2016年3月某日…
「こんにちは。面白法人カヤック、採用担当の柴田です。えー、そんなわけでですね、我々、面白法人カヤックとしては『美大生の採用を強化したい』という思惑がありまして。インターネットでブイブイ言わせてるヨッピーさんのお力を借りられないか相談に参ったんですが……。どうしたら美大生がもっとカヤックを受けてくれるのかなぁと思って……」
「あのー、柴田さん」
「はい」
「なんでそれを僕に聞くんですか」
「ええ。私もなんでヨッピーさんに聞いてるんだろう、って自問してます」
「うーん、面接受けに来た人に100万円ずつ配れば良いんじゃないですか?」
「確かに応募は増えそうですね。でもそれをやると100パーセント会社が潰れると思います」
「面接官をトムクルーズにするとか」
「それもたぶん会社潰れるレベルでお金かかるんじゃないですかね」
「ワガママだなぁ。じゃあ、いっそのこと学生本人にどういう会社なら受けたくなるか聞いたら良いじゃないですか」
「おお。なるほど」
はい。そんなわけで多摩美術大学に来ました。
ここで現役の美大生に色々と就職活動に対する想いを聞いてみようと思います!
現役美大生クリエイターの登場
そして今回の企画にご登場頂いたのがこちら!
現役美大生にして売れっ子クリエイターであるところのお二人であります!
チョーヒカルさん(写真左)と、ハヤカワ五味さん(写真右)だーーー!
話を聞いた人:チョーヒカル
1993年3月29日、東京都生まれ。2012年、武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科に入学。 UNUSUAL(非日常)ARTをテーマに掲げ、体にリアルな目や物を描くボディペイントや衣服のデザイン、イラスト、立体、映像作品などを制作。初の作品集「SUPER FLASH GIRLS 超閃光ガールズ」全国の書店で販売中。TwitterのIDは@soba_ba
リアルなボディペイントを武器に広告案件を多数こなし、テレビや雑誌にも引っ張りだこ。初の写真集「超閃光ガールズ」も重版&増刷が決定した売れっ子現役美大生アーティストや!
話を聞いた人:ハヤカワ五味
1995年、東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科2年在学中。高校時代から創作活動を始め、大学生になって立ち上げた胸の小さな女性のためのランジェリーブランド「feast by GOMI HAYAKAWA」は「品乳ブラ」として一躍有名に。2015年に株式会社ウツワを興し、代表取締役に就任。同年5月にラフォーレにてポップアップ出展。泰文堂から6月にランジェリー付きムック本『feast CollectionBook 2015 Summer』を発売。TwitterのIDは@hayakawagomi
胸の小さな女性向けブラジャーブランド「feast」を展開中。株式会社ウツワCEO。
チョーさんと同じく現役美大生アーティスト。最近は「サンデージャポン」などテレビ番組にも若者代表として多数出演中。こちらも売れっ子や!
「えー、そんなわけでですね。今日は『受けたくなる就職活動』をテーマに、現役美大生であるところのお二人に要望を語って頂きたいなと思います。ちなみにお二人は就職活動に対してどういうイメージがありますか?」
「あっ。もう怒ってる!」
「まずですね、学生って優秀な人ほど忙しかったりするんですよ。自分の作品作ったり、チョーさんみたいに企業とコラボしてバリバリ案件こなしてたりするんで。それなのに、大手広告代理店なんかを受けると『○○をテーマに作品を作って送れ』みたいな課題が出るんです」
「うんうん」
「作品なんてそんなに簡単に作れるものじゃないじゃないですか。それで2週間とかかけてなんとか作って作品を提出して、審査通ったと思ったら『それでは第二課題です』みたいな事がザラにあるわけです。こっちはそんなに暇じゃないんですけど!? みたいな」
「そうそう! 学生のことを暇な連中だと思って舐めてるんだと思うんですよ。内定をエサに、企業が平気な顔して重たい課題をガシガシ出して来るじゃないですか。あれってひどくないですか!?」
「よし!殺そう!」
「エントリーシートとかも、どこの会社もみんな同じようなことばっかり聞いて来るじゃないですか。それなのにやたらと分量が多かったりするし、手書き推奨みたいな風潮もあるし、めちゃくちゃ効率悪いんですよ。広告代理店のエントリーシート見た事あります!? すごい分厚いの書かせるんですよ! あんなの結局どこにも同じようなこと書いて出すんだからコピーして提出すればオッケーにすれば良いんですよ!」
「柴田さん。お二人はこう言ってますけど?」
「はい。履歴書、エントリーシート、全て他社向けのをコピーして提出してもオッケーにします!」
「やったーーー!」
学生はそもそもお金が無い
「さっき言った手間の問題以外に、やっぱりお金の問題もあるんですよ」
「そうそう。美大生って制作にお金がかかるんですよ。ポスターを印刷するだけでも何万円もかかったりしますし。とにかく作るのが好き、みたいな人ほどバイトせずに制作に没頭してたりするんで、食費すら危うかったりするんですね。それなのに就職活動って履歴書買ったり写真撮ったりスーツ買ったり交通費もあるし、とにかくお金がかかるんですよ」
「企業と学生って、どう考えても学生の方がお金を持っていないはずなのに、なんで学生が交通費を負担しなきゃいけないんですか!? 『面接を受けに来る学生の交通費くらい、ポンと出してあげる余裕も無い会社なんて恰好悪い』っていう風潮になるべきだと思います」
「柴田さん?」
「はい。ではカヤックの採用は交通費を全額負担します」
ヨッピーの就職活動の思い出
そろそろ表情が暗くなってきた柴田さん。会社に無許可でハイハイ言ってるのでその内クビになるかもしれない。
「そもそもね、僕も就職活動っていうシステムを死ぬほど嫌ってるんですよ。12年ほど前に僕が新卒の就職活動やってた頃なんてスーパー氷河期だったし、留年しそうだったので学校にも行かなきゃだしバイトもしなきゃだしその上で就職活動でスーツ着て髪の毛を横分けにしてですよ?」
「ハイ!オンシャがダイイチキボウでしゅぅ~~~!」
「って、やったりするわけじゃないですか。相手だって第一志望じゃないことくらいわかっててハイハイ聞いてるんですよ。なにその茶番?っていう。自己PRだって『バイトリーダーでした!』とか『サークルの副部長です!』とかウソつくことばっかり上手くなるわけですよ」
「なるほど」
「でね、企業は企業で……」
「ワガシャは、カゼトオシの良いジユウなシャフウでしてね……」
「とかやるわけですよ。そんなわけないやろと。お前の会社離職率めちゃくちゃ高いやんけと。それなのに上っ面でみんな綺麗ごと並べるじゃないですか。要は今の就職活動って、学生と企業が建前合戦やって、誰がウソつくの上手いか競ってるわけです。不毛でしょう?」
「まあ、確かにそういう所はありますね」
「殺しましょうよ」
「いや、さすがに殺すとまずいです」
「もっと気楽に、肩肘張らずに受けられるようになるべきですよ。その方が学生も企業も余計な労力使わなくて良いんだから。僕もその新卒採用通って、7年間商社で営業してたからわかりますけど、就職活動の時なんて先輩社員が前に出てきて『最高にやりがいのある職場です!』みたいな事言いますけど、実際入社したらみんな『早く帰りたい』とか『部長ウザい』とか『今度キャバクラ行く?』みたいなノリで仕事してるわけで、就職活動の頃に見かけた、やる気に満ち溢れたバリバリのサラリーマンなんて入社したらどこにもいないんですよ。あの人達はどこ行ったんですか柴田さん!」
「それは僕に聞かれても……」
「もっと意識が低い感じの就職活動になればいいですね。企業も学生も変に背伸びせずに見栄も張らないっていう。きっとそれがお互い幸せじゃないかと」
「そうですね。少なくともスーツはもう辞めましょう」
「柴田さん」
「はい。カヤックはスーツで面接受けに来るのを禁止にします!」
他にもボロボロ出る就職活動への恨み節
「あと、学歴とか別にいらなくないですか?」
「確かに。カヤックって別に大卒じゃなくても良いんですよね?」
「そうですね。高卒の社員も居ますし、大学生でも優秀な人は大学なんてとっとと中退してウチに来れば?って思ってます。美大生が欲しいって言うのも、デザイナー志望の人が欲しいだけで美大生に限定してるつもりも無いですし」
「じゃあやっぱり学歴要らないじゃないですか」
「はい。じゃあ学歴は書かなくても良いし、卒業証明書出せとか言いません」
出て来た案を全部メモらされる柴田さん。可哀想。
「あと、見た目で判断されるのも嫌ですよね。美大生って髪の毛や服装がファンキーな人も多いし」
「髪型も服装も自由でいいですよ。髪の毛がピンクでもロリータ服でも全然かまいません」
「顔は?顔が可愛いかどうかとかで採用決めるのってひどいですよね?」
「じゃあ、希望者には面接官が目隠しして面接に臨む事にしましょう」
「わかりました」
「あ、あと私みたいに普段HNで活動してる人も居るからHNで応募出来るとありがたいですね」
「わかりました」
「新卒一括採用とかあんなもん企業側の勝手な都合だし意味不明なので通年でやってくださいよ。あと新卒とか既卒とかのくくりも一切関係無しにしましょう」
「わかりました」
やったーーーーー!
これで学生の本音に近い就職活動になった~~~~~!
「まあ、なんとか帰って社内に話をしてみますのでダメだったらすいません……僕もサラリーマンなので……」
「カヤックさんならなんとかしてくれるはず」
「ダメだったら『カヤックが意外とショボかった』ってTwitterで言いふらします」
「私も」
「マジのクビになる可能性あるな」
果たして、柴田さんはクビになるのか……!?
それとも、新しい採用案が会社に受け入れられるか……!?
気になる結果はこちら!!
「会社からオッケー貰えました!」
そんなわけで今回のおさらい
以上、7つのお約束を致します!
「仕方ないから受けてやるか」という方はエントリーを急げー!!
ただし、7つの約束はあくまで実験的な試みなので、今回の記事を読んだ人のみを対象に上記条件において採用活動を行うそうです。
エントリーの際は「ヨッピーの記事を見て応募した」という事がわかるように余白のどこでも良いから書いておいてね!
【デザイナー志望の方】
【新卒の方】→ 新卒採用|面白法人カヤック
【中途採用の方】→ 中途採用|面白法人カヤック
「ここまでやって応募者ゼロだったら笑う」
「私は全然笑えないです」
ライター:ヨッピー
「オモコロ」「トゥギャッチ」「ぐるなび」「Yahoo! Japan」「ライブドアニュース」など、さまざまなWEBメディアで活躍中のライター。「WEBでウケること」の第一人者として、タイアップ広告案件なども多数手がける
Twitter ID: @yoppymodel / 公式サイト:ヨッピーのブログ(仮)