こんにちは、ジモコロ編集部バーグハンバーグバーグ班です。
社会人一年目のみなさんにとっては、新人扱いだった春を過ぎ、そろそろリアルな評価を下されたり、本格的な人付き合いが始まる時期……
「新人だから」という言い訳は通じなくなり、かといって一人前と言うにはまだまだ経験不足……誰にだってそんな時代があり、とても不安で困った経験があるはず。
というわけで今回は、少しでも誰かの役に立てば……という希望を込めて、『社会人一年目の人に対するアドバイス』を語り合おうと思います。
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登場人物紹介
藁品|アイデム・ジモコロ担当
総合求人広告会社アイデムにて、様々な働く人を見てきた
長島|(株)バーグハンバーグバーグ社長
見た目に反した優秀さで様々な会社を渡り歩いてきた
ギャラクシー|ジモコロ編集長
学生の頃からあらゆるバイトで色んな人を見てきた
ヤスミノ|バーグハンバーグバーグ社員
この中では最も若く、勤務年数も少ない若手
新入社員へのアドバイス
人付き合いが苦手
「では、さっそく始めましょうか。一発目は僕のアドバイスから! こちらです!」
「僕、人付き合いが得意じゃないので、飲みの席とかすごく苦手なんです。それを早めに公言しとかないと、会社によっては無限に飲み会に誘われたりします」
「これは分かるかも」
「飲み会が好きな人にとっては、『新人だからまだ不慣れで緊張してるだろう、よし、飲みに誘ってやるか』みたいな親切心だったりするので―
1)人付き合いが苦手だから一人でいる
2)「一人で寂しそうだ、よし飲みに誘ってやろう!」
3)ますます人と関わるのが苦手になって一人になる
4)「一人で寂しそうだ、よし飲みに誘ってやろう!」
の無限ループになりがち」
「う~ん、人付き合いが苦手だから一人でいるのか、それとも本当に一人で寂しがってるのか、外からでは判断が難しいですね」
「ということは、やはり公言したほうがいい……?」
「僕も入社したての頃はちょっとでも気に入られたくて、無理して人付き合いしたり飲み会に参加してたんですが……それで会社や仲間のことを嫌いになってしまったら本末転倒なので、断れる時は断って良いと思う」
「まあ、別のことで役立てばいいですよね」
「断り方にも上手い下手があるから、難しいんだよなぁ」
「ギャラクシーさんって、ひょうきんな感じで『人付き合い苦手なんすよ~』って言うじゃないですか。本当に人付き合いが苦手な人って、目も合わせずにボソッと言うイメージなんですけど」
「そういう、“分かりやすく人付き合い苦手な人”って、そもそも誘われないから悩んでない気がする」
「なるほど! それはそうかも」
「普通の人と思われてるけど実は苦手っていう僕みたいな人は多いと思うし、イメージを裏切りたくないから悩んでると思う。正直に言ったほうが、自分も周りも楽! 最初は『人付き合い苦手なんすよ~』くらいの言い方から、段階的に伝えましょう!」
その不正、バレてます
「『正直に言ったほうが』、という言葉が出ましたが、僕からもアドバイスがあります」
「備品のティッシュを持ち帰るとか、立て替え経費を多めに申請するとか。ああいうのって、大体バレます」
「(ギクッ)へ~~~、バレるんだぁ……」
「ただでさえ新入社員って話題になりやすいから、よくない話が広まると最悪ですね」
「こういうのってあとで来るんですよ。数年経って大事な仕事が振られそうになった時に、『あいつはあの時こうだったから』とかね。信頼を損なう行為って、昨今なんでもバレるのでやめたほうがいい」
「ほんのちょっとしたことでも? 消しゴムを持って帰るとか」
「信頼って0か100かだから、消しゴムくらいでもゼロになっちゃうよ」
「たしかに。信頼に50ってないかも」
「でも長島さん、この前 経費でジーパン買おうかなって言ってませんでした?」
「いや、それは記事の中で使う備品としてですね……それに思いとどまったし……」
「ギャラクシーさんは経費でひつまぶし食べてましたよね?」
「おい!」
「いや、あれは地方の食文化を誌面で紹介するというね……」
「あからさまに2人がうろたえだした」
ツァ~~~~ッ
「続いては僕からのアドバイスです」
「な~んの意味もない」
「なくはないでしょ」
「新人って『大丈夫じゃないです』とは言えないじゃないですか。そもそも、仕事がわかってないから大丈夫か大丈夫じゃないかの判断すらできない」
「たしかに、『大丈夫?』って聞かれても、実質『はい、大丈夫です』以外は答えづらい」
「『大丈夫じゃないです』って言うと、『どういうこと?どこが?』って根掘り葉掘り聞かれて面倒そう」
「結局、『大丈夫?』っていうのは、上司の『一応心配していますよ(だからといって何かしてあげるつもりはないけど)』っていう保身なんですよ。形骸化した言葉でしかない」
「もうちょっと具体的に聞いてくれたら答えやすいですよね」
「えーでも『大丈夫?』って、コミュニケーションの一環として聞いてるだけで、いわば挨拶みたいなものじゃないの? ただの挨拶に対して、『もっと俺のことを本気で心配しろよ!』っていうのは、期待しすぎでは……」
「これって読者へのアドバイスとしては、どういう形になるんですか……?」
「上司の『大丈夫?』は右から左に聞き流していいので、もっと大事な言葉に耳をかたむけよう」
「僕、結構『大丈夫?』『なんか困ってることない?』って聞くほうなんだけど……」
「それはギャラクシーさんの保身に過ぎません」
「ひどっ」
「でも、本当に大丈夫じゃない状況だったら……聞いてくれたほうが言いやすくないですか?」
「ヤスミノくんが大丈夫じゃない時は、どうするの?」
「そうですね……やや下を向きながら辛そうに―」
『ツァ~~~~ッ……』って
「うわ、温度感がすごい伝わる。この子に今、大丈夫じゃない事態が起きてるわ……」
「ちゃんと頑張った結果いろいろと限界でした感、が出てる」
「大丈夫じゃない時は、『ツァ~~~~ッ……』で伝えよう!」
嘘は自分に返ってくる
「『大丈夫じゃないとは言えない』という話にも繋がるんですが、私からのアドバイスはこちらです」
「これは大事」
「嘘を付くと自分に返ってくるんです。分からないのに『分かりました』って言うとか。どんどん嘘が蓄積して、後の自分を苦しめてしまう」
「新人の間は『とりあえず嘘をついておいて、自分でフォローする』なんてことができる腕もないしなぁ」
「適当な嘘をついて後で整合性がとれなくなるとか、よくありそうですね」
「あと、『嘘をつくイメージ』を持たれると、信頼されなくなって仕事しづらくなりそう」
「その通り。正直に話すのが、後々のことを考えると一番合理的なんですよ」
「でも……分からないのに『分かりました』って言うのは、気持ちが理解できるなー。正直に何十回も『分からないです』って言っちゃったら、怒られるんじゃないかと不安になるんですよ」
「あるーーー!!!」
「実は上司や先輩社員って、有能さだけじゃなくて人柄もしっかり見てるじゃないですか。でも新人は有能さだけを重視しすぎてしまう。とにかく無能だと思われたくない」
「『有能さだけじゃなくて人柄もしっかり見てる』というのは、まさに!ですね」
「むしろ人柄のほうをより見てるかも」
「つまり、正直に『わかりません』って言える素直さ(人柄)のほうが、武器としては強い!」
仕事できない先輩
「では続いては僕からのアドバイスです!」
「最初のアドバイスもですけど、ギャラクシーさんのアドバイスはあんまり理解できないかも……」
「まあまあ、聞いてください。長島さんのように有能な人って、新人にとっては話しかけにくいんですよ。『有能な人の時間を、自分なんかが奪っていいのかな』って思っちゃうから。だから『仕事できない先輩』とも仲良くなった方がいいんです」
「まあ、大したことない相談で、わざわざ社長の長島さんに話しかけるのは気を使いますね」
「有能な人って忙しそうにしてるし……」
「でしょ? でも仕事できない先輩なら気軽に話しかけられるし、『仕事できない人の気持ち』が分かってるから新人にはメチャ親切なんですよ。なので、最初の2~3ヵ月くらいはその人に相談しまくる」
「ちょっとしたことでも気軽に相談できる先輩がいるのは……まあ、良いことですね」
「最初の2~3ヵ月が過ぎたら、どうするんですか?」
「その人を卒業して、ワンランク上の有能な先輩と仲良くします」
「ひどっ」
「新人の間って、とにかくすべてを全力でやろうとして、疲れ果てちゃうでしょう? 仕事できない先輩と仲良くしてると、あぁ、これくらい気を抜いても大丈夫なんだ……って安心できたりするので、その点でもとても良いです」
「ギラギラしてないというか、安心する感じはありますね」
「『適度な力の抜き方』とか『やっつけ仕事のやり方』とか、教育係が教えてくれないこと教えてくれそう」
健康が何より大事
「つづいては僕のアドバイスいかせていただきます」
「健康??? 社会人一年目の人へのアドバイスですよ!?」
「心身の健康が何より大事なんですよ。色んな職場を経験してきましたけど、肉体か精神を病んじゃって倒れるっていうことは、若い人でも普通にある」
「不正しないで、健康に気をつける。この当たり前のことが、有能さなんかより全然大事。僕がいまこうして社長をやらせていただいているのは、この2つを守ったから。本当にそれだけの理由です」
「頑張りすぎて身体を壊しちゃったら元も子もない。その間に“当たり前のこと”をコツコツやる人が上に行くのかもしれないですね」
「実際、社会人やりながらこの2つを守り続けるのって、意外に難しい」
「ていうか、健康に気をつかわずダラしない生活してる人って、仕事もそんなに頑張らないイメージがある」
「肉体よりも精神的な病が一番難しいかもしれない。治りにくいから」
「精神的なやつって、外側から見えないから、周囲も気づきにくいんだよなぁ。自分で気をつけなきゃ」
愚痴を言おう
「私のアドバイスも長島さんのに似てるんですが……こちらです!」
「精神が健康で居続けるためには、不安や不満を溜め込まずに吐き出すのが大事」
「新入社員は不安しかないから、吐き出さないとすごい勢いで溜まっていく。定期的にパイプユニッシュしないと、完全に詰まっちゃうと業者を呼ぶしかない」
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「手段は人それぞれなんでもいいと思います。仲のいい同期に話すとか、地元の友だちに愚痴るとか」
「同期とかは境遇が似てるから話しやすいよね」
「僕が社会人一年目の頃はまだインターネットもなかったけど、今なら同期のグループLINEとかあるから活用してるのかな?」
「いや、グループLINEは作らない方がいいです。休みの日にもどうでもいい通知が来たりするし、仕事辞めた時に抜けるのがダルい」
「それはある」
「同期って、1年くらい経つと嫉妬の感情が大きくなりません? あいつは仕事できないのに上司に取り入って昇進しやがって、とか」
「ちょっと分かるかも。肥大化したライバル意識みたいな」
「同期の配属先が、自分の希望するところだったとかありますよね」
「あるある。でもそういう感情をバネにして成長できればね……」
ちゃぶ台返し
「続いてがラストになりますね。ヤスミノくん、お願いします!」
「まぁみなさん、やんや言ってきましたけど……」
「これなんです。結局」
「えーー!! 今回の企画、全否定ってこと!?」
「今まで話してきたのは何だったの」
「実は僕もヤスミノくんと同意見です」
「長島さんも!?」
「ギャラクシーさんみたいな繊細な人もいれば、違う人もいる。風通しがいい会社もあれば、悪い会社もある。つまり一般化できないので、『こうすべき!』って決めつけたアドバイスは役立たないことがある」
「そうそう。横展開しづらいのよ。とある会社で上手くいったことが他の会社で上手くいくわけではないし。とある会社でできない人のレッテル貼られたのに他の会社では有能だったとかよく聞くし」
「それはよくある」
「ですね。結局は自分のタメになるかどうかを見極めて、適宜選択すればいいと思います」
「『こういう時はこうしろ』っていう先入観でガチガチにしちゃうともったいないですから。新入社員ってなかなか経験できることではないし」
「ただ、『こういう時ってどうしたらいいの?』って悩んだ時に、ひとつの選択肢として今回のアドバイスを役立ててくれたらなと」
「お、いい感じにまとまった……」
新入社員の皆さん、がんばろう~
最後の最後で『そもそも今回の座談会はなんだったんだ』という話になりましたが―
今回ご紹介したアドバイスだけでなく、世の中のさまざまなアドバイスの中から、自分が納得できそうなものを取り入れてみてください!
これから長い会社員生活、自分なりの最適解を見つけていきましょう!!
TEXT|らむ屋敷