はじめまして、あかしゆかです。
私は現在、東京でフリーランスとして編集や執筆の仕事をしながら、1ヶ月のうち10日間ほどを岡山県で生活しています。
岡山では、「aru」という自分の小さな本屋を営んでいます
2拠点生活を始めたのは、今から2年半ほど前、2020年7月のこと。
コロナ禍で「ワーケーション」という言葉が流行り始めたころ、岡山県に長期滞在をする機会があり、土地柄や、そこに住む人たちに惹かれたことがきっかけでした。
岡山の拠点としているのは、倉敷市のはじっこにある「児島」という地域。児島は国産ジーンズの発祥地として有名で、駅のさまざまな場所にはジーンズがあしらわれています。
東京と児島で2拠点生活をしていると言えば、「ジーンズのところでしょ?」と言われることが多いのですが……。それだけではないんです!
何よりも、駅から20分ほど車を走らせるとたどり着く瀬戸内海沿いの景観に、私の心は虜になりました。
凪のように穏やかな海を眺めていると、日々の嫌なことなんてすっかり忘れてしまう。負の感情がなくなり、心がすっと軽やかになって、自分をリセットすることができます。
そして児島のいいところは、郵便局の局長に顔を覚えてもらうくらいには町のサイズは小さいのに、押さえてほしいポイントは押さえられているところです。
おいしい食も、素敵なカフェも古道具屋さんも、宿もサウナだってある。さらには海だけじゃなくて山もある。都会とは正反対の環境だけど、「不便」ではまったくなく、むしろこの土地を想う人々による店の数々は、心地よい刺激をくれるのです。
……そう、児島は、ジーンズ以外にもたっくさんの魅力を秘めた場所。だからこそ、私は2年以上も2拠点生活を続けられているのだと思います。
そこで今日は、私が普段から足を運ぶ児島の魅惑的なスポットを、たっぷりとご紹介します!
目次
児島の「土地」を食でたのしむお店
岡山の食といえば、桃やぶどうなど果物のイメージが強いですが、ほかにも「その土地ならでは」の食がたくさんあります。
児島には、新鮮な地魚を味わえる回転寿司や、岡山県産の米を使った老舗の酒蔵、タコ壺漁で獲れたタコをテイクアウトで楽しめるお店などなど、魅力的なお店がいっぱい。
まずは児島の土地そのものを、胃袋で味わってみてください!
地魚がとにかくおいしい! 唯一無二の回転寿司「いづつや」
今まで、100回以上は行っています。児島に遊びに来てくれた友達がいたら、私が必ず連れて行く回転寿司。それが「いづつや」です。
いづつやは、市場から仕入れられた新鮮な魚を味わえる、地元に根ざした回転寿司屋さん。児島は港が近いので、採れたての新鮮なネタが味わえるのです。
とにかくひとつひとつのネタが大きくて、おいしい。そして安い!
ハモ天にぎり。シャリはもはや「おまけ」です
巨大な「ハモ天にぎり」、山椒をたっぷりかけた「大うなぎ」、大根おろしを乗せたぷりっぷりの「炙りイワシ」など、おすすめしたいネタは山ほどあるのですが……。
私のイチオシは「サーモンたたき」(150円)。
サーモンたたきは身がほどよく炙られふわっふわ、噛むとじゅわあと旨味が広がり、少しだけ降られた塩と合わさって……ああ、思い出しただけでもお腹が減ります。
今まで食べたどんなサーモンのお寿司よりもおいしい。
「オリーブはまち」「寒ぶり」など、季節ごとに変わるネタを見るのもたのしく、季節の移り変わりを魚で感じるようになりました。
タッチパネルではなく、店員さんに声をかけて注文するので、店員さんとコミュニケーションできるのも温かさを感じて好きなところ。これからも愛し続けたい、大好きなお店です。
いづつや
〒711-0922 岡山県倉敷市児島元浜町104
086-474-2427
店内で角打ちも楽しめる、創業200年の老舗「三冠酒造」
岡山にある特産米のうち、「雄町」「朝日」という2種類のお米を使用して、創業1806年から200年以上日本酒を造りつづけているのが「三冠酒造」です。
創業200年の歴史を感じる門をくぐって敷地に入り、のれんをくぐると、そこには開放感のあるショップスペースが。築100年以上の精米蔵を改装してつくられた、資料館兼直売所です。
常時、三冠酒造で造られた日本酒を各種買うことができます
三冠酒造の魅力は、なんといっても店内で味わえる角打ち!
店内に並べられた日本酒の説明を聞きながら、好みの銘柄を自分で選び、飲み比べすることができるんです。そしてお値段は、3種類でなんと税込880円。ついつい飲みすぎて酔っ払っちゃう……。
私がこの日飲んだのは、「朝日」の飲み比べ。枡の中のグラスから溢れるほど注いでくれます
三冠酒造の日本酒は、料理を主役にするためどれも辛口。でも、すっきりしつつも口当たりはまろやかなので、とっても飲みやすい。(私はにごり生酒が好きです!)
角打ちセットには肴として、三冠酒造の酒に合わせた乾物がそれぞれついてきます。このペアリングがまた、日本酒とマッチして最高なんです。
日本酒の造り方がわかりやすく説明されているパネルも展示されていて、スタッフさんもくわしく教えてくれるので、日本酒初心者の方にもおすすめの酒蔵です。
三冠酒造有限会社
〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町2丁目9-22
名産のタコを使った食べ物をテイクアウトできる「Nanahuku」
岡山県が「タコ」の名産地だということを、私は2拠点生活を始めるまで知らなかったのですが、児島の「下津井」というエリアでは、真タコ漁が有名です。
「Nanahuku」は、タコ漁師として現役で活躍されている「七福丸」の方々が、気軽にタコを楽しめるようにと始められたテイクアウト専門店。
唐揚げ串や天ぷら串、そしてタコ飯などが楽しめます。(メニューにある「タコフランク」は、見た目はかわいいですがタコではないのでご注意を!笑)
写真は、タコの天ぷらとタコの唐揚げ。サクっとした衣の中にはぷりっぷりとした大きいタコ。天ぷらにはお好みで塩コショウをかけることもできます。
どれも、小腹が空いたときの軽食にぴったりです。ジーンズストリートからも歩いて行ける距離なので、お散歩がてら、ぜひふらっと立ち寄ってみてください。
Nanahuku
〒711-0913 岡山県倉敷市児島味野1丁目2−19
おいしすぎて私を太らせた、絶品児島グルメ
「その土地ならでは」というわけではないけれど、何度も通ってしまう大好きなお店たち。2拠点生活を始めて私の体重が増えたのは、これらのおいしすぎるグルメたちのせい。
「ジュワ〜!」がたまらない「いしはるうどん」
「ジュワ〜!」という音が店内で鳴り響いたら、目を瞑っていても「あ、“スペシャル”を食べている人がいるな」と分かる。
スペシャルとは、「いしはるうどん」の名物メニューです。
どどーん! と巨大な海老天
コシのあるうどんの上に、巨大な海老の天ぷら、わかめ、甘く煮た牛肉、卵、ねぎ、生姜……。おいしいもの全部乗せの、名前通り「スペシャル」なうどんです。
この天ぷらは揚げたての熱々な状態で出てくるので、すぐさまうどんの汁につけると、「ジュワ〜!」といい音が。それがもう、たまらない。地元の人からも観光客からも愛されていて、毎日お昼時には満席状態です。
こうやって、お箸で天ぷらを汁につけると「ジュワ〜!」と鳴ります
具材をひとつずつ味わったあとは、混ぜて食べるのもおすすめ。量がかなり多いので、覚悟の上ご賞味を。
店内は広いので、並んでいても比較的待たずに入れるのでご安心を
いしはるうどん
〒711-0904 岡山県倉敷市児島唐琴3丁目6−57
086-477-6887
カツカレーがとにかく絶品「ちくりん」
ジーンズストリートのすぐそばにある、老舗喫茶店「ちくりん」。
マスターが児島出身で、創業してからは50年近くが経つのだそう。今では、息子さんご夫婦と一緒に営まれています。
オムライスが有名なお店なのですが、何度も通うたびに、ある日私は気づいてしまったんです。「カツカレー」がとにかく絶品だということに……!
薄めでサクッと挙げられたトンカツが乗せられたライスに、ランプ形の容器で自分でカレーを注ぐ。果物や野菜などの複雑な旨味が閉じ込められた甘いルウがこれまたおいしく、いつもあっという間になくなってしまいます。
(もちろん、オムライスも絶品です!)
店内はレトロで可愛く、ランチ時にはよく「仕事の休憩時間に来ているんだろうな」と思しき地元の会社員の方々が。老若男女、いつ行ってもいろんなお客さんがいて、昔から愛され続けているんだろうなということを感じます。
いつまでも、ずっと続いてほしい名店です。
ちくりん
〒711-0913 岡山県倉敷市児島味野1丁目7−19
086-472-2187
瀬戸内海が一望できる、心穏やか絶景スポット
児島に来たら、絶対に見てほしい瀬戸内海の景色。「多島美」と呼ばれる、島が海に点々と浮かぶ美しい景観は、他に類を見ないように思います。
ここからは、瀬戸内海が一望できる、おすすめのスポットを紹介します!
サウナもカフェも宿泊も、たのしさ全部盛り「DENIM HOSTEL float」
瀬戸内海が一望できる宿泊施設とサウナがある「DENIM HOSTEL float」。株式会社ITONAMIを経営する、「デニム兄弟」こと山脇さん・島田さんが手がけている施設です。
最初は宿泊施設兼カフェだったのですが、サウナができたり、グランピングドームができたり……。彼らが施設をどんどんアップデートしていくので、見ていると本当におもしろいのです。
特に瀬戸内海を見渡しながら味わえるフィンランドサウナ「浮サウナ」は、至極の体験。
カフェで食べられるカレーも、予約すると楽しめるディナーも絶品です。
つけ合わせの野菜は定期的に変わります
floatの名前の由来になっている、「浮」という言葉にぴったりな、ワクワクとした浮かれ気分になれる場所です(私の本屋は、この隣にあります!)。
DENIM HOSTEL float
〒711-0905 岡山県倉敷市児島唐琴町1421-16
山と岩と空と海。コントラストが最高な「王子が岳」
山の頂上から眼下に望む瀬戸内海は、息を飲む美しさ。……そう、児島には、海だけじゃなく山もあるんです!
国立公園に指定されている「王子が岳」は、標高235mの小高い山。点在する岩々が有名で、ボルダリングの聖地と呼ばれているのだとか。
山、かっこいい……!
通称「にこにこ岩」。王子が岳の象徴です
floatの近くには登山口があり、20分ほどで頂上まで登ることもできます。すべて階段(1200段ほどあります!)なのでけっこうハードですが、私はたまに運動不足解消と気分転換のため朝に登ったりしています。
天気のいい日には、頂上からパラグライダーで飛ぶことも。色とりどりのパラシュートが青空に浮かぶ様子は、海と空の青と山の緑がコントラストとなって、さながら絵画のよう。
ドライブでも、散歩でも、パラグライダーでも、ボルダリングでも。お好きな方法で自然をたっぷり楽しんでください。
王子が岳
〒711-0905 岡山県玉野市永井
誰もが息を飲む美しさを持つカフェ「belk」
王子が岳の山頂に、もともとレストハウスだった建物を改装してつくられたカフェ「belk」があります。
はじめてこの場所を訪れたときの感動は、今でも忘れられません。
高い天井、響く穏やかな音楽、おいしいお菓子やコーヒー、そしてなんといってもアーチを描く大きな窓から見える瀬戸内海……。まるで天国にいるようだ、と思いました。
メニューの中では、チーズテリーヌが特に絶品。オンラインでもたまに販売されていますが、人気でいつもすぐに完売してしまいます。
不定期で音楽会などのイベントもされているので、タイミングがあえばぜひ行ってみてほしいです。きっと、忘れられない記憶になるはず。
2022年12月に開催されたharuka nakamuraさんの演奏会にて
belk
〒711-0905 岡山県倉敷市児島唐琴町7
https://www.instagram.com/_belk__/
ユニークなお店で、素敵なお買い物を。
児島には、ジーンズ以外のお買い物ができるお店ももちろんあります。中でも、こだわりが詰まった素敵な買い物体験ができるお店を2店ご紹介。
洋服屋の奥に広がる、魅惑の本屋「SOHO BOOKS」
児島を拠点にモノづくりを行うデニムブランド「KAPITAL(キャピタル)」。もともと公民館だった建物を再利用して開かれた、直営店舗「KAPITAL 瀬戸内児島赭(そほ)店」の店内を奥に進んで行くと……。
なんと、素敵な本屋さんが!
その名も「SOHO BOOKS」。店名の「そほ」は、赤土色を意味する日本の古語で、建物の外観の色にちなんでつけられたのだとか。
「そほ色」の建物
東京・銀座「森岡書店」の店主・森岡督行さんがセレクトしたという本の数々は、アート・文学・音楽などさまざまなジャンルが揃い、知的好奇心をくすぐられます。特に写真集やアート関連の書籍の数が多く、お好きな方は必見。
本を選ぶ過程もたのしい、何時間でもいられてしまう本屋さんです。
SOHO BOOKS
岡山県倉敷市児島小川町3672-10
粋な雑貨や古道具がそろう「Womb pocante」
ジーンズストリートの中に、一際目を引く、荘厳な建物があります。
ここは、戦前の古い銀行をリノベーションしてつくられた、古道具とセレクトショップ「Womb pocante(ウーム・ブロカント)」。
店内には、古道具とセレクトされた雑貨や服、さらには廃材や古道具をアレンジしたオリジナル商品などが並んでいます。
古道具は、昔からの時間を感じる味のあるものばかり。私も自分のお店を始める際には、照明などいろいろと買わせていただきました。
最近購入した机。糸巻きの古道具にガラス板をつけたオリジナル商品
インテリアだけじゃなく小物も充実しているので、お土産や、自分へのご褒美などの買い物にぴったりの場所です。
Womb pocante
〒711-0913 岡山県倉敷市児島味野1丁目10−19
このように、魅力的なスポットがたくさんある児島の町。最近では、私と同じように2拠点生活をする方や、移住者が増えてきています。
児島に移住をして、デニムブランドやご紹介した「DENIM HOSTEL float」などを営む兄弟に、児島の魅力をさらに深く聞いてみました。