この物語は、父の生い立ちや、絵との出会い、イラストレーターになるまでの過程、そして一児の父親として日々感じる、子育ての悩みや将来への不安を描いた漫画です。この作品を通して、同じ境遇にいる方と話すきっかけになれば嬉しいです。
1話 父の生い立ち
「『バラック小屋』って初めて聞いたんだけど、当時は当たり前だったの!?」
「いや、空襲で家がなくなる前は、割と立派な木造の家に住んでたみたいだよ。父さんが生まれる前だし、写真も残ってないから、分からないんだけど」
「家がなくなった人たちは、ありあわせの木材やトタンで作られたバラック小屋をちょっとずつ増改築して、しっかりした家に戻していったんだって」
「僕は生まれた時から出来合いのものに囲まれて育ったから、感覚に大きな違いがあるんだろうな〜」
「朝から晩まで畑の手伝いっていうのも、今じゃなかなか経験できないね」
「うん、僕は子供時代っておもちゃで遊ぶのが当たり前だと思ってたけど、毎日お母さんを手伝いながらいろんな体験ができるのって、ちょっと羨ましくもあるな。」
「おままごとじゃなくて実体験だもんね」
「なんでもバーチャル体験できる今の時代と、小さな実体験を積み重ねていた父さんの時代、身につくことはきっと全然違うねえ」