こんにちは! ライターのみくのしんと申します。
僕は子供の頃からジブリが好きです。好きなことについてなら、何時間でも話していられる……。
しかし、超コンピューター時代の昨今。ひとたびインターネットで検索をかければ「凄すぎる深〜い考察」や「製作者じゃない人からのマジの答えみたいな感想」が手に入るようになってしまい、なんかもっとダラダラ浅〜く話したいの!と、日々思っている訳です。
というコンセプトをかかげて、以前は『ジョジョリオン』を語りましたが、今回はジブリ作品を語る会をやってみたいと思います!
▼登場人物
みくのしん|ライター
ハウルの動く城が好き。荒地の魔女のモノマネを高校生の時にして周りからウケを頂いていた
宮川サトシ|漫画家
40歳までジブリを見たことがなく、『ジブリ童貞を捨てる』というレビュー漫画を描いたことがきっかけで好きになった
はじめ|乙女ゲームシナリオライター
キキになりたかったのに気が付いたらおソノさんの年齢を越えていた
ギャラクシー|ジモコロ編集長
小学生の頃にリアルタイムでナウシカを見て以来のファン。『ジブリあるある50選』という記事を書くくらいジブリが好き
諸注意
・ネタバレを多分に含みます
・座談会のメンバーは特に詳しいわけでもマニアでもなく、ただ「好き」なだけです
それでは座談会スタート! 勝負ー勝負ー!(もののけ姫の序盤で、アシタカに喧嘩を売る野武士のセリフ)
みんな、ジブリで何が一番好き!?
「今日はよろしくお願いします! まずはそれぞれ好きなジブリ作品を発表していきませんか? 僕は『ハウルの動く城』です」
「「「ハウルぅ~!?」」」
「座談会スタートの第一声が『ハウルぅー?』ってやめてくださいよ。いいじゃないですか、好きなんだから! みなさんはどの作品が好きなんですか?」
「僕は『もののけ姫』ですね」
「私も『もののけ姫』」
「『おもひでぽろぽろ』」
「記事としては、もっとバラけてほしいとか、人気が高いであろう『ラピュタ』や『紅の豚』を入れてほしいとかあったんですが、この座談会はマジなので大丈夫です」
「『もののけ姫』は人間と自然をテーマにしている重厚さと、音楽もカッコよくて好き。あと、『もののけ』を好きって言うとかしこそうと思われるのがいい」
「アシタカがジブリの男性キャラ中でも群を抜いてかっこいい。ひたむきで強くて優しくて……最高。私の生首をデイダラボッチに渡してほしい!」
「怖っ」
「村の女の子(カヤ)からもらった小刀をサンにあげる所とか、普通なら”おいおい!おまえを慕う女子がくれたプレゼントを別の女のプレゼントに使うなよ!” って思うけど、そんなのどうでもいいくらいかっこいい!」
「『もののけ姫』は僕も好きな作品で。『千と千尋』みたいに色彩の鮮やかさ・派手さはないんですが、作画がめっちゃめちゃすごいですよね」
「さすが、プロの漫画家っぽい意見。序盤の、弓で野武士の首をふっとばすシーンとか気持ちよすぎる」
「あそこ、『ボヒィーーンッ!?』っていう効果音もカッコイイんだよね。矢が当たってそんな音する!?っていう」
「首が吹っ飛んで気持ち良いとかカッコイイとか感じたことはないです」
「宮川さんは『おもひでぽろぽろ』が一番って渋すぎませんか?」
「唐突に『E.T.』のパロディが入るところは意味わからなさすぎて笑っちゃいましたが、一番かぁ〜!」
「でも私もめっちゃ好き。大人になって初めてわかる良さがある」
「この作品だけで座談会したいくらい好き。こうやって話してる間にも見たくなってきたな……。今から座談会やめてみんなでDVD見ませんか?」
「どんだけ好きなんだよ」
「小学生の頃の回想と現在の自分を行き来する作品なんですけど、その回想がどれも地味! 決して華やかな思い出じゃないけど、誰もが体験しているあるあるが最高なんですよね。あとで詳しく語らせてください」
「みくのしんさんの一番好きな作品が『ハウル』って意外だったな。そういう人、周りにいないかも」
「決して嫌いな作品じゃないけどね」
「そう、良い作品なんだけど一位っていうのは珍しい。どういうところが好きなの?」
「まずハウルがかっこいいじゃないですか。魔法を使える美少年って誰もが憧れるのでは? あと、どこでもドアみたいな扉とか、ごちゃごちゃした城のデザインとか、個性的な仲間とか……エンタメ感が強いのも良い」
「あ、それはある。『ハウル』の前が『もののけ』『千と千尋』だったから、久しぶりに明るい作品だな~!とは思った」
「『もののけ』『千と千尋』の頃は、僕は小学生だったんでよく理解できなかったっていうのもある。『ハウル』は中学生の頃だったから理解できて、それで今でも好きなのかも」
「少年漫画っぽいというか見やすいという良さがありますよね」
「恐ろしかった荒地の魔女がただの年寄りになるの、感じるものがあるわぁ~。ベーコンをヂリヂリヂリ……って焼くシーンもおいしそうで何回も見ちゃう」
「ジブリ初のキスシーンがあったのもドキッとした。主人公・ハウルは女性に人気が高いんですけど、女子は『一緒に空を飛んだ男性のことを好きになる』っていう持論があります」
「へ~! それはなるほどって思う意見ですね」
「『ハウルーー!?』とか言ってたくせに、みんな結構好きじゃん……」
みくのしんの好きなシーン
「好きな作品とは別に、好きなシーンってありません? 僕は『となりのトトロ』でさつきがお弁当を作るシーンです。桜でんぶをご飯に小気味よくポンっポンっと、ふりかけるシーンが大好きです」
「あのシーンいいですよね!メイがお弁当欲しがってるのかわいい」
「あのお弁当渋すぎない? 時代のせいもあるとはいえ、ごはんのオカズになるものが少ないよ……」
「桜でんぶ・豆・めざし・梅干し、ですからね。しかも、ご飯を一面に敷き詰めてその上におかずを乗せるスタイルだから、白米すげー多いですし」
「普通に生姜焼きとかほしい」
「電話も人の家に借りに行くくらい昔ですから仕方ない。でもあの家すげー風通しが良さそうでめっちゃ住みたい!」
「僕もああいう家にすごく憧れがあるんですが、実際住んでみると虫とか多いんだろうな~。そういう、虫への恐怖が『壁の穴に指を突っ込んだらマックロクロスケがどわっ!っと湧き出てくる』トラウマシーンを生んだんでしょうね」
「僕もああいう家の縁側でスイカ食べたいんですが、実際は畑も近いから牛の糞の匂いとかめちゃめちゃしそう」
「それと、同じく『トトロ』で好きなシーンがあって。家族みんなでお風呂に入ってる時に、お父さんがいきなり大きい声でゴリラの真似するシーンがあるんですよ。普段まじめで大人しいお父さんなのに、突然ふざけまくるのがおもしろい」
「声優が糸井重里っていうのも考えるとさらに面白い」
「あんなに文化系のメガネ男が、股間を丸出しにしてゴリラになって、でもそれが人間らしくて僕も好きです」
「宮川さんも、お子さんとお風呂に入る時はゴリラになるんですか?」
「いや、ぼくは娘の前では絶対に股間を出さないようにしてます。僕の股間が世間の標準だと思ってほしくないんですよね、ぼくが大きいか小さいかはここではいいませんが……」
「記事の収録中に何の話をしてるの?」
ギャラクシーの好きなシーン
「じゃあ次は僕が好きなシーンを。これって真面目に言ってもいいんですか?」
「この記事はマジのやつなので、真面目に言うのもアリです」
「『もののけ』の、みんながよくモノマネする『黙れ小僧!』のシーンです」
「名場面ですよね~」
「あの映画は、『黙れ小僧!』までにすべてのテーマが出揃ってるんですよ。人と自然はどう共生したらいいのか? 苦しみしかない世界でヒトはどう生きればいいのか? 憎しみの心をどう扱えばいいのか? サンを救う道ってあるのか?」
「(ほんとに真面目に語りだした……)」
「すべてに答えが出ないまま、それでも人は生きるしかなくて。明日にはイノシシたちの進行が始まり、どちらかが滅びてしまう。あぁ、もう夜が明ける……そんな状況で流れる美しいテーマ曲……完璧じゃないですか!???」
もののけ姫(もののけ姫)「米良美一さんのヨイトマケの唄でしたっけ?『母ちゃんのためなら〜』って」
「違うっての。ジブリ作品はここぞ!ってところでの音楽の使い方が最高なんですよ」
「私は『猫の恩返し』の“風になる”がすごく好き! J-POP感が強くてジブリっぽくないところもいい」
風になる「『千と千尋』の“いつも何度でも”、『紅の豚』の“時には昔の話を”、名曲ばっかりですよね」
いつも何度でも 時には昔の話を「『ラピュタ』の“君をのせて”とかね。歌だけじゃなくて、久石譲の曲も最高なんですよ。『紅の豚』“セピア色の写真”の郷愁とか、『もののけ姫』“戦いの太鼓”のオドロオドロしい感じとか」
君をのせて 紅の豚 サウンドトラック もののけ姫 サウンドトラック「ぼくは『トトロ』の“風の通り道”とか、『魔女の宅急便』の“海が見える街”とか好きです」
となりのトトロ イメージ・ソング集 魔女の宅急便 サントラ音楽集「記事上で曲名だけ聞いてもピンとこないかもしれないけど、聞けば一発で『あ! あのシーンだ!』って情景が浮かんでくるから、サントラ買うのおすすめですよ」
「あと僕が好きなのは、『トトロ』でかんたが傘を貸してあげる名シーン。本当はさつきのことが好きで気になってるのに、ぶっきらぼうに傘を差し出して『ん!……ん!』って」
「あそこ可愛いですよね〜! 小学生男子って感じで。あの後、家にさつきが傘を返しに来るんだけど、会わないっていうのもいい。照れちゃって~」
「でも返しに来てくれてメチャメチャ嬉しいんですよね。だから帰っていくさつきを見ながら、飛行機のオモチャで『ブーン!』とかやってテンション上がってる」
「高校生とか大学生とかなら、好きな子と付き合っていちゃいちゃしたい気持ちがあってどう行動するかもわかるんだけど、子どもだからそれがわからなくて……そのもどかしい純粋さがいいんですよね」
はじめの好きなシーン
「私が好きなのは、『借りぐらしのアリエッティ』で翔くんが、キミたちは滅びゆく種族なんだよって言うシーン。そんな厳しい現実をスパッと言うのが心に残ってます。悲しいような優しいような神木隆之介さんの演技がいい」
「翔くんは自分も心臓病だから、“滅びていく”ってことに特別な思いがあったんだろうなぁ」
「『アリエッティ』、普通に映画としてのドキドキワクワクもあっておもしろいですよね。小さいコップに水滴を入れるシーンとか好き!」
「あと、アリエッティが翔くんの胸ポケットに入れられるのもめちゃめちゃドキドキする!」
「??? え、なんで?」
「だって一番心臓に近いところですよ? “つながってる感”がすごくいい」
「『南くんの恋人』とかもあるし、女子は好きな男子の胸ポケットに入りたい願望があるのか……?」
「でも実際小さくなったら、相対的に虫が大きすぎて無理」
「じゃあ『ナウシカ』もダメ? 蟲がいっぱい出てくるけど」
「ナウシカの蟲は自分には関係ない別世界の生き物って感じだから大丈夫。でもアリエッティの虫は見たことあるカマキリとかバッタとかGとか……想像できるリアルさが怖い」
「そういう怖さはたしかにある」
「あと、『ナウシカ』は虫って言うより、ナウシカそのものがちょっと怖くないですか? 思い詰める性格というか、時に凶暴すぎるっていうか」
「わかる。オン・オフの切り替えが極端なんだよなぁ。虫には優しいのに、怒りに任せて一瞬で兵士を6人くらいぶっ殺すし」
「あれは父親を殺されたから仕方なくない?」
「王蟲の抜け殻を見つけた時も『フフ、なんて立派な抜け殻……』と微笑みながら言った1秒後、突如表情が豹変して、剣をギーン!って突き立てるのが怖い。なんせ急過ぎるのよ」
「シリアルキラーの演技ですよね」
宮川の好きなシーン
「ぼくが一番好きなシーンは、『おもひでぽろぽろ』の回想で、主人公・たえこを父親がバチンとはたくシーンです。あそこ。めちゃめちゃいいんですよ」
「歳とってくると父親の方に感情移入して、良いシーンだな~って思いますよね」
「わたしもそのシーン大好きです」
「どういうシーンでしたっけ」
「子供の頃の主人公は姉が持ってるエナメルのかばんが欲しかったんですよ。でも姉がくれなかったから、ムキになって『じゃあいらない』と。で、父親に買ってもらうおうとするんですけど、『いらないって言ったんだからだめ』と言われるわけ」
「厳しいなぁ……」
「そんなある日、家族で中華料理を食べに行こうってことになるんですが……たえこは意地悪なお姉ちゃんのことや、手に入らなかったエナメルのかばんのこともあって、『行かない!』って言っちゃうんですよ」
「子供の頃ってそういう些細なことでスネて、家族の外出サボったりしてましたよね」
「でも、子供だから家に一人残されたあと不安にかられて、「やっぱり行くー」ってなるんですね。で、靴下のまま外に出たら、お父さんがたえこのもとに近寄ってきて、ビンタで引っ叩く」
「どうしてそこが一番好きなんですか?」
「父親は『一度口に出したことを捻じ曲げるな』ということを言いたいんだと思うんです。たえこが大人になった時に、言ったことを二転三転変えるような人間になってほしくなかった。だから叩いたんだと思うんですよ」
「みんなが気持ちを口で言えば済む話なんですけど、なかなかそうはいかなくて、後悔したりしますよね」
「叩いた後のお父さんが、悲しいというか優しいというか、複雑な表情をしてるのもいい」
「狂ってる親父ってこと?」
「違います! 親父も親父で、娘を叩いてしまった。という悲しい気持ちがあって、そういう間とか表情等が、親になった今すげーわかるなって」
「実はお父さんが一番たえこの事甘やかしてるし、大事に思ってるんですよね」
「人って きらびやかな思い出ばかりじゃなくて、こんなことばっかり覚えてて、そういう事の繰り返しで人生できてるよなってお話。素晴らしい作品ですよ」
「パイナップルのエピソードなんて本当にそうですもんね。珍しいフルーツだ!ってすごく期待していたのに、実際食べてみると全然美味しくなくてガッカリ……みたいな」
「なんであんなの覚えてるんだろうなーっていう積み重ねすでよね、人生って。でも振り返ってみると、そういった何でもない思い出がめちゃ懐かしいっていう」
「あとこの作品は、回想シーンと現代のシーンて、絵のタッチを変えて描かれてるんですけど、それがラストでふわっと重なるのがめちゃくちゃ気持ちいいので、是非みてください。いや、今から見ましょう」
「もうちょっと待ってよ!」
「父親ってことで言うと、『魔女の宅急便』でキキが旅立つ前、お父さんが『私の小さな魔女を見せておくれ』とか言いながら抱っこするシーンが好き」
「え~。むしろ『私の小さな魔女』っていう言葉がなんか恥ずかしい……。自分が娘だとしたら友達と『オトンに“私の小さな魔女を見せておくれ”って言われてたんだがwww』とかいって笑っちゃう」
「あれね、父親になると泣けるんですよ。自分が娘とさよならすることを想像すると、大事にしてたラジオをあげちゃう気持ちもわかる。僕ならipad Proの12.9インチ、しかもストレージも一番多いやつあげちゃうわ」
「風情なさすぎ」
「空飛んでる時に操作したら絶対落とす」
「大事に育ててきた娘がもう家を出ちゃうのか、もう抱っこすることもないんだろうな……と思うと、絶対あんなふうに恥ずかしいこと言っちゃう。そういうモジモジした気持ちが表現されてていいんですよ、あのシーンは」
「そんなこと言われたら急に良いシーンに思えてきた」
「そうかー。次に帰ってきた時には立派になってるはずだから、もうあの頃の小さかったキキには会えないんですもんね」
「しかも結構予定より早く出ていく事になったから、家族で最後のキャンプの荷物も全部落としてましたしね。心の準備が出来てなかったんですよ」
「あのキャンプ道具も、ご近所の方々に『娘が出ていく前の最後のキャンプなんで、道具貸してください』ってお願いしたものなんでしょうね。それをキキの気まぐれで『やっぱり必要ありませんでした』って返しにいくの、すごい気まずいな」
「でも父親は『最後までしょうがないなぁ、まったく……』って苦笑しながら泣くはず」
「母親の方は現実的で、ほうきはこっちのほうが良いとか言ってるのが好対照ですね」
語り足りないジブリ
「意外だなーて思ったのが、全然『ラピュタ』の話が出てないですよね。みんなラピュタ見てないの?」
「ジブリの話で『ラピュタ』っていうのは、今さら感があってなんか恥ずかしい……」
「その気持はわかりますが、この記事はマジのやつなんであえて語っていきましょう! 僕は大好きなんです。少年少女の純粋な想いが尊くて、しかもハッピーエンドだし、最高じゃないですか?」
「最高であることに疑問の余地はない」
「シータがおとなしくてかわいいのに、やる時はやるって感じで良いですよね」
「何十回も見てるから、最初に空から落ちてきたシータをパズーが受け止める所でもう泣いちゃう。その先のストーリーがフラッシュバックして、『この幼い二人がお互いのために懸命に頑張るんだなぁ……出会えて良かったねぇぇ……!』って」
「見過ぎたらそうなるの?」
「実際、パズーと出会わなかったらシータはペンダントを取り上げられて路頭に迷ってただろうし、最悪の結末としてはラピュタが世界を滅ぼしてたかも」
「その後、気絶してるシータを寒そうって思ったんでしょうね。パズーが自分の小さいチョッキをかけてあげるのが面白い。小さすぎなんですよ、チョッキが。あの程度の布じゃなんの防御力もない」
「それでもかけてあげるパズーって優しい子ですよね」
「一番好きなのは『もののけ』ですけど、金ローでやってたら一番嬉しいのは『ラピュタ』かもしれない」
「確かに。エンタメ度が高いし、サッと見れる。あと見てるだけで気持ち良い作画が多い。基地でロボットが目覚めた時の、鋼鉄の扉をチーズみたいに溶かすシーンとか」
「ラピュタの雷槌(インドラの矢)のシーンとかね」
「僕は、パズーがシータを受ける時に、ちゃんと肉団子を置くシーンが好き。そんな描写、普通なら省略してもいいのに」
「わかるー。ジブリ作品て無駄な動きが素晴らしいですよね! 『ナウシカ』の戦闘シーンで、四つん這いのナウシカが敵から目を離さないまま、手探りで床に落ちてる剣を掴むんですよ。この無駄な動きのすごさ、わかってくれます?」
「僕が描いたら、絶対普通に剣を拾わせちゃう。でも現実にあの戦闘の場にいたら、一瞬でも目を離した隙に斬り殺されるんでしょうね」
「この映画を作った人は、この世界が実際に目に見えてるんだなって思えてすごいですよね」
「千と千尋の神隠しも、興行収入で言ったらナンバーワンなのに、まだお話してないですね」
「時間がなさすぎるんですよ……泊まり込みで話しましょうよ」
「僕、最後の『たくさんのブタの中から自分の両親を当てろ』→『この中にお父さんとお母さんはいません!』っていうシーンが好きなんですよね」
「大当たり〜!の最っっ高に気持ちいいシーンだ! 坊が手をふってくれるのかわいいですよね」
「千尋は親の都合で引っ越しして、友達とも別れ、知らない土地で生活しなきゃいけなくなったわけです。そういう不安や、親への不信感といった嫌なイメージが、両親をブタに見せてたんじゃないかなぁと」
「あぁ、なるほど」
「でも仕事したりすることで、親の都合とか気持ちも少しはわかって、親はブタじゃないと思えた。だからこその『この中にお父さんとお母さんはいません!』なんですよ、たぶん」
「僕も『千と千尋』は社会人あるあるがすごく詰まっていて好きだなんですよね。子供の頃はわからなかったけど、高卒で会社に勤めていた頃に、金曜ロードショーを泣きながら見たのを憶えてます」
「泣くほどイヤな会社だったの!?」
「そういうわけじゃないんですけど、仕事ってつらいし、厳しい人もいるじゃないですか。一方で、優しい人もいるし、良い成果を出せば楽しいし……生きていくって悪いことだけじゃないよなって気づいて、沼津のアパートで泣いちゃったんですよ」
「確かにリンとかすげーいい人そうだよね。ああいう先輩ほしい」
「でも、一つだけ納得いってないというか、わからないシーンがあるんですけど……カオナシがかなり調子に乗って、『千を呼べ!』というシーン。カオナシは千が大好きで、金とか汚い食べかけのご飯とかを差し出すんですけど……」
「あそこ怖いよなー」
「千はどれもいらないって言うんですよ、そしたらカオナシがテンパって『千ほしい…千ほしい…』って悲しくつぶやくんですよ。直後に急に声の色も変えて…」
「欲しがれ!!」
「びっくりした!」
「というシーンがあるんですが、これ、なんで『欲しがれ!』なんですか?『千欲しい』これはわかるよ。千が好きだから。『欲しがれ』て。何いってんの?」
「カオナシは新しい土地に行った千尋自身の不安の象徴じゃないの? 友達に囲まれてた以前の土地のように、自分は求めらるのかな? 必要とされるかな? という不安の現れかなと思ってたんだけど」
「なるほど……。もう2時間喋っているんですけど、全然語り足りないですね。というか。もっと小さい面白いシーンの話とかを延々としたいですよね」
「あ! バロンの良さを全然話してない!2回に渡って出てるのに紳士でかっこいいって話は!?」
「大きい木を見ると糸井重里の演技で『リッパナ樹ダネー』って言っちゃう話は?」
「『もののけ』のデイダラボッチが溶けた(?)時の『黒いどろどろ』を見ると……」
「ミキプルーンを思い出しちゃう話したい」
「はー最高。楽しすぎる」
まとめ
というわけで、今回はそれぞれ好きな作品から話を広げていきましたが、やはりジブリの話はつきないですね。全然時間が足りなかった……。
とりあえずわかったことは、大人になってもジブリは最高ってこと!
それでは今回はこの辺で失礼します!