こんにちは、大坪ケムタです。いや、写真は僕ではなく無料素材です。
最近はこんな感じで、ネット記事やブログ、YouTuberからちょっとしたチラシまで、無料の写真素材が使われているサイトが珍しくありません。かくいう我々もZOOM会議の背景に無料素材を使ったりしますよね。
そういった写真を探す時は写真素材サイトを利用しますよね。
というわけで今回は、登録者数600万人以上、利用できる写真はなんと370万枚以上を誇る『写真AC』に話を聞きました!
という風に気軽に使えるフォトストックサービスです。
*無料会員の場合、一日にダウンロードできる写真は9点まで。一部有料ですがプレミアム会員なら使い放題です。
サービス開始から10年という写真AC、ここで利用可能な370万枚の写真素材の中で
・どんな写真が一番人気なの?
・登録されてる最古の写真は?
・人気モデルは居るの?
といった質問を、代表の矢野さんと浅沼さんにお話をうかがいました。
370万点の写真の中で一番最初の画像は?
「まず写真ACを始めたきっかけを教えてください」
「もともとはイラストのフリー素材サイト『イラストAC』が先に始まっていて、2011年に『これからは写真の需要も高まるのではないか』ということで提供を開始しました」
「イラストが先だったんだ。2011年ごろというと、年賀状用のフリー素材集がCD-ROMの形で売ってたりしましたよね」
「そうですね。それをダウンロードで手軽に出来るのは需要があるんじゃないか、と始めたわけですね」
シュライヒフィギュア 虎の親子と正月飾り
※現在でも年賀状素材のニーズは高いため、毎年新しいものが撮影されている。役立ちすぎ!
「開設から10年経った現在では、数百万点という数が登録されていますが……一番最初に登録された最古の画像って何ですか?」
「現存する中で、いちばん古いのはこれですね」
桜1
「桜! 写真の素材としては万能感ありますね。使うとしたらこんな感じですかね?」
「そうそう! こんな感じで使い勝手がいいかなと思って用意したやつですね」
「他にはこういうのとか……」
紙を持つサラリーマン
「これはビジネス用としてわかりやすい……紙の中に『イノベーション』とか『詳しくはこちら→』とか書いて使う感じでしょうか」
「もともと前身となった会社が広告とかデザインの仕事をしていたので、『こんな素材があったら便利だな』というのを手探りで撮影してました」
「今は一般のクリエイターからの画像投稿が中心だと思うんですが、最初からドシドシ投稿があったんですか?」
「クリエイターからの投稿を受け付けはじめたのは2014年からですが、最初は反応が悪くって……。結局自分たちで撮影したり、カメラマンさんにお願いしたりして素材を集めることが多かったです」
「苦労したんですね……」
過去のダウンロードベスト3&この1年のベスト3
「370万点の写真の中で、どれが何回ダウンロードされたかっていう数字は把握されてるんですか?」
「もちろんです! 人気の写真があると、そのジャンルの写真を新たに撮影したりするので」
「写真ACが始まってからの約10年で、いちばんダウンロードされた画像って何でしょうか? ベスト3くらいまで聞きたい!」
「ではお教えしましょう。『写真AC』の累計ダウンロード数ベスト3、第一位は……こちらです!」
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空13
「第一位は、『空』の写真です」
「空! 言われれば応用範囲が広そうなので、一位というのも納得ですね。でも……正直に言うと美しい女性モデルを使ったような、写真として派手なものを期待してました。誌面的に」
「地味ですいません。続けて二位を発表します!」
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空4
「『空』です」
「また空ーーー!!!! 人気すぎ!」
「実際、こういう『なんでもない写真』がダウンロードされやすいんですよ。アート写真と違って、あくまで広告や背景に使う“素材”ですから」
「一位と二位の違いがよくわかりませんね。なぜ差がついたんだろう……。あの~、これ、三位も空ってことはないですよね?」
「三位は空じゃないのでご安心ください! では発表します。三位は……」
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紙素材和紙ペーパーテクスチャーシンプル背景壁紙無地おしゃれ1
「和紙の素材です!」
「地味~~~~!!!!!」
「10年の累計だと、空や和紙といった“用途の広い写真”や“テクスチャー”が有利になっちゃいますね。ず~~~っと使われ続けるので。『この1年の人気写真』だとランキングがガラリと変わりますよ」
「お、ではこの1年での人気画像を見せてください!」
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ビデオ通話をする社会人
「一位は『ビデオ通話をする社会人』でした!」
「おぉ~~~! まさにこういうのを期待してました。『リモート』『オンライン会議』『ZOOM』あたりで検索しての需要が見えますね」
「コロナの影響で、“以前と同じシチュエーションだけど、マスクを付けた状態”のものを撮り直してたりしてます」
「続いて二位は……」
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オシャレなオフィスで仕事する会社員41
「なるほど、これも使い勝手が良さそうですね。『仕事を効率化する5つの方法』みたいな記事で使われてそう。『この一年ランキング』は、『累計ランキング』より、写真が派手でおもしろいですね!」
「ご期待に添えたようで何よりです。ではこの流れで三位を発表しちゃいましょう! 第三位は……」
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夏の新緑 木漏れ日 自然の背景
「『木漏れ日』です」
「また地味~~~~!」
「こればっかりは写真素材サイトの宿命なので」
人気のモデルっているの?
「プロのモデルさんを使った写真も多いですが、『写真AC』の人気モデルとかいるんですか?」
「います! この方なんかはよくダウンロードされてますね。WEB記事とか駅の広告で、誰もが一度は見たことあるんじゃないかなってくらい使用されてます」
「あとはこの方とか……」
「そしてこの方も人気モデルの一人です」
「たしかにどこかで見たことある気がする! 他にもモデルはたくさんいるのに、なぜ人気モデルの写真は多くの人がダウンロードするのでしょうか?」
「これらのモデルさんは美しいのに目立ちすぎないというポイントが大きいと思います。特徴がありすぎると、使用する場所が限定されてしまうので」
「なるほど! あくまでも“素材”だから、目立ちすぎないほうが応用が効くんですね」
「ですね。メイクとか服装に個性がない方がいいです。例えば『ギャル』みたいに個性的なモデルも需要はありますが、総ダウンロード数で言うと、『どこにでも使える特徴のないモデル』が有利です」
「でも、『ギャル』なら、それを欲する人に間違いなくリーチできそうですけど、『どこにでも使える特徴のないモデル』だと競合が多いのでは? 抜きん出るポイントはどこなんでしょう?」
「演技力ですかね。『笑顔』『驚き』『悩んでる』みたいな表情が、自然に出来るのは大事ですね」
「あとは、顔立ちやスタイルがスッキリ整っている、なのに目立つわけではないみたいな、両立する人物写真は、使えるシーンが多いので有利ですね」
「なるほど、『美人』としてエステの広告に使ったり、『一般的な女性』として求人広告に使ったり、どちらにも使えるから有利なのか」
流行やトレンドを考えた素材
「先ほど人気モデルさんのお話を伺いましたが、最初からモデルを使ってたんですか?」
「今はモデルさんが多いですが、初期は自分たちでやっちゃおうということで、社員が出演することがありました。たとえばこれですね」
暴力をふるう男性
「よりによって暴力!でもたしかにDV関連の記事とか使いやすそう」
「あとこれも社員で撮りましたね」
「普通の会社のイメージ写真としては怪しいのばっかり!」
「ちなみにカメラも、社員とかわたしが撮ってました」
「でも、たしかにどれもコラムとかニュース記事のイメージ画像で使われそうですね」
「さっきの『暴力をふるう男性』なんかは実際使われてるところをよく見ますね(笑)」
「あ、うちの写真だ!って発見するとすごく嬉しいです」
「DVなどは一時期毎日のように記事になってましたからね。そういう、時代のキーワードは意識して揃えてたりします?」
「そうですね。たとえば最近だと『サステナビリティ』とか『プラスサイズモデル』、あと『LGBT関連』なんかは、早めに揃えてたりしてますね」
「この一年は『マスク』の写真の需要が増えてそうな予感……」
「仰るとおり、コロナ関連はずっと増えていて、急上昇ワードに『ワクチン』が入ったりしました」
「今だけの流行ではなく、『父の日』『夏休み』『クリスマス』みたいな時事ネタは、その時期にはすごく需要が高まるので、かなり数を用意してます」
「いつも助かってます……! 時流とかを考慮せずに、単純にお二人が好きな『おすすめ写真』ってありますか?」
「個人的なおすすめ……」
「370万点の中から……」
「無理なお願いで申し訳ありませんが、中の人が『どういう写真を好むのか』を知りたいので、お願いします!」
「わかりました! 私はこの3点ですね」
「ほら~! こういう、ふんわりした女性の写真をいいと思うんだなとか、結局かわいいネコの写真が好きなんかい!とか、色々わかるじゃないですか。写真を投稿する時、ちょっとでも参考になるかもしれない」
「なんか恥ずかしいんですけど……」
「私はこの3点ですかね」
「興信所の写真は特徴あり過ぎな気がしますが、他はセンスが良いおしゃれな写真が多いですね。特に三番目の『日常風景』は、いいな~って思ってしまった」
「写真ACでは定期的にコンテストをおこなってまして、『日常風景』は前回の入賞作品ですね。写真ACを“自分の作品の発表の場”として使っていただくのもおすすめですよ」
通行人やキャラクター、ロゴに注意
「『写真AC』には370万点もの写真が登録されていますが……現在も、自社で撮影したものやカメラマンに依頼したもの、そして投稿写真と、毎月写真は増えてるんですよね?」
「だいたい毎月数万点は増えていってますね」
「す、数万点!」
「投稿された写真が登録可能なものかどうかは、ぜんぶ人力でチェックしてます」
「数万点を人力でチェックしてるんだ! 具体的にはどういう点をチェックしてるんですか?」
「わかりやすい例だと、通行人の顔がモロに写ってたり、とかですね」
「よく聞かれるのが、『風景に企業の看板が写ってる』というケース。看板自体が撮影の目的になってなければだいたい大丈夫なんですけど、中にはNGにしているものもあったりします。千葉の有名なテーマパークのキャラクターですとか……」
「はいはいはい!」
「映り方によりますけど、ロゴとかキャラクターは難しいですね。パソコンにリンゴマークがついてるものとかは、弊社では消してたりします。このあたりは会社によって基準が違うのではないでしょうか」
「写真の素材なんだから、高級一眼レフカメラで撮ったものじゃなきゃダメなのかな?と心配なんですが、スマホで撮ったものでも大丈夫ですか?」
「スマホで投稿される方もたくさんいらっしゃいますので、まったく問題ないですね。ただ一眼レフで撮った写真のほうが大きくて印刷物にも使いやすいですから、利用者は多くなりがちです」
「なるほど。投稿する場合、風景よりも、人物の写真のほうが多くポイントをもらえますよね? 友達を撮って送りたいんですが、大丈夫ですか?」
※写真ACでは投稿した写真が1回ダウンロードされる毎に、人物写真なら11円ずつ、その他は3.25円のポイントがたまり、5,000ポイント貯まると換金できる
「知り合いを撮影する方も多くいらっしゃいます。『モデルリリース』という書類があって、『写ってる人に許可を取ってますよ』という確認を書いてもらえば大丈夫です」
「その許可が取れない場合……例えば街中の風景で、通行人の顔が鮮明に写り込んでるとか、そういうのはちょっと厳しいかもですね。後ろ姿とかなら大丈夫なんですが……」
一般投稿者は月20万~30万儲かることも!?
「投稿して収益を得ることが出来るクリエイター制度について、ゲスい話ですけど、ぶっちゃけ幾らぐらい儲かるんでしょう?」
「多い人だと、毎月コンスタントに20万円とか30万円という方もいらっしゃいますね」
「な、何だってーーーー!? よし、空の写真をアップして30万儲けるぞ!……と思って調べてみたら、空の写真だけで50万件以上あるのか」
「同じような写真でも、タイトルやキーワードがイマイチだと検索されず、発見されない可能性もありますので、気をつけてください」
「370万点の中から選ばれるって、よく考えたら大変ですね」
「一方で、どんな変な写真でも何かのきっかけで急に使われることがあるんですよ。たとえば珍しい料理とか、地域の写真とかは、ある日テレビで取り上げられて突然人気になったりして」
「あ~、たとえば急に『タイのマッサマンカレーが人気!』てテレビで取り上げられたり、ぜんぜん有名でない地域が事件なんかで有名になると、そういった写真が使われるわけか」
「そういうことですね。ニッチなものもちゃんと検索しやすいワードを入れておけば、可能性はあると思います」
「おふたりはどういう写真が売れるか、わかってるわけですよね? だったら自分で写真を投稿して、ウッハウハに儲けることも可能では……?」
「そんなに儲けようと思ったら、この仕事の片手間にやる程度じゃ厳しいかもですね。食べ物ひとつ撮るにしろ、小物の置き方とかちょっとしたことに気を使えるかが大事で、技術とセンスが必要です」
「逆に言うと、ちょっとしたことに気をつけるだけで、小遣い稼ぎくらいはできるかもしれません。前にハウツーをブログに書いたので、そちらを参考にしていただければ!」
『写真AC』『イラストAC』などを運営するACワークスのブログ
撮影のコツや気をつけるべきポイントなどが書かれている
「僕も写真を投稿しようと思って、近所で写真を撮ってきました。お二人に見てもらって、写真AC的に需要があるかどうか感想をもらえないでしょうか。まずはこれ!」
大坪ケムタの作品『渋沢栄一の銅像』
「今やってる大河ドラマ『青天を衝け』の主人公で、2024年には1万円紙幣の顔になる渋沢栄一の銅像です。本人が晩年を過ごした東京都北区王子の公園にあるもので、紙幣が変わるタイミングで需要あるんじゃないかと……」
「この写真は……」
「あ、さっき話に出てきた人気モデルさんだ」
「大河の主人公ですから、今まさに旬の素材ですね。いいと思います。今だけでなく、新しい一万円札の顔ですから、長期的に活躍する可能性もありますね」
「やった~!ではもう一枚はこちら!」
大坪ケムタの作品『埼玉県西川口駅の光景』
「埼玉県西川口駅の光景。今 在留外国人が日本一多い市で、本場の中華料理が食べれると最近話題になってます。グルメ的にも社会問題的にも使える写真なんじゃないかと思うんですが…?」
「ほうほう、駅周辺の写真ですか。これは……」
「ニッチですが競合がほとんどいないので、話題になっているなら選ばれる可能性大です。タグを丁寧につければ、一般的な街並みとしてのダウンロードも見込めますね」
「ありがとうございます! あとこのメディアの編集長・ギャラクシーさんからも『写真を投稿して儲けたい!』ということで作品が届いてまして。自らモデルになったそうなので、見てもらっていいでしょうか」
編集長の作品『死んだ執事』
「え、執事が……わざわざ死んでるシーンを撮影されたんですか? これは……」
「せめて生きててほしかった。。。羞恥心を感じさせないという点では、モデルの素質はあるのかも」
「『どうしても死んだ執事の写真が使いたい!』って人が、70億の人類の中に2~3人はいるかもしれない。いいんじゃないでしょうか」
「すごい適当に言ってません?」
まとめ
使う側として便利だった『写真AC』ですが、370万点の写真には、色んな歴史があって、人気の作品があるんですね。
そしてこんな話を聞くと自分で撮って登録したくなってきました。チャレンジするしかねえ!
ちなみに最近では『これからは動画の需要が高まるのではないか』ということで、『動画AC』もリリースしているそうです。4Kの動画素材がたくさん登録されているので、こちらも利用してみましょう!