長野県の最北端・飯山市(いいやまし)から、こんにちは〜!
ライターのくわはらえりこと申します。生まれも育ちも、ここ飯山。いまも豊かな自然と四季を楽しみながらこの地で暮らしています。
早速ですが、みなさんお気付きでしょうか? わたしの背後にドーンとそびえるこの白い壁……。
ご覧の通り「雪」なのですが、これは私が小柄という訳ではなく(身長165cmと大きなほうです)飯山がとても雪深い土地だということがお分かりいただけるかと思います。
そう、飯山は日本有数の豪雪地帯。特に雪が多い年の積雪量は、市街地で約150cm、山間部で3m近くにもなり、見渡す限り白銀の世界へと大変身するんです。
常盤大橋から望む戸狩温泉スキー場方面
そんな深い雪に覆われ、天然雪100%のパウダーゲレンデでスキーやスノーボードが楽しめるのも、飯山の魅力のひとつ。毎年、良質な雪を求めて全国各地からスキーヤーとスノーボーダーたちが、集まっている訳ですが、
「スキー場だけで満足するのはもったいないぞ〜〜〜!」
と、声を大にして言いたい。(もちろん、スキー場も最高なのはさておき)
そこで今回は、スキーやスノーボードだけじゃない、飯山の冬のおすすめをご紹介します。「普段、ウィンタースポーツはやらないよ〜」という方もご参考にしてもらえたらうれしいです。
それでは、はじまりはじまり〜
目次
心も身体もポカポカ〜! 冬にイチオシのグルメ
いつ食べても美味しいけれど、寒〜い冬に食べたら美味しさ2倍!? そんな寒さを吹き飛ばすようなポカポカグルメと、冬の名物スイーツをぜひ召し上がれ〜。
リピーター続出!「焼きカレーの店 ペンティクトン」
飯山に来たら、ぜひ訪れてほしい飲食店といえば、こちらの「焼きカレーの店 ペンティクトン」。
店名にも掲げられている、名物「焼きカレー」は、とにかく一度は食べてほしい逸品。20種類ほどのスパイスで作られるカレーに、地元の養鶏場による「菜の花みゆき卵」とチーズをたっぷりのせてからオーブンで焼かれるので、グツグツと音を立てながら登場します。
スパイシーなカレーは、あと引く辛さがくせになる美味しさ! 食べ進めていくにつれて、スパイスの力でジワジワと身体の中から温まってくるのがわかります。
そのカレーに合わせて提供されている白米も「キヌヒカリ」というこだわりの品種。地元農家「金崎さんちのお米」によるお米で、粘り気が少なくサッパリとした口当たりはカレーと相性抜群です。セットで出てくるお好みのトッピングと合わせてどうぞ〜(おすすめはレーズンと桜えび!)
ちなみに、戸狩温泉スキー場のほど近くに位置するので、ゲレンデからもアクセスが簡単 。「毎年この焼きカレーが食べたくなるから、つい戸狩温泉スキー場を選んでしまう」という友人スノーボーダーの証言もあります!
焼きカレーの店 ペンティクトン
〒389-2411 長野県飯山市豊田6543-1
寒い雪国で絶品のタイ料理!?「クアタイ」
続いてのおすすめも戸狩温泉スキー場の近くに位置する、タイ料理店「クアタイ」。
長野県内最北端の雪国で、まさかのタイ料理……!? と思う方もいるかもしれませんが、実は本格的な味が楽しめる隠れた名店なのです。
飯山に嫁いだタイ出身のオーナーさんが2014年にオープン。異国情緒たっぷりの店内では、「ガパオライス」や「グリーンカレー」といった定番メニューのほか、普段聞きなれないような本場の一品メニューも豊富なので、ランチもディナーも楽しめます。
特におすすめなのが「カオソーイ」!
これはチェンマイ名物のラーメンなのですが、スパイシーな辛さとココナッツミルクのまろやかさのバランスが絶妙で、一度食べたら病み付きになること間違いなし。いいアクセントになっているトッピングの「野沢菜」も、長野っぽくていいんですよね……!
いい汗をかける本場の味が魅力ですが、お好みによって辛さの調整もしてもらえるので店員さんにお声がけくださいね〜。
クアタイ
〒389-2412 長野県飯山市常郷2203
市民が愛する名物ラーメン「宏吉楼(ホンチーロー)」
市街地の本町商店街に位置する「宏吉楼(ホンチーロー)」は、まちの中華料理店。通称・ホンチーという名称で親しまれているお店です。
ぜひ冬に食べてほしいのが、多くの市民から愛されている「豆腐麺」。堂々の人気No.1メニューで、ランチや夕飯にはもちろん、飲み会の締めにこれを食べないと終われないという声も。
豆腐麺は、細麺によく絡むピリ辛の麻婆豆腐のような餡がポイント。食べ進めても冷めにくいアツアツの餡なので、冬の冷え切った身体にジーン……と染み渡る美味しさです。つるんとした舌触りの豆腐に、粗めに切られたニンニクもいいアクセント◎
ちなみに、普段スキーもスノボもやらない私。この豆腐麺に対して「シーズンイン」という言葉を使うほど、冬に食べに行く回数が増えるのですが、やっぱり寒い時期に食べると特に元気が出る! 厳しい冬を乗り越えるためには欠かせないグルメです。
宏吉楼
〒389-2253 長野県飯山市飯山本町1204-2
名物・バナナボートの元祖!「大黒屋製菓舗」
大黒屋さんといえば大定番の「福最中」と、売り切れ必須の「バナナボート」
ところでみなさん、「バナナボート」ってご存知でしょうか?
船などに牽引されて水上を走るバナナ型のボート……ではなく、飯山の冬といえば欠かせないスイーツのことなんです。
スポンジケーキにバナナと生クリームを挟んだバナナボートは、市内に点在する和洋菓子店で販売されており、「いいやま冬の名物」として市民や観光客から親しまれています。
シンプルながらも、各店によって形や特徴が異なるので、食べ比べをしてお気に入りを探すのもおすすめ! ちなみに全店制覇している私は、断面だけでどこのお店のものか判断できるほど、バナナボートをこよなく愛しています。
そんな私がなかでもおすすめするのが「大黒屋製菓舗」のバナナボート 。
飯山にまだ洋菓子店のない昭和50年頃、こちらのお店がバナナボートを作りはじめました。当時、和菓子店には十分な冷蔵設備がなかったため「冬限定」になったとか。
ふわふわのスポンジ生地と甘さ控えめのクリームのバランスが絶妙で、とにかく軽い。一口食べれば、なんだかホッとしてしまう優しい味わいについ頬がゆるんでしまいます……!
大黒屋さんのバナナボートの販売は、10月〜3月頃まで。ほかにも季節を感じられる限定商品が登場しますが、大定番の「福最中」もおすすめですよ。
大黒屋製菓舗
〒389-2253 長野県飯山市飯山1149
異日常の豪雪体験をするならここで!
次は、豪雪地ならではの体験ができるおすすめスポットをご紹介します。レベル別になっているので、自分の体力や興味に合わせてぜひチャレンジを〜。
【レベル1】愛宕町の雁木通りを歩いてみる
飯山の市街地には、約300mにわたってのびる「雁木(がんぎ)通り」があります。
雁木とは、雪よけの屋根のこと。これは冬を快適に過ごすための雪国ならでは知恵で、除雪しなくても道を歩けるようになっているんです。
ズンズンと雪が降り積もる日に飯山に来たら、 車ではなく、あえて歩いてみるという体験もおすすめ。実際にこの通りを歩くとよ〜〜〜く分かるのですが、歩行者にとってこの屋根があるのと、ないのとじゃ大違い! 歩きながら「ああ、舞う雪がきれいだなあ……」と思えるほど、心に余裕ができるんですよね。ぜひ冬にこそ、歩いてみてほしい通りです。
通り沿いには寺社が点在するほか、伝統的工芸品「飯山仏壇」を販売する仏壇店が軒を連ねている珍しい通りでもあります。
雁木通り
〒389-2253 長野県飯山市愛宕町
【レベル2】絶景のかまくらの里で鍋を囲んでみる
飯山の冬の外せない風物詩と言えば「かまくら」!!!
毎年1月下旬になると、飯山駅から車で15分ほどの場所にある「かまくらの里」には、巨大なかまくらがずらりと約20基出現します。高さは3〜4mほど。中に入ると、165cmの私も直立できちゃう。
このかまくらは、通称「かまくら君」と呼ばれる大きなバルーンを用いて、足やスコップで雪を踏み固めながら作られているので、ちょっとやそっとじゃ壊れません。しかも、これらは地元有志の「かまくら応援隊」というおじいちゃんたち(平均年齢70歳以上!)によって作られているのも胸アツポイント。豪雪にも負けず、たくましく生きる地元民の底力を感じられるはず!
この景色を見れるのは、真冬の1ヶ月間だけ。3月〜12月にかけてこの場所を訪れても、な〜んにもない農地&雪原が広がっているだけなので、ぜひチャンスを逃さぬよう〜!
さらに! このかまくらの中では「アツアツのお鍋」が味わえるという夢のような体験もできちゃうのです。その名も「レストランかまくら村」。※要予約
受付を済ませ、かまくらの中で待機していると運ばれてくるのが、地元食材がたっぷり入った信州味噌仕立ての名物「のろし鍋」。蓋を開けると、モワ〜〜〜っと湯気が狼煙のように立ち上ります。ボリューム満点なので、みんなでワイワイと鍋を囲むのはもちろん、ご家族や大切な方とかまくらの中のプライベート空間を楽しむのもおすすめですよ。
また、会場内ではソリやスノーモービル、雪上車体験など、大人から子どもまで雪遊びができるので、全力で雪をたわむれたい方はぜひ全身防水&防寒のフル装備でお出かけくださいね。
かまくらの里
〒389-2418 長野県飯山市寿807-2
レストランかまくら村 2023
期間: 2023年1月20日(金)~2月26日(日)※定休日なし
【レベル3】希望湖で湖上スノーシューに挑戦してみる
こちらの写真、ただの雪原かと思いきや、実は湖の上なんです……!
ハードルが少し高くなるレベル3のスポットは、標高約1,000mの斑尾高原に位置する「希望湖(のぞみこ)」。長野県の風景を好んで描いた日本画家・東山魁夷が絵のモデルとした場所としても知られています。
例年3〜4mという豊富な積雪量に恵まれるこのエリアでは、湖さえもすっぽり雪の中。湖面は凍結しませんが、その雪の深さから、厳冬期には湖上を歩くことができるんです。その時に欠かせないのが、雪の上を快適に歩くことができる雪上歩行具「スノーシュー」。これを履けば、ズボボボボと埋まることなく、雪の上でもダッシュすることだってできちゃいます◎
……まさかの死体? ではなく、背面から雪上にダイブして、あまりの気持ち良さから起き上がれなくなっている私です。
冬の澄んだ空気に、キラキラと輝く大雪原。そして、圧雪されたゲレンデでは味わえないふわふわの雪の感触……。見事に雪が音を吸収して、シーンと静まり返った森の中での過ごし方は自由です。(過去にやってみて面白かったのは雪上フリスビー!)大自然に身を委ねて、飯山の豪雪をお楽しみくださいね。
冬の希望湖へお出かけの際には、ビジターセンター「まだらお高原・山の家」へ事前にお問合せを。 スノーシューのレンタルほか、ガイド派遣も行っているので、初めての方はぜひご相談ください。
希望湖
長野県飯山市斑尾高原
驚愕! 恍惚! わざわざ立ち寄って見たい雪景色
冬の飯山に来たらどこもかしこも雪、雪、雪なんですが、せっかく来たなら一度は見てほしい!というおすすめの雪景色スポットがあるんです。
ちゃんと買えます「温井集落にある自動販売機」
見てください、これ!!! 暗闇に浮かぶ、雪壁から掘り出された自動販売機。
これこそが豪雪地帯の日常の風景です。冬だって雪に負けずに営業中。ちなみに自動販売機の主要サイズは高さ183cm。この写真を見ると余裕で雪が上回り、2m以上もの積雪があることがわかります。
この自動販売機が位置するのは、長野県と新潟県の県境で飯山の中でも特に雪深い「温井(ぬくい)集落」。道路沿いにあるため、大きな除雪車が通ったあとに、近所の方が掘り出してくれているようですよ。
温井集落にある自動販売機
〒389-2602 長野県飯山市一山(長電バス温井線 バス停「上境入口」付近)
千曲川を眼下に雪見風呂「いいやま湯滝温泉」
国道117号線沿い、雄大な千曲川のほとりにある日帰り温泉施設「いいやま湯滝温泉」。
この温泉の魅力といえば、千曲川と里山の景色をのぞむ開放的な露天風呂なんですが、冬はなんといっても「雪見風呂」が楽しめるのがポイントです。
川のせせらぎに耳を傾け、美しく雪化粧した山々を眺めながら浸かるお湯は、最高の癒し。
しかも、肌にやさしい「アルカリ性単純温泉」の泉質なので、肌がしっとりすべすべに。乾燥しやすい冬にもぴったりですね。
いいやま湯滝温泉
〒389-2602 長野県飯山市一山1898
冬景色を見れば春の感動が10倍!?「冬の菜の花公園」
知る人ぞ知る、飯山市といえば「春の菜の花」。見頃を迎えるGWの頃、「菜の花公園」を中心に、大勢の観光客で賑わいます。まるで黄色い絨毯のように、視界いっぱいに広がる菜の花畑は圧巻の一言。
そんな菜の花の感動をより味わうために、あえて冬に菜の花公園へ足を運んでみるのもおすすめです。
冬の菜の花公園内は、スノーシューを履けば自由に散策が可能
当然この通り、冬はどこまでも続く大雪原。
実際にこの景色を目の前にすると、「あと数ヶ月で本当にここが菜の花の黄色で染まるの……!?」という気持ちが湧いてくることでしょう。当たり前かのように暖かい春が来て菜の花が咲いていますが、凍えるように寒くてモノクロのような冬があるからこそ、春の訪れに胸が踊るのだと思います。
毎年GWの見頃の時期に合わせて、「いいやま菜の花まつり」が開催されます
こちらが4月下旬〜5月上旬の菜の花公園。豊かな色彩の自然を愛でながら、ピクニックなんていかがでしょうか。言わずもがな「最高」という一言に尽きます。
ちなみに、飯山を彩る菜の花は、アブラナではなく「野沢菜」。野沢菜も植物分類上はアブラナ科に属する仲間なので、実は菜の花の仲間。漬物用として使う場合には、通常11月頃に収穫しますが、そのまま越冬させて春になると、このように菜の花として咲くのです。豆知識でした〜!
菜の花公園
〒389-2322 長野県飯山市瑞穂413
さて今回、スキーとスノボだけじゃない飯山の冬のスポットをご紹介しましたが、2ページ目では逆にその「スキー場」について深掘りしていきます。この飯山でもスキー場に年間140万人が集い、ゲレンデも宿も人が溢れていたという、スキーブームがあったのはご存知でしょうか?