こんにちは、ライターのナカノです。
長野県の長野市に住んで、早4年。その間に結婚・出産を経験し、子育ての日々を送っています。初詣で年一度訪れる場所だった国宝「善光寺」は、近所のお散歩コースに。
街に緑も多いし、人も優しい。おだやかに過ごせて、とってもいい街なんです。長野市って。
さて、長野県の県庁所在地でもある長野市は、年間約600万人が訪れる観光都市。
北陸新幹線の長野駅があるためアクセスも抜群で、東京駅からは90分ほどで着いちゃいます。「こんなに近いなんて知らなかったよ!」と首都圏から再訪してくれる方も少なくありません。
ところで皆さんは長野市の観光、どこに行ってます?
え、善光寺しか知らないよって??
「長野市を訪れる皆さん、善光寺に行くだけで満足してちゃもったいないです!」
こちらは2018年に長野市へ移住した、ジモコロ編集長の柿次郎さん。
「柿次郎さんは知り合いが長野市へ遊びに来るたびに、あちこち案内してますよね」
「もはやパッケージツアーにできるくらい、情報が溜まってる。引き出しがパンパン」
「善光寺前の中央通りだけじゃなく、路地を入ったところにもいいお店がたくさんあるんですよね。おやきと蕎麦以外に、おいしいものもたくさんありますし」
「そうそう。そういう地元視点の観光情報が、意外とネットにまとまってないんよね。俺たちで長野市のいいところ、紹介してこう!」
「私たちが普段から行くお店のなかから、厳選10スポットを紹介します!」
今回は、善光寺を軸に半径1キロほどの「門前」と呼ばれるエリアに絞ってご紹介していきます。
善光寺門前エリアは、2010年から古民家のリノベーションが盛んになった地域。
リノベーション物件80店舗(!)が掲載された冊子「古き良き未来地図」も発行され、街歩きにぴったりのエリアなんです。そしてなにより人と人とのつながりが濃く、情報が集まるおもしろい場所でもあります。
2ページ目では、門前エリアのお店の広がりについて、地元のゲストハウス「1166バックパッカーズ」の店主に聞いたインタビュー記事も掲載。より深く街について知りたい方は、合わせて読めば門前エリアへの理解が深まるはずです。
なかなか遠方への旅行が難しい時期ですが、いつか長野市へ遊びに来た際のガイドとして。近隣の方は、ぜひこの記事を見ながら遊びに来てください。
それではさっそく、いってみましょう!
目次
※取材は新型コロナウイルス感染症対策に配慮したうえで行い、撮影の際だけマスクを外しています。
蕎麦とおやきだけじゃない! 善光寺門前の「食」
旅の醍醐味といえば、まずはなんといっても「食」ですよね。
店主の個性の強さや素材へのこだわり、はたまた偶然出会ったお客さんとの交流まで……ここ善光寺の門前エリアでしか楽しめない4軒を紹介します。
何度も飲みたくなるスペシャリティコーヒー「FORET COFFEE」
まず立ち寄ってほしいのが、善光寺中央通りに面したカフェ「FORET COFFEE(フォレットコーヒー)」。店主の松澤さんが毎朝焙煎するスペシャリティコーヒーがとてもおいしいのです。
コーヒーに合わせたいのが、スタッフのさっちゃんがつくる焼き菓子。私の推しは、バナナブレッドのバニラアイス添えです。濃厚なバナナの甘さにバターの塩味、さらにバニラのこっくりとした甘みが追いかけてきて、口の中がずっと幸せ!
店内にはイラストレーター・マツモトセイジさんの作品がずらり。アーティストの方の展示やイベントもよく実施されていますよ。
これから暑くなる時期におすすめしたいのが「エスプレッソシェイク」です。カカオニブのプチプチ感がたまらない一杯!
私はまだ、これを超えるシェイクに出会えていないんですよね。唯一無二の存在です。
「フォレットのコーヒーは本当においしい! 県外から長野市にゲストが来たら、必ず連れていく場所のひとつだなあ」
年内には、松澤さんの地元・信濃町に喫茶スペースを備えた焙煎所もオープン予定。完成が楽しみ!
FORET COFFEE
〒380-0832 長野市東後町21 グランドハイツ表参道弐番館103
https://instagram.com/foretcoffee
こだわりのパスタに体も喜ぶ!「パスタと自然派ワインこまつや」
善光寺の西側には、人気店「パスタと自然派ワイン こまつや」があります。
昼は信州産野菜をたっぷり使ったパスタ、夜はナチュラルワインも提供するイタリア料理店。元々は荒物雑貨店だった建物を改装し、2009年にオープンしました。
平日でも12:00には満席になるほどの人気店なので、11:30の開店と同時に入店するか、予約して来店することをおすすめします。
ランチメニューは、お肉もしくはお魚の日替わりパスタと月替りのパスタの3種から。季節のスープもしくは前菜とフォカッチャも付きます。
写真は4月のランチパスタ「合鴨のペペロンチーノ」。口に運ぶたびに「おいしい!」の声が漏れちゃうんですよ……。
手づくりのフォカッチャはなんと食べ放題。スープに付けたりパスタソースを絡めたりと、いくつでも食べたくなっちゃいます。
「店主の廣政さんは、門前エリアにおけるリノベーション物件の先駆者のひとり。日々の店舗運営だけでなく、善光寺の境内で定期的に開催される手づくり市『びんずる市』のサポートに携わるなど、本当にパワフルな方です!」
パスタと自然派ワイン こまつや
〒380-0857 長野県長野市西之門町500-8
https://instagram.com/komatsuya_nagano
なみなみビールがうまい!「カフェバーバラ」
紹介されても、なかなかたどり着けない店。それが門前の裏路地にひっそりとたたずむ「カフェバーバラ」です。
たどり着けない理由は、お店の看板がないから。だけど一度訪れたら、店主の崇(たかし)さんのユニークな人柄と料理のおいしさに惹かれて、何度も足を運んでしまうはず。
暖かい気候になると恋しくなるのが、フチぎりっぎりまで注がれたハイネケンの生ビール。バーバラ名物です。
見たことあります? この泡とビールの比率。水のようにさらりとしたのどごしがたまらないんです。昼間からこの生ビールをごくごく飲めば、旅の満足度が一気にあがりますよ。
「バーバラ名物の生ビールはぜひ飲んでほしいです。あの味は、日々のビールサーバー洗浄が完璧だからこそなせる技!」
定食のメニューは日替わりで2種類。オススメは唐揚げです! お手本のような唐揚げとレモンの美しさもさることながら、にんにく&しょうがのがつんときいた味は、まさにごはん泥棒。
季節の野菜を使った前菜の盛り合わせ(写真右)にも、崇さんのこだわりをビンビン感じます。
カフェバーバラ
〒380-0831 長野県長野市東町142
https://instagram.com/cafe_barbara
ひとりでも大勢でも、気軽に自然派ワインを「Bird.」
ナチュラルワインのお店「Bird.」も忘れちゃいけません。善光寺にほど近い「権堂アーケード商店街」から細い路地を抜けると現れる、白い外壁と小鳥のサインが目印です。
店主の麻子さんがセレクトしたナチュラルワインは、ワインに苦手意識を持っている人にこそ飲んでもらいたいものばかり。赤ワインってこんなにおいしかったんですね。
グラスワインは800円〜。大人数で飲むならボトルを入れるのもオススメ。ボトルは3,800円〜。
麻子さんの明るい接客も「Bird.」の魅力のひとつ。パワフルな麻子さんに会いに、足を運びたくなっちゃうんです。
店内はカウンター6席とテーブル席3つと決して大きくない空間だからこそ、カウンター内との距離が近く、会話もガンガンはずみます。ときにはお客さん同士の交流が生まれることだってあります。
がっつり食べたい人はパスタや肉料理もオススメです。何を食べても間違いなくおいしいので、たくさん頼んでシェアするべし!
また、15:00からオープンしているのも最高なポイント。明るいうちから、おいしいナチュラルワインを飲む贅沢な休日をぜひお過ごしください。
「夕方から飲むのはもちろん、二軒目、三軒目にしっぽり飲みに来るのもよし!」
「門前エリアはもちろん、長野市内にはワインにこだわったお店が多いですよね」
「自分もそうだったんだけど、ワインってハードル高く感じちゃう人も多いですよね。だけど安心してください。『Bird.』で今の気分を伝えれば、ピッタリのワインを優しく教えてくれますので」
Bird.
〒380-0833 長野県長野市権堂町2238
https://instagram.com/natural.bird
お土産を買うなら迷わず立ち寄ってほしいスポット
お次は「お土産スポット」をご紹介。地元の人にも愛される3店舗です!
七味だけじゃない! スパイスの展開が豊富な「八幡屋礒五郎」
善光寺から徒歩2分、立派な店構えの「八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)」。赤い七味唐辛子の缶は、誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか!
これはお店の外にある巨大な七味缶(ブリキの椅子)です
1736年創業の老舗ながら、新しいことにもチャレンジし続ける、長野を代表する地元企業でもあります。
とにかく商品開発力がすさまじく、豆からつくるビーン・トゥ・バーチョコレートやジェラートなど、長年培ったスパイスのノウハウも活かしながら、新しい商品をどんどん展開しているんです。
こちらは食べ歩きのおともにぴったりのジェラート(写真左)。今回は、万願寺とうがらしと麻種味を選んでみました。スパイスの風味をしっかり感じられて、さっぱりおいしく食べられますよ!
自分で調合できるカスタムブレンド七味(写真右)もオススメ! 数十種のスパイスから選んでブレンドした、自分だけの七味をお持ち帰りできます。
店の外の椅子も、つい写真を撮りたくなるスポットのひとつですよ!
「実は、この椅子缶も購入可能なんです。我が家では、もう一回り小さいサイズの缶をこどものおもちゃ入れに使っています!」
八幡屋礒五郎
〒380-0841 長野県長野市大門町83
https://instagram.com/yawataya.isogoro
海なし県・長野らしいネオ銘菓「藤田九衛門商店」
善光寺の東参道方面へ徒歩5分。「藤田九衛門商店」は、鯛焼きならぬ「鯉(こい)焼き」を製造・販売するお店です。
味のあるパッケージと、躍動感ある鯉のフォルムがなんともかわいいんですよね。店主の藤田さん曰く、「長野は海なし県なので、川魚の王様である鯉をモチーフにした」とのこと。
地元産の花豆を使用した自家製あんがおいしく、パクパク食べ進められちゃいます。ほかにも「ずんだ」「りんごカスタード」など数種類の味がありますよ。
店内では抹茶も注文できるので、イートインされる方は鯉焼きとセットでいただくのがオススメ。随時6〜8種類取り揃えられた抹茶は550円から2,800円(!)まで、幅広くラインナップされています。
さらに、二階には菓子御膳を楽しめちゃう完全予約制の喫茶室も。この喫茶室の天井版画絵が圧巻なので、ぜひひと目見てほしい……!
藤田九衛門商店
〒380-0852 長野市東之門町400-2
https://instagram.com/fujita.kuemon
甘酒にハマる人続出!「西之門よしのや」
先ほど紹介した「こまつや」の向かい側にある蔵元「西之門(にしのもん)よしのや」も、ぜひ立ち寄ってほしいスポット。
蔵に入ると、ずらずらっと並ぶ日本酒に甘酒、味噌、塩こうじ。なんとこちらの商品、すべて試飲・試食が可能なのです!
キリッと辛口の日本酒もおいしいのですが、なんといってもマストバイは甘酒。
「ゆず味や『大吟醸』など甘酒の種類も豊富で、お土産にしても喜ばれますね」
「甘酒をさっぱり飲みたいときは、りんごジュースと炭酸で割るのもオススメ! ごくごく飲めておいしいんだよなあ」
西之門よしのや
〒380-0857 長野県長野市西之門町941
https://nishinomon-yoshinoya.com/
門前らしさと暮らしを感じるスポット
お次は地元の人もよく足を運ぶ家具屋さんやカフェなど、より暮らしに近いスポットをご紹介します。
孫の代まで使える家具を。「松葉屋家具店」
中央通りに店を構える「松葉屋(まつばや)家具店」は、1883年創業の老舗です。
いつも店の前に貼られている手書きのお知らせが素敵なんですよ! 毎回お店の前を通るたびに、つい目で確認してしまいます。
店主である滝澤善五郎さんは、松葉屋の7代目。「100年家具」をかかげ、2代、3代先まで安心して使える家具をオーダーメイドで制作しています。孫の世代まで使うことを考えた家具選びって、今まで考えたことなかったな。
毎回スタッフの方がひとつひとつの商品を丁寧に案内してくださるので、「我が家の暮らしにもお迎えするぞ!」と意気込んじゃいます。
2021年5月現在、お店は予約制です
松葉屋家具店
〒380-0841 長野県長野市大門45
https://instagram.com/matubayakagu
古着屋とカフェがひとつの建物に?「COMMA/ポルカドットカフェ」
もともと倉庫だった建物を幼なじみふたりで借りて、それぞれお店をはじめた場所。それが古着屋「COMMA」とカフェ「POLKA DOT CAFE」です。
1階の「Polka dot cafe」は、ランチからディナーまで、定食を食べられるお店。日替わりの定食は、おぼんの上にぎゅうぎゅうに並べられたおかずの品数にまずびっくりしちゃいます。
メインはもちろん、丁寧につくられた小鉢ひとつひとつがとてもおいしく、幸せな気持ちになります。余裕がある方は、通年食べられる「かき氷」もぜひ。そのボリュームに驚くはずです。
2階の古着屋「COMMA」は、店に足を運ぶたびにラインナップががらっと変わって毎回楽しいんですよね。ひとつひとつのアイテムを丁寧に説明してくださる店主の駒込さんの姿から、ひしひしと古着愛を感じます。
「門前エリアには長野県立大学と信州大学があるため、どちらのお店も週末になると学生の出入りをよく見かけます。きっと、ふたりに憧れてお店を始める学生もいるんだろうなあ」
COMMA / POLKADOTCAFE
〒380-0833 長野市鶴賀権堂町2390-1
https://instagram.com/comma.uvcs
https://instagram.com/polka.cafe2390
門前の文化が詰まった複合施設「KANEMATSU」
巨大な引き戸と「ビニール金松」の古い看板に、元々の建物の雰囲気が残ります
「KANEMATSU(カネマツ)」は、善光寺門前エリアにあるリノベーション物件の先駆け的存在。建築家やデザイナーなど7人組の異業種ユニット「ボンクラ」がセルフリノベーションでつくった複合施設です(「ボンクラ」は2018年に解散)。
現在は1階に2つの店舗が入り、2階はシェアオフィスになっています。
カネマツの1階にある「C.H.P COFFEE」は、2018年にオープンしたカフェ。
店名は、店主の菅さんが敬愛するロックバンド「クリープハイプ」に由来します。店内には書籍やCDなどクリープハイプのファンにはたまらないグッズも。
カフェでは、店内で焙煎されたコーヒーが楽しめます。暖かい時期にはクリームソーダもおすすめ。
アイスサンドやパフェ、フルーツサンドなどスイーツも充実しているので、お気に入りのメニューを見つけてみてください。
「C.H.P COFFEE」の店内を通り抜けた先にあるのが、古本屋「遊歴書房」。店内に入るなり、壁いっぱいに埋め尽くされた本棚がお出迎え。本好きの夢が詰まっています。
ジャンルをまたぎ、多種多様な古本が並んでいるので、ついつい長居しちゃいますよ。
「『KANEMATSU』はイベントスペースとギャラリーの機能もあり、人と情報が集まるスポットでもあります」
KANEMATSU
〒381-0000 長野県長野市東町207-1
C.H.P COFFEE
https://instagram.com/c.h.p_coffee
遊歴書房
http://www.yureki-shobo.com/
門前エリアのおすすめ店舗をかけ足で紹介してきましたが、2ページ目ではもう少し街を深堀りしたインタビューをお届けします。最後に、今回紹介したスポットをまとめたGoogleスポットもありますよ!
善光寺の気質と長野五輪が生み出した、オープンな街の気質とは?