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Channel: イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」
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「いい記事広告」ってなんだろう? ジモコロ×greenz.jpメディア対談

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「いい記事広告」ってなんだろう? ジモコロ×greenz.jpメディア対談

「この記事は、記事広告です」

……と書いてあったら、「なーんだ、広告か」とげんなりして、ページを閉じそうになる方もいるのでは?

 

そうなのです。僕らは「記事広告」に、ちょっとネガティブなイメージを持っていたりします。

 

 

その気持ちは、信頼していた友達に保険の営業をされたときや、マッチングアプリで「いいかも」と思って会った人に怪しいビジネスに勧誘されたときの、「お前もか!!」って言いたくなるような気持ちに近いかも。

 

あ、申し遅れました、編集者の山中康司です。皆さんが今読んでいる『ジモコロ』や、ローカル・ソーシャル・サステナビリティに特化したWEBマガジン『greenz.jp』などに関わっています。

 

このふたつのメディアに関わるなかで感じるのは、「記事広告っぽくない記事広告をつくってるな〜」ということ。記事広告とわかっていながら、最後まで読んじゃう記事が多いんですよね。

この「記事広告っぽくなさ」は、どこからきてるんだろう? 

 

そんな疑問を持った筆者は、ジモコロの編集長・柿次郎さんと、greenz.jpを運営するNPO法人グリーンズ共同代表の植原正太郎さんの対談をセッティング。ローカルメディアと記事広告の「いい関係」について、聞いてみることにしました。

 

※ちなみにこの記事は記事広告ではありません。 

greenz.jpにとっての記事広告は、社会を一緒につくるためのもの

「さて、ジモコロ読者のなかにはgreenz.jpのことを知らない方もいると思うので、簡単に自己紹介からお願いします!」

「はい。WEBマガジン『greenz.jp』は、日本全国、世界各地の『いかしあうつながり』の事例を取材し、発信している非営利メディアです」

 

「greenz.jp」(https://greenz.jp/)より

 

「『いかしあうつながり』というのは?」

「わかりやすくいえば、『人・社会・自然のいい関係のこと』です。聞き慣れた言葉でいえば『ローカル・ソーシャル・サステナビリティ』といった領域のことですね! メディアは2006年にスタートしました」

「じゃあかれこれ15年も続いてるんですね! ジモコロの先輩…!」

「僕が参画したのは2014年10月からですけどね。ちなみに2021年4月1日から、僕はNPO法人グリーンズの共同代表になりました。これまでは主にビジネス領域を担当してたんですけど、これからは共同代表として、経営や組織づくりを通じてグリーンズの価値を最大限、社会に発揮できるように頑張ります

「なるほど。『greenz.jpは非営利メディア』って言ってましたけど、記事広告をつくってますよね。ずっと気になってたんですが、非営利性と記事広告って、どう折り合いをつけてるんですか?

 

「これはグリーンズのメンバー内に伝わる逸話なんですけど、2010年くらいに『アドネットワーク』をサイト内に埋め込んでみたんです」

「『アドネットワーク』って、WEBサイトやSNS、メディアなど、ネットワークに加盟しているメディアに一括して広告を配信できるサービスですね」

「そうそう。導入するだけで収入にはなるので、入れてみたんです。そしたら、読者からメールで叱られたんですよ。『greenz.jpが〇〇〇〇のバナー広告なんて出してんじゃねーよ!!』って。ここでは名前伏せますけど」

「世界的に有名な飲料ですね」

「これって、愛のあるクレームなんですよ」

「愛???」

「greenz.jpは『持続可能な社会を、読者のみなさんとつくっていきたいんです!』と言ってるのに、メディアに『〇〇〇〇』のバナー広告を載せるってことは、読者を消費者扱いしているし、健康に害を及ぼす可能性のある飲料をオススメしているというメッセージになるわけです」

「ああ〜、資本主義の象徴みたいな商品の広告を載せちゃうと……」

『読者を消費者扱いするのって、greenz.jpがやりたかったことなんだっけ?』と気づかせてもらったんですよね。だから、即刻アドネットワークを取り下げました

「ええ話〜! お金もらえばどんなことでもやるかっていったら、そんなことないんですね。記事広告についても同じですか?

はい、そうですね。『greenz.jpの読者はうちの商品に興味持つと思うんで、紹介してください』みたいな依頼は、キッパリお断りしています。greenz.jpにとっての広告って、企業や自治体や読者の方々と一緒に、ほしい未来をつくっていくためのもの。それに共感してくれた企業や自治体とだけ一緒にお仕事をしてるんです」

「記事広告でいうと、最近はどんな事例がありましたっけ?」

 

「たとえば『株式会社やまとわ』さんと一緒に、林業に関わる人を増やすために『材木やバイオマスだけなんて、もったいない! 森のシゴトをアップデートする「INA VALLEY FOREST COLLEGE」』という記事をつくったり」

 

「あとは、連載もやってます。千葉県いすみ市と一緒に、地域で起業する人を増やすために『いすみローカル起業プロジェクト』という連載プロジェクトをやって」

「単発記事と、連載もあるんですね」

 

実はジモコロ、記事広告やってます!

「『株式会社やまとわ』さんについては、ジモコロでも記事広告をつくったんですよね?」

「そうそう。正太郎くんから『こんな相談が来てるんですけど、ジモコロでもなにかできませんか』って紹介してもらいまして、Huuuuで記事を制作しました」

※ジモコロはアイデムの元で、Huuuuとバーグハンバーグバーグの2社が記事を制作しています

僕、正直それまでジモコロが記事広告やってるって知らなかったんですよ(笑)。そもそもジモコロってオウンドメディアじゃないですか。メディア自体に広告的な役割があるオウンドメディアで、他の会社や事業の記事広告はあまり掲載できないのかな?と思ってたんですけど」

「そういうイメージもあって、記事広告やってるってあんまり知られてない気がします。全体でいえば、6年間で20本以上はつくってると思いますよ」

「意外とある! 」

「Huuuuで制作した記事広告でいうと、さっきのやまとわさんの記事と……」

 

「山は意外と安く買える」という話を聞きつけた都会育ちのライター、乾くんが、長野県・伊那市の鳩吹山で地元の家具職人や製材所、編集者の方たちに、山にまつわるお金の話や山の役割などについて聞いた記事

 

「やまとわさんの記事は僕も読んだんですが、『山、買ったら楽しそう〜』とか安易に思ってた自分を恥じました……。実際にライターや編集者が現場に入り込んで、見たこと・感じたことを記事にしてるから、説得力があるんですよね」

「現場に行くのはめちゃ大事にしてますね。最近ではNHK北海道さんとつくった2本の記事があります」

 

NHK北海道で2020年1月にスタートした旅番組「ローカルフレンズ出会い旅」。局内でも異例ずくめの企画へ立ち上げ時から関わるキャスターとディレクターの方に、番組の裏側を取材した記事 https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kikuchiyuriko02

 

地元視点の観光情報が少ない「稚内・宗谷エリア」を、地元のカメラマン・原田啓介さんの案内で柿次郎が取材した記事 https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kakijiro47

 

「ちなみに稚内の記事は、直前にいた石垣島から約2,800km移動して現地入りしました。日本の南の端から北の端へ……」

「まためちゃくちゃな移動を!(笑)」

「たまたまそんな出張の流れになったんですが、記事の演出に取り入れちゃいました。でも、このとき取材してるNHK北海道の『ローカルフレンズ』って企画も、ディレクターさんが現地に1ヶ月滞在なんてめちゃくちゃ泥臭いことをやっていて」

「へえー! 一気に2800km移動しちゃうのと、なんだか通じるところがありますね」

「greenz.jpの場合、『記事広告は一緒に社会をつくるためのもの』って話でしたけど、ジモコロはどうですか?」

「うーん、なんだろう……。Huuuuとしては『みんなでおもしろがるためのもの』ですかね」

「みんなでおもしろがる?」

 

『ローカルにこんなおもろいことがあるのに、なんでみんなに知られてないの?!』って気持ちが、僕にとってジモコロ取材の原動力なんですよ。どんな小さなまちにも、おもしろい人や、ヤバい文化や歴史はあるじゃないですか。だけど、地元の人でもなかなか気づいていなかったりする。そこを取材してるんです」

「好奇心をもって、いろんな地域に入って取材をしていると。日本最北端の稚内・宗谷も、まさに『知られてないこと』がいっぱいある土地ですよね」

「そうそう。僕たちがおもしろがって記事にすると、読者もおもしろがって読んでくれる。そうやって、僕たちは記事広告でも普通の記事でも好奇心の連鎖を起こしたいんですよね」

 

地域を一緒に「つくる/おもしろがる」ための記事広告

「なんだか二人の話を聞きながら、『記事広告』ってものがよくわかんなくなってきました」

「『記事広告』のゲシュタルト崩壊……」

「崩壊してきてます(笑)。『記事広告』って言葉には、どこか『読者に消費をうながす』って意味合いがある気がするんですよ。でも、ジモコロとかgreenz.jpが考える『いい記事広告』って、なんかちょっと違う気がして」

「『いい記事広告』か〜。それでいうと、僕、この取材にあたってあらためて『広告(Advertisement)』の本来の意味を調べたんですよ」

「おお!そしたら……?」

『Advertisement』って、もともと『その方向へ向きを変えること』って意味があったらしいんです!」

「その方向へ向きを変える……」

「greenz.jpとかジモコロがやってるのって、クライアントとなる会社や自治体が向かっていきたい方向に僕らも共感して、読者も『一緒にこっちに向かおうよ!』って呼びかけて、向きを変えていくことじゃないですか?」

「うんうん」

 

ジモコロ・やまとわさんの記事より

 

「たとえば、やまとわさんとつくった記事は『林業と関わりながら生きる』という方向に、みんなで向きを変えるためのものですし。とくにローカルの文脈で言えば、『都会から地方へ人の向きを変える』ような記事広告って、今の時代に必要なことだと思うんですよね」

「あー、なるほど! たしかに! greenz.jpもジモコロも、記事広告を通して『都会から地方へ人の向きを変える』ことをやっているのかも」

「そして向きを変えるスイッチが、greenz.jpだと『ほしい未来をつくる』ことだし、ジモコロだと『地域をおもしろがる』ことなのかもしれないですね」

「なんとなくやってきたことが、めちゃ言語化された気がします」

 

「あとgreenz.jpでは、出稿する会社や自治体のことを『クライアント』って呼ばないのがユニークですよね」

「ほう! なんて呼んでるんですか?」

「『パートナー』ですね。『クライアント』と言うと、発注者/受注者みたいな関係になるじゃないですか。でも、僕らにとって会社や自治体は一緒に未来をつくっていく存在。だから『パートナー』なんですよ」

「あー、なるほど」

「そして、読者も一緒に未来をつくっていく存在。パートナーも読者もgreenz.jpも、みんな同じ方向を向いてるんですね。その、同じ方向を向いてもらうきっかけが、greenz.jpが考える『いい記事広告』なのかもしれない」

「そういう意味では、僕が思うジモコロにとっての『いい記事広告』も近いかも。『みんなで地域をおもしろがる』って方向に、自治体も読者も僕らも一緒に向かっていくための記事が『いい記事広告』なのかもしれないなあ」

「そうなった時に、『いい記事広告』の価値って、PVとUUみたいな数値で測れないですよね」

「ほんと、測れない! すごく印象に残ってるエピソードの話をしていいですか」

「聞きたいです」

「僕が和歌山でのイベントに呼ばれたときに、20代前半の女性が声をかけてくれて。彼女は当時ブラック企業に勤めていて、毎日泣いてるような日々だったらしいんです。で、そうした毎日のなかでも『お昼休みにトイレでgreenz.jpの記事を読むのが、心の支えになってます』と言ってくれて」

「へー!! それはいい話!!」

「『私がこんな会社にいるなかでも、世の中には前向きに社会をつくろうとしている人がどこかにいるんだと知ることができて、それを希望に頑張れてます!』って。彼女が記事を読んでもUUは『1』だけど、数では測れない価値があるんだなぁって気づかせてもらいましたね」

「メディアに関わる人間として、めちゃくちゃ刺さるなあ…」

「ちなみに、その彼女は数年後に有名なリノベーションまちづくり会社に転職できました。めでたしめでたし

 

ともに希望をつくる存在としてのwebメディア

「その話を聞いて、イソップ寓話にある3人のレンガ職人の話を思い出しました」

「レンガ職人の話?」

「こんな話なんです」

 

“ある旅人が道中で、レンガを積んでいる3人のレンガ職人に出会いました。
旅人が「ここで何をしているのですか?」と尋ねると、3人それぞれのこたえが返ってきました。

1人目は「レンガを積んでいるのさ。辛くて不公平な仕事だ」と。
2人目は「大きな壁を作っているのさ。家族を養うために仕事があることがありがたいよ」と。
3人目は「歴史に残る偉大な教会をつくってるのさ。教会を訪れる人が幸せになったらいいな」と答えました。”

 

「この話、仕事のモチベーションについて語るときによく引用されるんですけど、メディア運営でも言える気がするんです。ただ単に、作業として記事をつくるメディアもある。そして、お金を稼ぐために記事をつくるメディアもある。でも、3人目のレンガ職人のようなメディアもあると思うんですよね」

「『関わる人たちの幸せのことを考えて記事をつくる』メディア?」

「そうそう。そしてgreenz.jpやジモコロはそんなメディアなんじゃないかなと」

「おもしろい例えですね!」

 

「たしかに、greenz.jpって教会っぽいかも。僕らがメディアをやってるのって、作業としてやってるわけでも、お金を稼ぐためでもない。みんなが希望を持てる社会を実現するためにやってるんですよね」

「和歌山の女性も、ある意味greenz.jpを『祈り』の対象にしてますもんね。それも教会っぽいな〜! ジモコロはどっちかっていうと……太陽の塔かも?

「太陽の塔???」

「太陽の塔って、『なんかよくわからないけどめっちゃおもろい』じゃないですか(笑)。Huuuuのつくるジモコロの記事は、同じ感覚を積み重ねてる感じなんですよね」

「わかるようなわからないような……」

「もうちょっとちゃんと説明すると、ジモコロの背景には民俗学とか、文化人類学的な好奇心があるんです。そうした学問って、研究者が『好奇心』を持って、世界中の『なんかよくわからないけどめっちゃおもろい』に光をあてて、紹介している気がして。僕の勝手な解釈ですけど」

「好奇心。今日何度も出てくるキーワードですね」

「取材する側の好奇心が、記事を通じて読者にも移ってどんどん循環していく。ジモコロもそんなイメージなのかも?」

「そうそう、僕はみんなの好奇心を枯らさないために、『好奇心』が積み上がったモニュメントのような存在をつくりたくて、ジモコロをやってるんです。それって太陽の塔みたいじゃないですか? 伝わってます、これ(笑)?」

「太陽の塔は、岡本太郎の好奇心がこれでもか!と込められてる感じがします。その柿次郎さん版なんだなと解釈しました(笑)」

 

メディアが関わることで、地域に価値が蓄積されていく

「商品の記事広告だと『売るため』って目的がわかりやすいんですが、地域の行政が記事広告を出す意味ってどんなところにあるんですか?」

「やっぱりね、メディアの関係者がその地域に通っておもしろがることによって、ますます地域がおもしろくなっていくんですよ。たとえば雑誌『ケトル』の編集長・嶋浩一郎さんが富山や金沢にハマって、何度もかよいながら、富山・金沢の特集をやったんです」

ケトル VOL.26 ケトル VOL.26

 

「そうすると、読者のあいだで『なんかあのエリアがおもしろいらしいぞ!』って空気が生まれて、実際に地域が盛り上がる。そういう『記事を見て、メディアの関係者が通って、地域がおもしろくなる』って動きを、WEBメディアでも起こせたらいいですよね」

「リアルでのムーブメント。いいですね」

「あと『おもしろい!』と思った地域にはいろんな人たちを誘って遊びに行ってます。地域でうまいものを食べて、歴史に触れて、人の話を聞いて。そうすると、行った人も刺激を受けるし、地域側はいわゆる関係人口ができるんです」

 

「greenz.jpでも、地域に取材に行って記事にするだけじゃなく、その場所でツアーをやったりイベントをやったりすることはありますね」

「おもしろい地域を取材して、関係者がかようことによって地域でおもしろい動きが生まれ、そのおもしろさをまた取材して……。メディアとローカルの健全な共犯関係だ…!」

「だから、記事広告一本を出しておしまい!じゃなくて、僕らメディアが介在することによって地域に価値が蓄積されていく。だから、地域の魅力を未来に残すコンテンツとして、記事広告の可能性はめちゃくちゃあると思いますよ」

「きっと、地域のなかの人たちだけでは地域のおもしろさって気づけない場合も多いですもんね。greenz.jpは、ソーシャルデザインやサステナビリティっていう視点で、ジモコロは民俗学や文化人類学的な視点で、地域の魅力を発掘してる気がします」

「だから、まだあまり接点がない地域の仕事もしたいですね〜。そういう地域にこそおもしろさが眠ってるはずだから」

「そうですね。greenz.jpやジモコロっていろんな地域を取材してきてますけど、それでもまだ接点がない地域のほうが多いですよね」

「一般的な記事広告って1万PV=100万円〜みたいな世界だけど、Huuuuでつくる記事はそんな金額じゃないですし。だから地域のみなさんに武器にして欲しいですね」

「お互い、いい記事広告を通じて、地域をおもしろくしていきましょう!」

 

☆それぞれのメディアに記事広告を相談したい方は、こちらへどうぞ!

greenz.jp→https://greenz.jp/offer/

ジモコロ(Huuuu)→https://huuuu.jp/contact/


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