みなさんこんにちは! 熊本市在住のフォトグラファー・ライターの大塚淑子です。
福岡県の田舎町出身、大学進学を機に住みだした熊本ですが、その魅力にどっぷりハマり、気づけば18年の歳月が経とうとしています。
熊本市の何がそんなに好きかって? 野暮な質問だな〜と思いつつ、スラスラ答えますね。
まず繁華街を眼下にそびえたつ「熊本城」。こんなにも城が身近な都市もそうそうないと思います。
そして食べ物がべらぼうに美味しい。熊本に住みだして全く体重が落ちないのは、きっと食べ物のせいなんです。
そして一番は水。熊本市は74万人という人口の多さながら、水道水源のすべてを天然地下水でまかなっている日本一の地下水都市。美味しい水が存在するから、野菜や果物が瑞々しく育ち、食べ物が美味しく、人が豊かなのだと、大塚は推測しています。
2016年の熊本地震や、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、街や熊本市全体の雰囲気も変わってきたなぁと感じるここ最近。
改めて「熊本市に来たなら行って欲しい!」と思うスポット(が本当は山のようにあるところ)を、泣く泣く10個選んでご紹介します。
目次
熊本の食を探るなら
その土地それぞれの名物をいただきたいところですが、ぶっちゃけなんでも美味しいのが熊本市。なので「この店の、この味を知ってるだけで通!」と思うグルメ4軒をご紹介します。
至高のバインミーがいただける「KOKOバインミー」
自動車学校や住宅が並ぶ通りに、2020年、突如誕生したバインミー専門店です。
そもそも熊本で「バインミーとは?」という人も少なくないほど馴染みがないメニュー1択でこの立地に店を出すこと自体驚きでしたが、さらに驚いたのがその味。
カリカリふわふわのバゲットの中にメインの具材(肉・魚)と野菜がたっぷり詰まっており、ソースとの相性が秀逸で、三位一体というのはこのこと?と、その味わいに感動すら覚えます。
メルボルンのベーカリーで働いた経歴を持つ店主がつくるバゲットは、九州産小麦粉を使用し、バターや卵、牛乳、白砂糖不使用という素材を楽しめるパン。野菜も庭で育て朝摘んだものを使うなど、聞けば聞くほどこだわりが詰まっています。
元々はテイクアウト専門でしたが、今夏よりカフェスペースを設置しイートインも可能に! さらにフォーやベトナム冷麺などのメニューもスタートし、ますます注目のお店です。
KOKOバインミー
〒860-0076 熊本県熊本市中央区壺川1-12-11
https://www.instagram.com/koko_banhmi/
味も“映える”究極のサンドイッチ「TATOMIYA」
2016年9月に誕生したサンドイッチ専門店。当時、雑誌やテレビなどで話題になっていた“萌え断”が熊本に広まるきっかけとなった店です(大塚調べ)。
どうですか、この“萌え断”!
野菜がこれでもかと挟まれたサンドイッチは食べ応え抜群。ひと思いにかぶりつけば、野菜のシャキシャキ感と肉のジューシーさ、ソースの相性のよさに驚きます。
一見断面を綺麗に見せるためのデザインかと思いきや、一口目、二口目と味わいが常に新鮮で飽きが来ないように工夫し構築されているとわかり、ますます美味しく感じます。
さらに店主の宮川さんは青果業に携わり、競りの資格を持っています(!)。二日に一度、市場で野菜を直接仕入れ、味や食感を確かめて自信のあるものだけを選んでいるのだそう。
そんなサンドイッチ店、他にありますか!?
このサンドイッチは熊本の誇りだな〜と、食べる毎にニヤニヤしてしまうのです。
そしてサンドイッチなので、もちろんテイクアウトもOK。
自分に買っても、誰かのために買っても、気分が高揚してくる大切な存在です。
Sandwich&Cafe TATOMIYA(タトミヤ)
〒860-0863 熊本県熊本市中央区坪井2-1-45
https://tatomiya.net
ミシュランにも選ばれた素晴らしき味の世界「花小町」
熊本市の北にある植木町に店を構えて16年目。ミシュランガイド熊本・大分2018特別版で、ミシュランの基準を満たした料理を提供する店として“ミシュランプレート”にも選ばれるほど、県内外のファンが多い実力派レストランです。
オーナーシェフの本田さんが作る料理は、ミシュランに選ばれた味と実力はもちろんだけど、一番は本田さんの食材に対する思いや姿勢にその魅力が表れていると思うんです。
県内各地の生産者を訪ね歩き、ときには収穫を一緒に手伝ったりもする。
料理をつくる上でその土地・空気・生産者への感謝や思いをまるっと料理に乗っけてくれる本田さんの料理は、一つの映画のようにも思えます。
花小町
〒861-0136 熊本県熊本市北区植木町岩野266-22
白? 黒? 論争は永遠に「蜂楽饅頭」
熊本市中心部の「上通アーケード」にあるこちらのお店。生地の焼けるあま〜い匂いにつられて行った人も多いであろう、熊本を代表するローカルフード「蜂楽饅頭」さんです。「蜂楽」と書いて「ほうらく」と読みます。
一つ100円という安心感と、口に入れた時の生地のふわふわもっちり感&餡のしっかりとした甘さから、街歩きのおやつに、ちょっとした差し入れにと、皆が重宝するスポットなのです。
黒餡と白餡の2種類あり、いまだに「黒派・白派論争」に決着がついてません。ちなみにわたしは断然、黒派!
今はコロナ禍で店内での飲食はできませんが、夏の名物「コバルト」も食べてほしいメニューのひとつ。
キンキンに冷えたのコバルト色のかき氷。これを食べなければ夏が始まらない!
蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)
〒860-0845 熊本県熊本市中央区上通町5-4
とにかくカレーを食べて欲しい
お次は、筆者がひたすらにカレーを愛しているので、愛するカレー店を紹介させていただきます。
カレー夫婦が愛するカレーと貫くカレー「YODARE」
熊本のスパイスカレー好きならば、一度は訪れた事があるであろうカレー店『YODARE』。全国的なスパイスカレーブームが起こっていた2016年、YODAREもオープンしました。
当時、さまざまな種類のカレーを“あいがけ”するスタイルが熊本では珍しく、ひと皿に凝縮したその美味しさもあり、あれよあれよという間に行列が絶えない人気店に。
現在お店は5年目を迎え、カレーも様変わり。シンプルな素材の味を楽しめるカレーに変化。丸鶏のうま味が濃縮されたルゥ、さくさくと食べ進められるバスマティライスの相性の良さは言わずもがな。
カレーを愛し、カレーに愛される坂本夫婦。わたしも愛してます!
カレーと創作スパイス料理 YODARE
〒862-0965 熊本市南区田井島2丁目3-1 タイホウビル1階
https://www.instagram.com/yodarecurry/
歩いて行ける“インド”「インド食堂」
無性に美味しいカレーが食べたいとき、家から歩いてたどり着く“インド”のことを思い出します。そこは「インド食堂」。
カレーはベジタリアンとノンベジタリアンの2種類を提供していて、内容は日替わり。
スパイシーでいて、どこか繊細。大胆な味わいの中に緻密に計算された味の階段。
う〜〜ん、美味! と、カウンターで歓喜(したいところだが、ひとりだとそうもいかず、静かに頷いている)。
オーナーの松本さん夫妻と、地元の話や、ここ行ってあれ食べたよ的な報告、最近の街なかの様子など、四方山話をすることも、いつの間にか自然になっていました。
食後は必ずホットチャイ。整う〜〜!
インド食堂
〒862-0971 熊本県熊本市中央区大江5丁目11-12
他に必見なスポット、ありますよ
食べることがとにかく好きだけど、カルチャー系のお店もおさえさせていただきます。
酒弱人間の私が通うワインショップ「Quruto」
蜂楽饅頭さんのある上通アーケードを抜けた、「並木坂」というエリアにあるワインショップ「Quruto」。
ワイン通であれば「熊本=古賀さん」というほど、業界では有名人である古賀さんの営む店です。
以前は東京の幡ヶ谷で「Kinasse」というワインバーを営んでおり、当時より地元である熊本で「満月ワインバー」を開き、ナチュールワインの存在を広めていました。
オープン後、近隣にナチュールワインを提供するお店が続々とオープンし、店がある並木坂界隈の“色”を変えたのではないかと思っています。
私は、お酒よわよわ人間なので、ワインを飲むと一気に酔いが回ってしまいます。ですが、古賀さんから勧められるナチュールはとても美味しく飲めるのです。
店内の中からこれだ! というものを見た目でジャケ買いすることもあるし、古賀さんに飲みたいものを言語化して好き勝手に伝えて出してもらうことも。
わがままを言いつつも、「ありますよ〜」「お目が高い!」と、生産者のことや使われている素材のことを丁寧に楽しく説明してくれるので、飲む時にその言葉を反芻しながら楽しむと、不思議とスイスイと飲めるもので。
ちなみに『Kinasse(キナッセ)』も『Quruto(クルト)』も熊本弁。来てみて〜! 来ると〜?
Quruto(クルト)
〒860-0845 熊本県熊本市中央区上通町11-3 浅井ビル1F
迷ったらここに行けばいい的ライフスタイルショップ「YARD」
熊本のお洒落住宅メーカー「COM-HAUS」が運営するカフェ&インテリアのライフスタイルショップ「YARD(ヤード)」。コンセプトは「365日の衣食住遊」。
住宅にショールームや雑貨、服、インテリア、グリーンなど、販売も充実しています。カフェは広々としていて、隣接する大きな湖(江津湖)を眺めながら、穏やかな気持ちでカフェタイムを過ごす事ができる。
って、考えただけで最高な店でしょう?
とにかくなんでもある! と思っているので、急なお祝い事にはもちろん、たまにやってくる「何かはわからないけれど、何か買いたい」という謎の物欲の波に襲われたときに、失敗なく買い物ができるお店です(私的にね)。
カフェも美味しいし、催されるイベントや展示会も多くどれも魅力的なものばかり。迷ったら、YARDです、みなさん!
YARD
〒862-0955 熊本県熊本市東区神水本町27-21
https://www.com-project.jp/com/
県外の人を連れて行きたくなる書店があるという誇り「長崎次郎書店」
熊本市民であれば当たり前である「市電のある光景」。交通量の多い一般道路の中央を、レトロな電車がゴトゴトと音を鳴らし走る様子は、市電がない土地の人にとっては興奮ものらしい。
そんな市電の線路沿いに佇む明治7年創業の老舗書店「長崎次郎書店」。大正13年に出来た国登録有形文化財の建物でもあることから、建築ファンにも愛されている書店です。
店の雰囲気も素晴らしいのですが、選書にもこだわりが詰まっています。5万冊を超える蔵書の中には、文芸誌のほかに雑誌や教養本。さらに、近くに大きな病院等があり子育て世代が多い地域ということで、キッズコーナーが充実しているのも特徴かもしれません。
近くにお世話になってる方の事務所があるので、打ち合わせ後に、ランチ後に、この書店に立ち寄って好きな本を手に取る時間がたまらなく好きなのです。
2階には「長﨑次郎喫茶室」という、コーヒーやクリームソーダ、ナポリタンなどの喫茶メニューが揃う喫茶店もあります。
市電の走る音を聞きながら、購入した本をめくる時間……と想像しただけで天国でしょ? ぜひ、熊本散策の合間に訪れてほしいです。
長崎次郎書店
〒860-0004 熊本県熊本市中央区新町4-1-19
https://www.instagram.com/nagasaki_jiro/
ライターさんが営む編集された雑貨店「vertigo」
この店を「雑貨店」という括りにしていいのか、いまだにわかりませんが、私的にかなり気鋭な雑貨店。元々雑誌の編集の仕事をされていた中村さんが営むお店です。
毎月何かしらの展示会が催され、店主・中村さんの目で耳で口で手で、それらをじっくりと観察し、いいと思うものだけを自分なりの世界観で店を<編集>している。
それだけで簡単な言葉で言えば「最高」なのに、毎度その世界観を落とし込んだDMを作り、instagram上での商品紹介はもはや小説の一節を読んでいるかのような気持ちになります。「ああ、私は中村さんのファンなんだな」と、これを書きながらつくづく思いました。
好きな展示のたびに、財布と睨めっこしながら唸る小さな女(私)、ここにあり。
vertigo(ヴァーティゴ)
〒860-0842 熊本県熊本市中央区南千反畑町1-5 満月ビル3F
https://www.instagram.com/vertigo.shin/
さて、ここまで熊本市の私のとっておきをご紹介してきましたが、熊本市は街としてもすごく面白いんです。次のページでは、不動産という視点で熊本市を見てきた人物と、熊本市や中心市街地のあれこれを語ってきました。