銃ってかっこいい…………
映画やゲームなどで見る、機能美を追求したフォルム、鈍く光る質感……この手に持ってみたい! 撃ってみたい!
そんな欲を叶えてくれるのが『エアガン(エアソフトガン)』です。しかしどんな種類があるのか、何を最初に買ったらいいのか、僕は銃を知らなすぎる!
ということで日本国内最大のメーカー『東京マルイ』さんにエアソフトガンの全てを教えてもらいに来ました!
行くぞ!!!(銃を構えるポーズ)
東京マルイ
日本のホビーメーカー。主にエアソフトガンを製造・販売している。エアソフトガンメーカーとして日本国内最大手であり、世界的にも有名。略称は「TM」
エアソフトガンって、なに?
今回話していただくのは東京マルイ広報課係長・島村さんです。
↑この人です
「最初に、エアガンってどういう種類があるのか教えてください。“ガス”とか“電気”みたいな言葉も聞いたことがあるんですけど」
「まず、BB弾を発射する銃の形をしたオモチャのことを総称して『エアソフトガン』といいます。みなさんはエアガンと呼んでいますね。ただ、狩猟などに使うライセンスが必要な『空気銃』もエアガンと呼ぶこともあるので、「ソフト」をつけて区別しています」
「へー! じゃあこの記事では『エアソフトガン』という呼び方で統一しますね」
「はい。『エアソフトガン』は、使用する“動力”によって大きく3種類に分かれます。ガスガン、電動ガン、エアコッキングガン、です」
ガスガン
タンクの中で圧縮しておいた「ガス」の力でBB弾を飛ばすエアソフトガン。
トリガーを引いた瞬間に作動する「キレの良さ」が魅力です。
電動ガン
電気で動くエアソフトガン。「空気」を圧縮するためのピストンを「電気」で動かします。電池や充電式バッテリーを使い、特に「連射」の性能がとても安定しています。
エアコッキングガン
「空気」を圧縮するためのピストンを「手動」で動かすエアソフトガンです。
電気やガスなどの動力がいらないので、BB弾を用意すればすぐに発射することができます。
「イメージとして馴染みがあるのは『ガスガン』ですね。やはりガスが主流なんですよね?」
「いえ、全体的な数で言うと、現在の主流は電動ガンです。次にガスって感じですね」
「今は電動が主流なんだ!」
「ちなみに電動ガンは東京マルイが世界で初めて開発した商品で、弊社が特許を持っていました」
「へぇ~! では東京マルイさんで今売れてるものというと、どういう銃になるんでしょう? やっぱり最新の実銃をモデルにしたものとかが人気なんですかね?」
「最新の実銃というと、例えばアメリカ軍のグリーンベレーが使ってるような銃になりますが……実は最新のものが一番人気ってわけじゃないんですよ」
「え!? なんで? 最新の銃みんな欲しくないの?」
「最新の実銃よりも、“思い入れのある銃”みたいなのがそれぞれあるんです。憧れのスパイ映画で使われていたあの銃!とか、ゲームでキャラクターが使ってたあの銃!とか」
「あぁ~~なるほど!! 実は僕も、アニメ『攻殻機動隊』でリボルバーにこだわって使用してるキャラを見て、銃に興味を持ったんです」
「銃に興味を持つのってそういう感じですよね。なので我々も、最先端の銃ばっかり作ってるわけじゃなくて。例えばこの間 出したMP5というサブマシンガンなんかはすごく歴史のある銃なんですけど―」
H&K MP5 A5
ドイツのヘッケラー&コッホ(H&K)社が1966年に開発した短機関銃
「あ! それ知ってる! ゲームでよく出てくるやつだ!」
「MP5自体は昔の銃なんですけど、最新の技術を搭載して改めて発売したところ、大人気となりましたね」
「どこかで見たことある銃っていうのが売れる傾向にあるんですか?」
「そうですね。今だにワルサーP38とかダントツで人気があります」
「ルパン三世が使ってるやつだ! やっぱり映画とかゲームに出てくる銃は人気なんだな。商品開発のために銃が出る作品とか見たりしてるんですか?」
「実銃であればすでにマルイで製品として作られてたりしますから、商品開発のためにわざわざってことはあまりないんですけど……最近だと『ジョン・ウィック』とか―」
「キアヌ・リーブス主演で大ヒットした映画ですね」
「あの映画に関しては、公開前から“こういう映画をキアヌ・リーブスが撮ってます”って言う情報があったんですね。その時にたまたまKSGってショットガンがチラッと映ってた」
KSG
アメリカ合衆国のKel-Tec CNC社が生産している散弾銃。 警備用・保身用として開発された。
「うちの商品ラインナップにはすでにKSGはあったので、『ジョン・ウィック』が日本に来た時に、何かうまくリンクさせて展開できるかな?みたいなのは思ったりしましたね」
「そんなチラッと見えただけの銃が、どういう銃なのかパッとわかるのがまずすごい」
「エアソフトガンメーカーなので……」
▼その他映画で使われていた銃
・『007シリーズ』のジェームズ・ボンド
ベレッタ M1934、ワルサー PPK、ワルサー P99など
・『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン
ベレッタ92F
・『マトリックス』のネオ
ベレッタ 92FS、マイクロウージー、MP5K、ユーゴスラビアモデル61スコルピオンなど
・『ジョン・ウィック』のジョン・ウィック
ケルテックKSG、ヘックラー&コッホ P30L、グロック26など
エアソフトガンのマナーを学ぼう
いよいよ実際にエアソフトガンを触らせてもらいましょう……!
CQBR ブロック1
コルト・ファイヤーアームズ社が開発した軍用小銃。ちなみにこちらはガス式です
「でけー!! かっこいいーー!! これはわくわくしちゃうなあ!」
「実際に持ってみてください」
「ずっしり重い……っ! うわ~~~! これは気分がアガりますね!!」
「そうでしょう、そうでしょう!」
エアソフトガンのマナー
「エアソフトガンを持つうえで守るべきマナーとかありますか?」
「まず基本中の基本なんですが、銃を持つときにトリガーに指をかけないことですね」
これはトリガーに指をかけているダメな持ち方
「そうなんだ! 知りませんでした」
「ターゲットに銃口を向けるまではトリガーには絶対指をかけない。これは『指トリ』といって、本物の銃でもめっちゃ怒られます」
これが正しい持ち方
トリガーガードの上部にそっと人差し指を添えるイメージ
「あとセーフティーを必ず入れること」
※セーフティー(安全装置)=銃を誤って発砲することを防ぐ為の仕組み。セーフティが入っている状態だと撃つことはできない(銃の種類による)
「これがセーフティか、よく『外れてないぜ』って言われるやつ」
「あとは銃口を人に向けない。いわゆるマズルコントロールですね。見せるときも銃口を人に向けないで見せる。銃口を向けられるといい気しないですよね?」
「確かに、命を狙われてるのかと思っちゃう」
「銃口がどこに向いてるかは細心の注意を払うべきです。僕らは『銃口からスターウォーズのライトセーバーのように刃が出てると思って扱え』と教わりました」
「教わったって誰に? ジェダイに?」
「東京マルイの選ばれた何人かは、アメリカで実銃のタクティカルトレーニングを受けてるんです。そこで教わりました」
「さすがエアソフトガンを作っている会社なだけあるな。構え方はどうしたらいいんでしょうか?」
「他にも、マガジンを挿入しないとか、保護キャップをつけるとかありますが、これは臨機応変に対応してます」
銃の構え方
「基本的には前傾姿勢で、首を倒さずにサイトを除く感じですね」
「わっ、ビシーッと決まってる! さすがにサマになってますね」
「こ、こんな感じかな?」
「ちょっと腰が引けてますね」
「もっとお腹にぐっと力を入れて!」
「むず! どうしてもへっぴり腰になっちゃう。ゲームでは当たり前のように使ってた銃なのに」
「その銃にはすでにガスを入れてあるので、空撃ちしてみましょうか」
「え? 撃つんですか? このまま? え、いいの?」
「はい」
「弾とか出ないですよね?」
「出ません。入れてないので」
「あんなに撃ってみたかったのに、いざとなると緊張するな……よし、撃ちますよ!」
バババババババババババババッ!!!!!!!!!
「うわ!!!! ははははは!!」
「笑っちゃった」
「だって反動がすごいんですよ! 『俺は今銃を撃ってる』感がハンパない。驚きと気持ちよさで絶対笑っちゃう」
「ガス式は撃った時の反動がいいですからね。では続いてハンドガンにも挑戦してみましょうか」
「ハンドガンの場合はホルスターから抜きます。といっても今日はホルスターを用意してないのであくまでフリですが」
「胸の前で構えを作って―」
「そのまま標的に向かって押し出します!」
「ひとつひとつの動作が流れるようにスムーズ! そして撃つ瞬間にはピタッと止まる! かっこいい!」
「僕もやってみますね。えーっと、胸の前で構えて」
「そのまま前に出す! どう!? いいんじゃないですか!?」
「良いですね! もう少しヒジを上げるとさらにバランスがよくなりますよ」
「イエス・サー!」
記念に写真が欲しかったので、この一瞬だけマスクを外して撮影しました
「やっとサマになってきた。ではこの銃でも空撃ちさせてもらいますね……!」
「ドゥおっ!! 反動が肩まで来ますね! 気持ちいい~~!」
「うんうん、慣れてきましたね!」
「すみません。銃を正しく構えるだけでめちゃくちゃ疲れました。戦場なら真っ先に死んでるな」
「あとはいかにかっこよく見えるかを、鏡で練習しましょう!」
「とりあえずこれで構えの基礎は学べたぞ……。でもハンドガンってこういう正面を向くのでなくて、もっと斜めに構えるイメージでした」
「あぁ~、昔の刑事ものとかは斜めに構えるのが基本でしたね。左手もグリップの下に添えて―」
「あ、そうそうこれです!」
「これは“カップアンドソーサー”といって、今はあまり使われない構え方ですね。ただエアソフトガンは実戦で使うわけじゃないので、自分の思い入れのある構え方で良いと思いますよ! 私も『西部警察』に憧れたクチなので……」
どんな銃メーカーのものを選べばいいの?
「エアソフトガンを買う上で押さえておいたほうがいい有名な実銃メーカーってあるんですか?」
「そうですね、オーストリアのグロックとか。今世界で1番売れてるのはグロックじゃないかなぁ。アメリカの警察もグロックを使ってますね」
「グロックって聞いたことあるけど、そういう名前の銃だと思ってた」
「グロックは会社名ですね。銃の名前は社名と番号で、グロック17、グロック18という感じになってます」
「そういうものなんだ! 他に僕でも名前を知ってる銃というと、映画でランボーが使ってたり、ゲームでよく出てくる『AK47』っていうのがあるんですけど……」
「AK47はロシア(旧ソビエト)の自動小銃ですね。Avtomat Kalashnikova-47の略で、開発者の名前がミハイル・カラシニコフです」
「へぇ~、いや聞けば聞くほど自分には銃の知識がないんだな~。ベレッタとかコルトとかスミス&ウェッソンとか、なんとなく聞き覚えがあったりはするんですけど、それがどういう会社なのか、どんな銃なのかわからない」
「ベレッタも、コルトもスミス&ウェッソンもメーカー名ですね。
ベレッタ=ピエトロ・ベレッタ。イタリアの銃器メーカー
コルト=コルト・ファイヤーアームズ(旧名)。アメリカの銃器メーカー
スミス&ウェッソン=略称S&W。アメリカ最大規模の銃器メーカー
という感じです」
「当たり前ですけどスラスラ出てきますね。僕もエアソフトガンを買ってみたいなと思うんですけど、銃を知らなすぎて、どういう銃を買えばいいのかわからないんですよね」
「エアソフトガン選びに正解なんてありません! 自分が好きな映画の主人公が使ってるとか、このゲームと同じ銃を持ってみたいとか、そんなのでいいんですよ」
「それもない人は!?」
「銃に興味があれば何かしらきっかけがあると思いますが、 もしないのであれば、デザインがかっこいいから、でいいんですよ。興味を持つことが大事です」
「なるほど。値段の相場はどれくらいなんでしょうか?」
「電動式のアサルトライフルだと5、6万円するものもあるので、最初は安いハンドガンとかでいいと思います。ハンドガンならコッキング式で3000円~など安価なものもあります」
「そんなに安いんだ!」
「そういうのを買って家でバンバン撃ってると、どんどん次のエアソフトガンが欲しくなってくるはずです。次はもっと反動があるやつを撃ってみたいなとか連射できるものが欲しいとか。そうしたら次のを買えばいいんです」
「エアソフトガンの沼……深そうだ……!」
東京マルイの歴史
「東京マルイさんっていうのはいつからあるんですか?」
「創業は1965年なので、57年の歴史があります。 実は元々おもちゃ会社でもなんでもなくて、製菓の卸し店だったんです」
「へ? 製菓!? お菓子作ってたんですか?」
「はい。最中の皮とか、ミルクせんべいみたいなものを作って業者に卸してました」
「最中の皮!! へ~! 意外過ぎるな~」
「そういったものを駄菓子屋さんとかに卸してたんですが、そのうちに駄菓子屋さんに卸せる他の商品―10円のセルロイドのおもちゃとか、発泡スチロールの飛行機とかを作り始めたんですね」
「お、やっと会社がおもちゃの方向に……」
「続いてプラモデルを作ったり、ラジコンやったりとか……様々なものに手を付ける中で、モデルガンを作ったんですね。弾は出ないんですが、火薬で音を楽しむことができるっていう」
「当時はそういったモデルガンが流行ってたんですけど、ただ……高かった! 価格が1万円とか」
「子どもには高いですね!」
「当時主流だったモデルガンは完成品だったんで、人件費がかかって高くなっちゃうんですね。でもプラモデルみたいに、お客さんに作ってもらえば安くできるんじゃないかということで、3000円ぐらいで出したんですよ」
「おー、それがもしかして?」
「『造るモデルガン』ですね。それがバカ売れしまして。これはイケるんじゃないかと。その後に、別の会社がBB弾を飛ばすエアソフトガンを出したんで、うちも『ルガーP.08』っていうのを世に出しました」
ルガーP.08
「これが1900円と安価だったんですけど、まあ、的に当たる!ということで好評だったんです。当時はちゃんと的に当たる銃って珍しくて。ポンと弾が出ればそれでいい、みたいな感じで」
「なるほどなるほど」
「その辺からちょっとずつ銃をやりだして、世界で初めてガスブローバック式の銃を開発します」
初のガスブローバックガン、M-59
「ガスブローバック銃きた!(ブローバックとは撃ったらその反動で自動で次の弾が撃てる状態になることだよ)」
「これも好評だったから、じゃあ次は電動ガンだと。当時はみんな、背中にエアタンク背負ってたんですね。タンクから空気を持ってきて撃つという方式だったから」
「エアタンクを背負って!? マリオサンシャインみたいなこと?」
「まあちょっと不自然ですよね? なんとか銃だけで完結することはできないかって考えました。もともとラジコンをやってたから、バッテリーとモーターの技術はあったわけで」
「おぉ、ということはついに……」
世界初の電動ガン、FA-MAS(ファーマス)5.56-F1
「はい。バッテリーとモーターを組み合わせて弾を発射する機構を開発しました。それが1991年に発売された、世界初の電動ガンです」
「すごい! 最中の皮からついに電動ガンまで繋がった!」
「色んな知恵と工夫をひねり出して、今や最先端の技術を使ったエアソフトガンをみなさんに届けられるようになりました」
「歴史があるんだな~。今日はおもしろいお話をありがとうございました! 島村さんの意見を参考に、僕もマイエアソフトガンを探してみます!」
「ぜひ良いエアソフトガンと出会ってくださいね!」
まとめ
ということで東京マルイさんにエアソフトガンの種類から歴史、扱う際のマナーまで幅広く教えてもらうことができました!
エアソフトガンに興味がある人はこの記事を読んで最初のエアソフトガンを選んでみるのはどうでしょう?
それではみなさん、よいエアソフトガンライフを~。