Quantcast
Channel: イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1396

14歳でジモコロを通じて「外の世界」を知ったボクが、3年後に『Re:youth』の旗を掲げられるようになったのは、好奇心のままに生きる大人たちのおかげだった

$
0
0

14歳でジモコロを通じて「外の世界」を知ったボクが、3年後に『Re:youth』の旗を掲げられるようになったのは、好奇心のままに生きる大人たちのおかげだった

こんにちは、京野桜大(キョウノオウタ)です。自分は中学時代に不登校になり、卒業と同時に個人事業主になった社会人2年目の17歳です。

この度、ジモコロのインスタマガジンとしてスタートする『Re:youth』の編集長を務めることになりました。

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Re:youth(@reyouth_mag)がシェアした投稿

『Re:youth』はこれからを生きる若者たちに、身近な接点からタメになる面白い話を届けるインスタマガジンです。2022年2月から、週1本のペースで記事を更新していきます。

なぜ、ボクがジモコロのインスタマガジンの編集長を務めることになったのか。それは、引きこもっていた頃にジモコロ編集長である徳谷柿次郎さんと出会い、色々な土地に連れて行ってもらった経験が大きかったんです。

 

二度の不登校を経て、動画編集者に。15歳の少年が旅をして見つけた「自分の生き方」

2019年に、ジモコロで取材を受けました

 

色々な場所を旅して、人と会い、何を感じたのか。それらが『Re:youth』にどう繋がるのか。14歳からの3年間を振り返りながら書いていきます。

 

自分だけでは辿り着ける情報に限界がある

群馬・桐生にあるアウトドアショップ「パーヴェイヤーズ」のイベントにて、柿次郎さん(写真左)と

 

引きこもっていた時に僕が認識していた大人は、親か教師の2種類。ただ毎日を家で過ごしていた当時14歳の自分にとって、「旅をすること」が仕事になっている大人の存在は衝撃だった。

 

部屋で天井のシミの数を数えていた自分とは対照的に、さまざまな土地へ出向き、取材を通して関係性を深め、メディアで記事化して発信する。しかもボクと同じように、柿次郎さんも過去には引きこもった経験があるそう。自分が知っていた「大人」とは、全く違う生き方をしている人だった。

 

柿次郎さんは、僕を色々な土地に連れて行ってくれた。

ある時は、柿次郎さんがライター・編集者仲間を集めた沖縄旅行に。沖縄に行くのも、飛行機に乗るのも人生で初めて。「えいぶん」のソーキそばがおいしかった。

 

前髪金髪が自分です

 

つい先日は、柿次郎さんに誘ってもらい秋田へ。編集者の藤本智士さん、『サーキュラーエコノミー実践』の著者・安居昭博さんたちと秋田のサーキュラーエコノミーの現場をめぐるツアーに同行させてもらった。

 

ナマハゲと記念撮影

 

旅では、いつも新しい出会いがあった。それは、部屋の中でインターネットだけを見ていたら出会えなかったものばかり。柿次郎さんは、いつもそういうものと引き合わせてくれた。

 

自分の中で印象深いエピソードがある。それは柿次郎さんがジモコロでボクを取材した時、広告でしか見たことのなかった矢沢永吉のエッセイ本『成り上がり』を渡してくれたこと。

 

自分では絶対に手に取らなかったはずの本だけど、読んでみると面白かった。ノンフィクションの本を読むのがはじめてで、こんな生き方をしている大人がいるんだ、と思った。

 

どんなに優秀な検索エンジンがあろうと、「検索ワード」を入れないとその情報には辿り着けない。TwitterやInstagramをはじめとしたSNSでも、フォローしているのは自分の趣味嗜好に合うアカウントばかり。アルゴリズムに準じた投稿ばかり表示されるのは楽しいけど、柿次郎さんから矢沢永吉の本をもらった時ほど、「新しい世界が広がった感覚」はなかった

 

そうして、自分だけでは辿り着ける情報に限界があることを知った。

 

差分から見えてくる、構造

知らない土地を旅しているとき、気づけば自分の地元である千葉や、いま住んでいる東京とその土地を比べていた。考えてみれば、それは本を読むときも、相手の話を聞くときも同じ。

 

このご飯を自分は美味しいと思うけど、あの人は味が濃いと言う。つまり自分は味が濃いご飯が好きなんだな。
あの人は虫を平気で触れるけれど、自分は触れる気にならない。つまり自分は虫が嫌いなんだ。

 

知らなかった情報に触れると、どんどん自分のことがわかっていく感覚があった。

 

自分以外と比べることで、自分との違い=「差分」が見えてくる。その「差分」で、はじめて「自分」がつくられる。引きこもっていた期間から時間が経って、そのことをようやく実感した。

 

それと同時に、自分と同世代の「差分」も気になりはじめた。

学校という場は、自分と違うタイプの人間とも交流ができる数少ない場だと思う。でも、定期的に地元の同世代に話を聞いていると、高校の昼食の時間でさえ黙食がルール。ボクの同世代は中学卒業と同時にコロナが直撃したこともあり、高校に行っても新しい友達が作りにくいという話をよく聞く。

 

本来、インターネットでは難しい「自分だけでは辿り着けない情報」への出会いが、学校にはあるはずだった。それもコロナの影響を受けて、減ってしまっていることに気づいたのだ。

 

2017年、柿次郎さんと出会った長野にて。写真中央奥に写るのが自分

 

学校に行けず他人とのコミュニケーションが不足していた自分は、わかりやすくいうと世間知らずだった。

 

この前は、とある歴史上の人物を知らず、自分としては「そんな人がいるのか」くらいだったが、周りからはとても驚かれた。こんな風に、本当の情報格差とは、当事者が「『何がわからないか』すら、わからない」のだと思う。

 

そんな自分でも、柿次郎さんからもらった矢沢永吉の『成り上がり』や、ジモコロの記事は面白く読めた。その理由を考えた時、大切なのは新しいものとの「出会い方」なのかもしれないと感じた。

ジモコロはライターと取材相手の掛け合いで構成されて、親しみやすくポップな切り口。でも、読み進めていくと大事なことに辿り着く。

 

「知らないことだけど、なんか面白そう!」と思わせてくれる入口が、どちらにもあった。だからこそ、ジモコロの記事も不思議と読み進めることができてたんだ、と気づいた。もし先程の自分が歴史上の人物を知らなかった場面で人格否定までされていたら、その先には進んでいなかったと思う。

 

「わからないけど面白そう!」と思わせてくれるジモコロの価値

中学校で環境問題について教わった時、どこか遠いところの話に感じて、自分ごと化まではできなかった。

 

でも、例えばジモコロの「きえーる」の記事は違った。自分が認識できて、面白がれる入り口から、今まで知らず、興味もなかったはずの地球の環境の話へ導かれたのだ。

 

牛のオシッコが地球を救う!? 北海道で出会ったミラクル液体「きえーる」

自分だけでなく、地域や世代に限らず「『何がわからないのか』すら、わからない」場面が多々あると思う。そして、それに気づく機会すらないことも。

 

たとえば自分の場合、周囲の大人は会社員である両親か、公務員である学校の先生しかおらず、フリーランスという仕事の選択肢も知らなかった。

 

でも、ジモコロは身近な視点から、自然と「好奇心」が湧くような接点を作ってくれているように思う。

 

テストのためだけに一夜漬けで覚えた単語は忘れがちだけど、身近なことに紐づいた知識は忘れない。ボク自身、ジモコロを通して湧いてきた好奇心ベースで物事を考えていたら、いつのまにか沢山の本を読んでいた。

 

好奇心ベースで生きる人たちこそ「若い」

自分は、ジモコロに出てくる個性豊かな方々を「若い」と感じる。

それは、彼ら・彼女らが好奇心に素直だからだと思う。気持ちが若いというか、いくつになろうと、自分の好奇心に向き合ってやりたいことをする方々は若く感じる。

17歳である自分は、人に会うと「若いね」と言われることが多々ある。でもそれは年齢的な意味でしかない。もっと本質的な若さは、ジモコロを通して出会ったような「好奇心豊かに生きる」方々の中にあるはず。だから、これまでの若者が年齢だけで定義されていたとするならば、ボクは「好奇心」で定義したいと思っている

 

どんな年齢でも、好奇心のままに自分のやりたいことをやる。そうした人は昔からいたはずだ。自分の周りにも、そんな人たちがたくさんいる。

 

たとえば、発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。

 

「信じる」が失われる世界で見つけた、変わらない価値【コロナの渦中で考える】

ヒラクさんには、15歳のとき旅先の山形で出会った。当時の自分は学校にも行かず、まだ社会人にもなっていない状態。実家に居づらくて、山梨にあるヒラクさんの家に3ヶ月間、書生として転がり込んだ。

 

とはいえ書生らしいことは何もしてない。「君は何もしないのが仕事だ」「体を動かすのも大事だから農業とかいいんじゃない」と言われて、「やーまん!」と挨拶してくれる農家さんを紹介してもらい、そこでスケボーを教えてもらった。あとは色んな本も読んだ。

 

ヒラクさんに言われて一番衝撃を受けたのは、「オウタくんは相手が面白がりそうな話をしている」だった。当時のボクは自分の話をするのが苦手だったのだが、ヒラクさんはそんなボクに「自分が面白いと思う話をしなよ」と言ったのだ。それは自分の中でとても新しい視点だった。

 

ヒラクさんは、すごく素直な人だ。何をしていても、いつでも自分が一番楽しんでいる。自分の好奇心に素直な「若者」だな、と思う。

部屋に引きこもり、世の中に絶望していた自分が衝撃を受けたのは、そんな「若者」である大人たちだった。外に出てみれば次から次へと会うことができたけれど、初めの1人に出会うのがとても難しかった。自分はたまたま、縁と運が重なって巡り会うことができ、インターネットが繋ぎ続けてくれた。

 

インターネットの可能性は、どこからでもアクセスできること。そして課題は「どのようにアクセスするか」だ。

 

言葉を知らなければ検索できない。昔の自分のような、もっと広い世界を求めている人に、新しい出会いとのきっかけを届けたい。

 

そう思っていた時、「もっと若い人にリーチするため、ジモコロのインスタマガジンをはじめたい」と柿次郎さんから相談を受けた。そこから半年以上の準備期間を経て、ジモコロの記事をリユース(再使用)する形で、インスタマガジン『Re:youth(リユース)』を始めることになった。

 

Re:youthのこれから

とある青年漫画の編集者さんが、こんなことを言っていた。コロコロコミックのような児童向け漫画を通じて、子どもが漫画との接点を持つ。そして、大人になっても漫画を読み続けてくれる。だから、コロコロコミックの存在はとても大事なんです、と。

 

『Re:youth』も、そんな「出会い」のきっかけでありたいと思っている。自分がさまざまな大人と出会い、今は個人事業主として仕事ができているように「『Re:youth』や『ジモコロ』から興味を持って、この道に進もうと思えました!」という人が生まれることが目標だ。

将来的には、Re:youthのチラシを学校や地域の公民館に配布したいとも思っている。インターネットでは検索しないと出てこないが、紙のチラシなら届く層がいるかもしれないから。

 

いろんなビジョンがあるが、まずは、若者にリーチしやすいInstagramから。

 

ボクと柿次郎さんが出会えたのはリアルの場だけど、縁を繋いでくれたのはインターネットだ。だからインターネットの可能性も信じている。

 

まずは自分にできることから、段々と。Re:youthを進めていく中で、共鳴や共創をしてくれる方と出会えれば嬉しいです。

 

「これまでの自分」から変わり、少しでも納得感のある「これから」をつくる。
社会を変える、ではなく、社会と共に変われるように。

 

撮影:タケバハルナ

 

『Re:youth』https://www.instagram.com/reyouth_mag/


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1396

Trending Articles