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ダイエットと睡眠の意外な関係~肥満外来の医師に聞いた話~

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ダイエットと睡眠の意外な関係~肥満外来の医師に聞いた話~

こんにちは、ライターのむらやまあきです。

世間では在宅ワークが主流となりつつありますが、わたしも長らく家に引きこもって仕事しています。その結果、ひとつ気になっていることがあるのです。

 

鏡を見るとなんだか、顔がふっくら丸くなっているような……?(怖いので体重計は毛布にくるんで押入れに隠しました)

在宅ワークは太りやすいと言われてるけど、それのせい!?

 

でもわたしはライターという職業柄、出社しようと在宅だろうと仕事内容はほぼ同じ。食事の量も同じ。ダイエットとしてちょっとした運動も続けています。

なのに、どんどん顔も体も丸く……

 

と焦りまくっている時、とある芸人さんが、「痩せたいならちゃんと寝たほうがいい」という発言をされていて、ハッとしたのです。

確かに在宅時は深夜まで仕事したり、その結果 朝起きるのが遅くなったり、睡眠に関してはかなり不規則になっていた……

ひょっとして、ダイエットに睡眠って関係あるの……?!

 

というわけで、在宅ワークで太る理由に睡眠が関係してるのか、真相を究明すべく、肥満外来の医師・左藤桂子先生にお話を伺いました!

 

左藤桂子先生

肥満外来の医師。30年で3万人の肥満治療を行う。

『ダイエット外来の寝るだけダイエット』など、Amazonランキング上位に入る著書多数。

寝るだけダイエット 寝るだけダイエット

※記事の撮影は2020年11月に行いました。

睡眠とダイエットの関係とは

「先生、睡眠がちゃんと取れていないと痩せないという衝撃のウワサを目にしたのですが、本当でしょうか? わたしはそれなりにダイエットは続けているんですが、なかなか効果が実感できなくて……」

「そうですね、ちゃんと眠らないとダイエットが無駄になる可能性はあります。鍵になるのが、成長ホルモンです」

「成長ホルモン!?」

「成長ホルモンはその名の通り、骨や筋肉を成長させるホルモンですが、代謝にも作用します。代謝を促進(炭水化物、タンパク質、脂質の代謝を促進)したり、エネルギー不足の状態の時は、脂肪組織から遊離脂肪酸の形で放出させたり……」

「へえ~」

「成長ホルモンは寝ている間に分泌され、1日あたり約300kcalの脂肪を分解してくれるといわれていますね。ただし眠りの質が低ければ分泌が減って、一晩に約200kcalの脂肪が分解されずに蓄積されてしまう計算です」

「一晩に200kcalということは、単純計算で一ヶ月に200kcal×30日だから……6000kcal?」

「体重1㎏あたりの脂肪はおよそ7200kcalなので、つまり、きちんと眠れないと毎月1kg近くの脂肪が蓄積されてしまうと言えますね」

「ひいい! やっぱり睡眠ってダイエットにも関係あるのか……!?」

 

「せっかくお菓子を我慢したり運動をしたりしても、深い睡眠がとれていないと意味がなくなくなってしまう可能性がある」

「逆に言うと“ちゃんと寝る”という行為が、ダイエットになり得るってことですよね? でもわたし、だいたい明け方から昼過ぎくらいまで寝ているので睡眠時間自体はちゃんと確保できてるハズなんですが」

「成長ホルモンは夜10時から夜中の3時までがもっとも分泌されやすいことがわかっています。それに、ダイエット抜きにしても、寝る時間が不規則なのは健康上よくないですよ!」

「気をつけます……とはいえ、普通に社会生活してたら夜の10時に寝るのってかなり難しくないですか?」

「たしかにその通りです。そこでわたしは、『3・3・7睡眠法』をおすすめしています」

「『3・3・7睡眠法』!?」

 

左藤先生が提唱している「3・3・7睡眠法」がこちら

 

「ホルモンは眠りについた直後から3時間後までにまとめて分泌されて、その後はあまり分泌されないんです。だから、眠り始めの『3時間』は睡眠時間の中で一番重要

「では、この3時間は一度眠ったらなるべく起きない方がいいんですね。夜中の『3時』までに眠ればいい……あれ? 夜の10時には寝てたほうがいいんですよね?」

「理想は10時ですが、それって現実的じゃないでしょ。先ほども言ったとおり、成長ホルモンが分泌されやすいのは夜中の3時までだから、ぎりぎりだけど間に合います」

「3時までに眠れればいいと思うと、気持ち的に少し楽かもしれません。でも、夜中に目が覚めてしまったらどうしよう」

「一度起きて眠れなくなった場合、無理に寝ようとしてストレスを感じなくても大丈夫です。トータルで7時間睡眠ができればOK、というのが3・3・7睡眠法です」

 

「ちなみに今日、緊張したせいか一睡もできなかったんです……。というか昔から大事な日の前夜は眠れないことが多いんですが、大丈夫でしょうか?」

「眠れない時ってありますよね。でも眠れなかった次の日は、身体が疲れているはずだから爆睡できますよ。睡眠の負債が少しあるくらいのほうがスッと眠れるんだから。『眠れない』っていうストレスは一番良くないので、気楽に考えましょう」

「うわ~それでいいんですね。眠らなきゃ眠らなきゃと必死になってました……」

「むしろ十分に寝足りていると、疲れてガッと寝たときに比べて浅い睡眠になりがちです。このチェックをやってみてください。」

 

「わたし12点ですね。先生、これは何ですか……?」

「これは、眠ろうとする力『睡眠圧』のチェックです。点数が高いほど睡眠圧(眠りたい度)が強く働いているということ」

0~5点:睡眠圧は0かあってもごくわずか
6~10点:適度な睡眠圧がかかっている状態
11~20点:睡眠圧は重度。睡眠不足
21~24点:睡眠圧は限界に近い。今すぐ休息が必要

 

「うおお、睡眠不足認定されてしまった」

「疲れていて身体は睡眠を欲している状態ですね。ただし、0点だからいいってわけではないことに注意してください。むしろある程度睡眠圧がかかっている6~10点の方が、日中の適度な活動によってぐっすり眠れるんです」

 

質の良い睡眠をとるためのコツ

「では、良い睡眠をとるために心掛けた方がいいことやコツを教えてください。例えば運動はどの程度すればいいのでしょうか?」

「そんなに無理する必要はなくて、歩くとかでも十分だと思います。わたしもそれくらいしかしてないですね。歩数計で、ふだん自分が歩いてる歩数+1000歩増やすという目安で構いません」

「1000歩ならひと駅くらいだから、結構お手軽ですね。他に生活する上で気をつけることはありますか?」

「あとは、お風呂はシャワーではなく湯舟につかったほうがいいですね」

「むう、それはよく聞くんですけど……ひとり暮らしだとなかなかハードル高いんですよねえ。湯船を洗うのも面倒だし」

「健康のためなんだから『面倒くさい』で済まさないほうがいいと思うけれど……どうしてもという場合は熱めのお湯に足だけ浸けるとかでも全然違いますよ

「それなら洗面器にお湯を入れればいいからお手軽ですね! お湯の温度は熱めがいいんですか?」

「足だけ浸けるなら熱めで、全身入るんだったらぬるめで10分くらいふにゃ~っと浮力に身体を任せて温めてください。お風呂の時間は、寝る1時間くらい前。お風呂から出ると温まった身体の熱が放散されて、深部体温がぐーっと下がって深く眠れるはずです」

「やってみます!」

「あとはストレッチやヨガも効果的ですね。身体がこわばったままでは深く眠りにくい。それと意外に大事なのが部屋を清潔にしておくこと」

「えっ」

「汚い部屋だとそもそも落ち着いて眠りにくいし、汚れやホコリへの防御で身体が余計な緊張をするかもしれないので」

「ちゃんと生活するって大変だなぁ……帰ったらまず部屋を掃除しよう」

 

食事はどうするのがベター?

よく眠らないとジャンクな食事を欲してしまう、というウワサがネットなどで囁かれていますが、本当ですか?」

「睡眠不足だと日中にだるさや眠気を感じますよね。それに抗おうとして、食欲が増して、甘いものや味の濃いものを欲するようになる、というメカニズムのことかな?」

「『健康的なものを食べよう』とは心がけてるんですが、明け方まで仕事した時は、翌日になると結局ジャンクなものに手を出しちゃうこと、何度かありました……」

「悪循環よね。睡眠と同じくらい、食事で栄養をきちんと摂ることは意識した方がいいです」

「具体的にはどういうことを意識すればいいですか?」

「まずはタンパク質を朝晩1回ずつ摂ること。夕食は、寝る3時間前には済ませるようにしましょう。食材で言うと、納豆やお魚はタンパク質が豊富ですからすすめですね。植物由来の粉プロテインを使うのも手です」

 

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「あとは魚の刺身をできれば毎日食べるといいです。生魚からは良質な油が摂れるので」

「お刺身かあ……。ちょっとリッチですけど、取り入れてみます。他に自炊で簡単につくるとしたら、どんなメニューがいいでしょうか? できれば安く済むとありがたいんですけど……」

「それならお味噌汁がおすすめですね。具だくさんにしておけば、野菜もとれるし、豆腐を入れたらタンパク質とれるでしょ。腹持ちもするし、温まるし、いいですよ」

「たしかにバリエーションも豊富だし、いいですね! お肉料理だと何がいいでしょうか?」

「わたしはむね肉を鶏ハムにする。保存がきくし、物足りないときにちょうどいいじゃない。動物性のたんぱくも取れるからおすすめです。」

「鶏ハムいいですね! ちょっと先生、レシピ教えてください!」

 

ここで教えてもらった料理は、この記事の最後で実際に作ってみました。

 

「ちなみに、わたしお酒がすごく好きなんですが、睡眠にもダイエットにもよくないっていいますよね……」

「アルコール自体には眠らせる作用があるんだけど、アルコールが肝臓で分解されたアルデヒドには覚醒作用があるから、目が覚めてしまうんです。当然、成長ホルモンも分泌されにくくなるのでよくないですね」

「なるほど。でも、どうしても飲みたいときはどうすればいいんでしょう……?」

夕食のときに早めに飲んでおいて、寝酒をやめることですね。」

「ちなみにダイエット中はハイボールならOKみたいな都市伝説もありますけどそれでもダメですか……?」

「アルコールはアルコールだから、変わらないです。ダイエットしたいなら酒より水!」

「肝に銘じます」

 

大切なのはパフォーマンスが出る身体になること

 

「わたしは肥満外来の医師として色んな人を見てきました。誰でも無理をすれば痩せることは可能なんです。でも、人間は痩せるために生きているわけじゃないということは憶えておいてください。無理して健康を損なったら何の意味もない

「うっ……確かに」

「絶対に無理はしない。夜眠れなかったら翌日に帳尻を合わせればいいし、外食が続いたら家では野菜中心にすればいい。お酒はできるだけ控える。そのくらいのスタンスで継続させることが大事です」

「何だか前向きな気持ちでダイエットに挑めそうです! 本日はありがとうございました!」

 

在宅ワーク中心になって以来「太ってしまったなあ」と思っている方、実は睡眠不足が根本的な原因だったのかもしれません。

質の良い睡眠をとって、身も心も軽やかに過ごせるようにしたいですね。わたしもウエストゴム以外のスカートでも気兼ねなく履けるようにダイエットをがんばります!

【おまけ】先生おすすめの簡単自炊メニューを作ってみた

せっかくなので、先生にいただいたアドバイスのもと、ダイエット中におすすめの簡単自炊メニューを作ってみました!

お品書きはこちら。

 

だいたいは切ったり炒めたり煮たりするだけなので、鶏ハムの作り方だけご紹介します!

 

用意するもの

・鶏むね肉  1枚
・塩     小さじ1強
・砂糖    大さじ½

 

1.鶏むね肉を厚さが均等になるように開き、フォークで数か所刺して砂糖と塩を両面にすり込む。

2.くるくると棒状に巻いたらラップでぴったり包む。

3.形を整えて空気を抜いたら両端を輪ゴムでしっかりと止め、密封袋に入れる。

4.沸騰したお湯と密閉袋を炊飯器に入れ、保温ボタンを押して1時間半放置するだけ!

ということで完成したご飯がこちら!

じゃん!!!

 

今回味噌汁には豆腐、わかめ、玉ねぎ、油揚げを入れて、お刺身まぐろを選びました。
鶏ハムには柚子胡椒を添えて。

とってもヘルシーそうですね。

お味はいかに。

 

お……

 

おいしい〜〜~!!

鶏ハムもまぐろもうまい~しあわせだ~~!!!

……

……

思う存分楽しんで美味しくいただきました。これで、きちんと消化吸収できているはず。

今夜は良く眠れそうです。

それでは、またお会いしましょう!

(おしまい)


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