの』を13号廃棄物と呼んでます」

「な~んだ……でもたぶん作者のゆうき先生はこの分類のことを知ってて、それであの生き物の名前を“例外”という意味で『廃棄物13号』にしたんでしょうね」

 

「13号廃棄物を含む20種類の産業廃棄物は、リサイクルされたり焼却されたりといった処理をされますが……たとえ処理してもこの世から跡形もなく消え去るわけじゃないですよね。使えない残りはどうなると思います?」

「えー。すでに処理はされてるんだから、あとはもう捨てるしかないのでは?」

「その通りです。今までは燃え残ったものなどは埋立処分場などに廃棄するしかなかった」

「でもそれだと無駄すぎるし、いずれ処分場が溢れかえってしまう」

「あ! だからせめて砂に……ってことですか!」

「そう、ゴミは捨てるしかないけど、砂なら使い道があるでしょ?」

「現在、弊社で受け入れている廃棄物の量は年間2万7000トンくらい。砂にすることでそれを7000トンくらいにしているんです」

 

「こちらが群桐エコロ株式会社が作った人工の砂、『サーブルオール』ですね」

「へぇ~、普通の砂と違って黒いんですね。ちなみに『サーブルオール』ってどういう意味なんですか?」

「サーブルは確かフランス語で“砂”、オールは“金”とかそういう意味だったと思いますが」

「いや『ワンピース』のキャラクター、クロコダイルが“サーブルズ(砂嵐)”っていう技を使ってたよなぁ~と」

「クロコダイルは昔は女性だったんじゃないかという説もありますよね……」

 

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「ワンピース談義中に申し訳ありませんが、説明を続けてもいいですか? 弊社の『サーブルオール』は完全無害、すでに幅広く使われていまして……」

「え、完全無害……? “完全”って本当に? 食べられます?

「食べっ??? え~~~~~~っと、成分的には食べても大丈夫……だとは思いますが……う~ん」

「食べれるの!? カルボナーラの上にふりかけたりできます?」

「無害なことと食べられるかはまた別なので……カルボナーラには普通にブラックペッパーをかけてください」

「むう。この人工砂って、一般的な焼却場(産業廃棄物用ではなく普通に生活ゴミを燃やす施設)だと作れないんでしょうか?」

「作れないんですよ。一般的な焼却場の炉は800度~1000度くらいですが、弊社の溶融炉は1300度ありまして」

「その超高温のおかげで、一般的な焼却場で燃え残ったものすら、ドロドロに溶かすことができます」

「1300度の炉か……この目で見たい! 見たい見たい!」

「見ます?」

 

施設内を見学させてもらおう!

というわけで施設内を見学させてもらうことに

 

敷地が3万6000平米もあるのでマジ広大。とにかく広い!!

 

でかすぎて敷地内を自転車で移動することもあるんだって!

 

ハンバーグ? もしくはハンブルグ? という自転車が使われていました

 

作業車もでかすぎて笑っちゃう

 

各地から回収されてきた廃棄物が集められ……

 

うず高く積み上げられています。スターウォーズでルークとレイアが閉じ込められるとこじゃん!……と思ってたら―

 

巨大UFOキャッチャーが現れゴミをすくっていきました。もちろん人間が操作してます。

スターウォーズじゃなくてバイオ4だったか……

 

いよいよ超高温1300度の炉を擁する棟へ

 

あああぁぁぁ~~~~こういう光景めっちゃ好きーーー!!!

工場萌え 工場萌え

 

では巨大な炉のごく一部、↑「」の部分を見てみましょう

 

でかすぎワロタ

画面奥に注目してください。この「ごく一部」だけでも2階~3階くらいの高さがあります

 

全体は巨大すぎてとても捉えられないんですが、この小窓から中を見ることができます。ちょっと近づいて中を覗いてみま……

 

いやあっちーし眩しいし無理!!!

 

「これが1300度の炉か……」

「焼却灰すらドロドロに溶かせる自慢の炉です」

※焼却灰=焼却場で焼却処理した際に残った燃え殻のこと

「この温度なら、死体を跡形もなく消すことだって可能ですよね。映画で見たんですけど、そういう裏のバイトをしてる従業員がいるのでは……?」

「いえ、それは無理です。例えば大きな肉の塊を入れても中には火が通らないので……ローストビーフみたいになります」

「え、1300度なのに!?」

「ものを燃やすには酸素が必要なんです。だから外側(酸素がある)は焼けるけど、分厚いものの中心部(酸素がない)は燃え残ってしまいますね。この炉に少年ジャンプを入れても、中心部は燃え残って読むことができます」

「へぇ~意外! サンデーも燃え残りますか?」

「サンデーもです」

「マガジンも?」

「マガジンもチャンピオンも別冊マーガレットもです!」

「大きいものや塊は、炉に入れる前になるべく細かく破砕する必要があるんですよ」

 

燃える時に出るガスは無害にして高さ40mの煙突から出しています(無害=国が定めた既定値以下、のこと)

 

砂がつくる未来

こうして廃棄物は砂にかたちを変え―

 

山のように積まれ、出荷されていきます

「登ってみてもいいですか?」と聞いたところ、「柔らかいから危ないですよ!」とのこと

 

でもネコは登ってるみたい

 

触らせてもらうと、天然の砂よりややチクチクする手触りですね(金属分が多いからだそうです)

 

「人工砂って、どういう用途で使われてるんですか?」

「例えばコンクリートの混ぜものとして使われてますね」

「工事現場の警備員やってたから知ってますが、確かにコンクリって砂や石を“繋ぎ”的に使いますよね。天然の砂と比べて、人工砂を使うメリットはあるんですか?」

ぶっちゃけ、無いですね

「無いの!???」

「価格的には人工砂のほうが全然安いんですが、他に手間とかコストがかかるので……結果、どっちを使っても費用は同じくらいになるそうです」

「ただ再生資源なので環境には優しい。そのため『公共事業だから人工砂を使用してくれ』みたいな発注があればみんな使ってくれますね。でも特に指定がなければなかなか使われないのが現状です」

費用が同じなら環境に優しい人工砂を使ったほうがいいような気がしますが、素人が考えるほど単純じゃないんでしょうね……」

 

「今、工事や建築の現場なんかで大量に砂が使われていますが、天然の砂ってどこから調達してるかわかりますか?」

「え、砂を……調達? すいません、そこらへんに無限にあるものっていう認識だったんで、考えたこともなかったです」

「多くは山を削って砂を調達してるんですよ。あとは海底からとったり川底からとったり……多少なり自然に負荷をかけているわけです」

「うむむむむ……」

「もしくは高品質な砂なんかは外国から買ったりもしてます」

「わざわざ砂を買うのも驚きましたが……砂に品質ってあるんだ!!」

「あるんですよ。コンクリに混ぜやすいとかそういうのが」

「『砂漠の砂は品質が良い』とか、そういうことでしょうか?」

 

「実は砂漠の砂はコンクリに入れても混ざりにくいんですね。粒が丸いから滑ってしまって、コンクリの繋ぎとしては使えない」

「一方、さっきサーブルオールに触った時、『トゲトゲしてる』っておっしゃってましたよね? それは金属やガラス質のせいなんですが、そのトゲトゲのおかげで、混ぜるにはとてもいいんです」

「つまり砂としては最高級品?」

「サーブルオールは自社の商品なので、『もちろん最高です!』と言いたいところですが……混ぜやすいから高品質ってわけではないですね。人工砂は鉄分が多くて多少重いので」

「わずかな重さの違いでも、大量に運ぶ場合は運搬量に違いが出たりしますから」

「大量に運ぶ……? ひょっとして『サーブルオール』って諸外国が買ったりすることもあります?」

「今はまだ輸出はしていませんが、海外だと需要があるみたいですね。インドや東南アジアなどは砂不足なので」

「“砂が不足する”ってどういう状況!?」

山や海、川が少ない国なんかで建設ラッシュになると、砂が不足することがあるんです。日本はまだ大丈夫だけど、いつか砂不足になったとき役立てればと思ってます」

「日本に砂が無くなるとか……ハハハそんな馬鹿な……」

「いえ、世界規模で砂不足が叫ばれていまして、日本でも砂は減り続けています。砂って実はものすごく貴重な資源なんですよ」

 

「建築資材以外に使い道ってないんですか? 僕は植物を育てるのが趣味なんですけど、サボテン用の砂とかに良さそう」

「えーっと、むしろ逆というか……現在のところ、『サーブルオール』の用途で一番多いのは、防草材ですね」

「ぼうそうざい……?」

「草が生えるのを防ぐ、という目的のために使われることが多いんです。人工砂は水はけがめちゃめちゃ良いので水を蓄えないですから」

「そして、防草シートなどと違ってメンテが不要というメリットがあります」

「僕、防草材として使われる砂に対して『サボテンの砂にしたらいいんじゃないっすか?』って提案してたのか……とんだピエロだったな……」

 

人工砂を使ったビフォーアフター。表面をガードしたら雑草はシャットアウトできるので、樹木には影響なし。見た目もきれいですね

 

群桐エコロってどういう会社なの?

「この施設ってめちゃめちゃ広いですけど、従業員は何名いるんですか?」

「今は60名ほどですね。大きく分けると

・廃油のリサイクル

・溶融炉で砂作り

・PCBの回収と処理

という感じで分かれてます」

「僕なら溶融炉やりたいな……色んなものをドロドロに溶かしたい! あとはUFOキャッチャーも楽しそうだなー。そういう希望って通るんですか?」

「面接者の希望と、我々が人員を増やしたいと思っている部署、できるだけすり合わせてご対応しますよ! 無理な人事はどちらにとってもマイナスですから、しっかりご希望を伝えてください」

「現在 人員が欲しいなーと思っているのはまさに溶融炉部門ですね」

「なんで溶融炉に人が足りないんですか? 人気職っぽいのに!」

「溶融炉は24時間稼働しているので、交代制で夜勤があるんですね。逆に言うと稼げる部署ってことですけどね。ちなみに廃油とPCBに関しては普通に日勤のみです」

「新卒初任給はどの部署も共通して22万スタートですが、今言った理由から、溶融炉が一番稼げますね」

 

従業員のみなさんの休憩所。快適そう!

 

「う~ん、溶融炉の作業やってみたいけど、僕なんの資格も持ってないんですよね……」

資格は不要です。電気や機械に詳しければ嬉しいですけど、資格は入ってからでも取れるので、やる気があれば大丈夫です!」

「危険物取り扱いやフォークリフトの運転ができれば、手当がついたりしますよ!」

「めちゃ入社させようとしてくる……でも実際、リサイクルってこれから伸びる一方だし、環境に良いことだから興味あるな」

「そうですよ、もしこの世にリサイクルを仕事にしてる人がいなければ……特に都市圏では産業廃棄物があっという間に溢れかえって、ゴミの山が次々とできてしまいますよね……」

日本全体が『HUNTER×HUNTER』の流星街みたいになると……それは嫌なので、ライターをクビになったら面接を受けさせてもらいます! 今日はありがとうございました!」

 

まとめ

廃油のリサイクルや人工砂は、一般人である我々の生活に直接関わるわけではありません。でもリサイクルせずに新しいものばかり使っていたらコストがかかるし、いつか資源も枯渇して、我々の生活に跳ね返ってきてしまう。

 

未来のためにとっても勉強になった施設見学でした!(あと単純に蒸気を吹き上げる巨大な機械とか見れてテンションあがりました)

 


 

そんな群桐エコロ株式会社さんでは、現在マジで社員を募集中です。

特に溶融炉の部署に空きがあるそうなので、記事を読んで興味を持った方は応募してみてくださいね!

 

群桐グループ採用情報

詳しくは→こちら

 

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